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特許7377828ピリミジニルシクロペンタン化合物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ピリミジニルシクロペンタン化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 17/16 20060101AFI20231102BHJP
   C07D 239/70 20060101ALI20231102BHJP
   A61K 31/517 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20231102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
C12P17/16
C07D239/70
A61K31/517
A61P35/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045573
(22)【出願日】2021-03-19
(62)【分割の表示】P 2019155667の分割
【原出願日】2014-11-13
(65)【公開番号】P2021100953
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】13193030.7
(32)【優先日】2013-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハンス イディング
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト レーンツ
(72)【発明者】
【氏名】ミケランジェロ スカローネ
(72)【発明者】
【氏名】フランシス ゴセリン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特許第6374503(JP,B2)
【文献】特表2009-542723(JP,A)
【文献】特表2015-520165(JP,A)
【文献】特表2015-518715(JP,A)
【文献】Blake, James F.; Xu, Rui; Bencsik, Josef R.; Xiao, Dengming; Kallan, Nicholas C.; Schlachter, Stephe,Discovery and Preclinical Pharmacology of a Selective ATP-Competitive Akt Inhibitor (GDC-0068) for the Treatment of Human Tumors,Journal of Medicinal Chemistry,2012年,55(18),8110-8127
【文献】Elaridi, Jomana; Thaqi, Ali; Prosser, Andrew; Jackson, W. Roy; Robinson, Andrea J.,An enantioselective synthesis of β2-amino acid derivatives,Tetrahedron: Asymmetry,2005年,16(7),1309-1319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/00-239/96
C12P 1/00-41/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元酵素によって触媒される式(V)
【化12】
の化合物の非対称性還元を含む、式(III)
【化13】
の化合物の製造方法であって、ここで、
は、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、及びトリフルオロアセチルのリストから選択されるアミノ保護基であり、
ここで、前記非対称性還元は、補因子の存在下で酸化還元酵素によって触媒され、そして
ここで、前記補因子は、第二級アルコールを補基質として用いる、基質とカップリングした補因子の再生によってその場で再生される、
方法。
【請求項2】
は、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化還元酵素は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を少なくとも95%のジアステレオマー過剰率(de)のジアステレオ選択性で触媒する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化還元酵素は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を少なくとも98%のdeのジアステレオ選択性で触媒する、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元において酸化される補因子は、NADHまたはNADPHである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基質とカップリングした再生のための補基質としての前記第二級アルコールは、2-プロパノール、2-ブタノール、ブタン-1.4-ジオール、2-ペンタノール、ペンタン-1,5-ジオール、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヘキサノール、ヘキサン-1,5-ジオール、2-ヘプタノール、または2-オクタノールから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基質とカップリングした補因子の再生のための補基質としての前記第二級アルコールは、2-プロパノールである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2013年11月15日出願
の欧州特許出願第13193030.7号に対する優先権を請求する。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、癌などの疾患に対する治療活性を有するAKTプロテインキナーゼ阻害薬の
調製における中間体として有用なピリミジニルシクロペンタン化合物の調製方法に関する
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼB/Akt酵素は、ある特定のヒト腫瘍において過剰発現するセリ
ン/トレオニンキナーゼの一群である。国際特許出願WO2008/006040及び米
国特許第8,063,050号は、種々の癌の治療のための臨床試験において研究中であ
る化合物(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒド
ロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イ
ル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン(イパタ
セルチブ、GDC-0068)を含む、AKTのいくつかの阻害剤を考察している。
【0004】
WO2008/006040及び米国特許第8,063,050号において説明されて
いる方法は、AKTプロテインキナーゼ阻害薬としてヒドロキシル化シクロペンタ[d]
ピリミジン化合物を提供する上で有用であるが、これらの化合物の大規模製造を含む代替
的なまたは改良された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
式(II)
【化1】

の化合物と式(III)
【化2】

の化合物とのカップリング反応を含む、式(I)
【化3】

の化合物またはその塩の調製方法を提供し、式中、R、R及びMは本明細書に説明す
るとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、本発明の
属する分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に
説明するものと類似のまたは等価の方法及び材料は、本発明の実施または検査において使
用することができるが、適切な方法及び材料は後で説明する。
【0007】
本出願において使用する命名法は、別段の記載がない限り、IUPAC体系的命名法に
基づいている。
【0008】
本明細書で構造中の炭素原子、酸素原子、硫黄原子または窒素原子にみられる任意の開
いた結合状態は、別段の記載がない限り、水素の存在を示す。
【0009】
置換基数を示している場合、「1つ以上」という用語は、1つの置換基から起こり得る
最高数の置換までの範囲、すなわち、1つの水素の置き換えから置換による水素全部の置
き換えまでを指す。
【0010】
「任意の」または「任意に」という用語は、その後に説明する事象または状況がただ生
じる必要がないこと、ならびに当該説明が当該事象または状況が生じる状況と当該事象ま
たは状況が生じない状況とを含むことを示す。
【0011】
「医薬として許容され得る塩」という用語は、生物学的にまたは別の点で望ましくなく
はない塩を示す。医薬として許容され得る塩には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む
【0012】
「医薬として許容され得る酸付加塩」という用語は、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、
硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、
グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸
、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アン
トラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホ
ン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸から選択される有機
酸の脂肪族、脂環式、芳香族、アリール基含有脂肪族、複素環式、炭素環式及びスルホン
酸のクラスから選択される有機酸を用いて形成された医薬として許容され得る塩を示す。
【0013】
「医薬として許容され得る塩基付加塩」という用語は、有機塩基または無機塩基を用い
て形成された医薬として許容され得る塩を示す。許容され得る無機塩基の例としては、ナ
トリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガ
ン、及びアルミニウムの塩が挙げられる。医薬として許容され得る有機非毒性塩に由来す
る塩としては、天然の置換されたアミン、環状アミン及びイソプロピルアミン、トリメチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン
、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、ア
ルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エ
チレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン
(piperizine)、ピペリジン(piperidine)、N-エチルピペリジ
ン、及びポリアミンの樹脂などの塩基性イオン交換樹脂を含む、一級、二級、及び三級の
アミン、置換アミンの塩が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用する立体化学の定義及び慣習は概して、S.P.Parker編,マグ
ローヒル化学用語辞典(McGraw-Hill Dictionary of Che
mical Terms)(1984)McGraw-Hill Book Compa
ny,ニューヨーク、ならびにEliel,E.及びWilen,S.,「有機化合物の
立体化学(Stereochemistry of Organic Compound
s)」,John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク,1994に従
う。光学活性化合物を説明する上で、接頭辞D及びLまたはR及びSは、当該分子のキラ
ル中心(複数可)の周りの当該分子の絶対配置を示すために使用する。考慮の下にあるキ
ラル中心へ結合した置換基は、カーン、インゴールド及びプレローグの順位則(Sequ
ence Rule of Cahn,Ingold and Prelog).(Ca
hnら.Angew.Chem.Inter.Edit.1966,5,385;正誤表
511)に従って等級分類される。接頭辞D及びLまたは(+)及び(-)は、当該化合
物による平面偏光の回転の象徴を示すために採用されており、(-)またはLは当該化合
物が左旋性であることを示す。(+)またはDという接頭辞の付いた化合物は右旋性であ
る。
【0015】
「立体異性体」という用語は、同一の分子結合性及び結合多重度を有するが、空間中の
当該原子の配置において異なる化合物を示す。
【0016】
「キラル中心」という用語は、4つの非同一置換基へ結合した炭素中心を示す。「キラ
ル」という用語は、鏡像と重ね合わせることのできない能力を示すのに対し、「アキラル
」という用語は、実施形態の鏡像と重ね合わせることのできる当該実施形態を指す。キラ
ル分子は、光学活性であり、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有している。
【0017】
本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を有することができ、光学的に純粋な鏡像異
性体、例えばラセミ化合物などの鏡像異性体の混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性
体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性ラセミ化合物またはジアステレオ異
性ラセミ化合物の混合物の形態で存在することができる。キラル中心が化学構造に存在す
る場合はいつでも、当該キラル中心と結合した立体異性体がすべて本発明により包含され
ることは企図されている。
【0018】
「鏡像異性体」という用語は、互いに重ね合わせることのできない鏡像である、化合物
の2つの立体異性体を示す。
【0019】
「ジアステレオマー」という用語は、キラリティーの2つ以上の中心を有しかつ当該分
子が互いに鏡像ではない立体異性体を示す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例
えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有する。
【0020】
「ジアステレオマー過剰率」(de)という用語は、ジアステレオマー純度、すなわち
、(ジアステレオマーA-ジアステレオマーB)/(ジアステレオマーA+ジアステレオ
マーB)(面積%における)を示す。
【0021】
「鏡像異性体過剰率」(ee)という用語は、鏡像異性体純度、すなわち、(鏡像異性
体A-鏡像異性体B)/(鏡像異性体A+鏡像異性体B)(面積%における)を示す。
【0022】
「ハロ」、及び「ハロゲン」という用語は、本明細書で相互交換可能に使用しており、
フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを示す。
【0023】
「ハロゲン化物」という用語は、ハロゲンイオン、特にフッ化物、塩化物、臭化物また
はヨウ化物を示す。
【0024】
「アルキル」という用語は、1~12個の炭素原子からなる一価の直鎖または分枝鎖飽
和炭化水素基を示す。特定の実施形態においては、アルキルは、1~7個の炭素原子を、
より特定の実施形態においては1~4個の炭素原子を有する。アルキルの例としては、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ま
たはtert-ブチルが挙げられる。
【0025】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する2~7個の炭素原子
からなる一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を示す。特定の実施形態において、アルケニ
ルは、少なくとも1つの二重結合を有する2~4個の炭素原子を有する。アルケニルの例
としては、エテニル、プロペニル、プロパ-2-エニル、イソプロペニル、n-ブテニル
、及びイソブテニルが挙げられる。
【0026】
「アルキニル」という用語は、1、2または3個の三重結合を含む2~7個の炭素原子
からなる一価の直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基を示す。特定の実施形態において、アル
キニルは、1個または2個の三重結合を含む2~4個の炭素原子を有する。アルキニルの
例としては、エチニル、プロピニル、及びn-ブチニルが挙げられる。
【0027】
「アルコキシ」という用語は、式-O-R’からなる基を示し、式中、R’はアルキル
基である。アルコキシ部分の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、及びt
ert-ブトキシが挙げられる。
【0028】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の水素原子の少なくとも1つが同じまたは
異なるハロゲン原子、特にフッ素原子によって置き換えられた当該アルキル基を示す。ハ
ロアルキル基の例としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチルもしくはトリフルオ
ロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチルもしくはトリフルオロエチルまたはモ
ノフルオロピロピル、ジフルオロプロピルもしくはトリフルオロプロピル、例えば、3,
3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル
、フルオロメチル、またはトリフルオロメチルが挙げられる。「ペルハロアルキル」とい
う用語は、アルキル基の水素原子全部が同じまたは異なるハロゲン原子によって置き換え
られた当該アルキル基を示す。
【0029】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の水素原子の少なくとも1個が同じま
たは異なるハロゲン原子、特にフッ素原子によって置き換えられたアルコキシ基を示す。
ハロアルコキシルの例としては、モノフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシもしくはト
リフルオロメトキシ、モノフルオロエトキシ、ジフルオロエトキシもしくはトリフルオロ
エトキシまたはモノフルオロプロポキシ、ジフルオロプロポキシもしくはトリフルオロプ
ロポキシ、例えば、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、2-フルオロエトキシ、2,
2,2-トリフルオロエトキシ、フルオロメトキシ、またはトリフルオロメトキシが挙げ
られる。「ペルハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の水素原子全部が同じまた
は異なるハロゲン原子によって置き換えられた当該アルコキシ基を示す。
【0030】
「シクロアルキル」という用語は、3~10個の環炭素原子からなる一価の飽和単環式
または二環式炭化水素基を示す。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3~8個
の環炭素原子からなる一価の飽和単環式炭化水素基を示す。二環式とは、通常1個以上の
炭素原子を有する2個の飽和炭素環からなることを意味する。特定のシクロアルキル基は
単環式である。単環式シクロアルキルについての例は、シクロプロピル、シクロブタニル
、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロへプチルである。二環式シクロアルキル
についての例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、またはビシクロ[2.2.2]オ
クタニルである。
【0031】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、N、O及びSから選択される1、2、または
3個の環ヘテロ原子を含んで残りの環原子が炭素である、3~9個の環原子からなる一価
の飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の環系を示す。特定の実施形態におい
て、ヘテロシクロアルキルとは、N、O及びSから選択される1、2、または3個の環ヘ
テロ原子を含んで残りの環原子が炭素である、4~7個の環原子からなる一価の飽和単環
式環系である。単環式飽和ヘテロシクロアルキルについての例は、アジリジニル、オキシ
ラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒ
ドロチエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジ
ニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニ
ル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリ
ン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、またはオキサゼパニルで
ある。二環式飽和ヘテロシクロアルキルについての例は、8-アザ-ビシクロ[3.2.
1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチ
ル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.
3.1]ノニル、または3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部
分的に不飽和のヘテロシクロアルキルについての例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル
、ジヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピリジニル、またはジヒドロピラニルである。
【0032】
「アリール」という用語は、6~10個の炭素環原子を含む一価の芳香族炭素環式単環
式または二環式環系を示す。アリール部分の例としては、フェニル及びナフチルが挙げら
れる。特定のアリールはフェニルである。
【0033】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから選択される1、2、3または4個
のヘテロ原子を含んで残りの環原子が炭素である、5~12個の環原子からなる一価の芳
香族複素環式単環式または二環式環系を示す。ヘテロアリール部分の例としては、ピロリ
ル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オ
キサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラじニル、ピラゾリル
、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソキサゾ
リル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル
、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリ
ル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジ
アゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル
、またはキノキサリニルが挙げられる。
【0034】
「脱離基」は、化学反応における第一の反応体から変位した当該化学反応における第一
の反応体の一部を指す。脱離基の例としては、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、スルフ
ヒドリル基、アミノ基(例えば、Rが独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シク
ロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRが独立して任意に置換されて
いる、-NRR)、シリル基(例えば、Rが独立して、アルキル、アルケニル、アルキニ
ル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRが独立して任意に置
換されている、-SiRRR)、-N(R)OR(式中、Rは独立してアルキル、アルケ
ニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRは独
立して任意に置換されている)、アルコキシ基(例えば、Rが独立してアルキル、アルケ
ニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRが独
立して任意に置換されている、-OR)、チオール基(例えば、Rが独立してアルキル、
アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつ
Rが独立して任意に置換されている、-SR)、スルホニルオキシ基(例えば、Rが独立
してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリ
ルであり、かつRが独立して任意に置換されている、-OS(O)1-2R)、スルファ
マート基(例えば、Rが独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、
フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRが独立して任意に置換されている、-OS
(O)1-2NRR)、カルバマート基(例えば、Rが独立してアルキル、アルケニル、
アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、かつRが独立して
任意に置換されている、-OC(O)2NRR)、及びカルボナート基(例えば、Rが独
立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシク
リルであり、かつRが独立して任意に置換されている、-OC(O)2R)が挙げられる
が、これらに限定しない。カルボナート基の例としては、炭酸tert-ブチルが挙げら
れる。スルホニルオキシ基の例としては、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチル
スルホニルオキシ(メシラート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフラ
ート基))及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p-トルエンスルホニルオキシ(
トシラート基)及びp-ニトロスルホニルオキシ(ノシラート基))が挙げられるが、こ
れらに限定しない。脱離基の他の例としては、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミ
ノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシルアミノ、N-アルキル-N-アルコキシアミノ、
アシルアミノ、スルホニルアミノ、t-ブチルオクサンド(t-butyloxand)
、これらに類するものが挙げられる。
【0035】
「保護基」という用語は、合成化学において共有結合するという意味で、化学反応が別
の保護されていない反応部位において選択的に実施されることができるように、多官能性
化合物における反応部位を選択的に遮断する基を示す。保護基は、適切な地点で除去する
ことができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基またはヒドロキシ保
護基である。
【0036】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ基を保護するよう企図された基を示し、ベンジ
ル、ベンジルオキシカルボニル(カルボキシベンジルオキシ(CBZ))、Fmoc(9
-フルオレニルメチルオキシカルボニル)、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p
-ニトロベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、及びト
リフルオロアセチルが含まれる。これらの基のさらなる例は、T.W.Greene及び
P.G.M.Wuts,「有機合成における保護基(Protective Group
s in Organic Synthesis)」,第2版,John Wiley
& Sons,Inc.,ニューヨーク市,ニューヨーク州,1991,第7章、E.H
aslam,「有機化学における保護基(Protective Groups in
Organic Chemistry)」,J.G.W.McOmie編,Plenum
Press,ニューヨーク市,ニューヨーク州,1973,第5章、ならびにT.W.
Greene,「有機合成における保護基(Protective Groups in
Organic Synthesis)」,John Wiley and Sons
,ニューヨーク市,ニューヨーク州,1981において認められる。「保護されたアミノ
基」という用語は、アミノ保護基によって置換されたアミノ基を指す。アミノ保護基の特
定の例は、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である。
【0037】
「脱保護」または「脱保護すること」という用語は、選択的反応が完了した後に保護基
が除去されるプロセスを示す。脱保護試薬には、酸、塩基または水素があり、特に炭酸カ
リウムもしくは炭酸ナトリウム、アルコール溶液中の水酸化リチウム、メタノール中の亜
鉛、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラジウム触媒、または三臭化ホウ素が含まれる。特定の
脱保護試薬は塩化水素酸である。
【0038】
「緩衝液」という用語は、調製物のpHを安定化する賦形剤を示す。適切な緩衝液は当
該技術分野で周知であり、本文献中に認めることができる。特定の医薬として許容され得
る緩衝液は、ヒスチジン緩衝液、アルギニン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、
酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。使用する緩衝液とは無関係に、pHは、当該技術分
野で公知の酸または塩基、例えば、塩化水素酸、酢酸、リン酸、硫酸及びクエン酸、水酸
化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いて調整することができる。
【0039】
「アルカリ金属」という用語は、周期表の第1族の化学元素、すなわち、リチウム(L
i)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、
及びフランシウム(Fr)を指す。アルカリ金属の特定の例は、Li、Na及びKであり
、最も特にNaである。
【0040】
「アルカリ土類金属」という用語は、周期表の第2族の化学元素、すなわち、ベリリウ
ム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バ
リウム(Ba)、及びラジウム(Ra)を指す。アルカリ土類金属の特定の例はMg及び
Caである。
【0041】
「遷移金属」という用語は、原子が不完全d軌道部分殻を有する化学元素を示す。
【0042】
(略語)
【化4】

