(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20231109BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20231109BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20231109BHJP
G07D 7/1205 20160101ALI20231109BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
B41M3/06 B
B41M3/14
G07D7/1205
G01N21/64 F
(21)【出願番号】P 2019219895
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 実紀
(72)【発明者】
【氏名】牛腸 智
(72)【発明者】
【氏名】曽我 公平
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-043977(JP,A)
【文献】特開2010-072933(JP,A)
【文献】特開2007-193387(JP,A)
【文献】特開2003-172959(JP,A)
【文献】CHEN, et al.,Enhanced upconversion luminescence in NaYF4: Er nanoparticle swith multi-wavelength excitation,Materials Letters,2014年05月06日,Vol.128,pp.299-302,http://dx.doi.org/10.1016/j.matlet.2014.04.179
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
B41M 1/00 - B41M 3/18
B41M 7/00 - B41M 9/04
G07D 7/00 - G07D 7/207
B42D 15/02
B42D 25/00 - B42D 25/485
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象物が正規品であるか否かを判定する判定装置であって、前記正規品は、波長が互いに異なる第1及び第2励起光を同時に照射した場合に、波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含み、
前記判定装置は、
前記第1及び第2励起光を
前記判定対象物に照射する照射ユニットであって
、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射する第1モードと前記第1及び第2励起光の一方のみを前記判定対象物に照射する第2モードとの間で照射モードを切り替え可能である照射ユニットと、
前記判定対象物からの光を受光し
た場合に、
前記第1
発光の強度に対応した信号を出力する第1受光装置及び
前記第2発光の強度に対応した信号を出力する
第2受光装置を含んだ受光ユニットと、
前記照射モードを前記第1モードとした場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第1データとして取得し、前記照射モードを前記第2モードとした場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第2データとして取得し、以下の(1)乃至(4)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断する判断部と
を備えた判定装置。
(1)前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第1閾値よりも小さい。
(2)前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第2閾値よりも小さい。
(3)前記第2データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第3閾値よりも大きい。
(4)前記第2データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第4閾値よりも大きい。
【請求項2】
前記照射ユニットは、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であり、前記判断部は、前記第2励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第3データとして取得し、前記第1励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第4データとして取得し、以下の(5)乃至(8)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると更に判断する請求項1に記載の判定装置。
(5)前記第3データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第5閾値よりも小さい。
(6)前記第3データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差の絶対値が第6閾値よりも大きい。
(7)前記第4データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第7閾値よりも小さい。
(8)前記第4データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差が第8閾値よりも小さい。
【請求項3】
前記照射ユニットは、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であり、前記判断部は、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更すること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第5データとして取得し、以下の(9)及び(10)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると更に判断する請求項1又は2に記載の判定装置。
(9)前記第5データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
51
と、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
11
との比I
51
/I
11
が、第9閾値よりも小さい。
(10)前記第5データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
52
と、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
12
との比I
52
/I
12
が、第10閾値よりも小さい。
【請求項4】
判定対象物が正規品であるか否かを判定するプログラムであって、前記正規品は、波長が互いに異なる第1及び第2励起光を同時に照射した場合に、波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含み、
前記プログラムは、
前記第1及び第2励起光を照射ユニットが
前記判定対象物に
同時に照射する
第1モードと前記第1及び第2励起光の一方のみを前記照射ユニットが
前記判定対象物に照射する
第2モードとの間で照射モードが切り替わるように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、
前記照射モードが前記第1モードである場合に受光ユニットが出力した信号を制御部が第1データとして取得するステップであって、前記受光ユニットは、前記判定対象物からの光を受光した
場合に、前記第1発光の強度に対応した信号を出力する第1受光装置及び前記第2発光の強度に対応した信号を出力する第2受光装置を含んだステップと、
前記照射モードが前記第2モードである場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第2データとして取得するステップと、
