IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミツトヨの特許一覧

<>
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図1
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図2
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図3
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図4
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図5
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図6
  • 特許-測定装置、及び光量制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】測定装置、及び光量制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019200712
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021076385
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】山縣 正意
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 利久
(72)【発明者】
【氏名】岩本 正
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063236(JP,A)
【文献】特開2008-151687(JP,A)
【文献】特開平09-196676(JP,A)
【文献】特開2003-195172(JP,A)
【文献】特開2003-329610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 1/00-15/14
G06F 3/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット光を出射するスポット光源と、
前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部と、
前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部と、
前記走査部による前記スポット光の走査速度を制御する走査制御部と、
前記受光部で前記スポット光の光量を検出する露光時間を変化させる露光制御部と、
を備え、
前記走査制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記走査速度で前記スポット光を走査させ
前記露光制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記露光時間で、前記受光部に前記スポット光を受光させる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
スポット光を出射するスポット光源と、
前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部と、
前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部と、
前記走査部による前記スポット光の走査速度を制御する走査制御部と、を備え、
前記受光部は、複数の画素を有し、前記画素で受光した前記スポット光の光量に応じた検出信号を前記画素毎に出力する撮像部であり、
前記走査制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記走査速度で前記スポット光を走査させる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項3】
スポット光を出射するスポット光源と、
前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部と、
前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部と、
前記走査部による前記スポット光の走査速度を制御する走査制御部と、
前記スポット光源の点灯及び消灯を制御する光源駆動部と、を備え、
前記走査制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記走査速度で前記スポット光を走査させ、
前記光源駆動部は、前記走査部による前記スポット光の走査速度が一定となる等速期間で、前記スポット光源を点灯させ、前記走査速度が加減速される加減速期間で、前記スポット光源を消灯させる
ことを特徴とする測定装置。
【請求項4】
スポット光を出射するスポット光源、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部、及び、前記受光部で前記スポット光の光量を検出する露光時間を変化させる露光制御部を備えた測定装置の光量制御方法であって、
前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾
値以上となる走査速度で、前記走査部により前記スポット光を走査させるとともに、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記露光時間で、前記受光部に前記スポット光を受光させる
