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  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図1
  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図2
  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図3
  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図4
  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図5
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  • 特許-自動分析装置および反応容器の挿入方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-06
(45)【発行日】2023-11-14
(54)【発明の名称】自動分析装置および反応容器の挿入方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
G01N35/04 G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022522519
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004449
(87)【国際公開番号】W WO2021229874
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020083219
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林田 典大
(72)【発明者】
【氏名】松岡 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】高田 英一郎
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/066165(WO,A1)
【文献】特表2015-534042(JP,A)
【文献】特表平6-510233(JP,A)
【文献】特表2008-521432(JP,A)
【文献】特開2008-241500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との混合液が収容される反応容器が挿入される孔を有するインキュベータと、
未使用の反応容器を前記インキュベータに移送し、前記孔に挿入する移送部と、を備え、
前記孔の入り口には、自己潤滑性を有する部材である潤滑部材が設けられ、
前記潤滑部材は、前記反応容器に収容される混合液の液面よりも高い位置に設けられることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記反応容器は、分析用の光が透過する平坦な面である透光面を有し、
前記潤滑部材は、前記透光面を所定の方向に向かせる指向部を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動分析装置であって、
前記反応容器は、側面から突出する突出部をさらに有し、
前記指向部は前記突出部と嵌合する溝であるガイド溝を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記インキュベータは、前記ガイド溝と平行な溝を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記潤滑部材の材質は、PTFE、ポリアセタール、超高分子ポリエチレン、モノマーキャストナイロンのうちのいずれかであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記潤滑部材は、前記インキュベータと噛み合うツメを有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記潤滑部材は、前記孔の側が低い傾斜面である面取り部を有することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、患者から供される血液や尿等の検体に含まれる特定成分を分析する装置であり、病院や検査施設で用いられる。検体中の特定成分を分析するのに先立ち、インキュベータにおいて、検体と試薬を混合させた混合液を所定の温度、例えば人体温に近い37℃付近で反応させる。
【0003】
特許文献1には、テーパ形状の反応容器が挿入される孔近傍以外の箇所のインキュベータにポリエチレン製の断熱材を取り付けることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/147029号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、インキュベータが有する孔に反応容器、特に円筒形状の反応容器を円滑に挿入することに対する配慮がなされていない。円筒形状の反応容器はテーパ形状の反応容器よりも分析に要する検体の液量を低減できるものの、インキュベータの孔へ挿入するときの抵抗が増す。挿入時の抵抗の増加は、インキュベータへの反応容器の搭載を不確実にし、自動分析装置の処理能力を低下させる場合がある。
【0006】
