(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】成膜装置、搬送方法、成膜方法及び電子デバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20231107BHJP
C23C 14/56 20060101ALI20231107BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C23C14/24 J
C23C14/56 G
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021002378
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴志
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-235093(JP,A)
【文献】特開2004-172321(JP,A)
【文献】特開2012-140671(JP,A)
【文献】特開2020-070491(JP,A)
【文献】特開2011-131156(JP,A)
【文献】特開2005-140936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/56
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及びマスクの位置合わせを行うアライメント室と、
第1の搬送体として前記基板または前記基板を保持する基板キャリアを搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送し、第2の搬送体として前記マスクを前記搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送する搬送手段と、
前記アライメント室において、前記搬送方向に交差する幅方向における前記
第1の搬送体の位置を規制する
第1のガイド部と、
前記幅方向における前記第2の搬送体の位置を規制する第2のガイド部と、を有するガイド部と、
前記
第1のガイド部を前記幅方向に沿って移動させ
、前記第2のガイド部を前記幅方向に沿って移動させるガイド部移動手段と、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体のサイズに関するサイズ情報を取得する取得手段と
、
前記アライメント室で位置合わせされた前記基板に前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜室と、を備え
、
前記取得手段は、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体の温度を測定する温度測定手段を有し、
前記取得手段は、前記温度測定手段により測定された前記
第1の搬送体及び前記第2の搬送体の温度と、前記
第1の搬送体の温度と熱膨張量との関係
及び前記第2の搬送体の温度と熱膨張量との関係とに基づき、前記サイズ情報を取得し、
前記取得手段により取得した前記サイズ情報に基づき、前記ガイド部移動手段が前記
第1のガイド部及び前記第2のガイド部の
少なくとも一方の位置を変
更することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
基板及びマスクの位置合わせを行うアライメント室と、
第1の搬送体として前記基板または前記基板を保持する基板キャリアを搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送し、第2の搬送体として前記マスクを前記搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送する搬送手段と、
前記アライメント室において、前記搬送方向に交差する幅方向における前記
第1の搬送体の位置を規制する
第1のガイド部と、
前記幅方向における前記第2の搬送体の位置を規
制する第2のガイド部と、を有するガイド部と、
前記
第1のガイド部を前記幅方向に沿って移動させ
、前記第2のガイド部を前記幅方向に沿って移動させるガイド部移動手段と、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体のサイズに関するサイズ情報を取得する取得手段と
、
前記アライメント室で位置合わせされた前記基板に前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜室と、を備え
、
前記取得手段は、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体の前記幅方向における
両側面の位置を測定
し、前記アライメント室へ搬送される前記第2の搬送体の前記幅方向における両側面の位置を測定する位置測定手段を有し、
前記取得手段は、前記位置測定手段により測定された前記
第1の搬送体の前記
幅方向における両側面の位置
と前記第2の搬送体の前記幅方向における両側面の位置に基づき、前記サイズ情報を取得し、
前記取得手段により取得した前記サイズ情報に基づき、前記ガイド部移動手段が前記
第1のガイド部及び前記第2のガイド部の
少なくとも一方の位置を変
更する
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
基板及びマスクの位置合わせを行うアライメント室と、
