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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
A61B1/018 512
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020015176
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122297
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】室▲崎▼ 修
(72)【発明者】
【氏名】松崎 一平
(72)【発明者】
【氏名】常見 麻芙
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-168882(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110450(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/052544(WO,A1)
【文献】特開2007-029194(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0332009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32、13/00-18/18
A61F2/01
A61N7/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される処置具に取り付けられ、前記処置具の操作を補助するための補助具であって、
前記処置具に前記補助具を固定する固定部と、
前記固定部に接続され、前記処置具の幅より広い幅を有する操作部とを備え、
前記固定部は、前記処置具の延在方向に対して交差する方向から前記処置具に前記補助具を取り付け可能に構成され、
前記固定部を構成する材料は可撓性を有する弾性体であり、
前記固定部は、前記処置具が挿入される孔が形成された筒状部であり、
前記筒状部には、前記孔の延在方向と交差する幅方向側に位置する側面から前記孔に到達する第1溝が、前記孔の全長に渡って形成されており、
前記操作部は、前記筒状部の前記側面の少なくとも一部上に配置され、
前記操作部には、前記第1溝に連なり前記操作部の前記幅方向における外周面まで到達する第2溝が形成され、
前記幅方向において、前記操作部の幅は前記筒状部の幅より大きく、
前記操作部は、前記孔の前記延在方向において間隔を隔てて配置された複数の突起部を含み、
前記複数の突起部は、前記延在方向において前記間隔を隔てて配置された第1突起部と、第2突起部と、第3突起部と、第4突起部とを含み、
前記第1突起部と前記第4突起部とは前記孔の前記延在方向における両端部に配置され、
前記第2突起部と前記第3突起部とは前記第1突起部と前記第4突起部との間に配置され、
前記幅方向において、前記第1突起部の幅および前記第4突起部の幅は、前記第2突起部の幅および前記第3突起部の幅より小さい、補助具。
【請求項2】
前記第1溝の最小幅は前記孔の直径より小さく、
前記延在方向から見た前記第1溝および前記第2溝の形状はV字状となっている、請求項に記載の補助具。
【請求項3】
記延在方向に沿った断面において、前記第2突起部に面する前記第1突起部の表面は、前記第2突起部に近づくにつれて前記筒状部に近づくとともに、前記筒状部側に凸となった曲線状であり、前記第1突起部に面する前記第2突起部の表面は、前記第1突起部に近づくにつれて前記筒状部に近づくとともに、前記筒状部側に凸となった曲線状である、請求項1または請求項2に記載の補助具。
【請求項4】
前記筒状部には、前記第1溝の一部と重なるように、前記孔に到達する切欠部が形成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の補助具。
【請求項5】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される処置具に取り付けられ、前記処置具の操作を補助するための補助具であって、
前記処置具に前記補助具を固定する固定部と、
前記固定部に接続され、前記処置具の幅より広い幅を有する操作部とを備え、
前記固定部は、前記処置具の延在方向に対して交差する方向から前記処置具に前記補助具を取り付け可能に構成され、
前記固定部は、前記処置具が挿入される孔が形成された筒状部であり、
前記操作部は、前記筒状部の側面の少なくとも一部上に配置され、
前記操作部は、突起部を含み、
前記孔の延在方向に沿った断面において、前記突起部は三角形状を有し、
前記孔の延在方向に沿った断面において、前記側面に交差する方向に伸びる前記突起部の表面は、前記筒状部側に凸の曲線となっている、補助具。
【請求項6】
前記延在方向から見た前記操作部の外形は円形状である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の補助具。
【請求項7】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される処置具に取り付けられ、前記処置具の操作を補助するための補助具であって、
前記処置具に前記補助具を固定する固定部と、
前記固定部に接続され、前記処置具の幅より広い幅を有する操作部とを備え、
前記固定部は、前記処置具の延在方向に対して交差する方向から前記処置具に前記補助具を取り付け可能に構成され、
前記固定部は、第1部分と、前記第1部分に接続された第2部分とを含み、
前記第2部分は、前記第1部分に近接した第1位置と、前記第1位置よりも前記第1部分から離れた第2位置との間を移動できるように前記第1部分と接続されており、
前記第1部分は、前記処置具に接触する第1固定部および第2固定部を含み、前記第2固定部は前記第1固定部から間隔を隔てて配置され、
前記第2部分は、前記処置具に接触する第3固定部を含み、
前記第2部分が前記第1位置に配置された状態で、前記第3固定部は前記第1固定部と前記第2固定部との間に位置し、
