(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】回折導光板
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20231107BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20231107BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2021552663
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2020002961
(87)【国際公開番号】W WO2020184885
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0028514
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ミン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】サン・チョル・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ブ・ゴン・シン
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/220266(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/231754(WO,A1)
【文献】特表2015-534117(JP,A)
【文献】特開2015-105990(JP,A)
【文献】特表2017-528739(JP,A)
【文献】特開2017-156388(JP,A)
【文献】特表2018-513414(JP,A)
【文献】特開2006-154102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18、5/32
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2回折光学素子を含み、前記第1回折光学素子は前記第1回折光学素子に入射した光を受光して前記第2回折光学素子に向かって出力できる素子であり、前記第2回折光学素子は前記第1回折光学素子から入射した光を前記第2回折光学素子から出射させることができる素子である回折導光板であって、
前記第1回折光学素子は第1方向に延びる線形回折格子を含み、
前記第2回折光学素子は第1~第2領域および前記第1~第2領域の間に存在する第3領域を含み、
前記第1領域は前記第1方向とは異なる第2方向に延びる線形回折格子を含み、
前記第2領域は前記第1および第2方向とは異なる第3方向に延びる線形回折格子を含み、
前記第3領域は前記第1および第2領域の線形回折格子が重なった形態の回折格子を含み、
前記第1~第3領域は、前記第1回折光学素子から入射する光が前記第2および第3領域を経ずに前記第1領域に入射し、前記光が前記第1および第3領域を経ずに前記第2領域に入射し、また、前記光が前記第1および第2領域を経ずに前記第3領域に入射するように配置されており、
前記回折導光板が形成する互いに垂直な三軸をx軸、y軸およびz軸として設定し、z軸が重力方向と平行な方向となるように設定した時、前記第1領域のz軸方向の長さ(Z1)、前記第2領域のz軸方向の長さ(Z2)および前記第3領域のz軸方向の長さ(Z3)の和(Z1+Z2+Z3)と前記第3領域のz軸方向の長さ(Z3)の比率(Z3/(Z1+Z2+Z3))は0.3~0.9の範囲内であり、
前記第3領域のz軸方向の長さ(Z3)は15mm~25mmの範囲内である、回折導光板。
【請求項2】
前記第1方向に平行な直線と、前記第2方向に平行な直線と、前記第3方向に平行な直線とは三角形をなす、請求項1に記載の回折導光板。
【請求項3】
前記第2方向および第3方向がなす角度は50度~70度の範囲内である、請求項2に記載の回折導光板。
【請求項4】
前記第1方向および第2方向がなす角度または前記第1方向および第3方向がなす角度は50度~70度の範囲内である、請求項3に記載の回折導光板。
【請求項5】
前記第1または第2領域の回折格子の平均ピッチは200nm~600nmの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項6】
前記第1または第2領域の回折格子の平均高さが1nm~1μmの範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項7】
前記第1または第2領域の回折格子の平均幅は前記回折格子の平均ピッチの0.1倍~0.9倍の範囲内である、請求項5に記載の回折導光板。
【請求項8】
第1または第2領域の屈折率は525nm波長の光に対して1.0超過2.0以下の範囲内である、請求項1から7のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項9】
前記第3領域の回折格子は、それぞれ離間した複数の柱で構成され、前記複数の柱のうち6個の柱を前記6個の柱を連結する仮想の線が六角形をなすように選択した時、
前記六角形のいずれか一辺の方向と前記第1方向とのなす角度が-10度~10度の範囲内であり、
前記六角形の他の一辺の方向と前記第2方向とのなす角度が-10度~10度の範囲内であり、
前記六角形のさらに他の一辺の方向と前記第3方向とのなす角度が-10度~10度の範囲内である、請求項1から8のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項10】
前記六角形の辺のうち前記第1方向と-10度~10度範囲内の角度をなす辺および前記辺と向かい合う辺がなす角度は-10度~10度の範囲内であり、
前記六角形の辺のうち前記第2方向と-10度~10度の範囲内の角度をなす辺および前記辺と向かい合う辺がなす角度は-10度~10度の範囲内であり、
前記六角形の辺のうち前記第3方向と-10度~10度の範囲内の角度をなす辺および前記辺と向かい合う辺がなす角度は-10度~10度の範囲内である、請求項9に記載の回折導光板。
【請求項11】
前記第3領域の回折格子の柱の平均ピッチは200nm~600nmの範囲内である、請求項9または10に記載の回折導光板。
【請求項12】
前記第3領域の回折格子の柱の平均高さは1nm~1μmの範囲内である、請求項9から11のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項13】
前記第3領域の回折格子の柱の平均幅は前記柱の平均ピッチの0.1倍~1.3倍の範囲内である、請求項11に記載の回折導光板。
【請求項14】
前記第3領域の屈折率は525nm波長の光に対して1.0超過2.0以下の範囲内である、請求項9から13のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項15】
前記第1領域のz軸方向の長さ(Z1)と前記第2領域のz軸方向の長さ(Z2)の比率(Z1/Z2)は0.9~1.1の範囲内である、請求項
1から14のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項16】
前記第1領域のz軸方向の長さ(Z1)または前記第2領域のz軸方向の長さ(Z2)は1mm~15mmの範囲内である、請求項
1から15のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項17】
前記第2回折光学素子の面積は1cm
2
~50cm
2
の範囲内である、請求項1から16のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項18】
前記第1回折光学素子に入射する光は映像信号であり、前記第2回折光学素子は映像出力面を形成する、請求項1から
17のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項19】
左眼用レンズと右眼用レンズ;および前記左眼用レンズと右眼用レンズを支持するフレームを含み、
前記左眼用レンズおよび右眼用レンズはそれぞれ請求項1から
18のいずれか一項に記載された回折導光板を含む、アイウェア。
【請求項20】
前記フレームに位置し、前記左眼用レンズおよび右眼用レンズのうち少なくとも一つのレンズに再生光を投射するプロジェクターをさらに含む、請求項
