(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】温度制御装置、温度制御方法、および載置台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231106BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/02 Z
(21)【出願番号】P 2021102840
(22)【出願日】2021-06-22
(62)【分割の表示】P 2016199843の分割
【原出願日】2016-10-11
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 克之
(72)【発明者】
【氏名】金子 健吾
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-006875(JP,A)
【文献】特開平11-354527(JP,A)
【文献】特開2016-100473(JP,A)
【文献】特開2016-165006(JP,A)
【文献】特開2016-001638(JP,A)
【文献】特開2005-197161(JP,A)
【文献】特表2014-525664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に配置され、複数の分割領域を有する静電チャックと、
前記複数の分割領域にそれぞれ対応する複数の制御ブロックと
を備え、
前記静電チャックは、第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する絶縁層を含み、
前記複数の分割領域の各々は、
前記絶縁層の前記第1の面に配置される第1のヒータと、
前記絶縁層の前記第1の面又は前記第2の面に配置され、前記第1のヒータと並列に接続される第2のヒータと、
を含み、
前記複数の制御ブロックの各々は、
対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに接続される電流計と、
前記電流計からの出力に基づいて、対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流を制御するように構成される電流制御部と、
を含み、
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータが断線していない場合、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに電流が流れ
、
前記電流計は、並列に接続された前記第1のヒータおよび前記第2のヒータと、前記電流制御部とを接続する配線に接続されている、温度制御装置。
【請求項2】
前記第2のヒータは、前記絶縁層の前記第2の面に配置される、請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記電流制御部は、
対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流の合計値が第1の閾値未満である場合に、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流を増大させる、請求項1または2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記第1の閾値は、前記分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのいずれも断線していない場合に、当該分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値である、請求項3に記載の温度制御装置。
【請求項5】
基材と、
前記基材上に配置され、複数の分割領域を有する静電チャックと、
前記複数の分割領域にそれぞれ対応する複数の制御ブロックと
を備え、
前記静電チャックは、第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する絶縁層を含み、
前記複数の分割領域の各々は、
前記絶縁層の前記第1の面に配置される第1のヒータと、
前記絶縁層の前記第1の面又は前記第2の面に配置され、前記第1のヒータと並列に接続される第2のヒータと、
を含み、
前記複数の制御ブロックの各々は、
対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに接続される電流計と、
前記電流計からの出力に基づいて、対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流を制御するように構成される電流制御部と、
を含み、
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータが断線していない場合、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに電流が流れ、
前記複数の分割領域のうちの第1の分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのいずれかのヒータが断線していると判定した場合に、前記第1の分割領域に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流を、前記複数の分割領域のうちの、いずれのヒータも断線していない第2の分割領域に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように前記電流制御部を制御するように構成される第1制御部をさらに備える
、温度制御装置。
【請求項6】
基材と、
前記基材上に配置され、複数の分割領域を有する静電チャックと、
前記複数の分割領域にそれぞれ対応する複数の制御ブロックと
を備え、
前記静電チャックは、第1の面と前記第1の面の反対側にある第2の面とを有する絶縁層を含み、
前記複数の分割領域の各々は、
前記絶縁層の前記第1の面に配置される第1のヒータと、
前記絶縁層の前記第1の面又は前記第2の面に配置され、前記第1のヒータと並列に接続される第2のヒータと、
を含み、
前記複数の制御ブロックの各々は、
対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに接続される電流計と、
前記電流計からの出力に基づいて、対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流を制御するように構成される電流制御部と、
を含み、
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータが断線していない場合、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに電流が流れ、
前記複数の分割領域毎に、前記分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる電流の合計値が、いずれのヒータも断線していない場合に前記分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる電流の合計値よりも小さい第1の閾値未満であり、かつ、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上である場合に、当該分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのいずれかが断線していると判定するように構成される第1制御部をさらに備える
