(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物、硬化物を備えた製品
(51)【国際特許分類】
C08F 299/00 20060101AFI20231108BHJP
C08G 65/329 20060101ALI20231108BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20231108BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20231108BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231108BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20231108BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20231108BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C08F299/00
C08G65/329
C09J4/02
C09J7/38
C09J11/06
C09J133/04
C09J175/04
B32B27/30 A
(21)【出願番号】P 2020571106
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002726
(87)【国際公開番号】W WO2020162247
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019018959
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 牧人
(72)【発明者】
【氏名】菊川 尚也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千登志
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-321767(JP,A)
【文献】特開2004-280021(JP,A)
【文献】特開2012-126839(JP,A)
【文献】特開2017-095654(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173896(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/017568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 299/00-299/08
C08F 251/00-283/00
C08F 290/00-290/14
C08G 65/00-65/48
C09J 4/02
C09J 4/06
C09J 7/38
C09J 11/06
C09J 133/04
C09J 175/04
B32B 27/30
G02B 1/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル重合体と第1の単量体とを含む硬化性組成物であって、
前記重合体の数平均分子量は4万~75万であり、
前記第1の単量体は、1分子中に1個以上のポリオキシアルキレン鎖及び1個の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、
数平均分子量が35,000以下である単量体であり、
前記重合体100質量部に対して、前記第1の単量体の含有量が10~50質量部であ
り、
前記第1の単量体が1分子中に1個以上のウレタン結合を有する、硬化性組成物。
【請求項2】
前記第1の単量体のガラス転移温度が-55℃以下である、請求項1
に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記第1の単量体の分子量分布が1.03~1.2である、請求項1
又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記第1の単量体は、単量体の総量に対して、ウレタン結合を0.3~1.9質量%含有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
示差走査熱量計分析によって得られる前記重合体のガラス転移温度が-75~-40℃である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
さらに、架橋剤を含有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
さらに、光重合開始剤を含有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
硬化性組成物の総量に対して、前記重合体と前記第1の単量体との合計含有量が80質量%以上である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項10】
動的粘弾性のtanδピーク温度であるガラス転移温度が-35℃以下である、請求項
9に記載の硬化物。
【請求項11】
請求項
9または
10に記載の硬化物からなる粘着層を含む、粘着シート。
【請求項12】
前記粘着層の厚さが10~150μmである、請求項
11に記載の粘着シート。
【請求項13】
請求項
9または
10に記載の硬化物からなる粘着層と、前記粘着層を介して積層したフレキシブル部材とを有する、積層体。
【請求項14】
前記粘着層の厚さが10~150μmである、請求項
13に記載の積層体。
【請求項15】
前記フレキシブル部材が、表面保護パネル、光学フィルム、タッチパネル、及び表示パネル本体からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項
13又は
14に記載の積層体。
【請求項16】
請求項
13~
15のいずれか一項に記載の積層体を備える、フレキシブルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化性組成物の硬化物、硬化物を備えた製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リジッドなディスプレイパネルに加えて、湾曲性又は屈曲性を有するフレキシブルディスプレイパネルが開発されている。
フレキシブルディスプレイパネルは、例えば、有機EL(Electronic Luminescent)ディスプレイパネル等の、フレキシブルディスプレイパネル本体に、粘着層を介して、光学フィルムや保護フィルム等のフレキシブル部材が積層された、フレキシブル積層体を備える。
特許文献1、2には、フレキシブル積層体を形成するのに好適な粘着剤として、特定のモノマー組成を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体と架橋剤とを含む組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2017-95654号公報
【文献】国際公開第2018/173896号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周辺技術の発達により、フレキシブルディスプレイパネルを構成するフレキシブル積層体への要求特性は高くなっている。例えば、折り曲げによって、白化、剥がれ、浮き、クラックなどの欠陥が発生しにくいという折り曲げ耐久性に優れるとともに、曲げや引張の応力を受けても変形しにくいという形状回復性に優れることが望ましい。
しかしながら、特許文献1、2に記載されている粘着剤を用いて形成したフレキシブル積層体は、これらの特性が充分とはいえない。
本発明は、折り曲げ耐久性及び形状回復性に優れるフレキシブル積層体を形成できる硬化性組成物、硬化性組成物の硬化物、及び硬化物を備えた製品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の態様を有する。
[1](メタ)アクリル酸エステル重合体と第1の単量体とを含む硬化性組成物であって、
前記重合体の数平均分子量は4万~75万であり、
前記第1の単量体は、1分子中に1個以上のポリオキシアルキレン鎖及び1個の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、数平均分子量が35,000以下である単量体であり、
前記重合体100質量部に対して、前記第1の単量体の含有量が10~50質量部であり、
前記第1の単量体が1分子中に1個以上のウレタン結合を有する、硬化性組成物。
[2]前記第1の単量体のガラス転移温度が-55℃以下である、[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記第1の単量体の分子量分布が1.03~1.2である、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記第1の単量体は、単量体の総量に対して、ウレタン結合を0.3~1.9質量%含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]示差走査熱量計分析によって得られる前記重合体のガラス転移温度が-75~-40℃である、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]さらに、架橋剤を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]さらに、光重合開始剤を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8]硬化性組成物の総量に対して、前記重合体と前記第1の単量体との合計含有量が80質量%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
