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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】切削装置及び切削ブレードの装着方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20231106BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231106BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20231106BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B24B27/06 M
H01L21/78 F
B24B45/00 B
B24B45/00 A
B24B49/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020025387
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130147
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071334(JP,A)
【文献】特開昭62-008032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
H01L 21/301
B24B 45/00
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットと、該スピンドルに該切削ブレードを着脱するブレード着脱ユニットと、該スピンドルの回転バランスを調整する回転バランス調整部を含み各構成要素を制御する制御ユニットと、を備え、
該回転バランス調整部は、
該スピンドルの回転方向の角度を検出するスピンドル角度検出部と、該スピンドルの振動を測定する振動センサと、を備える回転バランス測定ユニットと、
該回転バランス測定ユニットの測定結果から、該スピンドルの回転バランスが調整される該切削ブレードの該スピンドルに対する装着角度を算出する装着角度算出部と、を備え、
該制御ユニットは、
該回転バランス調整部の測定結果に基づいて、該ブレード着脱ユニットで該切削ブレードを該スピンドルに対し所定の角度で装着する切削装置。
【請求項2】
請求項1に記載の切削装置を用いた切削ブレードの装着方法であって、
該スピンドルに対し、該ブレード着脱ユニットで該切削ブレードを所定の角度で装着する第1装着ステップと、
該第1装着ステップ実施後、該スピンドルを回転させ、該回転バランス測定ユニットで該切削ブレードを装着した該スピンドルの回転バランスを測定する第1測定ステップと、
該第1測定ステップ実施後、該スピンドルに対して該切削ブレードを所定角度ずらした該スピンドルに再度装着する第2装着ステップと、
該第2装着ステップ実施後、該スピンドルを回転させ、該回転バランス測定ユニットで該切削ブレードを再度装着した該スピンドルの回転バランスを測定する第2測定ステップと、
該第2測定ステップ実施後、該装着角度算出部によって算出した角度に基づき、該切削ブレードを該スピンドルに再度装着する第3装着ステップと、を備える切削ブレードの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置及び切削ブレードの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスが形成された、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイアなどの板状物、樹脂パッケージ基板やガラス、セラミックスなどの基板を個々のデバイスチップに分割したり、微細な溝を形成したりするためにスピンドルに切削ブレードを装着して被加工物を切削する切削装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-041938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に示された切削装置は、スピンドルの先端にマウントを介して環状の切削ブレードを装着する。環状の切削ブレードは、僅かながらも重量にアンバランスがあり、固体毎にアンバランス量は異なる。切削装置において、この重量の切削ブレードの重量のアンバランスが、スピンドルの回転の不釣り合い(振動)を発生させる場合がある。
【0005】
前述した切削装置は、精密な溝幅を形成したい場合やチッピングを極力抑えたい場合、
スピンドルの回転の不釣り合いをバランス調整用の測定器や錘を用いて修正する必要がある。しかし、これらの測定器をスピンドルやマウントに対してセットするには、オペレータへの訓練や作業工数がかかり、製品コストの増大を招いてしまう。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スピンドルの回転の不釣り合いを容易に抑制することができる切削装置及び切削ブレードの装着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードが装着されるスピンドルを有する切削ユニットと、該スピンドルに該切削ブレードを着脱するブレード着脱ユニットと、該スピンドルの回転バランスを調整する回転バランス調整部を含み各構成要素を制御する制御ユニットと、を備え、該回転バランス調整部は、該スピンドルの回転方向の角度を検出するスピンドル角度検出部と、該スピンドルの振動を測定する振動センサと、を備える回転バランス測定ユニットと、該回転バランス測定ユニットの測定結果から、該スピンドルの回転バランスが調整される該切削ブレードの該スピンドルに対する装着角度を算出する装着角度算出部と、を備え、該制御ユニットは、該回転バランス調整部の測定結果に基づいて、該ブレード着脱ユニットで該切削ブレードを該スピンドルに対し所定の角度で装着することを特徴とする。
【0008】
本発明の切削ブレードの装着方法は、前記切削装置を用いた切削ブレードの装着方法であって、該スピンドルに対し、該ブレード着脱ユニットで該切削ブレードを所定の角度で装着する第1装着ステップと、該第1装着ステップ実施後、該スピンドルを回転させ、該回転バランス測定ユニットで該切削ブレードを装着した該スピンドルの回転バランスを測定する第1測定ステップと、該第1測定ステップ実施後、該スピンドルに対して該切削ブレードを所定角度ずらした該スピンドルに再度装着する第2装着ステップと、該第2装着ステップ実施後、該スピンドルを回転させ、該回転バランス測定ユニットで該切削ブレードを再度装着した該スピンドルの回転バランスを測定する第2測定ステップと、該第2測定ステップ実施後、該装着角度算出部によって算出した角度に基づき、該切削ブレードを該スピンドルに再度装着する第3装着ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、スピンドルの回転の不釣り合いを容易に抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された切削装置の切削ユニットの斜視図である。
図3図3は、図1に示された切削装置のブレード交換ユニットの構成例を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示されたブレード交換ユニットのブレードストッカーの構成例を示す斜視図である。
図5図5は、図3に示されたブレード交換ユニットのブレード着脱ユニットの構成例を示す斜視図である。
図6図6は、図1に示された切削装置の切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。
図7図7は、図1に示された切削装置の回転バランス調整部のスピンドル角度検出部が検出するスピンドルの回転方向の角度を示す図である。
