(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】位置決め及びクランプ硬化のための装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20231031BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03F1/62
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020571832
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019064326
(87)【国際公開番号】W WO2020007546
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ,マーティン,ディーター,ニコ
(72)【発明者】
【氏名】デ フォルター,マルケルス,アントニウス
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525074(JP,A)
【文献】特開平01-097582(JP,A)
【文献】米国特許第07784603(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/62
H01L 21/677
B25J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクルフィルムをペリクルフレームに取り付けるためのペリクル把持装置であって、
第1の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第1の把持部材と、
前記第1の把持部材を前記第1の位置の方へ偏
倚させるように構成された第1の偏
倚部材と、
第2の磁気要素であって、前記第2の磁気要素が前記第1の磁気要素と相互作用して前記第1の偏
倚部材を克服して前記第1の把持部材を前記第2の位置へ移動させる第1のモードと、前記第2の磁気要素が前記第1の偏
倚部材を克服しないので前記第1の把持部材が前記第1の位置に留まる第2のモードと、で選択的に動作可能な第2の磁気要素と、
を備える
、ペリクル把持装置。
【請求項2】
第3の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第2の把持部材と、
前記第2の把持部材に前記第1の位置の方への偏
倚力を加えるように構成された第2の偏
倚部材と、
第4の磁気要素であって、前記第4の磁気要素が前記第3の磁気要素と相互作用して前記第2の偏
倚部材を克服して前記第2の把持部材を前記第2の位置へ移動させる第1のモードと、前記第4の磁気要素が前記第2の偏
倚部材を克服しないので前記第2の把持部材が前記第1の位置に留まる第2のモードと、で選択的に動作可能な第4の磁気要素と、
を更に備える、請求項1に記載の
ペリクル把持装置。
【請求項3】
前記装置は、前記第1の把持部材、第1の磁気要素、第1の偏
倚部材、及び第2の磁気要素の表面のどれも動作中にこすれ合わないように構成されている、請求項1から2のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項4】
前記装置は、前記第2の把持部材、第3の磁気要素、第2の偏
倚部材、及び第4の磁気要素の表面のどれも動作中にこすれ合わないように構成されている、請求項
2に記載の
ペリクル把持装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の把持部材は挟み動作で協働するように構成されている、請求項2に記載の
ペリクル把持装置。
【請求項6】
前記第1の把持部材はアームを含む、請求項1から5のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の磁気要素の一方又は双方は、永久磁石、電磁石、又は電気永久磁石を含む、請求項1から6のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項8】
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素は相互に反発するように選択的に動作可能である、請求項1から7のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項9】
前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素は相互に引き付け合うように選択的に動作可能である、請求項1から8のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項10】
前記磁気要素の任意のものの極は選択的に逆転可能である、請求項1から9のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項11】
前記第1の偏
倚部材は板バネである、請求項1から10のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項12】
前記第2の磁気要素に筐体が備えられており、前記第1の把持部材は前記第1の位置において前記筐体と係合しない、請求項1から11のいずれかに記載の
ペリクル把持装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の
ペリクル把持装置を備えるペリクルアセンブリツールであって、前記
ペリクル把持装置を用いてコンポーネントを選択的に把持するように構成されている、ペリクルアセンブリツール。
【請求項14】
ペリクルアセンブリにおいて使用されるカセットであって、
請求項1から12のいずれかに記載のペリクル把持装置を備える圧力プレート
であって、前記ペリクル把持装置はペリクルを把持するためのものである、圧力プレートと、
前記ペリクルフレームを支持するためのベース部材と、
フードと、
を備え、前記圧力プレートは前記ベース部材上に載るように配置され、前記フードは前記
圧力プレートを覆うと共に前記ベース部材上に載るように配置されている、カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年7月4日に出願されたEP出願第18181606.7号、2018年11月23日に出願されたEP出願第18208040.8号、2018年12月20日に出願されたEP出願第18214483.2号、及び2019年1月25日に出願されたEP出願第19153678.8号の優先権を主張する。これらは全て援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本発明は位置決め及びクランプ硬化のための装置に関する。特に、この装置は、ペリクルアセンブリツールと関連付けて使うことができる。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)におけるパターンを、基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するため、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する、極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を用いて、例えば193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置において放射ビームにパターンを付与するため使用されるパターニングデバイス(例えばマスク)は、マスクアセンブリの一部を形成することができる。マスクアセンブリは、パターニングデバイスを粒子汚染から保護するペリクルを含み得る。ペリクルはペリクルフレームによって支持することができる。ペリクル及びペリクルフレームは、ペリクルアセンブリを形成するように取り付けることができる。ペリクルアセンブリを製造するための装置が、国際特許出願WO2016/079052A2号に記載されている。ペリクルアセンブリを製造するための方法は、把持装置(gripping apparatus)を含み得る。
【0006】
[0006] 従来技術に伴う1つ以上の問題を防止又は軽減する把持装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 第1の態様によれば、装置が提供される。この装置は、第1の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第1の把持部材と、第1の把持部材を第1の位置の方へ偏奇させるように構成された第1の偏奇部材と、第2の磁気要素であって、第2の磁気要素が第1の磁気要素と相互作用して第1の偏奇部材を克服して第1の把持部材を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第2の磁気要素が第1の偏奇部材を克服しないので第1の把持部材が第1の位置に留まる第2のモードと、で選択的に動作可能な第2の磁気要素と、を備える。
【0008】
[0008] このように、第1の把持部材を用いて物体を選択的に把持することができる。例えば、第1の把持部材は第1の位置では物体と相互作用せず、第2の位置では物体を把持するように機能することができる。第2の磁気要素を第1のモードで動作させることによって、第1の把持部材を第1の位置に保持するように作用する第1の偏奇部材による偏奇力が克服され得るので、第1の把持部材は第1の位置から第2の位置へ移動する。第2の位置では、例えば、第1の把持部材と別の表面との間で物体を把持するため、第1の把持部材は物体に力を加えることができる。第1の把持部材が加える把持力は、第1及び/又は第2の磁気要素の磁界強度によって少なくとも部分的に決定され得る。第2の磁気要素を第2のモードで動作させることによって、第1及び第2の磁気要素間の磁気的相互作用は少なくとも部分的に停止し、第1の偏奇要素が加える偏奇力は第1の把持部材を第1の位置に保持することができる。装置は、表面が相互にこすれ合って粒子が発生し、これにより物体を汚染する可能性を生じることなく、把持と解放との間で切り換わることができる。具体的には、把持装置は、第1の把持部材、第1の磁気要素、第1の偏奇部材、及び第2の磁気要素の表面のどれも、動作中にこすれ合わないように構成できる。把持装置は、これに加えて又はこの代わりに、第2の把持部材、第3の磁気要素、第2の偏奇部材、及び第4の磁気要素の表面のどれも、動作中にこすれ合わないように構成できる。このように、相互に滑り合うか又はこすれ合う機械部品の表面間の摩擦によってばらばらの粒子が発生する可能性は最小限に抑えられる。これは、リソグラフィシステムのためのペリクルアセンブリツールの場合、又は、製造設備及び実験室環境のような他の「クリーンルーム」環境において、特に望ましい場合がある。
【0009】
