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特許7378906鎖長延長剤とそれを含む脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、並びにオルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】鎖長延長剤とそれを含む脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、並びにオルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20231107BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20231107BHJP
   C09J 183/06 20060101ALI20231107BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20231107BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20231107BHJP
   C08G 77/18 20060101ALI20231107BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231107BHJP
【FI】
C07F7/18 X
C09D183/06
C09J183/06
C09K3/10 G
C08L83/06
C08G77/18
C07B61/00 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021563934
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 JP2020045378
(87)【国際公開番号】W WO2021117652
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2019223770
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今坂 優大
(72)【発明者】
【氏名】片山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆文
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-140700(JP,A)
【文献】特開平10-142987(JP,A)
【文献】特開2019-137929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/18
C09D 183/06
C09J 183/06
C09K 3/10
C08L 83/06
C08G 77/18
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物からなる脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の鎖長延長剤。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、nは0~10の数である。)
【請求項2】
請求項1に記載の鎖長延長剤と、分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンとを含有する脱アルコール型室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
コーティング剤組成物である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
接着剤組成物である請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
シーリング剤組成物である請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化物を有する物品。
【請求項8】
下記一般式(1)’’で表されるオルガノポリシロキサン化合物。
【化2】
(式中、 1 は互いに独立して非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、R 2 、R 3 及びR 4 互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数である。)
【請求項9】
下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンと下記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物を縮合反応させて、下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端を下記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物の残基で封鎖する工程を含む下記一般式(1)’’で表されるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【化3】
(式中、R1は互いに独立して非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数である。)
【化4】
(式中、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基である。)
【化5】
(式中、 1 は互いに独立して非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、R 2 、R 3 及びR 4 互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法、並びに該化合物を含む組成物等に関し、特には、分子鎖両末端がシラノール基又はアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)として含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物中において鎖長延長剤として作用し、該ベースポリマーの末端シラノール基又は加水分解性シリル基と加水分解・縮合反応してシロキサン結合を形成することにより該ベースポリマーをより高分子量化し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素含有基」とも称す。)として、アルコキシ基等のオルガノオキシ基で置換されたメチル基(α-オルガノオキシ置換メチル基)を分子鎖両末端のケイ素原子上に1個ずつ(即ち、分子中に2個)有すると共に、ケイ素原子に結合したアルコキシ基等のオルガノオキシ基を1個だけ有するシリル基(モノオルガノオキシシリル基)をそれぞれの分子鎖末端に1個ずつ(即ち、分子中に2個)有する2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法、並びに該オルガノポリシロキサン化合物を含む組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ケイ素含有基、特に加水分解性シリル基は、水存在下にて加水分解縮合する性質を有していることから、この反応性ケイ素含有基を有するポリマーは、大気中の水又は湿気の存在下で架橋硬化する種々の室温硬化性樹脂組成物に用いることができる。
【0003】