[10]動的粘弾性のtanδピーク温度であるガラス転移温度が-35℃以下である、[9]に記載の硬化物。
[11][9]または[10]に記載の硬化物からなる粘着層を含む、粘着シート。
[12]前記粘着層の厚さが10~150μmである、[11]に記載の粘着シート。
[13][9]または[10]に記載の硬化物からなる粘着層と、前記粘着層を介して積層したフレキシブル部材とを有する、積層体。
[14]前記粘着層の厚さが10~150μmである、[13]に記載の積層体。
[15]前記フレキシブル部材が、表面保護パネル、光学フィルム、タッチパネル、及び表示パネル本体からなる群から選択される少なくとも1つである、[13]又は[14]に記載の積層体。
[16][13]~[15]のいずれかに記載の積層体を備える、フレキシブルディスプレイ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、折り曲げ耐久性及び形状回復性に優れるフレキシブル積層体を形成できる硬化性組成物、硬化性組成物の硬化物、及び硬化物を備えた製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】クリープ回復率の測定方法を説明するための模式図であり、引張試験前のサンプルの一例の正面図である。
【
図1B】クリープ回復率の測定方法を説明するための模式図であり、引張試験後のサンプルの一例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、式1で表される化合物を化合物1と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書における用語の定義は以下である。
「単位」とはモノマーの重合により直接形成された原子団を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートのいずれか一方又は両方を意味する。
「官能基数」とは、特にことわりのない場合、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「平均官能基数」とは、特にことわりのない場合、化学式に基づいて得られる式量で表される分子量当たり又は数平均分子量を1単位とする1分子中の平均の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「インデックス」とは、イソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数をオキシアルキレン重合体の水酸基のモル数で除した値を100倍した値である。「NCO/OH比」ともいう。
「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
「フレキシブル」とは、屈曲又は湾曲可能である性状を意味し、例えば屈曲半径3mm未満に折り畳んでも形状が回復する性状(Foldable)、例えば屈曲半径3mm以上に折り曲げ又は丸めても形状が回復する性状(Rollable)、湾曲した状態で固定しても破損しない性状(Bendable)を包含する。
【0009】
ポリオールの水酸基価は、JIS K1557(2007年版)に準拠した測定により得る。
水酸基換算分子量は、水酸基価を、「{56100/(水酸基価)}×(開始剤の水酸基の数)」の式に当てはめて算出する。
数平均分子量及び質量平均分子量は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲル・パーミエイション・クロマ
トグラフィー(GPC)で測定して得られるポリスチレン換算分子量である。分子量分布は質量平均分子量(以下、Mwという。)を数平均分子量(以下、Mnという。)で除した値(Mw/Mn)をいう。なお、GPCの測定において、未反応の低分子量成分(モノマー等)のピークが現れる場合は、該ピークを除外して数平均分子量及び質量平均分子量を求める。
Mnで規定されていても、分子量分布が存在しない場合は、化学式に基づいて得られる式量で表される分子量で代替するものとする。
【0010】
本発明において、硬化物のガラス転移温度は、動的粘弾性測定において得られるtanδピーク温度である。
本発明において、重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)分析によって得られるガラス転移温度である。
本発明において、単量体のガラス転移温度は、対象の単量体のみに光重合開始剤を添加し硬化させたのち、動的粘弾性測定において得られるtanδピーク温度である。
【0011】
本実施形態の硬化性組成物は、重合体(以下、重合体Aともいう)と、第1の単量体(以下、単量体Bともいう)とを含む。
【0012】
<重合体A>
重合体Aは、(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位を有する、数平均分子量が4万~75万の単独重合体又は共重合体である。硬化性組成物中の重合体Aは1種でもよく2種以上でもよい。
重合体Aの製造に用いるモノマーとして、例えば、国際公開第2018/173896号の[0095]~[0110]に記載されている、アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ビニルモノマー、マクロモノマーが挙げられる。
モノマーは1種でもよく2種以上組み合わせてもよい。
【0013】
特に好ましいモノマーとして、下記モノマーa1、a2、a3が挙げられる。
モノマーa1:(メタ)アクリロイルオキシ基に炭素数4~18のアルキル基が結合したアルキル(メタ)アクリレート。
モノマーa2:カルボキシ基を有し、モノマーa1と共重合可能なモノマー。
モノマーa3:有機官能基を有し、モノマーa1と共重合可能なモノマー。
【0014】
モノマーa1の(メタ)アクリロイルオキシ基に結合した炭素数4~18のアルキル基は、直鎖又は分岐が好ましい。モノマーa1としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基に炭素数4~12の直鎖又は分岐のアルキル基が結合しているモノマーa1を用いると、本実施形態の硬化性組成物の硬化物が柔軟になりやすい。炭素数4~12の直鎖又は分岐のアルキル基が結合しているモノマーa1が好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0015】
モノマーa2の例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられる。
モノマーa2を用いると高温高湿度の条件において硬化物が白濁しにくく(耐湿熱性)また、粘着力が向上しやすい。特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0016】
モノマーa3の有機官能基は、ヒドロキシ基又はアミド基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。モノマーa3の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドが挙げられる。
モノマーa3を用いると耐湿熱性が向上しやすい。特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0017】
例えば、重合体Aの全単位に対して、モノマーa1に基づく単位が50~99.9質量%、モノマーa2に基づく単位が0.1~5.0質量%であり、これらの合計が50.1~100質量%である態様が好ましい。
又は、重合体Aの全単位に対して、モノマーa1に基づく単位が50~99.0質量%、モノマーa3に基づく単位が1.0~20.0質量%であり、これらの合計が51.0~100質量%である態様が好ましい。
【0018】
重合体AのMwは30万~150万が好ましく、40万~140万がより好ましく、45万~130万がさらに好ましく、50~120万が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であるとクリープ回復率及びカール残存率がより良好となり、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
重合体AのMnは4万~75万であり、7万~70万が好ましく、10万~50万が好ましく、14万~30万がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であるとクリープ回復率及びカール残存率が良好となりやすく、上限値以下であると低粘度のため良好な塗工性が得られやすい。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれのMnが上記範囲内であることが好ましい。
重合体Aの分子量分布は、2.0~8.0が好ましく、2.1~7.5がより好ましく、2.2~7.0がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着力が良好となりやすく、上限値以下であるとクリープ回復率がより優れる。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれの分子量分布が上記範囲内であることが好ましい。
【0019】
重合体Aのガラス転移温度は-75~-40℃が好ましく、-70~-45℃がより好ましく、-68~-50℃がさらに好ましい。上記範囲内であると低温での曲げ試験で剥がれが発生しにくい。
硬化性組成物に重合体Aが2種以上含まれる場合は、それぞれのガラス転移温度が上記範囲内であることが好ましい。
【0020】
<単量体B>
