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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】半導体装置及びそのテスト方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
G06F11/22 607
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019064225
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166376
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 朋憲
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 聡司
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-092306(JP,A)
【文献】特開平02-166700(JP,A)
【文献】特開2018-041402(JP,A)
【文献】特開2013-125527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0100779(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0159785(US,A1)
【文献】米国特許第05142541(US,A)
【文献】特開2007-178345(JP,A)
【文献】特開2013-004125(JP,A)
【文献】特開2018-195243(JP,A)
【文献】特開平04-010450(JP,A)
【文献】特開2018-073935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大の消費電流を測定するための消費電流テストを指示する第1のテスト信号を受ける第1の入力端子と、
誤りビットを含むビット配列を有するエラーデータが特定の領域に記憶されているメモリと、
供給されたデータに誤り訂正処理を施して訂正データを生成する誤り訂正回路と、
前記第1の入力端子が前記第1のテスト信号を受けた場合に、前記メモリの前記特定の領域から前記エラーデータを読み出して前記誤り訂正回路に供給するコントローラと、を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記エラーデータは、前記誤り訂正回路では訂正することができない数の誤りビットを含むデータであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
データを外部に出力するデータ端子と、
第2のテスト信号を受ける第2の入力端子と、
供給されたデータに論理レベルを反転する反転処理を施して得たデータを出力する反転回路と、を含み、
前記コントローラは、
前記第2の入力端子が前記第2のテスト信号を受けた場合に、前記メモリから既知のデータを読み出して前記誤り訂正回路に供給し、引き続き前記既知のデータに代えて前記反転回路から出力されたデータを前記誤り訂正回路に供給した状態で前記誤り訂正処理及び前記反転処理からなる一連の処理を繰り返し実施させた直後に、
前記反転回路から出力されたデータに代えて前記メモリから読み出された前記既知のデータを前記誤り訂正回路に供給した際に前記誤り訂正回路が生成した訂正データを、前記データ端子から外部出力せしめることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
データを外部に出力するデータ端子と、
第2のテスト信号を受ける第2の入力端子と、を含み、
前記コントローラは、
前記第2の入力端子が前記第2のテスト信号を受けた場合に、前記メモリがデータの論理レベルを判定する為に用いる閾値を定格閾値とは異なる閾値に変更し、その状態で前記メモリから既知のデータを読み出して前記誤り訂正回路に供給し、引き続き前記既知のデータに代えて前記誤り訂正回路で生成された訂正データを前記誤り訂正回路に供給した状態で前記誤り訂正処理を繰り返し実施させた直後に、
前記メモリにおける前記閾値を前記定格閾値に戻し、その状態で前記メモリから読み出した前記既知のデータを前記誤り訂正回路に供給した際に前記誤り訂正回路が生成した訂正データを、前記データ端子から外部出力せしめることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記メモリ、前記誤り訂正回路及び前記コントローラを動作させる内部電源電圧を生成するレギュレータを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の半導体装置。
