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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】電子部品筺体
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20231108BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20231108BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20231108BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20231108BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20231108BHJP
   G10K 11/172 20060101ALN20231108BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20231108BHJP
   B60L 50/64 20190101ALN20231108BHJP
【FI】
G10K11/16 150
B60R13/08
H05K5/02 L
B32B7/022
B32B3/30
G10K11/172
B60L3/00 J
B60L3/00 H
B60L50/64
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019100369
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020194111
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】内田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 一真
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 克彦
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-010919(JP,U)
【文献】国際公開第2017/135409(WO,A2)
【文献】特開2004-025918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16
B60R 13/08
H05K 5/02
B32B 7/022
B32B 3/30
G10K 11/172
B60L 3/00
B60L 50/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を納める電子部品筐体であって、
前記筐体は、 電子部品と対向する対向面を有する面部を複数有し、
前記複数の面部同士は、交差部を介して接続され、
前記面部は、前記対向面における前記電子部品と対向する内側と、前記電子部品と非対向であり前記対向面の裏側と、の少なくとも一方に遮音シート部材が設けられ、
前記遮音シート部材は、前記面部と接するシート状のシート面と、前記シート面に設けられた複数の凸部とを有し、
前記凸部は、錘部を有し
前記遮音シート部材は、前記面部の少なくとも一つに前記交差部と離間して設けられている電子部品筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品筐体において、
前記面部は、表面に形成された窪みを有し、
前記窪みに前記遮音シート部材が設けられている電子部品筐体。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品筐体において、
前記窪みの深さは、前記遮音シート部材の最大厚さ以上である電子部品筐体。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電子部品筐体において、
前記筐体は、 開口部の周囲を囲む側壁部を有し
前記窪みは、前記側壁部の前記開口部側の端面に開口している電子部品筐体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、
前記筺体は、内部に収納空間を有して開口する第1部材と、
前記第1部材に接合されたときに前記収納空間を閉塞する蓋部材とを有し、
前記対向面は、前記第1部材および前記蓋部材が前記収納空間に臨む少なくとも一つの面である電子部品筐体。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、
前記筺体は、内部に第1収納空間を有して開口する第1部材と、
内部に第2収納空間を有して開口し前記第1部材に接合されたときに、前記第1収納空間と前記第2収納空間とを閉塞する第2部材とを有し、
前記対向面は、前記第1部材が前記第1収納空間に臨む少なくとも一つの面および前記第2部材が前記第2収納空間に臨む少なくとも一つの面である電子部品筐体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、
前記電子部品は、駆動電源供給装置、インバータ、モータ、ジャンクションボックス、コンバータ、二次電池のいずれかを含む電子部品筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品筺体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮した車両として、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料電池自動車等の、電動機(モータ)を駆動装置に組み込んだ電動車両が開発され実用化されている。これらの電動車両においては、駆動電源供給装置、モータ、制御基板、パワー基板、インバータ等の電子部品が、個々にあるいは複数ずつが筺体内に収容されている。
【0003】
上記の電動車両においては、車内快適性を向上させるために上記電子部品から生じる音を遮音することが求められている。従来、質量則に基づいて厚い金属板を有する筺体が用いられていたが、質量が大きくなるという問題が生じる。そこで、例えば、特許文献1には筺体の側壁にスリットを設け、スリット内に遮音部材を装着する構成が開示されている。
特許文献2には、音波を吸収する吸音材の構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6077928号
【文献】特開2018-146746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献2に開示された吸音材を用いて音を吸収するためには、原理上比較的厚い吸音材を用いる必要がある。したがって、特許文献1に記載のスリット内にこの吸音材を用いる場合、遮音効果を得るためには、筐体をある程度厚くする必要がある。しかし、車載内部は空間が限られているため、スリットを大きくすることは設計上難しい場合がある。また、特許文献2のような吸音材は、音を吸収するために、音発生源をできる限り隙間なく覆うよう設ける必要があるため、吸音材の使用量が多くなる問題が生じる。
