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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】食品組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 13/14 20060101AFI20231106BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20231106BHJP
   A23L 9/20 20160101ALI20231106BHJP
【FI】
A23C13/14
A23D7/00 508
A23L9/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019177830
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021052636
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591152584
【氏名又は名称】高梨乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 世里子
(72)【発明者】
【氏名】小笠 勇馬
(72)【発明者】
【氏名】將野 喜之
(72)【発明者】
【氏名】窪田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】青木 祐子
(72)【発明者】
【氏名】西 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】神尾 真
(72)【発明者】
【氏名】灘本 信純
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-054648(JP,A)
【文献】特開昭48-103773(JP,A)
【文献】特開2001-321074(JP,A)
【文献】ミルサーで気軽に☆生クリームホイップ,cookpad,2010年,https://cookpad.com/recipe/1041675
【文献】マカロンに挟むクリーム,cookpad,2016年,https://cookpad.com/recipe/3204404
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
A23D
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーホイップドクリームと、液状クリームとを含む、食品組成物であって、
前記オーバーホイップドクリームに対する前記液状クリームの混合比率が、30質量%以上130質量%以下である、食品組成物
【請求項2】
前記オーバーホイップドクリームに対する前記液状クリームの混合比率が、50質量%以上120質量%以下である、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項3】
前記オーバーホイップドクリームに対する前記液状クリームの混合比率が、70質量%以上110質量%以下である、請求項1に記載の食品組成物。
【請求項4】
前記オーバーホイップドクリームのオーバーランは、ホイップドクリームのオーバーランの最大値に対して39%以上99%以下である、請求項1~3の何れか一項に記載の食品組成物。
【請求項5】
前記オーバーホイップドクリームの硬度が、40gf以上200gf以下である、請求項1~の何れか一項に記載の食品組成物。
【請求項6】
前記オーバーホイップドクリームに含まれる油脂が乳脂を含む、請求項1~の何れか一項に記載の食品組成物。
【請求項7】
前記液状クリームに含まれる油脂が乳脂を含む、請求項1~の何れか一項に記載の食品組成物。
【請求項8】
請求項1~の何れか一項に記載の食品組成物を含む、複合食品。
【請求項9】
オーバーホイップドクリームと、液状クリームとを混合する工程を含み、前記オーバーホイップドクリームに対する前記液状クリームの混合比率が、30質量%以上130質量%以下である、食品組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーホイップドクリームを含む食品組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイップドクリームは、ケーキやパンなどのベーカリー食品への、ナッペ、サンド、トッピング、ディップなどの用途に使われてきた。ホイップドクリームに含まれる油脂により、ホイップドクリームの風味と食感は異なる。ホイップドクリームに含まれる油脂は、生クリームの場合は乳脂である。植物性クリームの場合、ラウリン系油脂を主体としたタイプ(例えば、特許文献1、2参照)や、パーム油の中融点分別油などのSUS型トリグリセリドを主体としたタイプ(例えば、特許文献3、4参照)が考案されている。また、植物性クリームに生クリームの風味を補うため、乳脂と植物性油脂とを含有する、コンパウンドタイプのクリームも広く流通している。