これらのポリマーの中でも、その主鎖がケイ素含有構造(特に、好ましくは直鎖状の、オルガノポリシロキサン構造)であるものは、一般的にシリコーンポリマーとして知られている。これらのシリコーンポリマーを主剤(ベースポリマー)として用いた室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物は、室温(23℃±10℃)では液状であり、硬化(架橋反応)によりシリコーンゴム弾性体(シリコーンエラストマー)となる特徴を有しており、その特徴を利用してコーティング剤、接着剤、建築用シーリング剤等に広く用いられている。これらの室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物には、架橋剤及び安定化剤として、シランカップリング剤やその部分加水分解縮合物等が使用されている。特に分子内に二つの加水分解性基をもつ2官能性のシランカップリング剤は架橋剤の中でも鎖長延長剤と呼ばれ、シリコーンポリマーの鎖長を伸ばすことでシーリング剤やRTVゴム硬化物に適度な伸びを与える。
【0004】
室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物は、種々のタイプのものが公知である。とりわけ架橋時の加水分解・縮合反応によりアルコールを放出して硬化する脱アルコールタイプのものは不快臭がない、金属類を腐食しないという特徴により、電気・電子機器等のシーリング用、接着用、コーティング用に好んで使用されている(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-147203号公報
【文献】特許第5997778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、脱アルコールタイプのものは従来公知の他の硬化タイプである脱アセトンタイプ、脱オキシムタイプ、脱アミノキシタイプ等のものと比較すると、大気中の水(湿気)との反応性が低く、硬化速度が遅いことから、工業的に実用可能な脱アルコールタイプの室温硬化性(RTV)組成物用の鎖長延長剤となるオルガノポリシロキサン化合物はなかった。
【0007】
したがって、本発明は、速やかにゴム化し、ゴム弾性を発現する工業的に実用可能な脱アルコールタイプの室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物用の鎖長延長剤となるオルガノポリシロキサン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、下記一般式(1)で表される、アルコキシ基等のオルガノオキシ基で置換されたメチル基(α-オルガノオキシ置換メチル基)とアルコキシ基等のオルガノオキシ基とを、分子鎖両末端のケイ素原子上にそれぞれ1個ずつ(即ち、分子中に2個ずつ)有する特定の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物が、上述した課題の解決に有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は下記のオルガノポリシロキサン化合物、該化合物の製造方法、該化合物を含む組成物、該組成物からなるコーティング剤、接着剤及びシーリング剤、該組成物の硬化物を有する物品等を提供する。
【0010】
[1]
下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物。
【化1】
(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、nは0~10の数である。)
[2]
[1]に記載のオルガノポリシロキサン化合物と、分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンとを含有する組成物。
[3]
コーティング剤組成物である[2]に記載の組成物。
[4]
接着剤組成物である[2]に記載の組成物。
[5]
シーリング剤組成物である[2]に記載の組成物。
[6]
[2]~[5]のいずれかに記載の組成物の硬化物。
[7]
[6]に記載の硬化物を有する物品。
[8]
下記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物を触媒存在下で縮合反応させて二量化する工程を含む下記一般式(1)’で表されるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【化2】
(式中、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基である。)
【化3】
(式中、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基である。)
[9]
下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンと下記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物を縮合反応させて、下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端を下記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物の残基で封鎖する工程を含む下記一般式(1)’’で表されるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【化4】
(式中、R1は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数である。)
【化5】
(式中、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基である。)
【化6】
(式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、脱アルコールタイプの加水分解・縮合反応であっても反応性に優れている。またこのようなオルガノポリシロキサン化合物を鎖長延長剤として含む室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物は室温においても大気中の湿気により速やかにゴム化し、ゴム弾性を発現するため、コーティング剤、接着剤、シーリング剤等の用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0013】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物
本発明に係るオルガノポリシロキサン化合物は、下記一般式(1)で示される、アルコキシ基等のオルガノオキシ基で置換されたメチル基(α-オルガノオキシ置換メチル基)とアルコキシ基等のオルガノオキシ基とを、分子鎖両末端のケイ素原子上にそれぞれ1個ずつ(即ち、分子中に2個ずつ)有する、2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物である。
【0014】
【化7】
【0015】
式中、R1、R2、R3及びR4は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基を表す。上記R1、R2、R3及びR4において、炭素原子数1~10のアルキル基としては、直鎖状、環状、分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、イソボルニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、炭素原子数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル基等が挙げられる。なお、これらの基の水素原子の一部又は全部は、アルキル基、アリール基、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換されていてもよく、これらの中でも、R1、R2及びR3としては、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、反応性や入手の容易さ、生産性、コストの面からメチル基がより好ましい。R4としては、炭素数の少ない置換基が好ましく、合成の容易さからメチル基がより好ましい。