ことを特徴とする光量制御方法。
【請求項5】
スポット光を出射するスポット光源、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部、及び、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部、を備え、前記受光部は、複数の画素を有し、前記画素で受光した前記スポット光の光量に応じた検出信号を前記画素毎に出力する撮像部である測定装置の光量制御方法であって、
前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾
値以上となる走査速度で、前記走査部により前記スポット光を走査させる ことを特徴とする光量制御方法。
【請求項6】
スポット光を出射するスポット光源、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部、及び前記スポット光源の点灯及び消灯を制御する光源駆動部を備えた測定装置の光量制御方法であって、
前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾
値以上となる走査速度で、前記走査部により前記スポット光を走査させとともに、前記走査部による前記スポット光の走査速度が一定となる等速期間で、前記スポット光源を点灯させ、前記走査速度が加減速される加減速期間で、前記スポット光源を消灯させる
ことを特徴とする光量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を対象物に照射し、対象物で反射されたレーザー光を受光するレーザープローブを用いて対象物の形状や性状を特定する測定装置、及び当該測定装置でのレーザー光の光量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザープローブを備えた測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の測定装置は、フライングスポット方式により、レーザー光を測定対象の表面で走査させて、測定対象の形状を測定する装置である。すなわち、この測定装置では、レーザー光源(スポット光源部)からのレーザー光(スポット光)を、ガルバノミラー等によって構成された走査部に導き、走査部でスポット光の反射方向を変化させることでスポット光を揺動させ、測定対象の表面でスポット光を走査させる。そして、測定対象で反射されたスポット光を撮像部(CMOSセンサ)で撮像し、撮像画像におけるスポット光像の位置を検出することで、測定対象の位置を検出する。
【0003】
また、フライングスポット方式でスポット光を測定対象の表面で走査する測定装置では、測定対象からの拡散光を捉えて、測定対象の形状測定を実施する。このため、測定精度は、測定対象の表面で拡散される拡散光の光量に依存し、一定値以上の光量の拡散光が撮像部で受光されるように、スポット光の光量調整を行う必要がある。したがって、フライングスポット方式の測定装置では、スポット光の光量調整を自動で実施する自動光量制御機能(APC:Auto Power Control)を備えるものも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-509730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザー光源が射出されるスポット光の光量は、レーザークラスによって出力上限が定められている。このため、測定対象の反射率等によっては、拡散光の光量が不十分となり、測定が困難となる測定対象も存在する。例えば、表面が黒色の測定対象は反射率が低いため、測定対象で反射される拡散光の光量が不十分であり、測定精度が低下する。また、レーザー光源のパワーを上げると、レーザー光源の寿命が短くなるとの課題もある。
【0006】
本発明は、高い測定精度で測定対象の形状測定を実施可能な測定装置、及び測定装置の光量制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様の測定装置は、スポット光を出射するスポット光源と、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部と、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部と、前記走査部による前記スポット光の走査速度を制御する走査制御部と、を備え、前記走査制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記走査速度で前記スポット光を走査させる。
【0008】
本態様では、受光部で受光されるスポット光の光量が、閾値以上となるように、走査部でのスポット光の走査速度を変更する。例えば、受光部で受光される光の光量が少ない場合に、走査速度を低下させることで、受光部に受光される見かけ上の光の光量が増加する。したがって、測定対象の表面の光反射率が低い場合や、スポット光源のパワー上限値が低い場合であっても、受光部で閾値以上の光量の光を検出することができ、測定装置により高い測定精度で測定対象の形状測定を実施することができる。
【0009】
第一態様の測定装置において、前記受光部で前記スポット光の光量を検出する露光時間を変化させる露光制御部をさらに備え、前記露光制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記露光時間で、前記受光部に前記スポット光を受光させることが好ましい。
【0010】
