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特許7376793検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法
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  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図1
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図2
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図3
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図4
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図5
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図6
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図7
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図8
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図9
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図10
  • 特許-検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20231101BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231101BHJP
   G01N 21/95 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01N21/84 C
G01N21/95 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020029164
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021135079
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 喬恕
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-002232(JP,A)
【文献】特開平01-291110(JP,A)
【文献】特開2011-115924(JP,A)
【文献】特開2010-036304(JP,A)
【文献】特開2008-275077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの搬送路に配置され、前記ワークを挟持し、センサの検出領域に対して前記ワークを回転させる複数のローラを備える検査用ワーク回転装置であって、
さらに、二つのローラ支持部と、二つの前記ローラ支持部を接近、離間する方向に駆動する挟持駆動部と、を備え、
複数の前記ローラのうち、一部は一方の前記ローラ支持部に、残部は他方の前記ローラ支持部に、各々回転可能に支持され、
二つの前記ローラ支持部が接近、離間する方向を離接方向として、
さらに、各々、前記ローラ支持部と、前記ローラ支持部を前記離接方向に移動可能に支持する基部と、前記ローラ支持部と前記基部との間に配置される緩衝部と、を有する二つのユニットを備え、
前記挟持駆動部は、二つの前記基部を前記離接方向に駆動し、
前記ワークは、前記搬送路に載置される円板部と、前記円板部から下方に延出する軸部と、を備え、
前記ユニットは、前記搬送路の下側に配置され、
複数の前記ローラは、前記軸部を挟持し、回転させ、
前記センサは、前記搬送路の上側に配置され、前記円板部の上面に前記検出領域を設定する光切断センサである検査用ワーク回転装置
【請求項2】
さらに、前記ワークを挟持する際に前記ローラに加わる圧力を検出可能な圧力センサを備える請求項1に記載の検査用ワーク回転装置。
【請求項3】
前記検出領域は、前記円板部の径方向に延在する帯状を呈する請求項1または請求項2に記載の検査用ワーク回転装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用ワーク回転装置と、
複数の前記ローラが挟持し、回転させる前記ワークから、前記円板部の前記上面の形状に関する情報を検出する前記光切断センサと、
を備えるワーク検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク検査装置を用いるワーク検査方法であって、
複数の前記ローラで、前記軸部を挟持するワーク挟持工程と、
複数の前記ローラで、前記軸部を回転させ、前記光切断センサで前記情報を検出するワーク回転工程と、
前記情報から、前記ワークの外観不良を判別する判別工程と、
を有するワーク検査方法
【請求項6】
前記検出領域は、バリ用外側検出位置と、前記バリ用外側検出位置の径方向内側に設定されるバリ用内側検出位置と、を有し、
前記判別工程において、
前記情報から、前記バリ用外側検出位置の高度最大値と、前記バリ用内側検出位置の高度平均値と、を算出し、
前記高度最大値と前記高度平均値との差から、前記円板部の前記上面のバリを判別する請求項5に記載のワーク検査方法
【請求項7】
前記検出領域は、複数の欠肉用検出位置を有し、
前記判別工程において、
前記情報から、複数の前記欠肉用検出位置各々の高度平均値を算出し、
前記高度平均値と、前記円板部の前記上面の設計形状と、を比較することにより、欠肉を判別する請求項5に記載のワーク検査方法
【請求項8】
前記検出領域は、面振れ用検出位置と、補正用検出位置と、面反り用外側検出位置と、前記面反り用外側検出位置の径方向内側に設定される面反り用内側検出位置と、を有し、
前記判別工程において、
前記情報から、前記面振れ用検出位置の高度の最大値と最小値との差である高度ばらつきと、前記補正用検出位置の角度と、前記角度で補正された前記面反り用外側検出位置の高度平均値である外側補正高度平均値と、前記角度で補正された前記面反り用内側検出位置の高度平均値である内側補正高度平均値と、を算出し、
前記高度ばらつきから、面振れを判別し、
前記外側補正高度平均値と前記内側補正高度平均値との差から、面反りを判別し、
