(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置用基板テーブル、および基板の装填方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183059
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2020069583の分割
【原出願日】2016-09-28
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレフィ,マーディア
(72)【発明者】
【氏名】ラファーレ,レイモンド,ウィルヘルムス,ルイス
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-014239(JP,A)
【文献】特開2015-165528(JP,A)
【文献】特開平10-242255(JP,A)
【文献】特開2007-207842(JP,A)
【文献】特開2012-079829(JP,A)
【文献】特開2005-228978(JP,A)
【文献】特開平03-012948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30、21/67-21/683
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するように構築された基板テーブルであって、
前記基板を支持するように構成された複数のバールと、
前記複数のバールの上面に対して設けられ、かつ第一高さを有する複数の第一突出部と、
前記複数のバールの上面に対して設けられ、かつ前記第一高さよりも大きい第二高さを有する複数の第二突出部とを含み、
前記複数の第二突出部が、前記基板が前記基板テーブル上に支持されたときに前記複数の第二突出部の変形によって前記第二高さが前記第一高さと実質的に同じになるように、変形可能に構成される、
基板テーブル。
【請求項2】
前記複数の第二突出部が、球面状上面または平面状上面を含む、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
前記複数の第二突出部の断面が、支持される前記基板に向かう方向に増加する、請求項1または2に記載の基板テーブル。
【請求項4】
前記複数の第一突出部および前記複数の第二突出部が、交互に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記複数の第一突出部および前記複数の第二突出部が、SiC、Si、SiO
2、DLC、窒化物、およびAl
2O
3からなる群から選択された
材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項6】
前記複数の第一突出部の直径が、前記複数の第二突出部の直径と異なる、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項7】
前記複数の第二突出部の前記直径が、前記複数の第一突出部の前記直径より小さい、請求項6に記載の基板テーブル。
【請求項8】
前記複数の第二突出部が変形した後に前記基板が前記基板テーブル上に支持されたときに、前記基板が、前記複数の第一突出部および前記複数の第二突出部により支持される、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板テーブル。
【請求項9】
基板を保持するように構築された基板テーブルであって、
前記基板を支持するように構成された複数のバールであって、それぞれが上面を有する複数のバールを含み、
前記上面が凹状面を有し、前記バールの中央部が第一高さを有する第一突出部を形成し、かつ前記凹状面の周縁部における前記バールの周方向外側部が第二高さを有する第二突出部を形成するようにし、
前記第二突出部が、前記基板が前記基板テーブル上に支持されたときに前記第二突出部の変形によって前記第二高さが前記第一高さと実質的に同じになるように、変形可能に構成される、
基板テーブル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の基板テーブルを含むリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月29日に出願された欧州特許出願公開第15192099.8号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、リソグラフィ装置用基板テーブル、かかる基板テーブルを含むリソグラフィ装置、および基板の装填方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板に、通常は基板のターゲット部分に所望のパターンを付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。そのような場合、ICの個々の層に形成すべき回路パターンを生成するために、代替的にマスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用してもよい。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つのダイの一部またはいくつかのダイを含む)に転写することができる。パターンの転写は、典型的には、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像により行われる。概して、単一の基板は、連続的にパターンが付与される隣接したターゲット部分のネットワークを含む。従来のリソグラフィ装置は、ターゲット部分にパターン全体を1回で露光することにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、照射ビームによりパターンを所与の方向(「スキャン」方向)にスキャンすると同時に基板をこの方向に平行または反平行に同期してスキャンすることにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。基板上にパターンをインプリントすることによりパターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
