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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】スパージャおよびこれを含む反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20231107BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20231107BHJP
   C07C 2/24 20060101ALI20231107BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231107BHJP
【FI】
B01J4/00 102
C07C11/02
C07C2/24
C07B61/00 C
C07B61/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022524678
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2021009463
(87)【国際公開番号】W WO2022059904
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119901
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ムン・スブ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ソグ・ユク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・イ
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0291989(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0132118(KR,A)
【文献】特表平11-501566(JP,A)
【文献】特開平10-152463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00- 7/02
B01J 8/00- 8/46
C07C 11/02
C07C 2/24
C07B 61/00
B01J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の本体と、
前記本体に備えられた互いに異なる大きさを有する第1ホールおよび第2ホールと、を含み、
前記第2ホールの直径は、第1ホールの直径に比べて小さく、
前記第1ホールは、前記本体の中心部および円周に沿って等間隔に形成され、
前記第2ホールは、第1ホールの間の領域に形成され、
前記第2ホールは、前記第2ホールの外周面に沿って上方向に形成された突出部を含む、スパージャ。
【請求項2】
前記第1ホールの直径は、1mm~150mmであり、
前記第2ホールの直径は、1mm~100mmである、請求項1に記載のスパージャ。
【請求項3】
前記第2ホールの直径は、第1ホールの直径の1%~40%である、請求項1または2に記載のスパージャ。
【請求項4】
前記第1ホールの直径は、本体直径の1%~50%であり、
前記第2ホールの直径は、本体直径の0.1%~40%である、請求項1からのいずれか一項に記載のスパージャ。
【請求項5】
前記突出部の高さは、本体の厚さの5%~40%である、請求項1から4のいずれか一項に記載のスパージャ。
【請求項6】
前記突出部は、上方向に直径が一定な構造に形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のスパージャ。
【請求項7】
気相の単量体ストリームが供給される単量体供給ラインと、
前記単量体供給ラインを介して供給される気相の単量体ストリームを分散させるための請求項1からのいずれか一項に記載のスパージャと、を含む、反応器。
【請求項8】
前記単量体供給ラインから延びて備えられた噴射部をさらに含む、請求項に記載の反応器。
【請求項9】
前記単量体ストリームは、エチレン単量体を含み、前記反応器は、エチレン単量体をオリゴマー化反応させる、請求項またはに記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月17日付けの韓国特許出願第10-2020-0119901号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、スパージャに関し、ミキシング(mixing)効果とファウリング(fouling)防止効果を同時に改善することができるスパージャおよびこれを含む反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファオレフィン(alpha-olefin)は、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用されている。
【0004】
