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特許7381937発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20231109BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20231109BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231109BHJP
【FI】
H01L33/62
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21Y115:10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021210759
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095084
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紘介
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-103774(JP,A)
【文献】特開2014-045149(JP,A)
【文献】特開2015-195244(JP,A)
【文献】特開2007-324586(JP,A)
【文献】特開2013-045943(JP,A)
【文献】特開2014-160708(JP,A)
【文献】特開2014-013818(JP,A)
【文献】特開2015-156448(JP,A)
【文献】特開2008-263154(JP,A)
【文献】特開2014-150177(JP,A)
【文献】特開2003-110148(JP,A)
【文献】国際公開第2006/090834(WO,A1)
【文献】特開2007-242739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0181315(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113299814(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21V 19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に金属層を有する配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上に、前記金属層が露出するようにレジスト層を形成する工程と、
発光面と、前記発光面の反対側に位置し、電極が一部に配置される電極面と、を有する発光素子と、前記電極の周囲に位置する前記電極面を覆う被覆層と、を有する中間体を、前記電極が前記金属層と対向するように、前記レジスト層上に配置する工程と、
めっき法により、前記金属層を起点として接合部材を成長させて前記電極および前記被覆層に接する前記接合部材を形成する工程と、
前記レジスト層および前記被覆層を除去する工程と、
めっき法により、前記接合部材の表面にめっき層を形成する工程と、
を備え、
前記めっき層は、前記発光素子の前記電極面と前記接合部材との間に配置される、発光モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記接合部材を形成する工程において、前記接合部材は、前記金属層から前記電極に向かう方向と交差する方向にも成長する、請求項1に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記発光素子は、前記発光面と前記電極面との間に位置する側面を有し、
前記被覆層は、前記電極面を覆う第1部分と、前記第1部分から連続して前記側面を覆う第2部分と、を有し、
前記接合部材を形成する工程において、前記接合部材は、前記被覆層の前記第1部分および前記第2部分に接するように形成される、請求項1または2に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記被覆層は、前記電極の下面の一部を覆う、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記被覆層の最大厚みは、前記電極の最大厚みよりも厚い、請求項1~4のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記めっき層は、パラジウム、ロジウム、プラチナ、ルテニウム、イジリウムから選択される少なくとも1種の金属または合金を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記接合部材は、銅を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記接合部材は、湿式めっき法により形成され、
前記被覆層は、めっき液に対して耐性を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記被覆層は、金属、酸化物、またはレジストのいずれかを含む、請求項8に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記接合部材は、電解めっき法により形成される、請求項1~9のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記めっき層は、無電解めっき法により形成される、請求項1~10のいずれか1つに記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項12】
上面に金属層を有する配線基板と、
発光面と、前記発光面の反対側に位置して電極が配置される電極面と、前記発光面と前記電極面との間に位置する側面と、を有する発光素子であって、前記電極が前記金属層と対向するように前記配線基板の上方に配置される前記発光素子と、
前記金属層と前記電極とを接合する接合部材と、
前記接合部材の表面を覆うめっき層と、
を備え、
