(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】放射線撮影システムのコンソール、放射線撮影システムのコンソールの作動方法、放射線撮影システムのコンソールの作動プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/00 360Z
A61B6/00 310
(21)【出願番号】P 2022505763
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2020045330
(87)【国際公開番号】W WO2021181769
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2020041307
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今邨 亮
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和浩
(72)【発明者】
【氏名】西納 直行
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108850(JP,A)
【文献】特開2011-115265(JP,A)
【文献】国際公開第2013/047489(WO,A1)
【文献】特開2020-030694(JP,A)
【文献】特表2016-501080(JP,A)
【文献】特開2003-116838(JP,A)
【文献】特開2004-222982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備える放射線撮影システムのコンソールであって、
前記プロセッサは、
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理と、
前記画像処理後の前記放射線画像に対するコンピュータ支援診断処理と、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理と、
を実行
し、
前記優先処理として、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を中断して、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理を開始し、
前記第2の撮影が前記第1の撮影の再撮影でなかった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
前記第2の撮影が前記再撮影であった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない、
放射線撮影システムのコンソール。
【請求項2】
少なくとも1つのプロセッサを備える放射線撮影システムのコンソールであって、
前記プロセッサは、
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理と、
前記画像処理後の前記放射線画像に対するコンピュータ支援診断処理と、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理と、
を実行し、
前記優先処理として、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理に割り当てていたリソースの一部を、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理に割り当て、かつ、前記第2の撮影に係る表示関連処理に割り当てる前記リソースを、前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理よりも多くする、
放射線撮影システムのコンソール。
【請求項3】
前記リソースは、前記プロセッサのコアおよびスレッドのうちの少なくとも1つである請求項2に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記優先処理として、前記表示関連処理を実行している間、前記コンピュータ支援診断処理の実行を禁止する請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項5】
前記プロセッサは、
今回の撮影に係る前記表示関連処理を終了してから、続けて今回の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を自動的に開始するまでの間に、次回の撮影に係る前記表示関連処理を開始した場合、今回の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を開始しない請求項
4に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第2の撮影に係る前記表示関連処理を終了した後、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を自動的に再開する請求項
1、請求項4、および請求項5のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第2の撮影に係る前記表示関連処理を終了した後、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開するか否かのオペレータによる選択指示を受け付け、
再開するとの選択指示を受け付けた場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
再開しないとの選択指示を受け付けた場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない請求項
6に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項8】
前記プロセッサは、
撮影部位が前記第1の撮影と同一でなかった場合、前記第2の撮影
が再撮影でないとして、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
前記撮影部位が前記第1の撮影と同一であった場合、前記第2の撮影が前記再撮影であるとして、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない請求項
1、および請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項9】
前記プロセッサは、
撮影部位および被写体のうちの少なくとも一方が前記第1の撮影と同一でなかった場合、前記第2の撮影が再撮影でないとして、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
前記撮影部位および被写体の両方が前記第1の撮影と同一であった場合、前記第2の撮影が前記再撮影であるとして、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない請求項1、および請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を中断した旨を、オペレータに報知する請求項
1、および請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記優先処理として、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理に割り当てていたリソースの一部を、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理に割り当て、かつ、前記第2の撮影に係る表示関連処理に割り当てる前記リソースを、前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理よりも多くする請求項
1に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項12】
前記プロセッサは、
オペレータによる前記コンピュータ支援診断処理の実行指示を受け付ける請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項13】
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とを実行する前記プロセッサは1つである請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記表示関連処理を実行する第1サブプロセッサ、および前記コンピュータ支援診断処理を実行する第2サブプロセッサの2つのサブプロセッサを有する請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記受信処理の開始タイミングで前記表示関連処理を開始する請求項1から請求項
14のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記放射線画像検出装置に放射線の照射開始を報せる照射開始同期信号を送信するタイミングで、前記表示関連処理を開始する請求項1から請求項
14のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項17】
前記プロセッサを冷却する冷却機構を備え、
前記プロセッサは、
少なくとも前記コンピュータ支援診断処理を実行中、前記冷却機構の冷却レベルを通常よりも上げる請求項1から請求項
16のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項18】
放射線を発する放射線発生部を有し、バッテリーによりワイヤレス駆動される移動式放射線発生装置に搭載される請求項1から請求項
17のいずれか1項に記載の放射線撮影システムのコンソール。
【請求項19】
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理ステップと、
前記画像処理後の前記放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理ステップと、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理ステップと、
を備え
、
前記優先処理ステップにおいては、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を中断して、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理を開始し、
前記第2の撮影が前記第1の撮影の再撮影でなかった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
前記第2の撮影が前記再撮影であった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない、
放射線撮影システムのコンソールの作動方法。
【請求項20】
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理ステップと、
前記画像処理後の前記放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理ステップと、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理ステップと、
を備え、
前記優先処理ステップにおいては、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理に割り当てていたリソースの一部を、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理に割り当て、かつ、前記第2の撮影に係る表示関連処理に割り当てる前記リソースを、前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理よりも多くする、
放射線撮影システムのコンソールの作動方法。
【請求項21】
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理部と、
前記画像処理後の前記放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理部と、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理部として、
コンピュータを機能させ、
前記優先処理部は、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を中断して、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理を開始し、
前記第2の撮影が前記第1の撮影の再撮影でなかった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開し、