本態様では、さらに、受光部での露光時間を変更することで、受光部で受光される光の光量を増加させる。これにより、より確実に受光部で受光されるスポット光の光量を増大させることができる。また、走査部での走査速度を遅くすることのみにより、受光部で受光させるスポット光の光量を増大させる場合、走査速度の低下によって測定対象の形状測定に係る測定時間も長くなる。これに対して、走査速度の制御と、露光時間の制御とを併用することで、走査速度の低下を抑制しつつ、受光部で受光されるスポット光の光量を増大させることができる。
【0011】
本発明の第二態様の測定装置は、スポット光を出射するスポット光源と、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部と、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部と、前記受光部で前記スポット光の光量を検出する露光時間を変化させる露光制御部と、を備え、前記露光制御部は、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる前記露光時間で、前記受光部に前記スポット光を受光させる。
【0012】
本態様では、受光部での露光時間を変更することで、受光部で受光される光の光量を増加させる。
これにより、測定対象の表面の光反射率が低い場合や、スポット光源のパワー上限値が低い場合であっても、受光部で閾値以上の光量の光を検出することができ、測定装置により高い測定精度で測定対象の形状測定を実施することができる。また、走査部での走査速度を変更することなく、受光部で受光されるスポット光の光量を増大させることができる。
【0013】
第一態様又は第二態様の測定装置において、前記受光部は、複数の画素を有し、前記画素で受光した前記スポット光の光量に応じた検出信号を前記画素毎に出力する撮像部であることが好ましい。
本態様では、受光部は、複数の画素により構成された撮像素子であり、各画素からの検出信号に基づいた撮像画像を撮像することができる。これにより、測定装置は、撮像画像におけるスポット光の位置を検出することで、例えば三角測量法等を用いて、測定対象に照射されたスポット光の位置を算出し、測定対象の形状を測定することができる。また、上記のように、スポット光の光量が閾値以上となるように、走査部の走査速度、又は受光部での露光時間が制御されることで、スポット光を受光した画素位置を精度よく検出することができる。
【0014】
第一態様又は第二態様の測定装置において、前記スポット光源の点灯及び消灯を制御する光源駆動部を備え、前記光源駆動部は、前記走査部による前記スポット光の走査速度が一定となる等速期間で、前記スポット光源を点灯させ、前記走査速度が加減速される加減速期間で、前記スポット光源を消灯させることが好ましい。
本態様では、走査部の走査速度が一定速度となる等速期間でスポット光源を点灯させ、加減速期間でスポット光源を消灯させる。一般に、フライングスポット方式によりスポット光を測定対象の表面で走査させる場合、スポット光の走査速度が加減速される走査範囲の両端側では、スポット光の走査速度に速度むらが生じ、測定精度に影響が出る。したがって、通常、加減速期間での受光部での受光結果は、測定対象の形状測定に使用しない。このような加減速期間において、スポット光源を点灯し続けると、無駄に電力が消費されることになる。これに対して、本態様では、加減速期間では、スポット光源を消灯し、等速期間のみスポット光源を点灯させるため、省電力化を図ることができる。
【0015】
本発明の第三態様に係る光量制御方法は、スポット光を出射するスポット光源、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部、及び、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部、を備えた測定装置の光量制御方法であって、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる走査速度で、前記走査部により前記スポット光を走査させる。
本態様では、上述した第一態様と同様の作用効果が得られ、測定対象の表面の光反射率が低い場合や、スポット光源のパワー上限値が低い場合であっても、受光部で閾値以上の光量の光を検出することができ、測定装置により高い測定精度で測定対象の形状測定を実施することができる。
【0016】
本発明の第四態様に係る光量制御方法は、スポット光を出射するスポット光源、前記スポット光を測定対象に向かって反射し、かつ前記スポット光の反射方向を所定平面内で振って、前記測定対象の表面で前記スポット光を走査させる走査部、及び、前記測定対象で反射された前記スポット光を受光して、受光した前記スポット光の光量を検出する受光部、を備えた測定装置の光量制御方法であって、前記受光部で受光される前記スポット光の光量に基づいて、前記スポット光の光量が閾値以上となる露光時間で、前記受光部に前記スポット光を受光させる。
本態様では、上述した第二態様と同様の作用効果が得られ、測定対象の表面の光反射率が低い場合や、スポット光源のパワー上限値が低い場合であっても、受光部で閾値以上の光量の光を検出することができ、測定装置により高い測定精度で測定対象の形状測定を実施することができる。また、走査部での走査速度を変更することなく、受光部で受光されるスポット光の光量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る測定装置の概略構成を示す模式図。
図2】本実施形態の走査部での走査速度を示す図。
図3】本実施形態のレーザー光源の点灯及び消灯タイミングを示す図。
図4】本実施形態の測定装置による測定方法を示すフローチャート。