【請求項6】
最大の消費電流を測定するための消費電流テストを指示する第1のテスト信号を受ける第1の入力端子と、
誤りビットを含むビット配列を有するエラーデータが特定の領域に記憶されているメモリと、
供給されたデータに誤り訂正処理を施して訂正データを生成する誤り訂正回路と、
前記メモリを制御するコントローラと、を含む半導体装置のテスト方法であって、
前記コントローラは、前記第1の入力端子が前記第1のテスト信号を受けた場合に、前記メモリの前記特定の領域から前記エラーデータを読み出し、これを前記誤り訂正回路に供給し、
前記コントローラが前記エラーデータを前記誤り訂正回路に供給している間にLSIテスタで前記半導体装置の電流を測定することを特徴とする半導体装置のテスト方法。
【請求項7】
前記半導体装置は、データを外部に出力するデータ端子と、第2のテスト信号を受ける第2の入力端子と、供給されたデータに論理レベルを反転する反転処理を施して得たデータを出力する反転回路と、前記メモリ、前記誤り訂正回路及び前記コントローラを動作させる内部電源電圧を生成するレギュレータと、を更に含み、
前記コントローラは、
前記第2の入力端子が前記第2のテスト信号を受けた場合に、前記メモリから既知のデータを読み出しこれを前記誤り訂正回路に供給する第1のステップと、
前記既知のデータに代えて前記反転回路から出力されたデータを前記誤り訂正回路に供給した状態で前記誤り訂正処理及び前記反転処理からなる一連の処理を繰り返し実施させる第2のステップと、
前記反転回路から出力されたデータに代えて前記メモリから読み出された前記既知のデータを前記誤り訂正回路に供給した際に前記誤り訂正回路が生成した訂正データを、前記データ端子から外部出力せしめる第3のステップと、を実行し、
LSIテスタで、前記第3のステップで前記半導体装置の外部に出力されたデータと、前記既知のデータに相当する期待データとを比較することにより、前記内部電源電圧を最低の限度電圧にまで低下させた状態で前記半導体装置が正常に動作したか否かを判定することを特徴とする請求項に記載のテスト方法。
【請求項8】
前記半導体装置は、データを外部に出力するデータ端子と、第2のテスト信号を受ける第2の入力端子と、前記メモリ、前記誤り訂正回路及び前記コントローラを動作させる内部電源電圧を生成するレギュレータと、を更に含み、
前記コントローラは、
前記第2の入力端子が前記第2のテスト信号を受けた場合に、前記メモリがデータの論理レベルを判定する為に用いる閾値を定格閾値とは異なる閾値に変更する第1のステップと、
前記メモリから既知のデータを読み出しこれを前記誤り訂正回路に供給する第2のステップと、
前記既知のデータに代えて前記誤り訂正回路で生成された訂正データを前記誤り訂正回路に供給した状態で前記誤り訂正処理を繰り返し実施させる第3のステップと、
前記メモリにおける前記閾値を前記定格閾値に戻す第4のステップと、
前記メモリから読み出した前記既知のデータを前記誤り訂正回路に供給することで前記誤り訂正回路が生成した訂正データを、前記データ端子から外部出力せしめる第5のステップと、を実行し、
LSIテスタで、前記第5のステップで前記半導体装置の外部に出力されたデータと、前記既知のデータに相当する期待データとを比較することにより、前記内部電源電圧を最低の限度電圧にまで低下させた状態で前記半導体装置が正常に動作したか否かを判定することを特徴とする請求項に記載のテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特に誤り訂正回路を含む半導体装置、及び当該半導体装置の製品出荷前のテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリと、当該メモリから読み出されたデータに対して誤り訂正処理を施す誤り訂正回路と、を含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体装置に対する製品出荷前のテストでは、メモリに記憶されている既知のデータを読み出し、これが期待データと一致するか否かを判定することで、当該半導体装置が良品であるか否かをテストする。
【0003】
また、製品出荷前の他のテストとしては、当該半導体装置の動作時に消費する消費電流を測定する消費電流テストが行われる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-070509号公報
【文献】特開2007-178345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体装置の動作時の消費電流を測定する場合、必ずしも全ての回路素子が動作している訳ではないので、動作している回路素子の数により消費電流の測定結果が変化する。尚、当該半導体装置に供給する電源電圧を生成する電源装置の電流供給能力を決定することを考慮した場合、この半導体装置の最大消費電流を測定しておくことが望ましい。