図8図8は、実施形態1に係る切削ブレードの装着方法の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードと切削ユニットのスピンドルとを対面させた状態を模式的に示す側面図である。
図10図10は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが切削ブレードをスピンドルに装着した状態を模式的に示す側面図である。
図11図11は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。
図12図12は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードをスピンドルから取り外した状態を模式的に示す側面図である。
図13図13は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2装着ステップに相当する装着ステップにおいてスピンドルを所定角度回転した状態を模式的に示す側面図である。
図14図14は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。
図15図15は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第3装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードと切削ユニットのスピンドルとを対面させた状態を模式的に示す側面図である。
図16図16は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第3測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された切削装置の切削ユニットの斜視図である。図3は、図1に示された切削装置のブレード交換ユニットの構成例を示す斜視図である。図4は、図3に示されたブレード交換ユニットのブレードストッカーの構成例を示す斜視図である。図5は、図3に示されたブレード交換ユニットのブレード着脱ユニットの構成例を示す斜視図である。図6は、図1に示された切削装置の切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。図7は、図1に示された切削装置の回転バランス調整部のスピンドル角度検出部が検出するスピンドルの回転方向の角度を示す図である。
【0013】
(切削装置)
実施形態1に係る切削装置1は、図1に示す被加工物200を切削加工する加工装置である。実施形態1では、被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、表面201に格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。
【0014】
また、本発明の被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウエーハでもよく、ウエーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス基板、フェライト基板、又はニッケル及び鉄の少なくとも一方を含む基板等でも良い。実施形態1において、被加工物200は、裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着された粘着テープ206に貼着されて、環状フレーム205に支持されている。
【0015】
図1に示された切削装置1は、被加工物200をチャックテーブル10で保持し分割予定ライン202に沿って切削ブレード21を用いて切削加工(加工に相当)する加工装置である。切削装置1は、図1に示すように、被加工物200を保持面11で吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削ブレード21で切削する切削ユニット20と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮像する撮像ユニット30と、ブレード交換ユニット7と、制御ユニット100とを備える。
【0016】
また、切削装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的に移動させる移動ユニット40を備える。移動ユニット40は、チャックテーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りするX軸移動ユニット41と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りするY軸移動ユニット42と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りするZ軸移動ユニット43と、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット44とを備える。切削装置1は、図1に示すように、切削ユニット20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0017】
チャックテーブル10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル10は、X軸移動ユニット41により切削ユニット20の下方の加工領域63と、切削ユニット20の下方から離間して被加工物200が搬入出される搬入出領域64とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニット44によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、チャックテーブル10は、粘着テープ206を介して被加工物200の裏面204側を吸引、保持する。また、チャックテーブル10の周囲には、図1に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
【0018】
切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ブレード21が着脱自在に装着されるスピンドル23を有する切削手段である。切削ユニット20は、それぞれ、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニット42によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット43によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0019】
切削ユニット20は、それぞれ、Y軸移動ユニット42、Z軸移動ユニット43などを介して、装置本体2から立設した門型の支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43により、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0020】
切削ユニット20は、図2に示すように、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられかつスピンドルモータ28により軸心回りに回転されるスピンドル23と、スピンドル23の先端に固定されたマウント24とを含む。また、切削ユニット20は、ワッシャ25内及びマウント24の中央に設けられた貫通孔241を通ってスピンドル23の先端面に設けられたねじ孔231と螺合してマウント24をスピンドル23の先端に固定する固定ねじ26と、マウント24に装着される切削ブレード21をマウント24との間で挟んで固定するナット27とを備える。
【0021】
