(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】放射システム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231031BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20231031BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
H01S3/00 A
(21)【出願番号】P 2021551513
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2020055514
(87)【国際公開番号】W WO2020200610
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディンゲマンズ,ヘイス
(72)【発明者】
【氏名】オゴルマン,コルム
(72)【発明者】
【氏名】ハヴェルコルト,ルーベン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-317598(JP,A)
【文献】特開2013-026621(JP,A)
【文献】特開2013-074292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0208494(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2563099(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H05G 2/00
H01S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射を発生させるように構成された放射システムであって、
プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように構成された液滴ジェネレータと、
プレパルス及びメインパルスを生成するように動作可能なレーザシステムであって、前記プレパルスは、前記メインパルスの受信のために前記液滴を調節するように構成され、前記メインパルスは、前記調節された液滴を、前記放射を発生させるプラズマに変換するように構成される、レーザシステムと、
前記プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の、前記プレパルスと前記液滴との間の空間オフセットを制御するように構成された、制御システムと、
を備え、
前記制御システムは、前記メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の前記調節された液滴の速度変化を最大にするように、前記空間オフセットを調整するように構成される、
放射システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記プレパルスと、前記メインパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記メインパルスとの間の分離を、前記調整された空間オフセットに基づいて、調整するように構成される、請求項1に記載の放射システム
【請求項3】
前記制御システムは、前記プレパルスの前記生成と前記メインパルスの前記生成との間の遅延時間を、前記調整された空間オフセットに基づいて、調整するように構成される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項4】
前記レーザシステムは、前記メインパルスをターゲット領域に向けて誘導するように構成され、前記調節された液滴は、前記ターゲット領域において放射を発生させるプラズマに変換される、請求項1から3のいずれかに記載の放射システム。
【請求項5】
前記制御システムは、
前記調整された空間オフセット、
前記速度変化、
前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記プレパルスと、前記メインパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記メインパルスとの間の分離、及び、
前記プレパルスの前記生成と前記メインパルスの前記生成との間の遅延時間、
のうちの、少なくとも1つに依存して、前記ターゲット領域を調整するように構成される、
請求項4に記載の放射システム。
【請求項6】
前記制御システムは、1つ以上のパラメータに依存して前記速度変化を最大化するように、前記空間オフセットを調整するように構成される、請求項1から5のいずれかに記載の放射システム。
【請求項7】
前記1つ以上のパラメータは、
前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記液滴の位置、
前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記プレパルスの位置、
前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記液滴の前記位置における変化、
前記プレパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記プレパルスの前記位置における変化、
前記メインパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記メインパルスの位置、及び、
前記メインパルスの前記伝搬方向に対して直角な前記平面内の前記メインパルスの前記位置における変化、
のうちの、少なくとも1つを含む、
請求項
6に記載の放射システム。
【請求項8】
前記放射システムは、属性又はパラメータを感知するように構成されたセンサシステムを備え、前記レーザシステムは、
シードプレパルスを生成するように構成されたプレパルスシードレーザと、
シードメインパルスを生成するように構成されたメインパルスシードレーザと、
前記シードプレパルス及び前記シードメインパルスを共通パス上に置くように構成された、コンバイナと、
前記共通パス上に位置し、前記プレパルスを生成するために前記シードプレパルスを増幅するように、及び、前記メインパルスを生成するために前記シードメインパルスを増幅するように、構成された、増幅器システムと、
前記感知された属性又はパラメータに依存して前記増幅を制御するように構成された、増幅器制御システムと、
前記感知された属性又はパラメータに依存して前記シードプレパルスの持続時間を制御するように構成された、更なる制御システムと、
を備える、請求項1から
7のいずれかに記載の放射システム。
【請求項9】
前記属性又はパラメータは、前記発生する放射の属性又はパラメータを含む、請求項
8に記載の放射システム。
【請求項10】
前記属性又はパラメータは、
前記発生する放射のパワー、
前記空間オフセット、及び、
前記空間オフセットにおける変化、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項
8又は
9に記載の放射システム。
【請求項11】
前記更なる制御システムは、前記シードプレパルス及び前記シードメインパルスが前記感知された属性又はパラメータに依存して増幅されるとき、前記速度変化が実質的に変化しないか又は一定であるように、前記シードプレパルスレーザの前記持続時間を調整するように構成される、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の放射システム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記プレパルスの持続時間の制御を介して前記速度変化を最大にするように動作可能である、請求項1から
11のいずれかに記載の放射システム。
【請求項13】
前記制御システムは、前記プレパルスのエネルギーの変化に応答して前記プレパルスの持続時間を調整するように動作可能である、請求項1から
12のいずれかに記載の放射システム。
【請求項14】
放射を発生させるように構成された放射システムであって、
プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように構成された、液滴ジェネレータと、
プレパルス及びメインパルスを生成するように動作可能なレーザシステムであって、前記プレパルスは、前記メインパルスの受信のために前記液滴を調節するように構成され、前記メインパルスは、前記調節された液滴を、前記放射を発生させるプラズマに変換するように構成される、レーザシステムと、
前記プレパルスの持続時間の制御を介して、前記メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の前記調節された液滴の速度変化を調整、制御、及び/又は最大化するように動作可能な、制御システムと、
を備える、放射システム。
【請求項15】
請求項1から
14のいずれか一項に記載の前記放射システムを備える、リソグラフィシステム。
【請求項16】
放射を発生させる方法であって、
プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように、液滴ジェネレータを動作させること、
前記液滴を調節するためのプレパルスを生成するように、レーザシステムを動作させること、
前記プレパルスと前記プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の前記液滴との間の、空間オフセットを制御すること、
メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の前記調節された液滴の速度変化を最大にするように、前記空間オフセットを調整すること、及び、
前記調節された液滴を、放射を発生させるプラズマに変換するための、前記メインパルスを生成するように、前記レーザシステムを動作させること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年4月4日出願の欧州出願第19167341.7号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、放射を発生させるように構成された放射システム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)からのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板にパターンを投影するためリソグラフィ装置が用いる放射の波長は、その基板上に形成することができるフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nm内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を用いたリソグラフィ装置を使用すると、従来のリソグラフィ装置(例えば193nmの波長の電磁放射を使用できる)よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] EUV放射は、例えばスズなどの燃料をプラズマに変換することによって発生され得る。燃料の1つ以上の液滴は、1つ以上のレーザパルスによって照射され得る。例えば各液滴は、液滴を調節するためのプレパルス、及び、調整された液滴のほとんど又はすべてをプラズマに変換するためのメインパルスによって照射され得、それによってEUV放射を発生させる。
【0006】
[0006] EUV放射の安定性及び/又はパワーは、調節された液滴のサイズ、及び/又は調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップに依存し得る。調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップにおけるバリエーション又は変化は、発生するEUV放射における不安定性、EUV放射のパワーの低下、及び/又はEUV放射ドーズにおけるバリエーション又はエラーを生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様に従い、放射を発生させるように構成された放射システムが提供される。放射システムは、液滴ジェネレータを備えることができる。液滴ジェネレータは、プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように構成され得る。放射システムはレーザシステムを備えることができる。レーザシステムはプレパルス及びメインパルスを生成するように動作可能であり得る。プレパルスは、メインパルスの受信のために液滴を調節するように構成され得る。メインパルスは、調節された液滴を、放射を発生させるプラズマに変換するように構成され得る。放射システムは制御システムを備えることができる。制御システムは、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の、プレパルスと液滴との間の空間オフセットを制御するように構成され得る。制御システムは、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の調節された液滴の速度変化を最大にするように、空間オフセットを調整するように構成され得る。
