(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】ガス制御方法及びそれに関連した使用
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231106BHJP
H01S 3/225 20060101ALI20231106BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G03F7/20 502
G03F7/20 521
H01S3/225
H01S3/00 A
H01S3/00 G
(21)【出願番号】P 2022514179
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2020050235
(87)【国際公開番号】W WO2021055236
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-04-25
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,インボー
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-335961(JP,A)
【文献】特開2006-229258(JP,A)
【文献】特表2014-518456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01S 3/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射源のガスコンパートメントのガス制御システムを制御する方法であって、前記方法が、
エキシマレーザのパラメータであって、前記エキシマレーザに与えられた電気刺激及び/又は前記エキシマレーザが発生させた放射の特性及び/又は前記ガスコンパートメント内の消耗品の量を記述するパラメータを測定すること、
前記パラメータの関数を閾値と比較すること、
前記パラメータの関数が前記閾値を超過していると判定されたことに応答して、前記パラメータに基づいて供給又は除去されるべきガス量を算出すること、
前記ガスコンパートメントに前記ガス量を供給せよ、又は前記ガスコンパートメントから前記ガス量を除去せよとの指示を前記ガス制御システムに与えること、を含む方法。
【請求項2】
前記放射源が、前記ガスコンパートメントへのガスの供給中又は前記ガスコンパートメントからのガスの除去中に放射を発生させ続ける、請求項1の方法。
【請求項3】
前記ガス量を算出することが、前記パラメータに基づいてガス特性を算出することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記ガス量を算出することが更に前記ガス特性に基づく、請求項3の方法。
【請求項5】
前記ガス量が第1のガスの量及び第2のガスの量を含む、請求項1の方法。
【請求項6】
パラメータを測定することが、第1のパラメータ及び第2のパラメータを測定することを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記ガス量が前記第1及び第2のパラメータに基づいて算出される、請求項6の方法。
【請求項8】
前記第1のパラメータが前記ガスコンパートメント内の消耗品の量である、請求項6の方法。
【請求項9】
前記ガスコンパートメント内の前記消耗品の量を測定するセンサを使用することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項10】
前記センサがフッ素センサを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記パラメータの第1の測定値のセットを記録すること、
前記第1の測定値のセットの第1の関数を算出すること、
前記パラメータの第2の測定値のセットを記録すること、
前記第2の測定値のセットの第2の関数を算出すること、
前記第1及び第2の関数に基づいて前記ガス量を算出することを更に含む、請求項1の方法。
【請求項12】
ガスコンパートメントと、前記ガスコンパートメントにある量のガスを供給する、又は前記ガスコンパートメントからある量のガスを除去し、
エキシマレーザのパラメータであって、前記エキシマレーザに与えられた電気刺激及び/又は前記エキシマレーザが発生させた放射の特性及び/又は前記ガスコンパートメント内の消耗品の量を記述するパラメータを測定すること、
前記パラメータの関数を閾値と比較すること、
前記パラメータの関数が前記閾値を超過していると判定されたことに応答して、前記パラメータに基づいて供給又は除去されるべきガス量を算出すること、
前記ガスコンパートメントに前記ガス量を供給せよ、又は前記ガスコンパートメントから前記ガス量を除去せよとの指示を前記ガス制御システムに与えること、を含む方法を実行するガス制御システムとを含む放射源。
【請求項13】
前記コンパートメント内の前記消耗品の量を測定するセンサを更に含む、請求項12の放射源。
【請求項14】
前記センサがフッ素センサを含む、請求項13の放射源。
【請求項15】
前記方法を実行するプロセッサを更に含む、請求項12の放射源。
【請求項16】
請求項12の放射源を含むリソグラフィ装置。
【請求項17】
ガスコンパートメントと、前記ガスコンパートメント内の消耗品の量を測定するためのセンサとを含む放射源。
【請求項18】
前記センサがフッ素センサを含む、請求項17の放射源。
【請求項19】
ある量のガスを前記ガスコンパートメントに供給する、又はある量のガスを前記ガスコンパートメントから除去するガス制御システムを更に含む、請求項18の放射源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年9月19日に出願されたGAS CONTROL METHOD AND RELATED USESと題する米国出願第62/902,946号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明はガス制御方法及びそれに関連した使用に関する。具体的には放射源のためのガス制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の数は、一般に「ムーアの法則」と呼ばれる傾向に従って、数十年にわたり着実に増加してきている。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用いることがある。この放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを基板上に形成するためには、5nm~100nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置が用いられることがある。
【0005】
[0005] 1つの既知のタイプの放射源はエキシマレーザである。エキシマレーザは通常、レーザ光の生成に貴ガス(例えば、アルゴン、クリプトン又はキセノン)と反応性ガス(例えば、フッ素又は塩素)の組み合わせを使用する。電気刺激及び制御された圧力の条件下で、解離して、例えば上記の波長のレーザ光を生じさせるエキシマ分子が生成される。
【0006】
[0006] 従来のエキシマレーザは、典型的には所定の圧力及び所定の濃度のガスを含むガスコンパートメントを有する。この所定の圧力及び所定の濃度は、予想される使用特性(例えば、予想される使用頻度、デューティサイクル、及び/又は駆動電圧)に応じて選ばれ、上記予想される使用特性での使用状態におけるレーザの効率を改善するように選ばれる。予想される使用特性は通常、顧客が「通常」使用することになるものに基づいて選ばれる。通常使用される使用特性は平均使用事例と呼ばれることがある。ユーザが予想されていない特性でレーザを動作させる場合、レーザの効率は低下することがある。つまり、ユーザが平均使用事例と異なる特性でレーザを動作させる場合、レーザの効率は低下することがある。
【0007】
[0007] 従来のエキシマレーザの効率は通常、例えば反応性ガスの消費及び/又はレーザモジュールの経年劣化によって経時的に低下する。この効率の低下は通常、ガスを定期的にパージ及び補充することによって克服される。パージ及び補充プロセスにおいて、ガスコンパートメントは空にされ真空又はほぼ真空状態にされ、所定の圧力及び所定の濃度のガスが補充される。
【0008】
[0008] 反応性ガスが(例えば吸収、吸着及びその他の反応によって)ガスコンパートメントの内面と相互作用し、これによってその反応性ガスのガスコンパートメント内の濃度が低下することは一般的である。反応性ガスはまた、ガスコンパートメント内に放射を発生させるために消費され、これによってその反応性ガスのガスコンパートメント内の濃度が低下する。つまり、一部のガスは消耗品と見なされることがある。通常、消耗品は時間が経つにつれて減少するため、補充及び/又は交換が必要である。従来のエキシマレーザシステムにおいて、既知の方法は、ほとんどが消耗品の消費量を効果的又は効率的に測定又は予測することができない。結果として、これまでガスが所望の状態にリセットされることを確実にするために、ガスコンパートメントをパージ及び補充することがより適切であった。既知のパージ及び補充プロセスは、例えば数週間ごとに定期的に実行される。
【0009】
[0009] パージ及び補充プロセスの間、レーザは閉鎖されなければならない(すなわちレーザはパージ及び補充プロセスの間放射を発生させない)。レーザを閉鎖することは、ユーザのスループットに悪影響を与える(例えば、レーザから放射を受けるように構成されたリソグラフィ装置の使用がかなりの時間中断される)。
【0010】
[0010] 改良されたエキシマレーザを提供することが望ましい場合がある。例えば、既知のエキシマレーザより効率性の管理が改善された、及び/又は本明細書中で述べられているか他の部分で述べられているかを問わず、従来のエキシマレーザと関連したいくつかの他の欠点を克服するエキシマレーザを提供することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0011】
[0011] 本発明の第1の態様によれば、放射源のガスコンパートメントのガス制御システムを制御する方法であって、方法が、エキシマレーザのパラメータであって、レーザに与えられた電気刺激及び/又はレーザが発生させた放射の特性及び/又はガスコンパートメント内の消耗品の量を記述するパラメータを測定すること、パラメータの関数を閾値と比較すること、パラメータが閾値を超過していると判定されたことに応答して、パラメータに基づいてガス量を算出すること、ガスコンパートメントにガス量を供給せよ、又はガスコンパートメントからガス量を除去せよとの指示をガス制御システムに与えること、を含む方法が提供される。
【0012】