【0003】
ホイップドクリームは、サンドなどの用途によっては冷涼感とともに瑞々しさが求められる。生クリームは、ホイップ終点の幅が短いので、ホイップしすぎると、ボソボソになりやすく、この場合には瑞々しさが損なわれる。また、植物性クリームは、冷涼感のある良好な口どけを有するが、瑞々しさに乏しくドライな食感になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-304713号公報
【文献】特開2009-50235号公報
【文献】特開2006-223176号公報
【文献】特開2010-68716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ホイップドクリームを用いた、冷涼感と瑞々しさを有する食品組成物の開発が望まれている。
【0006】
本発明の課題は、ホイップドクリームを用いた、冷涼感と瑞々しさを有する食品組成物、および、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。従来、オーバーホイップされたホイップクリーム(以下、「オーバーホイップドクリーム」という)は瑞々しさに乏しいために商品価値が無いと判断されていたが、本発明者らは意外にもオーバーホイップドクリームに液状クリームと混合することによって、オーバーホイップすることで失われた瑞々しさが良好になり、上記課題が解決できることを見出した。これにより本発明は完成された。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様をとり得る。
[1] オーバーホイップドクリームと、液状クリームとを含む、食品組成物。
[2] 前記オーバーホイップドクリームに対する前記液状クリームの混合比率が、10質量%以上150質量%以下である、[1]に記載の食品組成物。
[3] 前記オーバーホイップドクリームのオーバーランは、ホイップドクリームのオーバーランの最大値に対して39%以上99%以下である、[1]または[2]に記載の食品組成物。
[4] 前記オーバーホイップドクリームの硬度が、40gf以上200gf以下である、[1]~[3]の何れかに記載の食品組成物。
[5] 前記オーバーホイップドクリームに含まれる油脂が乳脂を含む、[1]~[4]の何れかに記載の食品組成物。
[6] 前記液状クリームに含まれる油脂が乳脂を含む、[1]~[5]の何れかに記載の食品組成物。
[7] [1]~[6]の何れかに記載の食品組成物を含む、複合食品。
[8] オーバーホイップドクリームと、液状クリームとを混合する工程を含む、食品組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ホイップドクリームを用いた、冷涼感と瑞々しさを有する食品組成物、および、その製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[定義]
本発明において、クリームは、生クリーム、及び生クリームに準じて使用される油脂組成物、例えば植物性クリーム、コンパウンドクリーム等の総称である。すなわち、本発明において、クリームは、生クリーム及びその代替油脂組成物を示す用語であり、いずれも乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)において定義されるクリームに限定されるものではなく、乳主原表示の全乳脂クリーム、植物性クリーム、コンパウンドクリーム等を包含するものである。
【0011】
本発明において、ホイップクリーム(起泡性水中油型乳化物)は、ホイップ(起泡化、含気泡化)できるクリームである。
【0012】
[食品組成物]
本発明の食品組成物は、オーバーホイップドクリームと、液状クリームとを含むものである。オーバーホイップドクリームと液状クリームとを混合することで、オーバーホイップドクリームの冷涼感を保ちながら、オーバーホイップすることで失われた瑞々しさが良好になった食品組成物が得られる。
【0013】