前記第2部分が前記第1位置に配置された状態で、前記第1固定部と前記第2固定部とにおいて前記処置具に接触するべき前記第2部分側の表面を結ぶ仮想直線から前記第2部分側に2mm離れた位置を基準位置としたときに、前記第3固定部において前記処置具に接触するべき前記第1部分側の表面は前記基準位置より前記第1部分側に配置されており、
前記操作部は、
前記第1部分に接続され、使用者の指を挿入するための第1開口部が形成された第1ループ部と、
前記第2部分に接続され、前記使用者の他の指を挿入するための第2開口部が形成された第2ループ部と、を含む、補助具。
【請求項8】
前記第1固定部と前記第2固定部と前記第3固定部とは、前記第1部分または前記第2部分の表面から突出した柱状体であり、
前記柱状体は、前記表面に接続された根元部と、前記根元部とは反対側の先端部と、前記根元部と前記先端部との間に位置する中間部とを含み、
前記柱状体の延在方向に交差する幅方向において、前記中間部の幅は前記根元部の幅および前記先端部の幅より小さい、請求項に記載の補助具。
【請求項9】
前記第1部分と前記第2部分とは、回転軸を介して接続されている、請求項7または請求項8に記載の補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される処置具に取り付けられる補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入された処置具を軸方向に動かしやすくするための補助具が知られている(たとえば、特開2019-201673号公報)。特開2019-201673号公報には、内視鏡に取り付けられたベースと、当該ベースに固定された第1の筒と、当該第1の筒に対して移動可能であって処置具が固定された第2の筒と、第2の筒を第1の筒に対して移動させるための移動機構とを備える補助具が開示されている。移動機構としては、第2の筒にカム機構を介してダイヤルが接続され、当該ダイヤルの回転運動を第2の筒の軸方向の直線運動に変換する機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-201673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の補助具は、複数の部品により構成されており構造も複雑であって、製造コストが高い。また、予め内視鏡に補助具のベースを固定し、処置具自体も第2の筒に予め固定しておく必要があるなど、使用に際して相応の事前準備が必要である。
【0005】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたものであり、低コストで使用に際する準備が簡便に行える補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った補助具は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入される処置具に取り付けられ、当該処置具の操作を補助するための補助具であって、固定部と操作部とを備える。固定部は処置具に補助具を固定する。操作部は固定部に接続され、処置具の幅より広い幅を有する。固定部は、処置具の延在方向に対して交差する方向から処置具に補助具を取り付け可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、低コストで使用に際する準備が簡便に行える補助具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る補助具の斜視模式図である。
図2図1に示した補助具の上面模式図である。
図3図1に示した補助具の側面模式図である。
図4図1に示した補助具の延在方向から見た正面模式図である。
図5】孔と第1溝との境界部を説明するための部分断面模式図である。
図6】切欠部を説明するための部分側面模式図である。
図7図1に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。
図8図7に示した処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入するとともに補助具を介して処置具を操作している状況を示す模式図である。
図9】実施の形態2に係る補助具の斜視模式図である。
図10図9に示した補助具の上面模式図である。
図11図9に示した補助具の側面模式図である。
図12図9に示した補助具の正面模式図である。
図13図9に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。
図14】実施の形態3に係る補助具の斜視模式図である。
図15図14に示した補助具の上面模式図である。
図16図14に示した補助具の側面模式図でる。
図17図14に示した補助具を開放した状態を示す斜視模式図である。
図18図14に示した補助具の第1~第3固定部の配置を説明するための模式図である。
図19図14に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。
図20】実施の形態4に係る補助具の斜視模式図である。
図21図20に示した補助具の側面模式図である。
図22図20に示した補助具の上面模式図である。
図23図20に示した補助具の延在方向から見た正面模式図である。
図24図20に示した補助具の構造を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
<補助具の構成>
図1は、実施の形態1に係る補助具の斜視模式図である。図2は、図1に示した補助具の上面模式図である。図3は、図1に示した補助具の側面模式図である。図3図2の矢印16で示す方向から補助具1を見た図となっている。図4は、図1に示した補助具の延在方向から見た正面模式図である。図5は、孔と第1溝との境界部を説明するための部分断面模式図である。図6は、切欠部を説明するための部分側面模式図である。
【0011】