、温度制御装置。
【請求項7】
前記第1の閾値は、前記分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのいずれも断線していない場合に、当該分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値であり、前記第2の閾値は、0に所定のマージンを加えた値である、請求項6に記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記第2のヒータは、前記絶縁層の前記第2の面に配置される、請求項5から7のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記第1制御部は、
前記複数の分割領域において、当該分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータのいずれかのヒータが断線していると判定した場合に、いずれかのヒータが断線している分割領域内に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流の√2倍となるように制御する、請求項5から
8のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記電流制御部は、
前記分割領域内の前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに供給される電流の合計値を前記第1制御部から指示された値となるように制御し、
前記複数の制御ブロックは、
所定の電圧を有する電力を生成して出力するように構成された電圧制御部と、
前記電圧制御部から出力される前記電力に応じて前記分割領域内の前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる前記電流の前記合計値を測定し、電流の前記合計値に関する情報を前記第1制御部に通知する電流計と、
前記電圧制御部から出力される前記電力を、前記電流制御部は前記電流計に出力するように構成されたスイッチをさらに含む、請求項5から
9のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記第1制御部は、
前記所定の電圧を有する電力を生成するように前記電圧制御部を制御し、
所定のタイミングで前記複数の分割領域のそれぞれに対して、前記電圧制御部から前記電流計に前記電力を出力するように前記スイッチを制御し、
前記分割領域内の前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに流れる前記電流の前記合計値を測定するように前記電流計を制御し、
前記電流計による前記電流の前記合計値の測定が前記複数の分割領域に対して完了したとき、前記電圧制御部から前記電流制御部に前記電力を出力するように前記複数の制御ブロックのそれぞれの前記スイッチを制御する、請求項
10に記載の温度制御装置。
【請求項12】
前記第1制御部は、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータが断線しているという判定に応じて、外部装置に通知するように構成された、請求項5から
11のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項13】
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータは、抵抗ヒータである請求項1から
12のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項14】
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータは、半導体ヒータである請求項1から
12のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項15】
前記第1のヒータ及び前記第2のヒータは、ペルチェ素子である請求項1から
12のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項16】
前記電流制御部は、
対応する分割領域に含まれる前記第1のヒータ及び前記第2のヒータに対し、電流を独立的に制御する、請求項1から
15のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項17】
前記複数の分割領域において、前記第1のヒータ及び前記第2のヒータの抵抗値は互いに略同一である、請求項1から
16のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項18】
前記複数の制御ブロックは、少なくとも1つの制御ボード上に提供される、請求項1から
17のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項19】
被処理基板を載置する載置台と、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に複数含まれるヒータと、
前記ヒータを制御する制御部と
を備え、
それぞれの前記分割領域に含まれる複数のヒータは、並列接続され、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れ、
前記制御部は、
それぞれの前記分割領域において、当該分割領域に含まれる一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に含まれる断線しているヒータとは別のヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御し、
前記制御部は、並列に接続された複数の前記ヒータと、前記制御部とを接続する配線に接続されている電流計からの出力に基づいて、複数の前記ヒータに供給される電流を制御するように構成される、温度制御装置。
【請求項20】
前記載置台は、積層された複数の絶縁層を含み、
前記分割領域に含まれる複数のヒータのそれぞれは、前記複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されている、請求項
19に記載の温度制御装置。
【請求項21】
被処理基板を載置する載置台と、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に複数含まれるヒータと、
前記ヒータを制御する制御部と
を備え、
それぞれの前記分割領域に含まれる複数のヒータは、並列接続され、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れ、
前記制御部は、
それぞれの前記分割領域において、当該分割領域に含まれる一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に含まれる断線しているヒータとは別のヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御し、
それぞれの前記分割領域には、並列に接続されている2つのヒータが埋め込まれており、
前記制御部は、
前記分割領域毎に、前記分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値が、いずれのヒータも断線していない場合に前記分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値よりも小さい第1の閾値未満であり、かつ、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上である場合に、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定する
