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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231109BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20231109BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/54
H01L21/60 301A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021152755
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023033028
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2021137701
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 力汰
(72)【発明者】
【氏名】林 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕治
(72)【発明者】
【氏名】大野 嵩徳
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-150315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0072833(US,A1)
【文献】特表2008-529278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
H01L 21/447-21/449
H01L 21/60-21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続部を含む支持体と、
前記支持体上に載置され、第2接続部を含む発光素子と、
前記第1接続部と、前記第2接続部と、を電気的に接続するワイヤと、
前記発光素子及び前記ワイヤを覆う被覆樹脂と、を備え、
前記ワイヤは、前記第1接続部に接続された第1ワイヤ接続部と、前記第1ワイヤ接続部と繋がって前記第1ワイヤ接続部から前記第2接続部と反対側の第1方向に延伸する第1ワイヤ延伸部と、前記第1ワイヤ延伸部と繋がって折り曲がる第1ワイヤ屈曲部と、前記第1ワイヤ屈曲部と繋がって前記第1方向と反対側の第2方向に延伸する第2ワイヤ延伸部と、前記第2ワイヤ延伸部と繋がって曲がる第2ワイヤ屈曲部と、を含み、
前記第1ワイヤ延伸部及び前記第2ワイヤ延伸部は前記発光素子の上面よりも下方に位置し、
上面視において、前記第2ワイヤ延伸部の表面の少なくとも一部は平坦である発光装置。
【請求項2】
前記第1ワイヤ延伸部と前記第2ワイヤ延伸部の間に隙間を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
断面視において、前記発光素子の下面側から前記発光素子の上面側に向かう第3方向における前記隙間の最大長さが、前記第3方向における前記第2ワイヤ延伸部の最大長さよりも短い請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1ワイヤ延伸部の少なくとも一部が、前記第1方向に進むにつれて下方に傾斜する請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
上下方向における前記被覆樹脂の最大長さが、上下方向における前記発光素子の最大長さの1.5倍以上1.9倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
上下方向における前記被覆樹脂の最大長さが、上下方向における前記ワイヤの最大長さの1.1倍以上1.5倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
上下方向における前記発光素子の上面から前記被覆樹脂の上面までの最大長さが、上下方向における前記発光素子の最大長さの0.6倍以上0.9倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
上下方向における前記発光素子の上面から前記ワイヤの上部までの最大長さが、上下方向における前記発光素子の最大長さの0.3倍以上0.6倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1方向におけるワイヤの最大長さが、上下方向における前記発光素子の最大長さの1.8倍以上3倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
上面視における前記発光素子から前記第1ワイヤ接続部までの最小長さが、上下方向における前記発光素子の最大長さの0.8倍以上1.4倍以下である請求項1からのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
支持体の第1接続部と、前記支持体上に載置された発光素子の第2接続部と、を電気的に接続するワイヤを形成する工程を含む発光装置の製造方法であって、
前記発光素子が載置された前記支持体を準備する工程と、
キャピラリに挿通されたワイヤにイニシャルボールを形成し、前記イニシャルボールを前記支持体の前記第1接続部に当接して接続する第1接続工程と、
前記キャピラリを、前記第1接続部の上方に位置する第1点まで移動させる第1移動工程と、
前記キャピラリを、前記第1点から前記第2接続部と反対側の第1方向であってかつ前記第1点よりも下方に位置する第2点まで移動させる第2移動工程と、
前記キャピラリを、前記第2点から前記第2点よりも上方に位置する第3点まで移動させる第3移動工程と、
前記キャピラリを、前記第3点から前記第1方向の反対側の第2方向であってかつ前記第3点よりも下方に位置する第4点まで移動させる第4移動工程と、