前記面振れから前記面反りの影響を除去することにより、軸曲がりを抽出、判別する請求項5に記載のワーク検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリヤアクスルシャフトやCVT(無段変速機)シャフトなどのワークをインラインで検査する際に用いられる、検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワークを回転させながら検査する外観検査装置が開示されている。同文献の外観検査装置は、ワークを挟持するチャック機構と、ワークを回転させる回転機構と、ワークを検査するラインセンサと、を備えている。同文献の外観検査装置によると、チャック機構でワークを把持したまま、回転機構でワークを回転させ、回転するワークをラインセンサで検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6598954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同文献記載の外観検査装置は、生産ラインとは別に配置されている。すなわち、ワークの検査はオフラインで実行される。このため、生産ラインから外観検査装置にワークを搬送する必要がある。したがって、その分、検査時間が長くなる。そこで、本発明は、検査時間を短縮化可能な検査用ワーク回転装置、当該検査用ワーク回転装置を備えるワーク検査装置、当該ワーク検査装置を用いるワーク検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の検査用ワーク回転装置は、ワークの搬送路に配置され、前記ワークを挟持し、センサの検出領域に対して前記ワークを回転させる複数のローラを備えることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のワーク検査装置は、前記検査用ワーク回転装置と、複数の前記ローラが挟持し、回転させる前記ワークから、前記ワークの円板部の上面の形状に関する情報を検出する光切断センサと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のワーク検査方法は、前記ワーク検査装置を用いるワーク検査方法であって、複数の前記ローラで、前記ワークの軸部を挟持するワーク挟持工程と、複数の前記ローラで、前記軸部を回転させ、前記光切断センサで前記情報を検出するワーク回転工程と、前記情報から、前記ワークの外観不良を判別する判別工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法によると、インラインで、ワークを回転させながら検査することができる。このため、搬送路から検査用ワーク回転装置にワークを搬送する必要がない。したがって、検査時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態のワーク検査装置を備えるインライン自動検査システムの斜視図である。
図2図2は、同インライン自動検査システムのブロック図である。
図3図3は、第一実施形態の検査用ワーク回転装置のフレームの斜視図である。
図4図4は、同検査用ワーク回転装置の左側のユニットの斜視図である。
図5図5は、同ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、同インライン自動検査システムの左右方向断面図である。
図7図7は、第一実施形態のワーク検査方法のワーク上昇工程におけるインライン自動検査システムの左右方向断面図である。
図8図8は、同ワーク検査方法のワーク挟持工程、ワーク回転工程におけるインライン自動検査システムの左右方向断面図である。
図9図9は、同ワーク検査方法のワーク回転工程におけるワークの円板部の上面図である。
図10図10(A)は、同ワーク検査方法の判別工程におけるバリ判別方法の模式図である。図10(B)は、同判別工程における欠肉判別方法の模式図である。図10(C)は、同判別工程における面振れ判別方法の模式図である。図10(D)は、同判別工程における面反り判別方法の模式図である。
図11図11は、第二実施形態のワーク検査装置を備えるインライン自動検査システムの左右方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法の実施の形態について説明する。
【0011】
<第一実施形態>
[インライン自動検査システムの機械的構成]
まず、本実施形態のワーク検査装置を備えるインライン自動検査システムの機械的構成について説明する。図1に、本実施形態のワーク検査装置を備えるインライン自動検査システムの斜視図を示す。図2に、同インライン自動検査システムのブロック図を示す。図3に、本実施形態の検査用ワーク回転装置のフレームの斜視図を示す。図4に、同検査用ワーク回転装置の左側のユニットの斜視図を示す。図5に、同ユニットの分解斜視図を示す。図6に、同インライン自動検査システムの左右方向断面図を示す。図1図2図6に示すように、インライン自動検査システム1は、生産ライン8とワーク検査装置2とを備えている。
【0012】
(生産ライン8)
図1図6に示すように、生産ライン8は、ワーク(車両のリヤアクスルシャフト)9の生産ラインである。ワーク9は、熱間鍛造品であって、円板部90と軸部91とを備えている。円板部90は、内径部900と、突出部901と、外径部902と、を備えている。内径部900は、円板状を呈している。突出部901は、内径部900の径方向外側に配置されている。突出部901は、円環状を呈している。突出部901は、内径部900よりも、上面の高度が高い。外径部902は、突出部901の径方向外側に配置されている。外径部902は、円環状を呈している。外径部902は、内径部900よりも、上面の高度が低い。軸部91は、内径部900の下面から下方に延出している。軸部91は、円柱状を呈している。
【0013】
図1図2図6に示すように、生産ライン8は、コンベア80と搬送モータ81とを備えている。コンベア80は、本発明の「搬送路」の概念に含まれる。コンベア80は、二つのベルト800を備えている。ベルト800は、前後方向(ワーク9の搬送方向)に延在している。二つのベルト800は、左右方向(離接方向。ワーク9の搬送方向に対して直交する方向)に所定間隔だけ離間して、並置されている。二つのベルト800には、ワーク9の円板部90が載置されている。ワーク9の軸部91は、二つのベルト800間の隙間から下側に延出している。ワーク9は、コンベア80を、前側(上流側)から後側(下流側)に向かって搬送される。搬送モータ81は、いわゆるサーボモータである。搬送モータ81は、二つのベルト800を駆動している。
【0014】
(ワーク検査装置2)
図1図2図6に示すように、ワーク検査装置2は、生産ライン8(具体的にはコンベア80)に配置されている。ワーク検査装置2は、検査用ワーク回転装置3と、光切断センサ63と、制御装置64と、表示装置65と、位置センサ66と、ワークストッパ67と、を備えている。
【0015】