前記接合部材は、前記金属層と前記電極との間に位置する基部と、前記基部から上方に延在し、前記側面から離隔するとともに前記側面と対向する延在部と、を有し、
前記めっき層は、前記延在部と前記側面との間に配置される、発光モジュール。
【請求項13】
前記接合部材と前記電極との接合部の最大幅は、前記接合部材と前記金属層との接合部の最大幅よりも大きい、請求項12に記載の発光モジュール。
【請求項14】
前記めっき層は、前記電極の下面の一部を覆う、請求項12または13に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配線基板に多数の発光素子を搭載した発光モジュールが開発されている。例えば、特許文献1には、半導体装置のチップを外部と接続するための電極の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-217323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、信頼性が高い発光モジュールおよびそのような発光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、上面に金属層を有する配線基板を準備する工程と、前記配線基板上に、前記金属層が露出するようにレジスト層を形成する工程と、発光面と、前記発光面の反対側に位置し、電極が一部に配置される電極面と、を有する発光素子と、前記電極の周囲に位置する前記電極面を覆う被覆層と、を有する中間体を、前記電極が前記金属層と対向するように、前記レジスト層上に配置する工程と、めっき法により、前記金属層を起点として接合部材を成長させて前記電極および前記被覆層に接する前記接合部材を形成する工程と、前記レジスト層および前記被覆層を除去する工程と、めっき法により、前記接合部材の表面にめっき層を形成する工程と、を備える。前記めっき層は、前記発光素子の前記電極面と前記接合部材との間に配置される。
【0006】
本発明の実施形態に係る発光モジュールは、上面に金属層を有する配線基板と、発光面と、前記発光面の反対側に位置して電極が配置される電極面と、前記発光面と前記電極面との間に位置する側面と、を有する発光素子であって、前記電極が前記金属層と対向するように前記配線基板の上方に配置される前記発光素子と、前記金属層と前記電極とを接合する接合部材と、前記接合部材の表面を覆うめっき層と、を備える。前記接合部材は、前記金属層と前記電極との間に位置する基部と、前記基部から上方に延在し、前記側面から離隔するとともに前記側面と対向する延在部と、を有する。前記めっき層は、前記延在部と前記側面との間に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、信頼性が高い発光モジュールおよびそのような発光モジュールの製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図1B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図2図1Bの中間体を示す下面図である。
図3A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図3B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図4A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図4B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図5】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図6】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図7】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図8】第1の実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
図9】第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図10図9の中間体を示す下面図である。
図11】第3の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図12】第3の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、端面を断面として示す場合がある。
【0010】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。また、説明をわかりやすくするために、Z方向のうち矢印の方向を「上方向」とし、その逆方向を「下方向」とするが、これらの方向は、相対的なものであり重力方向とは無関係である。また、上方または下方から対象部材を見ることを「平面視」という。またX方向のうち、矢印の方向を「+X方向」ともいい、その逆方向を「-X方向」ともいう。同様に、Y方向のうち、矢印の方向を「+Y方向」ともいい、その逆方向を「-Y方向」ともいう。
【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について説明する。
図1Aおよび図1Bは、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図2は、図1Bの中間体を示す下面図である。
図3A図7は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図8は、本実施形態に係る発光モジュールを示す断面図である。
【0012】
本実施形態に係る発光モジュール100の製造方法は、配線基板110を準備する工程と、図1Aに示すように、配線基板110上にレジスト層120を形成する工程と、図1Bに示すように、発光素子131、第1被覆層132a、および第2被覆層132bを含む中間体130をレジスト層120上に配置する工程と、図3Aに示すように、めっき法により第1接合部材141および第2接合部材142を形成する工程と、図3Bおよび図4Aに示すように、レジスト層120、第1被覆層132a、および第2被覆層132bを除去する工程と、図4Bに示すように、めっき法により、第1接合部材141の表面に第1めっき層150aを形成し、第2接合部材142の表面に第2めっき層150bを形成する工程と、を備える。