前記キャピラリを、前記第4点から前記第4点よりも上方に位置する第5点まで移動させる第5移動工程と、
前記キャピラリを、前記第5点から前記第5点よりも前記第1方向側に位置する第6点まで移動させる第6移動工程と、
前記キャピラリを、前記第6点から前記第6点よりも上方に位置する第7点まで移動させる第7移動工程と、
前記キャピラリを、前記第7点から前記第2接続部まで移動して、前記ワイヤを前記発光素子の前記第2接続部に接続させる第2接続工程と、
前記発光素子及び前記ワイヤを覆う被覆樹脂を形成する被覆樹脂形成工程と、
を順に備え
前記第4移動工程において、前記キャピラリの先端に位置する前記ワイヤの一部が前記第1移動工程によって形成された前記ワイヤの一部と接する、発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第4点は、前記第1点よりも下方に位置しかつ前記第1点よりも前記第2方向側に位置する請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4点は、前記第2点よりも上方に位置する請求項11又は12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1方向において、前記第6点は前記第2点及び前記第3点よりも前記第2接続部から離れている請求項11から13のいずれか1項に発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの電極パッドと接続端子とを接続するワイヤを含む発光装置が知られている。特許文献1には、ワイヤが半導体チップの電極パッドに接合される第1ボンディング部と、接続端子に接合される第2ボンディング部と、第1ボンディング部に連続して形成され、第2ボンディング部とは反対側に折り返し部を有するループ部とを備えることによりワイヤの破断を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-106602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置は更に小型化することが求められている。本発明に係る実施形態は、小型化ができる発光装置及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光装置は、第1接続部を含む支持体と、前記支持体上に載置され、第2接続部を含む発光素子と、前記第1接続部と、前記第2接続部と、を電気的に接続するワイヤと、前記発光素子及び前記ワイヤを覆う被覆樹脂と、を備え、前記ワイヤは、前記第1接続部に接続された第1ワイヤ接続部と、前記第1ワイヤ接続部と繋がって前記第1ワイヤ接続部から前記第2接続部と反対側の第1方向に延伸する第1ワイヤ延伸部と、前記第1ワイヤ延伸部と繋がって折り曲がる第1ワイヤ屈曲部と、前記第1ワイヤ屈曲部と繋がって前記第1方向と反対側の第2方向に延伸する第2ワイヤ延伸部と、前記第2ワイヤ延伸部と繋がって曲がる第2ワイヤ屈曲部と、を含み、前記第1ワイヤ延伸部及び前記第2ワイヤ延伸部は前記発光素子の上面よりも下方に位置する。
【0006】
本発明の一態様によれば、発光装置の製造方法は、支持体の第1接続部と、前記支持体上に載置された発光素子の第2接続部と、を電気的に接続するワイヤを形成する工程を含む発光装置の製造方法であって、前記発光素子が載置された前記支持体を準備する工程と、キャピラリに挿通されたワイヤにイニシャルボールを形成し、前記イニシャルボールを前記支持体の前記第1接続部に当接して接続する第1接続工程と、前記キャピラリを、前記第1接続部の上方に位置する第1点まで移動させる第1移動工程と、前記キャピラリを、前記第1点から前記第2接続部と反対側の第1方向であってかつ前記第1点よりも下方に位置する第2点まで移動させる第2移動工程と、前記キャピラリを、前記第2点から前記第2点よりも上方に位置する第3点まで移動させる第3移動工程と、前記キャピラリを、前記第3点から前記第1方向の反対側の第2方向であってかつ前記第3点よりも下方に位置する第4点まで移動させる第4移動工程と、前記キャピラリを、前記第4点から前記第4点よりも上方に位置する第5点まで移動させる第5移動工程と、前記キャピラリを、前記第5点から前記第5点よりも前記第1方向側に位置する第6点まで移動させる第6移動工程と、前記キャピラリを、前記第6点から前記第6点よりも上方に位置する第7点まで移動させる第7移動工程と、前記キャピラリを、前記第7点から前記第2接続部まで移動して、前記ワイヤを前記発光素子の前記第2接続部に接続させる第2接続工程と、前記発光素子及び前記ワイヤを覆う被覆樹脂を形成する被覆樹脂形成工程と、を順に備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施の形態の発光装置及び発光装置の製造方法によれば、発光装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る発光装置を示す模式斜視図である。
図2】実施形態に係る発光装置を示す模式上面図である。
図3図2のIII-III線における模式断面図である。
図4図3の領域IVを示す模式断面図である。
図5】実施形態に係る発光装置の第2ワイヤ延伸部を示す模式断面図である。