前記制御部が、以下の(1)乃至(4)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(1)前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第1閾値よりも小さい。
(2)前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第2閾値よりも小さい。
(3)前記第2データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第3閾値よりも大きい。
(4)前記第2データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第4閾値よりも大きい。
【請求項5】
前記第1及び第2励起光を前記照射ユニットが前記判定対象物に照射するとともに、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更するように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、
前記第2励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第3データとして取得するステップと、
前記第1励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を第4データとして取得するステップと、
前記制御部が、以下の(5)乃至(8)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップと
をコンピュータに更に実行させるための請求項4に記載のプログラム。
(5)前記第3データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第5閾値よりも小さい。
(6)前記第3データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差の絶対値が第6閾値よりも大きい。
(7)前記第4データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第7閾値よりも小さい。
(8)前記第4データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差が第8閾値よりも小さい。
【請求項6】
前記第1及び第2励起光を前記照射ユニットが前記判定対象物に照射するとともに、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更するように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、
前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更すること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第5データとして取得するステップと、
前記制御部が、以下の(9)及び(10)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップと
をコンピュータに更に実行させるための請求項4又は5に記載のプログラム。
(9)前記第5データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
51
と、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
11
との比I
51
/I
11
が、第9閾値よりも小さい。
(10)前記第5データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
52
と、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
12
との比I
52
/I
12
が、第10閾値よりも小さい。
【請求項7】
請求項
4乃至6の何れか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券等には、高いセキュリティ性、即ち、偽造若しくは変造され難いこと、又は、偽造若しくは変造品から容易に区別できることが要求される。この目的のために、近年、マイクロ文字、コピー牽制パターン、赤外線吸収インキ及び蛍光インキ等が利用されている。また、高いセキュリティ性を達成する目的で、IC(集積回路)チップを使用することもある。
【0003】
蛍光インキは、通常、太陽光又は室内光で照明した場合には視認が不可能又は困難であり、紫外光などの励起光を照射した場合に可視領域内の蛍光を発する印刷パターンを形成するために使用する。そのような印刷パターンを正規品としての有価証券に設けると、例えば、この印刷パターンが形成されているべき領域に励起光を照射した場合に蛍光を発しなかったものは、不正品であると判断することができる(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-73897号公報
【文献】国際公開第2013/012655号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の印刷パターンが含んでいる蛍光体は、蛍光特性の分析が比較的容易である。それ故、上記の有価証券に、励起光を照射することによって蛍光を発する印刷パターンが設けられていることが知られてしまうと、そのセキュリティ性は大幅に低下する。
そこで、本発明は、蛍光体を使用して高いセキュリティ性を達成可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、判定対象物が正規品であるか否かを判定する判定装置であって、前記正規品は、波長が互いに異なる第1及び第2励起光を同時に照射した場合に、波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含み、前記判定装置は、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に照射する照射ユニットであって、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射する第1モードと前記第1及び第2励起光の一方のみを前記判定対象物に照射する第2モードとの間で照射モードを切り替え可能である照射ユニットと、前記判定対象物からの光を受光した場合に、前記第1発光の強度に対応した信号を出力する第1受光装置及び前記第2発光の強度に対応した信号を出力する第2受光装置を含んだ受光ユニットと、前記照射モードを前記第1モードとした場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第1データとして取得し、前記照射モードを前記第2モードとした場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第2データとして取得し、以下の(1)乃至(4)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断する判断部とを備えた判定装置が提供される。
(1)前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第1閾値よりも小さい。
(2)前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第2閾値よりも小さい。
(3)前記第2データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第3閾値よりも大きい。
(4)前記第2データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第4閾値よりも大きい。
【0007】
