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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ウェーハの研削方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/04 20060101AFI20231108BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231108BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20231108BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20231108BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20231108BHJP
   B24B 55/12 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
B24B49/04 Z
H01L21/304 631
B24B49/10
B24B7/04 A
B24B55/02 B
B24B55/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019155516
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021030394
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 宏
(72)【発明者】
【氏名】浦山 孝世
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-209085(JP,A)
【文献】特開2009-158768(JP,A)
【文献】特開2009-072851(JP,A)
【文献】特開平11-333719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/04
H01L 21/304
B24B 49/10
B24B 7/04
B24B 55/02
B24B 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面においてウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを研削砥石を用いて研削する研削手段と、該研削砥石によって研削される該ウェーハの上面にプローブを接触させウェーハの上面の高さを測定するハイトゲージと、純水を研削水としてウェーハの上面に供給する研削水供給手段と、を備える研削装置を用いてウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、該研削装置は、該研削水を供給するとともにウェーハを該研削砥石を用いて研削することにより生じた導電性の研削屑を含んだ研削廃液を溜める研削廃液溜め部と、該研削廃液溜め部に溜めた該研削廃液を該プローブに供給する廃液供給手段とを備え、
該チャックテーブルにウェーハを保持させる保持工程と、
該保持工程の後、該研削廃液を該プローブに供給しながら、該プローブをウェーハに向かって移動させて、該プローブとウェーハとの間で静電気の放電を防止しつつ該プローブをウェーハの上面に接触させて、ウェーハの上面の高さの測定を開始する上面高さ測定開始工程と、
該研削廃液の供給を停止し、該研削水供給手段を用いて該研削水を供給しながら、該ハイトゲージで測定したウェーハの上面の高さが予め設定した高さになるまで該研削砥石を用いてウェーハの上面を研削する研削工程と、
を備えるウェーハの研削方法。
【請求項2】
保持面においてウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを研削砥石を用いて研削する研削手段と、該研削砥石によって研削される該ウェーハの上面にプローブを接触させウェーハの上面の高さを測定するハイトゲージと、純水を研削水としてウェーハの上面に供給する研削水供給手段と、を備える研削装置を用いてウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、
該チャックテーブルにウェーハを保持させる保持工程と、
該保持工程の後、該研削水を供給しながら、該研削砥石をウェーハに接触させてウェーハの上面を研削し、導電性の研削屑を含んだ研削廃液をウェーハの上面に滞留させるプローブ接触準備工程と、
該研削廃液が滞留しているウェーハの上面に向かって該プローブを移動させて、該プローブとウェーハとの間で静電気の放電を防止し、該プローブをウェーハの上面に接触させて、ウェーハの上面の高さの測定を開始する上面高さ測定開始工程と、
該研削水を供給しながら、ウェーハの上面に該プローブを接触させている該ハイトゲージによってウェーハの上面の高さを測定しながら該高さが予め設定した高さになるまで該研削砥石を用いてウェーハの上面を研削する研削工程と、を備えるウェーハの研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研削砥石を用いてウェーハを研削する研削装置は、ウェーハの上面の高さを認識するために、ハイトゲージを用いてウェーハの上面の高さを測定している。研削加工に伴って変位するウェーハの上面の変位量を基にしてウェーハの厚みを算出して、ウェーハの厚みが所望の厚みになったら、研削加工を終了する。