図6】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図7A】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図7B】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法において、キャピラリの移動軌跡を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などが誇張、又は部材の一部の図示を省略する場合がある。例えば、発光装置の内部の構造を示すため、図1及び図2においては被覆樹脂40を省略している。図2に示す発光装置の模式上面図は、発光装置を上方から見た図面である。本明細書では、Z軸の矢印方向を上方とし、Z軸の矢印方向と反対側の方向を下方とする。断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上」と表現する位置関係は、接している場合と、接していないが上方に位置している場合も含む。また、本明細書において「覆う」とは、直接接して覆う場合に限らず、他の部材を介して覆う場合も含む。
【0011】
[実施形態]
実施形態の発光装置100を図1から図5を参照して説明する。発光装置100は、支持体10と、発光素子20と、ワイヤ30と、被覆樹脂40と、を備える。支持体10は、第1接続部11を含む。発光素子20は、支持体10上に配置される。発光素子20は、第2接続部21を含む。ワイヤ30は、支持体10の第1接続部11と、発光素子20の第2接続部21と、を電気的に接続する。ワイヤ30は、第1ワイヤ接続部31と、第1ワイヤ延伸部32と、第1ワイヤ屈曲部33と、第2ワイヤ延伸部34と、第2ワイヤ屈曲部35と、を含む。第1ワイヤ接続部31は、支持体10の第1接続部11に接続される。第1ワイヤ延伸部32は、第1ワイヤ接続部31と繋がって第1ワイヤ接続部31から第2接続部21と反対側の第1方向に延伸する。第1ワイヤ屈曲部33は、第1ワイヤ延伸部32と繋がって折り曲がる。第2ワイヤ延伸部34は、第1ワイヤ屈曲部33と繋がって第1方向と反対側の第2方向に延伸する。第2ワイヤ屈曲部35は、第2ワイヤ延伸部34と繋がって曲がる。第1ワイヤ延伸部及び第2ワイヤ延伸部は発光素子20の上面20Aよりも下方に位置する。被覆樹脂40は、発光素子20及びワイヤ30を覆う。第1方向及び第2方向は、発光素子20の下面20Bの少なくとも一部と平行である。また、第1方向及び第2方向はZ軸の矢印方向と垂直である。図4及び図8において、第1方向とは右側から左側に向かう方向である。図4及び図8において、第2方向とは左側から右側に向かう方向である。尚、発光装置が複数のワイヤを備える場合には、第1方向及び第2方向は各ワイヤによって異なる場合がある。例えば、図2図3に示す左側のワイヤ30と右側のワイヤの第1方向及び第2方向は異なっている。図4及び図8において、右側から左側に向かう第1方向とは、図2図3に示す左側のワイヤ30における方向である。本明細書において、発光素子20の下面20B側から発光素子20の上面20A側に向かう方向を第3方向とする。第3方向とは、Z軸の矢印方向と同じである。
【0012】
実施形態の発光装置100は、第1ワイヤ延伸部32及び第2ワイヤ延伸部34は発光素子20の上面20Aよりも下方に位置する。このため、第1ワイヤ延伸部32及び第2ワイヤ延伸部34が発光素子20の上面20Aよりも上方に位置する場合よりも第3方向におけるワイヤ30の高さを低くしやすくなる。これにより、第3方向において発光装置100を小型化できる。また、ワイヤ30を覆う被覆樹脂40が熱により膨張しても、ワイヤ30の第1ワイヤ延伸部32、第1ワイヤ屈曲部33、及び/又は、第2ワイヤ延伸部34等が変形することによりワイヤ30にかかる応力を緩和することができる。これにより、ワイヤ30が破断することを抑制できる。
【0013】
以下、発光装置100を構成する各要素について詳説する。
【0014】
(支持体10)
支持体10は、発光素子20を載置する部材である。支持体10は、第1接続部11を含む。第1接続部11は導電性を有する。図2図3に示すように、支持体10は、リードフレーム10Aと、樹脂成形体10Bと、を含む。リードフレーム10Aは、導電性を有し、発光素子20に給電するための電極として機能する。本実施形態において、支持体10の第1接続部11は、リードフレーム10Aの一部である。リードフレーム10Aは、樹脂成形体10Bによって保持されている。樹脂成形体10Bの上面は、発光素子20を収容するための凹部を規定している。発光素子20は、リードフレーム10A上に載置される。
【0015】
リードフレーム10Aとしては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、ニッケル、又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅等の金属を用いて、圧延、打ち抜き、押し出し、ウェット若しくはドライエッチングによるエッチング又はこれらの組み合わせ等の加工により所定の形状に形成することができる。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。特に、安価で放熱性が高い銅を用いることが好ましい。また、リードフレーム10Aは、表面にめっき層を備えていてもよい。めっき層は、例えば、反射率向上を目的に、金、銀、銅、白金、アルミニウム、又は、これらの一種を含む合金を用いてもよい。金は銀等と比較して腐食しにくいため、めっき層が金を含む場合は、発光装置100の信頼性を向上させることができる。めっき層が銀を含む場合は、めっき層の表面に酸化ケイ素等の保護層を設けることが好ましい。これにより、銀を含むめっき層が大気中の硫黄成分等によって変色することを抑制することができる。保護層の成膜方法としては、例えば、スパッタ等の真空プロセス等の公知の方法が挙げられる。
【0016】
樹脂成形体10Bは、母材となる樹脂材料として、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の公知の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂の場合には、例えば、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステル等を用いることができる。熱硬化性樹脂の場合には、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等を用いることができる。特に、樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0017】