【化5】

【化6】
【0043】
本発明は、式(II)の化合物と式(III)の化合物とのカップリング反応を含む式
(I)の化合物またはその塩の調製方法を提供し、式中、R、R及びMは本明細書に
説明するとおりである(後述のスキーム1)。
【0044】
本発明の1つのさらなる態様は、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)の化合物の非
対称性水素化を含む、式(II)の化合物の製造方法に関する(後述のスキーム1)。
【0045】
本発明の一態様は、酸化還元酵素によって触媒される式(V)の化合物の非対称性還元
を含む、式(III)の化合物の製造方法に関する(後述のスキーム1)。
【0046】
本発明のさらなる一態様は、式(VI)の化合物またはその医薬として許容され得る塩
の製造方法に関し、この中で式(I)の化合物は脱保護される(下記のスキーム1)。
(スキーム1)
【化7】
【0047】
本発明の一実施形態において、Rは、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボ
ベンジルオキシ(CBZ))、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、
p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、ter
t-ブトキシカルボニル(BOC)、及びトリフルオロアセチルのリストから選択される
アミノ保護基である。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、Rは、tert-ブトキシカルボニル(BOC)
である。
【0049】
本発明の一実施形態において、Rは、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボ
ベンジルオキシ(CBZ))、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、
p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、ter
t-ブトキシカルボニル(BOC)、及びトリフルオロアセチルのリストから選択される
アミノ保護基である。
【0050】
本発明の特定の実施形態において、Rは、tert-ブトキシカルボニル(BOC)
である。
【0051】
本発明の一実施形態において、Mは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及
び遷移金属イオンのリストから選択される金属イオンである。
【0052】
本発明の特定の実施形態において、Mは、金属イオン、特にアルカリ金属イオン、アル
カリ土類金属イオンまたは遷移金属イオンであり、但し、MはKではないという条件つ
きである。
【0053】
本発明の特定の実施形態において、Mは、アルカリ金属イオンである。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、Mは、Li、KまたはNaである。
【0055】
本発明の特定の実施形態において、Mは、Kではない。
【0056】
本発明の最も特定の実施形態において、Mは、Naである。
【0057】
WO2008/006040は、式(II-pa)のアミノ酸及びその製造方法を開示
し、式中、R及びRは種々の選択肢を有することができ、かつtは0~4である。
【化8】
【0058】
WO2008/006040に開示されていた式(II-pa)の化合物の製造方法は
、a)ラセミ混合物を生じるためのアルキルアミンと2-アリールアクリラートとの非鏡
像選択性反応またはb)適切なキラル助剤を含有する2-フェニル酢酸へのアルコキシメ
タンアミンの非対称性付加のいずれかを包含する。両方法は、非対称性水素化を包含しな
いが、付加反応を包含する。結果的に、両方法は、助剤の付加、切断及び分離のための追
加の工程を必要とする。
【0059】
先の方法a)による合成は、ラセミエステル中間体の形成を介して進行し、当該ラセミ
エステル中間体はさらに、キラル助剤(例えば、S鏡像体のみとして)と結合したラセミ
酸へと加水分解して、ジアステレオマーRアミノ酸/S助剤及びジアステレオマーSアミ
ノ酸/S助剤からなる50:50の混合物を生じる。当該ジアステレオマーは、クロマト
グラフィーによって分離されなければならない。所望のS-S中間体の収率は、38%に
過ぎない。さらに、当該S-S中間体は、S-II酸を生じる(他のキラル成分であるキ
ラル助剤の損失を伴う)ために、加水分解されなければならない。この手順は、1工程で
材料の72%が失われるので、冗長でありかつあまり効率的ではない。要約すると、アミ
ン及びアクリラートの非鏡像選択的付加は、例えば、立体選択性の欠如及びクロマトグラ
フィーによるラセミ混合物の必須の分離という内在的な問題を呈する。結果的に、収率は
、立体選択的配列と比較して少なくとも100%低い。
【0060】
また、キラル助剤を含有する中間体への非対称性付加(先の方法b)は、当該助剤の付
加、切断及び分離のための追加の工程を必要とする。標的となった酸の合成における前駆
体は、キラル助剤と組み合わされ、結果として生じる中間体は、アルコキシメタンアミン
と結合する。この生成物は次に、ジアステレオマーR/S及びジアステレオマーS/Sの
せいぜいわずかに高濃度の混合物からなり、1:1の混合物からならない場合、上述のよ
うにさらに処理して、せいぜい中程度の収率で式(II-pa)の化合物の(S)異性体
を単離しなければならない。
【0061】
したがって、その後のキラルクロマトグラフィーを不要にする、より良好な立体選択性
を提供し、より少ない反応工程を必要とし、より高い収率を提供し、かつそれゆえより効
率的で、より環境にやさしく、かつ経費のあまりかからない、式(II)の化合物の改良
された調製方法について、まだ対処されていない必要性がある。
【0062】
本発明者らは、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)の化合物の非対称性水素化を含
む、式(II)の化合物の新たな製造方法を発見した。
【0063】
式(II)の化合物のこの新たな製造方法は、当該技術分野で公知の方法と比較してい
くつかの関連する利点を特長とする。
・非常に立体選択的な反応が合成において導入され、
・キラルクロマトグラフィーを用いたその後の精製が不要であり、
・反応工程数が減少し、
・全体的な収率が改善され、
・全体的な反応がより効率的で、より環境にやさしく、かつ経費があまりかからない。
【0064】
本発明の特定の金属錯体触媒は、類似の反応条件(すなわち、添加剤を用いない)下で
、最大10’000の基質対触媒モル比(S/C)が採用できるのに対し、他の公知の触
媒は、200~250のS/Cで使用する必要があるという点で、他の公知の触媒よりも
非常により効率的で、かつ非常により活性がありかつ選択的であることを発見した。した
がって、40~50倍少ない触媒の使用は、効率性、経費及び環境保護に及ぼす実質的な
影響を有する。
【0065】
ある特定の公知の触媒は、触媒活性を高めるために、添加剤として多量のLiBF
必要とする(水素化基質に対して最大5.8モル%、触媒に対して最大100モル当量)
。多量のLiBFは、工業法にとって不利であり、この多量のフッ化物イオンの存在(
水素化基質の最大23.2%)が規模拡大において鋼製圧力反応器の腐食に関する問題を
有しているからである。その一方で、LiBF添加剤を用いる場合でさえ、触媒は、本
発明の新たな触媒の活性に到達しない(例えば、最大S/Cは10’000)。
【0066】
当該技術分野で公知の均質に触媒する反応、すなわちこのような例えば非対称性水素化
は、溶液の抽出及び濃縮の多くの周期を含む非常に労力の要る作業手順を必要とする。さ
らに、当該技術分野で公知の非対称性水素化は、スカベンジャー(例えば、チオール樹脂
)を多量に(水素化基質に対して最大6重量%、触媒の重量の最大193倍)用いた金属
触媒の除去を必要とする。スカベンジャー樹脂を用いたルテニウム混入物のこのような除
去は、非常に容易ではなく、かつ極めて高額である。加えて、ルテニウム含有量は、一部
のみ減少し(例えば、約50ppmまで)、次の工程へと実施されるので、副産物形成に
ついての可能性を高める。このことは、材料及び労力の経費を加算し、潜在的な不純物に
ついての考察を始める。
【0067】
結論として、触媒及び添加剤からの水素化生成物の公知の生成方法及び単離方法の効率
性は低い。
【0068】
対照的に、本発明による方法は、水素化混合物から直接沈殿しかつ容易に濾過すること
のできる式(II)の化合物の塩を提供する。このような水素化生成物の単離及び精製は
、100%eeでかつ5ppmの検出限界を下回るルテニウム含有量で高収率(>94%
)を提供する。本発明者らの発見した非対称性水素化の反応生成物の作業はしたがって、
従来の方法よりも実質的に単純で、安価でかつ有用である。
【0069】
本発明の一態様は、式(II)の化合物
【化9】

に関し、式中、R及びMは、本明細書に定義するとおりである。
【0070】
本発明の一態様は、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)ア
ミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウムである式(II)の化合物に
関する。
【0071】
本発明の一態様は、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)
【化10】

の化合物の非対称性水素化を含む、式(II)
【化11】

の化合物の製造方法に関し、式中、R及びMは本明細書に定義するとおりである。
【0072】
本発明の一実施形態において、金属錯体触媒(C)は、ルテニウム錯体触媒である。
【0073】
本発明の一実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、酸化数IIを特徴とするルテニ
ウムを含む。
【0074】
本発明の一実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、キラルホスフィンリガンド(D
)を含む。
【0075】
本発明の一実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、リガンド、特に中性リガンド(
L)及び/または陰イオン性リガンド(Z)を含む。
【0076】
中性リガンド(L)の例は、エチレンまたはプロピレン、シクロオクテン、1,3-ヘ
キサジエン、ノルボルナジエン、1,5-シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチル
ベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼンなどのオレフィン、及びp-シメンであり、
あるいは、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル、アセトン、トルエン及びメタノールなどの溶媒でもある。
【0077】
陰イオン性リガンド(Z)の例は、酢酸(CHCOO)、トリフルオロ酢酸(CF
COO)、η-2,4-ペンタジエニル、η-2,4-ジメチル-ペンタジエニ
ル、及びフッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲンイオンである。
【0078】
ルテニウム錯体触媒が帯電している場合、非配位性陰イオン(Y)をさらに含む。非配
位性陰イオン(Y)の例は、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン
イオン、BF 、ClO 、SbF 、PF 、B(フェニル) 、B(3,
5-ジ-トリフルオロメチル-フェニル) 、CFSO 、及びCSO
である。
【0079】
ルテニウム錯体触媒は任意にさらに、AlCl などのルイス酸へ配位することがで
きる。
【0080】
本発明の一実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C1)、式(C2)または
式(C3)の化合物から選択される。
【化12】

式中、
Dは、キラルホスフィンリガンドであり、
Lは、C2~7アルケン、シクロオクテン、1,3-ヘキサジエン、ノルボルナジエン
、1,5-シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5-トリメ
チルベンゼン、p-シメン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル、アセトン、トルエン及びメタノールから選択される中性リガンドで
あり、
Zは、水素化物、フッ化物、塩化物、臭化物、η-2,4-ペンタジエニル、η
2,4-ジメチル-ペンタジエニルまたはA-COO基から選択される陰イオン性リガ
ンドであり、但し、2つのZがRu原子へ結合する場合、当該Zは同じまたは異別のいず
れかであり得、
Aは、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキル、アリール、またはハロアリールであ
り、
Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、BF 、ClO 、SbF 、PF 、B
(フェニル) 、B(3,5-ジ-トリフルオロメチル-フェニル) 、CFSO
、及びCSO から選択される非配位性陰イオンであり、
Fは、任意にキラルジアミンであり、
E及びE’は両方とも、ハロゲンイオンであり、またはEは水素化物でありかつE’は
BH であり、
mは、1、2、3または4であり、
pは、1または2である。
【0081】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C1)または式(C2
)の化合物から選択され、式中、Z、D、L、Y、m及びpは、本明細書に説明するとお
りである。
【0082】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C1)の化合物から選
択され、式中、Z及びDは、本明細書に説明するとおりである。
【0083】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、Ru(Z)Dであり、式
中、Z及びDは、本明細書に説明するとおりである。
【0084】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C2)の化合物から選
択され、式中、Z、D、L、Y、m及びpは、本明細書に説明するとおりである。
【0085】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C3)の化合物から選
択され、式中、E、E’、D及びFは、本明細書に説明するとおりである。
【0086】
本発明の特定の実施形態において、陰イオン性リガンド(Z)は独立して、塩化物、臭
化物、ヨウ化物、OAc、及びTFAから選択される。
【0087】
本発明の特定の実施形態において、陰イオン性リガンド(Z)は、A-COOである
【0088】
本発明の特定の実施形態において、Aは、-CFである。
【0089】
本発明の特定の実施形態において、陰イオン性リガンド(Z)は、トリフルオロ酢酸(
TFA)である。
【0090】
本発明の特定の実施形態において、中性リガンド(L)は独立して、ベンゼン(C
)、p-シメン(pCym)、及びアセトニトリル(AN)から選択される。
【0091】
本発明の特定の実施形態において、中性リガンド(L)は、ベンゼン(C)であ
る。
【0092】
本発明の特定の実施形態において、非配位性陰イオン(Y)は、塩化物、臭化物、ヨウ
化物及びBF から選択される。
【0093】
本発明の特定の実施形態において、非配位性陰イオン(Y)は、BF である。
【0094】
本発明の特定の実施形態において、mは1または4である。
【0095】
本発明の特定の実施形態において、mは1である。
【0096】
本発明の特定の実施形態において、mは4である。
【0097】
本発明の特定の実施形態において、pは1である。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、pは2である。
【0099】
本発明の特定の実施形態において、E及びE’は両方とも塩化物である。
【0100】
本発明の特定の実施形態において、キラルジアミンFは、(1S,2S)-1,2-ジ
フェニルエチレンジアミン(S,S-DPEN)である。
【0101】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、ルイス酸、特にAlCl
へ配位される。
【0102】
本発明の一実施形態において、キラルホスフィンリガンドDは、式(D1)~式(D1
2)の化合物
【化13】

から選択され、式中、
11は、C1~7アルキル、C1~7アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシもし
くはC1~7アルキル-C(O)O-であり、
12及びR13は各々独立して、水素、C1~7アルキル、C1~7アルコキシもし
くはジ(C1~7アルキル)アミノであり、
または
同じフェニル基へ結合するR11及びR12もしくは同じフェニル基へともに結合する
12及びR13は、X-(CH-Y-であり、式中、Xは-O-、もしくは-C
(O)O-であり、Yは-O-、-N(低級アルキル)-、もしくは-CF-でありか
つrは1~6の整数であり、または
2つのR11はともに、-O-(CH-O-もしくはO-CH(CH)-(C
-CH(CH)-O-であり、式中sは1~6の整数であり、または
11及びR12もしくはR12及びR13は、これらの結合する炭素原子とともに、
ナフチル環、テトラヒドロナフチル環もしくはジベンゾフラン環を形成し、
14及びR15は各々独立して、C1~7アルキル、C1~7アルコキシ、ジ(C
~7アルキル)アミノ、モルホリニル、フェニル、トリ(C1~7アルキル)シリル、C
1~7アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、(CH
-OH及び(CH-NHからなる群から独立して選択される1~7個の置換
基で任意に置換されたC1~7アルキル、C3~8シクロアルキル、フェニル、ナフチル
またはヘテロアリールであり、式中tは1~6の整数であり、
16は、C1~7アルキルであり、
17は、C1~7アルキルであり、かつ
18は独立して、アリール、ヘテロアリール、C3~8シクロアルキルまたはC1~
アルキルである。
【0103】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、式(D1)の
化合物から選択され、式中、R11~R15は、本明細書に説明するとおりである。
【0104】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、(R)-3,
5-Xyl-BINAP、(R)-BINAP、(S)-2-フリル-MeOBIPHE
P、(S)-BINAP、(S)-BINAPHANE、(S)-BIPHEMP、(S
)-MeOBIPHEP、(S)-pTol-BINAP)、(S)-TMBTP及び(
S,S)-iPr-DUPHOSから選択される。
【0105】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、(S)-BI
PHEMP、(S)-BINAP、及び(S)-MeOBIPHEPから選択される。
【0106】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、(S)-BI
NAPである。
【0107】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、(S)-2,
2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルである。
【0108】
本発明の特定の実施形態において、キラルホスフィンリガンド(D)は、
【化14】