[0009] 装置は複数の第1の把持部材を含むことができ、第1の把持部材の各々は第1の磁気要素を含み得る。第2の磁気要素は、第1の把持部材の各々の第1の磁気要素の各々と相互作用できるよう適切なサイズに設定すればよい。あるいは、複数の第2の磁気要素を提供してもよい。いくつかの実施形態では、第1の把持部材ごとに(又は第1の磁気要素ごとに)第2の磁気要素を1つずつ提供することができる。他の実施形態では、第1の磁気要素よりも少ない数の第2の磁気要素を提供することができる。例えば、1つの第2の磁気要素が2つ又は3つ又はそれ以上の第1の磁気要素と相互作用するように構成できる。
【0010】
[0010] 一実施形態において、装置は、第3の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第2の把持部材と、第2の把持部材を第1の位置の方へ偏奇させるように構成された第2の偏奇部材と、第4の磁気要素であって、第4の磁気要素が第3の磁気要素と相互作用して第2の偏奇部材を克服して第2の把持部材を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第4の磁気要素が第2の偏奇部材を克服しないので第2の把持部材が第1の位置に留まる第2のモードとで選択的に動作可能な第4の磁気要素と、を更に備えることができる。第1及び第2の把持部材は、挟み動作(pincer motion)で協働するように構成することができる。
【0011】
[0011] つまり、第1及び第2の把持部材は、第1の位置から第2の位置へ移動した場合に第1及び第2の把持部材がそれらの間に物体を把持するように、把持される物体の各側に配置することができる。第1及び第2の把持部材の各々によって等しい相対的な力の量が加えられるように、様々な磁気要素の磁界強度を較正すればよい。あるいは、第1及び第2の把持部材のそれぞれが異なる相対的な力の量を加えるように様々な磁気要素の各磁界強度を較正することが望ましい場合もある。
【0012】
[0012] 装置は複数の第2の把持部材を含むことができ、第2の把持部材の各々は第3の磁気要素を含み得る。第4の磁気要素は、第2の把持部材の各々の第3の磁気要素の各々と相互作用できるよう適切なサイズに設定すればよい。あるいは、複数の第4の磁気要素を提供してもよい。いくつかの実施形態では、第2の把持部材ごとに(又は第3の磁気要素ごとに)第4の磁気要素を1つずつ提供することができる。他の実施形態では、第3の磁気要素よりも少ない数の第4の磁気要素を提供することができる。例えば、1つの第4の磁気要素が2つ又は3つ又はそれ以上の第3の磁気要素と相互作用するように構成できる。
【0013】
[0013] 複数の第1及び/又は第2の把持部材を提供することができる。例えば、2つ又は3つ又はそれ以上の第1の把持部材を提供できる。これに加えて又はこの代わりに、2つ又は3つ又はそれ以上の第2の把持部材を提供できる。具体的には、把持される及び/又は取り扱われる物体が大きい場合、又は、物体の様々な接触点間に把持力を分散させることが望ましい場合、より多くの把持部材を提供することが望ましい可能性がある。第1及び第2の把持部材は相互に対向して配置することができる。この代わりに又はこれに加えて、第1及び第2の把持部材のいくつか又は全てを相互にずれるように配置することも可能である。
【0014】
[0014] 一実施形態において、第1の把持部材はアームを含み得る。
【0015】
[0015] 一実施形態において、第1及び第2の磁気要素の一方又は双方は、永久磁石、電磁石、又は電気永久磁石(electropermanent magnet)を含み得る。第3及び第4の磁気要素の一方又は双方は、永久磁石、電磁石、又は電気永久磁石を含み得る。
【0016】
[0016] 一例として、第1の磁気要素及び/又は第3の磁気要素は永久磁石を含み、第2の磁気要素及び/又は第4の磁気要素は電磁石又は電気永久磁石を含むことができる。電気永久磁石は、アクティブな電力供給が無い場合も磁化を保つので好適であり得る。これに対し、電磁石は磁化を保つためにアクティブな電力供給が必要である。また、第2及び/又は第4の磁気要素も永久磁石を含むことができ、これらを筐体内で第1及び/又は第3の磁気要素に近付くように又はそれらから遠ざかるように移動させることによって、相互の近接に応じた第1及び/又は第3の磁気要素との相互作用が可能となる。例えば、第2及び/又は第4の磁気要素は、第1又は第3の磁気要素に近い第1の位置と、第1の位置よりも第1又は第3の磁気要素から遠い第2の位置と、の間で往復する機械的又は電気的アクチュエータに搭載された永久磁石を含み得る。筐体は、第2及び/又は第4の磁気要素の移動によって生じた粒子が、把持される及び/又は取り扱われる物体まで到達できないことを保証できる。つまり、第2及び/又は第4の磁気要素の第1及び第2のモードは、電力供給の存在(及び/又は方向)に応じて、又は、第1及び/又は第3の磁気要素に対する第2及び/又は第4の磁気要素のそれぞれの近接に基づいて、選択的に動作可能であり得る。
【0017】
[0017] 第1及び第2の磁気要素は、相互に反発するように選択的に動作可能であり得る。この代わりに又はこれに加えて、第1及び第2の磁気要素は、相互に引き付け合うように選択的に動作可能であり得る。
【0018】
[0018] 第3及び第4の磁気要素は、相互に反発するように選択的に動作可能であり得る。この代わりに又はこれに加えて、第3及び第4の磁気要素は、相互に引き付け合うように選択的に動作可能であり得る。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4の磁気要素の任意のものの極は、選択的に逆転可能であり得る。
【0020】
[0020] 第1及び/又は第2の偏奇部材は板バネとすることができる。
【0021】
[0021] 第2の磁気要素に筐体を備えることができる。そのような実施形態において、装置は、第1の把持部材が第1の位置において第2の磁気要素の筐体と係合しないように構成されている。これに加えて又はこの代わりに、第4の磁気要素に筐体を備えることができる。そのような実施形態において、装置は、第2の把持部材が第1の位置において第4の磁気要素の筐体と係合しないように構成されている。
【0022】
[0022] 第2の態様によれば、第1の態様に従った装置を備えるペリクルアセンブリツールが提供される。ペリクルアセンブリツールは、装置を用いてコンポーネントを選択的に把持するように構成されている。
【0023】
[0023] 第3の態様によれば、第2の態様に従ったペリクルアセンブリツールを備えるリソグラフィシステムが提供される。
【0024】
[0024] 第4の態様によれば、ペリクルアセンブリにおいて使用されるカセットが提供される。このカセットは、第1の態様に従った少なくとも1つの装置を備える圧力プレートと、ペリクルフレームを支持するためのベース部材と、フードと、クランプと、を備えている。圧力プレートはベース部材上に載るように配置され、フードは圧力プレートを覆うと共にベース部材上に載るように配置され、クランプはフードをベース部材にクランプするように構成されている。圧力プレートは第1の態様に従った複数の装置を含み得る。ベース部材はヒータを含み得る。
【0025】
[0025] 第5の態様によれば、圧力プレートリフト及び動的マウント(kinematic mount)を備えるペリクルカセットアセンブリ装置が提供される。動的マウントは、圧力プレートリフトの下方に位置決めされるように移動するよう構成され、圧力プレートリフトは、動的マウント上に位置決めされた硬化キャリア上に圧力プレートを降ろし、その後圧力プレートを解放するように構成されている。
【0026】
[0026] 第6の態様によれば、ペリクルを硬化させるためのコンピュータにより実施される方法が提供される。この方法は、固定具キャリアからペリクル固定具を取り出すことと、ペリクルカセットのベース部材上にペリクルフレームを配置することと、接着剤を用いてペリクルフレームにペリクル固定具及びペリクルフィルムを取り付けることと、ベース部材上に載るように配置された圧力プレートを用いてペリクル固定具及びペリクルフィルムに圧力を加えることと、圧力プレート上及びベース部材上に載るように、圧力プレートの上にフードを配置することと、をペリクルカセットアセンブリツールに実行させることを含む。この方法は、フードをベース部材にクランプすることを更に含み得る。固定具キャリアからペリクル固定具を取り出すことは、固定具を固定具キャリアから持ち上げてペリクルフレームへ移動させることができるように、第1の態様に従った装置を用いて固定具を把持することを含み得る。
【0027】
[0027] 第7の態様によれば、ペリクルカセットアセンブリツールを備えるペリクルアセンブリツールが提供される。ペリクルカセットアセンブリツールは、ペリクルカセットを組み立てると共に、このカセットを、別のペリクルカセットの組み立て中に、格納のため複数のペリクルカセットを保持するよう構成された回転台へ供給するように構成されている。ペリクルカセットアセンブリツールは、第6の態様の方法を実行するように構成できる。
【0028】
[0028] 第8の態様によれば、ペリクルアセンブリにおいて使用されるカセットが提供される。このカセットは、ベース部材と、カセット内の所定の位置にペリクル固定具を支持するための中間部材と、ペリクルフィルム及び/又はペリクル固定具に圧力を加えるように構成された少なくとも1つの圧力フィンガを含む圧力プレートと、を備え、使用時に中間部材はベース部材と圧力プレートとの間に配置される。
【0029】
[0029] ベース部材は、中間部材及び/又は圧力プレートをクランプするための少なくとも1つのクランプを含み得る。
【0030】
[0030] 少なくとも1つのクランプは、クランプ磁界を与えるように構成された磁気要素を含み得る。
【0031】
[0031] 磁気要素は、クランプ磁界の強度を変動させるように回転可能であり得る。
【0032】
[0032] 磁気要素は複数の永久磁石を含み得る。例えば、磁気要素は複数のネオジム磁石を含み得る。
【0033】
[0033] ベース部材は、位置決め装置の位置決めセンサによる中間部材、ペリクルフレーム、及び/又はペリクルフィルムの検出を可能とするための少なくとも1つの開口を含み得る。位置決め装置は、ベース部材の「下方」に配置された、すなわち、中間部材及び圧力プレートに向かい合う側とは反対のベース部材の側に配置された位置決めセンサを含むことがある。当業者に明らかであるように、位置決めセンサは任意の適切な形態をとり得ることは認められよう。具体的には、センサは、光学センサ、音響センサ、磁気センサ等とすればよい。
【0034】
[0034] ベース部材は、ペリクルフレームを支持するように構成された少なくとも1つの支持スタッドを含み得る。更に、ベース部材は、ペリクルフレームが支持スタッドに対して移動するのを防止するよう構成された少なくとも1つの保持スタッドを含み得る。
【0035】
[0035] 少なくとも1つの圧力フィンガは板バネを含み得る。
【0036】
[0036] カセットは閉鎖部材を更に備えることができる。閉鎖部材は、カセットを密閉してペリクルに対する損傷を防止するように機能する。例えば閉鎖部材は、外部環境からの粒子及び/又はデブリがペリクルに到達できないことを保証する。閉鎖部材は、圧力プレートと、任意選択的に中間部材と、任意選択的にベース部材と、を覆うように配置されたフードとすればよい。あるいは閉鎖部材は、例えば、圧力プレートの開口を遮るように構成された閉鎖プレートとすればよい。