樹脂成形体10Bは、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子20からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0018】
樹脂成形体10Bとして黒色樹脂又は灰色樹脂を用いてもよい。樹脂成形体10Bに黒色樹脂又は灰色樹脂を用いることで、樹脂成形体10Bが変色した場合であっても発光装置の光取り出し効率の低下を抑制することができる。黒色樹脂や灰色樹脂としては、例えば、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛等のカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデン等の遷移金属酸化物、若しくは有色有機顔料等の充填剤を含有させた樹脂が挙げられる。黒色や灰色等の色の濃度は、充填剤の添加量等により調整すればよい。樹脂としては、前記した樹脂成形体10Bの母材となる樹脂材料が挙げられる。
【0019】
支持体10として、基板と配線とを含む配線基板を用いてもよい。基板は、樹脂、セラミックス、ガラス、などを用いて構成することができる。樹脂としては、エポキシ、ガラスエポキシ、ビスマレイミドトリアジン(BT)、ポリイミドなどが挙げられる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、もしくはこれらの混合物などが挙げられる。配線は、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、金、チタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの合金で形成することができる。これらの金属又は合金の単層でもよく多層でもよい。
【0020】
(発光素子20)
発光素子20は、電圧を印加することで自ら発光する半導体素子であり、窒化物半導体等から構成される公知の半導体素子を適用できる。発光素子としては、例えばLEDチップが挙げられる。発光素子20は、電極が形成されている面を上側にして載置される。発光素子20の第2接続部21は、ワイヤ30を介して支持体10の第1接続部11と電気的に接続される。発光素子20の電極上に配置された導電性のバンプと、ワイヤ30と、が直接接続される。これにより、発光素子20は、バンプを介して支持体10の第1接続部11と電気的に接続される。発光素子20の電極上に配置されたバンプ等の導電部材と、ワイヤ30と、が直接接続されている場合には、発光素子20の電極上に配置されたバンプ等の導電部材を発光素子20の第2接続部21とする。つまり、本明細書において、発光素子20の電極上に配置されたバンプ等の導電部材と、ワイヤ30と、が直接接続されている場合には、発光素子20の電極上に配置されたバンプ等の導電部材は発光素子20に含まれる。尚、発光素子20の電極と、ワイヤ30と、が直接接続されていてもよい。
【0021】
発光素子20は、半導体積層体を含む。半導体積層体は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層とを含む。発光層は、ダブルヘテロ接合または単一量子井戸(SQW)等の構造を有していてもよいし、多重量子井戸(MQW)のようにひとかたまりの活性層群をもつ構造を有していてもよい。半導体積層体は、可視光または紫外光を発光可能に構成されている。このような発光層を含む半導体積層体は、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0022】
半導体積層体は、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造を有していてもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造を有していてもよい。半導体積層体が複数の発光層を含む場合、発光ピーク波長が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、±10nm以内のばらつきがある場合も含む。複数の発光層の間の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。例えば半導体積層体が2つの発光層を含む場合、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または、緑色光と赤色光などの組み合わせで発光層を選択することができる。各発光層は、発光ピーク波長が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。
【0023】
発光素子20は、1つの発光装置において1つのみ載置されていてもよいし、複数載置されていてもよい。この場合、光度を向上させるために、同じ発光ピーク波長の発光素子を複数組み合わせてもよい。また、例えば、赤色、緑色、青色に対応するように、発光ピーク波長の異なる発光素子を複数組み合わせることにより、色再現性を向上させてもよい。発光装置が複数の発光素子備えている場合には、全てが直列接続されていてもよいし、並列接続されていてもよいし、直列及び並列接続が組み合わせられていてもよい。
【0024】
(ワイヤ30)