、温度制御装置。
【請求項22】
前記載置台は、積層された複数の絶縁層を含み、
前記分割領域に含まれる複数のヒータのそれぞれは、前記複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されている、請求項21に記載の温度制御装置。
【請求項23】
前記ヒータは、抵抗ヒータであり、
前記第1の閾値は、いずれのヒータも断線していない場合に前記分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値であり、
前記第2の閾値は、0に所定のマージンを加えた値である、請求項
21または22に記載の温度制御装置。
【請求項24】
前記制御部は、
それぞれの前記分割領域において、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に埋め込まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流の√2倍となるように制御する、請求項
23に記載の温度制御装置。
【請求項25】
制御部によって実行され、載置台の上に載置された被処理基板の温度を制御する温度制御方法であって、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に含まれ、並列に接続されている複数のヒータに流れる電流を、前記分割領域毎に測定するステップと、
前記分割領域毎の電流の測定値に基づいて、前記分割領域毎に含まれている一部のヒータの断線の有無を判定するステップと、
それぞれの前記分割領域において、当該分割領域に含まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、
並列に接続された複数の前記ヒータと、前記制御部とを接続する配線に接続されている電流計からの出力に基づいて、一部のヒータが断線している分割領域内に含まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御するステップと
を含み、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れる、温度制御方法。
【請求項26】
前記載置台は、積層された複数の絶縁層を含み、
前記分割領域に含まれる複数のヒータのそれぞれは、前記複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されている、請求項
25に記載の温度制御方法。
【請求項27】
被処理基板を載置する載置台であって、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に含まれる複数のヒータを備え、
それぞれの前記分割領域に含まれる複数のヒータは並列に接続されており、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れ、
前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに供給される電流に基づいて、当該分割領域に含まれる前記ヒータに供給される電流が制御され、
複数の前記ヒータに供給される電流は制御部によって制御され、
前記制御部は、並列に接続された複数の前記ヒータと、前記制御部とを接続する配線に接続されてい電流計からの出力に基づいて、複数の前記ヒータに供給される電流を制御する、載置台。
【請求項28】
前記載置台は、積層された複数の絶縁層を含み、
前記分割領域に含まれる複数のヒータのそれぞれは、前記複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されている、請求項
27に記載の載置台。
【請求項29】
前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに供給される電流の合計値が第1の閾値未満である場合に、複数の前記ヒータに供給される電流を増大させる、請求項
27または
28に記載の載置台。
【請求項30】
前記第1の閾値は、前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータのいずれも断線していない場合に、当該分割領域に含まれる複数の前記ヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値である、請求項
29に記載の載置台。
【請求項31】
被処理基板を載置する載置台であって、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に含まれる複数のヒータを備え、
それぞれの前記分割領域に含まれる複数のヒータは並列に接続されており、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れ、
前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに供給される電流に基づいて、当該分割領域に含まれる前記ヒータに供給される電流が制御され、
複数の前記分割領域のうちの第1の分割領域に含まれる複数の前記ヒータのいずれかのヒータが断線している場合に、前記第1の分割領域に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流が、複数の前記分割領域のうちの、いずれのヒータも断線していない第2の分割領域に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御される
、載置台。
【請求項32】
被処理基板を載置する載置台であって、
前記載置台の内部であって、前記載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に含まれる複数のヒータを備え、
それぞれの前記分割領域に含まれる複数のヒータは並列に接続されており、
複数の前記ヒータが断線していない場合、複数の前記ヒータに電流が流れ、
前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに供給される電流に基づいて、当該分割領域に含まれる前記ヒータに供給される電流が制御され、
複数の前記分割領域毎に、前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに流れる電流の合計値が、いずれのヒータも断線していない場合に前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータに流れる電流の合計値よりも小さい第1の閾値未満であり、かつ、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上である場合に、当該分割領域に含まれる複数の前記ヒータのいずれかが断線していると判定される
、載置台。
【請求項33】
前記第1の閾値は、前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータのいずれも断線していない場合に、当該分割領域に含まれる複数の前記ヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値であり、前記第2の閾値は、0に所定のマージンを加えた値である、請求項
32に記載の載置台。