【0006】
この際、上記したようなメモリ及び誤り訂正回路を含む半導体装置では、当該メモリから読み出されたデータに誤りが生じ、それに応じて誤り訂正回路が動作した際に消費電流が大きくなる。
【0007】
ところが、テスト時においてメモリから読み出されたデータに誤りが生じることは不確定であり、また、例え読み出されたデータに誤りが生じていても、このときに測定された消費電流が最大の消費電流であるとは限らない。
【0008】
そこで、メモリの複数の領域から順にデータの読出しを行いつつ消費電流を測定し、この間に測定された消費電流のうちで最も大きなものを最大消費電流とすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、このような方法で測定された最大消費電流の信頼性を高めるためには、メモリから繰り返しデータの読出しを行わなければならず、消費電流の測定に費やされる時間が長くなるという問題が生じる。
【0010】
また、メモリや誤り訂正回路等の内部回路に電源電圧を供給するレギュレータが半導体装置内に搭載されている場合に、当該内部回路で消費される電流が増えると、レギュレータによる電流供給が間に合わなくなり、その結果として電源電圧が低下する。そこで、半導体装置では、内部回路の消費電流が最大となりその分だけレギュレータで生成された電源電圧が低下しても内部回路が正常に動作するように、レギュレータ及び内部回路が設計されている。
【0011】
よって、製品出荷前のテストとして、レギュレータで生成する電源電圧を強制的に上記した最大消費電流を想定した分だけ低下させた状態で内部回路が正常に動作するか否かを確認するテストを行うのが望ましい。
【0012】
しかしながら、このような最大消費電流を想定した電源電圧の低下量は、製造バラツキ等により各製品(半導体装置)毎に異なる場合がある。よって、製品によっては、このテスト時にレギュレータが生成する電源電圧の低下量が大きすぎる、或いは少なすぎることになり、正確なテスト結果が得られない場合がある。
【0013】
そこで、本発明は、誤り訂正回路を含む半導体装置に対して高速に且つ信頼性の高いテストを実施することが可能な半導体装置及びそのテスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る半導体装置は、最大の消費電流を測定するための消費電流テストを指示する第1のテスト信号を受ける第1の入力端子と、誤りビットを含むビット配列を有するエラーデータが特定の領域に記憶されているメモリと、供給されたデータに誤り訂正処理を施して訂正データを生成する誤り訂正回路と、前記第1の入力端子が前記第1のテスト信号を受けた場合に、前記メモリの前記特定の領域から前記エラーデータを読み出して前記誤り訂正回路に供給するコントローラと、を備える。
【0015】
また、本発明に係る半導体装置のテスト方法は、最大の消費電流を測定するための消費電流テストを指示する第1のテスト信号を受ける第1の入力端子と、誤りビットを含むビット配列を有するエラーデータが特定の領域に記憶されているメモリと、供給されたデータに誤り訂正処理を施して訂正データを生成する誤り訂正回路と、前記メモリを制御するコントローラと、を含む半導体装置のテスト方法であって、前記コントローラは、前記第1の入力端子が前記第1のテスト信号を受けた場合に、前記メモリの前記特定の領域から前記エラーデータを読み出し、これを前記誤り訂正回路に供給し、前記コントローラが前記エラーデータを前記誤り訂正回路に供給している間にLSIテスタで前記半導体装置の電流を測定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る半導体装置は、誤り訂正回路と、誤りビットを含むエラーデータが特定領域に予め記憶されているメモリと、を含む。かかる半導体装置は、消費電流テストの実行を指示するテスト信号を受けた場合に、当該メモリからエラーデータを読み出し、これを誤り訂正回路に供給する。この際、誤り訂正回路は、自身に供給されるデータ中に誤りビットの数が多くなるほど誤り訂正処理を施している際に消費される電流が大きくなる。
【0017】
よって、誤り訂正回路がエラーデータに対して誤り訂正処理を施している際に、LSIテスタによりこの半導体装置の電源端子に流れる電流を測定することで、最大の消費電流を測定することが可能となる。
【0018】
