(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-07
(45)【発行日】2023-11-15
(54)【発明の名称】リソグラフィシミュレーション及び光近接効果補正
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231108BHJP
G03F 1/70 20120101ALI20231108BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G03F1/70
(21)【出願番号】P 2022518268
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 US2020044663
(87)【国際公開番号】W WO2021061277
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダイ, ホイシオン
(72)【発明者】
【氏名】バンガー, マンゲシュ アショク
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ピンケシュ ロヒト
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ, シュリニヴァス ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ, スティーブン ハイローング
(72)【発明者】
【氏名】ヌガイ, クリストファー シウ ウィン
(72)【発明者】
【氏名】イー, エリー ワイ.
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-310228(JP,A)
【文献】特開2005-203597(JP,A)
【文献】特開2007-158328(JP,A)
【文献】特開2008-249872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 1/00-1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光近接効果補正方法であって、
光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、
フィールドガイド式露光後ベークにおける、イオン生成及び/又は運動特性、電子運動特性、並びにホール運動特性のうちの1つ又は複数を含むフィールドガイド式露光後ベークパラメータをシミュレーションし、シミュレーションされた前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータ
に基づいて、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することと、
前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて、光近接効果補正モデルを生成することと
を含む、光近接効果補正方法。
【請求項2】
前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータが、異方性酸エッチング特性、
及び化学反応特性のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光近接効果補正ツールが、
プロセッサ、及び
リソグラフィマスクデザインレイアウトを記憶するように構成されたメモリ
を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リソグラフィマスクデザインレイアウトが、データファイルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
リソグラフィ装置の1つ又は複数のパラメータに基づいて、前記光近接効果補正モデルを生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リソグラフィ装置の前記1つ又は複数のパラメータが、電磁エネルギーの種類及び投与量、並びに光学レンズパラメータを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板の1つ又は複数のパラメータに基づいて、前記光近接効果補正モデルを生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板の前記1つ又は複数のパラメータが、パターニングされる膜の種類、エッチングされる層スタック、及び1つ又は複数の反射防止コーティングの存在を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板の前記1つ又は複数のパラメータが、前記パターニングされる膜の種類、前記エッチングされる層スタック、及び前記1つ又は複数の反射防止コーティングのうちの1つ又は複数の光学特性を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
基板をパターニングするために利用されるマスクの種類及び材料に基づいて、前記光近接効果補正モデルを生成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
光近接効果補正処理を実行して、前記マスクデザインレイアウトを調整すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記光近接効果補正処理の実行に応答して、前記マスクデザインレイアウトを変更すること
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記光近接効果補正処理の実行に応答して、マスクエラーエンハンスメントファクターを変更すること