単量体Bは、分子量が35,000以下であり、アルキレンオキシドを開環付加重合させたポリオキシアルキレン鎖を1分子に1個以上有し、かつ(メタ)アクリロイルオキシ基を1分子中に1個有する。硬化性組成物中の単量体Bは1種でもよく2種以上でもよい。
単量体Bは、本実施形態の硬化性組成物の硬化時の収縮低減に寄与し、硬化物の弾性率の低減に寄与する。本実施形態の硬化性組成物の硬化物を積層体の粘着層として用いることにより、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性を向上できる。また、単量体Bは、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有するため、硬化物における安定性に優れ、ブリードアウトが生じにくい。
硬化速度の点からは、単量体Bがアクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
【0021】
単量体Bは、ポリオキシアルキレン鎖及びウレタン結合を有するオリゴマーが好ましい。ウレタン結合を有するオリゴマーの、1分子中のウレタン結合の数は1個以上が好ましい。硬化時の収縮を低減しやすく、硬化後の弾性率を低減しやすい点で1個がより好ましい。
単量体Bの総量に対するウレタン結合の含有量は0.3~1.9質量%が好ましく、0.32~1.6質量%がより好ましく、0.35~1.3質量%がさらに好ましい。上記範囲内にあると、良好な粘着性を得やすい。
単量体Bの総量に対するウレタン結合の含有量は、単量体Bの製造に用いたイソシアネート化合物に存在するイソシアネート基の全部が、ウレタン結合(分子量59)を形成しているとみなして、以下の計算式より算出する。
ウレタン結合の含有量(単位:質量%)={Mi×59/Wb}×100
Wb:単量体Bの総質量
Mi:質量Wbの単量体Bの製造に用いたイソシアネート化合物に存在するイソシアネート基の全モル数
【0022】
単量体Bの製造工程においては、生成物(以下、「生成物B」という。)中に単量体B以外の副生成物が生じる場合がある。
生成物B中の単量体Bの含有量は、単量体Bとしての機能が十分に発揮されるため、生成物Bの総量に対して、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物Bが、上記含有量で単量体Bを含む場合には、単量体Bの機能を十分に発揮できるため、生成物Bを単量体Bとみなすことができる。
【0023】
生成物Bを単量体Bとみなすことができる場合には、生成物BのMnと官能基数から求めた、生成物Bの平均官能基数は、単量体Bの平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物Bの平均官能基数は0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。生成物Bの平均官能基数が上記範囲内であると、単量体Bの機能を十分に発揮しやすい。生成物Bの平均官能基数は、単量体Bの製造原料に含まれる不純物量、及び後述のインデックスで調整できる。また、本明細書において、(メタ)アクリロイルオキシ基の平均数は、後述の原料の平均官能基数と、インデックスを用いて計算で求めることができる。
【0024】
単量体Bの分子量は35,000以下であり、3,000~30,000が好ましく、4,000~28,000がより好ましく、5,000~26,000がさらに好ましい。単量体Bの分子量はMnであってもよく、その場合、Mnは35,000以下であり、3,000~30,000が好ましく、4,000~28,000がより好ましく、5,000~26,000がさらに好ましい。単量体Bの分子量若しくはMnが上記範囲内であると硬化性組成物の粘度を調整しやすく、下限値以上であると硬化物が柔軟になりやすい。
硬化性組成物に単量体Bが2種以上含まれる場合は、それぞれのMnが上記範囲内であることが好ましい。
単量体Bの分子量分布は1.03~1.2が好ましく、1.05~1.15がより好ましい。
硬化性組成物に単量体Bが2種以上含まれる場合は、それぞれの分子量分布が上記範囲内であることが好ましい。
単量体Bのガラス転移温度は-55℃以下が好ましく、-58℃以下がより好ましく、-60℃以下がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると低温での曲げ耐久性がより優れる。下限値はクリープ回復率が向上しやすい点で-85℃以上が好ましく、-80℃以上がより好ましい。例えば、単量体Bのガラス転移温度は、-85℃~-55℃が好ましく、-85℃~-58℃がより好ましく、-80℃~-58℃がさらに好ましく、-80℃~-60℃が特に好ましい。
硬化性組成物に単量体Bが2種以上含まれる場合は、それぞれのガラス転移温度が上記範囲内であることが好ましい。
【0025】
本実施形態の硬化性組成物において、重合体Aの100質量部に対して、単量体Bの含有量は10~50質量部であり、11~45質量部が好ましく、12~40質量部がより好ましく、13~30質量部がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の低温での曲げ耐久性が得られやすく、また、柔軟になりやすく、上限値以下であると耐熱性がより優れる。
【0026】
単量体Bの具体例として、以下に示す単量体B-1、単量体B-2、単量体B-3が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
特に単量体Bが、単量体B-1及び単量体B-2からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
単量体Bの総量に対して、単量体B-1と単量体B-2の合計の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。単量体B-1と単量体B-2の合計の含有量が上記範囲の下限値以上であると硬化収縮率が低減しやすく、また、硬化物が柔軟になりやすい。単量体B-1と単量体B-2の質量比を表す(B-1):(B-2)は1:0~1:1が好ましい。
【0028】
[単量体B-1]
単量体B-1は、ポリオキシアルキレンモノオールとイソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応物である。
ポリオキシアルキレンモノオールは、活性水素含有基を有し、かつ活性水素の数が1個である開始剤に、アルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、開始剤残基とポリオキシアルキレン鎖と開始剤の活性水素の数に対応する水酸基とを有する化合物である。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが好ましく、具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシドが挙げられる。
開始剤が有する活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミノ基が挙げられ、水酸基及びカルボキシ基が好ましい。水酸基としてはアルコール性水酸基がより好ましい。
活性水素の数が1個である開始剤としては、1価アルコール、1価フェノール、1価カルボン酸、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミン化合物が挙げられる。開始剤としては、1価脂肪族アルコール及び1価脂肪族カルボン酸が好ましい。また、目的のポリオキシアルキレンモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールを開始剤として使用できる。
開始剤である1価脂肪族アルコールの炭素数としては1~20が好ましく、2~8がより好ましい。開始剤である1価脂肪族カルボン酸の炭素数は、カルボキシ基の炭素原子を含め、2~20が好ましく、2~8がより好ましい。
ポリオキシアルキレンモノオールの中のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基のみからなるか又はオキシプロピレン基とそれ以外の基との組合せからなることが好ましく、オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン基が好ましい。ポリオキシアルキレンモノオールの中の全オキシアルキレン基に対するオキシプロピレン基の含有量は50~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましい。ポリオキシアルキレンモノオール中にオキシアルキレン基を含む場合、ポリオキシアルキレンモノオールの中の全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基の含有量は1質量%以上50質量%未満であることが好ましく、5質量%以上20質量%未満であることがさらに好ましい。なお、開始剤が目的のポリオキシアルキレンモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールである場合、開始剤中のオキシアルキレン基は得られたポリオキシアルキレンモノオールの中のオキシアルキレン基とみなすものとする。
【0029】
低水酸基価の(すなわち、高分子量の)ポリオキシアルキレンモノオールは、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシド(特にプロピレンオキシド)を開環付加重合させて製造できる。
オキシエチレン基を有する低水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、オキシエチレン基を有する高水酸基価(50mgKOH/g以上が好ましい)ポリオキシアルキレンモノオールを開始剤とし、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、炭素数3以上のアルキレンオキシド(特にプロピレンオキシド)を開環付加重合させて製造することもできる。高水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、KOH等のアルカリ触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造することもできる。