ワイヤ30は、支持体10の第1接続部11と、発光素子20の第2接続部21と、を電気的に接続する導電性の部材である。図4に示すように、ワイヤ30は、第1ワイヤ接続部31と、第1ワイヤ延伸部32と、第1ワイヤ屈曲部33と、第2ワイヤ延伸部34と、第2ワイヤ屈曲部35と、を含む。第1ワイヤ接続部31は、支持体10の第1接続部11に接続される。第1ワイヤ延伸部32は、第1ワイヤ接続部31と繋がって第1ワイヤ接続部31から第2接続部21と反対側の第1方向に延伸する。第1ワイヤ屈曲部33は、第1ワイヤ延伸部32と繋がって折り曲がる。第2ワイヤ延伸部34は、第1ワイヤ屈曲部33と繋がって第1方向と反対側の第2方向に延伸する。第2ワイヤ屈曲部35は、第2ワイヤ延伸部34と繋がって曲がる。第1ワイヤ延伸部32及び第2ワイヤ延伸部34は発光素子20の上面20Aよりも下方に位置する。このため、第3方向におけるワイヤ30の高さを低くしやすくなる。これにより、第3方向において発光装置100を小型化しやすくなる。また、ワイヤ30を覆う被覆樹脂40が熱により膨張してもワイヤ30の第1ワイヤ延伸部32、第1ワイヤ屈曲部33及び/又は第2ワイヤ延伸部34等が変形することによりワイヤ30にかかる応力を緩和することができる。これにより、ワイヤ30が破断することを抑制できる。
【0025】
図4に示すように、第1ワイヤ延伸部32と第2ワイヤ延伸部34の間に隙間を有していることが好ましい。これにより、第1ワイヤ延伸部32及び第2ワイヤ延伸部34がそれぞれ変形しやすくなるのでワイヤ30が破断することを抑制できる。第1ワイヤ延伸部32と第2ワイヤ延伸部34は離れていることが好ましい。
【0026】
図4に示すように、断面視において、発光素子20の下面20B側から発光素子20の上面20A側に向かう第3方向における第1ワイヤ延伸部32と第2ワイヤ延伸部34の間の隙間の最大長さL1は、第3方向における第2ワイヤ延伸部34の最大長さL2よりも短いことが好ましい。このため、第1ワイヤ延伸部32と第2ワイヤ延伸部34の間の隙間に配置される被覆樹脂40の体積を小さくすることができる。これにより、第1ワイヤ延伸部32と第2ワイヤ延伸部34の間の隙間に配置される被覆樹脂40によってワイヤ30が変形することを抑制できる。尚、第3方向において、第1ワイヤ延伸部32の少なくとも一部は、第2ワイヤ延伸部34と重なっている。
【0027】
図4に示すように、第1ワイヤ延伸部32の少なくとも一部は、第1方向に進むにつれて下方に傾斜していることが好ましい。これにより、第1ワイヤ延伸部32の下方に配置される被覆樹脂40の体積を小さくすることができるのでワイヤ30が変形することを抑制できる。
【0028】
上面視において、第2ワイヤ延伸部34の表面の少なくとも一部は平坦であることが好ましい。換言すると、図5に示すように、上方を向く第2ワイヤ延伸部34の表面の少なくとも一部は平坦な面である平坦部34Aを有することが好ましい。このようにすることで、第1方向及び第3方向に垂直な第4方向における第2ワイヤ延伸部34の長さL3を長くすることができる。これにより、第4方向からの力によってワイヤ30が変形することを抑制できる。尚、図5において、第1方向とは手前側から奥側に向かう方向である。図5において、第3方向とは下側から上側に向かう方向である。図5において、第4方向とは右側から左側に向かう方向である。下方を向く第2ワイヤ延伸部34の表面の少なくとも一部は平坦な面である平坦部34Bを有していてもよい。
【0029】
図5に示すように、第4方向における第2ワイヤ延伸部34の最大長さL3は、第3方向における第2ワイヤ延伸部34の最大長さL4よりも長いことが好ましい。これにより、第4方向からの力によってワイヤ30が変形することを抑制できる。
【0030】
図4に示すように、ワイヤ30は、更に、第3ワイヤ延伸部36と、第3ワイヤ屈曲部37と、第4ワイヤ延伸部38と、第2ワイヤ接続部39と、を含んでいてもよい。第3ワイヤ延伸部36は、第2ワイヤ屈曲部35と繋がって上方かつ第2方向に延伸する。第3ワイヤ屈曲部37は、第3ワイヤ延伸部36と繋がって曲がる。第4ワイヤ延伸部38は、第3ワイヤ屈曲部37と繋がって下方かつ第2方向に延伸する。第2ワイヤ接続部39は、第4ワイヤ延伸部38と繋がって発光素子20の第2接続部21に接続される。
【0031】
ワイヤ30の材料としては、例えば、金、銅、銀、白金、アルミニウム、パラジウム等の金属またはこれらの1種以上を含む合金を用いることができる。ワイヤ30の材料が金を含んでいると、熱抵抗等に優れ、被覆樹脂40からの応力によって破断が生じにくくなる。ワイヤ30の材料が銀を含んでいると、ワイヤの光反射率を向上させやすくなるので発光装置100の光取り出し効率が向上する。ワイヤ30が金および銀の双方を含むワイヤである場合、銀の含有比率を例えば15%以上20%以下、45%以上55%以下、70%以上90%以下または95%%以上99%以下の範囲とすることができる。特に、銀の含有比率が45%以上55%以下である場合、高い光反射率を得ながら、硫化の可能性を低減し得る。ワイヤの線径は、適宜選択でき、例えば5μm以上50μm以下とすることができる。ワイヤの線径は、10μm以上40μm以下であるとより好ましく、15μm以上30μm以下であるとよりいっそう好ましい。
【0032】
(被覆樹脂40)
被覆樹脂40は、発光素子20及びワイヤ30を覆う部材である。これにより、発光素子20及びワイヤ30を外力から保護することができる。被覆樹脂40は、ワイヤ30の第1ワイヤ接続部31と、第1ワイヤ延伸部32と、第1ワイヤ屈曲部33と、第2ワイヤ延伸部34と、第2ワイヤ屈曲部35と、を覆っている。被覆樹脂40は、ワイヤ30の第3ワイヤ延伸部36と、第3ワイヤ屈曲部37と、第4ワイヤ延伸部38と、第2ワイヤ接続部39と、を覆っていてもよい。
【0033】