本発明の一態様によれば、ホイップクリームは、油脂と、水と、さらにその他の成分とを含み得る。その他の成分としては、例えば、ホイップクリームに一般的に使用される、乳化剤、香料、無脂乳固形分、増粘剤、糖類(澱粉及びその分解物、糖アルコールを含む)、安定化剤、抗酸化剤、色素など、が挙げられる。
【0014】
本発明の一態様によれば、ホイップクリームは油脂を、好ましくは15~55質量%、より好ましくは22~50質量%、さらに好ましくは27~48質量%、ことさら好ましくは29~46質量%含み得る。
【0015】
本発明の一態様によれば、ホイップクリームに含まれる油脂は、植物性油脂(植物由来の油脂)、乳脂(牛の生乳由来の油脂)、その他動物油脂から選ばれる1種以上であり得る。植物性油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、及びそれら分別油、硬化油、エステル交換油などが挙げられる。植物性油脂は、1種単独で、あるいは2種以上で使用され得る。ホイップクリームは、油脂として、乳脂のみを含む生クリームまたは再調製クリームであってもよいし、植物性油脂のみを含む植物性クリームであってもよい。また、ホイップクリームは、油脂として、乳脂と、植物性油脂やその他動物油脂とを含むコンパウンドクリームであってもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、ホイップクリームは水を、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%、さらに好ましくは40~70質量%、ことさら好ましくは45~65質量%含み得る。本発明の一態様によれば、ホイップクリームは、通常市販されているホイップクリームでもよい。
【0017】
本発明の一態様によれば、ホイップクリームの製造には、従来公知の方法が適用できる。一例としては、油脂を融解し、油溶性のその他の成分を溶解または分散させて油相を調製する。一方、水に水溶性のその他の成分を溶解または分散させて調製した水相も調製する。それぞれ調製した油相と水相を混合し、予備的に乳化させる。この予備乳化物を均質化処理することにより、ホイップクリームが製造できる。また、必要に応じて殺菌処理することもできる。均質化処理は、殺菌処理の前に行う前均質であっても、殺菌処理の後に行う後均質であってもよい。また、前均質および後均質の両者を組み合わせた二段均質を適用してもよい。均質化処理の後は、好ましくは、冷却、エージングの工程が適用され得る。上記の、予備乳化、均質化、殺菌、冷却など各工程の、温度、圧力、時間などの条件は、従来公知の条件を適用できる。
【0018】
本発明において、ホイップドクリームは、ホイップクリームがそのまま起泡化されたクリームであり得る。また、ホイップクリームに、グラニュー糖、砂糖、液糖などの糖類や、アルコール類、香料、増粘安定剤、生クリームなどが添加された後に起泡化されたクリームであり得る。
【0019】
本発明において、オーバーホイップドクリームは、ホイップドクリームのうち、オーバーランが最大値となった後もさらに起泡化操作を継続して、オーバーランが最大値よりも小さくなったものを意味する。オーバーホイップドクリームは、好ましくは転相して水分離が起こる前のクリームである。本発明の一態様によれば、オーバーホイップドクリームのオーバーランは、ホイップドクリームのオーバーランの最大値に対して、好ましくは39%以上99%以下であり、より好ましくは44%以上96%以下であり、さらに好ましくは48%以上93%以下である。オーバーホイップドクリームは、冷涼感を感じ易い傾向にある。
なお、ホイップドクリームのオーバーランは、ホイップクリームの増加体積の割合(%)であり、以下の数式(1)で表される。オーバーランの値が大きいほど、起泡化の度合いが大きい。オーバーランの測定は、好ましくは約5~約10℃(より好ましくは約7℃)の品温を有するホイップクリームを用いて、約20℃の環境下で行われてもよい。ホイップ終了後の温度は、約11~約15℃であり得る。
・オーバーラン(%)=[(定容積のホイップ前のクリーム質量-定容積のホイップ後のクリーム質量)/(定容積のホイップ後のクリーム質量)]×100 (1)
【0020】
本発明の一態様によれば、オーバーホイップドクリームの硬度は、好ましくは40gf以上200gf以下であり、より好ましくは50gf以上180gf以下であり、さらに好ましくは60gf以上170gf以下である。