前記第2の撮影が前記再撮影であった場合、中断した前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理を再開しない、
放射線撮影システムのコンソールの作動プログラム。
【請求項22】
放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、前記放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した前記放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理部と、
前記画像処理後の前記放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理部と、
前記表示関連処理と前記コンピュータ支援診断処理とが競合する場合、前記コンピュータ支援診断処理よりも前記表示関連処理を優先する優先処理部として、
コンピュータを機能させ、
前記優先処理部は、第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理に割り当てていたリソースの一部を、前記第1の撮影の後の第2の撮影に係る前記表示関連処理に割り当て、かつ、前記第2の撮影に係る表示関連処理に割り当てる前記リソースを、前記第1の撮影に係る前記コンピュータ支援診断処理よりも多くする、
放射線撮影システムのコンソールの作動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、放射線撮影システムのコンソール、放射線撮影システムのコンソールの作動方法、放射線撮影システムのコンソールの作動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、放射線撮影システムで撮影された放射線画像を用いた診断が盛んに行われている。放射線撮影システムは、放射線を発する放射線発生部と、放射線画像検出装置と、コンソールとを含む。放射線画像検出装置は、放射線発生部から照射されて被写体を透過した放射線を受けて放射線画像を出力する。コンソールは、放射線画像検出装置から放射線画像を受信し、受信した放射線画像に対して画像処理を施す。画像処理後の放射線画像は、映り具合をオペレータに確認させるため、撮影現場において直ちにディスプレイに表示される。
【0003】
ところで、従来、放射線画像に対してコンピュータ支援診断(CAD(Computer Aided Diagnosis))処理を施して、放射線画像に映る腫瘍等の病変の候補を抽出するといったことが行われている(国際公開第2015/076067号参照)。国際公開第2015/076067号に記載の放射線撮影システムでは、CAD処理の機能がコンソール(国際公開第2015/076067号では撮影装置制御部と表記)に搭載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2015/076067号に記載の放射線撮影システムのように、CAD処理の機能がコンソールに搭載された場合、以下の問題が懸念される。すなわち、放射線画像の映り具合をオペレータに確認させるために、放射線画像検出装置から放射線画像を受信し、受信した放射線画像に対して画像処理を施す、という一連の処理(以下、表示関連処理という)と、CAD処理とが競合した場合、処理負荷が比較的大きいCAD処理によって表示関連処理が滞るおそれがあった。表示関連処理が滞った場合、例えば、放射線画像の受信が正常に行われなかったり、画像処理が進まなかったりして、放射線画像の表示に支障を来す。
【0005】
本開示の技術は、放射線画像の映り具合を支障なくオペレータに確認させることが可能な放射線撮影システムのコンソール、放射線撮影システムのコンソールの作動方法、放射線撮影システムのコンソールの作動プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の放射線撮影システムのコンソールは、少なくとも1つのプロセッサを備える放射線撮影システムのコンソールであって、プロセッサは、放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理と、画像処理後の放射線画像に対するコンピュータ支援診断処理と、表示関連処理とコンピュータ支援診断処理とが競合する場合、コンピュータ支援診断処理よりも表示関連処理を優先する優先処理と、を実行する。
【0007】
プロセッサは、優先処理として、表示関連処理を実行している間、コンピュータ支援診断処理の実行を禁止することが好ましい。
【0008】
プロセッサは、今回の撮影に係る表示関連処理を終了してから、続けて今回の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を自動的に開始するまでの間に、次回の撮影に係る表示関連処理を開始した場合、今回の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を開始しないことが好ましい。
【0009】
プロセッサは、優先処理として、第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を中断して、第1の撮影の後の第2の撮影に係る表示関連処理を開始することが好ましい。
【0010】
プロセッサは、第2の撮影に係る表示関連処理を終了した後、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を自動的に再開することが好ましい。
【0011】
プロセッサは、第2の撮影に係る表示関連処理を終了した後、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開するか否かのオペレータによる選択指示を受け付け、再開するとの選択指示を受け付けた場合、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開し、再開しないとの選択指示を受け付けた場合、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開しないことが好ましい。
【0012】
プロセッサは、第2の撮影が第1の撮影の再撮影でなかった場合、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開し、第2の撮影が再撮影であった場合、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開しないことが好ましい。
【0013】
プロセッサは、撮影部位が第1の撮影と同一でなかった場合、第2の撮影が再撮影でないとして、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開し、撮影部位が第1の撮影と同一であった場合、第2の撮影が再撮影であるとして、中断した第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を再開しないことが好ましい。
【0014】
プロセッサは、第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理を中断した旨を、オペレータに報知することが好ましい。
【0015】
プロセッサは、優先処理として、第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理に割り当てていたリソースの一部を、第1の撮影の後の第2の撮影に係る表示関連処理に割り当て、かつ、第2の撮影に係る表示関連処理に割り当てるリソースを、第1の撮影に係るコンピュータ支援診断処理よりも多くすることが好ましい。
【0016】
プロセッサは、オペレータによるコンピュータ支援診断処理の実行指示を受け付けることが好ましい。
【0017】
表示関連処理とコンピュータ支援診断処理とを実行するプロセッサは1つであることが好ましい。
【0018】
プロセッサは、表示関連処理を実行する第1サブプロセッサ、およびコンピュータ支援診断処理を実行する第2サブプロセッサの2つのサブプロセッサを有することが好ましい。
【0019】
プロセッサは、受信処理の開始タイミングで表示関連処理を開始することが好ましい。
【0020】
または、プロセッサは、放射線画像検出装置に放射線の照射開始を報せる照射開始同期信号を送信するタイミングで、表示関連処理を開始することが好ましい。
【0021】
プロセッサを冷却する冷却機構を備え、プロセッサは、少なくともコンピュータ支援診断処理を実行中、冷却機構の冷却レベルを通常よりも上げることが好ましい。
【0022】
放射線を発する放射線発生部を有し、バッテリーによりワイヤレス駆動される移動式放射線発生装置に搭載されることが好ましい。
【0023】
本開示の放射線撮影システムのコンソールの作動方法は、放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理ステップと、画像処理後の放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理ステップと、表示関連処理とコンピュータ支援診断処理とが競合する場合、コンピュータ支援診断処理よりも表示関連処理を優先する優先処理ステップと、を備える。
【0024】
本開示の放射線撮影システムのコンソールの作動プログラムは、放射線撮影により得られた放射線画像を、撮影現場において表示するための表示関連処理であり、放射線画像を放射線画像検出装置から受信する受信処理、および受信した放射線画像を表示用に加工する画像処理を含む表示関連処理を実行する表示関連処理部と、画像処理後の放射線画像に対してコンピュータ支援診断処理を実行するコンピュータ支援診断処理部と、表示関連処理とコンピュータ支援診断処理とが競合する場合、コンピュータ支援診断処理よりも表示関連処理を優先する優先処理部として、コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の技術によれば、放射線画像の映り具合を支障なくオペレータに確認させることが可能な放射線撮影システムのコンソール、放射線撮影システムのコンソールの作動方法、放射線撮影システムのコンソールの作動プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】放射線撮影システムを用いた撮影の様子を示す図である。
【
図5】コンソールのCPUの機能を示すブロック図である。
【
図8】第N回撮影に係る表示関連処理およびCAD処理の流れを示す図である。
【
図9】第N回撮影に係るCAD処理が終了された後に第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図10】第N回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図11】第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図12】CAD処理と冷却ファンの回転数との関係を示す図である。
【
図13】CAD処理を実行中である旨を示すメッセージボックスが表示された状態を示す図である。
【
図14】CAD処理結果表示ボタンが表示された状態を示す図である。
【
図15】CAD処理の結果が表示された状態を示す図である。
【
図16】CAD処理を中断した旨を示すメッセージボックスが表示された状態を示す図である。
【
図19】オペレータによるCAD処理の実行指示を受け付ける第2実施形態を示す図である。
【
図20】実行指示信号により第N回撮影に係るCAD処理が実行され、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後に第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図21】実行指示信号により第N回撮影に係るCAD処理が実行される前に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図22】実行指示信号により第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図23】中断したCAD処理を再開するか否かのオペレータによる選択指示を受け付ける第3実施形態を示す図である。
【
図24】第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合で、中断したCAD処理を再開するとの選択指示がオペレータによりなされた場合を示す図である。
【
図25】第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合で、中断したCAD処理を再開しないとの選択指示がオペレータによりなされた場合を示す図である。
【
図26】第4実施形態のCPUの機能を示すブロック図である。
【