単量体B-1の製造に用いられるポリオキシアルキレンモノオールは2種以上のポリオキシアルキレンモノオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリオキシアルキレンモノオールはいずれも上記範疇に含まれるポリオキシアルキレンモノオールであることが好ましい。
ポリオキシアルキレンモノオールの製造においては、反応系内に投入される開始剤やアルキレンオキシドは、通常、減圧脱気などにより水分を除去した水分の少ないものを使用する。通常、ポリオキシアルキレンモノオールの製造における開始剤の水分量としては少ないほど好ましく、500質量ppm以下であることがより好ましく、300質量ppm以下であることがさらに好ましい。水分量がこの範囲であると、水から生成するポリオキシアルキレンジオールの生成量が抑制されるため、最終的に該ポリオキシアルキレンジオールに起因する副生成物の生成量が抑制され、得られるポリオキシアルキレンモノオールの平均水酸基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
また、原料として用いるポリオキシアルキレンモノオールにおける水分量は、少ないほど好ましく、ポリオキシアルキレンモノオールに対して、300質量ppm以下であることが好ましく、250質量ppm以下であることがより好ましく、50~200質量ppmであることが特に好ましい。水分量が上記範囲内であると、水分とイソシアネート基含有化合物との反応生成物である副生物の生成が少なく、反応生成物の安定性が向上する。さらに、反応生成物を含む硬化性組成物の経時的な外観の変化を抑制しやすく、硬化物の弾性率が良好となりやすい。
【0030】
イソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、イソシアネート基を1個有する(メタ)アクリレートが好ましく、イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
1個のイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、脂肪族炭化水素基や脂環族炭化水素基に結合したイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、イソシアネート基アルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。イソシアネート基アルキル基のイソシアネート基を除くアルキル基の炭素数は8以下が好ましく、4以下がより好ましい。
イソシアネート基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の具体例としては、2-イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートメチルメタクリレートが挙げられる。市販品としては、カレンズ-AOI、カレンズ-MOI(いずれも、昭和電工社製品名)が挙げられる。
単量体B-1のMnの好ましい範囲は、前述のモノマーBと同様である。
単量体B-1としては後述の化合物3であることが好ましい。単量体B-1としては、後述の化合物3aと、後述の化合物3bを反応させることによって得られる単量体が好ましい。
【0031】
化合物3aと、化合物3bは、1分子中に存在するウレタン化反応が可能な基が各々1個であるため、単量体B-1の1分子中のウレタン結合を1個に制御しやすい。単量体B-1の1分子中のウレタン結合の数が少ないと粘度が低くなりやすい。したがって、硬化性組成物が低粘度であり、柔軟性に優れた硬化物が得られやすい点で、単量体Bが単量体B-1を含むことがより好ましい。
【0032】
【0033】
【0034】
式3、3a、3bにおいて、R11は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。R12は炭素数2~4のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR12は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR12が存在する場合、-OR12-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R12はエチレン基及び/又はプロピレン基であることが好ましい。R13は炭素数1~20のアルキル基、又はR13と結合する酸素原子とともに炭素数1~20のカルボン酸残基を示す。カルボン酸残基は、カルボキシ基(-COOH)中の炭素原子を含む炭素数が1~20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価の基である。R13は反応が容易な点で炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数2~8のアルキル基が好ましい。bは1~8の整数であり、1~4の整数が好ましい。cは20~600の整数であり、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
【0035】
化合物3aはポリオキシアルキレンモノオールであり、アルコール又はアルコールにアルキレンオキシドを開環付加重合した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸のカルボキシル基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。化合物3aの水酸基価は1.6~56.1mgKOH/gが好ましく、3.7~14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000~35,000が好ましく、4,000~15,000がより好ましい。
化合物3aの水酸基換算分子量が上記範囲内であれば、単量体B-1のMnを1,000~35,000の範囲に調整しやすい。化合物3aの水酸基換算分子量が上記範囲内であれば、生成する単量体B-1の平均官能基数を0.8~1.3に調整しやすい。水酸基換算分子量が小さい方が、平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
【0036】
化合物3aの製造において減圧脱気などによる水分の除去は特に必要なく、反応系内に投入される原料等に通常含まれる水分量は許容される。例えば、通常、開始剤の水分量は少ないほど好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。水分量が上記範囲内であると、水から生成するジオールの生成量が抑制されるため、最終的にジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物の生成量が抑制され、副生成物と単量体Bを含む生成物(以下、「生成物B-1」という。)の平均官能基数の上限を1.3以下に調整しやすい。
【0037】
化合物3bは、市販品を用いることができ、例えば、カレンズ-AOI(式3bにおけるR11=H、b=1)、カレンズ-MOI(式3bにおけるR11=CH3、b=1)(いずれも、昭和電工社製品名)が挙げられる。
化合物3aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物3aに対する、化合物3bの配合比は、インデックスで80~100が好ましく、90~100がより好ましく、100が最も好ましい。インデックスが上記範囲内であると、生成物B-1の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
【0038】
生成物B-1中の単量体B-1の含有量は、単量体Bとしての機能が十分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物B-1が、上記含有量で単量体B-1を含む場合には、単量体Bの機能が十分に発揮されるため、生成物B-1を単量体B-1とみなすことができる。
【0039】
生成物B-1を単量体B-1とみなすことができる場合には、生成物B-1のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体B-1の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物B-1における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。上記範囲内であると、生成物B-1は硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
【0040】
単量体B-1は、化合物3であって、かつ1分子中に存在するR12の全量に対してプロピレン基の含有量が50~100モル%である単量体B-1-POを含むことが好ましい。
【0041】
単量体B-1-POにおいて、R12の全量に対するプロピレン基の含有量は80~100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。1分子中に存在するR12のうち、プロピレン基以外のアルキレン基が存在する場合、プロピレン基以外のアルキレン基がエチレン基であることが好ましい。単量体B-1-POにおけるR12において、アルキレン基としてエチレン基を含む場合、R12の全量に対するエチレン基の含有量は、1モル%以上30モル%未満が好ましく、1モル%以上25モル%未満がより好ましい。