さらに、遮音部材が特許文献2のようなシート状の場合、遮音シート部材を電子部品と対向する対向面の全域に貼り付けた場合、遮音シート部材の構成によっては端部(対向面が隣り合う面との交差部)において浮き上がり、遮音シート部材の貼り付け不良が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、電子部品の筐体を厚くすることなく、遮音材の使用量を少なく、さらに、遮音シート部材の貼り付け不良を生じさせることなく遮音シート部材の遮音効果を確保した電子部品筺体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、電子部品と対向する対向面を有する面部に、面部と接するシート状の基部と、基部に設けられた複数の凸部とを有する遮音シート部材を設けることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1] 電子部品を納める電子部品筐体であって、前記筐体は、 電子部品と対向する対向面を有する面部を複数有し、前記複数の面部同士は、交差部を介して接続され、
前記面部は、前記対向面における前記電子部品と対向する内側と、前記電子部品と非対向であり前記対向面の裏側と、の少なくとも一方に遮音シート部材が設けられ、前記遮音シート部材は、前記面部と接するシート状のシート面と、前記シート面に設けられた複数の凸部とを有し、前記遮音シート部材は、前記面部の少なくとも一つに前記交差部と離間して設けられている
電子部品筐体。
[2] [1]に記載の電子部品筐体において、前記面部は、表面に形成された窪みを有し、前記窪みに前記遮音シート部材が設けられている電子部品筐体。
[3] [2]に記載の電子部品筐体において、前記窪みの深さは、前記遮音シート部材の最大厚さ以上である電子部品筐体。
[4] [2]または[3]に記載の電子部品筐体において、前記筐体は、 開口部の周囲を囲む側壁部を有し前記窪みは、前記側壁部の前記開口部側の端面に開口している電子部品筐体。
[5] [1]から[4]のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、前記筺体は、内部に収納空間を有して開口する第1部材と、前記第1部材に接合されたときに前記収納空間を閉塞する蓋部材とを有し、前記対向面は、前記第1部材および前記蓋部材が前記収納空間に臨む少なくとも一つの面である電子部品筐体。
[6] [1]から[4]のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、前記筺体は、内部に第1収納空間を有して開口する第1部材と、内部に第2収納空間を有して開口し前記第1部材に接合されたときに、前記第1収納空間と前記第2収納空間とを閉塞する第2部材とを有し、前記対向面は、前記第1部材が前記第1収納空間に臨む少なくとも一つの面および前記第2部材が前記第2収納空間に臨む少なくとも一つの面である電子部品筐体。
[7] [1]~[6]のいずれか一項に記載の電子部品筐体において、前記電子部品は、駆動電源供給装置、インバータ、モータ、ジャンクションボックス、コンバータ、二次電池のいずれかを含む電子部品筐体。
【0009】
複数の凸部を有する遮音シートは、騒音源により振動した筐体の振動を凸部の共振により抑えることで遮音する。したがって、従来の吸音材と異なり、筐体の面部の内、振動の大きな中央部(面部同士の交差部と離間して)に設けることが効果的である。したがって、面部同士の交差部付近に遮音シートを設けなくても、十分な遮音効果が得られる。また、面部同士の交差部と離間して遮音シートを設けることで、遮音シートの使用量を抑えることができ、交差部に遮音シートを設けた場合に起こり得る遮音シートの浮き上がりも抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、遮音効果を確保しつつ遮音部材の使用量を低減できる電子部品筺体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、電子部品筐体を備えた駆動システムSYSの概略的な正面図である。
図2】第1実施形態に係る筺体21を+Z側から視た平面図である。
図3】筺体21のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。
図4】筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。
図5】遮音シート部材101~103を示す部分的な斜視図である。
図6図5におけるII-II矢視断面図である。
図7】筺体11を+Z側から視た平面図である。
図8】筺体11のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。
図9】筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。
図10】第2実施形態に係る筺体21のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。
図11】第2実施形態に係る筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。
図12】第3実施形態に係る筺体21を+Z側から視た平面図である。
図13】第3実施形態に係る筺体21を-Y側から視た正面図である。
図14】第3実施形態に係る筺体11を+Z側から視た平面図である。
図15】第3実施形態に係る筺体11を-Y側から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の電子部品筐体の実施の形態を、図1ないし図13を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0013】
図1は、本実施形態に係る電子部品筐体を備えた駆動システムSYSの概略的な正面図である。
【0014】
駆動システムSYSは、駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3を備えている。駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3は、上段から順次段積みされている。駆動電源供給ユニット1およびインバータユニット2は、固定ネジ(図示せず)で固定されている。インバータユニット2およびモータユニット3は、固定ネジ(図示せず)で固定されている。従って、駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3は一体的に固定されている。
【0015】
駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3は、後述するように、それぞれ平面視矩形の略直方体形状である。駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3は、それぞれ長手方向(図1における左右方向)を揃えた状態で段積みされている。
【0016】
以下では、駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3が積み重ねられる方向であり、それぞれの厚さ方向である方向(図1における上下方向)をZ方向とし、各ユニット1、2、3の長手方向をX方向とし、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向として適宜説明する。
【0017】
駆動システムSYSは、一例として、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0018】
駆動電源供給ユニット1は、駆動電源供給装置10と、駆動電源供給装置10を収納空間12で収納する筺体(電子部品筐体)11とを備えている。筺体11の詳細については、後述する。
【0019】
駆動電源供給装置10は、電子部品として、交流電流を高電圧バッテリーへ充電するための充電器(電源)、高電圧の蓄電デバイスとしての二次電池、高電圧を低電圧へ変換するDC/DCコンバーター、高電圧を分配し異常時に遮断するブレーカーの役割を有するジャンクションボックス等を含む。
【0020】