第1の搬送体として前記基板または前記基板を保持する基板キャリアを搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送し、第2の搬送体として前記マスクを前記搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送する搬送手段と、
前記アライメント室において、前記搬送方向に交差する幅方向における前記
第1の搬送体の位置を規制する
第1のガイド部と、
前記幅方向における前記第2の搬送体の位置を規制する第2のガイド部と、を有するガイド部と、
前記
第1のガイド部を前記幅方向に沿って移動させ
、前記第2のガイド部を前記幅方向に沿って移動させるガイド部移動手段と、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体のサイズに関するサイズ情報を取得する取得手段と
、
前記アライメント室で位置合わせされた前記基板に前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜室と、を備え
、
前記取得手段は、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像画像を画像処理して、
前記アライメント室へ搬送される前記
第1の搬送体の前記幅方向における
両側面の位置
と、前記アライメント室へ搬送される前記第2の搬送体の前記幅方向における両側面の位置を取得する画像処理手段と、を有し、
前記取得手段は、前記画像処理手段により取得された前記
第1の搬送体の前記
幅方向における両側面の位置
と前記第2の搬送体の前記幅方向における両側面の位置に基づき、前記サイズ情報を取得し、
前記取得手段により取得した前記サイズ情報に基づき、前記ガイド部移動手段が前記
第1のガイド部及び前記第2のガイド部の
少なくとも一方の位置を変
更する
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
前記搬送方向で前記アライメント室の上流に配置されるアライメント前室を更に備え、
前記取得手段は、前記アライメント前室において前記サイズ情報を取得する請求項1~3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
基板及びマスクの位置合わせを行うアライメント室と、
第1の搬送体として前記基板または前記基板を保持する基板キャリアを搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送し、第2の搬送体として前記マスクを前記搬送方向に沿って
前記アライメント室へ搬送する搬送手段と、
前記アライメント室において、前記搬送方向に交差する幅方向における前記
第1の搬送体の位置を規制する
第1のガイド部と、
前記幅方向における前記第2の搬送体の位置を規制する第2のガイド部と、を有するガイド部と、
前記
第1のガイド部を前記幅方向に沿って移動させ
、前記第2のガイド部を前記幅方向に沿って移動させるガイド部移動手段と、
前記
第1の搬送体と前記第2の搬送体のサイズに関するサイズ情報を取得する取得手段と
、
前記アライメント室で位置合わせされた前記基板に前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜室と、を備え
、
前記取得手段は、前記搬送手段によっ
て前記
第1の搬送体が前記成膜室に搬送された回数と、前記回数と前記
第1の搬送体の熱膨張量との関係とに基づき、
また、前記搬送手段によって前記第2の搬送体が前記成膜室に搬送された回数と、前記回数と前記第2の搬送体の熱膨張量との関係とに基づき、前記サイズ情報を取得し、
前記取得手段により取得した前記サイズ情報に基づき、前記ガイド部移動手段が前記
第1のガイド部及び前記第2のガイド部の
少なくとも一方の位置を変
更する
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
前記
第1の搬送体と前記
第1のガイド部との間の前記幅方向の距離が所定の範囲に維持され
、前記第2の搬送体と前記第2のガイド部との間の前記幅方向の距離が所定の範囲に維持されるように、前記ガイド部移動手段が前記
第1のガイド部及び前記第2のガイド部を移動する請求項1~
5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記
第1のガイド部は、前記幅方向において前記
第1の搬送体の両側に配置された
第1のガイドローラを有し、
前記第2のガイド部は、前記幅方向において前記第2の搬送体の両側に配置された第2のガイドローラを有し、
前記ガイド部移動手段は、前記
第1のガイドローラを支持する
第1の支持部と、前記
第1の支持部を幅方向に進退移動させる
第1の駆動部と、
前記第2のガイドローラを支持する第2の支持部と、前記第2の支持部を幅方向に進退移動させる第2の駆動部と、を有する請求項1~
6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記アライメント室では、前記基板と前記マスクのそれぞれに設けられたアライメントマークを撮像し、撮像により得られた画像に基づきアライメントマークの間の相対距離を取得し、前記相対距離に基づき前記基板と前記マスクの位置合わせを行う請求項1~
7のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記アライメント室は、真空チャンバと、前記真空チャンバの外部に設けられるアライメント駆動部と、前記アライメント駆動部の駆動力を前