【0008】
[0008] 速度変化を最大にすることによって、空間オフセットにおける変化に対する速度変化の感度を低下又は最小化することができる。これは結果として、ターゲット領域、例えば、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の領域の、安定性の増加又は改善を生じさせ得、この領域では、調節された液滴が、メインパルスによって放射を発生させるプラズマに変換される。この結果、追加又は代替として、調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップの増加又は改善、発生する放射(例えば、EUV放射)のパワーの増加、放射不安定性(例えば、EUV放射不安定性)の減少、及び/又は、放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動の減少を生じさせる可能性がある。
【0009】
[0009] 制御システムは、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスと、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスとの間の分離を、例えば調整された空間オフセットに基づいて、調整するように構成され得る。
【0010】
[00010] 制御システムは、プレパルスの生成とメインパルスの生成との間の遅延時間を、例えば調整された空間オフセットに基づいて、調整するように構成され得る。
【0011】
[00011] プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスと、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内メインパルスとの間の分離、及び/又は、プレパルスの生成とメインパルスの生成との間の遅延時間を、例えば調整された空間オフセットに基づいて、調整することによって、調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップが増加又は改善され得る。次にこれが結果として、放射パワー(例えば、EUV放射パワー)の増加、放射安定性(例えば、EUV放射安定性)の増加、及び/又は、放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0012】
[00012] レーザシステムは、メインパルスをターゲット領域に向けて誘導するように構成され得る。調節された液滴は、ターゲット領域において放射を発生させるプラズマに変換され得る。
【0013】
[00013] 制御システムは、調整された空間オフセット、速度変化、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスとメインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスとの間の分離、及び、プレパルスの生成とメインパルスの生成との間の遅延時間のうちの、少なくとも1つに依存して、ターゲット領域を調整するように構成され得る。
【0014】
[00014] 制御システムは、1つ以上のパラメータに依存して速度変化を最大化するように、空間オフセットを調整するように構成され得る。
【0015】
[00015] 1つ以上のパラメータは、プレパルスの持続時間及び/又はプレパルスのエネルギーを含むことができる。
【0016】
[00016] 1つ以上のパラメータは、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の液滴の位置、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスの位置、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の液滴の位置における変化、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスの位置における変化、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスの位置、及び、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスの位置における変化のうちの、少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
[00017] 放射システムはセンサシステムを備えることができる。センサシステムは、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを感知するように構成され得る。
【0018】
[00018] 制御システムは、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの感知されたパラメータに依存して、空間オフセットを制御及び/又は調整するように構成され得る。
【0019】
[00019] 調整された空間オフセットは、約20μmから25μmの間とすることができる。
【0020】
[00020] 放射システムはセンサシステムを備えることができる。センサシステムは属性又はパラメータを感知するように構成され得る。レーザシステムは、シードプレパルスを生成するように構成されたプレパルスシードレーザを備えることができる。レーザシステムは、シードメインパルスを生成するように構成されたメインパルスシードレーザを備えることができる。レーザシステムは、シードプレパルス及びシードメインパルスを共通パス上に置くように構成されたコンバイナを備えることができる。レーザシステムは増幅器システムを備えることができる。増幅器システムは共通パス上に位置し得る。増幅器システムは、プレパルスを生成するためにシードプレパルスを増幅するように、及び、メインパルスを生成するためにシードメインパルスを増幅するように、構成され得る。レーザシステムは、増幅器制御システムを備えることができる。増幅器制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存して増幅を制御するように構成され得る。レーザシステムは、更なる制御システムを備えることができる。更なる制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存してシードプレパルスの持続時間を制御するように構成され得る。
【0021】
[00021] 感知された属性又はパラメータに依存してシードプレパルスの持続時間を制御することによって、プレパルスと液滴との間の空間オフセットにおけるバリエーション又は変化、及び/又は速度変化は、低減又は補償され得る。これによって、調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップにおけるバリエーション又は変化を低減又は回避することができ、それによって、発生する放射(例えば、EUV放射)のパワーにおける減少、放射不安定性(例えば、EUV放射不安定性)、及び/又は放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動を、低減又は防止する。
【0022】
[00022] 属性又はパラメータは、発生する放射の属性又はパラメータを含むことができる。
【0023】
[00023] 属性又はパラメータは、発生する放射のパワー、空間オフセット、及び空間オフセットにおける変化のうちの、少なくとも1つを含むことができる。
【0024】
[00024] 更なる制御システムは、シードプレパルス及びシードメインパルスが感知された属性又はパラメータに依存して増幅されるとき、速度変化が実質的に変化しないか又は一定である(或いは変化しないか又は一定である)ように、シードプレパルスレーザの持続時間を調整するように構成され得る。
【0025】
[00025] 制御システムは、プレパルスの持続時間の制御を介して速度変化を最大にするように動作可能であり得る。
【0026】
[00026] 速度変化を最大にすることによって、空間オフセットにおける変化に対する速度変化の感度を低下又は最小化することができる。これは結果として、ターゲット領域、例えば、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の領域の、安定性の増加又は改善を生じさせ得、この領域では、調節された液滴が、メインパルスによって放射を発生させるプラズマに変換される。この結果、追加又は代替として、調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップの増加又は改善、発生する放射(例えば、EUV放射)のパワーの増加、放射不安定性(例えば、EUV放射不安定性)の減少、及び/又は、放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0027】
[00027] 制御システムは、プレパルスのエネルギーの変化に応答してプレパルスの持続時間を調整するように動作可能であり得る。
【0028】
[00028] 制御システムは、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスと、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスとの間の、分離又は距離に基づいて、プレパルスの持続時間を調整するように動作可能であり得る。
【0029】
[00029] 制御システムは、プレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のプレパルスと、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスとの間の、分離又は距離における変化に応答して、プレパルスの持続時間を調整するように動作可能であり得る。
【0030】
[00030] 本発明の第2の態様に従い、放射システムが提供される。放射システムは、放射を発生させるように構成され得る。放射システムは、液滴ジェネレータを備えることができる。液滴ジェネレータは、プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように構成され得る。放射システムはレーザシステムを備えることができる。レーザシステムはプレパルス及びメインパルスを生成するように動作可能であり得る。プレパルスは、メインパルスの受信のために液滴を調節するように構成され得る。メインパルスは、調節された液滴を、放射を発生させるプラズマに変換するように構成され得る。放射システムはセンサシステムを備えることができる。センサシステムは、パラメータ又は属性を感知するように構成され得る。レーザシステムは、シードプレパルスを生成するように構成されたプレパルスシードレーザを備えることができる。レーザシステムは、シードメインパルスを生成するように構成されたメインパルスシードレーザを備えることができる。レーザシステムは、シードプレパルス及びシードメインパルスを共通パス上に置くように構成されたコンバイナを備えることができる。レーザシステムは増幅器システムを備えることができる。増幅器システムは共通パス上に位置し得る。増幅器システムは、プレパルスを生成するためにシードプレパルスを増幅するように、及び、メインパルスを生成するためにシードメインパルスを増幅するように、構成され得る。レーザシステムは、増幅器制御システムを備えることができる。増幅器制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存して増幅を制御するように構成され得る。レーザシステムは、更なる制御システムを備えることができる。更なる制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存してシードプレパルスの持続時間を制御するように構成され得る。感知された属性又はパラメータは、発生する放射のパワー、プレパルスとプレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の液滴との間の空間オフセット、及び、空間オフセットにおける変化のうちの、少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
[00031] 感知された属性又はパラメータに依存してシードプレパルスの持続時間を制御することによって、プレパルスと液滴との間の空間オフセットにおけるバリエーション又は変化、及び/又は速度変化は、低減又は補償され得る。これによって、調節された液滴とメインパルスとの間の空間的オーバーラップにおけるバリエーション又は変化を低減又は回避することができ、それによって、発生する放射(例えば、EUV放射)のパワーにおける減少、放射不安定性(例えば、EUV放射不安定性)、及び/又は放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動を、低減又は防止する。
