(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】注出用スパウト、ストッパ部材付き注出用スパウト、キャップ付き注出用スパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 25/42 20060101AFI20231108BHJP
B65D 47/28 20060101ALI20231108BHJP
B65D 47/32 20060101ALI20231108BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B65D25/42 B
B65D47/28 110
B65D47/32 200
B65D51/18
(21)【出願番号】P 2019076397
(22)【出願日】2019-04-12
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080218(JP,A)
【文献】特開2017-197286(JP,A)
【文献】特開平11-057536(JP,A)
【文献】特開2014-061953(JP,A)
【文献】特開2005-014339(JP,A)
【文献】特開2011-157080(JP,A)
【文献】特開2011-140330(JP,A)
【文献】実開昭64-039293(JP,U)
【文献】実開昭54-109911(JP,U)
【文献】特開2008-044620(JP,A)
【文献】実開昭64-002793(JP,U)
【文献】特開2011-207489(JP,A)
【文献】特開2000-247352(JP,A)
【文献】特開2004-210339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/42
B65D 47/28
B65D 47/32
B65D 51/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器に取り付けられる取付部及び前記取付部から突出された注出筒部を含むスパウト本体と、前記スパウト本体の前記注出筒部にその軸線方向に移動可能に外挿された外側スリーブとを有し、
前記スパウト本体は、前記取付部と、前記注出筒部と、前記注出筒部から突出された支持片部によって支持され前記注出筒部からその先端側に離間した位置に形成された嵌合部を前記外側スリーブの先端部内側に嵌合させることで前記外側スリーブの先端部内側を封止する封止突部と、前記注出筒部の内側を含み前記取付部を貫通し且つ前記封止突部の前記嵌合部と前記注出筒部の先端との間に確保された注出口を含んで形成された内容物流路と
、前記内容物流路内に前記内容物流路をその断面方向に分割する流路仕切り壁とを有し、
前記流路仕切り壁によって前記内容物流路内に複数の分割流路が形成されており、
前記外側スリーブは、前記スパウト本体に外挿され前記封止突部の前記嵌合部が先端部に脱着可能に嵌合される筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の基端部外周に突出形成され前記スリーブ本体を挿入した容器口首部の先端に当接されることで前記スリーブ本体の前記容器口首部に対する挿入方向の変位を規制するストッパ突部とを有し、前記ストッパ突部は前記スリーブ本体の基端側へ行くにしたがって前記スリーブ本体からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されており、
前記封止突部の前記嵌合部が前記スリーブ本体の先端部に嵌合する嵌合位置の状態で、前記ストッパ突部が前記容器口首部の先端に当接されたときに、前記スパウト本体の前記容器口首部への押し込みによって、前記注出口が開放される注出用スパウト。
【請求項2】
前記ストッパ突部にその側面から窪んで形成された通気路出口溝と、前記ストッパ突部を先端に当接させた前記容器口首部の内側の注出口流路とが連通するとき、前記容器口首部の内周面と前記外側スリーブの前記容器口首部内に挿入された部分の外周面との間のクリアランス及び前記通気路出口溝によって構成される通気路が確保される請求項1に記載の注出用スパウト。
【請求項3】
請求項1に記載の注出用スパウトと、前記スパウト本体の前記取付部における前記注出筒部の先端とは逆の基端の周囲に位置する部分あるいは前記注出筒部の側面に突出する突部であるストッパ受け部と前記スパウト本体の前記嵌合部に先端部を嵌合させた前記外側スリーブとの間に確保されるストッパ配置領域に設けられて前記外側スリーブの前記注出筒部の基端側への移動を規制するストッパ部材とを有し、
前記ストッパ部材は前記注出筒部の軸線に垂直の向きの引き抜き力によって前記ストッパ配置領域から抜き去り可能であるストッパ部材付き注出用スパウト。
【請求項4】
請求項3に記載のストッパ部材付き注出用スパウトと、前記外側スリーブを収容して前記注出用スパウトに脱着可能に装着されるオーバーキャップとを有し、
前記オーバーキャップは、前記外側スリーブを収容可能な筒壁部と、前記筒壁部の先端側を塞ぐ先端壁部とを有し、前記筒壁部の前記先端壁部とは逆の基端の開口部から前記注出用スパウトの前記外側スリーブ及び前記ストッパ部材における前記ストッパ配置領域に設けられる部分である介装片を収容可能、且つ前記介装片を収容した前記筒壁部によって前記介装片が前記ストッパ配置領域に配置された状態を維持可能とされているキャップ付き注出用スパウト。
【請求項5】
前記ストッパ部材は、前記介装片と、前記介装片に突出形成され前記注出用スパウトの前記ストッパ配置領域に配置された前記介装片から前記ストッパ配置領域の側方へ突出状態に配置される取っ手片とを有し、
前記オーバーキャップの前記筒壁部には前記ストッパ部材の前記取っ手片の少なくとも一部が挿入される取っ手片挿入スリットが前記筒壁部の基端から先端に向かって延在形成されている請求項4に記載のキャップ付き注出用スパウト。
【請求項6】
前記ストッパ部材の前記取っ手片は,前記介装片から突出された基片部と、基片部の前記介装片とは逆側の突端からその側方へ突出された張り出し片部とを有し、
前記オーバーキャップの前記取っ手片挿入スリットは前記筒壁部の基端側から前記ストッパ部材の前記取っ手片の前記基片部を挿脱可能であり、前記取っ手片の前記基片部が前記オーバーキャップの前記取っ手片挿入スリットに挿入されたときに、前記基片部からその側方へ突出された前記介装片の根元部と前記張り出し片部との間のクリアランスに前記筒壁部の一部が挿入される請求項5に記載のキャップ付き注出用スパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器等に好適に用いることができる注出用スパウト、ストッパ部材付き注出用スパウト、キャップ付き注出用スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