である。
【0109】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、
Ru(TFA)((R)-3,5-Xyl-BINAP)、
Ru(OAc)((S)-2-フリル-MeOBIPHEP)、
Ru(OAc)((S)-BINAP)、
[Ru(OAc)((S)-BINAP)]AlCl
Ru(TFA)((S)-BINAP)、
Ru(TFA)((S)-BINAPHANE)、
Ru(TFA)((S)-BIPHEMP)、
Ru(OAc)((S)-MeOBIPHEP)、
Ru(TFA)((S)-TMBTP)、
Ru(TFA)((S,S)-iPr-DUPHOS)、
[Ru((R)-BINAP)(pCym)(AN)](BF
[RuBr((S)-BINAP)(C)]Br、
[RuCl((S)-BINAP)(C)]BF
[RuCl((S)-BINAP)(C)]Cl、
[RuI((S)-BINAP)(C)]I、
[Ru((S)-BINAP)(AN))](BF、及び
RuCl((S)-pTol-BINAP)(S,S-DPEN)
の群から選択される。
【0110】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、
Ru(TFA)((R)-3,5-Xyl-BINAP)、
Ru(OAc)((S)-2-フリル-MeOBIPHEP)、
Ru(OAc)((S)-BINAP)、
[Ru(OAc)((S)-BINAP)]AlCl
Ru(TFA)((S)-BINAP)、
Ru(TFA)((S)-BINAPHANE)、
Ru(TFA)((S)-BIPHEMP)、
Ru(OAc)((S)-MeOBIPHEP)、
Ru(TFA)((S)-TMBTP)、
Ru(TFA)((S,S)-iPr-DUPHOS)、
[Ru((R)-BINAP)(pCym)(AN)](BF
[RuBr((S)-BINAP)(C)]Br、
[RuCl((S)-BINAP)(C)]BF
[RuI((S)-BINAP)(C)]I、
[Ru((S)-BINAP)(AN)]](BF、及び
RuCl((S)-pTol-BINAP)(S,S-DPEN)
の群から選択される。
【0111】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、
Ru(TFA)((R)-3,5-Xyl-BINAP)、
Ru(OAc)((S)-2-フリル-MeOBIPHEP)、
Ru(OAc)((S)-BINAP)、
[Ru(OAc)((S)-BINAP)]AlCl
Ru(TFA)((S)-BINAP)、
Ru(TFA)((S)-BINAPHANE)、
Ru(TFA)((S)-BIPHEMP)、
Ru(OAc)((S)-MeOBIPHEP)、
Ru(TFA)((S)-TMBTP)、及び
Ru(TFA)((S,S)-iPr-DUPHOS)
の群から選択される式(C1)の化合物である。
【0112】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、
[Ru((R)-BINAP)(pCym)(AN)](BF
[RuBr((S)-BINAP)(C)]Br、
[RuCl((S)-BINAP)(C)]BF
[RuCl((S)-BINAP)(C)]Cl、
[RuI((S)-BINAP)(C)]I、及び
[Ru((S)-BINAP)(AN)](BF
の群から選択される式(C2)の化合物である。
【0113】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、式(C3)の化合物、特に
RuCl((S)-pTol-BINAP)(S,S-DPEN))である。
【0114】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、Ru(TFA)((S)
-BINAP)である。
【0115】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、[RuCl(S-BINA
P)(C)]Clである。
【0116】
本発明の特定の実施形態において、ルテニウム錯体触媒は、[RuCl(S-BINAP
)(C)]Clではない。
【0117】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、アルコー
ル、炭化水素、塩化炭化水素、フッ化およびポリフッ化脂肪族または芳香族炭化水素、超
臨界または液体二酸化炭素、THF、水あるいはこれらの混合物から選択される溶媒中で
実施される。
【0118】
非対称性水素化のための特定の溶媒は、アルコール、塩化炭化水素及びTHFである。
【0119】
非対称性水素化のための特定の溶媒は、MeOH、EtOH、i-PrOH、EtOH
/シクロペンチルメチルエーテル、EtOH/CHCl、EtOH/EtOAc、E
tOH/THF、EtOH/HO、CHCl及びTHFのリストから選択される。
【0120】
非対称性水素化のための最も特定の溶媒は、エタノール(EtOH)である。
【0121】
当該溶媒は、単独でまたは先に記載の溶媒の混合物として使用することができる。
【0122】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、1~50
重量%、特に5重量%、10重量%、20重量%または30重量%の式(IV)の化合物
の濃度で実施される。
【0123】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、10~2
5重量%の式(IV)の化合物の濃度で実施される。
【0124】
特別な場合、ある添加剤の添加は、式(IV)の化合物の非対称性水素化を改良するこ
とが驚くべきことに発見された。ルテニウム触媒の活性及び安定性は実質的に改良され、
それゆえ必要とされる触媒の量が減少するという仮説が立てられる。採用される触媒量が
より少量であると結果的に、作業は簡素化し、経費は削減される。
【0125】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、LiBF
、LiPF、LiOSCF、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、K
I、LiCl、LiBr、LiI、HBF、HCl、HBr、HSO、及びCH
SOHのリストから選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0126】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、LiBF
、LiPFまたはLiOSCFを添加剤として含まない。これらの非常に腐食性
のある特徴の点で、このようなフッ化物含有添加剤は、取り扱うのが困難であり、したが
って好ましくない。
【0127】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化はさらに、N
aCl、NaBr、KCl、KBr、HCl及びHBrのリストから選択される1つ以上
の添加剤を含む。
【0128】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化はさらに、L
iBF、HBF、HCl、HSO、及びCHSOHのリストから選択される
1つ以上の添加剤を含む。
【0129】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化はさらに、L
iBF、NaCl、NaBr、LiCl、LiBr、LiI、HBF、HCl、HB
r、HSO、及びCHSOHのリストから選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0130】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、水素を水
素源として用いて実施される。
【0131】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、1~15
0バール、特に10~30バール、最も特に17~21バールの水素圧下で実施される。
【0132】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、10~1
20℃、特に20~90℃の温度で実施される。
【0133】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、5~30
時間、特に6~25時間、より特に6~23時間の時間で実施される。
【0134】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、5~10
0’000、特に100~15’000、最も特に100~10’000の基質/触媒比
(S/C)で実施される。
【0135】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、バッチ式
で実施される。
【0136】
本発明の特定の実施形態において、式(IV)の化合物の非対称性水素化は、連続的な
様式で実施される。
【0137】
本発明の一態様は、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)
【化15】

の化合物の非対称性水素化の後に、式C1~7アルキル-OMの金属アルコキシドのアル
コール溶液を当該水素化反応混合物へ添加することによって塩を形成することを含む、式
(II)
【化16】

の化合物の製造方法に関し、式中、R及びMは本明細書に定義するとおりである。
【0138】
本発明の一態様は、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)の化合物の非対称性水素化
の後に、式C1~7アルキル-OMの金属アルコキシドのアルコール溶液を当該水素化反
応混合物へ、酸中間体の先行の単離または精製なしで添加することによって塩を形成する
ことを含む、式(II)の化合物の製造方法に関し、式中、R及びMは、本明細書に定
義するとおりである。
【0139】
本発明の特定の実施形態において、塩形成工程において採用する金属アルコキシドは、
MeOM、EtOM、iPrOM、nPrOM、nBuOM、iBuOMまたはtBuO
M、最も特にEtOMである。
【0140】
本発明の特定の実施形態において、塩形成工程において溶媒として使用するアルコール
は、C1~7アルキル-OH、より特にMeOH、EtOH、iPrOH、nPrOH、
nBuOH、iBuOHまたはtBuOH、最も特にEtOHである。
【0141】
本発明の一態様は、金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)の化合物の非対称性水素化
の後に、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液を当該水素化反応混合物へ添加すること
によって塩を形成することを含む。式(II)の化合物の製造方法に関する。
【0142】
式(IV)の化合物は、当業者に公知の方法によって調製することができる。式(IV)
の化合物の調製に関する特定の一般的な方法は、スキーム2において示されている。個々
の反応工程に関するより特定の説明については、後述の実施例の節を参照されたい。
(スキーム2)
【化17】
【0143】
式(IVa)の化合物(式中、Rは、任意に置換されたC1~7アルキル、特にエチ
ルである)は、化合物HCO(式中、Rは、任意に置換されたC1~7アルキル
、特にエチルである)を用いた塩基性条件下で濃縮され、式(IVb)の化合物を形成す
る。アミンHN(イソプロピル)R(式中、Rは、水素、C1~7アルキルまたはア
ミノ保護基である)を用いた式(IVb)の化合物のさらなる濃縮は、式(IVc)の化
合物を形成する。Rが式(IVc)の化合物において水素である場合、当該アミンの追
加の保護は、式(IVc)の保護された化合物を形成するために実施することができる(
例えば、RがBocなどのアミノ保護基である場合)。化合物(IVc)のエステルの
加水分解は、式(IV)の化合物を提供する。
【0144】
本発明のルテニウム錯体触媒は、原理上、それ自体公知の様式で調製することができる
。当該触媒は、例えば、B.Heiserら,Tetrahedron:Asymmet
ry 1991,2,51、またはN.Feikenら,有機金属(Organomet
allics)1997,16,537、またはJ.-P.Genet,Acc.Che
m.Res.2003,36,908、またはK.Mashimaら,J.Org.Ch
em.1994,53,3064、Angew.Chem.Int.Ed.1998,3
7,1703~1707、またはM.P.Flemingら,米国特許第6,545,1
65 B1号及びこれらに引用されている参考文献、ならびにフェロセン系Ru錯体につ
いて具体的には有機反応の触媒作用(CatalysisofOrganic Reac
tions),CRC Press,ボカラトン市,2009におけるO.Brielら
により単離または直接使用する(その場調製)ことができ、これらの文献すべての開示は
全体として、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
[Ru(TFA)((S)-BINAP)]の合成は、B.Heiserら,Tet
rahedron:Asymmetry 1991,2,51に開示されている。
【0146】
ルテニウム錯体触媒は、その場で、すなわち使用直前に単離なしで調製することができ
る。このような触媒が調製される溶液はすでに、鏡像選択的水素化のための基質を含有す
ることができ、または当該溶液は、水素化反応を開始する直前に基質と混合することがで
きる。
【0147】
WO2008/006040は、式(71)の5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-
シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オール及びその製造方法を開示しており、式中、R
は、種々の代替物を有することができる。
【化18】
【0148】
特に、WO2008/006040は、水素の存在下でのキラル触媒、コーリー・バク
シ・柴田(CBS)触媒、キラルリガンドの存在下でのボロヒドリド還元剤、または非キ
ラル還元剤(例えば、H、Pd/C)を用いた、5-メチル-5,6-ジヒドロシクロ
ペンタ[d]ピリミジン-7-オンから(R)または(S)-5-メチル-6,7-ジヒ
ドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-7-オールへの非対称性還元を開示してい
る。
【0149】
式(III)の化合物を製造するための、当該技術分野で公知の方法は、当該方法が激
烈な反応条件(例えば、高圧)、重金属及びキラル助剤の使用を必要とし、かつ得られた
ジアステレオ選択性が制限されているに過ぎず(すなわち、88%de)、したがって追
加の精製工程を必要とするという本質的な欠点を呈する。
【0150】
本発明者らは、式(III)(式中、Rは、本明細書に説明するとおりである)の化
合物の製造についての新たな酵素方法を発見した。
【化19】
【0151】
本発明による式(III)の化合物の製造についてのこれらの新たな方法は、当該技術
分野で公知の方法と比較していくつかの関連する利点を特長とする。当該酵素的還元の利
点とは、その触媒の性質である、形成されるジアステレオマーのその後の分割に関する潜
在的な必要性を回避する非常に高いジアステレオ選択性である。
【0152】
本発明の酵素的還元は、技術的な必要条件を簡素化し、成分の数及び量を減少させ、か
つより高い時空間収率を可能にする。本発明の利点は、高い基質濃度(最高25%)、高
い生成物濃度(最高25%)、低い補因子ロージング(式(V)の化合物の最低1/30
00)及び2-プロパノールを最終還元剤として用いたより単純な補因子再生系など、改
良された技術上の関連基準として具現化される。2-プロパノールを最終還元剤として用
いた当該補因子再生系は、粘度を低下させ、酸化された補基質としてのグルコン酸の連続
的な中和を回避し、形成されたアセトンの連続的な除去を可能にする。
【0153】
本発明の一態様は、酸化還元酵素によって触媒される式(V)
【化20】