【0003】
ハイトゲージには、接触式ハイトゲージと非接触式ハイトゲージとがある。非接触式ハイトゲージには、超音波式や光測定式等のハイトゲージがあるが、研削加工時に供給される研削水が測定の妨げとなりウェーハの上面の高さを正確に測定することが難しい。また、正確に測定できるようにすると高価になってしまう。そこで、特許文献1に示すような安価な接触式ハイトゲージを用いることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-113149号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、接触式ハイトゲージは、そのプローブに静電気が帯電していると、ウェーハにプローブが接触する直前に静電気を放電させることがあり、放電によりウェーハに形成されているデバイスが破損するおそれがある。従って、ウェーハの上面高さを測定する接触式ハイトゲージが静電気を放電しないようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ウェーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを研削する研削砥石を有する研削手段と、ウェーハの上面に接触するプローブを有しウェーハの上面の高さを測定するハイトゲージと、抵抗値が大きい純水を研削水としてウェーハの上面に供給する研削水供給手段と、該研削水を供給しながら該研削砥石を用いてウェーハを研削することにより生じた導電性を有する研削屑を含んだ研削廃液を溜める研削廃液溜め部と、該研削廃液溜め部に溜めた該研削廃液を該プローブに供給する廃液供給手段と、を備える研削装置を用いてウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、該チャックテーブルにウェーハを保持させる保持工程と、該保持工程の後、該研削廃液を該プローブに供給しながら、該プローブをウェーハに向かって下降させて、該プローブをウェーハの上面に接触させて、ウェーハの上面の高さの測定を開始する上面高さ測定開始工程と、該研削廃液の供給を停止した後、該研削水供給手段を用いて該研削水を供給しながら、ウェーハの上面の高さが予め設定した高さになるまで該研削砥石を用いてウェーハの上面を研削する研削工程と、を備えるウェーハの研削方法である。
本発明は、ウェーハを保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウェーハを研削する研削砥石を有する研削手段と、ウェーハの上面に接触するプローブを有しウェーハの上面の高さを測定するハイトゲージと、抵抗値が大きい純水を研削水としてウェーハの上面に供給する研削水供給手段と、を備える研削装置を用いてウェーハを研削するウェーハの研削方法であって、該チャックテーブルにウェーハを保持させる保持工程と、該保持工程の後、該研削水を供給しながら、該研削砥石をウェーハに接触させてウェーハの上面を研削して、導電性の研削屑を含んだ研削廃液をウェーハの上面に滞留させるプローブ接触準備工程と、該研削廃液が滞留しているウェーハの上面に向かって該プローブを下降させて、該プローブをウェーハの上面に接触させて、ウェーハの上面の高さの測定を開始する上面高さ測定開始工程と、該研削水供給手段を用いて該研削水を供給しながら、ウェーハの上面に該プローブを接触させている該ハイトゲージによってウェーハの上面の高さを測定しながら該高さが予め設定した高さになるまで該研削砥石を用いてウェーハの上面を研削する研削工程と、を備えるウェーハの研削方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、第1プローブに研削廃液を供給することにより、第1プローブの第1接触子とウェーハの上面とが当接する際に、第1プローブとウェーハとの間において静電気が放電するのを防止できる。
また、研削水を供給しながらウェーハを研削することによって、導電性の研削屑を含んだ研削廃液をウェーハの上面に滞留させることにより、第1プローブの第1接触子とウェーハの上面とが当接する際に、第1プローブとウェーハとの間において静電気が放電するのを防止できる。第1プローブの第1接触子とウェーハの上面との間に研削廃液を供給するために、研削廃液溜め部や廃液供給手段等を必要とせず、ウェーハの研削加工に要する時間的・経済的コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】研削装置全体を表す斜視図である。
図2】研削廃液溜め部から研削廃液を汲みだして第1プローブに供給する様子をチャックテーブルの側方からみた断面図である。
図3】研削屑を含んだ研削廃液をウェーハの上面に滞留させながらウェーハを研削加工する様子をチャックテーブルの側方からみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 研削装置