醤油等の液体調味料や液体洗剤等のトイレタリー商品は、樹脂製の包装容器に内容物を収容した商品の他に、補充用の内容物が収容された詰め替え容器を提供することが多く行なわれている。
繰り返し使用する包装容器にはボトル形のもの(以下、ボトル容器、とも言う)がある。ボトル容器の内容物補充のために提供される詰め替え容器は内容物注出用の注出筒を有し、この注出筒をボトル容器の口首部に単に差し込んで詰め替えを行うものが従来一般的であった。この詰め替え容器は、近年、詰め替え時の漏れ防止や作業性向上のために、先端が閉鎖され且つ周壁に注出口が開口された有天筒状の注出筒と、注出筒に注出筒軸線方向に移動可能に外挿されたリング状の可動部材とを備え、可動部材の注出筒軸線方向への移動によって注出筒の注出口が開閉される注出用スパウトを有するものが提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示される詰め替え容器の注出用スパウトの可動部材は、注出筒に外挿され注出筒に対するその軸線方向への移動によって注出筒周壁の注出口を開閉する筒状の注出口閉鎖部と、注出口閉鎖部外周からフランジ状に張り出す連結部と、連結部の外周部に形成されボトル容器の口首部に押し当てられる押し当て部と、連結部の外周部に突出形成されボトル容器の口首部の内又は外周面に係合する位置決め係合部とを有している。
特許文献1に開示される詰め替え容器の注出用スパウトは、可動部材の注出口閉鎖部を注出筒先端部に配置して注出口を閉鎖することで詰め替え容器の内容物が外気に触れることを防止できる。
【0004】
この注出用スパウトは、可動部材の注出口閉鎖部によって注出口を閉鎖し、内容物の注出口からの漏れを防止した状態で、ボトル容器の口首部にその上方から可動部材の押し当て部を押し当てるとともに可動部材の位置決め係合部を口首部の内周面または外周面に係合させることができる。また、この注出用スパウトは、可動部材の押し当て部をボトル容器の口首部に押し当て、可動部材の位置決め係合部を口首部の内周面または外周面に係合させた状態で、注出筒を可動部材に対して下方へ移動し可動部材から下方へ突出させて口首部内に挿入し、注出筒周壁の注出口を口首部内にて開放させることで、詰め替え容器内の内容物を注出筒を通じてボトル容器に充填できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来構成の注出用スパウトは、ボトル容器の口首部にその上方から可動部材の押し当て部を押し当てるとともに可動部材の位置決め係合部を口首部の内周面または外周面に係合させることで、可動部材の押し当て部が口首部の開口周縁部に当接した状態が安定に維持される。
しかしながら、従来構成の注出用スパウトは、その構造上、可動部材の位置決め係合部のサイズがボトル容器の口首部の内周面または外周面に適合しなければ、口首部の開口周縁部に対する可動部材の押し当て部の当接状態の安定維持が困難である。このため、従来構成の注出用スパウトは、ボトル容器の口首部の内周面または外周面のサイズ毎に適合サイズの位置決め係合部を有する可動部材を使用して組み立てる必要がある。
【0007】
本発明の態様が解決しようとする課題は、詰め替え容器から内容物を充填するボトル容器等の充填対象容器の口首部のサイズに対応して注出筒部の口首部に対する挿入方向の位置及び挿入向きを安定維持できる注出用スパウト、ストッパ部材付き注出用スパウト、キャップ付き注出用スパウトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様の注出用スパウトは、内容物が収容される容器に取り付けられる取付部及び前記取付部から突出された注出筒部を含むスパウト本体と、前記スパウト本体の前記注出筒部にその軸線方向に移動可能に外挿された外側スリーブとを有し、前記スパウト本体は、前記取付部と、前記注出筒部と、前記注出筒部から突出された支持片部によって支持され前記注出筒部からその先端側に離間した位置に形成された嵌合部を前記外側スリーブの先端部内側に嵌合させることで前記外側スリーブの先端部内側を封止する封止突部と、前記注出筒部の内側を含み前記取付部を貫通し且つ前記封止突部の前記嵌合部と前記注出筒部の先端との間に確保された注出口を含んで形成された内容物流路とを有し、前記外側スリーブは、前記スパウト本体に外挿され前記封止突部の前記嵌合部が先端部に脱着可能に嵌合される筒状のスリーブ本体と、前記スリーブ本体の基端部外周に突出形成され前記スリーブ本体を挿入した容器口首部の先端に当接されることで前記スリーブ本体の前記容器口首部に対する挿入方向の変位を規制するストッパ突部とを有し、前記ストッパ突部は前記スリーブ本体の基端側へ行くにしたがって前記スリーブ本体からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。
上述の注出用スパウトは、前記ストッパ突部にその側面から窪んで形成された通気路出口溝と、前記ストッパ突部を先端に当接させた前記容器口首部の内側の注出口流路とが連通するとき、前記容器口首部の内周面と前記外側スリーブの前記容器口首部内に挿入された部分の外周面との間のクリアランス及び前記通気路出口溝によって構成される通気路が確保される構成も採用可能である。
第2の態様のストッパ部材付き注出用スパウトは、上述の注出用スパウトと、前記スパウト本体の前記取付部における前記注出筒部の先端とは逆の基端の周囲に位置する部分あるいは前記注出筒部の側面に突出する突部であるストッパ受け部と前記スパウト本体の前記嵌合部に先端部を嵌合させた前記外側スリーブとの間に確保されるストッパ配置領域に設けられて前記外側スリーブの前記注出筒部の基端側への移動を規制するストッパ部材とを有し、前記ストッパ部材は前記注出筒部の軸線に垂直の向きの引き抜き力によって前記ストッパ配置領域から抜き去り可能である。
第3の態様のキャップ付き注出用スパウトは、上述のストッパ部材付き注出用スパウトと、前記外側スリーブを収容して前記注出用スパウトに脱着可能に装着されるオーバーキャップとを有し、前記オーバーキャップは、前記外側スリーブを収容可能な筒壁部と、前記筒壁部の先端側を塞ぐ先端壁部とを有し、前記筒壁部の前記先端壁部とは逆の基端の開口部から前記注出用スパウトの前記外側スリーブ及び前記ストッパ部材における前記ストッパ配置領域に設けられる部分である介装片を収容可能、且つ前記介装片を収容した前記筒壁部によって前記介装片が前記ストッパ配置領域に配置された状態を維持可能とされている。
