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▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-31
(45)【発行日】2023-11-09
(54)【発明の名称】マスクレスベースのリソグラフィ方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
G03F7/20 501
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022521505
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2019055407
(87)【国際公開番号】W WO2021071484
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ブルース
(72)【発明者】
【氏名】チウ, ジョシュ
(72)【発明者】
【氏名】リー, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン ファン
【審査官】三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-037729(JP,A)
【文献】特開平07-254559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0317728(US,A1)
【文献】特開昭64-024425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0065383(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0373153(US,A1)
【文献】J. Kim et al.,Controlling resist thickness and etch depth for fabrication of 3D structures in electron-beam grayscale lithography,Microelectronic Engineering,2007年,84(12),2859-2864
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクレスベースのリソグラフィを使用してフォトレジスト層を形成する方法であって、
前記フォトレジスト層の限界寸法を取得することと、
取得した前記限界寸法に基づいて決定された、層厚及びテーパ制御角度を入力することと、
前記層厚及び前記テーパ制御角度を使用して、前記フォトレジスト層の幾何学的距離を計算することと、
前記幾何学的距離を、互いにオーバーレイした複数のセクションに分割することと、
前記複数のセクションの各々の幅を決定することと、
前記複数のセクションの各々につき、露光量を決定することと、
デジタルミラーデバイスを用いて、前記決定された露光量に基づいて前記複数のセクションの各々を露光することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のセクションが、セクションA、セクションB、セクションC、セクションD、及びセクションEを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セクションBの総露光量がセクションAの総露光量よりも20%少ない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
セクションCの総露光量が前記セクションBの総露光量よりも20%少ない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
セクションDの総露光量が前記セクションCの総露光量よりも20%少なく、セクションEの総露光量が前記セクションDの総露光量よりも20%少ない、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
マスクレスベースのリソグラフィを使用して基板上にフォトレジスト層を形成する方法であって、
第1フォトレジスト層の第1限界寸法を取得することと、
取得した前記第1限界寸法に基づいて決定された、第1層厚及び第1テーパ制御角度を入力することと、
前記第1層厚及び前記第1テーパ制御角度を使用して、前記第1フォトレジスト層の第1幾何学的距離を計算することと、
前記第1幾何学的距離を、互いにオーバーレイした第1の複数のセクションに分割することと、
前記第1の複数のセクションの各々の第1の幅を決定することと、
前記第1の複数のセクションの各々につき、第1露光量を決定することと、
デジタルミラーデバイスを用いて、前記決定された第1露光量に基づいて前記第1の複数のセクションの各々を露光することと、