本発明の他の側面によると、前記照射ユニットは、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であり、前記判断部は、前記第2励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第3データとして取得し、前記第1励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第4データとして取得し、以下の(5)乃至(8)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると更に判断する上記側面に係る判定装置が提供される。
(5)前記第3データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第5閾値よりも小さい。
(6)前記第3データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差の絶対値が第6閾値よりも大きい。
(7)前記第4データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第7閾値よりも小さい。
(8)前記第4データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差が第8閾値よりも小さい。
【0008】
本発明の更に他の側面によると、前記照射ユニットは、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であり、前記判断部は、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更すること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記第1及び第2受光装置が出力した信号を第5データとして取得し、以下の(9)及び(10)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると更に判断する上記側面の何れかに係る判定装置が提供される。
(9)前記第5データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
51
と、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
11
との比I
51
/I
11
が、第9閾値よりも小さい。
(10)前記第5データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
52
と、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
12
との比I
52
/I
12
が、第10閾値よりも小さい。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、判定対象物が正規品であるか否かを判定するプログラムであって、前記正規品は、波長が互いに異なる第1及び第2励起光を同時に照射した場合に、波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含み、前記プログラムは、前記第1及び第2励起光を照射ユニットが前記判定対象物に同時に照射する第1モードと前記第1及び第2励起光の一方のみを前記照射ユニットが前記判定対象物に照射する第2モードとの間で照射モードが切り替わるように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、前記照射モードが前記第1モードである場合に受光ユニットが出力した信号を制御部が第1データとして取得するステップであって、前記受光ユニットは、前記判定対象物からの光を受光した場合に、前記第1発光の強度に対応した信号を出力する第1受光装置及び前記第2発光の強度に対応した信号を出力する第2受光装置を含んだステップと、前記照射モードが前記第2モードである場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第2データとして取得するステップと、前記制御部が、以下の(1)乃至(4)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
(1)前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第1閾値よりも小さい。
(2)前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第2閾値よりも小さい。
(3)前記第2データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさが第3閾値よりも大きい。
(4)前記第2データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさが第4閾値よりも大きい。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2励起光を前記照射ユニットが前記判定対象物に照射するとともに、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更するように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、前記第2励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第3データとして取得するステップと、前記第1励起光の強度を大きくすること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を第4データとして取得するステップと、前記制御部が、以下の(5)乃至(8)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップとをコンピュータに更に実行させるための上記側面に係るプログラムが提供される。
(5)前記第3データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第5閾値よりも小さい。
(6)前記第3データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差の絶対値が第6閾値よりも大きい。
(7)前記第4データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさとの差が第7閾値よりも小さい。
(8)前記第4データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさと、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさとの差が第8閾値よりも小さい。
本発明の更に他の側面によると、前記第1及び第2励起光を前記照射ユニットが前記判定対象物に照射するとともに、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更するように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更すること以外は前記第1データの取得と同じ方法により、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力した信号を前記制御部が第5データとして取得するステップと、前記制御部が、以下の(9)及び(10)の何れかに該当した場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップとをコンピュータに更に実行させるための上記側面の何れかに係るプログラムが提供される。
(9)前記第5データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
51
と、前記第1データのうち前記第1受光装置が出力した信号の大きさI
11
との比I
51
/I
11
が、第9閾値よりも小さい。
(10)前記第5データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
52
と、前記第1データのうち前記第2受光装置が出力した信号の大きさI
12
との比I
52
/I
12