図1に示す研削装置1は、チャックテーブル2の保持面20aに保持されているウェーハWを、研削手段3を用いて研削加工する研削装置である。なお、ウェーハWは半導体ウェーハ等である。ウェーハWの下面Wbには例えば保護部材Sが貼着されており、ウェーハWと保護部材Sとは一体化されたワークユニットUとなっている。以下、研削装置1の構成について説明する。
【0010】
研削装置1は、Y軸方向に延設されたベース10と、ベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
【0011】
コラム11の-Y方向側の側面には、研削手段3を昇降可能に支持する研削送り手段4が配設されている。研削手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続された円環状のマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備えている。
研削ホイール34は、ホイール基台341と、ホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体形状の複数の研削砥石340とを備えており、研削砥石340の下面340bはウェーハWを研削する研削面となっている。
【0012】
研削送り手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され研削手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0013】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されて、ボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って、昇降板43がガイドレール41に案内されてZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ44に保持されている研削手段3が保持面20aに垂直な方向(Z軸方向)に移動するとことなる。
【0014】
研削装置1は、スケールユニット71を備えている。スケールユニット71は、ガイドレール41の-Y方向側の側面に配設されたスケール710と、昇降板43の+X方向側の側面、かつスケール710に隣接する位置に配設された読み取り部711とを備えている。読み取り部711は、例えば、スケール710に形成された目盛りの反射光を読み取る光学式の認識機構等を有しており、スケール710の目盛りを認識することができる。
例えば、読み取り部711の高さ位置と研削砥石340の下面340bの高さ位置とが対応付けられており、読み取り部711の高さ位置を基にして研削砥石340の下面340bの高さ位置を測定することができる構成となっている。
【0015】
ベース10の上には、チャックテーブル2が配設されている。チャックテーブル2は、例えばポーラス部材等を有する吸引部20と吸引部20を支持する枠体21とを備えている。吸引部20の上面はウェーハWが保持される保持面20aであり、枠体21の上面21aは保持面20aと面一に形成されている。
【0016】
また、チャックテーブル2は回転手段24に接続されている。回転手段24によって、Z軸方向の回転軸25を軸にしてチャックテーブル2を回転させることができる。
【0017】
ベース10の内部におけるチャックテーブル2の下方には、例えば、図示しない水平移動手段等が配設されている。チャックテーブル2は、水平移動手段等によってY軸方向に移動可能となっている。
【0018】
チャックテーブル2の周囲にはカバー12及びカバー12に伸縮自在に連結された蛇腹13が配設されている。チャックテーブル2がY軸方向に移動すると、カバー12がチャックテーブル2と一体的にY軸方向に移動して蛇腹13が伸縮することとなる。
【0019】
研削装置1は、厚み測定手段5を備えている。厚み測定手段5は、ウェーハWの上面Waの高さを測定する上面ハイトゲージ51と、保持面20aの高さを測定する保持面ハイトゲージ52と、上面ハイトゲージ51及び保持面ハイトゲージ52を支持する略円筒状の軸部50とを備えている。
上面ハイトゲージ51は、第1プローブ510と第1プローブ510の上端に連結され第1プローブ510を支持する第1支持部511とを備えている。第1プローブ510の下端には、ウェーハWの上面Wa等に接触する第1接触子510aが配設されている。
同様に、保持面ハイトゲージ52は、第2プローブ520と第2プローブ520の上端に連結され第2プローブ520を支持する第2支持部521とを備えている。第2プローブ520の下端には、枠体21の上面21a等に接触する第2接触子520aが配設されている。
第1支持部511及び第2支持部521がそれぞれの基部側を支点として梃子のように上下方向に動くことにより、ウェーハWの上面Waの高さ位置に応じて第1接触子510a及び第2接触子520aがZ軸方向に上下動する。
【0020】
ウェーハWの研削加工中に厚み測定手段5を用いることによって、保持面20aの上に保持されたウェーハWの上面Waに上面ハイトゲージ51に備える第1プローブ510の第1接触子510aを接触させてウェーハWの上面Waの高さを測定するとともに、保持面ハイトゲージ52に備える第2プローブ520の第2接触子520aを接触させて保持面20aの高さを測定して、両者の高さの差の値を算出してウェーハWの厚みを測定することができる。
