(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】通知応答回路
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20231109BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20231109BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231109BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20231109BHJP
【FI】
H04B5/02
H04B1/59
H02J50/10
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2021522803
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 JP2020020871
(87)【国際公開番号】W WO2020241670
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2019099099
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森岡 健一
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-146182(JP,A)
【文献】特開2010-102701(JP,A)
【文献】国際公開第2014/091934(WO,A1)
【文献】特開2007-306240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/02
H04B 1/59
H02J 50/10
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電磁場に基づいて電流を生成可能な受信コイルと、
前記受信コイルに接続され、複数のキャパシタを有してキャパシタンスを変化させることが可能な可変キャパシタ回路、基準電圧の電圧値に応じて前記受信コイルとの間の一対の接続ラインの間の
電圧であるクランプ電圧の電圧値を変化させることが可能な電圧出力回路、及び複数の抵抗を有して抵抗値を変化させることが可能な可変抵抗回路の少なくとも2つの回路を有する特性可変回路と、
前記少なくとも2つの回路のうちのいずれかを選択的に切り替えて制御し、前記受信コイルと前記受信コイルに接続された回路部分のインピーダンスを変化させる切替制御回路と、
を備え
、
前記インピーダンス値は、前記キャパシタンス、前記クランプ電圧の電圧値又は前記抵抗値の変化によって変化し、
前記切替制御回路は、前記インピーダンスの変化による前記電磁場の強度の変化が所定値未満であった場合に、前記少なくとも2つの回路の切り替えを行うことを特徴とする通知応答回路。
【請求項2】
前記インピーダンス値の変化によって変わった前記電磁場の強度に基づいて、外部回路からの信号に対する応答を行うことを特徴とする請求項
1に記載の通知応答回路。
【請求項3】
前記特性可変回路は、前記可変キャパシタ回路を有し、
前記可変キャパシタ回路は、前記複数のキャパシタの接続を切り替える少なくとも1つの第1のスイッチング素子をさらに有することを特徴とする請求項1
又は2に記載の通知応答回路。
【請求項4】
前記特性可変回路は、前記電圧出力回路を有し、
前記電圧出力回路は、前記一対の接続ラインを介して前記受信コイルに接続され、前記基準電圧の電圧値と前記一対の接続ラインの間の電圧の電圧値とを比較することにより、前記一対の接続ラインの間に定電圧を出力するシャント回路であることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1に記載の通知応答回路。
【請求項5】
前記特性可変回路は、前記可変抵抗回路を有し、
前記可変抵抗回路は、前記複数の抵抗の接続を切り替える少なくとも1つの第2のスイッチング素子をさらに有することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1に記載の通知応答回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信の受信側回路に設けられた通知応答回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離無線通信(NFC: Near field communication)を用いた情報伝送や電力伝送が広く行われている。このような近距離無線通信の通信システムには、例えば電磁場を発生してデータを送信する送信側回路と、送信側回路が発生した電磁場に基づいて動作する受信側回路とが設けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような近距離無線通信の通信システムにおいて、受信側回路から送信側回路に対して通知応答を行うための手段として、受信側回路がインピーダンス変化を起こすことにより、送信側に流れる電流量を変化させることが行われている。送信側回路では、このときに発生した電流変化を受信側回路からの通知応答として処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受信側回路においてインピーダンス変化を起こすためには、マッチング用キャパシタの切り替えを行う、シャント回路を制御してクランプ電圧を切り替える、負荷抵抗を切り替える等の手段を用いることが考えられる。
【0006】