【0037】
[0037] 第9の態様は、ペリクルを硬化させるためのカセットを組み立てるコンピュータにより実施される方法に関する。この方法は、少なくとも1つの結像装置の視野内にベース部材を配置することと、視野とペリクルフレームを位置合わせし、ペリクルフレームをベース部材上に位置決めすることと、ペリクルフレームとペリクルフィルムを位置合わせし、ペリクルフィルムをペリクルフレーム上に位置決めすることと、をカセットアセンブリ装置に実行させることを含む。
【0038】
[0038] 方法は、ペリクルフィルムと中間部材を位置合わせし、中間部材をベースプレート上に位置決めすることを、カセットアセンブリ装置に実行させることを更に含み得る。
【0039】
[0039] 方法は、中間部材をベースプレートにクランプすることをカセットアセンブリ装置に実行させることを更に含み得る。
【0040】
[0040] 方法は、ペリクルフィルムの位置を基準として圧力プレートの所望の位置を決定することと、所望の位置に圧力プレートを位置決めすることと、圧力プレートをベースプレートにクランプすることと、をカセットアセンブリ装置に実行させることを更に含み得る。クランプすることは、磁気要素を作動させてクランプ磁界を与えることを含み得る。
【0041】
[0041] 第10の態様は、第9の態様に従った方法を実行するための装置に関する。この装置は、結像装置と、フレームを位置決めするための位置決め手段と、フィルムを位置決めするための位置決め手段と、を備える。
【0042】
[0042] 装置は、中間部材を位置決めするための位置決め手段を更に含み得る。装置は、圧力プレートを位置決めするための位置決め手段を更に含み得る。
【0043】
[0043] 以下の詳細な説明は、記載される装置及び方法をリソグラフィシステムで使用することに焦点を当てているが、本明細書に開示される装置及び方法は他の適用例でも使用され得る。例えば、装置及び方法は、実験室、製造工場、自動倉庫等において使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
[00044] これより添付図面を参照して一例としてのみ本発明の実施形態を説明する。
【0045】
【
図1】リソグラフィ装置及び放射源を含むリソグラフィシステムの概略図である。
【
図2a】把持部材が第1の位置にある把持装置の概略図である。
【
図2b】把持部材が第2の位置にある
図2aの把持装置の概略図である。
【
図3a】ペリクルの組み立てに関連するステップの概略図である。
【
図3b】ペリクルの組み立てに関連するステップの概略図である。
【
図3c】ペリクルの組み立てに関連するステップの概略図である。
【
図3d】ペリクルの組み立てに関連するステップの概略図である。
【
図3e】ペリクルを組み立てる方法の概略図である。
【
図4a】ペリクルアセンブリツールの一部の概略図である。
【
図4b】代替的なペリクルアセンブリツールの一部の概略図である。
【
図5a】ペリクルを組み立てるための装置の概略図である。
【
図5b】ペリクルを組み立てるための装置の概略図である。
【
図6b】代替的なペリクルフレームを概略的に示す。
【
図7】ペリクルカセットの一実施形態の分解図を概略的に示す。
【
図8a】磁気クランプの動作の2つのモードのうち1つを概略的に示す。
【
図8b】磁気クランプの動作の2つのモードのうち1つを概略的に示す。
【
図9a】ペリクルフレーム及び固定具ロードキャリアの位置合わせを概略的に示す。
【
図10】ペリクルカセットを処理するための装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[00045]
図1は、本明細書に記載されるマスクアセンブリ15を含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えている。放射源SOは、EUV放射ビームBを発生させ、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を備えている。照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成されている。投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成されている。基板Wは、以前に形成されたパターンを含むことがある。これが当てはまる場合、リソグラフィ装置LAは、基板W上に以前に形成されたパターンを、パターン付与されたEUV放射ビームB’によって形成された像と位置合わせする。
【0047】
[00046] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは全て、外部環境から隔離できるように構築及び配置することができる。放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に、大気圧よりも充分に低い圧力のガス(例えば水素)を提供してもよい。
【0048】
[00047] 放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP:laser produced plasma)源、放電生成プラズマ(DPP:discharge produced plasma)源、自由電子レーザ(FEL:free electron laser)、又はEUV放射を発生することができる他の任意の放射源とすればよい。
【0049】
[00048]
図1に示されている放射源SOはLPPタイプのものである。CO
2レーザとすることができるレーザ1は、レーザビーム2を介して、燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)等の燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を生成する。プラズマイオンの脱励起及び再結合の間に、プラズマからEUV放射を含む放射が放出される。
【0050】
[00049] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ5(時として、より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれる)によって収集され集束される。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層構造を有し得る。コレクタ5は、2つの楕円焦点を有する楕円構成を有し得る。第1の焦点はプラズマ形成領域4にあり、第2の焦点は中間焦点6にあり得る。これについては以下で検討する。
【0051】
[00050] レーザ生成プラズマ(LPP)源の他の実施形態では、コレクタ5は、EUV放射をかすめ入射角で受け取り、このEUV放射を中間焦点に集束するよう構成された、いわゆるかすめ入射コレクタとすることができる。かすめ入射コレクタは、例えば、複数のかすめ入射リフレクタを含む入れ子状のコレクタとすればよい。かすめ入射リフレクタは、光軸Oを中心として軸対称に配置することができる。
【0052】
[00051] 放射源SOは、1つ以上の汚染トラップ(図示せず)を含むことができる。例えば汚染トラップは、プラズマ形成領域4と放射コレクタ5との間に位置付けることができる。汚染トラップは例えば、回転フォイルトラップ、又は他の任意の適切な形態の汚染トラップとすればよい。
【0053】
[00052] レーザ1を放射源SOから分離してもよい。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)によって、レーザ1から放射源SOへ渡すことができる。レーザ1及び放射源SOは共に放射システムと見なすことができる。
【0054】
[00053] コレクタ5によって反射された放射は放射ビームBを形成する。放射ビームBは、ポイント6で集束されてプラズマ形成領域4の像を形成し、これは照明システムILの仮想放射源として作用する。放射ビームBが集束されるポイント6を中間焦点と呼ぶことができる。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9の開口8に又は開口の近くに位置付けられるように配置されている。
【0055】
[00054] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームBを調節するよう構成された照明システムIL内に進む。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、放射ビームBに所望の断面形状と所望の角度分布を与える。放射ビームBは、照明システムILから出射し、支持構造MTによって保持されたマスクアセンブリ15に入射する。マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAと、ペリクルフレーム17によって所定位置に保持されたペリクル19と、を含む。パターニングデバイスMAは放射ビームBを反射しパターンを付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことも可能である。
【0056】
[00055] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入射する。投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持された基板Wに放射ビームBを投影するよう構成された複数のミラーを備えている。投影システムPSは、放射ビームに縮小率を適用することで、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成できる。例えば、縮小率4を適用することができる。
図1において投影システムPSは2つのミラーを有するが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6個のミラー)を含むことができる。
【0057】
[00056] リソグラフィ装置は、例えば、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンしながら、放射ビームに付与されたパターンを基板Wに投影するスキャンモードで使用することができる(すなわち動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び像反転特性によって決定することができる。基板Wに入射するパターン付与された放射ビームは、ある放射帯域を含み得る。この放射帯域を露光スリットと呼ぶことがある。スキャン露光中、露光スリットが基板Wの露光フィールドを進んでいくように基板テーブルWT及び支持構造MTを移動させることができる。
【0058】
[00057]
図1に示されている放射源SO及び/又はリソグラフィ装置は、図示されていないコンポーネントを含み得る。例えば、放射源SO内にスペクトルフィルタを提供することができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に対して実質的に透過性であるが、赤外線放射のような他の波長の放射は実質的に阻止することができる。
【0059】