基板テーブル(ウェーハテーブルとも呼ばれる)は、基板を保持し、例えば、基板のスキャン移動またはステップ移動を提供する。基板は、クランプデバイスを用いて基板テーブルにクランプされる。非真空用途では、クランプデバイスは、真空クランプを含み得る。極端紫外線(EUV)などの、真空用途では、クランプデバイスは、静電クランプを含み得る。
【0005】
リソグラフィでは、小さなオーバーレイエラーをもたらすように高い精度が望まれる。基板テーブル上に基板を位置決めする際のエラーは、結果としてオーバーレイエラーになることがある。例えば、基板の露光中に、照射は、露光位置において基板の加熱をもたらし、熱負荷を引き起こすことがある。熱負荷は、基板の膨張をもたらす。このような膨張は、熱膨張モデルによりモデル化され、オーバーレイエラーを低減するために考慮され得る。本モデルは線形であるので、熱負荷による熱応力により引き起こされる基板のスリップを考慮に入れることができない。それゆえ、このような基板のスリップを防止するために、基板と基板テーブルとのインターフェースにおける高い摩擦力が望まれる。
【0006】
他方で、基板テーブル上に基板を装填するときには、低応力負荷が望ましく、この低応力負荷は、基板と基板テーブルとの間の摩擦力が低く安定したものであることを必要とする傾向にある。結果として、それらの要件は競合する傾向にある。EUV用途の場合に、この問題は、レジストを現像するために1平方ミリメートル当たりより多くの熱が必要とされ、より大きな熱負荷を基板にもたらし、これに対して、EUVにおけるオーバーレイの要件がより厳しくなるので、一層深刻化される。
【発明の概要】
【0007】
オーバーレイエラーの少ない露光を提供することが望ましい。
【0008】
本発明の実施形態によれば、基板を保持するように構築されたリソグラフィ装置用基板テーブルであって、
第一基板支持面を画定する、複数の第一突出部と、
第二基板支持面を画定する、複数の第二突出部と、
基板にクランプ力を及ぼすように構成されたクランプデバイスとを含み、
第二基板支持面が第一基板支持面に平行であり、第二基板支持面が、第一基板支持面と第二基板支持面とに直交する方向に第一基板支持面に対してずらされており、
リソグラフィ装置用基板テーブルが、クランプデバイスによりクランプ力を加える前に第二基板支持面における第二突出部上に基板を支持するように構成され、
第二突出部が、クランプデバイスにより基板にクランプ力を加えると変形するように構成され、それにより、クランプデバイスにより基板がクランプされたときに基板を第二基板支持面から第一基板支持面に移動させる、リソグラフィ装置用基板テーブルが提供される。
【0009】
本発明の別の実施形態では、本発明によるリソグラフィ装置用基板テーブルを含むリソグラフィ投影装置が提供される。
【0010】
本発明の更なる実施形態によれば、リソグラフィ装置の基板テーブル上への基板の装填方法であって、
- 第一基板支持面を画定する、複数の第一突出部と、第二基板支持面を画定する、複数の第二突出部と、基板にクランプ力を及ぼすように構成されたクランプデバイスとを含み、第二基板支持面が第一基板支持面に平行であり、第二基板支持面が、第一基板支持面と第二基板支持面とに直交する方向に第一基板支持面に対してずらされている、基板テーブルを準備することと、
- クランプデバイスによりクランプ力を加える前に、第二基板支持面における第二突出部上に基板を支持することと、
- クランプデバイスにより基板にクランプ力を加えて第二突出部を弾性変形させ、それにより、クランプデバイスにより基板がクランプされたときに基板を第二基板支持面から第一基板支持面に移動させること
とを含む、基板の装填方法が提供される。
【0011】
ここで、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら、本発明の実施形態を、単に例示として、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が具体化され得るリソグラフィ装置を描いた図である。
【
図2A】本発明の実施形態による基板テーブルの極めて概略的な側面図である。
【
図2B】本発明の実施形態による基板テーブルの極めて概略的な側面図である。
【
図2C】本発明の実施形態による基板テーブルの極めて概略的な側面図である。
【
図3A】本発明による基板テーブルの他の実施形態を描いた図である。
【
図3B】本発明による基板テーブルの他の実施形態を描いた図である。
【
図4】本発明による基板テーブルの更に別の実施形態を描いた図である。
【
図5A】本発明による基板テーブルの更なる実施形態を描いた図である。
【
図5B】本発明による基板テーブルの更なる実施形態を描いた図である。
【
図5C】本発明による基板テーブルの更なる実施形態を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に描いている。装置は、放射ビームB(例えば、UV放射または他の任意の好適な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決めデバイスPMに接続されたマスク支持構造(例えばマスクテーブル)MTとを含む。装置はまた、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTまたは「基板サポート」を含む。装置は、放射ビームBに付与されるパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つまたは複数のダイを含む)にパターニングデバイスMAにより投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを更に含む。
【0014】
照明システムは、放射の誘導、整形、または制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型または他のタイプの光学コンポーネント、またはこれらの任意の組み合わせなどの、種々のタイプの光学コンポーネントを含み得る。