の化合物の非対称性還元を含む式(III)
【化21】

の化合物の製造方法に関し、式中、Rは、本明細書に定義するとおりである。
【0154】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元を触媒する酸化還元酵素は、ケト還元酵素である。
【0155】
本発明の一態様において、当該酸化還元酵素は、式(V)の化合物から式(III)の
化合物への非対称性還元を、少なくとも95%のジアステレオマー過剰率(de)のジア
ステレオ選択性で、特に少なくとも98%のdeのジアステレオ選択性で、より特に少な
くとも99%のdeのジアステレオ選択性で触媒する。
【0156】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、補因子の存在下で酸化還元酵素によって触媒される。
【0157】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元において酸化される補因子は、NADHまたはNADPHである。
【0158】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元において酸化される補因子は、酵素とカップリングした補因子の再生(例えば、最終還
元剤としてのグルコース、及びグルコース脱水素酵素を基にする)または基質とカップリ
ングした再生(例えば、第二級アルコールを補基質として用いる)のいずれかを適用して
、その場で再生される。
【0159】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元において酸化される補因子は、グルコース及びグルコース脱水素酵素を補基質として用
いる、酵素とカップリングした補因子の再生によって、その場で再生される。
【0160】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元において酸化される補因子は、第二級アルコールを補基質として用いる、基質とカップ
リングした再生によって、その場で再生される。
【0161】
本発明の一態様において、基質とカップリングした再生のための補基質としての第二級
アルコールは、2-プロパノール、2-ブタノール、ブタン-1,4-ジオール、2-ペ
ンタノール、ペンタン-1,5-ジオール、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヘキサ
ノール、ヘキサン-1,5-ジオール、2-ヘプタノール、または2-オクタノールから
選択され、特に2-プロパノールである。
【0162】
2-プロパノールは、標的反応も触媒する同じ酵素における補因子の再生及び形成され
たアセトンの連続的な除去のために特に有用である。
【0163】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元を触媒する酸化還元酵素は、ジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である
【0164】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元を触媒する酸化還元酵素は、
KRED-NADPH-111(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-112(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-113(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-114(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-115(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-121(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-123(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-145(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
KRED-NADPH-155(Codexis社製、米国カリフォルニア州レッドウ
ッドシティ)、
A231(Almac Group社製、英国クレイガボン地区)、及び
KRED-NADPH-136(Enzysource製、中国杭州市)
のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0165】
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を触媒するさらなる適切
な酸化還元酵素は、
PCT国際公開第WO2010/025238A2号において開示され、配列番号34
において識別されるラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefi
r)由来の操作されたケト還元酵素であるKRED-X1、及び
PCT国際公開第WO2009/029554A2号において開示され、配列番号13
8として識別されるスポロボロミセス赤色酵母(Sporobolomyces sal
monicolor)由来の操作されたケト還元酵素であるKRED-X2
のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0166】
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を触媒するさらなる適切
な酸化還元酵素は、市販のKRED-X1のバリアントである(Codexis社製、米
国カリフォルニア州レッドウッドシティ)。
【0167】
特に有用なのは、Codexis KRED特殊プレート製品「KRED-X1-SP
ECIALTY-PLT」由来のKREDバリアント「P1B06」である操作されたケ
ト還元酵素「KRED-X1-P1B06」である。
【0168】
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を触媒するさらなる適切
な酸化還元酵素は、市販のKRED-X1のバリアントである(Codexis社製、米
国カリフォルニア州レッドウッドシティ)。特に有用なのは、Codexis KRED
特殊プレート製品「KRED-X1.1-B06-SPECIALTY-PLT」由来の
以下の操作されたケト還元酵素、すなわち
「KRED-X1.1-P1F01」(KREDバリアントP1F01)、
「KRED-X1.1-P1H10」(KREDバリアントP1H10)、
「KRED-X1.1-P1G11」(KREDバリアントP1G11)、
「KRED-X1.1-P1C04」(KREDバリアントP1C04)、
「KRED-X1.1-P1C11」(KREDバリアントP1C11)、及び
「KRED-X1.1-P1C08」(KREDバリアントP1C08)
である。
【0169】
特に有用なのは、操作されたケト還元酵素「KRED-X1.1-P1C04」及び「
KRED-X1.1-P1F01」である。最も特定のケト還元酵素は、操作されたケト
還元酵素「KRED-X1.1-P1F01」である。
【0170】
PCT国際公開第WO2010/025085A2号及び第WO2009/02955
4A2は、それらが全体として、すべての目的のために参照により本明細書により組み込
まれ、特に酸化還元酵素の調製及び使用に関連する当該PCT国際公開の態様がそうであ
る。
【0171】
上記の酵素はすべて、補因子NADHと同様に使用し得る。
【0172】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-NADPH-111、KRED-N
ADPH-112、KRED-NADPH-113、KRED-NADPH-114、K
RED-NADPH-115、KRED-NADPH-121、KRED-NADPH-
123、KRED-NADPH-145、KRED-NADPH-155、A231、K
RED-NADPH-136、KRED-X1、KRED-X2、KRED-X1-P1
B06、KRED-X1.1-P1F01、KRED-X1.1-P1H10、KRED
-X1.1-P1G11、KRED-X1.1-P1C04、KRED-X1.1-P1
C11、及びKRED-X1.1-P1C08のリストから選択されるジアステレオ選択
的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0173】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1、KRED-X2、KRED-
X1-P1B06、KRED-X1.1-P1F01、KRED-X1.1-P1H10
、KRED-X1.1-P1G11、KRED-X1.1-P1C04、KRED-X1
.1-P1C11、及びKRED-X1.1-P1C08のリストから選択されるジアス
テレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0174】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1、KRED-X2、KRED-
X1-P1B06、KRED-X1.1-P1C04及びKRED-X1.1-P1F0
1のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0175】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1, KRED-X1-P1B06
,KRED-X1.1-P1C04及びKRED-X1.1-P1F01のリストから選
択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0176】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1及びKRED-X2のリストか
ら選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0177】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1及びKRED-X1-P1B0
6のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である。
【0178】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、KRED-X1.1-P1C04及びKRED
-X1.1-P1F01のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸
化還元酵素である。
【0179】
本発明の1つの特定の態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への
非対称性還元を触媒する酸化還元酵素は、ジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元
酵素KRED-X1.1-P1F01である。
【0180】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、1つ以上の有機補助溶媒の存在下で水性媒体中で実施される。
【0181】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、1つ以上の有機補助溶媒の存在下で水性媒体中で実施され、この中で、当該有機補
助溶媒は、1~50容積%、特に4~40容積%の総濃度で存在する。
【0182】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元において存在する補助溶媒は、グリセロール、2-プロパノール、ジエチルエーテル、
tert.ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル
テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、シクロ
ヘキセン及びこれらの混合物のリストから選択され、特に2-プロパノールである。
【0183】
2-プロパノールは、基質とカップリングした補因子再生のための最終還元剤として機
能することができるので、補助溶媒として特に有用である。
【0184】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、1℃と50℃の間、特に20℃と45℃の間の反応温度で実施される。
【0185】
上位範囲にある温度は、反応速度を高め、アセトンの除去を容易にする。
【0186】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、5.5と8.5の間のpHで実施される。
【0187】
本発明の一態様において、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還
元は、水性緩衝液中で実施される。適切な緩衝液は、当業者に公知である。特定の緩衝液
は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)またはリン酸二水素カリウム(
PBS)である。
【0188】
至適pH範囲及びそれゆえ任意の適切な緩衝液は、採用される特定の酸化還元酵素によ
る。
【0189】
本発明の一態様は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元に関
し、この中で、式(V)の化合物は初期的に、1~25重量%、特に10~20重量%の
濃度で存在する。
【0190】
本発明の一態様は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元に関
し、この中で、反応濃度(当該反応混合物中の式(V)のケトン及び式(III)のキラ
ルアルコールの総濃度)は、1重量%と25重量%の間、特に10重量%と20重量%の
間である。
【0191】
本発明の一態様は、酸化還元酵素によって触媒される式(V)の化合物の非対称性還元
の後の抽出によるまたは濾過による作業を含む、式(III)の化合物の製造方法に関す
る。
【0192】
本発明の一態様は、酸化還元酵素によって触媒される式(V)の化合物から式(III
)の化合物への非対称性還元に関し、この中で、当該生成物は、抽出によってまたは濾過
によって従来通り作業される。
【0193】
粗生成物の純度は、結晶化によってさらに高められ得、または式(I)の化合物の製造
のためのその後の反応シーケンスにあるように使用され得る。
【0194】
本発明の一態様は、酸化還元酵素によって触媒される式(V)の化合物の非対称性還元
の後の抽出によるまたは濾過による及びさらに結晶化による作業を含む、式(III)の
化合物の製造方法に関する。
【0195】
本発明の一態様は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元に関
し、この中で、当該生成物は、抽出によってまたは濾過によって及びさらに結晶化によっ
て従来通り作業される。
【0196】
本発明の一態様は、式(IVd)
【化22】

の化合物またはその塩を、式(IVc)
【化23】

(式中、R及びRは本明細書に定義するとおりである)の化合物またはその塩を得る
のに十分な条件下でR-X(式中、Xは脱離基である)と接触させることを含む、式I
Vcの化合物またはその塩の製造方法に関する。
【0197】
一実施形態において、当該方法は、(E)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イ
ソプロピル)-アミノ)-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸エチルを含み、式中、
は、BOC保護基であり、Rは、エチルであり、かつ式中R-Xは(BOC)
Oである。
【0198】
1つの特定の実施形態において、当該方法は、式IVdの化合物またはその塩を、約5
0%超、特に約75%超の収率で、DMFを含む極性溶媒混合物中で式IVcの化合物ま
たはその塩を得る条件下で、約8当量未満の(BOC)O、特に約4当量未満、より特
に約3当量と接触させることを含む。
【0199】
1つのさらに特定の実施形態において、当該条件は、式IVdの化合物またはその塩を
、DMFを含む極性溶媒混合物中で、約3当量の(BOC)Oならびに各約2当量のト
リブチルアミン及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を含む塩基性混合物と接触させ
ることを含む。ある実施形態において、当該方法はさらに、当該(BOC)Oの添加中
に真空下で当該反応混合物から液体の一部を除去することを含む。
【0200】
式(V)の化合物は、当業者に公知の方法により調製することができる。式(V)の化
合物の調製に関する特定の一般的な方法は、スキーム3に示す。個々の反応工程に関する
より特定の説明については、後述の実施例の節を参照されたい。
(スキーム3)
【化24】
【0201】
式(Va)の化合物とヨウ素化剤(例えば、NaI及び任意に酸を有するなどのヨウ化
塩)の反応は、式(Vb)のジヨードピリミジンを生じ、これはさらに単保護されたピペ
ラジンと反応して、式(Vc)の化合物を生じることができる。式(Vc)の化合物は、
グリニャール試薬(例えば、iPrMgClなどのハロゲン化C1~7アルキルマグネシ
ウム)などの金属化剤で金属化して式(Vd)の化合物を形成し、これがさらに環化して
、式(V)のシクロペンチルケトンを形成し、式中、
は、本明細書に説明するとおりであり、
Gは、LiまたはMgであり、
は、ClまたはOHであり、
は、-CN、-COORまたは-CONRであり、式中R及びRは独
立して、水素、-OH、C1~7アルコキシ、C1~7アルキル、C2~7アルケニル、
2~7アルキニル、C3~8シクロアルキル、フェニルもしくは3~12員のヘテロシ
クロアルキルのリストから選択され、またはR及びRは、これらの結合する窒素原子
とともに、3~7員のヘテロシクロアルキルを形成する。
【0202】
WO2008/006040は、酸を用いた脱保護後の式(71)の化合物が適切なア
ミノ酸でアシル化した式(73)の化合物の製造方法を開示しており、式中、R及びR
は、種々の代替物を有することができる。
【化25】
【0203】
先行技術において説明されるようなアシル化反応は、以下の欠点を呈する。
・カップリング試薬としてHBTUを採用する方法は、大規模な商業的製造方法に適し
ていない。HBTUは、アナフィラキシー及び職業的アレルギー性接触性皮膚炎の症例が
文献で説明されているような重症の工業的な衛生上の懸念を起こさせる(Hannu T
.ら,Occup Med,2006,56(6),430~433及びM.A.Ale
erら,Contact Dermatitis,2010 62,2 123)。
・ジクロロメタンを溶媒として採用する方法は、ジクロロメタンが米国における有害空
気汚染物(HAP)として分類されるので、大規模な商業的製造方法に適していない。さ
らに、ジクロロメタンは、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)によってクラス2
の溶媒として格付けされ、その本質的な毒性により、厳しい認可1日曝露量(PDE)が
伴う。
・クロマトグラフィーを用いた生成物の精製は、その非常に多量の溶媒消費及び少量の
処理量により、バルク規模の小分子製造のための許容され得る精製方法ではない。
・商業的なバルク規模の反応方法が混合物中に1つを超える溶媒を包含する場合、当該
溶媒は、互いからの分離及び蒸留を用いた再生利用を可能にするために、互いに十分に離
れた異なる沸点を必要とする。同じ工程に、混合物が分離できないので再生利用可能では
ない4つの溶媒を包含する方法(例えば、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)を
有する)は、大規模な製造に適していない。
・濃縮された無機塩をすべてが有する多くの(例えば6回)水性抽出を必要とする生成
物の作業は結果的に、有意な量の汚染された廃棄水を生じる。このような加工条件は結果
的に、環境上不利な製造方法を生じる。
【0204】
本発明者らは、塩、特にナトリウム塩である式(II)の化合物の式(III)の化合
物へのカップリングを含む、式(I)の化合物の製造のための新たな改良された方法を発
見した。塩、特にナトリウム塩としての式(II)の化合物の使用は、遊離アミノ酸の使
用と比較して、このような方法を実質的に容易かつ簡素化する。
【0205】
本発明による式(I)の化合物の製造方法は、当該技術分野で説明される方法と比較し
ていくつかの関連する利点を特長とし、とりわけ、例えば、
・式(I)の化合物の作業はかなり改良されている。十分に分離可能な3つの溶媒のみ
(イソプロパノール、トルエン及びヘプタン)を採用している。
・無水プロピルホスホン酸(T3P)は、アレルギー特性及び感作特性のない非毒性カ
ップリング剤である。
・反応副産物は水溶性であり、それゆえ、例えば3倍水性抽出によって容易に除去する
ことができる。
【0206】
本発明の一態様は、式(II)
【化26】

の化合物の式(III)
【化27】

の化合物とのカップリング反応を含む、式(I)
【化28】

の化合物またはその塩の調製方法を提供し、式中、R、R及びMは、本明細書に定義
するとおりである。
【0207】
本発明の一態様は、式(II)の化合物と式(III)の化合物とのカップリング反応
を含む、式(I)の化合物またはその塩の調製方法を提供し、式中、R、R及びMは
、本明細書に定義するとおりであり、以下の反応工程を含む。
a)酸性条件下での溶媒中の式(III)の化合物の脱保護、
b)塩基を用いたアルカリ性pHへの調整、
c)溶媒中に式(II)の化合物を含む溶液の添加、
d)溶媒中にカップリング剤を含む溶液の添加。
【0208】
本発明の一態様において、工程a)の脱保護は、塩化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸
または臭化水素酸を用いて実施される。
【0209】
本発明の特定の態様において、工程a)における脱保護は、塩化水素酸を用いて実施さ
れる。
【0210】
本発明の一態様において、工程a)における脱保護に使用する溶媒は、水、メタノール
、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、及びtert-
ブタノールから選択される。
【0211】
本発明の特定の態様において、工程a)における脱保護に使用する溶媒は、n-プロパ
ノールまたはイソプロパノールから選択される。
【0212】
本発明の一態様において、工程a)における脱保護は、50~100℃の温度で、特に
80℃で実施される。
【0213】
本発明の一態様において、工程a)における脱保護は、0.1~24時間の反応時間の
間に、特に1~2時間の反応時間の間に実施される。
【0214】
本発明の一態様において、工程b)における塩基は、N-エチルモルホリン(NEM)
、トリエチルアミン(TEA)、トリ(n-プロピル)アミン(TPA)、ジイソプロピ
ルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン及びルチジンから選択される液体塩基である。
【0215】
本発明の一態様において、工程b)における塩基は、N-エチルモルホリン(NEM)
である。
【0216】
本発明の一態様において、工程b)において、4~8当量の塩基は、式(III)の化
合物に関して、特に6~7当量の塩基、最も特に6.5当量の塩基が添加される。
【0217】
本発明の一態様において、工程c)で使用する溶媒は、工程a)で使用する溶媒と同一
である。
【0218】
本発明の一態様において、工程c)において使用する溶媒は、水、メタノール、エタノ
ール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、及びtert-ブタノー
ルから選択される。
【0219】
本発明の特定の態様において、工程c)における溶媒は、n-プロパノールまたはイソ
プロパノールから選択される。
【0220】
本発明の一態様において、工程d)において使用するカップリング剤は、無水プロピル
ホスホン酸(T3P)である。
【0221】
本発明の一態様において、工程d)において使用する溶媒は、メタノール、エタノール
、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、トル
エン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、クロロホ
ルム、塩化メチレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、アセトン、
メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチ
ルピロリジノン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ピリジン、2-プロパノン、2-ブ
タノン、エチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロ
ピル、及び先の混合物から選択される。
【0222】
本発明の特定の態様において、工程d)において使用する溶媒は、n-プロパノール及
びトルエンまたはイソプロパノール及びトルエンの混合物から選択され、最も特に、n-
プロパノール及びトルエンの混合物である。
【0223】
本発明の一態様において、工程d)におけるカップリング反応は、-10~50℃、特
に0~25℃の温度で実施される。
【0224】
本発明の一態様において、工程d)におけるカップリング反応は、0.1~24時間の
反応時間の間に、特に1~4時間の反応時間の間に実施される。
【0225】
本発明の一態様は、式(II)の化合物と式(III)の化合物とのカップリング反応
に関し、この中で、工程d)の後、当該生成物は水性抽出によって作業される。
【0226】
本発明の特定の態様において、工程d)後の生成物の作業は、水を用いた1~6回の抽
出、特に水を用いた3回の抽出を含む。
【0227】
本発明の一態様は、式(VI)
【化29】