そこで本発明は、インキュベータが有する孔に反応容器を円滑に挿入可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、検体を分析する自動分析装置であって、前記検体と試薬との混合液を収容する反応容器が挿入される孔を有するインキュベータと、前記インキュベータに未使用の反応容器を移送し、前記孔に挿入する移送部と、を備え、前記孔の入り口には、自己潤滑性を有する部材である潤滑部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インキュベータが有する孔に反応容器を円滑に挿入可能な自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】生化学検査用の自動分析装置の一例の概略構成を示す平面図。
図2】インキュベータの一例を示す斜視図。
図3】反応容器が孔に挿入される様子を示す図。
図4図2のA-A断面を示す図。
図5】反応容器の一例を示す図。
図6】潤滑部材の一例を示す図。
図7】ガイド溝に突出部が嵌合する様子を示す図。
図8】潤滑部材が取り付けられた箇所の拡大平面図。
図9図8のD-D断面を示す図。
図10】潤滑部材が取り外されたインキュベータの一例を示す斜視図。
図11】免疫学検査用の自動分析装置の一例の概略構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明に係る自動分析装置の好ましい実施例について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【実施例1】
【0011】
図1を用いて生化学検査用の自動分析装置100の全体構成の一例を説明する。自動分析装置100は、検体搬送路103、試薬ディスク104、移送部109、インキュベータ105、分光光度計115、制御部111を有する。以下、各部について説明する。なお図1の左右方向をX軸、上下方向をY軸、紙面と直交する方向である鉛直方向をZ軸とする。
【0012】
検体搬送路103は、検体を収容する複数の検体容器101が搭載される検体ラック102を検体分注部106がアクセス可能な位置へ搬送する。検体容器101に収容される検体はインキュベータ105に保持される反応容器114へ検体分注部106によって分注される。
【0013】
移送部109は、トレーに配置される消耗品である反応容器114や分注用チップをグリッパにより把持して移送する。移送部109によってトレーからインキュベータ105へ移送される反応容器114は、検体と試薬との混合液の収容に用いられ、分析毎に交換される。すなわち移送部109は、未使用の反応容器114をインキュベータ105へ移送する。
【0014】
試薬ディスク104には試薬を収容する複数の試薬容器112が保管される。試薬の劣化を軽減するために試薬ディスク104の内部は常温よりも低温に保たれる。また試薬ディスク104は試薬ディスクカバー113によって覆われる。なお図1では試薬容器112の配置例を表すために、試薬ディスクカバー113の一部のみが示される。試薬容器112に収容される試薬は、検体が分注された反応容器114へ試薬分注部107によって分注される。
【0015】
インキュベータ105は、検体と試薬との混合液が収容される複数の反応容器114を保持するとともに、混合液を反応させるために所定の温度、例えば37℃付近に保たれる。混合液は、所定の温度に保たれるインキュベータ105に反応容器114が保持される過程で所定の時間をかけて反応させられることによって、分析に用いられる反応液になる。
【0016】
分光光度計115は、反応容器114に収容される反応液に含まれる特定成分を分析するために、反応液の吸光度を測定する。分光光度計115は、インキュベータ105に隣接して配置され、光源や分光素子、光検出器を有する。光源にはハロゲンランプが、分光素子には回折格子が、光検出器には光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。光源から放射される光は分光素子によって測定波長に分光されてから反応容器114に収容される反応液へ照射され、反応液を透過した光の強度が光検出器によって検出される。ある波長λに関する吸光度Aλは、反応液に照射された光の強度Iλ0と反応液を透過した光の強度Iλとを用いて次式によって算出される。
【0017】
λ=log(Iλ0/Iλ) … (式1)
また吸光度Aλは、光路長Lと反応液に含まれる特定成分の濃度Cに比例するので、次式が成り立つ。
【0018】
λ=ε・L・C … (式2)
ここでεは特定成分の種類毎に定められる比例定数である。すなわち反応液の透過光の強度Iλから算出される吸光度Aλの値と光路長Lとから特定成分の濃度Cが算出される。
【0019】
制御部111は、各部の動作を制御するとともに、分析に必要にデータの入力を受け付けたり、分析の結果を表示したり記憶したりする装置であり、例えばコンピュータである。
【0020】
図2を用いてインキュベータ105の構成例について説明する。図2のインキュベータ105は、中心軸200を回転軸として所定の時間が経過する毎に所定の角度で回転する円環形状である盤体201、ヒータ204、断熱材205を有する。以下、各部について説明する。なお盤体201の径方向をR軸、周方向をθ軸、中心軸200と平行な方向である鉛直方向をZ軸とする。
【0021】
盤体201は反応容器114が挿入される複数の孔202を外周に沿って有する。なお図2では、図面を簡略化するため、一つの孔202のみが示される。孔202のそれぞれの入り口には自己潤滑性を有する部材である潤滑部材203が設けられる。自己潤滑性とは、その素材自身の摩擦係数が極めて小さいことを言う。潤滑部材203は、少なくとも盤体201の摩擦係数よりも小さい摩擦係数を有する材質であり、例えばPTFE(Poly Tetra Fluoro-Ethylene)やポリアセタール、超高分子ポリエチレン、モノマーキャストナイロン等である。孔202の入り口に潤滑部材203が設けられることにより、反応容器114を孔202へ円滑に挿入することができる。