が、第10閾値よりも小さい。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、上記側面に係るプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蛍光体を使用して高いセキュリティ性を達成可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る判定装置のブロック図。
【
図3】
図1の判定装置が行う判定の一例を示すフローチャート。
【
図4】蛍光体へ第1及び第2励起光を同時に照射した場合に得られる発光スペクトルの例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。なお、以下で参照する図において、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
<1>判定装置
図1は、本発明の一実施形態に係る判定装置のブロック図である。
図1に示す判定装置1は、照射ユニット11、受光ユニット12と、操作部(図示せず)と、判断部13と、出力部(図示せず)とを含んでいる。
【0019】
照射ユニット11は、波長が互いに異なる第1励起光LE1及び第2励起光LE2を判定対象物2に照射する。照射ユニット11は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の少なくとも一方の強度を変更可能であるか、又は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2を判定対象物2に同時に照射する第1モードと第1励起光LE1及び第2励起光LE2の一方のみを判定対象物2に照射する第2モードとの間で照射モードを切り替え可能である。
【0020】
照射ユニット11は、第1励起光源111と第2励起光源112と制御部113とを含んでいる。
【0021】
第1励起光源111は、第1励起光LE1を射出する。第1励起光LE1は、例えば、赤外域又は近赤外域の光である。第1励起光LE1の波長は、例えば、1000乃至1800nmの範囲内にある。第1励起光源111は、例えば、発光ダイオード又はレーザを含んでいる。第1励起光源111は、他の光学素子、例えば、バンドパスフィルタなどの光学フィルタを更に含むことができる。
【0022】
第2励起光源112は、第2励起光LE2を射出する。第2励起光LE2は、第1励起光LE1とは波長が異なる。一例によれば、第2励起光LE2は、第1励起光LE1と比較して、波長がより短い。第2励起光LE2は、例えば、赤外域又は近赤外域の光である。第2励起光LE2の波長は、例えば、700乃至1000nmの範囲内にある。第2励起光源112は、例えば、発光ダイオード又はレーザを含んでいる。第2励起光源112は、バンドパスフィルタなどの他の光学素子を更に含むことができる。
【0023】
制御部113は、第1励起光源111及び第2励起光源112の動作を制御する。具体的には、制御部113は、判断部13から供給される信号に基づいて、第1励起光源111及び第2励起光源112の各々のON/OFFの制御や、第1励起光源111及び第2励起光源112がそれぞれ射出する第1励起光LE1及び第2励起光LE2の少なくとも一方の強度の制御を行う。制御部113は、例えば、電源回路を含んでいる。
【0024】
受光ユニット12は、判定対象物2からの光を受光し、波長が互いに異なる第1発光LL1及び第2発光LL2の強度に対応した信号を出力する。
【0025】
受光ユニット12は、第1受光装置121と第2受光装置122とを含んでいる。
第1受光装置121は、判定対象物2からの光を受光し、第1発光LL1の強度に対応した信号を出力する。第1発光LL1は、例えば、可視域内の光である。第1発光LL1は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2とは波長が異なる。第1発光LL1は、可視域外の光であってもよい。第1受光装置121は、例えば、フォトダイオードなどの光検出器と、バンドパスフィルタなどの光学フィルタとを含んでいる。
【0026】
第2受光装置122は、判定対象物2からの光を受光し、第2発光LL2の強度に対応した信号を出力する。第2発光LL2は、例えば、可視域内の光である。第2発光LL2は、第1励起光LE1、第2励起光LE2及び第1発光LL1とは波長が異なる。第2発光LL2は、可視域外の光であってもよい。第2受光装置122は、例えば、フォトダイオードなどの光検出器と、バンドパスフィルタなどの光学フィルタとを含んでいる。
【0027】
操作部は、ユーザ又はオペレータが指令や情報を入力するための入力装置を含んでいる。入力装置は、例えば、キーボード、釦、タッチパネル、音声入力装置、又はそれらの組み合わせである。操作部は、ユーザ又はオペレータが入力した指令や情報を、処理部131へ供給する。
【0028】
判断部13は、受光ユニット12が出力する上記信号から、第1励起光LE1及び第2励起光LE2を照射することによって第1発光LL1及び第2発光LL2を生じるアップコンバージョン蛍光体に特有な振る舞いが確認されなかった場合に、判定対象物2は不正品であると判断する。
【0029】
判断部13は、処理部131と記憶部132とを含んでいる。
処理部131は、中央処理装置(CPU)を含んでいる。処理部131は、典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリを更に含む。
【0030】
記憶部132は、処理部131が読み込むプログラムや、処理部131から供給されたデータを記憶する不揮発性メモリ又はストレージを含んでいる。なお、このプログラムは、
図1乃至
図3を参照しながら説明する手順をコンピュータ(ここでは判断部13)に実行させるためのプログラムを含んでいる。
【0031】
不揮発性メモリ又はストレージは、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。不揮発性メモリ又はストレージは、リムーバブルメディアを接続又は搭載可能な装置、例えば、メモリカードを接続可能なカードリーダ、又は、光ディスク又は磁気ディスクを搭載可能なディスクドライブを更に含むことができる。プログラムやデータは、これら記録媒体に記録されていてもよい。
【0032】
処理部131は、判定を開始すべき指令が操作部を介して供給されると、照射ユニット11が上記動作を開始するべく、制御部113へ信号を供給する。次いで、処理部131は、照射ユニット11に行わせる動作と、受光ユニット12が出力する上記信号と、記憶部132が記憶しているデータとから、判定対象物2が不正品であるか否かを判断する。具体的には、処理部131は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2を照射することによって第1発光LL1及び第2発光LL2を生じるアップコンバージョン蛍光体に特有な振る舞いが確認されなかった場合に、判定対象物2は不正品であると判断する。そして、処理部131は、この判断の結果に関する信号を、出力部へ供給する。
【0033】
出力部は、判断部13による判断の結果を、ユーザ又はオペレータが認識可能に出力する。出力部は、例えば、表示装置、ランプ、ブザー、音声出力装置、バイブレータ、又はそれらの組み合わせを含んでいる。出力部は、判断部13による判断の結果を、例えば、画像、光、音、振動、又はそれらの組み合わせによって、ユーザ又はオペレータが認識可能に出力する。
【0034】
なお、操作部は省略することができる。例えば、判定装置1が、判定対象物2が投入される投入口を有し、この投入口に判定対象物2が投入された場合に判定を開始するように構成されている場合、操作部は不要である。
【0035】
また、出力部も省略することができる。例えば、判断部13による判断の結果を、扉の開閉の制御のように、他の機器の動作の制御に利用する場合、出力部は不要である。
【0036】
<2>判定対象物
図2は、判定対象物の一例を示す平面図である。
図2に示す判定対象物2は、正規品である。ここでは、判定対象物2は印刷物である。印刷物は、カードであってもよく、カード以外の形状を有していてもよい。印刷物は、例えば、免許証などの身分証明又は他の目的で使用する識別カード、遊戯用カード、又は有価証券として利用することができる。印刷物は、他の物品に支持させるラベルであってもよい。例えば、印刷物は、粘着ラベルであってもよい。即ち、印刷物は、ラベル付き物品において使用してもよい。