図5】本実施形態の撮像部で検出されたスポット光の像の光量の一例を示す図。
図6】本実施形態の走査部の走査速度の一例を示す図。
図7】本実施形態の撮像部の1画素における露光時間と露光量の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のレーザープローブ10を備えた測定装置1の概略構成を示す模式図である。
測定装置1は、レーザー光を用いて、非接触で対象物(測定対象W)の形状を測定する三次元測定装置であり、レーザープローブ10と、レーザープローブ10を三次元空間内の任意の位置に移動させる移動機構20と、レーザープローブ10からの信号に基づいて測定対象Wの形状を測定する制御部30と、を備えている。
以下、各構成について、それぞれ詳細に説明する。
【0019】
[レーザープローブ10の構成]
レーザープローブ10は、図1に示すように、レーザー照射光学系110(光源部)と、受光光学系120と、により構成されている。
レーザー照射光学系110は、レーザー光源111と、反射ミラー112と、走査部113と、走査駆動回路114と、光源駆動回路115と、を含んで構成されている。
【0020】
レーザー光源111は、ポイントレーザー(以降、スポット光と称する)を出射するスポット光源である。
反射ミラー112は、レーザー光源111から出射されたスポット光を走査部113に向かって反射させる。
走査部113は、例えばガルバノミラー等により構成されており、ミラー部113Aと、駆動軸113Bと、駆動モータ113Cと、エンコーダ113Dとを備えて構成される。
ミラー部113Aは、反射ミラー112で反射されたスポット光を、測定対象Wに向かって反射させる。
駆動軸113Bは、ミラー部113Aを支持する軸であり、駆動モータ113Cによって、駆動軸113Bの軸芯を中心軸として回転可能となる。
駆動モータ113Cは、駆動軸113Bを、軸芯を中心軸として回転させる駆動源である。駆動モータ113Cは、所定の角度範囲で回転及び反転を繰り返す。これにより、ミラー部113Aにより反射されるスポット光の反射方向が同一平面内で変化して、スポット光が揺動する。つまり、測定対象Wの表面の走査範囲W0の範囲内でスポット光が走査される。
エンコーダ113Dは、駆動軸113Bの回転角度を検出する。
なお、ここでは、反射ミラー112で反射されたスポット光を、走査部113に入射させる例を示すが、レーザー光源111から出射された光が反射ミラー112を介さずに走査部113に入射する構成としてもよい。
【0021】
走査駆動回路114は、例えば、走査部113の駆動を制御するドライバー回路により構成されており、制御部30及び光源駆動回路115に接続されている。
走査駆動回路114は、走査部113のエンコーダ113Dで検出される駆動軸113Bの回転角度に基づいて、走査部113の角速度を算出する。
また、走査駆動回路114は、制御部30からの走査指令に基づいて走査部113を駆動させる。この走査指令には、走査部113でスポット光を揺動させる際に揺動速度、つまり、測定対象Wで走査されるスポット光の走査速度が含まれる。よって、走査駆動回路114は、エンコーダ113Dに基づいて算出される角速度が、走査指令に含まれる走査速度となるように、走査部113の駆動モータ113Cの駆動を制御する。
【0022】
図2は、走査部113(ガルバノミラー)の走査速度を示す図である。
走査駆動回路114は、測定対象Wの表面でスポット光が一方向に沿って往復移動するように、走査部113によるスポット光の反射方向を変化させる。よって、スポット光の走査範囲W0の両端側では、スポット光の走査速度が加減速される。
つまり、走査駆動回路114は、スポット光を走査範囲W0の一端側から一方向に移動させる場合に、所定の加速期間T1の間、走査部113による走査速度を、所定の加速度で加速させる。そして、走査駆動回路114は、走査速度が、制御部30からの走査指令に含まれる走査速度になると、所定の等速期間T2の間、当該走査速度を維持して、スポット光を前記一方向に移動させる。この後、走査駆動回路114は、所定の減速期間T3の間、走査部による走査速度を、所定の加速度で減速させて、スポット光の走査方向を逆転させる。スポット光の走査方向が逆転した後、走査駆動回路114は、再び、加速期間T1の間、走査部による走査速度を加速させ、所定の走査速度に達する等速期間T2の間、一定速度でスポット光を走査させ、減速期間T3でスポット光を減速させる。以降、同様の処理により、スポット光を走査させることで、上記のように、走査範囲W0の両端側で走査速度の加減速が行われ、両端側を除く部分で、一定の走査速度でのスポット光の走査が行われる。加速期間T1及び減速期間T3は、本発明の加減速期間に相当する。
そして、走査駆動回路114は、加速期間T1から等速期間T2への切り替わりタイミング、等速期間T2から減速期間T3への切り替わりタイミングで、光源駆動回路115に、タイミング信号を出力する。
【0023】
光源駆動回路115は、光源駆動部を構成する、光源駆動回路115は、レーザー光源111の駆動を制御するドライバー回路等により構成されており、制御部30及び走査駆動回路114に接続されている。そして、光源駆動回路115は、制御部30光源駆動指令が入力されると、走査部113の駆動と同期してレーザー光源111の点灯及び消灯を制御する。
図3は、光源駆動回路115によるレーザー光源111の点灯および消灯タイミングを示す図である。