前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、代表的に、エチレンのオリゴマー化反応により製造されている。前記エチレンオリゴマー化反応は、エチレンを反応物として使用して、触媒の存在下で、エチレンのオリゴマー化反応(三量体化反応または四量体化反応)により行われ、前記反応により生成された生成物は、目的とする1-ヘキセンおよび1-オクテンを含む多成分炭化水素混合物だけでなく、触媒反応中にC20+の高分子物質を含む副生成物が少量生成される。このような副生成物によってスパージャ(sparger)のホール(hole)が目詰まりするファウリングが発生し、これに伴い、ミキシング効率の低下およびメンテナンスによる費用発生に関する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、ミキシング効率を高め、ファウリングの発生を減少させることができるように設計したスパージャおよびこれを含む反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、円板状の本体と、前記本体に備えられた互いに異なる大きさを有する第1ホールおよび第2ホールと、を含み、前記第2ホールの直径は、第1ホールの直径に比べて小さい、スパージャを提供する。
【0007】
また、本発明は、気相の単量体ストリームが供給される単量体供給ラインと、前記単量体供給ラインを介して供給される気相の単量体ストリームを分散させるための前記スパージャと、を含む反応器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスパージャによると、本体に大きさが互いに異なる第1ホールおよび第2ホールを備え、前記第2ホールの直径を第1ホールの直径に比べて小さく形成することで、ミキシング効率を改善するとともに洗浄周期を延長することができる。
【0009】
また、本発明は、スパージャに備えられた第2ホールに突出部を備えることで、第2ホールのファウリングを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるスパージャを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態によるスパージャを示す平面図および断面図である。
図3】本発明の一実施形態による反応器を示す工程フローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による反応器を示す工程フローチャートである。
図5】比較例によるスパージャを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0012】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、移動ライン(配管)内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)、液体(liquid)および固体(solid)のいずれか一つ以上が含まれたものを意味し得る。
【0013】
本発明において、「#」が正の整数である「C#」という用語は、#個の炭素原子を有するすべての炭化水素を示すものである。したがって、「C10」という用語は、10個の炭素原子を有する炭化水素化合物を示すものである。また、「C#+」という用語は、#個以上の炭素原子を有するすべての炭化水素分子を示すものである。したがって、「C10+」という用語は、10個以上の炭素原子を有する炭化水素の混合物を示すものである。
【0014】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、下記図1図4を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
本発明によると、スパージャ100が提供される。前記スパージャ100として、図1のように、円板状の本体と、前記本体に備えられた互いに異なる大きさを有する第1ホール110および第2ホール120とを含むことができる。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記スパージャ100は、例えば、反応器200の下部に備えられ、前記反応器200に供給される気相の単量体ストリームを上方向に分散させるとともに、前記反応器200内の液相の反応媒体をミキシング(mixing)して、単量体の転化率を向上させることができる。
【0017】
前記スパージャ100の本体は、反応器200の形態に応じて自由に設計が可能であり、例えば、前記スパージャ100の本体は、反応器200の内面と同じ構造の外周面を有する円板状に形成されることができる。この際、前記本体の外周面は、反応器200の内面と密着するように設計されることができる。
【0018】
前記本体の直径は、例えば、100mm~1500mm、100mm~1000mmまたは100mm~500mmであることができ、前記本体の厚さは、例えば、0mm~100mm、1mm~50mmまたは10mm~30mmであることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によると、前記スパージャ100の本体は、互いに異なる大きさを有する第1ホール110および第2ホール120を含むことができる。この際、前記第2ホール120の直径は、第1ホール110の直径に比べて小さいことができる。例えば、前記スパージャ100の本体に備えられた第1ホール110は、既存のスパージャ100に形成されていてもよく、前記第1ホール110より直径が小さい第2ホール120をさらに形成していてもよい。
【0020】
前記第1ホール110は、前記本体の中心部および円周に沿って等間隔に複数個が形成されることができる。具体的には、前記本体の中心部および円周に沿って等間隔に形成された第1ホール110を介して気相の単量体ストリームを反応器200の内部に均一に噴射することができる。
【0021】
