(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】液位計測装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/18 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
G01F23/18
(21)【出願番号】P 2019218866
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】三輪 昌之
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-160084(JP,A)
【文献】特開2001-330496(JP,A)
【文献】特開平7-243893(JP,A)
【文献】特開昭55-22125(JP,A)
【文献】実開平4-389(JP,U)
【文献】特開平7-324964(JP,A)
【文献】特開2000-88629(JP,A)
【文献】特開2003-254847(JP,A)
【文献】独国実用新案第20011284(DE,U1)
【文献】中国特許出願公開第109000758(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00,23/14-23/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に導圧管接続部を有し、後端側に圧力センサ設置部を有し、後端面から該導圧管接続部の先端面まで貫通する第1導圧孔を有したベースブロックと、
該導圧管接続部に接続された導圧管と、
該ベースブロックの後端面に設置されており、該第1導圧孔に臨む第1圧力センサを有した圧力センサユニットと
を有する液位計測装置
であって、
前記導圧管はチューブであり、
該チューブの基端部が前記導圧管接続部に外嵌しており、
該導圧管接続部の外周面と導圧管の内周面との間がシール部材によってシールされており、
前記チューブが挿通された保護管を備えており、
該保護管の基端が前記ベースブロックに固定されている液位計測装置。
【請求項2】
前記ベースブロックは、後端面と先後方向の途中部分とを連通する第2導圧孔を備えており、
前記センサユニットは、該第2導圧孔に臨む第2圧力センサを有する請求項1の液位計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液タンクなどのタンク内の液位を計測する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内の液位を検出する液面計として、特許文献1には、タンク内に上方から下方にパイプを差し込み、該パイプ内の空気圧を検出して液位を計測する空気圧式液面計が記載されている。
【0003】
特許文献2には、導圧管の一端を貯留水に浸漬し、該導圧管の他端を圧力センサの圧力ポートに接続し、該導圧管内の封入気体圧力の検出値に基づいて液位を計測する液位計測装置が記載されている。
【0004】
圧力センサと、チューブやパイプなどの導圧管とを取り付けるために、従来は、ねじ継手、フランジ、ヘルール、食い込み継手、ワンタッチ継手など継手類を用いるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-156835号公報
【文献】特開平5-248918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサは数mm角の小型なものである。一方、導圧管として使用されるチューブやパイプは、導圧が目的であることから、内径4mm~25mm程度のものが多く用いられる。チューブやパイプの継手は、流れる流体の圧力に耐えるように、管体内径に対して2倍程度の大きさになることが多い。
【0007】
継手と圧力センサとを接続する部分は、数mm角の圧力センサを取り付けるために特殊なアダプタが必要である。
【0008】
このように、圧力センサ、アダプタ、管用継手、及び導圧管を接続した液位計測装置は、長さ及び径が大きく、また、部品の増加、組み立て工数の増加により価格が高くなる。さらに、接続部分からの漏れなどのトラブルも増加し易い。
【0009】
本発明は、小型で製作コストも安価となる液位計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液位計測装置は、先端側に導圧管接続部を有し、後端側に圧力センサ設置部を有し、後端面から該導圧管接続部の先端面まで貫通する第1導圧孔を有したベースブロックと、該導圧管接続部に接続された導圧管と、該ベースブロックの後端面に設置されており、該第1導圧孔に臨む第1圧力センサを有した圧力センサユニットとを有する。
【0011】
本発明の一態様では、前記導圧管はチューブであり、該チューブの基端部が前記導圧管接続部に外嵌しており、該導圧管接続部の外周面と導圧管の内周面との間がシール部材によってシールされている。
【0012】
本発明の一態様では、前記チューブが挿通された保護管を備えており、該保護管の基端が前記ベースブロックに固定されている。
【0013】