19に記載のアイウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年3月13日付け大韓民国特許庁に出願された特許出願第10-2019-0028514号の優先日の利益を主張し、その内容のすべては本出願に参照として含まれる。
【0002】
本出願は、回折導光板およびこの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
拡張現実(Augmented Reality、AR)技術は現実のイメージに3次元の仮想イメージを重複させて一つの映像で投影する技術を指し示す。拡張現実を具現する光学デバイスは光の波動的な性質に基づいた回折現象を利用する回折導光板を含む。
【0004】
従来の回折導光板を
図1に概略的に示した。従来の回折導光板10はそれぞれ回折格子が形成された入力回折光学素子11、中間回折光学素子12および出力回折光学素子13を含む。具体的には、前記入力回折光学素子11は光源Pから入射した光を受光し、前記受光した光を前記中間回折光学素子に向かって出力させ、前記光を前記導光板内で全反射するように構成される。前記中間回折光学素子12は前記入力回折光学素子11から回折された光を受光し、前記受光した光を回折によって単一の第1方向(例えば、
図1のz軸と平行な方向)に前記出力回折光学素子に向かって拡張するように構成される。前記出力回折光学素子13は前記中間回折光学素子12で拡張された光を受光し、前記受光した光を回折によって単一の第2方向(
図1のy軸と平行な方向)に拡張された状態で使用者の瞳孔に向かう方向に出力できるように構成される。
【0005】
光源Pから出力された光が使用者の瞳孔に到達するための主な光経路は、入力回折光学素子11→中間回折光学素子12→出力回折光学素子13→使用者の瞳孔の順序でなされる。この時、前記回折導光板から出力される映像を使用者が認識できる領域を増加させるためには、中間回折光学素子と出力回折光学素子の大きさを増加せざるを得ない。
【0006】
ところが、前記導光板内の回折光学素子の大きさを増加させる場合には、回折導光板の大きさが増加することになる。これに伴い、前記回折導光板が適用される光学デバイスの大きさが増加するため、従来の回折導光板の設計では光学デバイスを小型化乃至軽量化しようとする技術的趨勢に符合するには限界がある。
【0007】
図1のような構造を有する回折導光板の問題点を解決するために、
図2のような構造の回折導光板の形態が考慮された。具体的には、
図2のように、入力回折光学素子120と、互いに異なる1次元回折パターンを有し、互いに対向配置された第1領域131と第2領域132を有する出力回折光学素子130を含む回折導光板の形態が考慮された。前記出力回折光学素子が従来の中間および出力回折光学素子の役割を代替するため、
図2のような形態の回折導光板は全体の大きさを減少させないながらも出力映像の面積を向上させることができた。
【0008】
図2のような形態の回折導光板では、出力回折光学素子内の前記第1領域と第2領域が前記回折導光板に入力された映像を分割して出力する。この時、使用者が前記第1領域と第2領域が出力する映像をすべて認識するためには、使用者の瞳孔が前記映像のすべてに位置しなければならない。ところが、
図2のような形態の回折導光板が出力する映像のすべてを使用者が認識できる領域(
図3のα)の大きさは相対的に小さい。したがって、
図2のような形態の回折導光板では、瞳孔の位置が若干でも変更されると、特に前記第1領域と第2領域の境界から出力される映像が使用者に認識されないか、認識されても相対的にぼやけて認識される問題がある。すなわち、
図2のような形態の回折導光板で出力される映像をすべて認識するためには使用者の瞳孔の位置が制限的であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願の一目的は、光学デバイスの小型化乃至軽量化に適合した回折導光板を提供することである。
【0010】
本出願の他の一目的は、全体の大きさを減少させないながらも、出力される映像の面積を増加させ得る回折導光板を提供することである。
【0011】
本出願のさらに他の一目的は、使用者の瞳孔の位置に制限がない回折導光板を提供することである。
【0012】
本出願の目的は前述した目的に限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願で定義される角度は、製造誤差(error)または偏差(variation)等を考慮して理解されるべきである。例えば、本出願で適用される用語「垂直」、「平行」、「直交」、または「水平」等の用語はその用語が表そうとする意味を損傷させない範囲内であり、実質的な垂直、平行、直交または水平を意味し得る。そして、前記用語それぞれは約±10度以内の誤差、約±5度以内の誤差、約±3度以内の誤差、約±2度以内の誤差、約±1度以内の誤差または約±0.5度以内の誤差を勘案して理解され得る。
【0014】
本出願で言及するある二方向がなす角度は、特に別途に規定しない限り、前記二方向がなす鋭角乃至鈍角のうち鋭角であるか、前記二方向がなす角度のうち絶対値が小さい値を意味し得る。
【0015】
本出願で言及する角度は、特に別途に規定しない限り、正の数である。ところが、場合によっては時計回り方向または反時計回り方向に測定された角度間の測定方向を示すために、前記時計回り方向に測定された角度を正の数、反時計回り方向に測定された角度を負の数で表記することもある。
【0016】
本出願で、「面方向」は回折導光板で最大面積を有する面と平行な方向、例えば、回折導光板の最短軸を除いた残りの二軸が形成する面と平行な方向を意味し得る。具体的には、回折導光板で形成する互いに垂直な三軸をそれぞれx軸、y軸およびz軸で表示し、前記でz軸を重力方向と平行な方向として設定する時、「x軸方向の長さ>z軸方向の長さ>y軸方向の長さ」の関係または「z軸方向の長さ>x軸方向の長さ>y軸方向の長さ」の関係が成立する場合、前記面方向は前記回折導光板のx軸とz軸が形成する面と平行な方向を意味し得る。
【0017】
本出願で、「厚さ方向」は前記回折導光板の最大面積を有する面の法線方向(normal direction)を意味し得る。すなわち、回折導光板の厚さ方向は面方向法線の方向を意味し得、前記例示ではy軸方向を意味し得る。
【0018】
本出願で、用語「透過率」、または「屈折率」等の光学的物性の基準波長は、回折導光板を適用して回折しようとする光の波長によって決定され得る。例えば、回折導光板で可視光領域の光を回折しようとする場合、前記透過率などは400nm~700nmの範囲内のいずれか一つの波長または約525nm波長の光を基準とした数値であり得る。他の例示において、赤外線領域の光を回折しようとする場合、前記透過率などは、例えば、約1000nm波長の光を基準とした数値であり得る。
【0019】
本出願で、用語「導光部」は回折導光板の内部に光を案内する機能を遂行する光学要素を意味し得る。また、前記機能は光の回折による全反射を通じて遂行され得る。前記導光部で全反射が起きるためには、前記導光部の屈折率が導光部の表面に隣接した他の媒体の屈折率より大きくなければならない。前記導光部は大体空気に隣接するため、前記導光部は空気より屈折率が大きい素材、例えば、ガラスおよび/またはプラスチックなどの透明または半透明な素材などで構成され得る。
【0020】
前記において、用語「透明」は可視光線の波長、例えば、約525nm波長の光に対する透過率が80%以上であることを意味し得、「半透明」は可視光線の波長、例えば、約525nm波長の光に対する透過率が50%以上80%未満であることを意味することもある。
【0021】
本出願で、用語「回折光学素子(Diffraction Optical Element、DOE)」は光を一つ以上の方向に回折させ該当光の経路を変更する機能を遂行する光学要素を意味し得る。前記回折光学素子は回折格子を含むことができる。
【0022】
前記「回折格子(diffraction grating)」は光の回折現象を利用して入射光のスペクトルを波長により分離する光学素子を意味し得る。例えば導光部の入光面および/または出光面には特定の間隔を有する複数の平行線が陰刻または陽刻で形成されていることもあるが、このように形成された平行線を線形回折格子と指称できる。すなわち、回折格子は前記導光部の入光面および/または出光面に形成された物理的凹凸構造の反復パターン、すなわち、ライン-アンド-スペース(line-and-space、L/S)パターンであり得る。また、前記で線形回折格子は特定方向から延びる形態を有することができる。