前記ストッパ部材は、前記介装片と、前記介装片に突出形成され前記注出用スパウトの前記ストッパ配置領域に配置された前記介装片から前記ストッパ配置領域の側方へ突出状態に配置される取っ手片とを有し、前記オーバーキャップの前記筒壁部には前記ストッパ部材の前記取っ手片の少なくとも一部が挿入される取っ手片挿入スリットが前記筒壁部の基端から先端に向かって延在形成されていても良い。
前記ストッパ部材の前記取っ手片は,前記介装片から突出された基片部と、基片部の前記介装片とは逆側の突端からその側方へ突出された張り出し片部とを有し、前記オーバーキャップの前記取っ手片挿入スリットは前記筒壁部の基端側から前記ストッパ部材の前記取っ手片の前記基片部を挿脱可能であり、前記取っ手片の前記基片部が前記オーバーキャップの前記取っ手片挿入スリットに挿入されたときに、前記基片部からその側方へ突出された前記介装片の根元部と前記張り出し片部との間のクリアランスに前記側壁部の一部が挿入される構成であっても良い。
前記ストッパ部材は、前記取っ手片から延出されて前記スパウト本体の前記注出筒部を脱着可能に保持する一対の介装片を有しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボトル容器等の充填対象容器の口首部のサイズに対応して注出筒部の口首部に対する挿入方向の位置及び挿入向きを安定維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の1実施形態に係る注出用スパウトの充填対象容器の口首部に対する挿入状態を示す正断面図である。
【
図2】
図1の注出用スパウトのスパウト本体の内容物流路の注出口を開放させた状態を示す正断面図である。
【
図3】
図1の注出用スパウトを用いて組み立てたストッパ部材付きスパウトとオーバーキャップとで構成されるキャップ付き注出用スパウトを示す分解斜視図である。
【
図4】
図3のキャップ付き注出用スパウトについて、ストッパ部材付きスパウトを分解して示して分解斜視図である。
【
図5】
図3のキャップ付き注出用スパウトの組み立て状態を示す正断面図である。
【
図6】
図5のA-A線矢視断面図であり、注出用スパウトのストッパ配置領域に配置されたストッパ部材の介装片とスパウト本体の注出筒部との関係を示す図である。
【
図7】
図5におけるオーバーキャップの係合突起とスパウト本体のストッパ受け部との係合状態を示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
図1、
図2は、本発明の1実施形態の注出用スパウト10を示す。
また、
図3は、注出用スパウト10と注出用スパウト10に脱着可能に装着されるストッパ部材40とを有するストッパ部材付き注出用スパウト10A、及びストッパ部材付き注出用スパウト10Aとストッパ部材付き注出用スパウト10Aに脱着可能に取り付けられるオーバーキャップ50とを有するキャップ付き注出用スパウト10Bを示す。
図4は、注出用スパウト10、ストッパ部材付き注出用スパウト10A、キャップ付き注出用スパウト10Bを示す分解斜視図である。
【0013】
図1、
図2に示すように、この実施形態の注出用スパウト10は、詰め替え容器110の容器部111(容器)に取り付けられた取付部21及び取付部21から突出された注出筒部22を含むスパウト本体20と、スパウト本体20の注出筒部22にその軸線方向に移動可能に外挿された外側スリーブ30とを有する。
【0014】
なお、本明細書において、注出用スパウト10について、スパウト本体20の取付部21側を基端側、取付部21から突出する注出筒部22の先端(突端)側を先端側、として説明する。スパウト本体20及び外側スリーブ30についても、注出用スパウト10基端側を基端側、注出用スパウト10先端側を先端側、として説明する。
また、注出用スパウト10について、スパウト本体20の筒状の注出筒部22の軸線方向を、軸線方向、あるいはスパウト軸線方向とも言う。
【0015】
図1~
図4に示す注出用スパウト10のスパウト本体20、外側スリーブ30、及び
図3、
図4に示すストッパ部材40、オーバーキャップ50は、それぞれ合成樹脂製の一体成形品である。
図1~
図4に示す注出用スパウト10のスパウト本体20の注出筒部22は円筒状に形成されている。
図1~
図4に示す外側スリーブ30は、スパウト本体20の注出筒部22にその軸線方向に移動可能に外挿された円筒状のスリーブ本体31と、スリーブ本体31の基端部の周囲にリング状に突出形成されたストッパ突部32とを有する。ストッパ突部32は、外側スリーブ30基端側に行くにしたがってスリーブ本体31からの突出寸法が増大するテーパ状に突出形成されている。
【0016】
詰め替え容器110の容器部111の内部には、液体、粉体等の有体物からなる流体である内容物が収容される。液体の内容物には、例えば醤油等の液体調味料や液体洗剤、液体化粧品などを挙げることができる。粉体の内容物には、塩、砂糖、胡椒、顆粒状調味料、粉末洗剤などを挙げることができる。
【0017】
図1、
図2に示すように、スパウト本体20は、注出筒部22及び注出筒部22の先端側に設けられた封止突部24を含む注出用突部26を有する。注出用突部26は、スパウト本体20において注出筒部22及び注出筒部22を含み、取付部21から先端側に突出された部分の全体を指す。
【0018】
スパウト本体20には、容器部111内の内容物を注出用突部26先端部の側面において注出筒部22先端側に開口する注出口25bから注出させる内容物流路25が貫通形成されている。スパウト本体20は内容物流路25を含む。
内容物流路25は、注出筒部22の内側を含み且つ取付部21を貫通して形成されている。内容物流路25は、取付部21の注出筒部22側とは逆側の基端側の面21a(基端面)の中央部に開口する開口部である基端開口部25a、及びスパウト本体20の注出用突部26先端部の側面の注出口25bを含む。内容物流路25は、その一端の基端開口部25aから他端の注出口25bを含んでスパウト本体20に延在形成されている。
注出用スパウト10は、取付部21に開口された基端開口部25aから内容物流路25に流入された容器部111内の内容物を注出用突部26先端部側面に開口された内容物流路25の注出口25bから注出できる。
【0019】
図1~
図4に示す外側スリーブ30のスリーブ本体31におけるストッパ突部32から先端側に延出する部分33を、以下、主筒部、あるいは外側スリーブ主筒部、とも言う。
図1、