インバータユニット2は、インバータ20と、インバータ20を収納空間22で収納する筺体(電子部品筐体)21とを備えている。筺体21の詳細については、後述する。
【0021】
インバータ20は、駆動電源供給装置10から供給された直流電流を交流電流に変換してモータユニット3に供給する。インバータ20は、電子部品として、スイッチング回路等を含み制御信号を出力する制御基板、交流信号を増幅してモータを駆動する力を生じさせるパワー基板、コンデンサ等を含む。
【0022】
モータユニット3は、モータ30と、モータ30を収納空間32で収納する筺体(電子部品筐体)31とを備えている。筺体31の詳細については、後述する。
【0023】
モータ30は、インバータユニットから供給される交流電流により駆動される。モータ30は、電子部品として、モータ本体および減速機等を含む。
【0024】
[筺体の第1実施形態]
第1実施形態に係る筺体11、21、31(駆動電源供給ユニット1、インバータユニット2およびモータユニット3)のうち、まず筺体21、31について、図2乃至図4を参照して説明する。なお、筺体21、31は大きさが異なるものの構成は同様のため、筺体31に関しては筺体21の説明に用いる符号に対して添字(A)を付した符号を図示し、その説明を省略する。
【0025】
図2は、筺体21を+Z側から視た平面図である。図3は、筺体21のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。図4は、筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。
【0026】
図2乃至図4に示すように、筺体21は、平面視で矩形状の直方体状である。筺体21は、第1部材23と第2部材(蓋部材)24とを有している。第1部材23および第2部材24は、金属材料により形成されている。第1部材23および第2部材24としては、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属で形成されることが好ましい。
【0027】
第1部材23は、内部に収納空間22を有して+Z側に開口する。第1部材23は、底壁部25、側壁部26、27およびフランジ部28を有する。図3に示すように、底壁部25は、XY平面と平行に配置設けられている。底壁部25は、インバータ20と対向する対向面69を有している。側壁部26は、底壁部25のX方向両側の端部から+Z側に延びている。側壁部26同士は、X方向で対向する。
【0028】
側壁部26の+Z側端部には、X方向の外側に張り出すフランジ部28がそれぞれ設けられている。フランジ部28において複数(図2では6個)の固定ネジ29がネジ止めされることにより、第1部材23と第2部材24とは、Z方向に固定される。図4に示すように、側壁部27は、底壁部25のY方向両側の端部から+Z側に延びている。側壁部27同士は、Y方向で対向する。収納空間22は、底壁部25および側壁部26、27に囲まれて形成される空間である。
【0029】
第2部材24は、XY平面と平行に配置される板状部材である。第2部材24は、側壁部26、27の+Z側端面に接合されることにより、収納空間22の開口部を閉塞する蓋部材として機能する。
【0030】
図3に示すように、面部としての側壁部26は、インバータ20と対向する平面状の対向面(内面)66を有している。図4に示すように、面部としての側壁部27は、インバータ20と対向する内側に平面状の対向面67を有している。面部としての第2部材24は、インバータ20と対向する内側に対向面68を有している。
【0031】
対向面66には、遮音シート部材101がそれぞれ設けられている。図3および図4に示すように、遮音シート部材101の面積は、対向面66の面積よりも小さい。より詳細には、遮音シート部材101は、対向面66において、対向面67との直線状の交差部、対向面68との直線状の交差部および対向面69との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面66の面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材101は、対向面66において振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0032】
対向面67には、遮音シート部材102がそれぞれ設けられている。図3および図4に示すように、遮音シート部材102の面積は、対向面67の面積よりも小さい。より詳細には、遮音シート部材102は、対向面67において、対向面66との直線状の交差部、対向面68との直線状の交差部および対向面69との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面67の面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材102は、対向面67において振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0033】
対向面68には、遮音シート部材103が設けられている。遮音シート部材103の面積は、対向面68の面積よりも小さい。より詳細には、遮音シート部材103は、対向面68において、図2に示すように、対向面66との直線状の交差部および対向面67との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面68の面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材103は、対向面68において振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0034】
図5は、遮音シート部材101~103を示す部分的な斜視図である。図6は、図5におけるII-II矢視断面図である。以下では、遮音シート部材101~103を遮音シート部材100と総称して説明する。
【0035】
図5に示すように、遮音シート部材100は、ゴム弾性を有するシート111と、シート111のシート面111bを支持する基部51とを備えている。シート111は、シート面111a上に接して設けられた複数の共振部(凸部)121とを備えている。
ここで、基部51は筐体(21、31)の面部であっても良く、面部とシート面111bの間に別途基部51を設けてもよい。
【0036】
[シート]
シート111は、ゴム弾性を有するシートである。特に限定されないが、樹脂(有機高分子)の分子運動等に起因して、ゴム弾性を有するものであってもよい。このシート111は、騒音源から音波や振動源から振動が入射された際に、ある周波数で振動する振動子(共振器)としても機能し得るものである。すなわち、シート111は、音波あるいは固体振動が伝わって筐体が振動する際に共振器として作用する。シート111を構成する材料としては、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。厚みが増すにつれ、照射する光が中心部まで届きにくくなる場合があるため、熱硬化性エラストマー又は熱可塑性エラストマーを用いることがより好ましい。 具体的には、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマー等の熱硬化性エラストマー;オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー、アクリル系光硬化性エラストマー、シリコーン系光硬化性エラストマー、エポキシ系光硬化性エラストマー等の光硬化性エラストマーが例示される。より具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、及びこれらの変性体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体が好ましく、耐熱性や耐寒性に優れる等の観点から、シリコーンゴム、アクリルゴム及びこれらの変性体がより好ましい。