【0023】
前記回折光学素子で変更される光の経路は、前記光学素子に形成された回折格子の様態によって変わり得る。したがって、前記回折光学素子が有する回折格子の形態(延長方向など)、配置間隔、格子の深さ、または前記格子に形成された平行線が陰刻または陽刻であるかどうかなどは、本出願の回折導光板で意図しようとする光経路によって適切に配置または調節され得る。
【0024】
本出願は回折導光板に関する。以下では、添付された図面を参照して本出願の回折導光板に対してより具体的に説明する。
【0025】
【0026】
本出願の回折導光板100は導光部が形成する一面(前記例示では、x軸とz軸が形成する面)上に形成された複数の回折光学素子120、130を含む。具体的には、前記回折導光板は第1回折光学素子120および第2回折光学素子130を含む。また、前記複数の回折光学素子は導光部110の一面(110aまたは110b)上に配置され得る。前記複数の回折光学素子は導光部の同一面上に配置され得る。
【0027】
他の例示において、第1回折光学素子は入力回折光学素子とも指称され得、第2回折光学素子は出力回折光学素子とも指称され得る。すなわち、前記第1回折光学素子に入射する光が映像信号であり得、前記第2回折光学素子が映像出力面を形成することができる。添付された図面で第1回折光学素子は円で、第2回折光学素子は四角形で図示されているが、これに制限されるものではない。
【0028】
前記において、第1回折光学素子は前記回折導光板に入射した光を受光することができる。また、前記第1回折光学素子は前記受光した光を回折によって前記第2回折光学素子に向かって出力させることができる。
【0029】
前記において、第2回折光学素子は前記第1回折光学素子から入射した光を出射させることができる。出射した光は使用者の瞳孔に向かうことができる。
【0030】
前記第1回折光学素子に入射する光は、前記第1回折光学素子の法線と-50度~50度の範囲内の入射角で入射することができる。前記入射角は、他の例示において、-45度以上、-40度以上、-35度以上、-30度以上、-25度以上、-20度以上、-15度以上、-10度以上、-5度以上、-3度以上、-1度以上であり得、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、または1度以下であり得る。
【0031】
前記第2回折光学素子が出射する光は、前記第2回折光学素子の法線と-50度~50度の範囲内の出射角で出射することができる。前記出射角は、他の例示において、-45度以上、-40度以上、-35度以上、-30度以上、-25度以上、-20度以上、-15度以上、-10度以上、-5度以上、-3度以上、-1度以上であり得、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下、15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、または1度以下であり得る。
【0032】
前記において、第1回折光学素子の法線は前記導光部の入光面に対する法線であり得、前記第2回折光学素子の法線は前記導光部の出光面に対する法線であり得る。前記において、入光面は入射光が前記第1回折光学素子に入射する面であり、出光面は出射光が前記第2回折光学素子から出射する面であり得る。前記入光面と出光面は前記導光部の同一平面上に存在してもよく、互いに異なる平面上に存在してもよいが、前記回折導光板の目的とする機能と製造工程上の利点などを考慮した時、同一平面上に存在することが好ましい。
【0033】
一つの例示において、前記第1回折光学素子に入射する光の入射角の絶対値と前記第2回折光学素子が出射する光の出射角の絶対値の差の絶対値は10度以下、8度以下、6度以下、4度以下、2度以下、1度以下であり得、0度超過、0.5度以上、1度以上であり得る。前記入光面と出光面が前記回折導光板の同一平面上に存在する場合、前記入射角と出射角は互いに符号が反対であり、かつ各角度の絶対値の差の絶対値が前記範囲を満足することができる。他の例示において、前記入光面と出光面が前記回折導光板の他の平面上に存在する場合、前記入射角と出射角は互いに符号が同一であり、かつ各角度の差の絶対値が前記範囲を満足することができる。
【0034】
本出願で、用語入射角は、特に別途に規定しない限り、入光面の法線を基準として測定された角度であり、前記法線を基準として時計回り方向に測定された角度は正の数で、反時計回り方向に測定された角度は負の数で表示する。また、前記入射角は前記入射光と前記法線がなす角度のうち絶対値が小さい角度であり得る。
【0035】
本出願で、用語出射角は、特に別途に規定しない限り、出光面の法線を基準として測定された角度であり、前記法線を基準として時計回り方向に測定された角度は正の数で、反時計回り方向に測定された角度は負の数で表示する。また、前記出射角は前記出射光と前記法線がなす角度のうち絶対値が小さい角度であり得る。
【0036】
第1回折光学素子は回折格子、具体的には、いずれか一つの方向に延びる線形回折格子を含む。前述したように、線形回折格子は導光部の入光面および/または出光面に陰刻または陽刻で形成された複数の平行線を意味し得、前記平行線の進行方向は前記線形回折格子の延長方向であり得る。また、前記平行線の進行方向は前記面方向内で進行され得る。具体的には、前記例示でx軸およびz軸が形成する面内に前記平行線の進行方向が存在することができる。以下では、前記第1回折光学素子が含む回折格子の延長方向を第1方向と指称する。第1回折光学素子は前記線形回折格子によって入射光を回折して第2回折光学素子に向かって出力させることができ、前記入射光が前記導光部内で全反射するようにすることができる。
【0037】
前記第2回折光学素子は互いに異なる複数の領域を含む。具体的には、前記第2回折光学素子は少なくとも三つの互いに異なる領域を含む。前記第2回折光学素子は第1~第3領域を含み、前記で第3領域は前記第1領域および第2領域の間に存在する。
【0038】
前記第1および第2領域は互いに異なる方向に延びる線形回折格子を含む。また、前記第1および第2領域の線形回折格子の延長方向は前述した第1回折光学素子が有する線形回折格子の延長方向とも異なる。以下では、前記第1領域の線形回折格子の延長方向を第2方向、前記第2領域の線形回折格子の延長方向を第3方向と指称する。前記第1~第3方向は互いに異なる方向である。ただし、前記第1方向と同様に、前記第2および第3方向も前記面方向内で進行され得る。具体的には、前記例示で前記第2および第3方向もx軸およびz軸が形成する面内に存在することができる。
【0039】
前記第3領域も回折格子を含む。一方、前記第3領域は前記第1領域と第2領域の間に位置するため、前記第3領域の回折格子は前記第1および第2領域の線形回折格子が重なった形態である。互いに延長方向が異なる線形回折格子が重なると、各線形回折格子の進行方向による平行線の交点が形成され、その平行線は導光部で陰刻または陽刻で形成されているため、前記第3領域の回折格子は点(広い意味では面)の形態の複数の柱で構成される。したがって、前記第3領域の回折格子は前記複数の柱が一定または一定でない間隔で隣接して配置されている形態を有することができる。
【0040】
前記回折導光板の目的とする機能と製造工程上の利点などを考慮した時、前記第1~第3領域は前記導光部の同一面上に存在することが好ましい。例えば、後述するように、前記第1~第3領域をインプリンティング工程などで製造する場合に、前記第1~第2領域を前記導光部の一面、そして前記第3領域を前記導光部の他面上に存在するようにするには、インプリンティング過程を二回以上進行(導光部のある一面に格子を形成した後、前記導光部をひっくり返して他面に他の格子を形成せざるを得ない)させなければならず、前記過程で加えられる圧力のため、ある一面に損傷が発生することを避けられない。
【0041】
前記第2回折光学素子では、前記第1回折光学素子から入射した光が特定の光経路を経て出力されるように前記第1~第3領域が適切に配置される。具体的には、前記第2回折光学素子の前記第1~第3領域は、前記第1回折光学素子から入射した光が直接入射するように配置される。より具体的には、前記第2回折光学素子で前記第1領域は、前記第1回折光学素子から入射した光が前記第2および第3領域を経ずに前記第1領域に入射するように配置される。前記第2領域は前記第1回折光学素子から入射した光が前記第1および第3領域を経ずに前記第2領域に入射するように配置される。前記第3領域は前記第1回折光学素子から入射した光が前記第1および第2領域を経ずに前記第3領域に入射するように配置される。