マウント24は、スピンドル23の先端に固定される。マウント24は、Y軸方向に延在する円筒状のボス部242と、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの一端部(軸方向後端に相当する)に設けられた受けフランジ部243とを備えている。ボス部242は、Y軸方向に延在し、外径が全長に亘って切削ブレード21の装着穴211の内径と略等しく形成されている。なお、ボス部242の外径が切削ブレード21の装着穴211の内径と略等しいとは、ボス部242の外周面と装着穴211の内周面とが少なくとも複数個所で互いに接触することが可能な程度に外径と内径とが等しいことを示している。
【0022】
受けフランジ部243は、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの軸方向後端から径方向に沿って外周方向に突出してボス部242の外径よりの大径な円環状に形成されている。受けフランジ部243は、切削ブレード21を外縁部244で支持する。ボス部242と受けフランジ部243とは、同軸に配置されている。また、マウント24は、ボス部242の他端部の外周に雄ネジ245が形成されている。
【0023】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、いわゆるハブブレードであり、中央に装着穴211を有する円環状の円形基台212と、円形基台212の外周縁に配設される被加工物200を切削する円環状の切り刃213を備える。円形基台212の装着穴211は、ボス部242の一端部を内側に通して、マウント24に切削ブレード21を装着するための孔である。切り刃213は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃213のみで構成されたワッシャーブレードでもよい。
【0024】
このように構成された切削ブレード21は、円形基台212の装着穴211がマウント24の円筒状のボス部242の外周に嵌合される。切削ブレード21は、ナット27を円筒状のボス部242に形成された雄ネジ245に螺合することにより、マウント24の受けフランジ部243とナット27とによって挟持固定される。なお、ナット27は、図2に示すように、端面に4つのピン嵌合穴271を周方向に等間隔に設けている。
【0025】
なお、切削ユニット20のスピンドル23、マウント24、切削ブレード21及びナット27は、互いに同軸となる位置に配置されている。切削ユニット20のスピンドル23、マウント24、切削ブレード21及びナット27の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0026】
撮像ユニット30は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。撮像ユニット30は、チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット30は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
【0027】
X軸移動ユニット41は、チャックテーブル10を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。Y軸移動ユニット42は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニット43は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。
【0028】
X軸移動ユニット41、Y軸移動ユニット42及びZ軸移動ユニット43は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0029】
また、切削装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、チャックテーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1では、切削装置1の各構成要素のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない位置を基準とした位置で定められる。
【0030】
また、切削装置1は、切削前後の被加工物200を収容するカセット51が載置されかつカセット51をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ50と、切削後の被加工物200を洗浄する洗浄ユニット60と、カセット51に被加工物200を出し入れするとともに被加工物200を搬送する搬送ユニット61とを備える。
【0031】
制御ユニット100は、切削装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものでもある。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。
【0032】
制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと、報知ユニットとに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニットは、音と光の少なくとも一方を発して、オペレータに報知するものである。
【0033】
(ブレード交換ユニット)
ブレード交換ユニット7は、着脱位置に位置付けられた切削ユニット20のスピンドル23の先端に固定されたマウント24のボス部242に切削ブレード21を着脱して、交換するものである。なお、着脱位置とは、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置が予め定められた位置であり、各切削ユニット20がブレード交換ユニット7により切削ブレード21が着脱される際に位置付けられる位置である。また、実施形態1では、ブレード交換ユニット7は、マウント24のボス部242に装着する切削ブレード21を交換する。
【0034】
ブレード交換ユニット7は、図1に示すように、支持フレーム3の図1中の背面側でかつ加工領域63よりも搬入出領域64から離れた位置に設置されている。ブレード交換ユニット7は、図3に示すように、交換前後の切削ブレード21を収容するブレードストッカー70と、切削ユニット20のスピンドル23に切削ブレード21を着脱するとともにブレードストッカー70と切削ユニット20との間で切削ブレード21を搬送するブレード着脱ユニット80とを備える。
【0035】
実施形態1では、ブレードストッカー70は、切削ユニット20と1対1で対応して設けられている。即ち、実施形態1では、ブレード交換ユニット7は、ブレードストッカー70を一対備えている。
【0036】
また、実施形態1では、一方のブレードストッカー70は、一方の切削ユニット20のスピンドル23の交換前後の切削ブレード21を複数保持し、他方のブレードストッカー70は、他方の切削ユニット20のスピンドル23の交換前後の切削ブレード21を複数保持する。このように、各ブレードストッカー70は、複数の切削ブレード21を収容する。
【0037】
なお、各ブレードストッカー70が収容する切削ブレード21は、未使用のものの他、既使用であるが寿命に達しておらず使用可能なもの、同種類および/または異種類のものを含む。
【0038】
次に、本明細書は、ブレード交換ユニット7の各構成要素を説明する。
【0039】
(ブレードストッカー)
ブレードストッカー70は、対応する切削ユニット20に装着される前の交換用の切削ブレード21を保持するとともに、対応する切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を保持するものである。なお、本明細書は、一対のブレードストッカー70のうちこれらの構成が等しいので、図3中奥側のブレードストッカー70を代表して説明し、一対のブレードストッカー70の同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