記基板キャリアに伝える導入部と、前記導入部を気密に保持するベローズと、を有する請求項1~
8のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の成膜装置を用いて前記
基板と前記マスクを搬送しながら、前記
基板に
前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜工程を有する成膜方法。
【請求項11】
請求項
10に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造する電子デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、搬送方法、成膜方法及び電子デバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等を製造する際に用いられる成膜方法として、所定のパターンで開口が形成されたマスクを介して基板上に成膜材料を成膜することで、所定のパターンの膜を基板上に形成するマスク成膜法が知られている。このような成膜を行うための成膜装置として、引用文献1は、基板とマスクを搬送しながら成膜するインライン型の成膜装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインライン型の成膜装置では、アライメントされた基板とマスクを搬送トレイに載せて搬送している。特許文献1には、駆動部によって退避位置とガイド位置とに進退可能なガイドローラを有する搬送トレイのための搬送用ガイド機構について記載されている。しかしながら、ガイドローラの位置、とりわけガイド位置をどのように決定するかについては言及されていない。
【0005】
インライン型の成膜装置において搬送される搬送体には、成膜する基板の設計寸法の違いや、温度などの搬送体の状態の違いに応じて、様々なサイズの搬送体が含まれる。大きなサイズの搬送体に合わせると、搬送体のサイズが小さい場合に、その位置を規定することが困難になる。他方、小さなサイズの搬送体に合わせると、搬送体のサイズが想定より大きい場合、搬送体がガイドローラに押圧され、変形や破損が生じる可能性がある。
【0006】
また、可動式のガイド機構によって基板などの搬送体を押すことで強制的に搬送体を所定の位置にラフに位置決めする方法もある。しかしながら、大型基板では、基板キャリアやマスクの重量はそれぞれ300kg以上になることもあるため、ローラ等の基板キャリアやマスクを支持する部材との摩耗でゴミが発生してしまう。有機ELディスプレイ製造装置においてゴミの発生は品質低下の要因になり、ひいては装置の歩留まりの低下の要因となる。
【0007】
本発明は、サイズの異なる搬送体を適切に搬送することが可能なインライン型の成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る成膜装置は、
基板及びマスクの位置合わせを行うアライメント室と、
第1の搬送体として前記基板または前記基板を保持する基板キャリアを搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送し、第2の搬送体として前記マスクを前記搬送方向に沿って前記アライメント室へ搬送する搬送手段と、
前記アライメント室において、前記搬送方向に交差する幅方向における前記第1の搬送体の位置を規制する第1のガイド部と、前記幅方向における前記第2の搬送体の位置を規制する第2のガイド部と、を有するガイド部と、
前記第1のガイド部を前記幅方向に沿って移動させ、前記第2のガイド部を前記幅方向に沿って移動させるガイド部移動手段と、
前記第1の搬送体と前記第2の搬送体のサイズに関するサイズ情報を取得する取得手段と、
前記アライメント室で位置合わせされた前記基板に前記マスクを介して成膜材料を成膜する成膜室と、を備え、
前記取得手段は、前記アライメント室へ搬送される前記第1の搬送体と前記第2の搬送体の温度を測定する温度測定手段を有し、
前記取得手段は、前記温度測定手段により測定された前記第1の搬送体及び前記第2の搬送体の温度と、前記第1の搬送体の温度と熱膨張量との関係及び前記第2の搬送体の温度と熱膨張量との関係とに基づき、前記サイズ情報を取得し、
前記取得手段により取得した前記サイズ情報に基づき、前記ガイド部移動手段が前記第1のガイド部及び前記第2のガイド部の少なくとも一方の位置を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サイズの異なる搬送体を適切に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の真空成膜装置の全体ライン1の概略図である。
【
図2】アライメント室200の一実施形態を示す概略図である。
【
図3】アライメント前室100の一実施形態を示す概略図である。
【
図4】基板キャリア3とマスク4の温度上昇のグラフ
【
図5】マスクフレームガイドローラ及び基板ガイドローラの進退制御を行うための制御ブロック図である。
【
図6】マスクフレームガイドローラ及び基板ガイドローラの進退制御を行うための他の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
インライン型の成膜装置では、マスクと基板キャリアは製造ライン内を循環するため、成膜工程を通過するたびに熱を受ける。マスクと基板キャリアのリターン工程が真空の場合は熱が逃げづらく、上昇した基板キャリアとマスクの温度が下がり切る前に次の成膜工程が始まる。そのため、基板キャリアとマスクの温度は