図27】撮影部位の特定結果が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一でない、という内容であった場合を示す図である。
【
図28】撮影部位の特定結果が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一である、という内容であった場合を示す図である。
【
図29】第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合で、撮影部位の特定結果が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一でない、という内容であった場合を示す図である。
【
図30】第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合で、撮影部位の特定結果が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一である、という内容であった場合を示す図である。
【
図31】第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていた4つのコアのうちの3つのコアに表示関連処理部の機能を割り当てる態様を示す図である。
【
図32】第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていた4つのスレッドのうちの3つのスレッドに表示関連処理部の機能を割り当てる態様を示す図である。
【
図33】表示関連処理を実行する第1サブプロセッサ、およびCAD処理を実行する第2サブプロセッサの2つのサブプロセッサを用いる第6実施形態を示す図である。
【
図34】移動式放射線発生装置に内蔵のコンソールに、後付けでCAD処理部の機能を追加する態様を示す図である。
【
図35】移動式放射線発生装置とは別体のノート型のパーソナルコンピュータを、放射線撮影システムのコンソールとして用いる態様を示す図である。
【
図36】移動式放射線発生装置とは別体のノート型のパーソナルコンピュータに、後付けでCAD処理部の機能を追加する態様を示す図である。
【
図37】カセッテ制御部から電子カセッテに照射開始同期信号を送信するタイミングを、表示関連処理の開始タイミングとする態様を示す図である。
【
図38】
図37に示す態様において、第N回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【
図39】
図37に示す態様において、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
図1および
図2において、放射線撮影システム2は、移動式放射線発生装置10と電子カセッテ11とを備えている。移動式放射線発生装置10は、放射線発生部15と台車部16とを有する。放射線発生部15は、例えば寝台17に仰臥した被写体Hに向けて放射線Rを発する。台車部16は、左右一対の前輪18と左右一対の後輪19とを有する。移動式放射線発生装置10は、台車部16によって病院内を移動可能である。移動式放射線発生装置10は、病室を回りながら被写体Hの撮影を行う、いわゆる回診撮影に用いられる。このため移動式放射線発生装置10は回診車とも呼ばれる。また、移動式放射線発生装置10は、手術室に持ち込んで、手術の最中に使用することも可能である。さらには、移動式放射線発生装置10は、屋外の災害現場等に持ち込んで救急的に使用することも可能である。
【0028】
電子カセッテ11は、周知のように、センサパネルが可搬型の筐体に内蔵された、バッテリーによりワイヤレス駆動される放射線画像検出装置である。センサパネルは、これも周知のように、放射線R、または放射線Rから変換された可視光に感応して信号電荷を発生する画素が複数配列された構成である。電子カセッテ11は、例えば被写体Hの下に載置され、放射線発生部15から照射されて被写体Hを透過した放射線Rを受けて放射線画像20を出力する。
【0029】
台車部16には本体部25が搭載されている。本体部25は、前述の放射線発生部15に加えて、中央部26、支柱部27、およびアーム部28等を含む。
【0030】
中央部26は、UI(User Interface)系デバイス29と、カセッテ収納部30と、ハンドル31とを有している。UI系デバイス29は、
図3に示すようにタッチパネルディスプレイ32(以下、単にディスプレイと表記する)と操作パネル33とで構成される。ディスプレイ32は放射線画像20等を表示する。操作パネル33は、放射線Rの照射条件76(
図5参照)を設定する際等に、診療放射線技師等のオペレータOPによって操作される。
【0031】
カセッテ収納部30は、中央部26の後部側に設けられている。カセッテ収納部30は電子カセッテ11を収納する。電子カセッテ11は、縦横のサイズが17インチ×17インチ、17インチ×14インチ、12インチ×10インチ等、複数の種類がある。カセッテ収納部30は、こうした複数の種類がある電子カセッテ11を、種類を問わず複数台収納することが可能である。また、カセッテ収納部30は、収納された電子カセッテ11のバッテリーを充電する機能を有している。
【0032】
ハンドル31は、中央部26の上方を囲むように設けられている。ハンドル31は、台車部16、ひいては移動式放射線発生装置10を操縦するために、オペレータOPにより把持される。オペレータOPは、放射線発生部15が台車部16の上部および中央部26の前部側に収納された
図2に示す状態で、ハンドル31を把持しつつ移動式放射線発生装置10を走行させる。
【0033】
中央部26には照射スイッチ34が取り付けられている。照射スイッチ34は、オペレータOPが放射線の照射開始を指示するためのスイッチである。照射スイッチ34には延長ケーブルが接続されており、中央部26から取り外して使用することが可能である。照射スイッチ34は、例えば2段押下型である。照射スイッチ34は、1段目まで押された(半押しされた)ときにウォームアップ指示信号77(
図5参照)を発生し、2段目まで押された(全押しされた)ときに照射開始指示信号78(
図5参照)を発生する。
【0034】
支柱部27は角柱状であり、台車部16の中央に立設されている。アーム部28は、基端が支柱部27に取り付けられ、基端の反対側の自由端となる先端に放射線発生部15が取り付けられている。
【0035】
支柱部27は、第1支柱40と、第1支柱40から所定の角度で上方に連設された第2支柱41とを有する。第1支柱40は、台車部16の上面に設けられている。第2支柱41は、鉛直軸を回転軸として、第1支柱40に対して回転可能である。
【0036】
アーム部28は、第2支柱41に対して折り曲げたり、第2支柱41に沿う方向に伸ばしたりすることが可能である。放射線発生部15は、アーム部28に対して前後に首振りすることが可能である。
【0037】
放射線発生部15は、放射線源45と照射野限定器46とで構成される。放射線源45には放射線管47が内蔵されている。放射線管47は、放射線Rとして例えばX線を発生する。放射線管47には、フィラメント、ターゲット、グリッド電極等(いずれも図示せず)が設けられている。陰極であるフィラメントと陽極であるターゲットの間には、中央部26に内蔵された電圧発生器48から電圧が印加される。このフィラメントとターゲットの間に印加される電圧は、管電圧と呼ばれる。フィラメントは、印加された管電圧に応じた熱電子をターゲットに向けて放出する。ターゲットは、フィラメントからの熱電子の衝突によって放射線Rを放射する。グリッド電極は、フィラメントとターゲットの間に配置されている。グリッド電極は、電圧発生器48から印加される電圧に応じて、フィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量を変更する。このフィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量は、管電流と呼ばれる。管電圧、管電流は、照射時間とともに照射条件76として設定される。
【0038】
照射スイッチ34が半押しされてウォームアップ指示信号77が発生された場合、フィラメントが予熱され、同時にターゲットの回転が開始される。フィラメントが規定の温度に達し、かつターゲットが規定の回転数となったときにウォームアップが完了する。このウォームアップが完了した状態において、照射スイッチ34が全押しされて照射開始指示信号78が発生された場合、電圧発生器48から管電圧が印加され、放射線管47から放射線Rが発生される。放射線Rの発生開始から、照射条件76で設定された照射時間が経過したときに、管電圧の印加が停止され、放射線Rの照射が終了される。
【0039】
照射野限定器46は、放射線管47から発生された放射線Rの照射野を限定する。照射野限定器46は、例えば、放射線Rを遮蔽する鉛等の4枚の遮蔽板が四角形の各辺上に配置され、放射線を透過させる四角形の出射開口が中央部に形成された構成である。照射野限定器46は、各遮蔽板の位置を変更することで出射開口の大きさを変化させ、これにより放射線Rの照射野を変更する。
【0040】
図4において、移動式放射線発生装置10は、通信部50、ストレージデバイス51、メモリ52、CPU(Central Processing Unit)53等を有する。通信部50、ストレージデバイス51、メモリ52、CPU53等は、バスライン54を介して相互に接続されている。バスライン54には、UI系デバイス29および電圧発生器48も接続されている。通信部50、ストレージデバイス51、メモリ52、CPU53、およびバスライン54と、UI系デバイス29とは、コンソール55を構成する。コンソール55は、本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソール」の一例である。ストレージデバイス51、メモリ52、CPU53、およびバスライン54は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。また、CPU53は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0041】
通信部50は、電子カセッテ11と無線通信する無線通信インターフェースを含む。また、通信部50は、電子カセッテ11以外の外部装置とネットワークを介して無線通信するネットワークインターフェースを含む。外部装置の一例としては、撮影オーダーといった情報を管理する放射線科情報システム(RIS;Radiology Information System)、画像保存通信システム(PACS;Picture Archiving and Communication Systems)が挙げられる。また、ネットワークの一例としては、インターネットあるいは公衆通信網等のWAN(Wide Area Network)が挙げられる。
【0042】
ストレージデバイス51は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等であり、各種プログラム、並びに各種プログラムに付随する各種データを記憶する。メモリ52は、CPU53が処理を実行するためのワークメモリである。CPU53は、ストレージデバイス51に記憶されたプログラムをメモリ52へ読み出し、読み出したプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、CPU53は、移動式放射線発生装置10の各部の動作を統括的に制御する。
【0043】
CPU53には、前述の照射スイッチ34が接続されている。照射スイッチ34は、ウォームアップ指示信号77および照射開始指示信号78をCPU53に出力する。また、CPU53には、冷却ファン56が取り付けられている。冷却ファン56は、本開示の技術に係る「冷却機構」の一例である。
【0044】
バスライン54には、給電部57が接続されている。給電部57は、バッテリー58からの電力を、移動式放射線発生装置10の各部に供給する。給電部57は、バッテリー58からの直流電圧を、供給先に応じた値の電圧に変換するDC(Direct Current)-DCコンバータ、変換した電圧の値を安定化させる電圧安定化回路等を含む。バッテリー58は、例えば中央部26に内蔵されている。このように、移動式放射線発生装置10は、バッテリー58によりワイヤレス駆動される。なお、移動式放射線発生装置10は、本体部25の下部から延びる電源コードのプラグ(図示せず)を商用電源のコンセントに接続することで、バッテリー58を充電したり、商用電源からの電力で動作したりすることが可能である。
【0045】
図5において、ストレージデバイス51には、作動プログラム60が記憶されている。作動プログラム60は、ストレージデバイス51、メモリ52、CPU53、およびバスライン54で構成されるコンピュータを、本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソール」として動作させるためのプログラムである。すなわち、作動プログラム60は、本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソールの作動プログラム」の一例である。ストレージデバイス51には、照射条件テーブル61も記憶されている。
