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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20231108BHJP
   C09K 19/02 20060101ALI20231108BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20231108BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20231108BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20231108BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231108BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
G02F1/1347
C09K19/02
C09K19/54 B
G02F1/13 500
G02F1/137
G02F1/1335
G02F1/1343
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019236847
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105662
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 源基
(72)【発明者】
【氏名】野中 祐貴
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-123822(JP,A)
【文献】特開平07-028022(JP,A)
【文献】特開2007-148232(JP,A)
【文献】特開2007-219403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103353689(CN,A)
【文献】国際公開第2005/080529(WO,A1)
【文献】特開2013-054071(JP,A)
【文献】特開昭61-213803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343-1/1347
G02F 1/13
G02F 1/133-1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コレステリック液晶層と、前記第1コレステリック液晶層と積層された第2コレステリック液晶層とを有し、
第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層は、選択反射波長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を含み、
前記第1コレステリック液晶層と前記第2コレステリック液晶層とは、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向が異なる液晶表示装置であって、
前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、対向する二枚の透明基板間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の前記第2コレステリック液晶層側に配置された透明基板と、前記第2コレステリック液晶層の前記第1コレステリック液晶層側に配置された透明基板とに接して透明接着層が設けられ、
前記透明接着層と、前記透明接着層に接している透明基板との25℃での屈折率の差が0.12以下であり、前記第1コレステリック液晶層の25℃での選択反射波長の中心波長と、前記第2コレステリック液晶層の25℃での選択反射波長の中心波長の差が、0~30nmの範囲内である液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、前記コレステリック液晶組成物と接する側の面に画素電極が設けられた透明基板からなる画素電極基板と、前記コレステリック液晶組成物と接する側の面に共通電極が設けられた透明基板からなる共通電極基板との間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の画素電極と、前記第2コレステリック液晶層の画素電極とは、平面視で第1方向の位置ずれと、前記第1方向と直交する第2方向の位置ずれとの合計が、60μm以下である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記コレステリック液晶組成物が、誘電的に正の液晶化合物を含有する請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記コレステリック液晶組成物が、誘電的に中性の液晶化合物を含有する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記光学活性化合物が、ビナフチルキラル化合物である請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、螺旋状の分子配列を形成するコレステリック(カイラルネマチック)液晶組成物がある。コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置は、入射光を反射するプレーナ状態と、入射光を透過するフォーカルコニック状態の二つの状態が、無電界下で安定して保持される双安定性を有する。このため、特に、低消費電力を要求される電子書籍、電子値札、プレゼンテーションパネルなどに好ましく用いられている。
【0003】
コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置がプレーナ状態であるとき、コレステリック液晶組成物の螺旋軸は、コレステリック液晶組成物を挟持する基板に垂直な状態となっている。そして、液晶表示装置に入射した入射光のうち、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分であって、波長が螺旋の周期と同じ光のみが反射(選択反射)される。
【0004】
選択反射される波長(λ)は、コレステリック液晶組成物の平均屈折率(n)と、コレステリック液晶組成物の螺旋の周期である液晶ピッチ長(P)との積によって決定される。したがって、選択反射される波長(λ)は、液晶ピッチ長(P)に依存して変化する。液晶ピッチ長(P)は、コレステリック液晶組成物中のカイラルドーパントの種類および濃度を変化させることによって調整できる。したがって、コレステリック液晶組成物中のカイラルドーパントの種類および濃度を変化させることにより、選択反射波長を調整できる。
【0005】
液晶表示装置に用いられる液晶組成物としては、例えば、特許文献1~特許文献5に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-95668号公報
【文献】特開2004-83568号公報
【文献】特開2003-105338号公報
【文献】特開2010-275463号公報
【文献】特開2019-123822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置の選択反射波長には、温度依存性がある。これはコレステリック液晶組成物の螺旋の巻きの強さ(螺旋の周期(キラルピッチ長))が、温度によって変化するためである。したがって、コレステリック液晶組成物を用いた従来の液晶表示装置は、使用環境の温度が変化すると、選択反射波長が変化して、表示される色味が変化してしまうという不都合がある。
【0008】
また、コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置では、プレーナ状態であるとき、液晶のピッチ長と液晶の平均屈折率との積に相当する波長の入射光のうち、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と逆の回転方向の円偏光成分は、そのままとおり抜ける。すなわち、コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置では、液晶のピッチ長と液晶の平均屈折率との積に相当する波長の入射光のうち、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分しか、反射光として取り出すことができない。その結果、コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置では、明るさが不足する場合があり、明るさを向上させることが要求されている。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、コレステリック液晶組成物を用いた液晶表示装置であって、環境温度が異なることによる色味の差が小さく、かつ入射光の反射率の高い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 第1コレステリック液晶層と、前記第1コレステリック液晶層と積層された第2コレステリック液晶層とを有し、
第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層は、選択反射波長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を含み、
前記第1コレステリック液晶層と前記第2コレステリック液晶層とは、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向が異なる液晶表示装置。
【0011】
[2] 前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、対向する二枚の透明基板間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の前記第2コレステリック液晶層側に配置された透明基板と、前記第2コレステリック液晶層の前記第1コレステリック液晶層側に配置された透明基板とに接して透明接着層が設けられ、
前記透明接着層と、前記透明接着層に接している透明基板との25℃での屈折率の差が0.12以下である[1]に記載の液晶表示装置。
【0012】
[3] 前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、対向する二枚の透明基板間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の前記第2コレステリック液晶層側に配置された透明基板と、前記第2コレステリック液晶層の前記第1コレステリック液晶層側に配置された透明基板とが、接している[1]に記載の液晶表示装置。
【0013】
[4] 前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、対向する二枚の透明基板間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の前記第2コレステリック液晶層側に配置された透明基板が、前記第2コレステリック液晶層の前記第1コレステリック液晶層側に配置された透明基板を兼ねている[1]に記載の液晶表示装置。
【0014】
[5] 前記第1コレステリック液晶層および前記第2コレステリック液晶層はそれぞれ、前記コレステリック液晶組成物と接する側の面に画素電極が設けられた透明基板からなる画素電極基板と、前記コレステリック液晶組成物と接する側の面に共通電極が設けられた透明基板からなる共通電極基板との間に前記コレステリック液晶組成物が挟持されてなり、
前記第1コレステリック液晶層の画素電極と、前記第2コレステリック液晶層の画素電極とは、平面視で第1方向の位置ずれと、前記第1方向と直交する第2方向の位置ずれとの合計が、60μm以下である[1]~[4]のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0015】
[6] 前記第1コレステリック液晶層の25℃での選択反射波長の中心波長と、前記第2コレステリック液晶層の25℃での選択反射波長の中心波長の差が、0~30nmの範囲内である[1]~[5]のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0016】
[7] 前記コレステリック液晶組成物が、誘電的に正の液晶化合物を含有する[1]~[6]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[8] 前記コレステリック液晶組成物が、誘電的に中性の液晶化合物を含有する[1]~[7]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[9] 前記光学活性化合物が、ビナフチルキラル化合物である[1]~[8]のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液晶表示装置は、第1コレステリック液晶層と、前記第1コレステリック液晶層と積層された第2コレステリック液晶層とを有し、第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層は、選択反射波長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を含む。このため、本発明の液晶表示装置は、環境温度が異なることによる色味の差が小さい。