更に、当該半導体装置では、誤り訂正回路の消費電流を最大にすることが可能なエラーデータを予めメモリの特定の領域に記憶しているので、メモリに対する1回分の読出アクセスにより、電流消費が最も大きい状態に設定することができる。よって、誤り訂正回路の電流消費が最も大きい状態を見つけ出すために、メモリの複数の箇所からランダムに各データ片を順に読み出す場合に比べて、テスト時間の短縮を図ることが可能となる。
【0019】
したがって、本発明によれば、高速に且つ信頼性の高いテストを実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】半導体装置100の構成を示すブロック図である。
図2】メモリ12の記憶領域の概要を示す図である。
図3】製品出荷前の各種テストを実施する為のテストシステムの構成を示す図である。
図4】LSI200及び半導体装置100の各々で行われる消費電流テストでの動作シーケンスを示す図である。
図5】LSI200及び半導体装置100の各々で行われる低電圧テストでの動作シーケンスを示す図である。
図6】LSI200及び半導体装置100の各々で行われる低電圧テストでの他の動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1は、誤り訂正回路としてのECC(Error Correction Code)回路を含む半導体装置100の概略構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、半導体装置100は、レギュレータ10、コントローラ11、メモリ12、セレクタ21、ECC回路22及び反転回路23を含む。尚、半導体装置100は、外部端子として、電源端子Td及びTs、メモリ制御端子群Tg、データ端子T0、第1及び第2のテスト用入力端子T1及びT2を有する。
【0023】
レギュレータ10は、電源端子Td及びTsで受けた電源電位VDD及び接地電位VSSに基づき、所定電圧値を有する直流の内部電源電圧VIDを生成し、これをメモリ12、コントローラ11、セレクタ21、ECC回路22及び反転回路23に供給する。コントローラ11、メモリ12、セレクタ21、ECC回路22及び反転回路23は、かかる内部電源電圧VIDを受けることで動作する。
【0024】
コントローラ11は、第1のテスト信号として、消費電流テストを指示する例えば論理レベル1の消費電流テスト信号TE1をテスト用入力端子T1で受けた場合に、テストモードとなり、エラーデータ(後述する)の読出しを指示する制御信号をメモリ12に供給する。
【0025】
また、コントローラ11は、第2のテスト信号として、低電圧テストを指示する例えば論理レベル1の低電圧テスト信号TE2をテスト用入力端子T2で受けた場合に、テストモードとなり、メモリ12のユーザ領域に記憶されているデータの読み出しを指示する制御信号をメモリ12に供給する。更に、論理レベル1の低電圧テスト信号TE2に応じて、コントローラ11は、内部電源電圧VIDの低下を促す例えば論理レベル1の低電圧化信号LVSを、後述するECC回路22及び反転回路23による繰り返し処理の回数が所定回数に到るまで、セレクタ21及び反転回路23に供給する。
【0026】
尚、テスト用入力端子T1及びT2で夫々受けた消費電流テスト信号TE1及び低電圧テスト信号TE2が共に論理レベル0である場合には、コントローラ11は通常モードとなる。当該通常モードでは、コントローラ11は、メモリ制御端子群Tgを介して受けた、イネーブル信号、書込信号、読出信号等のメモリ制御用の各種のコマンドMCSに応じて、データの読出、書込又は消去を指示する制御信号をメモリ12に供給する。更に、当該通常モードでは、コントローラ11は、論理レベル0の低電圧化信号LVSをセレクタ21、ECC回路22及び反転回路23に供給する。
【0027】
メモリ12は、例えば不揮発性の半導体メモリであり、図2に示すようにユーザ領域及びテスト領域を含むデータ記憶領域を有する。
【0028】
ユーザ領域には、ユーザが生成したデータに対して例えばBCH符号、リードソロモン符号、又はLDPC(low density parity check code)等で誤り訂正符号化されたデータが記憶される。また、ユーザ領域には、BCH符号、リードソロモン符号、又はLDPC等で誤り訂正符号化された、アプリケーションソフト用のプログラムデータ等が予め記憶されている。
【0029】
テスト領域には、ECC回路22の誤り訂正符号方式(例えばBCH符号、リードソロモン符号、又はLDPC)で所定のデータを符号化した符号化データのビット配列中に、少なくとも1つの誤りビットを含ませたエラーデータQDが予め記憶されている。尚、エラーデータQDとしては、ECC回路22では訂正することができない数の誤りビットを含むものであることが望ましい。
【0030】