[00058] リソグラフィシステムの他の実施形態において、放射源SOは他の形態をとることがある。例えば代替的な実施形態では、放射源SOは1つ以上の自由電子レーザを含み得る。1つ以上の自由電子レーザは、1つ以上のリソグラフィ装置に提供され得るEUV放射を放出するように構成できる。
【0060】
[00059] 上記で簡単に述べたように、マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して提供されているペリクル19を含む。放射ビームBが照明システムILからパターニングデバイスMAに近付くとき、及びパターニングデバイスMAによって反射されて投影システムPSの方へ向かうときの双方でペリクル19を通過するように、ペリクル19は放射ビームBの経路内に提供されている。ペリクル19は、EUV放射に対して実質的に透明である(が、少量のEUV放射を吸収する)薄膜を含む。本明細書において、EUV透明ペリクル又はEUV放射に対して実質的に透明なフィルムとは、ペリクル19がEUV放射の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくはEUV放射の少なくとも90%に対して透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護するように機能する。
【0061】
[00060] リソグラフィ装置LAの内部に清潔な環境を維持するよう努力しても、リソグラフィ装置LAの内部には粒子が存在する可能性がある。ペリクル19が無い場合は、粒子がパターニングデバイスMA上に堆積することがある。パターニングデバイスMA上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン及び基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼす恐れがある。ペリクル19は、パターニングデバイスMA上に粒子が堆積するのを防止するため、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間のバリアを与える利点がある。
【0062】
[00061] ペリクル19は、ペリクル19の表面に入射する粒子が放射ビームBの焦点面内に存在しないよう充分な距離だけパターニングデバイスMAから離して位置決めされている。ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間のこの分離は、ペリクル19の表面上の粒子が放射ビームBにパターンを付与する度合いを低減するように機能する。粒子が放射ビームB内に存在するが、その位置が放射ビームBの焦点面内でない(すなわちパターニングデバイスMAの表面でない)場合、粒子の像は基板Wの表面で焦点が合わないことは認められよう。他に考慮すべき事項が存在しない場合は、ペリクル19をパターニングデバイスMAからかなりの距離だけ離して位置決めすることが望ましい場合がある。しかしながら実際には、リソグラフィ装置LA内でペリクル19を収容するために利用できる空間は、他のコンポーネントの存在によって限定される。いくつかの実施形態において、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の分離は、例えばほぼ1mm~10mmの間、例えば1mm~5mmの間、より好ましくは2mm~2.5mmの間であり得る。
【0063】
[00062] ペリクルをペリクルフレームに取り付け、更にペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることによって、マスクアセンブリをリソグラフィ装置で使用するため準備することができる。パターニングデバイスMAと、パターニングデバイスに隣接してペリクルフレームによって支持されたペリクルと、を含むマスクアセンブリを、リソグラフィ装置LAから遠隔で準備し、このマスクアセンブリをリソグラフィ装置LAで使用するためリソグラフィ装置LAへ移送することができる。例えば、パターニングデバイスにパターンを付与する場所で、マスクアセンブリを形成するように、ペリクルを支持しているペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることができる。次いでこのマスクアセンブリを、リソグラフィ装置LAが配置されている別の場所へ移送し、リソグラフィ装置LAで使用するためリソグラフィ装置LAに提供することができる。
【0064】
[00063] ペリクルがペリクルフレームによって所定位置に保持されているマスクアセンブリは壊れやすく、このマスクアセンブリの移送はペリクルに損傷を与えるリスクがある。更に、リソグラフィ装置LAとは別の環境でマスクアセンブリを組み立てることで、マスクアセンブリは種々の圧力条件に暴露される可能性がある。例えば、マスクアセンブリは周囲圧力条件下でリソグラフィ装置に移送され得る。次いでマスクアセンブリは、真空圧力条件に引かれたロードロックを介してリソグラフィ装置LAにロードされ得る。マスクアセンブリが暴露される圧力条件の変化はペリクルに圧力差を引き起こし、これによってペリクルが曲がり、ペリクルに損傷を与えるリスクが生じる恐れがある。一実施形態において、リソグラフィシステムは、ペリクルフレーム取り付け装置(又はペリクルアセンブリツール)に接続されたリソグラフィ装置LAを含み得る。これが当てはまる場合、マスク及びペリクルを含むマスクアセンブリを、制御された環境(例えば真空環境)内に維持しながら、ペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置へ直接移送することができる。
【0065】
[00064]
図2a及び
図2bは一実施形態に従った把持装置200を示す。把持装置は、例えばマスクアセンブリを組み立てるか又は移送するプロセスで使用することができる。把持装置200は、実質的に平行に配置された第1の把持部材202及び第2の把持部材206を備えている。第1及び第2の把持部材202、206は、(
図2bに示されているように)これら2つの把持部材202、206間に位置付けられた物体222を把持する挟み動作で選択的に協働することができる。言い換えると、第1及び第2の把持部材202、206はそれぞれ、物体222を把持又は解放するため、第1の位置(
図2aに示されている)と第2の位置(
図2bに示されている)との間で移動できる。本実施形態において、把持部材202、206はそれぞれアームを備えている。しかしながら、把持部材は任意の適切な形態をとり得ることは認められよう。第1の把持部材202は、第1の把持部材202の一端に配置された第1の磁気要素204を含む。しかしながら、第1の磁気要素204の他の位置も適切であり得ることは認められよう。第1の磁気要素204は、例えば電磁石、永久磁石、又は電気永久磁石を含み得る。図示されている実施形態において、第1の磁気要素204とは反対の第1の把持部材202の他端に第1の偏奇部材210が提供されている。第1の偏奇部材210は板バネとすればよいが、他の任意の適切な形態をとってもよい。第1の偏奇部材210は、第1の把持部材202を第1の位置の方へ偏奇させるように機能する。第1の偏奇部材210は、第1の把持部材202を偏奇させることができる任意の適切な位置に配置すればよいことは認められよう。把持装置200は第2の磁気要素214も含み、これは、第1及び第2の磁気要素204、214の磁界が相互作用するため充分に近接するように第1の磁気要素204の近くに位置付けられている。第2の磁気要素214は、例えば電磁石、永久磁石、又は電気永久磁石を含み得る。第2の磁気要素214は筐体216内に提供することができる。筐体216は例えばアルミニウムを含み得る。第2の磁気要素214は、第1の磁気要素204と相互作用して第1の偏奇部材210を克服して第1の把持部材202を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第1の偏奇部材210を克服しないので第1の把持部材202が第1の位置に留まるか又は第1の位置に戻る第2のモードとで選択的に動作可能である。ここに記載されている実施形態において、第2の磁気要素214は、第1の動作モードで動作している場合は第1の磁気要素204に反発するよう構成されている。第1及び第2の磁気要素204、214の磁界強度は、第1の把持部材202が物体222を把持することができる把持力の強度を少なくとも部分的に決定する。
【0066】
[00065] 第2の把持部材206は、第2の把持部材206の一端に配置された第3の磁気要素208を含む。しかしながら、第3の磁気要素208の他の適切な位置も可能であることは認められよう。第3の磁気要素208は、例えば電磁石、永久磁石、又は電気永久磁石を含み得る。図示されている実施形態において、第3の磁気要素208とは反対の第2の把持部材206の他端に第2の偏奇部材212が提供されている。第2の偏奇部材212は板バネとすればよい。第2の偏奇部材212は、第2の把持部材206を第1の位置の方へ偏奇させるように機能する。第1の偏奇部材212は、第2の把持部材206を偏奇させることができる任意の適切な位置に配置すればよいことは認められよう。把持装置200は第4の磁気要素218も含み、これは、第3及び第4の磁気要素208、218の磁界が相互作用するため充分に近接するように第3の磁気要素208の近くに位置付けられている。第4の磁気要素218は、例えば電磁石、永久磁石、又は電気永久磁石を含み得る。第4の磁気要素218は筐体220内に提供することができる。筐体220は例えばアルミニウムを含み得る。第4の磁気要素218は、第3の磁気要素208と相互作用して第2の偏奇部材212を克服して第2の把持部材206を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第2の偏奇部材212を克服しないので第2の把持部材206が第1の位置に留まるか又は第1の位置に戻る第2のモードとで、選択的に動作可能である。
【0067】
[00066] 図示されている例において、把持部材202、206は、第1の位置にある場合に筐体216、220と係合しない。このようにして粒子発生を最小限に抑えることができる。把持部材202、206が筐体216、220と接触できないことを保証するように、偏奇部材210、212を調整すればよい。
【0068】
