(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】基板処理装置およびガス供給配管のパージ方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20231106BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20231106BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H01L21/302 101M
H01L21/205
H01L21/302 101C
H01L21/302 102
C23C16/44 J
(21)【出願番号】P 2020104219
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 純一
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054234(JP,A)
【文献】特開2017-092310(JP,A)
【文献】特開2007-073541(JP,A)
【文献】特開2007-123645(JP,A)
【文献】特開2006-128341(JP,A)
【文献】特開平9-246257(JP,A)
【文献】特開平7-283152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部において腐食性の処理ガスにより基板に処理を施す処理チャンバと、
前記処理チャンバに接続され、前記処理チャンバの内部まで連通しているガス供給配管と、
前記ガス供給配管に第1のバルブを介して接続され、前記処理ガスを前記ガス供給配管に導入する処理ガス配管と、
前記第1のバルブの前記処理チャンバ側において、前記ガス供給配管に第2のバルブを介して接続され、パージガスを前記ガス供給配管に導入するパージガス配管と、
前記第1のバルブが閉じている状態で、前記処理チャンバの内部への大気導入と連動して前記第2のバルブを開放する連動開放部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記処理チャンバは、本体と蓋とにより密閉して構成され、
前記大気導入は、前記蓋を前記本体から離脱させることで、前記処理チャンバの内部に大気を導入する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記連動開放部は、前記蓋が前記本体から離脱することに基づいて、前記第2のバルブを開放する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記連動開放部は、前記蓋の前記本体からの離脱をメカニカルバルブにより検出し、前記メカニカルバルブに接続された駆動用配管に前記パージガス配管から分岐して供給されるパージガスにより、前記第2のバルブを開放する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記パージガスは、ドライエアである、
請求項1~4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板処理装置におけるガス供給配管のパージ方法であって、
内部において腐食性の処理ガスにより基板に処理を施す処理チャンバに接続されたガス供給配管に第1のバルブを介して接続され、前記処理ガスを前記ガス供給配管に導入する処理ガス配管の前記第1のバルブを閉じる工程と、
前記第1のバルブの前記処理チャンバ側において、前記ガス供給配管に第2のバルブを介して接続されるパージガス配管の前記第2のバルブを、前記処理チャンバの内部への大気導入と連動して開放し、パージガスを前記ガス供給配管に導入する工程と、
を有するガス供給配管のパージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置およびガス供給配管のパージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置では、素子形成に関する処理を実行するために、処理チャンバに対して、しばしば腐食性の処理ガスが供給配管を通して供給される。基板処理装置は、定期的に行われるメンテナンスの際に処理チャンバの蓋が開けられて、処理チャンバ内部が大気に曝される。このとき、処理チャンバに連通する供給配管内にも大気が入り込み、供給配管内に残留した処理ガスが大気中の水分と反応して、例えばHCl等の腐食性の物質を生成する。この腐食性の物質が供給配管内を腐食することで、パーティクルの原因となる。供給配管内の腐食を抑えるために、処理チャンバの蓋を開ける大気開放の前からパージガスを流すことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、供給配管内の腐食を抑制しつつ、より安全に処理チャンバを大気開放できる基板処理装置およびガス供給配管のパージ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、処理チャンバと、ガス供給配管と、処理ガス配管と、パージガス配管と、連動開放部とを有する。