(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】部品交換方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231106BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20231106BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231106BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
H01L21/302 101M
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2020032567
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂山 和基
(72)【発明者】
【氏名】永関 一也
(72)【発明者】
【氏名】松田 俊也
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098540(JP,A)
【文献】特開2003-224169(JP,A)
【文献】特開2018-010992(JP,A)
【文献】特開2012-216614(JP,A)
【文献】特開平11-186363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
H01L 21/3065
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理装置と、前記処理装置に設けられる消耗部品を運搬する部品運搬装置と、前記処理装置および前記部品運搬装置を制御する制御装置とを備える処理システムにおける部品交換方法であって、
前記制御装置が、
前記処理装置の消耗部品の交換時期を推定する第1の推定工程と、
前記交換時期よりも前の期間において前記処理装置による前記基板の処理が最後に終了した後のタイミングを前記消耗部品の交換可能タイミングとして特定する特定工程と、
前記部品運搬装置が前記消耗部品の交換が必要な前記処理装置の位置まで移動するのに要する第1の移動時間を推定する第2の推定工程と、
前記消耗部品の交換が必要な前記処理装置の位置に移動した前記部品運搬装置が前記消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する第1の準備時間を推定する第3の推定工程と、
前記第1の移動時間および前記第1の準備時間の合計の時間分、前記交換可能タイミングから遡ったタイミングより前のタイミングで交換指示を前記部品運搬装置へ送信することにより、前記部品運搬装置に前記消耗部品の交換を指示する送信工程と
を実行する部品交換方法。
【請求項2】
前記部品運搬装置は、
使用前の消耗部品および使用後の消耗部品を収容する部品収容部と、
前記処理装置に接続される開口部と前記開口部を開閉する開閉弁とを有し、前記部品収容部を収容する第1の容器と、
前記処理装置から前記開口部を介して前記使用後の消耗部品を搬出して前記部品収容部内に収容し、前記使用前の消耗部品を前記部品収容部から取り出して前記開口部を介して前記処理装置内に搬入するロボットアームと、
動力源を有し、前記部品運搬装置を移動させる移動機構と、
前記制御装置と無線通信を行う通信部と、
制御部と
を備え、
前記制御部が、
前記制御装置から前記交換指示が送信された場合に、前記移動機構を制御して、前記消耗部品の交換が必要な前記処理装置の位置への前記部品運搬装置の移動を開始する開始工程と、
前記消耗部品の交換が必要な前記処理装置の位置に移動した後に前記消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備を行う準備工程と、
前記交換可能タイミングにおいて、前記開閉弁を開き、前記処理装置から前記開口部を介して前記使用後の消耗部品を搬出して前記部品収容部内に収容する収容工程と、
前記使用前の消耗部品を前記部品収容部から取り出して前記開口部を介して前記処理装置内に搬入する搬入工程と、
前記開閉弁を閉じる閉塞工程と
を実行する請求項1に記載の部品交換方法。
【請求項3】
前記部品運搬装置は、前記第1の容器内の圧力を制御する第1の圧力制御部を有し、
前記処理装置は、前記処理装置内の処理空間を画成する第2の容器内の圧力を制御する第2の圧力制御部を有し、
前記制御装置は、前記交換可能タイミングにおいて、前記第1の容器内の圧力よりも前記第2の容器内の圧力が高くなるように前記部品運搬装置および前記処理装置を制御する請求項2に記載の部品交換方法。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の容器内の圧力と前記第2の容器内の圧力との圧力差が10[Pa]以上10
4[Pa]以下の範囲内の圧力差となるように前記部品運搬装置および前記処理装置を制御する請求項3に記載の部品交換方法。
【請求項5】
前記制御装置は、
RF電力を用いて前記処理装置において行われる処理の積算時間であるRF積算時間、RF電力を用いて前記処理装置において行われる処理時間と電力の乗算値であるRF積算電力、前記消耗部品の消耗が特に多い特定の処理レシピの積算時間であるレシピ積算時間、前記消耗部品の重量の変化、および前記消耗部品の寸法の変化の少なくともいずれかに基づいて前記交換時期を推定する請求項1から4のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【請求項6】
前記消耗部品には、第1の交換周期において交換される第1の消耗部品と、前記第1の交換周期よりも長い第2の交換周期において交換される第2の消耗部品とが含まれ、
前記制御装置は、
前記第1の消耗部品の交換時期と前記第2の消耗部品の交換時期との間の時間差が、前記第1の交換周期よりも短い場合、前記第1の消耗部品の交換時期に基づく前記交換指示において、前記第2の消耗部品の交換も併せて指示する請求項1から5のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記第1の消耗部品および前記第2の消耗部品のうち、前記処理装置内に設けられている位置が高い方を先に交換するように前記部品運搬装置に指示を出す請求項6に記載の部品交換方法。
【請求項8】
前記処理システムは、複数の前記部品運搬装置を備え、
前記制御装置は、
前記消耗部品の交換が必要な前記処理装置に最も近い位置の前記部品運搬装置に前記交換指示を送信する請求項1から7のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【請求項9】
前記処理システムは、
第1の処理装置と、
第2の処理装置と、
前記第1の処理装置および前記第2の処理装置のそれぞれに接続された搬送室と
を備え、
前記制御装置は、
前記第1の処理装置の位置から前記第2の処理装置の位置まで前記部品運搬装置が移動するのに要する第2の移動時間と、前記第2の処理装置の位置に移動した前記部品運搬装置が前記第2の処理装置内の前記消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する第2の準備時間との合計の時間が、前記第1の処理装置および前記搬送室を介して前記第2の処理装置内の前記消耗部品を交換する場合の交換時間よりも長い場合、前記第1の処理装置および前記搬送室を介して前記第2の処理装置内の前記消耗部品を交換するように前記部品運搬装置に指示する請求項1から8のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記第2の移動時間と前記第2の準備時間との合計の時間が、前記交換時間よりも長い場合、前記第1の処理装置内の前記消耗部品よりも先に、前記第2の処理装置内の前記消耗部品を交換するように前記部品運搬装置に指示する請求項9に記載の部品交換方法。
【請求項11】
前記制御装置は、
使用後の前記消耗部品が前記処理装置内から搬出される前に、使用後の前記消耗部品をクリーニングするように前記処理装置を制御する請求項1から10のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【請求項12】
前記制御装置は、
使用後の前記消耗部品が取り付けられていたベース部材から離れるように使用後の前記消耗部品を移動させた後に、使用後の前記消耗部品をクリーニングするように前記処理装置を制御する請求項11に記載の部品交換方法。
【請求項13】
前記制御装置は、
使用後の前記消耗部品が前記処理装置内から搬出されてから、使用前の前記消耗部品が前記処理装置内に搬入されるまでの間に、使用後の前記消耗部品が配置されていた前記処理装置内の領域をクリーニングするように前記処理装置を制御する請求項1から12のいずれか一項に記載の部品交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の側面および実施形態は、部品交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する処理装置の内部には、基板の処理が行われるに従い消耗する消耗部品がある。このような消耗部品は、消耗量が予め定められた消耗量よりも大きくなった場合に、使用前の消耗部品と交換される。消耗部品の交換では、処理装置における基板の処理が停止され、処理装置の容器が大気解放される。そして、人手で使用後の消耗部品が取り出され、使用前の消耗部品が取り付けられる。そして、再び容器が閉じられ、容器内が真空引きされ、基板の処理が再開される。
【0003】
このように、消耗部品の交換では、処理装置の内部を大気解放されるため、消耗部品の交換後の処理装置内の真空引きが必要になり、処理の停止時間が長くなってしまう。また、消耗部品の中には、大型の部品も存在するため、人手による交換に時間がかかる場合がある。
【0004】
これを回避するために、使用前の消耗部品と、消耗部品を交換するための交換ハンドラとを有する交換ステーションが知られている(例えば下記特許文献1参照)。このような交換ステーションでは、処理装置と交換ステーションとが接続され、交換ステーション内が真空引きされた後に処理装置と交換ステーションとの間の遮断弁が開かれる。そして、交換ステーション内の交換ハンドラによって処理装置内から使用後の消耗部品が取り出され、交換ステーション内に搭載された使用前の消耗部品と交換される。これにより、処理装置の内部を大気解放することなく消耗部品の交換が可能となり、処理の停止時間を短縮することができる。また、消耗部品の交換が人手ではなく交換ハンドラによって行われるため、消耗部品の交換を短時間で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、消耗部品の交換に伴う処理装置の停止期間を短くすることができる部品交換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、基板を処理する処理装置と、処理装置に設けられる消耗部品を運搬する部品運搬装置と、処理装置および部品運搬装置を制御する制御装置とを備える処理システムにおける部品交換方法であって、制御装置が、第1の推定工程と、特定工程と、第2の推定工程と、第3の推定工程と、送信工程とを実行する。第1の推定工程では、処理装置の消耗部品の交換時期が推定される。特定工程では、交換時期よりも前の期間において処理装置による基板の処理が最後に終了した後のタイミングが消耗部品の交換可能タイミングとして特定される。第2の推定工程では、部品運搬装置が消耗部品の交換が必要な処理装置の位置まで移動するのに要する第1の移動時間が推定される。第3の推定工程では、消耗部品の交換が必要な処理装置の位置に移動した部品運搬装置が消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する第1の準備時間が推定される。送信工程では、第1の移動時間および第1の準備時間の合計の時間分、交換可能タイミングから遡ったタイミングより前のタイミングで交換指示が部品運搬装置へ送信されることにより、部品運搬装置に消耗部品の交換が指示される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の種々の側面および実施形態によれば、消耗部品の交換に伴う処理装置の停止期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態における処理システムの一例を示すシステム構成図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における処理装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、下部電極の上面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、エッジリングの下面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、凹部の開口部の形状の一例を示す拡大図である。
