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特許7376693処理システムおよび反応体ガスを供給する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】処理システムおよび反応体ガスを供給する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H01L21/31 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022514991
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 US2020049853
(87)【国際公開番号】W WO2021050489
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/897,900
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/776,204
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パーンデー, ビスワス クマール
(72)【発明者】
【氏名】オルセン, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ, レネ
(72)【発明者】
【氏名】ショーノ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハウリルチャック, ララ
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, エリカ
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン-オズボーン, トービン
(72)【発明者】
【氏名】ロー, ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】特許第3516654(JP,B2)
【文献】特開2009-239082(JP,A)
【文献】特開2001-118799(JP,A)
【文献】特開2016-035087(JP,A)
【文献】特開2005-259902(JP,A)
【文献】特開2012-054310(JP,A)
【文献】特開昭61-253822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0189951(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入コーンであって、
本体を備え該本体が、
反応体ガスを供給するように構成された第1の部分であって、
底面と、
線形ラダーと、を備える第1の部分と、
前記反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分であって、前記第1の部分および前記第2の部分が分割線によって隔てられている第2の部分と、
を備え、
前記注入コーンが上部部分と底部部分とに隔てられ、かつ前記注入コーンが、前記上部部分のみを通して前記反応体ガスを供給するように構成される、注入コーン。
【請求項2】
各線形ラダーが前記底面に平行な軸となす角度が約10°~約40°である、請求項1に記載の注入コーン。
【請求項3】
各線形ラダーが前記底面となす角度が約20°~約30°である、請求項2に記載の注入コーン。
【請求項4】
前記線形ラダーが約25mm~約75mmの長さを有する、請求項1に記載の注入コーン。
【請求項5】
記線形ラダーが前記注入コーンの前記上部部分に配置される、請求項4に記載の注入コーン。
【請求項6】
前記線形ラダーの端部が前記底面から約12mm~約40mmに配置される、請求項1に記載の注入コーン。
【請求項7】
処理システムであって、
基板支持体を備える基板支持システムと、
注入コーンであって、
本体を備え該本体が、
前記基板支持体の高成長部分に向かって反応体ガスを供給するように構成された第1の部分であって、
底面と、
線形ラダーと、を備える第1の部分と、
前記反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分と、を備える、注入コーンと、
前記注入コーンに連結された取り入れ口であって、前記反応体ガスを前記注入コーンに供給するように構成された取り入れ口と、を備え
前記注入コーンが上部部分と底部部分とに隔てられ、前記処理システムが、前記注入コーンの前記上部部分のみを通して前記反応体ガスを供給するように構成される、処理システム。
【請求項8】
基板に形成される膜の体積の60%以上が、前記基板支持体の前記高成長部分の上に配置される、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記基板支持体が支持体分離線によって前記高成長部分と低成長部分とに分けられ、前記注入コーンが注入分離線によって前記上部部分と前記底部部分とに隔てられ、前記支持体分離線が前記注入分離線と平行である、請求項に記載の処理システム。
【請求項10】
前記支持体分離線が、前記高成長部分および前記低成長部分がほぼ等しい面積を各々有するように、前記高成長部分と前記低成長部分とを隔てる、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
前記注入コーンが前記基板支持体のエッジと角度をなすように配置され、前記角度が約20°~約30°である、請求項7に記載の処理システム。
【請求項12】
反応体ガスを供給する方法であって、
取り入れ口を通して前記反応体ガスを流すことと、
注入コーンを通して前記反応体ガスを流すことであって、前記注入コーンが、
本体を備え該本体が、
前記反応体ガスを供給するように構成された第1の部分であって、
底面と、
線形ラダーと、を備える第1の部分と、