[0012] ガス制御システム及びその関連する使用方法を提供することは、有利にはガスコンパートメント内のガス圧及び/又はコンパートメント内の様々なガスの相対濃度のオンラインガス制御を可能にする。つまり、ガス制御システムは、放射源の使用中にガスを注入又は放出するのに使用することによって放射源を遮断してガスコンパートメントをパージ及び補充する必要性を低下させる又はなくすことができる。オンラインガス制御は、有利にはパージ及び補充プロセスに伴う時間の無駄を減らす又はなくす。オンラインガス制御は、有利には、例えばユーザが効率性を害することなく、より低いデューティサイクル(ただしこれに限定されない)などの予想されていないパラメータで放射源を動作させたい場合に、放射源の個々のユーザの要求への適合能力を高める。放射源はエキシマレーザである場合がある。
【0013】
[0013] パラメータの関数は、1つ以上のパラメータの任意の関数である場合がある。関数はユニタリ関数である場合がある。すなわちパラメータの関数は単にそのパラメータである場合がある。
【0014】
[0014] 放射源は、ガスコンパートメントに対するガスの供給中又はガスの除去中に放射を発生させることがある。放射はパルス状である場合がある。ガスコンパートメントはガスを含むことがある。コンパートメント内のガスはガスの組み合わせを含むことがある。つまり、ガスは第1種のガス及び第2種のガスを含むことがある。ガスの組み合わせは不活性ガス及び反応性ガスを含むことがある。不活性ガスは貴ガス、例えばアルゴン、クリプトンなどを含むことがある。反応性ガスはハロゲン、例えばフッ素を含むことがある。
【0015】
[0015] ガス量を算出することは、パラメータの関数に基づいてガス特性を算出することを更に含むことがある。有益には、レーザと関連したガス特性を算出することによって、標準的な既知のガス理論及び/又は経験的観察及び/又は使用事例を用いてガス量を算出することがある。有益には、レーザと関連したガス特性を算出することによって、ガス量は正確かつ効率的に算出されることがある。
【0016】
[0016] ガス量を算出することは更にガス特性に基づく場合がある。
【0017】
[0017] ガス特性はガス圧及び/又はガス濃度を含むことがある。ガス特性は、圧力に関する別の特性、例えば体積、分子数、温度を含むことがある。ガス特性は、濃度の測度、例えば第1及び/又は第2のガスの量、及び/又は第1及び/又は第2のガスの相対濃度を含むことがある。
【0018】
[0018] ガス量は、第1のガスの量及び第2のガスの量を含むことがある。有益には、第1及び第2のガスを供給及び/又は除去することによって、ガスコンパートメント内のガスの濃度は制御されることがある。第1のガス及び第2のガスは異なる種である場合がある。
【0019】
[0019] 方法は、第1及び第2のパラメータを測定することを更に含むことがある。また、3つ以上のパラメータが測定されることがある。
【0020】
[0020] ガス量は第1及び第2のパラメータに基づいて算出されることがある。3つ以上のパラメータを使用してガス量を算出することがある。有益には、2つ以上のパラメータを使用してガス量を算出することは、単一のパラメータを使用すること又はパラメータを使用しないことよりも正確な算出を提供することがある。有益には、2つ以上のパラメータを使用してガス量を算出することは、ガスコンパートメント内のガスの2つ以上の特性を制御することを可能にする場合がある。例えば、ガス圧及びガス濃度が制御されることがある。
【0021】
[0021] 第1のパラメータは、ガスコンパートメント内の消耗品の量である場合がある。有益には、消耗品の量を使用してガス量を算出することは、より正確な算出を提供することがある。有益には、消耗品の量を使用してガス量を算出することは、ガスコンパートメント内のガスの2つ以上の特性を制御することを可能にする場合がある。例えば、ガスコンパートメント内のガス圧及び消耗品の量は制御されることがある。
【0022】
[0022] 方法は、ガスコンパートメント内の消耗品の量を測定するセンサを使用することを更に含むことがある。消耗品の量を測定するためのセンサを使用することは、有利にはパージ及び補充プロセスを用いることなく消耗品を正確に補充する能力を高める。更に、消耗品の量を測定するためのセンサの使用は、有利にはパージ及び補充プロセスに伴う時間の無駄を更に減らしたりなくしたりする。
【0023】
[0023] センサは反応性ガスセンサを含むことがある。
【0024】
[0024] センサはフッ素センサを含むことがある。例えば、センサはF2センサを含むことがある。
【0025】
[0025] 閾値は所定のパラメータの関数を含むことがある。関数はユニタリである場合がある(すなわち、閾値は単に所定のパラメータである場合がある)。閾値は複数の所定のパラメータの任意の関数を含むことがある。上記所定のパラメータは、レーザに与えられた電気刺激及び/又はレーザが発生させた放射の特性及び/又はガスコンパートメント内の消耗品の量を記述することがある。
【0026】
[0026] 方法は、パラメータの関数が閾値を上回っていると判定されたことに応答して、パラメータに関連するカウンタを更新することを更に含むことがある。カウンタは、所定の量だけ増減することによって更新されることがある。カウンタは、関数、例えば測定されたパラメータ及び閾値の関数だけ増減することによって更新されることがある。
【0027】
[0027] ガスの量の算出はまた、カウンタに基づく場合がある。
【0028】
[0028] 方法は、パラメータの第1の測定値のセットを記録すること、上記第1の測定値のセットの第1の関数を算出すること、パラメータの第2の測定値のセットを記録すること、上記第2の測定値のセットの第2の関数を算出すること、及び第1及び第2の関数に基づいてガス量を算出することを更に含むことがある。第1の関数は、第1の測定値のセットの平均である場合がある。第2の関数は、第2の測定値のセットの平均である場合がある。第2の関数は定期的に更新されることがある。第2の関数は新しい測定の後に再算出されることがある。第2の関数は所与の時間間隔の後に再算出されることがある。第2の関数は、例えば移動平均である場合がある。
【0029】
[0029] 本発明の第2の態様によれば、ガスコンパートメントと、ガスコンパートメントにある量のガスを供給する又はガスコンパートメントからある量のガスを除去するように構成されたガス制御システムと、第1の態様の方法を実行するように構成されたプロセッサとを含む放射源が提供される。
【0030】
[0030] ガス制御システムの提供は、有利にはガスコンパートメント内のガス圧及び/又はコンパートメント内の様々なガスの相対濃度のオンラインガス制御を可能にする。つまり、ガス制御システムは、放射源の使用中(すなわち、放射源が放射を発生させているとき)にガスを注入又は放出するのに使用することによって、放射源を遮断してパージ及び補充プロセスを実行する必要性を低下させたりなくしたりすることができる。オンラインガス制御は、有利にはパージ及び補充プロセスに伴う放射源の動作時間の無駄を減らしたりなくしたりする。オンラインガス制御は、有利には、例えばユーザが効率性を害することなく、より低いデューティサイクル(ただしこれに限定されない)などの予想されていないパラメータで放射源を動作させたい場合に、放射源の個々のユーザの要求への適合能力を高める。放射源はエキシマレーザである場合がある。
【0031】
[0031] ガス制御システムは、第1の端で第1のガス源又はガスシンクに接続され、第2の端でガスコンパートメントに接続された第1のパイプラインを更に含むことがある。ガス源は、例えばガス供給である場合がある。ガスシンクは、例えばガスを受け入れるように設計されたコンテナである場合がある。第1のパイプラインは導管を含むことがある、及び/又は任意の形態又は形状をとることがある。
【0032】
[0032] ガス制御システムは、第1の端で第2のガス源又は第2のガスシンクに接続され、第2の端でガスコンパートメントに接続された第2のパイプラインを更に含むことがある。第2のガス源は、例えばガス供給である場合がある。第2のガスシンクは、例えばガスを受け入れるように設計されたコンテナである場合がある。第2のパイプラインは導管を含むことがある、及び/又は任意の形態又は形状をとることがある。
【0033】
[0033] 放射源は、ガスコンパートメントと第1及び/又は第2のガス源もしくはシンクとの間のガス流を制御するように構成されたガス制御装置を更に含むことがある。
【0034】
[0034] 放射源は、コンパートメント内の消耗品の量を測定するように構成されたセンサを更に含むことがある。
【0035】
[0035] センサはガスコンパートメント内に位置することがある。代替的に、センサはガスコンパートメントのメインチャンバ外側に位置することがある。例えばセンサは、例えばパイプラインを介してガスコンパートメントに接続されることがある。
【0036】
[0036] センサは反応性ガスセンサを含むことがある。
【0037】
[0037] センサはフッ素センサを含むことがある。例えば、センサはF2センサを含むことがある。
【0038】
[0038] 本発明の第3の態様によれば、ガスコンパートメントと、ガスコンパートメント内の消耗品の量を測定するためのセンサとを含む放射源が提供される。
【0039】
[0039] 消耗品の量を測定するためのセンサを使用することは、有利にはパージ及び補充プロセスを実行する必要性を避けながら消耗品を補充し得る精度を改善する。消耗品の量を測定するためのセンサを使用することは、有利にはパージ及び補充プロセスに伴う時間の無駄をなくす。
【0040】
[0040] センサは反応性ガスセンサを含むことがある。
【0041】
[0041] センサはフッ素センサを含むことがある。例えば、センサはF2センサを含むことがある。
【0042】
[0042] 放射源は、ガスコンパートメントにある量のガスを供給する又はガスコンパートメントからある量のガスを除去するように構成されたガス制御システムを更に含むことがある。ガス制御システムは、第2の態様で説明したガス制御システムである場合がある。
【0043】
[0043] 本発明の第4の態様によれば、放射源のガスコンパートメントにある量のガスを供給する又は放射源のガスコンパートメントからある量のガスを除去するように構成され、更に第1の態様の方法を実行するように構成されたガス制御システムが提供される。
【0044】
[0044] ガス制御システムは、第1の端で第1のガス源又はシンクに、第2の端でガスコンパートメントに接続されるように構成された第1のパイプラインを含むことがある。ガス源は、例えばガス供給である場合がある。ガスシンクは、例えばガスを受け入れるように設計されたコンテナである場合がある。第1のパイプラインは導管を含むことがある、及び/又は任意の形態又は形状をとることがある。
【0045】