前記第1フォトレジスト層の上に第2フォトレジスト層を形成することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記第2フォトレジスト層の第2限界寸法を取得することと、
取得した前記第2限界寸法に基づいて決定された、第2層厚及び第2テーパ制御角度を入力することと、
前記第2層厚及び前記第2テーパ制御角度を使用して、前記第2フォトレジスト層の第2幾何学的距離を計算することと、
前記第2幾何学的距離を第2の複数のセクションに分割することと、
前記第2の複数のセクションの各々の第2の幅を決定することと、
前記第2の複数のセクションの各々につき、第2露光量を決定することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、処理装置から前記基板を取り出すことなく実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記第2フォトレジスト層を形成する前に処理装置から前記基板を取り出すことを伴って実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
マスクレスベースのリソグラフィを使用して、従来型のマルチトーン/グレイトーンマスクフィーチャを超過する異なる残留フォトレジスト厚さを有するフォトレジスト層を形成する方法であって、
前記フォトレジスト層の限界寸法を取得することと、
取得した前記限界寸法に基づいて決定された、層厚及びテーパ制御角度を入力することと、
前記層厚及び前記テーパ制御角度を使用して、前記フォトレジスト層の幾何学的距離を計算することと、
前記幾何学的距離を、互いにオーバーレイした複数のセクションに分割することと、
前記複数のセクションの各々の幅を決定することと、
ターゲットの残留フォトレジスト厚さによって、前記複数のセクションの量を決定することと、
前記複数のセクションの各々につき、露光量を決定することと、
デジタルミラーデバイスを用いて、前記決定された露光量に基づいて前記複数のセクションの各々を露光することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記複数のセクションが、セクションA、セクションB、セクションC、及びセクションDを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
セクションBの総露光量がセクションAの総露光量よりも20%少ない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
セクションCの総露光量が前記セクションBの総露光量よりも20%少ない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
セクションDの総露光量が前記セクションCの総露光量よりも20%少ない、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フォトレジスト層がポジティブレジスト又はネガティブレジストである、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
[0001]本書に記載の実施形態は、概してマスクレスベースのリソグラフィ方法に関し、より詳細には、マスクレスベースのリソグラフィを使用して層を形成する方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]フォトリソグラフィは、半導体デバイス及びディスプレイデバイス(液晶ディスプレイ(LCD)など)の製造において広範に使用されている。LCDの製造では、大面積基板が利用されることが多い。LCD(又はフラットパネル)は、一般に、アクティブマトリクスディスプレイ(例えばコンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、テレビモニタなど)に使用される。通常、フラットパネルは、2つのプレートの間に挟持された、ピクセルを形成する液晶材料の層を含みうる。電力が電力供給源から液晶材料の両端間に印加されると、ピクセルの所在地において液晶材料を通過する光の量が制御され、画像の生成が可能になりうる。
【0003】
[0003]通常、ピクセルを形成する液晶材料層の一部として組み込まれた電気的フィーチャを作り出すために、マイクロリソグラフィ技法が用いられる。この技法にしたがって、典型的には、基板の少なくとも1つの表面に感光性フォトレジストが付加される。パターン生成装置が次いで、パターンの一部として選択された感光性フォトレジストの領域を光で露光させて、選択された領域内のフォトレジストに化学変化を引き起こし、かかる選択された領域を、電気的フィーチャを作り出すための後続の材料除去プロセス及び/又は材料追加プロセスに備えて準備する。
【0004】