前記反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分と、を備える、注入コーンを通して前記反応体ガスを流すことと、
基板支持体の上に配置された基板の表面に膜が形成されるように、前記基板の前記表面に前記反応体ガスを供給することと、を含み、
前記注入コーンが上部部分と底部部分とに隔てられ、かつ前記注入コーンが、前記上部部分のみを通して反応ガスを供給するように構成される、方法。
【請求項13】
前記注入コーンが分割線によって前記上部部分と前記底部部分とに隔てられ、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板が分離線によって高成長部分と低成長部分とに分けられ、前記膜形成の約60%超が前記基板の前記高成長部分で起こる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分離線が、前記分割線と平行である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記注入コーンを通る前記反応体ガスの流れが、層流である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記注入コーンを通る前記反応体ガスの前記流れが、約100以下のレイノルズ数(Re)を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各線形ラダーが前記底面となす角度が、約10°~約40°である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記基板が、前記方法の間、連続的に回転する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
反応体ガスを供給する方法であって、
取り入れ口を通して前記反応体ガスを流すことと、
注入コーンを通して前記反応体ガスを流すことであって、前記注入コーンが、
本体を備え、該本体が、
前記反応体ガスを供給するように構成された第1の部分であって、
底面と、
線形ラダーと、を備える第1の部分と、
前記反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分と、を備える、注入コーンを通して前記反応体ガスを流すことと、
基板支持体の上に配置された基板の表面に膜が形成されるように、前記基板の前記表面に前記反応体ガスを供給することと、
前記反応体ガスを前記供給することの後に、前記基板を約180°回転させることと、前記取り入れ口を通して前記反応体ガスを前記流すこと、前記注入コーンを通して前記反応体ガスを流すこと、および前記反応体ガスを供給することを繰り返すことと、を含、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、装置および方法に関し、より具体的には、処理システムおよび反応体ガスを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路およびマイクロデバイスにおけるメモリのゲート酸化物、ライナ酸化物、犠牲酸化物、サイドウォール酸化物、フラッシュのトンネル酸化物、酸化物-窒化物-酸化物(ONO:oxide-nitride-oxide)積層体などの製造では、半導体基板は急速な熱酸化によって処理され得る。このプロセスでは、基板を放射熱源で加熱しながら、基板を酸素および水素ベースの反応体ガスに曝して、酸素および水素ラジカルを生成することによって、基板上に酸化物層を形成し得る。酸素ラジカルは、基板の表面に衝突して、酸化物層、例えばケイ素基板上に二酸化ケイ素層を形成する。
【0003】
従来は、回転可能な基板支持体が、反応体ガスを基板の中心に向かって真っ直ぐに導入すると共に、基板を回転させる。注入システムは、反応体ガスをチャンバ内および基板上に注入し、そこで反応体ガスが基板と反応して所望の層を形成する。従来の注入コーンは、基板表面全体を覆おうとする反応体ガスの広範囲にわたる拡散をもたらす。
【0004】
従来技術における注入システムに対する1つの欠点は、注入システムが基板の表面上に反応体ガスを均等に分散しないことである。反応体ガスは基板の中心により多く分散し、基板のエッジ付近では分散が少なく、それにより、基板のエッジ付近で成長する酸化物層の厚さは基板の中心またはその付近よりも薄い。例えば、中心とエッジ(CE:center-to-edge)の厚さの差は、許容できないほど大きい。
【0005】
したがって、改善された処理システムおよび基板上により均一に反応体ガスを分散させる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、本体を含む注入コーンが提供される。本体は、反応体ガスを供給するように構成された第1の部分、および反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分を含む。第1の部分は、底面および1つラダーを含む。第1の部分および第2の部分とは、分割線によって隔てられている。
【0007】
別の実施形態では、注入コーン、取り入れ口、および基板支持システムを含む処理システムが提供される。注入コーンは、本体を含む。本体は、反応体ガスを供給するように構成された第1の部分、および反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分を含む。第1の部分は、底面および1つ線形ラダーを含む。第1の部分および第2の部分とは、分割線によって隔てられている。取り入れ口は、注入コーンに連結される。取り入れ口は、反応体ガスを供給するように構成される。基板支持システムは、基板支持体を含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、反応体ガスを供給する方法が提供され、当該方法は、反応体ガスを、取り入れ口を通して流すことと、反応体ガスを、注入コーンを通して流すことと、膜が基板の表面上に形成されるように基板支持体の上に配置された基板の表面に反応体ガスを供給することを含む。注入コーンは、本体を含む。本体は、反応体ガスを供給するように構成された第1の部分、および反応体ガスを受け入れるように構成された第2の部分を含む。第1の部分は、底面および線形ラダーを含む。第1の部分および第2の部分とは、分割線によって隔てられている。取り入れ口は、注入コーンに連結される。取り入れ口は、反応体ガスを供給するように構成される。基板支持システムは、基板支持体を含む。