【請求項34】
前記載置台は、積層された複数の絶縁層を含み、
前記分割領域に含まれる複数のヒータのそれぞれは、前記複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されている、請求項31から33のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項35】
複数の前記分割領域に含まれる複数の前記ヒータのいずれかのヒータが断線している場合に、当該分割領域内に含まれるヒータ1つ当たりに流す電流が、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流の√2倍となるように制御される、請求項
31から
34のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項36】
複数の前記ヒータは、抵抗ヒータである請求項
27から
35のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項37】
複数の前記ヒータは、半導体ヒータである請求項
27から
35のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項38】
複数の前記ヒータは、ペルチェ素子である請求項
27から
35のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項39】
複数の前記分割領域において、複数の前記ヒータの抵抗値は互いに略同一である、請求項
27から
38のいずれか一項に記載の載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面および実施形態は、温度制御装置、温度制御方法、および載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造プロセスでは、被処理基板である半導体ウエハの温度が、半導体の特性を左右する重要な要素の一つである。そのため、製造プロセスでは、半導体ウエハの温度を高い精度で制御することが求められる。これを実現するため、例えば、半導体ウエハを載置する載置台を複数の領域に分割し、分割されたそれぞれの領域に独立制御が可能なヒータを設けることが考えられる。
【0003】
また、製造プロセスでは、処理ガスの温度や圧力、高周波電力の分布、処理ガスの流れ等の要因により、半導体ウエハ上で局所的に温度分布の偏りが生じる場合がある。これを抑制するために、載置台の領域をより細かく分割し、それぞれの領域に埋め込まれたヒータにより、各領域の温度を独立に制御することが考えられる。
【0004】
載置台の領域の分割数が多くなると、それぞれの領域の面積が小さくなり、それぞれの領域に埋め込まれるヒータのサイズも小さくなる。ヒータのサイズが小さくなると、所定の熱量を発生させるためにはヒータを細くすることになる。これにより、ヒータの断線リスクが高まる。載置台の領域は、数百以上の領域に分割される場合があり、その中の一部の領域内においてヒータが断線すると、載置台全体を交換することになり、半導体の製造コストが増加する。
【0005】
これを回避するために、一部のヒータが断線した場合、その周辺のヒータの熱量を制御することにより、断線したヒータの周辺のヒータで、断線したヒータが発生させるべき熱量を補完する自動修正方法が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の自動修正方法では、断線したヒータが、断線していないヒータに隣接している場合には、断線したヒータが発生させるべき熱量を、周辺のヒータにより補完することが可能である。しかし、隣接する複数のヒータが断線した場合には、断線したヒータと断線していないヒータとが隣接していない場合がある。そのような場合には、断線したヒータが発生させるべき熱量を、周辺のヒータにより補完することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、温度制御装置であって、載置台と、複数のヒータと、制御部とを備える。載置台は、被処理基板を載置する。複数のヒータは、載置台の内部であって、載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に埋め込まれている。制御部は、分割領域毎に、分割領域に埋め込まれている複数のヒータに流れる電流の合計値に基づいて、分割領域毎に埋め込まれている一部のヒータの断線の有無を判定する。また、それぞれの分割領域に埋め込まれている複数のヒータは並列に接続されている。また、制御部は、それぞれの分割領域において、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に埋め込まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の種々の側面および実施形態によれば、ヒータが断線した場合でも被処理基板の温度制御の精度を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、基板処理装置の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、静電チャックの上面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、各分割領域に設けられたヒータの構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、制御ボードの一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、温度制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、各分割領域に設けられたヒータの構造の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示する温度制御装置は、1つの実施形態において、載置台と、複数のヒータと、制御部とを備える。載置台は、被処理基板を載置する。複数のヒータは、載置台の内部であって、載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に埋め込まれている。制御部は、分割領域毎に、分割領域に埋め込まれている複数のヒータに流れる電流の合計値に基づいて、分割領域毎に埋め込まれている一部のヒータの断線の有無を判定する。また、それぞれの分割領域に埋め込まれている複数のヒータは並列に接続されている。また、制御部は、それぞれの分割領域において、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に埋め込まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御する。
【0012】
また、開示する温度制御装置の1つの実施形態において、それぞれの分割領域には、並列に接続されている2つのヒータが埋め込まれていてもよい。また、制御部は、分割領域毎に、分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値が、いずれのヒータも断線していない場合に分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値よりも小さい第1の閾値未満であり、かつ、第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上である場合に、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定してもよい。