処理チャンバは、内部において腐食性の処理ガスにより基板に処理を施す処理チャンバである。ガス供給配管は、処理チャンバに接続され、処理チャンバの内部まで連通している配管である。処理ガス配管は、ガス供給配管に第1のバルブを介して接続され、処理ガスをガス供給配管に導入する。パージガス配管は、第1のバルブの処理チャンバ側において、ガス供給配管に第2のバルブを介して接続され、パージガスをガス供給配管に導入する。連動開放部は、第1のバルブが閉じている状態で、処理チャンバの内部への大気導入と連動して第2のバルブを開放する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、供給配管内の腐食を抑制しつつ、より安全に処理チャンバを大気開放できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるパージ治具の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、各シャワープレートに対するパージ流量の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、パージ処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する基板処理装置およびガス供給配管のパージ方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
基板処理装置のメンテナンスにおいて、供給配管内の腐食を抑えるために、処理チャンバの蓋を開ける大気開放の前から供給配管内にパージガスを供給すると、処理チャンバ内が陽圧となり処理チャンバの蓋の開放とともに一気に内部のパージガスが噴き出し、安全上好ましくない場合がある。一方、処理チャンバの蓋を開放した後に供給配管内にパージガスを供給すると、供給配管内に大気が入ってしまい、供給配管内が腐食する場合がある。そこで、供給配管内の腐食を抑制しつつ、より安全に処理チャンバを大気開放することが期待されている。
【0010】
[基板処理装置1の構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す概略断面図である。本実施形態における基板処理装置1は、例えばプラズマ処理装置であり、誘導結合プラズマ(ICP)を生成し、生成されたプラズマを用いて、矩形状の基板Gに対し、エッチングやアッシング、成膜等のプラズマ処理を施す。本実施形態において、基板Gは、例えばFPD(Flat Panel Display)用のガラス基板である。
【0011】
基板処理装置1は、本体部10および制御装置20を有する。本体部10は、例えば、内壁面が陽極酸化処理されたアルミニウム等の導電性材料によって形成された角筒形状の気密な処理チャンバ30を有する。処理チャンバ30は接地されている。処理チャンバ30は、上部の蓋31と、下部の本体32とが、複数のシャワープレート33を有する隔壁31aにより区画されている。隔壁31aは、誘電体窓または金属窓を有する。隔壁31aと本体32とで囲まれる空間が処理室32aとなる。蓋31と本体32とは、通常時は密閉しているがA-A面で分割可能であり、メンテナンス時には、蓋31側が例えば上方向に移動して離脱することで、本体32内(処理室32a)が大気開放される。
【0012】
各シャワープレート33には、それぞれガス供給配管34が接続される。各ガス供給配管34は、処理チャンバ30の外部から供給されるガスを各シャワープレート33に導入するための配管である。ガス供給配管34からシャワープレート33に供給されたガスは、シャワープレート33内の図示しない拡散室で拡散され、ガス吐出孔33aから処理室32aへ供給される。
【0013】
ガス供給配管34は、第1のバルブ35を介して処理ガス配管36に接続される。つまり、ガス供給配管34は、処理チャンバ30の外部から処理チャンバ30の内部のシャワープレート33まで連通している。処理ガス配管36は、FRC(Flow Ratio Controller)37、蓋側バルブ38および本体側バルブ39を介して、処理ガス供給部40に接続されている。FRC37は、処理ガス供給部40内のMFC(Mass Flow Controller)等の流量制御器で決定された流量を所定の比率に分配する。すなわち、図示はしないが、処理ガス配管36は、蓋側バルブ38までは例えば1本であり、蓋側バルブ38からFRC37までの間で複数の処理ガス配管36に分岐する。分岐した各処理ガス配管36には、それぞれFRC37および第1のバルブ35が設けられ、各第1のバルブ35に、それぞれのガス供給配管34が接続されている。各ガス供給配管34は、隔壁31aの異なる領域に位置するシャワープレート33にそれぞれ接続され、各FRC37のガス配分を調節することによって処理ガスの供給分布を制御することができる。蓋側バルブ38および本体側バルブ39は、蓋31を開放する場合に閉じることで、処理ガス配管36を蓋31側と本体32側とに分割可能とするためのバルブである。