(光切断センサ63、制御装置64、表示装置65、位置センサ66、ワークストッパ67)
図1図2に示すように、位置センサ66は、いわゆるフォトセンサである。位置センサ66は、発光素子660と受光素子661とを備えている。コンベア80を挟んで、発光素子660と受光素子661とは左右方向に対向して配置されている。位置センサ66は、コンベア80を搬送されるワーク9の円板部90が所定の検査位置に到達したことを、検出する。図2に示すワークストッパ67は、図1に示すコンベア80のベルト800の下側のスペースに対して、進退可能である。当該スペースに進入したワークストッパ67は、所定の検査位置に到達したワーク9の軸部91を、後側から停止させる。
【0016】
図1図2図6に示すように、光切断センサ63は、コンベア80の上側に配置されている。光切断センサ63は、発光素子630と受光素子631とを備えている。発光素子630は、帯状(スリット状)のレーザー光を円板部90の上面に照射する。当該レーザー光により、円板部90の上面には、径方向に延在する帯状の、検出領域Aが設定される。受光素子631は、検出領域Aからの反射光を受光する。
【0017】
図2に示す制御装置64は、後述する検査用ワーク回転装置3に配置されている。制御装置64は、演算部640と、記憶部641と、入出力インターフェイス642と、を備えている。記憶部641には、後述するワーク検査方法のワーク挟持工程で使用する、圧力規定値P0が格納されている。また、記憶部641には、後述するワーク検査方法の判別工程で使用する、ワーク9の円板部90の上面の設計形状B、バリしきい値Vth1、欠肉しきい値Vth2、面振れしきい値Vth3、面反りしきい値Vth4、軸曲がりしきい値Vth5が格納されている。表示装置65は、いわゆるタッチパネルである。表示装置65は、後述する検査用ワーク回転装置3に配置されている。
【0018】
(検査用ワーク回転装置3)
図1図2図6に示すように、検査用ワーク回転装置3は、コンベア80の下側に配置されている。検査用ワーク回転装置3は、フレーム4と、二つのユニット5と、二つの回転駆動部60と、昇降駆動部61と、挟持駆動部62と、を備えている。
【0019】
(フレーム4)
図3図6に示すように、フレーム4は、本体フレーム40と、四つのユニットフレーム41と、を備えている。本体フレーム40は、四つの脚部400と、第一テーブル401と、第二テーブル402と、を備えている。脚部400は、上下方向に延在している。第一テーブル401は、四つの脚部400間に配置されている。第一テーブル401には、貫通孔401aが形成されている。第二テーブル402は、第一テーブル401の下側に配置されている。第二テーブル402は、四つの脚部400間に配置されている。
【0020】
四つのユニットフレーム41は、各々、脚部(第一テーブル401よりも上側の部分)400に配置されている。四つのユニットフレーム41の構成は同じである。四つのユニットフレーム41の配置は左右対称である。ユニットフレーム41は、第一横梁部410と、第一ガイド部411と、第二横梁部412と、第二ガイド部413と、を備えている。第一横梁部410は、左右方向に延在している。第一ガイド部411は、第一横梁部410の上面に配置されている。第一ガイド部411は、レール状であって、左右方向に延在している。第二横梁部412は、第一横梁部410の下側に配置されている。第二横梁部412は、左右方向に延在している。第二ガイド部413は、第二横梁部412の上面に配置されている。第二ガイド部413は、レール状であって、左右方向に延在している。
【0021】
(ユニット5)
図1図6に示すように、二つのユニット5は、フレーム4に対して、左右方向(詳しくは、互いに接近、離間する方向)に移動可能である。二つのユニット5は、左右方向に対向して配置されている。二つのユニット5の構成は同じである。二つのユニット5の配置は左右対称である。以下、代表して左側のユニット5について説明する。
【0022】
図4図6に示すように、ユニット5は、基部50と、ローラ支持部51と、三つの緩衝部52と、圧力センサ53と、を備えている。基部50は、フレーム4に対して、左右方向に移動可能である。基部50は、本体部500と、二つの内側第一ガイド部501と、二つの内側第二ガイド部502と、ブラケット503と、二つの翼部504と、二つの外側第一被ガイド部505と、二つの外側第二被ガイド部506と、を備えている。
【0023】
本体部500は、右側に開口する箱状を呈している。二つの内側第一ガイド部501のうち、一方は本体部500の前壁後面(内面)に、他方は本体部500の後壁前面(内面)に、配置されている。内側第一ガイド部501は、レール状であって、左右方向に延在している。二つの内側第二ガイド部502は、本体部500の下壁上面(内面)に配置されている。内側第二ガイド部502は、レール状であって、左右方向に延在している。ブラケット503は、本体部500の内部に配置されている。ブラケット503は、後述するローラ支持部51の第二ブラケット511に左右方向に対向している。
【0024】
図4図5に示すように、二つの翼部504のうち、一方は本体部500の前壁前面(外面)の上側部分に、他方は本体部500の後壁後面(外面)の上側部分に、配置されている。二つの外側第一被ガイド部505は、各々、翼部504の下面に配置されている。外側第一被ガイド部505は、ユニットフレーム41の第一ガイド部411に対して、左右方向にスライド可能である。二つの外側第二被ガイド部506のうち、一方は本体部500の前壁前面(外面)の下側部分に、他方は本体部500の後壁後面(外面)の下側部分に、配置されている。外側第二被ガイド部506は、ユニットフレーム41の第二ガイド部413に対して、左右方向にスライド可能である。
【0025】
図5に示すように、ローラ支持部51は、基部50に対して、左右方向に移動可能である。ローラ支持部51は、第一ブラケット510と、第二ブラケット511と、二つの第一被ガイド部514と、第三ブラケット515と、二つの第二被ガイド部516と、二つの軸受部517と、二つのローラ回転軸518と、四つのローラ519と、を備えている。第二ブラケット511は、第一ブラケット510の下側に配置されている。二つの第一被ガイド部514は、第二ブラケット511の前後方向両縁に配置されている。第一被ガイド部514は、基部50の内側第一ガイド部501に対して、左右方向にスライド可能である。第三ブラケット515は、第二ブラケット511の下側に配置されている。二つの第二被ガイド部516は、第三ブラケット515の下縁に配置されている。第二被ガイド部516は、基部50の内側第二ガイド部502に対して、左右方向にスライド可能である。
【0026】