メモリ12は、コントローラ11からデータの書込を促す制御信号を受けた場合には、データ端子T0で受けたアドレスADにて示される記憶領域内の位置に、当該データ端子T0で受けた例えば8ビットのデータDATを書き込む。尚、データDATは、上記したBCH符号、リードソロモン符号、又はLDPC等で符号化されたデータである。
【0031】
また、コントローラ11からデータの読み出しを促す制御信号を受けた場合には、メモリ12は、図2に示す記憶領域に記憶されているデータを読み出し、これをセレクタ21に供給する。
【0032】
セレクタ21は、低電圧化信号LVSに基づき、メモリから読み出された読出データと、反転回路23から出力されたデータRCDとのうちから一方を選択し、これをデータRDとしてECC回路22に供給する。すなわち、セレクタ21は、低電圧化信号LVSが論理レベル1を示すときにはデータRCDを選択し、これをデータRDとしてECC回路22に供給する。一方、低電圧化信号LVSが論理レベル0を示すときにはセレクタ21は、メモリから読み出された読出データを選択し、これをデータRDとしてECC回路22に供給する。
【0033】
ECC回路22は、自身に供給されたデータRDに対して、上記したBCH符号、リードソロモン符号、又はLDPC等の符号化方式に対応した誤り訂正処理を施すことで、当該データRDに生じているビット誤りを訂正する。ECC回路22は、このようにデータRDに生じているビット誤りを訂正した訂正データCDを生成し、これを反転回路23に供給する。尚、ECC回路22は、データRDにビット誤りが生じていない場合には、当該データRDをそのまま訂正データCDとして反転回路23に供給する。
【0034】
反転回路23は、低電圧化信号LVSが論理レベル0を示すときには、訂正データCDをそのままデータRCDとして出力し、これをセレクタ21に供給する。更に、反転回路23は、当該データRCDを上記したデータDATとしてデータ端子T0から外部出力する。
【0035】
一方、低電圧化信号LVSが内部電源電圧VIDの電圧低下を促す論理レベル1を示すときには、反転回路23は、訂正データCDの全ビットの論理レベルを反転する反転処理を行う。この際、反転回路23は、かかる反転処理が施されたデータを、上記したデータRCDとしてセレクタ21に供給する。
【0036】
すなわち、セレクタ21、ECC回路22及び反転回路23は、論理レベル1の低電圧化信号LVSを受けている間は、ECC回路22で生成された訂正データCDの全ビットを反転させたものを、このECC回路22に帰還供給するという動作を繰り返し実行する。一方、論理レベル0の低電圧化信号LVSを受けている間は、セレクタ21、ECC回路22及び反転回路23は、ECC回路22で誤り訂正が施された訂正データを、そのままデータDATとしてデータ端子T0から外部出力する。
【0037】
以下に、上記した半導体装置100に対して製品出荷前に実施される消費電流テスト及び低電圧テストについて順に説明する。
【0038】
尚、消費電流テストでは、半導体装置100が消費する最大の消費電流を測定する。一方、低電圧テストでは、内部電源電圧VIDがコントローラ11、メモリ12及びECC回路22の正常動作を保証し得る最低の限度電圧まで低下した場合でも、実際にコントローラ11、メモリ12及びECC回路22が正常に動作するか否かを確認するテストを行う。尚、当該最低の限度電圧は、消費電流の増加に伴って低下する内部電源電圧VIDの電圧値のうちで、ECC回路22の消費電流が最大となる際の内部電源電圧VIDの電圧値を有する。
【0039】
図3は、製品出荷前のテストを実施する為のテストシステムの構成を示す図である。
【0040】
図3に示すように、半導体装置100をテストするLSIテスタ200を、半導体装置100の電源端子Td及びTs、データ端子T0、第1及び第2のテスト用入力端子T1及びT2に接続する。
[消費電流テスト]
先ず、消費電流テストについて、LSIテスタ200及び半導体装置100の各々で行われる図4に示す動作シーケンスに沿って説明する。
【0041】
LSIテスタ200は、先ず、消費電流テスト信号TE1を半導体装置100に送出し(ステップS11)、その後、半導体装置100の電源端子Td及びTsに流れる電流の測定を開始する(ステップS12)。
【0042】
当該消費電流テスト信号TE1を受けると、コントローラ11は、メモリ12から図2に示すテスト領域に記憶されているエラーデータQDを読み出す(ステップS21)。これにより、読み出されたエラーデータQDはセレクタ21を介してECC回路22に供給される。よって、ECC回路22は、当該エラーデータQDに対して誤り訂正処理を施す(ステップS22)。尚、ECC回路22は、誤り訂正不可なデータに対して誤り訂正処理を施している場合に最も電力消費量が大きくなる。
【0043】