なお、ホイップドクリームの硬度は、レオメーター(例えばCREEP METER RE2-33005C(株式会社山電製))を用いて、例えば、進入速度60mm/分、進入距離(深度)35mm、プランジャーφ20mm円盤の条件で測定した値である。オーバーラン測定のために、例えば、直径4.5cm、高さ5.8cmのカップ(OR用カップ)にカップ詰めされたホイップドクリームを、硬度測定用にそのまま使用してもよい。
【0021】
本発明において、液状クリームは、約20℃において流動性を有する水中油型の乳化物である。本発明の一態様によれば、液状クリームは上記のホイップクリームであり得る。液状クリームは、起泡化が完了しない状態のホイップクリームでもあり得る。また、液状クリームは、全く起泡性のない水中油型乳化物であってもよい。本発明の一態様によれば、液状クリームに含まれる油脂は、液体であってもよい。しかし、液状クリームに含まれる油脂は、好ましくは、10℃で30~75%、25℃で2~20%の固体脂含有量(SFC)を有し、より好ましくは10℃で40~65%、25℃で4~16%の固体脂含有量(SFC)を有する。本発明の一態様によれば、液状クリームは、上記のホイップクリームと同様の方法で製造され得る。
【0022】
本発明において、食品組成物中のオーバーホイップドクリームに対する液状クリームの混合比率は、好ましくは10質量%以上150質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上130質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上120質量%以下であり、さらにより好ましくは70質量%以上110質量%以下である。本発明の一態様によれば、食品組成物は、全体が均一な含気泡状態であっても良いし、部分的に含気泡状態であってもよい。しかし、好ましくは全体が均一な含気泡状態である。
【0023】
本発明において、食品組成物のオーバーランは、ホイップドクリームのオーバーランの最大値に対して、好ましくは20%以上80%以下であり、より好ましくは40%以上70%以下であり、さらに好ましくは50%以上65%以下である。
【0024】
本発明において、食品組成物の硬度は、好ましくは20gf以上220gf以下であり、より好ましくは20gf以上120gf以下であり、さらに好ましくは20gf以上100gf以下である。
【0025】
本発明の一態様によれば、食品組成物は、オーバーホイップドクリームと液状クリーム以外に他の食品素材を含んでもよい。他の食品素材としては、例えば、果物片やチョコレートチップ等が挙げられる。
【0026】
本発明の一態様によれば、食品組成物が乳脂を含む場合、食品組成物に含まれる乳脂は、好ましくはオーバーホイップドクリームに含まれる。より具体的には、食品組成物に含まれる乳脂は、当該乳脂の好ましくは50質量%以上がオーバーホイップドクリーム由来であり、より好ましくは70質量%以上がオーバーホイップドクリーム由来であり、さらに好ましくは80質量%以上がオーバーホイップドクリーム由来である。食品組成物に含まれる乳脂は、液状クリームよりもオーバーホイップドクリームの方に含まれていた方が、乳風味が強く発現され得る。
【0027】
[食品組成物の製造方法]
本発明の一態様によれば、食品組成物は、オーバーホイップドクリームと液状クリームとを混合することにより製造できる。オーバーホイップドクリームに対する液状クリームの混合比率は、好ましくは10質量%以上150質量%以下であり、より好ましくは30質量%以上130質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以上120質量%以下であり、さらにより好ましくは70質量%以上110質量%以下である。
【0028】
混合は、ヘラ、ミキサーなどにより、不均一に、好ましくは均一に、オーバーホイップドクリームと液状クリームを混ぜ合わせればよい。本発明の一態様によれば、混合は、均一に軽く混ぜ合わせる程度でよい。しかし、混合は、オーバーホイップドクリームのオーバーランより、オーバーランが大きくならない程度に含気されてもよい。オーバーホイップドクリームと液状クリーム以外の食品素材は、オーバーホイップドクリームと液状クリームと一緒に混ぜ合わせてもよいし、オーバーホイップドクリームと液状クリームを混ぜ合わせた後に、混ぜ合わせてもよい。
【0029】
本発明の一態様によれば、本発明の食品組成物は、製菓製パン用、調理用、飲料用など、従来のホイップドクリームの用途に使用できる。本発明の一態様によれば、本発明の食品組成物は、例えば、ケーキやパンなどのベーカリー食品への、ナッペ、サンド、トッピングなどの用途に使用され、複合食品の一素材となり得る。本発明の一態様によれば、本発明の食品組成物は、冷涼感と瑞々しさを有するので、特に、ロールケーキ、シューなどのフィリング材として好適に使用できる。