【0018】
また、本発明の液晶表示装置は、第1コレステリック液晶層と第2コレステリック液晶層の螺旋ねじれ方向が異なる。このため、プレーナ状態であるとき、液晶表示装置に入射した入射光のうち、第1コレステリック液晶層のコレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分は、第1コレステリック液晶層によって反射される。そして、第1コレステリック液晶層のコレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と逆の回転方向の円偏光成分は、第2コレステリック液晶層によって反射される。したがって、本発明の液晶表示装置では、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分だけでなく、逆の回転方向の円偏光成分も反射光として取り出すことができる。その結果、本発明の液晶表示装置は、例えば、第1コレステリック液晶層と第2コレステリック液晶層のうち一方のみを、1層以上有する場合と比較して、入射光の反射率が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。
図2図2は、図1に示した液晶表示装置の画素電極のみを拡大して示した平面図である。
図3図3は、第2実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。
図4図4は、第3実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の液晶表示装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。このため、各構成要素の寸法比率などは、実際とは異なっている場合がある。
【0021】
<第1実施形態>
[液晶表示装置]
図1は、第1実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。図2は、図1に示した液晶表示装置の画素電極のみを拡大して示した平面図である。
本実施形態の液晶表示装置10は、図1に示すように、第1コレステリック液晶層1と、第1コレステリック液晶層1と積層された第2コレステリック液晶層2とを有する。
【0022】
第1コレステリック液晶層1は、対向する二枚の透明基板31a、31b間に第1コレステリック液晶組成物21(以下、「第1液晶組成物」という場合がある。)が挟持されてなる。二枚の透明基板31a、31bのうち、図1において上側に配置された透明基板31aは、第1液晶組成物21と接する側の面に共通電極41aが設けられた共通電極基板である。また、二枚の透明基板31a、31bのうち、図1において下側に配置された透明基板31bは、第1液晶組成物21と接する側の面に複数の画素電極41bが設けられた画素電極基板である。画素電極41bの第1液晶組成物21側には、配向膜(不図示)が設けられている。
【0023】
第2コレステリック液晶層2は、対向する二枚の透明基板32a、32b間に第2コレステリック液晶組成物22(以下、「第2液晶組成物」という場合がある。)が挟持されてなる。二枚の透明基板32a、32bのうち、図1において上側に配置された透明基板32aは、第2液晶組成物22と接する側の面に共通電極42aが設けられた共通電極基板である。また、二枚の透明基板32a、32bのうち、図1において下側に配置された透明基板32bは、第2液晶組成物22と接する側の面に複数の画素電極42bが設けられた画素電極基板である。画素電極42bの第2液晶組成物22側には、配向膜(不図示)が設けられている。
【0024】
第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2の有する透明基板31a、31b、32a、32bとしては、従来公知のものを用いることができる。例えば、透明基板31a、31b、32a、32bとしては、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルム、ガラスなどからなる透明なシート状のものを用いることができる。
【0025】
第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2の有する共通電極41a、42aとしては、銀、銅、アルミニウムなどの金属、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムなどの金属酸化物など従来公知の材料からなるものを用いることができる。
第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2の有する画素電極41b、42bとしては、銀、銅、アルミニウムなどの金属、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムなどの金属酸化物など従来公知の材料からなるものを用いることができる。
【0026】
第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2の有する配向膜としては、ポリイミド膜などで形成された従来公知のものを用いることができる。配向膜は、ホモジニアス配向膜であってもよいし、ホメオトロピック配向膜であってもよいし、ホモジニアス配向膜とホメオトロピック配向膜とを組み合わせて使用してもよい。具体的には、例えば、本実施形態の液晶表示装置10における第1コレステリック液晶層1の共通電極41a上に、ホメオトロピック配向膜を設け、透明基板31bおよび画素電極41b上に、ホモジニアス配向膜を設けてもよい。また、第2コレステリック液晶層2の共通電極42a上に、ホメオトロピック配向膜を設け、透明基板32bおよび画素電極42b上に、ホモジニアス配向膜を設けてもよい。
【0027】
図2に示すように、液晶表示装置10の平面視において、第1コレステリック液晶層1の画素電極41b、第2コレステリック液晶層2の画素電極42bは、四角形状を有しており、その寸法は、画面サイズおよび解像度に応じて適宜決定できる。
例えば、画面サイズが対角8インチ、解像度162ppiである場合、画素電極41b、42の長さは122μm~147μm、幅は122μm~147μmであることが好ましく、画素電極41b、42が正方形である場合、一辺の長さは122μm~147μmであることが好ましい。
例えば、画面サイズが対角12インチ、解像度106ppiである場合、画素電極41b、42の長さは205μm~225μm、幅は205μm~225μmであることが好ましく、画素電極41b、42が正方形である場合、一辺の長さは205μm~225μmであることが好ましい。
例えば、画面サイズが対角4インチ、解像度318ppiである場合、画素電極41b、42の長さは70μm~90μm、幅が70μm~90μmであることが好ましく、画素電極41b、42が正方形である場合、一辺の長さが長さが70μm~90μmであることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、第1コレステリック液晶層1の画素電極41bと、第2コレステリック液晶層2の画素電極42bとは、平面視でX方向(第1方向)の位置ずれdxと、第X方向と直交するY方向(第2方向)の位置ずれdyとの合計(dx+dy)が、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、合計(dx+dy)が小さいほど好ましい。上記の位置ずれの合計(dx+dy)が、60μm以下であると、上記の位置ずれに起因する視認性の劣化を抑制でき、視認性の良好な表示ができる液晶表示装置10となる。
【0029】
第1コレステリック液晶層1の第2コレステリック液晶層2側(図1においては下側)に配置された透明基板31b(画素電極基板)と、第2コレステリック液晶層2の第1コレステリック液晶層1側に配置された透明基板32a(共通電極基板)とに接して透明接着層5が設けられている。
透明接着層5としては、例えば、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの透明樹脂(OCR(Optical Clear Resin))を含む粘着剤の硬化物、透明樹脂フィルムの両面にシリコーンエラストマーなどの透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))層が設けられた透明なシート状のものなどを用いることができる。
【0030】
透明接着層5は、透明接着層5に接している透明基板31b、32aとの25℃での屈折率の差が0.12以下のものであることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。上記の屈折率の差が0.12以下であると、第1コレステリック液晶層1を通過し、透明接着層5を介して第2コレステリック液晶層2に入射する光、および第2液晶組成物22に反射されて、透明接着層5を介して第1コレステリック液晶層1に入射する光が、透明接着層5に入射および出射しやすいものとなる。その結果、液晶表示装置10に入射した光のうち、透明接着層5を通過させることによって液晶表示装置10から取り出せなくなる光の割合が少なくなり、より一層入射光の反射率が高いものとなる。
【0031】
これに対し、例えば、透明接着層5が設けられておらず、第1コレステリック液晶層1の第2コレステリック液晶層2側に配置された透明基板31bと、第2コレステリック液晶層2の第1コレステリック液晶層1側に配置された透明基板32aとが接して配置されている場合、透明基板31bと透明基板32aの一部が密着せず、透明基板31bと透明基板32aとの間に隙間が形成される場合がある。隙間には、透明基板31b、32aとの屈折率の差が大きい物質である空気(25℃での屈折率約1.0)が存在する。したがって、透明基板31b、32aと隙間(空気)との界面で屈折し、液晶表示装置10から取り出せる光が減少して、液晶表示装置10の反射率を低下させる恐れがある。
【0032】
図1に示す液晶表示装置10では、第2コレステリック液晶層2の第1コレステリック液晶層1と反対側には、光吸収層6が配置されている。光吸収層6は、第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2を通過した光を吸収する。光吸収層6が設けられていることにより、第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2を通過した光が吸収されるため、より良好な視認性が得られる。光吸収層6は、従来公知の材料を用いて、従来公知の方法により形成できる。
【0033】
図1に示す液晶表示装置10では、第1コレステリック液晶層1の25℃での選択反射波長の中心波長と、第2コレステリック液晶層2の25℃での選択反射波長の中心波長との差が、0~30nmの範囲内であることが好ましく、0~20nmの範囲内であることがより好ましい。言い換えると、第1液晶組成物21と第2液晶組成物22とは、平均屈折率(n)および液晶ピッチ長(P)の積の値が近いことが好ましい。
本実施形態において、第1コレステリック液晶層1(または第2コレステリック液晶層2)の25℃での選択反射波長の中心波長とは、選択反射波長の最大反射率と最小反射率との中間の反射率を示した最大波長と最小波長の平均値を意味する。
【0034】
上記の25℃での選択反射波長の中心波長の差が、30nm以下であると、液晶表示装置10に入射して、第1液晶組成物21によって反射された光と、第2液晶組成物22によって反射された光との色の差が僅かとなり、波長分布が狭く色純度の高い反射光が高い反射率で得られる。
【0035】
図1に示す液晶表示装置10では、第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2とでは、コレステリック液晶組成物の螺旋ねじれ方向が逆方向となっている。
第1コレステリック液晶層1の第1液晶組成物21の螺旋ねじれ方向、および第2コレステリック液晶層2の第2液晶組成物22の螺旋ねじれ方向は、第1液晶組成物21および第2液晶組成物22にそれぞれ含まれる光学活性化合物の種類によって決定される。
【0036】
本実施形態の液晶表示装置10において、第1コレステリック液晶層1に含まれる第1液晶組成物21、および第2コレステリック液晶層2に含まれる第2液晶組成物22は、液晶ピッチ長(キラルピッチ長)の温度依存性による選択反射波長の温度依存性(波長変化)がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有する。このため、本実施形態の液晶表示装置10は、環境温度が異なることによる色味の差が小さい。
【0037】
本実施形態の液晶表示装置10において、第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2は、選択反射波長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有することにより、0~50℃の温度範囲での選択反射波長の温度依存性が0.3nm/℃以下とされたものであることが好ましく、0.25nm/℃以下であることがより好ましく、0.2nm/℃以下であることがさらに好ましく、小さいほどよい。ここでの0~50℃の温度範囲での選択反射波長の温度依存性とは、0~50℃の温度範囲における選択反射光の波長の最大値と最小値との差を温度範囲で割った値を意味する。