そこで、LSIテスタ200は、ECC回路22がエラーデータQDに対して誤り訂正処理を実施している間に電源端子Td及びTsに流れる電流を測定し、その測定結果を最大消費電流として表す情報をディスプレイ(図示せず)に表示させる(ステップS13)。
【0044】
このように、半導体装置100では、消費電流テストにおいて、誤りビットを含むビット配列を有するエラーデータQDをECC回路22に供給することで、強制的にECC回路22で消費される電流が大となる状態を作り出している。よって、この状態で半導体装置100の電源端子に流れる電流をLSIテスタ200で測定することで、最大の消費電流を測定することが可能となる。
【0045】
ここで、半導体装置100では、ECC回路22の消費電流を最大の状態にさせるエラーデータQDを、メモリ12の特定のテスト領域に記憶しているので、メモリ12に対する1回分の読出アクセスにより、ECC回路22を電流消費が最も大きい状態にすることが可能となる。よって、ECC回路の電流消費が最も大きい状態を見つけ出すために、メモリの複数の箇所からランダムに各データ片を順に読み出す場合に比べて、テスト時間の短縮が図られる。
【0046】
したがって、本発明に係る半導体装置100によれば、高速に且つ信頼性の高いテストを実施することが可能となる。
[低電圧テスト]
次に、低電圧テストについて、LSIテスタ200及び半導体装置100の各々で行われる図5に示す動作シーケンスに沿って説明する。尚、かかる低電圧テストを実施するにあたり、メモリ12のユーザ領域には予め既知のデータ(例えばアプリケーションソフトウェアのプログラムデータ等)が記憶されているものとする。また、初期状態において、コントローラ11は、論理レベル0の低電圧化信号LVSをセレクタ21及び反転回路23に供給しているものとする。
【0047】
LSIテスタ200は、先ず、低電圧テスト信号TE2を半導体装置100に送出する(ステップS31)。
【0048】
当該低電圧テスト信号TE2を受けると、コントローラ11は、メモリ12のユーザ領域から所定の既知のデータを読み出す(ステップS41)。メモリ12から読み出された既知データは、セレクタ21を介してECC回路22に供給される。ECC回路22は、このセレクタ21を介して供給されたデータに対して誤り訂正処理を施す(ステップS42)。
【0049】
次に、コントローラ11は、論理レベル1の低電圧化信号LVSをセレクタ21及び反転回路23に供給する(ステップS43)。これにより、反転回路23は、ECC回路22で誤り訂正処理が施された訂正データの全ビットの論理レベルを反転したデータを出力し、これをセレクタ21を介してECC回路22に帰還供給する(ステップS44)。すると、ECC回路22は、この帰還供給されたデータに対して誤り訂正処理を施す(ステップS45)。
【0050】
コントローラ11は、上記したECC回路22及び反転回路23による一連の処理(S44、S45)が所定回数分だけ繰り返し実施されたか否かを判定する(ステップS46)。ECC回路22及び反転回路23による一連の処理の繰り返し回数が所定回数未満である場合には、コントローラ11は、論理レベル1の低電圧化信号LVSを引き続き、セレクタ21及び反転回路23に供給する。これにより、ECC回路22及び反転回路23による一連の処理(S44、S45)が所定回数分だけ繰り返し実施される。
【0051】
ここで、ECC回路22及び反転回路23による一連の処理(S44、S45)が所定回数分だけ繰り返し実施されたと判定した場合、コントローラ11は、低電圧化信号LVSを論理レベル1から論理レベル0に切り替える(ステップS47)。これにより、メモリ12から読み出された上記既知のデータは、再びセレクタ21を介してECC回路22に供給される。そこで、ECC回路22は、このセレクタ21を介して供給された既知のデータに対して誤り訂正処理を施して得た訂正データを反転回路23に供給する(ステップS48)。ここで、反転回路23は、論理レベル0の低電圧化信号LVSに応じて反転処理を停止し、ECC回路22で生成された訂正データをそのままデータDATとして、データ端子T0を介してLSIテスタ200に送出する(ステップS49)。
【0052】
LSIテスタ200は、上記した低電圧テスト信号TE2を送出してから、所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS32)。尚、所定期間とは、ECC回路22及び反転回路23による一連の処理を所定回数だけ繰り返し実施するのに費やされる時間長に対応した期間に設定されている。
【0053】
所定期間が経過したと判定した場合、LSIテスタ200は、半導体装置100から送出されたデータDATが期待データと一致しているか否かを比較し、その比較結果を低電圧テスト結果として表示する(ステップS33)。