しかしながら、送信側回路と受信側回路との間の距離や電磁場の周波数等の関係によっては、上記のような手段を用いてもインピーダンス変化が生じない場合がある。例えば、異なる抵抗値で同じインピーダンスとなる周波数のポイントが存在する。このような周波数で受信側回路の負荷抵抗を変化させても、送信側から見たインピーダンスは変化しない。このため、送信側回路が受信側回路からの通知応答を受け取ることができない場合があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、近距離無線通信における受信側回路から送信側回路への通知応答を円滑に行うことが可能な通知応答回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る通知応答回路は、外部の電磁場に基づいて電流を生成可能な受信コイルと、前記受信コイルに接続され、複数のキャパシタを有してキャパシタンスを変化させることが可能な可変キャパシタ回路、基準電圧の電圧値に応じて前記受信コイルとの間の一対の接続ラインの間の電圧であるクランプ電圧の電圧値を変化させることが可能な電圧出力回路、及び複数の抵抗を有して抵抗値を変化させることが可能な可変抵抗回路の少なくとも2つの回路を有する特性可変回路と、前記少なくとも2つの回路のうちのいずれかを選択的に切り替えて制御し、前記受信コイルと前記受信コイルに接続された回路部分のインピーダンスを変化させる切替制御回路と、を備え、前記インピーダンス値は、前記キャパシタンス、前記クランプ電圧の電圧値又は前記抵抗値の変化によって変化し、前記切替制御回路は、前記インピーダンスの変化による前記電磁場の強度の変化が所定値未満であった場合に、前記少なくとも2つの回路の切り替えを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通知応答回路によれば、受信側回路から送信側回路への通知応答を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施例の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】マッチング用キャパシタ回路の構成を抜き出して示す回路図である。
【
図3】シャント回路の構成を抜き出して示す回路図である。
【
図4】負荷抵抗回路の構成を抜き出して示す回路図である。
【
図5】送信側回路の動作を示すフローチャートである。
【
図6】受信側回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0012】
図1は、本実施例の通信システム100の構成を示す回路図である。通信システム100は、送信側回路10及び受信側回路20から構成されている。送信側回路10は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)のリーダライタに設けられている。受信側回路20は、例えばRFIDのパッシブタグに設けられている。
【0013】
送信側回路10及び受信側回路20は、送信コイルTC及び受信コイルRCを介して、電磁波を利用した近距離無線通信の規格に準じた通信を行う通信回路である。本実施例では、送信コイルTCにより一定の強さを有する高周波(例えば、13.56MHz)の交流磁界が形成される場合を例として説明する。受信コイルRCは、この交流磁界に磁界結合することにより交流電流を生成し、受信側回路20の各部に当該交流電流を供給する。
【0014】
送信側回路10は、送信コイルTCが発生する電磁場を介して情報パケットの送信を行う。例えば、本実施例の送信側回路10は、受信側回路20に対して通知応答を要求する通知応答要求を情報パケットとして送信する。送信側回路10は、送信制御回路11及び電流変化検出回路12を含む。
【0015】
送信制御回路11は、送信側回路10の各部の動作を制御する。例えば、送信制御回路11は、送信コイルTCを介した情報パケットの送受信を制御する。送信制御回路11は、ラインL1及びL2を介して送信コイルTCに接続されている。
【0016】
電流変化検出回路12は、ラインL1及びL2を介して送信コイルTCに接続されている。電流変化検出回路12は、送信コイルTCからラインL1及びL2に流れる電流の変化を検出し、検出結果を送信制御回路11に通知する。
【0017】
受信側回路20は、受信コイルRCに接続され、受信側回路20は、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の磁界結合に基づいて、送信側回路10から送信された情報パケットを受信する回路である。なお、受信側回路20は、例えば受電回路(図示せず)を有し、送信コイルTCにより発生した電磁場を介して、送信側回路10から電力供給を受けて動作する回路であってもよい。
【0018】
また、受信側回路20は、送信側回路10からの通知応答要求に対して、受信コイルRCに接続された回路部分(例えば、受信側回路20内の回路部分20A)の回路特性を変化させることにより、送信側回路10への通知応答を行う。
【0019】
例えば、本実施例の受信側回路20は、送信側回路10から送信された通知応答要求に応じて、受信コイルRC及び受信コイルRCに接続された回路部分のインピーダンス(以下、受信側のインピーダンスと称する)を変化させる。これにより、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の磁界の強さが変化し、送信側回路10のラインL1及びL2を流れる電流が変化する。送信側回路10は、かかる電流の変化を、受信側回路20からの通知応答として検出する。すなわち、本実施例の受信側回路20は、近距離無線通信における受信側から送信側への通知応答を行う通知応答回路を受信コイルRCとともに構成している。
【0020】
受信側回路20は、受信制御回路21、マッチングキャパシタ回路22、シャント回路23、負荷抵抗回路24及び通知応答切替回路25を含む。マッチングキャパシタ回路22、シャント回路23及び負荷抵抗回路24の各々は、ラインL3及びL4を介して受信コイルRCに接続されている。
【0021】
受信制御回路21は、送信側回路10からの情報パケットの受信を制御する制御回路である。また、受信制御回路21は、受信側回路20の各部の動作を制御する。例えば、受信制御回路21は、通知応答切替回路25を制御して、通知応答処理の動作を実行させる。また、受信制御回路21は、受信コイルRCと送信コイルTCとの間に形成されている電磁界に状態の変化(例えば、磁界の強さの変化)が生じたか否かを判定する機能を有する。