図1図6に示した補助具1は、内視鏡3の処置具挿通チャンネル3fに挿入される処置具2に取り付けられ、当該処置具2の操作を補助するための補助具1である。補助具1は、固定部としての筒状部11と操作部としての突起部12とを備える。突起部12は筒状部11の側面11f上に形成されている。なお、筒状部11と突起部12とは一体に形成されている。突起部12は、筒状部11の側面11fの周方向におけるほぼ全周にわたって形成されている。補助具1の延在方向から見た突起部12の外形は円形状である。
【0012】
突起部12は、矢印13で示される補助具1の延在方向において間隔を隔てて配置された第1突起部12aと、第2突起部12bと、第3突起部12cと、第4突起部12dとを含む。第1突起部12aと第2突起部12bとの間、第2突起部12bと第3突起部12cとの間、第3突起部12cと第4突起部12dとの間には、それぞれ凹部が形成されている。当該凹部の内周面は、補助具1の延在方向に沿った断面における形状が筒状部11側に向けて凸となっている曲線状である。凹部は筒状部11の側面11fのほぼ全周に渡って形成されている。補助具1の延在方向に対して交差する方向である幅方向において、第1突起部12aの幅W2および第4突起部12dの幅は、第2突起部12bの幅W3および第3突起部12cの幅より小さい。
【0013】
異なる観点から言えば、補助具1の延在方向に沿った断面において、第2突起部12bに面する第1突起部12aの表面15aは、第2突起部12bに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第1突起部12aに面する第2突起部12bの表面15bは、第1突起部12aに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第3突起部12cに面する第2突起部12bの表面15cは、第3突起部12cに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第2突起部12bに面する第3突起部12cの表面15dは、第2突起部12bに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第4突起部12dに面する第3突起部12cの表面15eは、第4突起部12dに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第3突起部12cに面する第4突起部12dの表面15fは、第3突起部12cに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。
【0014】
筒状部11および突起部12を構成する材料は可撓性を有する弾性体である。筒状部11には、処置具2が挿入される孔11aが形成されている。補助具1の延在方向に対して交差する方向(幅方向または径方向)側から孔11aに到達する溝が補助具1の全長に渡って形成されている。補助具1の延在方向側から見た当該溝の形状はV字状である。異なる観点から言えば、筒状部11には、孔11aの延在方向と交差する幅方向側に位置する側面11fから孔11aに到達する第1溝11bが、孔11aの全長に渡って形成されている。突起部12には、第1溝11bに連なり突起部12の幅方向における外周面まで到達する第2溝12eが形成される。上述した溝は第1溝11bと第2溝12eとにより構成される。
【0015】
補助具1の延在方向に沿った方向から見たときに、図5に示すように第1溝11bの最小幅W4は孔11aの直径Dより小さい。第1溝11bと孔11aとの境界部は図5に示すように曲面部となっているが、当該境界部が角部となっていてもよい。
【0016】
筒状部11には、第1溝11bの一部と重なるように、孔11aに到達する切欠部11c~11eが形成されている。具体的には、第1突起部12aと第2突起部12bとの間の凹部の底に切欠部11cが形成される。第2突起部12bと第3突起部12cとの間の凹部の底に切欠部11dが形成される。第3突起部12cと第4突起部12dとの間の凹部の底に切欠部11eが形成される。図3に示すように、矢印14で示される溝の伸びる方向に対して直交する方向から見た場合に、切欠部11c~11dの形状は孔11a側に向けて凸となる曲面状であり、好ましくは円弧状である。
【0017】
図6に示すように、切欠部11c~11dの底部は孔11aの側面より距離L1だけ孔11aの内側に配置されている。距離L1は好ましくは孔11aの直径Dの0.1倍以上0.5倍以下である。また、距離L1は孔11aの直径Dの0.2倍以上0.4倍以下でもよい。
【0018】
補助具1の筒状部11および突起部12を構成する材料は、同じ材料でもよいし異なる材料でもよい。筒状部11を構成する材料は、たとえば任意の樹脂であってもよい。突起部12を構成する材料は、たとえば樹脂でもよく、金属などでもよい。突起部12を構成する材料は、筒状部11を構成する材料より硬度の高い材料であってもよく、硬度が低い材料であってもよく、硬度が同じ材料であってもよい。
【0019】
なお、図1に示した補助具1は4つの突起部12を備えていたが、突起部12の数は2,3,5,6など任意の数としてもよい。また、複数の突起部12の形状をほぼ同じ形状とした構成を例示したが、複数の突起部12が互いに異なる形状となっていてもよい。たとえば、補助具1の延在方向に沿った方向からみた場合に、補助具1の端部に位置する突起部12の形状と、補助具1の中央部に位置する突起部12とがことなっていてもよい。この場合、突起部12の形状により補助具1のどの部分に触れているのかを使用者が判断することができる。
【0020】
<補助具の製造方法>
補助具1は、任意の製造方法により製造できる。たとえば、3Dプリンタ等を用いて直接一体物として製造してもよい。あるいは、筒状部11と突起部12とを別々に製造し、筒状部11の外周表面に突起部12を固定することで補助具1を構成してもよい。筒状部11に対する突起部12の固定方法は、任意の方法を用いることができる。たとえば、筒状部11に対して突起部12を固定するために接着材、ネジなどの固定部材を用いてもよい。
【0021】
<補助具の使用方法>
図7は、図1に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。図8は、図7に示した処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿入するとともに補助具を介して処置具を操作している状況を示す模式図である。