【
図6】
図6は、凹部および凸部の形状の一例を示す拡大断面図である。
【
図7】
図7は、凹部および凸部の形状の他の例を示す拡大断面図である。
【
図8】
図8は、凹部および凸部の形状の他の例を示す拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態における部品運搬装置の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、カセットが取り出される様子の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態における処理装置と部品運搬装置との接続部分の一例を示す拡大断面図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態における処理装置と部品運搬装置との接続部分の一例を示す拡大断面図である。
【
図15】
図15は、エッジリングの交換タイミングの一例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、消耗部品の交換対象の処理装置の位置へ部品運搬装置を移動させる際の制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、消耗部品の交換対象の処理装置とその処理装置に接続される部品運搬装置とを制御する際の制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、部品運搬装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、第2の実施形態における処理装置の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態における部品運搬装置の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態における処理装置と部品運搬装置との接続部分の一例を示す拡大断面図である。
【
図22】
図22は、第3の実施形態における消耗部品の交換タイミングの一例を説明するための図である。
【
図23】
図23は、第4の実施形態におけるエッジリングの交換方法の一例を説明するための図である。
【
図24】
図24は、第5の実施形態における部品運搬装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、部品交換方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示される部品交換方法が限定されるものではない。
【0011】
ところで、消耗部品の交換時期になっても、処理装置内で基板の処理が行われている場合には、処理の終了まで待たされることになる。消耗部品の交換時期の後に処理が終了した場合には、消耗部品が交換時期よりも後に交換されることになってしまう。一方、処理装置の処理が終了してから消耗部品の交換を行うために消耗部品を処理装置の近くまで運ぶ場合、実際に消耗部品の交換が可能になるまで時間がかかるため、処理装置の停止期間が長くなってしまう。
【0012】
そこで、本開示は、消耗部品の交換に伴う処理装置の停止期間を短くすることができる技術を提供する。
【0013】
(第1の実施形態)
[処理システム10の構成]
図1は、本開示の一実施形態における処理システム10の一例を示すシステム構成図である。一実施形態において、処理システム10は、制御装置20と、複数の処理グループ30と、複数の部品運搬装置50とを備える。制御装置20は、それぞれの処理グループ30およびそれぞれの部品運搬装置50と通信し、それぞれの処理グループ30およびそれぞれの部品運搬装置50を制御する。
【0014】
それぞれの処理グループ30は、真空搬送室31と、複数の処理装置40-1~40-6と、複数のロードロック室32と、大気搬送室33と有する。なお、以下では、複数の処理装置40-1~40-6のそれぞれを区別することなく総称する場合に処理装置40と記載する。
【0015】
真空搬送室31には、複数の処理装置40および複数のロードロック室32が接続されている。本実施形態において、真空搬送室31には6台の処理装置40が接続されているが、真空搬送室31には5台以下の処理装置40が接続されていてもよく、7台以上の処理装置40が接続されていてもよい。また、本実施形態において、真空搬送室31には2台のロードロック室32が接続されているが、真空搬送室31には1台のロードロック室32が接続されていてもよく、3台以上のロードロック室32が接続されていてもよい。
【0016】
それぞれの処理装置40は、基板に対して、例えば低圧環境下でエッチングや成膜等の処理を施す。それぞれの処理装置40内には、基板に対する処理に応じて消耗する消耗部品が設けられている。それぞれの処理装置40と真空搬送室31とはゲートバルブ400によって仕切られている。また、それぞれの処理装置40には、使用後の消耗部品の搬出および使用前の消耗部品の搬入を行うためのゲートバルブ401が設けられている。それぞれの処理装置40は、製造工程の中で同一の工程を実行する装置であってもよく、異なる工程を実行する装置であってもよい。
【0017】
それぞれのロードロック室32は、ゲートバルブ320および321を有し、内部の圧力を、予め定められた真空度の圧力から大気圧に、または、大気圧から予め定められた真空度の圧力に切り替える。ロードロック室32と真空搬送室31とはゲートバルブ320によって仕切られている。また、ロードロック室32と大気搬送室33とはゲートバルブ321によって仕切られている。
【0018】
真空搬送室31内には、ロボットアーム310が配置されている。真空搬送室31内は、予め定められた真空度に保たれている。本実施形態において、ロボットアーム310は、予め定められた真空度に減圧されたロードロック室32内から処理前の基板を取り出して、いずれかの処理装置40内に搬送する。また、ロボットアーム310は、処理後の基板を処理装置40から取り出して、他の処理装置40またはロードロック室32内に搬送する。
【0019】
ロードロック室32には、大気搬送室33が接続されている。大気搬送室33内には、ロボットアーム330が設けられている。また、大気搬送室33には、処理前または処理後の基板を複数収容可能な容器(例えば、FOUP:Front Opening Unified Pod)が接続される複数のロードポート331が設けられている。ロボットアーム330は、ロードポート331に接続された容器から処理前の基板を取り出してロードロック室32内に搬送する。また、ロボットアーム330は、ロードロック室32から処理後の基板を取り出してロードポート331に接続された容器内に搬送する。なお、大気搬送室33には、ロードポート331に接続された容器から取り出された基板の向きを調整するアライメントユニットが設けられていてもよい。
【0020】
それぞれの部品運搬装置50は、内部に使用前の消耗部品とロボットアームとを有しており、制御装置20からの指示に応じて、交換が必要な消耗部品を有する処理装置40の位置まで移動する。そして、部品運搬装置50は、交換が必要な消耗部品を有する処理装置40と、ゲートバルブ401を介して接続する。そして、部品運搬装置50内が真空排気された後、ゲートバルブ401が開かれ、ロボットアームによって使用後の消耗部品と使用前の消耗部品とが交換される。
【0021】
[処理装置40の構成]
図2は、第1の実施形態における処理装置40の一例を示す図である。本実施形態において、処理装置40は、チャンバ41、ガス供給部44、RF(Radio Frequency)電力供給部45、および排気システム46を備える。
【0022】
チャンバ41は、支持部42および上部電極シャワーヘッドアセンブリ43を有する。支持部42は、チャンバ41内の処理空間41sの下部領域に配置されている。上部電極シャワーヘッドアセンブリ43は、支持部42の上方に配置されており、チャンバ41の天板の一部として機能し得る。
【0023】
支持部42は、処理空間41sにおいて基板Wを支持するように構成されている。本実施形態において、支持部42は、下部電極421および静電チャック422を含む。下部電極421は、ベース部材の一例である。静電チャック422は、下部電極421上に配置されており、静電チャック422の上面で基板Wを支持するように構成されている。下部電極421の周縁部上面には、エッジリング423が設けられている。エッジリング423は、下部電極421の周縁部上面において静電チャック422および基板Wを囲むように配置されている。静電チャック422の上面は、載置面の一例である。支持部42は、載置台の一例である。エッジリング423は、消耗部品の一例である。
【0024】
チャンバ41の底部、下部電極421、および静電チャック422には、リフトピン47を通過させるための貫通孔が形成されている。リフトピン47は、基板Wの搬入時および搬出時に駆動部470によって昇降される。これにより、チャンバ41内に搬入された基板Wをロボットアーム310から受け取って静電チャック422上に載置することができ、処理後の基板Wをロボットアーム310に渡してチャンバ41内から搬出することができる。
【0025】
また、チャンバ41の底部および下部電極421には、リフトピン48を通過させるための貫通孔が形成されている。リフトピン48は、エッジリング423の交換時に駆動部480によって昇降される。これにより、使用後のエッジリング423を部品運搬装置50のロボットアームに渡してチャンバ41内から搬出することができ、使用前のエッジリング423を部品運搬装置50のロボットアームから受け取って下部電極421上に載置することができる。
【0026】
図3は、下部電極421の上面の一例を示す図である。下部電極421の上面(静電チャック422が配置される側の面)の領域4210には、リフトピン47が通過する複数の貫通孔4211が設けられ、静電チャック422が配置される。領域4210の周囲の領域4212には、リフトピン48が通過する複数の貫通孔4213と、エッジリング423の位置決めに用いられる複数の凸部4214が設けられ、エッジリング423が配置される。本実施形態において、複数の凸部4214は、静電チャック422上に載置された基板Wの中心軸Xを中心とする円周上に配置されている。
【0027】
図4は、エッジリング423の下面の一例を示す図である。エッジリング423の下面(下部電極421と接する側の面)には、複数の凹部4230が設けられている。本実施形態において、複数の凹部4230は、静電チャック422上に載置された基板Wの中心軸Xを中心とする円周上に配置されている。本実施形態において、凹部4230は、エッジリング423の下面に3つ形成されている。なお、凹部4230は、エッジリング423の下面に複数形成されていれば、2つ形成されていても、4つ以上形成されていてもよい。
【0028】
図5は、凹部4230の開口部の形状の一例を示す拡大図である。本実施形態において、凹部4230の開口部の形状は、例えば
図5に示されるように、中心軸Xを中心とする円の周方向に幅ΔW
1を有し、中心軸Xを中心とする円の径方向に幅ΔW
2を有する長穴状である。幅ΔW
1は、中心軸Xを中心とする円の周方向における凸部4214の幅に、設計上のクリアランスを加えた幅である。幅ΔW
2は、幅ΔW
1よりも広い。本実施形態において、凹部4230は、開口部の形状の長軸が、中心軸Xを中心とする円の径方向に沿う向きとなるようにエッジリング423に配置されている。
【0029】
これにより、凸部4214が凹部4230内に挿入されるように、エッジリング423が下部電極421上に載置されることにより、エッジリング423の中心軸と、静電チャック422上に載置された基板Wの中心軸Xとを略一致させることができる。また、基板Wの処理中に、エッジリング423が熱膨張した場合であっても、エッジリング423の中心軸と、静電チャック422上に載置された基板Wの中心軸Xとのずれを抑制することができる。