【0042】
また単量体B-1-POを用いる場合、単量体Bに対する、単量体B-1-POの含有量は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。単量体B-1-POの含有量が上記範囲の下限値以上であると硬化性組成物が低粘度であり、硬化物が柔軟性に優れる。
【0043】
[単量体B-2]
モノマーB-2は、ポリオキシアルキレンモノオールと、ジイソシアネートと、イソシアネート基と反応する基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物との、等モル反応生成物である。
モノマーB-2におけるポリオキシアルキレンモノオールは、前述のポリオキシアルキレンモノオールと同様である。
イソシアネート基と反応する基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物におけるイソシアネート基と反応する基としては、例えば、水酸基、水素原子が結合した窒素原子を有するアミノ基が挙げられる。イソシアネート基と反応する基における水酸基の数や窒素原子に結合した水素原子の数は1個が好ましい。イソシアネート基と反応する基としては、脂肪族炭化水素基や脂環族炭化水素基に結合した水酸基が好ましい。イソシアネート基と反応する基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキル基の炭素数が8以下のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
イソシアネート基と反応する基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。市販品としては、ライトエステルHO-250(N)、ライトエステルHOP(N)、ライトエステルHOA(N)、ライトエステルHOP-A(N)、ライトエステルHOB(N)(いずれも、共栄化学社製品名)、4-HBA(大阪有機化学工業社製品名)挙げられる。
単量体B-2のMnの好ましい範囲は、前述の単量体Bと同様である。
単量体B-2としては後述の化合物4であることが好ましい。単量体B-2としては、後述の化合物4aと、後述の化合物4bとを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得た後、得られたプレポリマーのイソシアネート基に、化合物4cを反応させることによって得られる化合物が好ましい。
【0044】
【0045】
【0046】
式4、4a、4b、4cにおいて、R21は水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。R22は炭素数2~4のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR22は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR22が存在する場合、-OR22-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R22はエチレン基及び/又はプロピレン基であることが好ましい。R23は炭素数1~20のアルキル基、又はR23と結合する酸素原子とともに炭素数1~20のカルボン酸残基を示す。カルボン酸残基は、カルボキシ基中の炭素原子を含む炭素数が1~20であるモノカルボン酸からカルボキシ基中の水素原子を1個除いた1価基である。R23は反応が容易な点で炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数2~8のアルキル基が好ましい。
【0047】
R24は化合物4bからイソシアネート基を除いた2価の基である。化合物4bとしては、例えば、イソシアネート基を2個有する化合物が挙げられ、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
dは1~8の整数であり、1~4の整数が好ましい。eは20~600の整数であり、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
【0048】
化合物4aはポリオキシアルキレンモノオールであり、アルコール又はアルコールにアルキレンオキシドを開環付加重合した化合物を開始剤としてアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法、又はモノカルボン酸のカルボキシル基にアルキレンオキシドを開環付加重合させる公知の方法により得られる。化合物4aの水酸基価は1.6~56.1mgKOH/gが好ましく、3.7~14mgKOH/gがより好ましい。水酸基換算分子量は1,000~35,000が好ましく、4,000~15,000がより好ましい。
化合物4aの水酸基換算分子量が上記範囲内であると、単量体B-2のMnを1,000~35,000の範囲に調整できる。
【0049】
化合物4aを製造する際の水分量や、分子量については、化合物3aの場合と同様である。化合物4aの製造においても、化合物3aの場合と同様に、原料に含まれる水から生成するジオールに(メタ)アクリロイルオキシ基が付加した副生成物と単量体B-2を含む生成物(以下、「生成物B-2」という。)が得られる場合がある。
【0050】
化合物4aと、化合物4bとを反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー)を得る反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。これらを反応させる際の、化合物4aに対する、化合物4bの配合比は、インデックスで100~200が好ましく、180~200がより好ましく、200が最も好ましい。インデックスが上記範囲内であると、生成物B-2の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
【0051】
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、化合物4cとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
【0052】
これらを反応させる際の、プレポリマーと、化合物4cの配合比は、該プレポリマー中のイソシアネート基:化合物4c中の水酸基のモル比が、1:1.0~1.1であることが好ましく、1:1.0~1.05がより好ましい。上記範囲内であると、生成物B-2の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
生成物B-2中の単量体B-2の含有量は、単量体Bとしての機能が十分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物B-2が、上記含有量で単量体B-2を含む場合には、単量体Bの機能が十分に発揮されるため、生成物B-2を単量体B-2とみなすことができる。
【0053】
生成物B-2を単量体B-2とみなすことができる場合には、生成物B-2のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体B-2の平均官能基数とみなすことができる。この場合の生成物B-2における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。上記範囲内であると、生成物B-2は硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
【0054】
単量体B-2は、化合物4であって、かつ1分子中に存在するR22の全量に対してプロピレン基の含有量が50~100モル%である単量体B-2-POを含むことが好ましい。
【0055】
単量体B-2-POにおいて、R22の全量に対するプロピレン基の含有量は80~100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。1分子中に存在するR22のうち、プロピレン基以外のアルキレン基が存在する場合、プロピレン基以外のアルキレン基がエチレン基であることが好ましい。単量体B-2-POにおけるR22おいて、アルキレン基としてエチレン基を含む場合、R22の全量に対するエチレン基の含有量は、1モル%以上30モル%未満が好ましく、1モル%以上25モル%未満がより好ましい。
【0056】
また単量体B-2-POを用いる場合、単量体Bに対する、単量体B-2-POの含有量は50~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。単量体B-2-POの含有量が上記範囲の下限値以上であると硬化性組成物が低粘度であり、硬化物が柔軟性に優れる。
【0057】
[単量体B-3]
単量体B-3は、後述する化合物5aと、前述の化合物3bとを反応させることによって得られる、官能基数が1のオリゴマーである。
単量体B-3のMnの好ましい範囲は、前述の単量体Bと同様である。
【0058】
【0059】
式5aにおいて、R32は炭素数2~4のアルキレン基であり、1分子中に存在する複数のR32は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR32が存在する場合、-OR32-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R32はエチレン基及び/又はプロピレン基であることが好ましい。
R32の全量に対するプロピレン基の含有量は50~100モル%が好ましく、80~100モル%がより好ましい。1分子中に存在するR32のうち、プロピレン基以外のアルキレン基が存在する場合、プロピレン基以外のアルキレン基がエチレン基であることが好ましい。
【0060】