【0022】
図7に示すように、補助具1は処置具2に取り付けられて使用される。処置具2としては、たとえば生検鉗子、止血鉗子、クリップ、スネア、内視鏡用ナイフなどが挙げられる。上述のように、処置具2は補助具1の側面に形成された溝から孔11aに圧入され、固定される。図7に示したように補助具1が取り付けられた処置具2は、図8に示すように内視鏡3の処置具挿通チャンネル3fに挿入される。内視鏡3は、たとえば操作部3aを左手4で保持しながら使用される。操作部3aには、たとえば吸引ボタン3b、送気送水ボタン3c、内視鏡先端の上下または左右の動作を制御するためのアングルノブ3d、3eなどの操作機構が配置されている。使用者は、内視鏡3の操作部3aを左手4で保持しながら、左手4の指で上述した操作機構を操作する。さらに、処置具挿通チャンネル3fに挿入された処置具2については、図8に示すように補助具1を左手4の指で支持することができる。補助具1は、たとえば図8に示すように人差し指4a、中指4b、および薬指4cにより保持してもよい。それぞれの指は補助具1の凹部に配置されてもよい。このようにすれば、内視鏡3の操作部3aを保持する左手4によって処置具2の軸方向における移動も容易に行うことができる。この結果、使用者の右手は内視鏡3の先端部の位置決めおよび保持など他の動作を行うことができる。そのため、内視鏡3を用いた手術の短時間化や使用者の負荷の低減に寄与できる。
【0023】
特に、内視鏡3として先端部が柔軟な軟性内視鏡を用いる場合、使用者の左手は内視鏡3の操作部3aを支持するとともに各種の操作を行う一方、右手は内視鏡の先端側の位置固定を行う。しかし、処置具2の突出長の調整のために処置具2を延在方向に移動させるために、従来は内視鏡の先端側から右手を放して、当該右手で処置具2の移動を行う場合があった。このように内視鏡3の先端側から右手を放すと内視鏡の視野は不安定となる。そのため、右手での処置具2の操作が終了し、右手で内視鏡3の先端側を再度支持して視野が安定するまで、治療は中断しなければならなかった。この結果、治療時間の長期化といった問題が発生していた。本開示に係る補助具1を用いることで、左手だけで処置具2の位置調整を行うことが容易になり、右手を内視鏡3の先端側から放す必要がなくなることから、上記のような治療時間の長期化と言った問題の発生を抑制できる。
【0024】
また、処置具挿通チャンネル3fに処置具2を挿入した後でも、補助具1を着脱できる。さらに、補助具1はストッパーとしての機能も有するため、処置具2が内視鏡3の先端部から過剰に突出することを防止できる。
【0025】
<作用効果>
本開示に従った補助具1は、内視鏡3の処置具挿通チャンネル3fに挿入される処置具2に取り付けられ、当該処置具2の操作を補助するための補助具1であって、固定部としての筒状部11と操作部としての突起部12とを備える。固定部としての筒状部11は処置具2に補助具1を固定する。操作部としての突起部12は筒状部11に接続され、処置具2の幅より広い幅を有する。固定部としての筒状部11は、処置具2の延在方向に対して交差する方向から処置具2に補助具1を取り付け可能に構成されている。
【0026】
このようにすれば、処置具2の延在方向に対して交差する方向(径方向)から補助具1を処置具2に装着できるので、内視鏡3を用いた手術の準備工程などにおいて、処置具2に対する補助具1の着脱を容易に行うことができる。また、補助具1自体の構造が複雑ではないため、当該補助具1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0027】
上記補助具1において、固定部としての筒状部11を構成する材料は可撓性を有する弾性体である。固定部は、処置具2が挿入される孔11aが形成された筒状部11である。筒状部11には、孔11aの延在方向と交差する幅方向側に位置する側面11fから孔11aに到達する第1溝11bが、孔11aの全長に渡って形成されている。操作部としての突起部12は、筒状部11の側面11fの少なくとも一部上に配置される。操作部としての突起部12には、第1溝11bに連なり操作部としての突起部12の幅方向における外周面まで到達する第2溝12eが形成される。幅方向において、操作部としての突起部12の幅W3、W2は筒状部11の幅W1より大きい。
【0028】
この場合、第2溝12eおよび第1溝11bを介して処置具2を補助具1の筒状部11の孔11aにはめ込むことで、補助具1を処置具2に容易に固定できる。また、筒状部11を構成する材料が弾性体であるため、孔11aの径を処置具2のサイズと同等にしておけば、筒状部11を構成する弾性体の弾性力により孔11aの内面が処置具2の表面に密着した状態とすることができる。この結果、補助具1を処置具2に固定できる。さらに、突起部12が筒状部11の幅W1より広い幅W3、W2を有しているので、当該突起部12を使用者が操作することで、補助具1が装着された処置具2の位置や姿勢などを使用者が容易に操作できる。
【0029】
上記補助具1において、第1溝11bの最小幅W4は孔11aの直径Dより小さい。この場合、孔11aにはめ込まれた処置具2が第1溝11bを介して孔11aから外れることを抑制できる。延在方向から見た第1溝11bおよび第2溝12eの形状はV字状となっている。この場合、第1溝11bおよび第2溝12eからなるV字状の溝から孔11aへ処置具2を押し込むときに、処置具2を孔11aにむけて容易に案内することができる。
【0030】
上記補助具1において、操作部は、筒状部11の孔11aの延在方向において間隔を隔てて配置された複数の突起部12(具体的には第1突起部12a、第2突起部12b、第3突起部12c、第4突起部12d)を含む。
【0031】
この場合、複数の突起部12の間が使用者の指を配置する凹部として機能する。このため、当該凹部に使用者の指を配置して補助具1を当該指により容易に支持できる。
【0032】