【0013】
また、開示する温度制御装置の1つの実施形態において、ヒータは、抵抗ヒータであってもよい。また、第1の閾値は、いずれのヒータも断線していない場合に分割領域に埋め込まれている2つのヒータに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値であってもよく、第2の閾値は、0に所定のマージンを加えた値であってもよい。
【0014】
また、開示する温度制御装置の1つの実施形態において、制御部は、それぞれの分割領域において、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に埋め込まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流の√2倍となるように制御してもよい。
【0015】
また、開示する温度制御装置の1つの実施形態において、載置台は、積層された複数の絶縁層を含んでいてもよく、分割領域に埋め込まれている複数のヒータのそれぞれは、複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の異なる面に配置されていてもよい。
【0016】
また、開示する温度制御装置の1つの実施形態において、載置台は、積層された複数の絶縁層を含んでいてもよく、分割領域に埋め込まれている複数のヒータのそれぞれは、複数の絶縁層の中の1つの絶縁層の同一の面に配置されていてもよい。
【0017】
また、開示する温度制御方法は、1つの実施形態において、載置台の上に載置された被処理基板の温度を制御する温度制御方法であって、載置台の内部であって、載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に埋め込まれ、並列に接続されている複数のヒータに流れる電流の合計値を、分割領域毎に測定するステップと、分割領域毎の電流の合計値に基づいて、分割領域毎に埋め込まれている一部のヒータの断線の有無を判定するステップと、それぞれの分割領域において、当該分割領域に埋め込まれている一部のヒータが断線していると判定した場合に、一部のヒータが断線している分割領域内に埋め込まれているヒータ1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータも断線していない場合にヒータ1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御するステップとを含む。
【0018】
また、開示する載置台は、1つの実施形態において、被処理基板を載置する載置台であって、載置台の内部であって、載置台の上面を複数の領域に分割したそれぞれの分割領域に埋め込まれている複数のヒータを備え、それぞれの分割領域に埋め込まれている複数のヒータは並列に接続されている。
【0019】
以下に、開示する温度制御装置、温度制御方法、および載置台の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により、開示される温度制御装置、温度制御方法、および載置台が限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
[基板処理装置100の構成]
図1は、基板処理装置100の構成の一例を示す断面図である。基板処理装置100は、例えば
図1に示すように、気密に構成され、電気的に接地されたチャンバ1を有する。チャンバ1は、例えば表面が陽極酸化被膜で覆われたアルミニウム等により、略円筒状に形成されている。本実施例において、基板処理装置100は、容量結合型の平行平板プラズマ処理装置である。
【0021】
チャンバ1内には、例えばアルミニウム等の導電性の金属で形成された基材2aが設けられている。基材2aは、下部電極の機能を有する。基材2aは、絶縁板3上に設けられた導体の支持台4に支持されている。また、基材2aの上方の外周には、例えば単結晶シリコン等で形成されたフォーカスリング5が設けられている。さらに、基材2aおよび支持台4の周囲には、基材2aおよび支持台4を囲むように、例えば石英等からなる円筒状の内壁部材3aが設けられている。
【0022】
基材2aの上方には、基材2aと略平行に対向するように、換言すれば、基材2a上に配置される半導体ウエハWと対向するように、上部電極としての機能を有するシャワーヘッド16が設けられている。シャワーヘッド16と基材2aとは、一対の電極(上部電極と下部電極)として機能する。基材2aには、整合器11aを介して高周波電源12aが接続されている。また、基材2aには、整合器11bを介して高周波電源12bが接続されている。
【0023】
高周波電源12aは、例えばプラズマの発生に用いられる所定の周波数(例えば100MHz)の高周波電力を基材2aに供給する。また、高周波電源12bは、例えばイオンの引き込み(バイアス)に用いられる所定の周波数の高周波電力であって、高周波電源12aよりも低い周波数(例えば、13MHz)の高周波電力を基材2aに供給する。高周波電源12aおよび12bのオンおよびオフの制御、ならびに、高周波電源12aおよび12bによって供給される高周波の電力等は、後述する制御装置60によって制御される。
【0024】
基材2aの上面には、被処理基板の一例である半導体ウエハWを吸着保持すると共に、半導体ウエハWの温度を制御するための静電チャック6が設けられている。静電チャック6は、多数積層された絶縁層6bと、絶縁層6bの間に設けられた電極6aおよび複数のヒータ6cとを有する。電極6aは、直流電源13に接続されている。ヒータ6cは、後述する制御ボード20に接続されている。電極6aは、直流電源13から印加された直流電圧によって静電チャック6の表面にクーロン力を発生させ、クーロン力により半導体ウエハWを静電チャック6の上面に吸着保持する。直流電源13のオンおよびオフは、後述する制御装置60によって制御される。
【0025】
また、静電チャック6は、ヒータ6cから発生する熱により、半導体ウエハWを加熱する。静電チャック6の上面は、複数の領域である分割領域に分割されており、それぞれの分割領域に複数のヒータ6cが埋め込まれている。本実施例において、それぞれの分割領域に2個のヒータ6cが埋め込まれている。本実施例において、静電チャック6は、載置台の一例である。
【0026】
基材2aの内部には、ガルデン等の冷媒が流れる流路2bが形成されており、流路2bには、配管2cおよび2dを介してチラーユニット33が接続されている。チラーユニット33から供給された冷媒が流路2b内を循環することによって、冷媒との熱交換により基材2aが冷却される。チラーユニット33によって供給される冷媒の温度および流量等は、後述する制御装置60によって制御される。
【0027】
また、基材2aには、基材2aを貫通するように、半導体ウエハWの裏面側にヘリウムガス等の伝熱ガス(バックサイドガス)を供給するための配管32が設けられている。配管32は、伝熱ガス供給部31に接続されている。伝熱ガス供給部31から配管32を通って半導体ウエハWの裏面側に供給される伝熱ガスの流量等は、後述する制御装置60によって制御される。
【0028】
制御装置60は、流路2bを流れる冷媒の温度と、静電チャック6内の各ヒータ6cに供給される電力と、半導体ウエハWの裏面に供給される伝熱ガスの流量とを制御することにより、静電チャック6の上面に吸着保持された半導体ウエハWの温度を、所定範囲内の温度に制御することができる。
【0029】