ブレードストッカー70は、図4に示すように、装置本体2に配設された支柱71と、支柱71の上端に回転軸72を介して取り付けられた支持部材73とを備える。支持部材73は、対応するブレード着脱ユニット80とY軸方向に対向して配置され、対応するブレード着脱ユニット80に対向する表面側に複数(実施形態1では、4つ)のブレード保持部74が同心円状に配設されており、対応する切削ユニット20に着脱される切削ブレード21を複数個(実施形態1では、4つ)保持可能である。
【0041】
ブレード保持部74は、切削ブレード21を保持するものである。ブレード保持部74は、切削ブレード21の円形基台212の装着穴211内に通される円筒状のブレード嵌合部741と、このブレード嵌合部741の外周面に設けられかつ装着穴211内にブレード嵌合部741が通された切削ブレード21を位置決めする位置決め部742とを備える。位置決め部742は、ブレード嵌合部741の外周面から突没自在に設けられたボールと、ボールを径方向外側に押圧するスプリングとを含み、ボールに作用する径方向内側の力が所定の値になるまでボールが装着穴211の内縁に嵌合して位置決め機能が働く。
【0042】
このように構成されたブレードストッカー70は、ブレード保持部74に切り刃213を重ね、装着穴211内にブレード嵌合部741が通されて、ブレード嵌合部741が装着穴211の内縁に嵌合して、切削ブレード21を保持する。具体的には、ブレード保持部74は、ブレード嵌合部741が装着穴211内に通される際に、位置決め部742のボールが一旦ブレード嵌合部741内に没し、切削ブレード21の円形基台212が乗り越えた後に復帰した位置決め部742のボールが装着穴211の内縁に嵌合して、切削ブレード21を保持する。また、実施形態1では、ブレード嵌合部741の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0043】
支持部材73を支柱71の上端に取り付けている回転軸72は、一端が支柱71の上端に配設され、他端が支持部材73の裏面中央に連結されている。そして、回転軸72の一端側は、支柱71の内部に配設されたモータ75の駆動軸に連結されており、支持部材73は、回転軸72を中心とした間欠的な回転が可能に構成されている。実施形態1では、支持部材73は、90度毎に間欠的に回転可能に構成されている。そして、支持部材73は、回転軸72の間欠的な回転によって各ブレード保持部74をその移動経路上の予め設定された所定の受け渡し位置744に選択的に位置付ける。受け渡し位置744に位置付けられたブレード保持部74の軸心のZ軸方向の高さは、着脱位置に位置付けられた切削ユニット20の軸心のZ軸方向の高さと等しい。
【0044】
(ブレード着脱ユニット)
ブレード着脱ユニット80は、図5に示すように、ユニット本体81と、ユニット本体81をX軸方向に移動させる移動ユニット82と、一対のブレード交換機構90と、一対のナットホルダ110と、図示しない着脱移動機構を備えている。
【0045】
移動ユニット82は、図3に示すように、ユニット本体81に設けられたナット811と螺合するとともにX軸方向に延在したねじ軸821と、ねじ軸821を軸心回りに回転することでユニット本体81をX軸方向に移動させる図示しないモータとを備える。ねじ軸821は、装置本体2等に固定された固定板812に軸心回りに回転自在に支持されている。モータは、固定板812に取り付けられている。
【0046】
ブレード交換機構90とナットホルダ110とは、1対1で対応しており、ブレードストッカー70及び切削ユニット20と1対1で対応している。ブレード交換機構90は、対応する切削ユニット20のスピンドル23の先端に固定されたマウント24に切削ブレード21を着脱するものである。
【0047】
また、実施形態1では、ブレード交換機構90は、対応するブレードストッカー70に保持された交換用の切削ブレード21を保持し、対応する切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を保持する。また、ブレード交換機構90は、保持した交換用の切削ブレード21を対応する切削ユニット20に装着し、対応する切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を対応するブレードストッカー70に保持させる。
【0048】
各ブレード交換機構90は、図3及び図5に示すように、直線状に延びた回動アーム91と、回動アーム91の両端部に設けられた一対のブレードチャック92とを備える。
【0049】
回動アーム91は、直線状に延在したアーム状に形成されている。回動アーム91は、長手方向の中央がY軸方向と平行な軸心回りに着脱移動機構により間欠的に回転されるとともに、Y軸方向に着脱移動機構によりスライド移動される。実施形態1では、回動アーム91は、長手方向がX軸方向と平行になるように、着脱移動機構により180度毎に間欠的に回転される。
【0050】
ブレードチャック92は、回動アーム91の長手方向の両端部に配置されている。ブレードチャック92は、厚手の円板状のチャック本体921と、チャック本体921の外周面に支持され、切削ブレード21の円形基台212の外周面を把持する複数(実施形態1では、4個)の把持部材922と、チャック本体921内に設けられかつ複数の把持部材922をチャック本体921の径方向に移動させる図示しない作動機構とを備える。
【0051】
把持部材922は、直線状に延在したアーム状に形成され、先端に切削ブレード21の円形基台212の外周面に嵌合して、切削ブレード21を把持する。把持部材922は、長手方向がY軸方向と平行に配置され、チャック本体921の周方向に等間隔に配置されている。作動機構は、複数の把持部材922を連動して径方向の内側に移動させるとともに、外側に移動させる。即ち、複数の把持部材922は、作動機構により同時にチャック本体921の径方向の内側に移動する、又は、径方向の外側に移動する。
【0052】
各ブレードチャック92の軸心は、Y軸方向と平行である。各ブレードチャック92は、複数の把持部材922をチャック本体921の径方向の内側に移動させて、把持爪923で円形基台212の外周面を嵌合して、切削ブレード21を保持する。各ブレードチャック92は、複数の把持部材922をチャック本体921の径方向の外側に移動させて、把持爪923での円形基台212の外周面の把持を解除して、切削ブレード21の保持を解除する。
【0053】
各ブレードチャック92の軸心のZ軸方向の高さは、受け渡し位置744に位置付けられたブレード保持部74の軸心のZ軸方向の高さ、及び着脱位置に位置付けられた切削ユニット20の軸心のZ軸方向の高さと等しい。
【0054】
ナットホルダ110は、対応する切削ユニット20のナット27をスピンドル23から着脱する。ナットホルダ110は、ユニット本体81上に設置され、対応するブレード交換機構90とX軸方向に並ぶ位置に配置されている。
【0055】
ナットホルダ110は、対応する切削ユニット20のスピンドル23と対向する円筒状の円筒部111と、円筒部111内に設けられた円柱状のホルダ本体112と、ホルダ本体112の外周面に支持され、ナット27の外周面を把持する複数(実施形態1では、4個)の把持部材113と、ホルダ本体112の対応する切削ユニット20のスピンドル23と対向する端面に設けられた複数の嵌合ピン114と、ホルダ本体112内に設けられかつ複数の把持部材113をホルダ本体112の径方向に移動させる図示しない作動機構と、を備える。
【0056】
円筒部111とホルダ本体112は、ユニット本体81に対して、Y軸方向に着脱移動機構によりスライド移動される。円筒部111とホルダ本体112とは、着脱移動機構により軸心回りに回転される。円筒部111とホルダ本体112の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0057】
把持部材113は、直線状に延在したアーム状に形成され、先端でナット27の外周面を把持する。把持部材113は、長手方向がY軸方向と平行に配置され、ホルダ本体112の周方向に等間隔に配置されている。作動機構は、複数の把持部材113を連動して径方向の内側に移動させるとともに、外側に移動させる。即ち、複数の把持部材113は、作動機構により同時にホルダ本体の径方向の内側に移動する、又は、径方向の外側に移動する。