図4に示すように周回ごとに上昇していき、条件によっては、60℃以上の温度上昇が発生する。
【0012】
近年は基板が大型化しており、例えばG8の基板のサイズは2200×2500mm以上であり、それに対応したマスクや基板キャリアのサイズは3000mm程度である。このサイズのマスクや基板キャリアの熱膨張量は、材質がSUSの場合は3mm以上、アルミの場合は4mm以上になる。
【0013】
インライン型の成膜装置の搬送機構がローラ搬送で構成される場合、マスクと基板キャリアをガイドするために搬送ガイドが所定のクリアランスをもって設定される。クリアランスが大きすぎると搬送位置決め精度が低下するため、可能なかぎりクリアランスを小さく設定することが望ましいが、基板キャリアとマスクの熱膨張を考慮するとクリアランスを大きくする必要がある。しかしながら、クリアランスを大きく設定すると、温度が上昇していない状態で基板キャリアとマスクを搬送する際の搬送ガイドとのクリアランスが大きくなりすぎてしまい、搬送位置決め精度が低下する。
【0014】
一方、マスクと基板キャリアを高精度に位置合わせして重ね合わせるアライメント工程では、カメラと精密ステージを使ったカメラアライメントが採用されることが多い。カメラアライメントでは、マスクと基板のマークをカメラで撮影するため、それぞれのマークが1つのカメラ視野に入っている必要がある。ここで、搬送位置決め精度が低い場合、マスクと基板のマーク間距離が大きくなってしまうため、それを見越してカメラ視野が大きなものを選定する必要がある。しかしながら、カメラ視野を大きく設定するとカメラ分解能やレンズ分解能が低下するため、位置決め精度の低下の要因になる。また、アライメント時の移動量が大きくなるほど最終的な位置決め精度が低くなるため、アライメント精度を高くするためにリトライ回数が増え、装置タクトの低下を招く。
【0015】
また、アライメント時の移動量が増えると、真空チャンバ内のアライメントステージに真空チャンバ外の駆動源からの駆動力を伝える導入部を密封するベローズに大きな負荷がかかる。ベローズが破損した場合、真空チャンバの真空を保てなくなり、生産を停止させることになるため、生産を安定化するにはベローズにかかる負荷を小さくすることが重要である。そのため、マスクと基板キャリアのアライメント前のズレ量を小さくするために搬送位置決め精度を向上させることが重要である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図3は、本実施形態のインライン型の真空成膜装置の概略を示す説明図である。なお、以下に記載する成膜装置における搬送体の搬送方法、搬送方法を用いて搬送体に対して成膜材料を成膜する成膜方法、及び成膜方法を用いて電子デバイスを製造する電子デバイス製造方法も、本発明に含まれる。
【0017】
図1は本実施形態の真空成膜装置の全体ライン1の概略図である。基板2を保持する基板キャリア3、マスク4a(
図2参照)を固定したマスクフレーム4、基板2を供給する投入室5、基板2を基板キャリア3に組込むための組込室6、基板2とマスクフレーム4上のマスク4aとの位置合わせを行うアライメント室200、アライメント室200の上流に配置されるアライメント前室100、位置合わせされた基板2にマスク4aを介して成膜材料を蒸着する成膜室7、成膜を完了した基板2とマスク4aを分離する分離室8、基板2を基板キャリア3から解体する解体室9、及び、基板2を排出する排出室10を有する。全体ライン1の各部屋は、基板キャリア3とマスクフレーム4をそれぞれ搬送するための基板キ
ャリア搬送部203と基板キャリア搬送ガイド部204G、マスク搬送部202とマスク搬送ガイド部204Mを有している(
図2参照)。分離室8で基板2から分離されたマスク4aと解体室9で基板2から解体された基板キャリア3とは、異なるルー
トを通ってそれぞれ再びアライメント前室100と組込室6に搬送される。そして、成膜処理に用いられたマスク4aと基板キャリア3は、再度、マスク搬送部202と基板キ
ャリア搬送部203とを有する搬送手段に受け渡される。これにより、基板キャリア3及びマスク4aを連続して繰り返し成膜処理に用いることができる。
【0018】
図2(a)に示す真空成膜装置におけるアライメント室200内には、真空チャンバ201、マスクフレーム4を搬送方向に沿って搬送するマスク搬送部202、基板2を載置した基板キャリア3を搬送方向に沿って搬送する基板キャリア搬送部203、基板キャリア3(第1の搬送体)を搬送する際にその両側部をガイドすることにより搬送方向に交差する幅方向における基板キャリア3の位置を規制する基板キャリア搬送ガイド部204G、マスク又は基板とマスクを合体した搬送物(第2の搬送体)をガイドすることにより搬送方向に交差する幅方向における当該搬送物の位置を規制するマスク搬送ガイド部204M、及び基板2とマスク4aをアライメントするアライメント部210を有する。基板キャリア搬送ガイド部204Gは第1の搬送体としての基板キャリア3(又は基板2)の位置を規制する第1のガイド部を構成し、マスク搬送ガイド部204Mは第2の搬送体としてのマスクフレーム4(又はマスク4a)の位置を規制する第2のガイド部を構成する。基板キャリア3及びマスクフレーム4はそれぞれ搬送体の一例である。
【0019】