[00067] 第2及び/又は第4の磁気要素214、218の第1及び第2のモードは、電力供給の存在(及び/又は方向)に応じて、又は、第1及び/又は第3の磁気要素204、208に対する第2及び/又は第4の磁気要素214、218のそれぞれの近接に基づいて、構成することができる。例えば、第2の磁気要素214が電磁石である場合、第2の磁気要素214を磁化するように電力供給を接続することによって第1のモードを構成できる。第1及び第2の磁気要素204、214の向かい合う磁--極が同一である場合、第1及び第2の磁気要素204、214は相互に反発し合う。電力供給を切断し、これによって第2の磁気要素を消磁することにより、第2のモードが選択可能となる。あるいは、第2の磁気要素218が永久磁石である場合、これは、筐体216内で第1の磁気要素204に近付くように又は第1の磁気要素204から遠ざかるように移動するよう構成できる。例えば第2の磁気要素は、第1の磁気要素に比較的近い第1の位置と、第1の位置よりも第1の磁気要素から遠い第2の位置と、の間で往復する機械的又は電気的アクチュエータに搭載された永久磁石を含み得る。第1及び第2の磁気要素204、214のそれぞれの磁界の強度は、第2の磁気要素214が筐体216内で第1の磁気要素204に近付いた場合はこれらの磁気要素が相互に反発し合うと共に、第2の磁気要素214が筐体216内で第1の磁気要素204から遠ざかった場合は第1及び第2の磁気要素204、214間の磁気的相互作用が低減するように、すなわち反発が少なくとも部分的に停止するように構成できる。筐体216は、筐体216内での第2の磁気要素214の移動によって放出される粒子が物体222に到達できないように第2の磁気要素214を取り囲むよう構成することができる。上述のことは第3及び第4の磁気要素208、218にも等しく当てはまる。電気永久磁石を用いると、動作電力要求を低減できると共に、停電の場合に把持を継続することが可能となる。第2の磁気要素218が電気永久磁石である場合、把持部材202を第1及び第2の位置間で移動させるため、第2の磁気要素218の極を切り換えることができる。具体的には、把持部材202を第1の位置から第2の位置へ移動させるため、第2の磁気要素218は第1の磁気要素204に反発するよう動作させることができ、把持部材202を第2の位置から第1の位置へ移動させるため、第2の磁気要素218は第1の磁気要素204を引き付けるように動作させることができる。
【0069】
[00068]
図2a及び
図2bに示されている実施形態では、第1及び第2の把持部材202、206の第1の位置は、第1及び第2の把持部材202、206が物体222と係合しない位置(
図2aに示されている)であり、第2の位置は、第1及び第2の把持部材202、206が物体222を把持するように物体222と係合する位置(
図2bに示されている)である。しかしながら、第1の位置が、第1及び第2の把持部材202、206が物体222を把持するように物体222と係合する位置であると共に、第2の位置が、第1及び第2の把持部材202、206が物体222と係合しない位置であることも可能であることは認められよう。
【0070】
[00069]
図2a、
図2bには2つの把持部材202、206が示されているが、任意の数の把持部材を提供できることは認められよう。同様に、各把持部材202、206及び第1及び第3の磁気要素204、208の各々はそれぞれ対応する第2及び第4の磁気要素214、218を有するが、他の構成も提供できることは認められよう。
【0071】
[00070]
図3aから
図3dは、ペリクルの組み立てに関連するステップの概略図である。ペリクルは、フレーム320と、フレーム320に取り付けられた1つ以上の固定具316と、フレームに取り付けられたフィルム322と、を備えている。ペリクルはペリクルアセンブリツールを用いて組み立てることができる。ペリクルの組み立て中、固定具316及びフィルム322は接着剤を用いてフレーム320に取り付けられる。その後、接着剤を硬化させることができる。ペリクルは、例えばペリクルの平坦性、ペリクルの様々なコンポーネント間の位置合わせの精度、接着接続部の強度、及びペリクルの清浄度に関する厳しい要件に従う必要があり得る。具体的には、ペリクルは、50μm未満の平坦性公差及び35μm未満の位置決め公差を有する必要があり得る。
【0072】
[00071] ペリクルアセンブリツールは、接着剤の硬化中にフィルムに圧力を加える複数のフィルム圧力フィンガ312を有する圧力プレート310を含む。また、圧力プレート310は2つの把持装置300も含み、これらの把持装置を用いて固定具316を把持することによりペリクルを把持する及び/又は操作することができる。図に示されているものは例示だけを目的としており、より多数又はより少数の固定具316及び/又は把持装置300を提供してもよいことは認められよう。例えば、4つの固定具316及び4つの把持装置300を提供してもよい。各把持装置300は第1の把持部材302及び第2の把持部材304を含み、これらは実質的に平行に配置されている。把持装置300の第1及び第2の把持部材302、304は、固定具316を把持するための挟み動作で選択的に協働することができる。
図3aから
図3dに示されている把持装置300は、通常は閉じている。各把持装置300は、把持部材302、304を開き(すなわち離れるように動かし)、それらを再び閉じるように動作するグリッパアクチュエータ308を含む。グリッパアクチュエータ308は、
図2a及び
図2bに関して上述したように、1つ以上の磁気要素として実施すればよい。また、把持装置300は、固定具316をフレーム320に付着させている間にこれらに圧力を加える少なくとも1つの固定具圧力フィンガ306も含む。ペリクルの構築中、フレーム320は、フレーム320を支持する硬化キャリア324上に配置される。硬化キャリア324をベース部材と呼ぶこともある。接着剤の硬化中にペリクルを保護するため、圧力プレート310及びペリクルを覆うようにフード328が提供される。フード328は、ファスナによって硬化キャリア324に留めることができる。任意の適切なファスナを使用できることは認められよう。一実施形態では、以下で更に詳しく記載するように、フード328はクランプ326を用いて硬化キャリア324に留めることができる。圧力プレート310と硬化キャリア324との間、及び圧力プレート310とフード328との間の密封を保証するため、シール部材314、315(例えばオーリング)が提供される。
図3dに示されているように、硬化キャリア324上に配置されたペリクル、圧力プレート310、及びフード328を含むアセンブリ全体を、ペリクルカセット330と呼ぶことができる。ペリクルカセット330は、所望の公差(例えば50μm)内のペリクル平坦性を保証し、ペリクルコンポーネントの正確な位置決めを可能とし、接着剤の硬化中にコンポーネントの相対的な移動が発生し得ないようにペリクルをクランプする。更に、フード328は、硬化中に粒子がペリクルに付着せず、従って硬化中に汚染による欠陥がペリクルに発生し得ないことを保証する。
【0073】
[00072] これより、
図3aから
図3eを参照して、ペリクルカセット330を形成するためのステップを更に詳しく説明する。最初のステップ30では、圧力プレート310上の把持装置300を用いて固定具キャリア318から固定具316を収集する。具体的には、圧力プレート310を固定具キャリア318の上方に位置するように移動させ、固定具キャリア318上に位置付けられた固定具316の方へ降ろす。固定具316は、固定具キャリア318上で規定された位置及び向きに位置付けられている。圧力プレート310、具体的には圧力プレート310の把持装置300と、固定具316との位置合わせは、視覚測定システムを用いて(例えばカメラ/他の画像センサ及び適切な画像認識技法を用いて)確立し検証する。把持装置300の把持部材302、304は、通常は閉じている。把持部材302、304をグリッパアクチュエータ308によって開き(すなわち離れるように動かし)、把持装置300が個々の固定具316を把持することが可能となるまで圧力プレートを降ろす。次いで、
図3aに示されているように、グリッパアクチュエータ308は、固定具316がそれぞれ把持装置300で保持されるように、再び把持部材302、304を閉じるよう動作する。
【0074】
[00073] 次いで、その後のステップ32では、把持装置300が固定具316を保持している状態の圧力プレート310を、硬化キャリア324の上方に配置するよう移動させることができる。ペリクルは硬化キャリア324上に構築することができる。上述のように、ペリクルは、接着剤を用いて固定具316及びフィルム322が取り付けられたフレーム320を含む。いくつかの実施形態では、固定具316及びフィルム322をフレーム320に取り付けるために同じ接着剤を使用できる。他の実施形態では、フィルム322をフレーム320に取り付けるために使用するものとは異なる接着剤を用いて固定具316をフレーム320に取り付けることができる。
【0075】
[00074] 固定具316及びフィルム322をフレーム322に付けた後、ステップ34では、
図3bに示されているように、グリッパアクチュエータ308は、把持部材302、304を開き、固定具316をフレーム320に押し付けるように固定具316に圧力を加える固定具圧力フィンガ306を係合させるよう動作する。固定具316がフレーム320に押し付けられた後、ステップ36では、
図3cに示されているように、グリッパアクチュエータ308は、把持装置300の把持部材302、304を再び閉じ、固定具316の表面から固定具圧力フィンガ306を取り外す(すなわち固定具316に対する圧力を除去する)ように動作する。接着剤の硬化中、圧力プレートに取り付けられたフィルム圧力フィンガ312は、フレーム320上の所定位置でフィルム322をクランプするよう圧力を加える(例えば
図3b及び
図3cに示されている)。
【0076】
[00075] ペリクルカセット330を構築するための最後のステップ38では、圧力プレート310の上にフード328を配置し、クランプ326を用いて所定位置に保持する。圧力プレート310の上にフード328をクランプし、フィルム圧力フィンガ312によってペリクルフレーム320上の所定位置でペリクルフィルム322をクランプする結果、壊れやすいペリクルに損傷を生じるリスクを伴うことなくペリクルカセット330を自由に移動させることが可能となる。ペリクルカセット330の構築にかかる時間は、フィルム322及び/又は固定具316をフレーム320に取り付けるため使用される接着剤の硬化に要する時間に比べ、著しく短い。カセットは、ペリクルの損傷のリスクを伴うことなく自由に移動させることができるので、これは、接着剤の硬化プロセスが完了するまでの間に、カセット330をペリクルアセンブリツールにおいて構築し、次いで格納エリアへ移動させ得ることを意味する。この結果、第1のペリクルカセット330における接着剤の硬化中に別のペリクルカセット330を構築できるので、ペリクルアセンブリ時間のスループットの増大が可能となる。第1のペリクルの接着剤が一度硬化したら、第1のペリクルカセット330を格納エリアから取り出し、要件に従って更に処理することができる。ペリクルカセット330の構築には、当業者に明らかである他のステップも含まれ得ることは認められよう。
【0077】
[00076]
図4aは、ペリクルアセンブリツールの一部の概略的なレイアウトを示す。ペリクルアセンブリツールは、準備ステーション400と、接着剤の硬化中にペリクルカセットを格納するための格納エリア404、406、408、410を有する回転台402と、コンポーネントをアセンブリラインに沿って準備ステーション400から別のステーションへ移送するための準備後エリア412と、を含む。ペリクルアセンブリツールは、ペリクルカセットを組み立てるためのプロセスステップを実行することができる様々な他のステーション414、416、418、420を含む。例えば、第1のステーション414で固定具キャリアから固定具を収集し、第2のステーション416で固定具をフレームに取り付け、第3のステーション416でペリクルフィルムをフレームに接着し、最後に第4のステーション420でペリクルカセットを完全に組み立てることができる。上記のタスクのうちいくつかは同一のステーションで実行され得ること、及び/又はカセット組み立て中に別のタスクも実行され得ることは認められよう。