【0009】
処理システムによって、基板の一部分に膜の局所的な成長が得られる。本方法は、基板上の膜の区分的または連続的な成長を可能にし、したがって、膜の均一性が改善される。
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、添付の図面に図示されるいくつかの実施形態を参照して行い得る。しかしながら、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを図示し、したがって、本開示は他の等しく有効な実施形態を認め得るので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A-1B】一実施形態による、処理システムの概略図を図示する。
図1C】一実施形態による、膜が堆積した後の処理システムの概略上面図を図示する。
図1D】一実施形態による、膜が2回堆積した後の処理システムの概略上面図を図示する。
図2A】一実施形態による、2つの線形ラダーを備えた注入コーンの概略図を図示する。
図2B】一実施形態による、単一の線形ラダーを備えた注入コーンの概略図を図示する。
図3】一実施形態による、反応ガスを供給するための方法の動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素は、可能であれば同一の参照番号を使用して示している。一実施形態で開示された要素は、特定の記載なしに他の実施形態において有益に利用され得ることが意図される。
【0013】
本明細書に記載される実施形態は、概して、処理システムおよび反応体ガスを供給する方法に関する。処理システムは、基板支持システム、注入コーン、および取り入れ口を含む。注入コーンは、線形ラダーを含む。線形ラダーは、注入コーンを通る反応体ガスの流れが基板の特定部分に膜の堆積がもたらされるように配置される。本方法は、注入コーンを通してガスを流し、下方の基板上にガスを供給することを含む。反応体ガスの局在化は、基板の特定部分での膜成長を可能にする。基板を回転させ、処理を繰り返すことができ、その結果、均一性が改善された膜の層の区分的な成長をもたらす。本開示の実施形態は、膜の区分的成長のための処理システムおよび方法に有用であり得るが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、公称値から+/-10%のばらつきがあることを指す。このようなばらつきは、本明細書で提供される任意の値に含まれることができることが理解されるべきである。
【0015】
図1Aは、一実施形態による、処理システム100の概略上面図を図示し、図1Bは処理システムの概略側面図を図示する。図に示すように、処理システム100は、基板支持システム170、注入コーン200、および取り入れ口160を含む。処理システム100は処理チャンバ101に配置され、処理チャンバ101は熱成長チャンバのような、基板上に膜を成長させるために使用される従来技術の任意のチャンバとすることができる。処理チャンバ101は排気120を含み、膜成長からの不要な副生成物は、排気を通して排出される。処理システム100は、所望の膜が基板上で成長するように、基板支持システム170に配置された基板に反応性ガスを堆積させるように構成される。
【0016】
図に示すように、基板支持システム170は、アクチュエータ106、シャフト107、および基板支持体105を含む。基板支持体105は、シャフト107によって支持され、シャフトはアクチュエータ106に連結される。アクチュエータ106は、基板支持体105をz軸回りで回転させるように構成される。アクチュエータ106は、基板支持体105を連続的または段階的に回転させることができる。アクチュエータ106は、基板支持体105を時計回りまたは反時計回りに回転させることができる。アクチュエータ106は、膜成長中に基板110を回転させることができ、または、基板支持体105は、膜成長中に静止状態を維持できる。アクチュエータ106は、コントローラ(図示せず)によって制御され、コントローラはアクチュエータにコマンドを与える。基板110は、基板支持体105上で支持される。基板支持体105はまた、膜堆積プロセスが基板温度を上げるか、もしくは下げるか、または基板を電気的にバイアスするかどうかに応じて、冷却システム(図示せず)、ヒータ(図示せず)、静電チャック(ESC)(図示せず)、または磁気浮上システムも含むことができる。基板支持システム170は、基板上の膜成長の前、最中、または後に基板110を回転させるように構成される。
【0017】
基板110は、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶性誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の好適な材料を含む。好適な実施例としては、酸化物、硫化物、リン化物、テルル化物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、基板110として、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、またはサファイアが挙げられる。基板は、その上に配置された任意の他の追加の層を含むことができる。
【0018】