本発明の一態様では、前記ベースブロックは、後端面と先後方向の途中部分とを連通する第2導圧孔を備えており、前記センサユニットは、該第2導圧孔に臨む第2圧力センサを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液位計測装置にあっては、ベースブロックがセンサユニットよりも若干大きい程度の径を有した小型のもので足りる。本発明の一態様では、圧力センサが導圧孔内に差し込まれ、圧力センサと導圧孔内周面との間をシールすると共に、導圧管接続部と導圧管との間をOリング等でシールすることにより、導圧孔を介して圧力を検出できるようにしているので、シール構造が簡易であり、製作が容易である。また、導圧管と導圧管接続部との接続構造が簡易であり、これによっても製作が容易で製作コストが安価となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る液位計測装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1を参照して実施の形態に係る液位計測装置1について説明する。
【0017】
この液位計測装置1は、チューブ2及び保護管3が接続された略々円柱形状のベースブロック10と、該ベースブロック10の基端側の端面に配置された圧力センサユニット20とを有する。チューブ2及び保護管3の下端は開放している。
【0018】
ベースブロック10は、先端側に小径円筒形のノズル部(導圧管接続部)11が設けられており、該ノズル部11に導圧管としてのチューブ2の基端が外嵌されている。
【0019】
ノズル部11の外周面にOリング装着用の溝12が設けられ、該溝12にOリング13が装着されている。このOリング13によってノズル部11の外周面とチューブ2の内周面との間が気密に封じられている。
【0020】
ノズル部11に引き続く部分が、ノズル部11よりも径の大きい中径部14となっており、該中径部14の外周面に雄螺子が設けられている。保護管3の基端側の内周面に設けられた雌螺子と該雄螺子とを螺合させることにより、保護管3の基端側がベースブロック10に固定状に取り付けられている。
【0021】
チューブ2は、気体透過性の少なく耐薬品性の高いポリエチレン樹脂製が好ましいが、その他の可撓性を有する樹脂製であってもよい。
【0022】
保護管3は、金属、硬質な合成樹脂(例えば塩化ビニル等)よりなる直管である。保護管3内にチューブ2が挿通されている。保護管3の長さはチューブ2と略同一か、又はそれよりも若干長いものとなっている。
【0023】
ベースブロック10の基端側は大径部16となっている。中径部14と大径部16との間に溝15が周設されている。大径部16の外周面に雄螺子が設けられている。この雄螺子に螺合したナット(図示略)により、ベースブロック10の基端側及びセンサユニット20を覆うカバー(図示略)がベースブロック10に固定状に取り付けられる。
【0024】
ベースブロック10の軸心部に第1導圧孔17が貫設されている。第1導圧孔17は、ベースブロック10の基端面からノズル部11の先端面まで貫通している。
【0025】
第1導圧孔17と平行に第2導圧孔18が設けられている。第2導圧孔18は、ベースブロック10の基端面から溝15まで貫通している。
【0026】
ベースブロック10の基端面に凹部19が設けられ、該凹部19内に圧力センサユニット20が配置されている。圧力センサユニット20は基板23と、該基板23上に設置された第1圧力センサ21及び第2圧力センサ22等を有する。第1圧力センサ21は第1導圧孔17内に入り込むように配置され、第2圧力センサ22は第2導圧孔18に入り込むように配置されている。第1圧力センサ21と第1導圧孔17の内周面との間、第2圧力センサ22と第2導圧孔18の内周面との間は、それぞれOリング等のシール部材(図示略)によって気密に封じられている。
【0027】
各圧力センサ21,22は絶対圧センサであり、第1圧力センサ21が第1導圧孔17を介してチューブ2内の絶対圧を検出し、第2圧力センサ22が第2導圧孔18を介して大気の絶対圧を検出する。
【0028】
このベースブロック10に前述の通りチューブ2及び保護管3が接続され、チューブ2の少なくとも先端側がタンク内等の貯留水に浸漬される。第1圧力センサ21で検出されるチューブ2内の気体の絶対圧と、第2圧力センサ22で検出される大気絶対圧との差に基づいてタンク内等の液位が算出される。
【0029】
なお、センサユニット20にサーミスタ等の温度センサを設けておき、温度によって検出圧力を補正し、補正圧力に基づいて液位を算出するようにしてもよい。
【0030】
この液位計測装置にあっては、ベースブロック10がセンサユニット20よりも若干大きい程度の径を有した小型のもので足りる。また、圧力センサ21,22がそれぞれ導圧孔17,18内に差し込まれ、圧力センサと導圧孔内周面との間をシールすると共に、ノズル部11とチューブ2との間をOリング13でシールすることにより、チューブ2内の圧力及び大気圧を検出できるようにしているので、シール構造が簡易であり、製作が容易である。また、チューブ2とノズル部11との接続構造が簡易であり、これによっても製作が容易で製作コストが安価となる。
【0031】
なお、保護管3をチューブ2と同程度の長さとすることにより、チューブ2の先端(下端)をタンク内の規定位置(規定高さ)に配置させるように液位計測装置をタンクに設置することができる。これにより、高精度にタンク内の液位を計測することができる。また、チューブがタンク内で浮き上がるように変形したり移動したりすることが保護管3によって防止されるので、精度よく液位を計測することができる。
【0032】
上記実施の形態では、導圧管として可撓性を有したチューブ2が用いられているが、金属、硬質な合成樹脂等よりなるパイプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 液位計測装置
2 チューブ
3 保護管
10 ベースブロック
11 ノズル部
13 Oリング
17 第1導圧孔
18 第2導圧孔
19 凹部
20 センサユニット
21 第1圧力センサ
22 第2圧力センサ