【0030】
なお、凹部4230の開口部には、例えば
図6に示されるように傾斜が設けられてもよい。
図6は、凹部4230および凸部4214の形状の一例を示す拡大断面図である。凹部4230には、凹部4230の深さ方向に延伸する第1の側壁部4230aと、第1の側壁部4230aから凹部4230の開口部へ進むに従って凹部4230の幅が広がる第1の傾斜部4230bとが設けられている。これにより、エッジリング423が下部電極421に載置される際に、凹部4230の位置と、凸部4214の位置とが多少ずれていても、凸部4214が凹部4230内に挿入されるように、エッジリング423を下部電極421上に載置することができる。そのため、エッジリング423の中心軸と、静電チャック422上に載置された基板Wの中心軸Xとを容易に略一致させることができる。
【0031】
また、傾斜は、例えば
図7に示されるように、凸部4214側に形成されていてもよい。
図7は、凹部4230および凸部4214の形状の他の例を示す拡大断面図である。下部電極421の凸部4214には、凸部4214の根元から凸部4214の突出方向に延伸する第2の側壁部4214bと、第2の側壁部4214bから凸部4214の先端へ進むに従って凸部4214の幅が狭くなる第2の傾斜部4214aとが設けられている。また、傾斜は、例えば
図8に示されるように、凹部4230および凸部4214の両方に形成されていてもよい。
図8は、凹部4230および凸部4214の形状の他の例を示す拡大断面図である。
【0032】
なお、本実施形態では、下部電極421に凸部4214が設けられ、エッジリング423に凹部4230が設けられるが、開示の技術はこれに限られない。下部電極421およびエッジリング423における対向する位置において、下部電極421およびエッジリング423の一方に凹部、他方に凸部が設けられていれば、下部電極421に凹部が設けられ、エッジリング423に凸部が設けられてもよい。
【0033】
また、本実施形態において、エッジリング423に設けられる凹部4230の開口部の形状は長穴であるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、エッジリング423に設けられる凹部4230の開口部の形状は、中心軸Xを中心とする円の径方向に延在する溝であってもよい。この場合、下部電極421の凸部4214は、中心軸Xを中心とする円の径方向に延在する突条であって、凹部4230の開口の形状に対応する形状の突条であってもよい。
【0034】
図2に戻って説明を続ける。上部電極シャワーヘッドアセンブリ43は、ガス供給部44からの1種類以上のガスを処理空間41s内に供給するように構成されている。本実施形態において、上部電極シャワーヘッドアセンブリ43は、電極支持部43dおよび上部電極43eを備える。電極支持部43dは、ガス入口43aおよびガス拡散室43bを有し、下面において上部電極43eを支持する。ガス供給部44とガス拡散室43bとは、ガス入口43aを介して流体連通している。電極支持部43dおよび上部電極43eには、複数のガス出口43cが形成されており、ガス拡散室43bと処理空間41sとは、複数のガス出口43cを介して流体連通している。本実施形態において、上部電極シャワーヘッドアセンブリ43は、1種類以上のガスをガス入口43aからガス拡散室43bおよび複数のガス出口43cを介して処理空間41s内に供給するように構成されている。
【0035】
ガス供給部44は、複数のガスソース440a~440c、複数の流量制御器441a~441c、および複数のバルブ442a~442cを有する。ガスソース440aは例えば処理ガスの供給源であり、ガスソース440bは例えばクリーニングガスの供給源であり、ガスソース440cは例えば不活性ガスの供給源である。本実施形態において、不活性ガスは、例えば窒素ガスである。流量制御器441a~441cは、例えばマスフローコントローラまたは圧力制御式の流量制御器を含み得る。また、ガス供給部44は、1以上の処理ガスの流量を変調またはパルス化する1以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0036】
RF電力供給部45は、RF電力、例えば1以上のRF電力を、下部電極421、上部電極シャワーヘッドアセンブリ43、または、下部電極421および上部電極シャワーヘッドアセンブリ43の双方のような1以上の電極に供給するように構成されている。本実施形態において、RF電力供給部45は、2つのRF生成部450a、450b、および2つの整合回路451a、451bを含む。本実施形態におけるRF電力供給部45は、第1のRF電力をRF生成部450aから整合回路451aを介して下部電極421に供給するように構成されている。RFスペクトルは、3[Hz]~3000[GHz]の範囲の電磁スペクトルの一部を包含する。半導体プロセスのような電子材料プロセスに関して、プラズマ生成のために用いられるRFスペクトルの周波数は、好ましくは100[kHz]~3[GHz]、より好ましくは200[kHz]~150[MHz]の範囲内の周波数である。例えば、第1のRF電力の周波数は、27[MHz]~100[MHz]の範囲内の周波数であってもよい。
【0037】
また、本実施形態におけるRF電力供給部45は、第2のRF電力をRF生成部450bから整合回路451bを介して下部電極421に供給するように構成されている。例えば、第2のRF電力の周波数は、400[kHz]~13.56[MHz]の範囲内の周波数であってもよい。あるいは、RF電力供給部45は、RF生成部450bに代えて、DC(Direct Current)パルス生成部を有していてもよい。
【0038】
さらに、図示は省略するが、ここでは他の実施形態が考慮される。例えば、代替実施形態のRF電力供給部45において、RF生成部が第1のRF電力を下部電極421に供給し、他のRF生成部が第2のRF電力を下部電極421に供給するように構成されてもよい。更に他のRF生成部が第3のRF電力を上部電極シャワーヘッドアセンブリ43に供給するように構成されてもよい。加えて、他の代替実施形態において、DC電圧が上部電極シャワーヘッドアセンブリ43に印加されてもよい。また、さらに、種々の実施形態において、1以上のRF電力(即ち、第1のRF電力、第2のRF電力等)の振幅がパルス化または変調されてもよい。振幅変調は、オン状態とオフ状態との間、あるいは、複数の異なるオン状態の間でRF電力の振幅をパルス化することを含んでもよい。また、RF電力の位相整合が制御されてもよく、複数のRF電力の振幅変調の位相整合は、同期化されてもよく、非同期であってもよい。
【0039】
排気システム46は、例えばチャンバ41の底部に設けられた排気口41eに、圧力制御バルブ460を介して接続される。圧力制御バルブ460は、第2の圧力制御部の一例である。排気システム46は、圧力弁、ターボ分子ポンプ、粗引きポンプ、またはこれらの組み合わせのような真空ポンプを含んでもよい。圧力制御バルブ460と排気システム46との間には、バルブ461aを介して配管462が接続されている。配管462は、ゲートバルブ401の外部の空間に繋がっている。排気システム46によって排気されたガスは、排気システム46の排気ポートから排気ガスを処理する排気ガス処理システムへ排気される。また、配管462は、バルブ461bを介して排気システム46の排気ポートに接続されている。
【0040】
[部品運搬装置50]
図9は、第1の実施形態における部品運搬装置50の一例を示す図である。部品運搬装置50は、容器51と、カセット52と、複数のロボットアーム53a~53bと、移動機構54とを備える。容器51は、処理装置40に接続される開口部511と、開口部511を開閉するゲートバルブ512と、蓋部510とを有する。容器51は、カセット52と、複数のロボットアーム53a~53bとを収容する。ゲートバルブ512は、開閉弁の一例である。なお、以下では、複数のロボットアーム53a~53bのそれぞれを区別することなく総称する場合にロボットアーム53と記載する。
【0041】
カセット52は、使用前の複数のエッジリング423を収容する。カセット52は、部品収容部の一例である。また、カセット52は、使用前のエッジリング423と交換された使用後のエッジリング423も収容する。カセット52は、ステージ521上に載置され、ステージ521は、駆動部522によって昇降される。これにより、それぞれのロボットアーム53は、カセット52内に上下に並べて収容されたエッジリング423をカセット52から取り出すことができる。カセット52内のエッジリング423が全て使用後のエッジリング423となった場合、例えば
図10に示されるように蓋部510が開けられ、カセット52が容器51内から取り出され、使用前の複数のエッジリング423が収容されたカセット52と交換される。
図10は、カセット52が取り出される様子の一例を示す図である。
【0042】
ロボットアーム53aは、アームの先端にエンドエフェクタ530aを有し、エンドエフェクタ530aを用いて、使用前のエッジリング423をカセット52から取り出す。また、ロボットアーム53bは、開口部511を介して処理装置40から使用後のエッジリング423を搬出してカセット52に収容する。そして、ロボットアーム53aは、使用前のエッジリング423を開口部511を介して処理装置40内に搬入する。なお、以下では、エンドエフェクタ530aおよび530bのそれぞれを区別することなく総称する場合にエンドエフェクタ530と記載する。
【0043】
このように、本実施形態では、使用前のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタ530aと、使用後のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタ530bとが別々に設けられている。これにより、使用後のエッジリング423から剥離した反応副生成物等によって使用前のエッジリング423が汚染されることを防止することができる。
【0044】
本実施形態では、使用前のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタ530aと、使用後のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタ530bとは、それぞれ別々のロボットアームによって移動される。しかし、開示の技術はこれに限られない。使用前のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタと、使用後のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタとが別々に設けられていれば、1つのロボットアームの先端にこれら2つのエンドエフェクタが設けられていてもよい。
【0045】
また、本実施形態において、ロボットアーム53bのエンドエフェクタ530bは、使用後のエッジリング423を処理装置40内から搬出する際に、エッジリング423の下面を支持する。これにより、エッジリング423に付着している反応副生成物等がエンドエフェクタ530aに付着することを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態において、ロボットアーム53aは、カセット52内に上下方向に並べて収容されている使用前のエッジリング423を、下から順に取り出す。また、本実施形態において、ロボットアーム53bは、使用前のエッジリング423が取り出されたことによって空いたカセット52の収容場所に、使用後のエッジリング423を収容する。これにより、カセット52内において、使用前のエッジリング423は、使用後のエッジリング423よりも上方に収容される。従って、使用後のエッジリング423から剥がれた反応副生成物等が落下して使用前のエッジリング423に付着することを防止することができる。
【0047】
なお、カセット52内では、収容されるエッジリング423毎に、エッジリング423が収容される空間が仕切られていてもよい。これにより、カセット52内のどの収容場所に使用後のエッジリング423が収容されても、使用後のエッジリング423から剥がれた反応副生成物等が落下して使用前のエッジリング423に付着することを防止することができる。
【0048】