[0045] ガス制御システムは、第1の端で第2のガス源又はシンクに、第2の端でガスコンパートメントに接続されるように構成された第2のパイプラインを更に含むことがある。ガス源は、例えばガス供給である場合がある。ガスシンクは、例えばガスを受け入れるように設計されたコンテナである場合がある。第2のパイプラインは導管を含むことがある、及び/又は任意の形態又は形状をとることがある。
【0046】
[0046] ガス制御システムは、ガスコンパートメントと第1及び/又は第2のガス源もしくはシンクとの間のガス流を制御するように構成されたガス制御装置を更に含むことがある。
【0047】
[0047] 本発明の第5の態様によれば、第1の態様の方法を実行するように構成されたプロセッサを更に含む、第2又は第3の態様に係る放射源が提供される。
【0048】
[0048] 本発明の第6の態様によれば、第2、第3、又は第5の態様の放射源を含むリソグラフィ装置が提供される。
【0049】
[0049] 本発明の第7の態様によれば、第2、第3、第4、第5又は第6の態様のいずれかのデバイスに第1の態様の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。デバイスは放射源及び/又はリソグラフィ装置及び/又はガス制御システムである場合がある。
【0050】
[0050] 本発明の第8の態様によれば、第7の態様のコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0051】
[0051] 当業者には明らかなように、本明細書中の一態様について記載された特徴は、本明細書に記載の他の態様と組み合わせて用いられることがある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
[0052] これより本発明の実施形態が、添付の概略図を参照して単なる例として説明される。
【0053】
【
図1】[0053] ガス制御システムを含むリソグラフィ装置を概略的に示す。
【
図2】[0054] ガス制御システムを含む例示的な放射源を概略的に示す。
【
図3】[0055] ガス制御システムを含む別の例示的な放射源を概略的に示す。
【
図4】[0056] ガス制御システムを制御するのに用いられ得る例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図5】[0057] ガス制御システムを制御するのに用いられ得る別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図6】[0058] ガス量を算出するためのカウンタを使用する例示的な方法を示すグラフである。
【
図7】[0059] ガス量を算出する別の例示的な方法を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[0060] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0055】
[0061] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0056】
[0062]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構築された第2のポジショナPWに連結された基板サポート(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0057】
[0063] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームを受ける。放射源SOは、本明細書に記載の方法に従って放射源SOの一部分にある量のガスを供給する又は放射源SOの一部分からある量のガスを除去するように構成されたガス制御システム11を含む。ガス制御システム11及び関連する方法の更なる詳細は、以下に提供される。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0058】
[0064] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0059】
[0065] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液体で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に含まれる米国特許第6952253号に与えられている。
【0060】
[0066] リソグラフィ装置LAは、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプである場合もある(「デュアルステージ」とも呼ばれる)。こうした「マルチステージ」機械において、基板サポートWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板サポートWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0061】
[0067] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するよう配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置LAの一部をクリーニングするよう配置できる。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0062】
[0068] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システム(図示しない)を用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(
図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークW1、W2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークW1、W2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークW1、W2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0063】
[0069]
図2は、本発明の例示的な実施例に係る放射源SOを概略的に示している。放射源SOはエキシマレーザを含み、本明細書中で単にソース又はレーザSOと呼ばれることがある。レーザSOはレーザシステムと呼ばれることもある。レーザSOはガスコンパートメント20を含む。ガスコンパートメント20はコンパートメント、ガスチャンバ又は単にチャンバと呼ばれることもある。ガスコンパートメント20はガス、例えば貴ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、ネオン又はキセノン)と反応性ガス(例えば、フッ素や塩素などのハロゲン化物)との組み合わせを含む。ガスは、組み合わせ中の異なるガスの相対量、例えばフッ素の量に対するクリプトンの量に応じた相対濃度を有する。相対濃度は単に濃度と呼ばれることがある。ガスはコンパートメント内に制御された圧力で保持される。例えば、ガスは200~500kPaの範囲の圧力を有することがある。
【0064】
[0070] ガスコンパートメント20内のガスには電気刺激が与えられる。例えば、ガスコンパートメント20上又はその内部の電極(図示せず)に電圧が伝達されることがある。ガスコンパートメント20から放射が発生され、例えばアパーチャ(図示せず)を介して放出される。放射はリソグラフィ装置の照明システムILに送達され得る放射ビームBを形成する(例えば
図1参照)。
【0065】
[0071] 使用中、ガスコンパートメント20内のガスの特性は変化することがある。ガスコンパートメント20内のガス圧は変化することがある。ガスコンパートメント20内のガスの温度は変化することがある。使用中、ガスコンパートメント20内の温度及び/又は圧力は、選択された値から外れないように制御される。代替的又は付加的に、ガスの濃度は変化することがある。(複数のガスの組み合わせである)ガスの濃度は、ガスコンパートメント20内のガスの総量と比較した第1のガスの量の測度であることが理解されるべきである。一部のガスは消耗品と見なされることがある。消耗品は経時的に減少することがあるため、交換を必要とする場合がある。
【0066】
[0072] レーザSOはガス制御システム21を更に含む。ガス制御システム21は、ガスコンパートメント20への及び/又はガスコンパートメント20からのガス流を制御する。つまり、ガス制御システム21は、ガスコンパートメント20にガスを供給すること、又はガスコンパートメント20からガスを除去することができる。ガス制御システム21は、第1の端23でガスコンパートメント20に接続されたパイプライン22を含む。
【0067】
[0073] パイプライン22はまた、別の端(図示せず)で外部ガス供給(図示せず)に接続され、ガスを外部ガス供給からガスコンパートメント20に供給するように動作可能である。外部ガス供給はガス源と呼ばれることがある。このプロセスは、ガスコンパートメント20へのガス注入、ガス供給、ガス送入又はガス押込と呼ばれることもある。ガス注入はガスコンパートメント20内のガス圧を上昇させることがある。付加的又は代替的に、ガス注入はある種のガスの相対濃度を変化させることがある。例えば、アルゴンガスとフッ素ガスの組み合わせに追加のフッ素ガスを注入することは、フッ素のアルゴンに対する相対濃度を上昇させることがある。代替的に、パイプライン22はガスコンパートメント20からガスを除去するように動作可能である場合がある。このプロセスはガス抜きと呼ばれることがある。ガス抜きはガスコンパートメント20内のガス圧を低下させることができる。除去されたガスは、外部ガス供給又は別のガス装置、例えば全てがガスシンクと呼ばれることがある廃棄物コンテナやガス除去装置に戻されることがある。
【0068】
[0074] 本明細書中で使用されるパイプラインという用語は、流体又はガスの輸送のための導管を意味すると解されることがある。導管は任意の形態又は形状をとることがあり、流体、例えばガスを輸送できるものでなければならないという点でのみ制限される。
【0069】
[0075] ガス制御システム21は、1つ以上のバルブ及び/又はポンプ(図示せず)、並びに任意の他のガス制御装置を更に含むことがある。パイプライン22は、例えばパイプライン22とコンパートメント20との間(又はガスコンパートメント20とパイプライン22との間)のガス流を制御し得るバルブによって、ガスコンパートメント20に接続されることがある。したがって、ガス制御装置は、ガス源からガスコンパートメント20へのガス流及び/又はガスコンパートメント20からガスシンクへのガス流を制御することがある(すなわちガス制御装置は、ガス源とガスコンパートメント20との間及びガスコンパートメント20とガスシンクとの間のガス流を制御することがある)。所望の方向にガス流を駆動するのにポンプが使用されることがある。