図5図6に示すように、二つの軸受部517は、前後方向に所定間隔だけ離間して、並置されている。軸受部517は、上下方向に並ぶ四つの軸受517aを備えている。一番上の軸受(図略)は第一ブラケット510の下面に埋設されている。一番下の軸受517aは第三ブラケット515に、中央の二つの軸受517aは第二ブラケット511に、各々配置されている。二つのローラ回転軸518は、前後方向に所定間隔だけ離間して、並置されている。図6に示すのは、前後二つのローラ回転軸518のうち、後側のローラ回転軸518である(後述する図7図8図11も同様)。ローラ回転軸518は、上下方向に延在している。ローラ回転軸518は、軸受部517により、回転可能に支持されている。
【0027】
図5図6に示すように、四つのローラ519のうち、前側の二つのローラ519は、前側のローラ回転軸518に固定されている。前側の二つのローラ519のうち、上側のローラ519は第一ブラケット510付近に、下側のローラ519は第三ブラケット515付近に、配置されている。後側の二つのローラ519は、前側の二つのローラ519同様に、後側のローラ回転軸518に固定されている。四つのローラ519は、二つの軸受部517により、ローラ回転軸518を中心に、水平面内を回転可能である。
【0028】
図5図6に示す三つの緩衝部52は、いわゆるコイルばねである。左右方向から見て、三つの緩衝部52は、下向きに尖る三角形の三つの頂点に配置されている。三つの緩衝部52は、ローラ支持部51の第二ブラケット511と、基部50のブラケット503(図5に緩衝部52の配置場所を円で示す)と、の間に配置されている。緩衝部52は、後述するワーク検査方法のワーク挟持工程において、ワーク9の軸部91を挟持する際にローラ519に加わる衝撃を吸収する。図6に示すように、圧力センサ53は、下側の緩衝部52と、基部50のブラケット503と、の間に配置されている。圧力センサ53は、後述するワーク検査方法のワーク挟持工程において、ワーク9の軸部91を挟持する際にローラ519に加わる圧力を検出する。
【0029】
(回転駆動部60、昇降駆動部61、挟持駆動部62)
図6に示す二つの回転駆動部60は、後述するワーク検査方法のワーク回転工程において、ローラ519を回転させ、軸部91を中心にワーク9を回転させる。二つの回転駆動部60は、各々、ユニット5に配置されている。回転駆動部60は、回転モータ600と、四つのギヤ601~604と、を備えている。回転モータ600は、いわゆるサーボモータである。ギヤ(平歯車)601は、回転モータ600の回転軸に固定されている。ギヤ(平歯車)602は、ギヤ601に噛合している。基部50に対するローラ支持部51のスライドに対応して、ギヤ601に対してギヤ602は左右方向にスライド可能である。ギヤ(傘歯車)603は、ギヤ602と同じ回転軸に固定されている。当該回転軸は、第二ブラケット511を左右方向に貫通している。ギヤ(傘歯車)604は、ギヤ603に噛合している。ギヤ604は、後側のローラ回転軸518に固定されている。後側のローラ回転軸518には、回転モータ600から、四つのギヤ601~604を介して、駆動力が伝達される。
【0030】
図6に示す昇降駆動部61は、後述するワーク検査方法において、ワーク9の軸部91を押し上げる。昇降駆動部61は、第二テーブル402に配置されている。昇降駆動部61は、昇降シリンダ610を備えている。昇降シリンダ610は、いわゆるエアシリンダである。昇降シリンダ610は、シリンダ本体610aとロッド610bとを備えている。ロッド610bは、上下方向に移動可能である。ロッド610bは、第一テーブル401の貫通孔401aに挿通されている。ロッド610bには、貫通孔610cが形成されている。貫通孔610cは、左右方向にロッド610bを貫通している。貫通孔610cは、上下方向に長い長円状を呈している。貫通孔610cの上下方向長さは、ロッド610bの上下方向ストローク以上に設定されている。
【0031】
図6に示す挟持駆動部62は、後述するワーク検査方法において、二つのユニット5を近接させ、合計八つのローラ519によりワーク9の軸部91を挟持させる。挟持駆動部62は、挟持モータ620と、台形ねじ部621と、軸受622と、を備えている。挟持モータ620は、いわゆるサーボモータである。台形ねじ部621は、シャフト621aと、二つのナット621bと、を備えている。シャフト621aは、左右方向に延在している。シャフト621aの右端(先端)は、軸受622により、回転可能に支持されている。シャフト621aは、左側区間Lと右側区間Rとを備えている。左側区間Lと右側区間Rとでは、ねじの螺旋方向が反転している。シャフト621aは、ロッド610bの貫通孔610cに挿通されている。二つのナット621bのうち、左側のナット621bはシャフト621aの左側区間Lに、右側のナット621bは右側区間Rに、環装されている。ナット621bは、本体部500の下面に配置されている。
【0032】
[インライン自動検査システムの電気的構成]
次に、インライン自動検査システムの電気的構成について簡単に説明する。図2に示すように、制御装置64は、入出力インターフェイス642を介して、搬送モータ81、位置センサ66、ワークストッパ67、光切断センサ63、挟持モータ620、昇降シリンダ610、二つの回転モータ600、二つの圧力センサ53、表示装置65に、電気的に接続されている。
【0033】
[ワーク検査方法]
次に、インライン自動検査システムによるワーク検査方法について説明する。インライン自動検査システム1は、コンベア80を搬送される全てのワーク9に対して、以下に示すワーク検査方法を実行する。ワーク検査方法は、ワーク停止工程と、ワーク上昇工程と、ワーク挟持工程と、ワーク回転工程と、判別工程と、を有している。図6に示すのは、本実施形態のワーク検査方法のワーク停止工程におけるインライン自動検査システムの左右方向断面図である。図7に、同ワーク検査方法のワーク上昇工程におけるインライン自動検査システムの左右方向断面図を示す。図8に、同ワーク検査方法のワーク挟持工程、ワーク回転工程におけるインライン自動検査システムの左右方向断面図を示す。図9に、同ワーク検査方法のワーク回転工程におけるワークの円板部の上面図を示す。なお、図9においては、円板部90を透過して示す。
【0034】
(ワーク停止工程)
本工程においては、搬送中のワーク9を停止させる。図1図6に示すように、ワーク9が所定の検査位置に到達すると、位置センサ66がワーク9の円板部90を検出する。図2に示すように、位置センサ66は、制御装置64に信号を伝送する。当該信号により、制御装置64は、ワークストッパ67を、ベルト800の下側のスペースに進入させる。ワークストッパ67は、検査位置に到達したワーク9の軸部91を後側から停止させる。なお、コンベア80は動いたままである。
【0035】
(ワーク上昇工程)