シャワーヘッド16は、チャンバ1の上部に設けられている。シャワーヘッド16は、本体部16aと電極板をなす上部天板16bとを備えており、絶縁性部材45を介してチャンバ1の上部に支持されている。本体部16aは、例えば表面に陽極酸化処理が施されたアルミニウム等により形成され、その下部に上部天板16bを着脱自在に支持する。上部天板16bは、例えば石英等のシリコン含有物質で形成される。
【0030】
本体部16aの内部には、ガス拡散室16cが設けられている。本体部16aの底部には、ガス拡散室16cの下部に位置するように、多数のガス流出口16eが形成されている。上部天板16bには、当該上部天板16bを厚さ方向に貫通するように複数のガス導入口16fが設けられており、それぞれのガス導入口16fは、上記したガス流出口16eに連通している。このような構成により、ガス拡散室16cに供給された処理ガスは、それぞれのガス流出口16eおよびガス導入口16fを介してチャンバ1内にシャワー状に拡散されて供給される。なお、本体部16a等には、図示しないヒータや、冷媒を循環させるための図示しない配管等の温度調整器が設けられており、半導体ウエハWの処理中にシャワーヘッド16を所望の範囲内の温度に制御できるようになっている。
【0031】
本体部16aには、ガス拡散室16cに処理ガスを導入するためのガス導入口16gが形成されている。ガス導入口16gには、配管15bの一端が接続されており、配管15bの他端には、弁Vおよびマスフローコントローラ(MFC)15aを介して、半導体ウエハWの処理に用いられる処理ガスを供給する処理ガス供給源15が接続されている。処理ガス供給源15から供給された処理ガスは、配管15bを介してガス拡散室16cに供給され、それぞれのガス流出口16eおよびガス導入口16fを介してチャンバ1内にシャワー状に拡散されて供給される。弁VおよびMFC15aは、後述する制御装置60により制御される。
【0032】
シャワーヘッド16には、ローパスフィルタ(LPF)40およびスイッチ41を介して可変直流電源42が電気的に接続されている。可変直流電源42は、スイッチ41により直流電圧の供給および遮断が可能となっている。可変直流電源42からシャワーヘッド16に供給される直流電圧の大きさや、スイッチ41のオンおよびオフは、後述する制御装置60によって制御される。例えば、高周波電源12aおよび12bから高周波電力を基材2aに供給してチャンバ1内の処理空間にプラズマを発生させる際には、必要に応じて制御装置60によりスイッチ41がオンとされ、上部電極として機能するシャワーヘッド16に所定の大きさの直流電圧が印加される。
【0033】
チャンバ1の底部には、排気口71が形成されている。排気口71には、排気管72を介して排気装置73が接続されている。排気装置73は、真空ポンプを有しており、この真空ポンプを作動させることによりチャンバ1内を所定の真空度まで減圧することができる。排気装置73の排気流量等は、後述する制御装置60により制御される。また、チャンバ1の側壁には、開口部74が設けられており、開口部74には、当該開口部74を開閉するためのゲートバルブGが設けられている。
【0034】
チャンバ1の内壁には、内壁の面に沿って、デポシールド76が、着脱自在に設けられている。また、内壁部材3aの外周面には、内壁部材3aを覆うようにデポシールド77が設けられている。デポシールド76および77は、チャンバ1の内壁にエッチング副生物(デポ)が付着することを防止する。静電チャック6上に吸着保持された半導体ウエハWと略同じ高さのデポシールド76の位置には、直流的にグランドに接続された導電性部材(GNDブロック)79が設けられている。導電性部材79により、チャンバ1内の異常放電が抑制される。
【0035】
また、チャンバ1の周囲には、同心円状にリング磁石9が配置されている。リング磁石9は、シャワーヘッド16と基材2aとの間の空間に磁場を形成する。リング磁石9は、図示しない回転機構により回転自在に保持されている。
【0036】
制御装置60は、プロセスコントローラ61、ユーザインターフェース62、および記憶部63を有する。ユーザインターフェース62は、基板処理装置100のオペレータ等からの操作を受け付ける入力装置や、プロセスコントローラ61による処理の結果やプロセスコントローラ61からの通知を表示する表示装置等を含む。記憶部63は、プロセスコントローラ61によって実行されるプログラム、および、各処理の条件等を含むレシピ等を記憶する。プロセスコントローラ61は、記憶部63から読み出したプログラムを実行し、記憶部63内に記憶されたレシピに基づいて基板処理装置100の各部を制御することにより、基板処理装置100によって所定の処理を実行する。
【0037】
[静電チャック6]
図2は、静電チャック6の上面の一例を示す図である。静電チャック6の外周には、静電チャック6を囲むようにフォーカスリング5が設けられている。半導体ウエハWが載置される静電チャック6の上面は複数の分割領域6dに分けられている。本実施例において、分割領域6dは、静電チャック6の上面が同心円状に複数の領域に分割され、さらに、中心の領域を除くそれぞれの同心円状の領域が周方向に複数の領域に分割されたそれぞれの領域である。なお、本実施例において、静電チャック6は、例えば
図2に示すように、27個の分割領域6dに分けられているが、分割領域6dの数はこれに限られず、静電チャック6は100個以上の分割領域6dに分けられていてもよい。
【0038】
本実施例において、それぞれの分割領域6dに対応する静電チャック6の内部には、ヒータ6cが2個ずつ埋め込まれている。それぞれの分割領域6dに埋め込まれたヒータ6cに供給される電力は、後述する制御ボード20によってそれぞれ独立に制御される。
【0039】
[分割領域内のヒータの構造]
図3は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの構造の一例を示す図である。
図3(A)は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの断面の一例を示す図である。
図3(B)は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの一例を示す斜視図である。本実施例において、各分割領域6dには、例えば
図3(A)および(B)に示すように、2つのヒータ6c-1および6c-2が設けられている。各分割領域6dにおいて、ヒータ6c-1は多数積層された絶縁層6bの中の1つの絶縁層6bの一方の面に、ヒータ6c-2は当該絶縁層6bの他方の面に、例えば印刷等によりそれぞれ形成される。これにより、2つのヒータ6c-1および6c-2を短絡させることなく、2つのヒータ6c-1および6c-2を各分割領域6dに容易に形成することができる。各分割領域6dに設けられた2つのヒータ6c-1および6c-2は、例えば
図3(B)に示すように並列に接続されており、配線200を介して制御ボード20に接続されている。
【0040】
本実施例において、ヒータ6c-1および6c-2は、例えば抵抗ヒータである。なお、各分割領域6dにおいて、ヒータ6c-1および6c-2の抵抗値は、互いにほぼ等しいことが好ましい。また、他の例として、ヒータ6c-1および6c-2は、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ等の半導体ヒータや、ペルチェ素子等であってもよい。
【0041】
[制御ボード20の構成]
図4は、制御ボード20の一例を示すブロック図である。制御ボード20は、例えば