の化合物またはその医薬として許容され得る塩の製造方法に関し、この中で、式(I)
【化30】

の化合物は脱保護され、式中、Rは、本明細書に定義するとおりである。
【0228】
本発明の一態様は、式(VI)の化合物またはその医薬として許容され得る塩の製造方
法に関し(この中で、式(I)の化合物は脱保護され、式中、Rは本明細書に定義する
とおりである)、以下の反応工程を含む。
i)酸性条件下での溶媒中での式(I)の化合物の脱保護、
ii)溶媒中で塩基を用いたpHの調整、
iii)式(VI)の化合物を任意に結晶化すること。
【0229】
本発明の一態様において、工程i)における脱保護は、塩化水素酸、硫酸、トリフルオ
ロ酢酸または臭化水素酸を用いて実施される。
【0230】
本発明の特定の態様において、工程i)における脱保護は、塩化水素酸を用いて実施さ
れる。
【0231】
本発明の一態様において、工程i)における脱保護に使用する溶媒は、水、メタノール
、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、及びtert-ブタノールまたは
これらの混合物から選択される。
【0232】
本発明の特定の態様において、工程i)における脱保護に使用する溶媒は、n-プロパ
ノール、イソプロパノール及びn-プロパノール/水の1:1の混合物から選択される。
【0233】
本発明の一態様において、工程i)における脱保護は、30~100℃の温度で、特に
80℃で実施される。
【0234】
本発明の一態様において、工程i)における脱保護は、1~24時間の反応時間の間に
、特に1~4時間の反応時間の間に実施される。
【0235】
本発明の一態様において、工程ii)における塩基は、n-プロパノール/水の1:1
の混合物中のNaOHである。
【0236】
本発明の一態様において、工程ii)における塩基は、アンモニアである。
【0237】
本発明の一態様において、工程ii)で使用する溶媒は、工程i)で使用する溶媒と同
一である。
【0238】
本発明の一態様において、工程ii)において使用する溶媒は、水、メタノール、エタ
ノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、及びtert-ブタノ
ールまたはこれらの混合物から選択される。
【0239】
本発明の特定の態様において、工程ii)における溶媒は、n-プロパノール、イソプ
ロパノール及びn-プロパノール/水の1:1の混合物から選択される。
【0240】
本発明の特定の態様において、pHの調整は、イソプロパノール中のアンモニアの溶液
(2~4重量%、特に3.8重量%)の、またはn-プロパノール/水の1:1の混合物
中のNaOHの溶液(5~10M、特に7M)の滴下による添加によって実施される。
【0241】
本発明の特定の態様において、工程ii)における調整後の最終pHは、pH6を上回
り、特にpH6と7の間である。
【0242】
本発明の一態様において、工程iii)における結晶化は、式(VI)の化合物の結晶
化に適した結晶化溶媒への溶媒の切り替えによって実施される。
【0243】
本発明の特定の態様において、工程iii)における結晶化溶媒は、トルエン、ヘプタ
ン、テトラヒドロフラン、2-プロパノン、2-ブタノン、エチレングリコールジメチル
エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル及びこれらの混合物から選択され
る。
【0244】
本発明の特定の態様において、工程iii)における結晶化溶媒は、酢酸エチルである
【0245】
本発明の一態様は、本明細書に説明するいかなる方法によっても得ることのできる化合
物に関する。
【0246】
本発明の一態様は、本明細書に説明するいかなる方法によっても得ることのできる化合
物を含む医薬組成物に関する。
【0247】
本発明の一態様は、1ppbと100ppmの間の式(I)の化合物を含む、本明細書
に説明する式(VI)の化合物に関し、式中、Rは本明細書に定義するとおりである。
【0248】
本発明の一態様は、1ppbと1ppmの間の式(I)の化合物を含む、本明細書に説
明する式(VI)の化合物に関し、式中、Rは、本明細書に定義するとおりである。
【0249】
本発明の一態様は、本明細書に説明する式(VI)の化合物を含む医薬組成物に関する
【0250】
本発明の一態様は、1ppbと100ppmの間の式(II)の化合物を含む、本明細
書に説明する式(I)の化合物に関し、式中、R及びMは、本明細書に定義するとおり
である。
【0251】
本発明の一態様は、1ppbと1ppmの間の式(II)の化合物を含む、本明細書に
説明する式(I)の化合物に関し、式中、R及びMは、本明細書に定義するとおりであ
る。
【0252】
本発明の一態様は、1ppbと100ppmの間の式(III)の化合物を含む、本明
細書に説明する式(I)の化合物に関し、式中、R及びRは、本明細書に定義すると
おりである。
【0253】
本発明の一態様は、1ppbと1ppmの間の式(III)の化合物を含む、本明細書
に説明する式(I)の化合物に関し、式中、R及びRは、本明細書に定義するとおり
である。
【0254】
本発明の一態様は、1ppbと100ppmの間の式(II)の化合物及び1ppbと1
00ppmの間の式(III)の化合物を含む、本明細書に説明する式(I)の化合物に
関し、式中、R、R及びMは、本明細書に定義するとおりである。
【0255】
本発明の一態様は、1ppbと1ppmの間の式(II)の化合物及び1ppbと1p
pmの間の式(III)の化合物を含む、本明細書に説明する式(I)の化合物に関し、
式中、R、R及びMは、本明細書に定義するとおりである。
【実施例
【0256】
以下の実施例1~15は、本発明の説明のために提供する。当該実施例は、本発明の範
囲を制限するものとしてみなすべきではなく、単に本発明の代表であるとみなすべきであ
る。
【0257】
(実施例1 (E)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)
-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸)
【化31】

MTBE(189L)中のギ酸エチル(123.9L、1538.9mol)の溶液へ
、4-クロロフェニル酢酸エチル(120kg、604.1mol)を添加した。この混
合物を15~30℃で30分間撹拌した後、MTBE(1215.8L)中のt-BuO
K(136.8kg,1219.1mol)の混合物を添加し、この間、内部温度を5℃
未満に維持した。この混合物を0~10℃で1.5時間撹拌した。内部温度を10℃未満
に維持しながら、この反応混合物を塩化水素酸の水溶液(35%、560LのH0中の
99.8L)へ添加した。この混合物を0~10℃で、最終pH=2が観察されるまで3
0分間撹拌した。この層を分離し、有機層を25%NaCl溶液(496L)で洗浄した
【0258】
この混合物を-5℃へ冷却した後、温度を10℃未満に維持しながら、イソプロピルア
ミン(107.2L、1251.9mol)及びAcOH(70.5L、1233.3m
ol)を緩徐に添加した。この混合物を0~10℃で3時間撹拌した後、有機層をH
(760L)、15%NaC0水溶液(424L)、次に25%NaCl水溶液(6
50L)で洗浄した。水層を分離し、DMF(443L)及びDMAP(14.4kg、
117.9mol)を有機溶液へ添加した。次にこの混合物を60~65℃へ加熱した後
、(Boc)O(951.6L、4142mol)、DMF(228.6L)及びトリ
エチルアミン(263.0L、1821.8mol)を24時間かけて緩徐に添加した。
約6時間撹拌した後、この混合物を室温へ冷却し、MTBE(1434L)、水(101
0L)及び10%クエン酸水溶液(938L)を添加した。水層を分離し、この混合物を
25%NaCl水溶液(984L)によって洗浄した。次に、温度を50℃未満に維持し
ながら、蒸留を介して有機層を最低限の作業容積(約240L)へ濃縮した。次に、有機
層を0~5℃で5時間撹拌した後、濾過した。フィルタケークをヘプタン(20.6L)
で洗浄し、乾燥させて、3-((tert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミ
ノ)-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸(E)-エチル(148.55kg、3工
程にわたって63%の収率)を白色の固体として得た。
【0259】
3-((tert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロ
ロフェニル)アクリル酸(E)-エチル(133.5kg、362.9mol)を、室温
で撹拌したHO(252L)、NaOH(58.25kg、1456mol)及びEt
OH(383.5L)の混合物へと添加した。この混合物を40~45℃へ2.5時間、
透明な溶液を形成するまで加温した。温度を50℃未満に維持しながら、この混合物を最
低限の作業容積へ濃縮した。この混合物を次に、10~25℃へ冷却し、HClの溶液を
、最終pH=2~4を得るまで添加した(842Lの2N HCl及び11Lの35%H
Cl)。水層を分離し、有機層を25%NaCl水溶液(810L)で洗浄した。蒸留し
ながらn-ヘプタンを添加し、懸濁液を形成した。この生成物を回収し、n-ヘプタンで
洗浄し、40~45℃で約10時間乾燥させて、HPLCによって99.9%純度を有す
る110.7kg(90.5%収率)の(E)-3-(tert-ブトキシカルボニル(
イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸を得た。単結晶x線分
析を用いて、E-立体配置を確認した。
【0260】
(実施例1a 3-((tert-ブトキシカルボニル)-(イソプロピル)アミノ)
-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸(E)-エチル)
【化32】

2-(4-クロロフェニル)-3-(イソプロピルアミノ)アクリル酸エチルの濃縮し
た溶液(先のように実施例1において120kgの2-(4-クロロフェニル)アクリル
酸エチル、0.604kmolから調製)へ、DMF(354kg)を添加し、このバッ
チを3容積まで濃縮した。DMAP(14.0kg、114.6mol)及びn-Bu
N(224.21kg、1.21kmol)を添加し、この混合物を70~75℃へ加熱
し、DMF(169kg)溶液中の(BOC)O(330kg、1.51kmol)の
溶液を70~75℃で2時間かけて添加した。この添加が完了した後、約200LのDM
Fを真空下で75℃未満で3時間かけて除去した。DMF(32.4kg)中の(BOC
O(68.6kg、0.314kmol)の溶液の添加を70~75℃で0.5時間
かけて続行した。この添加が完了した後、バッチを75℃未満の温度で濃縮した後、約2
3.5℃へ冷却した。MTBE(899.6kg)を入れた後、この混合物を約12.6
℃へ冷却した。水(702kg)中のクエン酸一水和物(197.4kg)の溶液を10
~20℃で添加した。層を分離し、有機層を5%NaCl(582kg)水溶液で洗浄し
た。層を分け、有機層を240~360Lへ50℃未満で濃縮した。n-ヘプタン(77
kg)を入れた後、この混合物を240~360Lへ50℃未満で濃縮した。n-ヘプタ
ン(70kg)を入れた後、この懸濁液を0~10℃で4時間撹拌し、この生成物を遠心
分離により回収した。このケークをn-ヘプタン(28.2kg)で洗浄し、3-((t
ert-ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)
アクリル酸(E)-エチルを得(170.6kg、77%収率、99.8A%HPLC)
、これは、本実施例1において先のとおり使用して、(E)-3-(tert-ブトキシ
カルボニル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)アクリル酸を調製す
ることができる。
【0261】
(実施例2 (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)
-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウム
【化33】

グローブボックス(O含有量2ppm以下)中で、50mlのオートクレーブに6.
8g(20.0mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-メチル
プロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2-エン
酸、34mlのエタノール及び4.81mg(0.0051mmol、S/C4’000
)の[Ru(TFA)((S)-BINAP]を入れた。この非対称性水素化は、60
℃で18バールの水素下で7時間実施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレーブか
ら解放し、黄色の反応溶液の試料を分析して、99.3対0.7のS/R鏡像異性体比で
、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-
クロロ-フェニル)-プロピオン酸への99%超の転換を示した。この水素化混合物を1
00mlのtert-ブチルメチルエーテルの支援でアルゴン下で1Lのガラス反応器へ
移し、これは、6回の類似の水素化実験の粗反応混合物(合計47.9gの(E)-2-
(4-クロロフェニル)-3-[(2-メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-
プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2-エン酸)を含有しており、次に、ナトリウムエ
トキシドのエタノール溶液(52.3ml、140mmol)を50℃で撹拌の下で滴下
して添加した。黄色みのある沈殿物が形成し、これを同じ温度で、次いで室温で一晩撹拌
した。沈殿した生成物を濾過し、t-ブチルメチルエーテル/エタノールの4:1の混合
物(300ml)で、及びt-ブチルメチルエーテル(200ml)で洗浄し、真空下で
重量が安定するまで乾燥させて、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプ
ロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウムを96.3%の収
率(49.03g)で、99.9超対0.1%未満のS/R鏡像異性体比で、白色の結晶
として生じた。H-NMR(DO):δ7.32(d,2H)、7.22(d,2H
),3.65-3.85 2bs,アリール-CH及びN-CH(CH),3.5
5(m,2H),1.29(s,9H),1.00(d,3H),0.80(bs,3H
【0262】
鏡像異性体比は、Chiralpak-AD-3カラム、150mm×4.6mmを用
いるHPLCによって決定した。溶離剤:A)0.10%トリフルオロ酢酸含有n-ヘプ
タン、B)エタノール、流量:1.25ml/分、25℃、5μl注入容積、220nm
。保持時間:(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-
2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸2.48分、(R)-3-(tert-ブ
トキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオ
ン酸2.77分、(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-メチルプロパン-
2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2-エン酸3.16
分。
【0263】
(実施例3 (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)
-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウム)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中で、185mlのオートクレーブに
17.0g(50.0mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-
メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2
-エン酸、70mlのエタノール及び4.74mg(0.005mmol、S/C10’
000)の[Ru(TFA)((S)-BINAP]を入れた。非対称性水素化は、7
0℃で18バールの水素下で22時間実施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレー
ブから解放し、黄色の反応溶液の試料を分析して、98.2対1.8のS/R鏡像異性体
比で(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4
-クロロ-フェニル)-プロピオン酸への99%超の転換を示した。この水素化混合物を
200mlのtert-ブチルメチルエーテルの支援で400mlのガラス反応器へアル
ゴン下で移した後、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液(18.7ml、50mmo
l)を50℃で撹拌下で滴下して添加した。黄色みのある沈殿物が形成し、これを同じ温
度で、次いで室温で合計3.5時間撹拌した。この沈殿した生成物を濾過し、t-ブチル
メチルエーテル/エタノールの4:1の混合物(80ml)で、及びt-ブチルメチルエ
ーテル(20ml)で洗浄し、真空下で重量が一定になるまで乾燥させて、(S)-3-
(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル
)プロパン酸ナトリウムを94.6%の収率(17.35g)で、100対0%のS/R
鏡像異性体比で白色の結晶として生じた。
【0264】
(実施例3a (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウム)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中に、185mlのオートクレーブに
10.0g(29.4mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-
メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2
-エン酸、125mlのエタノール、0.118mLのNaBr水溶液(1M)及び5.
77mg(0.006mmol、S/C5’000)の[Ru(TFA)((S)-B
INAP]を入れた。この非対称性水素化は、60℃で18バールの水素下で22時間実
施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレーブから解放し、黄色の反応溶液の試料を
分析して、99%超の(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプロピル-ア
ミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸への転換を、98対2のS/R鏡
像異性体比で示した。この水素化混合物を10mLエタノールの支援で0.5Lの反応器
へと移した。この反応混合物を45℃で真空蒸発させて、残渣の容積を65mLにした。
【0265】
70mlのtert-ブチルメチルエーテルを45℃で添加した。次に、ナトリウムエ
トキシドのエタノール溶液(11.4g、35mmol)を45℃で撹拌しながら滴下し
て添加した。漏斗を1.3gのエタノールですすいだ。黄色みのある沈殿物が形成し、こ
れを同じ温度で1時間、次いで室温で1時間撹拌した。沈殿した生成物を濾過し、1:1
のt-ブチルメチルエーテル/エタノールの混合物(13.6g)を用いて、及びt-ブ
チルメチルエーテル(16g)を用いて洗浄し、真空下で重量が一定になるまで乾燥させ
て、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)-2-(4
-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウムを89%の収率(9.52g)で、100対0
%のS/R鏡像異性体比で、白色の結晶として生じた。
【0266】
(実施例3b (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)プロパン酸ナトリウム)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中に、185mlのオートクレーブに
10.0g(29.4mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-
メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2
-エン酸、120mlのエタノール(Ar下で蒸留)、0.118mLのNaCl水溶液
(1M)及び5.8mg(0.006mmol、S/C5000)の[Ru(TFA)
((S)-BINAP]を入れた。非対称性水素化は、60℃で18バールの水素下で1
2時間実施した。室温へ冷却後、圧力をオートクレーブから解放し、黄色の反応溶液の試
料を分析して、99対1のS/R鏡像異性体比で(S)-3-(tert-ブトキシカル
ボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸への9
9%超の転換を示した。この水素化混合物を10mLのエタノールの支援で0.5Lの反
応器へ移した。この反応混合物を45℃で65mLの残渣容積まで真空蒸発させた。
【0267】
70mlのtert-ブチルメチルエーテルを20℃で添加した。次に、ナトリウムエ
トキシドのエタノール溶液(21%(m/m)、9.5g、29.4mmol)を45℃
で撹拌しながら滴下して添加した。漏斗を1.3gのエタノールですすいだ。沈殿物が形
成し、これを同じ温度で1時間、次いで室温で1時間撹拌した。この沈殿した生成物を濾
過し、t-ブチルメチルエーテル/エタノールの1:1の混合物(13.6g)で、及び
t-ブチルメチルエーテル(16g)で洗浄し、真空下で重量が一定になるまで乾燥させ
て(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-
クロロフェニル)プロパン酸ナトリウムを89%の収率(9.5g)で、100対0%の
S/R鏡像異性体比で、白色の結晶として生じた。
【0268】
(実施例3c (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中で、185mlのオートクレーブに
17.1g(50.0mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-
メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2
-エン酸及び75mlのエタノールを入れた。分離フラスコ中で、4.79mg(0.0
05mmol、S/C10000)の[Ru(TFA)((S)-BINAP]及び8
.3mlのエタノールの混合物を1.67ml(0.10mmol)の60ミリモル濃度
のHCl水溶液で処理し、結果として生じる懸濁液を30分間撹拌した後、オートクレー
ブへ添加した。このオートクレーブを密封した後、非対称性水素化を18バールの水素下
で60℃で12時間実施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレーブから解放し、黄
色の反応溶液の試料を分析して、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプ
ロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸への99.5%の転換
を、98.7対1.3のS/R鏡像異性体比で示した。
【0269】
(実施例3d (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)-プロパン酸)
HBrを添加剤として用いて、実施例3cの手順を反復した。水素化は99.8%の転
換で進行し、所望の(S)-酸は、98.7:1.3のS/R鏡像異性体比で、定量的な
収率で単離した。
【0270】
(実施例3e (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中で、185mlのオートクレーブに
17.0g(50.0mmol)の(E)-2-(4-クロロフェニル)-3-[(2-
メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2
-エン酸及び75mlのエタノールを入れた。分離フラスコ中で、9.59mg(0.0
10mmol、S/C5000)の[Ru(TFA)((S)-BINAP]及び9.
8mlのエタノールの混合物を0.20ml(0.20mmol)の1モル濃度のHCl
水溶液で処理し、結果として生じる懸濁液を30分間撹拌した後、オートクレーブへ添加
した。オートクレーブを密封した後、非対称性水素化を60℃で18バールの水素下で1
2時間実施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレーブから解放し、黄色の反応溶液
の試料を分析して、99.7%の(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプ
ロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸への転換を、99.0
対1.0のS/R鏡像異性体比で示した。
【0271】
(実施例3f (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ
)-2-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸)
LiBrを添加剤として用いて、実施例3fの手順を反復した。水素化は98.9%の
転換で進行し、所望の(S)-酸は、98.5:1.5のS/R鏡像異性体比で定量的な
収率で単離した。
【0272】
(実施例4 (S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)
-2-(4-クロロフェニル)-プロピオン酸)
グローブボックス(2ppm以下のO含有量)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌
棒を装備した35mlのオートクレーブに400mg(1.18mmol)の(E)-2
-(4-クロロフェニル)-3-[(2-メチルプロパン-2-イル)オキシカルボニル
-プロパン-2-イルアミノ]プロパ-2-エン酸、5.92mg(0.00589mm
ol)の[Ru(TFA)((S)-BINAP)](S/C200)及び4mlのエ
タノールを入れた。オートクレーブを密封し、20バールの水素で加圧し、非対称性水素
化を60℃で14時間撹拌下で実施した。室温へ冷却した後、圧力をオートクレーブから
解放し、エタノール溶液を真空蒸発させて、(S)-3-(tert-ブトキシカルボニ
ル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸を定量的な
収率で、99:1のS/R鏡像異性体比で得た。この転換は、99.9%以上であった。
【0273】
(実施例5.1~5.17 (S)または(R)-3-(tert-ブトキシカルボニ
ル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸)
実施例4の手順は、異なるキラルルテニウム触媒を用いて反復し、3-(tert-ブ
トキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオ
ン酸の対応する(R)及び(S)異性体を生成した。本結果は表1に、触媒、%転換及び
S/R鏡像異性体比とともに示す。反応規模は、すべての実験において(脚注に具体的に
示さない限り)400mgとし、温度は60℃とし、水素圧はS/C比が200での20
バールとし、反応時間は14時間とした。反応器は、35mlのオートクレーブとした。
添加剤に関して示す量は、金属触媒の量に相対するよう企図する。
表1
【表1-1】