【0014】
処理ガス供給部40は、ガス供給源、MFC等の流量制御器、およびバルブを有する。流量制御器は、バルブが開かれた状態で、ガス供給源から供給された処理ガスの流量を制御し、流量が制御された処理ガスを処理ガス配管36へ供給する。処理ガスは、例えば、O2ガスや、Cl2ガス、BCl3ガスといった塩素系のガス(腐食性のガス)、あるいはこれらの混合ガス等である。また、処理ガス供給部40は、同様にN2ガス等の不活性ガスを処理ガス配管36へ供給する。
【0015】
各第1のバルブ35のシャワープレート33側の各ガス供給配管34には、それぞれ第2のバルブ41を介して各パージガス配管42が接続される。各パージガス配管42は、フランジ43を介してパージ治具44に接続される。第2のバルブ41は、パージガス配管42から供給されるパージガスのガス供給配管34への供給/停止を切り替える。また、第2のバルブ41は、エア駆動方式のバルブであり、メカニカルバルブ45を介して駆動用配管49が接続される。駆動用配管49は、パージ治具44に接続されている。フランジ43は、各パージガス配管42を分割可能に接続するためのものである。各パージガス配管42は、フランジ43において、処理チャンバ30側とパージ治具44側とに分割することができる。つまり、フランジ43は、メンテナンス時にパージ治具44を接続し、パージガスを供給するメンテナンスガスポートである。
【0016】
メカニカルバルブ45は、機械的な動作で開閉を制御することができるバルブである。メカニカルバルブ45は、バルブ部46と検出部47とを有する。バルブ部46は、駆動用配管49から導入されるパージガスの供給/停止を切り替えることで、第2のバルブ41の開閉を制御する。検出部47は、バルブ部46の開閉を制御するスイッチであり、蓋31側に設けられる。検出部47と対向する本体32側の位置には、検出部47を押下するためのブロック48が設けられている。蓋31が閉じている場合、検出部47はブロック48と接触して押下されている状態であり、バルブ部46は閉である。一方、蓋31が開いている(蓋31が本体32から離脱している)場合、検出部47はブロック48から離れ、押下されていない状態となり、バルブ部46は開である。なお、
図1では、バルブ部46と検出部47とが離れた位置にあるように図示されているが、バルブ部46と検出部47は一体化されており、バルブ部46と検出部47とは機械的に接続されている。なお、駆動用配管49は、メカニカルバルブ45と分離可能に接続されている。
【0017】
パージ治具44は、パージガス供給配管50を介してパージガス供給部51に接続されている。パージガス供給部51は、ガス供給源、MFC等の流量制御器、およびバルブを有する。流量制御器は、バルブが開かれた状態で、ガス供給源から供給されたパージガスの流量を制御し、流量が制御されたパージガスをパージガス供給配管50へ供給する。パージガスは、例えば、ドライエア等を用いることができる。なお、パージ治具44は、処理チャンバ30内のクリーニングのために、水蒸気を供給可能としてもよい。
【0018】
ここで、
図2を用いてパージ治具44について説明する。
図2は、本実施形態におけるパージ治具の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、パージ治具44は、パージガス供給配管50側から順に、ハンドバルブ52、レギュレータ53、複数の流量計55、複数のニードル弁56および複数のフィルタ57を有し、パージ治具44外のフランジ43を介して各パージガス配管42に接続されている。また、ハンドバルブ52とレギュレータ53との間を接続する配管から配管49aが分岐し、パージ治具44外の駆動用配管49に接続されている。また、パージ治具44は、蓋31を開けるメンテナンス時に設置され、フランジ43を介して処理チャンバ30側の各パージガス配管42と、パージ治具44側の各パージガス配管42とが接続される。さらに、メンテナンス時には、駆動用配管49もメカニカルバルブ45に接続される。なお、パージ治具44は、通常時においても基板処理装置1の一部分として設置されていてもよい。
【0019】
ハンドバルブ52は、パージガス供給配管50を介してパージガス供給部51から供給されるパージガスを手動で開閉するバルブである。ハンドバルブ52は、パージ治具44の設置後に、各パージガス配管42および駆動用配管49の接続が確認されると、作業者によって開放される。レギュレータ53は、各パージガス配管42へ供給するパージガスの圧力を調整する。圧力計54は、レギュレータ53における圧力を計測する。レギュレータ53の出力側の配管42aは分岐しており、複数の流量計55にそれぞれ接続する。各流量計55は、各パージガス配管42へ出力するパージガスの流量を計測する。ニードル弁56は、各パージガス配管42の流量を調整する。フィルタ57は、パージガス中の微粒子等を除去するためのフィルタである。
【0020】
ここで、
図3を用いて各シャワープレート33に対するパージガスの流量の一例を説明する。
図3は、各シャワープレート33に対するパージ流量の一例を示す図である。