シート111は、所謂ゴム弾性を示すシートである限り、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤等の各種添加剤を含有していてもよい。難燃剤は、可燃性の素材を燃え難くする又は発火しないようにするために配合される添加剤である。その具体例としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等の臭素化合物、トリフェニルホスフェート等のリン化合物、塩素化パラフィン等の塩素化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、メラミンシアヌレート等の窒素化合物、ホウ酸ナトリウム等のホウ素化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、酸化防止剤は、酸化劣化防止のために配合される添加剤である。その具体例としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。さらに、可塑剤は、柔軟性や耐候性を改良するために配合される添加剤である。その具体例としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、シリコーン油、鉱物油、植物油及びこれらの変性体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、シート111は平面視で正方形状または長方形状に形成されているが、その形状はこれに特に限定されない。三角形状、矩形状、台形状、ひし形状、5角形状や6角形状等の多角形状、円状、楕円状、これらに分類されない不定形状等、任意の平面視形状を採用することができる。
シート111の厚さは、特に限定されない。シート111の厚さによっても高い遮音性能を発現する周波数帯域(音響バンドギャップ幅や周波数位置)を制御可能であるため、音響バンドギャップが所望の遮音周波数領域に一致するように、シート111の厚みを適宜設定することができる。シート111の厚さが厚いと、音響バンドギャップ幅が狭くなり、且つ、低周波数側にシフトする傾向にある。また、シート111の厚さが薄いと、音響バンドギャップ幅が広くなり、且つ、高周波側にシフトする傾向にある。遮音性能、機械的強度、柔軟性、ハンドリング性等の観点から、シート111の厚さは、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上である。また、シート111の厚さは、好ましくは10mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは500μm以下である。
ここで、シート111は、遮音性能、機械的強度、柔軟性、ハンドリング性や生産性等の観点から、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上のヤング率を有することが好ましく、また、好ましくは100MPa以下、より好ましくは10MPa以下のヤング率を有することが好ましい。ここで、本明細書におけるヤング率とは、一軸方向に外力を加えた際の試料の単位断面積あたりに働く力(応力)と変形率(歪み)の比を意味し、JIS K 6394:2007「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-動的性質の求め方-」の強制振動非共振方法により測定される貯蔵たて弾性係数の25℃、10Hzにおける値を意味している。
また、シート111は、低温における遮音性の温度依存性を低減させる観点から、0℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。シート111のガラス転移温度が低いほど、耐寒性が高められ、弾性率の0℃付近での温度依存性が小さくなり遮音性能が環境温度に依存し難くなる傾向にある。より好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下、特に好ましくは-30℃以下である。なお、本明細書において、シート111のガラス転移温度は、上述した周波数10Hzにおける動的粘弾性測定、特に温度依存性測定において、損失正接のピーク温度を意味する。
【0037】
[共振部]
共振部121は、騒音源から音波が入射された際に、ある周波数で振動する振動子(共振器)として機能するものである。本実施形態の共振部121は、基部122と、この基部122に支持され且つこの基部122より大きな質量を有する錘部123とを備える複合構造体から構成されている。このような複合構造体とすることで、共振部121は、錘として働く錘部123の質量と、バネとして働く基部122のバネ定数により決定される共振周波数を持つ共振器として有効に機能する。
共振部121の配列、設置数、大きさ等は、所望性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。共振部121は、シートの少なくとも一方のシート面に接して設けられる。例えば本実施形態では、複数の共振部121を格子状に等間隔に配置しているが、共振部121の配列は、これに特に限定されない。例えば、複数の共振部121が、例えば千鳥状に配置されていても、ランダムに配置されていてもよい。本シートによる遮音機構は所謂フォノニック結晶のようにブラッグ散乱を利用していないため、必ずしも共振部121の間隔が規則正しく周期的に配置されていなくてもよい。
また、単位面積当たりの共振部121の設置数は、共振部121同士が接触する等により干渉しないように配置可能であれば、特に限定されない。単位面積当たりの共振部121の最大数は、共振部121の形状等によっても異なるが、例えば、共振部121が円柱状で、円柱の高さ方向がシート法線方向と平行に設置され、且つ、円柱断面直径が1cmの場合には、10cm当たり100個以下が好ましい。また、単位面積当たりの共振部121の最小数は、例えば、共振部121が円柱状で、円柱の高さ方向がシート法線方向と平行に設置され、且つ、断面直径が1cmの場合には、10cm当たり2個以上が好ましく、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは50個以上である。共振部121の設置数が、上記の好ましい下限以上であることで、より高い遮音性能が得られる傾向にある。また、上記の好ましい上限以下であることで、シート全体の軽量化を図ることが容易となる。
共振部121のシート111の法線方向への最大高さH1は、所望性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。成形容易性及び生産性の向上等の観点から、最大高さH1は、50μm以上、100mm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上、50mm以下、さらに好ましくは1mm以上、20mm以下である。上記の好ましい数値範囲内とすることで、共振部121を設けたシート111(すなわち遮音シート部材100)の巻き取りや重ね合わせが容易となり、所謂ロール・トゥ・ロールでの製造や保管ができ、生産性及び経済性が高められる傾向にある。
【0038】
[基部]
本実施形態において、略円柱状の外形形状を有する基部122が、シート111のシート面111a上に複数接して設けられており、この基部122の内部に、略円柱状の外形形状を有する錘部123がそれぞれ埋設されている。基部122の外形形状は、特に限定されず、三角柱状、矩形柱状、台形柱状、5角柱や6角柱等の多角柱状、円柱状、楕円柱状、角錐台状、円錐台状、角錐状、円錐状、中空筒状、分岐形状、これらに分類されない不定形状等、任意の形状を採用することができる。また、基部122の高さ位置によって異なる断面積及び/又は断面形状を有する柱状に形成することもできる。