【0046】
CPU53は、作動プログラム60を実行することで、メモリ52等と協働して、受付部65、照射制御部66、カセッテ制御部67、表示関連処理部68、表示制御部69、コンピュータ支援診断処理部(以下、CAD処理部)70、および主制御部71として機能する。
【0047】
受付部65は、操作パネル33を介してオペレータOPから入力される撮影メニュー75を受け付ける。受付部65は、受け付けた撮影メニュー75に対応する照射条件76を照射条件テーブル61から読み出し、読み出した照射条件76を照射制御部66に出力する。
【0048】
受付部65は、照射スイッチ34からのウォームアップ指示信号77および照射開始指示信号78も受け付ける。受付部65は、ウォームアップ指示信号77を受け付けた旨、および照射開始指示信号78を受け付けた旨を、照射制御部66に出力する。
【0049】
照射制御部66は、放射線管47の動作を制御することで、放射線Rの照射を制御する。照射制御部66は、照射条件76を電圧発生器48に設定する。照射制御部66は、受付部65からウォームアップ指示信号77を受け付けた旨が入力された場合、放射線管47にウォームアップを行わせる。また、照射制御部66は、受付部65から照射開始指示信号78を受け付けた旨が入力された場合、電圧発生器48を介して、設定された照射条件76にて放射線管47から放射線Rを照射させる。
【0050】
照射制御部66は、放射線Rの照射開始タイミングに合わせて、放射線Rの照射を開始した旨をカセッテ制御部67に出力する。また、照射制御部66は、放射線Rの照射終了タイミングに合わせて、放射線Rの照射を終了した旨をカセッテ制御部67に出力する。
【0051】
カセッテ制御部67は、通信部50を介して電子カセッテ11に様々な制御信号を送信することで、電子カセッテ11の動作を制御する。カセッテ制御部67は、照射制御部66から放射線Rの照射を開始した旨が入力された場合、照射開始同期信号79を電子カセッテ11に送信する。また、カセッテ制御部67は、照射制御部66から放射線Rの照射を終了した旨が入力された場合、照射終了同期信号80を電子カセッテ11に送信する。なお、図示は省略したが、カセッテ制御部67は、照射条件76に応じた信号電荷のゲイン値等を電子カセッテ11に送信する。
【0052】
表示関連処理部68は、放射線画像20を撮影現場において表示することで、放射線画像20の映り具合をオペレータOPに確認させるための表示関連処理を実行する。表示関連処理部68は、画像受信部85と画像処理部86とを有している。画像受信部85は、通信部50を介して放射線画像20を電子カセッテ11から受信する受信処理を行う。画像受信部85は、受信した放射線画像20を画像処理部86に出力する。
【0053】
電子カセッテ11は、放射線画像20の受信に先立って、画像送信報知信号87を送信する。画像送信報知信号87は、これから放射線画像20を送信するということを、電子カセッテ11から移動式放射線発生装置10に報せる信号である。画像受信部85は、画像送信報知信号87を受信する。この画像送信報知信号87を画像受信部85にて受信したタイミングで、表示関連処理部68による表示関連処理が開始される。
【0054】
画像処理部86は、放射線画像20を表示用に加工する画像処理を行う。具体的には、画像処理部86は、画像処理として、オフセット補正処理、感度補正処理、欠陥画素補正処理等を行う。オフセット補正処理は、放射線Rが照射されていない状態で検出されたオフセット補正用画像を、放射線画像20から画素単位で差し引く処理である。画像処理部86は、このオフセット補正処理を行うことで、暗電荷等に起因する固定パターンノイズを放射線画像20から除去する。感度補正処理は、感度補正データに基づき、各画素の感度のばらつき、信号電荷を読み出す回路の出力特性のばらつき等を補正する処理である。欠陥画素補正処理は、出荷時や定期点検時に生成される、画素値が異常な欠陥画素の情報に基づき、欠陥画素の画素値を周囲の正常な画素の画素値で線形補間する処理である。これらオフセット補正処理、感度補正処理、および欠陥画素補正処理は、放射線画像20の画質を表示に耐え得るものとするためには必須の処理である。画像処理部86は、こうした諸々の画像処理が行われた放射線画像20を、表示制御部69およびCAD処理部70に出力する。この放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、表示関連処理部68による表示関連処理が終了される。
【0055】
CAD処理部70は、放射線画像20に対してCAD処理を実行する。CAD処理は、例えば、放射線画像20に映る腫瘍等の病変の候補を抽出する処理である。CAD処理部70は、CAD処理の結果を表示制御部69に出力する。このように、1つのプロセッサであるCPU53は、表示関連処理とCAD処理とを両方実行する。
【0056】
表示制御部69は、
図3で示したように、放射線画像20をディスプレイ32に表示する制御を行う。また、表示制御部69は、CAD処理の結果をディスプレイ32に表示する制御を行う(
図15参照)。
【0057】
主制御部71は、照射制御部66、カセッテ制御部67、表示関連処理部68、表示制御部69、およびCAD処理部70の動作を制御する。例えば、主制御部71は、表示関連処理部68による表示関連処理と、CAD処理部70によるCAD処理とが競合する場合、CAD処理よりも表示関連処理を優先する優先処理を実行する。すなわち、主制御部71は、本開示の技術に係る「優先処理部」の一例である。
【0058】
また、主制御部71は、冷却ファン56の動作も制御する。より詳しくは、主制御部71は、冷却ファン56の回転数を増減することで、冷却ファン56の冷却レベルを上げ下げする。
【0059】
図6に示すように、照射条件テーブル61には、各種撮影メニュー75に対応する照射条件76が登録されている。撮影メニュー75は、「胸部臥位正面」等、撮影部位、姿勢、および撮影方向が1セットとなった撮影手技を規定する。撮影部位には、胸部の他に、頭部、頸部、腹部、腰部、肩、肘、手、膝、足首等がある。姿勢には、臥位の他に、立位、座位等がある。撮影方向には、正面の他に、背面、側面等がある。また、撮影メニュー75には、「体型小」等の被写体Hの体型の情報も含まれる。照射条件76は、前述のように、管電圧、管電流、および照射時間のセットである。管電流および照射時間の代わりに、管電流照射時間積を照射条件76としてもよい。
【0060】
移動式放射線発生装置10は、通信部50を通じてRISから撮影オーダーを受信する。撮影オーダーには、被写体Hを識別するためのID(Identification Data)、撮影オーダーを発行した診療科の医師等による撮影手技の指示情報等が登録されている。移動式放射線発生装置10は、オペレータOPの操作に応じて、RISからの撮影オーダーをディスプレイ32に表示する。オペレータOPは、ディスプレイ32を通じて撮影オーダーの内容を確認する。
【0061】
移動式放射線発生装置10は、カセッテ収納部30に収納された複数台の電子カセッテ11のうちの1台を選択可能な形態でディスプレイ32に表示する。オペレータOPは、撮影オーダーで示される被写体Hの撮影を行う1台の電子カセッテ11を選択する。これにより、選択された電子カセッテ11と撮影オーダーとが関連付けられる。
【0062】
また、移動式放射線発生装置10は、撮影メニュー75を選択可能な形態でディスプレイ32に表示する。オペレータOPは、撮影オーダーで指定された撮影手技と一致し、かつ被写体Hの体型が一致する撮影メニュー75を選択する。これにより撮影メニュー75が受付部65で受け付けられ、これに対応する照射条件76が照射条件テーブル61から受付部65に読み出される。そして、結果的に照射制御部66によって照射条件76が電圧発生器48に設定される。なお、照射条件テーブル61から読み出された照射条件76は、電圧発生器48に設定される前に、操作パネル33を介してオペレータOPが微調整することが可能である。
【0063】
図7に示すように、放射線管47は、照射スイッチ34からの照射開始指示信号78に合わせて、放射線Rを発生する。電子カセッテ11は、放射線Rの照射開始タイミングに合わせて送信された照射開始同期信号79に応じて、センサパネルの画素から暗電荷を読み出して破棄するリセット動作(図示省略)を行った後、画素に信号電荷を蓄積させる蓄積動作を行う。また、電子カセッテ11は、放射線Rの照射終了タイミングに合わせて送信された照射終了同期信号80に応じて、画素に蓄積された信号電荷を読み出して、信号電荷を放射線画像20として出力する読み出し動作を行う。こうして放射線管47から放射線Rを照射し、電子カセッテ11から放射線画像20を出力する一連の動作を、本開示の技術に係る「放射線撮影」と定義する。
【0064】
図8に示すように、主制御部71は、第N回(Nは1以上の自然数)の放射線撮影(以下、第N回撮影という)に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了され、放射線画像20がディスプレイ32に表示されてから設定時間が経過した場合、第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に自動的に開始させる。設定時間は例えば1分である。なお、第N回撮影は、本開示の技術に係る「今回の撮影」および「第1の撮影」の一例である。
【0065】
図9は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後に第N+1回の放射線撮影(以下、第N+1回撮影という)が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す。この場合、第N回撮影に係るCAD処理と、第N+1回撮影に係る表示関連処理とは競合しないので、主制御部71は、CAD処理よりも表示関連処理を優先する優先処理を実行しない。なお、第N+1回撮影は、本開示の技術に係る「次回の撮影」および「第2の撮影」の一例である。
【0066】
図10は、第N回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す。この場合、このまま第N回撮影に係るCAD処理を開始させると、第N+1回撮影に係る表示関連処理と競合するので、主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理を開始させない。すなわち、主制御部71は、優先処理として、表示関連処理を実行している間、CAD処理の実行を禁止する。
【0067】
主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了されてから設定時間が経過した場合、開始を見送らせた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。なお、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+2回撮影が行われ、第N+2回撮影に係る表示関連処理が開始された場合は、第N回撮影に係るCAD処理および第N+1回撮影に係るCAD処理は実行されず、さらに第N+2回撮影に係る表示関連処理の終了後に持ち越される。
【0068】
図11は、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合を示す。この場合、第N回撮影に係るCAD処理と第N+1回撮影に係る表示関連処理とが競合するので、主制御部71は、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断させて、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始させる。CAD処理部70は、CAD処理の途中の中間データをメモリ52に一時的に記憶しておく。
【0069】
主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了されてから設定時間が経過した場合、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、自動的にCAD処理部70に再開させる。この際、CAD処理部70は、メモリ52に一時記憶していた中間データをメモリ52から読み出す。主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0070】
図12に示すように、主制御部71は、CAD処理を実行していない場合と比べて冷却ファン56の回転数を高める。これにより、主制御部71は、CAD処理を実行中の冷却ファン56の冷却レベルを通常よりも上げる。
【0071】
CAD処理部70にてCAD処理を実行中、表示制御部69は、