本工程においては、ワーク9を上昇させる。図2図7に示すように、制御装置64は、昇降駆動部61の昇降シリンダ610を駆動し、ロッド610bによりワーク9の軸部91を押し上げる。そして、円板部90を、二つのベルト800の上面(搬送面)から所定の検査高度まで、上昇させる。
【0036】
(ワーク挟持工程)
本工程においては、八つのローラ519によりワークを挟持する。図2図8に示すように、制御装置64は、挟持駆動部62の挟持モータ620を駆動し、シャフト621aを回転させる。二つのナット621b、つまり二つのユニット5は、左右方向(互いに接近する方向)に移動する。この際、図4に示すように、外側第一被ガイド部505が第一ガイド部411を、外側第二被ガイド部506が第二ガイド部413を、各々左右方向にスライドする。ユニット5の移動により、ワーク9の軸部91は、左側のユニット5の四つのローラ519と、右側のユニット5の四つのローラ519とにより、左右方向から挟持される。
【0037】
ここで、図5に示すように、第一被ガイド部514が内側第一ガイド部501を、第二被ガイド部516が内側第二ガイド部502を、各々左右方向にスライドすることにより、ローラ支持部51は、基部50に対して、左右方向に移動可能である。このため、ローラ519が軸部91に当接すると、ローラ支持部51は停止するものの、基部50は停止せず移動を続ける。したがって、ローラ支持部51の第二ブラケット511と、基部50のブラケット503と、の間隔が狭くなる。よって、緩衝部52は、弾性復元力を蓄積しながら、左右方向に収縮する。また、圧力センサ53の圧力値は上昇する。
【0038】
図2に示すように、圧力センサ53は、制御装置64に圧力値を伝送する。圧力センサ53の圧力値が、記憶部641に格納されている圧力規定値P0に達したら、制御装置64が挟持モータ620を停止する。このため、八つのローラ519は、所定の圧力で軸部91を挟持することができる。また、図8に示すように、軸部91の中心軸Oを、後述するワーク回転工程におけるワーク9の回転軸に、調芯することができる。
【0039】
(ワーク回転工程)
本工程においては、八つのローラ519によりワークを回転させる。図2図8図9に示すように、制御装置64は、回転駆動部60の回転モータ600を駆動し、図5に示すように、後側のローラ回転軸518つまりローラ519を回転させる。図9に示すように、後側の二つのローラ519が回転すると、後側のローラ519に当接しているワーク9の軸部91が、自身の中心軸Oを中心に、回転する。このため、軸部91に当接している前側のローラ519も回転する。このように、後側の二つのローラ519は駆動輪である。他方、前側の二つのローラ519は従動輪である。
【0040】
制御装置64は、ワーク9の回転に伴って、光切断センサ63を駆動する。図9に示すように、ワーク9の円板部90の上面には、光切断センサ63の検出領域Aが設定されている。検出領域Aには、複数(例えば20個)の検出位置aが設定されている。図9に点線で示すように、検出領域Aは、ワーク9の回転に伴って、周方向に移動する。光切断センサ63は、ワーク9の円板部90の上面の高度(形状)に関する情報を、制御装置64に伝送する。制御装置64は、回転モータ600のエンコーダ(図略)から、ワーク9の回転角度を検出している。ワーク9が一周(360°)回転すると、制御装置64は、回転モータ600を停止する。
【0041】
(判別工程)
本工程においては、ワーク9の外観不良を判別する。制御装置64は、ワーク回転工程で取得した情報を基に、バリ、欠肉、面振れ、面反り、軸曲がりを判別する。ここで、「面反り」とは、円板部90の上面の形状(設計形状は平面)に関する外観不良である。また、「軸曲がり」とは、図6に示す軸部91に対する円板部90の角度θ(設計値は90°)に関する外観不良である。また、「面振れ」とは、「面反り」と「軸曲がり」とを含む複合的な外観不良である。
【0042】
図10(A)に、本実施形態のワーク検査方法の判別工程におけるバリ判別方法の模式図を示す。図10(B)に、同判別工程における欠肉判別方法の模式図を示す。図10(C)に、同判別工程における面振れ判別方法の模式図を示す。図10(D)に、同判別工程における面反り判別方法の模式図を示す。なお、図10(B)に示すのは、円板部90の外径部902の右側の外周縁付近の拡大断面図である。
【0043】
(バリ判別方法)
図10(A)に示すように、検出領域Aは、バリ用外側検出位置a1と、バリ用内側検出位置a2と、を有している。バリ用外側検出位置a1は、円板部90の外径部902の外周縁付近に設定されている。バリ用内側検出位置a2は、バリ用外側検出位置a1の径方向内側隣りに設定されている。
【0044】
図2に示す制御装置64は、ワーク回転工程で取得した情報から、バリ用外側検出位置a1の高度最大値と、バリ用内側検出位置a2の高度平均値(ワーク回転工程におけるワーク9の一周分の高度の平均値)と、を算出する。続いて、制御装置64は、高度最大値と高度平均値との高度差H1を算出する。制御装置64は、高度差H1と、記憶部641に格納されているバリしきい値Vth1と、を比較する。比較の結果、高度差H1がバリしきい値Vth1以下の場合(H1≦Vth1)、制御装置64は、「バリb1無し」と判別する。他方、高度差H1がバリしきい値Vth1超過の場合(H1>Vth1)、制御装置64は、「バリb1有り」と判別する。
【0045】
(欠肉判別方法)
図10(B)に示すように、検出領域Aは、径方向に並ぶ複数の欠肉用検出位置a3を有している。図2に示す制御装置64は、ワーク回転工程で取得した情報から、複数の欠肉用検出位置a3の各々について、高度平均値を算出する。制御装置64は、欠肉用検出位置a3ごとに、高度平均値を算出する。続いて、制御装置64は、欠肉用検出位置a3ごとに、高度平均値と、記憶部641に格納されている設計形状Bと、の高度差H2を算出する。それから、制御装置64は、欠肉用検出位置a3ごとに、高度差H2と、記憶部641に格納されている欠肉しきい値Vth2と、を比較する。比較の結果、全ての欠肉用検出位置a3の高度差H2が欠肉しきい値Vth2以下の場合(H2≦Vth2)、制御装置64は、「欠肉b2無し」と判別する。他方、少なくとも一つの欠肉用検出位置a3の高度差H2が欠肉しきい値Vth2超過の場合(H2>Vth2)、制御装置64は、「欠肉b2有り」と判別する。
【0046】
(面振れ判別方法)
図10(C)に示すように、検出領域Aは、面振れ用検出位置a4を有している。面振れ用検出位置a4は、外径部902の外周縁付近に設定されている。図2に示す制御装置64は、ワーク回転工程で取得した情報から、面振れ用検出位置a4の高度の最大値と最小値との差である高度ばらつき(面振れ量)H3を算出する。制御装置64は、高度ばらつきH3と、記憶部641に格納されている面振れしきい値Vth3と、を比較する。比較の結果、高度ばらつきH3が面振れしきい値Vth3以下の場合(H3≦Vth3)、制御装置64は、「面振れ無し」と判別する。他方、高度ばらつきH3が面振れしきい値Vth3超過の場合(H3>Vth3)、制御装置64は、「面振れ有り」と判別する。