アライメント部210は、XYθ方向に精密に動くアライメントステージ205と、上下に基板キャリア3を昇降させる基板キャリア昇降部206と、からなるアライメント駆動部211を備える。基板キャリア昇降部206は、ロッド206a、206aを有し、それらの下端には基板キャリア3を下降させる際に、その両側部を支持する基板キャリア支持部207が形成されている。なお、基板の搬送方向をX方向、基板面(搬送体の平面)に平行な面内で搬送方向(X方向)に垂直な方向をY方向(以下、幅方向ともいう)、基板面に垂直なZ方向の回りの回転方向をθ方向とする。
【0020】
またアライメント部210は、基板2とマスク4aのアライメントマーク(不図示)を撮像して基板2とマスク4aの位置ずれを検出するためのアライメントカメラ208を備える。アライメントカメラ208によって撮像された画像に基づきアライメントマークの間の相対距離(位置ずれ量)を取得し、この相対距離に基づいて、基板とマスクの相対位置関係を制御し、高精度な位置合わせが行われる。
【0021】
またアライメント駆動部211は、真空チャンバ201の外部に設置され、真空チャン
バ201の内部に配置される基板キャリア支持部207とロッド206a、206aによって接続される。アライメント駆動部211の駆動力を真空チャンバ201の内部に伝えるため、ロッド206a、206a周囲のチャンバ導入部にはベローズ209が配されている。ベローズ209によりチャンバ導入部が気密に保持され、真空チャンバ201の真空度が保たれる。
【0022】
図2(b)及び
図2(c)にマスク搬送部202と基板キャリア搬送部203の詳細を示す。マスク搬送部202は、マスクフレーム4を支持するマスク搬送ローラ220Mと、外部に配置された駆動源である回転駆動部222Mと、回転駆動部222Mを真空チャンパ内に導入するための真空導入部221Mとで構成される。そして回転駆動部222Mによってマスク搬送ローラ220Mを回転駆動することによってマスクフレーム4を搬送する。
【0023】
同様に、基板キャリア搬送部203は、基板キャリア3を支持する基板キャリア搬送ローラ220Gと、外部に配置された駆動源である回転駆動部222Gと、回転駆動部222Gを真空チャンバ内に導入するための真空導入部221Gとで構成される。そして回転駆動部222Gによって基板キャリア搬送ローラ220Gを回転駆動することによって基板キャリア3を搬送する。
【0024】
また基板キャリア搬送ローラ220Gは、アライメント時に基板キャリア3を下降させる際に邪魔になる。そのため、ローラ進退駆動部223によって、
図2(c)中に矢印で示すように、基板キャリア搬送ローラ220Gを搬送時の位置から退避できる構成になっている。
【0025】
なお、基板キャリア搬送ローラ220Gの周囲は、ベローズ224によって封止され、真空チャンバの真空が保たれるように構成されている。
【0026】
図2(b)は基板キャリア3とマスクフレーム4を搬送している状態を示している。基板キャリア3とマスクフレーム4は、それぞれ回転駆動部222M、222Gによって回転駆動されるマスク搬送ローラ220M、基板キャリア搬送ローラ220Gによって、紙面に垂直なX方向に搬送される。
【0027】
図2(c)はアライメントを行っている状態を示している。基板2をマスクフレーム4上のマスク4aへとアライメント動作行いながら重ね合わせる。このとき、基板2を載置した基板キャリア3を支持する基板キャリア搬送部203の基板キャリア搬送ローラ220Gを、ローラ進退駆動部223によって右方向に退避させる。ここでは、Y方向(幅方向)、かつ、基板キャリア3から離れ真空チャンバ201の側壁に近づく方向が右方向である。そして、基板キャリア3を、基板キャリア昇降部206に固定された基板キャリア支持部207に支持された状態とする。これにより、基板キャリア昇降部206によってマスク搬送部202に保持されたマスク4a上へと基板2を下降させることができる。
【0028】
そして基板2がマスク4aに近接した状態で、アライメントカメラ208で基板2とマスク4aのアライメントマーク(不図示)を撮影して位置ずれ量を検出する。その位置ずれが無くなるようにアライメントステージ205をXYθ方向に微小駆動することにより、基板2とマスク4aの位置合わせを高精度に行うことができる。
【0029】
基板2がマスク4a上に重ね合わされた後、基板キャリア3のみが基板キャリア昇降部206によって上昇される。基板キャリア3が
図2(a)に示す位置まで上昇すると、再び基板キャリア搬送部203の基板キャリア搬送ローラ220Gが、ローラ進退駆動部223によって、退避位置から搬送時の位置へと移動し、基板キャリア3を搬送位置で支持
した状態となる。
【0030】
図2(d)は、マスク搬送ガイド部204Mと基板キャリア搬送ガイド部204Gの詳細を示している。マスク搬送ガイド部204Mは、マスクフレーム4に接触するマスクフレームガイドローラ230Mと、それを進退させるマスクガイドローラ進退駆動部231Mと、マスクガイドローラベローズ232Mとで構成されている。マスクフレームガイドローラ230Mは、マスクフレーム4の搬送方向に交差する幅方向においてマスクフレーム4の両側に配置され、搬送方向に平行な両辺の各々(X方向の辺)に対向して接触可能に配置される。マスクフレームガイドローラ230Mは、マスクガイドローラ進退駆動部231Mに接続するマスクガイド支持部233Mによって支持されるマスクガイド部である。マスクガイドローラ進退駆動部231は、マスクガイド支持部233MをY方向(幅方向)に進退移動させることにより、マスクフレームガイドローラ230MをY方向(幅方向)に移動させるマスクガイド駆動部である。マスクガイド支持部233M及びマスクガイドローラ進退駆動部231Mによりマスクフレーム4をY方向(幅方向)に移動させるガイド部移動手段が構成される。