図2に示すように、注出用スパウト10を有する詰め替え容器110は、注出用スパウト10の外側スリーブ主筒部33及びその内側のスパウト本体20を包装容器120(充填対象容器)に突出形成された筒状の口首部121(容器口首部)に挿入して容器部111内の内容物を包装容器120に充填する充填作業に使用できる。
【0020】
図1、
図2、
図4に示すように、スパウト本体20は、取付部21と、注出筒部22と、スパウト本体20に貫通形成された内容物流路25の内周面から突出されて内容物流路25を複数の分割流路25cに分割する流路仕切り壁23と、流路仕切り壁23から注出筒部22の先端(突端)側に突出形成された封止突部24とを有する。
【0021】
図1、
図2に示すように、流路仕切り壁23は、内容物流路25におけるスパウト本体20の取付部21及び注出筒部22に位置する部分の内周面から突出され内容物流路25をその軸線に垂直の断面方向(以下、単に断面方向、とも言う)において複数の領域(分割流路25c)に分割する。流路仕切り壁23は、内容物流路25の取付部21及び注出筒部22に位置する部分の軸線方向全長にわたって形成されている。
【0022】
図4、
図6に示すように、スパウト本体20は、内容物流路25内に内容物流路25をその断面方向に2分割する流路仕切り壁23をひとつのみ有し、流路仕切り壁23によって内容物流路25内に2つの分割流路25cが形成された構成となっている。
但し、スパウト本体20は、内容物流路25が流路仕切り壁23によって2つの分割流路25cに分割された構成に限定されず、内容物流路25が流路仕切り壁23によって3以上の分割流路25cに分割された構成も採用可能である。
流路仕切り壁23は、分割流路25cの形成数に応じて、その形成数、形状(内容物流路25の軸線に垂直の断面形状)を適宜設定可能である。
【0023】
図1、
図2、
図4に示すように、この実施形態の注出用スパウト10のスパウト本体20の流路仕切り壁23は、注出筒部22からその先端側(取付部21とは逆の側)へ延長、突出された突出先端部23aを有している。
封止突部24は、流路仕切り壁23の突出先端部23aにその先端側へ行くにしたがって径大となるテーパ円筒状に形成されたカバー壁部24aと、カバー壁部24aの流路仕切り壁23とは逆側の先端部の全周にわたって形成されたリング状の嵌合部24bとを有する。封止突部24のカバー壁部24a及び嵌合部24bは注出筒部22と同軸に形成されている。
スパウト本体20の封止突部24は流路仕切り壁23を介して注出筒部22に支持されている。流路仕切り壁23は封止突部24を注出筒部22に支持するための支持片部の役割を果たす。
【0024】
スパウト本体20の注出用突部26は、スパウト本体20において取付部21から先端側に突出された部分の全体を指す。
図1、
図2、
図4に示す注出用突部26は、注出筒部22と、流路仕切り壁23の取付部21からスパウト軸線方向における先端側に位置する部分と、封止突部24とを有して構成されている。
【0025】
図1に示すように、封止突部24の嵌合部24bは、外側スリーブ30の主筒部33の先端部内側に嵌合、密着可能なリング状に形成されている。封止突部24は、嵌合部24bを外側スリーブ30の主筒部33の先端部内側に嵌合させることで、外側スリーブ主筒部33の先端部内側全体を封止する。
なお、
図2に示すように、嵌合部24bは、外側スリーブ主筒部33の先端部内側から離脱可能であり、外側スリーブ主筒部33の先端部内側に対して脱着可能に嵌合される。
【0026】
図1、
図2、
図4に示すように、封止突部24の嵌合部24bは、注出筒部22先端から取付部21とは逆の側(注出筒部22先端側)へ離間した所に形成されている。
スパウト本体20の内容物流路25は、注出筒部22先端と封止突部24との間に確保された領域(空間)である流路先端領域25dを含む。内容物流路25の注出口25bは、注出用突部26側面における注出筒部22先端と封止突部24の嵌合部24bとの間に開口する開口部である。
【0027】
図1、
図2に示すように、外側スリーブ30は主筒部33の先端部内側全周に突出された嵌合受け部34を含む。
スパウト本体20の封止突部24の嵌合部24bは、具体的には、外側スリーブ30の嵌合受け部34内側に嵌合、密着可能に形成されている。
なお、封止突部24の嵌合部24bは、スパウト本体20の注出筒部22に比べて若干径小に形成されている。
【0028】
図1、
図2、
図4に示すように、スパウト本体20の注出用突部26は、注出筒部22の基端部の側面から突出された突部であるストッパ受け部27を有している。
図1、
図2、
図4に示すスパウト本体20のストッパ受け部27は、注出筒部22基端部の側面全周に突出するフランジ状に形成されている。
【0029】
図2に示すように、外側スリーブ30は、スパウト本体20のストッパ受け部27に注出用突部26先端側から当接可能である。
外側スリーブ30は、その基端部がストッパ受け部27に注出用突部26先端側から突き当たる位置が、スパウト本体20に対する基端側への移動限界位置(基端側移動限界位置)となっている。
外側スリーブ30は、注出用突部26に対するスパウト軸線方向のスライド移動によって、スパウト本体20に対して、ストッパ受け部27に突き当たる基端側移動限界位置と、外側スリーブ主筒部33の先端部内側の嵌合受け部34がスパウト本体20の封止突部24の嵌合部24bに嵌合する嵌合位置とを切り換えることができる。
【0030】
図4、
図6に示すように、ストッパ部材40は、Cリング状に形成された介装片41と、介装片41に突出形成された取っ手片42とを有する。
取っ手片42は、Cリング状に湾曲して延在する介装片41の延在方向(湾曲周方向)中央部の湾曲外周側の側面に突出形成された基片部43と、基片部43の介装片41とは逆側の突端からその側方へ突出された張り出し片部44とを有する。
【0031】
図3、
図5に示すように、介装片41は、スパウト本体20に対する嵌合位置に配置された外側スリーブ30と、スパウト本体20のストッパ受け部27との間に確保されるストッパ配置領域11に挿入配置可能である。
図5に示すように、介装片41のその湾曲中心の軸線(湾曲軸線)に沿う方向の寸法である高さ寸法41T(
図4、
図5参照)は、スパウト本体20に対する嵌合位置に配置された外側スリーブ30と、スパウト本体20のストッパ受け部27との間の離間距離ΔL(
図1参照)と同等である。
【0032】
図3、
図5に示すように、スパウト本体20の注出筒部22におけるストッパ配置領域11に位置する部分22aを、以下、配置領域延在部、とも言う。
介装片41は、注出筒部22における配置領域延在部22aの外側に脱着可能に装着される。