被覆樹脂40は、被覆樹脂40に添加される粒子に応じて、波長変換及び/又は光反射等の機能を備えることができる。具体的には、被覆樹脂40は、樹脂材料に、蛍光体及び/又は光反射性物質を含有していてもよい。被覆樹脂40の樹脂材料には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの公知の材料を用いることができる。熱可塑性樹脂の場合には、例えば、ポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステルなどを用いることができる。熱硬化性樹脂の場合には、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。特に、樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
被覆樹脂40が蛍光体を含有することにより発光装置100の色調整が容易になる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、KSi0.99Al0.015.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等を用いることができる。
【0035】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
[SiAlMn] (I)
【0036】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K[Si0.946Al0.005Mn0.0495.995]、K[Si0.942Al0.008Mn0.0505.992]、K[Si0.939Al0.014Mn0.0475.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0037】
被覆樹脂40が光反射性物質を含有することにより発光装置100の配光調整が容易になる。光反射性物質としては、発光素子20からの光を吸収しにくく、被覆樹脂40の樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。光反射性物質は、例えば、被覆樹脂40の樹脂材料に対して10重量%以上90重量%以下で含有させることができる。
【0038】
上下方向における被覆樹脂40の最大長さは、特に限定されない。換言すると、第3方向における被覆樹脂40の最大長さは、特に限定されない。上下方向(第3方向)における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向(第3方向)における発光素子20の最大長さの1.5倍以上1.9倍以下であることが好ましい。上下方向における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの1.5倍以上であることにより、ワイヤ30が被覆樹脂40から露出することを抑制できる。上下方向における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの1.9倍以下であることにより、上下方向において発光装置100を小型化しやすくなる。例えば、上下方向における被覆樹脂40の最大長さは、250μm以上350μm以下であってもよい。上下方向における発光素子20の最大長さは、150μm以上250μm以下であってもよい。
【0039】
上下方向(第3方向)における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向(第3方向)におけるワイヤ30の最大長さの1.1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。上下方向における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向におけるワイヤ30の最大長さの1.1倍以上であることにより、ワイヤ30が被覆樹脂40から露出することを抑制できる。上下方向における被覆樹脂40の最大長さが、上下方向におけるワイヤ30の最大長さの1.5倍以下であることにより、上下方向において発光装置100を小型化しやすくなる。例えば、上下方向におけるワイヤ30の最大長さは、170μm以上300μm以下であってもよい。
【0040】
上下方向における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さは、特に限定されない。換言すると、第3方向における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さは、特に限定されない。上下方向(第3方向)における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さが、上下方向(第3方向)における発光素子20の最大長さの0.6倍以上0.9倍以下であることが好ましい。上下方向における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの0.6倍以上であることにより、ワイヤ30が被覆樹脂40から露出することを抑制できる。上下方向における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの0.9倍以下であることにより、上下方向において発光装置100を小型化しやすくなる。例えば、上下方向における発光素子20の上面から被覆樹脂40の上面までの最大長さは、50μm以上200μm以下であってもよい。
【0041】
上下方向における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さは、特に限定されない。換言すると、第3方向における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さは、特に限定されない。上下方向(第3方向)における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さが、上下方向(第3方向)における発光素子20の最大長さの0.3倍以上0.6倍以下であることが好ましい。上下方向における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの0.3倍以上であることにより、ワイヤ30が被覆樹脂40から露出することを抑制できる。上下方向における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの0.6倍以下であることにより、上下方向において発光装置100を小型化しやすくなる。例えば、上下方向における発光素子20の上面からワイヤ30の上部までの最大長さは、20μm以上100μm以下であってもよい。