【0013】
以下、各工程について詳述する。なお、以下では、主に1つの発光素子131を配線基板110に実装する例を説明する。ただし、複数の発光素子131を配線基板110に実装してもよい。複数の発光素子131は、例えば、正方格子点上、三角格子点上、または六方格子点上に配置する。複数の発光素子131を配線基板110に実装する場合、複数の発光素子131の数や位置に応じて、以下に説明する各要素の数や位置を調整できる。
【0014】
先ず、配線基板110を準備する。
配線基板110は、絶縁性の基材111、複数の金属層112、および絶縁膜113を有する。配線基板110は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)基板である。基材111の上面および下面は、略平坦であり、X-Y平面に概ね平行である。
【0015】
複数の金属層112は、例えば配線基板110の配線である。複数の金属層112は、例えば基材111中に多層に配置されている。複数の金属層112のうちの2つは、少なくとも一部がX方向に並び、上面が基材111の上面と概ね面一となるように配置される。以下、これら2つの金属層112のうちの一方を「第1金属層112a」ともいい、他方を「第2金属層112b」ともいう。
【0016】
各金属層112には、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)若しくは白金(Pt)等から選択される少なくとも1種の金属、またはこれらの1種以上を含む合金を用いることができ、特に放熱性の観点から銅を用いることが好ましい。
【0017】
絶縁膜113は、基材111の上面に配置されている。絶縁膜113には、絶縁膜113を貫通する第1開口113aおよび第2開口113bが設けられている。第1開口113aおよび第2開口113bは、例えばX方向に並んでいる。第1開口113aは、第1金属層112aの直上に位置する。第1開口113aにおいて第1金属層112aの少なくとも一部が露出している。第2開口113bは、第2金属層112bの直上に位置する。第2開口113bにおいて第2金属層112bの少なくとも一部が露出している。また、絶縁膜113は、基材111の上面において第1金属層112aと第2金属層112bとの間に位置する部分を覆う。上面視における第1開口113aおよび第2開口113b形状は特に限定されない。上面視における第1開口113aおよび第2開口113b形状は、例えば、円形、楕円形、長円形、角部が丸められた長方形、または長方形等の形状にすることができる。
【0018】
ただし、配線基板の構成は、上面に金属層を有する限り、上記に限定されない。ここで「上面に金属層を有する」とは、配線基板の上面において金属層の少なくとも一部が露出していることを意味する。したがって、上述したように金属層は少なくとも一部が配線基板の上面において露出していれば基材中に配置されてもよいし、基材または絶縁膜の上に配置されてもよい。
【0019】
次に、図1Aに示すように、配線基板110上にレジスト層120を形成する。
レジスト層120は、例えば、フォトリソグラフィ法により形成する。レジスト層120は、例えば絶縁膜113上であって少なくとも平面視で隣り合う第1金属層112aと第2金属層112bとの間に形成される。レジスト層120の上面は、略平坦であり、X-Y平面に概ね平行である。ただしレジスト層を形成する位置は、レジスト層が発光素子を支持可能であり、後述する第1接合部材および第2接合部材の形成を妨げない位置である限り、上記に限定されない。
【0020】
次に、図1Bに示すように、中間体130をレジスト層120上に配置する。
中間体130は、発光素子131、第1被覆層132a、および第2被覆層132bを含む。
【0021】
発光素子131は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。発光素子131は、第1電極131a、第2電極131b、および半導体構造体131cを含む。半導体構造体131cは、n型半導体層、活性層、p型半導体層を含む。半導体構造体131cは、これらの半導体層を成長させるための成長基板をさらに含んでもよい。
【0022】
半導体構造体131cは、例えば青色光を発する。半導体構造体131cにおけるn型半導体層、活性層、およびp型半導体層は、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)からなる。ただし、半導体構造体が発する光の色は、緑色や赤色等の他の色であってもよい。また、配線基板に複数の発光素子を実装する場合、複数の発光素子が発する光の色は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
半導体構造体131cの形状は、四角錘台形である。ただし、半導体構造体の形状は、多角錘台形、多角柱等の他の形状であってもよい。半導体構造体131cの表面は、下面131c1と、下面131c1の反対側に位置する上面131c2と、下面131c1と上面131c2との間に位置する4つの側面131c3と、を含む。
【0024】
第1電極131aおよび第2電極131bは、半導体構造体131cの下面131c1において相互に離隔して配置されている。第1電極131aおよび第2電極131bには、例えば金(Au)等の金属を用いることができる。第1電極131aおよび第2電極131bの平面視における形状は、それぞれ四角形である。ただし、第1電極131aおよび第2電極131bの平面視における形状は、三角形等の他の多角形、または角部を丸めた多角形等の他の形状であってもよい。
【0025】
半導体構造体131cの下面131c1に第1電極131aおよび第2電極131bが配置されているため、半導体構造体131cの活性層が発する光は、下面131c1で反射され、主に上面131c2から出射する。以下では、上面131c2を発光素子131の「発光面131c2」ともいう。また、発光素子131において、発光面131c2の反対側に位置し、第1電極131aおよび第2電極131bが一部に配置される面、すなわち、半導体構造体131cの下面131c1を発光素子131の「電極面131s1」ともいう。