【0078】
[00077] 例えば
図3aから
図3dを参照して上述したように、一度ペリクルカセットの完成品が構築されたら、そのカセットは接着剤の硬化中に格納のため格納回転台402に戻される。次いで、アセンブリラインで新しいペリクルカセットを処理することができる。
図4aに示されている回転台402は4つの格納エリアを有するが、任意の数の格納エリアが想定されることは認められよう。
【0079】
[00078]
図4bは、別のペリクルアセンブリツールの一部の概略的なレイアウトを示す。
図4bに示されているペリクルアセンブリツールと
図4aに示されているものとの違いは、回転台402が準備ステージ400の後でなくカセットアセンブリステージ420の後に配置されている点だけである。これは、接着剤硬化時間中にカセットを回転台402に格納するためペリクルアセンブリツール内を戻す必要がないことを意味する。
図4bに示されている回転台402も4つの格納エリア404、406、408、410を有する。要件に従って、ペリクルアセンブリツールの回転台により多数又はより少数の格納エリアを提供してもよいことは認められよう。
【0080】
[00079]
図5a及び
図5bは、ペリクルカセットを組み立てるための装置500を示す。装置500は、
図3aから
図3dを参照して記載したような、ペリクルを構築することができる硬化キャリアを支持するよう構成された動的マウント502を備えている。繰り返しを避けるため、
図3aから
図3dを参照してすでに記載した硬化キャリア、圧力プレート、及びペリクルアセンブリの特徴については、ここではこれ以上説明しない。装置500は、少なくとも2つの柱504を有する圧力プレートリフトも備えており、これらの柱の各々は、圧力プレートを支持するための少なくとも1つのアーム506を含む。動的マウント502は、この動的マウント502の上に配置された硬化キャリアを、圧力プレートリフトによって支持された圧力プレートの下方に位置決めできるように移動するよう構成されている。圧力プレートリフトは、圧力プレートを硬化キャリア上に搭載するため、圧力プレートを硬化キャリア上に降ろし、その後圧力プレートから分離するように構成されている。次いで、圧力プレートのフィルム圧力フィンガがペリクルフィルムと接触して、フィルムをペリクルフレームに押圧する。硬化キャリアと圧力プレートとの位置合わせは、カメラ測定システムを用いて規定及び/又は検証して、できる限り正確な位置合わせを行うことができる。
【0081】
[00080] いくつかの実施形態では、例えば動的マウント502のようなペリクルのフレームのためのマウントは、ペリクルフレームを加熱するように構成されたヒータを含み得る。フレームを加熱すると、接着剤の硬化に必要な時間量を短縮することができる。
図6aは、熱中心TCを有するマウント602上に配置されたペリクルフレーム600を示す。マウント602は、中心点から外側へ延出する3つの枝部を有する。
図6bは、格子状の構成を有するマウント604上にフレーム600が配置されている代替的な構成を示す。この構成は加熱時のフレーム600の膨張を促進し得る。
【0082】
[00081] いくつかの構成では、
図4a、
図4bに示されたペリクルアセンブリツールの回転台402に、
図5に関連付けて記載したヒータを提供することができる。
【0083】
[00082]
図7は、ペリクルカセット700の別の例示的な構成の分解図を示す。ペリクルカセット700は、圧力プレート702と、中間部材704と、ベース部材706と、を備えている。中間部材704は例えば、ペリクルの固定具316を支持するように構成された固定具ロードキャリアとすることができる。中間部材704は、ベース部材706と圧力プレート702との間に配置されている。ペリクルフレーム320、ペリクルフィルム322、及び固定具316を含むペリクルは、中間部材704及び/又はベース部材706によって支持することができる。
【0084】
[00083]
図7に示されている圧力プレート702は、概ね中空の矩形の形態である。すなわち、圧力プレート702は矩形の開口を有するフレーム状の形状を形成している。圧力プレート702は任意の適切な形状を有し得ることは認められよう。圧力プレート712の内縁(これらのエッジは開口に面している)から反対側のエッジの方へ、複数の圧力フィンガ712が突出している。圧力フィンガ712は、ペリクルフィルム322及び固定具316をフレーム320に取り付けるため使用される接着剤の硬化中にフィルム322及び固定具316に圧力を加えるよう構成されている。ペリクルの硬化中にフィルム322及び固定具316に圧力を加えることによって、フィルム322及び固定具316がフレーム320に対して所定位置に留まることを保証できる。また、ペリクルがカセット700内で所定位置に保持されることも保証できる。この結果、ペリクルコンポーネント相互のミスアライメントのリスクを伴うことなく硬化中にペリクルカセット700を移動させることができる。いくつかの実施形態において、圧力フィンガ712は板バネを含む。いくつかの実施形態において、各圧力フィンガ712はその自由端(すなわち圧力プレート702から遠い端部)に接点を含む。接点は柔らかいプラスチック材料を含むことができ、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)を含み得る。更に、接点は球形の形状及び/又は実質的に丸い先端を有し得る。丸い又は球形の接点は、接点がフィルム及び/又は固定具の表面で滑る可能性を低減することができる。
図7に示されている実施形態において、圧力プレート702は22の圧力フィンガを含む。要件に従って、より多数又はより少数の圧力フィンガ712を提供できることは認められよう。いくつかの実施形態では、圧力プレート702を位置決めするため、キャリアハンドラが係合することができるキャリアハンドラインタフェースを圧力プレート702に提供してもよい。
【0085】
[00084] また、
図7に示されている中間部材704も概ね中空の矩形の形態である。しかしながら、中間部材704が任意の適切な形状を有し得ることは認められよう。中間部材704の内縁から、ペリクル固定具316を支持するように構成された支持リップ724が突出している。
図7に示されている実施形態では、中間部材の2つの長辺の各々に2つの支持リップ724が設けられている。任意の適切な数の支持リップ724を提供できることは認められよう。具体的には、ペリクルフレーム320に取り付けられる各固定具316にそれぞれ支持リップ724を提供できる。支持リップ724は、ペリクル固定具316上の対応する構造又は特徴部(図示せず)と噛み合うように構成された1つ以上の構造又は特徴部(図示せず)を備えて、ペリクルと中間部材704との正しい位置合わせを促進することができる。
【0086】
[00085] また、中間部材704は、ペリクル及びペリクルカセット700のコンポーネントの位置合わせに使用される位置決めシステムと共に用いられる少なくとも1つのマーカ726も含む。中間部材704(及び固定具316)とペリクルフレーム320及び/又はフィルム322を正しく位置合わせするため、マーカ726は、位置決めシステム(図示せず)の位置決めセンサによって検出されるように構成されている。これについては
図9a及び
図9bを参照して以下で更に詳しく検討する。マーカは例えば、光学センサの場合は光(例えば可視光又は赤外線放射)に対して不透明又は反射性である中間部材704のセグメントとすればよい。しかしながら、位置決めシステムの適切なセンサによって検出できる任意のマーカが使用され得ることは当業者には認められよう。いくつかの実施形態では、中間部材704を位置決めするため、キャリアハンドラが係合することができるキャリアハンドラインタフェースを中間部材704に提供しても良い。
【0087】
[00086] ベース部材706は、ペリクル、中間部材704、及び圧力プレート702を支持するように構成されている。ベース部材706は、ベース部材706の表面から突出してペリクルを支持及び/又は保持するスタッド720を含む。具体的には、スタッド720は、ペリクルフレーム320を上に配置することができる支持スタッドを含み得る。また、スタッド720は、ペリクルが支持スタッドに対して移動するのを防止するよう構成された保持スタッドも含み得る。例えば保持スタッドは、ベース部材706の表面から支持スタッドよりも長く突出し、ベース部材706のエッジの近くに位置決めされているので、ペリクルが支持スタッド上に置かれた場合に保持スタッドがペリクルを取り囲んでペリクル面内でのペリクルの動きを防止できるようになっている。ペリクルの垂直方向の移動は、圧力プレート702の1又は複数の圧力フィンガ712によって防止することができる。
【0088】
[00087] また、ベース部材706は、位置決めシステムの位置決めセンサによる中間部材704及び/又はペリクルフレーム320及び/又はペリクルフィルム322の検出を可能とするよう構成された少なくとも1つの開口722も含む。具体的には、位置決めセンサは、中間部材704及びペリクルと向かい合うベース部材706の側とは反対のベース部材706の側に配置され得る。
図7に示されている実施形態では、ベース部材706は対角線上で向かい合うコーナーに2つの開口722を含む。コーナーに開口を設けることによって、ペリクル及び/又は中間部材704のコンポーネントの位置決めを一度に2つの寸法で検証することができる。これについては
図9a及び
図9bを参照して以下で更に詳しく検討する。いくつかの実施形態では、ベース部材706を位置決めするため、キャリアハンドラが係合することができるキャリアハンドラインタフェースをベース部材706に提供しても良い。
【0089】
[00088] また、ベース部材706は少なくとも1つのクランプも含む。
図7に示されている実施形態では、ベース部材706は2つの磁気クランプ708を含む。任意の適切な数のクランプを提供できることは認められよう。更に、磁気クランプ708の代わりに又は磁気クランプ708に加えて機械的クランプを提供してもよいことは認められよう。
【0090】
[00089] 磁気クランプ708の各々は、磁束ガイド710と、回転可能磁気要素714と、回転可能磁気要素714の回転を発生させるアクチュエータ716と、を備えている。
図7に示されている実施形態では、ベース部材706の所定位置に磁気クランプ708を保持するためにパネル718が配置されている。パネル718は、アクチュエータ716の機械的な作動を可能とするため、この実施形態ではアームの形態であるアクチュエータ716がパネル718を貫通して突出できるようにスロットが形成されている。むろん、アクチュエータ716が任意の適切な形態をとり得ることは認められよう。例えばアクチュエータ716は、磁気要素714の回転を発生させるため電気的に作動されるように構成できる。また、いくつかの実施形態において磁気要素714は永久磁石を含み得るが、他の実施形態において磁気要素714は電磁石の形態であり得ることは認められよう。具体的には、磁気要素714は複数のネオジム磁石を含み得る。各磁気クランプ708によって与えられるクランプ力は、100N~2000Nの範囲内であり得る。クランプ力をより大きくすると、クランプ中にコンポーネントが相対的に移動する可能性が低くなるので、よりロバストなカセット700が可能となることは認められよう。いくつかの適用例では、要件に応じて最小クランプ力を指定することができる。例えば、ロバスト性の要件を満たすため、少なくとも750Nの最小全クランプ力が望ましいことがある。