【0031】
また基板キャリア搬送ガイド部204Gは、基板キャリア3に接触する基板キャリアガイドローラ230Gと、それを進退させる基板ガイドローラ進退駆動部231Gと、基板ガイドローラベローズ232Gとで構成されている。基板キャリアガイドローラ230Gは、基板キャリア3の搬送方向に交差する幅方向において基板キャリア3の両側に配置され、搬送方向に平行な両辺の各々(X方向の辺)に対向して接触可能に配置される。基板キャリアガイドローラ230Gは、基板ガイドローラ進退駆動部231Gに接続する基板ガイド支持部233Gによって支持される基板ガイド部である。基板ガイドローラ進退駆動部231Gは、基板ガイド支持部233GをY方向(幅方向)に進退移動させることにより、基板キャリアガイドローラ230GをY方向(幅方向)に移動させる基板ガイド駆動部である。基板ガイド支持部233G及び基板ガイドローラ進退駆動部231Gにより基板キャリア3をY方向(幅方向)に移動させるガイド部移動手段が構成される。
【0032】
図2(d)はマスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gがそれぞれマスクフレーム4、基板キャリア3から後退して離間している状態を示している。また、
図2(e)はマスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gがそれぞれマスクフレーム4、基板キャリア3へと前進している状態を示している。
【0033】
マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gは、それぞれマスクフレーム4のY方向側面、基板キャリア3のY方向側面に対して所定のクリアランスdg、dmを開けて配置される。Y方向側面は、搬送方向に平行な両辺に対応する側面である。マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gは、それぞれマスクフレーム4、基板キャリア3の搬送方向(図中X方向)に所定の間隔で複数配置されている。
【0034】
マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gは、温度上昇に起因するマスクフレーム4、基板キャリア3の熱膨張によるサイズ変化を示すサイズ情報に基づき、後述するシステム制御系によってY方向(幅方向)に進退制御される。基板キャリア3が熱膨張によりサイズ変化した場合でも、基板キャリア3と基板キャリアガイドローラ230Gとの間のY方向(幅方向)の間隔(距離)dgが所定値となるように(所定の範囲に維持されるように)、基板キャリアガイドローラ230GのY方向の位置が変更(制御)される。また、マスクフレーム4が熱膨張によりサイズ変化した場合でも、マスクフレーム4とマスクフレームガイドローラ230Mとの間のY方向の間隔(距離)dmが所定値となるように(所定の範囲に維持されるように)、マスクフレームガイド
ローラ230MのY方向の位置が変更(制御)される。クリアランスの所定値dg、dmは、クリアランスが大きすぎて搬送時のY方向の基板キャリア3とマスクフレーム4の位置ずれが大きくなることを抑制できるように設定される。また、クリアランスの所定値dg、dmは、クリアランスが小さすぎてマスクフレームガイドローラ230Mとマスクフレーム4との接触や基板キャリアガイドローラ230Gと基板キャリア3との接触による摩耗やゴミの発生を抑制できるように設定される。これにより、クリアランスが適正な所定の値(又は所定の範囲内の値)に維持されるよう、マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向位置(幅方向の位置)を制御することができる。マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向(幅方向)の移動を制御する方法について以下に説明する。
【0035】
基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ変化に関するサイズ情報を取得する方法としては、基板キャリア3とマスクフレーム4の熱膨張量に基づく方法がある。熱膨張量は、例えば、1つの搬送体が成膜室に搬送された回数(基板キャリア3とマスクフレーム4が連続して成膜処理に用いられた回数、周回数ともいう)をカウントし、周回数と基板キャリア3とマスクフレーム4の温度又は熱膨張量との関係に基づき求めることができる。
【0036】
具体的には、基板キャリア3やマスクフレーム4に識別番号(ID)を付与し、製造ラインを循環する複数の基板キャリア、マスクフレームそれぞれに付与されたIDと周回数の情報を関連付けて管理する。基板キャリア、マスクフレームの周回数と基板キャリア、マスクフレームの熱膨張量との関係を事前に測定し、その情報をデータテーブルや関数として記憶手段に記憶しておく。アライメント室200に入ってくる基板キャリア3とマスクフレーム4のIDに関連付けられた周回数の情報と、周回数と温度や熱膨張量との関係と、に基づき、当該基板キャリア3やマスクフレーム4の熱膨張量を求める。基板キャリア3やマスクフレーム4の熱膨張量から、基板キャリア3やマスクフレーム4のY方向のサイズを求め、これに基づきマスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向の位置(移動)を制御する。
【0037】
基板キャリア3及びマスクフレーム4は