反応ガス(矢印150によって示される流れ)は、酸素ガス(O)、水素ガス(H)、亜酸化物窒素(NO)、二酸化炭素(CO)、過酸化水素(H)、オゾン(O)、水(HO)、アンモニア(NH)、窒素ガス(N)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、任意の他の中性キャリアガス、上記の任意の組み合わせ、上記から生成される任意のプラズマ、および上記から生成される任意のイオンまたはラジカルのような膜を成長させるために従来技術で使用される任意のプロセスガスとすることができるが、これらに限定されない。一実施例では、基板110はSiを含み、反応ガスはOおよびNを含み、堆積膜110fはSiOを含む。加えて、「成長」および「成長した」という用語は、本開示全体にわたって使用されるが、膜成長または膜堆積を含む、膜を作製する任意の形態が本開示によって包含されることを理解されたい。
【0019】
基板支持体105は、分離線117によって、高成長部分116と低成長部分115とに分けられる。処理システム100は、基板支持体105の高成長部分116の上に配置された基板110の部分には、膜110fの成長が、大部分または全体に起こるように構成される。同様に、基板支持体105の低成長部分115の上に配置される基板110の部分には、膜110fの成長が、ほとんどまたは何も起こらない。このように、膜成長を基板110の特定部分に大きく制限することができる。一実施形態によれば、低成長部分115および成長部分116は、ほぼ同じ面積を有する。
【0020】
図1Cは、一実施形態による、膜110fが堆積された後の処理システム100の概略上面図を図示する。図に示すように、膜110fは、基板支持体105の高成長部分116の上に配置された基板の部分の大部分またはその上にのみ成長する。
【0021】
図1Dは、一実施形態による、フィルム110f’が2回目に成長した後の処理システム100の概略上面図を図示する。膜110fを成長させた後、基板支持体105の新しい低成長部分115’の上に配置された基板110の部分の上に膜110fを配置するように、基板支持体105を約180°回転させて、膜成長のない基板の部分を、基板支持体105の高成長部分116の上に配置する。膜110f’が基板支持体105の新しい高成長部分116’の上に配置された基板110上に成長するように、成長を繰り返すことができ、その結果、基板全体にわたって膜110f、110f’の均一な膜成長がもたらされる。他の実施形態では、反応ガスの第2のデリバリは異なるガスを含むことができ、したがって、膜110f、110f’は異なる材料を含むことができる。
【0022】
注入コーン200は、処理チャンバ101の壁(図示せず)の窓(図示せず)に配置することができる。注入コーン200は、基板支持体105の表面と角度θaをなすように配置されている(図1B)。一実施形態によれば、角度θaは約20°~約30°である。
【0023】
図2Aおよび図2Bは、一実施形態による、2つの線形ラダーおよび1つの線形ラダーを備えた注入コーン200の概略図を図示する。図2Aに示すように、注入コーン200Aは、本体201、底面202、および2つの線形ラダー220を含む。図2Bに示すように、注入コーン200Bは、本体201、底面202、および線形ラダー220を含む。図2Aに図示される実施形態では2つの線形ラダー220のみが示され、図2Bに図示される実施形態では1つの線形ラダー220のみが示されるが、任意の数の線形ラダー220を注入コーン200に含めることができることを理解されたい。本体201および線形ラダー220は、石英または反応体ガスに反応しない任意の他の材料で作ることができる。注入コーン200は、分割線215によって第1の部分231と第2の部分230とに分けられ、分割線はx方向に平行である。線形ラダー220は、第1の部分231に配置される。第1の部分231および第2の部分230は、注入コーン200を作るために組み合わされる2つの別個のピースであることができ、または第1の部分および第2の部分が同じピースから作られることができる。注入コーン200は取り入れ口160に連結され、取り入れ口は反応ガスを注入コーンに供給する。注入コーン200は、反応ガスを基板110に供給するように構成される。注入コーン200は、図1Dの一方向から基板支持システム170に向かって開いているように表されているが、注入コーン200が他の方向から基板支持システム170に向かって開くことも意図される。特に、図2Aおよび図2Bに表す注入コーン200がX軸を中心に反転させることができ、かつ/または基板支持システム170を中心に任意の位置で回転させることができる。
【0024】
注入コーン200は、分離線210によって上部部分232と底部部分233とに分けられ、分離線210はy方向に平行である。一実施形態によれば、線形ラダー220(例えば、図2A)または線形ラダー220(例えば、図2B)は、反作ガスが注入コーン200の上部部分232の大部分または全体を通って流れるような方法で、各々が配置され、角度付けられる。いくつかの実施形態では、図2Bに示すように、本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるラダーは、上部部分232に配置される。一実施形態によれば、注入コーン200の分離線210は、基板支持体105の分離線117と平行である。反応体ガスが注入コーン200の底部部分233を通って流れることが可能な場合、反応ガスの大部分は基板領域の大半をそれて、未反応のままであるか、または排気120に引き込まれ、反応体ガスを浪費し、低成長部分115の上に配置された基板の部分に不均一な膜成長をもたらす。加えて、ラダーのない注入コーンはジェット気流のような流れを呈し、そこでは流れが1つの狭い流れに集中する。本明細書に開示される注入コーン200は、高成長部分116に依然として集中するが、はるかに広い領域に流れ150を分散させることを可能にする。
【0025】