図4に示すように、制御部21および複数の制御ブロック22-1~22-nを有する。なお、以下では、複数の制御ブロック22-1~22-nのそれぞれを区別することなく総称する場合に単に制御ブロック22と記載する。制御ブロック22は、静電チャック6内の1つの分割領域6dに対して1つ設けられている。それぞれの制御ブロック22は、電圧制御部23、スイッチ24、電流制御部25、および電流計26を有する。静電チャック6と、各分割領域6dに埋め込まれているヒータ6cと、制御部21とを備える基板処理装置100は、温度制御装置の一例である。
【0042】
電圧制御部23は、制御部21からの指示に応じて、所定電圧の電力を発生させ、スイッチ24へ出力する。スイッチ24は、制御部21からの指示に応じて、電圧制御部23から出力された電力を電流制御部25または電流計26へ出力する。電流制御部25は、分割領域6d内の各ヒータ6cに供給される電流の合計値を、制御部21から指示された値に制御する。電流計26は、制御部21からの指示に応じて、電圧制御部23から出力された電力に応じて、分割領域6d内の各ヒータ6cに流れる電流の合計値を測定する。そして、電流計26は、測定した電流の合計値の情報を制御部21に通知する。
【0043】
制御部21は、基板処理装置100による処理の開始前などの所定のタイミングで、分割領域6d毎に、電圧制御部23に所定電圧の電力を発生させ、電圧制御部23からの電力を電流計26へ出力するようにスイッチ24を制御する。そして、制御部21は、分割領域6d内の各ヒータ6cに流れる電流の合計値を測定するように電流計26を制御する。
【0044】
ここで、静電チャック6内の各分割領域6dに設けられた2つのヒータ6cは並列に接続されている。そのため、各分割領域6dにおいて、いずれかのヒータ6cが断線した場合、分割領域6dに流れる電流の合計値は、いずれのヒータ6cも断線してない場合に分割領域6dに流れる電流の合計値よりも低くなる。本実施例において、各分割領域6dに設けられた2つのヒータ6cの抵抗値はほぼ等しい。そのため、各分割領域6dにおいて、いずれかのヒータ6cが断線した場合、分割領域6dに流れる電流の合計値は、いずれのヒータ6cも断線してない分割領域6dに流れる電流の合計値の約(1/2)倍以下の値となる。
【0045】
制御部21は、電流計26によって測定された電流の合計値が第1の閾値以上か否かを判定する。本実施例において、第1の閾値は、例えば、各分割領域6dにおいていずれのヒータ6cも断線してない分割領域6dに流れる電流の合計値の(1/2)倍の値に所定のマージンを加えた値である。所定のマージンは、例えば、各ヒータ6cの抵抗値のばらつきや、電流計26による電流の測定誤差等に基づいて予め決定された値である。第1の閾値は、各分割領域6dにおいていずれのヒータ6cも断線してない場合に分割領域6dに流れる電流の合計値の例えば(2/3)倍の値であってもよい。
【0046】
電流計26によって測定された電流の合計値が第1の閾値未満である場合、制御部21は、電流計26によって測定された電流の合計値が第2の閾値以上か否かを判定する。本実施例において、第2の閾値は、例えば0に所定のマージンを加えた値である。所定のマージンは、例えば電流計26による電流の測定誤差等に基づいて予め決定された値である。第2の閾値は、各分割領域6dにおいていずれのヒータ6cも断線してない場合に分割領域6dに流れる電流の合計値の(1/3)倍の値であってもよい。
【0047】
電流計26によって測定された電流の合計値が第1の閾値未満であり、かつ、第2の閾値以上である場合、分割領域6d内の一部のヒータ6c、すなわち1つのヒータ6cが断線していると考えられる。そこで、制御部21は、一部のヒータが断線している分割領域6d内に埋め込まれているヒータ6c1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータ6cも断線していない場合にヒータ6c1つ当たりに流す電流よりも多くなるように制御する。
【0048】
具体的には、制御部21は、分割領域6dに供給される電流の合計値を、いずれのヒータ6cも断線してない場合に分割領域6dに流れる電流の合計値の(1/√2)倍の値にするように電流制御部25を制御する。これにより、一部のヒータ6cが断線している分割領域6dに埋め込まれているヒータ6c1つ当たりに流れる電流が、いずれのヒータ6cも断線していない場合にヒータ6c1つ当たりに流れる電流の√2倍となる。
【0049】
これにより、一部のヒータ6cが断線している分割領域6dにおいて、断線してないヒータ6cに供給される電力を、いずれのヒータ6cも断線していない場合に分割領域6dに供給される電力とほぼ等しくすることができる。そのため、一部のヒータ6cが断線している分割領域6dにおいて、断線してないヒータ6cによって発生する熱量を、いずれのヒータ6cも断線していない分割領域6d内のヒータ6cによって発生する熱量とほぼ等しくすることができる。これにより、各分割領域6dにおいて、一部のヒータ6cが断線した場合であっても、分割領域6d内の断線していないヒータ6cによって、断線したヒータ6cの熱量を補完することができる。従って、ヒータ6cが断線した場合であっても半導体ウエハWの温度制御の精度を高く維持することが可能となる。
【0050】
全ての分割領域6dについて、電流計26による電流の合計値の測定が終了した場合、制御部21は、電圧制御部23からの電力を電流制御部25へ出力するように、各制御ブロック22内のスイッチ24を制御する。これにより、各分割領域6d内のヒータ6cには、対応する制御ブロック22内の電流制御部25によって制御された電流が供給される。そして、基板処理装置100により、記憶部63内のレシピに従った処理が実行される。
【0051】
一方、電流計26によって測定された電流の合計値が第2の閾値未満となる分割領域6dがある場合、当該分割領域6d内の全てのヒータ6cが断線していると考えられる。この場合、制御部21は、全てのヒータ6cが断線している分割領域6dの情報を制御装置60に通知する。制御装置60は、全てのヒータ6cが断線している分割領域6dの情報を、ユーザインターフェース62を介して基板処理装置100のオペレータ等に通知する。
【0052】
[温度制御処理]
図5は、温度制御処理の一例を示すフローチャートである。制御ボード20は、例えば、基板処理装置100の設置時や基板処理装置100による処理の開始前などの所定のタイミングで、
図5のフローチャートに示す処理を実行する。
【0053】
まず、制御部21は、複数の分割領域6dの中で、未選択の分割領域6dを1つ選択する(S100)。そして、制御部21は、ステップS100で選択した分割領域6dに対応する制御ブロック22において、電圧制御部23に所定電圧の電力を発生させ、電圧制御部23からの電力を電流計26へ出力するようにスイッチ24を制御する。これにより、ステップS100で選択された分割領域6d内のヒータ6cには、電流計26を介して所定の電圧が印加される(S101)。
【0054】
次に、電流計26は、分割領域6d内のヒータ6cに流れる電流の合計値を測定する(S102)。そして、電流計26は、測定した電流の合計値を示す情報を制御部21に通知する。制御部21は、電流計26から通知された情報で示される電流の合計値が第1の閾値以上か否かを判定する(S103)。
【0055】
電流の合計値が第1の閾値以上である場合(S103:Yes)、制御部21は、ステップS107に示す処理を実行する。一方、電流の合計値が第1の閾値未満である場合(S103:No)、制御部21は、電流の合計値が第2の閾値未満か否かを判定する(S104)。電流の合計値が第2の閾値未満である場合(S104:Yes)、制御部21は、第1の断線状態を示す情報を、ステップS100で選択した分割領域6dに対応付けて記憶する(S105)。そして、制御部21は、ステップS107に示す処理を実行する。第1の断線状態とは、分割領域6dに含まれる全てのヒータ6cが断線している状態である。