【0016】
上記一般式(1)において、nは、0~10の数、特には0~10の整数を表す。上記一般式(1)において、特にnが0~3の数、特には0~3の整数のとき、化合物の分子量が小さくなり、該化合物を室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物等に配合する際、その配合量が少なくて済むため、nは0~3の数、特には0~3の整数(0、1、2又は3)が好ましい。
【0017】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物において、n=0(即ち、1,3-ジオルガノ-1,3-ジオルガノオキシ-1,3-ジオルガノオキシメチル-ジシロキサン)の場合は、例えば、下記一般式(2)で表される、ケイ素原子のα位に位置する炭素原子上にアルコキシ基等のオルガノオキシ基を1個有し、かつ、ケイ素原子に結合したアルコキシ基等のオルガノオキシ基を分子中に2個有する(2官能性の)アルコキシ基含有加水分解性オルガノシラン化合物を塩酸触媒等の触媒存在下で縮合反応させて二量化することにより得ることができる。
【0018】
【化8】
(式中、R2、R3、R4は上記一般式(1)と同じ意味を示す。)
【0019】
また、上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物において、n=1~10の数、特には1~10の整数(即ち、分子鎖両末端(オルガノオキシ)(オルガノオキシメチル)オルガノシリル封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサン)の場合は、下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンと、上記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物とをアミン触媒等の触媒存在下で縮合反応させることにより、下記一般式(3)で表される分子鎖両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端を上記一般式(2)で表されるオルガノシラン化合物の残基で封鎖することで得ることができる。
【0020】
【化9】
(式中、R1は互いに独立して非置換もしくは置換の炭素原子数1~10のアルキル基又は非置換もしくは置換の炭素原子数6~10のアリール基であり、n’は1~10の数、特には1~10の整数である。)
【0021】
本発明のオルガノポリシロキサン化合物を含む組成物
本発明の上記一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物は、分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)として含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、特に、脱アルコールタイプの室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物中に配合すると、ベースポリマーの鎖長を延長する鎖長延長剤として作用する。該一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物を含有する室温硬化性(RTV)オルガノポリシロキサン組成物は室温においても大気中の湿気により速やかに縮合反応してゴム弾性を有すると共に高伸張性に優れたシリコーンゴム弾性体(シリコーンエラストマー)を与えることができる。該組成物の縮合反応による架橋時には、加熱及び/又は加湿してもかまわない。本発明の組成物は、コーティング剤、接着剤、シーリング剤等の用途に好適に用いることができる。本発明のコーティング剤、接着剤及びシーリング剤を用いる物品としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート類及びポリカーボネートブレンド等のポリカーボネート樹脂、ポリ(メタクリル酸メチル)等のアクリル系樹脂、ポリ(エチレンテレフタレート)やポリ(ブチレンテレフタレート)、不飽和ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルのブレンド、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン樹脂等の有機樹脂基材;鉄板、銅板、鋼板等の金属基材;塗料塗布面;ガラス;セラミック;コンクリート;スレート板;テキスタイル;木材、石材、瓦、(中空)シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機フィラー;ガラス繊維をはじめとしたガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラス繊維製品などが挙げられ、基材の材質及び形状については特に限定されるものではない。ここで主剤(ベースポリマー)として用いられるオルガノポリシロキサンは、分子鎖両末端にそれぞれ1個ずつ(分子中に2個の)ケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)又は加水分解性シリル基を有するものが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記一般式(4)又は(5)で表される分子末端基が水酸基(ジオルガノヒドロシリル基)又は加水分解性基(加水分解性基含有トリオルガノシリル基)で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが用いられる。
【0022】
【化10】
(式中R1は上記一般式(1)と同様であり、Xは酸素原子又は炭素数1~8の二価の炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、bは0又は1であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が100~1,000,000mPa・sとなる数であり、通常、平均値として30~2,000、好ましくは50~1,200、より好ましくは100~800程度の数である。)

なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ)により測定することができる。また、ジオルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位((R12SiO2/2)の繰り返し数(m)又は重合度は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクトマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
【0023】
上記式(4)及び(5)において、Xは酸素原子又は炭素数1~8の二価炭化水素基であり、-(CH2CH2q-、又は-(CH=CH)q-(qは1~4を表す)であることが好ましい。これらの中でも特に酸素原子、-CH2CH2-、又は-CH=CH-が好ましい。
【0024】
上記式(5)において、Yは加水分解性基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロぺニルオキシ基、1-エチル-2-メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N-メチルアセトアミド基、N-エチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。この中でも、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基が好ましい。
【0025】