【0042】
前記第1回折光学素子から入射した光が前記第1領域を経ると前記第2および/または第3領域に入射し、前記第2および/または第3領域に入射した前記光は外部に出射する。同様に、第1回折光学素子から入射した光が前記第2領域を経ると前記第1および/または第3領域に入射し、前記第1および/または第3領域に入射した前記光は外部に出射する。また、第1回折光学素子から入射した光が前記第3領域を経ると前記第1および/または第2領域に入射し、前記第1および/または第2領域に入射した前記光は外部に出射する。
【0043】
前述したように、前記第1領域および第2領域は線形回折格子を含み、線形回折格子は導光部に陰刻/陽刻で形成された平行線であるライン-アンド-スペース形態のパターンである。この時、前記格子の高さ(または深さ)、その格子のピッチ(反復距離、pitch)、およびその平行線の厚さによって前記第2回折光学素子から出光する光の出光効率が変わり得る。
【0044】
前記第2回折光学素子から出光する光の出光効率は、前記第3領域の回折格子の高さ(または深さ)にかかわらず比較的低く維持される傾向がある。回折導光板の内部で全反射する光の光量は第1回折光学素子から遠ざかる方向に沿って減少する。前記回折導光板から出射する光の出光量を均一に維持するためには、第1回折光学素子に隣接する領域は相対的に低い出光効率を有し、第1回折光学素子から遠ざかる領域は相対的に高い出光効率を有するように、出光回折光学素子(第2回折光学素子)内の複数の領域を配置する必要がある。したがって、回折格子の深さ(または高さ)にかかわらず出光効率が低く維持される第3領域が、回折格子の深さ(または高さ)によって出光効率が調節され得る第1および第2領域の間に配置されることが適切である。一方、
図6に図示されたように、互いに異なる方向の線形回折格子が重なった形態のみを有する回折格子が形成された第2回折光学素子を設計する形態を考慮することができるが、前述したように、前記第3領域のように、互いに進行方向が異なる2種以上の線形回折格子が重なった形態の回折格子の場合、当該格子のピッチ、幅、または高さ(または深さ)等を調節しても当該素子の出光効率は比較的低く維持されてしまう。したがって、この場合には前記第2回折光学素子から出射する映像の出光量が均一でない問題がある。
【0045】
前記において、回折格子の高さ(または深さ)は前記回折格子に形成された陰刻または陽刻の深さ(または高さ)を意味し得る。具体的には、前記例示でx軸およびz軸が形成する面上に回折格子が形成されており、これの陰刻または陽刻が前記x軸およびz軸が形成する面上に形成されると、前記陰刻(または陽刻)のy軸方向の長さを前記回折格子の高さ(または深さ)と指称できる。
【0046】
前記第1および第2領域の線形回折格子の進行方向(第2および第3方向)と前記第1回折光学素子の線形回折格子の進行方向(第1方向)は三角形をなし得る。前述したように、線形回折格子の進行方向は前記第1および第2領域と前記第1回折光学素子それぞれに形成された線形回折格子においてその平行線の進行方向を意味し得る。したがって、前記第1~第3方向が形成する仮想の線をすべて連結すると三角形が形成され得る。
【0047】
前記第1および第2領域の線形回折格子の進行方向、すなわち、前記第2方向および第3方向がなす角度は50度~70度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、53度以上、55度以上、57度以上または59度以上であり得、67度以下、65度以下、63度以下、または61度以下であり得、約60度であり得る。前記角度は第2および第3方向がなす角度のうち鋭角または絶対値が小さい角度を意味し得る。
【0048】
他の例示において、前記第1および第2領域の線形回折格子は各線形回折格子の交点を基準として対称であり得る。すなわち、前記第2進行方向と前記第3進行方向をなす交点を連結した仮想の線に対して、前記第2進行方向と前記第3進行方向それぞれがなす角度の和の絶対値は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。
【0049】
前記第1または第2領域の線形回折格子の進行方向と第1回折光学素子の線形回折格子の進行方向がなす角度は50度~70度の範囲内であり得る。すなわち、前記第1方向および第2方向がなす角度または前記第1方向および第3方向がなす角度は50度~70度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、53度以上、55度以上、57度以上または59度以上であり得、67度以下、65度以下、63度以下、または61度以下であり得、約60度であり得る。前記角度は第1方向と第2方向がなす角度(または第1方向と第3方向がなす角度)のうち絶対値が小さい角度を意味し得る。前記第1方向と第2方向がなす角度および前記第1方向と第3方向がなす角度は互いに同一または異なり得、一例示では同一であることが適切であり得る。
【0050】
前記第1または第2領域の回折格子の平均高さは0nm超過1μm以下の範囲内であり得、具体的には1nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、または250nm以上であり得、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、450nm以下、400nm以下、または350nm以下であり得る。前述したように、前記第1または第2領域は線形回折格子を含み、前記線形回折格子は前記導光部の入光面および/または出光面に形成された物理的凹凸構造の反復パターン、すなわち、ライン-アンド-スペース(line-and-space、L/S)パターンであり得るため、前記回折格子の高さは、前記ライン-アンド-スペースでの突出部の高さまたは深さを意味し得る。また、前記回折格子の平均高さ(または平均深さ)は前記回折格子の高さの算術平均であり得、または最大高さと最小高さの平均であり得る。前記第1および第2領域の回折格子の平均高さ(または平均深さ)は互いに同一または異なり得、一例示では同一であってもよい。具体的には、前記例示でx軸およびz軸が形成する面上に回折格子が形成されており、これの陰刻または陽刻が前記x軸およびz軸が形成する面上に形成されると、前記陰刻(または陽刻)のy軸方向の長さを前記回折格子の高さ(または深さ)と指称できる。
【0051】
前記第1領域または第2領域の回折格子の平均ピッチは200nm~600nmの範囲内であり得る。前記平均ピッチは他の例示において、210nm以上、220nm以上、230nm以上、240nm以上、250nm以上、260nm以上、270nm以上、280nm以上、290nm以上、300nm以上、310nm以上、320nm以上、330nm以上、340nm以上、350nm以上、360nm以上、370nm以上、または380nm以上であり得、590nm以下、580nm以下、570nm以下、560nm以下、550nm以下、540nm以下、530nm以下、520nm以下、510nm以下、500nm以下、490nm以下、480nm以下、470nm以下、460nm以下、450nm以下、440nm以下、430nm以下、420nm以下、410nm以下または400nm以下であり得る。前記において、回折格子のピッチは前記回折格子に形成されたいずれか一つの平行線と他の一つの平行線の間の最短距離を意味し得る。回折格子の平均ピッチは前記ピッチの算術平均または前記ピッチの最小値と最大値の平均値を意味し得る。前記で第1領域および第2領域の回折格子の平均ピッチは互いに同一または異なり得、一例示では同一であってもよい。
【0052】
前記第1または第2領域の回折格子の平均幅は前記回折パターンの平均ピッチの0.1倍~0.9倍の範囲内であり得る。前記値は他の例示において、前記回折パターンの平均ピッチの0.2倍以上、0.3倍以上、0.4倍以上または0.5倍以上であり得、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下または0.5倍以下であり得る。前記で回折格子の幅は、前記回折格子に形成されたいずれか一つの平行線の幅を意味し得る。前記回折格子の平均幅は前記幅の算術平均または前記幅の最小値と最大値の平均値を意味し得る。前記第1領域および第2領域の回折格子の平均幅は互いに同一または異なり得、一例示では同一であってもよい。
【0053】