【0038】
本実施形態の液晶表示装置10において、上記の第1コレステリック液晶層1における選択反射波長の温度依存性と、上記の第2コレステリック液晶層2における選択反射波長の温度依存性との差は、0.15nm/℃以下であることが好ましく、0.125nm/℃以下であることがより好ましく、さらに0.1nm/℃以下であることが好ましく、小さいほどよい。第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2との選択反射波長の温度依存性の差が小さいと、環境温度に関わらず第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2が近い波長の選択反射光を発現する。このため、入射光の反射率が高く、しかも色純度が高い反射光が得られる。
【0039】
本実施形態の液晶表示装置10では、例えば、第1コレステリック液晶層1側の面を表示面とし、第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2がプレーナ(planar)状態であるときを明状態とし、フォーカルコニック(focal conic)状態であるときを暗状態として利用する場合を例に挙げて説明する。図1に示す液晶表示装置10では、プレーナ状態とフォーカルコニック状態の二つの状態を、無電界下で安定して保持できる。したがって、本実施形態の液晶表示装置10は、メモリ性を有する。
【0040】
本実施形態の液晶表示装置10において、プレーナ状態とフォーカルコニック状態との切り替えは、第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2に、それぞれ共通電極41a、42aおよび画素電極41b、42bを用いて、電圧を印加した状態または電圧を印加しない状態とすることによって行われる。共通電極41a、42aおよび画素電極41b、42bへの通電は、図示しない駆動回路によって制御されている。
【0041】
本実施形態では、第1コレステリック液晶層1におけるプレーナ状態とフォーカルコニック状態との切り替えと、第2コレステリック液晶層2におけるプレーナ状態とフォーカルコニック状態との切り替えとを同時に行う。すなわち、第1コレステリック液晶層1がプレーナ状態であるときは、第2コレステリック液晶層2もプレーナ状態であり、第1コレステリック液晶層1がフォーカルコニック状態であるときは、第2コレステリック液晶層2もフォーカルコニック状態となるように制御する。
【0042】
次に、本実施形態の液晶表示装置10がプレーナ状態であるときと、フォーカルコニック状態であるときの光学特性について、詳細に説明する。
以下、第1コレステリック液晶層1の第1液晶組成物21と、第2コレステリック液晶層2の第2液晶組成物22とが、平均屈折率(n)および液晶ピッチ長(P)が略同じ(したがって選択反射波長(λ)も略同じ)である場合を例に挙げて説明する。
【0043】
(プレーナ状態)
液晶表示装置10が(第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2が)プレーナ状態であるとき、第1コレステリック液晶層1の第1液晶組成物21、および第2コレステリック液晶層2の第2液晶組成物22における螺旋軸は、透明基板31a、31b、32a、32bに略垂直な状態となっている。
【0044】
このとき、図1に示すように、液晶表示装置10に第1コレステリック液晶層1側から入射光L0が入射すると、入射光L0のうち一部の光L1(図1において矢印L1で示す。)が、第1コレステリック液晶層1の第1液晶組成物21によって、選択的に反射(選択反射)される。第1液晶組成物21によって選択反射される光L1は、第1液晶組成物21の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分である。第1液晶組成物21に反射された光L1は、図1に示されるように、液晶表示装置10から取り出される。
【0045】
また、液晶表示装置10に入射した入射光L0のうち、第1液晶組成物21によって反射されなかった光は、第1コレステリック液晶層1を通過する。第1コレステリック液晶層1を通過した光は、第1液晶組成物21によって選択反射されたL1と同じ波長であって逆の螺旋ねじれ方向を有する(図1において矢印L2で示す。)。
【0046】
本実施形態では、第1液晶組成物21と第2液晶組成物22は、平均屈折率(n)および液晶ピッチ長(P)が略同じである。このため、第1液晶組成物21によって選択反射されたL1と同じ波長であって逆の螺旋ねじれ方向を有する光L2は、図1に示すように、第2液晶組成物22によって反射(選択反射)される。
【0047】
第2液晶組成物22に反射された光L3は、図1に示されるように、透明接着層5を介して第1コレステリック液晶層1に入射し、第1コレステリック液晶層1を通過して、液晶表示装置10から取り出される。
このように、図1に示す液晶表示装置10では、入射光L0のうち、矢印L1で示される第1液晶組成物21の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分だけでなく、矢印L3で示される第1液晶組成物21の螺旋ねじれ方向と逆の回転方向の円偏光成分も、第2液晶組成物22に選択反射されることにより、反射光として取り出される。
【0048】
(フォーカルコニック状態)
液晶表示装置10が(第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2が)フォーカルコニック状態であるとき、第1コレステリック液晶層1の第1液晶組成物21、および第2コレステリック液晶層2の第2液晶組成物22における螺旋軸は、透明基板31a、31b、32a、32bに略水平な状態となっている。
【0049】
このとき、図1に示すように、液晶表示装置10に第1コレステリック液晶層1側から入射光L0が入射すると、入射光L0のうちほとんどが第1コレステリック液晶層1および第2コレステリック液晶層2を通過する。
【0050】
[液晶組成物]
次に、本実施形態の液晶表示装置10における第1液晶組成物21および第2液晶組成物22の組成について、詳細に説明する。
第1液晶組成物21および第2液晶組成物22は、カイラルドーパントとしての光学活性化合物と、光学活性化合物以外の液晶化合物とを含む。本実施形態においては、光学活性化合物、および光学活性化合物以外の液晶化合物として以下に示すものを用いることができる。
【0051】
光学活性化合物以外の全ての液晶組成物の混合物は、屈折率異方性Δnが0.15~0.40であるのが好ましく、0.2~0.35であるのがより好ましく、0.23~0.35であるのがさらにこの好ましく、0.24~0.35であることが特に好ましい。屈折率異方性Δnを上記範囲とすることにより、反射率が大きくなり、明るい画面が得られる。
光学活性化合物以外の全ての液晶組成物の混合物は、誘電率異方性Δεが、10~50であるのが好ましく、15~45であるのがより好ましく、20~40であるのが特に好ましい。誘電率異方性Δεを上記範囲とすることにより、低電圧駆動を実現することができる。
【0052】
光学活性化合物以外の全ての液晶組成物の混合物の融点、すなわち固相等からコレステリック相へ復元する温度は、-20℃以下であるのが好ましく、-30℃以下であるのがより好ましく、-40℃以下であるのが特に好ましい。融点を上記範囲とすることにより、広い動作温度範囲が得られる。
光学活性化合物以外の全ての液晶組成物の混合物においては、コレステリック相から等方性液体相に変わる相転移温度(TNI)が、60~120℃であるのが好ましく、70~110℃であるのがより好ましく、80~110℃であるのが特に好ましい。相転移温度(TNI)を上記範囲とすることで、広い動作温度範囲が得られる。
光学活性化合物以外の全ての液晶組成物の混合物におけるフロー粘性を示す粘度ηは、小さいほど好ましく、その下限は特に制限されないが、100mPa・s以下であれば実用上十分な応答速度を達成できる。
【0053】
(光学活性化合物以外の液晶化合物)
光学活性化合物以外の液晶化合物としては、単独で液晶相を示す1種の化合物のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いることにより液晶相を示す化合物を用いてもよい。液晶化合物として、2種以上の化合物を混合して使用する場合、種々の組み合わせが可能である。
【0054】
液晶化合物としては、誘電的に正の液晶化合物を含有することが好ましく、誘電的に正の液晶化合物とともに、誘電的に中性の液晶化合物を含有することが好ましい。誘電的に正の液晶化合物および誘電的に中性の液晶化合物は、それぞれ1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
【0055】
(誘電的に正の液晶化合物)
誘電的に正の液晶化合物としては、例えば、一般式(A)および一般式(B)で表される化合物が挙げられる。一般式(A)および一般式(B)で表される化合物は、誘電率異方性Δεの値が2より大きく、誘電的に正の化合物に該当する。一般式(A)および一般式(B)で表される化合物は、どちらか一方のみ用いても良いし、組合せて用いてもよい。
【0056】
一般式(A)および一般式(B)で表される化合物は、それぞれ1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物は、液晶表示装置10に求められる特性に応じて適宜選択し、必要に応じて複数種を組み合わせて用いることができる。一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物は、1~12種用いることが好ましい。
【0057】
【化1】
(式(A)および(B)中、R2A1及びR2B1は、相互に独立して、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基である。R2A1及びR2B1上の1個又は2個以上の水素原子は、相互に独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。C2A1及びC2B1は、相互に独立して、(a)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)(c)ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はインダン-2,5-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)及び(d)1,4-シクロヘキセニレン基からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)は、相互に独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。L2A1及びL2B1は、相互に独立して、単結合、-C-、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CFO-又は-OCF-を表す。X2A1及びX2B1は、相互に独立して、-F、-Cl、-CN、-NCS、-CF、-OCF、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1~6のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素原子数1~6のアルコキシ基を表す。Y2A1、Y2A2、Y2B1及びY2B2は、相互に独立して、水素原子又はフッ素原子を表す。b2A1及びb2B1は、相互に独立して、1、2、3又は4を表す。)
【0058】
一般式(A)及び一般式(B)中、R2A1及びR2B1は、相互に独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0059】
信頼性を重視する場合にはR2A1及びR2B1は、アルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0060】
2A1及びR2B1が結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合、R2A1及びR2B1は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。
2A1及びR2B1が結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合、R2A1及びR2B1は、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。液晶組成物を安定化させるためには、炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0061】
2A1及びR2B1がアルケニル基である場合、下記式(R1)~式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0062】
【化2】
(式(R1)~(R5)中の黒点は結合手を表す。)
【0063】