【実施例
【0030】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されない。
【0031】
<分析方法>
・ホイップドクリームのオーバーラン
7℃に調温した500gのホイップクリームに、35gの砂糖を加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用いて、中速2の条件で、起泡化(ホイップ)させた。ホイップドクリームを、直径4.5cm、高さ5.8cmのカップ(OR用カップ)に詰め、以下の数式(1)により、オーバーラン(クリームの増加体積の割合)を求めた。
・オーバーラン(%)=[(定容積のホイップ前のクリーム質量-定容積のホイップ後のクリーム質量)/(定容積のホイップ後のクリーム質量)]×100 (1)
【0032】
・ホイップドクリームの硬度
レオメーター(CREEP METER RE2-33005C(株式会社山電製))を用いて、オーバーラン測定のためにカップ詰めされたホイップドクリームの硬度(単位gf)を、進入速度60mm/分、進入距離(深度)35mm、プランジャーφ20mm円盤の条件で測定した。
【0033】
<ホイップクリーム>
・ホイップクリームA
植物性ホイップクリーム(油脂含有量45質量%、乳脂無し、水含有量50.3質量%、無脂乳固形分4.5質量%、油脂は、60質量部のパーム核油、20質量部のパーム核硬化油、20質量部のパーム中融点部を含み、10℃SFC62.3%、25℃SFC12.7%)をホイップクリームAとして使用した。
・ホイップクリームB
生クリーム(油脂(乳脂)含有量45質量%、水含有量49.5質量%、無脂乳固形分4.8質量%、油脂の10℃SFC49.0%、25℃SFC11.2%)をホイップクリームBとして使用した。
・ホイップクリームC
6質量部のホイップクリームAと4質量部のホイップクリームBを混合したホイップクリームを、ホイップクリームCとした。
【0034】
<オーバーホイップドクリームの製造>
表1に示したオーバーホイップドクリームを、以下のように調製した。すなわち、7℃に調温した500gのホイップクリームに、35gの砂糖を加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用いて、中速2の条件で、ホイップさせた。ホイップさせたホイップドクリームの、オーバーランと硬度を上記の方法に従って経時的に測定した。作業は20℃の環境下で行った。結果は、表1に示した。
【0035】
<食品組成物の製造>
オーバーホイップドクリームおよび液状クリームを、表1に示した組合せおよび混合比(質量部)で、ヘラで均一に混合し、実施例1~5の食品組成物を調製した。得られた食品組成物について、上記と同様の方法でオーバーランおよび硬度を測定した。
【0036】
実施例1~5の食品組成物の、瑞々しさ、冷涼感について、以下の要領にしたがって評価を行った。また、実施例1~5のオーバーホイップドクリームおよびオーバーホイップドクリームを作製する途中段階で得られるホイップドクリーム、についても同様に、瑞々しさ、冷涼感の評価を行った。結果を表1に示した。
【0037】
1.瑞々しさ
約5℃に調温した実施例1~5の各食品組成物を食して、各サンプルの瑞々しさを、以下に示す4段階基準に従い、専門パネラー(6名)により点数付けした。平均点に応じて、以下の通り◎、○、△、×の4段階で各サンプルの瑞々しさを評価した。表1には、括弧内に平均点を併記した。
〔点数付けの基準〕
3:非常に瑞々しかった。
2:瑞々しかった。
1:瑞々しさが乏しかった。
0:ドライであった。
〔評価基準〕
評価◎:2.5点以上
評価○:1.5点以上2.5点未満
評価△:0.8点以上1.5点未満
評価×:0.8点未満
【0038】
2.冷涼感
約5℃に調温した実施例1~5の各食品組成物を食して、各サンプルの冷涼感を、以下に示す4段階評価基準に従い、専門パネラー(6名)により点数付けした。平均点に応じて、以下の通り◎、○、△、×の4段階で各サンプルの冷涼感を評価した。表1には、括弧内に平均点を併記した。
〔評価基準〕
3:非常に冷涼感が感じられた。
2:冷涼感が感じられた。
1:やや冷涼感が感じられた。
0:冷涼感が感じられなかった。
〔評価基準〕
評価◎:2.5点以上
評価○:1.5点以上2.5点未満
評価△:0.8点以上1.5点未満
評価×:0.8点未満
【0039】
【表1】