前記第1または第2領域の屈折率は1.0超過~2.0以下の範囲内であり得る。前記屈折率は他の例示において、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、または1.8以上であり得、1.9以下、または1.8以下であり得る。前記屈折率の基準波長は525nmであり得る。前記屈折率を測定する方式は公知となっている。例えば、前記屈折率はメトリコン社のプリズムカプラを適用して前記製造社のマニュアルに沿って測定することができる。
【0054】
前記において、第1または第2領域の回折格子の平均幅、平均高さまたは平均ピッチと前記第1または第2領域の屈折率などは、本出願の回折導光板の設計変数(例えば、回折対象光の波長、または出光映像領域の広さなど)により多様に変更され得る。
【0055】
前述したように、前記第3領域の回折格子は前記第1領域と第2領域それぞれの回折格子が重なった形態であり、互いに延長方向が異なる線形回折格子が重なると、各線形回折格子の進行方向による平行線の交点が形成され、その平行線は導光部で陰刻または陽刻で形成されているため、前記第3領域の回折格子は点(広い意味では面)の形態の複数の柱で構成される。すなわち、前記第3領域の回折格子は前記第2回折光学素子の一面上に形成された複数の柱の反復形態を有することができる。前記柱の断面は円形または楕円形などの曲線図形;三角形、四角形、または五角形などの多角形;または無定形などの形態を有することができる。一例示で前記柱の断面は円形または楕円形などの曲線図形であり得る。
【0056】
前記第3領域の回折格子の平均ピッチ、具体的には、前記第3領域の回折格子を構成する複数の柱の平均ピッチは200nm~600nmの範囲内であり得る。前記平均ピッチは他の例示において、210nm以上、220nm以上、230nm以上、240nm以上、250nm以上、260nm以上、270nm以上、280nm以上、290nm以上、300nm以上、310nm以上、320nm以上、330nm以上、340nm以上、350nm以上、360nm以上、370nm以上、または380nm以上であり得、590nm以下、580nm以下、570nm以下、560nm以下、550nm以下、540nm以下、530nm以下、520nm以下、510nm以下、500nm以下、490nm以下、480nm以下、470nm以下、460nm以下、450nm以下、440nm以下、430nm以下、420nm以下、410nm以下または400nm以下であり得る。前記において、第3領域の回折格子のピッチは前記第3領域の回折格子を構成するいずれか一つの点の形態の柱の中心と、前記柱と隣接する点の形態の柱の中心が形成する三角形において、いずれか一つの頂点で残りの二つの頂点が形成した線分に向かう線分の長さを意味し得る。前記で第3領域の回折格子の平均ピッチは、前記ピッチの算術平均または前記ピッチの最小値と最大値の平均値であり得る。
【0057】
前記で第3領域の回折格子の平均幅、具体的には、前記第3領域の回折格子の柱の平均幅は前記回折格子の平均ピッチの0.1倍以上1.3倍以下であり得る。前記値は他の例示において、前記回折格子の平均ピッチの0.2倍以上、0.3倍以上、0.4倍以上または0.5倍以上であり得、1.2倍以下、1.1倍以下、1.0倍以下、0.9倍以下、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下または0.5倍以下であり得る。
【0058】
前記で第3領域の回折格子の柱の平均幅は100nm~400nmの範囲内であり得る。前記平均幅は、110nm以上、120nm以上、130nm以上、140nm以上、150nm以上、160nm以上、170nm以上、180nm以上、190nm以上、または200nm以上であり得、390nm以下、380nm以下、370nm以下、360nm以下、350nm以下、340nm以下、330nm以下、320nm以下、310nm以下、300nm以下、290nm以下、280nm以下、270nm以下、260nm以下、250nm以下、240nm以下、230nm以下、220nm以下、210nm以下、または200nm以下であり得る。前記で回折格子の柱の幅は、前記第3領域の回折格子に形成された柱のうちいずれか一つの柱の幅を意味し得る。具体的には、前記柱の断面が円である場合には前記幅は円の直径を意味し得、楕円である場合には長軸の長さを意味し得る。前記幅は前記柱の断面が三角形である場合には各辺の高さのうち最大長さを、四角形以上の多角形である場合には複数の対角線の長さの最大値を意味し得る。前記幅は前記柱の断面が無定形である場合、一末端と他末端の間の長さの最大値を意味し得る。また、前記柱の平均幅は前記格子に形成された複数の図形の幅の算術平均または前記幅の最小値および最大値の平均値を意味し得る。
【0059】
前記第3領域の回折格子の平均高さ、具体的には、前記第3領域の回折格子の柱の平均高さは0nm超過1μm以下の範囲内であり得、具体的には1nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、または250nm以上であり得、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、450nm以下、400nm以下、または350nm以下であり得る。前記において、第3領域の回折格子の高さは前記柱が前記領域の表面から離隔した最短距離を意味し得、平均高さは前記回折パターンを構成する複数の図形の高さの算術平均、または前記高さの最大値および最小値の平均値を意味し得る。具体的には、前記例示でx軸およびz軸が形成する面上に回折格子が形成されており、これの陰刻または陽刻が前記x軸およびz軸が形成する面上に形成されると、前記陰刻(または陽刻)のy軸方向の長さを前記回折格子の高さ(または深さ)と指称できる。
【0060】
前記第3領域の屈折率は1.0超過~2.0以下の範囲内であり得る。前記屈折率は他の例示において、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、または1.8以上であり得、1.9以下、または1.8以下であり得る。前記屈折率の基準波長は525nmであり得る。前記屈折率を測定する方式は公知となっている。例えば、前記屈折率はメトリコン社のプリズムカプラを適用して前記製造社のマニュアルに沿って測定することができる。
【0061】
前記において、第3領域の回折格子の平均幅、平均高さまたは平均ピッチ、または前記第3領域の屈折率などは、前記回折導光板の設計変数(例えば、回折対象光の波長、または出光映像領域の広さなど)により多様に変更され得る。
【0062】
前記で第1~第3領域それぞれに形成された回折格子の傾斜角は特に制限されない。前記傾斜角は、例えば、前記第2回折光学素子の法線を基準として、-45度以上、-40度以上、-35度以上、-30度以上、-25度以上、-20度以上、-15度以上、-10度以上、-5度以上であり得、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下、15度以下、10度以下または5度以下であり得、約0度であってもよい。前記において、回折格子の傾斜角は、前記回折格子に形成された平行線または柱が前記第1または2回折光学素子の法線となす角度のうち絶対値が小さい角度を意味し得る。
【0063】
前述したように、前記第3領域の回折格子は前記第1および第2領域に形成された線形回折格子が重なった形態である。すなわち、前記第3領域には第1領域の線形回折格子と実質的に同一方向に進行する線形回折格子および第2領域の線形回折格子と実質的に同一方向に進行する線形回折格子がすべて存在することができる。前記第1領域の線形回折格子の進行方向(第2方向)と第2領域の線形回折格子の進行方向(第3方向)は異なるため、前記第3領域には前記第2方向と第3方向が形成する交点が複数個形成されていてもよい。以下では、前記第3領域に形成された回折格子に対してより具体的に説明する。
【0064】
前記第3領域の回折格子を構成する点の形態の複数の柱のうち6個の柱は、前記6個の柱を連結する仮想の線が六角形をなすように選択され得る。この時、前記六角形のいずれか一辺が第1回折光学素子の回折格子の進行方向(第1方向)となす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度は前記六角形のいずれか一辺と前記第1方向がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形のいずれか一辺A1は第1回折光学素子の線形回折格子の進行方向と実質的に平行であり得る。