【0026】
第1被覆層132aは、電極面131s1のうちの第1電極131aの周囲の領域を覆う第1部分132a1と、第1部分132a1から連続して側面131c3を覆う第2部分132a2と、を含む。具体的には図2に示すように、第1部分132a1は、平面視において第1電極131aを囲む枠状である。第1部分132a1は、本実施形態では図1Bに示すように第1電極131aの側面に接し、第1電極131aの下面の概ね全域を露出している。第2部分132a2は、図1Bおよび図2に示すように、最も-X側に位置する側面131c3の下部と、最も+Y側に位置する側面131c3の下部の一部と、最も-Y側に位置する側面131c3の下部の一部と、を覆う。
【0027】
第2被覆層132bは、電極面131s1のうちの第2被覆層132bの周囲の領域を覆う第1部分132b1と、第1部分132b1から連続して側面131c3を覆う第2部分132b2と、を含む。具体的には、第1部分132b1は、平面視において第2電極131bを囲む枠状である。第1部分132b1は、本実施形態では図1Bに示すように、第2電極131bの側面に接し、第2電極131bの下面の概ね全域を露出している。第2部分132b2は、図1Bおよび図2に示すように、最も+X側に位置する側面131c3の下部と、最も+Y側に位置する側面131c3の下部の他の一部と、最も-Y側に位置する側面131c3の下部の他の一部と、を覆う。本実施形態では、第1被覆層132aと第2被覆層132bは相互に離隔している。
【0028】
ただし、各被覆層を配置する領域は、少なくとも電極面において各電極を囲む領域を覆う限り、上記に限定されない。例えば、各被覆層は、電極面において各電極を囲む領域のみを覆い、発光素子の側面を覆わなくてもよい。また、例えば、各被覆層は、発光素子の側面の下部だけでなく上部まで覆ってもよい。また、例えば、各被覆層は、各電極と接していなくてもよいし、各電極の側面および下面と接していてもよい。
【0029】
図1Bに示すように、第1被覆層132aの最大厚みt2は、第1電極131aの最大厚みt1よりも厚い。例えば、最大厚みt2は、0.5μm以上1.0μm以下であり、最大厚みt1の1.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。同様に、第2被覆層132bの最大厚みt4は、第2電極131bの最大厚みt3よりも厚い。例えば、最大厚みt4は、0.5μm以上1.0μm以下であり、最大厚みt3の1.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。ただし、各被覆層の最大厚みと各電極の最大厚みとの大小関係は、上記に限定されない。例えば、各被覆層の最大厚みは、各電極の最大厚み以下であってもよい。
【0030】
第1被覆層132aおよび第2被覆層132bには、例えば、後述する第1接合部材141および第2接合部材142を形成する工程において用いるめっき液に対して耐性を有する材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、例えば、チタン(Ti)、銅(Cu)若しくはアルミニウム(Al)等の金属、酸化アルミニウム(Al)若しくは酸化ケイ素(SiO)等の酸化物、または、レジスト等が挙げられる。また、第1被覆層132aおよび第2被覆層132bには、第1接合部材141および第2接合部材142を構成する金属と同種の金属を用いてもよい。このような場合、後述する第1被覆層132aおよび第2被覆層132bをエッチング等により除去する工程において、第1被覆層132aおよび第2被覆層132bのエッチングを促進する一方で第1接合部材141および第2接合部材142のエッチングが抑制されるように、例えば第1被覆層132aおよび第2被覆層132bの密度を第1接合部材141および第2接合部材142の密度よりも低くしてもよい。また、第1被覆層132aおよび第2被覆層132bには、レジスト層120に用いるレジストと同種のレジストを用いることができる。
【0031】
中間体130は、図1Bに示すように、第1電極131aが第1金属層112aと対向し、第2電極131bが第2金属層112bと対向するように、レジスト層120上に配置する。レジスト層120の上端部は、本実施形態では、半導体構造体131cに接し、平面視において第1被覆層132aと第2被覆層132bとの間に位置する。
【0032】
配線基板110に複数の発光素子131を実装する場合は、複数の中間体を複数の発光素子の配置パターンに応じて配置する。この場合、レジスト層は、複数の中間体の配置パターンに応じて形成する。
【0033】
次に、図3Aに示すように、めっき法により第1接合部材141および第2接合部材142を形成する。第1接合部材141および第2接合部材142は、光反射性を有することが好ましい。第1接合部材141および第2接合部材142には、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、Ni(ニッケル)、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)若しくは白金(Pt)等から選択される少なくとも1種の金属、またはこれらの1種以上を含む合金を用いることができ、特に放熱性の観点から銅を用いることが好ましい。
【0034】
第1接合部材141および第2接合部材142は、例えば、湿式めっき法のうちの電解めっき法により形成する。具体的には、レジスト層120および中間体130が配置された配線基板110と、各接合部材141、142を構成する金属の供給源となる金属電極と、をめっき液に浸漬する。そして、金属電極と各金属層112a、112bとの間に電圧を印加する。これにより、第1金属層112aを起点として第1接合部材141を成長させ、第2金属層112bを起点として第2接合部材142を成長させる。
【0035】