【0037】
判定対象物2は、基材と印刷層とを含んでいる。
基材は、例えば、紙、プラスチック、又は金属からなる。基材は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。例えば、基材は、コート紙やタック紙であってもよい。
【0038】
ここでは、基材は薄層状の形状を有しているが、基材は、他の形状を有していてもよい。また、基材は、IC(集積回路)チップ、アンテナ、磁気テープなどの他の要素を更に含んでいてもよい。
【0039】
印刷層は、第1部分21と第2部分22とを含んでいる。
第1部分21は、プロセスインキのように、通常の印刷に使用するインキからなる。第1部分21は、ここでは、文字列を表示している。第1部分21は、他の画像を表示するものであってもよい。
【0040】
第2部分22は、例えば、無色透明な層であり、太陽光又は室内光で照明した場合には視認が不可能又は困難である。
【0041】
第2部分22は、蛍光体を含んだインキからなる。このインキは、バインダ及び溶媒を更に含むことができる。このインキにおいて、蛍光体とバインダとの質量比は、例えば、1/100乃至50/100の範囲内にある。
【0042】
第2部分22が含んでいる蛍光体は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2を照射することによって第1発光LL1及び第2発光LL2を生じるアップコンバージョン蛍光体である。なお、第1発光LL1及び第2発光LL2は、蛍光、燐光又はそれらの組み合わせである。
【0043】
そのようなアップコンバージョン蛍光体としては、例えば、ナトリウム、イッテルビウム、フッ素及び希土類元素を原料とする蛍光体を使用することができる。例えば、NaYF4:Er3+,RE3+で表される蛍光体を使用することができる。ここで、「RE3+」は、エルビウム以外の希土類元素の3価イオンを表している。また、「NaYF4:Er3+,RE3+」は、NaYF4に、エルビウムの3価イオンと、イットリウム及びエルビウム以外の希土類元素の3価イオンとがドープされていることを表している。
【0044】
NaYF4のモル数に対する、Er3+のモル数とRE3+のモル数との合計の比は、0.1乃至40の範囲内にあることが好ましく、0.5乃至32の範囲内にあることがより好ましい。
【0045】
Er3+のモル数とRE3+のモル数との合計に占めるEr3+のモル数の割合は、0%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。Er3+のモル数とRE3+のモル数との合計に占めるRE3+のモル数の割合は、0%以上であることが好ましく、0乃至16%の範囲内にあることがより好ましい。
【0046】
イットリウム及びエルビウム以外の希土類元素は、イッテルビウム、ホルミウム、セリウム、ネオジム、又は、それらの2以上の組み合わせであることが好ましく、イッテルビウムであることがより好ましい。上記の蛍光体は、イットリウム及びエルビウム以外の希土類元素を含んでいないことも好ましい。
【0047】
第2部分22の厚さは、2μm以上であることが好ましい。また、第2部分の縦及び横方向の各寸法は、5mm以上であることが好ましい。
【0048】
第1部分21及び第2部分22は、例えば、オフセット印刷によって形成することができる。第1部分21及び第2部分22を形成するための印刷法は、グラビア印刷、フレキソ印刷及びスクリーン印刷などの他の印刷法であってもよい。
【0049】
判定対象物2は、印刷層を被覆した保護層を更に含んでいてもよい。そのような保護層は、第1部分21において可視光透過性を有し、第2部分22において、第1励起光LE1、第2励起光LE2、第1発光LL1及び第2発光LL2を透過させるものであることが好ましい。
【0050】
<3>判定方法
<3.1>第1方法
図3は、
図1の判定装置が行う判定の一例を示すフローチャートである。
図1の判定装置1による判定は、例えば、以下の方法により行う。
【0051】
先ず、ユーザ又はオペレータは、判定装置1を起動する。例えば、ユーザ又はオペレータは、判定装置1の電源スイッチをONにする。こうすると、記憶部132が記憶しているプログラムの処理部131による読み込み等が行われ、判定装置1は待機状態になる。
【0052】
次に、正規品であるか不正品であるかが不明な判定対象物2を、判定装置1の所定の位置に設置する(ステップS1)。或いは、判定対象物2に対して、判定装置1を位置合わせする。続いて、ユーザ又はオペレータは、操作部を介して、判定開始に関する指令を判定装置1に入力する。
【0053】
なお、上記の通り、例えば、判定装置1が、判定対象物2が投入される投入口を有し、この投入口に判定対象物2が投入された場合に判定を開始するように構成されている場合、この入力操作は不要である。また、判定装置1を起動した後の何れかの時点で、ユーザ又はオペレータは、操作部を介して、判定に関する情報、例えば、ユーザ又はオペレータに関する情報、判定対象物に関する情報、判定の実施日時、及び判定モードを、判定装置1に入力してもよい。
【0054】
判定開始に関する指令が供給されると、判定装置1は、励起光照射及び発光強度測定を行う(ステップS2)。
【0055】
具体的には、先ず、処理部131は、照射ユニット11が第1モードで判定対象物2へ励起光を照射するように、制御部113へ信号を供給する。制御部113は、第1励起光源111及び第2励起光源112が、判定対象物2の第2部分22に相当する領域に第1励起光LE1と第2励起光LE2とを同時に照射するように、それらの動作を制御する。
【0056】
第1受光装置121及び第2受光装置122は、それぞれ、第1発光LL1の強度に対応した信号と、第2発光LL2の強度に対応した信号とを処理部131へ出力する。処理部131は、第1励起光源111及び第2励起光源112がそれぞれ第1励起光LE1及び第2励起光LE2を照射したときに、第1受光装置121及び第2受光装置122が出力した信号を、第1データとして一時記憶する。
【0057】
ここで、判定対象物2が正規品である場合、その第2部分22に相当する領域は、第1励起光LE1と第2励起光LE2とが同時に照射されると、第1発光LL1及び第2発光LL2を生じる。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的大きな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0058】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に蛍光体を含んでいない場合、その領域に第1励起光LE1と第2励起光LE2とを同時に照射しても、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の何れも生じない。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0059】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に蛍光体を含んでいる場合であっても、その蛍光体がダウンコンバージョン蛍光体であるときには、その領域に第1励起光LE1と第2励起光LE2とを同時に照射しても、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の何れも生じない。即ち、この場合も、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0060】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に単一のアップコンバージョン蛍光体を含んでいる場合、その蛍光体が正規品で使用しているアップコンバージョン蛍光体とは異なっているときには、その領域に第1励起光LE1と第2励起光LE2とを同時に照射しても、通常、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の少なくとも一方を生じない。即ち、この場合も、第1受光装置121及び第2受光装置122の少なくとも一方は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0061】