【0065】
また、前記六角形の他の一辺が前記第2方向となす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度は前記六角形の他の一辺と前記第2方向がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形の他の一辺A2は第1領域の線形回折格子の進行方向と実質的に平行であり得る。
【0066】
また、前記六角形の他の一辺が前記第3方向となす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度は前記六角形の他の一辺と前記第3方向がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形の他の一辺A3は第2領域の線形回折格子の進行方向と実質的に平行であり得る。
【0067】
前記六角形の辺のうち第1方向と-10度~10度の範囲内の角度をなす辺A1および前記辺と向かい合う辺A1’がなす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度はA1とA1’がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形のいずれか一辺A1およびこれと向かい合う辺A1’は実質的に平行であり得る。
【0068】
前記六角形の辺のうち第2方向と-10度~10度の範囲内の角度をなす辺A2および前記辺と向かい合う辺A2’がなす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度はA2とA2’がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形のいずれか一辺A2およびこれと向かい合う辺A2’は実質的に平行であり得る。
【0069】
前記六角形の辺のうち第3方向と-10度~10度の範囲内の角度をなす辺A3および前記辺と向かい合う辺A3’がなす角度は-10度~10度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、-9度以上、-8度以上、-7度以上、-6度以上、-5度以上、-4度以上、-3度以上、-2度以上、または-1度以上であり得、9度以下、8度以下、7度以下、6度以下、5度以下、4度以下、3度以下、2度以下、または1度以下であり得、約0度であり得る。前記角度はA3とA3’がなす角のうち絶対値が小さい角度であり得る。すなわち、前記六角形のいずれか一辺A3およびこれと向かい合う辺A3’は実質的に平行であり得る。
【0070】
前記第1および第2回折光学素子に回折格子を形成する方法は特に制限されず、公知になっている方式を適用して前記回折格子を形成することができる。例えば、導光部に適用され得るガラスまたはプラスチックなどの素材上に所定のパターンが形成されたマスクを位置させた後、レーザー、電子ビームまたは極紫外線などで露光して回折格子を直接形成する方式(Lithography)または前記素材に凹凸構造のパターンが形成された部材などを利用して回折格子を転写する方式(インプリンティング)等が適用され得る。
【0071】
前記第1回折光学素子120と第2出力回折光学素子内の第1および第2領域131、132それぞれは、前記素子の線形回折格子のピッチP1、P2、P3に反比例する「大きさ」と、前記線形回折格子の進行方向に垂直な「方向」と定義される格子ベクターV1、V2、V3を有することができる。前記格子ベクターの大きさは以下の数学式1で定義され得る。
[数学式1]
|V|=2π/P
前記において、|V|は格子ベクターの大きさを意味し、Pは前記線形回折格子のピッチを意味する。
【0072】
図8は、本出願の第1回折光学素子、第1領域および第2領域の格子ベクターの好ましい組み合わせを図示したものである。一例示において、第1回折光学素子120と第1および第2領域131、132それぞれの格子ベクターV1、V2、V3の和はゼロベクターであり得る。すなわち、前記格子ベクターそれぞれに付与された座標の成分をすべて足すと、すべての成分が0であるベクターが形成され得る。
【0073】
前記第1領域に形成された線形回折格子と前記第2領域に形成された線形回折格子は互いに対称であり、第1回折光学素子120と第1および第2領域131、132それぞれの格子ベクターV1、V2、V3は互いに同一の大きさを有し、第1回折光学素子120と第1および第2領域131、132それぞれの格子ベクターV1、V2、V3のうち2個のベクターがなす角度はそれぞれ50度~70度の範囲内であり得る。前記角度は、他の例示において、53度以上、55度以上、57度以上または59度以上であり得、67度以下、65度以下、63度以下、または61度以下であり得、約60度であり得る。前記角度は前記三つのベクターのうち、二つのベクターの方向がなす角度のうち絶対値が小さい角度を意味し得る。
図8に図示されたように、V1~V3それぞれがなす角度は約60度であることが最も適切であるが、これに制限されるものではない。
【0074】
本出願で最も適切な回折格子の配置形態を
図9a~9cに図示した。前記第1回折光学素子120の線形回折格子の進行方向は
図9aに図示されたように、x軸と平行な水平線Hと90度の角度を形成(直交)することができる(これは前述した誤差範囲内で理解され得る)。また、前記第1領域131の線形回折格子の進行方向は、
図9bに図示されたように、x軸と平行な水平線Hと30度の角度をなすことができる(これは前述した誤差範囲内で理解され得る)。そして、前記第2領域132の線形回折格子の進行方向の回折パターンは、
図9cに図示されたように、x軸と平行な水平線Hと-30度の角度をなすことができる(これは前述した誤差範囲内で理解され得る)。
【0075】
図9a~9cに図示されたように、それぞれの線形回折格子のピッチP1、P2、P3は、すべてが同一である場合、前記数学式1によって前記それぞれの格子ベクターの大きさはすべて同一である。前記において、格子ベクターV1、V2、V3の方向は、それぞれの線形回折格子の進行方向に略垂直である場合、第1回折光学素子120の格子ベクターV1の方向はx軸方向と略平行であり得、第1領域の格子ベクターV2の方向はx軸方向に対して約-60度の角度をなすことができ、第2領域の格子ベクターV3の方向はx軸方向に対して約60度の角度をなすことができる。これに伴い、第1回折光学素子と第1および第2領域それぞれの格子ベクターは互いに約60度の角度を形成し、それぞれの大きさが略同一であり得るため、前記ベクターをすべて足すと0ベクターが形成され得るようになる。
【0076】
本出願の回折導光板は拡張現実(Augmented Reality、AR)を具現する機器への適用に適合するという利点がある。前記回折導光板で前記第2回折光学素子内の第1~第3領域それぞれが占める領域(または長さ)の比率を適切に調節した時に特に適合する。
【0077】
図5は、本出願の回折導光板が出力する映像を使用者が認識できる領域を概略的に図示した側面図である。具体的には、本出願の回折導光板が形成する互いに垂直な三軸をx軸、y軸およびz軸として設定するものの、前記でz軸が重力方向と平行な方向となるように設定した時、前記第1領域131のz軸方向の長さZ1、第2領域132のz軸方向の長さZ2および第3領域133のz軸方向の長さZ3の間の関係が適切に調節され得る。
【0078】
一例示において、前記第1~第3領域のz軸方向の長さの和(Z1+Z2+Z3)と前記第3領域のz軸方向の長さZ3の比率(Z3/(Z1+Z2+Z3))は0.3~0.9の範囲内であり得る。前記比率は他の例示において、0.33以上、0.35以上、0.37以上、0.39以上、0.40以上または0.41以上であり得、0.89以下、0.87以下、0.85以下または0.84以下であり得る。
【0079】
前記第1領域のz軸方向の長さZ1と第2領域のz軸方向の長さZ2の比率(Z1/Z2)も適切に調節可能である。前記比率は一例示において、0.9~1.1の範囲内であり得る。前記比率は他の例示において、0.93以上、0.95以上、0.97以上または0.99以上であり得、1.07以下、1.05以下、1.03以下または1.01以下であり得、好ましく1程度であり得る。前記比率を満足する範囲内で前記第1領域のz軸方向の長さZ1および第2領域のz軸方向の長さZ2それぞれもまた、適切に調節され得る。前記Z1またはZ2の値は前記比率を満足しつつ、1mm~15mmの範囲内であり得る。前記値は他の例示において、1.5mm以上、2.0mm以上、2.2mm以上または2.3mm以上であり得、14mm以下、13mm以下、12mm以下または11mm以下であり得る。