【0070】
[0076] ガス制御システムは、プロセッサ及び/又はガス制御システムを動作させるコンピュータ実施手段を更に含むことがある。プロセッサを使用して、例えばバルブ及び/又はポンプに指示を送ることによって、バルブ及び/又はポンプを動作させることがある。指示は、例えばバルブの開放、バルブの閉鎖、流量の増加、流量の減少、流れの停止、流れの開始などである場合がある。
【0071】
[0077]
図3は、本発明のある実施形態に係る別の例示的な放射源SOを示している。放射源SOはエキシマレーザであり、本明細書中で単にソース又はレーザSOと呼ばれることがある。
図3のレーザSOは2つのガスコンパートメントMO、PAを含む。ガスコンパートメントはガス、例えば貴ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、ネオン又はキセノン)と反応性ガス(例えば、フッ素や塩素などのハロゲン化物)との組み合わせを含む。ガスは、組み合わせ中の異なるガスの相対量、例えばフッ素の量に対するクリプトンの量に応じた相対濃度を有する。相対濃度は単に濃度と呼ばれることがある。ガスはガス圧を有する。各ガスコンパートメントMO、PA内のガス圧は異なる場合がある。ガスの種類及び/又は濃度は、各ガスコンパートメントMO、PAで同じである場合がある、又は各ガスコンパートメントMO、PAで異なる場合がある。
【0072】
[0078] 第1のガスコンパートメントは主発振器MOと呼ばれることがあり、レーザ放射が生成されるシードレーザの役割を果たす。主発振器MO上又はその内部に電気刺激を与えることは、例えば、ガスコンパートメントMO上又はその内部の電極(図示せず)に電圧を伝達することによって行われる。主発振器MO内のレーザが放射を発生させ、第2のガスコンパートメントPAに送出されることがある。第2のガスコンパートメントはパワー増幅器PAと呼ばれることがあり、主発振器MOから受け取ったレーザ放射をより高いパワーに増幅する増幅器の役割を果たす。増幅された放射はパワー増幅器PAを出て、リソグラフィ装置の照明システムILに送出され得る放射ビームBを形成する(例えば
図1参照)。
【0073】
[0079] レーザSOは、2つのガス制御システム31MO、31PAを更に含む。各ガス制御システム31MO、31PAは、主発振器MO及びパワー増幅器PAに対するガスの流出入をそれぞれ制御する。つまり、ガス制御システム31MO、31PAは、ガスコンパートメントMO、PAにガスを供給したり、ガスコンパートメントMO、PAからガスを除去したりすることができる。
図3のガス制御システム31MO、31PAは別個のガス制御システムとして示されているが、代替的には1つの唯一のガス制御システムを構成することがある。
【0074】
[0080] 各ガス制御システム31MO、31PAは、それぞれの第1の端(図示せず)でガスコンパートメントMO、PAに接続された複数のパイプライン30a~c、32を含む。各パイプライン30a~c、32は、
図2を参照して説明されたパイプライン22に相当し、そのように動作することがある。例えば、各パイプライン30a~c、32は、ガス源及び/又はガスシンク(図示せず)に接続されることがあり、その対応するコンパートメントMO、PAにガスを供給したり、コンパートメントMO、PAからガスを除去したりするように動作可能である場合がある。本明細書中で使用される「パイプライン」という用語は、流体又はガスの輸送のための導管を意味すると理解されることがある。導管は任意の形態又は形状をとることがあり、流体、例えばガスを輸送できるものでなければならないという点でのみ制限される。
【0075】
[0081] ガス制御システム31MO、31PAは、1つ以上のバルブ及び/又はポンプ(図示せず)、並びに任意の他のガス制御装置を更に含むことがある。パイプライン30a、30b、30c、32は、例えばパイプライン30a~c、32とガスコンパートメントMO、PAとの間(又はガスコンパートメントMO、PAとパイプライン30a~c、32との間)のガス流を制御し得るバルブによって、その対応するガスコンパートメントMO、PAに接続されることがある。したがって、ガス制御装置は、ガス源からガスコンパートメントMO、PAの一方又は両方へのガス流及び/又はガスコンパートメントMO、PAの1つ以上からガスシンクへのガス流を制御することがある(すなわちガス制御装置は、1つ以上のガス源とガスコンパートメントMO、PAとの間及びガスコンパートメントMO、PAと1つ以上のガスシンクとの間のガス流を制御することがある)。所望の方向にガス流を駆動するのにポンプが使用されることがある。
【0076】
[0082] ガス制御システム31MO、31PAは、プロセッサ(図示せず)及び/又はガス制御システム31MO、31PAを動作させるコンピュータ実施手段を更に含むことがある。処理手段を使用して、例えば1つ以上のバルブ及び/又は1つ以上のポンプに指示を送ることによって、バルブ及び/又はポンプを動作させることがある。指示は、例えばバルブの開放、バルブの閉鎖、流量の増加、流量の減少、流れの停止、流れの開始などの要求を含むことがある。
【0077】
[0083] 第1のガス制御システム31MOは、主発振器MOに接続された3つのパイプライン30a~cを含む。第1のパイプライン30aが第1の外部ガス供給(図示せず)、例えばクリプトンガス供給に接続され、第1のガス(例えばクリプトン)を主発振器MOに供給するように動作可能である。第2のパイプライン30bが第2の外部ガス供給(図示せず)、例えばフッ素ガス供給に接続され、第2のガス(例えばフッ素)を主発振器MOに供給するように動作可能である。第1及び第2のパイプライン30a、30bからのガス流を変えることによって、ガス圧及び第1及び第2のガスの相対濃度を制御することがある。第3のパイプライン30cは、主発振器MOからガスを除去するように動作可能であることによって、主発振器MO内のガス圧を低下させる。第1及び第2のパイプライン30a、30bは入口パイプラインと呼ばれることがある。第3のパイプライン30cは出口パイプラインと呼ばれることがある。
【0078】
[0084] 主発振器MOはセンサ34も含む。センサ34は消耗品を測定するために選択される。例えば、センサ34は、第1のガスコンパートメントMO内の反応性ガスの量を測定することがある。特定例では、センサ34は第1のガスコンパートメントMO内のフッ素の量を測定するためのフッ素センサ(例えばF2センサ)を含む。有益には、レーザSOの第1のガスコンパートメントMO内の消耗品の量を測定することによって、上記の消耗品をモニタし、必要に応じて補充することがある。消耗品を測定するセンサ34の使用は、複数のパイプライン30a~cを有するガス制御システム31MOとの組み合わせが特に有利である。なぜなら、消耗品の消費量がガスの濃度を変化させることがあるためである。様々なガスを供給することができる複数のパイプライン30a~cを有するガス制御システム31MOを使用して、消耗品の減少後に第1のガスコンパートメントMO内の所望の濃度を達成することがある。特定例では、フッ素センサがアルゴン-フッ素ガス中のフッ素の量をモニタすることがある。第1のガスコンパートメントMO内のフッ素の量(又は濃度)が望ましい量を下回った場合、ガス制御システム31MOは、ある量のフッ素を第1のパイプライン30aを通して第1のガスコンパートメントMOに供給することを指示することがある。任意選択で、第2のパイプライン30bはある量のアルゴンガスを第1のガスコンパートメントMOに供給することがある。供給するアルゴン及びフッ素の相対量を制御することによって、ガスの圧力と濃度の両方を制御することがある。センサ34は主発振器MOに描かれているが、エキシマレーザSOの任意のコンパートメント、例えば第2のガスコンパートメントPAに設けられることもある。付加的に又は代替的に、センサ34はいずれのガス制御システム31MO、31PAと組み合わせて使用されることもある。
【0079】
[0085]
図3の例では、第2のガス制御システム31PAは、パワー増幅器PAに接続された単一パイプライン32を含む。単一パイプライン32は、単一パイプライン32と結合された複数の導管(図示せず)を含み、例えば複数の導管は単一パイプライン32内に含まれることがある。例えば、パイプライン32は複数のより小さい導管を含むシースである場合がある、又は複数の導管を有するマニホールドアセンブリを含むことがある。単一パイプライン32と結合された複数の導管は3つのパイプライン30a~cに相当する場合があり、そのように動作するが、パイプライン/導管の異なる構成を示すことがある。
【0080】
[0086]
図3に示すガス制御システム31MO、31PAは、この構成のレーザSOとの(例えば、主発振器MO及びパワー増幅器PAとの)使用に限定されないが、例えば
図2に示したエキシマレーザの任意の他の構成と共に使用できることが理解されるべきである。ガス制御システムの任意の数の異なる構成が可能であることも理解されるべきである。例えば、ガスコンパートメントMO及びガスコンパートメントPAはいずれも、任意の数のパイプライン、例えば1つの入口及び2つの出口、又はマニホールド入口及び単一出口が使用されることがある。
【0081】
[0087]
図2及び
図3のエキシマレーザは、エキシマレーザ放射源の例示的な構成である。ただし、例えば異なる数のガスコンパートメントを含む又は異なる配向のエキシマレーザの他の構成も可能である。本発明の特徴は、少なくとも1つのガスコンパートメントを有するエキシマレーザの任意の構成に適用することができ、したがって、上記の構成のいずれかに限定されることはない。
【0082】
[0088] エキシマレーザ、例えば
図2及び
図3に示したレーザSOの効率は、(例えば、ガスの電気刺激を与える電圧の印加によって)レーザSOに供給されたエネルギーと比較した放射ビームBの出力エネルギーの測度である。レーザSOの効率は、いくつかの変数、例えばガスコンパートメント内のガス圧、ガスコンパートメント内の異なるガスの相対濃度、ガスコンパートメントの内部の物理的状態(例えば、ガスコンパートメント内の汚染が効率を低下させることがある)、及び/又はユーザによるレーザの使用の特性(例えば、使用頻度、デューティサイクル、又は好適な駆動電圧)などの影響を受けることがある。
【0083】
[0089] ガス制御システムは、レーザのガスコンパートメントからのガスの供給及び/又は除去のオンライン制御を可能にする。つまりレーザは、ガスの供給及び/又は除去中に放射を発生させることがある。レーザを遮断することは、レーザの動作に悪影響を及ぼす(すなわち、レーザの使用がかなりの時間中断される)。したがって、ガス制御システムを提供することは、ガスコンパートメント内のガス圧及び/又はガスコンパートメント内の異なるガスの相対濃度のオンライン制御を可能にする。したがって、ガス制御システムの提供は、有利にはレーザの効率を制御する。