【0056】
一方、電流の合計値が第2の閾値以上である場合(S104:No)、制御部21は、第2の断線状態を示す情報を、ステップS100で選択した分割領域6dに対応付けて記憶する(S106)。第2の断線状態とは、分割領域6dに含まれる一部のヒータ6cが断線している状態である。
【0057】
次に、制御部21は、全ての分割領域6dを選択したか否かを判定する(S107)。未選択の分割領域6dがある場合(S107:No)、制御部21は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0058】
一方、全ての分割領域6dを選択した場合(S107:Yes)、制御部21は、第1の断線状態の分割領域6dが存在するか否かを判定する(S108)。第1の断線状態の分割領域6dが存在する場合(S108:Yes)、制御部21は、第1の断線状態の分割領域6dを示す情報を、アラームとして制御装置60に通知する(S110)。制御装置60のプロセスコントローラ61は、第1の断線状態の分割領域6dを示す情報を、ユーザインターフェース62を介して基板処理装置100のオペレータ等にアラームとして通知する。そして、制御ボード20は、本フローチャートに示した動作を終了する。
【0059】
一方、第1の断線状態の分割領域6dが存在しない場合(S108:No)、制御部21は、第2の断線状態の分割領域6dに供給される電流の値が所定の値となるように電流制御部25を制御し(S109)、制御ボード20は、本フローチャートに示した動作を終了する。具体的には、制御部21は、第2の断線状態の分割領域6d内に埋め込まれているヒータ6c1つ当たりに流す電流を、いずれのヒータ6cも断線していない場合にヒータ6c1つ当たりに流す電流よりも多くなるように電流制御部25を制御する。例えば、制御部21は、第2の断線状態の分割領域6dに供給される電流が、いずれのヒータ6cも断線状態にない場合に分割領域6dに供給される電流の合計値の例えば(1/√2)倍となるように、電流制御部25を制御する。これにより、第2の断線状態にある分割領域6d内で断線していないヒータ6cには、いずれのヒータ6cも断線状態にない場合にヒータ6c1つ当たりに流れる電流の√2倍の電流が流れることになる。
【0060】
ここで、いずれのヒータ6cも断線状態にない分割領域6dに電流Iが供給された場合、当該分割領域6dに含まれる2つのヒータ6cにはそれぞれ電流Iの(1/2)倍の電流が流れる。そのため、それぞれのヒータ6cの抵抗値をRとすると、それぞれのヒータ6cに供給される電力は、R・(I/2)2となり、分割領域6d全体では、(RI2/2)の電力に応じた熱量が発生する。
【0061】
一方、第2の断線状態にある分割領域6dには、いずれのヒータ6cも断線状態にない場合に分割領域6dに供給される電流Iの(1/√2)倍の電流が供給される。そのため、第2の断線状態にある分割領域6d内で断線していないヒータ6cには(I/√2)の電流が流れる。そのため、第2の断線状態にある分割領域6d全体では、いずれのヒータ6cも断線状態にない分割領域6d内のヒータ6cによって発生する熱量とほぼ同じ(RI2/2)の電力に応じた熱量が発生する。このように、各分割領域6dにおいて、一部のヒータ6cが断線した場合であっても、分割領域6d内で断線していないヒータ6cにより、断線したヒータ6cの熱量を補完することができる。
【0062】
以上、基板処理装置100の実施例について説明した。上記説明から明らかなように、本実施例の基板処理装置100によれば、ヒータ6cが断線した場合でも半導体ウエハWの温度制御の精度を高く維持することができる。
【0063】
<その他>
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0064】
例えば、上記した実施例において、各分割領域6dに設けられた複数のヒータ6cは、1つの絶縁層6bにおける異なる面に形成されるが、開示の技術はこれに限られない。各分割領域6dに設けられた複数のヒータ6cは、例えば
図6に示すように、1つの絶縁層6bにおける同一の面に形成されていてもよい。
図6は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの構造の他の例を示す図である。
図6(A)は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの断面の一例を示す図である。
図6(B)は、各分割領域6dに設けられたヒータ6cの一例を示す斜視図である。
【0065】
2つのヒータ6c-1および6c-2が、
図6に示すように絶縁層6bの同一の面に形成されることにより、各ヒータ6cから半導体ウエハWまでの距離をほぼ等しくすることができる。これにより、各分割領域6dにおいて、一方のヒータ6cのみを発熱させた場合と、他方のヒータ6cのみを発熱させた場合とで、半導体ウエハWに与える熱量の差を小さくすることができる。これにより、一部のヒータ6cが断線した場合でも半導体ウエハWの温度制御の精度を高く維持することができる。
【0066】
また、上記した実施例では、各分割領域6dに並列に接続された2つのヒータ6cが設けられたが、他の例として、各分割領域6dには並列に接続された3つ以上のヒータ6cが設けられていてもよい。
【0067】
また、上記した実施例では、多数積層された絶縁層6bの中の1つの絶縁層6bに複数のヒータ6cが設けられたが、開示の技術はこれに限られない。例えば、絶縁性のフィルムの同一の面または異なる面に並列に接続された複数のヒータ6cが形成され、ヒータ6cが形成されたフィルムが静電チャック6の下面に貼り付けられてもよい。
【0068】
また、上記した実施例では、容量結合型の平行平板プラズマ処理装置の一例である基板処理装置100を用いて説明したが、開示の技術は、これに限られない。半導体ウエハWを処理する装置であって、処理において半導体ウエハWの温度を制御する装置であれば、ICP(Inductively Coupled Plasma)方式やマイクロ波方式等のプラズマを用いた処理装置についても、上記した実施例に開示された技術を適用することができる。また、プラズマを用いない熱処理等を行う装置においても、上記した実施例に開示された技術を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
G ゲートバルブ
V 弁
W 半導体ウエハ
100 基板処理装置
1 チャンバ
2a 基材
2b 流路
2c 配管
2d 配管
3 絶縁板
3a 内壁部材
4 支持台
5 フォーカスリング
6 静電チャック
6a 電極
6b 絶縁層
6c ヒータ
6d 分割領域
9 リング磁石
11a、11b 整合器
12a、12b 高周波電源
13 直流電源
15 処理ガス供給源
15a MFC
15b 配管
16 シャワーヘッド
16a 本体部
16b 上部天板
16c ガス拡散室
16e ガス流出口
16f ガス導入口
16g ガス導入口
20 制御ボード
200 配線
21 制御部
22 制御ブロック
23 電圧制御部
24 スイッチ
25 電流制御部
26 電流計
31 伝熱ガス供給部
32 配管
33 チラーユニット
40 LPF
41 スイッチ
42 可変直流電源
45 絶縁性部材
60 制御装置
61 プロセスコントローラ
62 ユーザインターフェース
63 記憶部
71 排気口
72 排気管
73 排気装置
74 開口部
76 デポシールド
77 デポシールド
79 導電性部材