【0080】
前記第3領域のz軸方向の長さZ3も適切に調節され得る。前記長さZ3は一例示において、15mm~25mmの範囲内であり得る。
【0081】
後述するが、前記Z1またはZ2の値は前記回折導光板をアイウェアなどの拡張現実を具現する装置などに適用した時、安定距離(Eye Relief、使用者の瞳孔とレンズ間の最短距離、例えば、左眼用レンズで左眼の瞳孔までの最短距離または右眼用レンズで右眼の瞳孔までの最短距離)等を考慮して適切に調節され得る。
【0082】
また、前記Z3の値は前記回折導光板をアイウェアなどの拡張現実を具現する装置などに適用した時、前記アイウェアから出射する映像を認識できる使用者の瞳孔の稼動範囲(Eye motion box、EMB)のz軸方向の長さに応じて適切に決定され得る。一般的には、前記稼動範囲のz軸方向の長さと前記第3領域のz軸方向の長さが同一となるように(この場合、+/-5%以内程度の誤差を考慮することができる)設定することができる。
【0083】
図5に図示されたように、Z1またはZ2の値は、前述した安定距離と、視野角(回折導光板から出射する光の焦点から前記出力回折光学素子の両末端までの二方向がなす角度、
図5のθ)によって決定され得る。具体的には、前記Z1またはZ2の値は下記の数学式2によって決定され得る:
[数学式2]
Y=X×tan(θ/2)
【0084】
前記数学式2で、YはZ1またはZ2の値であり、Xは安定距離、θは視野角であり、前記安定距離と視野角は前記で定義した通りである。
【0085】
前記安定距離は15mm~30mmの範囲内で設定することが一般的である。また、前記視野角は18度~40度の範囲内で設定することが一般的である。したがって、このような値を前記数学式2に代入した時、前述したZ1またはZ2の値を導き出すことができる。
【0086】
前記で第1~第3領域は同一の幅を有することができるため、前記で前記第1~第3領域それぞれの広さは前記第1~第3領域それぞれのz軸方向の長さの比率によって決定され得る。一方、第2回折光学素子が前記導光部で形成する断面が四角形でない場合、前記比率は該当図形のz軸方向の線のうちその長さが最も大きい線分内で、第1~第3領域に該当する線分の長さの比を意味し得る。
【0087】
図7a~
図7cは、それぞれ
図4に図示された本出願の回折導光板での光経路を例示した平面図である。
【0088】
第1回折光学素子は、入力回折光学素子であり得る。入力回折光学素子は光源から入射した光を受光し、前記受光した光を回折によって前記導光部内に全反射させる機能を遂行する光学要素を意味し得る。
第2回折光学素子は、出力回折光学素子であり得る。出力回折光学素子は前記入力回折光学素子で全反射した光を受光し、前記受光した光を回折によって前記導光部で出力させる機能を遂行する光学要素を意味し得る。
【0089】
前記導光部110に入射した光、具体的には、第1回折光学素子120に入射した光は回折によって前記導光部内で全反射する。前述したように、ある素子の内部で光の全反射が起きるためには、その素子の屈折率が当該素子と隣接する媒体の屈折率より大きくなければならない。前記導光部は一般的に空気に隣接するため、前記導光部は空気より屈折率が高い素材、例えば、ガラスまたはプラスチックなどの素材で構成され得る。また、前記第1および第2回折光学素子は前記導光部上に形成されるため、これを構成する素材も前記導光部と同一であってもよい。
【0090】
前記第1回折光学素子120では、光源から入射した光L1a、L1b、L1cが前記第1回折光学素子に形成された回折格子によって回折され得る。前記回折された光は前記第1回折光学素子を経て前記導光部内に全反射する。前記第1回折光学素子は前記全反射した光を前記第2回折光学素子に向かって出射させることができる。
この時、前記第1回折光学素子から第2回折光学素子に向かって入射する光の中で、第1領域に入射する光は前記第2領域および第3領域を経ずに前記第1領域に入射し得る。また、第2領域に入射する光は前記第1領域および第3領域を経ずに前記第2領域に入射し得る。第3領域に入射する光は前記第1領域および第2領域を経ずに前記第3領域に入射し得る。
【0091】
第1および第2領域それぞれ131、132は前記第1回折光学素子から出射した光を単一方向に拡張させることができる。具体的には、前記第1および第2領域それぞれは前記第1回折光学素子から出射した光L2a、L2bを受光し、前記受光した光を回折によって単一方向に拡張させることができる。前記第1回折光学素子120から出射した光L2a、L2bのうち一部は、第1領域131または第2領域132を経ながら回折されてその経路が変更され得、残りの一部は既存の光経路に全反射し得る。また、前記第1および第2領域それぞれは他の領域で拡張された光L3a、L3b、L3cを受光し、前記受光した光を回折によって前記第2回折光学素子から出射L4a、L4b、L4cさせることができる。例えば、前記第1領域131は前記第2領域132および/または第3領域133から拡張された光L3bおよび/またはL3cを受光し、前記受光した光を回折によって前記回折導光板で出力(L4b、L4c)させることができる。また、前記第2領域132は前記第1領域131および/または第3領域133から拡張された光L3aおよび/またはL3cを受光し、前記受光した光を回折によって前記第2回折光学素子から出射(L4a、L4c)させることができる。
【0092】
前記第3領域133は前記第1回折光学素子から出射した光(L2c)を二方向に拡張(L3c)するか、前記光が前記第2回折光学素子から出射(L4c)するようにすることができる。前記第1回折光学素子120から回折された光L2cのうち一部は第3領域133を経ながら回折されてその経路が変更され得、残りの一部は既存の光経路に全反射し得る。前記第3領域は前記第1回折光学素子で全反射した光を受光し、前記受光した光を回折によって二方向、例えば、第1領域131および第2領域132に向かう方向に拡張させることができる。また、前記第3出力回折光学素子は前記第1回折光学素子から受光した光を回折によって前記第2回折光学素子から出射するようにすることができる。前記第3領域は前記第2回折光学素子内の他の領域で拡張された光を前記第2回折光学素子から出射するようにしてもよい。前記第3領域は他の領域、例えば、前記第1領域および/または第2領域で拡張された光を受光し、前記受光した光を回折によって前記第2回折光学素子から出射させることができる。
【0093】
前述したように、
図2のような形態の回折導光板が出力する映像のすべてを使用者が認識できる領域(
図3のα)の大きさは相対的に小さいため、
図2のような形態の回折導光板で出力される映像をすべて認識するためには使用者の瞳孔の位置が制限的であるという問題がある。
【0094】
ところが、本出願の回折導光板は
図5に図示されたように、第1回折光学素子から出射した光が一つの回折光学素子(第2回折光学素子)から出射し得るように構成されるため、導光板の全体の領域を増加させなくても出射する映像の大きさを増加させることができる。この時、前記第2回折光学素子の面積は例えば、1cm
2~50cm
2の範囲内であり得る。前記面積は、他の例示で1cm
2以上、2cm
2以上、3cm
2以上、4cm
2以上、5cm
2以上、6cm
2以上、7cm
2以上、8cm
2以上、9cm
2以上、または10cm
2以上であり得、45cm
2以下、40cm
2以下、35cm
2以下、30cm
2以下、25cm
2以下、20cm
2以下、15cm
2以下または10cm
2以下であり得る。
【0095】
また、本出願の回折導光板が出力する映像のすべてを使用者が認識できる領域の大きさ(α)が相対的に大きいため、使用者の瞳孔の位置が制限されない利点がある。
【0096】
本出願は、他の例示において、前記回折導光板の用途を提供する。具体的には、本出願は前記回折導光板を含む拡張現実またはバーチャルリアリティデバイスを提供する。
【0097】
例えば、前記デバイスはアイウェアであり得る。前記アイウェアは左眼用レンズと右眼用レンズ;前記左眼用レンズと右眼用レンズを支持するフレームを含むことができる。また、前記左眼用レンズおよび右眼用レンズはそれぞれ前記回折導光板を含むことができる。
【0098】