一般式(A)及び一般式(B)中、C2A1及びC2B1は、相互に独立して、屈折率異方性(Δn)を大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
2A1及びC2B1は、下記式(C1)~式(C8)のいずれかで表される基から選ばれることがより好ましい。
【0064】
【化3】
【0065】
2A1及びL2B1は、相互に独立して、単結合、-CHO-、-OCH-、-CFO-又は-OCF-が好ましく、単結合、-CHO-又は-CFO-が好ましく、単結合又は-CFO-が好ましくい。
2A1に挟まれるL2A1は、単結合であることが好ましい。また、C2B1に挟まれるL2B1は単結合であることが好ましい。
【0066】
2A1及びX2B1は、相互に独立して、-F、-Cl、-CF又は-OCFであることが好ましく、-F又は-OCFであることが好ましく、-Fであることが好ましい。
2A1、Y2A2、Y2B1及びY2B2は、ともにフッ素原子であるか、同一分子内の一方がフッ素原子で他方が水素原子であることが好ましい。
【0067】
2A1及びb2B1は、相互に独立して、1、2又は3であることが好ましく、液晶組成物の液晶相の上限温度を重視する場合には2又は3であることが好ましく、液晶組成物の粘度及び誘電率異方性を重視する場合には、1又は2であることが好ましい。
【0068】
一般式(A)で表される化合物としては、例えば、一般式(A1)または一般式(A2)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【化4】
(一般式(A1)において、Rは炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表す。Y12~Y23は相互に独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
(一般式(A2)において、Rは炭素原子数1~7のアルキル基、炭素原子数1~7のアルコキシ基、炭素原子数2~7のアルケニル基、炭素原子数3~7のアルケニルオキシ基を表す。Y40~Y44は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
【0070】
一般式(A)で表される化合物は、より具体的には、一般式(A-1)~(A-31)で表される化合物が好ましい。
【0071】
【化5】
【0072】
【化6】
【0073】
【化7】
【0074】
【化8】
(式(A-1)~(A-31)中、R2A1は、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基である。R2A1上の1個又は2個以上の水素原子は、相互に独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。)
【0075】
また、一般式(A)で表される化合物は、例えば、一般式(A3)、(A4)、(A5)で表されるいずれかの化合物であってもよい。
【0076】
【化9】
(一般式(A3)(A4)及び(A5)において、R、R及びRは相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表す。Y~Y、Y24~Y35は相互に独立して水素原子又はフッ素原子を表す。一般式(A3)(A4)において、C2A1は一般式(A)のC2A1と同じ意味を表す。a、bは相互に独立して0又は1を表す。)
【0077】
一般式(A)で表される化合物は、より具体的には、式(A-32)~式(A-47)で示される化合物から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0078】
【化10】
(式(A-32)~式(A-47)において、R2A1は一般式(A)のR2a1と同じ意味を表す。)
【0079】
一般式(B)で表される化合物は、一般式(B-1)~(B-6)で表される化合物が好ましい。
【0080】
【化11】
(一般式(B-1)~(B-6)において、R2B1は、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基である。R2B1上の1個又は2個以上の水素原子は、相互に独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。)
【0081】
液晶組成物の信頼性を重視する場合は、一般式(A-1)~(A-11)、(A-16)~(A-20)及び一般式(B-1)~(B-4)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましく、中でも一般式(A-1)、(A-2)、(A-4)、(A-17)及び(A-20)で表される群から選択することがより好ましい。
低い粘性を重視する場合は、一般式(A-12)~(A-15)、(A-21)~(A-28)及び(B-5)~(B-6)で表される群から選択される化合物を用いることが好ましく、中でも(A-12)、(A-13)、(A-22)、(A-23)及び(A-26)で表される群から選択することがより好ましい。
【0082】
本実施形態において、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22中に含まれる一般式(A)および/または一般式(B)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する。
【0083】
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対する一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、例えば、1質量%であり、10質量%であることがより好ましく、20質量%であることが好ましい。好ましい含有量の上限値は、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対して、例えば、95質量%であり、80質量%が好ましく、70質量%が好ましく、60質量%が好ましく、50質量%が更に好ましい。
【0084】
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22において、粘度を低く保ち、応答速度を早くする必要がある場合、上記の下限値および上限値を低めにすることが好ましい。さらに、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の相転移温度(TNI)を高く保ち、温度安定性の良いものとする必要がある場合、上記の下限値および上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性(△ε)を大きくしたいときは、上記の下限値および上限値を高めにすることが好ましい。
【0085】
(誘電的に中性の液晶化合物)
誘電的に中性の液晶化合物としては、例えば、一般式(L)で表される化合物が挙げられる。一般式(L)で表される液晶化合物は、誘電率異方性(Δε)の値が-2~2であり、誘電的に中性の化合物に該当する。
一般式(L)で表される化合物は、少なくとも1種を含有することが好ましく、1種~10種含有することが好ましく、2種~8種含有することが特に好ましい。
【0086】
【化12】
(式(L)中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表す。これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。M21、M22及びM23はお互い独立して(a)トランス-1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置き換えられてもよい)、(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は窒素原子に置き換えられてもよい)、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基及び(c)1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基からなる群より選ばれる基を表す。上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良い。pは0、1又は2を表す。L21及びL22はお互い独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CH=N-N=CH-又は-C≡C-を表す。L22が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。M23が複数存在する場合は、それらは同一でも良く異なっていても良い。)
【0087】
一般式(L)で表される化合物において、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は-O-又は-S-に置換されたもの、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されたものも含む。)が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から6のアルケニルオキシ基がより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基が特に好ましい。
【0088】
信頼性を重視する場合には、RL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましい。化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルコキシ基であることが好ましい。粘性の低下を重視する場合にはRL1及びRL2のうち少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
一般式(L)において、分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1個が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
【0089】
21及びR22は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。
21及びR22は、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
21及びR22は、液晶組成物を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0090】
L1及びRL2がアルケニル基である場合、式(R11)~式(R15)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0091】
【化13】
(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0092】
21、M22及びM23は、お互い独立してトランス-1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個のCH基が酸素原子に置換されているものを含む)、1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上のCH基は窒素原子に置換されているものを含む)、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基が好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、1,4-フェニレン基又は1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基がより好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が特に好ましい。
【0093】
21、M22及びM23は、屈折率異方性(Δn)を大きくすることが求められる場合には、芳香族であることが好ましい。M21、M22及びM23は、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基のいずれかであることが好ましく、下記式(M1)~式(M8)のいずれかで表される構造であることがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0094】
【化14】
【0095】
一般式(L)において、pは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。
21及びL22は、互いに独立して単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-OCF-、-CFO-、-CH=CH-、-CH=N-N=CH-又は-C≡C-が好ましく、単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-又は-C≡C-がより好ましく、単結合、-CHCH-又は-C≡C-が更に好ましい。
【0096】