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
基板処理方法であって、
光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、
フィールドガイド式露光後ベークにおける、イオン生成及び/又は運動特性、電子運動特性、並びにホール運動特性のうちの1つ又は複数を含むフィールドガイド式露光後ベークパラメータをシミュレーションし、シミュレーションされた前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータ
に基づいて、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することと、
前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて、光近接効果補正モデルを生成することと
マスクを備えたリソグラフィ装置を使用して基板をパターニングすることと
を含む基板処理方法。
【請求項15】
前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータが、異方性酸エッチング特性、
及び化学反応特性のうちの1つ又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板をパターニングするために利用される前記マスクの種類及び材料に基づいて、前記光近接効果補正モデルを生成すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
光近接効果補正処理を実行して、前記マスクデザインレイアウトを調整すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記光近接効果補正処理の実行に応答して、前記マスクデザインレイアウトを変更すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光近接効果補正処理の実行に応答して、マスクエラーエンハンスメントファクターを変更すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
基板処理方法であって、
光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、
フィールドガイド式露光後ベークにおける、イオン生成及び/又は運動特性、電子運動特性、並びにホール運動特性のうちの1つ又は複数を含むフィールドガイド式露光後ベークパラメータをシミュレーションし、シミュレーションされた前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータ
に基づいて、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することと、
前記フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて、光近接効果補正モデルを生成することと、
前記光近接効果補正モデルに基づいて前記マスクデザインレイアウトを調整した後に基板をパターニングすることと、
前記基板をパターニングした後、前記基板に対してフィールドガイド式露光後ベークプロセスを実行することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、リソグラフィシミュレーション及び光近接効果補正に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、フィールドガイド式露光後ベーク光近接効果補正モデル、それを組み込んだリソグラフィシミュレーション、及びマスクテープアウト(mask tape out)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスは、多くの様々な種類の材料層を半導体基板上に堆積させ、リソグラフィを用いて、様々な材料層をパターニングすることによって製造される。材料層は、典型的には、導電性、半導電性、及び絶縁性の材料の薄膜を含み、これらは、パターニングかつエッチングされて、集積回路を形成する。リソグラフィには、マスクの像を基板の材料層に転写することが伴う。この像は、フォトレジストの層に形成され、フォトレジストが現像される。このフォトレジストは、材料層をエッチングかつパターニングするような材料層の変質プロセスの間、マスクとして使用される。
【0003】
[0003]半導体デバイスのフィーチャサイズが減少し続けるにつれて、リソグラフィマスクから基板上の材料層へのパターンの転写は、フォトレジストを露光するために使用される光又はエネルギーの影響により益々困難になっている。一般に近接効果と呼ばれる現象が、線の幅の変動をもたらす。例えば、近接するように配置された複数のフィーチャは、かようなフィーチャがリソグラフィマスク上で同じ寸法であるにも関わらず、広く間隔を空けて配置されたフィーチャよりも小さくなる傾向がある。このような線の幅の変動は、望ましくないパターニングとデバイス製造をもたらすことがある。
【0004】