図1に示す経路を何周も連続して繰り返し周回する。真空チャンバ内で成膜処理が行われることによって基板キャリア3及びマスクフレーム4の温度が上昇する。1周のプロセスが終了するごとに基板は交換されるため、マスクフレーム4及び基板キャリア3の温度も低下するが、成膜プロセスで受けた熱は完全に放熱されずに、蓄熱されていく。マスクフレーム4及び基板キャリア3が成膜プロセスの周回を何周も重ねるうちに、やがて飽和して、
図4に示すように、マスクフレーム4や基板キャリア3の温度はほぼ一定の温度Tに近づく。
【0038】
そして、経路上を搬送されているマスクフレーム、基板キャリアによって周回数が異なる。周回数が異なれば温度が異なるため、マスクフレーム、基板キャリアにIDを付与してその周回数等の情報を管理し、周回数から現在の温度、さらに熱膨張量を推測する。
図4に示すように、予め実験的に求めた時間(周回数)と温度の関係を示すデータを参照し、温度と熱膨張量の関係に基づき現在の熱膨張量を求める。マスクフレーム4や基板キャリア3の熱膨張量に基づき、マスクガイドローラ進退駆動部231M、基板ガイドローラ進退駆動部231Gを制御して、マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向の位置を制御する。これにより、マスクフレーム4や基板キャリア3とマスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230Gとのクリアランスを適正に保つように制御する。
【0039】
図5は本実施形態におけるマスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向の位置の制御ロジックを示すブロック図である。これにより、基板キャリア3、マスクフレーム4の周回数に基づき基板キャリア3、マスクフレーム4の
温度又は熱膨張量を予測して、マスクフレーム4、基板キャリア3それぞれの側面に対するクリアランスdm、dgを制御する。
【0040】
マスクカウンタ302M、基板キャリアカウンタ302Gにより、マスクフレーム4、基板キャリア3の
図1に示す経路の周回数(又は時間)をそれぞれカウントし、マスクフレーム4、基板キャリア3のIDに関連付けて管理する。マスクカウンタ302M及び基板キャリアカウンタ302Gでカウントされた周回数の情報はコントローラ300へ出力される。コントローラ300はマイクロプロセッサ等で構成される。熱膨張量データテーブル301は、
図4の特性図に示す基板キャリア3及びマスクフレーム4の周回数と温度又は熱膨張量との関係を示す情報であるデータテーブルを記憶する記憶手段である。コントローラ300は、熱膨張量データテーブル301を参照し、基板キャリア3及びマスクフレーム4の周回数に基づき、マスクフレーム4及び基板キャリア3それぞれのサイズ変化を示すサイズ情報である熱膨張量を取得する。コントローラ300は、熱膨張した状態でのマスクフレームガイドローラ230Mとマスクフレーム4との間のクリアランス及び基板キャリアガイドローラ230Gと基板キャリア3との間のクリアランスdm、dgをそれぞれ演算する。
【0041】
続いてコントローラ300は、マスクガイドローラ進退駆動部231M、基板ガイドローラ進退駆動部231Gを制御し、クリアランスが適正値となるように、マスクフレームガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GをY方向に移動させる(位置
を変更する)。これによって、
図1の経路上にあるマスクフレーム4及び基板キャリア3それぞれに対して、ガイドローラが接触して搬送を妨げることや、間隔があきすぎて搬送位置決め精度を低下させることなく、常に熱膨張量に応じた適正なガイドを行うことができる。なお、ガイド部移動手段としての基板ガイドローラ進退駆動部231G及びマスクガイドローラ進退駆動部231Mは、第1の搬送体としての基板キャリア3(又は基板2)の位置を規制する第1のガイド部としての基板キャリアガイドローラ230G、及び、第2の搬送体としてのマスクフレーム4(又はマスク4a)の位置を規制する第2のガイド部としてのマスクフレームガイドローラ230M、の少なくとも一方の位置を変更する構成としてもよい。
【0042】
また、
図3(a)を用いて、基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ変化に関する情報を取得する別の方法を説明する。すなわち、アライメント前室100での基板キャリア3とマスクフレーム4の温度を測定し、温度に基づき基板キャリア3とマスクフレーム4の熱膨張量を求める方法である。
【0043】
真空成膜装置におけるアライメント前室100は、真空チャンバ101、マスクフレーム4を搬送するマスク搬送部102、基板キャリア3を搬送する基板キャリア搬送部103、マスクフレーム4をガイドするマスク搬送ガイド部104M、基板キャリア3をガイドする基板キャリア搬送ガイド部104G、及び基板キャリア3とマスクフレーム4の温度を各々測定する温度測定部105を有する。なお、アライメント前室100ではアライメント工程が行われないため、基板キャリア搬送ガイド部104Gは退避の必要がなく、可動する必要はない。
【0044】
前記温度測定部105はビューポート106と放射温度計を備えている。放射温度計はビューポート106を通して真空チャンバ101に配置される基板3又はマスクフレーム4の側面又は上面の温度測定領域(表面仕上げ)から放射される赤外線又は可視光線の熱放射の強度を測定する。ただし、赤外線の熱放射強度を測定する場合は、ビューポート106に使用するガラスは石英ガラスではなく、赤外線透過ガラス(例えば、ゲルマニウムや蛍石)を用いることが好ましい。測定された温度から基板キャリア3とマスクフレーム4の熱膨張量を算出し、その結果を元にアライメント室200内におけるマスクフレーム