【表1-2】

35mlのオートクレーブ、1.7gの規模、S/C250、22時間。b)1.7g
の規模、S/C250、14時間、c)50mlのオートクレーブ中の6.8gの基質、
S/C1500、5時間。d)3mlのエタノール中のグローブボックス中の2.56m
gの[Ru(COD)(TFA)及び2.2モル当量のキラルジホスフィンを50
℃で3時間撹拌することによってその場で触媒を調製。
【0274】
(実施例6.1~6.8 (S)または(R)-3-(tert-ブトキシカルボニル
(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸)
実施例5.1~5.16と類似の様式で、種々の基質を添加剤として使用して以下の水
素化を実施して、表2に示す純度及び鏡像異性体純度で3-(tert-ブトキシカルボ
ニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4-クロロ-フェニル)-プロピオン酸の(R)
異性体及び(S)異性体を得た。反応規模は、すべての実験において(脚注に具体的に示
さない限り)400mgとし、温度は60℃とし、水素圧はS/C比が200で18~2
0バールで4時間とした。反応器は、35mlオートクレーブとした。添加剤に関して示
す量は、金属触媒の量に対して企図する。
表2
【表2-1】

【表2-2】

a)については、反応時間14時間、b)については、S/C4000、18時間、1
85mlオートクレーブ中で6.8gの規模、c)については、S/C200、14時間
、1.18gの規模、30mlオートクレーブ、20バールのH
【0275】
(実施例7.1~7.11 (S)または(R)-3-(tert-ブトキシカルボニ
ル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロピオン酸)
実施例5.1~5.16の手順を反復したが、反応条件は水素圧、濃度及び溶媒の点で
変化させて、3-(tert-ブトキシカルボニル-イソプロピル-アミノ)-2-(4
-クロロ-フェニル)-プロピオン酸の対応する(R)及び(S)異性体を生成した。本
結果は表3に示し、反応規模はすべての実験において(脚注に具体的に示さない限り)、
4mlの溶媒中で400mgとし、温度はS/C比が200で60℃とし、反応時間は1
4時間とした。反応器は35mlオートクレーブとし、触媒はRu(TFA)((S)
-BINAP)とした。
表3
【表3】

a)については、反応時間4時間、b)については4mlのエタノール中200mgの
基質であり、c)については2mlのエタノール中600mgの基質であり、d)につい
ては3mlのエタノール中でグローブボックス中で2.56mgの[Ru(COD)(T
FA)及び4.0mgの(S)-BINAPを50℃で3時間撹拌することによっ
てその場で触媒を調製。
【0276】
(実施例8 4-(5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロ-5H-シクロペンタ
[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(R)-tert-ブチル)
【化34】

(3-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)ブタン酸(R)-メチル)
3-(4,6-ジヒドロキシピリミジン-5-イル)ブタン酸(R)-メチル(1.0
0kg、4.70mol)、トルエン(4.00L)、及び2,6-ルチジン(0.55
0L、4.70mol)の混合物へ、オキシ塩化リン(0.960L、10.6mol)
を50℃で緩徐に添加した。この混合物を70℃で24時間撹拌した。この溶液を0℃へ
冷却した。内部温度を30℃未満に維持しながら、この混合物へ20%の水酸化ナトリウ
ム水溶液(約40.0mol、8.00LのHO中の1.60kg)を添加して、最終
pH値を5と6の間に得た。酢酸エチル(2.50L)を添加し、0.5時間撹拌した後
、層を分離した。水相を酢酸エチルで抽出した(3×1.00L)。有機相を組み合わせ
、1Nの塩化水素酸(2×2.50L)、及び鹹水(2.50L)で洗浄した。有機層を
組み合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ガラス繊維フィルタで濾過した。この溶液を
約3.00mL/gへ濃縮し、アセトニトリルで約7.00mL/gへ希釈した。このシ
ーケンスを2回反復して、残余の酢酸エチル及びトルエンを除去した(H NMR分析
によって確認)。残余の粗溶液は、さらなる精製または単離なしで、次の工程に直接使用
した。
【0277】
(3-(4,6-ジヨードピリミジン-5-イル)ブタン酸(R)-メチル)
アセトニトリル(540mL)中の3-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)ブ
タン酸(R)-メチル(36.0g、145mmol)の溶液へ、ヨウ化ナトリウム(1
52g、1.02mol)を添加した。この混合物を25℃で30分間撹拌した後、約5
℃へ冷却した。メタンスルホン酸(9.41mL、1.00当量)を5分間かけて添加し
た。この混合物を約5℃で3時間撹拌した。反応器を約5℃へ冷却し、N,N-ジイソプ
ロピルエチルアミン(20.3mL、116mmol)を添加した。この混合物を20℃
へ加温しながら、この混合物を1時間撹拌した。飽和亜硫酸ナトリウム溶液をさらなる色
彩変化が観察されなくなるまで添加して、ヨウ化物を除去した。水(540mL)を添加
し、pHを約5と7の間に調整した。この二相性混合物を減圧下で40℃未満の温度で濃
縮して、アセトニトリルを除去した。この水性懸濁液を濾過して、48.8g(78%収
率)のオフホワイト色の固体生成物を得た。
【0278】
(4-(6-ヨード-5-(4-メトキシ-4-オキソブタン-2-イル)ピリミジン
-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(R)-tert-ブチル)
3-(4,6-ジヨードピリミジン-5-イル)ブタン酸(R)-メチル(212g、
491mmol)及びBoc-ピペラジン(101g、540mmol)のメタノール(
424mL)溶液へ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(94.3mL、540mm
ol)を添加した。この混合物を60℃で24時間加熱した。メタノールを減圧下で40
℃未満で蒸発させた。この混合物へ、318mLのテトラヒドロフランを添加した。先の
溶媒交換過程を2回反復した。この混合物へ、424mLのテトラヒドロフラン、212
mLの飽和塩化アンモニウム水溶液、及び21.2mLの水を添加した。有機層を212
mL(1.00容積)の飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。このテトラヒドロフラ
ン溶液は、あらなる精製なしで次の工程に使用した(91%重量アッセイ収率)。
【0279】
((R)-3-(4-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル
)-6-ヨード-ピリミジン-5-イル)ブタン酸)
4-(6-ヨード-5-(4-メトキシ-4-オキソブタン-2-イル)ピリミジン-
4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(R)-tert-ブチル(219g、0.44
7mol)のテトラヒドロフラン(657mL)溶液へ、25℃の329mLの水中の水
酸化リチウム一水和物(56.2g、1.34mol)の溶液を添加した。この混合物を
25℃で5時間撹拌した。底の水層を廃棄した。この混合物を5℃の1Nの塩酸で酸性化
して、約1~2の最終pH値を得た。この層を分離した。次に、上層は、酢酸イソプロピ
ルで抽出し(440mL×3)、下層と組み合わせ、水(220mL×2)で洗浄した。
この溶媒を減圧下で50℃未満で蒸発させた。残渣の酢酸イソプロピルを減圧下で50℃
未満でヘプタンと共沸させた。生成物は、徐々に沈殿し、濾過して、オフホワイト色~明
黄色の粉末を得た(196g、84%収率)。
【0280】
(4-(6-ヨード-5-(4-(メトキシ(メチル)アミノ)-4-オキソブタン-
2-イル)ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(R)-tert-ブチ
ル)
テトラヒドロフラン(700mL)中の(R)-3-(4-(4-(tert-ブトキ
シカルボニル)ピペラジン-1-イル)-6-ヨード-ピリミジン-5-イル)ブタン酸
(100g、210mmol)の溶液へ、1,1’-カルボニルジイミダゾール(40.
9g、252mmol)を少量ずつ添加した。この反応混合物を20℃で1時間撹拌し、
5℃へ冷却した。N,O-ジメチルヒドロキシアミンヒドロクロリド(41.0g、42
0mmol)を少量ずつ添加した後、N-メチルモルホリン(6.94mL、63.0m
mol)を添加した。この混合物を5℃で約1時間撹拌し、室温へと緩徐に加温し、24
時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)及び水(150mL)を添加
して、透明な相の分離を得た。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)及び
鹹水(200mL)で洗浄した。残余の水をテトラヒドロフランとの共蒸発によって50
0ppm未満まで共沸した。テトラヒドロフラン中の溶液としてのこの生成物は、さらな
る精製または単離なしで次の工程に使用した(重量アッセイ収率:99%超)。
【0281】
(4-(5-メチル-7-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリ
ミジン-4-イル)ピペラジン-1-カルボン酸(R)-tert-ブチル)
テトラヒドロフラン(600mL)中の4-(6-ヨード-5-(4-(メトキシ(メ
チル)アミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1
-カルボン酸(R)-tert-ブチル(109g、210mmol)の溶液を窒素で3
0分間パージした。イソプロピルマグネシウムクロリド溶液(159mL、210mmo
l、1.32Mテトラヒドロフラン溶液)を-15℃で滴下して添加した。この混合物を
-10℃で1時間撹拌し、内部温度を10℃未満に維持しながら、冷20重量%塩化アン
モニウム水溶液(600mL)中へと撹拌しながら緩徐に移した。次に、有機層を飽和塩
化アンモニウム水溶液(500mL)で洗浄した。テトラヒドロフランを減圧下で40℃
未満で蒸発させた。内部温度を35℃と40℃の間に維持しながら、メチルtert-ブ
チルエーテル(350mL)を緩徐に添加した後、ヘプタン(350mL)を添加した。
この混合物を20℃へ緩徐に冷却し、この処理の間に生成物は徐々に沈殿した。このスラ
リーを濾過し、このケークを40℃で真空下で乾燥させて、灰色の固体を得た(52.3
g、2工程にわたって75%収率)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.
73(s,IH),3.92-3.83(m,2H),3.73-3.49(m,7H)
,2.96(dd,J=16.5,7.2Hz,1H),2.33(dd,J=16.5
,1.8Hz,IH),1.50(s,9H),1.32(d,J=6.9Hz,3H)
。HRMS C1725[M+H]についての計算値:333.1921
,実測値333.1924。
【0282】
(実施例9 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ
シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチ
ル)
【化35】