【0042】
第1方向におけるワイヤ30の最大長さは、特に限定されない。例えば、第1方向におけるワイヤ30の最大長さが、上下方向(第3方向)における発光素子20の最大長さの1.8倍以上3倍以下であることが好ましい。第1方向におけるワイヤ30の最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの1.8倍以上であることにより、第1ワイヤ延伸部32及び/又は第2ワイヤ延伸部34の長さを長くしやすくなる。これにより、第1ワイヤ延伸部32及び/又は第2ワイヤ延伸部34が変形しやすくなるので、ワイヤ30の破断を抑制できる。第1方向におけるワイヤ30の最大長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの3倍以下であることにより、第1方向において発光装置100を小型化しやすくなる。例えば、図2に示す左側のワイヤ30の第1方向における最大長さは、200μm以上500μm以下であってもよい。図2に示す右側のワイヤ30の第1方向における最大長さは、300μm以上500μm以下であってもよい。尚、第1方向とは各ワイヤが延伸する方向であり、上述したように図2に示す左側のワイヤ30と右側のワイヤの第1方向は異なっている。
【0043】
上面視における発光素子20から第1ワイヤ接続部31までの最小長さは特に限定されない。上面視における発光素子20から第1ワイヤ接続部31までの最小長さが、上下方向(第3方向)における発光素子20の最大長さの0.8倍以上1.4倍以下であることが好ましい。上面視における発光素子20から第1ワイヤ接続部31までの最小長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの0.8倍以上であることにより発光素子20とワイヤ30とが接することを抑制しやすくできる。上面視における発光素子20から第1ワイヤ接続部31までの最小長さが、上下方向における発光素子20の最大長さの1.4倍以下であることにより、上面視において発光装置を小型化しやすくなる。例えば、図2に示す左側のワイヤ30の第1ワイヤ接続部31から発光素子20までの最小長さは、150μm以上400μm以下であってもよい。図2に示す右側のワイヤ30の第1ワイヤ接続部31から発光素子20までの最小長さは、200μm以上500μm以下であってもよい。
【0044】
次に、図6から図8を参照して、発光装置100の製造方法の一例について説明する。
【0045】
<準備工程>
図6に示すように、発光素子20が載置された支持体10を準備する。支持体10上に発光素子20を載置することにより、発光素子20が載置された支持体10を準備することができる。また、発光素子20が載置された支持体10を購入等により準備してもよい。
【0046】
<第1接続工程>
図7Aに示すように、キャピラリ50に挿通されたワイヤ30にイニシャルボール30Aを形成する。詳細には、ワイヤ30の先端を電気放電等によって溶融させることでイニシャルボール30Aを形成する。電気放電等の条件は、ワイヤ30の組成、径、目的とするイニシャルボール30Aの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0047】
次に、図7Bに示すように、ワイヤ30のイニシャルボール30Aを支持体10の第1接続部11に当接して接続する。例えば、イニシャルボール30Aと支持体10上の第1接続部11とは圧着接続により接続される。イニシャルボール30Aによって、ワイヤ30の第1ワイヤ接続部31の一部が形成される。
【0048】
イニシャルボール30Aを形成する時の電気放電によってワイヤ30が変質された再結晶領域が形成されることがある。再結晶領域は、熱の影響を受けていない領域(通常領域)よりも粗粒化されている領域である。再結晶領域は、通常領域と比べて被覆樹脂40からの応力の影響を受けやすい領域であり、この領域にかかる応力を緩和することでワイヤ30の破断を抑制することができる。本実施形態においては、ワイヤ30は、第1ワイヤ接続部31と、第1ワイヤ延伸部32と、第1ワイヤ屈曲部33と、第2ワイヤ延伸部34と、第2ワイヤ屈曲部35と、を含むことで変形しやすくなっている。これにより、イニシャルボール30Aを形成した部分の近傍に位置するワイヤの一部にかかる応力を緩和することができるので、ワイヤ30の破断を抑制することができる。再結晶領域は、ワイヤ30の第3ワイヤ延伸部36に形成されていないことが好ましい。このようにすることで、ワイヤ30の破断を抑制しやすくなる。また、再結晶領域は、ワイヤ30の第2ワイヤ屈曲部35に形成されていないことが好ましい。再結晶領域は、ワイヤ30の第2ワイヤ延伸部34に形成されていないことが好ましい。再結晶領域は、ワイヤ30の第1ワイヤ屈曲部33に形成されていないことが好ましい。再結晶領域が形成されいないワイヤ30の部分が増えることでワイヤ30の破断を抑制しやすくなる。
【0049】