【0021】
図2に示すように、研削装置1は研削水供給手段6を備えている。研削水供給手段6は、例えば水源60に接続されている。水源60には、抵抗値が大きい純水が蓄えられており、水源60から研削水供給手段6に供給された純水は研削水として研削水供給手段6からウェーハWの上面Waに供給されることとなる。なお、研削水供給手段6は、研削手段3を構成するスピンドル30の内部を通って研削砥石340の内側から研削水が噴出する構成としてもよい。
【0022】
また、研削装置1は、研削廃液溜め部8を備えている。研削廃液溜め部8は、研削水供給手段6を用いてウェーハWの上面Waに研削水を供給しながら研削砥石340を用いてウェーハWを研削することにより生じた導電性の研削屑を含んだ研削廃液Lを溜める機能を有している。
なお、ウェーハWの研削加工が実施される前において、研削廃液溜め部8には、過去の研削加工時に生じた導電性の研削屑を含んだ研削廃液Lが予め溜められている。
研削装置1は、廃液供給手段9を備えている。廃液供給手段9は、研削廃液溜め部8に溜められている研削廃液Lを汲み上げるポンプ90とポンプ90により汲み上げられた研削廃液Lを第1プローブ510に供給する研削廃液ノズル91とを有している。
【0023】
2 ウェーハの研削方法
[第1実施形態]
(保持工程)
上記の研削装置1を用いてウェーハWの研削加工を行う際には、まず、図1に示すように、保護部材Sが下面Wbに貼着されているウェーハWを、保護部材Sの下面Sbと保持面20aとが当接するようにしてチャックテーブル2の保持面20aに載置する。そして、図示しない吸引手段等を用いて保持面20aを下から吸引することにより、ウェーハWを保持面20aに吸引保持する。
【0024】
(上面高さ測定開始工程)
保持面20aにウェーハWが保持されている状態で、例えば図示しない水平移動手段等を用いてチャックテーブル2を+Y方向に移動させる。これにより、チャックテーブル2が水平方向に移動して厚み測定手段5に接近し、チャックテーブル2の保持面20aの上方に上面ハイトゲージ51の第1プローブ510が位置付けられるとともに、枠体21の上面21aの上方に保持面ハイトゲージ52の第2プローブ520が位置付けられる。
このとき、チャックテーブル2は研削砥石340の下方に位置付けられている。
【0025】
次に、図2に示した廃液供給手段9が研削廃液溜め部8に予め蓄えられている研削廃液Lを第1プローブ510に供給しながら、上面ハイトゲージ51の第1プローブ510をウェーハWに向かって下降させて、第1プローブ510をウェーハWの上面Waに接触させることにより、ウェーハWの上面Waの高さの測定を開始する。
第1プローブ510に研削廃液Lを供給する際には、具体的には、図2に示した研削廃液溜め部8に蓄えられている研削廃液Lを廃液供給手段9のポンプ90を用いて汲みだして、研削廃液ノズル91へと搬送する。そして、研削廃液ノズル91に搬送された研削廃液Lを研削廃液ノズル91から第1プローブ510へと噴出する。これにより、第1プローブ510に研削廃液Lが供給される。
【0026】
(研削工程)
第1プローブ510に研削廃液Lを供給した後、廃液供給手段9の動作を停止させて、第1プローブ510に対する研削廃液Lの供給を停止させる。そして、ウェーハWの上面Waの高さが予め設定した高さになるまで研削砥石340を用いてウェーハWを研削する。
【0027】
ウェーハWの研削加工においては、まず、回転手段24を用いて、回転軸25を軸にしてチャックテーブル2を回転させることにより、保持面20aに吸引保持されているウェーハWを、回転軸25を軸にして回転させる。
そして、研削手段3のスピンドルモータ32を用いて、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転させることによって、スピンドル30の下端に接続されている円環状のマウント33及びマウント33に連結されている研削砥石340を同じく回転軸35を軸にして回転させる。
【0028】
研削砥石340が回転している状態で、研削送り手段4のZ軸モータ42を用いてボールネジ40を駆動して、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させると、昇降板43及び昇降板43にホルダ44を介して支持されている研削砥石340が-Z方向に降下していき、図2に示すように研削砥石340の研削面340aが保持面20aに保持されたウェーハWに当接する。研削面340aがウェーハWに当接している状態で、さらに、研削砥石340をウェーハWに向かって押し下げていくことによりウェーハWを研削加工する。
【0029】
このとき、研削水供給手段6を用いて水源60から抵抗値が大きい純水を研削水としてウェーハWの上面Waと研削砥石340の下面340bとが当接する位置に供給する。
ウェーハWの上面Waと研削砥石340の下面340bに供給された研削水は、ウェーハWの研削加工によって生じる導電性を有する研削屑と混ざり合って研削廃液Lとなる。