21mlの水性緩衝液(100mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、pH
5.8)中の3gの4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロシクロ
ペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル、6
mlの2-プロパノール及び3mgの酸化した補因子NADP[Roche]の色あせた
黄色の懸濁液は、激しい撹拌下で形成した。この反応溶液を40℃へ加熱し、5分間撹拌
した後、還元を30mgのKRED-X1-P1B06の添加によって開始した。pHは
、5.6~5.8に調整した。ほぼ完全な転換(IPC:抽出物の0.6面積%)に到達
する21.5時間以内の40℃でのこの反応の時間経過の間、pHは6.4まで上昇した
。この反応物へ30mlの酢酸イソプロピルを添加し、15分間激しく撹拌した。相分離
は自発的に生じた。分離した水相を50mlの酢酸イソプロピルで2回抽出し、合計10
0mlの酢酸イソプロピルを用いた。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、濾
過し、真空下で50℃で蒸発させて、3.07g(102%)の明赤色の発泡体を、約4
%の酢酸イソプロピルを含有する表題化合物の粗生成物として得た。GC-EI-MS:
334.2(M+H);キラルHPLC:99.88%(R,R),0.12%(R,
S)[254nm;Chiralpak IC-3;150×4.6mm,3μm,流量
0.8ml,30℃,A:60%n-ヘプタン,B:40%EtOH+0.1DEA,0
~15分 100%B,15~17分 100%B,17.1分 40%B];化学的純
度 HPLC:99.2面積%(抽出物の0.6面積%を含有)。H NMR(600
MHz,CDCl)δppm 1.17-1.22(m,3H)1.45-1.51(
m,9H)2.02(s,1H)2.12-2.24(m,2H)3.43-3.83(
m,9H)3.85-4.08(m,1H)5.12(t,J=7.2Hz,1H)8.
53(s,1H)(約4%の酢酸イソプロピルを含有)。
【0283】
(実施例10.1~10.6 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-
6,7-ジヒドロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン
酸tert-ブチル)
実施例9.1~9.6について、実施例9の手順を反復したが、補因子(NADP[R
oche])比は、下記の表に示すように変化し、異なるケト還元酵素バリアントを適用
し、すなわち、KRED-X1を適用した。
表4
【表4】
【0284】
(実施例11 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒド
ロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブ
チル)
18mlの水性緩衝液(100mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、pH
5.8)中の6gの4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロシクロ
ペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル、6
mlの2-プロパノール及び6mgの酸化した補因子NADP[Roche]の色あせた
黄色の懸濁液は、激しい撹拌下で形成した。この反応溶液を40℃へ加熱し、5分間撹拌
し、その後、60mgのKRED-X1-P1B06の添加によって還元を開始した。p
Hは5.5~5.8に調整した。ほぼ完了した転換(IPC:1日目1.3面積%の抽出
物、2日目1.2面積%の抽出物)に到達する40℃での2日間以内の反応の時間経過の
間、pHは6.0まで上昇した。この反応物へ、30mlの酢酸イソプロピルを添加し、
15分間激しく撹拌した。相分離は自発的に生じた。分離した水相を50mlの酢酸イソ
プロピルで2回抽出し、合計100mlの酢酸イソプロピルを用いた。組み合わせた有機
相をMgSO上で乾燥させ、濾過シ、真空下で50℃で蒸発させて、6.02g(99
.7%)の明赤色の発泡体を、約4%の酢酸イソプロピルを含有する表題化合物の粗生成
物として得た。GC-EI-MS:334.2(M+H);キラルHPLC:99.8
8%(R,R),0.12%(R,S)[254nm;Chirapakl IC-3;
150×4.6mm,3μm,流量0.8ml,30℃,A:60%n-ヘプタン,B:
40%EtOH+0.1DEA,0~15分 100%B,15~17分 100%B,
17.1分 40%B];化学的純度 HPLC:98.4面積%(1.3面積%抽出物
を含有)。H NMR(600MHz,CDCl)δppm 1.2(d,J=7.
1Hz 3H)1.49(s,9H)2.14-2.23(m,2H)3.46-3.5
9(m,5H)3.64(ddd,J=13.1,6.9,3.3Hz,2H)3.78
(ddd J=13.1,7.2,3.3Hz,2H)5.12(t,J=7.2Hz,
1H)8.53(s,1H)(約4%の酢酸イソプロピルを含有)。
【0285】
(実施例12 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒド
ロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブ
チル)
21mlの水性緩衝液(100mMのリン酸二水素カリウムpH7.2、2mM塩化マ
グネシウム)中の3gの4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロシ
クロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
、6mlの2-プロパノール及び3mgの酸化した補因子NADP[Roche]の色あ
せた黄色の懸濁液は、激しい撹拌下で形成した。この反応溶液を40℃へ加熱し、5分間
撹拌した後、30mgのKRED-X1-P1B06の添加によって還元を開始した。p
Hは7.5~7.2へ調整した。ほぼ完了した転換(IPC:0.8面積%の抽出物)に
到達する18.5時間以内の40℃での反応の時間経過の間、pHは7.15へ低下した
。この反応物へ、30mlの酢酸イソプロピルを添加し、15分間激しく撹拌した。相分
離は自発的に生じた。分離した水相を50mlの酢酸イソプロピルで2回抽出し、合計1
00mlの酢酸イソプロピルを用いた。組み合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、
濾過し、真空下で50℃で蒸発させて、3.06g(102%)の明赤色の発泡体を約4
%の酢酸イソプロピルを含有する表題化合物の粗生成物として得た。GC-EI-MS:
334.2(M+H);キラルHPLC:99.76%(R,R),0.24%(R,
S)[254nm;Chirapakl IC-3;150×4.6mm,3μm,流量
0.8ml,30℃,A:60%n-ヘプタン,B:40%EtOH+0.1DEA,0
~15分 100%B,15~17分 100%B,17.1分 40%B];化学的純
度HPLC:98.9面積%(0.8面積%抽出物を含有)。H NMR(600MH
z,CDCl)δppm 1.16-1.22(m,3H)1.45-1.53(m,
9H)2.12-2.25(m,2H)3.42-3.86(m,9H)4.13(br
.s.,1H)5.12(t,J=7.2Hz,1H)8.44-8.59(m,1H)
(約4%の酢酸イソプロピルを含有)。
【0286】
(実施例13.1~13.7 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-
6,7-ジヒドロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン
酸tert-ブチル)
50μlのDMSO及び50μlの2-プロパノールの混合物中に溶解した10mgの
4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロシクロペンタ[d]ピリミ
ジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを、300μlの緩衝液
(100mMのMES、2mMのMgCl、pH5.8)、1mgのNADP及びKR
ED-X1のバリアントを含有する深皿ウェルプレートの各ウェルへ添加した。室温で1
.5時間振盪した後、各ウェルへ0.5mLのMeOHを添加し、HPLCによって分析
した。最良のバリアントの結果を以下の表に列挙する。
表5
【表5】
【0287】
(実施例13a 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒ
ドロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-
ブチル)
100mlの水性緩衝液(100mMリン酸二水素カリウム、pH7.2)中の50g
(150mmol)の4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-ジヒドロシク
ロペンタ[d]-ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
、78gの2-プロパノール及び50mgのNAD(75μmol)の懸濁液は、激しい
撹拌で形成した。500mgのKRED-X1.1-P1F01の添加によって還元を開
始した。反応混合物を窒素でパージし、40℃へ22時間加熱する。反応完了後、174
gの酢酸イソプロピルを添加し、撹拌し、相を分離し、水相を取り出した。水相は、17
4gの酢酸イソプロピルで再度抽出した。水相を取り出し、有機相を組み合わせて35℃
で真空下で115mLの最終容積まで濃縮した。同じ温度で、212gのヘプタンを1時
間以内に添加し、懸濁液を1時間寝かし、10℃へと6時間以内に冷却する。この懸濁液
を濾過し、68gのヘプタンを用いて洗浄する。フィルタケークの50℃での4時間の緩
衝後、41.1g(82%収率、純度100%面積)の白色結晶を得る。
【0288】
(実施例13b 4-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒ
ドロシクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-
ブチル)
240mlの水性緩衝液(3.3gのKHPO及び8.4gのKHPOを含有
)中の40g(150mmol)の4-[(5R)-5-メチル-7-オキソ-5,6-
ジヒドロシクロペンタ[d]-ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸te
rt-ブチル、26gのグルコース及び40mgのNADの懸濁液は、激しい撹拌下で形
成した。この還元物を35℃へ加温し、400mgのKRED-X1.1-P1F01及
び400mgのGDH-101の添加によって開始した。反応の時間経過にわたって(2
6時間)、pHは、58.8mLのKOH水溶液(10%(m/m))を用いて7.0に
維持する。反応完了後、290gの酢酸イソプロピル及び117gのNaSCNを添加し
、撹拌し、相を分離し、水相を取り出した。有機相は200gの水で洗浄し、フィルトロ
ックスフィルタプレートを用いて濾過し、水相を175gの酢酸イソプロピルで洗浄する
。組み合わせた有機相を25℃で真空下で100mLの最終容積へと濃縮する。25℃で
、383gのヘプタンを1時間以内に添加する。この懸濁液を0℃へ30分以内に冷却し
、30分間寝かせた。この懸濁液を濾過し、91gのヘプタンを用いて洗浄する。フィル
タケークの50℃で16時間の乾燥後、30.9g(76%の収率、純度100%面積)
の白色結晶を得る。
【0289】
(実施例14 ((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)
-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジ
ン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバ
ミン酸tert-ブチル)
【化36】

機械的撹拌機、窒素入り口、及び温度計を装備した三つ首の500mLの反応器へ、4
-[(5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペ
ンタ[d]ピリミジン-4-イル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(16
.7g、52.5mmol)及び2-プロパノール(65mL)を入れた。溶液を55℃
へ加熱した。次に、2-プロパノール(24.6g、140mmol)中の20.8%(
m/m)のHClを55℃で10分以内に添加した。この懸濁液を反応完了まで撹拌した
。この反応混合物を10℃へ冷却し、4-メチルモルホリン(32.9g、325mmo
l)を添加した。この混合物を15℃で30分間撹拌した。(S)-3-((tert-
ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)-2-(4-クロロフェニル)プロパン
酸ナトリウム塩(19.1g、52.5mmol)及び2-プロパノール(73g)を添
加し、この反応混合物を5℃へ冷却した。プロパンホスホン酸無水物(T3P)(トルエ
ン中の50重量%(m/m))(35g、57.3mmol)を5℃の温度を維持する速
度で添加した。反応完了の際に、20gの水を添加した。この溶液を45℃及び150ミ
リバールでの蒸留によって、最終容積が100mLになるまで濃縮した。トルエン(26
0g)を添加した。この溶液を45℃及び150ミリバールでの蒸留によって最終容積が
300mLになるまでさらに濃縮した。水(150g)を添加し、この懸濁液を15分間
撹拌した。相を15分間分離し、水相を取り出した。水(100g)を添加し、懸濁液を
15分間撹拌した。相を15分間分離し、水相を取り出した。さらに水(100g)を添
加し、懸濁液を15分間撹拌した。相を15分間分離し、水相を取り出した。この溶液を
45℃及び150ミリバールでの蒸留によって、最終容積が100mLになるまで濃縮し
た。n-ヘプタン(34g)を添加し、この溶液を0℃へ1時間以内に冷却し、((S)
-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メ
チル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン
-1-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン酸tert-ブチルを
結晶化させた。さらなるn-ヘプタン(170g)を添加した。この懸濁液を2時間寝か
し、濾過し、トルエン(6.4g)及びn-ヘプタン(29.2g)の混合物を用いて洗
浄した後、ヘプタン(各68.4g)で2回洗浄した。このフィルタケークを55℃以下
で乾燥させ、((S)-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)-7
-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-
4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン
酸tert-ブチルをオフホワイト色の固体として得、23.9g、86%収率を単離し
た。(H NMR(600MHz,CDCl)δppm 0.68(br.s.,3
H)0.94-1.08(m,3H)1.14(d,J=7.0Hz,3H)1.47(
s,10H)2.06-2.27(m,2H)3.30(br.s.,1H)3.38-
3.53(m,5H)3.56-3.73(m,4H)3.78(br.s.,3H)4
.62(br.s.,1H)5.10(t,J=7.1Hz,1H)7.24(s,1H
)8.49(s,1H)。
【0290】
(実施例15 (S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-
7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン
-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン
モノヒドロクロリド)
【化37】

機械的撹拌機、窒素入り口、温度計及びpH計を装備した500mLの反応器へ、((
S))-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-
5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペ
ラジン-1-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン酸tert-ブ
チル(50g)及び2-プロパノール(128g)を入れた。この溶液を50℃へ加熱し
た。2-プロパノール中のHClの溶液(21重量%(m/m)、46.7g)を50℃
で添加した。この溶液を50℃で反応完了まで維持し、この混合物を25℃へ冷却した。
2-プロパノール中のアンモニア溶液(2M、66.6g、1.66当量)をおよそ1時
間以内に、pH6.7に到達するまで添加した。この懸濁液を0℃へ冷却し、濾過した。
このケークを2-プロパノール(39g)で洗浄した。濾液を50℃及び150ミリバー
ルでの蒸留によって、最終容積が100mLになるまで濃縮した。酢酸エチル(130g
)をこの溶液へ添加した。このスラリーを40℃で、酢酸エチル(670g)を用いて定
容積(300mL)で溶媒交換した。この懸濁液を5℃へ冷却し、スラリーを濾過した。
このフィルタケークをEtOAc(105mL)で洗浄し、真空下で100℃で16時間
乾燥させて、(S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-
ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4
-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンモノ
ヒドロクロリドをオフホワイト色の固体として得た(36.4g、82%収率)。(
NMR(600MHz,DO)δppm 0.92(d,J=7.1Hz,3H)1
.23(t,J=6.4Hz,6H)1.89-2.15(m,2H)2.85-3.0
6(m,1H)3.17-3.59(m,10H)3.83(d,J=10.5Hz,2
H)4.33(dd,J=8.5,4.9Hz,1H)4.98(t,J=7.0Hz,
1H)7.23(d,J=8.5Hz,2H)7.36(d,J=8.7Hz,2H)8
.10-8.35(m,1H)。LCMS[M+H] 458.2)。
【0291】
(実施例16 (S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-
7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン
-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン
モノヒドロクロリド)
機械的撹拌機、窒素入り口、温度計及びpH計を装備した500mLの反応器へ、((
S))-2-(4-クロロフェニル)-3-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-
5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペ
ラジン-1-イル)-3-オキソプロピル)(イソプロピル)カルバミン酸tert-ブ
チル(50g)及び1-プロパノール(131g)を入れた。この溶液を60℃へ加熱し
た。1-プロパノール中のHClの溶液(22重量%(m/m)、38.0g)を60℃
で添加した。この溶液を50℃で反応完了まで維持し、この混合物を25℃へ冷却した。
NaOH水溶液(28%)(16g)をpH6に到達するまで添加した。この懸濁液を6
0℃で、100mLの最終容積に到達するまで真空濃縮した。この懸濁液を20℃へ冷却
し、90gの酢酸エチルを添加し、フィルトロックスプレートで濾過する。反応器及びフ
ィルタユニットを41gの1-プロパノール/酢酸エチルで洗浄する。この溶液を20℃
でチャコールフィルタパッドで濾過する。この反応器及びフィルタを82gの1-プロパ
ノール/酢酸エチルですすぐ。60℃で、この溶液を最終溶液が300mLになるまで真
空濃縮する。蒸留を60℃で続行し、同時に1260gの酢酸エチルを、容積を一定に維
持しながら添加する。
【0292】
この懸濁液を5℃へ冷却し、このスラリーを濾過した。このフィルタケークをEtOA
c(105mL)で洗浄し、60℃で16時間真空乾燥させて、(S)-2-(4-クロ
ロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジ
ヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3
-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オンモノヒドロクロリドをオフホワイト色の固
体36.5gとして得た(81%収率、91.4%(m/m)純度、99.9%(面積)
アッセイ)。
【0293】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(II)
【化1】
の化合物と式(III)
【化2】
の化合物とのカップリング反応を含む、式(I)
【化3】
の化合物またはその塩の調製方法
(式中、
は、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、9
-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、p-メトキシベンジルオキシカル
ボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(BOC
)、及びトリフルオロアセチルのリストから選択されるアミノ保護基である。
は、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、9
-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、p-メトキシベンジルオキシカル
ボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル(BOC
)、及びトリフルオロアセチルのリストから選択されるアミノ保護基である。
Mは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンのリストから
選択される金属イオンである。)。
(項2)
は、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である、上記項1に記載の方法。
(項3)
は、tert-ブトキシカルボニル(BOC)である、上記項1または2に記載の
方法。
(項4)
Mは、アルカリ金属イオンである、上記項1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項5)
Mは、Naである、上記項1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項6)
以下の反応工程、すなわち
a)酸性条件下での溶媒中の式(III)の化合物の脱保護、
b)塩基を用いたアルカリ性pHへの調整、
c)溶媒中に式(II)の化合物を含む溶液の添加、
d)溶媒中にカップリング剤を含む溶液の添加。
を含む、上記項1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項7)
工程a)における脱保護は、塩化水素酸を用いて実施される、上記項1~6のいずれか
一項に記載の方法。
(項8)
工程a)における脱保護に使用する溶媒は、n-プロパノールまたはイソプロパノール
から選択される、上記項1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項9)
工程b)における塩基は、N-エチルモルホリン(NEM)、トリエチルアミン(TE
A)、トリ(n-プロピル)アミン(TPA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPE
A)、ピリジン及びルチジンから選択される、上記項1~8のいずれか一項に記載の方法

(項10)
工程b)における塩基は、N-エチルモルホリン(NEM)である、上記項1~9のい
ずれか一項に記載の方法。
(項11)
工程c)における溶媒は、n-プロパノールまたはイソプロパノールから選択される、
上記項1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項12)
工程d)において使用するカップリング剤は、無水プロピルホスホン酸(T3P)であ
る、上記項1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項13)
工程d)において使用する溶媒は、n-プロパノール及びトルエンの混合物である、上
記項1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項14)
工程d)の後、前記生成物は、水性抽出によって作業される、上記項1~13のいずれ
か一項に記載の方法。
(項15)
金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)
【化4】
の化合物の非対称性水素化を含む、式(II)
【化5】
の化合物の製造方法をさらに含む(式中、R及びMは上記項1~5のいずれか一項にお
いて定義するとおりである)、上記項1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項16)
金属錯体触媒(C)を用いた式(IV)
【化6】
の化合物の非対称性水素化を含む、式(II)
【化7】
の化合物(式中、R及びMは、上記項1~5のいずれか一項に定義するとおりである)
の製造方法。
(項17)
前記金属錯体触媒(C)は、式(C1)、C2)または(C3)、すなわち
【化8】
(式中、
Dは、キラルホスフィンリガンドであり、
Lは、C2~7アルケン、シクロオクテン、1,3-ヘキサジエン、ノルボルナジエン
、1,5-シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5-トリメ
チルベンゼン、p-シメン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル、アセトン、トルエン及びメタノールから選択される中性リガンドで
あり、
Zは、水素化物、フッ化物、塩化物、臭化物、η-2,4-ペンタジエニル、η
2,4-ジメチル-ペンタジエニルまたはA-COO基から選択される陰イオン性リガ
ンドであり、但し、2つのZがRu原子へ結合する場合、当該Zは同じまたは異別のいず
れかであり得、
Aは、C1~7アルキル、C1~7ハロアルキル、アリール、またはハロアリールであ
り、
Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、BF 、ClO 、SbF 、PF 、B
(フェニル) 、B(3,5-ジ-トリフルオロメチル-フェニル) 、CFSO
、及びCSO から選択される非配位性陰イオンであり、
Fは、任意にキラルジアミンであり、
E及びE’は両方とも、ハロゲンイオンであり、またはEは水素化物でありかつE’は
BH であり、
mは、1、2、3または4であり、
pは、1または2である)
の化合物から選択されるルテニウム錯体触媒である、上記項15または16に記載の方法

