(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/22 20060101AFI20231108BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20231108BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231108BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C08L23/22
C08L65/00
C08K3/013
F16F15/08 D
(21)【出願番号】P 2019175686
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内田 良樹
(72)【発明者】
【氏名】由里 貴史
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-320992(JP,A)
【文献】特開2008-094973(JP,A)
【文献】特開2010-144142(JP,A)
【文献】特開2009-108200(JP,A)
【文献】特開2010-100794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/22
C08L 65/00
F16F 15/00- 15/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチルゴム(A)100重量部に対し、少なくとも、芳香族単量体残基成分が30wt%未満である脂肪族単量体重合系樹脂(B)
10~80重量部、芳香族単量体残基成分が70wt%以上である芳香族単量体重合系樹脂(C)
10~80重量部を含む
ゴム組成物であり、ブチルゴム(A)がイソブチレン-イソプレンゴム、脂肪族単量体重合系樹脂(B)が軟化点90~120℃、重量平均分子量が500~6000の脂肪族系石油樹脂、芳香族単量体重合系樹脂(C)が軟化点100~140℃、重量平均分子量が500~8000の芳香族系石油樹脂である、ことを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
脂肪族単量体重合系樹脂(B)が、
軟化点90~110℃、重量平均分子量600~4000の脂肪族系石油樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
芳香族単量体重合系樹脂(C)が、
軟化点110~140℃、重量平均分子量1000~6000の芳香族系石油樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
ブチルゴム(A)100重量部に対し、さらに無機充填剤(D)5~200重量部を含むものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
無機充填剤(D)が、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ及び水酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなることを特徴とする制振材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブチルゴムに対して、少なくとも特定の脂肪族単量体重合系樹脂と芳香族単量体重合系樹脂を組み合わせて含む新規なゴム組成物に関するものであり、特に、50℃以上の高温領域において、優れた制振性能を発揮しうる新規なゴム組成物及びそれよりなる制振材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車、鉄道車両、住宅設備等の分野において、発生する不要な振動を防止するために、制振ゴムが使用されている。
【0003】
そして、自動車分野においては、エンジンからの振動を抑制するマウント材等として用いられており、近年の高効率化への対応によりエンジン、排気管などはより高熱を発し、これらも高温下での制振性能が求められる。
【0004】
このような要求を満足するものとして、例えばイソブチレン-イソプレン共重合体と、熱可塑性エラストマーからなるゴム成分に水添テルペンフェノール系樹脂を配合した組成物(例えば、特許文献1参照。)、また、イソブチレン-イソプレン共重合体と、ポリスチレン-ビニルポリイソプレンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーに対し、テルペン系樹脂、C5系石油樹脂、または、完全水添石油樹脂から選ばれる少なくとも1種を配合し、広範囲の温度領域で使用可能な制振ゴム(例えば、特許文献2参照。)、さらに、エチレン系共重合物に対し、インデン含有率60~90%の原料油をフェノール化合物の存在下、フリーデルクラフツ触媒を用いて重合してなる軟化点80~115℃の芳香族系石油樹脂を配合し、25℃~40℃で優れた制振性能を示す制振材(例えば、特許文献3参照。)等の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-203894号公報
【文献】特開2010-254923号公報