図3に示すように、光源駆動回路115は、走査部113が一定の走査速度でスポット光を走査する等速期間T2において、レーザー光源111を点灯させ、加速期間T1及び減速期間T3において、レーザー光源111を消灯させる。つまり、光源駆動回路115は、走査駆動回路114から、加速期間T1から等速期間T2に切り替わるタイミングで出力されるタイミング信号を受信すると、レーザー光源111を点灯させる。そして、光源駆動回路115は、等速期間T2から減速期間T3に切り替わるタイミングで出力されるタイミング信号を受信すると、レーザー光源111を消灯させる。
【0024】
受光光学系120は、結像レンズ121と、撮像部122と、を備えている。
結像レンズ121は、測定対象Wの走査範囲W0で反射されたスポット光を撮像部122上に結像させる。
撮像部122は、例えば、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)等のイメージセンサを含んで構成されている。この撮像部122は、2次元アレイ状に配置された複数の画素(光電変換素子)を備え、各画素は、光を受光することで、受光した光の光量に応じた検出信号を出力する。本実施形態では、撮像部122は、ローリングシャッター方式の電子シャッターで駆動するイメージセンサであり、各画素からの検出信号が所定の遅延時間で遅延して逐次出力される。
また、本実施形態の撮像部122では、電子シャッターによるシャッター時間(各画素で光を受光する露光時間)が変更可能となる。つまり、本実施形態では、撮像部122は、制御部30から、露光時間を含む撮像指令を受信し、各画素の露光開始から露光終了までの露光時間(シャッター時間)を、撮像指令に含まれる露光時間に設定して、撮像処理を実施する。
【0025】
なお、本実施形態のレーザープローブ10は、シャインプルーフ光学系を構築する。つまり、走査部113により走査されるスポット光の照射面(走査範囲W0)を含む平面と、結像レンズ121の主面と、撮像部122の撮像面とが、同一直線上で交わるように、光学系が構築されている。
【0026】
[移動機構20の構成]
移動機構20は、レーザープローブ10を任意の位置に移動させる装置である。また、移動機構20には、レーザープローブ10の位置を検出するための図示略の位置検出センサが設けられている。
移動機構20の具体的な構成は特に限定されず、例えば、多関節アームの先端にレーザープローブ10を保持させ、多関節アームの各アームの角度を変更可能な構成としてもよい。この場合、各アームの回転角度を検出するロータリーエンコーダー等の角度検出センサを設ける。これにより、制御部30は、各アームのアーム長とアーム間の角度に基づいて、レーザープローブ10の位置や姿勢を算出することができる。
また、移動機構20として、レーザープローブ10をXYZ方向に移動させる門型フレームに保持させる構成としてもよい。つまり、移動機構20は、Y方向に移動可能なコラムと、コラムに保持されてX方向に平行なビームと、ビーム上をX方向に移動可能なスライダーと、スライダーに設けられて、Z方向に移動可能なヘッド保持部材とを備え、ヘッド保持部材にレーザープローブ10が保持される構成としてもよい。このような構成では、移動機構20は、コラムのY方向の位置を検出するYスケール、スライダーのX方向の位置を検出するXスケール、ヘッド保持部材のZ方向の位置を検出するZスケールを備える構成とすればよい。これにより、レーザープローブ10のXYZ座標を検出することができる。ヘッド保持部材に、レーザープローブ10の角度を変更する角度変更部を設けてもよく、この場合、角度変更部に角度検出センサを設けることで、レーザープローブ10の姿勢を検出できる。
【0027】
[制御部30の構成]
制御部30は、コンピューターにより構成されており、図示略のメモリや、メモリに記録された各種プログラムを実施する演算回路等を備えて構成されている。そして、この制御部30は、レーザープローブ10及び移動機構20に接続され、レーザープローブ10の撮像部122での撮像結果(撮像画像)と、移動機構20から出力されるレーザープローブ10の位置や姿勢と、に基づいて、測定対象Wの形状を測定する。
また、制御部30は、撮像部122からの撮像結果に基づいて、レーザープローブ10の光量調整を実施する。具体的には、制御部30は、撮像部122で撮像されるスポット光の光量に基づいて、走査部113の走査速度を制御する。
【0028】
具体的には、制御部30は、図1に示すように、プローブ制御部31、プローブ位置検出部32、形状算出部33として機能する。
プローブ制御部31は、点灯制御部311、走査制御部312、撮像制御部313、光量評価部314として機能する。
点灯制御部311は、レーザー光源111を駆動させる旨の駆動指令をレーザープローブ10に出力する。これにより、駆動指令を受信した光源駆動回路115は、レーザー光源111の点灯駆動を制御する。つまり、光源駆動回路115は、走査部113により、スポット光が一定の走査速度で走査される等速期間T2において、レーザー光源111を点灯させ、加速期間T1及び減速期間T3において、レーザー光源111を消灯させる。
【0029】
走査制御部312は、走査部113に対して走査指令を出力して、走査部113を駆動させる。この際、走査制御部312は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量に基づいて、走査部113をフィードバック制御する。つまり、走査制御部312は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量が閾値以上となるように、走査部113でスポット光の走査速度を遅くする。これにより、スポット光の像が結像される画素での、受光時間が長くなり、その分、当該画素が露光時間内で受光する光の受光量が増大する。
【0030】