上記の選択肢の組み合わせにより形成される構造のうち、-CH=CH-CH=CH-、-C≡C-C≡C-及び-CH=CH-C≡C-は化学的な安定性から好ましくない。また、これら構造中の水素原子がフッ素原子に置き換わったものも同様に好ましくない。また、酸素同士が結合する構造、硫黄原子同士が結合する構造及び硫黄原子と酸素原子が結合する構造も同様に好ましくない。また、窒素原子同士が結合する構造、窒素原子と酸素原子が結合する構造及び窒素原子と硫黄原子が結合する構造も同様に好ましくない。
【0097】
一般式(L)は、具体的には、以下の一般式(L-1)~一般式(L-25)で表される化合物が好ましい。
【0098】
【化15】
【0099】
【化16】
【0100】
【化17】
(式(L-1)~式(L-25)で表される化合物において、R23及びR24は、それぞれ独立的に炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアルコキシ基、炭素数2から10のアルケニル基又は炭素数3から10のアルケニルオキシ基を表す。)
【0101】
式(L-1)~式(L-25)で表される化合物において、R23及びR24は、それぞれ独立的に炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数2~10のアルケニル基が好ましく、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~10のアルコキシ基が更に好ましい。
【0102】
一般式(L-1)~一般式(L-25)で表される化合物中、一般式(L-1)、一般式(L-2)、一般式(L-3)、一般式(L-5)、一般式(L-12)、一般式(L-13)、一般式(L-17)、一般式(L-19)又は一般式(L-25)で表される化合物が好ましく、一般式(L-1)、一般式(L-3)、一般式(L-5)、一般式(L-12)又は一般式(L-13)で表される化合物が更に好ましい。
【0103】
また、一般式(L)は、以下の一般式(L1)で表される化合物であることが好ましい。
【0104】
【化18】
(式(L1)中、R33及びR34は、相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表す。環Aは1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表す。Y~Y12は相互に独立して水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、-COO-又は-CHCH-を表し、cは相互に独立して0又は1を表す。)
【0105】
一般式(L1)で表される化合物は、より具体的には、式(L-26)~式(L-34)で示される化合物から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0106】
【化19】
(式(L-26)~式(L-34)表される化合物において、R33及びR34は、相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表す。)
【0107】
本実施形態において、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22中に含まれる一般式(L)で表される液晶化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性(△ε)などの求められる性能に応じて適宜調整する。
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対する式(L)で表される化合物の含有量の下限値は、例えば、1質量%であることが好ましく、50質量%であることがより好ましい。第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対する式(L)で表される化合物の含有量の上限値は、85質量%であることが好ましく、65質量%であることがより好ましい。
【0108】
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の粘度を低く保ち、応答速度の速い組成物が必要である場合、上記の下限値および上限値が高いことが好ましい。さらに、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の相転移温度(TNI)を高く保ち、温度安定性の良い組成物とする必要がある場合、上記の下限値および上限値を高くすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性(△ε)を大きくしたいときは、上記の下限値および上限値が低いことが好ましい。
【0109】
(光学活性化合物)
光学活性化合物としては、キラルピッチ長の温度依存性が異なり、かつキラルピッチ長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上のものを用いる。
本実施形態においては、光学活性化合物として、液晶表示装置の常用温度として好ましい0~50℃の温度範囲内において、キラルピッチ長が温度上昇に伴って短くなる一種以上のものと、キラルピッチ長が温度上昇に伴って長くなる一種以上のものとを用いる。
【0110】
本実施形態の液晶表示装置10では、第1液晶組成物21には、光学活性化合物として、螺旋ねじれ方向を第1方向(例えば、右方向)とする一種以上のものが含まれている。また、第2液晶組成物22には、光学活性化合物として、螺旋ねじれ方向を第1方向とは異なる第2方向(例えば、左方向)とする一種以上のものが含まれている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置10では、第1液晶組成物21および第2液晶組成物22が、それぞれ異なる螺旋ねじれ方向を誘起する光学活性化合物を選択的に含有している。このことにより、本実施形態の液晶表示装置10では、第1液晶組成物21と第2液晶組成物22とにおける螺旋ねじれ方向が異なるものとされている。
【0111】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(D-1)~(D-6)で表される化合物を用いることができる。
【0112】
【化20】
(式中、Rは、炭素原子数1~16のアルキル基、炭素原子数1~16のアルコキシ基、炭素原子数2~16のアルケニル基、炭素原子数3~16のアルケニルオキシ基、又は炭素原子数1~10のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルキル基を表す。R10は、炭素原子数1~16のアルキル基、炭素原子数1~16のアルコキシ基、炭素原子数2~16のアルケニル基、炭素原子数3~16のアルケニルオキシ基、炭素原子数1~10のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルキル基、水素原子、フッ素原子、基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基が酸素原子により置き換えられても良いトランス-1,4-シクロへキシレン基又は基中に存在する1個の炭素原子又は隣接していない2個以上の炭素原子が窒素原子に置き換えられてもよい1,4-フェニレン基を表し、該1,4-フェニレン基はフッ素原子により置換されていても良い。A、A10及びA11は、基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基が酸素原子により置き換えられても良いトランス-1,4-シクロへキシレン基又は基中に存在する1個の炭素原子又は隣接していない2個以上の炭素原子が窒素原子に置き換えられてもよい1,4-フェニレン基を表し、該1,4-フェニレン基はフッ素原子により置換されていても良い。A、A10及びA11は単結合を表していても良い。Z、Z、Z及びZ10はそれぞれ独立的して-CHCH-、-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-O(CH-、-(CHO-、-(CH-又は単結合を表す。)
【0113】
光学活性化合物としては、二つのナフタレン環の1位同士が共有結合で結合されたビナフチル骨格を有するビナフチルキラル化合物を用いることが好ましい。
ビナフチルキラル化合物は、液晶ねじれ力の大きい光学活性化合物である。このため、光学活性化合物として、ビナフチルキラル化合物を用いることにより、第1液晶組成物21中および/または第2液晶組成物22中における光学活性化合物の含有量を少なくできる。その結果、光学活性化合物を含むことによる第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の粘度上昇、相転移温度および保存安定性の低下を抑制でき、好ましい。
ビナフチルキラル化合物としては、例えば、以下に示す式(D-7)で表される化合物が好ましい。
【0114】
【化21】
(式(D-7)中、R及びRは相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表す。環D、E、F、Gは相互に独立して1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表す。Z及びZは相互に独立して単結合又は-COO-を表し、e及びfは相互に独立して0又は1を表す。)
【0115】
式(D-7)で表されるビナフチルキラル化合物としては、例えば、以下に示す式(3-1)~(3-4)で表される化合物が好ましい。
【0116】
【化22】
【0117】
式(3-1)および式(3-3)で表される化合物は、右巻きの螺旋ねじれ方向を誘起する。また、式(3-2)および式(3-4)で表される化合物は、左巻きの螺旋ねじれ方向を誘起する。
【0118】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E1)で表される化合物を用いてもよい。
【0119】
【化23】
(式(E1)中、K1-4は、互いに独立して、アネレートされたベンゼン、シクロヘキサンまたはシクロヘキセンであり、ここで、1つまたは2つ以上のCH基は、随意に、Nにより置換されており、1つまたは2つ以上のCH基は、随意に、Oおよび/またはSにより、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されており、
1-4は、互いに独立して、CH、O、S、CO、NHまたはCFであり、
1-4は、互いに独立して、Uの意味の1つを有し、ただし、O、SおよびNHは、互いに直接隣接していないか、または単結合を示し、
Zは、C、Si、Ge、SnまたはTiであり、
1-12は、互いに独立して、R、P-Spまたは-W-A-(W-A-Rであり、
Rは、各々の存在において、独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、OH、NCS、SF、1~40個のC原子を有し、非置換であるか、F、Cl、Br、IもしくはCNにより単置換または多置換されている直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、ここで、1つもしくは2つ以上のCH基は、随意に、各々の場合において、互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-SiR00-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-SO-、-CG=CG-もしくは-C≡C-により、2個のOもしくは2個のS原子が互いに直接結合しないように置換されているか、またはP-Sp-を示し、
およびR00は、互いに独立して、Hまたは1~12個のC原子を有するアルキルであり、
およびGは、互いに独立して、H、F、ClまたはCNであり、
Pは、反応性の基であり、
Spは、スペーサー基または単結合であり、
およびAは、各々の存在において、独立して、置換もしくは非置換芳香族もしくは脂環式環、または2つもしくは3つ以上の縮合した芳香族もしくは脂環式環を含む基であり、ここで、これらの環は、随意に、N、OおよびSから選択された1個または2個以上のヘテロ原子を含み、
およびWは、各々の存在において、独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-CO-、-CO-S-、-O-COO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CH=CR-、-CR=CR00-、-CG=CG-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合であり、mは、各々の存在において、独立して、0、1、2または3である。)
【0120】
式(E1)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E1-1)~(E1-3)で表される化合物が好ましい。
【0121】
【化24】
【0122】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E2)で表される化合物を用いてもよい。
【0123】
【化25】