上記補助具1において、複数の突起部12は、延在方向において間隔を隔てて配置された第1突起部12aと第2突起部12bとを含む。延在方向に沿った断面において、第2突起部12bに面する第1突起部12aの表面15aは、第2突起部12bに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。第1突起部12aに面する第2突起部12bの表面15bは、第1突起部12aに近づくにつれて筒状部11に近づくとともに、筒状部11側に凸となった曲線状である。
【0033】
この場合、第1突起部12aと第2突起部12bとの間の表面15a、15bを含む領域が、曲面状の表面を有する凹部となるため、当該凹部へ指を配置して補助具1を操作するときに、当該凹部へ指を配置して補助具1を支持しやすくできる。この結果、補助具1の操作性を向上させることができる。
【0034】
上記補助具1において、複数の突起部12は、延在方向において間隔を隔てて配置された第1突起部12aと、第2突起部12bと、第3突起部12cと、第4突起部12dとを含む。第1突起部12aと第4突起部12dとは孔11aの延在方向における両端部に配置される。第2突起部12bと第3突起部12cとは第1突起部12aと第4突起部12dとの間に配置される。幅方向において、第1突起部12aの幅W2および第4突起部12dの幅は、第2突起部12bの幅W3および第3突起部12cの幅より小さい。
【0035】
この場合、第2突起部12bと第3突起部12cとの間に形成される凹部の深さを、第1突起部12aまたは第4突起部12dに隣接する凹部の深さより深くすることができる。このため、補助具1の延在方向における中央部に位置する凹部(つまり第2突起部12bと第3突起部12cとの間に形成される凹部)に中指などを配置する場合に、当該中指のサイズに適合するように中央部に位置する凹部のサイズを調整できる。
【0036】
上記補助具1において、筒状部11には、第1溝11bの一部と重なるように、孔11aに到達する切欠部11c~11eが形成されている。
【0037】
この場合、第1溝11bを介して処置具2を補助具1の孔11aに押し込むときに、当該切欠部11c~11eにまで処置具2を押し込んでいる指を到達させることができるので、孔11aに処置具2を確実に押し込むことができる。
【0038】
上記補助具1において、延在方向から見た操作部としての突起部12の外形は円形状である。この場合、補助具1の延在方向と交差する方向(径方向)におけるいずれの方向から使用者が補助具1を操作しても、ほぼ同様の当該補助具1の操作性を得ることができる。
【0039】
(実施の形態2)
<補助具の構成>
図9は、実施の形態2に係る補助具の斜視模式図である。図10は、図9に示した補助具の上面模式図である。図11は、図9に示した補助具の側面模式図である。図12は、図9に示した補助具の正面模式図である。
【0040】
図9図12に示した補助具1は、基本的には図1図8に示した補助具1と同様の構成を備えるが、突起部12の数が1つである点、および筒状部11に切欠部が形成されていない点が図1図8に示した補助具1と異なっている。具体的には、図9図12に示した補助具1では、筒状部11の側面11f上に1つの突起部12が形成されている。筒状部11の孔11aの延在方向に沿った断面において、突起部12はほぼ三角形状を有する。孔11aの延在方向に沿った断面において、上記側面11fに交差する方向に伸びる突起部12の表面は、筒状部11側に凸の曲線となっている。突起部12の最も側面11fから離れた頂部は、孔11aの延在方向において筒状部11のほぼ中央部に配置されている。
【0041】
補助具1の孔11aの延在方向に対して交差する方向(幅方向または径方向)側から孔11aに到達する溝が補助具1の全長に渡って形成されている。図12に示すように補助具1の延在方向側から見た当該溝の形状はV字状である。異なる観点から言えば、筒状部11には、孔11aの延在方向と交差する幅方向側に位置する側面11fから孔11aに到達する第1溝11bが、孔11aの全長に渡って形成されている。突起部12には、第1溝11bに連なり突起部12の幅方向における外周面まで到達する第2溝12eが形成される。上述した溝は第1溝11bと第2溝12eとにより構成される。
【0042】
筒状部11と突起部12とは一体として形成されていてもよいし、それぞれが別部材として準備され、筒状部11に突起部12を接続することで補助具1を構成してもよい。また、突起部12の形状は、図9図11に示した形状に限定されず、他の任意の形状であってもよい。
【0043】
<補助具の使用方法>
図13は、図9に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。図13に示すように、本実施の形態に係る補助具1については、複数の補助具1を処置具2に設置して用いることができる。なお、処置具2に補助具1を設置する時の方法は、基本的に図1図8に示した補助具1と同様であり、溝を介して処置具2を孔11aに圧入し固定する。
【0044】
図13に示すように2つ、あるいは3つ以上の補助具1を処置具2に設置することで、隣接する補助具1の間に使用者の指を配置する凹部を形成することができる。当該凹部に使用者の指を配置することで、使用者は補助具1を介して処置具2を操作可能に保持できる。
【0045】
<作用効果>
本開示に従った補助具1は、内視鏡の処置具挿通チャンネル3fに挿入される処置具2に取り付けられ、当該処置具2の操作を補助するための補助具1であって、固定部としての筒状部11と操作部としての突起部12とを備える。固定部としての筒状部11は処置具2に補助具1を固定する。操作部としての突起部12は筒状部11に接続され、処置具2の幅より広い幅を有する。筒状部11は、処置具2の延在方向に対して交差する方向から処置具2に補助具1を取り付け可能に構成されている。
【0046】
このようにすれば、図1図8に示した補助具1と同様に、処置具2の延在方向に対して交差する方向(径方向)から補助具1を処置具2に装着できる。また、補助具1自体の構造が複雑ではないため、当該補助具1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0047】