[0004]近接効果を補正するために、光近接効果補正(optical proximity correction:OPC)がリソグラフィマスクに対して行われことが多い。これには、線の幅又は長さの調整、角部の丸み付け、及びセリフ(serif)の追加が伴うことがあり、マスクの最終的なパターニング性能が高まる。OPCモデリングを利用して、リソグラフィマスクを改善し、マスクデザインに関連する時間量を減らす。従来のOPCモデリングは、典型的に、既知のパラメータを利用してモデルを作成する。次いで、このモデルを実装してマスクデザインを改善することができる。しかしながら、新しいリソグラフィ及びパターニング技術が開発されると、従来のOPCモデリングプロセスは不十分である。というのは、そのようなプロセスでは、改善されたリソグラフィ及びパターニング技術から導き出された進歩が考慮されていないからである。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、改善されたリソグラフィシミュレーション及び光近接効果補正が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、光近接効果補正方法が提供される。この方法は、光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、フィールドガイド式露光後ベークパラメータを使用して、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することとを含む。次いで、光近接効果補正モデルが、フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて生成される。
【0007】
[0007]別の実施形態では、基板処理方法が提供される。本方法は、光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、フィールドガイド式露光後ベークパラメータを使用して、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することと、フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて、光近接効果補正モデルを生成することと、マスクを備えたリソグラフィ装置を使用して基板をパターニングすることとを含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、基板処理方法が提供される。この方法は、光近接効果補正ツールへのマスクデザインレイアウトの入力を受信することと、フィールドガイド式露光後ベークパラメータを使用して、マスクデザインレイアウトシミュレーションを実行することと、フィールドガイド式露光後ベークパラメータに少なくとも部分的に基づいて、光近接効果補正モデルを生成することと、光近接効果補正モデルに基づいてマスクデザインレイアウトを調整した後に基板をパターニングすることと、基板をパターニングした後、基板に対してフィールドガイド式露光後ベークプロセスを実行することとを含む。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に記載された一実施形態に係る、半導体デバイスの材料層をパターニングするためのリソグラフィシステムを概略的に示す。
【
図2】本明細書に記載された一実施形態に係る、光近接効果補正を決定するために使用される光近接効果補正ツールのブロック図を示す。
【
図3】本開示の一実施形態に係る、光近接効果補正モデルを開発するための方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号が使用された。1つの実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有利に組み込まれ得るように意図されている。
【0012】
[0014]本開示の実施形態は、概して、リソグラフィシミュレーション及び光近接効果補正に関する。フィールドガイド式露光後ベークプロセスは、改善されたリソグラフィ性能を可能にするものであり、このようなプロセスの種々のパラメータは、本明細書に記載された実施形態に従って生成された光近接効果補正モデルに含まれる。光学近接効果補正モデルは、異方性酸エッチング特性、イオン生成及び/又は運動、電子運動、ホール運動、並びに化学反応特性の1つ又は複数のパラメータを含む。
【0013】
[0015]
図1は、本明細書に記載された一実施形態に係る、半導体デバイス110の材料層をパターニングするためのリソグラフィシステム100を概略的に示す。リソグラフィシステム100は、照明器102及びレンズシステム106を含む。例えば、リソグラフィシステム100は、193nmリソグラフィシステム、極端紫外線リソグラフィシステム、又は基板をパターニングするように構成された他のリソグラフィシステムであってもよい。リソグラフィマスク104が、照明器102とレンズシステム106との間に配置される。感光材料116の層を基板114の上に配置し、半導体デバイス110を支持体112上に位置決めし、照明器102からの光又はエネルギー108をマスク104及びレンズシステム106を通して半導体デバイス110へ向けることによって、半導体デバイス110がパターニングされる。
【0014】
[0016]リソグラフィマスク104からのパターンは、基板114上の感光材料116の層に転写される。一実施形態では、感光材料116は、光酸発生剤を含むフォトレジスト材料である。感光材料116の層が現像され、次いで、基板114がパターニング又はエッチングされている間、感光材料234の層がマスクとして使用される。一実施形態では、フィールドガイド露光後ベークプロセスを利用して、感光材料116の脱保護及び/又は現像が行われる。同様に、感光材料の脱保護及び/又は現像は、液浸フィールドガイド露光後ベークプロセスを利用して行うことができる。かような実施形態では、液体などの流体を利用して、電界を感光材料116に結合させて、感光材料116の脱保護及び/又は現像特性を改善する。
【0015】