移動機構54は、本体540および車輪541を有する。本体540内には、バッテリ等の電源、動力源、およびステアリング機構等が設けられている。車輪541は、本体540内の動力源によって回転し、本体540内のステアリング機構によって制御された方向に部品運搬装置50を移動させる。なお、移動機構54は、部品運搬装置50を移動させることができれば、歩行型等、車輪541以外の方法で部品運搬装置50を移動させてもよい。
【0049】
また、部品運搬装置50は、通信部550、制御部551、記憶部552、センサ553、および排気装置554を備える。排気装置554は、第1の圧力制御部の一例である。通信部550は、例えば無線通信回路であり、制御装置20と無線通信を行う。センサ553は、部品運搬装置50の周囲をセンシングし、センシングの結果を制御部551へ出力する。本実施形態において、センサ553は例えば画像センサであり、部品運搬装置50の周囲の画像を撮影して制御部551へ出力する。センサ553は、第1のセンサの一例である。
【0050】
排気装置554は、バルブ556aおよび配管555を介して容器51内の空間に接続されている。排気装置554は、バルブ556aおよび配管555を介して容器51内の空間のガスを吸引し、吸引したガスを排気ポート557を介して部品運搬装置50の外部へ排出する。これにより、容器51内を予め定められた真空度まで減圧することができ、使用前のエッジリング423に付着する水分等を低減することができる。また、容器51内の圧力を処理装置40内の圧力よりも低くすることができるため、部品運搬装置50が処理装置40に接続されてゲートバルブ512が開かれた場合に、処理装置40内から容器51内へのガスの流れを発生させることができる。これにより、容器51内のパーティクルが処理装置40内に侵入することが抑制される。
【0051】
また、配管555は、バルブ556bを介して、排気ポート557に接続されている。カセット52を交換する場合等、バルブ556bが開かれ、容器51内の空間が大気圧に戻される。
【0052】
記憶部552は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等であり、制御部551によって使用されるデータおよびプログラム等を格納する。制御部551は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサであり、記憶部552内のプログラムを読み出して実行することにより部品運搬装置50全体を制御する。
【0053】
制御部551は、例えば、センサ553によるセンシング結果を用いて移動機構54を制御することにより、制御装置20から指示された処理装置40の位置まで部品運搬装置50を移動させる。
【0054】
また、容器51内には、ロボットアーム53bのエンドエフェクタ530bをクリーニングするためのクリーニングユニット56が設けられている。クリーニングユニット56は、例えば高圧ガスパージまたはアイスブラストにより、使用後のエッジリング423の搬送に用いられるエンドエフェクタ530bをクリーニングする。使用後のエッジリング423を搬送した後のエンドエフェクタ530bがクリーニングされることにより、使用後のエッジリング423からエンドエフェクタ530bに付着したパーティクルが容器51内の空間に飛散することを抑制することができる。
【0055】
また、容器51の開口部511付近には、開口部511を使用前のエッジリング423が通過する際に、エッジリング423の位置のずれを検出するための位置ずれ検出センサ57が設けられている。なお、他の形態として、位置ずれ検出センサ57は、処理装置40のゲートバルブ401付近に設けられていてもよい。位置ずれ検出センサ57は、第2のセンサの一例である。本実施形態において、位置ずれ検出センサ57は、例えば遮光センサである。位置ずれ検出センサ57によって検出されたエッジリング423の位置のずれ量は、制御部551へ出力される。制御部551は、位置ずれ検出センサ57によって検出されたずれを補正するようにロボットアーム53aを制御することにより、エッジリング423の位置を調整する。そして、制御部551は、位置が調整されたエッジリング423を下部電極421から突出したリフトピン48上に置くようにロボットアーム53aを制御する。これにより、リフトピン48が下降した場合に、下部電極421の凸部4214をエッジリング423の凹部4230内に挿入させることができ、エッジリング423を、予め定められた処理装置40内の位置に精度よく配置することができる。
【0056】
[処理装置40と部品運搬装置50との接続]
図11および
図12は、第1の実施形態における処理装置40と部品運搬装置50との接続部分の一例を示す拡大断面図である。本実施形態において、部品運搬装置50が接続される処理装置40のチャンバ41の側面には、凸部410が設けられている。また、処理装置40が接続される部品運搬装置50の容器51の側面には、凸部410に対応する形状の凹部513が設けられている。凸部410および凹部513は、処理装置40と部品運搬装置50とが接続される場合に、例えば
図12に示されるように嵌合することにより、処理装置40と部品運搬装置50との位置合わせをサポートする。
【0057】
また、部品運搬装置50の容器51の側面には、開口部511を囲むようにOリング等のシール部材514が配置されている。これにより、チャンバ41、ゲートバルブ401、容器51、およびゲートバルブ512で囲まれた空間60の気密性を高めることができる。処理装置40と部品運搬装置50とが接続された後、配管462を介して空間60内のガスが排気されることにより、空間60内を予め定められた真空度まで減圧することができる。空間60内が減圧されることにより、処理装置40と部品運搬装置50との接続がより強固なものとなる。なお、処理装置40と部品運搬装置50との接続が解除される場合、処理装置40のバルブ461bが開かれることにより、空間60内が大気圧に戻される。
【0058】
なお、凸部410および凹部513には、下部電極421の凸部4214およびエッジリング423の凹部4230のように傾斜部が設けられることが好ましい。
【0059】
[制御装置20の構成]
図13は、制御装置20の一例を示すブロック図である。制御装置20は、記憶部21、制御部22、無線通信部23、および有線通信部24を備える。無線通信部23は、例えば無線通信回路であり、アンテナ25を介してそれぞれの部品運搬装置50と無線通信を行う。有線通信部24は、例えばNIC(Network Interface Card)等であり、それぞれの処理グループ30と通信を行う。なお、制御装置20は、それぞれの処理グループ30と無線通信を行ってもよい。
【0060】
記憶部21は、ROM、HDD、またはSSD等であり、制御部22によって使用されるデータやプログラム等を格納する。記憶部21内には、例えば
図14に示されるような予約テーブル210が格納される。
【0061】
図14は、予約テーブル210の一例を示す図である。予約テーブル210には、部品ID、処理装置ID、交換日時、RF積算時間、次の交換時期、および部品運搬装置IDが格納される。部品IDは、それぞれのエッジリング423を識別する情報である。処理装置IDは、対応する部品IDで識別されるエッジリング423が取り付けられている処理装置40を識別する情報である。交換日時は、エッジリング423の交換が行われた日時である。RF積算時間は、RF電力を用いて処理装置40において行われた処理の積算時間を示す情報である。次の交換時期は、エッジリング423を次に交換する日時である。部品運搬装置IDは、対応する部品IDで識別されるエッジリング423の交換を行うことが予約されている部品運搬装置50を識別する情報である。
【0062】
制御部22は、例えばCPUやDSP等のプロセッサであり、記憶部21内のプログラムを読み出して実行することにより、制御装置20全体を制御する。
【0063】
[消耗部品の交換タイミング]
図15は、エッジリング423の交換タイミングの一例を説明するための図である。制御装置20の制御部22は、それぞれのエッジリング423の交換時期t
1を推定し、推定された交換時期t
1を、予約テーブル210内の「次の交換時期」の欄に登録する。エッジリング423が交換された後、基板Wに対する処理がまだ行われていない場合には、制御装置20は、エッジリング423の「交換日時」から推定される標準的な交換時期t
1を「次の交換時期」の欄に登録する。
【0064】
一方、エッジリング423が交換された後、基板Wに対する処理が行われた場合には、制御装置20は、エッジリング423の「交換日時」と「RF積算時間」とから推定される交換時期t1を「次の交換時期」の欄に登録する。制御部22は、例えば、「交換日時」からの「RF積算時間」の変化の傾向から「RF積算時間」が予め定められた値に達する日時を推定し、推定された日時を「次の交換時期」の欄に登録する。制御部22は、例えば「RF積算時間」が更新される都度、「次の交換時期」を更新する。エッジリング423の交換時期を推定する工程は、第1の推定工程の一例である。
【0065】
本実施形態において、制御部22は、「RF積算時間」に基づいてエッジリング423の交換時期t1を推定するが、開示の技術はこれに限られない。例えば、制御部22は、「RF積算時間」、「RF積算電力」、「レシピ積算時間」、「消耗部品の重量の変化」、および「消耗部品の寸法の変化」の少なくともいずれかに基づいてエッジリング423の交換時期t1を推定してもよい。「RF積算電力」とは、RF電力を用いて処理装置40において行われる処理時間とその電力の値との乗算値である、「レシピ積算時間」とは、消耗部品の消耗が特に多い特定の処理レシピの積算時間である。
【0066】
また、制御部22は、それぞれのエッジリング423について、「次の交換時期」よりも前の期間において処理装置40における基板Wの処理が最後に終了するタイミングt2を特定する。本実施形態において、制御部22は、基板Wのロット単位で処理の終了を判定する。これにより、ロット内での処理環境の大幅は変化を回避することができる。なお、他の例として、制御部22は、基板W単位で処理の終了を判定してもよい。
【0067】
タイミングt2において処理を終了した後、処理装置40は、準備時間ΔT1においてエッジリング423の交換を行うための準備を行う。準備時間ΔT1は、処理装置40内のガスの入れ替え、処理装置40内の圧力の調整、およびエッジリング423の温度の安定化等に要する時間である。制御部22は、タイミングt2から準備時間ΔT1が経過したタイミングt3を、エッジリング423の交換可能タイミングとして特定する。交換可能タイミングt3を特定する工程は、特定工程の一例である。
【0068】
交換可能タイミングt
3においてエッジリング423の交換が行われるためには、部品運搬装置50が処理装置40に接続された後、エッジリング423を交換するための準備が行われる必要がある。準備時間ΔT
2は、ゲートバルブ401とゲートバルブ512との間に空間60(
図12参照)内が予め定められた圧力まで減圧されるのに要する時間である。制御部22は、準備時間ΔT
2を推定する。準備時間ΔT
2は、第1の準備時間の一例である。準備時間ΔT
2を推定する工程は、第3の推定工程の一例である。
【0069】
交換可能タイミングt3においてエッジリング423を交換するための準備が完了しているためには、交換可能タイミングt3から準備時間ΔT2分遡ったタイミングt4において、処理装置40の位置への部品運搬装置50の移動が完了している必要がある。移動時間ΔT3は、部品運搬装置50がエッジリング423の交換が必要な処理装置40の位置まで移動するのに要する時間である。制御部22は、移動時間ΔT3を推定する。移動時間ΔT3は、第1の移動時間の一例である。移動時間ΔT3を推定する工程は、第2の推定工程の一例である。部品運搬装置50は、タイミングt4から移動時間ΔT3分遡ったタイミングt5より前に移動を開始すればよい。制御部22は、それぞれの処理装置40の位置と、それぞれの部品運搬装置50の位置とを管理しており、それぞれの部品運搬装置50が、それぞれの処理装置40の位置まで移動するのに要する時間を推定することができる。
【0070】
制御部22は、準備時間ΔT2および移動時間ΔT3の合計の時間分、交換可能タイミングt3から遡ったタイミングt5より前のタイミングtpで交換指示を部品運搬装置50へ送信することにより、部品運搬装置50にエッジリング423の交換を指示する。交換指示を送信する工程は、送信工程の一例である。
【0071】