上記補助具1において、固定部としての筒状部11を構成する材料は可撓性を有する弾性体である。固定部は、処置具2が挿入される孔11aが形成された筒状部11である。筒状部11には、筒状部11の孔11aの延在方向と交差する幅方向側に位置する側面11fから孔11aに到達する第1溝11bが、孔11aの全長に渡って形成されている。操作部としての突起部12は、筒状部11の側面11fの少なくとも一部上に配置される。操作部としての突起部12には、第1溝11bに連なり突起部12の幅方向における外周面まで到達する第2溝12eが形成される。幅方向において、図10に示すように突起部12の幅W5は筒状部11の幅W1より大きい。
【0048】
この場合、図1図8に示した補助具1と同様に、第2溝12eおよび第1溝11bを介して処置具2を補助具1の筒状部11の孔11aにはめ込むことで、補助具1を処置具2に容易に固定できる。また、筒状部11を構成する材料が弾性体であるため、当該弾性体の弾性力により孔11aの内面が処置具2の表面に密着させて、補助具1を処置具2に固定できる。さらに、突起部12が筒状部11の幅W1より広い幅W5を有しているので、当該突起部12を使用者が操作することで、補助具1が装着された処置具2の位置や姿勢などを使用者が容易に操作できる。
【0049】
上記補助具1において、第1溝11bの最小幅W4は孔11aの直径Dより小さい。この場合、図1図8に示した補助具1と同様に、孔11aにはめ込まれた処置具2が第1溝11bを介して孔11aから外れることを抑制できる。延在方向から見た第1溝11bおよび第2溝12eの形状はV字状となっている。この場合、図1図8に示した補助具1と同様に、第1溝11bおよび第2溝12eからなるV字状の溝から孔11aへ処置具2を押し込むときに、処置具2を孔11aにむけて容易に案内することができる。
【0050】
上記補助具1において、延在方向から見た操作部としての突起部12の外形は円形状である。この場合、図1図8に示した補助具1と同様に、補助具1の延在方向と交差する方向(径方向)におけるいずれの方向から使用者が補助具1を操作しても、ほぼ同様の当該補助具1の操作性を得ることができる。
【0051】
(実施の形態3)
<補助具の構成>
図14は、実施の形態3に係る補助具の斜視模式図である。図15は、図14に示した補助具の上面模式図である。図16は、図14に示した補助具の側面模式図でる。図17は、図14に示した補助具を開放した状態を示す斜視模式図である。図18は、図14に示した補助具の第1~第3固定部の配置を説明するための模式図である。
【0052】
図14図18に示した補助具1は、実施の形態1および実施の形態2に示した補助具1と同様に処置具2(図19参照)に取り付けられ、処置具2の操作性を向上させるものである。補助具1は、第1固定部21aおよび第2固定部21bが配置された第1部分21と、第3固定部22aが配置された第2部分22と、第1部分21に接続された第1ループ部21cと、第2部分22に接続された第2ループ部22cとを主に備える。第1部分21、第2部分22、第1固定部21a、第2固定部21b、第3固定部22aにより固定部31が構成される。第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aは、処置具2に補助具1を着脱自在に固定する。第1部分21と第2部分22とは、回転軸28を介して接続されている。
【0053】
図19に示すように、第1ループ部21cおよび第2ループ部22cは処置具2の幅より広い幅を有する。
【0054】
第2部分22は、図14に示す第1部分21に近接した第1位置と、図17に示すように第1位置よりも第1部分21から離れた第2位置との間を移動できるように第1部分21と回転軸28を介して接続されている。具体的には、回転軸28を中心として第2部分22は第1部分21に対して回転移動できるようになっている。
【0055】
第1部分21において第2部分22に面する端面には凸部29aが形成されている。第2部分22において第1部分に面する端面には、上記凸部29aが嵌合する凹部29bが形成されている。第2部分22が第1位置に配置されるときに、凸部29aが凹部29bに嵌まることで、第1部分21に対する第2部分22の位置決めを正確に行うことができる。
【0056】
第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとの形状は任意の形状とすることができるが、たとえば第1部分21または第2部分22の表面から突出した柱状体とすることができる。図16に示すように、柱状体である第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとは、根元部27aと先端部27bと中間部27cとを含む。第1固定部21aと第2固定部21bの根元部27aは第1部分21の表面に接続される。第3固定部22aの根元部27aは第2部分22の表面に接続される。先端部27bは根元部27aとは反対側に位置する。中間部27cは根元部27aと先端部27bとの間に位置する。図16に示すように、第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとの延在方向に交差する幅方向において、中間部27cの幅W7は根元部27aの幅W6および先端部27bの幅W8より小さい。この場合、中間部27cが処置具2と接触する部分となる。なお、第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとの形状は、単純な円柱状または角柱状であってもよく、板状であってもよい。
【0057】
第1部分21において、処置具2に接触する第1固定部21aおよび第2固定部21bは第2部分22に面する端部に配置されている。第2固定部21bは、第1固定部21aから間隔を隔てて配置される。第2部分22において、処置具2に接触する第3固定部22aは第1部分21に面する端部に配置されている。第2部分22が第1部分21に接触した位置である第1位置に配置された状態で、第3固定部22aは第1固定部21aと第2固定部21bとの間に位置する。
【0058】