図13に示すように、CAD処理を実行中である旨を示すメッセージボックス90をディスプレイ32に表示する。
【0072】
CAD処理が終了された場合、表示制御部69は、
図14に示すように、CAD処理の結果を表示させるためのCAD処理結果表示ボタン91をディスプレイ32に表示する。このCAD処理結果表示ボタン91がオペレータOPにより選択された場合、表示制御部69は、
図15に示すように、CAD処理の結果として、CAD処理によって抽出された病変の候補を取り囲むマーカー92を放射線画像20上に表示する。
【0073】
図11で示したように主制御部71によりCAD処理を中断した場合、表示制御部69は、
図16に示すように、CAD処理を中断した旨を示すメッセージボックス93をディスプレイ32に表示する。
【0074】
なお、各回の放射線撮影に係る放射線画像20およびCAD処理の結果は、放射線画像20の右横の「オーダー1」、「オーダー2」等を選択することで表示を切り替えることができる。例えば第1回撮影に係る放射線画像20およびCAD処理の結果を表示する場合は、
図13等に示すように第1回撮影に係る「オーダー1」を選択する。そして、第2回撮影に係る放射線画像20およびCAD処理の結果を表示する場合は、第2回撮影に係る「オーダー2」を選択する。
【0075】
次に、上記構成による作用について、
図17および
図18のフローチャートを参照して説明する。作動プログラム60が起動されると、コンソール55のCPU53は、
図5で示したように、受付部65、照射制御部66、カセッテ制御部67、表示関連処理部68、表示制御部69、CAD処理部70、および主制御部71として機能される。
【0076】
第N回撮影に先立って、オペレータOPによって、ディスプレイ32を介して撮影オーダーに対応した撮影メニュー75が選択され、受付部65において撮影メニュー75が受け付けられる。そして、受付部65によって、撮影メニュー75に対応した照射条件76が照射条件テーブル61から読み出される。読み出された照射条件76は、必要に応じてオペレータOPにより微調整された後、照射制御部66によって電圧発生器48に設定される。
【0077】
照射条件76の設定後、オペレータOPによって照射スイッチ34が操作され、ウォームアップ指示信号77および照射開始指示信号78が受付部65において受け付けられる。これにより、
図7で示したように、設定された照射条件76にて放射線管47から放射線Rが照射される。また、電子カセッテ11において、照射開始同期信号79に応じて蓄積動作が行われ、照射終了同期信号80に応じて読み出し動作が行われる。これにより電子カセッテ11から放射線画像20が出力される。
【0078】
図17は、
図9および
図10で示した態様を示すフローチャートである。まず、第N回撮影が行われて電子カセッテ11から第N回撮影に係る放射線画像20が出力され、第N回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信された場合(ステップST10でYES)、続いて、第N回撮影に係る放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST11)。第N回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。
【0079】
画像処理部86において、第N回撮影に係る放射線画像20に対して、オフセット補正処理、感度補正処理、欠陥画素補正処理等の各種画像処理が行われる(ステップST12)。画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0080】
ステップST13に示すように、第N回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信されたタイミングで、第N回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST13は、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0081】
図3で示したように、画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20は、表示制御部69によってディスプレイ32に表示される(ステップST14)。これにより、オペレータOPは、第N回撮影により得られた放射線画像20の映り具合を、撮影現場において直ちに確認することができる。
【0082】
第N回撮影に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了されてから設定時間が経過するまでに、第N+1回撮影が行われず、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信されなかった場合(ステップST15でNO、ステップST16でYES)、CAD処理部70により、画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20に対してCAD処理が実行される(ステップST17)。ステップST17は、本開示の技術に係る「コンピュータ支援診断処理ステップ」の一例である。
【0083】
CAD処理の実行中は、
図12で示したように、主制御部71の制御の下、冷却ファン56の冷却レベルが通常よりも上げられる。また、
図13で示したように、CAD処理を実行中であることをオペレータOPに報せるため、表示制御部69によりメッセージボックス90が表示される。CAD処理の結果は、CAD処理部70から表示制御部69に出力される。CAD処理の結果は、CAD処理結果表示ボタン91が選択された場合、
図15で示したように表示制御部69によりディスプレイ32に表示される。
【0084】
一方、第N回撮影に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了されてから設定時間が経過するまでに、第N+1回撮影が行われて、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信された場合(ステップST15でYES)、第N回撮影に係るCAD処理の開始が見送られ、CAD処理が禁止される。そして、第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST18)。第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。ステップST18は、本開示の技術に係る「優先処理ステップ」の一例である。
【0085】
画像処理部86において、第N+1回撮影に係る放射線画像20に対して画像処理が行われる(ステップST19)。画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0086】
ステップST20に示すように、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST20は、ステップST13と同じく、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0087】
画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、表示制御部69によってディスプレイ32に表示される(ステップST21)。
【0088】
第N+1回撮影に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了されてから設定時間が経過した場合(ステップST22でYES)、CAD処理部70により、ステップST18において開始が見送られた第N回撮影に係る放射線画像20に対してCAD処理が実行される(ステップST23)。また、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理が実行される(ステップST24)。ステップST23およびステップST24は、ステップST17と同じく、本開示の技術に係る「コンピュータ支援診断処理ステップ」の一例である。
【0089】
図18は、
図11で示した態様を示すフローチャートである。まず、CAD処理部70により、画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20に対してCAD処理が実行されている(ステップST30)。ステップST30は、ステップST17、ステップST23、およびステップST24と同じく、本開示の技術に係る「コンピュータ支援診断処理ステップ」の一例である。
【0090】
この第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われて、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信された場合(ステップST31でYES)、第N回撮影に係るCAD処理が中断される。そして、第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST32)。第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。ステップST32は、ステップST18と同じく、本開示の技術に係る「優先処理ステップ」の一例である。
【0091】
第N回撮影に係るCAD処理が中断された場合、
図16で示したように、表示制御部69によりメッセージボックス93が表示される。
【0092】
画像処理部86において、第N+1回撮影に係る放射線画像20に対して画像処理が行われる(ステップST33)。画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0093】
ステップST34に示すように、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87が画像受信部85において受信されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST34は、ステップST13およびステップST20と同じく、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0094】
画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、表示制御部69によってディスプレイ32に表示される(ステップST35)。
【0095】
第N+1回撮影に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了されてから設定時間が経過した場合(ステップST36でYES)、CAD処理部70により、中断された第N回撮影に係るCAD処理が自動的に再開される(ステップST37)。第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理が実行される(ステップST38)。ステップST37およびステップST38は、ステップST17、ステップST23、ステップST24、およびステップST30と同じく、本開示の技術に係る「コンピュータ支援診断処理ステップ」の一例である。
【0096】
以上説明したように、コンソール55のCPU53は、表示関連処理部68と、CAD処理部70と、主制御部71とを備える。表示関連処理部68は、放射線撮影により得られた放射線画像20を、撮影現場において表示するための表示関連処理を実行する。表示関連処理は、放射線画像20を電子カセッテ11から受信する受信処理、および受信した放射線画像20を表示用に加工する画像処理を含む。CAD処理部70は、画像処理後の放射線画像20に対してCAD処理を実行する。主制御部71は、表示関連処理とCAD処理とが競合する場合、CAD処理よりも表示関連処理を優先する優先処理を実行する。このため、処理負荷が比較的大きいCAD処理によって表示関連処理が滞り、放射線画像20の表示に支障を来すおそれを低減することができる。したがって、放射線画像20の映り具合を支障なくオペレータOPに確認させることが可能となる。
【0097】
主制御部71は、優先処理として、表示関連処理を実行している間、CAD処理の実行を禁止する。具体的には、主制御部71は、第N回撮影に係る表示関連処理を終了してから、続けて第N回撮影に係るCAD処理を自動的に開始するまでの間に、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始した場合、第N回撮影に係るCAD処理を開始しない。また、主制御部71は、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断して、第N回撮影の後の第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始する。このため、CAD処理によって表示関連処理が滞り、放射線画像20の表示に支障を来すおそれをなくすことができる。