式5a中のfは20~600の整数であり、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
fが上記範囲であると単量体B-3のMnを1,000~35,000の範囲に調整しやすい。
【0061】
化合物5aと、化合物3bとの反応はウレタン化反応であり、公知の手法を用いて行うことができる。
かかる反応においては、化合物5aの両末端の水酸基が化合物3bと反応し得るため、官能基数が1であるオリゴマーのほかに、副生成物として、官能基数が2であるオリゴマーを含む生成物(以下、「生成物B-3)という。)を生成し得る。
生成物B-3の平均官能基数は0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。
【0062】
かかる反応における、化合物5aに対する、化合物3bの配合比は、インデックスで30~50が好ましく、40~50がより好ましく、50が最も好ましい。インデックスが上記範囲内であると、化合物5aの1分子に化合物3bの1分子が反応した化合物が得られやすく、生成物B-3の平均官能基数を0.8~1.3の範囲に調整しやすい。
【0063】
生成物B-3中の単量体B-3の含有量は、単量体Bとしての機能が十分に発揮されるため、80質量%以上が好ましく、85~100質量%がより好ましい。生成物B-3が、上記含有量で単量体B-3を含む場合には、単量体Bの機能が十分に発揮されるため、生成物B-3を単量体B-3とみなすことができる。
【0064】
生成物B-3を単量体B-3とみなすことができる場合には、生成物B-3のMnと官能基数から求めた平均官能基数は、単量体B-3の平均官能基数とすることができる。この場合の生成物B-3における平均官能基数は、0.8~1.3が好ましく、0.9~1.2がより好ましい。上記範囲内であると、生成物B-3は硬化時の収縮を低減しやすく、硬化物の弾性率を低減しやすい。
【0065】
<架橋剤>
本実施形態の硬化性組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤は、単量体Bと重合可能な架橋性官能基を2つ以上有する化合物である。架橋剤を配合すると耐熱性及びクリープ回復率が向上しやすい。
架橋性官能基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネー卜基,カルボキシ基、ヒドロキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基及びアミド基から選ばれる1種以上が好ましい。
1分子中の架橋性官能基の数は2~4が好ましく、2又は3がより好ましく、2がさらに好ましい。
架橋性官能基は脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
【0066】
架橋剤として、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。例えば、国際公開第2018/173896号の[0136]に記載されている、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
クリープ回復率が向上しやすい点で、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートが好ましい。
架橋剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
架橋剤の使用量は、単量体Bの1モルに対して、架橋剤の架橋性官能基が1~20モルとなる量が好ましく、2~15モルがより好ましく、2.5~13モルがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると硬化物の耐熱性がより優れ、上限値以下であるとクリープ回復率が向上しやすい。
【0068】
<光重合開始剤>
本実施形態の硬化性組成物は、光硬化性であってもよく、熱硬化性であってもよい。低温で硬化でき、かつ硬化速度が速い点から光硬化性であるものが好ましい。
硬化性組成物が光硬化性である場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。硬化性組成物が光硬化性であれば、例えば表示装置の製造に用いたときに、高い温度を必要としないことから、高温により表示デバイスが損傷するおそれも少ない。
【0069】
光重合開始剤は、架橋剤の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たす。波長380nm以下の紫外線に感応する光重合開始剤が、架橋反応の制御のしやすさの点から好ましい。
光重合開始剤の例としては、国際公開第2018/173896号の[0147]~[0151]に記載されている光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤として、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させる水素引抜型光重合開始剤が好ましい。水素引抜型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルが挙げられる。
光重合開始剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
光重合開始剤の使用量は、重合体Aの100質量部に対して0.1~10質量部が好ましく、0.3~5質量部がより好ましい。光重合開始剤の使用量が上記範囲内であると、活性エネルギー線に対する適度な反応感度が得られやすい。
【0071】
<その他の成分>
本実施形態の硬化性組成物は、重合体A、単量体B、架橋剤及び光重合開始剤以外の他の成分として、必要に応じた公知成分を含有してもよい。
その他の成分として、例えばシランカップリング剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子等が挙げられる。
必要に応じて、反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を含有してもよい。
必要に応じて、溶媒を含有してもよい。
必要に応じて、多官能イソシアネート化合物を含有してもよい。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、日本国特許第6375467号の[0062]に記載の成分が挙げられる。
【0072】
<硬化性組成物>
本実施形態の硬化性組成物は、重合体A、単量体B、必要に応じた架橋剤、光重合開始剤、他の成分を有する。これらの混合物を硬化させて目的の硬化物を得る。
各成分の混合順序は限定されない。各成分を混合した後に熱処理してもよい。
硬化性組成物を構成する各成分は、予め混合してもよく、硬化させる直前に混合してもよい。例えば、光重合開始剤以外の成分を予め混合した予備混合物に、硬化させる直前に光重合開始剤を添加してもよい。
本実施形態の硬化性組成物は、溶剤を含まなくても使用できる。必要に応じて溶剤を含んでもよい。溶剤は硬化時または硬化後に除去することが好ましい。
【0073】
硬化性組成物の総量に対して、重合体Aと単量体Bの合計含有量は80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0074】
<硬化物>
本実施形態の硬化物は、本実施形態の硬化性組成物を硬化して得られる。例えば、硬化性組成物を所望の形状に成形し、紫外線を照射して硬化させる。
硬化性組成物の成形方法は、例えば、基材上に塗布する方法、押出成形する方法、型に注入する方法が挙げられる。
紫外線の照射量は、0.1~5J/cm2が好ましく、0.3~4J/cm2がより好ましく、0.5~3J/cm2がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると耐熱性、クリープ回復率がより良好となり、上限値以下であると着色しにくい。
【0075】
本実施形態の硬化物の、動的粘弾性のtanδピーク温度であるガラス転移温度の上限値は-35℃が好ましく、-37℃がより好ましく、-38℃がさらに好ましい。上記の上限値以下であると低温での曲げ耐久性がより優れる。ガラス転移温度の下限値は残存カール率が良好となりやすい点で-80℃が好ましく、-70℃がより好ましく、-60℃がさらに好ましい。
本実施形態の硬化物の動的粘弾性のtanδピーク温度であるガラス転移温度は、-80℃~-35℃が好ましく、-70℃~-37℃がより好ましく、-60℃~-38℃がさらに好ましい。硬化物のガラス転移温度が上記範囲内であると、低温での曲げ耐久性がより優れる。
本実施形態の硬化物の-20℃における貯蔵弾性率は、150~1500が好ましく、200~1000がより好ましく、250~600がさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の硬化物の硬化物が、低温においても柔軟性を維持しやすく、積層体の粘着シートに用いた際に、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性をより向上できる。
本実施形態の硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、80~700が好ましく、100~500がより好ましく、100~250がさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の硬化物の硬化物が、室温付近においても柔軟性を維持しやすく、積層体の粘着シートに用いた際に、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性をより向上できる。