図3に示すガス供給配管34aは、複数のガス供給配管34のうちの1つを抜き出したものである。ガス供給配管34aは、さらに、各シャワープレート33に接続される複数のガス供給配管34bに分岐する。
図3の例では、ガス供給配管34aに例えば52L/minのパージガスが供給されると、パージガスは、ガス供給配管34bのそれぞれに均等に分配される。各ガス供給配管34bは、各シャワープレート33に6.5L/minのパージガスを供給する。パージガスとしてドライエアを用いる場合、各シャワープレート33に対して5L/min以上のドライエアパージを行うことができれば、大気のガス供給配管34への侵入を抑制することができる。従って、
図3の例では、ガス供給配管34,34a,34b内およびシャワープレート33内の腐食を抑制することができる。
【0021】
図1の説明に戻る。蓋31内には、アンテナ60が設置されている。アンテナ60は、銅等の導電性の高い金属により環状や渦巻状等の任意の形状に形成されている。アンテナ60は、図示しないスペーサにより隔壁31aから離間している。
【0022】
アンテナ60には、整合器61を介して高周波電源62が接続されている。高周波電源62は、整合器61を介してアンテナ60に、例えば13.56MHzの周波数の高周波電力を供給する。これにより、アンテナ60の下方にある処理室32a内に誘導電界が形成される。処理室32a内に形成された誘導電界により、シャワープレート33から供給された処理ガスがプラズマ化され、処理室32a内に誘導結合プラズマが生成される。高周波電源62およびアンテナ60は、プラズマ生成機構の一例である。
【0023】
本体32の底部には、基板Gを載置する載置台70が配置されている。載置台70は、基板Gの形状に対応した四角板状または四角柱状に形成されている。載置台70の上面において基板Gを載置する載置面には、基板Gを保持するための静電チャック(図示せず)が形成されており、プラズマ処理が行われている間、基板Gは載置台70に固定される。
【0024】
載置台70には、整合器71および高周波電源72が接続されている。高周波電源72は、整合器71を介して載置台70に、バイアス用の高周波電力を供給する。高周波電源72は、バイアス電力供給機構の一例である。整合器71を介して載置台70にバイアス用の高周波電力が供給されることにより、載置台70に載置された基板Gにイオンが引き込まれる。高周波電源72によって載置台70に供給される高周波電力の周波数は、例えば50kHz~10MHzの範囲の周波数であり、例えば6MHzである。また、載置台70には、図示はしないが伝熱ガスを供給するための配管、温度調節機構およびリフトピン等が設けられている。
【0025】
本体32の側面には、基板Gを搬出入するための図示しない開口およびゲートバルブが設けられている。また、本体32の底部の外周側には、複数の排気口73が形成されている。各排気口73には、それぞれ排気管74およびAPC(Auto Pressure Controller)バルブ75を介して、真空ポンプ76が接続されている。真空ポンプ76により処理室32a内が排気され、APCバルブ75の開度が調整されることにより、処理室32a内の圧力が所定の圧力に維持される。
【0026】
制御装置20は、メモリ、プロセッサ、および入出力インターフェイスを有する。制御装置20内のプロセッサは、制御装置20内のメモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置20の入出力インターフェイスを介して本体部10の各部を制御する。
【0027】
[ガス供給配管のパージ方法]
次に、本実施形態におけるガス供給配管のパージ方法について説明する。
図4は、パージ処理の一例を示すフローチャートである。
図4では、蓋31の上部にパージ治具44を設置し、各パージガス配管42および駆動用配管49を処理チャンバ30側に接続し、パージガス供給配管50をパージガス供給部51に接続した状態から説明を開始する。
【0028】
制御装置20は、処理ガス供給部40からガス供給配管34に、N2ガスを供給させる(ステップS1)。N2ガスは、処理ガス配管36および第1のバルブ35を経由してガス供給配管34に導入される。次に、制御装置20は、第1のバルブ35を閉じ(ステップS2)、N2ガスの供給を停止させる。つまり、処理ガス配管36にN2ガスが封入された状態となる。また、制御装置20は、蓋側バルブ38および本体側バルブ39を閉じる。その後、作業者によって基板処理装置1の電源が落とされる。このとき、パージ治具44は、各パージガス配管42および駆動用配管49にパージガスを供給している状態である。
【0029】
基板処理装置1の電源が落とされた状態で、作業者により蓋31が本体32から離脱され、処理チャンバ30の内部に大気が導入される。つまり、処理室32aが大気開放される。メカニカルバルブ45は、検出部47で蓋31の本体32からの離脱を検出し、バルブ部46を開放する。第2のバルブ41は、バルブ部46が開放されて供給されるパージガスにより開放される。第2のバルブ41が開放されると、各パージガス配管42のパージガスは、ガス供給配管34に供給される。すなわち、処理チャンバ30の大気開放に連動して、ガス供給配管34にパージガスが供給される(ステップS3)。