【0058】
嵌合ピン114は、端面から突没自在にホルダ本体112に支持され、実施形態1では、端面に周方向に等間隔に4つ設けられている。嵌合ピン114は、端面から突出するとナット27のピン嵌合穴271に嵌合可能である。
【0059】
ナットホルダ110は、複数の把持部材113をホルダ本体112の径方向の内側に移動させて、先端でナット27の外周面を把持するとともに、円筒部111とホルダ本体112とが着脱移動機構によりナット27が雄ネジ245から外れる方向に回転される。すると、ナットホルダ110は、嵌合ピン114がピン嵌合穴271に嵌合して、ナット27を雄ネジ245から外れる方向に回転する。ナットホルダ110は、ナット27を把持部材113で把持した状態で、着脱移動機構により切削ユニット20から離れる方向に移動されて、ナット27をスピンドル23から取り外す。
【0060】
ナットホルダ110は、把持部材113でナット27の外周面を把持した状態で、着脱移動機構により切削ユニット20に近付く方向に移動しながら、円筒部111とホルダ本体112とがナット27が雄ネジ245に螺合する方向に回転して、ナット27をスピンドル23に固定する。ナットホルダ110は、複数の把持部材113をホルダ本体112の径方向の外側に移動させて、先端でのナット27の外周面の把持を解除して、ナット27の保持を解除する。
【0061】
各ナットホルダ110の軸心のZ軸方向の高さは、着脱位置に位置付けられた切削ユニット20の軸心のZ軸方向の高さと等しい。
【0062】
着脱移動機構は、回動アーム91を軸心回りに180度毎間欠的に回転し、回動アーム91をユニット本体81に対してY軸方向にスライド移動させるとともに、ナットホルダ110の円筒部111及びホルダ本体112をユニット本体81に対してY軸方向にスライド移動される。また、着脱移動機構は、ナットホルダ110のホルダ本体112を軸心回りに回転する。
【0063】
また、切削装置1は、図6に示す回転バランス調整部120を備える。切削ユニット20は、スピンドル23とマウント24とを合わせた質量のアンバランスが生じて、スピンドル23とマウント24とを合わせたものの重心がスピンドル23の軸心から離れてしまうことがあり、切削ブレード21自体の質量のアンバランスが生じて、切削ブレード21の重心が切削ブレード21の軸心から離れることがある。このように、切削ユニット20は、質量のアンバランスが生じて、重心が軸心から離れると、スピンドルモータ28がスピンドル23を軸心回りに回転する際にスピンドル23の軸心に交差する方向に振動するという、スピンドル23の回転の不釣り合いが生じることがある。
【0064】
回転バランス調整部120は、スピンドル23の回転バランスを調整して、スピンドル23の振動を抑制するものである。なお、スピンドル23の回転バランスを調整するとは、スピンドル23とマウント24とを合わせた質量のアンバランスが生じてスピンドル23とマウント24とを合わせたものの重心がスピンドル23の軸心から離れたり、切削ブレード21自体の質量のアンバランスが生じて切削ブレード21の重心が切削ブレード21の軸心から離れても、スピンドル23とマウント24と切削ブレード21を合わせたものの重心のスピンドル23の軸心からの距離を抑制して、スピンドルモータ28がスピンドル23を軸心回りに回転する際のスピンドル23の軸心に交差する方向の振動を抑制することをいう。
【0065】
回転バランス調整部120は、図6に示すように、スピンドル角度検出部131と振動センサ132とを備える回転バランス測定ユニット130と、制御ユニット100が備える装着角度算出部101とを備える。このために、制御ユニット100は、回転バランス調整部120の一部を含む。
【0066】
スピンドル角度検出部131は、スピンドル23の回転方向である軸心回りの角度を検出するものである。実施形態1では、スピンドル角度検出部131は、スピンドル23の予め定められた基準位置の軸心回りの向きをスピンドル23の角度として検出する。実施形態1では、スピンドル角度検出部131は、基準位置が図7中の最上方の位置に位置する時のスピンドル23の角度を0°と検出し、基準位置が0°となる位置から軸心回りの一方向である時計回りに回転するのにしたがってスピンドル23の角度を0°から順に大きな角度と検出して、スピンドル23の軸心回りの角度を検出する。スピンドル角度検出部131は、基準位置が図7中の最右側に位置する時のスピンドル23の角度を90°と検出し、基準位置が図7中の最下方に位置する時のスピンドル23の角度を180°と検出し、基準位置が図7中の最左側に位置する時のスピンドル23の角度を270°と検出する。こうして、実施形態1では、基準位置の軸心回りの向きをスピンドル23の角度とする。
【0067】
振動センサ132は、スピンドル23の軸心に交差する方向の振動を測定するセンサである。実施形態1において、振動センサ132は、スピンドルハウジング22の外表面に取り付けられて、スピンドル23が生じスピンドルハウジング22に伝達した振動を測定することで、スピンドル23の振動を測定し、測定結果を制御ユニット100に出力する。実施形態1では、スピンドル23の軸心に交差する方向の振動の振幅と、スピンドルハウジング22の軸心に交差する方向の振動の振幅とは比例する。実施形態1において、振動センサ132が制御ユニット100に出力する測定結果は、測定した振動の振幅が大きくなるにしたがって電圧値が高くなる。実施形態1では、振動センサ132が測定する振動の振幅と、振動センサ132が制御ユニット100に出力する測定結果の電圧値とは比例する。
【0068】
装着角度算出部101は、回転バランス測定ユニット130のスピンドル角度検出部131と振動センサ132との測定結果からスピンドル23の回転バランスが調整される、即ちスピンドル23の回転中のスピンドルハウジング22の振動の振幅が最小となる切削ブレード21のスピンドル23に対する装着角度を算出するものである。なお、切削ブレード21のスピンドル23に対する装着角度とは、スピンドル23の回転中のスピンドルハウジング22の振動の振幅を最小とする、ブレードチャック92に保持された交換用の切削ブレード21をマウント24に装着する際のスピンドル23の角度をいう。
【0069】
また、制御ユニット100は、ブレード着脱ユニット制御部102を備える。ブレード着脱ユニット制御部102は、ブレード交換ユニット7の各構成要素をそれぞれ制御して、切削ブレード21の交換動作をブレード交換ユニット7に実施させるものでもある。なお、装着角度算出部101、及びブレード着脱ユニット制御部102の機能は、制御ユニット100の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理装置が演算処理を実施することにより実現される。
【0070】
(切削装置の加工動作)
切削装置1は、オペレータが、加工内容情報を制御ユニット100に登録し、切削加工前の被加工物200をカセット51に収容して、カセット51をカセットエレベータ50の上面に設置し、ブレード交換ユニット7の各ブレードストッカー70のブレード保持部74に切削ブレード21を取り付ける。その後、切削装置1は、オペレータから加工動作の開始指示があった場合に加工動作を開始する。切削装置1は、加工動作を開始すると、搬送ユニット61がカセット51内から被加工物200を搬入出領域64のチャックテーブル10に搬送し、粘着テープ206を介して裏面204側をチャックテーブル10の保持面11に吸引保持するとともに、クランプ部12で環状フレーム205をクランプする。
【0071】
加工動作では、切削装置1は、X軸移動ユニット41がチャックテーブル10を加工領域63に向かって移動して、撮像ユニット30が被加工物200を撮像して、撮像ユニット30が撮像して得た画像に基づいて、アライメントを遂行する。切削装置1は、分割予定ライン202に沿って被加工物200と切削ユニット20とを相対的に移動させながら、切削ブレード21を各分割予定ライン202に切り込ませて被加工物200を個々のデバイス203に分割する。切削装置1は、個々のデバイス203に分割された被加工物200を搬送ユニット61がチャックテーブル10から洗浄ユニット60に搬送し、洗浄ユニット60が被加工物200を洗浄する。