また、交換可能タイミングt3においてエッジリング423の交換が行われるためには、部品運搬装置50内の圧力が予め定められた圧力まで減圧されている必要がある。圧力調整時間ΔT4は、容器51内が予め定められた圧力まで減圧されるのに要する時間である。そのため、部品運搬装置50は、交換可能タイミングt3から圧力調整時間ΔT4分遡ったタイミングt6より前に、部品運搬装置50内の圧力の調整を開始する必要がある。
【0072】
ここで、カセット52の交換が行われた直後や、エッジリング423の交換をしばらく行わなかった場合には、部品運搬装置50内の圧力は予め定められた圧力よりも高い圧力となっているため、圧力調整時間ΔT4は長くなる。一方、エッジリング423の交換が行われた直後では、部品運搬装置50内は、予め定められた圧力に近い圧力となっているため、圧力調整時間ΔT4は短くなる。そのため、タイミングt5とt6の前後関係は、部品運搬装置50の状態によって異なる。
【0073】
以上より、エッジリング423の交換時期より前のタイミングt5およびt6のうち、時間的に早い方のタイミングより前に、部品運搬装置50に処理装置40のエッジリング423の交換を指示する必要がある。従って、制御部22は、エッジリング423の交換時期から時間ΔT0分遡ったタイミングtpであって、タイミングt5およびt6よりも時間的に前のタイミングであるタイミングtpにおいて、処理装置40のエッジリング423の交換を部品運搬装置50に指示する。これにより、エッジリング423の交換において処理装置40の停止期間を短くすることができ、エッジリング423の交換に伴う生産効率の低下を抑制することができる。
【0074】
[制御装置20の処理]
図16は、消耗部品の交換対象の処理装置40の位置へ部品運搬装置50を移動させる際の制御装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示される処理は、制御装置20の制御部22が記憶部21から読み出されたプログラムを実行することにより実現される。制御装置20は、複数の処理装置40および部品運搬装置50を制御する。
【0075】
まず、制御部22は、予約テーブル210を参照して、交換が予約されていないエッジリング423を特定する(S100)。制御部22は、例えば、部品運搬装置IDが対応付けられていない部品IDのエッジリング423を、交換が予約されていないエッジリング423として特定する。そして、制御部22は、特定されたエッジリング423の中で、現在時刻から予め定められた時間ΔT0以内に、交換時期が到来するエッジリング423があるか否かを判定する(S101)。現在時刻から時間ΔT0以内に交換時期が到来するエッジリング423がない場合(S101:No)、制御部22は、再びステップS100に示された処理を実行する。
【0076】
一方、現在時刻から時間ΔT0以内に交換時期が到来するエッジリング423がある場合(S101:Yes)、制御部22は、移動開始タイミングを特定する(S102)。移動開始タイミングは、タイミングt5およびt6のうち、時間的に早い方のタイミングである。
【0077】
次に、制御部22は、エッジリング423の交換が必要な処理装置40の位置に最も近い位置にある部品運搬装置50を1つ選択する(S103)。ステップS103では、処理装置40と部品運搬装置50との直線的な距離だけではなく、処理装置40の位置まで部品運搬装置50が移動する際の移動経路の長さが考慮される。そして、制御部22は、記憶部21内の予約テーブル210を参照して、ステップS103で選択された部品運搬装置50の部品運搬装置IDが予約テーブル210に登録されているか否かを判定する(S104)。
【0078】
部品運搬装置IDが予約テーブル210に登録されていない場合(S104:No)、制御部22は、次の処理を実行する。即ち、制御部22は、ステップS101で時間ΔT0以内に交換時期が到来すると判定されたエッジリング423の部品IDに対応付けて、選択された部品運搬装置50の部品運搬装置IDを予約テーブル210に登録する(S106)。これにより、ステップS101で時間ΔT0以内に交換時期が到来すると判定されたエッジリング423の交換に対して、選択された部品運搬装置50が予約される。
【0079】
次に、制御部22は、エッジリング423の交換を指示する交換指示を、選択された部品運搬装置50へ送信する(S107)。交換指示には、エッジリング423の交換が必要な処理装置40の位置情報や、エッジリング423の部品ID等の情報が含まれている。そして、制御部22は、再びステップS100に示された処理を実行する。
【0080】
一方、部品運搬装置IDが予約テーブル210に既に登録されている場合(S104:Yes)、即ち、ステップS103で選択された部品運搬装置50が既に予約されている場合、制御部22は、次の処理を実行する。即ち、制御部22は、ステップS104で予約テーブル210に登録されていると判定された部品運搬装置IDに対応付けられている「次の交換時期」を予約テーブル210から抽出する。当該部品運搬装置IDが複数の「次の交換時期」に対応付けられている場合、制御部22は、その中で時間的に最も遅い「次の交換時期」を抽出する。
【0081】
そして、制御部22は、ステップS102において特定された移動開始タイミングが、抽出された「次の交換時期」よりも時間的に後か否かを判定する(S105)。移動開始タイミングが「次の交換時期」よりも時間的に後である場合(S105:Yes)、部品運搬装置50は、既に予約されているエッジリング423の交換が終了した後に、今回のエッジリング423の交換を行うことができる。そのため、制御部22は、ステップS106に示された処理を実行する。
【0082】
一方、移動開始タイミングが「次の交換時期」よりも時間的に前である場合(S105:No)、選択された部品運搬装置50は、他のエッジリング423の交換が終わるまで、交換が必要なエッジリング423を有する処理装置40へ移動を開始できない。そこで、制御部22は、他の部品運搬装置50の中で、エッジリング423の交換が必要な処理装置40の位置に次に近い部品運搬装置50にエッジリング423の交換を指示する。
【0083】
例えば、制御部22は、未選択の他の部品運搬装置50があるか否かを判定する(S108)。未選択の他の部品運搬装置50がある場合(S108:Yes)、制御部22は、エッジリング423の交換が必要な処理装置40の位置に次に近い部品運搬装置50を選択する(S109)。そして、制御部22は、再びステップS104に示された処理を実行する。
【0084】
一方、全ての部品運搬装置50が選択された場合(S108:No)、制御部22は、予約テーブル210を参照して、最も早くエッジリング423の交換が終わる部品運搬装置50を選択する(S110)。そして、制御部22は、ステップS106に示された処理を実行する。
【0085】
図17は、消耗部品の交換対象の処理装置40とその処理装置40に接続される部品運搬装置50とを制御する際の制御装置20の処理の一例を示すフローチャートである。
図17では、消耗部品の交換対象の1つの処理装置40と、その処理装置40に接続される1つの部品運搬装置50とを制御する際の制御装置20の処理について例示されている。なお、消耗部品の交換対象の他の処理装置40と、その処理装置40に接続される他の部品運搬装置50とを制御する際の制御装置20の処理についても、
図17に例示されたフローチャートと同様に実行される。
図17に示される処理は、制御装置20の制御部22が記憶部21から読み出されたプログラムを実行することにより実現される。制御装置20は、複数の処理装置40および部品運搬装置50を制御する。
【0086】
まず、制御部22は、処理装置40において、RF電力を用いた処理が実行されたか否かを判定する(S120)。RF電力を用いた処理が実行されていない場合(S120:No)、制御部22は、再びステップS120に示された処理を実行する。
【0087】
一方、RF電力を用いた処理が実行された場合(S120:Yes)、制御部22は、予約テーブル210内において、RF電力を用いた処理が行われた処理装置40の処理装置IDに対応付けられている「RF積算時間」を更新する(S121)。そして、制御部22は、「RF積算時間」が更新されたエッジリング423について「次の交換時期」を推定し、推定された「次の交換時期」で、エッジリング423の「部品ID」に対応付けられている「次の交換時期」を更新する(S122)。これにより、RF電力を用いた実際の処理の時間に応じて、エッジリング423に対応する「次の交換時期」が更新される。
【0088】
次に、制御部22は、更新された「次の交換時期」に基づいて、消耗部品の交換時期の前の最後のロットの処理が終了したか否かを判定する(S123)。処理装置40において消耗部品の交換時期の前の最後のロットの処理が終了していない場合(S123:No)、制御部22は、再びステップS120に示された処理を実行する。
【0089】
一方、処理装置40において消耗部品の交換時期の前の最後のロットの処理が終了した場合(S123:Yes)、制御部22は、チャンバ41内のクリーニングを、ロットの処理が終了した処理装置40に実行させる(S124)。これにより、使用後のエッジリング423に付着していた反応副生成物等が除去され、エッジリング423が搬出される際の反応副生成物等の飛散を抑制することができる。
【0090】
なお、ステップS124におけるクリーニングは、リフトピン48によってエッジリング423を持ち上げることにより、エッジリング423が取り付けられていた下部電極421から離れるようにエッジリング423を移動させた後に行われてもよい。これにより、エッジリング423の上面だけでなく、エッジリング423の側面や、エッジリング423が設けられていた下部電極421の上面等に付着した反応副生成物等を除去することができる。
【0091】
次に、ロットの処理が終了した処理装置40のチャンバ41内の圧力を調整する(S125)。ステップS125では、チャンバ41内のガスが排気され、チャンバ41内に不活性ガスが供給される。そして、チャンバ41内の圧力が予め定められた圧力P1に制御される。
【0092】
次に、制御部22は、部品運搬装置50から接続通知を受信したか否かを判定する(S126)。なお、
図16に例示された処理によって、1つの部品運搬装置50が、消耗部品の交換対象の処理装置40の位置まで移動している。部品運搬装置50から接続通知を受信していない場合(S126:No)、制御部22は、再びステップS126に示された処理を実行する。
【0093】
一方、部品運搬装置50から接続通知を受信した場合(S126:Yes)、制御部22は、処理装置40および部品運搬装置50の接続部分の空間60内のガスを排気させるように、処理装置40の排気システム46およびバルブ461aを制御する(S127)。これにより、処理装置40および部品運搬装置50の接続部分の空間60内が予め定められた圧力P2まで減圧される。本実施形態において、圧力P2は圧力P1よりも低い。そして、制御部22は、接続通知の送信元の部品運搬装置50へ、当該部品運搬装置50のゲートバルブ512を開くことを要求するゲート開放要求を送信する(S128)。
【0094】
次に、制御部22は、部品運搬装置50からゲートバルブ512の開放が完了したことを示すゲート開放通知を受信したか否かを判定する(S129)。ゲート開放通知を受信していない場合(S129:No)、制御部22は、再びステップS129に示された処理を実行する。
【0095】
一方、ゲート開放通知を受信した場合(S129:Yes)、制御部22は、リフトピン48によってエッジリング423を持ち上げ、ゲートバルブ401を開けるように処理装置40を制御する(S130)。そして、制御部22は、エッジリング423の交換の開始を指示する交換開始指示を部品運搬装置50へ送信する(S131)。
【0096】
なお、ステップS131において交換開始指示が送信された後は、部品運搬装置50によってエッジリング423の交換が実行される。この際、制御部22は、使用後のエッジリング423が搬出されてから使用前のエッジリング423が搬入されるまでの間に、処理装置40のチャンバ41内をクリーニングするように処理装置40を制御してもよい。これにより、使用後のエッジリング423が搬出される際にエッジリング423から剥がれて処理装置40内に落ちた反応副生成物等を、使用前のエッジリング423が搬入される前に除去することができる。
【0097】