基部122の材料は、上記要求特性を満足する限り、特に制限されない。例えば高分子材料が挙げられ、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱又は光硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーとしては、シートで例示したものが挙げられる。熱又は光硬化性樹脂としては、アクリル系熱硬化性樹脂、ウレタン系熱硬化性樹脂、シリコーン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、アクリル系熱可塑性樹脂、ウレタン系熱可塑性樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂等が挙げられる。具体例としては、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体等のゴム類;ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂等のポリマー類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、基部122は、これらの高分子材料中に空孔(空気等の気体)を含む多孔質体であってもよい。さらに、基部122は、鉱物油、植物油、シリコーン油等の液体材料を含んでいてもよい。なお、基部122が液体材料を含む場合には、液体材料の外部への流出を抑制する観点から、高分子材料中に封じ込めておくことが望ましい。
これらのなかでも、基部122の材料は、上述したシート111と同じ材料であることが好ましく、特にエラストマー類が好ましい。シート111及び基部122が同じエラストマー類を含有するものであれば、シート111と基部122との一体成形が容易となり、生産性が飛躍的に高められる。すなわち、シート111及び共振部121(基部122)が、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有する一体成形物であることが、特に好ましい態様の1つである。エラストマー類の具体例としては、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらのなかでも、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体が好ましく、耐熱性や耐寒性に優れる等の観点から、シリコーンゴム、アクリルゴム及びこれらの変性体がより好ましい。
なお、基部122は、2種又はそれ以上の高分子材料からなる2色成形体又は多色成形体とすることもできる。この場合、シート111と接する側の基部122に上述したシート111と同じエラストマー類を採用することで、シート111と基部122との一体成形が容易となる。
なお、本実施形態の如く断面円形状の共振部121(基部122)を設ける場合、複数の共振部121(基部122)の断面積の総和が最大となる共振部121(基部122)高さ位置におけるシート111のシート面111aに平行な断面において、当該断面に含まれる円(円断面)のうち、直径が最大である円の直径は100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。また、直径が最小である円形の直径は50μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは1mm以上である。上記の好ましい数値範囲内とすることで、シート111のシート面111aへ設置する共振部121(基部122)を所定数以上確保することができ、さらに良好な遮音性能を得ることができ、また、成形容易性及び生産性もさらに高められる傾向にある。
【0039】
[錘部]
錘部123は、上述した基部122より大きな質量を有するものであれば特に限定されない。本実施形態においては、最大直径が基部122よりも小さな略円柱状に形成されており、共振部121の先端側において基部122内に埋設されている。このように共振器の錘として働く錘部123がバネ定数を決定する基部122に支持された構成を採用しているため、例えば基部122の形状或いは素材(弾性率、質量)の変更によるバネ定数の調整や、錘部123の質量の変更によって、共振部121の共振周波数の制御を容易に行うことができる。一般的には、基部122の弾性率が小さくなると音響バンドギャップは低周波数側にシフトする傾向にある。また、錘部123の質量が大きくなると、音響バンドギャップは低周波数側にシフトする傾向にある。
錘部123を構成する素材は、質量やコスト等を考慮して適宜選択すればよく、その種類は特に限定されない。遮音シート部材100の小型化及び遮音性能の向上等の観点から、錘部123を構成する素材は、比重の高い材料が好ましい。具体的には、アルミニウム、ステンレス、鉄、タングステン、金、銀、銅、鉛、亜鉛、真鍮等の金属又は合金;ソーダガラス、石英ガラス、鉛ガラス等の無機ガラス;これらの金属或いは合金の粉体又はこれらの無機ガラス等を上述した基部122の高分子材料中に含むコンポジット;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。錘部123の材質、質量、比重は、遮音シート部材100の共振周波数が所望する遮音周波数領域に一致するように決定すればよい。これらの中でも、低コスト及び高比重である等の観点から、金属、合金、及び無機ガラスよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。なお、比重は、材料の質量と、それと同体積の圧力1013.25hPaのもとにおける4℃の純水の質量との比を意味し、本明細書においては、JIS K 0061「化学製品の密度及び比重測定方法」により測定される値を用いている。
本実施形態において、錘部123は、共振部121の先端側において基部122内に埋設されているが、その設置位置はこれに特に限定されない。基部122及び錘部123の形状、質量、弾性率等により異なるが、遮音シート部材の厚み低減、重量低減、または遮音性能向上の観点から、共振部121の重心(質量中心)が、少なくとも共振部121の高さ方向の中央よりも先端側に位置するように、基部122及び錘部123を配置することが好ましい。典型的には、錘部123を、共振部121の高さ方向の中央よりも先端側にオフセット配置すればよい。なお、錘部123は、基部122内に完全に埋設されていても、その一部のみが埋設されていても、或いは、基部122内に埋設されることなく基部122上に設けられていてもよい。また、基部122が分岐構造をとる場合には、遮音シート部材の重量低減又は遮音性能向上の観点から、分岐点から設けられた枝部に錘部を設ける場合には、枝部の中央よりも先端側に位置するように錘部123を配置することが好ましい。錘部123の形状については、略円柱状以外に、例えば球状、半球状、立方体、直方体、そろばん球状など用いることができる。
なお、共振部121はシート111のシート面111a上に複数個設けられているが、共振部121を構成する材料、共振部121の配列、形状、大きさ、共振部121の設置の方向等は、複数個の共振部121すべてにおいて必ずしも同一でなくてもよい。これらのうち少なくとも1種を相違させた複数種の共振部121を設置することにより、高遮音性能が現れる周波数領域を拡大することが可能である。
【0040】
[接着]
シート111は筐体面に接触して設置されるが、その方法は特に限定されない。すなわち、接着材を用いた接着や粘着、接着材を用いない自己粘着、あるいはシート部を融着させる等の方法を用いてもよい。