【0098】
CAD処理部70は、第N+1回撮影に係る表示関連処理を終了した後、中断した第N回撮影に係るCAD処理を自動的に再開する。このため、第N回撮影に係るCAD処理を中断した場合においても、オペレータOPの手を煩わせることなく、第N回撮影に係るCAD処理の結果を得ることができる。
【0099】
表示制御部69は、メッセージボックス93を表示することで、第N回撮影に係るCAD処理を中断した旨を、オペレータOPに報知する。このため、オペレータOPは、第N回撮影に係るCAD処理を中断したことを、確実に知ることができる。
【0100】
表示関連処理とCAD処理とを実行するプロセッサは1つのCPU53である。このため、CAD処理によって表示関連処理が滞るおそれが高い。したがって、優先処理の効果を一層発揮することができる。
【0101】
表示関連処理部68は、画像送信報知信号87を画像受信部85にて受信したタイミング、すなわち受信処理の開始タイミングで表示関連処理を開始する。このため、撮影メニュー75を受け付けて照射条件76を設定したり、照射スイッチ34を操作して放射線Rを照射したりしている間は、CAD処理を実行することができる。
【0102】
主制御部71は、CAD処理を実行中、冷却ファン56の冷却レベルを通常よりも上げる。このため、CAD処理によって処理負荷が上がり発熱しているCPU53を、効率的に冷却することができる。発熱によるCPU53の処理能力の低下を抑えることができる。
【0103】
コンソール55は、放射線Rを発する放射線発生部15を有し、バッテリー58によりワイヤレス駆動される移動式放射線発生装置10に搭載される。移動式放射線発生装置10に搭載されるコンソール55は、撮影室に据付の放射線発生装置に接続されるコンソールと比べて、CPU53といったプロセッサのリソースに制約がある。このため、CAD処理によって表示関連処理が滞るおそれがさらに高い。したがって、移動式放射線発生装置10に搭載されるコンソール55に本開示の技術を適用することで、優先処理の効果をさらにより一層発揮することができる。
【0104】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、CAD処理を自動的に開始しているが、これに限らない。
図19~
図22に示す第2実施形態のように、オペレータOPによるCAD処理の実行指示があった場合に、CAD処理を実行してもよい。
【0105】
図19に示すように、表示制御部69は、CAD処理の実行指示を入力するためのCAD処理実行ボタン100をディスプレイ32に表示する。オペレータOPは、表示されている放射線画像20に対してCAD処理を実行したい場合に、CAD処理実行ボタン100を選択する。オペレータOPによりCAD処理実行ボタン100が選択された場合、CAD処理の実行を指示する実行指示信号101がディスプレイ32から発せられ、受付部65で受け付けられる。これにより、CAD処理部70においてCAD処理が実行される。
【0106】
図20は、実行指示信号101により第N回撮影に係るCAD処理が実行され、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後に第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す。この場合、
図9の場合と同じく、第N回撮影に係るCAD処理と、第N+1回撮影に係る表示関連処理とは競合しないので、主制御部71は優先処理を実行しない。
【0107】
対して
図21は、実行指示信号101により第N回撮影に係るCAD処理が実行される前に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始された場合を示す。この場合、実行指示信号101にしたがって第N回撮影に係るCAD処理を開始させると、第N+1回撮影に係る表示関連処理と競合するので、主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理の実行指示信号101を、受付部65に受け付けさせない。すなわち、主制御部71は、
図10の場合と同じく、優先処理として、表示関連処理を実行している間、CAD処理の実行を禁止する。
【0108】
第N回撮影に係るCAD処理の実行指示信号101を受け付けさせない方法としては、例えばCAD処理実行ボタン100を非表示にしたりグレーアウトさせたりして、オペレータOPがCAD処理実行ボタン100を選択することができなくする方法を採用することができる。あるいは、CAD処理実行ボタン100はそのまま選択可能な形態で表示しておくが、受付部65において実行指示信号101を受け付けても無視する方法を採用することもできる。後者の方法においては、CAD処理実行ボタン100が選択された場合、「CAD処理の実行を受け付けていません。」といったメッセージをポップアップ表示することが好ましい。
【0109】
主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後、実行指示信号101が受付部65において受け付けられた場合、第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0110】
図22は、実行指示信号101により第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合を示す。この場合、
図11の場合と同じく、第N回撮影に係るCAD処理と第N+1回撮影に係る表示関連処理とが競合するので、主制御部71は、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断させて、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始させる。
【0111】
主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後、実行指示信号101が受付部65において受け付けられた場合、
図11の場合と同じく、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、自動的にCAD処理部70に再開させる。主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0112】
このように、第2実施形態では、オペレータOPによるCAD処理の実行指示信号101を受付部65において受け付け、CAD処理を実行する。このため、CAD処理を実行するか否かを、オペレータOPの選択に委ねることができ、撮影が失敗した放射線画像20等、CAD処理の必要がない放射線画像20に対してもCAD処理が実行されてしまうことを防ぐことができる。自動的にCAD処理を実行する場合と比べて、表示関連処理とCAD処理とが競合する場面を少なくすることができる。
【0113】
なお、CAD処理を自動的に開始する態様と、オペレータOPによるCAD処理の実行指示があった場合に、CAD処理を実行する態様とを切り替え可能に構成してもよい。
【0114】
[第3実施形態]
上記各実施形態では、中断したCAD処理を自動的に再開しているが、これに限らない。
図23~
図25に示す第3実施形態のように、中断したCAD処理を再開するか否かのオペレータOPによる選択指示を受け付けてもよい。
【0115】
図23に示すように、表示制御部69は、第N回撮影に係るCAD処理を中断した場合、第N+1回撮影に係る表示関連処理を終了した後に、ダイアログボックス110をディスプレイ32に表示する。ダイアログボックス110には、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開するとの選択指示を入力するためのはいボタン111と、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しないとの選択指示を入力するためのいいえボタン112とが配されている。オペレータOPは、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開したい場合ははいボタン111を選択し、再開したくない場合はいいえボタン112を選択する。オペレータOPによりはいボタン111が選択された場合、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開するとの選択指示を示す第1選択指示信号113がディスプレイ32から出力され、受付部65で受け付けられる。これにより、CAD処理部70において第N回撮影に係るCAD処理が再開される。対して、オペレータOPによりいいえボタン112が選択された場合、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しないとの選択指示を示す第2選択指示信号114がディスプレイ32から出力され、受付部65で受け付けられる。この場合は第N回撮影に係るCAD処理は再開されない。
【0116】
図24および
図25はいずれも、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合を示す。この場合、主制御部71は、
図11の場合と同じく、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断させて、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始させる。
【0117】
図24は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後、オペレータOPによりダイアログボックス110のはいボタン111が選択されて、第1選択指示信号113が受付部65において受け付けられた場合を示す。この場合、主制御部71は、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に再開させる。主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0118】
対して
図25は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後、オペレータOPによりダイアログボックス110のいいえボタン112が選択されて、第2選択指示信号114が受付部65において受け付けられた場合を示す。この場合、主制御部71は、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に再開させることなく、第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0119】
このように、第3実施形態では、第N+1回撮影に係る表示関連処理を終了した後、受付部65において、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開するか否かのオペレータOPによる選択指示を受け付ける。そして、再開するとの選択指示を示す第1選択指示信号113を受け付けた場合、CAD処理部70は、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開する。対して、再開しないとの選択指示を示す第2選択指示信号114を受け付けた場合、CAD処理部70は、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しない。このため、上記第2実施形態と同様に、中断したCAD処理を再開するか否かを、オペレータOPの選択に委ねることができ、撮影が失敗した放射線画像20等、CAD処理の必要がない放射線画像20に対してもCAD処理が再開されてしまうことを防ぐことができる。自動的にCAD処理を再開する場合と比べて、表示関連処理とCAD処理とが競合する場面を少なくすることができる。
【0120】
中断したCAD処理を自動的に再開する態様と、中断したCAD処理を再開するか否かのオペレータOPによる選択指示を受け付ける態様とを切り替え可能に構成してもよい。
【0121】
なお、第N回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+1回撮影が行われ、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始され、第N回撮影に係るCAD処理の開始を見送る場合を示す
図10の例において、開始を見送らせた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させるか否かのオペレータOPによる選択指示を受け付けてもよい。
【0122】
[第4実施形態]
図26~
図30に示す第4実施形態では、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるか否かで、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開するか否かを決定する。