[0004]テーパ制御は、フォトレジストの側壁の角度を制御するために使用される、当該技術分野において周知の一技法である。この技法を通じて、薄膜プロセスでの良好なステップカバレッジを実現するために、平滑なテーパプロファイルが提供されうるとともに、有機発光ダイオード(OLED)のアウトカップリング効率を向上させるための、基板構造の角度の変化が提供されうる。テーパの可制御性を取得して中間厚さのフォトレジストのパターンを作り出すために、様々な方法(マスクベースのリソグラフィシステムなど)が提案されてきた。しかし、マスクベースのリソグラフィシステムにより、問題が生じることもある。例えば、テーパ角度を微細にチューニングするために、マスクを取り除いて、より複雑なマルチトーンを準備するよう操作することが多いが、これには時間も費用もかかる。適切なエネルギー(多くの場合、これがフォトレジストを露光させる)を取得するために、マスクの透過性(マルチトーン/グレイトーンマスクの概念)を調整すること、又はマスクの微細なグレーチング/スリット(マルチトーン/グレイトーンマスクの概念)を調整することは困難なため、望み通りのテーパ角度を得ることは難しい。更に、マスクベースの方法は、1つの印刷ステップにおいて「マルチトーンプロセスとテーパ制御」をともに実現できる可能性が低い。かかる方法は、多くの場合、マスクの複雑性及びマスクコストを増大させる。マルチトーン/グレイトーンマスクがより複雑になると、マスク生産の歩留まりが低下し、ひいては、リソグラフィプロセスのプロセスウィンドウが厳しくなる。更に、マスクプロセスは、テーパの結果及びCD変動に影響を与えることもある、リソグラフィプロセスからのプロセス変動を含むことによって、マスクを作り替えるための多数の実験を必要とする。これにより、マスク作製のリードタイムが存在することになるので、プロセス検証全体が長くなる。
【0005】
[0005]したがって、当該技術分野においては、フォトレジストの側壁の角度を制御するためにマスクレスベースのリソグラフィを使用する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本書に記載の一又は複数の実施形態は、概して、マスクレスベースのリソグラフィを使用して層を形成する方法に関する。
【0007】
[0007]一実施形態では、マスクレスベースのリソグラフィを使用してフォトレジスト層を形成する方法は、フォトレジスト層の限界寸法を取得することと、取得した限界寸法に基づいて決定された、層厚及びテーパ制御角度を入力することと、層厚及びテーパ制御角度を使用して、フォトレジスト層の幾何学的距離を計算することと、幾何学的距離を複数のセクションに分割することと、複数のセクションの各々の幅を決定することと、複数のセクションの各々につき、露光量(amount of dose)を決定することと、を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、マスクレスベースのリソグラフィを使用して基板上にフォトレジスト層を形成する方法は、第1フォトレジスト層の第1限界寸法を取得することと、取得した第1限界寸法に基づいて決定された、第1層厚及び第1テーパ制御角度を入力することと、第1層厚及び第1テーパ制御角度を使用して、第1フォトレジスト層の第1幾何学的距離を計算することと、第1幾何学的距離を第1の複数のセクションに分割することと、第1の複数のセクションの各々の第1の幅を決定することと、第1の複数のセクションの各々につき、第1露光量を決定することと、第1フォトレジスト層の上に第2フォトレジスト層を形成することと、を含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、マスクレスベースのリソグラフィを使用して、従来型のマルチトーン/グレイトーンマスクフィーチャを超過する、異なる残留フォトレジスト厚さを有するフォトレジスト層を形成する方法は、フォトレジスト層の限界寸法を取得することと、取得した限界寸法に基づいて決定された、層厚及びテーパ制御角度を入力することと、層厚及びテーパ制御角度を使用して、フォトレジスト層の幾何学的距離を計算することと、幾何学的距離を複数のセクションに分割することと、複数のセクションの各々の幅を決定することと、ターゲットの残留フォトレジスト厚さによって、複数のセクションの量を決定することと、複数のセクションの各々につき、露光量を決定することと、を含む。
【0010】
[0010]上述した本開示の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡潔に要約された本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。かかる実施形態の一部は、付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面はこの開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、システムの斜視図である。