【文献】特開平6-9853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に提案のいずれの組成物も、近年のより要求の厳しくなる使用環境下における幅広い温度領域での安定した制振性能の発揮には、至っておらず、特に高温領域でより優れた制振性能を発揮しる材料の出現が期待されている。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、高温領域、特に50℃以上の高温領域での制振性能に優れる新規なゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、ブチルゴムに対し、少なくとも特定の脂肪族単量体重合系樹脂と芳香族単量体重合系樹脂を配合することで、高温領域、特に50℃以上の高温領域で優れた制振性能を発揮する新規なゴム組成物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ブチルゴム(A)100重量部に対し、少なくとも、芳香族単量体残基成分が30wt%未満である脂肪族単量体重合系樹脂(B)5~100重量部、芳香族単量体残基成分が70wt%以上である芳香族単量体重合系樹脂(C)5~100重量部を含むことを特徴とするゴム組成物に関するものである。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明のゴム組成物は、ブチルゴム(A)100重量部に対し、少なくとも、芳香族単量体残基成分が30wt%未満である脂肪族単量体重合系樹脂(B)5~100重量部、芳香族単量体残基成分が70wt%以上である芳香族単量体重合系樹脂(C)5~100重量部を含む新規なゴム組成物であり、さらに無機充填剤(D)などを含むものであってもよい。
【0012】
本発明のゴム組成物はブチルゴムを用いてなるものであり、ブチルゴムからなることにより、高温領域での制振性能に優れる新規なゴム組成物を容易に提供することが可能となる。この際のブチルゴムとしては、ブチルゴムと称される範疇に属するものであればよく、例えばポリイソブチレンゴムはもとより、イソブチレン-イソプレンゴム、ハロゲンを導入した塩素化ブチルゴム,臭素化ブチルゴム,使用済みブチルチューブ等を原料として製造されるブチル再生ゴム等が挙げられる。これらは単独で使用しても混合して使用しても良い。特に制振性に優れるゴム組成物となることから、イソブチレン-イソプレンゴムであることが好ましい。
【0013】
本発明のゴム組成物を構成する脂肪族単量体重合系樹脂(B)は、芳香族単量体残基成分が30wt%未満の脂肪族単量体重合系樹脂であり、脂肪族単量体単独重合樹脂又は脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂であってもよい。なお、脂肪族単量体重合系樹脂とは、商業的には(脂肪族系)石油樹脂と称される範疇のものであってもよい。ここで、芳香族単量体残基成分が30wt%以上のものである場合、ゴム成分との相溶性に劣り、低温領域における制振性を付与することが難しく、広い温度領域を有するゴム組成物とすることが困難となる。
【0014】
該脂肪族単量体重合系樹脂(B)を構成する脂肪族単量体としては、脂肪族単量体と称される範疇に属するものであればよく、例えば例えばイソプレン、ピペリレン等の鎖状脂肪族;シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等の環状脂肪族が挙げられる。また、これらは単独で使用しても、混合して使用しても良い。さらに、石油類の熱分解により得られる沸点範囲が20~110℃の留分(C5留分と称する場合もある。)が挙げられる。
【0015】
また、該脂肪族単量体重合系樹脂(B)が脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂である場合の芳香族単量体としては、芳香族単量体と称される範疇に属するものであればよく、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン等のスチレン類;インデン、メチルインデン等のインデン類が挙げられる。また、これらは単独で使用しても、混合して使用しても良い。さらに、石油類の熱分解により得られる沸点範囲が140~280℃の範囲にある留分(C9留分と称することもある。)が挙げられる。
【0016】
また、該脂肪族単量体重合系樹脂(B)の配合量は、ブチルゴム(A)100重量部に対して、5~100重量部、好ましくは10~80重量部である。ここで、5重量部未満である場合、得られる組成物は、制振性の改善効果に乏しいものとなる。一方、100重量部を超える場合、得られる組成物は加工性に劣るものとなる。
【0017】
そして、該脂肪族単量体重合系樹脂(B)としては、特に広い温度領域における制振性改善効果に優れるものとなることから、軟化点が90~120℃、特に90~110℃である脂肪族単量体重合系樹脂であることが好ましい。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPCと記す場合もある)を用い、標準ポリスチレン換算値として測定した際の重量平均分子量(Mwと記す場合もある)が500~6000、特に600~4000であるものが好ましい。
【0018】
本発明のゴム組成物を構成する芳香族単量体重合系樹脂(C)は、芳香族単量体残基成分が70wt%を越える芳香族単量体重合系樹脂であり、芳香族単量体単独重合樹脂又は脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂であってもよい。なお、脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂とは、商業的には(芳香族系)石油樹脂と称される範疇のものであってもよい。ここで、芳香族単量体残基成分が70wt%以下のものである場合、高温領域における制振性を付与することが難しく、高温領域の制振性に優れるゴム組成物とすることが困難となる。