【0032】
[00032] 第2の態様の放射システムは、第1の態様の放射システムのいずれかの特徴を備えることができる。
【0033】
[00033] 本発明の第3の態様に従い、放射システムが提供される。放射システムは、放射を発生させるように構成され得る。放射システムは、液滴ジェネレータを備えることができる。液滴ジェネレータは、プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように構成され得る。放射システムはレーザシステムを備えることができる。レーザシステムはプレパルス及びメインパルスを生成するように動作可能であり得る。プレパルスは、メインパルスの受信のために液滴を調節するように構成され得る。メインパルスは、調節された液滴を、放射を発生させるプラズマに変換するように構成され得る。放射システムは制御システムを備えることができる。制御システムは、プレパルスの持続時間の制御を介して、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の調節された液滴の速度変化を調整、制御、及び/又は最大化するように、構成され得るか又は動作可能であり得る。
【0034】
[00034] プレパルスの持続時間の制御を介して、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の調節された液滴の速度変化を調整、制御、及び/又は最大化することによって、調節された液滴とメインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内のメインパルスとの間の空間的オーバーラップを、最適化又は最大化することができる。この結果、発生する放射(例えば、発生するEUV放射)のパワーの増加、放射安定性(例えば、EUV放射安定性)の増加、及び/又は、放射パワー(例えば、EUV放射パワー)におけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0035】
[00035] 第3の態様の放射システムは、第1の態様及び/又は第2の態様の放射システムのいずれかの特徴を備えることができる。
【0036】
[00036] 第4の態様に従い、第1、第2、及び/又は第3の態様の放射システムを備える、リソグラフィシステムが提供される。
【0037】
[00037] 第5の態様に従い、放射を発生させる方法が提供される。方法は、プラズマ形成領域に向けて進む燃料の液滴を発生させるように、液滴ジェネレータを動作させることを含むことができる。方法は、液滴を調節するためのプレパルスを生成するように、レーザシステムを動作させることを含むことができる。方法は、プレパルスとプレパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の液滴との間の、空間オフセットを制御することを含むことができる。方法は、メインパルスの伝搬方向に対して直角な平面内の調節された液滴の速度変化を最大にするように、空間オフセットを調整することを含むことができる。方法は、調節された液滴を、放射を発生させるプラズマに変換するための、メインパルスを生成するように、レーザシステムを動作させることを含むことができる。
【0038】
[00038] 方法は、シードプレパルスを生成するように、プレパルスシードレーザを動作させることを含むことができる。方法は、シードメインパルスを生成するように、メインパルスシードレーザを動作させることを含むことができる。プレパルスシードレーザ及びメインパルスシードレーザは、レーザシステムの一部であるか又はレーザシステムに含まれることができる。シードプレパルス及びシードメインパルスは、コンバイナによって共通パス上に置くことができる。方法は、増幅器システムを動作させることを含むことができる。増幅器システムは、共通パス上に位置し得る。増幅器システムは、プレパルスを生成するためにシードプレパルスを増幅するように、及び、メインパルスを生成するためにシードメインパルスを増幅するように、構成され得る。方法は、属性又はパラメータを感知することを含むことができる。方法は、増幅器制御システムを動作させることを含むことができる。増幅器制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存して増幅を制御するように構成され得る。方法は、更なる制御システムを動作させることを含むことができる。更なる制御システムは、感知された属性又はパラメータに依存してシードプレパルスの持続時間を制御するように構成され得る。
【0039】
[00039] 属性又はパラメータは、発生する放射のパワー、空間オフセット、及び空間オフセットにおける変化のうちの、少なくとも1つを含むことができる。
【0040】
[00040] 方法は、速度変化を最大にするように、プレパルスの持続時間を制御することを含むことができる。
【0041】
[00041] 本発明の第6の態様に従い、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、第5の態様に従った方法をプロセッサに実施させるように構成された、コンピュータ可読命令を含むことができる。
【0042】
[00042] 本発明の第7の態様に従い、第6の態様に従ったコンピュータプログラムを実施するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0043】
[00043] 第8の態様に従い、プロセッサ可読命令を記憶するメモリと、メモリ内に記憶された命令を読み取り及び実行するように配置されたプロセッサとを備える、コンピュータ装置が提供される。プロセッサ可読命令は、第5の態様に従った方法を実施するためにコンピュータを制御するように配置された命令を含むことができる。
【0044】
[00044] 当業者であれば容易に明らかとなるように、上記又は下記に示される本発明の様々な態様及び特徴は、本発明の様々な他の態様及び特徴と組み合わせることができる。
【0045】
[00045] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態に従った、リソグラフィ装置及び放射システムを備える、リソグラフィシステムを示す図である。
【
図2】
図1のリソグラフィシステムにおいて使用するための放射システムを示す図である。
【
図3】液滴ジェネレータによって発生された燃料液滴と、
図1及び
図2の放射システムのレーザシステムによって生成されたプレパルス及びメインパルスとの間の、相互作用を概略的に示す図である。
【
図4A】第1のx-y平面内の燃料の液滴とプレパルスとの間の空間オフセットに依存した、x方向の速度変化を示すグラフである。
【
図4B】x-y平面内の燃料の液滴とプレパルスとの間の空間オフセットに依存した、調節された液滴の測定されたサイズを示すグラフである。
【
図5】空間オフセットに依存した、
図4Aの速度変化の強度マップを示す図である。
【
図6A】空間オフセットのx成分及びy成分に依存した、y方向の速度変化の強度マップを示す図である。
【
図6B】0μmから-25μmの範囲の空間オフセットのx成分に対する空間オフセットのy成分に依存した、y方向の速度変化を示すグラフである。
【
図7】
図1及び/又は
図2の放射システムにおいて使用するためのレーザシステムを示す図である。
【
図8A】x方向又はy方向の空間オフセットに依存した、速度変化を示すグラフである。
【
図8B】x方向又はy方向の空間オフセットに依存した、速度変化を示す別のグラフである。
【
図9】
図1及び/又は
図2の放射システムにおいて使用するための、レーザシステム及び制御システムを示す図である。
【
図10】第1のx-y平面内の空間的オーバーラップに依存した、速度変化を示すグラフである。
【
図11】40nsから180nsの間で変わるプレパルスに対する、液滴上のプレパルスによるフルエンス又は放射露光に依存した、空間オフセットを介したx方向の速度変化の導関数を示すグラフである。
【
図12】放射を発生させる方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図12に示された方法の一部であるか又は方法に含まれ得る、方法ステップを示すフローチャートである。
【
図14】
図12及び/又は
図13に示されるほうほうの一部であるか又は方法に含まれ得る、方法ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[00046]
図1は、放射システムRSを含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、及び基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。照明システムILは、放射ビームBがパターニングデバイスMA上に入射する前に放射ビームBを調節するように構成される。投影システムは、放射ビームB(現在、マスクMAによってパターン付与されている)を基板W上に投影するように構成される。基板Wは、事前に形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBを、基板W上に事前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0048】
[00047] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはすべて、外部環境から隔離できるように構築及び配置され得る。大気圧より低い圧力のガス(例えば、水素)は、放射源SO内に提供され得る。真空は、照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供され得る。大気圧よりもかなり低い圧力での少量のガス(例えば、水素)は、照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供され得る。
【0049】
[00048]
図1に示される放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ぶことができるタイプである。例えばCO
2レーザを含むことができるレーザシステム1は、レーザビーム2を介してエネルギーを、燃料放出器3から提供されるスズ(Sn)などの燃料内に蓄積するように配置される。下記の説明ではスズに言及しているが、任意の適切な燃料が使用され得る。燃料は、例えば液体の形であり得るが、例えば金属又は合金であってよい。燃料放出器3は、液滴ジェネレータ3の形で提供され得る。液滴ジェネレータ3は、プラズマ形成領域4に向けて進む燃料の液滴D(
図1には図示せず)を発生させるように構成され得る。例えば液滴ジェネレータ3は、例えば液滴Dの形のスズを、軌道に沿ってプラズマ形成領域4に向けて誘導するように構成された、ノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズ上に入射する。スズ内へのレーザエネルギーの蓄積は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を作り出す。EUV放射を含む放射は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合の間に、プラズマ7から放出される。
【0050】
[00049] EUV放射は、近法線入射型放射コレクタ5(時として、より一般には、法線入射型放射コレクタと呼ばれる)によって、収集及び合焦される。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された、多層構造を有することができる。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円構成を有することができる。下記で考察するように、第1の焦点はプラズマ形成領域4に存在し得、第2の焦点は中間焦点6に存在し得る。
【0051】
[00050] レーザシステム1は、放射源SOから遠隔であってよい。このような場合、レーザビーム2は、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は他の光学系を備えるビームデリバリシステム1a(
図2に図示)の助けにより、レーザシステム1から放射源SOに渡され得る。レーザシステム1、ビームデリバリシステム1a、及び放射源SOは、まとめて、放射システムRSとみなすことができる。言い換えれば、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、放射システムRSの一部であるか、又は放射システムRSに含まれ得る。放射システムRSは、前述のように、放射、例えばEUV放射を発生させるように構成され得る。ビームデリバリシステム1aは、レーザシステム1の一部であるか、又はレーザシステム1に含まれ得る。
【0052】