図2】[0012]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、複数の画像投影システムの概略図である。
図3】[0013]本書に記載の少なくとも1つの実施形態によるコンピューティングシステムを示す。
図4】[0014]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による方法のフロー図である。
図5A】[0015]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、基板上に形成された層の概略図である。
図5B】本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、基板上に形成された層の概略図である。
図6A-6B】[0016]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、リバーストーン印刷を使用して形成された複数のセクションの図であり、図6Aは上面図、図6Bは断面図である。
図7A-7B】[0017]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、ポジティブトーン印刷を使用して形成された複数のセクションの図であり、図7Aは上面図、図7Bは断面図である。
図8】[0018]本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、累積露光量に関連付けられた複数のセクションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記載がなくとも、その他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【0013】
[0020]以下の説明では、本開示の実施形態のより網羅的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細事項を明示している。しかし、当業者には、かかる具体的な詳細事項のうちの一又は複数がなくとも、本開示の実施形態の一又は複数は実践されうることが、自明となろう。それ以外の事例においては、本開示の実施形態の一又は複数を分かりにくくすることを避けるために、周知の特徴については説明していない。
【0014】
[0021]本書に記載の実施形態は、概して、マスクレスベースのリソグラフィを使用して層を形成する方法に関する。かかる実施形態において、方法は、露光量変化のラダーを実装する。特定のパターン設計を有することになっている領域に対する複数の露光量変化をオーバーレイさせることによって、テーパ角度を微細にチューニングする能力を伴ってテーパプロファイルが実現されうる。露光量変化のラダーが実装される場合、幾何学的形状は、オーバーレイしている複数のセクションに分割されうる。かかるオーバーレイセクションは、望ましいテーパ制御が実現されうるように、各セクションで異なる露光量を含みうる。
【0015】
[0022]テーパ制御は、かかるテーパを作り出すよう、ピクセル混合(PB)の性質と、複数の露光レベルの分割とによって良好に制御されうる。幾何学的な「マスクデータ(mask data)」を操作して、PB露光技法により制御される様々な露光量で露光されるオーバーレイセクションにすることによって、テーパが実現されうる。異なるセクションの各々の累積エネルギー量はフォトレジストの深さ量を貫通し、これにより、フォトレジストの底部から頂部までに、より平滑なテーパ遷移が形成される。本書に記載の実施態様では、方法は、一次元(1D)のライン-スペース設計パターン及び二次元(2D)のライン-スペース設計パターンに適用されうる。本書に記載の方法を実施するために、マスクレスリソグラフィツールが使用される。このマスクレスリソグラフィツールは、ソフトウェアベースの「マスクデータ」操作を実施するコントローラを含む。そのため、いかなる追加のステップも有さずに、多層テーパ制御が実現されうる。加えて、この方法はマスクを用いずにソフトウェアによって実施されるので、いかなる追加のマスクコストも製造時間も伴わずに、テーパ角度をチューニングする上での柔軟性が大幅に増大し、マスクを使用する従来型のリソグラフィ方法を凌駕する利点が提供される。
【0016】