【0015】
マスク支持構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。マスク支持構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および例えばパターニングデバイスが真空環境内に保持されるかどうかなどの他の条件に応じた様式でパターニングデバイスを保持する。マスク支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式または他のクランプ技術を使用することができる。マスク支持構造は、例えば、必要に応じて固定され得るまたは移動可能であり得る、フレームまたはテーブルであってもよい。マスク支持構造は、パターニングデバイスが、例えば投影システムに対して、所望の位置にあることを確実にし得る。本明細書での「レチクル」または「マスク」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であると見なしてよい。
【0016】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成する目的で放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できる任意のデバイスを指すものとして広く解釈されるべきである。例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合に、放射ビームに付与されるパターンが基板のターゲット部分における所望のパターンに厳密には対応しない場合があることを留意すべきである。通例、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路のなどのデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0017】
パターニングデバイスは、透過型または反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィにおいて周知であるとともに、バイナリ、レベルソン型位相シフト、および減衰型位相シフトなどのマスクタイプ、ならびに種々のハイブリッドマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリクス配列が用いられ、小型ミラーの各々は、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜させることができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリックスにより反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0018】
本明細書で使用される「投影システム」という用語は、使用される露光放射に適したもの、または液浸液の使用もしくは真空の使用などのその他の要因に適したものとして、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型および静電型光学システム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈されるべきである。本明細書での「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「投影システム」と同義であると見なしてよい。
【0019】
ここで描かれているように、装置は、透過型(例えば、透過型マスクを用いる)である。代替的に、装置は、反射型(例えば、上で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイを用いるか、または反射マスクを用いる)であってもよい。
【0020】
リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルもしくは「基板サポート」(および/または2つ以上のマスクテーブルもしくは「マスクサポート」)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルまたはサポートを並行して使用してもよく、あるいは、1つもしくは複数の他のテーブルまたはサポートを露光のために使用している間に、1つもしくは複数のテーブルまたはサポートに対して予備ステップを実行してもよい。
【0021】
リソグラフィ装置はまた、投影システムと基板との間の空間を満たすために、比較的高い屈折率を有する液体、例えば水で基板の少なくとも一部分が覆われ得るタイプであってもよい。液浸液はまた、リソグラフィ装置内の他の空間に、例えば、マスクと投影システムとの間に適用されてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用することができる。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構造が液体に浸されなければならないことを意味するのではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が位置することを意味するに過ぎない。
【0022】
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば、放射源がエキシマレーザである場合には、放射源とリソグラフィ装置とが別体であってもよい。そのような場合に、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、放射ビームは、例えば、好適な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILに渡される。他の場合では、放射源は、例えば放射源が水銀ランプである場合、リソグラフィ装置の一体部であってもよい。必要であればビームデリバリシステムBDと共に、放射源SOおよびイルミネータILは、放射システムと呼ばれることがある。