[00051] コレクタ5によって反射される放射は、放射ビームBを形成する。放射ビームBは、照明システムILのための仮想放射源として働く、プラズマ形成領域4のイメージを形成するために、ポイント6で合焦される。放射ビームBが合焦されるポイント6は、中間焦点と呼ぶことができる。放射源SOは、中間焦点6が、放射源の閉鎖構造9における開口8又は開口8近くに位置するように配置される。
【0053】
[00052] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調節するように構成された照明システムIL内にわたる。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、まとめて、所望の断面形状及び所望の角度強度分布を放射ビームBに提供する。放射ビームBは、照明システムILからわたり、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMA上に入射される。パターニングデバイスMAは、放射ビームBを反射し、パターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はこれらの代わりに、他のミラーを含むことができる。
【0054】
[00053] パターニングデバイスMAからの反射に続いて、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入る。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板W上に放射ビームBを投影するように構成された、複数のミラー13、14を備える。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さなフィーチャを伴うイメージを形成することができる。例えば、縮小係数4が適用され得る。
図1では投影システムPSは2つのミラーを有するが、投影システムは任意数のミラー(例えば、6つのミラー)を含むことができる。
【0055】
[00054]
図1に示される放射源SOは、図示されていないコンポーネントを含むことができる。例えばスペクトルフィルタを放射源内に提供することができる。スペクトルフィルタは、EUV放射に対して実質的に透過性であるが、赤外線放射などの他の波長の放射は実質的に遮断することができる。
【0056】
[00055]
図2は、例えば
図1に示されるリソグラフィシステムなどのリソグラフィシステムにおいて使用するための放射システムを示す。
図2に示される放射システムRSは、
図1に示される放射システムRSの任意のフィーチャを備えることができる。例えば
図2に示される放射システムは、
図1に関して上記で説明した液滴ジェネレータ3を備えることができる。
【0057】
[00056]
図2から
図3を参照すると、レーザシステム1は、プレパルスPP及びメインパルスMPを生成するように動作可能である。プレパルスPPは、メインパルスMPの受信のために液滴Dを調節するように構成される。言い換えれば、プレパルスPPは、液滴Dを加熱、変形、拡大、気化、蒸発、及び/又はイオン化するように、及び/又は、弱プラズマを生成するように、構成され得る。例えば
図3に示されるように、プレパルスPPは、メインパルスMPが当たるとき、その形状がディスク(パンケーキ形状など)に近くなるように、球状液滴Dを変形するように構成され得る。他の実施形態において、プレパルスは、液滴Dを異なる形状に変形するように構成され得ることを理解されよう。調節された液滴は、
図3では標示「CD」で示される。
【0058】
[00057] メインパルスMPは、調節された液滴CDを、EUV放射を発生させるプラズマに変換するように構成される。言い換えれば、メインパルスMPは、調節された液滴CDのほとんど又はすべてをプラズマに変換し、それによってEUV放射を発生させるように構成され得る。
【0059】
[00058] 放射システムRSは、(
図2に示される)制御システム16を備えることができる。制御システム16は、プレパルスPPと、プレパルスPPの伝搬方向に対して直角な平面内の液滴Dとの間の空間オフセット[O]を制御するように構成され得る。制御システム16は、メインパルスMPの伝搬方向に対して直角な平面内の、調節されていない液滴Dの初期速度に対する調節された液滴CDの速度における変化を最大にするように、空間オフセット[O]を調整するように構成され得る。調節された液滴の速度変化は、調節されていない液滴DへのプレパルスPPの運動量の移動に起因する。制御システム16は、コンピューティングデバイスの形で提供され得る。制御システム16は、例えばレーザシステム1、ビームデリバリシステム1a、及び/又は、液滴ジェネレータ3などの、放射システムRSの他のコンポーネント又は一部と通信するように構成され得る。
【0060】
[00059] フィーチャ「プレパルスPPの伝搬方向に対して直角な平面」は、下記の説明で第1のx-y平面と呼ばれる、
図3内のx軸及びy軸によって示される方向に延在する平面を包含するものと見なされ得る。
【0061】
[00060] フィーチャ「プレパルスPPの伝搬方向」は、
図2及び
図3に示されるz軸に平行(例えば、実質的に平行)な方向、又はz軸に沿った方向を包含するものと見なされ得る。
【0062】
[00061] フィーチャ「メインパルスMPの伝搬方向に対して直角な平面」は、下記の説明で第2のx-y平面と呼ばれる、
図3内のx軸及びy軸によって示される方向に延在する平面を包含するものと見なされ得る。第1のx-y平面は、第2のx-y平面に対するz軸の方向にオフセットされ得ることを理解されよう。このオフセットは、
図2及び
図3に示されるz軸の方向のメインパルスMPに対するプレパルスPPの焦点の間のオフセットの結果であり得る。
【0063】
[00062] フィーチャ「メインパルスMPの伝搬方向」は、
図2に示されるz軸に平行(例えば、実質的に平行)な方向、又はz軸に沿った方向を包含するものと見なされ得る。メインパルスMPの伝搬方向は、
図2に示されるように、x軸の方向にオフセットされ得る。
【0064】
[00063] 下記の説明では、
図2及び
図3でx軸によって示される方向はx方向と呼ばれ、
図3でy軸によって示される方向はy方向と呼ばれ、
図2及び
図3でz軸によって示される方向はz方向と呼ばれる。
【0065】
[00064] フィーチャ「空間オフセット」は、第1のx-y平面内にあり、液滴D、例えば液滴Dの中心と、プレパルスPP、例えばプレパルスPPの中心との間の、距離又は分離を表す大きさを有する、ベクトルと見なされ得る。例えばフィーチャ「空間オフセット」は、第1のx-y平面内の、液滴D、例えば液滴Dの中心と、プレパルスPP、例えばプレパルスPPの中心との間の、距離又は分離を包含するものと見なされ得る。空間オフセットは、x成分及び/又はy成分を含むことができる。言い換えれば、液滴D、例えば液滴の中心は、プレパルスPP、例えばプレパルスPPの中心に対して、x方向及び/又はy方向にシフトされ得るか、又は分離され得る。
【0066】
[00065] いくつかの実施形態において、空間オフセットはz成分を含むことができることを理解されよう。言い換えれば、液滴D,例えば液滴Dの中心は、プレパルス、例えばプレパルスPPの中心に対して、z方向にシフトされ得るか、又は分離され得る。
【0067】
[00066] 例えば液滴Dの中心がプレパルスPPの中心とオーバーラップする、例えば実質的にオーバーラップする場合、空間オフセットはゼロ又は実質的にゼロであり得る。
【0068】
[00067] 速度変化は、x方向、y方向、又はz方向、或いはそれらの組み合わせで生じ得ることを理解されよう。したがって、速度変化はベクトルでもある。
【0069】
[00068] 完全性のために、ここでは本書全体を通じて、ベクトルである物理量は太字で表され、また、スカラーである物理量は通常の文字で表されていることがわかる(原文ではベクトルである物理量が太字で表されているものについて、本翻訳文ではカッコを付した。)。例えば、空間オフセット[O]はベクトル、すなわち方向並びに大きさを有する物理量である。別の例として、空間オフセット[O]の大きさ及び空間オフセットのx成分は、どちらもスカラーである。
【0070】
[00069]
図3では、空間オフセット[O]は非ゼロのx成分を含むが、y成分は実質的にゼロである。他の実施形態では、前述のように、空間オフセットはx成分及びy成分を含み得ることを理解されよう。代替として、空間オフセットはy成分を含み得、x成分は実質的にゼロであり得る。
【0071】
[00070] 速度変化は、以下のように同じくベクトルである運動量における変化Δ[p]に比例し得、
【数1】
上式で、液滴の質量mは、液滴DとプレパルスPPとの間の相互作用の間、一定であるか又は変化しないものと見なされ得る。速度変化は、液滴ジェネレータ3によって発生される液滴Dの速度、例えば[v]
initialと、調節された液滴CD[v]
finalの速度との間の差と見なされ得る。言い換えれば、速度変化Δ[v]は、下記に等しく、
【数2】
上式で、運動量における変化Δ[p]及び速度変化Δ[v]は、ベクトルである。
【0072】
[00071]
図4Aは、第1のx-y平面内の液滴DとプレパルスPPとの間の空間オフセットに依存した、x方向の速度変化Δ[v]を示すグラフである。x方向の速度変化Δ[v]はスカラーであり、Δv
xと示される。
図4Aにおける明るいグレーのドットは速度変化Δv
xの測定された値を表し、白抜きの丸印(open circles)は速度変化Δv
xの平均値を表し、実線は速度変化Δv
xの平均値に合わせた曲線を表す。速度変化の大きさが最大化された場合、例えば、空間オフセットの大きさが約20μmから25μmの間である場合、空間オフセットにおけるバリエーションに関連付けられたx方向の速度変化Δv
xのバリエーションδΔv
xは最小化される(
図4Aでは矢印で示される)。空間オフセットの大きさ及び速度変化の大きさは、極性符号なしの絶対数値を指すことに留意されたい。
図4Aは、x方向の速度の大きさの最大変化は、(約)20μmから25μmの範囲内、及び(約)-20μmから-25μmの範囲内の空間オフセットに対して生じることを示す。Δv
xとして表される速度変化Δ[v]のx成分のバリエーションは、下記のように、空間オフセット[O]のバリエーションに依存し、Δv
xの最大値においてゼロである勾配[G]として表すことができ、
【数3】
上式で、[O]は第1のx-y平面内の空間オフセットである。速度変化Δ[v]の大きさが最大である場合、空間オフセットにおけるバリエーション又は変化に対する速度変化Δ[v]の感度は最小であり得る。言い換えれば、速度変化Δ[v]の大きさが最大である場合、例えば、約25μm及び約-25μmである場合、勾配[G]は最小又はゼロ、例えば実質的にゼロであり得る。
【0073】
[00072]
図4Aに示される(及び矢印で示される)ように、例えばx方向の速度変化Δ[v]が約ゼロである場合、空間オフセット[O]のバリエーション又は変化は、結果としてx方向の速度における変化Δ[v]の最大バリエーションとなり得る。言い換えれば、空間オフセット[O]の大きさが約ゼロである場合、勾配[G]は最大であり得る。他方で、例えば速度変化Δ[v]が最大である場合、空間オフセット[O]におけるバリエーション又は変化は、結果として、x方向の速度変化Δ[v]の最小又は縮小バリエーションとなり得る。
【0074】
[00073] 速度変化を最大にすることによって、空間オフセットにおける変化に対する速度変化の感度は最小になり得る。この結果、ターゲット領域TR、例えば、調節された液滴CDがメインパルスMPによってプラズマに変換される第2のx-y平面内の領域の、安定性が増加又は改善され得る。この結果、追加又は代替として、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップの増加又は改善、発生するEUV放射のパワーの増加、EUV放射の不安定性の減少、及び/又は、EUV放射パワーにおけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0075】
[00074]
図4Bは、第1のx-y平面内の液滴DとプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]の大きさに依存した、調節された液滴CDの測定されたサイズを示すグラフである。前述のように、プレパルスPPは、例えば液滴Dを拡大するように構成され得る。
図4Bにおいて、調節された液滴CDのサイズは、例えば、液滴Dに当たるプレパルスPPの開始後、約3μsで測定された。
図4Bにおける明るいグレーのドットは調節された液滴CDのサイズの測定された値を表し、白抜きの丸印は調節された液滴CDの測定されたサイズの平均値を表し、実線は調節された液滴CDの測定されたサイズの平均値に合わせた曲線を表す。
図4Bから、調節された液滴CDのサイズは、液滴DとプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]に依存することがわかる。約25μmより大きい(又は、約-25μmより小さい)大きさを有する空間オフセット[O]の場合、調節された液滴CDのサイズは減少し得る。これは、空間オフセット[O]の大きさが増加するにつれて、液滴DとプレパルスPPとの間の空間的オーバーラップが減少することに起因し得る。調節された液滴CDのサイズは、約-25μmから25μmの範囲内の空間オフセット[O]の大きさに対して最大化されるものと見なされ得る。