【0047】
(面反り判別方法)
図10(D)に示すように、検出領域Aは、補正用検出位置a7と、面反り用外側検出位置a5と、面反り用内側検出位置a6と、を有している。面反り用外側検出位置a5は、外径部902の外周縁付近に設定されている。面反り用内側検出位置a6は、外径部902の内周縁付近に設定されている。補正用検出位置a7は、突出部901に設定されている。突出部901は、外径部902よりも径方向内側に配置されている。また、突出部901は、外径部902よりも、板厚(上下方向板厚)が大きい。このため、突出部901の上面には面反りが発生しにくい。したがって、補正用検出位置a7の高度がばらつく場合、その要因は主に軸曲がりにあると想定される。
【0048】
そこで、制御装置64は、面反り用外側検出位置a5の高度から軸曲がりの影響を除外するために、補正用検出位置の角度で、面反り用外側検出位置a5の高度を補正する。続いて、制御装置64は、補正高度の平均値である外側補正高度平均値を取得する。同様に、制御装置64は、補正用検出位置の角度で面反り用内側検出位置a6の高度を補正し、補正高度の平均値である内側補正高度平均値を取得する。それから、制御装置64は、外側補正高度平均値と内側補正高度平均値との高度差(面反り量)H4を算出する。制御装置64は、高度差H4と、記憶部641に格納されている面反りしきい値Vth4と、を比較する。比較の結果、高度差H4が面反りしきい値Vth4以下の場合(H4≦Vth4)、制御装置64は、「面反り無し」と判別する。他方、高度差H4が面反りしきい値Vth4超過の場合(H4>Vth4)、制御装置64は、「面反り有り」と判別する。
【0049】
(軸曲がり判別方法)
上述の面振れ判別方法の高度ばらつき(面振れ量)H3は、面反り判別方法の高度差(面反り量)H4と、軸曲がり量と、の和である。制御装置64は、高度ばらつきH3から高度さH4を引くことにより、軸曲がり量H5を算出する。制御装置64は、軸曲がり量H5と、記憶部641に格納されている軸曲がりしきい値Vth5と、を比較する。比較の結果、軸曲がり量H5が軸曲がりしきい値Vth5以下の場合(H5≦Vth5)、制御装置64は、「軸曲がり無し」と判別する。他方、軸曲がり量H5が軸曲がりしきい値Vth5超過の場合(H5>Vth5)、制御装置64は、「軸曲がり有り」と判別する。
【0050】
判別工程において、外観不良(バリ、欠肉、面振れ、面反り、軸曲がりのうち、少なくとも一つ)が検出されなかった場合、図2に示す制御装置64は、図6に示すようにワーク9をコンベア80に戻し、ワークストッパ67を、ベルト800の下側のスペースから退出させる。ワークストッパ67から解放されたワーク9は、コンベア80により、下流側に搬送される。他方、外観不良が検出された場合、制御装置64は、表示装置65にその旨表示する。
【0051】
[作用効果]
次に、本実施形態の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法の作用効果について説明する。図2図6図9に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3、ワーク検査装置2、ワーク検査方法によると、ワーク9の外観検査を自動的に実行することができる。このため、作業者が手作業で外観検査を実行する場合と比較して、作業負荷を軽減することができる。また、検査時間を短縮化することができる。また、外観不良の検出精度が高くなる。
【0052】
図8図9に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3、ワーク検査装置2、ワーク検査方法によると、インライン(生産ライン8内)で、ワーク9を回転させながら検査することができる。このため、コンベア80から検査用ワーク回転装置3にワーク9を搬送する必要がない。したがって、検査用のワーク搬送装置(搬送ロボット等)が不要である。よって、ワーク搬送装置の設置コストを削減することができる。また、ワーク搬送装置の設置スペースを確保する必要がない。また、搬送が不要な分だけ、検査時間を短縮化することができる。
【0053】
図6図9に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3によると、複数のローラ519により、ワーク9を挟持し、回転させることができる。すなわち、複数のローラ519は、ワーク挟持機能とワーク回転機能とを併有している。このため、ワーク挟持機構とワーク回転機構とを別々に備える検査用ワーク回転装置と比較して、構造が簡単である。また、検査用ワーク回転装置3を小型化することができる。
【0054】
図1に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3によると、上側から見て、コンベア80と検査用ワーク回転装置3とが重複している。したがって、検査用ワーク回転装置3の設置スペースを小さくすることができる。また、コンベア80の下側にスペースがあれば、検査用ワーク回転装置3を設置することができる。このため、既設の生産ライン8のコンベア80に、検査用ワーク回転装置3を、簡単に追加配置することができる。すなわち、既設の生産ライン8に、インライン自動検査システム1を、簡単に導入することができる。
【0055】
図4図5に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3のユニット5によると、複数のローラ519が上下方向に複数の段に分かれて配置されている。このため、ワーク9の軸部91が湾曲している場合であっても、軸部91を挟持しやすい。また、図9に示すように、複数のローラ519は軸部91を全周的に囲んでいる。このため、軸部91をしっかりと挟持することができる。
【0056】
図5図8に示すように、ローラ支持部51の第二ブラケット511と基部50のブラケット503との間には、複数の緩衝部52が介在している。このため、軸部91を挟持する際にローラ519に加わる衝撃を吸収することができる。
【0057】
図5図8に示すように、緩衝部52と基部50のブラケット503との間には、圧力センサ53が介在している。このため、軸部91を挟持する際にローラ519に加わる圧力を検出することができる。したがって、所望の挟持力を確保することができる。また、圧力センサ53の圧力値から、ローラ519の摩耗やワーク9の形状異常などを検出することができる。また、図9に示すように、外観検査時に、軸部91の中心軸Oを中心にワーク9が回転するように、ワーク9を調芯することができる。