【0084】
[0090] 再度
図2に戻ると、ガス制御システム21の提供は、ガスコンパートメント20内のガス圧及び/又はガスコンパートメント20内の異なるガスの相対濃度のオンライン制御を可能にする。つまり、ガス制御システム21は、レーザSOの使用中に(すなわちレーザが放射を発生させている間に)ガスを注入又は放出するのに使用することによって、レーザが停止した状態でパージ及び補充する必要性を低下させたりなくしたりすることができる。このプロセスはオンライン補充又はオンラインガス制御と呼ばれることがある。オンラインガス制御は、有利にはパージ及び補充プロセスに伴う時間の無駄をなくす。オンラインガス制御は、有利にはレーザが放射を発生させている間にガスコンパートメント内のガスの特性を制御できるようにすることによって、レーザが動作可能であり得る時間を増やす。
【0085】
[0091] オンラインガス制御は、レーザ内の消耗品の量を測定するためのセンサ、例えば上記の反応性ガスセンサ又はフッ素センサと共に用いられる場合に特に有益である場合がある。既知のエキシマレーザシステムがパージ及び補充プロセスに依存する主な理由は、フッ素などの消耗品の消費量をモニタすることができないことである。消耗品の量を効率的かつ効果的に測定するために、好ましくは測定デバイスが次の特性の1つ以上を有することになる。高い精度(例えば±0.01%)、(例えばガスコンパートメント内のガス圧を大幅に低下させないように)わずかな量のガスのみを使用して測定すること、高速であること(例えば、濃度変化よりも速く測定すること)、小型であること(例えば、ガスコンパートメントに収まるようにガスコンパートメントよりかなり小さいこと)、(例えば、レーザを遮断してデバイスを交換又は修理することを避けるために)寿命が長いこと。消耗品の量が、反応性ガス(例えばフッ素)センサなどのセンサを使用して効率的かつ効果的に測定され得ることは分かっている。消耗品の量は、例えばセンサを使用して測定され、パージ及び補充プロセスを用いることなく正確に補充されることによって、レーザが動作可能であり得る時間を増やすことがある。センサを使用することに代えて又は加えて、消耗品の量は、例えば、理論的推定値、及びレーザに関連する使用パラメータ、例えばデューティサイクル、入力電圧、出力エネルギーなどを用いて推測又は推定されることがあり、同様に消耗品はパージ及び補充プロセスを用いることなく正確に補充されることがある。
【0086】
[0092] オンラインガス制御はまた、例えばユーザがレーザの効率性を害することなく、より低いデューティサイクル(ただしこれに限定されない)などの予想されていないパラメータでレーザを動作させたい場合に、システムを個々のユーザの要求に適合させることを可能にする。
図2及び
図3に示すガス制御システム21、31MO、31PAは、ガス制御方法及びプロセスを用いて制御することができる。本発明の例示的な実施例に係る例示的なガス制御方法及びプロセスは以下で説明される。
【0087】
[0093]
図4は、ガス制御システムを制御するのに用いられ得る例示的なプロセスを示している。このプロセスはオンラインガス制御プロセスである。第1のステップ40はレーザのパラメータを測定することを含む。パラメータは、レーザに与えられた電気刺激(例えば電圧V)及び/又はレーザが発生させた放射(例えば出力放射のエネルギー)及び/又はレーザのガスコンパートメント内の消耗品の量(例えばフッ素などの反応性ガスの量又は濃度)を記述することがある。
図4の例は電圧Vを測定するものとして描かれているが、この方法は、任意の他の適切なパラメータ、例えば出力エネルギー及び/又は消耗品の量に相応に適用することができる。この例では、電圧Vが実質的に安定した出力放射パルス、例えばパルスごとの目標エネルギー又はドーズを供給するようにレーザに供給されることが理解されるべきである。
【0088】
[0094] 電圧Vを測定するとき、絶対電圧又はフィルタリングされた電圧が用いられることがある。絶対電圧Vは、レーザに与えられる付加的要因を含まない入力電気刺激の測度である。フィルタリングされた電圧は絶対電圧Vから算出され、レーザに関連し効率に影響を及ぼすことが知られている他の要因、例えばデューティサイクル、目標エネルギー出力、ガス濃度などによって重み付けされる。フィルタリングされた電圧は絶対電圧Vの関数f(V)と見なされることがある。有益には、フィルタリングされた電圧は、既知の使用事例についての効率及びガス制御を改善する本明細書で説明される方法で測定及び使用されることがある。有益には、絶対電圧は、未知の使用事例についての効率及びガス制御を改善する本明細書で説明される方法で測定及び使用されることがある。ここでは電圧Vについて説明しているが、同じことが電気刺激、例えば電流について記述する他のパラメータにも同様に当てはまる。本明細書に記載の方法では、電圧V又は絶対電圧Vについて具体的に言及されているが、入力電気刺激について記述する任意の他のパラメータ、例えばフィルタリングされた電圧、絶対電流なども使用され得ることが理解されるべきである。
【0089】
[0095] プロセスの第2のステップ42は、測定パラメータの関数を、単に閾値と呼ばれることがあるパラメータ閾値と比較することを含む。関数はユニタリである場合がある(すなわち関数f(p)はパラメータpに等しい場合がある。例えばf(p)=1*p)。以下の例は、関数がユニタリである、すなわちパラメータがパラメータ閾値と比較される状況を利用して説明される。他の例において関数は、パラメータの任意の他の関数、例えば後により詳細に説明されるフィルタリングされた電圧である場合もある。
【0090】
[0096]
図4に示す例の閾値は、最大電圧閾値τ
Vmaxを含む。測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過している場合、更なる方法ステップが行われるが、測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過していない場合、何の措置も取られず方法は再開する。超過は最大電圧閾値τ
Vmaxを上回る電圧を含むことがある。
【0091】
[0097] プロセスの第3のステップ44は、パラメータに基づいてガス量を算出することを含む。第3のステップ44は、電圧Vが閾値τVmaxを超過していると判定されたことに応答して実行される。算出44は測定電圧Vに基づく場合がある。例えば算出は、電圧V(又は電圧Vの何らかの関数f(V)、例えばフィルタリングされた電圧)が閾値τVmaxを超過した大きさに基づく場合がある。ガス量は、ガス圧及び/又はガス濃度を改善するために、レーザのガスコンパートメントに供給(又はレーザのガスコンパートメントから除去)する必要があり得るガス量を表すことがある。例えば、ガス量は、レーザの効率及び/又は出力エネルギーを向上させる及び/又はレーザに供給される電圧を制御するように算出されることがある。算出44は、単一ガスの量又はガス混合物の量に関するものである場合がある、又は第1のガスの量及び第2のガスの量を含むことがある。例えば、圧力と濃度を切り離すこと(例えば、圧力と濃度を同時にではなく、圧力のみ又は濃度のみを変化させること)が望まれる場合、第1のガスの量及び第2のガスの量の算出が有益である場合がある。算出44は、例えば上記のレーザシステムと関連付けられたプロセッサにおいて行われることがある。
【0092】
[0098] プロセスの第4のステップ46は、ガス量をレーザのガスコンパートメントに供給せよ、又はガス量をレーザのガスコンパートメントから除去せよとの指示をガス制御システムに与えることを含む。例えばガス制御システムは、
図2及び
図3を参照して以上で説明されたガス制御システムである場合がある。このようにしてレーザのガスコンパートメントに対してガスの除去又は供給を行う行為は、レーザに関連するパラメータをモニタすることによって、ガス圧及び/又は濃度をオンラインで制御することを可能にする。
【0093】
[0099] 次いで、プロセスは再び初めから実行されることがある。プロセスは連続的に繰り返される(すなわち絶えずパラメータをモニタしている)ことがある。代替的に、プロセスの1つ以上のステップは、所定の時間が経過した後に繰り返されることがある。所定の時間は標準的な時間、例えば20msおきである場合がある。代替的に、所定の時間はレーザのいくつかのショット/パルスと関連付けられることがある。レーザ放射はパルス状である。つまり、いくつかのパルスがある一定の時間間隔内に放出される。各放射パルスはショットと呼ばれることがある。1つの放射ショットが、レーザの繰り返し率で規定された各時間間隔で放出される。例えば、レーザが6kHzで動作している場合、1つのショットがおよそ0.17msおきに放出される。なお、レーザはパルス放射を放出することがある(つまり、第1の期間に放射バーストを繰り返し放出し、第2の期間に放射を放出しないことがある)が、レーザは第1及び第2の両期間に「オンライン」であると見なされる。
【0094】
[0100] システムは、例えばプロセッサを使用して、ショットの数をカウントし、ショットカウントSを記憶することがある。ショットカウントSは発生したショットの数を表すことがある。プロセス(又はプロセスのステップ)が所定数のショットが発生した後に実行され得るようにショット閾値が選ばれることがある。ショット閾値がτs=100万に設定される場合、ステップは100万ショットおきに行われる。ショット閾値がτs=1000万に設定される場合、プロセスステップは1000万ショットおきに行われる。ショット閾値τsは任意の正の整数値をとることがある。1つの例示的なプロセスでは、パラメータは4000万ショットおきに測定され、ガス制御システムへの指示46が2000万ショットおきに与えられる。プロセスは際限なく反復的に実行されることがある。
【0095】
[0101] このプロセス中に追加のステップが行われることがある。例えば、レーザが正常動作しているか否かを判定する追加の決定が、測定ステップ40と比較ステップ42との間、又は比較ステップ42と算出ステップ44との間に追加されることがある。例えば、レーザが較正、ウォームアップ、又は他のメンテナンス又は非標準的な動作を経験している場合に、電圧が好ましい電圧範囲にない場合がある。したがって、システムは非標準動作モードに切り替わることがある。パラメータが閾値を超過していると比較ステップ42が判定しても、レーザが正常動作していない場合、プロセスは、閾値の超過に応答して何の措置も取られるべきではないと決定することがある。代替的又は付加的に、モードに依存した閾値が使用されることがあり、例えばレーザが異常モード、例えば較正モードにある場合、パラメータは、正常動作中に使用される閾値とは異なる較正閾値と比較されることがある。