注入コーン200の上部部分232を通る流れ150は、基板支持体105の高成長部分116の上に配置された基板110の部分の大部分または全体に膜110fの成長を可能にする。加えて、線形ラダー220による反応体ガスの循環が増大することで、基板110との反応ガスの反応速度を増加させ、より速い膜110fの成長へとつながる。線形ラダー220は、高成長部分116の上の反応体ガスの一体となった速度(高成長部分116の領域に対する)が可能な限り大きく、一方、一体となった速度が高成長部分116において可能な限り均一であるように配置される。線形ラダー220は、ウェッジのような他のラダー形状よりも流れ150の速度を大きくすることが可能である。
【0026】
線形ラダー220は、注入コーン200の第1の部分231内に任意の配列で配置することができる。線形ラダー220は、底面202に対して角θを有する。いくつかの実施形態によれば、線形ラダー220の各々は、同じ角度θまたは異なる角度を有することができる。いくつかの実施形態によれば、角度θは、約5°~約85°、例えば、約10°~約40°、例えば、約25°~約55°、または約35°~約45°で変化する。いくつかの実施形態では、一実施形態によれば、底面202から約15mm~約60mmの距離だけ隔てられた端部220Eを有する単一の線形ラダーがある。一実施形態によれば、線形ラダー220の端部220Eは、分割線215から約35mm~約45mmの距離だけ隔てられている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、図2Bに示すように、ラダー220の端部220Eは、底面202から約12mm~約50mm、例えば、約12mm~約40mm、例えば、約25mm~約40mmの距離だけ隔てられている。上面201と底面202との間の総最大距離は、80mm未満、例えば、約60mm~約75mmである。一実施形態によれば、複数の線形ラダー220がある中で線形ラダーは、約25mm~約75mmの長さを有する。一実施形態によれば、複数の線形ラダー220は、注入コーン200から出る反応体ガスの流れ150が約100以下のレイノルズ数(Re:Reynolds number)を有し、流れが層流となるように配置される。
【0027】
図3は、一実施形態による、反応ガスを供給するための方法300の動作のフロー図である。方法300の動作は、図1A図1Dおよび図3に関連して説明されるが、当業者は、本方法の動作を任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが、本明細書に記載される実施形態の範囲内に入ることを理解するのであろう。図1A図1Bは、方法300が開始する前の処理システム100を図示する。
【0028】
方法300は、反応体ガスが取り入れ口160を通って流れる動作310から始まる。反応体ガスは、上記の反応体ガスのいずれもが可能である。
【0029】
動作320では、反応体ガスは注入コーン200を通って流れる。注入コーン200は、上記の実施形態のいずれもが可能である。一実施形態によれば、反応体ガスの流れ150は、注入コーン200の上部部分232のみを通って供給される。一実施形態によれば、反応体ガスの流れ150は層流である。一実施形態によれば、注入コーン200を通る反応体ガスの流れ150は、約100以下のReを有する。
【0030】
動作330では、反応体ガスは基板110の表面に供給される。反応体ガスは、上記のように、基板110の表面と反応する。基板110は、約23℃~約1200℃の温度で加熱することができる。反応体ガスが基板支持体105の高成長部分116の上に配置された基板110の部分で膜110fを成長させるように、反応体ガスを供給することができる。一実施形態によれば、膜110fが形成する体積の約60%~約90%以上が、高成長部分116に配置される。いくつかの実施形態では、動作310、320、330を実行している間、基板110は連続的に回転する。図1Cは、基板支持体105の高成長部分116の上に配置された基板110の部分に、膜110fが堆積された後の処理システム100を図示する。
【0031】
任意選択の動作340では、膜110fが基板支持体の新しい低成長部分115’の上に配置された基板110の部分に配置されるように、基板110を約180°回転させて、膜成長のない基板の部分を基板支持体の高成長部分116の上に配置する。基板支持体105の新しい高成長部分116’の上に配置された基板110に膜110’が成長するように、動作310、320、および330が繰り返され、その結果、基板110全体にわたって膜110f、110f’が均一に膜成長する。他の実施形態では、反応ガスの第2のデリバリは異なるガスを含むことができ、したがって、膜110f、110f’は異なる材料を含むことができる。図1Dは、膜110f、110f’が基板110上に堆積された後の処理システム100を図示する。
【0032】
上記のように、処理システムが提供される。処理システムは、基板支持システム、注入コーン、および取り入れ口を含む。注入コーンは、1つまたは複数の線形ラダーを含む。線形ラダーは、注入コーンを通る反応体ガスの流れが、基板の特定部分の膜成長をもたらすように配置される。本方法は、注入コーンを通してガスを流し、下方の基板上にガスを供給することを含む。
【0033】
反応体ガスの局在化により、基板の特定部分での膜成長を可能にする。基板を回転させることができ、および/またはプロセスを繰り返すことができ、その結果、均一性が改善されたフィルム層の区分的または継続的な成長がもたらされる。
【0034】
上述のものは、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態は、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案され得て、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3