主剤(ベースポリマー)として用いられるオルガノシロキサンの具体例としては、例えば、下記のジオルガノシロキサンが挙げられる。
【化11】
(式中、R1、Y、b、mは上記一般式(4)及び(5)と同様である。)
【0026】
これらのオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用することもできるし、構造や分子量の異なる2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0027】
このような分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンをベースポリマーして本発明の上記一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物と組み合わせることで、該ベースポリマーが短時間で鎖長延長して増粘することができ、更に、必要に応じて後述する架橋剤、硬化触媒及び/又は充填剤等の任意成分の1種又は2種以上を適宜併用して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を構成することによって、室温にて大気中の湿気により容易に硬化(架橋)してゴム化し、ゴム弾性を発現するシリコーンゴム硬化物(エラストマー)を得ることができる。
【0028】
本発明の組成物中、上記一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物は、0.1~10質量%含有することが好ましく、0.2~6質量%含有することがより好ましく、0.4~4質量%含有することがさらに好ましい。該オルガノポリシロキサン化合物は、一種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
本発明の組成物中、上記一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物は、分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.05~5質量部含有することが好ましく、0.1~3質量部含有することがより好ましく、0.2~2質量部含有することがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明の効果を損なわない範囲で任意の添加物として架橋剤や硬化触媒、充填剤を使用してもよい。
【0031】
架橋剤には本発明の一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物以外の有機ケイ素化合物も使用可能であり、具体的にはメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、α-(ジメトキシメチルシリル)プロピオン酸2-エチルヘキシル等のアルコキシシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のイソプロペノキシ基含有シラン;メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシラン;並びにこれらのシランの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
架橋剤の配合量は、上記の分子鎖両末端シラノール基又は加水分解性シリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0~30質量部であるが、0.1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~15質量部である。
【0032】
硬化触媒としては、一般的な湿気縮合硬化型組成物の硬化に用いられる硬化触媒であれば特に限定されるものではなく、その具体例としては、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等のアルキル錫化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジバーサテート等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル及びチタンキレート化合物並びにそれらの部分加水分解物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコラート、アルミニウムアシレート、アルミニウムアシレートの塩、アルミノシロキシ化合物、アルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N,N’-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン、テトラメチルグアニジン等のアミン化合物及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジエトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン及びシロキサン;N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサメチル-N’’’-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン塩基を含有するシラン及びシロキサン等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
【0033】
これらの中でも、より反応性に優れることから、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エタン-1,2-ジアミン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランが好ましく、組成物の硬化性の観点からジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランがより好ましく、有機スズ系化合物を非含有とし、より低毒性とすることから、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランがより一層好ましく、組成物の硬化性の観点からテトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0034】
硬化触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、硬化速度を適切な範囲に調整して作業性を向上させることを考慮すると、上記の分子鎖両末端シラノール基又は加水分解性シリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましく、0.1~5質量部がより好ましい。
【0035】
充填剤としては公知のものを使用することができ、例えば、微粉末シリカ、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、これらのシリカ表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理したシリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、透明樹脂ビーズ、シリカエアロゲル、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、煙霧状金属酸化物などの金属酸化物、湿式シリカあるいはこれらの表面をシラン処理したもの、石英粉末、カーボンブラック、タルク、ゼオライト及びベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、ガラスウール、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂粉末等が使用される。これらの充填剤のうち、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機質充填剤が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。