前記第1ホール110の直径は、例えば、1mm~150mm、1mm~130mmまたは1mm~50mmであることができる。また、前記第1ホール110の直径は、本体直径の1%~50%、1%~30%または1%~10%であることができる。前記第1ホール110を、前記条件を満たすように設けることで、前記第1ホール110にファウリングが発生することを防止することができ、反応器200内の液相の反応媒体に気相の単量体ストリームを噴射させて反応器200内の液相の反応媒体をミキシングすることができる。
【0022】
また、前記第2ホール120は、第1ホール110より直径が小さいものであり、前記第1ホール110の間の領域に形成されることができる。例えば、前記第2ホール120は、前記本体の中心部に形成された第1ホール110と円周に形成された第1ホール110との間および前記円周に沿って等間隔に形成された第1ホール110の間のいずれか一つ以上の領域に形成されることができる。具体的な例として、前記第2ホール120は、前記本体の中心部に形成された第1ホール110と円周に形成された第1ホール110との間および前記円周に沿って等間隔に形成された第1ホール110の間のそれぞれの領域に複数個が形成されることができる。これにより、反応器内のミキシング効率を増加させ、第1ホール110を通過する気体の高い体積流量によって第2ホール120に副生成物が積もることを防止することで、スパージャがファウリングされる確率を下げて反応器200の洗浄周期をより延長することができる。
【0023】
前記第2ホール120の直径は、例えば、1mm~100mm、1mm~50mmまたは1mm~10mmであることができる。また、前記第2ホール120の直径は、本体直径の0.1%~40%、0.1%~25%または1%~10%であることができる。前記第2ホール120を、前記条件を満たすように設けることで、前記比較的直径が大きい第1ホール110でミキシングすることができない部分までミキシングが可能であり、反応器200内の液相の反応媒体のミキシング効率を増加させることができる。
【0024】
また、前記第2ホール120の直径は、第1ホール110の直径の1%~40%、5%~40%または10%~30%であることができる。第2ホール120の直径と第1ホール110の直径の割合を前記範囲に形成することで、スパージャのファウリングによる反応器のシャットダウン(shut down)を防止するとともに反応器内のミキシング効率を増加させて、無駄容積(dead volume)を最小化することができ、これにより、反応転化率を増加させる効果を得ることができる。
【0025】
ただし、第2ホール120のように直径が比較的小さい場合、反応器200内の反応媒体のミキシング効率を増加させることができるが、直径が比較的大きい第1ホール110に比べてファウリングされる確率が増加する。しかし、前記第2ホール120がファウリングされても、第1ホール110を介して反応を行うことができることから、反応器200を運転停止(shut down)し、反応器200の内部とスパージャ100などの装置を洗浄する洗浄周期を延長することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、前記第2ホール120は、図2のように、外周面に沿って上方向に形成された突出部121を含むことができる。具体的には、前記第2ホール120は、小さい直径によってファウリングされる確率が第1ホール110に比べて大きい方であるが、前記第2ホール120に突出部121を形成することで、第1ホール110と高さの差が生じ、第1ホール110を通過する気体の体積流量の増加によって第2ホール120に副生成物が積もることを防止することで、スパージャがファウリングされる確率を下げて、反応器200の洗浄周期をより延長することができる。
【0027】
前記第2ホール120は、外周面に沿って上方向に形成された突出部121の高さは、本体の厚さの5%~40%、10%~40%または10%~30%であることができる。前記突出部121を前記範囲の高さで形成することで、第1ホール110と高さの差を設けて、スパージャに蓄積される副生成物による第2ホール120のファウリングを防止することができ、これにより、反応器のシャットダウン周期を延長することができる。
【0028】
前記突出部121は、上方向に直径が一定な構造に形成されることができる。具体的には、前記突出部121は、第2ホール120の外周面から上方向に所定の高さを有して突出した構造であり、突出部121の上方向に直径が一定な構造に形成されることができる。これにより、スパージャを通過して反応器に供給される気相の単量体ストリームの線速度を一定に維持しながらファウリングの発生確率を下げることができる。
【0029】
本発明によると、前記スパージャ100を含む反応器200が提供される。具体的には、下記図3を参照すると、前記反応器200は、気相の単量体ストリームが供給される単量体供給ライン210と、前記単量体供給ライン210を介して供給される気相の単量体ストリームを分散させるための本発明によるスパージャ100とを含むことができる。
【0030】
本発明の一実施形態によると、前記反応器200は、連続工程に適する反応器であることができる。例えば、前記反応器200は、連続攪拌槽型反応器(continuous stirred-tank reactor)、プラグ流反応器(plug flow reactor)および気泡塔反応器(bubble column reactor)からなる群から選択されるいずれか一つ以上の反応器を含むことができる。具体的な例として、前記反応器200は、気泡塔反応器であることができる。これにより、連続して単量体を反応させることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、前記反応器200は、触媒および溶媒の存在下で単量体をオリゴマー化反応させてオリゴマーを製造するためのものであることができる。