【0019】
該芳香族単量体重合系樹脂(C)を構成する芳香族単量体及び脂肪族単量体としては、上記脂肪族単量体重合系樹脂(B)の例示と同様のものを挙げることができる。
【0020】
また、該芳香族単量体重合系樹脂(C)の配合量は、ブチルゴム(A)100重量部に対して、5~100重量部、好ましくは10~80重量部である。ここで、5重量部未満である場合、得られる組成物は、制振性の改善効果に乏しいものとなる。一方、100重量部を超える場合、得られる組成物は加工性に劣るものとなる。
【0021】
そして、該芳香族単量体重合系樹脂(C)としては、高温時おける制振性の改善効果に優れるものとなることから、軟化点100~140℃、特に110~140℃である芳香族単量体重合系樹脂であることが好ましい。また、GPCを用い、標準ポリスチレン換算値として測定した際のMwが500~8000、特に1000~6000であることが好ましい。
【0022】
そして、本発明のゴム組成物は、ブチルゴム(A)に対して、該脂肪族単量体重合系樹脂(B)と該芳香族単量体重合系樹脂(C)を組み合わせて配合することにより、高温領域、特に50℃以上の高温領域で優れた制振性を発揮するものとなる。
【0023】
なお、該脂肪族単量体重合系樹脂(B)及び該芳香族単量体重合系樹脂(C)の製造方法としては如何なる方法を用いてもよく、上記例示した脂肪族単量体、芳香族単量体、その混合物等を用い、重合触媒により重合反応を行う方法を挙げることができる。この際の重合触媒としては、特に限定はなく、例えば三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素あるいはその錯体等を挙げることが出来る。
【0024】
本発明のゴム組成物は、ブチルゴム(A)に対し、脂肪族単量体重合系樹脂(B)および芳香族単量体重合系樹脂(C)に加えて、さらに無機充填剤(D)を配合することができる。
【0025】
本発明のゴム組成物は、強度、耐久性、加工性に優れるものとなることから無機充填剤(D)を含むものであることが好ましい。この際の無機充填材としては、ゴムに一般的に配合されるものを挙げることが出来、例えばカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。また、これら無機充填剤は、単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。その際の無機充填剤(D)の配合量は、ブチルゴム(A)に対し、5~300重量部、特に10~200重量部であることが好ましい。
【0026】
さらに、本発明のゴム組成物は、架橋剤を配合することができる。この際の架橋剤としては、特に限定されるものではなく、例えば硫黄、アルキルフェノール系樹脂、キノイド系架橋剤、チウラム系架橋剤などが挙げられる。また、架橋剤とともに架橋促進剤を配合することができ、架橋促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えばチアゾール系、チウラム系、チオウレア系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸系、グアニジン系および、これらの混合系などの架橋促進剤が挙げられる。
【0027】
本発明のゴム組成物には、さらに、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸などを適宜選択して、通常の配合量の範囲内で使用することができる。
【0028】
そして、本発明のゴム組成物は、上記ブチルゴム(A)、脂肪族単量体重合系樹脂(B)及び芳香族単量体重合系樹脂(C)、さらに場合によって、無機充填材(D)、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、バンバリー型ミキサー、加圧ニーダー、オープンロールなどの混合方法を用いて混合し得ることができる。さらに、得られた未加硫配合物は、例えば、カレンダー、ロール、押し出し機等を利用して、シート状に成型した後、熱媒体中で架橋することにより加硫ゴム組成物として製造することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ブチルゴムに対して、芳香族単量体残基成分30wt%未満を含む脂肪族単量体重合系樹脂および、芳香族単量体残基成分70wt%以上を含む芳香族単量体重合系樹脂のそれぞれを特定量配合することで、高温領域、特に50℃以上の高温領域において、優れた制振性能を発揮する制振材用のゴム組成物を提供することが可能となる。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において用いた原料、分析、試験法は下記の通りである。
【0031】
1.原料
1)樹脂原料
ジシクロペンタジエン:富士フィルム和光純薬製試薬。
スチレン:富士フィルム和光純薬製試薬。
インデン:富士フィルム和光純薬製試薬。
トルエン:富士フィルム和光純薬製試薬、超脱水グレード。
ペンタン:富士フィルム和光純薬製試薬。
イソプレン:富士フィルム和光純薬製試薬。
ピペリレン:富士フィルム和光純薬製試薬。
ジシクロペンタジエン:富士フィルム和光純薬製試薬。
所定の組成となるように重合に用いる原料を調製した。原料の組成を表1、2に示す。なお、表2中のDCPDはジシクロペンタジエンの略記である。