本実施形態の硬化物の80℃における貯蔵弾性率は、20~300が好ましく、30~250がより好ましく45~200がさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の硬化物の硬化物が、高温においても柔軟性を維持しやすく、積層体の粘着シートに用いた際に、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性をより向上できる。
本実施形態の硬化物の80℃における貯蔵弾性率E’(80℃)(kPa)に対する-20℃における貯蔵弾性率E’(-20℃)(kPa)の比を表す「E’(-20℃)/E’(80℃)」は、1.0~9.0が好ましく、1.0~8.0がより好ましく、1.0~7.0がさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の硬化物の弾性率の温度による変化が少なく、柔軟性を維持しやすく、積層体の粘着シートに用いた際に、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性をより向上できる。
【0076】
<粘着シート>
本実施形態の硬化物は粘着層として使用できる。本実施形態の粘着シートは、本実施形態の硬化物からなるシート状の粘着層を有する。粘着層の両面に接するように離型フィルムを設けることが好ましい。離型フィルムとしては、公知の離型フィルムを用いることができる。
粘着シートは、例えば、第1の離型フィルム上に硬化性組成物を塗布して硬化させた後、その上に第2の離型フィルムを積層する方法、又は第1の離型フィルム上に硬化性組成物を塗布し、その上に第2の離型フィルムを積層した後、硬化させる方法で製造できる。
【0077】
本実施形態の粘着シートにおいて、粘着層の厚さは10~150μmが好ましく、20~120μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着層が平滑になりやすく、上限値以下であると繰り返し曲げ耐久性がより優れる。
【0078】
<積層体>
本実施形態の積層体は、本実施形態の硬化物からなる粘着層と、粘着層を介して積層したフレキシブル部材を有する。
フレキシブル部材としては、フレキシブルディスプレイパネルを構成する部材が例示できる。フレキシブル部材としては、例えば、表面保護パネル、光学フィルム、タッチパネル、表示パネル本体が挙げられる。
表面保護パネルとしては、例えば、薄板状のカバーガラス、カバーフィルムが挙げられる。
光学フィルムは光学機能を有する部材である。光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム、電磁波シールドフィルムが挙げられる。
タッチパネルは、例えば、薄板状のガラス基材又やプラスチック基材に、タッチセンサーが搭載された構成を有する。
表示パネル本体としては、例えば、有機ELディスプレイパネルが挙げられる。
【0079】
本実施形態の積層体は、フレキシブルであり、静置した状態で湾曲している形状に固定しても破損しない性状(Bendable)、屈曲半径3mm以上に折り曲げ又は丸めても形状が回復する性状(Rollable)、又は屈曲半径3mm未満に折り畳んでも形状が回復する性状(Foldable)のうち1つ以上を有することが好ましい。
【0080】
本実施形態の積層体において、粘着層の厚さは10~150μmが好ましく、20~120μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると粘着層が平滑になりやすく、上限値以下であると繰り返し曲げ耐久性がより優れる。
【0081】
<フレキシブルディスプレイ>
本実施形態のフレキシブルディスプレイは、本実施形態の積層体を備える。
本実施形態の硬化性組成物は重合体Aと単量体Bを含むことにより、後述の実施例に示されるように、硬化物のガラス転移温度を低下し、弾性率を低下できる。このため、例えば、フレキシブルディスプレイを構成する部材間の粘着層に用いた場合でも、折り曲げ耐久性及び形状回復性を両立できる。
フレキシブルディスプレイとして、特に、表示画面を折り畳める構造を有する、フォルダブルディスプレイが好適である。
【実施例】
【0082】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0083】
<測定方法・評価方法>
[分子量の測定]
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下の条件で、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定し、分子量分布(Mw/Mn)はMw及びMnの測定値から算出した。
・分析装置:HLC-8120GPC 東ソー社製品名
・カラム:G7000HXL(東ソー社製品名)とGMHXL(東ソー社製品名)とGMHXL(東ソー社製品名)とをこの順番で並列につないだものを用いた。
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm、計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0084】
[重合体Aのガラス転移温度の測定]
各例で得られた重合体Aについて、示差走査熱量計(EXSTAR 6000 DSC 6200、セイコーインスツル社製品名)を用いて、サンプル量約10mg、昇温速度10℃/分、温度範囲-80~25℃の条件でガラス転移温度を測定した。
【0085】
[硬化物の貯蔵弾性率、ガラス転移温度の測定]
各例で作製した硬化性組成物を、幅5mm×長さ15mm×厚さ2mmのシリコーン型に流し込み、窒素環境下でコンベヤ型UV照射機(ORC社製)を用い、HgXeランプ、照度100mW/cm2、積算光量1J/cm2の条件下で硬化させた。得られた硬化物を試験サンプルとした。
試験サンプルについて、動的粘弾性測定装置(EXSTAR 6000 DMS 6100、セイコーインスツル社製品名)を用いて、引張モードで、-80℃~130℃の温度範囲において、昇温速度3℃/min、測定周波数1Hz、歪み1%の条件下における貯蔵弾性率E’(kPa)を測定した。また、測定で得られたtanδが最大値を示す温度(tanδピーク温度)をガラス転移温度とした。
測定結果として、-20℃、25℃及び80℃における貯蔵弾性率E’、Tg、並びに80℃におけるE’に対する-20℃におけるE’の比を表す貯蔵弾性率比(E’(-20℃)/E’(80℃))を表に示す。
【0086】
[積層体の折り曲げ耐久性・形状回復性の評価方法]
以下のフィルムを使用した。
・シリコーン処理PET:シリコーン処理(剥離処理)を施した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(SP-PET-01-75BU 三井化学東セロ社製品名)。
・カプトンフィルム:200EN 東レデュポン社製品名、厚さ50μm。
・コロナ処理PET:厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーS10 東レ社製品名)にコロナ処理加工を施したもの。
【0087】
(繰り返し曲げ試験)
各例の硬化性組成物を、シリコーン処理PETのシリコーン処理面に、硬化後の粘着層の厚さが25μmになるように、ドクターブレードをセットした自動塗工機(PI1210自動塗工装置 テスター産業社製品名)を用いて塗布した。次いで、窒素環境下でコンベヤ型UV照射機(ORC社製)を用い、HgXeランプ、照度100mW/cm2、積算光量1J/cm2の条件下で硬化させて粘着層を形成した。粘着層側を、カプトンフィルムに貼り合わせた。次いで、シリコーン処理PETを剥がしたのち、現れた粘着層に、コロナ処理PETのコロナ処理面を貼り合わせ、試験用積層体を作成した。試験用積層体は、幅50mm、長さ100mm、厚さ0.125mmであった。
U字型面状曲げ試験機(DLDM111LH ユアサシステム機器社製品名)を用いて、得られた試験用積層体をおおよそ長さ方向の半分の位置で折り曲げる操作を繰り返した。具体的には、屈曲半径が1.5mmになるように、かつカプトンフィルム側が内側になるようにU字型に折り曲げ、次いで折り曲げた力を開放する操作(180°開放)を1回の操作として、1分あたり60回の速度で10万回繰り返した。試験後の試験用積層体の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。
A:白化、剥がれ、浮き、及びクラックのいずれも発生せず、外観上の変化が全くない。
B:白化、剥がれ、浮き、又はクラックの1つ以上が発生したが、わずかであり実用上の問題はない。
C:白化、剥がれ、浮き、又はクラックの1つ以上が著しく発生し、実用上問題がある。
【0088】
(静的曲げ試験)
繰り返し曲げ試験と同様に作成した試験用積層体を、静的曲げ試験用サンプルとして用いた。試験用積層体は、幅50mm、長さ100mm、厚さ0.125mmであった。端面が曲面(屈曲半径1.5mm)に加工された厚さ3mmの板の外形に沿って、静的曲げ試験用サンプルを、カプトンフィルム側が内側になるように密着させてテープで固定した。-20℃又は室温(25℃)の条件下に20日間静置し、試験後の試験用積層体の外観を目視で観察し、繰り返し曲げ試験と同じ基準で評価した。
【0089】
(カール試験、カール残存率)
繰り返し曲げ試験と同様に作成した試験用積層体を、幅10mm、長さ50mmに切断してカール試験用サンプルとした。端面が曲面(屈曲半径2mm)に加工された厚さ4mmの板の外形に沿って、カール試験用サンプルの長さ方向の中心位置を折り曲げ、テープで固定し室温で1日放置した。次いで、板からカール試験用サンプルを取り外し、折り曲げた面を上にして逆U字型を形成するように水平面上に置き、水平面から折り曲げ面までの高さh(mm)を測定した。下記式によりカール残存率(単位:%)を算出した。カール残存率が低いほど形状回復性に優れる。なお、試験中に剥がれが生じたものはFと表記した。
カール残存率(%)={h/25}×100
【0090】
(クリープ回復率)