【0036】
充填剤の配合量は、上記の分子鎖両末端シラノール基又は加水分解性シリル基封鎖直鎖状ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0~1,000質量部、特に1~1,000質量部、とりわけ1~400質量部とすることが好ましい。
【0037】
本発明の組成物の製造方法
本発明の組成物は、次に示されるような方法で製造することができる。
例えば、上記一般式(1)で表される2官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物と、分子鎖両末端がシラノール基又は加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサンとを、同時に又は別々に必要により混合し、撹拌、溶解及び/又は分散させることにより、混合物を得てもよい。また、使用用途によって、該混合物に、添加物を添加して混合してもよい。各成分は一種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
組成物の製造方法では、混合、撹拌及び分散を行う装置について、特に限定されない。具体的には、例えば、株式会社ダルトン社製混合撹拌機、株式会社ダルトン社製万能混合撹拌機等を用いることができ、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【実施例
【0038】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお下記において、Meはメチル基を示し、粘度は、B型回転粘度計による25℃における測定値である。
【0039】
[1]オルガノポリシロキサン化合物の合成
[実施例1-1]オルガノポリシロキサン化合物1の合成
【化12】
【0040】
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mL三口フラスコに、35%塩酸0.1g(0.6×10-3モル)、ジメトキシ(メチル)(メトキシメチル)シラン60.10g(0.4モル)を仕込み、50℃に加熱した。その中に、あらかじめ混合したメタノール10.8gと水3.6g(0.2モル)を滴下投入し、3時間撹拌した。酸化プロピレンで中和し、減圧精製した。1H-NMR測定により原料ピークの消失を確認し、上記構造式のオルガノポリシロキサン化合物1(1,3-ジメチル-1,3-ジメトキシ-1,3-ジメトキシメチル-ジシロキサン)を得た。
【0041】
[実施例1-2]オルガノポリシロキサン化合物2の合成
【化13】
【0042】
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた100mLセパラブルフラスコに、ジメトキシ(メチル)(メトキシメチル)シラン35g(0.23モル)とイソプロピルアミン3.4g(0.058モル)を仕込み、80℃で撹拌した。その中に、分子鎖両末端に水酸基を有するテトラメチルジシロキサン(1,3-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン)7.75g(0.0047モル)を滴下投入し、80℃で5時間撹拌した。その後、140℃に加熱し、減圧留去、加圧ろ過にて過剰添加した原料及びオリゴマーを除去し、29Si-NMR測定により原料のシラノールピークの消失を確認し、上記構造式のオルガノポリシロキサン化合物2(1,7-ジメトキシ-1,7-ジメトキシメチル-1,3,3,5,5,7-ヘキサメチルテトラシロキサン)を得た。
【0043】
[実施例1-3]オルガノポリシロキサン化合物3の合成
【化14】
【0044】
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた300mLセパラブルフラスコに、ジメトキシ(メチル)(メトキシメチル)シラン45.08g(0.3モル)とイソプロピルアミン7.09g(0.12モル)を仕込み、80℃で撹拌した。その中に、分子鎖両末端に水酸基を有するジメチルデカシロキサン67.82g(0.09モル)を滴下投入し、80℃で5時間撹拌した。その後、140℃に加熱し、減圧留去、加圧ろ過にて過剰添加した原料及びオリゴマーを除去し、29Si-NMR測定により原料のシラノールピークの消失を確認し、上記構造式のオルガノポリシロキサン化合物3を得た。
【0045】
[比較例1-1]オルガノポリシロキサン化合物4の合成
【化15】
【0046】
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、35%塩酸0.3g(1.8×10-3モル)、ジメトキシ(メチル)ビニルシラン355.15g(2.50モル)を仕込み、50℃に加熱した。その中に、あらかじめ混合したメタノール67.5gと水22.5g(1.25モル)を滴下投入し、5時間撹拌した。エチレンジアミン0.11g(1.8×10-3モル)で中和し、減圧精製した。ガスクロマトグラフィ測定により原料ピークの消失を確認し、上記構造式のオルガノポリシロキサン化合物4(1,3-ジメチル-1,3-ジメトキシ-1,3-ジビニル-ジシロキサン)を得た。
【0047】
[2]オルガノポリシロキサン化合物の反応性の確認
[実施例2-1]
粘度5,000mPa・sのα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(重合度:約400)100質量部と、上記実施例1-1で得られたオルガノポリシロキサン化合物1を0.9質量部、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシランを0.5質量部、ジオクチルスズジネオデカノエートを0.3質量部、湿気遮断下で均一に手もみ混合し、組成物を調製した。
【0048】
[実施例2-2]
上記実施例1-1で得られたオルガノポリシロキサン化合物1の代わりに上記実施例1-2で得られたオルガノポリシロキサン化合物2を1.4質量部、使用した以外は実施例2-1と同様にして組成物を調製した。
【0049】
[実施例2-3]
上記実施例1-1で得られたオルガノポリシロキサン化合物1の代わりに上記実施例1-3で得られたオルガノポリシロキサン化合物3を3.46質量部、使用した以外は実施例2-1と同様にして組成物を調製した。
【0050】
[比較例2-1]
上記実施例1-1で得られたオルガノポリシロキサン化合物1の代わりに上記比較例1-1で得られたオルガノポリシロキサン化合物4を0.8質量部、使用した以外は実施例2-1と同様にして組成物を調製した。
【0051】
上記実施例2-1~2-3及び比較例2-1で調製した組成物について下記の評価を実施した。それらの結果を表1に示す。
【0052】
〔増粘率〕
上記調製方法にて得た組成物を、窒素ガスを充填したガラス瓶中にて25℃、50%RHの雰囲気下で密栓保管した。粘度は、充填直後、充填から5時間保管した後及び充填から24時間保管した後に、それぞれ測定した。測定した粘度から下記式を用いて増粘率を算出した。増粘率の値が大きいほど、鎖長延長剤の反応性が良好であることを示す。
【数1】
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示されるように実施例1-1~1-3で得られたオルガノポリシロキサン化合物1~3を用いた実施例2-1~2-3で調製した組成物は、比較例2-1で調製した組成物に比べ増粘率が非常に高く、鎖長延長剤としての反応性が良好であることが分かった。
一方、比較例2-1で調製した組成物は、増粘しているものの実施例2-1~2-3に比べ増粘率が低く、短時間で十分な反応性を確保することができなかった。