(式(E2)中、X、X、YおよびYは、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF、25個までのC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであって、非置換であるか、あるいはF、Cl、Br、IまたはCNにより一置換または多置換されていてもよく、また、1つまたは2つ以上の非隣接CH基が、各々の場合において互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-によって、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい前記アルキル、あるいは任意選択でLであり、
は、Hまたは、1個から4個のC原子を有するアルキルであり、
x1およびx2は、互いに独立して、0、1または2であり、
y1およびy2は、互いに独立して、0、1、2、3または4であり、
BおよびCは、互いに独立して、芳香族または部分飽和もしくは全飽和脂肪族の6員環であり、1つまたは2つ以上のCH基がNで置換され、かつ1つまたは2つ以上のCH基がOおよび/またはSで置換されていてもよく、
およびWの一方が-Z-A-(Z-A-Rであり他方がRまたはAであるか、あるいはWおよびWの両方が-Z-A-(Z-A-Rであり、かつWおよびWが同時にHではなく、または、
C-W-(-W-)が下記式(E2-1)または下記(E2-2)であり、
およびUは、互いに独立して、CH、O、S、COまたはCSであり、
およびVは、互いに独立して、(CH)nであり、4つまでの非隣接CH基がOおよび/またはSで置換されていてもよく、かつVおよびVの1つ、または
C-W-(-W-)が下記式(E2-3)の場合には、VおよびVの一方または両方ともが単結合を意味し、
nは1~7の整数であり、
およびZは、互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合であり、
、AおよびAが、互いに独立して、さらに1つまたは2つ以上のCH基がNで置換されていてもよい1,4-フェニレン、さらに1つまたは2つの非隣接CH基がOおよび/またはSで置換されていてもよい1,4-シクロヘキシレン、1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ-(2,2,2)-オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり、これらのすべての基は非置換であるか、またはLによって一置換または多置換されていてもよく、またAは単結合でもよく、
Lは、ハロゲンまたは、1~7個のC原子を有する、シアノ、ニトロアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニル基であって、ここで1つまたは2つ以上のH原子がFまたはClで置換されていてもよく、
mは、それぞれの場合に独立して、0、1、2または3であり、ならびに
RおよびRは、互いに独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、OH、SF、25個までのC原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであって、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNで一置換または多置換されていてもよく、また、1つまたは2つ以上の非隣接CH基が、各々の場合において互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-または-C≡C-によって、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されていることも可能である、前記アルキル基である。)
【0124】
【化26】
【0125】
【化27】
【0126】
式(E2)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E2-4)~(E2-7)で表される化合物が好ましい。
【0127】
【化28】
【0128】
【化29】
【0129】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E3)で表される化合物を用いてもよい。
【0130】
【化30】
(式(E3)中、L11、L21は、各々、同一にまたは異なって、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF、非置換であっても、F、Cl、Br、IもしくはCNによって単置換もしくは多置換されていてもよい25個までのC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルであって、それは、1以上の非隣接CH基が各々の場合において互いに独立して、-O-、-S-、-NH-、-NR-、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-O-、-SC(O)-、-C(O)S-、-CH=CH-または-C≡C-によりOおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていることもまた可能である該アルキル、または、L31によって、任意に単置換もしくは多置換されていてもよい20個までのC原子を有するシクロアルキルもしくはアリールであり、
は、Hまたは1~4個のC原子を有するアルキルであり、
およびMの一方は-Z31-A31-(Z32-A32)m-R31であり、他方はR41もしくはA41であり、または、
およびMの両方は、同一にまたは異なって、-Z31-A31-(Z32-A32-R31であるか、または、
下記式(E3-1)は、下記式(E3-2)もしくは下記式(E3-3)であり、
およびUは、各々、同一にまたは異なって、-CH-、-CF-、-O-、-S-、-CO-または-CS-を示し、
およびVは、各々、同一にまたは異なって、単結合または(CH)nを示し、ここで3つまでの非隣接CH-基が-O-および/または-S-によって置き換えられていてもよく、
11、Z12、Z21、Z22、Z31およびZ32は、各々、同一にまたは異なって、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR-、-NR-CO-、-OCH-、-CHO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CHCH-、-CFCH-、-CHCF-、-CFCF-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-または単結合を示し、
11、A12、A21、A22、A31、A32、およびA41は、各々、同一にまたは異なって、1,4-フェニレンを示し、ここでさらに、1以上のCH基がN、1,4-シクロヘキシレンによって置き換えられていてもよく、ここでさらに、1以上の非隣接CH基が-O-および/または-S-、1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ[2,2,2]オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、もしくは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルによって置き換えられていてもよく、これら全ての基が非置換であるか、L31によって単置換または多置換されていることが可能であり、
31は、各々、独立して、または異なって、ハロゲンまたは1~7個のC原子を有するシアノ、ニトロ、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニル基であり、ここで1個以上のH原子がFまたはClによって置き換えられていてもよく、
11、R21、R31およびR41は、各々、同一にまたは異なって、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、OH、SF、非置換であっても、F、Cl、Br、IもしくはCNによって単置換もしくは多置換されていてもよい25個までのC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルであって、それは、1以上の非隣接CH基が各々の場合において互いに独立して-O-、-S-、-NH-、-NR-、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-SC(O)-、-C(O)S-、-CH=CH-または-C≡C-によって-O-および/または-S-原子が互いに直接結合されないように置き換えられていることもまた可能である該アルキルを示し、
mは、0、1または2であり、
m1、m2は、各々、同一にまたは異なって、0、1、2または3であり、
nは、1~7の整数であり、
r1、r2は、各々、同一にまたは異なって、0、1、2、3、4または5を示し、ならびに
sは、0または1を示す。)
【0131】
【化31】
【0132】
【化32】
【0133】
式(E3)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E3-4)~(E3-13)で表される化合物が好ましい。
【0134】
【化33】
【0135】
【化34】
【0136】
【化35】
【0137】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E4-1)または式(E4-2)で表される化合物を用いてもよい。
【0138】
【化36】
(式(E4-1)および(E4-2)中、Rk1はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、-SF、または炭素数1~5のアルキルであり、このアルキル中の少なくとも1つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-、で置き換えられてもよく、少なくともひとつの-CH-CH-は、-CH=CH-または-C≡C-で置き換えられてもよいが、2つの連続する-CH-が-O-で置き換えられることはなく、このアルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
k2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-SF、または炭素数1~20のアルキルであり、このアルキル中の少なくとも1つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-、で置き換えられてもよく、少なくともひとつの-CH-CH-は、-CH=CH-または-C≡C-で置き換えられてもよいが、2つの連続する-CH-が-O-で置き換えられることはなく、このアルキル中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環Aはそれぞれ独立して、フェニレン環と連結して多環構造を構成する環であり、1,2-フェニレンあるいは1,2-シクロヘキシレンを示し;
環Ak1はそれぞれ独立して2個の結合部位を有する環構造であり、1,4-フェニレン、1,4-シクロヘキシレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-3,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、または1,4-ビシクロ-(2,2,2)-オクチレンであり、これらの環中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
k1はそれぞれ独立して、単結合、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCH-、-CHO-、-CFO-、-OCF-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、または-C≡C-であり;
k1はそれぞれ独立して、単結合、または-(CHn-であり、nは1~20の整数であり;
k1はそれぞれ独立して、単結合、または炭素数1~10のアルキレンであり、このアルキレン中の少なくとも1つの-CH-は、-O-、-COO-または-OCO-、で置き換えられてもよく、少なくともひとつの-CH-CH-は、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-で置き換えられてもよく、このアルキレン中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく(ただし、Zk1中に-O-O-があるものを除く);
mk1はそれぞれ独立して、2~4の整数であり;
nk1、およびnk2はそれぞれ独立して、0~2の整数である。)
【0139】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E5-1)または式(E5-2)で表される化合物を用いてもよい。
【0140】
【化37】