[0017]本明細書に開示された方法では、リソグラフィプロセスの露光後ベークプロセス中に感光材料116が配置された基板114に電界が印加される。電界を印加することにより、感光材料116(光酸発生剤)によって生成される酸の拡散及び分布が制御され、レジストのレジスト脱保護特性が改善され、基板のパターニングの改善が可能となる。電界を印加することによって、イオン化され得る酸が、基板の長軸に対して実質的に垂直に方向付けられ、異方性脱保護(anisotropic deprotection)がもたらされる。かような異方性脱保護により、結果的に、感光材料116によって形成されるパターンは、改善された線の垂直性及びより望ましい限界寸法を有することになる。
【0016】
[0018]一実施例では、露光後ベークの手順は、基板114上の感光材料116が照明器102からの電磁放射に露光されるフォトリソグラフィプロセスの露光工程の後に実行される。感光材料116は、基板114上に形成され、レジスト樹脂及び光酸発生剤を含む。マスク104を使用して、感光材料116を電磁放射線に選択的に露光する。マスクの開口を通して感光材料116の一部が露光されると、感光材料116に潜像パターンが形成される。潜像パターンのレイアウトは、マスクのレイアウトに依存する。後続の処理が感光材料116の所望の部分を選択的に除去することができるように、潜像パターンは、感光材料116の化学的特性の変化によって特徴付けられる。例えば、露光の結果として生成される光酸は、感光材料116を溶媒和するように機能する。この感光材料116は、後続のフォトレジスト除去工程の間に除去される。
【0017】
[0019]露光工程の後に実行される露光後ベークプロセスは、感光材料116に熱を加えることを含む。熱を加えると、感光材料116の化学的性質がさらに変化し、その後の現像工程でフォトレジストの所望の部分が選択的に除去される。
【0018】
[0020]感光材料116が配置される基板114は、誘電体基板、ガラス基板、半導体基板、導電性基板のような任意の適切な種類の基板であってもよい。基板114上には、1つ又は複数の材料層が配置される。材料層は、とりわけ、半導体材料又は酸化物材料などの任意の所望の層であってもよい。基板114は、1つ又は複数の材料層の上に配置された感光材料116をさらに有する。露光後ベークプロセスが実行されるときには、基板114は、フォトリソグラフィプロセスの露光工程において既に電磁放射線に曝露されている。その結果、感光材料116は、電磁的に変化させたフォトレジストの潜像を画定する潜像ラインを有することになる。
【0019】
[0021]露光後ベークプロセス中に、上述の電界を感光材料116に印加することによって、感光材料116の露光領域における光酸の分布が効率的に制御されて閉じ込められる。感光材料116に印加される電界は、光酸を潜像ラインに平行又は垂直な方向に移動させ、感光材料116の露光領域をより良好にかつより完全に溶媒和させる。したがって、光酸は、概して、隣接する非露光領域には拡散しない。通常、光酸は、印加される電界によって影響を受け得る特定の極性を有する。かような印加された電界は、この電界に従った方向に光酸分子を方向付ける。かような電界が印加されると、光酸は所望の方向に移動し、その結果、光酸は、異方的に感光材料116に接触し、感光材料116を溶媒和することができる。結果的にかような脱保護プロセスが感光材料除去の異方性を改善する。露光領域の垂直性が改善されると、下層の基板114へのパターン転写が改善され、臨界寸法がマスク104から基板114へより正確に転写される。
【0020】
[0022]
図2は、本明細書に記載された一実施形態に係る、光近接効果補正を決定するために使用される光近接効果補正(optical proximity correction:OPC)ツール200のブロック図を示す。OPCツール200は、フィールドガイド式露光後ベークプロセス又は浸漬フィールドガイド式露光後ベークプロセスから導き出された改善されたパラメータを使用してOPCを実行するように適合されたアルゴリズム204を含む。OPCツール200は、リソグラフィマスクデザインレイアウト及びOPC計算を記憶するように適合されたメモリ206又はストレージを含む。OPCツール200は、プロセッサ202をさらに含む。プロセッサ202は、OPC計算を実行し、計算された画像をターゲットフィーチャデザインと比較するように適合されている。OPCツール200は、オペレータインターフェース機器などのような他のサブシステム及びデバイスをさらに含んでもよい。一実施形態では、メモリ206は、レイアウト又はマスクデザインを記憶する。マスクデザインレイアウトは、メモリ206内の記憶用のデータファイルなどの形態で具現化されることが意図されている。アルゴリズム204は、レイアウト又はマスクデザインのための光近接補正を決定し、プロセッサ202は、アルゴリズム204に従って光近接補正計算を実行し、決定された光近接補正に従ってレイアウト又はマスクデザインを調整する。別の実施形態では、OPCツール200は、OPCモデルを生成するために利用される。OPCモデルは、マスクデザインレイアウトを調整するために利用される。
【0021】
[0023]
図3は、本開示の一実施形態に係る、光近接効果補正モデルを開発するための方法300の工程を示す。工程302では、マスクデザインレイアウトが受信される。例えば、マスクデザインレイアウトは、OPCツール200で受信されるか、又は他の方法でOPCツール200に入力され、メモリ206に記憶される。工程304では、フィールドガイド式露光後ベークパラメータを使用して、マスクデザインレイアウトシミュレーションが実行される。言い換えると、マスクデザインレイアウトがフィールドガイド式露光後ベークプロセスなどの高度な現像技術で利用されるとき、パターニング性能を決定するためにパターニングシミュレーションが実行される。
【0022】