<第1移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、支持体10の第1接続部11の上方に位置する第1点P1まで移動させる第1移動工程を行う。支持体10の第1接続部11と接するワイヤ30の一部から延伸するワイヤ30の他の一部は、キャピラリの貫通孔内に挿通されており、固定されていない。このため、第1移動工程によって、キャピラリが移動するのに伴い、キャピラリの先端からワイヤ30が繰り出されることになる。後述する第2移動工程、第3移動工程、第4移動工程、第5移動工程、第6移動工程、及び、第7移動工程においてもキャピラリは先端からワイヤ30を繰り出しながら移動する。第1移動工程によって、ワイヤ30の第1ワイヤ接続部31の一部が形成される。第1点P1は、発光素子20の上面20Aよりも下方に位置することが好ましい。このようにすることで、後述する工程で形成されるワイヤ30の第1ワイヤ延伸部32及び第2ワイヤ延伸部34を発光素子20の上面20Aよりも下方に位置させやすくなる。
【0050】
<第2移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第1点P1から発光素子20の第2接続部21と反対側の第1方向であってかつ第1点P1よりも下方に位置する第2点P2まで移動させる第2移動工程を行う。第2移動工程によって、ワイヤ30の第1ワイヤ延伸部32の少なくとも一部が形成される。
【0051】
<第3移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第2点P2から第2点P2よりも上方に位置する第3点P3まで移動させる第3移動工程を行う。第3移動工程によって、ワイヤ30の第1ワイヤ屈曲部33の一部が形成される。第3点P3は、発光素子20の上面20Aよりも上方に位置することが好ましい。このようにすることで、折り曲がる第1ワイヤ屈曲部33を形成しやすくなる。
【0052】
<第4移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第3点P3から第1方向の反対側の第2方向であってかつ第3点P3よりも下方に位置する第4点P4まで移動させる第4移動工程を行う。第4移動工程によって、ワイヤ30の第1ワイヤ屈曲部33の一部が形成される。また、第4移動工程によって、ワイヤ30の第2ワイヤ延伸部34の少なくとも一部が形成される。第4点P4は、第1点P1よりも下方に位置することが好ましい。このようにすることで、ワイヤ30の第2ワイヤ延伸部34を発光素子20の上面20Aよりも下方に位置させやすくなる。第4点P4は、第1点P1よりも第2方向側に位置することが好ましい。このようにすることで、ワイヤ30の第2ワイヤ延伸部34を長くしやすくなる。これにより、ワイヤ30の第2ワイヤ延伸部34が応力によって伸びることができる長さも長くなるので、ワイヤ30が破断することを抑制できる。第4点P4は、第1点P1よりも下方に位置しかつ第1点P1よりも第2方向側に位置することが好ましい。このようにすることで、キャピラリ50の先端に位置するワイヤの一部が、第1移動工程によって形成されたワイヤの一部と接することができる。これにより、第2ワイヤ延伸部34の表面に平坦部34A及び/又は平坦部34Bを容易に形成するこができる。
【0053】
<第5移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第4点P4から第4点P4よりも上方に位置する第5点P5まで移動させる第5移動工程を行う。第5移動工程によって、ワイヤ30の第2ワイヤ屈曲部35の一部が形成される。また、第5移動工程によって、ワイヤ30の第3ワイヤ延伸部36の少なくとも一部が形成される。第5点P5は、第3点P3よりも上方に位置することが好ましい。このようにすることでワイヤ30の第3ワイヤ延伸部36を長くすることができるので、ワイヤ30と発光素子20が接することを抑制しやすくなる。
【0054】
<第6移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第5点P5から第5点P5よりも第1方向側に位置する第6点P6まで移動させる第6移動工程を行う。第6移動工程におけるキャピラリの動作は、いわゆるリバース動作と称される動きである。第6移動工程においてキャピラリを第6点P6まで移動させることで、ワイヤ30を斜め方向に引っ張ることができる。第1方向において、第6点P6は第2点P2及び第3点P3よりも発光素子20の第2接続部21から離れていることが好ましい。このようにすることで、ワイヤ30を斜め方向に引っ張りやすくなる。
【0055】
<第7移動工程>
図8に示すように、キャピラリを、第6点P6から第6点P6よりも上方に位置する第7点P7まで移動させる第7移動工程を行う。第7移動工程によって、ワイヤ30の第3ワイヤ屈曲部37の一部が形成される。また、第7移動工程によって、ワイヤ30の第4ワイヤ延伸部38の少なくとも一部が形成される。
【0056】
<第2接続工程>
図8に示すように、キャピラリを、第7点P7から発光素子20の第2接続部21まで移動して、ワイヤを発光素子20の第2接続部21に接続させる第2接続工程を行う。第2接続工程によって、ワイヤ30の第2ワイヤ接続部39が形成される。
【0057】
<被覆樹脂形成工程>
発光素子20及びワイヤ30を覆う被覆樹脂40を形成する被覆樹脂形成工程を行う。被覆樹脂40は、ポッティング等の公知の方法により形成することができる。例えば、液状又はペースト状の樹脂材料をディスペンスノズル等で供給し、その後、熱又は光で硬化させることで被覆樹脂40を形成することができる。このようにすることで、図3に示す発光装置100を製造することができる。上記に示した発光装置100の製造方法は一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0059】
10 支持体
11 第1接続部
20 発光素子
21 第2接続部
30 ワイヤ
31 第1ワイヤ接続部
32 第1ワイヤ延伸部
33 第1ワイヤ屈曲部
34 第2ワイヤ延伸部
35 第2ワイヤ屈曲部
36 第3ワイヤ延伸部
37 第3ワイヤ屈曲部
38 第4ワイヤ延伸部
39 第2ワイヤ接続部
40 被覆樹脂
50 キャピラリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8