【0058】
図8図9に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3によると、複数のローラ519は、検出領域Aが設定されている円板部90ではなく、軸部91を挟持する。このため、ローラ519が検出領域Aに干渉しない。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の検査用ワーク回転装置3によると、外観検査を行わない場合は、軸部91に干渉しない位置で、二つのユニット5を待機させておくことができる。このため、コンベア80を流れる複数のワーク9を、所望の間隔、頻度で検査することができる。
【0060】
図6図9に示すように、軸部91を挟持する際、二つのユニット5つまり全てのローラ519)は、一軸方向(左右方向。直線方向)に移動する。このため、全てのローラ519が多軸方向に移動する場合と比較して、構造が簡単である。また、検査用ワーク回転装置3の設置スペースを小さくすることができる。また、検査時間を短縮化することができる。また、二つのユニット5の移動方向(左右方向。離接方向)と、コンベア80の延在方向(前後方向。搬送方向)と、は互いに直交している。このため、図6に示すように、ワーク9搬送時における二つのユニット5の待機位置を軸部91に近い位置に設定しても、搬送中の軸部91がユニット5に干渉しにくい。また、図6に示すように、二つのユニット5は共用の挟持モータ620で駆動される。このため、二つのユニット5を各々専用の挟持モータで駆動する場合と比較して、部品数が少ない。
【0061】
図9に示すように、検出領域Aは、円板部90の径方向に延在する帯状を呈している。すなわち、円板部90の回転方向(周方向)に対して直交する方向(径方向)に、検出領域Aは延在している。このため、効率的に円板部90の上面の形状に関する情報を検出することができる。
【0062】
図10(C)、図10(D)に示すように、本実施形態のワーク検査方法によると、面振れの要因を、面反りと、軸曲がりと、に分けて解析することができる。このため、外観不良の発生率を下げることができる。
【0063】
<第二実施形態>
本実施形態の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法と第一実施形態の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法との相違点は、検査用ワーク回転装置が、昇降モジュールを備えている点である。また、ワーク検査方法において、ワーク挟持工程の後にワーク上昇工程が実行される点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0064】
図11に、本実施形態のワーク検査装置を備えるインライン自動検査システムの左右方向断面図を示す。なお、図8と対応する部位については、同じ符号で示す。図11に示すように、昇降モジュール20は、四つのユニットフレーム41と、第一テーブル401と、二つのユニット5と、を備えている。本体フレーム40の四つの脚部400には、各々、ガイド部400aが配置されている。ユニットフレーム41は、ガイド部400aに沿って昇降可能である。昇降シリンダ610のロッド610bは、第一テーブル401の下面に連結されている。
【0065】
本実施形態のワーク検査方法は、ワーク停止工程と、ワーク挟持工程と、ワーク上昇工程と、ワーク回転工程と、判別工程と、を備えている。ワーク挟持工程においては、ワーク9の円板部90がコンベア80に載置された状態のまま、図2に示す制御装置64が挟持モータ620を駆動し、複数のローラ519でワーク9の軸部91を挟持する。ワーク上昇工程においては、図2に示す制御装置64が昇降シリンダ610を駆動し、ロッド610bで第一テーブル401つまり昇降モジュール20を押し上げる。ユニットフレーム41つまり昇降モジュール20は、ガイド部400aに沿って上昇する。このため、ワークの円板部90は、二つのベルト800の上面(搬送面)から所定の検査高度まで、上昇する。その後のワーク回転工程、判別工程は、第一実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法と、第一実施形態の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法とは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。
【0067】
本実施形態の検査用ワーク回転装置3によると、ワーク上昇工程において、ワーク9が、昇降モジュール20に固定された状態で上昇する。このため、軸部91の下面の形状によらず、ワーク9を上昇させることができる。また、ワーク上昇行程において、ワーク9の水平方向位置がずれにくい。このため、軸部91の中心軸Oを、ワーク回転工程におけるワーク9の回転軸に、調芯しやすい。
【0068】
<その他>
以上、本発明の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置、ワーク検査方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0069】
図1に示す位置センサ66の種類は特に限定しない。非接触式、接触式の各種センサを用いることができる。ワーク停止工程において、図2に示す位置センサ66からの信号を受けた制御装置64が搬送モータ81を停止させることにより、ワーク9を停止させてもよい。ワーク検査用のセンサの種類は特に限定しない。非接触式、接触式の各種センサを用いることができる。例えば、渦電流センサ、ラインカメラ、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサなどであってもよい。光切断センサ63の受光素子631として、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサを用いてもよい。この場合、図2に示す表示装置65に検出領域Aの画像を表示してもよい。こうすると、作業者が目視で検出領域Aの状態を確認することができる。
【0070】
図3に示す台形ねじ部621の代わりに、ボールねじ部を配置してもよい。図2に示す制御装置64、表示装置65として、生産ライン8の制御装置、表示装置を用いてもよい。また、制御装置64、表示装置65として、パソコンや携帯移動端末(例えば、タブレット型PC、スマートフォンなど)を用いてもよい。二つのユニット5の移動方向(離接方向)と、コンベア80の延在方向と、の交差角度は特に限定しない。移動方向と延在方向とが互いに平行であってもよい。
【0071】