[0023]図1は、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、システム100の斜視図である。システム100は、ベースフレーム102と、板状体(slab)104と、2つ以上のステージ106と、処理装置108とを含む。ある種の実施形態では、1つのステージ106が使用されうる。ベースフレーム102は、製造設備の床上に置かれてよく、板状体104を支持する。受動空気アイソレータ110が、ベースフレーム102と板状体104との間に位置付けられる。板状体104は、花崗岩のモノリシック片であってよく、2つ以上のステージ106は、板状体104上に配置される。基板112が、2つ以上のステージ106の各々によって支持される。複数の穴(図示せず)がステージ106に形成されることで、それらを通って複数のリフトピン(図示せず)が伸長することが可能になる。リフトピンは、例えば移送ロボット(図示せず)から基板112を受容するための伸長位置まで上昇しうる。移送ロボットが基板112をリフトピン上に位置付け、リフトピンは、基板112をステージ106上へと静かに下降させる。
【0017】
[0024]基板112は、例えば石英で作製され、フラットパネルディスプレイの一部として使用されうる。他の実施形態では、基板112は、その他の材料で作製されることもある。一部の実施形態では、基板112の上にフォトレジスト層が形成されていることがある。フォトレジストは、放射に感応し、かつ、ポジティブフォトレジストであっても、ネガティブフォトレジストであってもよい。これはつまり、ポジティブフォトレジストとネガティブフォトレジストのそれぞれの、放射に露光されるフォトレジストの部分が、パターンがフォトレジストに書き込まれた後にフォトレジストに付加されるフォトレジストデベロッパに対して、可溶性になるか又は不溶性になるということである。フォトレジストの化学組成により、そのフォトレジストがポジティブフォトレジストであるか、又はネガティブフォトレジストであるかが決まる。フォトレジストの例示的な組成は、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8、のうちの少なくとも1つを含みうる。電子回路を形成するために、このようにして、基板112の表面上にパターンが作り出されうる。
【0018】
[0025]システム100は、支持体114の対と、軌道116の対とを含む。支持体の対114は板状体104上に配置され、板状体104と支持体の対114とは単一の材料片であってもよい。軌道の対116は支持体の対114によって支持され、2つ以上のステージ106は、軌道116に沿ってX方向に動きうる。一実施形態では、軌道の対116は、平行な磁気チャネルの対である。図示しているように、軌道の対116の各軌道116は線形である。他の実施形態では、軌道116が非線形の形状を有することもある。エンコーダ118が、コントローラ302(図3参照)に所在地情報を提供するために各ステージ106に連結される。
【0019】
[0026]かかる実施形態では、処理装置108は支持体120及び処理ユニット122を含む。支持体120は、板状体104上に配置され、2つ以上のステージ106が処理ユニット122の下を通過するための開口124を含む。処理ユニット122は、支持体120によって支持されうる。一部の実施形態では、処理ユニット122は、フォトリソグラフィプロセスにおいてフォトレジストを露光するよう構成されたパターン生成装置である。パターン生成装置は、マスクレスリソグラフィプロセスを実施するよう構成される。処理ユニット122は、筐体126内に配置された複数の画像投影システム(図2参照)を含みうる。処理装置108は、マスクレス直接パターニングを実施するために利用されうる。稼働中、2つ以上のステージ106のうちの1つが、図1に示しているローディング(搬入)位置から処理位置へと、X方向に動く。処理位置とは、ステージ106が処理ユニット122の下を通過する際の、ステージ106の一又は複数の位置のことでありうる。稼働中、2つ以上のステージ106は、複数の空気軸受132によって持ち上げられ、軌道の対116に沿ってローディング位置から処理位へと動く。2つ以上のステージ106の各々は、基板112を処理しかつ/又は位置決めするために軌道130に沿って動くことによって、Y方向にも動きうる。
【0020】
[0027]図2は、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、複数の画像投影システム200の概略斜視図である。かかる実施形態では、画像投影システム200の各々が、複数のビーム202を基板112の表面204上に照射する。基板112がX方向及びY方向に動くにつれて、表面204全体がビーム202によってパターニングされる。画像投影システム200の数は、基板112のサイズ及び/又はステージ106(図1)の速度に基づいて変動する。
【0021】
[0028]かかる実施形態では、画像投影システム200の各々は、光源206、開孔208、レンズ210、ミラー212、デジタルミラーデバイス(DMD)214、光ダンプ216、カメラ218、及び投影レンズ220を含む。光源206は、発光ダイオード(LED)であってもレーザーであってもよく、かつ、所定の波長を有する光を照射することが可能でありうる。一部の実施形態では、所定の波長とは、青色範囲又は近紫外(UV)範囲内の(例えば約450nm未満の)ものである。ミラー212は球面ミラーでありうる。投影レンズ220は、10倍の対物レンズでありうる。DMD214は複数のミラーを含んでよく、ミラーの数は投影される画像の解像度に対応しうる。