【0041】
上記の遮音シート部材100においては、例えば基部51側にある騒音源から音波や振動源から振動が入射された際、シート111と共振部121の少なくとも一方で共振が生じる。このとき、理論的には基部51に作用する力の方向と、シート111と共振部121の少なくとも一方に発生する加速度の方向とが逆となる周波数領域が存在可能となり、特定周波数の振動の一部乃至全部が打ち消されることで、特定周波数の振動がほぼ完全に存在しなくなる完全音響バンドギャップが生じる。そのため、シート111と共振部121の少なくとも一方の共振周波数付近において、振動の一部乃至全部が静止し、その結果、質量則を凌駕する高い遮音性能が得られる。このような原理を利用した遮音部材は、音響メタマテリアルと呼ばれている。なお、シート111は、上記音響メタマテリアルとしての特性を失わない限り、伸縮性能の向上や軽量化等の観点から、任意の場所に切り込み部や打ち抜き孔等を有していてもよい。
【0042】
図7は、筺体11を+Z側から視た平面図である。図8は、筺体11のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。図9は、筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。
【0043】
図7乃至図9に示すように、筺体11は、平面視で矩形状の直方体状である。筺体11は、第1部材13と第2部材14とを有している。第1部材13および第2部材14は、金属材料により形成されている。第1部材13および第2部材14としては、例えば、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽金属で形成されることが好ましい。
【0044】
第1部材13は、内部に収納空間12Aを有して+Z側に開口する。第1部材13は、底壁部15A、側壁部16A、17Aおよびフランジ部18Aを有する。底壁部15Aは、XY平面と平行に配置設けられている。底壁部15Aは、駆動電源供給装置10と対向する対向面79Aを有している。側壁部16Aは、底壁部15AのX方向両側の端部から+Z側に延びている。側壁部16A同士は、X方向で対向する。
【0045】
側壁部16Aの+Z側端部には、X方向の外側に張り出すフランジ部18Aがそれぞれ設けられている。フランジ部18Aにおいて複数(図7では6個)の固定ネジ19がネジ止めされることにより、第1部材13と第2部材14とは、Z方向に固定される。図9に示すように、側壁部17Aは、底壁部15AのY方向両側の端部から+Z側に延びている。側壁部17A同士は、Y方向で対向する。収納空間12Aは、底壁部15Aおよび側壁部16A、17Aに囲まれて形成される空間である。
【0046】
第2部材14は、内部に収納空間12Bを有して-Z側に開口する。筺体11が有する収納空間12は、互いに連通する収納空間12Aおよび収納空間12Bで形成される。第2部材14は、底壁部15B、側壁部16B、17Bおよびフランジ部18Bを有する。底壁部15Bは、XY平面と平行に配置設けられている。底壁部15Bは、駆動電源供給装置10と対向する対向面79Bを有している。側壁部16Bは、底壁部15BのX方向両側の端部から-Z側に延びている。側壁部16B同士は、X方向で対向する。なお、第2部材14として、第2部材24のような、板状部材を用いることも可能である。
【0047】
側壁部16Bの-Z側端部には、X方向の外側に張り出すフランジ部18Bがそれぞれ設けられている。図9に示すように、側壁部17Bは、底壁部15BのY方向両側の端部から-Z側に延びている。側壁部17B同士は、Y方向で対向する。収納空間12Bは、底壁部15Bおよび側壁部16B、17Bに囲まれて形成される空間である。
【0048】
図8に示すように、面部としての側壁部16A、16Bは、駆動電源供給装置10と対向する平面状の対向面(内面)76A、76Bを有している。図9に示すように、面部としての側壁部17A、17Bは、駆動電源供給装置10と対向する内側に平面状の対向面77A、77Bを有している。
【0049】
対向面76A、76Bには、遮音シート部材104A、104Bがそれぞれ設けられている。図8および図9に示すように、遮音シート部材104A、104Bの面積は、対向面76A、76Bの面積よりもそれぞれ小さい。より詳細には、遮音シート部材104Aは、対向面76Aにおいて、対向面77Aとの直線状の交差部、対向面79Aとの直線状の交差部および第2部材14との接合面との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面76Aの面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材104Aは、対向面76Aにおいて振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0050】
遮音シート部材104Bは、対向面76Bにおいて、対向面77Bとの直線状の交差部、対向面79Bとの直線状の交差部および第1部材13との接合面との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面76Bの面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材104Bは、対向面76Bにおいて振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0051】
対向面77A、77Bには、遮音シート部材105A、105Bがそれぞれ設けられている。図8および図9に示すように、遮音シート部材105A、105Bの面積は、対向面77A、77Bの面積よりも小さい。より詳細には、遮音シート部材105Aは、対向面77Aにおいて、対向面76Aとの直線状の交差部、対向面79Aとの直線状の交差部および第2部材14との接合面との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面77Aの面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材105Aは、対向面77Aにおいて振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0052】
遮音シート部材105Bは、対向面77Bにおいて、対向面76Bとの直線状の交差部、対向面79Bとの直線状の交差部および第1部材13との接合面との直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面77Bの面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材105Bは、対向面77Bにおいて振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0053】
対向面79Bには、遮音シート部材106Bが設けられている。遮音シート部材106Bの面積は、対向面79Bの面積よりも小さい。より詳細には、図7に示すように、遮音シート部材106Bは、対向面79Bにおいて、対向面76Bとの直線状の交差部および対向面77Bとの直線状の交差部と離間して設けられていることで、対向面79Bの面積よりも小さい面積で設けられている。遮音シート部材106Bは、対向面79Bにおいて振動(振幅)が大きい中央部を含む領域に設けられている。
【0054】
遮音シート部材104A、104B、105A、105B、106Bは、上述した遮音シート部材101~103(すなわち遮音シート部材100)と同様の構成を有している。
【0055】