【0096】
[0102] 代替的又は付加的に、指示46がガス制御システムに与えられた後(すなわちプロセスが再開する前)に追加の決定が追加されることがある。この決定は、ガスコンパートメント内のガス圧及び/又はガス濃度が変化したかどうかを判定することがある。例えば、ガスコンパートメント内のガス圧の測定が、ガス制御システムが算出されたガス量を供給することに成功したかどうかを判定するために行われることがある。例えば、ガス圧が変化しなかったと判定された場合は、ガス制御システムの障害を示すことがあるか、又はプロセスの次の反復に先立って追加の変更が必要であることを示すことがある。
【0097】
[0103]
図5は、ガス制御システムを制御するのに用いられ得る別の例示的なプロセスを示している。プロセスはオンライン補充プロセスである。プロセスの第1のステップ50はレーザのパラメータを測定することを含む。パラメータは、レーザに与えられた電気刺激(例えば電圧V)及び/又はレーザが発生させた放射(例えば出力放射のエネルギー)及び/又はレーザのガスコンパートメント内の消耗品の量(例えばフッ素などの反応性ガスの量又は濃度)を記述することがある。
図5の例は電圧Vを測定する(50)ものとして描かれているが、この方法は、任意の他の適切なパラメータに相応に適用することができる。この例では、電圧Vが目標エネルギーの出力放射を供給するようにレーザに供給されることが理解されるべきである。
【0098】
[0104] プロセスの第2のステップ52は、電圧を単に閾値と呼ばれることがあるパラメータ閾値と比較することを含む。
図5に示す例の閾値は、最大電圧閾値τ
Vmaxを含む。測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過している場合、更なる方法ステップが行われるが、測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過していない場合、何の措置も取られず方法は再開する。最小電圧閾値などの他の閾値が使用されることもある。複数の電圧閾値が同時にモニタされることがあり、複数の閾値のうちの異なる閾値の超過によって異なる措置が取られることがある。
【0099】
[0105] プロセスは1つ以上の値、例えば閾値及び/又はパラメータ及び/又はカウンタを記憶することがある。値はプロセッサ又は記憶手段、例えばコンピュータに記憶されることがある。
図5に示すプロセスでは、2つのカウンタが記憶される。任意の数のカウンタが記憶されることがある。カウンタは任意の値又は所定の値で初期化される。
【0100】
[0106] プロセスの第3のステップ54は1つ以上のカウンタを更新することを含む。この例におけるカウンタは、電圧Vが閾値τ
Vmaxを超過していると判定されたことに応答して更新される。例示的なカウンタ動作が、
図6を参照して以下でより詳細に説明される。
【0101】
[0107] 測定電圧が最大電圧閾値τVmaxを超過しているとの判定52の後、1つ以上のカウンタが更新され(54)、プロセスは第4のステップ56に進む。第4のステップ56は、パラメータ及びカウンタに基づいてガス量を算出することを含む。例えば、測定電圧Vが閾値τVmaxを複数回超過した場合に、カウンタは複数回更新されることになり、算出されたガス量は、大きさにおいて測定電圧が閾値τVmaxを1回超過した場合よりも大きくなることがある。ガス量は、ガス圧及び/又はガス濃度を改善するように、レーザのガスコンパートメントに供給する又はレーザのガスコンパートメントから除去する必要があるガス量を表すことがある。例えばガス量は、レーザの効率及び/又は出力エネルギーを向上させる及び/又はレーザに供給される電圧を制御するように算出されることがある。ガス算出は、単一ガスの量もしくはガス混合物の量である場合がある、又は、例えば濃度変化が有益である場合に、第1のガスの量及び第2のガスの量を含むことがある。この算出56は、例えば上記のレーザシステムと結合されたプロセッサにおいて行われることがある。
【0102】
[0108] ガス量が算出された(56)後、プロセスは第5のステップ58に進む。第5のステップ58は、ガス量をレーザのガスコンパートメントに供給せよ、又はガス量をレーザのガスコンパートメントから除去せよとの指示をガス制御システムに与えることを含む。例えばガス制御システムは、
図2及び
図3を参照して以上で説明されたものに係るガス制御システムである場合がある。このようにしてレーザのガスコンパートメントに対してガスの除去又は供給を行う行為は、レーザに関連するパラメータをモニタすることによって、ガス圧及び/又は濃度をオンラインで(すなわちレーザが放射を発生させている間に)制御することを可能にする。
【0103】
[0109] 最大電圧閾値τVmaxは、電圧がこれを超過することがユーザにとって望ましくない場合がある閾値を表すことがある。最大電圧閾値τVmaxは、例えば装置要因やコスト要因からユーザにより達成され得る最大電圧である電圧を表し得る最大許容電圧に関連している場合がある。代替的に、最大許容電圧τVmaxは、準最適な効率及び/又は出力エネルギーに対応するものよりも高い電圧を表すことがある。最大電圧閾値τVmaxと最大許容電圧は、所定の値だけ離れている場合がある、例えば最大電圧閾値τVmaxが最大許容電圧より0.1kV低い場合があるという点で関連している場合がある。最大電圧閾値τVmaxと最大許容電圧は、最大許容電圧の数分の1だけ離れている場合がある、例えば最大電圧閾値τVmaxが最大許容電圧の90%である場合があるという点で関連している場合がある。最大許容電圧を下回る最大電圧閾値τVmaxを有することによって、ガス制御システムは最大許容電圧に達する前のちょうどいいタイミングに作動し、その結果、レーザの望ましい使用条件を維持することがある。
【0104】
[0110] 上記の例は、電圧V及び最大電圧閾値τVmaxについて説明されているが、プロセスは、付加的又は代替的に(例えば測定された及び/又は測定結果から導出された、フィルタリングされた電圧f(V)などの)様々なパラメータ及び/又は様々な閾値(一定の閾値及び/又は時間依存閾値及び/又はショットに依存した閾値)で動作することがある。様々なパラメータ及び/又は様々な閾値を用いたいくつかの実施例が以下で説明される。これらの例示的な実施例は組み合わせて用いられることがある。つまり、オンライン補充プロセスは、電圧又は電流又は出力放射のエネルギー又はレーザ内の消耗品の量又はレーザシステムに関連する任意の他の適切なパラメータの1つ以上をモニタすることがある。
【0105】
[0111] ある例示的な実施例では、最小電圧閾値τ
Vminが使用される。最小電圧閾値τ
Vminは、電圧がこれを超過することがユーザにとって望ましくない閾値を表すことがある。この例では、超過は測定パラメータ(電圧)が最小電圧閾値τ
Vmin未満であることを意味すると解されるべきである。最小電圧閾値τ
Vminは、例えば装置要因やコスト要因からユーザにより達成され得る最小電圧である電圧を表し得る最小許容電圧に関連している場合がある。代替的に、最小許容電圧τ
Vminは、準最適な効率及び/又は出力エネルギーに対応するものよりも低い電圧を表すことがある。最小電圧閾値τ
Vminと最小許容電圧は、所定の値だけ離れている場合がある、例えば最小電圧閾値τ
Vminが最小許容電圧より0.1kV高い場合があるという点で関連している場合がある。最小電圧閾値τ
Vminと最小許容電圧は、最大許容電圧の数分の1だけ離れている場合がある、例えば最小電圧閾値τ
Vminが最小許容電圧の110%である場合があるという点で関連している場合がある。最小許容電圧を下回る最小電圧閾値τ
Vminを有することによって、ガス制御システムは最小許容電圧に達する前のちょうどいいタイミングに作動し、その結果、レーザの望ましい使用条件を維持することがある。
図4及び
図5に記載のプロセスに対応して、測定電圧が最小電圧閾値τ
Vminを超過している場合、更なる方法ステップが行われるが、測定電圧が最小電圧閾値τ
Vminを超過していない場合、何の措置も取られず方法は再開する。
【0106】
[0112] 別の例示的な実施例では、入力電圧Vは一定に保たれ、代わりにレーザの出力エネルギーEが測定される。この例では、関連閾値は最小エネルギー閾値及び最大エネルギー閾値の1つ以上である場合がある。
【0107】
[0113] 別の例示的な実施例では、レーザの消耗品が測定される。例えば、アルゴンとフッ素のガス混合物を使用するレーザ内のフッ素の量又は濃度が測定されることがある。この例では、関連閾値は最小フッ素閾値及び最大フッ素閾値の1つ以上である場合がある。
【0108】
[0114] 更に、2つ以上のパラメータが測定されることがある。例えば、チャンバ内の圧力を上昇させるのに必要なガス量を算出するために電圧が測定され使用されることがある。同時に、チャンバに供給する消耗品の量を算出するために消耗品の量が測定され使用されることがある。2つのパラメータ測定値を共に使用してガス量を算出することがある。例えば電圧と消耗品の量が測定されることがあり、両者を使用して、チャンバ内のガスの圧力及び/又は濃度を改善するためにチャンバに供給すべき第1のガスの量及び第2のガスの量を算出することがある。3つ以上のパラメータを使用してガス量を算出することもある。
【0109】
[0115]
図6は概して、以上で考察したようなガス制御システム及びこれに関連する方法がエキシマレーザの効率及び/又はエネルギー出力に及ぼす効果を示している。特に
図6は、ガス量を算出するためのカウンタの例示的な使用を示す。例えばカウンタは、
図5を参照して以上で説明した、測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過しているとの判定52に応答して更新される(54)カウンタである場合がある。
図6のグラフは、例えばガスコンパートメントと結合された電極に電気刺激を与えるためにエキシマレーザに印加された電圧Vと、レーザの出力エネルギーE、すなわちレーザが発生させた放射のエネルギーを示す。
【0110】
[0116] 第1の電圧-エネルギー曲線60Aは、典型的な印加電圧Vと、例示的なレーザ使用と関連付けられた放出エネルギーEを示す。このような曲線は、理論的に算出されるか又は実際の使用事例から実験的に測定されることがある。第1の電圧-エネルギー曲線60Aの形状及び位置は、レーザを動作させるパラメータ(例えば、デューティサイクル、使用頻度、ガスの選択、ガス圧、絶対及び相対ガス濃度など)に依存する。第2の電圧-エネルギー曲線60Bは、典型的な印加電圧Vと、より低いデューティサイクルで動作する別の例示的なレーザ使用と関連付けられた放出エネルギーEを示す。この例では、第2の電圧-エネルギー曲線60Bに関連するレーザの特定動作は、第1の電圧-エネルギー曲線60Aに関連するレーザの特定動作と比べてより低い出力エネルギーEをもたらす。
【0111】