【0072】
切削装置1は、搬送ユニット61が切削加工後で洗浄後の被加工物200を洗浄ユニット60からカセット51まで搬送し、カセット51内に収容する。切削装置1は、切削ユニット20等がカセット51内に収容した被加工物200を順に切削して、カセット51内の全ての被加工物200の切削加工が完了すると加工動作を終了する。
【0073】
(切削ブレードの装着方法)
次に、実施形態1に係る切削ブレードの装着方法を説明する。図8は、実施形態1に係る切削ブレードの装着方法の流れを示すフローチャートである。図9は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードと切削ユニットのスピンドルとを対面させた状態を模式的に示す側面図である。図10は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが切削ブレードをスピンドルに装着した状態を模式的に示す側面図である。図11は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第1測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。図12は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2装着ステップに相当する装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードをスピンドルから取り外した状態を模式的に示す側面図である。図13は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2装着ステップに相当する装着ステップにおいてスピンドルを所定角度回転した状態を模式的に示す側面図である。図14は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第2測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。図15は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第3装着ステップにおいてブレード着脱ユニットが保持した切削ブレードと切削ユニットのスピンドルとを対面させた状態を模式的に示す側面図である。図16は、図8に示された切削ブレードの装着方法の第3測定ステップに相当する測定ステップの切削ユニットとブレード着脱ユニット等を模式的に示す側面図である。
【0074】
実施形態1に係る切削ブレードの装着方法は、切削装置1を用いた切削ブレード21の装着方法である。制御ユニット100が、切削装置1の加工動作中に、少なくとも一方の切削ユニット20の切削ブレード21がブレード交換タイミングであると判定すると切削ブレードの装着方法を実施する。ブレード交換タイミングは、各切削ユニット20の切削ブレード21を交換するタイミングであることをいう。ブレード交換タイミングは、例えば、予め設定された数の被加工物200を切削する毎や、測定された切削ブレード21の外径が事前に設定した数値を下回ったとき等であり、加工内容情報の一部として制御ユニット100に登録される。また、本発明のブレード交換タイミングは、まさに1枚の被加工物200を加工している途中でも良く、複数の被加工物200を連続して加工する際に、被加工物200を交換するタイミングでも良い。
【0075】
切削ブレードの装着方法は、切削ユニット20のスピンドル23からナット27を取り外し、切削ブレード21をマウント24から取り外し、ブレードストッカー70に保持された切削ブレード21をスピンドル23に取り付け、ナット27をスピンドル23に取り付ける動作である。即ち、切削ブレードの装着方法は、ブレードストッカー70に保持された切削ブレード21と、切削ユニット20に装着された切削ブレード21とを交換する動作である。
【0076】
切削ブレードの装着方法では、制御ユニット100の装着角度算出部101が、ブレード交換タイミングの切削ユニット20のスピンドル23の回転を停止し、ブレード交換タイミングの切削ユニット20を着脱位置に位置付ける。切削ブレードの装着方法では、制御ユニット100のブレード着脱ユニット制御部102が、ブレード交換タイミングの切削ユニット20に装着すべき切削ブレード21を保持したブレード保持部74を受け渡し位置744に位置付ける。切削ブレードの装着方法では、ブレード着脱ユニット制御部102が、ブレード着脱ユニット80のブレード交換タイミングの切削ユニット20に対応したブレード交換機構90の一方のブレードチャック92をブレードストッカー70の受け渡し位置744のブレード保持部74とY軸方向に対向させる。
【0077】
ブレード着脱ユニット制御部102が、一方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の外側に移動した後、一方のブレードチャック92を受け渡し位置744のブレード保持部74にY軸方向に沿って近付けて、一方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の内側に移動して、一方のブレードチャック92が交換用の切削ブレード21を保持する。ブレード着脱ユニット制御部102が、一方のブレードチャック92を受け渡し位置744のブレード保持部74からY軸方向に沿って遠ざけて、ブレード保持部74から切削ブレード21を取り外す。
【0078】
ブレード着脱ユニット制御部102が、ブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、ブレード交換タイミングの切削ユニット20に対応したナットホルダ110を着脱位置の切削ユニット20とY軸方向に対向させる。ブレード着脱ユニット制御部102が、ナットホルダ110の複数の把持部材113を径方向の外側に移動した後、ナットホルダ110を着脱位置の切削ユニット20にY軸方向に沿って近付けて、複数の把持部材113を径方向の内側に移動して、把持部材113でナット27の外周面を把持する。ブレード着脱ユニット制御部102が、着脱移動機構でナットホルダ110のホルダ本体112を雄ネジ245からナット27が外れる方向に回転するとともに、ナットホルダ110を着脱位置の切削ユニット20のスピンドル23からY軸方向に沿って遠ざけて、ブレード交換タイミングの切削ユニット20のスピンドル23からナット27を取り外す。
【0079】
ブレード着脱ユニット制御部102が、ブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、ブレード交換タイミングの切削ユニット20に対応したブレード交換機構90の他方のブレードチャック92を着脱位置の切削ユニット20とY軸方向に対向させる。ブレード着脱ユニット制御部102が、他方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の外側に移動した後、他方のブレードチャック92を着脱位置の切削ユニット20にY軸方向に沿って近付けて、他方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の内側に移動して、他方のブレードチャック92が切削ユニット20に装着されている切削ブレード21を保持する。ブレード着脱ユニット制御部102が、他方のブレードチャック92を着脱位置の切削ユニット20からY軸方向に沿って遠ざけて、ブレード交換タイミングの切削ユニット20から切削ブレード21を取り外す。
【0080】