撮像制御部313は、本発明の露光制御部に相当し、撮像部122に対して、露光時間を含む撮像指令を出力し、撮像部122に撮像処理を実施させる。これにより、撮像部122は、撮像指令に基づいて露光時間を設定して、撮像処理を実施する。
また、撮像制御部313は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量に基づいて、撮像部122での露光時間をフィードバック制御する。つまり、撮像制御部313は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量が閾値以上となるように、撮像部122での露光時間を長くする。これにより、スポット光の像が結像される画素が露光時間内で受光する光の受光量が増大する。
【0031】
光量評価部314は、測定対象Wで拡散反射されて、撮像部122に結像されたスポット光の像の光量が、適正であるか否かを評価する。つまり、撮像部122から出力される検出信号に基づいて、スポット光の像の光量が、予め設定された閾値以上となるか否かを判定する。
ここで、スポット光の像の光量とは、撮像画像でのスポット光の光量分布で、光量が最大となるピーク位置での光量を指す。本実施形態では、レーザー光源111は、点光源であり、スポット光の像は、撮像部122を構成する複数の画素のいずれかに結像される。したがって、スポット光の像が結像された画素での光量を検出すればよい。この際、本実施形態では、撮像部122は、ローリングシャッター方式で駆動され、各画素からの検出信号がそれぞれ独立して出力されるので、画像解析等の光量分布を解析する処理を行う必要がなく、スポット光の像の光量を容易に検出することができる。
なお、スポット光の像の光量は、検出信号の信号電圧に比例するので、スポット光の像が結像された画素からの検出信号が、所定の電圧閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0032】
プローブ位置検出部32は、移動機構20の位置検出センサから入力された位置検出結果(例えば、ロータリーエンコーダー等の角度検出センサの検出値や、XYZスケールの検出値)を受信する。そして、プローブ位置検出部32は、位置検出結果に基づいて、レーザープローブ10の三次元空間内の位置や姿勢を算出する。
【0033】
形状算出部33は、撮像部122から出力される撮像結果、エンコーダ113Dにより検出される角度、及びプローブ位置検出部32により検出されるレーザープローブ10の位置及び姿勢、に基づいて、測定対象Wの表面形状や表面性状を測定する。
【0034】
[光学制御方法]
次に、上記のような測定装置1におけるレーザープローブ10の光量制御方法を含む測定方法について説明する。
図4は、本実施形態の測定装置1の測定対象Wの測定方法を示すフローチャートである。
測定装置1により測定対象Wの形状測定を行う場合、まず、レーザープローブ10を測定対象Wの測定箇所に対向する位置に移動させる(ステップS1)。
【0035】
次に、プローブ制御部31の点灯制御部311は、レーザー光源111の点灯指令を出力する(ステップS2)。
また、走査制御部312は、走査部113を所定の走査速度で駆動させる旨の走査指令を出力する(ステップS3)。なお、ステップS3で出力される走査指令の走査速度は、予め設定された初期走査速度である。
さらに、撮像制御部313は、撮像部122により撮像処理を実施させる旨の撮像指令を出力する(ステップS4)。この撮像指令には、上述のように、各画素での露光時間が含まれるが、ステップS4で出力される撮像指令に含まれる露光時間は、予め設定された初期露光時間である。
【0036】
ステップS2からステップS4の各指令を受信したレーザープローブ10は、各指令に基づいた測定処理を実施する(ステップS5)。
つまり、走査駆動回路114は、走査指令に基づいて走査部113の走査制御を実施し、光源駆動回路115は、走査制御に基づいた点灯制御を実施する。
具体的には、走査駆動回路114は、加速期間T1から等速期間T2への切り替わりタイミングで第一タイミング信号を光源駆動回路115に出力する。光源駆動回路115は、ステップS2によって、点灯指令を受信しており、かつ、第一タイミング信号を受信すると、図3に示すように、レーザー光源111を点灯させる。
また、走査駆動回路114は、等速期間T2において、走査指令に含まれる走査速度を維持してスポット光を走査させる。
そして、走査駆動回路114は、等速期間T2から減速期間T3への切り替わりタイミングで第二タイミング信号を光源駆動回路115に出力する。光源駆動回路115は、第二タイミング信号を受信すると、図3に示すように、レーザー光源111を消灯させる。以降、レーザープローブ10による測定処理が終了するまで、走査部113の駆動制御と、走査部113に連動したレーザー光源111の点灯及び消灯制御が繰り返し実施される。
【0037】
また、ステップS4により、撮像指令を受信した撮像部122は、撮像指令に基づいて、測定対象Wの表面で反射したスポット光の像を撮像する。つまり、撮像部122は、各画素の露光開始から露光終了までの露光時間を撮像指令に基づいて設定し、設定した露光時間内で受光した光量に応じた検出信号を各画素から出力する。
【0038】
この後、光量評価部314は、ステップS5により撮像部122から出力される検出信号に基づいて、スポット光の像の光量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。
上述したように、本実施形態では、撮像部122がローリングシャッター方式で駆動するイメージセンサであり、各画素からの検出信号が逐次それぞれ出力される。したがって、光量評価部314は、全画素の検出信号に基づいた撮像画像を形成することなく、スポット光(点光源)の像が結像された画素を、検出信号の信号値に基づいて特定することができ、その信号値に基づいて、光量が閾値以上であるか否かを判定できる。