【0091】
[00090]
図8a及び
図8bに磁気クランプ708が断面で示されている。磁気クランプ708は、V字形の切り込みが除去された概ね方形の断面を有する。磁気クランプ710は、ベース部材706において、切り込み側がパネル718から離れた方を向くように配向されている。磁束ガイド710は、鉄材料を含む2つの細長い部分を備えており、本明細書ではこれらを第1の鉄部710a及び第2の鉄部710bと呼ぶ。また、磁束ガイド710は、第1及び第2の鉄部710a、710bが相互に接触するのを防止するため、第1及び第2の鉄部710a、710bの間に配置された非鉄材料も含む。また、磁気クランプ708は、磁気要素714が第1の位置と第2の位置との間で90度回転できるように収容されている中空中央部も含む。最適なクランプ力を与えるため、磁気要素714は磁束ガイド710に接触している。磁気要素714が磁束ガイド710から離れている(すなわち磁束ガイド710と直接接していない)場合、クランプ力は低減し得ることは認められよう。
【0092】
[00091] 磁気要素714は北極Nと南極Sを含む。
図8aに示されているように、北極Nと南極Nの各々が磁束ガイド710の鉄部710a、710bの双方と接触するように磁気要素714が配向されている場合、磁界802は全体的に磁束ガイド710内に含まれる。結果として、磁束は磁束ガイド710の外側に作用しないので、磁気クランプは事実上「オフ」である。
図8bに示されているように、磁気要素714が90度回転して、磁気要素714の一方の極が磁束ガイド710の第1の鉄部710aとだけ接触すると共に磁気要素714の他方の極が磁束ガイド710の第2の鉄部710bとだけ接触する場合、磁束ガイド710は磁気要素714の一部として作用し、磁界802は磁束ガイド710の外側に延出する。磁界802が磁束ガイド710の外側でアクティブになるために磁気要素714が完全に90度回転する必要はないことは認められよう。しかしながら、最も強い外側磁界が発生するのは、北極Nと南極Sのそれぞれが磁束ガイド710の第1及び第2の鉄部710a、710bのそれぞれと完全に位置合わせされた場合である。
【0093】
[00092]
図9aは、部分的に組み立てたカセットのコンポーネントの平面図を示す。具体的には、
図9aに示されているコンポーネントは、ベース部材(図示せず)と、中間部材704と、ペリクルフレーム320と、ペリクル固定具316と、を含む。ベース部材、中間部材704、及びペリクルフレーム320の相対的な位置決めは、位置決めシステムを用いて決定できる。位置決めシステムは、コンポーネントの位置を検出するための少なくとも1つのセンサを含む。位置決めセンサは光学センサとすればよい。
図9aに示されている実施形態では2つのセンサが提供されている。しかしながら、より多数又はより少数のセンサを提供してもよいことは認められよう。例えば、1つのセンサを提供することができる。あるいは、4つのセンサを提供することができる。各センサは、視野と呼ぶこともできる検出エリア900を有し、このエリア内でコンポーネントの存在を検出することができる。「視野」という用語は、センサを光学センサに限定することを意図していないことは認められよう。実際、センサは、光学センサ、音響センサ、磁気センサ、又は当業者に既知である他の任意の適切なセンサとすればよい。センサは、中間部材とは反対のベース部材の側に配置することができる。この場合、センサとは反対のベース部材の側に配置されたコンポーネントをセンサによって検出可能とするため、ベース部材を貫通する1つ以上の開口(例えば
図7に示されている開口722)を設けることができる。
図9aに示されている実施形態において、検出エリア900は、ペリクルフレーム320及び中間部材704の対角線上で向かい合うコーナーと一致するように配置されている。フレーム320のコーナーを検出するようにセンサの検出エリア900を配置することにより、単一のセンサを用いてフレーム及び/又は中間部材の位置合わせを2つの寸法(
図9aでx方向及びy方向と示されている)で測定できる。これは、第1の寸法(例えば
図9aに示されているx方向)及び第1の寸法に垂直な第2の寸法(例えば
図9aに示されているy方向)の相対的な位置決めを、x方向とy方向の双方に延出するフレーム320の辺を基準として検出できるからである。
【0094】
[00093]
図9bは
図9aの詳細を示す(
図9aに破線の四角形で示されている)。検出エリア900は、dxとdyの寸法を有する方形として図示されている。しかしながら、これは概略に過ぎず、検出エリア900は任意の適切な形状をとり得ることは認められよう。ペリクルカセットの組み立て中、最初にフレーム320を検出エリア900内で位置決めする。具体的には、コントローラによって、位置決め装置は、フレームが検出エリア900と重複するようにフレームを移動させる。検出エリア900の特定の量がフレーム320で覆われた場合、コントローラはフレーム320が正しい位置にあると判定できる。あるいは、検出エリア900の第1のエッジからのフレームの第1のエッジの距離d
1が第1の設定点距離と合致し、更に、検出フレーム900の第2のエッジ(第1のエッジに対して垂直)からのフレームの第2のエッジの距離d
2が第2の設定点距離と合致した場合、フレーム320が正しい位置にあると判定できる。具体的には、決定された距離d
1及び/又はd
2が第1又は第2の設定点距離とは異なることがわかった場合、コントローラは、1又は複数の設定点距離に到達するまでフレーム320を移動させるように構成できる。フレーム320が正しい位置にあると判定された場合、コントローラによって位置決め装置はフレーム320をベース部材上に配置する。
【0095】
[00094] 次に、位置決めしたペリクルフレーム320とペリクルフィルム322を位置合わせする。フレームの位置決めに使用したものと同様の方法を用いてフィルムを位置決めすることができる。すなわち、検出エリア900に対してフィルム322を位置合わせすればよい。あるいは、以前に位置決めしたフレーム320に基づいてフィルムを位置決めしてもよい。フィルムの正しい位置合わせが決定された場合、コントローラによって位置決め装置はフィルムをフレーム上に配置する。
【0096】
[00095] その後、中間部材704(すなわち、ペリクル固定具を保持している固定具ロードキャリア)をフレーム320と位置合わせすることができる。この場合、以前に位置決めしたフレームが基準位置として用いられる。具体的には、センサは、フレーム320の第1のエッジからの中間部材の第1のエッジの第3の距離d3と、フレーム320の第2のエッジからの中間部材704の第2のエッジの第4の距離d4とを検出し、コントローラは、検出された距離を各設定点値と比較することができる。決定された距離d3及び/又はd4が第3又は第4の設定点距離とは異なることがわかった場合、コントローラは、1又は複数の設定点距離に到達するまで中間部材704を移動させるように構成できる。中間部材704が正しい位置にあると判定された場合、コントローラによって位置決め装置は中間部材704をベース部材上に配置する。
【0097】
[00096]
図10は、
図7に示されている実施形態に従って、カセットを用いてペリクルを組み立てるためのシステムを概略的に示す。システムは、ロードステーション1000及び処理ステーション1010を備えている。具体的には、システムは、フィルムロードステーション1002と、フレームロードステーション1004と、固定具ロードステーション1006と、パークステーション1008と、を含むことができる。処理ステーション1010は、アンロードステーション1012と、接着剤塗布ステーション1014と、クランプ解除ステーション1016と、組み立てステーション1018と、を含むことができる。システムは更に、ペリクル及び/又はペリクルカセットのコンポーネントを移動させるためのハンドリング装置1020と、コンポーネントの相互の正しい位置決めを決定するための位置決めシステム1022と、を備えている。
【0098】
[00097] 各ペリクルコンポーネント(フィルム322、フレーム320、及び固定具316)は、ロードステーション1010にロードされる。具体的には、フィルム322を保持しているフィルムロードキャリアはフィルムロードステーション1002にロードされ、フレーム320を保持しているフレームロードキャリアはフレームロードステーション1004にロードされる。固定具316は、カセット700の中間部材704を形成する固定具ロードキャリア上に配置され、この固定具ロードキャリア及び固定具は固定具ロードステーション1006にロードされる。むろん、単一のロードステーション1000が、別個に記載されているフィルムロードステーション1002、フレームロードステーション1004、及び固定具ロードステーション1006の機能を実行してもよいことは認められよう。
【0099】
[00098] ベース部材706及び圧力プレート702はパークステーション1008にロードされる。ベース部材706はハンドリング装置1020によってパークステーション1008から組み立てステーション1018に移動され、圧力プレート702はパークステーション1008に格納される。これと同時に又はこの後、フレーム320に接着剤を塗布するため、320を保持しているフレームロードキャリアはハンドリング装置1020によって接着剤塗布ステーション1014に移動される。次いで、フレームロードキャリア及びフレーム320はハンドリング装置1020によってアンロードステーション1012に移動され、ここでフレームロードキャリアはシステムからアンロードされるが、フレーム320はアンロードステーション1012に留まる。次いで、フレーム320はハンドリング装置1022によって組み立てステーション1018に移動され、ベース部材706上に配置される。位置決めシステム1022を用いて、例えば
図9a及び
図9bを参照して説明したように、ベース部材706に対するフレーム320の正確な位置決めを保証することができる。
【0100】
[00099] フィルムロードキャリア及びフィルム322はアンロードステーション1012に移動され、ここでフィルムロードキャリアはシステムからアンロードされるが、フィルム322はアンロードステーション1012に留まる。次いでフィルム322は組み立てステーション1018に移動され、フレーム320上に配置される。位置決めシステムを用いて、例えば
図9a及び
図9bを参照して説明したように、フレーム320に対するフィルム322の正確な位置決めを保証することができる。
【0101】