【0022】
図3に示すように、孔202に反応容器114が斜めに挿入された場合にも円滑な挿入が可能である。移送部109のグリッパは、孔202の開口部から所定距離だけ反応容器を深く押し込んでから把持を解除するのが望ましい。尚、グリッパは、反応容器114を孔202の真上から垂直に降ろすことが望ましいが、反応容器114を意図的に潤滑部材203に接触させてから把持を解除してもよい。
【0023】
ヒータ204は、盤体201の側面外周を覆うように配置される帯状の発熱抵抗体であり、盤体201に設けられる図示されない温度計の測定値に基づいて供給電力が制御される。断熱材205は、ヒータ204の外周と盤体201の底面を覆うように配置される熱伝導率の比較的低い材質である。ヒータ204の加熱と断熱材205の断熱とにより盤体201が所定の温度に保たれ、孔202に挿入される反応容器114内の混合液の反応が進み、反応液が生成される。
【0024】
インキュベータ105の側面には測光用孔206が設けられ、分光光度計115による反応液の吸光度の測定に用いられる。測光用孔206は、反応容器114が挿入される孔202毎に設けられても良いし、孔202の何個か置き、例えば孔202の一つ置きに設けられても良い。
【0025】
図4を用いて、潤滑部材203が設けられる位置と、測光用孔206についてさらに説明する。潤滑部材203はPTFE等の樹脂材であって熱伝導率が比較的低いので、盤体201から反応容器114への伝熱を阻害しないように孔202の入り口に配置される。特に反応容器114に収容される混合液への伝熱を阻害しないように、少なくとも混合液の液面よりも高い位置に設けられることが好ましい。
【0026】
測光用孔206は、インキュベータ105の径方向に孔202を介して内周側と外周側とが通じるように設けられる。すなわち、光源から放射され分光素子によって分光された光がいずれか一方の測光用孔206を通じて反応容器114に収容される反応液に照射されるとともに、反応液を透過した光が他方の測光用孔206を通じて光検出器に検出される。
【0027】
図5を用いて、反応容器114の一例について説明する。図5には、反応容器114をR方向から見た側面図と、側面図のB-B断面図が示される。図5の反応容器114は突出部501と二つの透光面502を有し、突出部501と透光面502が設けられる箇所以外は円筒形状である。すなわち反応容器114の大半は円筒形状である。
二つの透光面502は平行であり、一方は分光された光が入射する面であり、他方は反応液の透過光が通過する面である。孔202に挿入される反応容器114は、透光面502が測光用孔206と向き合うように配置されることが好ましい。透光面502が測光用孔206と向き合うように配置されたとき、二つの透光面502の間の距離が光路長Lとなる。
【0028】
突出部501は反応容器114の側面から突出する部分であり、Z軸と平行な反応容器114の中心軸の周りにおいて透光面502に対して所定の角度を有するように設けられる。例えば突出部501が透光面502と平行になるように、透光面502に対する突出部501の角度を0°にする。
【0029】
ある光路長Lを確保するとき、テーパ形状の反応容器は鉛直軸と側面とのなす角度が小さくなるに連れて分析に要する検体の液量を低減でき、なす角度が0°、すなわち反応容器114が円筒形状のときに最小の液量になる。その一方で、なす角度が小さくなるに連れて、インキュベータ105が有する孔202へ反応容器114を挿入するときの抵抗が増す。挿入時の抵抗の増加は、インキュベータ105への反応容器114の搭載を不確実にし、自動分析装置100の処理能力を低下させる場合がある。本実施例では、インキュベータ105が有する孔202の入り口に潤滑部材203が配置されるので、反応容器114が孔202へ円滑に挿入され、自動分析装置100の処理能力を維持できる。
【0030】
図6を用いて、潤滑部材203の一例について説明する。図6には、潤滑部材203をZ方向から見た平面図と、平面図のC-C断面図と、潤滑部材203の斜視図が示される。図6の潤滑部材203は、反応容器114が通過する開口とともに、円筒部601、ツメ602、面取り部603、ガイド溝604を有する。
【0031】
円筒部601は、潤滑部材203と孔202との位置合わせのために、孔202の上端に嵌め込まれる円筒形状を有する部分である。すなわち、円筒部601の外径は、孔202の上端の内径とほぼ一致する。
【0032】
ツメ602は、自己潤滑性を有する潤滑部材203がインキュベータ105から脱落することを防止するために、インキュベータ105と噛み合う部分である。すなわち、反応容器114が潤滑部材203にわずかに触れただけでも、インキュベータ105に対して滑りやすい潤滑部材203は脱落する場合があるので、インキュベータ105とツメ602を噛み合わせることによって潤滑部材203の脱落を防止する。
【0033】
面取り部603は、反応容器114が潤滑部材203に挿入されるときの抵抗を軽減するために、潤滑部材203の開口の縁に設けられ孔202の側が低い傾斜面である。なお自己潤滑性を有する潤滑部材203の摩擦係数は極めて小さいので、面取り部603は必ずしも設けられなくても良い。
【0034】
次に、指向部について説明する。指向部とは、反応容器114の透光面502を所定の方向に向かせる機能を有する部位を示す。
【0035】