図4Bはこの範囲内の調節された液滴の測定されたサイズ及び平均サイズの広がりを示しているが、調節された液滴CDのサイズは、約-25μmから25μmの範囲内の空間オフセット[O]の大きさに対して大きく依存しないか又は変化しないものと見なされ得る。言い換えれば、調節された液滴CDのサイズのバリエーションは、約-25μmから25μmの範囲内の大きさを伴う空間オフセットに対して低減されるものと見なされ得る。この結果として、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップは改善され得る。
【0076】
[00075]
図2に戻って参照すると、制御システム16は、例えば、液滴DとプレパルスPPとの間の相対的位置を調整することによって、空間オフセット[O]を調整するように構成され得る。例えば、制御システム16は、液滴ジェネレータ3と通信するように構成され得る。液滴ジェネレータ3は、制御システム16からの信号に応答して液滴Dをリリースするように構成され得る。代替として、又は先行する調整オプションと組み合わせて、液滴ジェネレータ3は、制御システム16からの信号に応答して、液滴の軌道の方向をわずかに変更するように構成され得る。制御システム16は、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aと通信するように構成され得る。例えば制御システム16は、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aに信号を伝送するように構成され得る。制御システム16によって伝送された信号に応答して、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、第1のx-y平面内のプレパルスPP及び/又は第2のx-y平面内のメインパルスMPの、位置、タイミング、形状、及び/又はパワーを、設定又は調整するように構成され得る。これによって制御システム16は、液滴DとおプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]を調整できるようになる。
【0077】
[00076] 制御システム16は、例えば、第2のx-y平面内の調節されていない液滴Dの速度に関して、調節された液滴CDの速度変化が最大化されるように、空間オフセット[O]を設定するように構成され得る。制御システム16は、例えば、前述のように、プレパルスPPと液滴Dとの間の相対的位置を調整することによって、空間オフセット[O]、例えば設定された空間オフセットを維持するように構成され得る。
【0078】
[00077] 制御システム16は、調整された空間オフセットに基づいて、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離又は距離S(
図3に示される)を調整するように構成され得る。例えば、リソグラフィシステム又はその一部の保守及び/又は較正動作の間、空間オフセット[O]の大きさがゼロであるように、例えば液滴の中心がプレパルスPPの中心とオーバーラップする、例えば実質的にオーバーラップするように、プレパルスPPに対する液滴Dの位置が調整され得る。続いて、制御システム16は、前述のように、第2のx-y平面内の調節された液滴CDの速度変化Δ[v]の大きさを最大にするように、空間オフセットを調整するように構成され得る。調整された空間オフセットに基づいて、制御システム16は、例えば、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップを最適化又は最大化するために、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離又は距離Sを調整するように構成され得る。
【0079】
[00078] 制御システム16は、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aに信号を伝送するように動作可能であり得る。制御システム16によって伝送された信号に応答して、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、プレパルスPPとメインパルスMPとの間の分離又は距離Sを調整するように、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の相対的位置を調整するように動作可能であり得る。
【0080】
[00079] 制御システム16は、遅延時間、例えばプレパルスPPの生成とメインパルスMPの間、プレパルスの生成とメインパルスMPの生成との間の時間を、調整された空間オフセット[O]に基づいて調整するように構成され得る。例えば制御システム16は、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aに信号を伝送するように動作可能であり得る。制御システム16によって伝送される信号に応答して、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、プレパルスPPの生成とメインパルスMPの生成との間の時間を調整することができる。
【0081】
[00080] 調整された空間オフセットに基づいて、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離又は距離S及び/又は遅延時間を調整することによって、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップは最適化又は最大化され得る。この結果、EUV放射パワーの増加、EUV放射安定性の増加、及び/又はEUV放射パワーにおけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0082】
[00081] レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、メインパルスMPをターゲット領域TRに向けて誘導するように構成され得る。制御システム16は、ターゲット領域TRを調整するように構成され得る。例えば制御システム16は、調整された空間オフセット[O]、速度変化Δ[v]、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離S、及び、プレパルスの生成とメインパルスMPの生成との間の遅延時間のうちの、少なくとも1つに依存して、ターゲット領域TRを調整するように構成され得る。言い換えれば、メインパルスMPに対する調節された液滴CDの位置は、空間オフセット[O]、速度変化Δ[v]、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離S、及び、プレパルスPPの生成とメインパルスMPの生成との間の遅延時間のうちの、少なくとも1つを調整することによって、調整又はチューニングされ得る(或いは、調整可能又はチューナブルであり得る)。制御システム16は、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aに信号を伝送するように動作可能であり得る。信号に応答して、レーザシステム1及び/又はビームデリバリシステム1aは、調整されたターゲット領域TRにメインパルスMPを誘導することができる。
【0083】
[00082] 調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップは、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離S、プレパルスPPの生成とメインパルスMPの生成との間の遅延時間、及び/又は、調節された液滴CDの軌道を、決定するか又はこれらに依存することができる。調節された液滴CDの軌道は、空間オフセット[O]及び/又は速度変化Δ[v]によって決定され得る。したがって、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離S、プレパルスの生成とメインパルスMPの生成との間の遅延時間、及び、調節された液滴CDの軌道のうちの、1つ又はすべてを調整することによって、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップは最適化又は最大化され得る。この結果、発生するEUV放射のパワーの増加、EUV放射安定性の増加、及び/又は、EUV放射パワーにおけるエラー又は変動の減少を生じさせ得る。
【0084】
[00083] 制御システム16は、1つ以上のパラメータの制御下で、速度変化Δ[v]の大きさを最大にするように、空間オフセット[O]を調整するように構成され得る。例えば、1つ以上のパラメータは、プレパルスPPの持続時間及び/又はプレパルスPPのエネルギーを含むことができる。下記でより詳細に説明するように、速度変化Δ[v]は、プレパルスPPの持続時間及び/又はプレパルスPPのエネルギーを変えること又は調整することによって、変わることができる。
【0085】
[00084] 1つ以上のパラメータは、第1のx-y平面内の液滴の位置、第1のx-y平面内のプレパルスPPの位置、第1のx-y平面内の液滴Dの位置における変化、第1のx-y平面内のプレパルスの位置における変化、第2のx-y平面内のメインパルスの位置、及び、第2のx-y平面内のメインパルスの位置における変化のうちの、少なくとも1つを含むことができる。
【0086】
[00085] 放射システムRSはセンサシステム18を備えることができる。センサシステム18は、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを感知するように構成され得る。センサシステム18は第1のセンサ18aを備えることができる。第1のセンサ18aは、例えば、ピンホールなどの後方に4つのフォトダイオードの配置を備えるクワッドセルの形で提供され得る。第1のセンサ18aは、x-y平面内のプレパルスPPの位置を感知するように構成され得る。前述のように、プレパルスPPは、10.6μm、10.26μm、10.207μm、及び/又は1μmの波長を含むことができる。センサシステム18の一部、例えば第1のセンサ18aは、放射システムRSの焦点ボリューム測定ユニット(図示せず)に提供されるか又は含まれ得る。
【0087】
[00086] センサシステム18は、第1のx-y平面内の液滴Dの位置、及び/又は第2のx-y平面内の調節された液滴CDの位置を感知するように動作可能であり得る。例えば、第1のセンサ18aは、プレパルスPP(又はその一部)、及び/又は、例えばプレパルスPPによる液滴の調節に続いて液滴Dから反射されたプレパルスPPの少なくとも一部を感知するように、動作可能及び/又は調整され得る。感知されたプレパルスPP(又はその一部)及び/又は感知されたプレパルスPPの反射された部分を使用して、第1のx-y平面内の液滴Dの位置、例えば第1のx-y平面内のプレパルスPPに対する液滴Dの位置、及び/又は、第2のx-y平面内の調節された液滴CDの位置を、決定することができる。追加又は代替として、感知されたプレパルスPP(又はその一部)及び/又はプレパルスPPの感知された反射された部分を使用して、第1のx-y平面内のプレパルスPP及び/又は液滴の位置における変化を決定することができる。例えば、第1のセンサ18aを横切る、感知されたプレパルスPP(又はその一部)及び/又はプレパルスPPの感知された反射された部分の、強度における変化を使用して、第1のx-y平面内のプレパルスPP及び/又は液滴Dの位置における変化を決定することができる。レーザパルス(プレパルスPP及びメインパルスMP)のアライメントに関するより多くの背景情報及び他のメトロロジ態様については、例えば、Fleurov等に発行されASMLに譲渡され参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,000,405号、Fomenkovに発行されASMLに譲渡され参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,872,144号、Graham等に発行されASMLの子会社であるCymerに譲渡され参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,648,999号を参照されたい。
【0088】
[00087] 追加又は代替として、センサシステム18は第2のセンサ18bを備えることができる。第2のセンサ18bは、プレパルスPPの持続時間及び/又はエネルギーを感知するように動作可能であり得る。第2のセンサ18bは、光電磁センサの形で提供され得る。
【0089】