次に、制御部22は、部品運搬装置50から交換完了通知を受信したか否かを判定する(S132)。部品運搬装置50から交換完了通知を受信していない場合(S132:No)、制御部22は、再びステップS132に示された処理を実行する。
【0098】
一方、部品運搬装置50から交換完了通知を受信した場合(S132:Yes)、制御部22は、ゲートバルブ401を閉じるように処理装置40を制御する(S133)。そして、制御部22は、交換確認通知を部品運搬装置50へ送信する(S134)。そして、制御部22は、処理装置40の排気システム46およびバルブ461aを制御することで、処理装置40と部品運搬装置50との接続部分の空間60内のガスの排気を停止させる(S135)。そして、制御部22は、処理装置40のバルブ461bを開くことにより、処理装置40と部品運搬装置50との接続部分の空間60内を大気圧に戻す。
【0099】
次に、制御部22は、予約テーブル210において、交換された使用後のエッジリング423の「部品ID」を含むレコードを削除する。そして、制御部22は、使用後のエッジリング423と交換された使用前のエッジリング423の「部品ID」を含むレコードを予約テーブル210内に新たに作成する(S136)。新たに作成されたレコードにおいて、「処理装置ID」の欄にはエッジリング423が交換された処理装置40の識別情報が登録され、「交換日時」の欄には現在の日時が登録され、「RF積算時間」の欄には0が登録される。なお、「部品運搬装置ID」の欄は空欄とされる。
【0100】
そして、制御部22は、交換された使用前のエッジリング423の交換時期を推定し、推定された交換時期を、新たに作成されたレコードの「次のRF積算時間」に登録する(S137)。そして、制御部22は、再びステップS120に示された処理を実行する。
【0101】
[部品運搬装置50の処理]
図18は、部品運搬装置50の処理の一例を示すフローチャートである。
図18に示される処理は、制御部551が記憶部552から読み出されたプログラムを実行することにより実現される。なお、
図18に例示された処理とは別に、制御部551は、通信部550を介して交換指示を受信し、受信した交換指示を記憶部552に格納する。
【0102】
まず、制御部551は、記憶部552を参照して、未処理の交換指示があるか否かを判定する(S200)。未処理の交換指示がない場合(S200:No)、制御部551は、再びステップS200に示された処理を実行する。
【0103】
未処理の交換指示がある場合(S200:Yes)、制御部551は、交換指示に含まれる位置情報に対応する処理装置40の位置までの部品運搬装置50の移動を開始させる(S201)。ステップS201は、開始工程の一例である。制御部551は、例えば、センサ553によるセンシング結果を用いて移動機構54を制御することにより、交換指示に含まれる位置情報に対応する処理装置40の位置まで部品運搬装置50を移動させる。また、制御部551は、排気装置554およびバルブ556を制御して、部品運搬装置50の容器51内のガスの排気を開始することにより、容器51内の圧力の調整を開始する(S202)。
【0104】
次に、制御部551は、センサ553によるセンシング結果に基づいて、部品運搬装置50が処理装置40に接続したか否かを判定する(S203)。部品運搬装置50が処理装置40に接続していない場合(S203:No)、制御部551は、再びステップS203に示された処理を実行する。
【0105】
一方、部品運搬装置50が処理装置40に接続した場合(S203:Yes)、制御部551は、通信部550を介して、制御装置20へ接続通知を送信する(S204)。そして、制御部551は、カセット52から使用前のエッジリング423を取り出すようにロボットアーム53aを制御する(S205)。
【0106】
次に、制御部551は、通信部550を介して、制御装置20からゲート開放要求を受信したか否かを判定する(S206)。ゲート開放要求を受信していない場合(S206:No)、制御部551は、再びステップS206に示された処理を実行する。
【0107】
一方、ゲート開放要求を受信した場合(S206:Yes)、制御部551は、部品運搬装置50の容器51内の圧力Pが、予め定められた圧力P
2となったか否かを判定する(S207)。圧力P
2は、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された後に調整される接続部分の空間60(
図12参照)内の圧力P
2と同じ圧力である。圧力Pが圧力P
2となっていない場合(S207:No)、制御部551は、再びステップS207に示された処理を実行する。ステップS207は、準備工程の一例である。
【0108】
ここで、エッジリング423の交換時には、処理装置40のチャンバ41内は圧力P1に制御され、処理装置40と部品運搬装置50との接続部分の空間60内および部品運搬装置50の容器51内は、圧力P1よりも低い圧力P2に制御される。これにより、処理装置40のゲートバルブ401および部品運搬装置50のゲートバルブ512が開いた場合に、処理装置40のチャンバ41内から部品運搬装置50の容器51内へのガスの流れが発生する。そのため、部品運搬装置50内のパーティクルが処理装置40内に侵入することが抑制される。
【0109】
なお、処理装置40内の圧力P1と、処理装置40と部品運搬装置50との接続部分および部品運搬装置50内の圧力P2との差が小さ過ぎると部品運搬装置50内のパーティクルが処理装置40内に侵入する場合がある。一方、圧力P1と圧力P2との差が大き過ぎると、部品運搬装置50内でパーティクルが巻き上がる場合がある。そのため、圧力P1と圧力P2との差は、例えば10[Pa]以上104[Pa]以下であることが好ましい。
【0110】
圧力Pが圧力P2となっている場合(S207:Yes)、制御部551は、ゲートバルブ512を開ける(S208)。そして、制御部551は、通信部550を介して、制御装置20から交換開始指示を受信したか否かを判定する(S209)。交換開始指示を受信していない場合(S209:No)、制御部551は、再びステップS209に示された処理を実行する。
【0111】
一方、交換開始指示を受信した場合(S209:Yes)、制御部551は、エンドエフェクタ530bを処理装置40内に挿入し、リフトピン48が持ち上げた使用後のエッジリング423を受け取るようにロボットアーム53bを制御する(S210)。そして、制御部551は、エンドエフェクタ530bを部品運搬装置50内に退避させ、使用後のエッジリング423をカセット52内に収容するようにロボットアーム53bを制御する。ステップS210は、収容工程の一例である。
【0112】
次に、制御部551は、使用前のエッジリング423が載せられたエンドエフェクタ530aを処理装置40内に挿入し、使用前のエッジリング423をリフトピン48に渡すようにロボットアーム53aを制御する(S211)。そして、制御部551は、エンドエフェクタ530aを部品運搬装置50内に退避させるようにロボットアーム53aを制御する。使用前のエッジリング423は、リフトピン48が下降することにより下部電極421上に載置される。ステップS211は、搬入工程の一例である。
【0113】
次に、制御部551は、ゲートバルブ512を閉じる(S212)。ステップS212は、閉塞工程の一例である。そして、制御部551は、通信部550を介して、制御装置20へ交換完了通知を送信する(S213)。
【0114】
次に、制御部551は、エンドエフェクタ530bがクリーニングユニット56の近傍へ移動するようにロボットアーム53bを制御し、エンドエフェクタ530bをクリーニングするようにクリーニングユニット56を制御する(S214)。
【0115】
次に、制御部551は、通信部550を介して、制御装置20から交換確認通知を受信したか否かを判定する(S215)。交換確認通知を受信していない場合(S215:No)、制御部551は、再びステップS215に示された処理を実行する。
【0116】
一方、交換確認通知を受信した場合(S215:Yes)、制御部551は、カセット52内に使用前のエッジリング423が残っているか否かを判定する(S216)。制御部551は、例えばカセット52内に収容されるエッジリング423の数と交換回数とに基づいて、カセット52内に使用前のエッジリング423が残っているか否かを判定する。
【0117】
カセット52内に使用前のエッジリング423が残っている場合(S216:Yes)、制御部551は、再びステップS200に示された処理を実行する。一方、カセット52内に使用前のエッジリング423が残っていない場合(S216:No)、制御部551は、移動機構54を制御することにより、カセット52の交換場所まで部品運搬装置50を移動させる。そして、部品運搬装置50内のカセット52と、使用前のエッジリング423が収容されたカセット52とが交換される(S217)。そして、制御部551は、再びステップS200に示された処理を実行する。
【0118】
なお、本実施形態では、カセット52内に使用前のエッジリング423が残っていない場合、部品運搬装置50がカセット52の交換場所まで移動してカセット52が交換されるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、AGV(Automated Guided Vehicle)等が、使用前のエッジリング423が収容されたカセット52を部品運搬装置50の場所まで運搬してカセット52を交換してもよい。
【0119】
また、カセット52を交換した場合、部品運搬装置50の51内は大気圧になっており、エッジリング423の交換時の圧力P2まで減圧するのには時間がかかる。そのため、カセット52が交換された場合、制御部551は、排気装置554を制御して、容器51内のガスを排気し、エッジリング423の交換時の圧力P2まで容器51内を減圧することが好ましい。これにより、制御装置20から交換指示を受信した場合、部品運搬装置50は、より迅速にエッジリング423の交換を開始することができる。
【0120】
以上、第1の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態における交換方法は、基板Wを処理する処理装置40と、処理装置40に設けられる消耗部品を運搬する部品運搬装置50と、処理装置40および部品運搬装置50を制御する処理グループ30とを備える処理システム10における部品交換方法であって、制御装置20が、第1の推定工程と、特定工程と、第2の推定工程と、第3の推定工程と、送信工程とを実行する。第1の推定工程では、処理装置40の消耗部品の交換時期が推定される。特定工程では、交換時期よりも前の期間において処理装置40による基板Wの処理が最後に終了した後のタイミングが消耗部品の交換可能タイミングとして特定される。第2の推定工程では、部品運搬装置50が消耗部品の交換が必要な処理装置40の位置まで移動するのに要する第1の移動時間が推定される。第3の推定工程では、消耗部品の交換が必要な処理装置40の位置に移動した部品運搬装置50が消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する第1の準備時間が推定される。送信工程では、第1の移動時間および第1の準備時間の合計の時間分、交換可能タイミングから遡ったタイミングより前のタイミングで交換指示が部品運搬装置50へ送信されることにより、部品運搬装置50に消耗部品の交換が指示される。これにより、消耗部品の交換に伴う処理装置40の停止期間を短くすることができる。
【0121】
また、上記した実施形態において、部品運搬装置50は、容器51と、カセット52と、ロボットアーム53と、移動機構54と、通信部550と、制御部551とを備える。カセット52は、使用前の消耗部品および使用後の消耗部品を収容する。容器51は、処理装置40に接続される開口部511と開口部511を開閉するゲートバルブ512とを有し、カセット52を収容する。ロボットアーム53は、処理装置40から開口部511を介して使用後の消耗部品を搬出してカセット52内に収容する。また、ロボットアーム53は、使用前の消耗部品をカセット52から取り出して開口部511を介して処理装置40内に搬入する。移動機構54は、動力源を有し、部品運搬装置50を移動させる。通信部550は、制御装置20と無線通信を行う。制御部551は、開始工程と、準備工程と、収容工程と、搬入工程と、閉塞工程とを実行する。開始工程では、制御装置20から交換指示が送信された場合に、移動機構54を用いて、消耗部品の交換が必要な処理装置40の位置への部品運搬装置50の移動が開始される。準備工程では、消耗部品の交換が必要な処理装置40の位置に移動した後に消耗部品の交換が可能となる状態になるまでの準備が行われる。収容工程では、交換可能タイミングにおいて、ゲートバルブ512が開かれ、処理装置40から開口部511を介して使用後の消耗部品が搬出されてカセット52内に収容される。搬入工程では、使用前の消耗部品がカセット52から取り出されて開口部511を介して処理装置40内に搬入される。閉塞工程では、ゲートバルブ512が閉じられる。これにより、消耗部品の交換を容易にすることができる。