【0022】
[0029]稼働中、光源206によって、所定の波長(例えば青色範囲内の波長)を有するビーム222が照射される。ビーム222は、ミラー212によってDMD214へと反射される。DMD214は個別に制御されうる複数のミラーを含み、DMD214の複数のミラーの各ミラーは、コントローラ302によりDMD214に提供されるマスクデータに基づいて、「オン(on)」位置又は「オフ(off)」位置になりうるが、これについては図3のところで更に後述する。ビーム222がDMD214のミラーに到達すると、「オン」位置にあるミラーが、ビーム222を投影レンズ220へと反射させる(すなわち、複数のビーム202が形成される)。投影レンズ220は次いで、基板112の表面204にビーム202を投影する。「オフ」位置にあるミラーは、基板112の表面204ではなく光ダンプ216へと、ビーム222を反射させる。
【0023】
[0030]図3は、本書に記載の少なくとも1つの実施形態によるコンピューティングシステム300を示している。図示しているように、コンピューティングシステム300は、複数のサーバ308、焦点設定アプリケーションサーバ310、及び複数のコントローラ302(分かりやすくするために、そのうちの2つのみを示している)を含み、これらは各々、通信ネットワーク306(例えばインターネット)に接続されている。サーバ308は、ローカル接続(例えばストレージエリアネットワーク(SAN)又はネットワーク接続ストレージ(NAS))を介して、又はインターネット経由で、データベース312と通信しうる。サーバ308は、データベース312に含まれるデータに直接アクセスするか、又はデータベース312内に含まれるデータを管理するよう構成されているデータベースマネージャとインターフェース接続するかの、いずれかであるよう構成される。
【0024】
[0031]各コントローラ302は、プロセッサ、システムメモリ、ハードディスクドライブ、バッテリー、入力デバイス(マウスとキーボードなど)、及び/若しくは出力デバイス(モニタやグラフィカルユーザインターフェースなど)、並びに/又は連結型入出力デバイス(例えば、入力を受信するだけでなく出力の表示もする(タッチスクリーン)といった、コンピューティングデバイスの従来的な構成要素を含みうる。サーバ308の各々及び焦点設定アプリケーションサーバ310は、プロセッサ及びシステムメモリ(図示せず)を含んでよく、例えば関係するデータベースソフトウェア及び/又はファイルシステムを使用して、データベース312に記憶されたコンテンツを管理するよう構成されうる。サーバ308は、ネットワークプロトコル(例えばTCP/IPプロトコルなど)を使用して、互いに、コントローラ302と、かつ焦点設定アプリケーションサーバ310と、通信するようプログラムされうる。焦点設定アプリケーションサーバ310は、通信ネットワーク306を通じて、コントローラ302と直接通信することもある。コントローラ302は、ソフトウェア304(プログラム及び/又はその他のソフトウェアアプリケーションなど)を実行し、かつサーバ308によって管理されているアプリケーションにアクセスするよう、プログラムされる。
【0025】
[0032]本書に記載の実施形態では、ユーザはそれぞれ、通信ネットワーク306経由でサーバ308に接続されうるコントローラ302を操作しうる。ページ、画像、データ、文書などが、コントローラ302を介してユーザに表示されうる。コントローラ302と通信するディスプレイデバイス及び/又はグラフィカルユーザインターフェースを通じて、情報及び画像が表示されうる。
【0026】
[0033]コントローラ302は、パソコン、ラップトップ型携帯コンピューティングデバイス、スマートフォン、ビデオゲームの操作器、家庭用デジタルメディアプレイヤー、ネットワーク接続型テレビ、セットトップボックス、並びに/又は、通信ネットワーク306との通信に適した構成要素及び/又は必要なアプリケーション若しくはソフトウェアを有するその他のコンピューティングデバイス、でありうることに、留意されたい。コントローラ302は、後述する方法400を稼働させるよう構成されており、その他のソフトウェアアプリケーションを実行することも可能である。
【0027】