上記の遮音シート部材101、102、103と筺体21の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材101A、102A、103Aと筺体31の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材104A、104B、105A、105B、106Bと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。
【0056】
上記構成の駆動システムSYSにおいては、インバータユニット2におけるインバータ20から生じた音波または振動は、側壁部26を介して遮音シート部材101に入射し、側壁部27を介して遮音シート部材102に入射し、第2部材24を介して遮音シート部材103に入射する。インバータ20から生じた音波が入射した遮音シート部材101~103は、シート111と共振部121の少なくとも一方で共振が生じることにより、基部51に作用する力の方向と、シート111と共振部121の少なくとも一方に発生する加速度の方向とが逆となる周波数領域が存在可能となり、特定周波数の振動の一部乃至全部が打ち消される。そのため、シート111と共振部121の少なくとも一方の共振周波数を、インバータ20から生じた音波または振動に応じて側壁部26、27および第2部材24が振動する周波数付近に設定することにより筺体21は遮音される。
【0057】
同様に、モータユニット3におけるモータ30から生じた音波または振動は、側壁部26Aを介して遮音シート部材101Aに入射し、側壁部27Aを介して遮音シート部材102Aに入射し、第2部材24Aを介して遮音シート部材103Aに入射する。モータ30から生じた音波が入射した遮音シート部材101A~103Aは、シート111と共振部121の少なくとも一方で共振が生じることにより、基部51に作用する力の方向と、シート111と共振部121の少なくとも一方に発生する加速度の方向とが逆となる周波数領域が存在可能となり、特定周波数の振動の一部乃至全部が打ち消される。そのため、シート111と共振部121の少なくとも一方の共振周波数を、モータ30から生じた音波または振動に応じて側壁部26A、27Aおよび第2部材24Aが振動する周波数付近に設定することにより筺体31は遮音される。
【0058】
同様に、駆動電源供給ユニット1における駆動電源供給装置10から生じた音波または振動は、第1部材13において側壁部16Aを介して遮音シート部材104Aに入射し、側壁部17Aを介して遮音シート部材105Aに入射する。駆動電源供給装置10から生じた音波または振動は、第2部材14において側壁部16Bを介して遮音シート部材104Bに入射し、側壁部17Bを介して遮音シート部材105Bに入射し、底壁部15Bを介して遮音シート部材106Bに入射する。駆動電源供給装置10から生じた音波または振動が入射した上記遮音シート部材104A~106Bは、シート111と共振部121の少なくとも一方で共振が生じることにより、基部51に作用する力の方向と、シート111と共振部121の少なくとも一方に発生する加速度の方向とが逆となる周波数領域が存在可能となり、特定周波数の振動の一部乃至全部が打ち消される。そのため、シート111と共振部121の少なくとも一方の共振周波数を、駆動電源供給装置10から生じた音波または振動に応じて側壁部16A、16B、17A、17Bおよび底壁部15Bが振動する周波数付近に設定することにより筺体11は遮音される。
【0059】
また、上記の遮音シート部材101~103、101A~103A、104A、104B、105A、105B、106Bが、いずれもそれぞれが設けられた対向面において、当該対向面と交差する面との交差部に跨がって設けられた場合、シート111は柔軟であるため共振部121が設けられていない箇所は交差部に倣って追従するが、共振部121が設けられている箇所は厚くなっているおり曲げ強度が大きいため、交差部に倣って追従しづらくなる。この場合、シート111が浮き上がってしまい側壁部、底壁部を介して振動が伝わりづらくなり十分な遮音性能を発現できない可能性がある。
【0060】
これに対して、上記の遮音シート部材101~103、101A~103A、104A、104B、105A、105B、106Bは、いずれもそれぞれが設けられた対向面において、当該対向面と交差する面との交差部から離間して設けられているため、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0061】
特に、本実施形態では、側壁および底壁部の対向面において振動が大きい中央部を含む領域に上記の遮音シート部材を設けているため、効果的に遮音することができる。さらに、本実施形態では、上記対向面において振動が小さい上記交差部近傍に遮音シート部材を設けていないため、遮音シート部材の使用量を低減することができ、コスト低減に寄与できる。
【0062】
[筺体の第2実施形態]
続いて、筺体の第2実施形態について、図10および図11を参照して説明する。
上記第1実施形態では、対向面に遮音シート部材を直接設ける構成としたが、第2実施形態では、対向面に窪みを設け、当該窪みに遮音シート部材を設ける構成について説明する。これらの図において、図1乃至図9に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
図10は、筺体21のY方向中央におけるXZ平面と平行な断面図である。図11は、筺体21のX方向中央におけるYZ平面と平行な断面図である。図10および図11においては、筺体21に窪みを設ける構成を例示して説明するが、筺体11、31に窪みを設けてもよい。
【0064】
図10に示すように、側壁部26における対向面66には、窪み26aがそれぞれ設けられている。窪み26aは、側壁部26の開口部側端面(すなわち、第2部材24の接合面)に開口している。窪み26aには、遮音シート部材101が設けられている。窪み26aの深さは、遮音シート部材101の最大厚さ(図6における高さH2)以上に形成されている。図11に示すように、側壁部27における対向面67には、窪み27aがそれぞれ設けられている。窪み27aは、側壁部27の開口部側端面に開口している。窪み27aには、遮音シート部材102が設けられている。窪み27aの深さは、遮音シート部材102の最大厚さ以上に形成されている。第2部材24の対向面68には、窪み24aが設けられている。窪み24aには、遮音シート部材103が設けられている。窪み24aの深さは、遮音シート部材103の最大厚さ以上に形成されている。
他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0065】
上記構成の筺体21では、収納空間22への遮音シート部材101~103の突出を抑制できるため、収納空間22の減少を抑えることができる。特に、上記構成の筺体21では、窪み26、27a、24aの深さを遮音シート部材101~103の最大厚さ以上に形成しているため、収納空間22を最大限活用することができるとともに、収納空間22にインバータ20を設置する際に遮音シート部材101~103に接触して剥離等が生じることを防止できる。また、上記構成の筺体21では、窪み26、27aが側壁部26、27の開口部側端面に開口しているため、型を用いて第1部材23を成形する際にアンダーカットにならないため、成形が容易になり生産性も向上させることができる。
【0066】
[筺体の第3実施形態]
続いて、筺体の第3実施形態について、図12乃至図15を参照して説明する。
これらの図において、図1乃至図9に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
上記第1実施形態では、対向面を有する側壁部、第1部材の内側に遮音シート部材を設ける構成を例示したが、側壁部、第1部材を振動を打ち消す作用は、遮音シート部材が電子部品と非対向で対向面の裏側である外側に設けられている場合でも発現するため、この構成について説明する。