但し、判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の一方を照射することによって第1発光LL1を生じるアップコンバージョン蛍光体と、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の他方を照射することによって第2発光LL2を生じるアップコンバージョン蛍光体とを含んでいる場合、その領域に第1励起光LE1と第2励起光LE2とを同時に照射すると、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2を生じ得る。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的大きな電流信号又は電圧信号を出力する可能性がある。
【0062】
次に、処理部131は、照射ユニット11が第2モードで判定対象物2へ励起光を照射するように、制御部113へ信号を供給する。制御部113は、第1励起光源111及び第2励起光源112が、判定対象物2の第2部分22に相当する領域に第2励起光LE2のみを照射するように、それらの動作を制御する。
【0063】
第1受光装置121及び第2受光装置122は、それぞれ、第1発光LL1の強度に対応した信号と、第2発光LL2の強度に対応した信号とを処理部131へ出力する。処理部131は、第1励起光源111及び第2励起光源112が第2励起光LE2のみを照射したときに、第1受光装置121及び第2受光装置122が出力した信号を、第2データとして一時記憶する。
【0064】
ここで、判定対象物2が正規品である場合、その第2部分22に相当する領域は、第2励起光LE2のみが照射されると、第1発光LL1及び第2発光LL2の何れも生じない。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0065】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に蛍光体を含んでいない場合、その領域に第2励起光LE2のみを照射しても、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の何れも生じない。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0066】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に蛍光体を含んでいる場合であっても、その蛍光体がダウンコンバージョン蛍光体であるときには、その領域に第2励起光LE2のみを照射しても、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の何れも生じない。即ち、この場合も、第1受光装置121及び第2受光装置122は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0067】
判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に単一のアップコンバージョン蛍光体を含んでいる場合、その蛍光体が正規品で使用しているアップコンバージョン蛍光体とは異なっているときには、その領域に第2励起光LE2のみを照射しても、通常、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の少なくとも一方を生じない。即ち、この場合も、第1受光装置121及び第2受光装置122の少なくとも一方は、比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する。
【0068】
そして、判定対象物2が、その第2部分22に相当する領域に、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の一方を照射することによって第1発光LL1を生じるアップコンバージョン蛍光体と、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の他方を照射することによって第2発光LL2を生じるアップコンバージョン蛍光体とを含んでいる場合、その領域に第2励起光LE2のみを照射すると、その領域は、第1発光LL1及び第2発光LL2の一方のみを生じ得る。即ち、この場合、第1受光装置121及び第2受光装置122の一方は、比較的大きな電流信号又は電圧信号を出力し、それらの他方は比較的小さな電流信号又は電圧信号を出力する可能性がある。
【0069】
次に、判断部13は、励起光の照射条件と測定結果とを判定基準に参照する(ステップS3)。そして、判断部13は、それらに基づいて、判定対象物2が不正品であるか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、判断部13は、測定結果が以下の1以上に該当した場合、判定対象物2は不正品であると判断する。なお、判定対象物2が正規品である場合、測定結果は以下の何れにも該当しない。
【0070】
(1)第1データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさが第1閾値よりも小さい。
(2)第1データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさが第2閾値よりも小さい。
(3)第2データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさが第3閾値よりも大きい。
(4)第2データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさが第4閾値よりも大きい。
【0071】
次いで、判断部13は、この結果を出力部へ供給する。出力部は、判断部13による判断の結果を、例えば、画像、光、音、振動、又はそれらの組み合わせによって、ユーザ又はオペレータが認識可能に出力する。或いは、判断部13は、判断結果を他の機器へ供給する。他の機器は、例えば、判定対象物2は不正品であると判断部13が判断した場合には正常に起動せず、判定対象物2は不正品ではないと判断部13が判断した場合には正常に起動する(ステップS6)。
【0072】
図1の判定装置1による判定は、例えば、以上の方法により行う。なお、第1データの取得と第2データの取得とは、この順序で行ってもよく、これとは逆の順序で行ってもよい。
【0073】
上記の通り、正規品としての判定対象物2が含んでいる蛍光体は、特殊な発光特性を有している。この蛍光体が特殊な発光特性を有していることは、不正を行おうとする者に悟られ難い。また、この蛍光体と同様の発光特性は、それとは異なる2以上の蛍光体を組み合わせて使用しても、再現することはできない。従って、上述した技術によると、高いセキュリティ性を達成することができる。
【0074】
また、判定装置1が含んでいる部品から、第1励起光LE1、第2励起光LE2、第1発光LL1及び第2発光LL2の波長を特定できたとしても、不正を行おうとする者にとって、判定装置1が採用している判定方法を特定することは困難である。即ち、判定装置1から、正規品としての判定対象物2が含んでいる蛍光体の特殊な発光特性を特定することは、不正を行おうとする者にとって困難である。このような理由でも、上述した技術によると、高いセキュリティ性を達成することができる。
【0075】
<3.2>第2方法
図1の判定装置1による判定は、以下の方法で行うことも可能である。即ち、第1励起光L
E1の強度が第1発光L
L1及び第2発光L
L2の強度に影響を及ぼし、第2励起光L
E2の強度が第1発光L
L1の強度にのみ影響を及ぼす場合には、判定対象物2は不正品であると判断してもよい。
【0076】
例えば、判定装置1は、先ず、第1方法において説明したように、第1データを取得する。次に、判定装置1は、第2励起光LE2の強度を大きくすること以外は、第1データの取得と同じ方法により、第1励起光源111及び第2励起光源112が第1励起光LE1及び第2励起光LE2を同時に照射したときに、第1受光装置121及び第2受光装置122が出力した信号を、第3データとして取得する。その後、判定装置1は、第1励起光LE1の強度を大きくすること以外は、第1データの取得と同じ方法により、第1励起光源111及び第2励起光源112が第1励起光LE1及び第2励起光LE2を同時に照射したときに、第1受光装置121及び第2受光装置122が出力した信号を、第4データとして取得する。なお、第1データの取得と第3データの取得と第4データの取得は、この順序で行ってもよく、他の順序で行ってもよい。