【0023】
イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含み得る。通例では、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(一般にそれぞれσ外側およびσ内側と呼ばれる)を調節することができる。加えて、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの、他の種々のコンポーネントを含み得る。イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性および強度分布を有するように放射ビームを調節するために使用されてもよい。
【0024】
放射ビームBは、マスク支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持される、パターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射して、パターニングデバイスによりパターンが付与される。マスクMAを通り抜けた後に、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは基板Wのターゲット部分Cにビームの焦点を合わせる。第二位置決めデバイスPWおよび位置センサIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダまたは静電容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTは、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動させることができる。同様に、第一位置決めデバイスPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に描かれていない)は、例えば、マスクライブラリの機械検索後に、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用することができる。概して、マスクテーブルMTの移動は、第一位置決めデバイスPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現されてもよい。同様に、基板テーブルWTまたは「基板サポート」の移動は、第二ポジショナPWの一部を形成する、ロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現されてもよい。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされてもよい。図示の基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、基板アライメントマークはターゲット部分間の空間に位置してもよい(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、2つ以上のダイがマスクMA上に設けられる状況では、マスクアライメントマークがダイの間に位置してもよい。
【0025】
描かれている装置は、以下のモードのうちの少なくとも1つのモードで使用することができる。
1.ステップモードでは、マスクテーブルMTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」は基本的に静止状態に維持され、その一方で、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち、単一静的露光)。次いで、基板テーブルWTまたは「基板サポート」は、異なるターゲット部分Cを露光させることができるようにX方向および/またはY方向にずらされる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズにより、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、マスクテーブルMTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」は同期してスキャンされ、その一方で、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTまたは「マスクサポート」に対する基板テーブルWTまたは「基板サポート」の速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性および像反転特性により決定されてもよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズにより単一動的露光でのターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、それに対して、スキャン動作の長さによりターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決定される。
3.別のモードでは、マスクテーブルMTまたは「マスクサポート」は、プログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、かつ放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間に基板テーブルWTまたは「基板サポート」が移動またはスキャンされる。このモードでは、通例はパルス放射源が用いられ、かつプログラマブルパターニングデバイスが基板テーブルWTまたは「基板サポート」の毎回の移動後にまたはスキャン中の連続する放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上で言及したタイプのプログラマブルミラーアレイなどの、プログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0026】
上で説明した使用モードの組み合わせおよび/もしくは変形、または全く異なる使用モードも用いることができる。