ここで、ウェーハWは回転軸25を軸にして回転しており、ウェーハWの上面Waに溜まっている研削廃液Lは、遠心力を受けてウェーハWの外周領域からウェーハWの径方向外側に向かって飛散して、研削廃液溜め部8へと溜められる。研削廃液溜め部8に溜まった研削廃液Lは、別のウェーハの研削前に、同様に、研削廃液ノズル91から第1プローブ510に噴出される。
【0030】
また、ウェーハWの上面Waには上面ハイトゲージ51の第1プローブ510の第1接触子510aが接触しており、ウェーハWの上面Waの高さが測定されている。
ウェーハWの上面Waの高さが予め設定した高さになったら、ウェーハWの研削加工を終了する。これにより、ウェーハWが所望の厚みに研削される。
【0031】
本研削方法においては、第1プローブ510に研削廃液Lを供給することにより、第1プローブ510の第1接触子510aとウェーハWの上面Waとが当接する際に、第1プローブ510とウェーハWとの間において静電気が放電するのを防止できる。
【0032】
例えば、複数枚のウェーハWを連続して研削加工する際には、上記のように、ウェーハWの研削加工が終わった後、研削加工が終わったウェーハWをチャックテーブル2から離間するとともに、例えば未加工のウェーハWを保持面20aに保持して、研削砥石340を用いて研削加工する。その際には、研削しようとするウェーハWの上に研削廃液が存在しないため、第1プローブ510に研削廃液Lを供給して、第1プローブ510とウェーハWとの間における静電気の放電を防止することが望ましい。
【0033】
[第2実施形態]
(保持工程)
まず、図1に示すように、第1実施形態における保持工程と同様にして、ウェーハWをチャックテーブル2の保持面20aに載置する。そして、図示しない吸引手段等を用いて保持面20aを下から吸引することにより、ウェーハWを保持面20aに吸引保持する。
【0034】
(プローブ接触準備工程)
次いで、図3に示すように、研削水供給手段6を用いて水源60から抵抗値が大きい純水を研削水としてウェーハWの上面Waと研削砥石340の下面340bとが当接する位置に供給しながら、研削砥石340を保持面20aに保持されているウェーハWに接触させて、ウェーハWの上面Waを研削する。
ウェーハWの上面Waと研削砥石340の下面340bに供給された研削水は、ウェーハWの研削加工によって生じる導電性を有する研削屑と混ざり合って研削廃液LとなってウェーハWの上面Waに滞留する。
【0035】
(上面高さ測定開始工程)
その後、研削廃液Lが滞留しているウェーハWの上面Waに向かって上面ハイトゲージ51の第1プローブ510を下降させて、第1プローブ510をウェーハWの上面Waに接触させることにより、ウェーハWの上面Waの高さの測定を開始する。
【0036】
(研削工程)
その後、第1実施形態と同様に、ウェーハWの研削加工を行う。具体的には、回転手段24を用いてチャックテーブル2及びチャックテーブル2の保持面20aに保持されているウェーハWを、回転軸25を軸にして回転させるとともに、研削水供給手段6からウェーハWと研削砥石340とが当接する位置に研削水を供給する。そして、上面ハイトゲージ51を用いてウェーハWの上面Waの高さを測定しながら、研削砥石340を用いてウェーハWの研削加工を行う。ウェーハWの上面Waの高さが予め設定した高さになるまで、研削砥石340を用いてウェーハWの上面を研削する。
【0037】
本研削方法においては、研削水を供給しながらウェーハWを研削することによって、導電性の研削屑を含んだ研削廃液LをウェーハWの上面Waに滞留させてから、第1プローブ510の第1接触子510aとウェーハWの上面Waとが当接するため、第1プローブ510とウェーハWとの間において静電気が放電するのを防止できる。
また、本研削方法によれば、第1プローブ510の第1接触子510aとウェーハWの上面Waとの間に研削廃液を供給するために、第1実施形態の研削廃液溜め部8や廃液供給手段9等を必要とせず、ウェーハWの研削加工に要する時間的・経済的コストを削減することができる。
【符号の説明】
【0038】
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 12:カバー 13:蛇腹
2:チャックテーブル 20:吸引部 20a:保持面 21:枠体
21a:枠体の上面 24:回転手段 25:回転軸
3:研削手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 340b:研削砥石の下面
341:ホイール基台 35:回転軸
4:研削送り手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸
5:厚み測定手段 50:軸部 51:上面ハイトゲージ 510:第1プローブ
510a:第1接触子 511:第1支持部
52:保持面ハイトゲージ 520:第2プローブ 520a:第2接触子
521:第2支持部
6:研削水供給手段 60:水源
71:スケールユニット 710:スケール 711:読み取り部
8:研削廃液溜め部 9:廃液供給手段 90:ポンプ 91:研削廃液ノズル
L:研削廃液 W:ウェーハ Wa:ウェーハの上面 Wb:ウェーハの下面
S:保護部材 Sb:保護部材の下面 U:ワークユニット
図1
図2
図3