【0039】
ステップS6において、NOと判定されると、走査制御部312及び撮像制御部313は、スポット光の像の光量に基づいて、当該光量が閾値以上となるように、走査部113及び撮像部122をフィードバック制御する。
具体的には、走査制御部312は、ステップS5で検出されたスポット光の像の光量と閾値との差分値を算出し、当該差分値に基づいて走査速度を補正する(ステップS7)。同様に、撮像制御部313は、スポット光の像の光量と閾値との差分値に基づいて、露光時間を補正する(ステップS8)。
例えば、制御部30に設けられたメモリ(図示略)に、スポット光の像の光量と閾値との差分値に対する速度補正値を示す速度補正データ、及び、スポット光の像の光量と閾値との差分値に対する時間補正値を示す時間補正データを、予め記憶しておく。そして、走査制御部312は、ステップS5で検出されたスポット光の像の光量と閾値との差分値に対応する速度補正値を速度補正データから読み出し、現在の走査速度に適用(例えば減算)して、新たな走査速度を算出する。同様に、撮像制御部313は、ステップS5で検出されたスポット光の像の光量と閾値との差分値に対応する時間補正値を時間補正データから読み出し、現在の露光時間に適用(例えば加算)して、新たな露光時間を算出する。
この後、走査制御部312は、ステップS7で補正した走査速度を含む走査指令を、走査駆動回路114に出力し、撮像制御部313は、ステップS8で補正された露光時間を含む撮像指令を、撮像部122に出力し(ステップS9)、ステップS5に戻る。
【0040】
図5は、撮像部122で検出されたスポット光の像の光量の一例を示す図である。図6は、走査部113での走査速度の一例を示す図である。図7は、撮像部122の所定の1画素での露光時間の一例を示す図であり、撮像部122での露光時間と露光量(受光量)との関係を示している。なお、図6の破線は、初期走査速度Vを示し、図7の破線は、初期露光時間Iを示し、図5の破線は、走査速度を初期走査速度Vとし、露光時間を初期露光時間Iとした場合の、撮像部122で検出されたスポット光の像の光量を示す図である。また、図7において、Ioutは、露光により画素に蓄えられた電荷を放出する期間、つまり、検出信号を制御部30に出力する転送期間を示しており、図7に示すように、露光時間を変更しても、転送期間の時間は変更されない。
以上のステップS7からステップS9では、図5に示すように、撮像部122で検出されたスポット光の像の光量Sが閾値Sthよりも小さい場合に、走査制御部312は、図6に示すように、走査部113の走査速度を低下させる。また、撮像制御部313は、図7に示すように、撮像部122の各画素の露光時間を長くする。これにより、図5に示すように、撮像部122で検出されたスポット光の像の光量が増大し、閾値Sth以上となる。
【0041】
そして、ステップS6において、YESと判定されると、形状算出部33は、ステップS5で、撮像部122から得られる撮像結果(撮像画像)に基づいて、測定対象Wの形状測定処理を実施する(ステップS10)。形状算出部33による形状測定処理は、公知の技術を利用でき、例えば、三角測量法等を用いられる。この際、撮像部122による撮像結果(撮像画像)に基づいて、スポット光の像の位置を特定するが、スポット光の像が結像された画素から、閾値以上の光量が検出されるので、形状算出部33は、高い精度で、撮像画像におけるスポット光の位置を特定することができる。これにより、形状算出部33による、形状測定精度を向上させることが可能となる。
【0042】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の測定装置1は、レーザープローブ10と制御部30とを備える。レーザープローブ10は、レーザー光源111(スポット光源)と、走査部113と、撮像部122と、を備える。レーザー光源111は、スポット光を出射する。走査部113は、スポット光を測定対象Wに向かって反射し、かつスポット光の反射方向を所定平面内で振ってスポット光を揺動させ、測定対象Wの表面でスポット光を走査させる。撮像部122は、測定対象で反射されたスポット光を受光して、受光したスポット光の光量を検出する。また、制御部30は、走査部113でのスポット光を揺動させる走査速度を制御する走査制御部312を備え、この走査制御部312は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量に基づいて、スポット光の像の光量が閾値以上となる走査速度でスポット光を揺動させる。
【0043】
このため、例えば測定対象Wの表面の反射率が低く、撮像部122に結像されるスポット光の像の光量が小さい場合でも、走査部113の走査速度を低下させることで、スポット光の像が画素上を通過するのに要する時間が長くなり、当該画素で受光されるスポット光の像の光量が増大する。したがって、撮像部122の撮像結果に基づいて、スポット光の像が結像された画素位置を特定する際に、スポット光の像の光量に基づいて当該画素位置を精度よく特定することができ、測定装置1により高い測定精度で測定対象Wの形状測定を実施することができる。
【0044】
本実施形態の測定装置1では、撮像部122の各画素での露光時間を変化させて、撮像部122での撮像処理を制御する撮像制御部313(露光制御部)をさらに備える。そして、この撮像制御部313は、撮像部122で受光されるスポット光の像の光量に基づいて、スポット光の像の光量が閾値以上となる露光時間で、撮像部122での撮像処理を実施する。