上記のように、第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aによって、処置具2を把持するために、第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aの配置は図18に示すような配置とすることが好ましい。すなわち、図15に示すように第2部分22が第1位置に配置された状態で、図18に示すように第1固定部21aと第2固定部21bとにおいて処置具2に接触するべき第2部分22側の中間部27cの表面25a、25bを結ぶ仮想直線23を考える。当該仮想直線23から第2部分22側に距離L2だけ離れた位置を基準位置24とする。なお、ここで距離L2はたとえば2mmとすることができる。当該距離L2は、処置具2の直径と同等以下とすることが好ましい。このとき、第3固定部22aにおいて処置具2に接触するべき第1部分21側の中間部27cの表面25cは基準位置24より第1部分21側に配置される。このようにすれば、第2部分22が第1位置に位置する場合に、処置具2を第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aにより把持できる。
【0059】
第1ループ部21cには、使用者の指を挿入するための第1開口部26aが形成されている。第2ループ部22cには、使用者の他の指を挿入するための第2開口部26bが形成されている。第1開口部26aおよび第2開口部26bの形状は円形状であるが、他の任意の形状としてもよい。たとえば、第1開口部26aおよび第2開口部26bの形状を四角形状などの多角形状としてもよい。
【0060】
また、上述した補助具1では、第1部分21と第2部分22とを回転軸28により接続しているが、第1部分21と第2部分22との接続構造は他の構成を用いてもよい。たとえば、第1部分21と第2部分22とが1つの基材に摺動可能に設置されていてもよいし、ばねまたはゴムなどの弾性体によって接続されていてもよい。
【0061】
<補助具の使用方法>
図19は、図14に示した補助具を処置具に装着した状態を示す模式図である。
【0062】
図14図18に示した補助具1を処置具2に固定する場合、以下のように補助具1を操作する。すなわち、第2部分22の一部が図17に示されたように第1部分21から離れた状態となる第2位置に配置された状態で、第1固定部21aおよび第2固定部21bと、第3固定部22aとの間に処置具2を配置する。その状態で、第2部分22を第1部分21に接触する第1位置に移動させる。この結果、処置具2の延在方向に対して交差する方向である側面方向から処置具2を第1固定部21aおよび第2固定部21bと第3固定部22aとの間で把持できる。このようにして、図19に示すように第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aによって、処置具2の延在方向に対して交差する方向から処置具2に補助具1を固定できる。
【0063】
また、第2部分22を第1位置から図17に示すような第2位置に移動させることにより、処置具2から補助具1を取り外すことができる。
【0064】
このような補助具1を用いることで、内視鏡3の操作部3aを支持する左手で処置具2の配置を調整できる。具体的には、操作部3aを支持する左手の指を当該補助具1の第1開口部26aおよび第2開口部26bに通し補助具1を操作することで、処置具2の一部を補助具1によって把持するとともに、実施の形態1または実施の形態2に係る補助具1を用いる場合と同様に、処置具2の位置を左手だけで調整できる。
【0065】
<作用効果>
本開示に従った補助具1は、内視鏡3の処置具挿通チャンネル3fに挿入される処置具2に取り付けられ、当該処置具2の操作を補助するための補助具1であって、固定部31としての第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aと、操作部としての第1ループ部21cおよび第2ループ部22cとを備える。第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aは、処置具2に補助具1を固定する。操作部としての第1ループ部21cおよび第2ループ部22cは固定部に接続される。第1ループ部21cおよび第2ループ部22cは処置具2の幅より広い幅を有する。第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aは、処置具2の延在方向に対して交差する方向から処置具2に補助具1を取り付け可能に構成されている。
【0066】
このようにすれば、処置具2の延在方向に対して交差する方向(径方向)から補助具1を処置具2に装着できるので、内視鏡3を用いた手術の準備工程などにおいて、処置具2に対する補助具1の着脱を容易に行うことができる。また、補助具1自体の構造が複雑ではないため、当該補助具1の製造コストが増大することを抑制できる。
【0067】
具体的には、上記補助具1において、固定部31は、第1部分21と第2部分22とを含む。第2部分22は第1部分21に接続されている。第2部分22は、図14に示す第1部分21に近接した第1位置と、図17に示すように第1位置よりも第1部分21から離れた第2位置との間を移動できるように第1部分21と接続されている。第1部分21は、処置具2に接触する第1固定部21aおよび第2固定部21bを含む。第2固定部21bは、第1固定部21aから間隔を隔てて配置される。第2部分22は、処置具2に接触する第3固定部22aを含む。第2部分22が第1位置に配置された状態で、第3固定部22aは第1固定部21aと第2固定部21bとの間に位置する。第2部分22が第1位置に配置された状態で、第1固定部21aと第2固定部21bとにおいて処置具2に接触するべき第2部分22側の表面25a、25bを結ぶ仮想直線23から第2部分22側に距離L2=2mm離れた位置を基準位置24としたときに、第3固定部22aにおいて処置具2に接触するべき第1部分21側の表面25cは基準位置24より第1部分21側に配置されている。操作部は、第1ループ部21cと第2ループ部22cとを含む。第1ループ部21cは、第1部分21に接続され、使用者の指を挿入するための第1開口部26aが形成された部分である。第2ループ部22cは、第2部分22に接続され、使用者の他の指を挿入するための第2開口部26bが形成された部分である。