[0024]工程306では、フィールドガイド式露光後ベークパラメータを使用して、OPCモデルが生成される。OPCモデルを計算かつ生成するために入力されるフィールドガイド式露光後ベークパラメータは、異方性酸エッチング特性、イオン生成及び/又は運動特性、電子運動特性、ホール運動特性、並びに化学反応特性を含むが、これらに限定されない。言い換えると、このような特性は、感光材料がフィールドガイド式露光後ベークプロセスを受けたときの感光材料の挙動を示す。
【0023】
[0025]OPCモデルを計算かつ生成するために入力される他のパラメータには、リソグラフィ装置のパラメータ(例えば、感光材料をパターニングするために利用される電磁エネルギーの種類及び投与量、並びに様々なレンズパラメータ(例えば、レンズなどの光学特性))が含まれる。OPCモデルを計算かつ生成するために入力される追加のパラメータには、パターニングされる膜の種類(感光材料の種類、エッチングされる層スタック、反射防止コーティングの存在、及び上述の膜のいずれかの様々な光学条件を含む)が含まれる。OPCモデルを計算かつ生成するために入力されるさらなるパラメータには、基板をパターニングするために利用されるマスクの種類及び材料が含まれる。
【0024】
[0026]フィールドガイド式露光後ベークプロセスを利用すると、感光材料を電磁放射線に露光する際の電気化学反応から生じる過剰な酸の形成が引き起こされると考えられている。電気化学反応の結果、電子及びホール(hole)が形成され、酸(H+)の放出による感光材料の分解が可能となる。次いで、酸は電界によって誘導され、感光材料の脱保護が改善される。このような改善は、所望の方向に電界を印加することで得られる異方性脱保護に起因して、隣接するライン間の限界寸法の改善をもたらす。フィールドガイド式露光後ベークプロセス中の電界の印加によって可能になる追加の脱保護制御のゆえに、感光材料の電磁放射投与感度も改善される。
【0025】
[0027]工程308では、OPCが実行され、マスクデザインレイアウトが調整される。次いで、OPCシミュレーションの結果がフィードバックとして利用されてマスクデザインレイアウトが改善され、実際の基板上パターニング特性のより正確な表現が達成される。特定の実施形態では、工程308で得られた情報に応じて、マスクデザインレイアウトが変更される。したがって、本明細書に記載された実施形態に従って生成されたOPCモデルは、フィールドガイド式露光後ベークプロセスなどの高度な現像技術により、改善されたパターニング性能を可能にする。
【0026】
[0028]例えば、OPCモデルは、投与量低減を可能にし、これにより、感光材料の過剰露光の可能性が低減し、マスクから基板へのパターン転写の忠実度が改善される。一実施例では、従来の露光プロセスに比べて低減した投与量で方法300を利用して、同等のコンタクトホールサイズの限界寸法が達成される。この実施例では、従来の露光プロセスで約37mJ/cm2の投与量を使用して、約21nmのコンタクトホールサイズ限界寸法が生じた。本明細書に記載された実施形態のうちの1つ又は複数を実施することによって、約27mJ/cm2の投与量を利用し、約21nmのコンタクトホールサイズの限界寸法が生じた。したがって、約25%から約35%の間の露光投与量の低減を達成することができ、これにより、パターン転写の忠実度を改善し、コンタクトホールの形態的特徴を改善すると考えられている。
【0027】
[0029]別の実施形態では、OPCモデルは、改善されたマスクエラーエンハンスメントファクター(mask error enhancement factor)シミュレーションを可能にする。一実施例では、約28nmのコンタクトホール臨界寸法を有するマスクを利用する従来のプロセスが、基板上に約12nmの臨界寸法のコンタクトホールを形成することができる。したがって、従来のプロセスでは、マスク臨界寸法と基板上臨界寸法との間に約16nmの差がある。本明細書に記載された実施形態を利用することによって、約28nmのコンタクトホール限界寸法を有するマスクが、約20nmの限界寸法を有するコンタクトホールを基板上に生成した。従来のプロセスと本明細書に記載されたプロセスとの間のマスクエラーは、約50%減少した。様々な臨界寸法間の臨界寸法直線性が改善されることで、種々の臨界寸法及びマスクレイアウトデザインにおいてより一貫したシミュレーションが可能になると考えられている。したがって、本開示の実施形態によって性能の改善が可能になった結果、マスクエラーエンハンスメントファクターを改善することができる。
【0028】
[0030]異方性脱保護特性により、隣接するフィーチャ間の臨界寸法も改善される。異方性脱保護特性により、マスクレイアウトデザインが、フィーチャの密度をさらに増加させ、マスクから基板へ転写されたパターンの解像度を改善することが可能になる。一実施形態では、隣接するフィーチャ間の限界寸法が増大する。さらに、フィールドガイド式露光後ベーク現像プロセスのための入力パラメータを含むOPCモデルによってマスクエラー効果を改善することが意図されている。
【0029】
[0031]本明細書に記載された実施形態に従って生成されるOPCモデルのさらなる利点には、モデル較正の改善、シミュレートされたレジストイメージ輪郭生成の改善、並びに臨界寸法及び/又はエッジ配置エラーの計算の改善が含まれる。本明細書に記載されたOPCモデルは、所与のマスクレイアウトデザインのための所望のフィーチャパターンを生成するために使用される所与のレチクルのOPCの程度を決定するためにも利用される。さらに、本開示のOPCモデルは、プロセス最適化、OPC、マスクデザインレイアウト、及びマスクエラーエンハンスメントファクタープロセスのためのソースマスク最適化シミュレーションを改善するために実施し得ることが意図されている。さらに、本開示の実施形態は、像ぶれを低減することが意図されている。
【0030】
[0032]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。