(式(E5-1)および(E5-2)中、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、シアノ、-SF、または炭素数1から10のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの-CH-は、-O-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、または-C≡C-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;環A、環B、環E、および環Fは独立して、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジイルまたはナフタレン-1,2-ジイルであり;環C、環D、および環Gは独立して、1,4-シクロヘキシレン、1,4-フェニレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-3,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、または1,4-ビシクロ-(2,2,2)-オクチレンであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;Z、Z、Z、Z、およびZは独立して、単結合または炭素数1から20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの-CH-は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、または-C≡C-で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;a、b、およびcは独立して、2、3、または4である。)
【0141】
式(E5-1)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E5-3)で表される化合物が好ましい。
式(E5-2)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E5-4)で表される化合物が好ましい。
【0142】
【化38】
【0143】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E6-1)~式(E6-7)で表される化合物を用いてもよい。
【0144】
【化39】
【0145】
【化40】
(式(E6-1)~(E6-7)中、Rはそれぞれ独立して、炭素数3~10のアルキルまたは炭素数3~10のアルコキシであり、アルキル中またはアルコキシ中の少なくとも1つの-CH-CH-は、-CH=CH-で置き換えられてもよく;
K0はそれぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキルであり;
はそれぞれ独立して、芳香族性あるいは非芳香族性の3~8員環または炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1~3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の-CH-は-O-、-S-または-NH-で置き換えられてもよく、-CH=は-N=で置き換えられてもよく;
は独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~3のアルキル、炭素数1~3のハロアルキル、芳香族性または非芳香族性の3から8員環、または、炭素数9以上の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1~3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、-CH-は-O-、-S-または-NH-で置き換えられてもよく、-CH=は-N=で置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、炭素数1~8のアルキレンであるが、任意の-CH-は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CSO-、-OCS-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-または-C≡C-で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は単結合、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-または-CHCH-であり;
mKは1~4の整数である。)
【0146】
式(E6-4)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E6-9)(E6-10)で表される化合物が好ましい。
式(E6-6)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E6-8)で表される化合物が好ましい。
【0147】
【化41】
【0148】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E7)で表される化合物を用いてもよい。
【0149】
【化42】
(式(E7)中、Lは置換基を有してもよい炭素数1~15の連結基を示し、R1~R10は、それぞれ独立して、水素原子、又は1価の置換基を示す。)
【0150】
式(E7)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E7-1)で表される化合物が好ましい。
【0151】
【化43】
【0152】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E8)で表される化合物を用いてもよい。
【0153】
【化44】
【0154】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E9-1)で表される化合物を用いてもよい。
【0155】
【化45】
(式(E9-1)において、Yは独立して、水素、ハロゲンまたは式(E9-2)で表される基であり、ただし、Y中で少なくとも2つは式(E9-2)で表される基である。
式(E9-2)において、Rは独立してハロゲン、シアノ、炭素数2~20のアルケニルまたは炭素数1~20のアルキルであり、この基中の少なくとも1つの-CH-は、-O-が隣接する場合を除いて-O-で置き換えられてもよく、この基中の少なくとも1つの水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
は独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルまたは少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられた1,4-フェニレンであり;
は独立して、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CHCH-COO-、-OCO-CHCH-、-OCF-または-(CH)-であり、-(CH)-の1つの-CH-は、-O-で置き換えられてもよく;
pは独立して1~20の整数であり;
rは独立して1~3の整数である。)
【0156】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E10-1)で表される化合物を用いてもよい。
【0157】
【化46】
(式(E10-1)中、Arは、炭素数6乃至12のアリーレン基、炭素数3乃至12のシクロアルキレン基、又は炭素数3乃至12のシクロアルケニレン基を表し、mは0乃至3である。また、Rは、水素、炭素数1乃至12のアルキル基、又は炭素数1乃至12のアルコキシ基を表す。また、R及びRのうちの一方は、下記式(E10-2)で表される置換基を表し、他方は水素を表す。)
(式(E10-2)中、Arは、炭素数6乃至12のアリーレン基、炭素数3乃至12のシクロアルキレン基、又は炭素数3乃至12のシクロアルケニレン基を表し、kは1乃至3である。また、Rは、水素、炭素数1乃至12のアルキル基、又は炭素数1乃至12のアルコキシ基を表す。)
【0158】
式(E10-1)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E10-3)~(E10-10)で表される化合物が好ましい。
【0159】
【化47】
【0160】
【化48】
【0161】
【化49】
【0162】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E11)で表される化合物を用いてもよい。
【0163】
【化50】
(式(E11)中、Bは、Lにより一置換、二置換または三置換されていてもよい1,4-フェニレン、または、1,4-シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CN、または、1~7個の炭素原子を有しハロゲン化されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシであり、
bは、0、1または2であり、
は、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-または単結合であり、および
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシである。)
【0164】
式(E11)で表される化合物としては、例えば、以下に示す式(E11-1)で表される化合物が好ましい。
【0165】
【化51】
【0166】
光学活性化合物としては、例えば、以下に示す式(E12)で表される化合物を用いてもよい。
【0167】
【化52】
【0168】
光学活性化合物としてビナフチルキラル化合物を用いる場合、第1液晶組成物21中、および第2液晶組成物22中における光学活性化合物の含有量は、意図する選択反射波長によって適宜決定できる。具体的には、第1液晶組成物21中および/または第2液晶組成物22中における光学活性化合物の含有量は、それぞれ0.1~10質量%とすることができ、1~8質量%であることが好ましい。
【0169】
第1液晶組成物21中および/または第2液晶組成物22中における光学活性化合物の含有量が0.1質量%以上であると、これを調製する際に製造スケールに関わらず容易に高い秤量精度で光学活性化合物を秤量でき、光学活性化合物の濃度が高精度で調製されたものとなりやすい。したがって、第1液晶組成物21中および/または第2液晶組成物22中における光学活性化合物の濃度が所望の濃度範囲でないために、第1コレステリック液晶層1および/または第2コレステリック液晶層2における選択反射波長および温度依存性が所定の範囲外となることを防止できる。よって、所望の螺旋ねじれ方向および選択反射波長を有する第1コレステリック液晶層1および/または第2コレステリック液晶層2が得られやすい。
光学活性化合物の含有量が10質量%以下であると、光学活性化合物を含むことによる第1液晶組成物21および第2液晶組成物22の粘度上昇、相転移温度および保存安定性の低下を抑制できる。
【0170】
第1液晶組成物21および第2液晶組成物22は、分子内に過酸(-CO-OO-)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
【0171】
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22は、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましい。分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量は、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対して、80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましく、実質的に、分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみであることが最も好ましい。
【0172】
酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を、第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22の総質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることが好ましく、質量5%以下とすることがより好ましく、3質量%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0173】
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないということを意味する。
第1液晶組成物21および/または第2液晶組成物22に含有される液晶化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には、当該アルケニル基の炭素原子数は2~5であることが好ましい。前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には、当該アルケニル基の炭素原子数は4~5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0174】
本実施形態の液晶表示装置10は、第1コレステリック液晶層1と、第1コレステリック液晶層1と積層された第2コレステリック液晶層2とを有する。第1コレステリック液晶層1は、キラルピッチ長の温度依存性が異なり、かつキラルピッチ長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有する第1液晶組成物21を含む。