[00088] 制御システム16は、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの感知されたパラメータに基づいて、液滴DとプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]を決定するように構成され得る。制御システム16は、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの感知されたパラメータに依存して、空間オフセット[O]を制御及び/又は調整するように構成され得る。例えばセンサシステム18は、制御システム16と通信するように構成され得る。センサシステム18は、制御システム16に信号を伝送するように構成され得る。信号は、1つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つ又はすべてを示すことができる。
【0090】
[00089]
図5は、空間オフセット[O]のx成分及びy成分の大きさに依存した、速度変化Δ[v]の大きさの強度マップを示す。
図5で実線によって示される円は、空間オフセット[O]のx成分及び/又はy成分の値を表し、速度変化Δ[v]の大きさは最大化されると見なされ得、及び/又は、勾配[G]は最小化されると見なされ得る。本実施形態において、調整された空間オフセットのx成分及びy成分の各々の大きさは、以下のように、約20μmから25μmの間とすることができる。
【数4】
速度変化Δ[v]の大きさは、任意の単位のグレースケールで示される。例えば、強度マップ内の領域が暗くなるほど、速度変化は小さくなり、また、領域が明るくなるほど、速度変化は大きくなる。
【0091】
[00090] 空間オフセット[O]のx成分及びy成分が25μmより上まで増加するように調整される例では、速度変化Δ[v]の大きさはゼロに向かって減少することができる。これは、プレパルスPPが液滴Dに当たらないことに起因し得る。追加又は代替として、例えば空間オフセット[O](例えば、そのx成分及び/又はy成分)が25μmより上まで増加するように調整される場合、例えばプレパルスPPによって発生する液滴Dの拡大は減少することができる。これにより、調節された液滴CDのサイズの減少を生じさせ得、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップに影響を与える可能性がある。言い換えれば、液滴DとプレパルスPPの間の空間オフセット[O]は、前述のように、調節された液滴のサイズに影響を与えるものと見なされ得る。空間オフセット[O]のx成分及びy成分がゼロに向かって減少するように調整される例では、速度変化Δ[v]の大きさはゼロに向かって減少することができる。これは、液滴DとプレパルスPPの間の空間オフセット[O]が減少することに起因し得る。
【0092】
[00091]
図6Aは、空間オフセット[O]のx成分及びy成分に依存した、y方向の速度変化Δ[v]の強度マップを示す。
図6Aに示される例では、y方向の空間オフセット[O]はゼロであるものと想定される。
図6Aの点線は、各々、x方向の空間オフセット[O]の固定値に対する、y方向の空間オフセット[O]の一連の異なる値を表す。
図6Aから、y方向の空間オフセット[O]のバリエーションは、y方向の速度変化Δ[v]のバリエーションを発生させ得るか、又は結果として生じさせ得ることがわかる。
【0093】
[00092]
図6Bは、0μmから-25μmの範囲の空間オフセットのx成分に対する空間オフセット[O]のy成分に依存した、y方向の速度変化Δ[v]のグラフを示す(点線は-25μmの空間オフセットのx成分を表し、破線は-15μmの空間オフセットのx成分を表し、実線はゼロの空間オフセットのx成分を表す)。
図6Bから、空間オフセット[O]のx成分が変わることに伴い、勾配[G]が変わることがわかる。例えば
図6Bにおいて、勾配[G]の大きさは、空間オフセット[O]のx成分の増加に伴って減少する。言い換えれば、空間オフセットのy成分に関したy方向の速度変化の導関数は、例えば、空間オフセット[O]のy成分に依存せず、空間オフセット[O]のx成分が変わること、例えば増加に伴い、変わること、例えば減少することができる。
【0094】
[00093]
図7は、放射システムRSで使用するためのレーザシステム1を示す。
図7に示されるレーザシステム1は、
図1及び/又は
図2に関して上記で述べた放射システムRSにおいて使用される、その一部である、又は含まれることができる。
図7に示されるレーザシステム1は、前述のレーザシステム1の特徴のいずれかを含むことができる。
【0095】
[00094] レーザシステム1は、プレパルスシードレーザ20を備えることができる。プレパルスシードレーザ20は、シードプレパルスSPPを生成するように構成され得る。レーザシステム1は、メインパルスシードレーザ22を備えることができる。メインパルスシードレーザ22は、シードメインパルスSMPを生成するように構成され得る。プレパルスシードレーザ20及びメインパルスシードレーザ22は、各々、例えばCO2レーザなどの波長チューナブルシードレーザの形で提供され得る。本明細書で開示されるプレパルスシードレーザ及び/又はメインパルスシードレーザは、例えばCO2レーザなどの波長チューナブルシードレーザの形で提供されることに限定されないこと、及び、他の実施形態では他の適切なシードレーザが使用可能であることを理解されよう。例えば、プレパルスシードレーザ及びメインパルスシードレーザのうちの少なくとも1つは、YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザの形で提供され得、約1μmの波長の放射を提供することができる。シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPは、異なる波長を含むことができる。例えば、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの1つは約10.26μm又は10.207μmの波長を含み、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの他方の1つは約10.6μmの波長を含むことができる。これにより、例えば前述のように、液滴D及び調節された液滴CDと相互作用する以前に、例えば、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上の分散光学素子、ダイクロイックミラー、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の光学素子を使用して、プレパルスPP及びメインパルスMPに異なるパスを与えることが可能である。例示のシードレーザは、(どちらも、ASMLの子会社であるCymer社の名の下で)米国特許第2013/0321926A1号及び米国特許第2014/0233055A1号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
[00095] レーザシステム1は、ビームパスコンバイナなどのコンバイナ24を含むことができる。コンバイナ24は、ダイクロイックミラーの形で提供され得る。コンバイナ24は、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPを共通パス26上に置くように構成され得る。例示のコンバイナは、(ASMLの子会社であるCymer社の名の下で)米国特許第2013/0321926A1号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
[00096] レーザシステム1は、増幅器システム28を備えることができる。増幅器システム28は共通パス26上に位置することができる。増幅器システム28は、プレパルスPPを生成するためにシードプレパルスSPPを増幅するように、及び、メインパルスMPを生成するためにシードメインパルスSMPを増幅するように、構成され得る。増幅器システム28は、1つ以上の光学又はレーザ増幅器を備えることができる。例えば、増幅器システム28は、前置増幅器及び4つのパワー増幅器を備えることができる。本明細書で開示される増幅器システムが前置増幅器及び4つのパワー増幅器を備えることに限定されないこと、及び、別の適切な増幅器配置が使用可能であることを理解されよう。
【0098】
[00097] 前述のように、放射システムRSはセンサシステム18を備えることができる。センサシステム18は、属性又はパラメータを感知するように構成され得る。属性又はパラメータは、1つ以上のパラメータの一部であるか、又はこれに含まれ得る。属性又はパラメータは、発生するEUV放射を示すことができる。例えば、属性又はパラメータは、発生するEUV放射のパワーを示すことができる。センサシステム18は第3のセンサ18cを備えることができる。第3のセンサ18cは、発生するEUV放射のパワーを感知するように構成され得る。第3のセンサ18cは、EUVセンサの形で提供され得る。第3のセンサ18cは、放射源SO内に配置され得るか又はその一部であり得る。放射システムRSは、複数の第3のセンサ18cを備えることができ(
図7では、1つの第3のセンサのみが示されている)、例えば、発生するEUV放射の属性又はパラメータを感知するために、放射源内に異なる角度で配置され得る。
図7に示される例示のセンサシステム18は、第2のセンサ18b(例えば、
図2に示される)も備えることができ、明確にするために
図7には示されていないことを理解されよう。いくつかの実施形態において、発生する放射の属性又はパラメータ、例えばEUV放射のパワーは、パターニングデバイスMAの近くに配置され得るセンサによって感知できることを理解されよう。言い換えれば、いくつかの実施形態において、第3のセンサは、パターニングデバイスMAを支持する支持構造MTに配置され得るか、又はその一部とすることができる。
【0099】
[00098] レーザシステム1は、増幅器制御システム32を備えることができる。増幅器制御システム32は、例えば感知された属性又はパラメータに依存して、増幅を制御するように構成され得る。増幅器制御システム32は、無線周波数(RF)コントローラの形で提供されるか、又はこれを備えることができる。RFコントローラ32は、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPを増幅させるために、増幅器システム28にRFパワーを印加するように構成され得る。RFコントローラ32は、増幅器システム28のデューティサイクルを制御及び/又は調整するように構成され得る。言い換えれば、RFコントローラは、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの増幅のために、RFパワーが増幅器システム28に印加されるわずかな時間期間を制御及び/又は調整するように構成され得る。例えばRFコントローラ32は、増幅器システム28のRFパワーの変調であり得る、ドライブレーザ利得コマンド(DLGC)を使用することができる。例示のRFコントローラは、(ASMLの子会社であるCymer社の名の下で)米国特許第2014/0233005A1号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
[00099] センサシステム18、例えばセンサ18cは、RFコントローラ32と通信するように構成及び/又は配置され得る。センサシステム18、例えばセンサ18cは、RFコントローラ32に信号を伝送するように構成され得る。信号は、感知された属性又はパラメータ、例えば発生する放射のパワーを示すことができる。例えば、放射のパワーにおける減少が感知又は測定されたとき、RFコントローラ32は増幅器システム28のデューティサイクルを増加することができる。この結果、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの増幅を生じさせ得る。次にこの結果、増幅されたプレパルスPP及びメインパルスMPを生じさせ得る。
【0101】
[000100] レーザシステム1は、更なる制御システム34を備えることができる。更なる制御システム34は、感知された属性又はパラメータに依存して、シードプレパルスSPPの持続時間を制御するように構成され得る。属性又はパラメータは、代替又は追加として、空間オフセット及び/又は空間オフセットの変化を示すことができる。更なる制御システム34は代替又は追加として、例えば感知された属性又はパラメータに依存して、シードメインパルスSMPの持続時間を制御するように構成され得ることを理解されよう。更なる制御システム34は、スイッチングデバイス34aを備えることができる。スイッチングデバイス34aは、電気光学変調器(EOM)の形で提供され得る。例示のEOMは、(どちらもASMLの子会社であるCymer社の名の下で)米国特許第2013/0321926A1号及び米国特許第2014/0233055A1号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。EOMはシャッターとして働くものと見なされ得る。EOMはシードプレパルスSPPの立上りエッジの通過を許可するように構成され得、その後、所望の地点でシードプレパルスSPPの最後尾をカットするために閉じるように構成され得る。言い換えれば、スイッチングデバイス34aは、例えば更なる制御システム34からの信号に応答して、シードプレパルスSPPの持続時間を調整するように配置及び/又は構成され得る。更なる制御システム34は、更なるスイッチングデバイス34bを備えることができる。更なるスイッチングデバイスは、スイッチングデバイス34aと同じであってよい。更なるスイッチングデバイス34bは、シードメインパルスSMPの持続時間を調整するように配置及び/又は構成され得る。