装着角度算出部101が、変数nをn=1として(図8に示すステップST1)、角度算出ステップST2に進む。角度算出ステップST2は、図8に示された切削ブレードの装着方法の装着ステップST3において、切削ブレード21を装着するスピンドル23の角度θを算出するステップである。なお、角度θは、特許請求の範囲に記載された所定の角度である。
【0081】
装着角度算出ステップST7では、装着角度算出部101が、所定角度をθ0として以下の式1を用いて切削ブレード21を装着するスピンドル23の角度θを算出する。
【0082】
θ=(n-1)×θ0・・・式1
【0083】
なお、所定角度θ0は、切削ブレードの装着方法において、装着ステップST3を複数回繰り返す際に、前後する装着ステップST3間のスピンドル23の角度の差を示す角度である。所定角度θ0は、360°よりも十分に小さい角度であることが望ましく、実施形態では、5°であるが、本発明では、装着ステップST3を複数(望ましくは3回以上)繰り返す角度であれば、5°に限定されない。
【0084】
装着角度算出部101は、装着ステップST3において切削ブレード21を装着するスピンドル23の角度θを算出すると、装着ステップST3に進む。なお、実施形態1では、装着角度算出部101は、最初の装着ステップST3において切削ブレード21を装着するスピンドル23の角度θを0°と算出している。
【0085】
装着ステップST3は、スピンドル23に対し、ブレード着脱ユニット80で切削ブレード21を角度算出ステップST2において算出した角度θで装着するステップである。装着ステップST3では、ブレード着脱ユニット制御部102がブレード交換機構90の回動アーム91を180度回転して、交換用の切削ブレード21を保持した一方のブレードチャック92を、図9に示すように、着脱位置の切削ブレード21が取り外された切削ユニット20のスピンドル23とY軸方向に対向させる。
【0086】
装着ステップST3では、装着角度算出部101が、スピンドル角度検出部131の検出結果に基づいてスピンドルモータ28を制御して、スピンドル23の角度が直前の角度算出ステップST2において算出した角度θになる向きにスピンドル23を位置付ける。なお、実施形態1において、最初の装着ステップST3では、装着角度算出部101が、スピンドル23を0°となる向きに位置付ける。
【0087】
装着ステップST3では、装着角度算出部101がスピンドル23の回転を停止した状態で、ブレード着脱ユニット制御部102が一方のブレードチャック92を着脱位置の切削ユニット20のスピンドル23にY軸方向に沿って近付けて、交換用の切削ブレード21の装着穴211内にスピンドル23に固定されたマウント24のボス部242を通して、図10に示すように、交換用の切削ブレード21の円形基台212をマウント24の受けフランジ部243に密に接触させる。
【0088】
装着ステップST3では、ブレード着脱ユニット制御部102が一方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の外側に移動して、一方のブレードチャック92と着脱位置の切削ユニット20とをY軸方向に沿って相対的に遠ざけて、ブレード交換タイミングの切削ユニット20に交換用の切削ブレード21を取り付ける。
【0089】
装着ステップST3では、ブレード着脱ユニット制御部102がブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、ナット27を保持したナットホルダ110を着脱位置の切削ユニット20とY軸方向に対向させる。ブレード着脱ユニット制御部102が、ナットホルダ110の着脱位置の切削ユニット20のスピンドル23にY軸方向に沿って近付けて、着脱移動機構でナットホルダ110のホルダ本体112を雄ネジ245にナット27が螺合する方向に回転して、ブレード交換タイミングの切削ユニット20のスピンドル23にナット27を取り付けて、切削ブレード21をスピンドル23の先端に固定する。ブレード着脱ユニット制御部102がナットホルダ110の複数の把持部材113を径方向の外側に移動した後、ナットホルダ110を着脱位置の切削ユニット20からY軸方向に沿って遠ざけて、測定ステップST4に進む。なお、最初の装着ステップST3は、特許請求の範囲に記載された第1装着ステップに相当する。
【0090】
測定ステップST4は、装着ステップST3実施後、スピンドル23を回転させ、回転バランス測定ユニット130で切削ブレード21を装着したスピンドル23の回転バランスである振動を測定するステップである。測定ステップST4では、装着角度算出部101が、図11に示すように、スピンドルモータ28でスピンドル23を所定時間、所定の回転数で軸心回りに回転し、振動センサ132の測定結果からスピンドルハウジング22の振動の振幅を直前の角度算出ステップST2において算出したスピンドル23の角度θと1対1で対応付けて記憶する。なお、最初の測定ステップST4は、特許請求の範囲に記載された第1測定ステップに相当する。
【0091】
測定ステップST4において、装着角度算出部101が、振動の振幅とスピンドル23の角度とを1対1で対応付けて記憶すると、スピンドル角度検出部131の検出結果に基づいてスピンドルモータ28を制御して、スピンドル23の角度θが0°になる向きにスピンドル23を位置付けて、スピンドル23の回転を停止する。その後、装着角度算出部101がスピンドル23の回転を停止した状態で、ブレード着脱ユニット制御部102が、ブレード着脱ユニット80を制御して、ナットホルダ110にナット27を取り外させ、図12に示すように、一方のブレードチャック92に切削ユニット20のスピンドル23に取り付けられたマウント24から交換用の切削ブレード21を取り外させる。
【0092】
その後、装着角度算出部101が、振動の測定が終了したか否かを判定する(ステップST5)。実施形態1では、装着角度算出部101が、直前の角度算出ステップST2で算出した角度θが360°未満であるか否かを判定し、360°未満であると、振動の測定が終了していないと判定する(ステップST5:No)。ステップST5において、装着角度算出部101が、振動の測定が終了していないと判定すると、装着角度算出部101が、変数nをn+1として(ステップST6)、角度算出ステップST2に戻る。
【0093】
戻った角度算出ステップST2では、装着角度算出部101が、前述した式1を用いて、スピンドル23の角度θを算出し、戻った装着ステップST3では、装着角度算出部101が、スピンドル角度検出部131の検出結果に基づいてスピンドルモータ28を制御して、図13に示すように、スピンドル23の角度θが直前の角度算出ステップST2において算出した角度θになる向きにスピンドル23を回転して、スピンドル23を直前の角度算出ステップST2において算出した角度θになる向きに位置付ける。戻った装着ステップST3では、装着角度算出部101がスピンドル23の回転を停止した状態で、ブレード着脱ユニット制御部102がブレード着脱ユニット80を制御して、交換用の切削ブレード21とナット27とを順に切削ユニット20のスピンドル23に取り付けて、測定ステップST4に進む。
【0094】
こうして、2回目以降の装着ステップST3は、測定ステップST4実施後、スピンドル23に対して相対的に切削ブレード21を直前の装着ステップST3に対して所定角度θ0ずらしたスピンドル23に再度装着することとなる。2回目以降の装着ステップST3は、特許請求の範囲に記載された第2装着ステップに相当する。
【0095】
2回目以降の測定ステップST4では、装着角度算出部101が、図14に示すように、スピンドルモータ28でスピンドル23を所定時間、所定の回転数で軸心回りに回転し、振動センサ132の測定結果からスピンドルハウジング22の振動の振幅を直前の角度算出ステップST2において算出したスピンドル23の角度θと1対1で付けて記憶する。2回目以降の測定ステップST4では、装着角度算出部101が、振動の振幅とスピンドル23の角度とを1対1で対応付けて記憶すると、最初の測定ステップST4と同様に、切削ユニット20のスピンドル23から交換用の切削ブレード21を取り外す。なお、2回目以降の測定ステップST4は、装着ステップST3実施後、スピンドル23を回転させ、回転バランス測定ユニット130で切削ユニット20を再度装着したスピンドル23の回転バランスであるスピンドルハウジング22の振動を測定することとなる。こうして、2回目以降の測定ステップST4は、特許請求の範囲に記載された第2測定ステップに相当する。