図5は、ストッパ部材40の介装片41が注出筒部22の配置領域延在部22aに装着され注出用スパウト10のストッパ配置領域11に配置された状態を示す。
ストッパ部材40は、介装片41を注出筒部22の配置領域延在部22aに装着し注出用スパウト10のストッパ配置領域11に配置することで、注出用スパウト10に装着される。また、ストッパ部材付き注出用スパウト10Aはストッパ部材40を注出用スパウト10に装着することで組み立て状態となる。
【0033】
図6に示すように、介装片41の湾曲内周側の湾曲半径は、注出筒部22の配置領域延在部22aの外径と同等になっている。
Cリング状に湾曲して延在する介装片41の延在方向(湾曲周方向)両端間の離間距離41Lは、注出筒部22の配置領域延在部22aの外径よりも小さい。介装片41は、取っ手片42の基片部43から両側に延出された延出部を弾性変形させ一対の延出部の先端間を一時的に拡げて注出筒部22の配置領域延在部22aに脱着される。
なお、介装片41における、取っ手片42の基片部43から両側に延出された延出部は、それぞれ、ストッパ配置領域11に配置される介装片として機能する。
【0034】
図6に示すように、介装片41の延在方向両端間の離間距離41Lは、例えば、注出筒部22の配置領域延在部22a外径の5~40%に設定される。
但し、介装片41は、注出筒部22に装着していないとき、あるいは注出筒部22に装着したときに、延在方向両端が互いに接する構成も採用可能である。
また、介装片41は、注出筒部22に装着していないとき、あるいは注出筒部22に装着したときに、延在方向両端部の一方にその先端から窪んで形成された切欠部に、延在方向両端部の他方に形成された突片部が入り込む構成も採用可能である。
【0035】
ストッパ部材40の介装片41は、ストッパ配置領域11に配置されることで、ストッパ本体20に対する嵌合位置に配置された外側スリーブ30の注出筒部22基端側への移動を規制する。
ストッパ配置領域11に配置された介装片41は、ストッパ本体20に対する嵌合位置に配置された外側スリーブ30が不用意に注出筒部22基端側へ押し込まれて、ストッパ本体20の内容物流路25の注出口25bが開放されることを防ぐ。
【0036】
図4、
図5等に示すストッパ部材40の基片部43は、Cリング状に湾曲して延在する介装片41の延在方向(湾曲周方向)中央部の湾曲外周側の側面の接線方向に垂直の板状に形成されている。
図4、
図5等に示す基片部43は、ストッパ部材40の介装片41の延在方向中央部から介装片41の湾曲軸線とは逆側へ延出された部分であり、介装片41と取っ手片42の張り出し片部44との間を橋絡する橋絡部43aを有する。また、
図4、
図5等に示す基片部43は、基片部43の橋絡部43a及び介装片41の延在方向中央部から、介装片41の湾曲軸線方向片側へ延出する延出板部43bを有している。
【0037】
延出板部43bを有している基片部43は、例えば橋絡部43aのみが存在する構成に比べて橋絡部43aの折れや変形が生じにくい。
延出板部43bは橋絡部43aの補強材の役割を果たす。
なお、ストッパ部材40の基片部43は、延出板部43bが無く橋絡部43aのみが存在する構成や、橋絡部43aが無く延出板部43bのみが存在する構成も採用可能である。
【0038】
図5に示すように、延出板部43bは、介装片41の延在方向中央部に対して、その介装片41の湾曲軸線を中心とする径方向全体に繋がっているのではなく、介装片41の延在方向中央部における径方向中央部から外側(介装片41湾曲軸線とは逆側)の部分のみに繋がっている。
【0039】
図4に示すように、外側スリーブ30のストッパ突部32の周方向の一部には、ストッパ部材40の取っ手片42の基片部43の延出板部43bが挿入される基片部挿入溝32aが形成されている。
基片部挿入溝32aは、ストッパ突部32にその径方向外側から窪みリング状のストッパ突部32の軸線方向に沿って延在する溝状に形成されている。基片部挿入溝32aの延在方向一端(基端)はストッパ突部32基端側に外側スリーブ30のスリーブ本体31軸線方向に垂直に延在する基端面に開口され、延在方向他端(先端)はストッパ突部32のテーパ状の側面に開口されている。
【0040】
図3、
図5に示すように、ストッパ部材40は、介装片41を注出筒部22の配置領域延在部22aに装着してストッパ配置領域11に配置するとともに、取っ手片42の基片部43の延出板部43bを外側スリーブ30のストッパ突部32の基片部挿入溝32aに挿入して、基片部43の延出板部43bが橋絡部43aからスパウト軸線方向先端側に位置する向きで注出用スパウト10に装着される。
【0041】
ストッパ部材40の取っ手片42は、ストッパ部材40の介装片41が注出筒部22の配置領域延在部22aに装着してストッパ配置領域11に配置されたとき、介装片41からストッパ配置領域11の側方へ突出状態に配置される。また、取っ手片42はユーザーが手指で把持可能なサイズに形成されている。
注出筒部22の配置領域延在部22aに装着してストッパ配置領域11に配置された介装片41は、例えば、詰め替え容器110を使用するユーザーが手指でストッパ部材40の取っ手片42を把持して注出筒部22軸線に垂直の向きの引き抜き力を作用させることによってストッパ配置領域11から抜き去る作業を簡単に行なうことができる。
【0042】
図5に示すように、オーバーキャップ50は、注出用スパウト10の外側スリーブ30及び注出筒部22の配置領域延在部22aに装着してストッパ配置領域11に配置されたストッパ部材40の介装片41を収容可能な筒壁部51と、筒壁部51の先端側を塞ぐ先端壁部52とを有する。
オーバーキャップ50は、組み立て状態のストッパ部材付き注出用スパウト10Aに脱着可能に装着できる。
なお、オーバーキャップ50は、ストッパ部材40が装着されていない注出用スパウト10にも脱着可能に装着できる。
【0043】
図5は、オーバーキャップ50を注出用スパウト10の外側スリーブ30及びストッパ部材40の介装片41を収容して組み立て状態のストッパ部材付き注出用スパウト10Aに装着した状態のキャップ付き注出用スパウト10Bを示す。
オーバーキャップ50の筒壁部51内側には、注出用スパウト10の外挿スリーブ30と、その内側の注出用突部26と、注出筒部22の配置領域延在部22aに装着してストッパ配置領域11に配置されたストッパ部材40の介装片41とを、筒壁部51の基端側開口部から収容できる。
【0044】
注出用スパウト10について、外側スリーブ30がスパウト本体20に対して嵌合位置に配置され、ストッパ部材40の介装片41が注出筒部22の配置領域延在部22aに装着されてストッパ配置領域11に配置された状態を、以下、初期状態、とも言う。