【0102】
[000101] 例えば、発生する放射の減少がセンサシステム18、例えばセンサ18cによって感知されたとき、RFコントローラ32は、増幅器システム28のデューティサイクルを増加するように動作可能であり得る。増幅器システム28が共通パス26上に配置されているため、これにより、シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの両方の増幅を増加させることができる。シードプレパルスSPPの増幅は、プレパルスPPと液滴Dとの間の空間オフセット[O]におけるバリエーション又は変化を生じさせ得る。他の要因が、追加又は代替として、空間オフセットにおけるバリエーション又は変化を生じさせ得ることを理解されよう。例えば、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における、例えばランダムな変動、変化、又はバリエーションなどの変動、変化、又はバリエーションは、空間オフセット[O]のバリエーション又は変化を生じさせ得る。代替又は追加として、プレパルスPPのエネルギーにおけるバリエーション又は変化は、下記で説明するように、空間オフセットのバリエーション又は変化を生じさせ得る。空間オフセットのバリエーション又は変化は、速度変化Δ[v]におけるバリエーション又は変化を生じさせ得る。速度変化Δ[v]におけるバリエーション又は変化は、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップにおける変化又はバリエーションを生じさせ得、次にこれが、発生するEUV放射における、例えば減少などの変化又はバリエーションを生じさせ得る。
【0103】
[000102] 感知された属性又はパラメータに依存して、シードプレパルスSPPの持続時間を制御することによって、空間オフセット及び/又は速度変化Δ[v]におけるバリエーション又は変化が減少又は補償され得る。これにより、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップにおけるバリエーション又は変化を減少又は回避することができ、それによって、発生するEUV放射のパワーにおける減少、EUV放射の不安定性、及び/又は、EUV放射パワーにおけるエラー又は変動を減少又は防止することができる。
【0104】
[000103] センサシステム18は、液滴とプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]又はその変化を感知するように構成され得る。空間オフセットにおける変化は、増幅器システムによるシードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの増幅に起因し得る、及び/又は、前述のように、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における、例えばランダムな変動、変化、又はバリエーションなどの、変動、変化、又はバリエーションに起因し得る。
【0105】
[000104] センサシステム18、例えば第1のセンサ18aは、RFコントローラ32と通信するように構成及び/又は配置され得る。センサシステム18、例えば第1のセンサ18aは、RFコントローラ32に信号を伝送することができる。信号は、感知された属性又はパラメータ、例えば空間オフセット[O]又はその変化を示すことができる。更なる制御システム34は、感知された属性又はパラメータ、例えば空間オフセット又はその変化に依存して、シードプレパルスの持続時間を調整するように構成され得る。例えば、更なる制御システム34は、RFコントローラ32と通信するように構成及び/又は配置され得る。更なる制御システム34は、RFコントローラ32からの信号に応答して、シードプレパルスSPPの持続時間を調整するように構成され得る。上述のように、レーザシステム1は、ビームデリバリシステム1aを備えることができる。ビームデリバリシステム1aは、例えば前述のような、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上の分散光学素子、ダイクロイックミラー、又はそれらの組み合わせなどの、1つ以上の光学素子を使用して、プレパルスPPとメインパルスMPとを分離するように構成され得る。ビームデリバリシステム1aは、プレパルスPP及びメインパルスMPをプラズマ形成領域4に向けて誘導するように構成され得る。ビームデリバリシステム1aは、第1のx-y平面内のプレパルスPPの位置、第2のx-y平面内のメインパルスの位置、及び/又は、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離Sを、決定することができる。例えば、制御システム、例えば制御システム16からの信号に応答して、ビームデリバリシステム1aは、第1のx-y平面内のプレパルスPPの位置、第2のx-y平面内のメインパルスの位置、及び/又は、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離Sを、調整することができる。代替又は追加として、RFコントローラ32及び/又は更なる制御システム34は、ビームデリバリシステム1aと通信するように配置され得る。
【0106】
[000105]
図8A及び
図8Bは各々、第1のx-y平面内の空間オフセット[O]に依存した速度変化Δ[v]の大きさのグラフを示す。どちらの図においても、空間オフセットのy成分は便宜上ゼロであるものと見なされる。他の実施形態では空間オフセットのy成分はゼロより大きいか又は小さくてよいことを理解されよう。
【0107】
[000106]
図8Aは、x又はy方向の空間オフセット[O]に依存した、速度変化Δ[v]の大きさのグラフを示す。
図8Aは、前述のシードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPの増幅の結果として生じ得る、速度変化Δ[v]の大きさにおけるバリエーション又は変化を示す。
図8Aにおける実線曲線は、シードプレパルスSPPの公称増幅(例えば、レーザシステム1、例えば放射システムRSの通常動作の間に適用され得る、シードプレパルスSPPの増幅)に対する空間オフセットに依存した、速度変化Δ[v]の大きさを示す。
図8Aにおける破線曲線は、シードプレパルスSPPの増加した増幅、例えば公称増幅に対して増加した増幅に対する空間オフセットに依存した、速度変化Δ[v]の大きさを示す。空間オフセット[O]における変化又はバリエーションは、シードプレパルスSPPの増加した増幅に対して速度変化Δ[v]における増加を生じさせ得ることがわかる。この速度変化Δ[v]の大きさにおける増加は、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップにおける変化又はバリエーションを生じさせ得る。次にこれが、発生するEUV放射のパワーにおける減少、EUV放射の不安定性、及び/又は、EUV放射のパワーにおけるエラー又は変動を生じさせ得る。増加した速度変化(
図8Aの破線曲線)は、追加又は代替として、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における、例えばランダムな変動、変化、又はバリエーションなどの、変動、変化、又はバリエーションに起因し得るものであることを理解されよう。
【0108】
[000107]
図8Bは、x又はy方向の空間オフセットに依存した、速度変化Δ[v]の大きさの別のグラフを示す。
図8Bは
図8Aに類似している。
図8Bは追加として、シードプレパルスSPPの持続時間の調整後の空間オフセット[O]に依存した、速度変化Δ[v]の大きさを示し、これは明るいグレーの破線曲線によって示されている。
図8Bに示された例では、更なる制御システム34によって、シードプレパルスSPPの持続時間が調整、例えば減少された。開示された更なる制御システムは、シードプレパルスの持続時間を減少させることに限定されず、また例えば、他の実施形態ではシードプレパルスの持続時間は増加され得ることを理解されよう。シードプレパルスSPPの持続時間を減少させることによって、速度変化Δ[v]の大きさは実質的に変更されないか、又は、シードプレパルスSPPの公称増幅に対する速度変化Δ[v]の大きさ、及び/又は、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における、例えばランダムな変動、変化、又はバリエーションなどの、以前の変動、変化、又はバリエーションと、同様のままであり得る。これにより、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップにおけるバリエーション又は変化を防止又は減少させることができる。言い換えれば、更なる制御システム34は、例えば、感知された属性又はパラメータに依存して、シードプレパルスSPPが増幅されるとき、及び/又は、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における変動、変化、又はバリエーション(例えば、ランダムな変動、変化、又はバリエーション)が存在するか又は発生するとき、速度変化Δ[v]の大きさが変更されない、例えば実質的に変更されないか、又は一定であるように、シードプレパルスSPPの持続時間を調整するように構成され得る。これによって、シードプレパルスの増幅に応答して、及び/又は、第1のx-y平面内の液滴D及び/又はプレパルスPPの位置における変動、変化、又はバリエーション(例えば、ランダムな変動、変化、又はバリエーション)に起因して、放射における減少の補償を可能にすることができる。
【0109】
[000108]
図7に示されるレーザシステム1は、前述の制御システム16を備えない放射システムにおいて使用可能であることを理解されよう。言い換えれば、シードプレパルスSPPの持続時間は、第2のx-y平面内の調節された液滴CDの速度変化Δ[v]を最大にするように、空間オフセット[O]とは独立に、又は空間オフセット[O]を調整することなく、制御され得る。代替として、
図7に示されるレーザシステム1は、
図2に示され前述された放射システムRS、例えば制御システム16との組み合わせで使用することができる。
【0110】
[000109]
図9は、放射システム内で使用するためのレーザシステム1及び制御システム16を示す。
図9に示されるレーザシステム1及び制御システム16は、
図1及び/又は
図2に関して上述された放射システムRS内で使用すること、その一部であること、又は含まれることが可能である。
図9に示されるレーザシステム1は、
図7に示されるレーザ1と同一である。他の実施形態では異なるレーザシステム又はその配置が使用可能であることを理解されよう。レーザシステム1は、前述の制御システム16と通信するように構成及び/又は配置され得る。
図9に示される制御システム16は、前述の制御システム16の特徴のうちのいずれかを含むことができる。制御システム16は、前述のように、センサシステム18の少なくとも一部、例えば第1のセンサ18aと通信するように配置され得る。他の実施形態では、制御システムは、追加又は代替として、第2のセンサ及び/又は第3のセンサと通信するように配置され得ることを理解されよう。
【0111】
[000110]
図9を参照すると、制御システム16は、プレパルスPPの持続時間の制御を介して、速度変化Δ[v]の大きさを最大にするように動作可能であり得る。プレパルスPPの持続時間は、前述のように、シードプレパルスSPPの持続時間を調整することによって調整され得る。例えば制御システム16は、更なる制御システム34と通信可能である。前述のように、更なる制御システム34は、スイッチングデバイス34a及び/又は更なるスイッチングデバイス34bを備えることができる。制御システム16は、更なる制御システム34に信号を伝送することができる。信号は、シードプレパルスSPPの持続時間を示すことができる。スイッチングデバイス34aは、例えば更なる制御システム34からの信号に応答して、シードプレパルスSPPの持続時間を調整することができる。プレパルスPP、例えばシードプレパルスSPPの持続時間は、例えば40nsから180nsの間で変わり得る。いくつかの実施形態において、更なる制御システム34及び/又はスイッチングデバイス34a、34bは、制御システム16の一部であるか、又は含まれ得ることを理解されよう。
【0112】