第1接合部材141は、第1金属層112aから第1電極131aに向かう方向、すなわちZ方向に成長する。また、第1接合部材141は、第1金属層112aから第1電極131aに向かう方向と交差する方向、すなわちX-Y平面に沿う方向等のZ方向と交差する方向にも成長する。これにより、第1電極131a、第1被覆層132aの第1部分132a1および第2部分132a2に接する第1接合部材141が形成される。同様に、第2接合部材142は、第2金属層112bから第2電極131bに向かう方向および第2金属層112bから第2電極131bに向かう方向と交差する方向に成長する。これにより、第2電極131b、第2被覆層132bの第1部分132b1および第2部分132b2に接する第2接合部材142が形成される。また、この際、第1接合部材141および第2接合部材142は、それぞれレジスト層120に接してもよい。
【0036】
このようにして形成された第1接合部材141は、第1金属層112aと第1電極131aとの間に位置する基部141aと、基部141aから上方に延在し、発光素子131の側面131c3と第1被覆層132aの第2部分132a2を介して対向する延在部141bと、を有する。具体的には、延在部141bは、最も-X側に位置する側面131c3、最も+Y側に位置する側面131c3、および最も-Y側に位置する側面131c3と第2部分132a2を介して対向する。同様に、第2接合部材142は、第2金属層112bと第2電極131bとの間に位置する基部142aと、基部142aから上方に延在し、発光素子131の側面131c3と、第2被覆層132bの第2部分132b2を介して対向する延在部142bと、を有する。具体的には、延在部142bは、最も+X側に位置する側面131c3、最も+Y側に位置する側面131c3、および最も-Y側に位置する側面131c3と第2部分132b2を介して対向する。
【0037】
ただし、第1接合部材および第2接合部材の形成方法は上記に限定されない。例えば、第1接合部材は基部のみからなり、第2接合部材は基部のみからなるように形成されてもよい。
【0038】
次に、図3B示すように、レジスト層120を除去する。レジスト層120は、例えば、レジスト層120、中間体130、第1接合部材141および第2接合部材142が配置された配線基板110を剥離液に浸漬することにより、除去する。
【0039】
次に、図4Aに示すように、第1被覆層132aおよび第2被覆層132bを除去する。第1被覆層132aおよび第2被覆層132bは、例えばエッチングより除去する。これにより、発光素子131の電極面131s1と第1接合部材141との間に隙間S1が生じ、発光素子131の側面131c3と第1接合部材141との間に隙間S2が生じる。同様に、発光素子131の電極面131s1と第2接合部材142との間に隙間S3が生じ、発光素子131の側面131c3と第2接合部材142との間に隙間S4が生じる。
【0040】
ただし、レジスト層と各被覆層を除去する順番は、上記に限定されない。例えば、各被覆層がレジストにより構成される場合、各被覆層とレジスト層は同時に除去してもよい。また、各被覆層を除去した後にレジスト層を除去してもよい。
【0041】
次に、図4Bに示すように、めっき法により、第1接合部材141の表面に第1めっき層150aを形成し、第2接合部材142の表面に第2めっき層150bを形成する。第1めっき層150aおよび第2めっき層150bは、少なくとも発光素子131と対向する表面において光反射性を有することが好ましい。
【0042】
図7に示すように、第1めっき層150aは、第1層151、第2層152、および第3層153を含む。以下、第1めっき層150aの形成方法を詳述する。なお、第2めっき層150bは、第1めっき層150aと同様に第1層151、第2層152、および第3層153を含み、第1めっき層150aと同様に形成されるため、第2めっき層150bの形成方法についての説明は、省略する。
【0043】
先ず、図5に示すように、第1接合部材141の表面に、第1層151を無電解めっき法により形成する。第1層151には、例えば、金(Au)等の第2層152を形成する際に触媒として機能する金属を用いることができる。これにより、後述する第2層152を第1層151上に容易に形成できる。この際、第1層151と電極面131s1の間、および第1層151と側面131c3との間に隙間が残るように無電解めっきを行う時間を調整して、第1層151を形成する。なお、無電解めっきを行う時間としては、例えば、1分以上10分未満に設定することが好ましい。第1層151は、第1接合部材141の表面のうち、配線基板110および発光素子131から露出する領域を概ね全域を覆う。
【0044】
次に、図6に示すように、第1層151の表面に、第2層152を無電解めっき法により形成する。第2層152には、例えば、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、若しくはイジリウム(Ir)等から選択される少なくとも1種の金属、またはこれらの1種以上を含む合金を用いることができる。これにより、第1接合部材141の腐食を好適に抑制できる。この際、第2層152と電極面131s1の間、および第2層152と側面131c3との間に隙間が残るように、第2層152を形成する。第2層152は、第1層151の表面の概ね全域を覆う。第2層152は、第1電極131aの側面に接する。
【0045】
第2層152は、第1接合部材141と電極面131s1の間において、最大厚みt6が第1層151の最大厚みt5よりも厚くなるように、第1層151を形成したときよりも無電解めっきを行う時間を長く設定して形成する。なお、無電解めっきを行う時間としては、例えば、10分以上60分未満に設定することが好ましい。例えば、最大厚みt6は、0.1μm以上0.5μm以下であり、最大厚みt5の2倍以上100倍以下であることが好ましい。無電解めっきを行う時間は、上記に限定されない。また、第2層の最大厚みと第1層の最大厚みとの大小関係は上記に限定されない。例えば第2層の最大厚みは第1層の最大厚み以下であってもよい。
【0046】