【0045】
図4、
図6に示すように、オーバーキャップ50の筒壁部51には、その基端から先端側へ向かって延在する取っ手片挿入スリット53が形成されている。
オーバーキャップ50を初期状態の注出用スパウト10に装着するには、オーバーキャップ50を注出用スパウト10にその先端側から取付部21に向かって移動させ、注出用スパウト10の外側スリーブ30及びその内側の注出用突部26をオーバーキャップ50の筒壁部51にその基端側開口部から挿入させる。
また、ストッパ部材40の取っ手片42の基片部43をオーバーキャップ50の筒壁部51の取っ手片挿入スリット53に挿入させ、オーバーキャップ50の筒壁部51のその周方向において取っ手片挿入スリット53を介して両側に位置する部分をストッパ部材40の取っ手片42の張り出し片部44と介装片41との間に挿入させ、ストッパ部材40の介装片41を筒壁部51内側に収容する。
【0046】
図3に示すように、オーバーキャップ50を組み立て状態のストッパ部材付き注出用スパウト10Aに被せて装着する際、注出用スパウト10に装着されたストッパ部材40の取っ手片42の基片部43は、まず延出板部43bがオーバーキャップ50の取っ手片挿入スリット53に挿入された後に、橋絡部43aが取っ手片挿入スリット53に挿入される。
ストッパ部材40の取っ手片42の基片部43の延出板部43bは、オーバーキャップ50を組み立て状態のストッパ部材付き注出用スパウト10Aに被せて装着する際に、オーバーキャップ50の筒壁部51の基端部における取っ手片挿入スリット53を介して両側の部分を取っ手片43の橋絡部43aに円滑に導く案内部材の役割を果たす。
【0047】
オーバーキャップ50は、ストッパ部材40の取っ手片42の基片部43を筒壁部51の取っ手片挿入スリット53に挿入させ、且つ筒壁部51のその周方向において取っ手片挿入スリット53を介して両側に位置する部分をストッパ部材40の取っ手片42の張り出し片部44と介装片41との間に挿入させることで、注出用スパウト10に対して大きく傾いて装着されてしまうことを防ぐことができる。
ストッパ部材40の取っ手片42におけるオーバーキャップ50の筒壁部51の取っ手片挿入スリット53に挿入される基片部43、及び介装片41との間に筒壁部51の一部が挿入される張り出し片部44は、それぞれ注出用スパウト10に対するオーバーキャップ50の装着向きの安定化に有効に寄与する。
【0048】
図3、
図7等に示すように、オーバーキャップ50の筒壁部51の基端部内面には、スパウト本体20のストッパ受け部27に係脱可能に係合させる係合突起54が突出形成されている。
オーバーキャップ50は係合突起54を含む。
【0049】
図7に示すように、初期状態の注出用スパウト10に対してその先端側から取付部21に向かって移動させたオーバーキャップ50は、筒壁部51の基端部内面の係合突起54を、スパウト本体20のストッパ受け部27に対して筒壁部51の弾性変形によってスパウト軸線方向先端側から基端側へ乗り越えさせ、ストッパ受け部27のスパウト軸線方向基端側に係合させる。
オーバーキャップ50の初期状態の注出用スパウト10への装着は、オーバーキャップ50の筒壁部51基端部内面の係合突起54をスパウト本体20のストッパ受け部27に係合させることで完了する。
【0050】
図5に示すように、オーバーキャップ50は、初期状態の注出用スパウト10への装着が完了したときに、先端壁部52がスパウト本体20に対して嵌合位置の外側スリーブ30の先端に当接(あるいはごく僅かな隙間を介して接近配置)される構成となっている。
オーバーキャップ50の初期状態の注出用スパウト10への装着が完了したとき、スパウト本体20に対する嵌合位置の外側スリーブ30は、ストッパ部材40の介装片41によって取付部21側への移動が規制され、且つオーバーキャップ50によってスパウト本体20先端側への移動が規制される。その結果、外側スリーブ30がスパウト本体20に対して嵌合位置に配置された状態が安定維持される。
【0051】
仮に、注出スパウト10へのオーバーキャップ50の装着作業時に注出スパウト10の外側スリーブ30がスパウト本体20に対する嵌合位置よりもスパウト本体20先端側にずれた位置にある場合、外側スリーブ30は、オーバーキャップ50の先端壁部52によって押動されてスパウト本体20に対する嵌合位置に配置される。
【0052】
図6に示すように、ストッパ部材40の介装片41の湾曲外周側の側面は、オーバーキャップ50の筒壁部51の内周面と同様の湾曲半径の仮想円上に位置する。
このため、オーバーキャップ50の注出用スパウト10への装着が完了したときには、オーバーキャップ50の筒壁部51によってストッパ部材40の介装片41が注出用スパウト10のストッパ配置領域11内に配置された状態が安定維持される。
【0053】
注出用スパウト10に装着されたオーバーキャップ50は、注出用スパウト10に対してその先端側へ引っ張り、筒壁部51基端部内面の係合突起54をスパウト本体20のストッパ受け部27から注出用スパウト10先端側へ抜き出すことで、注出用スパウト10から離脱させることができる。
図3に示すように、オーバーキャップ50を注出用スパウト10から離脱させれば、注出用スパウト10のストッパ配置領域11内に配置されたストッパ部材40の介装片41のストッパ配置領域11からの抜き去りが可能となる。
【0054】
図5に示すように、初期状態の注出用スパウト10へのオーバーキャップ50の装着が完了したときには、ストッパ部材40の取っ手片42の張り出し片部44がオーバーキャップ50外側に配置される。このため、注出用スパウト10からオーバーキャップ50を離脱させなくても、注出用スパウト10にストッパ部材40が装着されていることを目視確認できる。
【0055】
図3に示すように、オーバーキャップ50を注出用スパウト10から離脱させたときには、ストッパ部材40の取っ手片42が、注出用スパウト10のストッパ配置領域11内に配置された介装片41からストッパ配置領域11側方へ突出されているため、詰め替え容器110のユーザーが取っ手片42の存在を明瞭に目視確認できる。このため、詰め替え容器110から包装容器120への内容物充填作業を行なうユーザーに、注出用スパウト10に装着状態のストッパ部材40の注出用スパウト10からの抜き去り撤去を喚起できる。
【0056】
初期状態の注出用スパウト10は、オーバーキャップ50が離脱された状態で、ストッパ部材40を抜き去ることで、外側スリーブ30のスパウト本体20に対する基端側へのスライド移動が可能となる。
【0057】
図1、