指向部の一例としてのガイド溝604は、透光面502を測光用孔206と向き合わせる機能を有し、突出部501が嵌合する溝である。すなわち、透光面502に対する突出部501の角度が0°である場合、インキュベータ105の周方向に沿ってガイド溝604が設けられる。ガイド溝604はY溝形状となっており、ガイド溝604に対して突出部501が多少ずれていても、図7のようにY溝に沿うようにずれが補正され、反応容器114の位置決め精度が確保される。なお透光面502を測光用孔206の方向に向かせられるのであれば、指向部はガイド溝604に限定されない。例えば、ガイド溝604に相当する部位を凸形状とし、突出部501に相当する部位を凹形状としても良い。
【0036】
図8図9を用いて、潤滑部材203が取り付けられたインキュベータ105に挿入された反応容器114について説明する。なお反応容器114の透光面502に対する突出部501の角度は0°であり、潤滑部材203のガイド溝604はインキュベータ105の周方向に沿って設けられる。反応容器114の突出部501が潤滑部材203のガイド溝604に嵌合することにより、反応容器114の透光面502は測光用孔206と向き合い、分光光度計115の光路軸801と垂直になる。
【0037】
図10を用いて、潤滑部材203が取り外されたインキュベータ105の一例について説明する。図10のインキュベータ105は、隣接する孔202の間に、周方向に沿う孔間溝1001を有する。孔間溝1001は潤滑部材203のガイド溝604と平行に設けられ、反応容器114の突出部501が嵌合する。反応容器114の突出部501がガイド溝604とともに孔間溝1001にも嵌合することにより、突出部501の接触面積が増え、反応容器114が回転しづらくなり、透光面502を分光光度計115の光路軸801と垂直にし易くなる。また孔間溝1001はインキュベータ105の盤体201と同心円状に設けられるので、加工が容易である。
【0038】
以上説明したように、本実施例によれば、インキュベータ105が有する孔202の入り口に自己潤滑性を有する潤滑部材203が設けられるので、反応容器114は孔202に円滑に挿入される。このような円滑な挿入は、インキュベータ105への反応容器114の搭載を確実にするので、自動分析装置100の処理能力が維持できる。
【実施例2】
【0039】
実施例1では、生化学検査用の自動分析装置100について説明した。本実施例では、図11に示す抗原抗体反応を利用する免疫学検査用の自動分析装置100について説明する。なお実施例1との違いは、分析に係る構成であり、分光光度計115の代わりにプレウォッシュ部108と分析部110が設けられる点である。
【0040】
プレウォッシュ部108は、分析に不要な成分を反応液から分離する装置である。本実施例では、抗体を付着させた磁性微粒子を含む試薬が用いられ、インキュベータ105における免疫反応によって検体中の被測定物質である抗原が磁性微粒子に付着する抗体と結合する。免疫反応後の反応液が収容される反応容器114は、プレウォッシュ部108に移送され、磁場の利用によって磁性微粒子に結合していない成分、すなわち分析に不要な成分が分離される。不要な成分が分離された反応容器114は、インキュベータ105に戻され、インキュベータ105の回転によって分析部110がアクセス可能な位置まで搬送された後、分析部110へ移送される。
【0041】
分析部110は、移送された反応容器114に収容される不要な成分が分離された反応液を分析する。分析部110は、光源や分光素子、光検出器を有するとともに、分析の再現性を維持するために温度を調整する機能を有する。分析される反応液を収容する反応容器114はインキュベータ105から分析部110へ移送された後、分析部110によって分析される。
【0042】
本実施例のインキュベータ105においても、孔202の入り口には自己潤滑性を有する潤滑部材203が設けられるので、反応容器114は孔202に円滑に挿入される。なお本実施例のインキュベータ105には測光用孔206はあってもなくても良い。
【実施例3】
【0043】
実施例1では、指向部としてのガイド溝604が一つのみの場合を説明した。本実施例では、ガイド溝604が複数の場合について説明する。
【0044】
例えば、ガイド溝604が2つの場合は、突出部501も2つとしても良い。この場合、2点の嵌合位置を持つことで位置決め精度がより向上する。2つのガイド溝604及び突出部501は対向する位置にあっても良いし、任意の角度差でも良い。形状に関しても1つ目の突出部と2つ目の突出部は別形状としても良い。ガイド溝が2つに対して、突出部501は1つでも良く、ガイド溝604と突出部501の数は揃っていなくても良い。更に、ガイド溝604の数は突出部501以上であれば、孔202に設置できる範囲において、限定されるものではない。
【0045】
以上、本発明の複数の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。例えば、インキュベータ105の形状は、図2に示されるような円環形状であっても良いし、反応容器114が直線状に配列される形状であっても良い。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0046】
101:検体容器、102:検体ラック、103:検体搬送路、104:試薬ディスク、105:インキュベータ、106:検体分注部、107:試薬分注部、108:プレウォッシュ部、109:移送部、110:分析部、111:制御部、112:試薬容器、113:試薬ディスクカバー、114:反応容器、115:分光光度計、200:中心軸、201:盤体、202:孔、203:潤滑部材、204:ヒータ、205:断熱材、206:測光用孔、501:突出部、502:透光面、601:円筒部、602:ツメ、603:面取り部、604:ガイド溝、801:光路軸、1001:孔間溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11