[000111] 制御システム16は、前述のように、第2のx-y平面内の調節された液滴CDの速度変化Δ[v]の大きさを最大にするために空間オフセット[O]を調整するように構成されることに加えて、又はその代わりに、プレパルスPPの持続時間の制御を介して速度変化Δ[v]の大きさを最大にするように動作可能であり得る。
【0113】
[000112] 追加又は代替として、制御システム16は、プレパルスPPの持続時間の制御を介して速度変化を制御及び/又は調整するように動作可能であり得る。例えば制御システム16は、第2のx-y平面内の調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップが最適化又は最大化されるように、プレパルスPPの持続時間の制御を介して速度変化を制御及び/又は調整するように動作可能であり得る。制御システム16は、例えば、第2のx-y平面内の調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップが最適化又は最大化されるように、プレパルスPPの持続時間の制御を介して速度変化を維持するように構成され得る。この結果、発生するEUV放射のパワーにおける増加、EUV放射安定性の増加、及び/又は、EUV放射パワーにおけるエラー又は変動の減少が生じ得る。
【0114】
[000113] 制御システム16は、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの分離S(
図3を参照のこと)に基づいて、プレパルスPPの持続時間を調整するように動作可能であり得る。第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの間の分離Sは、例えば、放射システムRS内、例えばレーザシステム1内で熱的に誘起される効果に起因して、x方向及び/又はy方向に変化するか又は変わることができる。制御システム16は、例えば、液滴DとプレパルスPPとの間の空間オフセット[O]が固定又は設定されている場合、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの分離に基づいて、プレパルスPPの持続時間を調整するように動作可能であり得る。第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの分離Sに基づいて、プレパルスPPの持続時間を調整することによって、例えば、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップを最適化又は最大化するために、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップを調整することができる。
【0115】
[000114]
図10は、第1のx-y平面内の空間的オーバーラップに依存した、速度変化Δ[v]の大きさのグラフを示す。
図10において、小さな明るいグレーのドットは測定された速度変化の値を表し、白抜きの丸印は測定された速度変化の平均値を表し、実線は速度変化の平均値に合わせた曲線を表す。この例では、空間オフセット[O]は、空間オフセット[O]のy成分の値は例えばゼロに固定され、x成分の値は変わることができるように、選択されている。言い換えれば、この例では、x方向に空間オフセット[O]が存在し、y方向には空間オフセットは存在しない。しかしながら他の実施形態では、y成分は例えばゼロより大きいか又は小さく変わるように選択され得、x成分は例えばゼロに固定されるように選択され得るか、又はx成分及びy成分の両方が変化可能なように選択され得ることを理解されよう。
【0116】
[000115]
図10において、グレーの実線は、円及び黒い実線によって示される速度変化に対して、プレパルスPPの持続時間の増加に対する第1のx-y平面内の空間オフセットに依存した速度変化を示す。
図10から、速度変化Δ[v]の大きさは、プレパルスPPの持続時間の制御を介した所与の空間オフセット[O]に対して、変わること、例えば増加又は減少し得ることがわかる。言い換えれば、速度変化Δ[v]は、プレパルスPPの持続時間の制御を介して、例えば空間オフセット[O]とは独立に、又は空間オフセット[O]を変えることなく、変えることができる。例えば、x方向の速度変化Δ[v]は、プレパルスPPの持続時間を調整、例えば増加させることによって、及び空間オフセット[O]のy成分を例えばゼロに設定することによって、y方向の速度変化Δ[v]とは独立に変えること、又は調整、例えば増加させることができることもわかる。他の実施形態では、y方向の速度変化は、プレパルスPPの持続時間を調整、例えば増加させることによって、及び空間オフセット[O]のx成分を例えばゼロに設定することによって、x方向の速度変化とは独立に調整、例えば増加され得ることを理解されよう。
【0117】
[000116] 制御システム16は、プレパルスPPのエネルギーの変化に応答して、プレパルスPPの持続時間を調整するように動作可能であり得る。例えば、プレパルスPPのエネルギーの変化は、増幅器システム28の一部であるか又は含まれ得る増幅媒体内の劣化に起因し得る。代替又は追加として、プレパルスのエネルギーの変化は、例えば、シードプレパルスSPP、シードメインパルスSMP、プレパルスPP、及び/又は、メインパルスMPの、吸収又はその変化などの、ビームパス内の変化に起因し得る。プレパルスPPのエネルギーにおける変化は、速度変化Δ[v]における変化又はバリエーションを生じさせ、次にこれが、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップにおける変化又はバリエーションを生じさせ得る。
【0118】
[000117]
図11は、液滴D上のプレパルスPPによるフルエンス又は放射露光の関数としての、空間オフセット[O]の大きさ(又は、勾配[G]の大きさ)に関した、x方向の速度変化の導関数のグラフを示す。
図11は、40ns、70ns、130ns、及び180nsの値を有するプレパルスPPの持続時間についてのグラフを含む。
図11では、プレパルスPPによるフルエンス又は放射露光は、プレパルスのエネルギーとプレパルスのビームサイズの二乗との比として示される。
図11から、導関数の大きさは、持続時間の増加及びプレパルスPPのエネルギーの増加と共に増加することがわかる。x方向の速度変化Δ[v]は、プレパルスPPの持続時間及び/又はプレパルスPPのエネルギーに依存しているものと見なされ得る。他の実施形態では、空間オフセットの大きさに関したy方向及び/又はz方向の速度変化の導関数は、追加又は代替として、プレパルスPPの持続時間及び/又はエネルギーが変わること、例えば増加に伴って、変わること、例えば増加することが可能であることを理解されよう。追加又は代替として、速度変化自体が、プレパルスの持続時間及び/又はプレパルスのエネルギー、並びに空間的オーバーラップに依存しているものと見なされ得る。
【0119】
[000118] 制御システム16は、第1のx-y平面内のプレパルスPPと第2のx-y平面内のメインパルスMPとの分離Sにおける変化に応答して、プレパルスの持続時間を調整するように動作可能であり得る。これにより、調節された液滴CDとメインパルスMPとの間の空間的オーバーラップが、変更されないこと、及び/又は、第1のx-y平面内のプレパルスPP内及び/又は第2のx-y平面内のメインパルスMP内の位置におけるドリフトを補償することが可能になる。
【0120】
[000119]
図12は、EUV放射を発生させる方法のフローチャートを示す。方法は、プラズマ形成領域4に向けて進む燃料の液滴を発生させるように、液滴ジェネレータ3を動作させること(1200)を含むことができる。方法は、液滴Dを調節するためにプレパルスPPを生成するように、レーザシステム1を動作させること(ステップ1205)を含むことができる。ステップ1210において、方法は、プレパルスPPの伝搬方向に対して直角な平面、例えば第1のx-y平面内のプレパルスPPと液滴との間の空間オフセット[O]を制御することを含むことができる。方法は、メインパルスMPの伝搬方向に対して直角な平面内の調節された液滴の速度変化Δ[v]を最大にするように、空間オフセット[O]を調整すること(ステップ1215)を含むことができる。ステップ1220において、方法は、調節された液滴CDを、EUV放射を発生するプラズマに変換するための、メインパルスMPを生成するようにレーザシステム1を動作させることを含むことができる。
【0121】
[000120]
図13は、
図12に示される方法の一部であるか又はこれに含まれ得る方法ステップのフローチャートを示す。
図13に示される方法ステップのいくつかのみが、
図12に示される方法の一部であるか又はこれに含まれ得ることを理解されよう。代替として、
図13に示される方法ステップのすべてが
図12に示される方法の一部であるか又はこれに含まれ得るか、或いは、
図13に示される方法ステップのいずれも
図12に示される方法の一部でないか又はこれに含まれない。言い換えれば、
図13に示される方法ステップは、
図12に示される方法ステップのいくつか又はすべてとは別個に、或いは、
図12に示される方法ステップのうちの少なくとも1つ又はすべてと組み合わせて、使用することができる。
【0122】
[000121] ステップ1300において、方法は、シードプレパルスSPPを生成するように、プレパルスシードレーザ20を動作させることを含むことができる。方法は、シードメインパルスSMPを生成するように、メインパルスシードレーザ22を動作させること(ステップ1305)を含むことができる。プレパルスシードレーザ20及びメインパルスシードレーザ22は、レーザシステム1の一部であるか又はこれに含まれ得る。シードプレパルスSPP及びシードメインパルスSMPは、コンバイナ24によって共通パス26上に置かれ得る。方法は、共通パス26上に位置する増幅器システム18を動作させること(ステップ1310)を含むことができる。増幅器システム28は、プレパルスPPを生成するためにシードプレパルスSPPを増幅するように、及び、メインパルスMPを生成するためにシードメインパルスSMPを増幅するように構成され得る。ステップ1315において、方法は、
図7及び
図9を参照しながら上記で考察したように、属性又はパラメータを感知することを含むことができる。方法は、増幅器制御システム32を動作させること(ステップ1320)を含むことができる。増幅器制御システム32は、感知された属性又はパラメータに依存して増幅を制御するように構成され得る。方法は、感知された属性又はパラメータに依存して、シードプレパルスSPPの持続時間を制御するように構成された、例えばスイッチングデバイス34aを備える、更なる制御システム34を動作させること(1325)を含むことができる。
【0123】
[000122]
図14は、
図12及び/又は
図13に示される方法の一部であるか又はこれに含まれ得る、他の方法ステップのフローチャートを示す。
図14に示される方法ステップは、互いに別個に、
図12及び/又は
図13に示される方法(又は方法ステップ)とは別個に、或いは
図12及び/又は
図13に示される方法ステップのうちの少なくとも1つ又はすべてと組み合わせて、使用することができる。
【0124】
[000123] ステップ1400において、属性又はパラメータは、発生するEUV放射のパワー、及び空間オフセット、及び空間オフセットにおける変化のうちの、少なくとも1つを含む。
【0125】
[000124] ステップ1405において、方法は、速度変化Δ[v]を最大にするように、プレパルスPPの持続時間を制御することを含むことができる。
【0126】
[000125] プレパルスの「持続時間」という用語は、プレパルスPPの長さを包含するものと見なされ得ることを理解されよう。
【0127】
[000126] 「放射」という用語は、EUV放射を包含するものと見なされ得ること、及び、これらの用語は互換的に使用できることを理解されよう。
【0128】
[000127] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0129】
[000128] 「EUV放射」という用語は、4~20nmの範囲内、例えば13~14nmの範囲内の波長を有する、電磁放射を包含するものと見なされ得る。EUV放射は、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなどの4~10nmの範囲内の波長を有することができる。
【0130】
[000129] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0131】
[000130] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を記載することができる。しかしながらそのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0132】
[000131] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。それ故、下記に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。