【0027】
図2A~
図2Cは、基板テーブルWTの極めて概略的な側面図を描いている。基板テーブルWTは、複数の第一突出部FPJと複数の第二突出部SPJとを含む。突出部は、例えば、基板テーブル上の柱または他の任意の好適な突出部により形成されてもよい。突出部はまた、突出体と呼ばれることもある。基板テーブルWTには、基板Wが装填される基板装填領域SLAが設けられる。第一突出部は、基板装填領域SLAに広がっており、第一基板支持面FSPを画定する。第二突出部SPJもまた、基板装填領域SLAに広がっており、第二基板支持面SSPを画定する。第一基板支持面および第二基板支持面は、第一基板支持面と第二基板支持面とに垂直な(すなわち、直交する)方向に、互いに離間している、すなわち、間隔をおいて配置される。基板テーブルWTは、以下でより詳細に説明するように、基板Wをクランプするように、すなわち、基板テーブルに基板Wをクランプするために基板Wにクランプ力FCを加えるように構成されたクランプデバイスCDを更に含む。クランプデバイスCDは、基板に静電力を加える静電クランプデバイス、または基板に真空力を加える真空クランプデバイスなどの、任意のクランプデバイスであってもよい。
【0028】
第二基板支持面SSPは、第一基板支持面FSPよりも基板テーブルから更に離れて位置する。第二突出部SPJは、第一基板支持面と第二基板支持面とに直交する方向に第一突出部FPJよりも更に延びる。結果として、基板テーブル上に基板を装填したときに、基板は最初に、
図2Bに描かれているように、第二基板支持面SSPを画定する第二突出部SPJにより保持される。第二突出部は、ある程度の弾性を呈する、つまり、有限の堅牢性を有する。クランプデバイスCDによりクランプ力FCを加えたときに、第二突出部SPJが(例えば弾性)変形して、
図2Cに描かれているように、第二基板支持面SSPに保持された状態から第一基板支持面FSPに保持された状態に基板Wを移動させる。したがって、基板テーブルWT上に基板Wを装填したときに、クランプ力FCを加える前には、基板Wは第二突出部SPJによってのみ支持される。その結果、基板テーブルWTによる摩擦力は、第二突出部SPJのインターフェースにおける摩擦力によってのみ定められる。クランプ力FCにより基板Wをクランプしたときに、基板Wは、第一基板装填表面FSPに移動し、ここで、基板Wは第一突出部と第二突出部により支持される。したがって、基板テーブルWTによる摩擦は、第一突出部と第二突出部とにより定められる。結果として、基板Wをクランプする前は、基板Wをクランプしたときよりも摩擦力が低いので、第一の場合と同じように、第二突出部SPJのみが摩擦に寄与し、その一方で、第二の場合では、第一突出部と第二突出部の両方が基板Wのインターフェースにおける摩擦力に寄与する。したがって、基板Wの装填時に、低応力負荷を促進するために比較的低い摩擦が与えられてもよく、その一方で、クランプ時に、基板Wの照射誘導(局所)加熱時でさえ、定められた位置決めを促進するために比較的高い摩擦力が与えられてもよい。したがって、装填時に低摩擦を必要とする基板Wの低応力負荷が、高摩擦クランプを必要とする、クランプ時の定められた正確な位置決めと組み合わされてもよい。更に、本発明の結果として、クランプ時に基板Wと基板テーブルWTとの接触面が増加することがあり、こうした接触面の増加が、基板テーブルWTに基板Wをクランプするのにファンデルワールス力を利用することを可能にし得る。本発明によれば、第一基板支持面FSPが第一突出部FPJにより画定される一方で、第二基板支持面SSPは第二突出部SPJにより画定される。
【0029】
本文書で説明される概念が、基板テーブルにより保持すべき平面状裏面を有する基板に対して、および異形裏面を有する基板に対して適用され得ることに留意されたい。基板が異形裏面を有する場合には、第一突出部および第二突出部の上面により画定される第一基板支持面および第二基板支持面は、相応に異形とされてもよい。この概念に従う材料は、SiC、Si、SiO2、DLC(ダイアモンドライクコーティング)被覆基板、窒化物被覆基板、Al
2O
3、およびリソグラフィ産業で現在使用されている他の材料であってもよい。突出部は、任意の好適な方法で、例えば、フォトリソグラフィおよびレーザ加工により作製されてもよい。(
図3Aおよび
図3Bを参照して以下に述べる)基板テーブルのバールも、例えば、フォトリソグラフィおよびレーザ加工によって作製され得るので、同様または同じ処理が適用されてもよい。
【0030】
図3Aは、本発明の実施形態による基板テーブルWTの一部の詳細図を描いている。基板テーブルWTは、基板Wを搬送するように構成された、複数のバールBRLを含む。複数のバールBRLは、搬送すべき基板と実質的に等しいかまたはそれよりも大きな領域に広がっていてもよい。実施形態におけるバールBRLには、
図2A~
図2Cを参照して説明してきた第一および第二突出部と同様の、複数の第一突出部FPJおよび第二突出部SPJが各々設けられる。よって、基板Wの装填時に、各バールBRLの第二突出部SPJが基板Wに接触し、その間、クランプデバイスによりクランプ力を加えたときに、第二突出部SPJが変形して、第二基板支持面SSPから第一基板支持面FSPに基板を移動させ、よって、基板が各バールの第一突出部と第二突出部の両方により保持される。
図3Bに描かれているように、第二突出部SPJには、搬送すべき基板に向かい合う球面状SPH上面または搬送すべき基板に向かい合う平面状FLA上面が設けられてもよい。更に、第二突出部SPJには「キノコ型」MSH形状が設けられてもよく、それにより、第二突出部SPJの断面が、搬送すべき基板に向かう方向に増加する。第一突出部および第二突出部は、異なるアスペクト比を有するような寸法とされてもよい。第二突出部SPJの形状は、摩擦力に影響を及ぼすことができる。例えば、キノコ型形状の利点は、より大きな接触領域に起因してウェーハインターフェースでの摩擦力がより高くなることである。
【0031】
図4は、本発明の別の実施形態による基板テーブルの一部の詳細図を描いている。基板テーブルWTは、基板を搬送するように構成された、複数のバールBRLを含む。複数のバールBRLは、搬送すべき基板と実質的に等しいかまたはそれよりも大きな領域に広がっていてもよい。