【0122】
また、上記した実施形態において、部品運搬装置50は、容器51内の圧力を制御する排気装置554を有する。また、処理装置40は、処理装置40内の処理空間41sを画成するチャンバ41の圧力を制御する圧力制御バルブ460を有する。制御装置20は、交換可能タイミングにおいて、容器51内の圧力よりもチャンバ41内の圧力が高くなるように部品運搬装置50および処理装置40を制御する。これにより、消耗部品の交換時に、部品運搬装置50内のパーティクルが処理装置40内に侵入することが抑制される。
【0123】
また、上記した実施形態において、制御装置20は、容器51の圧力とチャンバ41内の圧力との圧力差が10[Pa]以上104[Pa]以下の範囲内の圧力差となるように部品運搬装置50および処理装置40を制御する。これにより、消耗部品の交換時における部品運搬装置50内から処理装置40内へのパーティクルの侵入および部品運搬装置50内におけるパーティクルの飛散が抑制される。
【0124】
また、上記した実施形態において、制御装置20は、RF積算時間、RF積算電力、レシピ積算時間、消耗部品の重量の変化、および消耗部品の寸法の変化の少なくともいずれかに基づいて消耗部品の交換時期を推定する。これにより、消耗部品の交換時期を精度よく推定することができる。
【0125】
また、上記した実施形態において、処理システム10は、複数の部品運搬装置50を備える。制御装置20は、消耗部品の交換が必要な処理装置40に最も近い位置の部品運搬装置50に前記交換指示を送信する。これにより、部品運搬装置50の移動距離を短くすることができ、より迅速に消耗部品を交換することができる。
【0126】
また、上記した実施形態において、制御装置20は、使用後の消耗部品が処理装置40内から搬出される前に、使用後の消耗部品をクリーニングするように処理装置40を制御する。これにより、使用後の消耗部品に付着していた反応副生成物が除去され、使用後の消耗部品が搬出される際の反応副生成物の飛散を抑制することができる。
【0127】
また、上記した実施形態において、制御装置20は、使用後の消耗部品が取り付けられていたベース部材から離れるように使用後の消耗部品を移動させた後に、使用後の消耗部品をクリーニングするように処理装置40を制御する。これにより、消耗部品の上面だけでなく、消耗部品の側面や、消耗部品が設けられていたベース部材の面等に付着した反応副生成物を除去することができる。
【0128】
また、上記した実施形態において、制御装置20は、使用後の消耗部品が処理装置40内から搬出されてから、使用前の消耗部品が処理装置40内に搬入されるまでの間に、使用後の消耗部品が配置されていた処理装置40内の領域をクリーニングするように処理装置40を制御する。これにより、使用後の消耗部品が搬出される際に消耗部品から剥がれて処理装置40内に落ちた反応副生成物等を、使用前の消耗部品が搬入される前に除去することができる。
【0129】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、部品運搬装置50内に排気装置554が設けられ、部品運搬装置50内のガスが排気装置554によって部品運搬装置50の外部に排気されることにより、部品運搬装置50内が減圧された。これに対し本実施形態では、部品運搬装置50内のガスは、部品運搬装置50が処理装置40に接続された際に、処理装置40の排気システム46によって排気される。これにより、部品運搬装置50内に排気装置554が不要となり、部品運搬装置50を小型化することができる。なお、本実施形態における処理システム10のシステム構成は、
図1を用いて説明された第1の実施形態における処理システム10のシステム構成と同様であるため、説明を省略する。
【0130】
[処理装置40の構成]
図19は、第2の実施形態における処理装置40の一例を示す図である。なお、以下に説明する点を除き、
図19において、
図2と同じ符号を付した構成は、
図2における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0131】
圧力制御バルブ460と排気システム46との間に接続された配管462は、配管462aと配管462bとに分岐している。バルブ461aが開かれることにより、配管462aおよび462bを介して、排気システム46によってガスを排気することができる。
【0132】
また、ゲートバルブ401が設けられた側のチャンバ41の側面には、配管443が設けられている。配管443は、バルブ442dを介して、バルブ442a~442cに接続されている。バルブ442aおよび442bが閉じられ、バルブ442cおよび442dが開かれることにより、配管443内に流量制御器441cによって制御された流量の不活性ガスを供給することができる。
【0133】
[部品運搬装置50の構成]
図20は、第2の実施形態における部品運搬装置50の一例を示す図である。なお、以下に説明する点を除き、
図20において、
図9と同じ符号を付した構成は、
図9における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0134】
配管555は、ゲートバルブ512が設けられた側の容器51の側面と、容器51内の空間との間に配置されており、配管555には、バルブ556が設けられている。本実施形態において部品運搬装置50内には排気装置554が設けられていない。配管555は、排気ポートの一例である。
【0135】
また、ゲートバルブ512が設けられた側の容器51の側面には、配管560が設けられている。配管560は、クリーニングユニット56に接続されている。配管560にはバルブ561が設けられている。
【0136】
[処理装置40と部品運搬装置50との接続]
図21は、第2の実施形態における処理装置40と部品運搬装置50との接続部分の一例を示す拡大断面図である。なお、以下に説明する点を除き、
図21において、
図11と同じ符号を付した構成は、
図11における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0137】
配管462bの開口部462cと、配管555の開口部555aとは、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された場合に対向する位置に形成されている。また、部品運搬装置50の容器51の側面には、開口部555aを囲むようにOリング等のシール部材516が配置されている。これにより、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された場合に、配管462bと配管555とが気密に連通する。
【0138】
処理装置40と部品運搬装置50とが接続された後に、処理装置40のバルブ461aが開かれ、排気システム46によってガスが排気されることにより、配管462bおよび配管555を介して部品運搬装置50の容器51内のガスを排気することができる。これにより、部品運搬装置50内に排気装置554を設けなくても容器51内を減圧することができるため、部品運搬装置50を小型化することができる。
【0139】
また、配管443の開口部443aと、配管560の開口部560aとは、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された場合に対向する位置に形成されている。また、部品運搬装置50の容器51の側面には、開口部560aを囲むようにOリング等のシール部材515が配置されている。これにより、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された場合に、配管443と配管560とが気密に連通する。
【0140】
エッジリング423の交換が終了した後に、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された状態で処理装置40のバルブ442aおよび442bが閉じられ、バルブ442cおよびバルブ442dが開かれ、部品運搬装置50のバルブ561が開かれる。これにより、部品運搬装置50のクリーニングユニット56に不活性ガスが供給される。クリーニングユニット56は、配管560を介して供給された不活性ガスを用いた高圧ガスパージにより、エンドエフェクタ530bをクリーニングする。これにより、部品運搬装置50内に不活性ガスの供給源を設けなくてもよいため、部品運搬装置50を小型化することができる。
【0141】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態における部品運搬装置50は、1種類の消耗部品であるエッジリング423を交換する。これに対し、本実施形態における部品運搬装置50は、複数種類の消耗部品を交換する。複数種類の消耗部品としては、例えばエッジリング423および上部電極43e等が考えられる。
【0142】
カセット52は、複数種類の消耗部品について、使用前の消耗部品と使用後の消耗部品とを収容する。本実施形態において、カセット52内では、消耗部品の種類毎に消耗部品が収容される空間が仕切られている。これにより、特定の種類の消耗部品の交換が多く行われた場合であっても、カセット52内で、特定の種類の使用後の消耗部品に付着している反応副生成物等が、他の種類の使用前の消耗部品の上に落下することを防止することができる。なお、消耗部品は、種類毎に別々のカセット52に収容され、部品運搬装置50内には、種類毎の別々のカセット52が収容されてもよい。
【0143】
ここで、異なる種類の消耗部品では、交換周期が異なる場合がある。そのため、異なる種類の消耗部品では、交換時期が一致しない場合が多い。交換時期が一致しない場合、処理が停止されて消耗部品の交換が行われ、処理が再開された後に、別な消耗部品の交換のために短時間で再び処理が停止される場合がある。この場合、複数の消耗部品の交換時期が近ければ、処理が停止されている間に複数の消耗部品の交換が行われた方が、処理の停止時間を短くすることができ、生産効率を向上させることができる。
【0144】
図22は、第3の実施形態における消耗部品の交換タイミングの一例を説明するための図である。本実施形態では、短い交換周期LT
shortの第1の消耗部品の交換時期t
sと、長い交換周期LT
longの第2の消耗部品の交換時期t
lとの時間差ΔLTが、交換周期LT
shortよりも短い場合、交換時期t
sにおいて第1の消耗部品および第2の消耗部品の両方が交換される。交換周期LT
shortは、第1の交換周期の一例であり、交換周期LT
longは、第2の交換周期の一例である。
【0145】
例えば、制御装置20は、第1の消耗部品の交換時期tsと第2の消耗部品の交換時期t1との間の時間差ΔLTが、交換周期LTshortよりも短い場合、第1の消耗部品の交換時期tsに基づく交換指示において、第2の消耗部品の交換も併せて指示する。これにより、処理の停止時間を短くすることができ、生産効率を向上させることができる。
【0146】
なお、1回の処理の停止期間で種類の異なる消耗部品を交換する場合、低い位置に取り付けられている消耗部品よりも高い位置に取り付けられている消耗部品の方を先に交換することが好ましい。例えば、制御装置20は、第1の消耗部品および第2の消耗部品のうち、処理装置40内に設けられている位置が高い方を先に交換するように部品運搬装置50に指示を出す。これにより、使用後の消耗部品を搬出する際に、既に交換された使用前の消耗部品の上に使用後の消耗部品から剥がれた反応副生成物等が落下することを防止することができる。
【0147】
(第4の実施形態)
第1から第3の実施形態における部品運搬装置50は、消耗部品の交換が必要な処理装置40に接続し、当該処理装置40内の消耗部品を交換する。これに対し、本実施形態における部品運搬装置50は、複数の処理装置40において、消耗部品の交換時期が近い場合には、1台の処理装置40に接続したままで、真空搬送室31を介して、他の処理装置40内の消耗部品の交換を行う。これにより、消耗部品の交換に伴う処理システム10の停止期間を短くすることができる。