【0068】
図12は、第3実施形態に係る筺体21を+Z側から視た平面図である。図13は、第3実施形態に係る筺体21を-Y側から視た正面図である。図14は、第3実施形態に係る筺体11を+Z側から視た平面図である。図15は、第3実施形態に係る筺体11を-Y側から視た正面図である。図12乃至図15においては、筺体11、21において外側に遮音シート部材を設ける構成を例示して説明するが、筺体31において外側に遮音シート部材を設けてもよい。
【0069】
図12に示すように、第2部材24は、対向面と裏側のZ方向外側の外側面68aに遮音シート部材106が設けられている。遮音シート部材106と筺体21の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材106の面積は、図3に示した対向面68の面積よりも小さい。遮音シート部材106は、外側面68aにおいて、外側面68aにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材106は、上述したように、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0070】
図13に示すように、第1部材23は、側壁部27のY方向外側の外側面67aに遮音シート部材107が設けられている。遮音シート部材107と筺体21の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材107の面積は、図3に示した対向面67の面積よりも小さい。遮音シート部材107は、外側面67aにおいて、外側面67aにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材107は、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0071】
また、第1部材23は、側壁部26のX方向外側の外側面66aに遮音シート部材108が設けられている。遮音シート部材108と筺体21の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材108の面積は、図4に示した対向面66の面積よりも小さい。遮音シート部材108は、外側面66aにおいて、外側面66aにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材108は、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0072】
図14に示すように、第2部材14は、対向面と裏側のZ方向外側の外側面79Baに遮音シート部材121Bが設けられている。遮音シート部材121Bと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材121Bの面積は、図8に示した対向面79Bの面積よりも小さい。遮音シート部材121Bは、外側面79Baにおいて、外側面79Baにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材121Bは、上述したように、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0073】
図15に示すように、第2部材14は、側壁部17BのY方向外側の外側面77Baに遮音シート部材122Bが設けられている。遮音シート部材122Bと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材122Bの面積は、図8に示した対向面77Bの面積よりも小さい。遮音シート部材122Bは、外側面77Baにおいて、外側面77Baにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材122Bは、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0074】
また、第2部材14は、側壁部16BのX方向外側の外側面76Baに遮音シート部材123Bが設けられている。遮音シート部材123Bと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材123Bの面積は、図9に示した対向面76Bの面積よりも小さい。遮音シート部材123Bは、外側面76Baにおいて、外側面76Baにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材123Bは、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0075】
第1部材13は、側壁部17AのY方向外側の外側面77Aaに遮音シート部材122Aが設けられている。遮音シート部材122Aと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材122Aの面積は、図8に示した対向面77Aの面積よりも小さい。遮音シート部材122Aは、外側面77Aaにおいて、外側面77Aaにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材122Aは、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0076】
また、第1部材13は、側壁部16AのX方向外側の外側面76Aaに遮音シート部材123Aが設けられている。遮音シート部材123Aと筺体11の一部又は全面とは、基部51において接着剤または粘着材又は自己粘着性によって密着している。遮音シート部材123Aの面積は、図9に示した対向面76Aの面積よりも小さい。遮音シート部材123Aは、外側面76Aaにおいて、外側面76Aaにおける各端縁と離間して設けられている。従って、遮音シート部材123Aは、共振部121が設けられて曲げ強度が大きい箇所でも浮き上がり、すなわち貼り付け不良が生じず十分な遮音効果を確保することが可能になる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0078】
例えば、上記実施形態では、対向面が位置する内側または対向面の裏側の外側に遮音シート部材が設けられる構成を例示したが、この構成に限定されず、対向面が位置する内側と対向面の裏側の外側の両方に設けられる構成であってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、対向面が平面である構成を例示したが、この構成に限定されず、滑らかに連続する膨らみや窪み等の曲面に設けられ構成であってもよい。この構成の場合も、曲面同士の交差部や曲面において変曲点を有する箇所から離間して遮音シート部材が設けられることが、遮音シート部材の浮き上がりを回避する観点から好ましい。
【符号の説明】
【0080】
10…駆動電源供給装置(電子部品)、 11、21、31…筺体(電子部品筐体)、 12、22、32…収納空間、 13、23、23A…第1部材、 14…第2部材、 24、24A…第2部材(蓋部材、面部)、 20…インバータ(電子部品)、 30…モータ(電子部品)、 16A、16B、17A、17B、26、26A、27、27A…側壁部(面部)、 51…基部、 66、66A、67、67A、76A、76B、77A、78A、79A、79B…対向面、 101、101A、102、102A、103、103A、104A、104B、105A、105B、106B…遮音シート部材、 121…共振部(凸部)
図1
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