前記において、アイウェアはプロジェクターをさらに含むことができる。前記プロジェクターは前記フレームに位置し得る。また、前記プロジェクターは前記左眼用レンズおよび右眼用レンズのうち少なくとも一つのレンズに再生光を投射するものであり得る。
【0099】
前記アイウェアの駆動方式は公知となっている。例えば、前記アイウェアは前記プロジェクターから入射した光が前記回折導光板を経て出力され、前記出力された光を使用者が認識できるように駆動され得る。
【発明の効果】
【0100】
本出願の回折導光板は光学デバイスの小型化乃至軽量化に適合する利点がある。
【0101】
本出願の回折導光板は全体の大きさを減少させないながらも、出力される映像の面積を増加させ得る。
【0102】
本出願の回折導光板は使用者の瞳孔の位置に制限がない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】従来の回折導光板の構造を概略的に図示したものである。
【
図2】
図1による回折導光板の問題点を解決するために導入された回折導光板の構造を概略的に図示したものである。
【
図3】
図2による回折導光板が出射する映像を認識できる使用者の瞳孔の範囲を説明するための図面である。
【
図4】本出願の回折導光板の構造を概略的に図示したものである。
【
図5】
図4による回折導光板が出射する映像を認識できる使用者の瞳孔の範囲を説明するための図面である。
【
図6】
図6は、互いに異なる方向の線形回折格子が重なった形態のみを有する回折格子の構造を概略的に示している。
【
図7a】本出願の回折導光板での光経路を例示的に図示した平面図である。
【
図7b】本出願の回折導光板での光経路を例示的に図示した平面図である。
【
図7c】本出願の回折導光板での光経路を例示的に図示した平面図である。
【
図8】本出願の回折導光板の第1回折光学素子と、第1領域および第2領域の格子ベクターの組み合わせを図示したものである。
【
図9a】本出願の回折導光板の第1回折光学素子、第1領域および第2領域に形成された回折格子を例示したものである。
【
図9b】本出願の回折導光板の第1回折光学素子、第1領域および第2領域に形成された回折格子を例示したものである。
【
図9c】本出願の回折導光板の第1回折光学素子、第1領域および第2領域に形成された回折格子を例示したものである。
【
図10】実験例1に係る回折光学素子の回折格子の高さに対する出光効率を図示したものである。
【
図12】実験例2に係る回折光学素子の回折格子の高さに対する出光効率を図示したものである。
【
図13】比較例の第2回折光学素子のSEM写真である。
【
図14】比較例の回折導光板が出力する映像のシミュレーション結果である。
【
図15】比較例の回折導光板が出力する映像を撮影した写真である。
【
図16】実施例の回折導光板が出力する映像のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0105】
実験例
下記の実験例で、LIGHTTRANS社のVIrtualLabソフトウェアのRCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis)機能を使って該当回折光学素子を設計し、前記素子の出光効率を計算した。
【0106】
実験例1
525nm波長光に対する屈折率が約1.8であるガラス基板の表面に、
図9aのように単一方向に約388nmの平均ピッチで離隔し、溝の形態の平均幅が前記平均ピッチの約0.55倍である線形回折格子が形成された回折光学素子を設計した。前記回折光学素子の内部で全反射する約525nm波長の光が回折によって前記回折光学素子の表面から大気に向かって出光する効率を下記の式3により測定した。前記回折パターンの高さ(図面にはdepthとして図示する)に対する前記回折光学素子の出光効率を算出した結果を
図10に示した:
[式3]
出光効率(%)=(A/B)×100
【0107】
前記式3で、Aは回折光学素子で出力される光の光量であり、Bは回折光学素子の内部で全反射する光の総光量である。
【0108】
実験例2
525nm波長光に対する屈折率が約1.8であるガラス基板の表面に、直径が約200nmである円柱状の溝が
図11のように略正六角形の形態で配置された形態の回折光学素子を設計した。具体的には、前記回折光学素子には平均ピッチが約388nmである線形回折格子が形成された。
【0109】
前記回折光学素子の内部で全反射する約525nm波長の光が回折によって前記回折光学素子の表面から大気に向かって出光する効率を上記の式3により測定した。前記回折格子の高さ(図面にはdepthとして図示する)に対する前記回折光学素子の出光効率を算出した結果を
図12に示した:
【0110】
図10および
図12によると、本出願の第1回折光学素子、第2回折光学素子の第1領域または第2領域のように線形回折格子を有する場合、その格子の高さ(または深さ)によって出光効率が変わることを確認することができる。また、第3領域のように線形回折格子が重なった形態の回折格子を有する素子の場合、その深さ(または高さ)にかかわらず出光効率が比較的低い点(5%以下)を確認することができる。
【0111】
比較例
図2のように、線形回折格子を有する第1回折光学素子と、互いに異なる進行方向の線形回折格子を有する第1および第2領域を有する第2回折光学素子が配置された回折導光板を設計した。前記第1回折光学素子の線形回折格子の進行方向は
図2のz軸方向と同一の方向を有し、前記第1および第2領域の線形回折格子の進行方向はそれぞれ
図2のx軸と約30度および約-30度の方向をなすように設計した。前記において、各回折格子のピッチは約388nm、幅は前記ピッチの約0.55倍、高さは約100nmであった。
【0112】
比較例の第2出力回折光学素子をSEM(Scanning Electron Microscope、HITACHI S 4800)で撮影し、その写真を
図13に示した。そして前記回折導光板の第1回折光学素子の法線を基準として約0度(
図14の(a))および約5度(
図14の(b))の入射角で入射した映像が前記第2回折光学素子の法線から出力される映像のシミュレーション結果を
図14に示した。前記回折導光板の第1回折光学素子にプロジェクター(Miniray、Sekonix社)を利用して映像を約5度の入射角で入力し、該当映像を前記導光板の第2回折光学素子から出力させた映像をCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)カメラ(DCC1645C、Thorlabs社)を利用して撮影した写真を
図15に示した。
【0113】
図14および
図15によると、比較例に係る回折導光板では、入力される映像が各出力回折光学素子で分割されて出力されるので、映像の入射角が少しでも(約5度)変更されると映像の一部が出力されないため、
図15に示したように出力回折光学素子内の複数の領域が隣接する部位に対応する映像が明確に認識されないという点を確認することができる。
【0114】
実施例
実験例2と同一であるものの、その深さが約50nmである回折光学素子を第2回折光学素子の第3領域として第1領域および第2領域の間に配置したことを除いては、比較例と同一の方式で回折導光板を製造した。この時、前記第2回折光学素子の第3領域の長さ(
図4のz軸と平行な方向の長さ、Z3)が前記第2回折光学素子で占める比率(Z3/(Z1+Z2+Z3))は略0.33程度であった。
【0115】
そして、前記回折導光板の第1回折光学素子の法線を基準として約0度(
図16の(a))および約5度(
図16の(b))の入射角で入射した映像が前記第2回折光学素子の法線から出力される映像のシミュレーション結果を
図16に示した。
【0116】
図16によると、回折導光板に入射する映像は第2回折光学素子内の各領域ですべて出力されることが分かる。具体的には、
図16によると、本出願のように互いに異なる進行方向の線形回折格子が形成されている回折光学素子の間に、前記線形回折格子が重なった形態の回折格子が形成されている回折光学素子を配置した回折導光板は、入力映像の入射角にかかわらず各領域に該当する映像をすべて出力できることを確認することができる。
【符号の説明】
【0117】
10 回折導光板
11 入力回折光学素子
12 中間回折光学素子
13 出力回折光学素子
100 回折導光板
110 導光部
110a、110b 導光部110の一面
120 第1回折光学素子/入力回折光学素子
130 第2回折光学素子/出力回折光学素子
131 第1領域
132 第2領域
133 第3領域