次に、図7に示すように、第2層152の表面に、第3層153を無電解めっき法により形成する。第3層153には、例えば、金(Au)等の第1層151に用いた金属と同種の金属を用いることができる。ただし、第3層153に用いる金属は、第1層151に用いる金属と異なっていてもよい。第3層153は、第2層152の表面の概ね全域を覆う。第3層153は、発光素子131の電極面131s1および側面131c3に接する。
【0047】
第3層153は、第1接合部材141と電極面131s1の間において、最大厚みt7が第2層152の最大厚みt6よりも薄くなるように形成する。例えば、最大厚みt7は、0.01μm以上0.1μm以下であり、最大厚みt6の0.02倍以上1.0倍未満であることが好ましい。さらに、最大厚みt7は、例えば、最大厚みt5の1.0倍以上2.0倍以下であることが好ましい。なお、第3層153の最大厚みt7は、例えば、第1層151の最大厚みt5と概ね同じである。ただし、第3層の最大厚みと第2層の最大厚みとの大小関係は上記に限定されない。例えば第3層の最大厚みは第2層の最大厚み以上であってもよい。
【0048】
ただし、第1めっき層の構成および形成方法は、上記に限定されない。例えば、第1めっき層は、単層であってもよいし、2層または4層以上の複層であってもよい。
【0049】
以上により、発光モジュール100が形成される。このように形成された発光モジュール100は、図8に示すように、配線基板110と、発光素子131と、第1接合部材141と、第2接合部材142と、第1めっき層150aと、第2めっき層150bと、を備える。
【0050】
第1めっき層150aは、第1接合部材141の基部141aと発光素子131の電極面131s1との間、第1接合部材141の延在部141bと発光素子131の側面131c3との間、第1接合部材141の基部141aおよび延在部141bの側面上に配置される。具体的には、第1めっき層150aに含まれる第1層151、第2層152、および第3層153のそれぞれが、第1接合部材141の基部141aと発光素子131の電極面131s1との間、および第1接合部材141の延在部141bと発光素子131の側面131c3との間に配置される。同様に、第2めっき層150bは、第2接合部材142の基部142aと発光素子131の電極面131s1との間、第2接合部材142の延在部142bと発光素子131の側面131c3との間、第2接合部材142の基部142aおよび延在部142bの側面上に配置される。具体的には、第2めっき層150bに含まれる第1層151、第2層152、および第3層153のそれぞれが、第2接合部材142の基部142aと発光素子131の電極面131s1との間、および第2接合部材142の延在部142bと発光素子131の側面131c3との間に配置される。
【0051】
第1めっき層150aおよび第2めっき層150bが光反射性を有する場合、発光素子131の活性層が発する光の一部は、延在部141bの表面に配置された第1めっき層150層aおよび延在部142bの表面に配置された第2めっき層150層bにおいて反射され、発光素子131の発光面131c2に向かう。これにより、発光モジュール100の光の取り出し効率を向上できる。ただし、延伸部の表面にめっき層が配置されていなくても、接合部材が光反射性を有していれば、発光素子が発する光の一部は延伸部において反射され、発光素子の発光面に向かう。したがって、このような場合も、発光モジュールの光の取り出し効率を向上できる。
【0052】
また、第1接合部材141と第1電極131aとの接合部の最大幅W1は、第1接合部材141と第1金属層112aとの接合部の最大幅W2よりも大きい。最大幅W1は、最大幅W2の1.1倍以上3.0倍以下であることが好ましい。同様に、第2接合部材142と第2電極131bとの接合部の最大幅W3は、第2接合部材142と第2金属層112bとの接合部の最大幅W4よりも大きい。最大幅W3は、最大幅W4の1.1倍以上3.0倍以下であることが好ましい。ただし、これらの最大幅の大小関係は、上記に限定されない。
【0053】
発光モジュールの構成は上記に限定されない。例えば、発光モジュールは、遮光部材をさらに含んでもよい。遮光部材は、発光素子を囲むように配置され、発光素子の側面を被覆してもよい。また、遮光部材は、発光素子と配線基板との間に配置されてもよい。具体的には、遮光部材は、隣り合う接合部材の間に配置されてもよい。遮光部材は、例えば、樹脂部材と、樹脂部材中に配置された光反射性物質と、を含む。樹脂部材には、例えばシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、またはこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等を用いることができる。光反射性物質には、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、またはガラスフィラー等を用いることができる。
【0054】
また、例えば、発光モジュールは、波長変換部材をさらに含んでもよい。波長変換部材は、例えば発光素子上に配置される。波長変換部材は、発光素子が発する光の少なくとも一部を吸収して、発光素子が発する光の波長と異なる波長の光を発する波長変換物質を含む。波長変換物質には、例えば、黄色系の発光をするYAG蛍光体(例えば(Y,Lu,Gd)(Al,Ga)12:Ce等)、緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体(例えば(Si,Al)(O,N):Eu等)、赤色系の発光をするフッ化物系蛍光体(例えばK(Si,Ti,Ge)F:MnまたはK(Si,Al)F:Mn等)、窒化物系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN:Eu等)等を用いることができる。波長変換部材に含まれる波長変換物質は、一種でもよいし、複数種でもよい。