(項18)
前記ルテニウム錯体触媒は、Ru(Z)Dであり、式中、Z及びDは、上記項17に
定義するとおりである、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項19)
前記陰イオン性リガンド(Z)は独立して、塩化物、臭化物、ヨウ化物、OAc、及び
TFAから選択される、上記項15~18のいずれか一項に記載の方法。
(項20)
前記陰イオン性リガンド(Z)は、トリフルオロ酢酸(TFA)である、上記項15~
19のいずれか一項に記載の方法。
(項21)
前記中性リガンド(L)は独立して、ベンゼン(C)、p-シメン(pCym)
、及びアセトニトリル(AN)から選択される、上記項15~17のいずれか一項に記載
の方法。
(項22)
前記中性リガンド(L)は、ベンゼン(C)である、上記項15~17のいずれ
か一項に記載の方法。
(項23)
非配位性陰イオン(Y)は、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びBF から選択される、
上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項24)
非配位性陰イオン(Y)は、BF である、上記項15~17のいずれか一項に記載
の方法。
(項25)
mは1または4である、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項26)
E及びE’は両方とも塩化物である、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項27)
前記キラルジアミンFは、(1S,2S)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(S
,S-DPEN)である、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項28)
前記キラルホスフィンリガンドDは、式(D1)~式(D12)
【化9】
(式中、
11は、C1~7アルキル、C1~7アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシもし
くはC1~7アルキル-C(O)O-であり、
12及びR13は各々独立して、水素、C1~7アルキル、C1~7アルコキシもし
くはジ(C1~7アルキル)アミノであり、
または
同じフェニル基へ結合するR11及びR12もしくは同じフェニル基へともに結合する
12及びR13は、X-(CH-Y-であり、式中、Xは-O-、もしくは-C
(O)O-であり、Yは-O-、-N(低級アルキル)-、もしくは-CF-でありか
つrは1~6の整数であり、または
2つのR11はともに、-O-(CH-O-もしくはO-CH(CH)-(C
-CH(CH)-O-であり、式中sは1~6の整数であり、または
11及びR12もしくはR12及びR13は、これらの結合する炭素原子とともに、
ナフチル環、テトラヒドロナフチル環もしくはジベンゾフラン環を形成し、
14及びR15は各々独立して、C1~7アルキル、C1~7アルコキシ、ジ(C
~7アルキル)アミノ、モルホリニル、フェニル、トリ(C1~7アルキル)シリル、C
1~7アルコキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシスルホニル、(CH
-OH及び(CH-NHからなる群から独立して選択される1~7個の置換
基で任意に置換されたC1~7アルキル、C3~8シクロアルキル、フェニル、ナフチル
またはヘテロアリールであり、式中tは1~6の整数であり、
16は、C1~7アルキルであり、
17は、C1~7アルキルであり、かつ
18は独立して、アリール、ヘテロアリール、C3~8シクロアルキルまたはC1~
アルキルである)
の化合物から選択される、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項29)
前記キラルホスフィンリガンド(D)は、式(D1)の化合物から選択され、式中、R
11~R15は、上記項28に説明するとおりである、上記項15~17のいずれか一項
に記載の方法。
(項30)
前記キラルホスフィンリガンド(D)は、(R)-3,5-Xyl-BINAP、(R
)-BINAP、(S)-2-フリル-MeOBIPHEP、(S)-BINAP、(S
)-BIPHEMP、(S)-MeOBIPHEP、(S)-pTol-BINAP)、
(S)-TMBTP及び(S,S)-iPr-DUPHOSから選択される、上記項15
~17及び28~29のいずれか一項に記載の方法。
(項31)
前記キラルホスフィンリガンド(D)は、(S)-BIPHEMP、(S)-BINA
P、及び(S)-MeOBIPHEPから選択される、上記項15~17及び28~30
のいずれか一項に記載の方法。
(項32)
前記キラルホスフィンリガンド(D)は、(S)-BINAPである、上記項15~1
7及び28~31のいずれか一項に記載の方法。
(項33)
前記ルテニウム錯体触媒は、
Ru(TFA)((R)-3,5-Xyl-BINAP)、
Ru(OAc)((S)-2-フリル-MeOBIPHEP)、
Ru(OAc)((S)-BINAP)、
[Ru(OAc)((S)-BINAP)]AlCl
Ru(TFA)((S)-BINAP)、
Ru(TFA)((S)-BINAPHANE)、
Ru(TFA)((S)-BIPHEMP)、
Ru(OAc)((S)-MeOBIPHEP)、
Ru(TFA)((S)-TMBTP)、
Ru(TFA)((S,S)-iPr-DUPHOS)、
[Ru((R)-BINAP)(pCym)(AN)](BF
[RuBr((S)-BINAP)(C)]Br、
[RuCl((S)-BINAP)(C)]BF
[RuI((S)-BINAP)(C)]I、
[Ru((S)-BINAP)(AN))](BF、及び
RuCl((S)-pTol-BINAP)(S,S-DPEN)の群から選択され
る、上記項15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項34)
前記ルテニウム錯体触媒は、Ru(TFA)((S)-BINAP)である、上記項
15~17のいずれか一項に記載の方法。
(項35)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、アルコール、炭化水素、塩化炭化水素、フッ
化およびポリフッ化脂肪族または芳香族炭化水素、超臨界または液体二酸化炭素、THF
、水あるいはこれらの混合物から選択される溶媒中で実施される、上記項15~34のい
ずれか一項に記載の方法。
(項36)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、MeOH、EtOH、i-PrOH、EtO
H/シクロペンチルメチルエーテル、EtOH/CHCl、EtOH/EtOAc、
EtOH/THF、EtOH/HO、CHCl及びTHFのリストから選択される
溶媒中で実施される、上記項15~35のいずれか一項に記載の方法。
(項37)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、エタノール(EtOH)中で実施される、上
記項15~36のいずれか一項に記載の方法。
(項38)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、LiBF、LiPF、LiOSCF
、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KI、LiCl、LiBr、LiI、
HBF、HCl、HBr、HSO、及びCHSOHのリストから選択される1
つ以上の添加剤をさらに含む、上記項15~37のいずれか一項に記載の方法。
(項39)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、1~150バールの水素圧下で実施される、
上記項15~38のいずれか一項に記載の方法。
(項40)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、10~30バールの水素圧下で実施される、
上記項15~39のいずれか一項に記載の方法。
(項41)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、5~100000の基質/触媒比(S/C
)で実施される、上記項15~40のいずれか一項に記載の方法。
(項42)
式(IV)の化合物の非対称性水素化は、100~15000の基質/触媒比(S/
C)で実施される、上記項15~41のいずれか一項に記載の方法。

(項43)
化合物の非対称性水素化の後に、式C1~7アルキル-OMの金属アルコキシドのアル
コール溶液を前記水素化反応混合物へ添加することによって塩を形成することが後に続き
、式中、R及びMは、上記項1~4のいずれか一項に定義するとおりである、上記項1
5~42のいずれか一項に記載の方法。
(項44)
前記塩形成工程において採用する金属アルコキシドは、MeOM、EtOM、iPrO
M、nPrOM、nBuOM、iBuOMまたはtBuOMである、上記項43に記載の
方法。
(項45)
前記塩形成工程において採用する金属アルコキシドは、EtOMである、上記項43ま
たは44に記載の方法。
(項46)
前記塩形成工程において溶媒として使用するアルコールは、C1~7アルキル-OH、
より特にMeOH、EtOH、iPrOH、nPrOH、nBuOH、iBuOHまたは
tBuOHである、上記項43~45のいずれか一項に記載の方法。
(項47)
前記塩形成工程において溶媒として使用するアルコールは、EtOHである、上記項4
3~46のいずれか一項に記載の方法。
(項48)
酸化還元酵素によって触媒される式(V)
【化10】
の化合物の非対称性還元を含む式(III)
【化11】
の化合物の製造方法をさらに含み、式中、Rは、上記項1及び3のいずれか一項に定義
するとおりである、上記項1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項49)
酸化還元酵素によって触媒される式(V)
【化12】
の化合物の非対称性還元を含む、式(III)
【化13】
(式中、Rは、上記項1及び3のいずれか一項に定義するとおりである)
の化合物の製造方法。
(項50)
前記酸化還元酵素は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を
少なくとも95%のジアステレオマー過剰率(de)のジアステレオ選択性で触媒する、
上記項48または49に記載の方法。
(項51)
前記酸化還元酵素は、式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元を
少なくとも98%のdeのジアステレオ選択性で触媒する、上記項48~50のいずれか
一項に記載の方法。
(項52)
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元は、補因子の存在下で酸
化還元酵素によって触媒される、上記項48~51のいずれか一項に記載の方法。
(項53)
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元において酸化される補因
子は、NADHまたはNADPHである、上記項52のいずれか一項に記載の方法。
(項54)
前記補因子は、グルコース及びグルコース脱水素酵素を補基質として用いる、酵素とカ
ップリングした補因子の再生によってその場で再生される、上記項52~53のいずれか
一項に記載の方法。
(項55)
前記補因子は、第二級アルコールを補基質として用いる、基質とカップリングした補因
子の再生によってその場で再生される、上記項52~53のいずれか一項に記載の方法。
(項56)
前記基質とカップリングした再生のための補基質としての前記第二級アルコールは、2
-プロパノール、2-ブタノール、ブタン-1.4-ジオール、2-ペンタノール、ペン
タン-1,5-ジオール、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヘキサノール、ヘキサン
-1,5-ジオール、2-ヘプタノール、または2-オクタノールから選択される、上記
項55に記載の方法。
(項57)
前記基質とカップリングした補因子の再生のための補基質としての前記第二級アルコー
ルは、2-プロパノールである、上記項55~56のいずれか一項に記載の方法。
(項58)
前記酸化還元酵素は、KRED-NADPH-111、KRED-NADPH-112
、KRED-NADPH-113、KRED-NADPH-114、KRED-NADP
H-115、KRED-NADPH-121、KRED-NADPH-123、KRED
-NADPH-145、KRED-NADPH-155、A231、KRED-NADP
H-136、KRED-X1、KRED-X2、KRED-X1-P1B06、KRED
-X1.1-P1F01、KRED-X1.1-P1H10、KRED-X1.1-P1
G11、KRED-X1.1-P1C04、KRED-X1.1-P1C11、及びKR
ED-X1.1-P1C08のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存
性酸化還元酵素である、上記項48~57のいずれか一項に記載の方法。
(項59)
前記酸化還元酵素は、KRED-X1、KRED-X2、KRED-X1-P1B06
、KRED-X1.1-P1F01、KRED-X1.1-P1H10、KRED-X1
.1-P1G11、KRED-X1.1-P1C04、KRED-X1.1-P1C11
、及びKRED-X1.1-P1C08のリストから選択されるジアステレオ選択的NA
DPH依存性酸化還元酵素である、上記項48~58のいずれか一項に記載の方法。
(項60)
前記酸化還元酵素は、KRED-X1、KRED-X2、KRED-X1-P1B06
、KRED-X1.1-P1C04及びKRED-X1.1-P1F01のリストから選
択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である、上記項48~59の
いずれか一項に記載の方法。
(項61)
前記酸化還元酵素は、KRED-X1.1-P1C04及びKRED-X1.1-P1
F01のリストから選択されるジアステレオ選択的NADPH依存性酸化還元酵素である
、上記項48~60のいずれか一項に記載の方法。
(項62)
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元は、1つ以上の有機補助
溶媒の存在下で水性媒体中で実施される、上記項48~61のいずれか一項に記載の方法

(項63)
前記有機補助溶媒は、1~50容積%の総濃度で存在する、上記項62に記載の方法。
(項64)
前記有機補助溶媒は、5~30容積%の総濃度で存在する、上記項62に記載の方法。
(項65)
前記有機補助溶媒は、グリセロール、2-プロパノール、ジエチルエーテル、tert
-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルテトラヒ
ドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキセン
及びこれらの混合物のリストから選択される、上記項48~64のいずれか一項に記載の
方法。
(項66)
前記有機補助溶媒は、2-プロパノールである、上記項48~65のいずれか一項に記
載の方法。
(項67)
式(V)の化合物から式(III)の化合物への非対称性還元は、水性緩衝液中で実施
される、上記項48~61のいずれか一項に記載の方法。
(項68)
前記緩衝液は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)またはリン酸二水
素カリウム(PBS)である、上記項67に記載の方法。
(項69)
抽出によるまたは濾過による作業が後に続く、上記項50~68のいずれか一項に記載
の方法。
(項70)
式(VI)
【化14】
の化合物またはその医薬として許容され得る塩の製造方法をさらに含む方法であって、こ
の中で式(I)
【化15】
の化合物は脱保護され、式中Rは、上記項1~2のいずれか一項に定義するとおりであ
る、上記項1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項71)
以下の反応工程、すなわち
i)酸性条件下での溶媒中での式(I)の化合物の脱保護、
ii)溶媒中で塩基を用いたpHの調整、
iii)式(VI)の化合物を任意に結晶化すること
を含む、上記項70に記載の方法。
(項72)
工程i)における脱保護は、塩化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸または臭化水素酸を
用いて実施される、上記項70または71に記載の方法。
(項73)
工程i)における脱保護は、塩化水素酸を用いて実施される、上記項70~72のいず
れか一項に記載の方法。
(項74)
工程i)における脱保護に使用する前記溶媒は、n-プロパノール、イソプロパノール
及びn-プロパノール/水の1:1の混合物から選択される、上記項70~73のいずれ
か一項に記載の方法。
(項75)
工程ii)における前記塩基は、NaOHまたはアンモニアである、上記項70~74
のいずれか一項に記載の方法。
(項76)
工程ii)における前記溶媒は、n-プロパノール、イソプロパノール及びn-プロパ
ノール/水の1:1の混合物から選択される、上記項70~75のいずれか一項に記載の
方法。
(項77)
工程iii)における前記結晶化は、式(VI)の化合物の結晶化に適した結晶化溶媒
への溶媒の切り替えによって実施される、上記項70~76のいずれか一項に記載の方法

(項78)
工程iii)における結晶化溶媒は、トルエン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、2-
プロパノン、2-ブタノン、エチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、酢酸イソプロピル及びこれらの混合物から選択される、上記項77に記載の方法。
(項79)
工程iii)における前記結晶化溶媒は、酢酸エチルである、上記項77に記載の方法

(項80)
上記項1~79のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできる、化合物。
(項81)
上記項1~79のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできる化合物を含む、
医薬組成物。
(項82)
式(II)
【化16】
(式中、R及びMは、上記項1~5のいずれか一項に定義するとおりである)
の化合物。
(項83)
(S)-3-(tert-ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)-2-(4-
クロロフェニル)プロパン酸ナトリウムである、上記項82に記載の式(II)の化合物

(項84)
1ppbと100ppmの間の式(I)(式中、Rは、上記項1または2に定義する
とおりである)の化合物を含む、上記項70に記載の式(VI)の化合物。
(項85)
1ppbと1ppmの間の式(I)(式中、Rは、上記項1または2に定義するとお
りである)の化合物を含む、上記項70に記載の式(VI)の化合物。
(項86)
上記項84または85に記載の式(VI)の化合物を含む、医薬組成物。
(項87)
1ppbと100ppmの間の式(II)(式中、R及びMは、上記項1~5のいず
れか一項に定義するとおりである)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化合物

(項88)
1ppbと1ppmの間の式(II)(式中、R及びMは、上記項1~5のいずれか
一項に定義するとおりである)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化合物。
(項89)
1ppbと100ppmの間の式(III)(式中、R及びRは、上記項1~3の
いずれか一項に定義するとおりである)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化
合物。
(項90)
1ppbと1ppmの間の式(III)(式中、R及びRは、上記項1~3のいず
れか一項に定義するとおりである)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化合物

(項91)
1ppbと100ppmの間の式(II)の化合物及び1ppbと100ppmの間の式
(III)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化合物であって、式中、R
及びMは、上記項1~5のいずれか一項に定義するとおりである、化合物。
(項92)
1ppbと1ppmの間の式(II)の化合物及び1ppbと1ppmの間の式(III
)の化合物を含む、上記項1に記載の式(I)の化合物であって、式中、R、R及び
Mは、上記項1~5のいずれか一項に定義するとおりである、化合物。
(項93)
上述の本明細書に説明する、本発明。