【0148】
図23は、第4の実施形態におけるエッジリング423の交換方法の一例を説明するための図である。
図23では、処理装置40-1を介して、処理装置40-1のエッジリング423の交換と、処理装置40-2のエッジリング423の交換とが行われる例が示されている。処理装置40-1は、第1の処理装置の一例であり、処理装置40-2は、第2の処理装置の一例である。
【0149】
本実施形態において、制御装置20は、処理装置40-1の位置情報および部品運搬装置50が移動可能な経路の情報に基づいて、処理装置40-1の位置から処理装置40-2の位置まで部品運搬装置50が移動するのに要する移動時間を推定する。処理装置40-1の位置から処理装置40-2の位置まで部品運搬装置50が移動するのに要する移動時間は、第2の移動時間の一例である。
【0150】
また、制御装置20は、処理装置40-2の位置に移動した部品運搬装置50が処理装置40-2内のエッジリング423の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する準備時間を推定する。処理装置40-2の位置に移動した部品運搬装置50が処理装置40-2内のエッジリング423の交換が可能となる状態になるまでの準備に要する準備時間は、第2の準備時間の一例である。
【0151】
また、制御装置20は、処理装置40-1および真空搬送室31を介する処理装置40-2内のエッジリング423の交換に要する交換時間を推定する。そして、制御装置20は、推定された移動時間と準備時間との合計の時間が、推定された交換時間よりも長い場合、処理装置40-1および真空搬送室31を介して処理装置40-2内のエッジリング423を交換するように部品運搬装置50に指示を出す。これにより、消耗部品の交換に伴う処理システム10の停止期間を短くすることができる。
【0152】
なお、
図23の例では、真空搬送室31を介して処理装置40-1と対向する位置にある処理装置40-2内のエッジリング423が、処理装置40-1および真空搬送室31を介して交換されるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、処理装置40-1および真空搬送室31を介してエッジリング423が交換される処理装置40は、処理装置40-4等、処理装置40-2以外の処理装置40であってもよい。
【0153】
また、処理装置40を介して他の処理装置40のエッジリング423が交換される場合、部品運搬装置50が接続された処理装置40のエッジリング423よりも、他の処理装置40のエッジリング423から先に交換されることが好ましい。例えば、制御装置20は、推定された移動時間と準備時間の合計の時間が、推定された交換時間よりも長い場合、処理装置40-1内のエッジリング423よりも先に、処理装置40-2内のエッジリング423を交換するように部品運搬装置50に指示を出す。これにより、部品運搬装置50が接続された処理装置40に取り付けられた使用前のエッジリング423の上に、他の処理装置40から搬出された使用後のエッジリング423から剥がれた反応副生成物等が落下することを防止することができる。
【0154】
(第5の実施形態)
第1から第4の実施形態における部品運搬装置50では、消耗部品の交換が行われる際、カセット52およびロボットアーム53が収容される容器51内のガスが排気され減圧される。これに対し、本実施形態では、容器51内において、ロボットアーム53が収容される空間と、カセット52が収容される空間とがゲートバルブによって気密に仕切られ、ロボットアーム53が収容される空間内のガスが排気される。これにより、消耗部品の交換時に減圧される空間を小さくすることができ、予め定められた圧力まで減圧するのに要する時間を短縮することができる。
【0155】
図24は、第5の実施形態における部品運搬装置50の一例を示す図である。なお、以下に説明する点を除き、
図24において、
図9と同じ符号を付した構成は、
図9における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0156】
容器51内において、ロボットアーム53aおよび53bが収容される空間51aと、カセット52が収容される空間51bとは、ゲートバルブ517によって気密に仕切られている。エッジリング423の交換が行われる場合、ゲートバルブ517が開かれ、ロボットアーム53aによって使用前のエッジリング423がカセット52から取り出される。そして、ロボットアーム53aが空間51a内に退避した後にゲートバルブ517が閉じられる。そして、排気装置554によって空間51a内のガスが排気される。ゲートバルブ517が閉じられることにより、排気装置554によって排気される空間が小さくなり、予め定められた圧力まで減圧するのに要する時間を短縮することができる。容器51内において、ゲートバルブ512およびゲートバルブ517によって仕切られた空間51aは、ロードロック室の一例である。
【0157】
そして、空間51a内が予め定められた圧力まで減圧された後、ゲートバルブ512が開かれ、エッジリング423の交換が行われる。そして、エッジリング423の交換が終了してゲートバルブ512が閉じられた後、空間51a内が大気圧に戻され、ゲートバルブ517が開かれる。そして、ロボットアーム53bによって使用後のエッジリング423がカセット52内に収容される。
【0158】
そして、ロボットアーム53bが空間51a内に退避した後にゲートバルブ517が再び閉じられる。そして、排気装置554による空間51a内のガスの排気と、クリーニングユニット56によるエンドエフェクタ530bのクリーニングとが行われる。エンドエフェクタ530bのクリーニングが行われている間にゲートバルブ517が閉じられていることにより、クリーニングにより飛散するパーティクルがカセット52内に収容されている使用前のエッジリング423に付着することを防止することができる。
【0159】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0160】
例えば、上記した第1および第3~第5の実施形態において、部品運搬装置50は、制御装置20から交換指示を受信した後に容器51内の排気を開始するが、開示の技術はこれに限られない。例えば、部品運搬装置50は、交換指示を受信する前においても、容器51内の圧力が予め定められた圧力P2となるように容器51内の圧力を制御してもよい。これにより、部品運搬装置50は、制御装置20から交換指示を受信した場合に、より迅速に消耗部品の交換を開始することができる。
【0161】
また、上記した第1および第3~第5の実施形態において、排気装置554によって排気されたガスは、排気ポート557を介して部品運搬装置50の外部へ排出されるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、排気ポート557と、部品運搬装置50の外部に設けられた排気ガスを処理する装置とが可撓性のホースによって接続されてもよい。これにより、部品運搬装置50から排気されたガスのリサイクルが促進される。
【0162】
また、上記した第1および第3~第5の実施形態では、部品運搬装置50の容器51内が、部品運搬装置50の外部に設けられた排気装置に可撓性のホースを介して接続され、当該排気装置によって容器51内のガスが排気されてもよい。これにより、部品運搬装置50内に排気装置554を設けなくてもよいため、部品運搬装置50を小型化することができる。
【0163】
また、上記した第2の実施形態では、部品運搬装置50の容器51内のガスが処理装置40の排気システム46によって排気されるが、開示の技術はこれに限られない。例えば、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された場合に、部品運搬装置50の排気ポート557が排気システム46の排気ポートに接続されてもよい。この場合、部品運搬装置50の排気装置554によって排気されたガスが、排気システム46の排気ポートに排気される。これにより、部品運搬装置50から排気されたガスのリサイクルが促進される。
【0164】
また、上記した第5の実施形態において、ゲートバルブ512および517で仕切られた空間51a内のガスは、例えば第2の実施形態のように、処理装置40と部品運搬装置50とが接続された後に処理装置40内の排気システム46によって排気されてもよい。
【0165】
また、上記した各実施形態では、消耗部品の交換に関し、制御装置20がそれぞれの処理装置40およびそれぞれの部品運搬装置50を制御するが、開示の技術はこれに限られない。例えば、消耗部品の交換に関する制御機能は、複数の部品運搬装置50の中のいずれかの部品運搬装置50が代表の部品運搬装置50となって実現されてもよい。この場合、代表の部品運搬装置50は、消耗部品の交換に関するそれぞれの処理装置40の制御や状態の管理等を、制御装置20を介して行う。また、代表の部品運搬装置50は、制御装置20を介さずに、それぞれの他の部品運搬装置50と直接通信することにより、それぞれの他の部品運搬装置50の制御や状態の管理等を行ってもよい。
【0166】
また、上記した実施形態では、同一の部品運搬装置50によって、使用後の消耗部品が処理装置40内から搬出され、使用前の消耗部品が処理装置40内に搬入される。しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、使用後の消耗部品を処理装置40内から搬出する部品運搬装置50と、使用前の消耗部品を処理装置40内に搬入する部品運搬装置50とが別々に用意されてもよい。これにより、部品運搬装置50内に使用前の消耗部品と使用後の消耗部品の両方が収容されないため、使用後のエッジリング423から剥離した反応副生成物等によって使用前のエッジリング423が汚染されることを防止することができる。
【0167】
また、この場合、使用前の消耗部品を処理装置40内に搬入する部品運搬装置50は、真空搬送室31や大気搬送室33に接続されてもよい。真空搬送室31に接続された部品運搬装置50は、真空搬送室31内のロボットアーム310に使用前の消耗部品を渡す。ロボットアーム310は、受け取った使用前の消耗部品を、消耗部品の交換が必要な処理装置40内に搬入する。また、大気搬送室33に接続された部品運搬装置50は、大気搬送室33内のロボットアーム330に使用前の消耗部品を渡す。ロボットアーム330は、使用前の消耗部品をロードロック室32内に搬入する。ロードロック室32内に搬入された使用前の消耗部品は、真空搬送室31内のロボットアーム310によって、消耗部品の交換が必要な処理装置40内に搬入される。部品運搬装置50が大気搬送室33に接続される場合には、使用前の消耗部品を運搬する部品運搬装置50内に排気装置を設ける必要がなくなり、部品運搬装置50を小型化することができる。
【0168】
また、上記した各実施形態において、部品運搬装置50は、処理装置40と接続した場合に、処理装置40からの電源供給により、移動機構54内のバッテリを充電してもよい。
【0169】
また、上記した各実施形態において、部品運搬装置50は、センサ553によるセンシング結果を用いて移動機構54を制御することにより、制御装置20から指示された処理装置40の位置まで部品運搬装置50を自律的に移動させる。しかし、開示の技術はこれに限られない。例えば、部品運搬装置50は、ユーザの操縦により部品運搬装置50を移動させてもよい。この場合、部品運搬装置50は、制御装置20から指示された処理装置40の位置およびその移動経路を表示装置等に表示することにより、ユーザに通知してもよい。
【0170】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0171】
W 基板
10 処理システム
20 制御装置
210 予約テーブル
30 処理グループ
31 真空搬送室
32 ロードロック室
33 大気搬送室
40 処理装置
41 チャンバ
42 支持部
421 下部電極
4214 凸部
422 静電チャック
423 エッジリング
4230 凹部
43 上部電極シャワーヘッドアセンブリ
44 ガス供給部
45 RF電力供給部
46 排気システム
50 部品運搬装置
51 容器
52 カセット
53 ロボットアーム
530 エンドエフェクタ
54 移動機構
553 センサ
554 排気装置
56 クリーニングユニット
57 位置ずれ検出センサ