【0055】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る発光モジュール100の製造方法においては、上面に第1金属層112aを有する配線基板110を準備する。配線基板110上に、第1金属層112aが露出するようにレジスト層120を形成する。発光面131c2と、発光面131c2の反対側に位置し、第1電極131aが一部に配置される電極面131s1と、を有する発光素子131と、第1電極131aの周囲に位置する電極面131s1を覆う第1被覆層132aと、を有する中間体130を、第1電極131aが第1金属層112aと対向するように、レジスト層120上に配置する。めっき法により、第1金属層112aを起点として第1接合部材141を成長させて第1電極131aおよび第1被覆層132aに接する第1接合部材141を形成する。レジスト層120および第1被覆層132aを除去する。めっき法により、第1接合部材141の表面に第1めっき層150aを形成する。そして、第1めっき層150aは、発光素子131の電極面131s1と第1接合部材141との間に配置される。第1めっき層150aが、第1接合部材141の表面を覆うため、第1接合部材141の腐食を抑制できる。
【0056】
特に、電極面131s1に第1被覆層132aを配置しておくことで、第1接合部材141と電極面131s1との間に、第1めっき層150aを配置可能な隙間S1を確保できる。第1めっき層150aを第1接合部材141と電極面131s1との間に配置することで、第1接合部材141において電極面131s1に接合される部分およびその近辺が腐食することを抑制できる。これにより、信頼性が高い発光モジュール100を提供できる。
【0057】
また、第1接合部材141を形成する工程において、第1接合部材141は、第1金属層112aから第1電極131aに向かう方向と交差する方向にも成長する。これにより、第1接合部材141を第1電極131aに強固に接合できる。
【0058】
また、発光素子131は、発光面131c2と電極面131s1との間に位置する側面131c3を有する。第1被覆層132aは、電極面131s1を覆う第1部分132a1と、第1部分132a1から連続して側面131c3を覆う第2部分132a2と、を有する。第1接合部材141を形成する工程において、第1接合部材141は、第1被覆層132aの第1部分132a1および第2部分132a2に接するように形成される。そのため、第1接合部材141を延在部141bを含むように形成できる。これにより、第1接合部材141の表面積を増加できる。その結果、発光素子131において生じた熱を、第1接合部材141により効率的に外部に放出できる。また、第1接合部材141の延在部141bの表面に第1めっき層150aが配置され、第1めっき層150aが光反射性を有している場合、第1めっき層150aにより発光素子131が発する光を発光面131c2に向かうように反射できる。また、延在部141bの表面に第1めっき層150aが配置されていなくても、第1接合部材141が光反射性を有している場合、延在部141bにより発光素子131が発する光を発光面131c2に向かうように反射できる。これにより、発光モジュール100の光の取り出し効率を向上できる。
【0059】
また、第1被覆層132aの最大厚みt2は、第1電極131aの最大厚みt1よりも厚い。そのため、第1めっき層150aを第1被覆層132aを除去することにより形成された発光素子131の電極面131s1と第1接合部材141との隙間S1に容易に形成できる。
【0060】
また、第1めっき層150aは、パラジウム、ロジウム、プラチナ、ルテニウム、イジリウムから選択される少なくとも1種の金属または合金を含む。そのため、第1接合部材141の腐食を好適に抑制できる。
【0061】
また、第1接合部材141は、銅を含む。そのため、第1接合部材141により、発光素子131において生じた熱を効率的に外部に放出できる。
【0062】
また、第1接合部材141は、湿式めっき法により形成され、第1被覆層132aは、めっき液に対して耐性を有する。そのため、第1接合部材141を形成する際に第1被覆層132aがめっき液に溶けだすことを抑制できる。
【0063】
また、本実施形態に係る発光モジュール100は、上面に第1金属層112aを有する配線基板110と、発光面131c2と、発光面131c2の反対側に位置して第1電極131aが配置される電極面131s1と、発光面131c2と電極面131s1との間に位置する側面131c3と、を有する発光素子131であって、第1電極131aが第1金属層112aと対向するように配線基板110の上方に配置される発光素子131と、第1金属層112aと第1電極131aとを接合する第1接合部材141と、第1接合部材141の表面を覆う第1めっき層150aと、を備える。第1接合部材141は、第1金属層112aと第1電極131aとの間に位置する基部141aと、基部141aから上方に延在し、側面131c3から離隔するとともに側面131c3と対向する延在部141bと、を有する。第1めっき層150aは、延在部141bと側面131c3との間に配置される。そのため、第1接合部材141の腐食を抑制できる。これにより、信頼性が高い発光モジュール100を提供できる。また、第1接合部材141が延在部141bを含むため、発光素子131において生じた熱を、第1接合部材141により効率的に外部に放出できる。また、第1接合部材141の延在部141bにより、発光素子131が発する光を発光面131c2に向かうように反射できる。これにより、発光モジュール100の光の取り出し効率を向上できる。
【0064】
また、第1接合部材141と第1電極131aとの接合部の最大幅W1は、第1接合部材141と第1金属層112aとの接合部の最大幅W2よりも大きい。これにより、第1接合部材141を第1電極131aに強固に接合できる。また、発光素子131において生じた熱を、第1接合部材141により効率的に外部に放出できる。
【0065】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
図10は、図9の中間体を示す下面図である。
本実施形態に係る発光モジュール100の製造方法は、1つの被覆層232が、電極面131s1において第1電極131aの周囲に位置する部分および第2電極131bの周囲に位置する部分の両方を覆う点で、第1の実施形態に係る発光モジュール100の製造方法と相違する。
以下の説明においては、第1の実施形態との相違点を主に説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様に構成できる。後述する他の実施形態についても同様である。