[0034]図4は、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による方法400のフロー図である。かかる実施形態では、方法400は、上述した図1~3に記載のシステム及びデバイスを用いて実施されるが、かかるシステム及びデバイスに限定されるわけではなく、その他の同様のシステム及びデバイスを用いて実施されることもある。方法400は、マスクレスベースのリソグラフィを使用してフォトレジスト層を形成する。図5A~5Bは、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、基板上に形成された層の概略図である。図6A図6Bは、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、リバーストーン印刷を使用して形成された複数のセクションの図であり、図6Aは上面図、図6Bは断面図である。図7A図7Bは、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、ポジティブトーン印刷を使用して形成された複数のセクションの図であり、図7Aは上面図、図7Bは断面図である。図8は、本書に記載の少なくとも1つの実施形態による、累積露光量に関連付けられた複数のセクションの概略図である。図5A図8は、方法400を解説するのに役立つものである。
【0028】
[0035]ブロック402において、限界寸法走査電子顕微鏡(CD-SEM)を使用して、限界寸法が取得されうる。他の実施形態では、限界寸法は、走査電子顕微鏡(SEM)、リフレクトメータ薄膜ゲージ、エリプソメータ薄膜ゲージ、原子間力顕微鏡(AFM)、集束イオンビーム(FIB)、白色光干渉計(WLI)、接触/非接触型の粗さゲージ、又はその他の同様のデバイス、を使用して取得されうる。取得される限界寸法は、図5Aに示している限界寸法501でありうる。ブロック404において、層厚(図5Aに示している第1層厚502など)と、テーパ制御角度(図5Aに示している角度A及び角度Bなど)とが、コントローラ302に入力される。第1層厚502は、例えば、限界寸法501における厚さによって決定される。角度A及び角度Bは、第2フォトレジスト層510の表面と限界寸法501の頂部との間の角度である。ブロック406において、第1層厚502と角度A及び角度Bとを使用することによって、幾何学的距離(図5Aに示している幾何学的距離504及び505など)が計算される。より具体的には、幾何学的距離504及び505は、第1層厚502を角度A及びBの正接(tangent)で除算することによって計算される。例えば、この計算は次の方程式で表現されうる。
Z=X/tan(Y)
Zは幾何学的距離504又は505であり、Xは第1層厚502であり、Yは角度A又は角度Bである。一部の実施形態では第1層厚502は4.5μmであるが、それ以外の厚さであってもよい。
【0029】
[0036]ブロック408において、フォトレジスト層604及び704の幾何学的距離が、複数のセクション602又は702(図6A及び7A)に分割される。例えば、複数のセクション602及び702は、図6A及び図7Aに示しているように、セクションA、セクションB、セクションC、セクションD、及びセクションEと表現される5つのセクションに分割されうる。ブロック410において、複数のセクション602又は702の各々の幅が決定される。この例では、セクションA~Eの各々の幅は、以下の方程式を使用して求められうる。セクションA~Eの各々の幅は、図6B及び7Bに示している幅A、幅B、幅C、幅D、及び幅Eによって表現される。かかる方程式は次のようになる。
幅A=限界寸法
幅B=A+Z/(N-1)*2
幅C=A+Z/(N-1)*4
幅D=A+Z/(N-1)*6
幅E=A+Z/(N-1)*8
Zは幾何学的距離であり、Nはセクションの総数(図6A及び図7Aに示している例では5)である。
【0030】
[0037]ブロック412において、複数のセクション602及び702の各々について露光量を決定するために、線形性(linearity)が使用される。まず、層内での深さと層の幅との間には線形関係が存在している。リバーストーン印刷の場合、図6A~6Bに示しているように、フォトレジスト層604内での深さが増大するとともに、幅も線形に増加する。例えば、図6Bでは、セクションEにおける幅Eは最大である。セクションEは、層604内の最も深くに位置するセクションである。図6Bでは、セクションAにおける幅Aは最小であり、セクションAはフォトレジスト層604の頂上面に対応するので、その深さはゼロ~最小である。ポジティブトーン印刷の場合には、図7A~7Bに示しているように、これが逆になる。この実施形態では、フォトレジスト層704内での深さが増大するとともに、幅は線形に減少する。
【0031】