【0123】
図26において、第4実施形態のコンソール55のCPU53は、上記第1実施形態で示した各部65~71(
図26ではCAD処理部70および主制御部71のみ図示)に加えて、撮影部位特定部120として機能する。撮影部位特定部120は、第N回撮影に係る放射線画像20に映る被写体Hの像から、周知の画像認識技術を用いて、第N回撮影の撮影部位を特定する。同様に、撮影部位特定部120は、第N+1回撮影に係る放射線画像20に映る被写体Hの像から、周知の画像認識技術を用いて、第N+1回撮影の撮影部位を特定する。撮影部位特定部120は、撮影部位の特定結果121を主制御部71に出力する。主制御部71は、特定結果121に基づいて、CAD処理部70の動作を制御する。
【0124】
図27は、特定結果121が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一でない、という内容であった場合を示す。この場合、主制御部71は、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影でないとして、中断した第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に再開させるための再開指示信号122(
図29参照)を、CAD処理部70に出力する。CAD処理部70は、再開指示信号122を受けて、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開する。
【0125】
対して
図28は、特定結果121が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一である、という内容であった場合を示す。この場合、主制御部71は、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるとして、再開指示信号122をCAD処理部70に出力しない。CAD処理部70は、再開指示信号122が入力されないので、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しない。
【0126】
図29および
図30はいずれも、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合を示す。この場合、主制御部71は、
図11の場合と同じく、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断させて、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始させる。
【0127】
図29は、撮影部位特定部120による特定結果121が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一でない、という
図27で示した内容であった場合を示す。この場合、主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後に、CAD処理部70に再開指示信号122を出力する。これにより主制御部71は、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に再開させる。主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理が終了された後、続けて第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0128】
対して
図30は、撮影部位特定部120による特定結果121が、第N回撮影の撮影部位と第N+1回撮影の撮影部位とが同一である、という
図28で示した内容であった場合を示す。この場合、主制御部71は、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了された後に、CAD処理部70に再開指示信号122を出力しない。これにより主制御部71は、中断させた第N回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に再開させることなく、第N+1回撮影に係るCAD処理を、CAD処理部70に実行させる。
【0129】
このように、第4実施形態では、CAD処理部70は、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影でなかった場合、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開し、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であった場合、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しない。第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影である、とは、第N回撮影の撮影が失敗したことを意味する。このため、CAD処理の必要がない、撮影が失敗した放射線画像20に対してもCAD処理が再開されてしまうことを防ぐことができる。上記第3実施形態では、中断したCAD処理を再開したくない場合は、オペレータOPがいいえボタン112を選択する必要があったが、第4実施形態ではそうした必要はない。このためオペレータOPに手間をとらせずに済む。
【0130】
また、第4実施形態では、CAD処理部70は、撮影部位が第N回撮影と同一でなかった場合、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影でないとして、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開し、撮影部位が第N回撮影と同一であった場合、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるとして、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しない。このため、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるか否かを、正確かつ容易に判断することができる。
【0131】
なお、撮影部位に加えて、被写体Hが第N回撮影と同一であるか否かで、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるか否かを判断してもよい。具体的には、撮影部位および被写体Hのうちの少なくとも一方が同一でなかった場合、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影でないとして、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開する。対して、撮影部位および被写体Hの両方が同一であった場合、第N+1回撮影が第N回撮影の再撮影であるとして、中断した第N回撮影に係るCAD処理を再開しない。
【0132】
[第5実施形態]
上記各実施形態では、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断して、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始しているが、これに限らない。
図31および
図32に示す第5実施形態のように、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断せずに、第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていたリソースの一部を、第N+1回撮影に係る表示関連処理に割り当て、かつ、第N+1回撮影に係る表示関連処理に割り当てるリソースを、第N回撮影に係るCAD処理よりも多くしてもよい。
【0133】
図31に示すコンソールのCPU125は、4つのコア126A、126B、126C、および126Dを有する。各コア126A~126Dは1つのスレッド(図示せず)を有する。すなわち、CPU125はマルチコアシングルスレッドCPUである。コア126A~126Dは、本開示の技術に係る「リソース」の一例である。
【0134】
第N回撮影に係るCAD処理を実行する場合、矢印の左側に示すように、主制御部71は、4つのコア126A~126Dの全てにCAD処理部70の機能を割り当てる。対して第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合、矢印の右側に示すように、主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていた4つのコア126A~126Dのうちの3つのコア126B~126Dに表示関連処理部68の機能を割り当て、第N+1回撮影に係る表示関連処理を実行させる。コア126Aについては、継続してCAD処理部70の機能を割り当て、第N回撮影に係るCAD処理を実行させる。
【0135】
図32に示すコンソールのCPU130は、1つのコア131を有する。コア131は4つのスレッド132A、132B、132C、および132Dを有する。すなわち、CPU130はシングルコアマルチスレッドCPUである。スレッド132A~132Dは、本開示の技術に係る「リソース」の一例である。
【0136】
第N回撮影に係るCAD処理を実行する場合、矢印の上側に示すように、主制御部71は、4つのスレッド132A~132Dの全てにCAD処理部70の機能を割り当てる。対して第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われた場合、矢印の下側に示すように、主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていた4つのスレッド132A~132Dのうちの3つのスレッド132B~132Dに表示関連処理部68の機能を割り当て、第N+1回撮影に係る表示関連処理を実行させる。スレッド132Aについては、継続してCAD処理部70の機能を割り当て、第N回撮影に係るCAD処理を実行させる。
【0137】
このように、第5実施形態では、主制御部71は、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理に割り当てていたリソースの一部を、第N+1回撮影に係る表示関連処理に割り当て、かつ、第N+1回撮影に係る表示関連処理に割り当てるリソースを、第N回撮影に係るCAD処理よりも多くする。このため、CAD処理によって表示関連処理が滞るおそれを低減しつつ、CAD処理を継続して実行することができる。
【0138】
なお、
図31ではマルチコアシングルスレッドCPU125を例示し、
図32ではシングルコアマルチスレッドCPU130を例示したが、これに限らない。複数のコアを有し、各コアが複数のスレッドを有するマルチコアマルチスレッドCPUを用いてもよい。
【0139】
[第6実施形態]
上記各実施形態では、プロセッサとして1つのCPUを例示したが、これに限らない。
図33に示す第6実施形態のように、表示関連処理を実行する第1サブプロセッサ、およびCAD処理を実行する第2サブプロセッサの2つのサブプロセッサを用いてもよい。
【0140】
図33において、第6実施形態のコンソールは、CPU135およびGPU(Graphics Processing Unit)136を有する。CPU135は、受付部65、照射制御部66、カセッテ制御部67、表示関連処理部68、および主制御部71(
図33では表示関連処理部68および主制御部71のみ図示)として機能する。GPU136は、表示制御部69およびCAD処理部70(
図33ではCAD処理部70のみ図示)として機能する。CPU135は、本開示の技術に係る「第1サブプロセッサ」の一例である。GPU136は、本開示の技術に係る「第2サブプロセッサ」の一例である。
【0141】
このように、第6実施形態では、表示関連処理を実行する第1サブプロセッサであるCPU135、およびCAD処理を実行する第2サブプロセッサであるGPU136の2つのサブプロセッサを有する。このため、CAD処理によって表示関連処理が滞るおそれを低減することができる。
【0142】
上記第1実施形態では、作動プログラム60を実行することで、表示関連処理部68、CAD処理部70、主制御部71等として機能するコンソール55を例示したが、これに限らない。
図34に示すように、表示関連処理部68、主制御部71等として機能するが、CAD処理部70としては機能しないコンソール140にCAD処理機能拡張用作動プログラム141をインストールすることで、後付けでCAD処理部70の機能を追加してもよい。CAD処理機能拡張用作動プログラム141は、本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソールの作動プログラム」の一例である。
【0143】