図6に示す回転駆動部60、昇降駆動部61、挟持駆動部62の構成は特に限定しない。回転駆動部60は、軸部91の中心軸Oを中心にワーク9を回転させることが可能な構成であればよい。昇降駆動部61は、コンベア80からワーク9を上昇させることが可能な構成であればよい。挟持駆動部62は、ローラ519でワーク9を挟持することが可能な構成であればよい。二つのユニット5を各々専用の挟持モータで駆動してもよい。ローラ519でワーク9を挟持した状態で、ワーク9の左右方向位置を調整してもよい。回転駆動部60、昇降駆動部61、挟持駆動部62のアクチュエータとして、モータ(サーボモータ、ステッピングモータ)、シリンダ(エアシリンダ、オイルシリンダ)、ソレノイドなどを用いてもよい。回転駆動部60、昇降駆動部61、挟持駆動部62を手動で駆動してもよい。回転駆動部60、昇降駆動部61、挟持駆動部62の動力伝達機構には、歯車、ラック、カム、ベルト、チェーンなどを用いてもよい。図2に示すインライン自動検査システム1の電気的構成について、各機器の電気的接続方法は、有線でも無線でもよい。
【0072】
図5に示すローラ519の上下方向(軸方向)の配置数は特に限定しない。単一、あるいは複数でもよい。ローラ519の水平方向の配置数は特に限定しない。単一、あるいは複数でもよい。ローラ519の水平方向の配置数が単一の場合、ワーク9を壁等に押し付けながら、単一のローラ519でワーク9を回転させてもよい。好ましくは、ローラ519の水平方向の配置数は、三つ以上である方がよい。この場合、三つ以上のローラ519だけに挟持された状態で、壁等を用いることなく、ワーク9を回転させることができる。図6に示す左右一対のローラ支持部51のローラ519の配置数は、同じでも異なっていてもよい。例えば、左側のローラ支持部51に一つのローラ519を、右側のローラ支持部51に二つのローラ519を、各々配置してもよい。複数のローラ519のうち、少なくとも一つが駆動輪であればよい。勿論、全てのローラ519が駆動輪であってもよい。
【0073】
図1に示す検出領域Aの形状は特に限定しない。円形、長方形などであってもよい。検出領域Aが帯状の場合、円板部90の直径方向全長を含むように、検出領域Aを設定してもよい。こうすると、ワーク9を半周(180°)回転させるだけで、円板部90の上面全体の形状に関する情報を取得することができる。検出領域Aを、図9に示す中心軸Oを中心とする十字状に設定してもよい。こうすると、ワーク9を1/4周(90°)回転させるだけで、円板部90の上面全体の形状に関する情報を取得することができる。このように、ワーク回転工程におけるワーク9の回転角度は特に限定しない。検出領域Aの設定位置や形状に応じて、適宜設定すればよい。勿論、ワーク回転工程において、一周を超えてワーク9を回転させてもよい。また、検出領域Aの設定位置は特に限定しない。ワーク9の表面(例えば、軸方向端面、外周面、内周面など)であってもよい。
【0074】
図5に示す基部50とローラ支持部51とは一体であってもよい。緩衝部52、圧力センサ53の配置数は特に限定しない。ワーク9が高温の場合、光切断センサ63をワーク9の熱から保護するために、光切断センサ63に、冷却ファンやヒートシンクを配置してもよい。また、光切断センサ63とワーク9との間に、断熱部材を介装してもよい。ワーク9の外観検査の頻度は特に限定しない。全数検査でなくてもよい。図8に示すローラ回転軸518の延在方向は特に限定しない。水平方向でもよい。また、垂直方向(上下方向)、水平方向に対して傾斜する方向でもよい。
【0075】
ワーク9の円板部90の上面の形状に関する情報は特に限定しない。例えば、クラックの有無、高度、色、光沢、温度、粗度などであってもよい。情報の種類に応じて、ワーク検査用のセンサを選択すればよい。ワーク9の種類は特に限定しない。完成品(製品)であっても、粗形品(後加工が必要なもの)であってもよい。また、ワーク9として、CVTシャフト、歯車などを用いてもよい。ワーク9は、軸方向から見て、点対称の形状(軸周りに回転可能な形状)を呈していればよい。
【0076】
図1に示すワーク検査装置2、検査用ワーク回転装置3をオフライン(生産ライン8外)で用いてもよい。ワーク検査方法の判別工程においては、バリ判別方法、欠肉判別方法、面振れ判別方法、軸曲がり判別方法のうち、少なくとも一つを実行すればよい。また、判別工程において、他の外観不良(色、光沢、粗度など)を判別してもよい。また、本発明のワーク検査方法は、本発明の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置から独立して、他の検査用ワーク回転装置、ワーク検査装置により実行することができる。本発明の検査用ワーク回転装置は、本発明のワーク検査装置、ワーク検査方法から独立して、検査以外の用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0077】
1:インライン自動検査システム、2:ワーク検査装置、20:昇降モジュール、3:検査用ワーク回転装置、4:フレーム、40:本体フレーム、400:脚部、400a:ガイド部、401:第一テーブル、401a:貫通孔、402:第二テーブル、41:ユニットフレーム、410:第一横梁部、411:第一ガイド部、412:第二横梁部、413:第二ガイド部、5:ユニット、50:基部、500:本体部、501:内側第一ガイド部、502:内側第二ガイド部、503:ブラケット、504:翼部、505:外側第一被ガイド部、506:外側第二被ガイド部、51:ローラ支持部、510:第一ブラケット、511:第二ブラケット、514:第一被ガイド部、515:第三ブラケット、516:第二被ガイド部、517:軸受部、517a:軸受、518:ローラ回転軸、519:ローラ、52:緩衝部、53:圧力センサ、60:回転駆動部、600:回転モータ、601~604:ギヤ、61:昇降駆動部、610:昇降シリンダ、610a:シリンダ本体、610b:ロッド、610c:貫通孔、62:挟持駆動部、620:挟持モータ、621:台形ねじ部、621a:シャフト、621b:ナット、622:軸受、63:光切断センサ、630:発光素子、631:受光素子、64:制御装置、640:演算部、641:記憶部、642:入出力インターフェイス、65:表示装置、66:位置センサ、660:発光素子、661:受光素子、67:ワークストッパ、8:生産ライン、80:コンベア(搬送路)、800:ベルト、81:搬送モータ、9:ワーク、90:円板部、900:内径部、901:突出部、902:外径部、91:軸部、A:検出領域、L:左側区間、O:中心軸、R:右側区間、a:検出位置、a1:バリ用外側検出位置、a2:バリ用内側検出位置、a3:欠肉用検出位置、a4:面振れ用検出位置、a5:面反り用外側検出位置、a6:面反り用内側検出位置、a7:補正用検出位置、b1:バリ、b2:欠肉
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図11