シクロペンタジエンはジシクロペンタジエンを200℃熱分解し使用した。
重合触媒:三フッ化ホウ素ブタノール(ステラケミファ製)。
重合触媒:三フッ化ホウ素フェノール(ステラケミファ製)。
【0032】
2)ゴム組成物原料
ブチルゴム:JSR社製 (商品名)BUTYL268。
カーボンブラック:旭カーボン社製 (商品名)旭#70。
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製、重質炭酸カルシウム。
プロセスオイル:出光興産社製、(商品名)ダイアナプロセスオイルAH-16。
酸化亜鉛:堺化学工業製。
ステアリン酸:キシダ化学社製。
硫黄:鶴見化学工業社製 (商品名)サルファックス5。
加硫促進剤(MBTS):大内新興化学工業社製 (商品名)ノクセラーDM-P。
加硫促進剤(TMTD):大内新興化学工業社製 (商品名)ノクセラーTT-P。
【0033】
2.分析方法
<脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂中の芳香族単量体残基成分含量>
JIS K-0114(2000年)に準拠してガスクロマトグラフ法により重合前後の油中のモノマー量の測定を行い、モノマー転化率より共重合組成を算出し、芳香族単量体残基成分の算出を行った。
【0034】
<軟化点>
JIS K-2207に従って測定。
【0035】
<平均分子量>
標準ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0036】
<制振性>
粘弾性測定装置(ユービーエム社製、(商品名)Rheogel E-4000)を使用し、周波数10Hzでtanδを測定し、50℃、75℃の値を制振性の指標とした。この値が大きい程、制振性が良好であると判断した。
【0037】
製造例1(原料油の調製)
市販の原料を用いて所定の濃度に調製し、芳香族単量体の混合物(混合油)として芳香族油A,芳香族油B、脂肪族単量体の混合物(混合油)として脂肪族油A,脂肪族油Bを調製した。芳香族油A,Bの組成を表1に示す。脂肪族油A,Bの組成を表2に示す。
【0038】
【0039】
【0040】
製造例2(脂肪族単量体単独重合樹脂、芳香族単量体単独重合樹脂、脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂の製造)
下記に示す方法により、芳香族油A,芳香族油B,脂肪族油A,脂肪族油Bを用い、脂肪族単量体単独重合樹脂A(以下、樹脂Aと記す)、脂肪族単量体-芳香族単量体共重合樹脂B~D、F、G(以下、単に樹脂B~D、F,Gと記す。)、芳香族単量体単独重合体樹脂E(以下、樹脂Eと記す。)のそれぞれを製造した。
【0041】
内容積2リットルのガラス製オートクレーブに表2に示す脂肪族油A:500gを仕込んだ。次に、窒素雰囲気下で85℃に加熱した後、フリーデルクラフツ型触媒として三フッ化ホウ素ブタノール錯体(ステラケミファ製)を原料油100重量部に対して、0.8重量部を加えて40℃で2時間重合した。苛性ソーダ水溶液を添加した後、水相を除去した。
【0042】
そして、窒素導入管、温度計および脱気管が付いた0.5リットルセパラブルフラスコに得られた油相400gを添加した。窒素導入管より7ml/分の流速で窒素を導入し、30分かけて220℃に昇温した後、更に30分加熱し未反応油の蒸留除去を行い樹脂Aを得た。得られた樹脂Aの物性を表4に示す。
【0043】
芳香族油A,芳香族油B,脂肪族油A,脂肪族油Bの配合割合、重合条件を表3に示す通りとした以外は、樹脂Aと同様の方法にて、樹脂B~Gのそれぞれを得た。それぞれの物性を表4に示す。
【0044】
【0045】
【0046】
実施例1
ブチルゴム100重量部に対し、樹脂A50重量部、樹脂B30重量部、カーボンブラック40重量部、炭酸カルシウム10重量部、プロセスオイル10重量部、酸化亜鉛3重量部、ステアリン酸1重量部を、バンバリーミキサー(東洋精機製(商品名)BR600)にて、混練りした。続いて硫黄1.5重量部、加硫促進剤(MBTS)1重量部を添加し、仕上げ練りを行った後、8インチロールを用いてシーティングして未加硫ゴム組成物を得た。
【0047】
更に蒸気加熱プレスを用い、加硫温度150℃、加硫時間30分で加硫し加硫ゴム組成物を作製し、粘弾性試験(制振性試験)を行った。その結果を表5に示す。
【0048】
実施例2~5
ゴム組成物の配合剤及び配合量を表5に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法にて、未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を製造し、その評価を行った。その結果を表5に示す。
【0049】
【0050】
比較例1~3
ゴム組成物の配合剤及び配合量を表5に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法にて、未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を製造し、その評価を行った。その結果を表5に示す。
【0051】
得られたゴム組成物は、50℃~75℃の高温領域における制振性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の新規なゴム組成物は、50℃以上の高温領域で制振性能に優れるものであり、制振性が要求される分野の製品や部材などに好適に使用できる。