また、第2コレステリック液晶層2も、キラルピッチ長の温度依存性が異なり、かつキラルピッチ長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有する第2液晶組成物22を含む。このため、本実施形態の液晶表示装置10は、環境温度が異なることによる色味の差が小さい。
【0175】
また、本実施形態の液晶表示装置10は、第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2の螺旋ねじれ方向が異なる。このため、本実施形態の液晶表示装置10では、第1液晶組成物21または第2液晶組成物22の螺旋ねじれ方向と一致する円偏光成分だけでなく、逆の回転方向の円偏光成分も反射光として取り出すことができる。その結果、本実施形態の液晶表示装置10は、例えば、第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2のうち一方のみを、1層以上有する場合と比較して、入射光の反射率が高いものとなる。
【0176】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。図3に示す液晶表示装置20が、図1に示す液晶表示装置10と異なるところは、図3に示す液晶表示装置20が、図1に示す液晶表示装置10における透明接着層5を有していないところである。したがって、図3に示す液晶表示装置20において、図1に示す液晶表示装置10と同じ部材については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0177】
図3に示すように、本実施形態の液晶表示装置20では、第1コレステリック液晶層1の第2コレステリック液晶層2側に配置された透明基板31bと、第2コレステリック液晶層2の第1コレステリック液晶層1側に配置された透明基板32aとが接している。
【0178】
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態の液晶表示装置の要部を説明するための断面模式図である。図4に示す液晶表示装置30が、図3に示す液晶表示装置20と異なるところは、図4に示す液晶表示装置30においては、第1コレステリック液晶層1の第2コレステリック液晶層2側に配置された透明基板33が、第2コレステリック液晶層2の第1コレステリック液晶層1側に配置された透明基板33を兼ねているところである。したがって、図4に示す液晶表示装置30において、図3に示す液晶表示装置20と同じ部材については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0179】
第2実施形態および第3実施形態の液晶表示装置20、30においても、図1に示す第1本実施形態の液晶表示装置10と同様に、第1コレステリック液晶層1と、第1コレステリック液晶層1と積層された第2コレステリック液晶層2とを有する。そして、第1コレステリック液晶層1は、キラルピッチ長の温度依存性が異なり、かつキラルピッチ長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有する第1液晶組成物21を含む。また、第2コレステリック液晶層2も、キラルピッチ長の温度依存性が異なり、かつキラルピッチ長の温度依存性がゼロになるように選択された二種以上の光学活性化合物を含有する第2液晶組成物22を含む。このため、環境温度が異なることによる色味の差が小さい。
【0180】
また、第2実施形態および第3実施形態の液晶表示装置20、30においても、図1に示す第1実施形態の液晶表示装置10と同様に、第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2の螺旋ねじれ方向が異なる。このため、例えば、第1コレステリック液晶層1と第2コレステリック液晶層2のうち一方のみを、1層以上有する場合と比較して、入射光の反射率が高いものとなる。
【実施例
【0181】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(光学活性化合物以外の液晶化合物1~4)
表1に示す割合で下記式(1)~(20)の液晶化合物を混合し、光学活性化合物以外の液晶化合物1~5を調製した。
式(1)~(9)、(16)~(20)の液晶化合物は、誘電的に正の液晶化合物である。
式(10)~(15)の液晶化合物は、誘電的に中性の液晶化合物である。
【0182】
【化53】
【0183】
【化54】
【0184】
【化55】
【0185】
光学活性化合物以外の液晶化合物1~5について、液晶相から等方相へ転移する温度である相転移温度(TNI)と、固相から液晶相へ復元する温度である融点と、温度25℃、波長589nmにおける屈折率異方性(△n)と、温度25℃、周波数1kHzにおける誘電率異方性(△ε)と、温度20℃でのフロー粘性である粘度とをそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0186】
【表1】
【0187】
(コレステリック液晶層1~4,6,7)
ホモジニアス配向膜を有し、ラビング処理を行っていない、25℃での屈折率が1.52であるガラス基板を、2枚用いて空パネルを作製した。得られた空パネルに、表1に示す光学活性化合物以外の液晶化合物1~5のいずれかと、表2に示す割合で上記式(3-1)~(3-4)の光学活性化合物とを含むコレステリック液晶組成物を注入し、注入口を封止することにより液晶パネルを形成した。得られた液晶パネルを相転移温度(TNI)以上の温度まで加熱した後、室温まで徐冷した。その後、液晶パネルの表面をピンセットで繰り返し加圧し、ホモジニアス配向を有する厚み6μmのコレステリック液晶層1~4,6,7を得た。
【0188】
(コレステリック液晶層5)
コレステリック液晶層1を製造する際に使用したものと同じ2枚のガラス基板を用いて空パネルを作製した。得られた空パネルに、表1に示す光学活性化合物以外の液晶化合物1と、表2に示す割合で上記式(3-1)(3-3)の光学活性化合物とを含むコレステリック液晶組成物を注入し、注入口を封止することにより液晶パネルを形成した。得られた液晶パネルを相転移温度(TNI)以上の温度まで加熱した後、室温まで徐冷した。その後、液晶パネルの表面をピンセットで繰り返し加圧し、ホモジニアス配向を有する厚み12μmのコレステリック液晶層5を得た。
【0189】
【表2】
【0190】
得られたコレステリック液晶層1~7について、以下に示す方法により、それぞれ0℃、25℃、50℃での選択反射波長を測定した。また、コレステリック液晶層1~7について、それぞれ選択反射波長の温度依存性を算出した。その結果を表2に示す。
【0191】
「選択反射波長の温度依存性(0~50℃)」
コレステリック液晶層にパネルの法線から入射角度30°傾けた光を入射して、0℃、25℃、50℃の各温度において、液晶パネルの法線方向に反射される光の波長を、液晶パネル評価装置(商品名;LCD-5200(大塚電子株式会社製))を用いて測定し、各温度における選択反射波長を求めた。そして、0~50℃の温度範囲における選択反射光の最大値と最小値との差を温度範囲(50℃)で除することにより、0~50℃の温度範囲での選択反射波長の温度依存性を算出した。
【0192】
参考例1(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層1とコレステリック液晶層2とが接触した状態となるように積層し、参考例1の液晶表示装置を得た。
【0193】
(比較例1(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層1を2つ用い、これらが接触した状態となるように積層し、比較例1の液晶表示装置を得た。
(比較例2(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層5を、比較例2の液晶表示装置として用いた。
【0194】
(実施例2(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層1とコレステリック液晶層2とを、粘着剤(商品名;LUMISIL203UV;旭化成ワッカーシリコーン社製)を用いて張り合わせ、25℃での屈折率が1.41である厚み約100μmの透明接着層を介して、コレステリック液晶層1とコレステリック液晶層2とが積層された実施例2の液晶表示装置を得た。
【0195】
(比較例3(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層3とコレステリック液晶層4とが接触した状態となるように積層し、比較例3の液晶表示装置を得た。
(比較例4(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層3とコレステリック液晶層4とを、粘着剤(商品名;LUMISIL203UV;旭化成ワッカーシリコーン社製)を用いて張り合わせ、25℃での屈折率が1.41である厚み約100μmの透明接着層を介して、コレステリック液晶層3とコレステリック液晶層4とが積層された比較例4の液晶表示装置を得た。
【0196】
(実施例3(液晶表示装置))
表2に示すコレステリック液晶層6とコレステリック液晶層7とを、粘着剤(商品名;LUMISIL203UV;旭化成ワッカーシリコーン社製)を用いて張り合わせ、25℃での屈折率が1.41である厚み約100μmの透明接着層を介して、コレステリック液晶層6とコレステリック液晶層7とが積層された実施例3の液晶表示装置を得た。
【0197】
得られた参考例1、実施例2~実施例3、比較例1~比較例4の液晶表示装置について、それぞれ表3に示すコレステリック液晶層を上側(光入射側)に配置した。そして、各液晶表示装置について、コレステリック液晶層1と同様にして、0℃、25℃、50℃での選択反射波長を測定し、選択反射波長の温度依存性を算出した。また、参考例1、実施例2~実施例3、比較例1~比較例4の液晶表示装置について、それぞれ表3に示すコレステリック液晶層を上側(光入射側)に配置し、標準白色板の各波長の反射率を100%とした場合の0~50℃の温度範囲における最大反射率を求めた。その結果を表3に示す。
【0198】
【表3】
【0199】
表3に示すように、参考例1、実施例2~実施例3は、いずれも最大反射率が80% 以上であり、入射光の反射率が高いものであった。特に、屈折率が1.41の透明接着層を介して上下のコレステリック液晶層が積層された実施例2および実施例3では、最大反射率が85%以上であり、入射光の反射率が高かった。
また、参考例1、実施例2~実施例3は、いずれも0℃~50℃での選択反射波長の温度依存性の値が小さく、環境温度が異なることによる色味の差が小さいものであった。
【0200】
これに対し、上下のコレステリック液晶層が同じであり、両方とも螺旋ねじれ方向が右方向である比較例1では、最大反射率が50%未満であり、入射光の反射率が低いものであった。
また、単一のコレステリック液晶層からなる比較例2においても、最大反射率が50%未満であり、入射光の反射率が低かった。
【0201】
また、上下のコレステリック液晶層がいずれも一種のみ光学活性化合物を含有する比較例3および比較例4は、0℃~50℃での選択反射波長の温度依存性の値が大きく、環境温度が異なることによる色味の差が大きいものであった。
【0202】
(実施例4(液晶表示装置))
二枚のガラス基板のうちの一枚を、縦150μm、横80μmの画素電極とホモジニアス配向膜とがこの順に設けられたガラス基板とし、もう一枚を、共通電極が設けられたガラス基板としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置について、オリンパス社製光学顕微鏡を用いて画素のずれを測定する方法により、コレステリック液晶層1の画素電極と、コレステリック液晶層2の画素電極とにおける、平面視での縦方向および横方向の位置ずれを測定し、縦方向の位置ずれと横方向の位置ずれとの合計を算出した。その結果、約45μmであった。
【0203】
(実施例5(液晶表示装置))
実施例4よりも、コレステリック液晶層1の画素電極と、コレステリック液晶層2の画素電極とにおける、平面視での位置ずれが大きくなるように積層したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例5の液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置について、実施例4と同様にして、縦方向の位置ずれと横方向の位置ずれとの合計を算出した。その結果、90μmであった。
【0204】
このようにして得られた実施例4および実施例5の液晶表示装置に、それぞれ文字を表示させて、表示面を観察した。その結果、実施例4では、実施例5と比較して、高精細で視認性の良好な表示が得られた。
【符号の説明】
【0205】
1:第1コレステリック液晶層、2:第2コレステリック液晶層、5:透明接着層、10、20、30:液晶表示装置、21:第1コレステリック液晶組成物(第1液晶組成物)、22:第2コレステリック液晶組成物(第2液晶組成物)、31a、31b、32a、32b、33:透明基板、41a、42a:共通電極、41b、42b:画素電極、L0:入射光、L1、L2:光。
図1
図2
図3
図4