図4による実施形態におけるバールBRLには各々、上面、すなわち、第二基板装填表面SSPに向かい合うバールの表面が設けられ、この上面は凹形状を有する。それにより、凹状面の周縁部におけるバールBRLの周方向外側部が第二突出部SPJを形成し、その一方で、バールの残りの部分、すなわち中央部が、第一突出部FPJを形成する。それにより、横方向の堅牢性が大きくなることがある。材料の例は、比較的歪み耐性があるDLC(a:c-H)被覆基板などの高いH/E=0.1-016(H:硬度、E:弾性率)を有する材料であってもよい。
【0032】
図5A~
図5Cは、本発明の更なる実施形態による基板テーブルの一部の詳細図を描いている。これらの実施形態において、第一突出部FPJおよび第二突出部SPJは、基板を搬送するように構成された複数のバールBRLを形成する。よって、第一突出部および第二突出部は、搬送すべき基板と実質的に等しいかまたはそれよりも大きな領域に広がっていてもよい。実施形態におけるバールBRLは、複数の第一突出部FPJおよび第二突出部SPJにより形成される。
図5Aに概略的に描かれている実施形態では、第一突出部FPJの量が第二突出部SPJの量にほぼ等しく、第一突出部および第二突出部が間欠的に配置される。第一突出部FPJの直径は、第二突出部SPJの直径と異なってもよい。例えば、第二突出部SPJの直径は、第一突出部FPJの直径よりも小さくてもよい。
図5Bは、第一突出部FPJの量が第二突出部SPJの量よりも多い実施形態を描いている。例えば、3つの第一突出部FPJ毎に、第二突出部SPJが1つ設けられる。そのような実施形態において、クランプ時に得られる摩擦は、第二突出部SPJの量が第一突出部FPJの量よりもかなり多いことを考慮すると、装填時得られる摩擦よりもかなり高くなる可能性がある。同様の効果は、第一基板支持面および第二基板支持面に沿った方向に見られる第二突出部SPJの直径(ひいては基板に向かい合う第二突出部SPJの接触面)が、第一基板支持面および第二基板支持面に沿った方向に見られる、第一突出部FPJの直径ひいては接触領域よりも小さい、
図5Cに描かれている実施形態により得られることがある。この構成の利点は、この構成が接触領域およびバール堅牢性に応じて基板装填および基板クランプでの摩擦を調整することを可能にし得ることである。
【0033】
本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な言及がなされ得るが、本明細書で説明するリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造などの、他の用途を有し得ることを理解すべきである。当業者であれば、そのような代替的な用途の文脈では、本明細書での「ウェーハ」または「ダイ」という用語のいかなる使用も、より一般的な用語である「基板」または「ターゲット部分」とそれぞれ同義であると見なされ得ることを認識するであろう。本明細書で言及される基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジツールおよび/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書における開示は、そのような基板プロセシングツールおよび他の基板プロセシングツールに適用されてもよい。更に、基板は、例えば、積層ICを生成するために、2回以上処理され得るので、本明細書で使用される基板という用語は、処理された複数の層を既に含む基板を指すこともある。
【0034】
光リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用についての具体的な言及が上記でなされたが、本発明が他の用途、例えばインプリントリソグラフィに使用され得ることと、文脈が許す限り、本発明が光リソグラフィに限定されないことが認識されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスにおけるトポグラフィが基板上に生成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層に押し込まれてもよく、その後、電磁放射、熱、圧力またはこれらの組み合わせを加えることによりレジストを硬化させる。パターニングデバイスは、レジストが硬化された後に、レジストから外されて、レジストにパターンを残す。
【0035】
本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157もしくは126nmまたはそれらの近辺の波長を有する)および極端紫外線(EUV)放射(例えば、5~20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームまたは電子ビームなどの、粒子ビームを含む、全てのタイプの電磁放射を包含する。
【0036】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折型、反射型、磁気型、電磁型および静電型光学コンポーネントを含む、種々のタイプの光学コンポーネントの任意の1つまたは組み合わせを指すことがある。
【0037】
本発明の具体的な実施形態を上で説明してきたが、上で説明した以外の仕方で本発明が実施され得ることが認識されよう。例えば、本発明は、上で開示した方法を記述する機械可読命令の1つもしくは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはかかるコンピュータプログラムが記憶されたデータ記録媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクもしくは光ディスク)の形態をとってもよい。
【0038】
上の説明は、限定的なものではなく例示的なものと意図されている。したがって、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本発明に修正を加え得ることは、当業者には明らかであろう。