[000100] 次に、固定具ロードキャリア及び固定具316は組み立てステーション1018に移動され、ベース部材706上のフレーム320と位置合わせされる。固定具ロードキャリアは、フィルムロードキャリア及びフレームロードキャリアのようにアンロードされずに、組み立てシステムに留まり、カセット700の中間部材704を形成する。次いで、固定具ロードキャリアはベース部材706上に配置される。
【0102】
[000101] 最後に、圧力プレート702がパークステーション1008から取り出され、組み立てステーション1018に移動される。圧力プレート702はフィルム322に対して位置合わせされ、中間部材704(すなわち固定具ロードキャリア)上に配置されて、カセット700を完成させる。ベース部材706の磁気クランプ708を作動させてクランプ力を与え、圧力プレート、中間部材、及びベースプレートを共にクランプして、これらのコンポーネント間に相対的な移動が生じないようにする。
【0103】
[000102] 本発明は、以下の条項によっても記載することができる。
1.第1の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第1の把持部材と、
第1の把持部材を第1の位置の方へ偏奇させるように構成された第1の偏奇部材と、
第2の磁気要素であって、第2の磁気要素が第1の磁気要素と相互作用して第1の偏奇部材を克服して第1の把持部材を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第2の磁気要素が第1の偏奇部材を克服しないので第1の把持部材が第1の位置に留まる第2のモードと、で選択的に動作可能な第2の磁気要素と、
を備える装置。
2.第3の磁気要素を含み、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である第2の把持部材と、
第2の把持部材に第1の位置の方への偏奇力を加えるように構成された第2の偏奇部材と、
第4の磁気要素であって、第4の磁気要素が第3の磁気要素と相互作用して第2の偏奇部材を克服して第2の把持部材を第2の位置へ移動させる第1のモードと、第4の磁気要素が第2の偏奇部材を克服しないので第2の把持部材が第1の位置に留まる第2のモードと、で選択的に動作可能な第4の磁気要素と、
を更に備える、条項1に記載の装置。
3.装置は、第1の把持部材、第1の磁気要素、第1の偏奇部材、及び第2の磁気要素の表面のどれも動作中にこすれ合わないように構成されている、条項1から2のいずれかに記載の装置。
4.装置は、第2の把持部材、第3の磁気要素、第2の偏奇部材、及び第4の磁気要素の表面のどれも動作中にこすれ合わないように構成されている、条項2又は3に記載の装置。
5.第1及び第2の把持部材は挟み動作で協働するように構成されている、条項2に記載の装置。
6.第1の把持部材はアームを含む、条項1から5のいずれかに記載の装置。
7.第1及び第2の磁気要素の一方又は双方は、永久磁石、電磁石、又は電気永久磁石を含む、条項1から6のいずれかに記載の装置。
8.第3及び第4の磁気要素の一方又は双方は、永久磁石、電磁石、又は電気永久磁石を含む、条項2又はそれに従属するいずれかの条項に記載の装置。
9.第1の磁気要素及び第2の磁気要素は相互に反発するように選択的に動作可能である、条項1から8のいずれかに記載の装置。
10.第1の磁気要素及び第2の磁気要素は相互に引き付け合うように選択的に動作可能である、条項1から9のいずれかに記載の装置。
11.磁気要素の任意のものの極は選択的に逆転可能である、条項1から10のいずれかに記載の装置。
12.第1の偏奇部材は板バネである、条項1から11のいずれかに記載の装置。
13.第2の磁気要素に筐体が備えられており、第1の把持部材は第1の位置において筐体と係合しない、条項1から12のいずれかに記載の装置。
14.条項1から13のいずれかに記載の装置を備えるペリクルアセンブリツールであって、装置を用いてコンポーネントを選択的に把持するように構成されている、ペリクルアセンブリツール。
15.条項14に記載のペリクルアセンブリツールを備えるリソグラフィシステム。
16.ペリクルアセンブリにおいて使用されるカセットであって、
ペリクルを把持するための少なくとも1つの把持装置を備える圧力プレートと、
ペリクルフレームを支持するためのベース部材と、
フードと、
を備え、圧力プレートはベース部材上に載るように配置され、フードは圧力プレートを覆うと共にベース部材上に載るように配置されている、カセット。
17.少なくとも1つの把持装置は複数の把持装置を含む、条項16に記載のカセット。
18.少なくとも1つの把持装置は条項1から13のいずれかに記載の少なくとも1つの装置を含む、条項16又は17に記載のカセット。
19.フードをベース部材に留めるように構成されたファスナを更に備える、条項16から18のいずれか1項に記載のカセット。
20.ファスナはクランプを含む、条項19に記載のカセット。
21.フードとベース部材との間及び/又はベース部材と圧力プレートとの間に配置された少なくとも1つのシール部材を更に備える、条項16から20のいずれか1項に記載のカセット。
22.ベース部材はヒータを含む、条項16から21のいずれか1項に記載のカセット。
23.圧力プレートリフト及び動的マウントを備えるペリクルカセットアセンブリ装置であって、動的マウントは圧力プレートリフトの下方に位置決めされるように移動するよう構成され、圧力プレートリフトは、動的マウント上に位置決めされたベース部材上に圧力プレートを降ろし、その後圧力プレートを解放するように構成されている、ペリクルカセットアセンブリ装置。
24.ペリクルを硬化させるためのコンピュータにより実施される方法であって、
固定具キャリアからペリクル固定具を取り出すことと、
ペリクルカセットのベース部材上にペリクルフレームを配置することと、
接着剤を用いてペリクルフレームにペリクル固定具及びペリクルフィルムを取り付けることと、
ベース部材上に載るように配置された圧力プレートを用いてペリクル固定具及びペリクルフィルムに圧力を加えることと、
圧力プレート上及びベース部材上に載るように、圧力プレートの上にフードを配置することと、
をペリクルカセットアセンブリツールに実行させることを含む、方法。
25.フードをベース部材に取り付けることを更に含む、条項24に記載の方法。
26.圧力プレートとペリクル固定具との位置合わせは視覚測定システムを用いて確率される、条項24又は25に記載の方法。
27.固定具キャリアからペリクル固定具を取り出すことは、固定具を固定具キャリアから持ち上げてペリクルフレームへ移動させることができるように、条項1から13のいずれかに記載の装置を用いて固定具を把持することを含む、条項24から21のいずれか1項に記載の方法。
28.ペリクルカセットアセンブリツールであって、ペリクルカセットを組み立てると共に、カセットを、別のペリクルカセットの組み立て中に、格納のため複数のペリクルカセットを保持するよう構成された回転台へ供給するように構成されたペリクルカセットアセンブリツールを備えるペリクルアセンブリツール。
29.条項24から27のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたペリクルカセットアセンブリツール。
30.ペリクルアセンブリにおいて使用されるカセットであって、
ベース部材と、
カセット内の所定の位置にペリクル固定具を支持するための中間部材と、
ペリクルフィルム及び/又はペリクル固定具に圧力を加えるように構成された少なくとも1つの圧力フィンガを含む圧力プレートと、
を備え、使用時に中間部材はベース部材と圧力プレートとの間に配置される、カセット。
31.ベースプレートは中間部材及び/又は圧力プレートをクランプするための少なくとも1つのクランプを含む、条項30に記載のカセット。
32.少なくとも1つのクランプはクランプ磁界を与えるように構成された磁気要素を含む、条項31に記載のカセット。
33.磁気要素はクランプ磁界の強度を変動させるように回転可能である、条項32に記載のカセット。
34.磁気要素は複数の永久磁石を含む、条項32又は33に記載のカセット。
35.ベースプレートは、位置決め装置の位置決めセンサによる中間部材、ペリクルフレーム、及び/又はペリクルフィルムの検出を可能とするための少なくとも1つの開口を含む、条項30から34のいずれかに記載のカセット。
36.少なくとも1つの圧力フィンガは板バネを含む、条項30から35のいずれかに記載のカセット。
37.閉鎖部材を更に備える、条項30から36に記載のカセット。
38.ペリクルを硬化させるためのカセットを組み立てるコンピュータにより実施される方法であって、
少なくとも1つの結像装置の視野内にベース部材を配置することと、
視野とペリクルフレームを位置合わせし、ペリクルフレームをベース部材上に位置決めすることと、
ペリクルフレームとペリクルフィルムを位置合わせし、ペリクルフィルムをペリクルフレーム上に位置決めすることと、
をカセットアセンブリ装置に実行させることを含む、方法。
39.ペリクルフィルムと中間部材を位置合わせし、中間部材をベースプレート上に位置決めすること、
をカセットアセンブリ装置に実行させることを更に含む、条項38に記載の方法。
40.中間部材をベースプレートにクランプすること、
をカセットアセンブリ装置に実行させることを更に含む、条項39に記載の方法。
41.ペリクルフィルムの位置を基準として圧力プレートの所望の位置を決定することと、
所望の位置に圧力プレートを位置決めすることと、
圧力プレートをベースプレートにクランプすることと、
をカセットアセンブリ装置に実行させることを更に含む、条項38から40のいずれかに記載の方法。
42.クランプすることは磁気要素を作動させてクランプ磁界を与えることを含む、条項40又は41に記載の方法。
【0104】
[000103] 本文ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいは他の基板)もしくはマスク(あるいは他のパターニングデバイス)等の物体を測定又は処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。更に、装置は、リソグラフィツール又はリソグラフィプロセスにおいて又はそれらと関連付けて用いることが意図されていないペリクル又は膜と共に使用され得る。実際、本明細書に記載されている装置は、任意の目的のためのペリクルと共に使用することができる。
【0105】
[000104] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含すると見なすことができる。EUV放射は、10nm未満の波長、例えば6.7nm又は6.8nmの波長を有し得る。
【0106】
[000105] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明されるリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造である。
【0107】
[000106] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は限定でなく例示的であることが意図される。従って、以下に述べる請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。