【0077】
次に、判断部13は、励起光の照射条件と測定結果とを判定基準に参照する。そして、判断部13は、それらに基づいて、判定対象物2が不正品であるか否かを判断する。具体的には、判断部13は、測定結果が以下の1以上に該当した場合、判定対象物2は不正品であると判断する。なお、判定対象物2が正規品である場合、測定結果は以下の何れにも該当しない。
【0078】
(5)第3データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさと、第1データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさとの差が、第5閾値よりも小さい。
(6)第3データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさと、第1データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさとの差の絶対値が、第6閾値よりも大きい。
(7)第4データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさと、第1データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさとの差が、第7閾値よりも小さい。
(8)第4データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさと、第1データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさとの差が、第8閾値よりも小さい。
【0079】
次いで、判断部13は、第1方法と同様に、この結果を出力部へ供給するか、又は、判断結果を他の機器へ供給する。
この方法で判定を行う場合も、第1方法で判定を行う場合と同様に、高いセキュリティ性を達成することができる。
【0080】
<3.3>第3方法
図1の判定装置1による判定は、以下の方法で行うことも可能である。即ち、第1励起光L
E1及び第2励起光L
E2をそれぞれ第1及び第2強度で照射する第1照射条件のもとで受光ユニット12が出力する信号と、第1照射条件とは第1励起光L
E1及び第2励起光L
E2の少なくとも一方の強度が異なる第2照射条件のもとで受光ユニット12が出力する信号とから、上記アップコンバージョン蛍光体に特有な振る舞いの有無を確認してもよい。ここで、第2励起光L
E2が第1励起光L
E1と比較して波長がより短い場合、第2照射条件は、第1照射条件とは、少なくとも第1励起光L
E1の強度が異なっていてもよい。
【0081】
即ち、判定装置1は、先ず、第1方法において説明したように、第1データを取得する。次に、判定装置1は、第1励起光LE1及び第2励起光LE2の少なくとも一方の強度を変更すること以外は、第1データの取得と同じ方法により、第1励起光源111及び第2励起光源112が第1励起光LE1及び第2励起光LE2を同時に照射したときに、第1受光装置121及び第2受光装置122が出力した信号を、第5データとして取得する。
【0082】
ここでは、一例として、第2励起光LE2は第1励起光LE1と比較して波長がより短く、第5データを取得するための第2照射条件では、第1データを取得するための第1照射条件とは、第2励起光LE2の強度は等しく、第1励起光LE1の強度がより高いとする。なお、第1データの取得と第5データの取得は、この順序で行ってもよく、逆の順序で行ってもよい。
【0083】
次に、判断部13は、励起光の照射条件と測定結果とを判定基準に参照する。そして、判断部13は、それらに基づいて、判定対象物2が不正品であるか否かを判断する。
【0084】
具体的には、判断部13は、測定結果が以下の1以上に該当した場合、判定対象物2は不正品であると判断する。なお、判定対象物2が正規品である場合、測定結果は以下の何れにも該当しない。
【0085】
(9)第5データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさとI51、第1データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさI11との比I51/I11が、第9閾値よりも小さい。
【0086】
(10)第5データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさとI52、第1データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさI12との比I52/I12が、第10閾値よりも小さい。
【0087】
次いで、判断部13は、第1方法と同様に、この結果を出力部へ供給するか、又は、判断結果を他の機器へ供給する。
この方法で判定を行う場合も、第1方法で判定を行う場合と同様に、高いセキュリティ性を達成することができる。
【0088】
<3.4>第4方法
図1の判定装置1による判定は、以下の方法で行うことも可能である。
即ち、判定装置1は、第1方法による判定と第2方法による判定と第3方法による判定との2以上を行い、一の判定結果を他の判定結果で検証する。
【0089】
それら結果が一致していた場合、判断部13は、この結果を出力部へ供給する。或いは、判断部13は、この結果を他の機器へ供給する。
【0090】
それら結果が一致していなかった場合、判定装置1は、判定結果が一致するまで、第1方法による判定と第2方法による判定と第3方法による判定との2以上を繰り返す。そして、結果が一致した場合、判定装置1は、この結果を出力部へ供給するか、又は、この結果を他の機器へ供給する。なお、判定装置1は、結果の不一致の回数が予め定めておいた値に達した場合に、判定を中断するように構成されていてもよい。
【0091】
この方法によれば、高いセキュリティ性を達成することができるのに加え、判定の精度を高めることができる。
【0092】
<3.5>第5方法
図1の判定装置1による判定は、他の方法で行うことも可能である。即ち、第1乃至第4方法の何れかによる判定に先立ち、判断部13は、第1励起光L
E1及び第2励起光L
E2を同時に照射した場合に受光ユニット12が出力する、第1発光L
L1の強度に対応した信号及び第2発光L
L2の強度に対応した信号の少なくとも一方が閾値未満であったときに、判定対象物2は不正品であると判断してもよい。
【0093】
例えば、判定装置1は、先ず、第1方法において説明したように、第1データの取得と同じ方法により、第6データを取得する。第6データの取得に際して、第1励起光LE1の強度及び第2励起光LE2の強度は、第1データの取得に際して設定する強度と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、第6データの取得を省略し、第1、第3、第4又は第5データを第6データとして利用してもよい。
【0094】
次に、判断部13は、励起光の照射条件と測定結果とを判定基準に参照する。そして、判断部13は、それらに基づいて、判定対象物2が不正品であるか否かを判断する。具体的には、判断部13は、測定結果が以下の1以上に該当した場合、判定対象物2は不正品であると判断する。なお、判定対象物2が正規品である場合、測定結果は以下の何れにも該当しない。
【0095】
(9)第6データのうち第1受光装置121が出力した信号の大きさが、第11閾値よりも小さい。
【0096】
(10)第6データのうち第2受光装置122が出力した信号の大きさが、第12閾値よりも小さい。
【0097】
判断部13は、判定対象物2が不正品であると判断した場合、この結果を出力部へ供給するか、又は、判断結果を他の機器へ供給する。
判定対象物2が不正品であると判断部13が判断しなかった場合、判定装置1は、第1乃至第4方法の何れかによる判定を行う。そして、判断部13は、結果を出力部へ供給するか、又は、判断結果を他の機器へ供給する。
【0098】