[0038]次に、図8の概略図802に示しているように、層内での深さと露光量との間にも線形関係が存在する。リバーストーン印刷では、フォトレジスト層の深さが増大するにつれて、露光量は線形に増加する。したがって、上述したように、幅が深さとともに線形に増大するにつれて、幅のこの増大とともに、露光量も線形に増加する。ポジティブトーン印刷では、幅の増大とともに深さが線形に減少するにつれて、幅のこの増大とともに、露光量は線形に減少する。図6Bには、フォトレジスト層604の複数のセクション602の各々の幅及び深さが図示されている。図示しているように、リバーストーン印刷では、セクションAからセクションEにかけて、幅も深さも増大する。リバーストーン印刷では、セクションAは最小の幅及び深さを有し、セクションEは最大の幅及び深さを有する。幅及び深さが減少するにつれて、露光量は線形に減少する。逆に、図7Bには、フォトレジスト層704の複数のセクション702の各々のポジティブトーン印刷の場合には、深さが減少するにつれて幅が増大することが図示されている。セクションAは幅が最小であるが深さは最大であり、セクションEは幅が最大で深さは最小である。したがって、リバーストーンでは、セクションAの露光量は最小であり、セクションEの露光量は最大であり、ポジティブトーンではその逆となり、「オーバーレイ露光量(overlay dose)」が実現する。換言すると、第1フォトレジスト層512(図5A~5B)の幾何学的形状が、いくつかのオーバーレイセクション(複数のセクション602及び702など)に分割されれば、テーパ制御が実現されうる。ゆえに、幾何学的設計に基づいて、リバーストーンではアイランド又はラインが作り出され、ポジティブトーンではトレンチ又はビアが作り出される。
【0032】
[0039]第1の層512の5セクションにおいて、基本的な概念は、各層の合計オーバーレイ露光量がフォトレジストの露光量閾値を満たすことである。フィーチャがオーバーレイしていることにより、各セクションの露光量は累積されうる。例えば、セクションEの露光量は20%であり、セクションDの露光量は40%であり、セクションCの露光量は60%であり、セクションBの露光量は80%であり、セクションAの露光量は100%でありうるが、かかる露光量は変動可能である。他の実施形態では、各セクションの位置を十分にシフトさせることによって、非対称なテーパが、任意の望ましい角度を伴って実装されうる。
【0033】
[0040]一部の実施形態では、方法400では、図5Bに示しているようなマルチトーン適用が実行される。マルチトーンは、同じ又は異なる厚さを有する2つ以上の層トポグラフィを含む。図5Bは2層トポグラフィのためのリバーストーンを示しているが、これはポジティブトーン及び/又は多層トポグラフィでも適用可能である。まず、上述した方法400の図示されているブロック402~412を適用することによって、角度A及び角度Bと第1層厚502とを伴う第1の層512が形成される。ブロック414において、オプションで、基板112が処理装置から取り出されうる。しかし、他の実施形態では、方法400は、第1の層512の現像を必要とせずに実施されうる。ブロック416において、第1の層512を形成するために使用されたのと同じブロック402~412を使用して、第2の層510が形成されうる。図5Bに示しているように、第2層厚503は、限界寸法506における厚さによって決定される。幾何学的距離507及び508は、第2層厚503と角度C及び角度Dとを使用して計算され、これにより、望ましい第2の層510が基板112上に形成されうる。第2の層510を構築する時に、その累積露光量は第1の層512の累積露光量に加算されうることに、留意されたい。マルチトーン適用では、望ましいトポグラフィがアイランドとトレンチとを含む場合、リバーストーンとポジティブトーンの両方が同時に適用されうる。かかる実施形態におけるポジティブレジストについて説明したが、かかる実施形態は、ネガティブレジストを構築するよう構成されることもある。
【0034】
[0041]方法400は、マスクレスリソグラフィツールを有利に使用して、テーパ制御を容易に実現する、そのため、いかなる追加のステップも有さずに、多層テーパ制御が実現されうる。加えて、方法400はマスクを用いずにソフトウェアによって実施されるので、基板上に局所的又は全体的に、任意の形状のパターンのための任意の望ましい角度を有する対称又は非対称の3Dテーパ壁を実装するために、いかなる追加のマスクコストも製造時間も伴わずに、テーパ角度をチューニングする上での柔軟性が大幅に増大し、マスクを使用する従来型のリソグラフィ方法を凌駕する利点が提供される。
【0035】
[0042]セクションの数量を調整することによって、基板上に局所的又は全体的に、任意の形状のパターンのための任意の望ましい厚さの(ポジティブPRとネガティブPRの両方の)残留PRを有するグレイトーン露光が実現可能になる。更に、かかるグレイトーン露光は、上記のようにして得られたテーパと自由に組み合わされることが可能であり、マスクを使用する従来型のリソグラフィ方法を凌駕する更なる利点を提供する。
【0036】
[0043]上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱せずに、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A-6B】
図7A-7B】
図8