[0117] 以上で考察したように、レーザの効率はいくつかの要因、例えばガスコンパートメント内のガス圧、使用頻度、デューティサイクルなどの影響を受けることがある。
図6の網掛け領域61は、特定の使用特性(例えば特定の使用頻度、特定のデューティサイクル、特定のガス圧、レーザの使用年数など)を所与として、レーザが許容可能な効率で動作することになる領域を示す。つまり、効率は所望の閾値効率を上回っている。達成可能な最高の効率を表し得る、最も望ましい効率と呼ばれることもある理想効率62が網掛け領域61内に描かれている。所与の使用特性のセットにとっての理想効率62は、理想エネルギー62E(又はエネルギー範囲)及び理想電圧62V(又は電圧範囲)と関連付けられている。つまり、特定の使用特性を所与として理想効率62を達成するために、レーザを理想電圧62Vで動作させることは有益であり、続いて理想エネルギー62Eが達成されることがある。
【0112】
[0118] ユーザがレーザを異なる使用特性(例えばより低いデューティサイクル)で動作させたい場合に、電圧-エネルギー曲線は理想効率62を達成しないことがあるか、又は網掛け領域62から外れることもある。ユーザがレーザを異なる使用特性(例えばより低いデューティサイクル)で動作させたい場合に、所望のエネルギー出力は、様々な使用特性を所与として達成不可能な場合がある。例えば、第2の電圧-エネルギー曲線60Bは理想エネルギー62E未満の出力エネルギーで頭打ちになる。このような例では、オンライン補充を用いてガス圧及び/又は濃度を制御することができる。ガス圧及び/又は濃度を制御することによって、レーザの効率及び/又は出力エネルギーを改善することができる。ガス圧及び/又は濃度を制御することによって、所望の入力電圧及び/又は他の使用特性について妥協することなく、望ましい出力エネルギー及び/又は効率が達成されることがある。有益にはオンライン補充によって、ユーザは、「非標準的な」使用特性が選ばれた場合でもレーザを改善された効率で動作させる及び/又は理想的なエネルギー出力を達成することがある。例えば非標準的な使用特性は、古いレーザを使用すること、低いデューティサイクル、レーザをほとんど使用しないことなどのうちの1つ以上を含むことがある。
【0113】
[0119] オンライン補充プロセスは、例えば
図4及び
図5を参照して以上で説明したプロセスの1つである場合がある。オンライン補充は、
図2及び
図3を参照して以上で説明したようなガス制御システムと組み合わせて用いられることがある。
【0114】
[0120]
図6はまた、ガス制御システムへの指示として与えられるガス量を算出するためにどのようにカウンタが使用され得るかを示す。例えばカウンタは、
図5を参照して以上で説明した、測定電圧が最大電圧閾値τ
Vmaxを超過しているとの判定52に応答して更新される(54)カウンタである場合がある。
【0115】
[0121]
図6には最大及び最小電圧閾値τ
Vmax、τ
Vminが描かれている。これらの最大及び最小電圧閾値τ
Vmax、τ
Vminは以上で考察したものに相当すると見なされることがある。例えば、これらはレーザの最大及び最小許容電圧に関連する場合がある。この例では、最大及び最小電圧閾値τ
Vmax、τ
Vminは、所望の効率領域61内(例えば所望の効率領域61の端から0.1kVのところ)にある。
【0116】
[0122] 算出は、最小電圧カウンタCVmin及び最大電圧カウンタCVmaxを利用する。これらのカウンタCVmin、CVmaxは任意の値に初期化されることがある。この例では、カウンタCVmin、CVmaxはゼロに初期化されている。これは限定的と解するべきではなく、カウンタはどんな値にも初期化されることがある。
【0117】
[0123] レーザへの入力電圧V、例えば目標出力エネルギーを維持するのに必要な電圧が測定される。測定電圧Vが最大電圧閾値τVmaxを超過している場合、最大電圧カウンタCVmaxが更新される。例えば最大電圧カウンタCVmaxは1だけ増加することがある。代替的に、最大電圧カウンタCVmaxは、パラメータ(例えば電圧V)及び/又は閾値(例えばτVmax)の関数だけ増加することがあり、例えば最大電圧カウンタCVmaxは、wが任意の定数又は所定の定数である場合に、関数w*(V-τVmax)だけ増加することがある。V及びτVmaxの関数を使用することによって、カウンタは、測定電圧が閾値を超過した程度(すなわち電圧Vが最大電圧閾値τVmaxを超過する量)を反映することができる。例えば、関数w*(V-τVmax)が使用され、wが正の数である場合、より大きい電圧が最大電圧カウンタCVmaxのより大きい増加に対応することになる。有益には、閾値超過の程度に依存した値によって最大電圧カウンタCVmaxを更新することによって、閾値超過の程度に更に依存したガス量を算出することができ、その結果、ガスコンパートメント内のガス圧及び/又は濃度のより効果的及び/又は迅速な制御が可能になる。
【0118】
[0124] 測定電圧Vが最小電圧閾値τVminを超過している場合、最小電圧カウンタCVminは更新される。例えば最小電圧カウンタCVminは1だけ増加することがある。代替的に、最小電圧カウンタCVminは、パラメータ(例えば電圧V)及び/又は閾値(例えばτVmin)の関数だけ増加することがあり、例えば最小電圧カウンタCVminは、wが任意の定数又は所定の定数である場合に、関数w*(V-τVmin)だけ増加することがある。V及びτVminの関数を使用することによって、カウンタは、超過の程度(すなわち電圧Vが最小電圧閾値τVminを超過する量)を反映することができる。例えば、関数w’*(τVmin-V)が使用され、w’が正の数である場合、より小さい電圧が最小電圧カウンタCVminのより大きい増加に対応することになる。有益には、超過の程度に依存した値によって最小電圧カウンタCVminを更新することによって、超過の程度に更に依存したガス量を算出することができ、その結果、ガスコンパートメント内のガス圧及び/又は濃度のより効果的及び/又は迅速な制御が可能になる。
【0119】
[0125] 測定プロセスが連続的又は反復的に繰り返されるとき、カウンタCVmin、CVmaxは、典型的には測定電圧Vの値に応じて複数回更新される。カウンタを更新する手段(例えばカウンタを増加/減少させる値、増分又は比率)は更新値と呼ばれることがある。更新値は、使用事例、科学理論、コンピュータモデリング、経験的観察、又は任意の他の適切な方法に基づいて選ばれることがある。
【0120】
[0126] 次いでカウンタCVmin、CVmaxは、ガス量を算出するのに使用される。用いられる算出は、使用事例、科学理論、コンピュータモデリング、経験的観察、又は任意の他の適切な方法に基づいて選ばれることがある。算出はガス量を直接的又は間接的に算出することがある。つまり算出は、初めにガスの特性(例えば圧力、濃度)を算出し、次にガス量を算出することを含むことがある。有益には、レーザに関連するガス特性を算出することによって、標準的な既知のガス理論及び/又は経験的観察及び/又は使用事例を用いてガス量を算出することがある。有益には、レーザに関連するガス特性を算出することによって、ガス量は正確かつ効率的に算出されることがある。
【0121】
[0127] ある例示的な実施例では、測定電圧Vが最大電圧閾値τ
Vmaxを超過している場合、最大電圧カウンタC
Vmaxは増加する。測定電圧Vが最小電圧閾値τ
Vminを超過している場合、最小電圧カウンタC
Vminは増加する。電圧が(例えばガスコンパートメント内のガスの減少によって)高過ぎるよくある使用事例では、次の式を使って必要な圧力Puの変化を算出することができる。
【数1】
【0122】
ここで、zはステップサイズである。ステップサイズzは、圧力の変化がどれくらい積極的に望まれているかに応じて選ばれることがある。例えば、小さいステップサイズzが圧力に小さい変化をもたらすことがある一方、より大きいステップサイズzが圧力に大きい変化をもたらすことがある。一部の例では、大きな変化をまれにもたらす、すなわち大きいステップサイズz及び低い繰り返し/更新率を用いることが有益である場合がある一方、他の例では、より小さい変化を頻繁にもたらす、すなわち小さいステップサイズz及び高い繰り返し/更新率を用いることが好ましい場合がある。ガス圧の増加が入力電圧Vの低下をもたらすことがある(すなわち、所望の効率及び/又は出力エネルギーを達成するのにより低い電圧Vが必要になる場合がある)。電圧を特定量(例えば1ボルト)だけ下げるのに必要とされる圧力(例えばkPa単位)の増加を記述するのにある感度が用いられることがある。ステップサイズzは感度に依存して選ばれることがある。
【0123】
[0128] 次いで算出された更新圧力Puから、例えば、既知の科学的な関係、例えば標準的気体法則に基づいてガス量が決定される。このガス量は、当該ガス量をガスコンパートメントに供給せよ、又は当該ガス量をガスコンパートメントから除去せよとの指示と共にガス制御システムに伝達される。例えばPuが正である場合、当該ガス量はガスコンパートメントに供給されることがある一方、Puが負である場合、当該ガス量はガスコンパートメントから除去されることがある。
【0124】
[0129] 入力電圧Vをモニタすることについて示されているが、プロセスは同様に、実質的に一定の入力電圧Vで出力エネルギーEをモニタし、対応する最小及び最大エネルギー閾値及び最小及び最大エネルギーカウンタを使用することによって用いられることがある。同様に、プロセスは同様に、消耗品(例えばフッ素などの反応性ガス)の量をモニタし、消耗品の量がこれを下回る場合に、消耗ガスの量が算出され、ガスコンパートメントに供給される最小消耗品閾値を使用することによって用いられることがある。
【0125】
[0130] 時にはカウンタCVmax、CVminをリセットすることが望ましい場合がある。例えば、所望のガス圧及び/又は濃度に達したと判定したときにカウンタCVmax、CVminをリセットすることが望ましい場合がある。カウンタCVmax及びCVminをリセットすることは、更なる調整が行われないようにし、システムがモニタしている特性(例えば入力電圧V)の将来の変化に適切に反応することを可能にする。
【0126】
[0131]
図7は、ガス量を算出する別の例示的な方法を示している。グラフは、エキシマレーザに関連する測定値、具体的には電圧V及び変数Xのグラフを示す。変数Xは、ユーザの要求に応じて選ばれることがあるが、電圧Vに影響を及ぼし得る任意の特性、例えばデューティサイクル、又はレーザの第1のガスコンパートメントに与えられる電気刺激と第2のガスコンパートメントに与えられる電気刺激との間の時間などのレーザに関連する光学条件を含むことがある。電圧V及びパラメータXは経時的にモニタされ、各測定値が丸70、72としてグラフ上に記録される。電圧ではなく、出力エネルギーEが測定及び記録されることがあり、パラメータXは出力エネルギーEに影響を及ぼし得る任意の特性を含むことがある。下記の方法は、電圧Vを測定することに関連して説明されているが、この方法は、出力エネルギーEを測定する場合、又は入力電気刺激及び/又は出力放射の任意の他の測度、もしくはガスコンパートメント内の消耗品の測度に相応に適用することができる。