【0066】
被覆層232は、電極面131s1のうちの第1電極131aの周囲の領域を覆う第1部分232aと、第1部分232aから連続して側面131c3を覆う第2部分232bと、電極面131s1のうちの第2電極131bの周囲の領域を覆う第3部分232cと、第3部分232cから連続して側面131c3を覆う第4部分232dと、第1部分232aと第3部分232cとの間に位置し、第1部分232aおよび第3部分232cに連なる第5部分232eと、を含む。被覆層232の最大厚みt22は、第1電極131aの最大厚みt1および第2電極131bの最大厚みt3よりも厚い。例えば、最大厚みt22は、0.5μm以上1.0μm以下であり、最大厚みt1または最大厚みt3の1.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。ただし、被覆層の最大厚みは、各電極の最大厚み以下であってもよい。被覆層232には、第1の実施形態における第1被覆層132aおよび第2被覆層132bの材料と同様の材料を用いることができる。
【0067】
中間体130は、例えば、レジスト層120が被覆層232の第5部分232eに接するようにレジスト層120上に配置される。これにより、本実施形態では、第1電極131aと第2電極131bとの間に位置する電極面131s1に接合部材が接することなく成長できるため、第1電極131aと金属層112a、第2電極131bと金属層112bをそれぞれ容易に接合することができる。
【0068】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図11および図12は、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
本実施形態に係る発光モジュール300の製造方法は、第1被覆層332aが、第1電極131aの下面の一部を覆う点で、第1の実施形態に係る発光モジュール100の製造方法と相違する。
【0069】
図11に示すように、第1被覆層332aは、発光素子131の電極面131s1において第1電極131aの周囲に位置する部分、および発光素子131の側面131c3、を覆い、さらに第1電極131aの下面における外周部の全周を覆う。なお、第1被覆層332aに覆われる外周部の幅は、例えば、1.0μm以上4.0μm以下であることが好ましい。ただし、第1被覆層は、第1電極の下面の外周部を部分的に覆ってもよい。第1被覆層332aの最大厚みt32は、第1電極131aの最大厚みt1よりも厚い。例えば、最大厚みt32は、0.5μm以上1.0μm以下であり、最大厚みt1の1.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。ただし、被覆層の最大厚みは、第1電極の最大厚み以下であってもよい。第1被覆層332aには、第1の実施形態における第1被覆層132aおよび第2被覆層132bの材料と同様の材料を用いることができる。
【0070】
このような第1被覆層332aが発光素子131上に配置された状態で、第1接合部材341を形成した場合、第1接合部材341は、第1電極131aの下面の外周部から離隔する。
【0071】
そのため、第1接合部材341を形成した後に、第1被覆層332aを除去し、図12に示すように第1めっき層350aを形成した場合、第1めっき層350aは、第1電極131aの下面と第1接合部材341との間にも配置される。第2被覆層、第2接合部材、および第2めっき層は、第1被覆層332a、第1接合部材341、および第1めっき層350aと同様に構成および形成できる。
【0072】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態に係る発光モジュール300の製造方法において、第1被覆層332aは、第1電極131aの下面の一部を覆う。そのため、第1めっき層350aは、第1電極131aの下面の一部を覆う。これにより、第1めっき層350aにより、第1接合部材341と第1電極131aとの接合部をより確実に被覆できる。これにより、第1接合部材341の腐食を好適に抑制できる。
【0073】
前述の実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこの実施形態には限定されない。例えば、前述の実施形態において、いくつかの構成要素または工程を追加、削除または変更したものも本発明に含まれる。また、複数の実施形態における各構成および各方法は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、車両の前照灯または表示装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100、300:発光モジュール
110 :配線基板
111 :基材
112 :金属層
112a :第1金属層
112b :第2金属層
113 :絶縁膜
113a :第1開口
113b :第2開口
120 :レジスト層
130 :中間体
131 :発光素子
131a :第1電極
131b :第2電極
131c :半導体構造体
131c1 :下面
131c2 :上面(発光面)
131c3 :側面
131s1 :電極面
132a、332a:第1被覆層
132a1 :第1部分
132a2 :第2部分
132b :第2被覆層
132b1 :第1部分
132b2 :第2部分
141、341:第1接合部材
141a :基部
141b :延在部
142 :第2接合部材
142a :基部
142b :延在部
150a、350a:第1めっき層
150b :第2めっき層
151 :第1層
152 :第2層
153 :第3層
232 :被覆層
232a :第1部分
232b :第2部分
232c :第3部分
232d :第4部分
232e :第5部分
S1、S2、S3、S4:隙間
t1、t2、t22、t3、t32、t4、t5、t6、t7:最大厚み
W1、W2、W3、W4:最大幅
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12