【0054】
このように、低電圧テストでは、先ず、テスト対象の半導体装置100に含まれるメモリ12のユーザ領域から既知のデータを読み出す(S41)。ここで、メモリ12から読み出された読出データに対してECC回路22で誤り訂正処理を施し(S42)、引き続きこの誤り訂正処理が施された訂正データに対して全ビットを反転させる反転処理を施したデータをECC回路22に帰還供給する(S43)。この際、ECC回路22に供給されるデータ中に誤りビットが存在する場合には、存在しない場合に比べてECC回路22で消費される電流量は大きくなる。
【0055】
そこで、図1に示す構成では、ECC回路22で生成された訂正データに対して反転処理(S44)を施すことで、訂正データに強制的にビット誤りを生じさせ、このビット誤りを生じさせたデータに対して再びECC回路22で誤り訂正処理(S45)を施す。
【0056】
かかる誤り訂正処理及び反転処理からなる一連の処理(S44、S45)を繰り返し行うことで、ECC回路22で消費される電流量が大となる状態が継続し、それに伴い、レギュレータ10が生成する内部電源電圧VIDの電圧値が低下する。
【0057】
つまり、当該一連の処理(S44、S45)を繰り返し実行することで、レギュレータ10で生成される内部電源電圧VIDを、コントローラ11、メモリ12及びECC回路22の正常動作を保証し得る最低の限度電圧まで低下させるのである。そして、このような一連の処理(S44、S45)を所定回数だけ実施した直後に、メモリ12から読み出された既知データを再びECC回路22に供給する。これにより、当該既知データに対してECC回路22が誤り訂正処理を施して得た訂正データ(CD)が、そのままデータDATとしてLSIテスタ200に送出される(S49)。
【0058】
よって、LSIテスタ200側では、このデータDATと期待データとを比較する(S33)ことで、テスト対象となった半導体装置100に対して実際に内部電源電圧VIDを最低の限度電圧まで低下させた状態で、半導体装置100が正常動作するか否かを確認することができる。
【0059】
したがって、図1に示す半導体装置100の構成によれば、製造バラツキ等により各製品(半導体装置100)毎に内部電源電圧の低下量が異なっていても、その製品毎に内部電源電圧を最大の限度電圧まで低下させた状態で正常に動作するか否かを判定する低電圧テストを実施することが可能となる。
【0060】
尚、図5に示す低電圧テストを実施するにあたり、図1に示す構成では、訂正データCDに対して反転処理を施すことにより、ECC回路22に供給する読出データに意図的にビット誤りを生じさせている。しかしながら、他の方法でECC回路22に供給する読出データにビット誤りを生じさせるようにしても良い。例えば、メモリ12のユーザ領域から既知データを読み出す際に、メモリ12側でその既知データの論理レベル0又は1を判定する為の閾値を、前述したようなビット誤りが生じるような値に変更しても良い。
【0061】
図6は、かかる点に鑑みて為された低電圧テストでの他の動作シーケンスを示す図である。
【0062】
尚、図6に示す動作シーケンスでは、ステップS41の直前にステップS40を行い、ステップS47及びS48間にステップS480を追加した点を除く他の動作は、図5に示すものと同一である。よって、以下にステップS40及びS480を中心にその動作を説明する。
【0063】
図6に示すように、半導体装置100が低電圧テスト信号TE2を受けると、コントローラ11は、読出データの論理レベル0及び1の判定を行わせる閾値を定格の閾値とは異なる他の閾値に変更させるようにメモリ12を制御する(ステップS40)。よって、次のステップS41において、メモリ21は、この変更後の閾値を用いて、メモリ12のユーザ領域から既知データを読み出すことになる。
【0064】
その後、コントローラ11は、ステップS47において低電圧化信号LVSを論理レベル1から論理レベル0の状態に切り替え、引き続き読出データの論理レベル0及び1の判定を行わせる閾値を定格閾値に戻すようにメモリ12を制御する(ステップS480)。
【0065】
尚、メモリ12における読出データを判定するための閾値を変更することで当該読出データに意図的にビット誤りを生じさせる場合には、図1に示す反転回路23、及び図6に示すステップS44を省いても良い。つまり、この際、ECC回路22で生成された訂正データCDをセレクタ21に帰還供給すれば良い。
【符号の説明】
【0066】
10 レギュレータ
11 コントローラ
12 メモリ
21 セレクタ
22 ECC回路
23 反転回路
100 半導体装置
200 LSIテスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6