【0127】
[0132] 測定が第1の期間中に行われ、黒丸70で示されている。例えば100万ショットおきに1回の測定や1億ショットおきに1回の測定など、この期間中の異なる時間に行われ得る複数回の測定が存在する。第1の期間70中に行われた測定の第1の平均(又は測定パラメータの任意の他の関数)71が存在する。
【0128】
[0133] 測定が第2の期間中にも行われ、白丸72で示されている。例えば100万ショットおきに1回の測定や1億ショットおきに1回の測定など、この期間中の異なる時間に行われ得る複数回の測定が存在する。第2の期間72中に行われた測定の第2の平均又は任意の他の関数73が存在する。
【0129】
[0134] 第2の期間は第1の期間から時間的に離れていることがある。期間の差は、例えば1時間、1日又は1週間である場合がある。代替的に、第1の期間と第2の期間との差はゼロである可能性がある。第1の期間と第2の期間とは重なることがある。例えば、第1の期間は1ショットから300万ショットまで発生することがあり、第2の期間は2百万ショットから5000万ショットまで発生することがある。期間は、時間ベース(例えば秒、時間、日など)である場合がある、及び/又はショットベースである場合がある。
【0130】
[0135] 第1の期間と第2の期間との間に、レーザ内の条件が変化することがある。例えば、圧力及び/又は濃度が変化してしまう(例えば圧力が低下してしまうことがある、及び/又は消耗品の量ひいては対応する濃度が低下してしまうことがある)可能性がある。結果として、効率及び/又はエネルギー及び/又は電圧は変化することになり、その後に平均が変化することになる、すなわち第2の平均73は第1の平均71と異なるものになる。
【0131】
[0136] 平均、又は測定パラメータの任意の関数は、例えば平均電圧を算出する1次元でモニタされることがある。代替的に、平均は、例えば平均電圧及び平均パラメータXの2次元でモニタされることがある。パラメータX自体は多次元である可能性がある。パラメータXは、電圧
Vに影響を及ぼし、測定され得る1つ以上のパラメータを含むことがある。有益には、これらの平均(又は測定パラメータの任意の他の関数)71、73及びパラメータXをモニタすることによって、電圧に影響を及ぼし得るが直接測定することができない他の要因(例えば経時効果)が考慮されることがある。
【0132】
[0137] 第1の平均71と第2の平均73との差に基づいて、ガス量(すなわちガス制御システムに伝達され、ガスコンパートメントに供給されるべきガス量)を算出することができる。その後、ガス制御システムは、以上で説明したように、ガスコンパートメントに対するガスの供給及び/又は除去を行う。
【0133】
[0138] 2つの異なる時間的に離れた時間に平均71、73を算出するのではなく、移動平均が算出されることがある。つまり、第1の平均71が、例えば第1の測定値のセット70に基づいて算出されることがある。代替的に、第1の平均71は、過去の値、ユーザ指定の値、又はメーカ指定の値に基づいて選択されることがある。代替的に、第1の平均71は較正プロセス中の算出に基づいて選択されることがある。次いで移動平均が算出され、測定が行われるたびに更新されることがある。平均閾値(すなわち第1の平均71及び移動平均に関連する閾値)が、移動平均が平均閾値を超過している場合に、ガス量が算出されるように選ばれることがある。平均閾値は所定の値(例えば平均電圧から±0.1kV)である場合がある。代替的に、平均閾値は第1の平均のある割合(例えば第1の平均から±10%)である場合がある。
【0134】
[0139] ガス量を算出する前に測定値にフィルタを適用することが有利である場合がある。例えば、誤った測定値によって外れ値が生じることがある。外れ値は、
図7の中心から離れた測定値74として示されるように、平均から離れて存在することがある。外れ値を含むことで誤ったガス量が算出されることがある。外れ値の悪影響は、測定値にフィルタを適用することによって、例えば第1又は第2の平均から一定の閾値距離(例えば第1の平均から±50%)以上のところにある全てのデータを無視することによって、又は外れ値検出アルゴリズムを使用することによって減らされることがある。任意選択で、第2の平均は、これらの中心から離れた測定値を取り除いた後に再算出されることがある。
【0135】
[0140] 本明細書中ではリソグラフィにおいて使用されるエキシマレーザの使用について具体的な言及がなされることがあるが、本明細書に記載されたレーザ及びこれに関連するシステム及び方法には他の適用例があり得ることが理解されるべきである。可能な他の適用例はメトロロジ装置及び光測定装置を含む。
【0136】
[0141] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0137】
[0142] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0138】
[0143] 本発明の他の態様を以下の番号付けされた条項に記載する。
1.放射源のガスコンパートメントのガス制御システムを制御する方法であって、方法が、
エキシマレーザのパラメータであって、レーザに与えられた電気刺激及び/又はレーザが発生させた放射の特性及び/又はガスコンパートメント内の消耗品の量を記述するパラメータを測定すること、
パラメータ、又はパラメータの関数を閾値と比較すること、
パラメータ又はパラメータの関数が閾値を超過していると判定されたことに応答して、パラメータに基づいて供給又は除去されるべきガス量を算出すること、
ガスコンパートメントにガス量を供給せよ、又はガスコンパートメントからガス量を除去せよとの指示をガス制御システムに与えること、を含む方法。
2.放射源が、ガスコンパートメントへのガスの供給中又はガスコンパートメントからのガスの除去中に放射を発生させ続ける、条項1の方法。
3.ガス量を算出することが、パラメータに基づいてガス特性を算出することを更に含む、条項1又は2の方法。
4.ガス特性に基づいてガス量を算出することを更に含む、条項3の方法。
5.ガス特性がガス圧及び/又はガス濃度を含む、条項3又は4の方法。
6.ガス量が第1のガスの量及び第2のガスの量を含む、条項1から5のいずれかの方法。
7.パラメータを測定することが、第1及び第2のパラメータを測定することを含む、条項1から6のいずれかの方法。
8.ガス量が第1及び第2のパラメータに基づいて算出される、条項7の方法。
9.第1のパラメータがガスコンパートメント内の消耗品の量である、条項7又は8の方法。
10.ガスコンパートメント内の消耗品の量を測定するセンサを使用することを更に含む、条項1から9のいずれかの方法。
11.センサが反応性ガスセンサを含む、条項10の方法。
12.センサがフッ素センサを含む、条項11の方法。
13.閾値が所定のパラメータの関数を含む、条項1から12のいずれかの方法。
14.方法が、パラメータの関数が閾値を上回っていると判定されたことに応答してカウンタを更新することを更に含む、条項1から13のいずれかの方法。
15.ガス量の算出が更にカウンタに基づく、条項14の方法。
16.方法が、
パラメータの第1の測定値のセットを記録すること、
第1の測定値のセットの第1の関数を算出すること、
パラメータの第2の測定値のセットを記録すること、
第2の測定値のセットの第2の関数を算出すること、
第1及び第2の関数に基づいてガス量を算出することを含む、条項1から15のいずれかの方法。
17.ガスコンパートメントと、ガスコンパートメントにガス量を供給する又はガスコンパートメントからガス量を除去するように構成されたガス制御システムと、条項1から16のいずれかの方法を実行するように構成されたプロセッサとを含む放射源。
18.ガス制御システムが、第1の端で第1のガス源に、第2の端でガスコンパートメントに接続された第1のパイプラインを含む、条項17の放射源。
19.ガス制御システムが、第1の端で第2のガス源に、第2の端でガスコンパートメントに接続された第2のパイプラインを更に含む、条項18の放射源。
20.ガスコンパートメントと第1及び/又は第2のガス源との間のガス流を制御するように構成されたガス制御装置を更に含む、条項18又は19の放射源。
21.コンパートメント内の消耗品の量を測定するように構成されたセンサを更に含む、条項17から20のいずれかの放射源。
22.センサがガスコンパートメント内に位置する、条項21の放射源。
23.センサが反応性ガスセンサを含む、条項21又は22の放射源。
24.センサがフッ素センサを含む、条項21から23のいずれかの放射源。
25.ガスコンパートメントと、ガスコンパートメント内の消耗品の量を測定するためのセンサとを含む放射源。
26.センサが反応性ガスセンサを含む、条項25の放射源。
27.センサがフッ素センサを含む、条項26の放射源。
28.ある量のガスをガスコンパートメントに供給する、又はある量のガスをガスコンパートメントから除去するように構成されたガス制御システムを更に含む、条項25から27のいずれかの放射源。
29.ある量のガスを放射源のガスコンパートメントに供給する、又はある量のガスを放射源のガスコンパートメントから除去するように構成され、条項1から16のいずれかの方法を実行するように更に構成されたガス制御システム。
30.ガス制御システムが、第1の端で第1のガス源に、第2の端でガスコンパートメントに接続されるように構成された第1のパイプラインを含む、条項29のガス制御システム。
31.第1の端で第2のガス源に、第2の端でガスコンパートメントに接続されるように構成された第2のパイプラインを更に含む、条項30のガス制御システム。
32.ガスコンパートメントと第1及び/又は第2のガス源との間のガス流を制御するように構成されたガス制御装置を更に含む、条項29から31のいずれかのガス制御システム。
33.条項1から16のいずれかの方法を実行するように構成されたプロセッサを更に含む、条項17から28のいずれかの放射源。
34.条項17から28又は条項33のいずれかの放射源を含むリソグラフィ装置。
35.条項17から34のいずれかのデバイスに条項1から16の方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
36.条項35のコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ可読媒体。
【0139】
[0144] 上記の実施例及び他の実施例は、特許請求の範囲内である。以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。