上記第1実施形態では、移動式放射線発生装置10に内蔵されたコンソール55を例示したが、これに限らない。例えば
図35に示すように、移動式放射線発生装置10とは別体のノート型のパーソナルコンピュータ145に作動プログラム60をインストールし、ノート型のパーソナルコンピュータ145を本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソール」として用いてもよい。また、ノート型のパーソナルコンピュータ145に代えて、タブレット端末を本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソール」として用いてもよい。
【0144】
図36に示すように、ノート型のパーソナルコンピュータ145を本開示の技術に係る「放射線撮影システムのコンソール」として用いる場合も、
図34で示した例と同じく、CAD処理機能拡張用作動プログラム141をインストールすることで、後付けでCAD処理部70の機能を追加してもよい。
【0145】
なお、表示関連処理とCAD処理とが競合する場合に、CAD処理の一部を、コンソールとネットワーク等で接続された外部装置に委託してもよい。
【0146】
上記各実施形態では、画像送信報知信号87を画像受信部85にて受信したタイミングを、表示関連処理の開始タイミングと規定したが、これに限らない。オペレータOPが第N+1回撮影に係る撮影メニュー75を選択したタイミングを、表示関連処理の開始タイミングとしてもよい。あるいは、照射開始指示信号78を受付部65において受け付けたタイミングを、表示関連処理の開始タイミングとしてもよい。
【0147】
また、
図37に示すように、カセッテ制御部67から電子カセッテ11に照射開始同期信号79を送信するタイミングを、表示関連処理の開始タイミングとしてもよい。この
図37に示す態様に、例えば上記第1実施形態を適用した場合、
図38~
図41に示すようになる。なお、以下では、上記第1実施形態で説明済みの内容は適宜省略する。
【0148】
図38は、第N回撮影に係る表示関連処理が終了されてから、第N回撮影に係るCAD処理が開始されるまでの間に、第N+1回撮影が行われて、カセッテ制御部67から電子カセッテ11に照射開始同期信号79が送信され、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始される場合を示す。この場合、このまま第N回撮影に係るCAD処理を開始させると、第N+1回撮影に係る表示関連処理と競合するので、主制御部71は、第N回撮影に係るCAD処理を開始させない。
【0149】
図39は、第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、カセッテ制御部67から電子カセッテ11に照射開始同期信号79が送信され、第N+1回撮影が行われる場合を示す。この場合、第N回撮影に係るCAD処理と第N+1回撮影に係る表示関連処理とが競合するので、主制御部71は、優先処理として、第N回撮影に係るCAD処理を中断させて、第N+1回撮影に係る表示関連処理を開始させる。
【0150】
図40は、
図38で示した態様を示すフローチャートである。まず、第N回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信された場合(ステップST50でYES、ステップST51)、照射条件76で設定された照射時間の経過後、第N回撮影に係る照射終了同期信号80がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信される。続いて、第N回撮影に係る画像送信報知信号87および放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST52)。第N回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。
【0151】
画像処理部86において、第N回撮影に係る放射線画像20に対して各種画像処理が行われる(ステップST12)。画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0152】
ステップST53に示すように、第N回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から送信されるタイミングで、第N回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST53は、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0153】
第N回撮影に係る表示関連処理が表示関連処理部68で終了されてから設定時間が経過するまでに、第N+1回撮影が行われて、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から送信される場合(ステップST54でYES)、第N回撮影に係るCAD処理の開始が見送られ、CAD処理が禁止される(ステップST55)。そのうえで、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信される(ステップST56)。そして、照射条件76で設定された照射時間の経過後、第N+1回撮影に係る照射終了同期信号80がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信される。続いて、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87および放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST57)。第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。ステップST55は、本開示の技術に係る「優先処理ステップ」の一例である。
【0154】
画像処理部86において、第N+1回撮影に係る放射線画像20に対して画像処理が行われる(ステップST19)。画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0155】
ステップST58に示すように、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から送信されるタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST58は、ステップST53と同じく、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0156】
図41は、
図39で示した態様を示すフローチャートである。まず、ステップST30に示す第N回撮影に係るCAD処理を実行中に、第N+1回撮影が行われて、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から送信される場合(ステップST60でYES)、第N回撮影に係るCAD処理が中断される(ステップST61)。そのうえで、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信される(ステップST62)。そして、照射条件76で設定された照射時間の経過後、第N+1回撮影に係る照射終了同期信号80がカセッテ制御部67から電子カセッテ11に送信される。続いて、第N+1回撮影に係る画像送信報知信号87および放射線画像20が画像受信部85において受信される(ステップST63)。第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像受信部85から画像処理部86に出力される。ステップST61は、ステップST55と同じく、本開示の技術に係る「優先処理ステップ」の一例である。
【0157】
画像処理部86において、第N+1回撮影に係る放射線画像20に対して画像処理が行われる(ステップST33)。画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20は、画像処理部86から表示制御部69およびCAD処理部70に出力される。
【0158】
ステップST64に示すように、第N+1回撮影に係る照射開始同期信号79がカセッテ制御部67から送信されるタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が開始される。そして、画像処理後の第N+1回撮影に係る放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングで、第N+1回撮影に係る表示関連処理が終了される。ステップST64は、ステップST53およびステップST58と同じく、本開示の技術に係る「表示関連処理ステップ」の一例である。
【0159】
このように、電子カセッテ11に放射線Rの照射開始を報せる照射開始同期信号79を送信するタイミングで、表示関連処理を開始する。このため、処理負荷が比較的大きいCAD処理によって、照射開始同期信号79、照射終了同期信号80の送信タイミングが遅れるといったことを確実に防止することができる。
【0160】
なお、
図37で示した態様に、上記第1実施形態以外の他の実施形態を適用してもよい。
【0161】
同様に、表示関連処理の終了タイミングも、例示の放射線画像20が画像処理部86から出力されたタイミングに限らない。表示制御部69によって放射線画像20がディスプレイ32に表示されたタイミングを、表示関連処理の終了タイミングとしてもよい。
【0162】
上記各実施形態では、第N回撮影を、本開示の技術に係る「第1の撮影」の一例とし、第N+1回撮影を、本開示の技術に係る「第2の撮影」の一例としているが、これに限らない。「第1の撮影」と「第2の撮影」の間に、1回以上の放射線撮影が差し挟まれていてもよい。
【0163】
なお、CAD処理を実行していない場合は冷却ファン56をオフし、CAD処理を実行中は冷却ファン56を回転させることで、CAD処理を実行中の冷却レベルを上げてもよい。また、CAD処理を終了してから予め定められた時間が経過するまで、冷却ファン56の冷却レベルを上げ続けておいてもよい。
【0164】
冷却機構としては、例示の冷却ファン56に限らず、例えばペルチェ素子を用いてもよい。また、空冷ではなく液冷の冷却機構を用いてもよい。
【0165】
なお、第N回撮影に係る画像処理を画像処理部86において実行中に、第N+1回撮影に係る放射線画像20の画像送信報知信号87を画像受信部85で受信した場合は、第N回撮影に係る画像処理を中断して、第N+1回撮影に係る放射線画像20の受信処理を優先してもよい。
【0166】
上記第1実施形態では、照射開始同期信号79に応じて蓄積動作を行い、照射終了同期信号80に応じて読み出し動作を行う電子カセッテ11を例示したが、これに限らない。放射線Rの照射開始および照射終了を自ら検出する機能を有する電子カセッテを用いてもよい。また、電子カセッテに限らず、撮影台に据付の放射線画像検出装置であってもよい。
【0167】
上記各実施形態では、移動式放射線発生装置10に搭載されたコンソール55等を例示したが、これに限らない。例えば、被写体Hの乳房を放射線撮影するマンモグラフィ装置に搭載されたコンソールに、本開示の技術を適用してもよい。
【0168】
上記各実施形態において、例えば、受付部65、照射制御部66、カセッテ制御部67、表示関連処理部68(画像受信部85および画像処理部86)、表示制御部69、CAD処理部70、主制御部71、および撮影部位特定部120といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(作動プログラム60およびCAD処理機能拡張用作動プログラム141)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU53、125、130、および135、並びにGPU136に加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0169】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0170】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0171】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0172】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0173】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0174】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0175】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。