図1Aに示すクリープ試験用サンプルを、繰り返し曲げ試験と同様の手順で作製した。図中符号1はカプトンフィルム、2は粘着層、3はコロナ処理PETである。せん断方向(X方向)において、カプトンフィルム1及びコロナ処理PET3のそれぞれの長さは60mm、カプトンフィルム1の端部1aからコロナ処理PET3の端部3aまでの長さ(以下、X方向の全長という。)の初期値は110mmとした。粘着層2の厚さは25μmとした。X方向及び厚さ方向の両方に垂直な方向において、カプトンフィルム1及びコロナ処理PET3のそれぞれの幅は10mmとした。
カプトンフィルム1の端部1aとコロナ処理PET3の端部3aを引張試験機にそれぞれ固定し、X方向の全長が初期値より300μm長くなるように、X方向に伸長した後、伸長した力を開放する操作を1回として、10回繰り返した後、1分静置した。
図1Bは静置後のクリープ試験用サンプルの例である。静置後の残留歪量を光学顕微鏡(マイクロスコープVHX‐1000 KEYENCE社製品名)にて観察し、初期位置からのずれ幅(
図1B中の符号4)を測定した。下記式によりクリープ回復率(単位:%)を算出した。クリープ回復率が高いほど形状回復性に優れる。
クリープ回復率(%)={(300μm-初期位置からのずれ幅(μm))/300μm}×100
【0091】
[製造例1-1]
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、亜鉛へキサシアノコバルテート-tert-ブチルアルコール錯体(以下、「DMC-TBA」ともいう。)の0.2g、及びn-ブタノールの30gを加え、130℃の窒素雰囲気とし、プロピレンオキシド(以下、POという。)の3970gを一定の速度で7時間かけて投入した。次いで、耐圧反応器の内圧の低下が止まったことを確認して生成物を抜き出し、水酸基価5.6mgKOH/g(水酸基換算分子量:10,000)のポリオキシアルキレンモノオール(モノオール1)の4000gを得た。
【0092】
[製造例1-2]
n-ブタノールを59g、POを3941gとする他は製造例1-1と同様にして、水酸基価11.5mgKOH/g(水酸基換算分子量:4,880)のポリオキシアルキレンモノオール(モノオール2)の4000gを得た。
【0093】
[製造例1-3]
n-ブタノールを21g、POを3979gとする他は製造例1-1と同様にして、水酸基価4.1mgKOH/g(水酸基換算分子量:13,680)のポリオキシアルキレンモノオール(モノオール3)の4000gを得た。
【0094】
[製造例1-4]
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、DMC-TBAの0.5g、及びn-ブタノールの74gを加え、130℃の窒素雰囲気とし、POの7941gとエチレンオキシド(以下、EOという。)の1985gの混合液を一定の速度で15時間かけて投入した。次いで、耐圧反応器の内圧の低下が止まったことを確認して生成物を抜き出し、水酸基価5.2mgKOH/g(水酸基換算分子量:10,790)のポリオキシアルキレンモノオール(モノオール4)の10000gを得た。モノオール4において、POとEOの合計に対するPOの含有量は、約75モル%であった。
【0095】
[製造例1-5]
DMC-TBAを0.25g、POを3743g、EOを1182gとする他は製造例1-4と同様にして、水酸基価11.8mgKOH/g(水酸基換算分子量:4,750)のポリオキシアルキレンモノオール(モノオール5)の5000gを得た。モノオール5において、POとEOの合計に対するPOの含有量は、約71モル%であった。
【0096】
[製造例2-1]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、モノオール1(平均水酸基数:1.08)の964.9g、及び2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズ-AOI 昭和電工社製品名。以下、AOIという。)の13.1gを加え、2-エチルヘキサン酸ビスマスの25%トルエン溶液0.08gの存在下、70℃で3時間攪拌して、単量体B1を含む生成物を得た。モノオール1のOH基に対するAOIのNCO基の比率(インデックス)は100であった。生成物中の単量体B1の含有量は84質量%であった。
得られた単量体B1のMn、Mw/Mn、平均官能基数、ウレタン結合の含有量、ガラス転移温度(Tg)を表に示す(以下、同様。)。
【0097】
[製造例2-2]
製造例2-1において、モノオール1に代えてモノオール2(平均水酸基数:1.04)を928.1g、AOIを26.8gとする他は同様にして、単量体B2を含む生成物を得た。生成物中の単量体B2の含有量は92質量%であった。
【0098】
[製造例2-3]
製造例2-1において、モノオール1に代えてモノオール3(平均水酸基数:1.11)を928.1g、AOIを8.6gとする他は同様にして、単量体B3を含む生成物を得た。生成物中の単量体B3の含有量は80質量%であった。
【0099】
[製造例2-4]
製造例2-1において、モノオール1に代えてモノオール4(平均水酸基数:1.11)を500.2g、AOIを6.6gとする他は同様にして、単量体B4を含む生成物を得た。生成物中の単量体B4の含有量は96質量%であった。
【0100】
[製造例2-5]
製造例2-1において、モノオール1に代えてモノオール5(平均水酸基数:1.11)を501.0g、AOIを14.9gとする他は同様にして、単量体B5を含む生成物を得た。生成物中の単量体B5の含有量は89質量%であった。
【0101】
[製造例3-1]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、酢酸エチルを200g加え、70℃に保持した。次いで、アクリル酸ブチル(以下、BAという。)の156.8g、アクリル酸(以下、AAという。)の4.0g、アクリル酸2-エチルヘキシル(以下、2-EHAという。)の39.2g、及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(以下、V-65という)の0.2gの混合液を、70±2℃に維持した反応容器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70℃±2で2時間保持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体A1を得た。
得られた重合体A1のMw、Mn、Mw/Mn、ガラス転移温度(Tg)を表に示す(以下、同様。)。
【0102】
[製造例3-2]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、酢酸エチルを100g加え、70℃に保持した。次いで、2-EHAの196.0g、AAの4.0g、及びV-65の0.2gの混合液を、70±2℃に保持した反応容器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70±2℃で2時間保持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体A2を得た。
【0103】
[製造例3-3]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、酢酸エチルを100g加え、70℃に保持した。次いで、BAの184.0g、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(以下、4-HBAという。)の16.0g、及びV-65の0.1gの混合液を、70±2℃に保持した反応容器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70±2℃で2時間保持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体A3を得た。
【0104】
[製造例3-4]
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、酢酸エチルを100g加え、70℃に保持した。次いで、BAの92.0g、2-EHAの92.0g、4-HBAの16.0g、及びV-65の0.1gの混合液を、70±2℃に保持した反応容器内に、2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、70±2℃で2時間保持した後、130℃で2時間減圧脱気し、酢酸エチル及び未反応モノマーを除去し、重合体A4を得た。
【0105】
【0106】
【0107】
[例1~21]
例1~14及び21は実施例、例15~20は比較例である。
表3、4に示す配合(単位:質量部)で、遊星式攪拌機(EMC社製)を用いて全成分を混合し、硬化性組成物を製造した。表中の架橋剤1は1,9-ノナンジオールジアクリレート、架橋剤2はトリメチロールプロパントリアクリレート、光重合開始剤1は4‐メチルベンゾフェノンである。
上記の測定方法及び評価方法で表に示す項目について、測定又は評価した。結果を表に示す。
【0108】
【0109】
【0110】
表3、4の結果に示されるように、重合体Aと単量体Bを含む例1~例14は、硬化物のガラス転移温度が低く、弾性率が低く、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性の両方に優れる。例21は、硬化物のガラス転移温度が低く、積層体の折り曲げ耐久性及び形状回復性の両方に優れる。
【0111】
なお、2019年2月5日に出願された日本特許出願2019-18959号の明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0112】
1 カプトンフィルム
2 粘着層
3 コロナ処理PET
4 初期値からのずれ幅