図2に示すように、詰め替え容器110は、オーバーキャップ50及びストッパ部材40が取り外した(離脱させた)状態の注出用スパウト10を包装容器120の円筒状の口首部121に挿入して、包装容器120への内容物充填作業に用いる。
図1、
図2において、上側が上、下側が下である。
図1に示すように、詰め替え容器110から包装容器120へ内容物を充填する充填作業では、包装容器120を口首部121先端が上端となる向きとし、詰め替え容器110の注出用スパウト10を口首部121にその上側から挿入し、外側スリーブ30のストッパ突部32を口首部121先端に当接させる。
詰め替え容器110は、注出用スパウト10先端が下端、容器部111が注出用スパウト10の上側に位置する向きで、注出用スパウト10を注出用スパウト10を口首部121に挿入していく。
【0058】
このとき、注出用スパウト10は、外側スリーブ30がスパウト本体20に対して嵌合位置に配置された状態で、その先端側から包装容器120の口首部121に挿入していく。外側スリーブ30は、まず、主筒部33が包装容器120の口首部121に挿入されていき、ストッパ突部32が口首部121先端に当接される。
【0059】
次いで、
図2に示すように、注出用スパウト10の口首部121への挿入動作の継続によってスパウト本体20の注出用突部26を外側スリーブ30からその先端側へ突出させて内容物流路25の注出口25bを開放させる。
注出用スパウト10の内容物流路25の注出口25bを開放されることで、詰め替え容器110内の内容物は注出用スパウト10の内容物流路25を介して包装容器120へ流入、充填される。
【0060】
詰め替え容器110内の内容物は注出用スパウト10の内容物流路25の複数の分割流路25c(
図1、
図2、
図3等参照)の1以上を介して包装容器120へ流入、充填される。
【0061】
図4、
図5に示すように、スパウト本体20の注出筒部22の側面の軸線方向複数箇所には、その周方向全周に延在する液止めリブ28が突設されている。
外側スリーブ30のスリーブ本体31内周面、すなわち、外側スリーブ30内側の貫通孔(スリーブ貫通孔)内周面は、液止めリブ28に当接されている。液止めリブ28は外側スリーブ30と注出筒部22との接触面積を小さく抑えて外側スリーブ30の注出筒部22に対する摺動抵抗を小さくするとともに、外側スリーブ30と注出筒部22との間の内容物の通過を阻止する役割を果たす。
【0062】
図2に示すように、包装容器120の口首部121内径が、注出用スパウト10の外側スリーブ30の基片部挿入溝32aの溝底の外側スリーブ30先端側の端から外側スリーブ30内側のスリーブ貫通孔の中心軸線までの離間距離の2倍よりも大きく、外側スリーブ30のストッパ突部32が当接された口首部121内側の注出口流路123に外側スリーブ30の基片部挿入溝32aが連通するとき、口首部121の内周面と外側スリーブ30の口首部121内に挿入された部分の外周面との間のクリアランス、及び基片部挿入溝32aによって、包装容器120及び詰め替え容器110の外側空間と連通する通気路12が確保される。
外側スリーブ30の基片部挿入溝32aは、通気路12の末端に位置し、口首部121の内周面と外側スリーブ30の口首部121内に挿入された部分の外周面との間のクリアランスと、包装容器120及び詰め替え容器110の外側空間との間を連通させる通気路出口溝の役割を果たす。
【0063】
通気路12には、詰め替え容器110から包装容器120への内容物の充填の進行に伴い包装容器120から押し出される空気が流入する。
通気路12は、詰め替え容器110から包装容器120への内容物の充填の進行に伴い包装容器120から押し出された空気の包装容器120からの脱気を可能にし、詰め替え容器110から包装容器120への内容物の充填を円滑にする役割を果たす。
【0064】
図1、
図2に示すように、詰め替え容器110の注出用スパウト10の外側スリーブ30は、ストッパ突部32が主筒部33を挿入した口首部121の先端に当接する位置まで包装容器120に挿入できる。外側スリーブ30は、ストッパ突部32が口首部121先端に当接する位置が包装容器120に対する挿入限界位置である。
外側スリーブ30のストッパ突部32は、主筒部33を挿入した口首部121の先端に当接されることでスリーブ本体31の口首部121に対する挿入方向の変位を規制する。
【0065】
また、ストッパ突部32は、包装容器120の口首部121先端に当接可能な範囲で包装容器120の口首部121の種々の口径(内径)に対応して、外側スリーブ30の包装容器120に対する挿入限界位置の設定(外側スリーブ30の包装容器120に対する挿入限界位置での支持)を実現できる。
【0066】
外側スリーブ30のスリーブ本体31の基端部の周囲に外側スリーブ30基端側に行くにしたがってスリーブ本体31からの突出寸法が増大するテーパ状に突出形成されたストッパ突部32は、包装容器120の口首部121先端のほぼ全周にわたって当接されることで口首部121に嵌め込まれた状態となり、スパウト本体20の注出筒部22の口首部121に対する挿入向きの安定維持に有効に寄与する。
【0067】
また、
図1、
図2に示すように、外側スリーブ30のスリーブ本体31の基端部の周囲にリング状に突出形成されたストッパ突部32は、包装容器120の口首部121先端に当接されることで、口首部121内周面とその内側に挿入された外側スリーブ主筒部33との間に生じたクリアランスの上端を塞ぐように設けられる。
【0068】
図5等に示すように、外側スリーブ30はスリーブ本体31後端部とストッパ突部32とが一体化した後端部を有する。ストッパ突部32の基片部挿入溝32aは、ストッパ突部32径方向全体に形成されているのではなく、外側スリーブ30基端部におけるスリーブ本体31側面の仮想延長からストッパ突部32径方向外側に離間した所に溝底が位置するように形成されている。
【0069】
包装容器120の口首部121内径がストッパ突部32の基片部挿入溝32aの溝底のスリーブ本体31軸線からの距離以下である場合、外側スリーブ30のストッパ突部32は、包装容器120の口首部121先端に当接させたときに、口首部121内周面とその内側に挿入された外側スリーブ主筒部33との間に生じたクリアランスの上端全体を塞ぐことが可能である。
包装容器120の口首部121内径がストッパ突部32の基片部挿入溝32aの溝底のスリーブ本体31軸線からの距離よりも大きい場合、外側スリーブ30のストッパ突部32は、包装容器120の口首部121先端に当接させたときに、口首部121内周面とその内側に挿入された外側スリーブ主筒部33との間に生じたクリアランスの上端の殆どを塞ぐことが可能である。