これにより、例えば測定対象Wの表面の反射率が低く、撮像部122に結像されるスポット光の像の光量が小さい場合でも、撮像部122の各画素での露光時間を長くすることで受光量を稼ぐことができ、スポット光の像が結像された画素において、閾値以上の受光量を検出することができる。したがって、撮像部122の撮像結果に基づいて、スポット光の像が結像された画素位置を特定する際に、スポット光の像の光量に基づいて当該画素位置を精度よく特定することができ、測定装置1により高い測定精度で測定対象Wの形状測定を実施することができる。
【0045】
また、走査制御部312による、走査部113による走査速度のフィードバック制御のみで光量調整を実施すると、走査部の走査速度が低下し、形状測定に係る測定時間が長時間化することが考えられる。また、走査部113による走査速度を遅くしても、撮像部122による各画素での露光時間が短い場合、各画素での受光量を向上させることには限界がある。逆に、露光時間を長くしても、走査部113による走査速度が速ければ、各画素での受光量は小さくなる。
これに対して、本実施形態のように、走査部113の走査速度のフィードバック制御と、撮像部122の各画素の露光時間のフィードバック制御との双方を実施することで、走査速度を過剰に遅くする必要や、露光時間を過剰に長くする必要がなく、走査部113の走査速度と、撮像部122の各画素の露光時間とを、バランスよく適切な値に設定することができる。つまり、測定装置1による形状測定の測定時間の長時間化を抑制しつつ、形状測定に係る測定精度の向上を図ることができる。
【0046】
本実施形態では、スポット光の像の光量を検出する受光部として、複数の画素(光電変換素子)がアレイ状に配置され、画素での受光量に応じた検出信号を、画素毎に出力する撮像部122を用いる。
これにより、測定装置1は、撮像部122による撮像結果である撮像画像に基づいて、スポット光の画素位置を容易に特定することができ、例えば三角測量法等により、測定対象Wに照射されたスポット光の位置を算出して、測定対象Wの形状を測定することができる。
【0047】
本実施形態では、レーザープローブ10は、レーザー光源111の点灯及び消灯を制御する光源駆動回路115を備え、この光源駆動回路115は、走査部113によるスポット光の走査速度が一定となる等速期間T2で、レーザー光源111を点灯させてスポット光を出射させ、前記走査速度が加減速される加速期間T1及び減速期間T3で、レーザー光源111を消灯させる。
一般に、フライングスポット方式を用いて測定対象Wの表面でスポット光を走査させる場合、走査範囲の両端側の加速期間T1及び減速期間T3では、走査速度が安定せず、測定結果にばらつきが生じる。このため、通常、加速期間T1及び減速期間T3での撮像結果は、形状測定に用いない。
本実施形態では、加速期間T1及び減速期間T3において、レーザー光源111を消灯することで、レーザー光源111の消費電力を抑制することができ、かつ、レーザー光源111の寿命低下も抑制できる。
【0048】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、撮像部122がローリングシャッター方式で駆動され、各画素からの検出信号が所定の遅延時間で逐次出力されるものとしたが、これに限定されない。撮像部122が、グローバルシャッター方式で駆動され、全ての画素からの検出信号が同時に出力されるものであってもよい。この場合でも、レーザー光源111が点光源であるので、スポット光の像が結像される画素は1つとなり、各画素の光量を検出すれば、スポット光の像が結像された画素、及びその光量は容易に検出することができる。
【0049】
また、上記実施形態では、スポット光の像が1画素上に結像されるものとして説明したが、複数の画素に跨って、スポット光の像が結像されてもよい。この場合、光量評価部314は、画像解析等により、スポット光の結像中心を特定し、その結像中心の光量を検出すればよい。
【0050】
[変形例2]
上記実施形態では、測定装置1の制御部30は、撮像部122により検出されるスポット光の像の光量が閾値以上となるように、走査部113の走査速度と、撮像部122の各画素での露光時間との双方をフィードバック制御する例を示した。これに対して、測定装置1は、スポット光の像の光量が閾値以上となるように、走査部113の走査速度のみをフィードバック制御する構成としてもよい。或いは、測定装置1は、スポット光の像の光量が閾値以上となるように、撮像部122の各画素における露光時間のみをフィードバック制御する構成としてもよい。この場合、レーザープローブ10の光量制御に係る構成を簡略化できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、対象物の所定の直線範囲に光を照射し、直線範囲で反射された光をラインセンサで受光する測定装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…測定装置、10…レーザープローブ、30…制御部、31…プローブ制御部、32…プローブ位置検出部、33…形状算出部、110…レーザー照射光学系、111…レーザー光源、112…反射ミラー、113…走査部、113A…ミラー部、113B…駆動軸、113C…駆動モータ、113D…エンコーダ、114…走査駆動回路、115…光源駆動回路(光源駆動部)、120…受光光学系、121…結像レンズ、122…撮像部(受光部)、311…点灯制御部、312…走査制御部、313…撮像制御部、314…光量評価部、W…測定対象。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7