【0032】
前記単量体は、エチレンを含むことができる。具体的には、エチレン単量体を含む気相の単量体ストリームを反応器200の下部に備えられた単量体供給ライン210を介して反応器200内に導入し、前記気相の単量体ストリームは、スパージャ100を介して分散されて、反応器200内の反応媒体でオリゴマー化反応を経て目的とするアルファオレフィン生成物を製造することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によると、下記の図4のように、前記単量体供給ラインから延びて備えられた噴射部220をさらに含むことができる。前記単量体供給ライン210を介して移送される気相のエチレン単量体は、噴射部220を介して噴射され、スパージャ100を通過することができる。
【0034】
前記噴射部220は、単量体供給ライン210から延びて複数個の配管に分岐されるように形成されることができ、前記分岐された複数個の配管それぞれの端部には、噴射ノズルが形成されていてもよい。具体的には、前記単量体供給ライン210を介して移送される気相のエチレン単量体は、噴射部220の噴射ノズルを介して反応器200に導入されることができる。このように、反応器200に導入された気相のエチレン単量体は、スパージャ100を通過して反応器200の上方向に噴射されることができる。このように、噴射部220を備えることで、従来のデフレクタなどの装置がさらに必要ではなく、従来のデフレクタの使用時に気相の単量体ストリームの線速度を一定に維持し難い問題を解決することができる。このように、気相の単量体ストリームの線速度を一定に維持することで、反応器内の反応液および副生成物の分散程度を均一に維持することができ、副生成物が偏って蓄積されることを防止することができる。
【0035】
前記オリゴマー化反応は、反応器200の下部もしくは中部領域で行われ、触媒および助触媒の存在下で溶媒に溶解された液体状態で単量体のオリゴマー化反応が行われることができる。
【0036】
前記オリゴマー化反応は、単量体が小重合される反応を意味し得る。重合される単量体の個数に応じて、三量化(trimerization)、四量化(tetramerization)と称し、これをまとめて多量化(multimerization)とする。
【0037】
前記単量体のオリゴマー化反応において、反応器200で未反応の単量体および気化した溶媒は、反応器200の上部に排出されることができ、これは、反応器200に循環させて単量体のオリゴマー化反応に再使用することができる。また、前記単量体のオリゴマー化反応により生成されたオリゴマーは、反応器200の下部側面を介して分離して取得することができる。
【0038】
前記アルファオレフィンは、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用される。前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、例えば、エチレン単量体の三量体化反応または四量体化反応により製造することができる。
【0039】
前記単量体のオリゴマー化反応は、前記反応システムと通常の接触技術を応用して溶媒の存在または不在下で、均質液相反応、触媒が一部溶解されないか全部溶解されない形態であるスラリー反応、二相液体/液体反応、または生成物が主媒質として作用するバルク相反応またはガス相反応で行われることができる。
【0040】
前記溶媒、触媒および助触媒は、液相で反応器200の下部側面に供給されることができる。
【0041】
前記触媒は、遷移金属供給源を含むことができる。前記遷移金属供給源は、例えば、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロライドテトラヒドロフラン、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、クロム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、クロム(III)ベンゾイルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオネート、クロム(III)アセテートヒドロキシド、クロム(III)アセテート、クロム(III)ブチレート、クロム(III)ペンタノエート、クロム(III)ラウレートおよびクロム(III)ステアレートからなる群から選択される1種以上を含む化合物であることができる。
【0042】
前記助触媒は、例えば、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminium)、トリエチルアルミニウム(triethyl aluminium)、トリイソプロピルアルミニウム(triisopropyl aluminium)、トリイソブチルアルミニウム(triisobutyl aluminium)、エチルアルミニウムセスキクロライド(ethylaluminium sesquichloride)、ジエチルアルミニウムクロライド(diethylaluminium chloride)、エチルアルミニウムジクロライド(ethyl aluminium dichloride)、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane)、修飾メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane)およびボレート(Borate)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0043】