包装容器120の口首部121先端に当接されたストッパ突部32は、詰め替え容器110から包装容器120への内容物充填作業における、口首部121からの内容物の溢れ出し防止に有効に寄与する。
【0070】
包装容器120の口首部121内径は種々存在する。
外側スリーブ30のストッパ突部32は、包装容器120の口首部121内径が大きいほど、口首部121先端に当接されたときの口首部121軸線方向における包装容器120に対する挿入寸法が大きくなる。
また、ボトル形容器である包装容器120は、口首部121の先端とは逆の基端からその周囲に張り出すように延在する肩部122を有している。包装容器120における肩部122先端内側から口首部121内側に連続する注出口流路123の軸線方向寸法も種々存在する。
【0071】
注出用スパウト10の外側スリーブ30は、例えば、詰め替え容器110から内容物を充填する充填対象容器として設定した1または複数の包装容器120の口首部121内径、及び注出口流路123の種々の軸線方向寸法、に鑑みて、充填対象容器として設定した全ての包装容器120について、ストッパ突部32が包装容器120の口首部121先端に当接されたときに、外側スリーブ主筒部33先端が注出口流路123よりも下方に配置されるように設計して用いる。
注出用スパウト10の外側スリーブ30は、例えば、ストッパ突部32を変更せず、外側スリーブ主筒部33の軸線方向寸法の調整によって、充填対象容器として設定した全ての包装容器120について、ストッパ突部32が包装容器120の口首部121先端に当接されたときに、外側スリーブ主筒部33先端が包装容器120の注出口流路123よりも下方に配置されるように設計しても良い。
【0072】
図2に示すように、ストッパ突部32が包装容器120の口首部121先端に当接されたときに外側スリーブ主筒部33先端が包装容器120の注出口流路123よりも下方に配置される注出用スパウト10は、スパウト本体20の口首部121への押し込みによって内容物流路25の注出口25bを、包装容器120の肩部122先端よりも下方にて開放させることができる。
内容物流路25の注出口25bが包装容器120の肩部122先端よりも下方にて開放さされる構成は、内容物流路25の注出口25bが包装容器120の注出口流路123内で開放される場合に比べて、注出用スパウト10の内容物流路25の注出口25bから包装容器120内への内容物の注出を円滑かつ短時間で行なうことに有利である。
【0073】
図2に示すように、外側スリーブ主筒部33を包装容器120の口首部121先端に挿入しスパウト本体20の内容物流路25の注出口25bを開放した詰め替え容器110は、外側スリーブ30をストッパ受け部27に当接する位置に引き戻すことで、スパウト本体20先端部の嵌合部24bを外側スリーブ主筒部33の先端部に嵌合させて内容物流路25の注出口25bを閉鎖できる。
これにより、詰め替え容器110は、内部に残液等の内容物が存在する場合でも、内容物流路25の注出口25bからの内容物の漏出を防いだ状態で保管することができる。
【0074】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0075】
注出用スパウトのストッパ受け部は、
図1、
図2に例示したように注出筒部22側面の取付部21からスパウト先端側に離間した位置に突出された突部に限定されず、スパウト本体の取付部自体を利用しても良い。ストッパ受け部がスパウト本体の取付部である場合は、
図1、
図2に例示したように注出筒部22側面の取付部21からスパウト先端側に離間した位置に突出された突部であるストッパ受け部を省略し、取付部と外側スリーブ基端との間にストッパ配置領域が確保される構成を採用する。
【0076】
スパウト本体は、内容物流路内に分割流路を複数形成するための流路仕切り壁が無い構成も採用可能である。
また、スパウト本体の封止突部は、流路仕切り壁の有無に依らず、例えば、注出筒部先端の周方向複数箇所からスパウト本体先端側へ突出された支持片部に支持された構成も採用可能である。この構成の場合、注出筒部周方向に隣り合う支持片部間に注出口を確保する。
【0077】
ストッパ部材は、注出用スパウトのストッパ配置領域に配置可能なものであれば良く、その具体的形状には限定は無い。
ストッパ部材は、例えば、ストッパ受け部または外側スリーブに手指で切断可能な易破壊性の薄肉部を介して手指で切り離し可能に繋がっている構成や、ストッパ受け部、外側スリーブ、あるいは注出筒部に対して、注出筒部の軸線に垂直の向きの引き抜き力によって係合解除可能な係合突起を係合させた構成、ストッパ受け部、外側スリーブ、あるいは注出筒部に形成された係合突起に対して注出筒部の軸線に垂直の向きの引き抜き力によって係合解除可能に係合する係合凹部が形成された構成等も採用可能である。
また、ストッパ部材は、取っ手片を有していない構成も採用可能である。
但し、ストッパ部材は、ストッパ配置領域に、注出筒部の軸線に垂直の向きの引き抜き力によってから抜き去り可能に配置される構成を採用する。
【0078】
ストッパ部材のテーパ状のストッパ突部は、外側スリーブのスリーブ本体基端部の周囲にリング状に形成された構成に限定されず、外側スリーブのスリーブ本体基端部の周方向の複数箇所に分散配置された構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10…注出用スパウト、10A…ストッパ部材付き注出用スパウト、10B…キャップ付き注出用スパウト、11…ストッパ配置領域、12…通気路、20…スパウト本体、21…取付部、21a…基端面、22…注出筒部、22a…配置領域延在部、23…支持片部(流路仕切り壁)、23a…突出先端部、24…封止突部、24a…カバー壁部、24b…嵌合部、25…内容物流路、25a…基端開口部、25b…注出口、25c…分割流路、25d…流路先端領域、26…注出用突部、27…ストッパ受け部、28…係合突片、30…外側スリーブ、31…スリーブ本体、32…ストッパ突部、32a…通気路出口溝、基片部挿入溝、33…主筒部、34…嵌合受け部、40…ストッパ部材、41…介装片、41L…(介装片両端間の)離間距離、41T…(介装片の)高さ寸法、42…取っ手片、43…基片部、43a…橋絡部、43b…延出板部、44…張り出し片部、50…オーバーキャップ、51…筒壁部、52…先端壁部、53…取っ手片挿入スリット、54…係合突起、110…詰め替え容器、111(容器)…容器部、120…充填対象容器(包装容器)、121…容器口首部(口首部)、122…肩部、123…注出口流路、ΔL…嵌合位置の外側スリーブとストッパ受け部との間の離間距離。