この方法で判定を行う場合も、第1乃至第4方法の何れかで判定を行う場合と同様に、高いセキュリティ性を達成することができる。
【0099】
また、この方法で判定を行うと、第6データのみで判定対象物2を不正品であると判断できる場合がある。それ故、この方法によると、判定に要する平均的な時間を短縮することができる。
【0100】
<4>変形例
上述した方法では、第1及び第2励起光の照射を行うが、波長が異なる3以上の励起光の照射を行ってもよい。
また、
図2の判定対象物2は印刷物であるが、判定対象物2は、上記印刷物を含んだ物品、例えば、上述したラベル付き物品、即ち、ラベルとしての上記印刷物と、これが貼り付けられた物品とを含んだ複合体であってもよい。この場合、ラベルが貼り付けられる物品は、例えば、機器本体に組み込んで使用する部品や付属品である。
【0101】
また、上述した方法では、アップコンバージョンのために第1励起光と第2励起光とを同時に照射している。その代わりに、先ず、第1励起光及び第2励起光の一方を照射して励起三重項状態を生じさせ、その励起三重項状態から基底一重項状態への遷移が完了する前に第1励起光及び第2励起光の他方を照射してもよい。
【実施例】
【0102】
以下に、具体例を記載する。
<蛍光インキの調製>
蛍光体をオフセットインキメジウムに分散させて、蛍光インキを得た。蛍光体としては、NaYF4:Er3+,Yb3+で表され、平均粒子径が1乃至5μmの範囲内にあるアップコンバージョン蛍光体を使用した。また、オフセットインキメジウムとしては、T&K TOKA社製のUV161メジウムSを使用した。
【0103】
<印刷物の製造>
上記の蛍光インキを上質紙にオフセット印刷して、印刷物を製造した。上質紙としては、坪量が81.4g/m2である日本製紙社製のしらおい(登録商標)を使用した。
【0104】
<発光特性の確認>
上記の印刷物に第1及び第2励起光を同時に照射して、発光強度を測定した。具体的には、第1励起光として特定波長の近赤外光を使用し、第2励起光として、第1励起光と比較してより短い波長の近赤外光を使用した。第1及び第2励起光の強度を以下の表1に示すように変更し、各照射条件下で発光スペクトルを得た。結果を
図4に示す。
【0105】
【0106】
図4は、蛍光体へ第1及び第2励起光を同時に照射した場合に得られる発光スペクトルの例を示すグラフである。
図4において、横軸は波長を示し、縦軸は発光強度を相対値で示している。また、
図4において、曲線C1、C2、C3、C4及びC5は、それぞれ、表1における照射条件I、II、III、IV及びVのもとで得られた発光スペクトルを表している。
【0107】
照射条件I及び曲線C1の組み合わせと照射条件III及び曲線C3の組み合わせとの対比、並びに、照射条件II及び曲線C2の組み合わせと照射条件IV及び曲線C4の組み合わせとの対比から明らかなように、第2励起光の強度を一定としたまま、第1励起光の強度を低下させると、第1発光及び第2発光の双方の強度が低下した。なお、第1励起光の強度をゼロとした照射条件Iのもとでは、第1発光及び第2発光の何れも生じなかった。
【0108】
また、照射条件I及び曲線C1の組み合わせと照射条件II及び曲線C2の組み合わせと照射条件V及び曲線C5の組み合わせとの対比、並びに、照射条件III及び曲線C3の組み合わせと照射条件IV及び曲線C4の組み合わせとの対比から明らかなように、第1励起光の強度を一定としたまま、第2励起光の強度を低下させると、第2発光の強度は変化せず、第1発光の強度のみが低下した。
【0109】
このように、上記のアップコンバージョン蛍光体は、他の1以上の蛍光体では実現できない発光特性を有している。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
波長が互いに異なる第1及び第2励起光を判定対象物に照射する照射ユニットであって、前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であるか、又は、前記第1及び第2励起光を前記判定対象物に同時に照射する第1モードと前記第1及び第2励起光の一方のみを前記判定対象物に照射する第2モードとの間で照射モードを切り替え可能である照射ユニットと、
前記判定対象物からの光を受光し、波長が互いに異なる第1及び第2発光の強度に対応した信号を出力する受光ユニットと、
前記第1及び第2励起光を照射することによって前記第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体に特有な振る舞いが前記信号から確認されなかった場合に、前記判定対象物は不正品であると判断する判断部と
を備えた判定装置。
[2]
前記照射モードを前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替え可能であり、前記特有な振る舞いは、前記第1及び第2励起光を同時に照射した場合に前記第1及び第2発光を生じ、前記第2励起光のみを照射した場合に前記第1及び第2発光の何れも生じないことを含む項1に記載の判定装置。
[3]
前記第1及び第2励起光の強度を変更可能であり、前記特有な振る舞いは、前記第1励起光の強度は前記第1及び第2発光の強度に影響を及ぼし、前記第2励起光の強度は前記第1発光の強度にのみ影響を及ぼすことを含む項1又は2に記載の判定装置。
[4]
前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度を変更可能であり、前記第1及び第2励起光をそれぞれ第1及び第2強度で照射する第1照射条件のもとで前記受光ユニットが出力する前記信号と、前記第1照射条件とは前記第1及び第2励起光の少なくとも一方の強度が異なる第2照射条件のもとで前記受光ユニットが出力する前記信号とから、前記特有な振る舞いの有無を確認する項1乃至3の何れか1項に記載の判定装置。
[5]
前記第2励起光は前記第1励起光と比較して波長がより短く、前記第2照射条件は、前記第1照射条件とは、少なくとも前記第1励起光の強度が異なる項4に記載の判定装置。
[6]
前記判断部は、前記第1及び第2励起光を同時に照射した場合に前記受光ユニットが出力する、前記第1発光の強度に対応した信号及び前記第2発光の強度に対応した信号の少なくとも一方が閾値未満であったときに、前記判定対象物は不正品であると判断する項1乃至5の何れか1項に記載の判定装置。
[7]
波長が互いに異なる第1及び第2励起光を照射ユニットが判定対象物に照射するように、前記照射ユニットの動作を制御するステップと、
前記判定対象物からの光を受光した受光ユニットが出力する、波長が互いに異なる第1及び第2発光の強度に対応した信号から、前記第1及び第2励起光を照射することによって前記第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体に特有な振る舞いの有無を確認し、前記特有な振る舞いが確認されなかった場合に、前記判定対象物は不正品であると判断するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
[8]
項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
[9]
波長が互いに異なる第1及び第2励起光を照射することによって波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含んだインキ。
[10]
基材と、前記基材上に設けられた印刷層とを含み、前記印刷層は、波長が互いに異なる第1及び第2励起光を照射することによって波長が互いに異なる第1及び第2発光を生じるアップコンバージョン蛍光体を含んだ印刷物。
【符号の説明】
【0110】
1…判定装置、2…判定対象物、11…照射ユニット、12…受光ユニット、13…判断部、21…第1部分、22…第2部分、111…第1励起光源、112…第2励起光源、113…制御部、121…第1受光装置、122…第2受光装置、131…処理部、132…記憶部、C1…曲線、C2…曲線、C3…曲線、C4…曲線、C5…曲線、LE1…第1励起光、LE2…第2励起光、LL1…第1発光、LL2…第2発光、S1…ステップ、S2…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ、S5…ステップ、S6…ステップ。