【0068】
この場合、第1部分21に対して第2部分22が第2位置から第1位置に移動するときに、第1固定部21aと第2固定部21bとが処置具2の一方の側面側から、第3固定あた、部22aが処置具2の他方の側面側から処置具2に接触することで、処置具2を第1固定部21a、第2固定部21bおよび第3固定部22aによって把持することができる。また、第1ループ部21cおよび第2ループ部22cに使用者の指を入れて補助具1を操作することで、上述した動作を行うことができる。
【0069】
上記補助具1において、第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとは、第1部分21または第2部分22の表面から突出した柱状体である。柱状体は、根元部27aと先端部27bと中間部27cとを含む。根元部27aは第1部分21または第2部分22の表面に接続される。先端部27bは根元部27aとは反対側に位置する。中間部27cは根元部27aと先端部27bとの間に位置する。柱状体の延在方向に交差する幅方向において、中間部27cの幅W7は根元部27aの幅W6および先端部27bの幅W8より小さい。
【0070】
この場合、第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとにより処置具2を挟むときに、処置具2の位置が柱状体の高さ方向において多少ずれていても、処置具2を挟む動作によって処置具2の位置が柱状体の表面に沿って中間部27cに案内される。このため、第1固定部21aと第2固定部21bと第3固定部22aとのほぼ同じ高さの位置である中間部27cによって処置具2を支持できる。
【0071】
上記補助具1において、第1部分21と第2部分22とは、回転軸28を介して接続されている。この場合、回転軸28を中心として、第1部分21に対し第2部分22を回転移動させることができる。
【0072】
(実施の形態4)
<補助具の構成>
図20は、実施の形態4に係る補助具の斜視模式図である。図21は、図20に示した補助具の側面模式図である。図22は、図20に示した補助具の上面模式図である。図23は、図20に示した補助具の延在方向から見た正面模式図である。図24は、図20に示した補助具の構造を説明するための模式図である。
【0073】
図20図24に示した補助具は、基本的には図1図8に示した補助具1と同様の構成を備えるが、筒状部11において孔11aの延在方向に沿って補助孔41が形成されている点、および当該補助孔41に軟質金属などからなる形状保持用部材が挿入されている点が、図1図8に示した補助具1と異なっている。具体的には、図24に示すように、補助具1では、孔11aと間隔を隔てて補助孔41が形成されている。補助孔41の内部には、たとえば軟質金属からなる線状の形状保持用部材42が挿入されている。形状保持用部材42としては、アルミニウム線、軟鉄線、銅線、樹脂線など、補助具1の使用者が容易に変形できるように可撓性を有する部材が用いられる。
【0074】
形状保持用部材42の剛性は、補助具1の筒状部11および突起部12を構成する材料の剛性より高いことが好ましい。このようにすれば、形状保持用部材42が補助孔41内に配置された状態で、補助具1を図20図24に示すように屈曲させた場合、形状保持用部材42が屈曲した状態を維持するため、補助具1全体の形状を屈曲した状態に維持することができる。
【0075】
補助孔41は図24に示すように補助具1の全長に渡って形成されていてもよいが、補助具1の延在方向における一部のみに補助孔41を形成してもよい。この場合、補助孔41の内部に形状保持用部材42を配置し、当該補助孔41が形成された部分(形状保持用部材42が配置された部分)だけを屈曲させてもよい。
【0076】
補助孔41の位置は、補助具1において任意の位置に形成できるが、たとえば図20に示すように孔11aから見て第2溝12eが形成された側と反対側の領域に補助孔41を形成してもよい。また、補助孔41の径は任意の値に設定できる。
【0077】
<補助具の使用方法>
図20図24に示した補助具1の使用方法は、基本的に図1図8に示した補助具1の使用方法と同様である。さらに、図20図24に示した補助具1では、処置具2を保持した補助具1を使用者が屈曲させることで、補助具1から伸びる処置具2の延在方向を使用者が調整できる。そのため、図8に示す内視鏡3の処置具挿通チャンネル3fに処置具2を挿入した状態での、補助具1の操作性を向上させることができる。
【0078】
<作用効果>
本開示に従った補助具1には、補助孔41が形成されている。補助孔41は孔11aに沿って形成されている。補助孔41の内部には形状保持用部材42が配置されていてもよい。この場合、補助具1を任意の角度に屈曲させた状態を維持できるので、補助具1の操作性を向上させることができる。
【0079】
上述した各実施の形態に係る補助具1は、たとえば内視鏡的粘膜切除術および内視鏡的粘膜下層剥離術などに適用してもよい。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0081】
1 補助具、2 処置具、3 内視鏡、3a 操作部、3b 吸引ボタン、3c 気送水ボタン、3d,3e アングルノブ、3f 処置具挿通チャンネル、4 左手、4a 人差し指、4b 中指、4c 薬指、11 筒状部、11a 孔、11b 第1溝、11c,11d,11e 切欠部、11f 側面、12 突起部、12a 第1突起部、12b 第2突起部、12c 第3突起部、12d 第4突起部、12e 第2溝、13,14,16 矢印、15a,15b,15c,15d,15e,15f,25a,25c 表面、21 第1部分、21a 第1固定部、21b 第2固定部、21c 第1ループ部、22 第2部分、22a 第3固定部、22c 第2ループ部、23 仮想直線、24 基準位置、26a 第1開口部、26b 第2開口部、27a 根元部、27b 先端部、27c 中間部、28 回転軸、29a 凸部、29b 凹部、31 固定部、41 補助孔、42 形状保持用部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24