ガイドローラ230M、基板キャリアガイドローラ230GのY方向位置を決める。
【0045】
この場合の制御ブロック図を
図6(a)に示す。
図6(a)に示す制御ブロック図は、前述の
図5の制御ブロック図におけるマスクカウンタ302M、基板
キャリアカウンタ302Gに代えて温度測定部105を設けた点以外は、
図5の制御ブロックと同様である。また、ガイドローラを進退させる構成については前述の
図2(b)~
図2(e)に示す機構と同様である。なお、この制御ブロック図における熱膨張量データテーブル301は、基板キャリア3とマスクフレーム4の温度と熱膨張量との関係を示す情報を記憶している。コントローラ300は、熱膨張量データテーブル301を参照し、温度測定部105によって測定された基板キャリア3とマスクフレーム4の温度に基づき、マスクフレーム4及び基板キャリア3それぞれのサイズ変化に関する情報である熱膨張量を求める。
【0046】
図3(b)、
図3(c)を用いて、基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ変化に関する情報を取得する別の方法を説明する。すなわち、基板キャリア3とマスクフレーム4の寸法を直接測定する方法である。
図3(b)、
図3(c)に示す構成では、
図3(a)におけるアライメント前室100の温度測定部105に代えて、変位測定部110が設けられている。変位測定部110は、アライメント室200へ搬送される基板キャリア3及びマスクフレーム4の搬送方向に交差する幅方向における端の位置(搬送方向に平行な両辺のY方向(幅方向)の位置)を測定する位置測定部である。また、変位測定部110は、基板キャリア3とマスクフレーム4の両側面を測定できるように、真空チャンバ101の両側面に配置されている。片側面のみの測定では、基板キャリア3やマスクフレーム4の搬送時のY方向位置による値の変化と熱膨張による値の変化を区別できない。そのため、基板キャリア3又はマスクフレーム4のY方向のサイズ変化を精度良く測定するためには両側面を測定する必要がある。変位測定部110としては、例えば、非接触レーザ変位計を用いることができる。
【0047】
変位測定部110を真空チャンバ101外に設置した際に、測定レンジが足りなくなる場合は、
図3(c)に示すように大気ボックス111内に変位測定部110を配置して真空チャンバ101内に配置してもよい。
【0048】
この場合の制御ブロック図を
図6(b)に示す。
図6(b)に示す制御ブロック図では、前述の
図5の制御ブロック図におけるマスクカウンタ302M、基板
キャリアカウンタ302Gに代えて変位測定部110を設けている。また、変位測定部110によって直接、基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ情報を取得するため、
図5の制御ブロック図における熱膨張量のデータテーブル301は備えていない。これらの点以外は
図5の制御ブロック図と同様である。また、ガイドローラを進退させる構成については前述の
図2(b)~
図2(e)に示す機構と同様である。
【0049】
図3(d)を用いて、基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ変化に関する情報を取得する別の方法を説明する。すなわち、基板キャリア3とマスクフレーム4の位置をカメラによる撮像画像に基づき取得する方法である。
図3(d)の構成では、
図3(c)の変位測定部110に代えて、真空チャンバ101の上部や下部にカメラ112を配置する。カメラ112は、アライメント室200へ搬送される基板キャリア3及びマスクフレーム4を撮像する撮像手段である。画像処理部113において、カメラ112により得られた撮像画像を画像処理することにより、基板キャリア3及びマスクフレーム4の搬送方向に交差する幅方向における端の位置(搬送方向に平行な両辺のY方向の位置)を取得する。取得した基板キャリア3及びマスクフレーム4の位置に基づき、基板キャリア3とマスクフレーム4のサイズ変化の情報を取得する。カメラ112は、基板キャリア3とマスクフレーム4の両側面を測定できる位置に配置する。
図3(d)の例では、真空チャンバ101の上部における、基板キャリア3の搬送方向に平行な辺が搬送時に通過する位置に対
応する位置の近傍に2箇所、カメラ112を設置している。また、真空チャンバ101の下部における、マスクフレーム4の搬送方向に平行な辺が搬送時に通過する位置に対応する位置の近傍に2箇所、カメラ112を設置している。各カメラ112による撮像データは画像処理部113に出力される。
【0050】
この場合の制御ブロック図を
図6(c)に示す。
図6(c)の制御ブロック図では、前述の
図6(b)の制御ブロック図における変位測定部110に代えてカメラ112及び画像処理によって変位量を検出する画像処理部113が設けられている。それ以外は
図6(b)の制御ブロック図と同様である。
【符号の説明】
【0051】
3:基板キャリア、4:マスク、104G:基板キャリア搬送ガイド部、104M:マスク搬送ガイド部、202:マスク搬送部、203:基板キャリア搬送部、204G:基板キャリア搬送ガイド部、204M:マスク搬送ガイド部、230M:マスクフレームガイドローラ、230G:基板キャリアガイドローラ、231M:マスクガイドローラ進退駆動部、231G:基板ガイドローラ進退駆動部