前記単量体のオリゴマー化反応で使用される溶媒は、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよび卜リクロロベンゼンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0044】
このように、触媒および溶媒の存在下で単量体をオリゴマー化させる過程では、オリゴマー生成物の他に、高分子などの粘着性を有する副生成物が生成される。このような副生成物は、スパージャ100に形成されたホールを目詰まりさせてファウリングを引き起こし得る。
【0045】
これに対して、本発明による反応器200は、上述の本発明によるスパージャ100を使用することで、ファウリングによってスパージャ100のホールが目詰まりすることを防止し、反応器200の洗浄周期を延長することができ、これにより、運転時間の減少による生産量の減少を防止し、洗浄過程で必要となる費用を下げることができる。
【0046】
本発明の一実施形態によると、前記反応器200は、必要な場合、バルブ、凝縮器、再沸器、ポンプ、冷却施設、フィルタ、攪拌機、圧縮機および混合器など、オリゴマーの製造に必要な装置をさらに設置することができる。
【0047】
以上、本発明によるスパージャおよびこれを含む反応器について記載および図面に図示しているが、前記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成のみを記載および図示したものであり、前記記載および図面に図示した工程および装置の他に、別に記載および図示していない工程および装置は、本発明によるスパージャおよびこれを含む反応器を使用するために、適切に応用して用いられることができる。
【0048】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白であり、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0049】
実施例
実施例1
下記図3のように、気泡塔反応器200に本発明による図1によるスパージャ100を備えてエチレン単量体のオリゴマー化反応を行った。具体的には、前記反応器200の下部側面に溶媒、触媒および助触媒を供給し、反応器200の下部に備えられた単量体供給ライン210および噴射部220を介して気相のエチレン単量体ストリームを供給し、スパージャ100を用いて上方向に分散させて、反応器200内の液相の反応媒体内でオリゴマー化反応させた。オリゴマー化反応で生成されたアルファオレフィンは、反応器200の下部側面に分離して取得し、未反応の単量体および気化した溶媒は、反応器200の上部に排出した。
【0050】
この際、前記スパージャ100本体の直径は300mmに、スパージャ100本体の厚さは20mmに、スパージャ100の第1ホール110の直径は20mmに、第2ホール120の直径は5mmに形成した。
【0051】
この場合、エチレン単量体のミキシング効率が増加してアルファオレフィンの生産量が増加した。また、スパージャ100のファウリングの発生が低下し、反応器200の洗浄のためのシャットダウン周期を延長することができた。
【0052】
実施例2
前記実施例1で、スパージャ100として、下記図2のように、上方向に直径が一定な突出部121が形成されたスパージャ100を使用した以外は、前記実施例1と同様に行った。この際、前記突出部121の高さは5mmに形成した。
【0053】
この場合、実施例1のようにエチレン単量体のミキシング効率が増加してアルファオレフィンの生産量が増加した。また、突出部121によってファウリングが発生しやすい第2ホール120にファウリングの発生確率を下げてスパージャ100のファウリング発生が低下し、反応器200の洗浄のためのシャットダウン周期が実施例1に比べて延長したことを確認した。
【0054】
実施例3
前記実施例2で、下記図4のように、噴射部220を備えて気相のエチレン単量体を噴射部220を介して噴射させてスパージャ100を通過するように供給した以外は、前記実施例2と同様に行った。
【0055】
この場合、実施例2のようにエチレン単量体のミキシング効率が増加してアルファオレフィンの生産量が増加し、スパージャ100のファウリングの発生が低下して反応器200の洗浄のためのシャットダウン周期が延長した。これとともに、噴射部220を使用することで、反応器200に供給される気相のエチレン単量体の線速度を一定に維持して、反応器内の反応液および副生成物の分散程度を均一に維持することで、副生成物が偏って蓄積されることを防止する効果を確認した。
【0056】
比較例
比較例1
前記実施例1で、スパージャ100として、下記図5のように、第1ホール110のみが形成されたスパージャ100を使用した以外は、前記実施例1と同様に行った。
【0057】
この場合、実施例1~3に比べてエチレン単量体のミキシング効率が減少してアルファオレフィンの生産量が減少し、スパージャ100のファウリング発生率が増加して反応器200の洗浄のためのシャットダウン周期が短くなる問題を確認した。
図1
図2
図3
図4
図5