【0030】
ガス供給配管34に供給されたパージガスは、シャワープレート33のガス吐出孔33aから吐出され続けるので、ガス供給配管34内への大気の侵入を阻止し、ガス供給配管34内の腐食を抑制することができる。また、ガス供給配管34へのパージガスの供給は、人の手を介さず処理チャンバ30の大気開放に連動して開始されるため、大気開放時に処理チャンバ30内が陽圧とならず、より安全に処理チャンバを大気開放することができる。
【0031】
以上、各実施形態によれば、基板処理装置1は、処理チャンバ30と、ガス供給配管34と、処理ガス配管36と、パージガス配管42と、連動開放部(メカニカルバルブ45)とを有する。処理チャンバ30は、内部において腐食性の処理ガスにより基板Gに処理を施す処理チャンバである。ガス供給配管34は、処理チャンバ30に接続され、処理チャンバ30の内部まで連通している配管である。処理ガス配管36は、ガス供給配管34に第1のバルブ35を介して接続され、処理ガスをガス供給配管34に導入する。パージガス配管42は、第1のバルブ35の処理チャンバ30側において、ガス供給配管34に第2のバルブ41を介して接続され、パージガスをガス供給配管34に導入する。連動開放部は、第1のバルブ35が閉じている状態で、処理チャンバ30の内部への大気導入と連動して第2のバルブ41を開放する。その結果、ガス供給配管34内の腐食を抑制しつつ、より安全に処理チャンバ30を大気開放することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、処理チャンバ30は、本体32と蓋31とにより密閉して構成される。また、大気導入は、蓋31を本体32から離脱させることで、処理チャンバ30の内部に大気を導入する。その結果、蓋31を本体32から離脱させたタイミングで、処理チャンバ30を大気開放することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、連動開放部は、蓋31が本体32から離脱することに基づいて、第2のバルブ41を開放する。その結果、蓋31を本体32から離脱させたタイミングで、ガス供給配管34にパージガスを供給することができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、連動開放部は、蓋31の本体32からの離脱をメカニカルバルブ45により検出し、メカニカルバルブ45に接続された駆動用配管49にパージガス配管42から分岐して供給されるパージガスにより、第2のバルブ41を開放する。その結果、基板処理装置1の電源が落とされた状態でも、ガス供給配管34にパージガスを供給することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、パージガスは、ドライエアである。その結果、ガス供給配管34内の腐食を抑制することができる。また、大気開放時にパージガスを供給し続けても作業者に影響を及ぼさない。
【0036】
また、本実施形態によれば、基板処理装置1におけるガス供給配管のパージ方法は、内部において腐食性の処理ガスにより基板Gに処理を施す処理チャンバ30に接続されたガス供給配管34に第1のバルブ35を介して接続され、処理ガスをガス供給配管34に導入する処理ガス配管36の第1のバルブ35を閉じる工程と、第1のバルブ35の処理チャンバ30側において、ガス供給配管34に第2のバルブ41を介して接続されるパージガス配管42の第2のバルブ41を、処理チャンバ30の内部への大気導入と連動して開放し、パージガスをガス供給配管34に導入する工程と、を有する。その結果、ガス供給配管34内の腐食を抑制しつつ、より安全に処理チャンバ30を大気開放することができる。
【0037】
なお、上記した実施形態では、プラズマ源の一例として、誘導結合型の基板処理装置として説明したが、他のプラズマ源を備えた基板処理装置であってもよい。誘導結合プラズマ以外のプラズマ源としては、例えば、容量結合型プラズマ(CCP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(ECP)、およびヘリコン波励起プラズマ(HWP)等が挙げられる。
【0038】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形体で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 基板処理装置
10 本体部
20 制御装置
30 処理チャンバ
31 蓋
31a 隔壁
32 本体
32a 処理室
33 シャワープレート
34 ガス供給配管
35 第1のバルブ
36 処理ガス配管
40 処理ガス供給部
41 第2のバルブ
42 パージガス配管
43 フランジ
44 パージ治具
45 メカニカルバルブ
49 駆動用配管
50 パージガス供給配管
51 パージガス供給部
60 アンテナ
61,71 整合器
62,72 高周波電源
70 載置台
G 基板