【0096】
実施形態1では、装着角度算出部101が、直前の角度算出ステップST2で算出した角度θが360°以上であると、振動の測定が終了したと判定して(ステップST5:Yes)、装着角度算出ステップST7に進む。こうして、実施形態1では、装着角度算出部101が、直前の角度算出ステップST2で算出した角度θが360°以上となるまで、即ち、角度θが所定角度θ0おきに0°から360°となる角度にスピンドル23を順に位置付けて、スピンドル23即ちスピンドルハウジング22の振動の振幅を測定する。
【0097】
装着角度算出ステップST7は、装着角度算出部101が回転バランス調整部120の測定結果からスピンドル23の回転バランスが調整される、即ち、スピンドルハウジング22の振動の振幅が最小となる、所定の角度で切削ブレード21をスピンドル23に装着するステップである。装着角度算出ステップST7では、装着角度算出部101が、複数回繰り返した測定ステップST4において対応付けて記憶した角度θと振動の振幅とから振動の振幅が最小となる角度θを装着角度(所定の角度にも相当)として抽出して、第3装着ステップST8に進む。こうして、装着角度算出ステップST7では、装着角度算出部101が、回転バランス測定ユニット130のスピンドル角度検出部131と振動センサ132の測定結果から、スピンドル23の回転バランスが調整される、即ち、スピンドルハウジング22の振動の振幅が最小となる、切削ブレード21のスピンドル23に対する装着角度を算出する。
【0098】
第3装着ステップST8は、全ての測定ステップST4実施後、装着角度算出部101によって算出した装着角度に基づき、切削ブレード21をスピンドル23に再度装着するステップである。第3装着ステップST8では、装着角度算出部101が、スピンドル角度検出部131の検出結果に基づいてスピンドルモータ28を制御して、図15に示すように、スピンドル23の角度θが装着角度算出ステップST7において算出した装着角度になる向きにスピンドル23を回転して、スピンドル23を装着角度になる向きに位置付ける。第3装着ステップST8では、装着角度算出部101がスピンドル23の回転を停止した状態で、ブレード着脱ユニット制御部102がブレード着脱ユニット80を制御して、交換用の切削ブレード21とナット27とを順に切削ユニット20のスピンドル23に取り付けて、第3測定ステップST9に進む。こうして、第3装着ステップST8では、装着角度算出部101及びブレード着脱ユニット制御部102即ち制御ユニット100は、回転バランス調整部120の測定結果に基づいて、ブレード着脱ユニット80で切削ブレード21をスピンドル23に対して装着角度で装着する。
【0099】
第3測定ステップST9は、第3装着ステップST8において切削ブレード21が装着されたスピンドル23を回転して、スピンドル23の振動の振幅が測定するステップである。実施形態1において、第3測定ステップST9では、装着角度算出部101が、図16に示すように、スピンドルモータ28でスピンドル23を所定時間、所定の回転数で軸心回りに回転し、振動センサ132の測定結果からスピンドルハウジング22の振動の振幅を記憶する。また、実施形態1において、第3測定ステップST9では、装着角度算出部101が、スピンドルハウジング22の振動の振幅が加工内容情報に含まれる予め定められた許容値以下であるか否かを判定する。
【0100】
実施形態1において、第3測定ステップST9では、装着角度算出部101が、スピンドルハウジング22の振動の振幅が許容値を超えていると判定すると、切削装置1の動作を停止し、報知ユニットを動作させてオペレータに報知して、切削ブレードの装着方法を終了する。
【0101】
実施形態1において、第3測定ステップST9では、装着角度算出部101が、スピンドルハウジング22の振動の振幅が許容値以下であると判定すると、制御ユニット100が、切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21をブレードストッカー70に保持させる。交換後の切削ブレード21をブレードストッカー70に保持させる際には、制御ユニット100が、ブレード着脱ユニット80をX軸方向に移動して、切削ユニット20から取り外された交換後の切削ブレード21を保持した他方のブレードチャック92をブレードストッカー70の受け渡し位置744のブレード保持部74とY軸方向に対向させる。
【0102】
制御ユニット100は、他方のブレードチャック92を受け渡し位置744のブレード保持部74にY軸方向に沿って近付けて、ブレード保持部74に交換後の切削ブレード21を保持した後、他方のブレードチャック92の複数の把持部材922を径方向の外側に移動する。制御ユニット100は、他方のブレードチャック92を受け渡し位置744のブレード保持部74からY軸方向に沿って遠ざけて、切削ブレードの装着方法を終了する。こうして、実施形態1に係る切削ブレードの装着方法は、第1装着ステップ及び第2装着ステップである装着ステップST3と、第1測定ステップ及び第2測定ステップである測定ステップST4と、第3装着ステップST8とを備える。
【0103】
以上説明したように、実施形態1に係る切削装置1及び切削ブレードの装着方法は、切削装置1自体に回転バランスの不釣り合いであるスピンドル23の回転中の振動を測定する回転バランス調整部120を備え、制御ユニット100が回転バランス調整部120の測定結果に基づいて、回転バランスが調整される即ち振動を最小とする装着角度を算出する装着角度算出部101を備えている。また、実施形態1に係る切削装置1及び切削ブレードの装着方法は、制御ユニット100が、ブレード着脱ユニット80で切削ブレード21をスピンドル23に対して装着角度で装着する。切削ブレード21を適切な角度でスピンドル23に装着してスピンドル23の回転の不釣り合いを抑制出来るという効果を奏する。その結果、実施形態1に係る切削装置及び切削ブレードの装着方法は、スピンドル23の回転の不釣り合い即ち回転時の振動を容易に抑制することができるという効果を奏する。
【0104】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、実施形態1では、スピンドル23の角度を変更して、装着ステップST3及び測定ステップST4を複数(望ましくは3回以上)繰り返して、スピンドルハウジング22の振動を最小とする角度を装着角度としている。しかしながら、本発明では、スピンドル23の角度を変更して、装着ステップST3及び測定ステップST4を複数(望ましくは3回以上)繰り返して得た回転バランス調整部120の測定結果からスピンドルハウジング22の振動を最小とする装着角度を推定しても良い。
【0105】
また、本発明では、装着ステップST3と測定ステップST4を繰り返す際に、測定ステップST4において測定した振幅が許容値以下になった場合、次の角度の装着ステップST3に進むことなく、振幅の測定を終了するとともに切削ブレードの装着方法を完了しても良い。
【符号の説明】
【0106】
1 切削装置
10 チャックテーブル
20 切削ユニット
21 切削ブレード
23 スピンドル
80 ブレード着脱ユニット
100 制御ユニット
101 装着角度算出部
120 回転バランス調整部
130 回転バランス測定ユニット
131 スピンドル角度検出部
132 振動センサ
200 被加工物
ST3 装着ステップ(第1装着ステップ、第2装着ステップ)
ST4 測定ステップ(第1測定ステップ、第2測定ステップ)
ST8 第3装着ステップ
図1
図2
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