【0022】
図2は、マッチング用キャパシタ回路22の構成を抜き出して示す回路図である。マッチング用キャパシタ回路22は、切替スイッチSW1a及び切替スイッチSW1b(
図2に示す切替部SW1)と、キャパシタC1及びキャパシタC2とから構成されている。
【0023】
切替スイッチSW1aは、一端が接地され、他端をキャパシタC1に接続するかどうかを切り替える切替スイッチである。切替スイッチSW1aは、通知応答切替回路25の制御に応じて接続の切り替えを行う。
【0024】
切替スイッチSW1bは、一端が接地され、他端をキャパシタC2に接続するかどうかを切り替える切替スイッチである。切替スイッチSW1bは、通知応答切替回路25の制御に応じて接続の切り替えを行う。
【0025】
キャパシタC1及びキャパシタC2は、互いに異なる静電容量を有するキャパシタである。キャパシタC1の一端は切替スイッチSW1aを介して接地されており、キャパシタC1の他端はラインL3に接続されている。キャパシタC2の一端は切替スイッチSW1bを介して接地されており、キャパシタC2の他端はラインL4に接続されている。例えば、切替スイッチSW1a、SW1bの切り替えに応じてキャパシタC1及びキャパシタC2のいずれかが接地される。例えば、通知応答切替回路25は、切替スイッチSW1a、SW1bの両方をオフするように制御してもよい。
【0026】
図3は、シャント回路23の構成を抜き出して示す回路図である。シャント回路23は、ラインL3及びL4を介して、受信コイルRCからラインL3及びL4に流れる電流を整流する整流回路(図示せず)に接続されている。シャント回路23は、トランジスタNM1、オペアンプOP1、抵抗R1、抵抗R2、及び基準電圧発生回路31を含む。
【0027】
トランジスタNM1は、例えばNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタNM1のソースはラインL4、ドレインはL3に接続されている。
【0028】
オペアンプOP1は、非反転入力端が抵抗R1と抵抗R2との間の接続ノードに接続され、出力端がトランジスタNM1のゲートに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端には、基準電圧発生回路31から出力された基準電圧が供給される。
【0029】
抵抗R1の一端は、ラインL3に接続されている。抵抗R2の一端は、ラインL4に接続されている。抵抗R1及び抵抗R2の各々の他端は、互いに接続されるとともにオペアンプOP1の非反転入力端に接続されている。すなわち、オペアンプOP1の非反転入力端には、ラインL3及びL4の電圧を抵抗R1及びR2で案分した電圧が供給される。
【0030】
基準電圧発生回路31は、基準電圧を生成してオペアンプOP1の非反転入力端に供給する。その際、基準電圧発生回路31は、通知応答切替回路25の制御に応じて、基準電圧の電圧値を切り替える。
【0031】
シャント回路23は、ラインL3及びL4を抵抗R1及びR2で案分した電圧と基準電圧とを比較して、定電圧(以下、クランプ電圧と称する)を出力する回路である。本実施例では、通知応答切替回路25の制御により基準電圧発生回路31が生成する基準電圧の電圧値が切り替わるため、これに応じてクランプ電圧の電圧値が切り替わる。
【0032】
図4は、負荷抵抗回路24の構成を抜き出して示す回路図である。負荷抵抗回路24は、切替スイッチSW2a及び切替スイッチSW2b(
図2に示す切替部SW2)と、抵抗R3及び抵抗R4とから構成されている。
【0033】
切替スイッチSW2aは、一端が接地され、他端を抵抗R3に接続するかどうかを切り替える切替スイッチである。切替スイッチSW2aは、通知応答切替回路25の制御に応じて接続の切り替えを行う。
【0034】
切替スイッチSW2bは、一端が接地され、他端を抵抗R4に接続するかどうかを切り替える切替スイッチである。切替スイッチSW2bは、通知応答切替回路25の制御に応じて接続の切り替えを行う。
【0035】
抵抗R3及び抵抗R4は、互いに異なる抵抗値を有する負荷抵抗である。抵抗R3の一端は切替スイッチSW2aを介して接地されており、抵抗R3の他端はラインL3に接続されている。抵抗R4の一端は切替スイッチSW2bを介して接地されており、抵抗R4の他端はラインL4に接続されている。例えば、切替スイッチSW2a、SW2bの切り替えに応じて抵抗R3及び抵抗R4のいずれかが接地される。例えば、通知応答切替回路25は、切替スイッチSW2a、SW2bの両方をオフするように制御してもよい。
【0036】
このように、マッチング用キャパシタ回路22は自身のキャパシタを変化させ、シャント回路23はラインL3及びL4の間のクランプ電圧を変化させ、負荷抵抗回路24は受信コイルRCに接続される負荷抵抗の抵抗値を変化させる。すなわち、マッチング用キャパシタ回路22、シャント回路23及び負荷抵抗回路24は、受信コイルRCに接続された回路部分の回路特性を変化させる可変特性回路である。
【0037】
通知応答切替回路25は、マッチング用キャパシタ回路22、シャント回路23及び負荷抵抗回路24のいずれかをセレクタSLを介して選択的に切替制御し、キャパシタクランプ電圧又は負荷抵抗の切り替えを実行させる回路である。かかる切替制御は、受信側回路20から送信側回路10への通知を円滑に行うために行われる。これについて、以下説明する。
【0038】
例えば、マッチング用キャパシタ回路22においてキャパシタの切り替えを行うと、通常の場合、受信側のインピーダンスに変化が生じる。しかし、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の距離や、周波数の関係によっては、インピーダンスの変化がほとんど生じないポイント(条件)が存在する。同様に、シャント回路23におけるクランプ電圧の切り替え、負荷抵抗回路24における負荷抵抗の切り替えを行った場合でも、受信側のインピーダンスに変化がほとんど生じない場合がある。インピーダンスの変化が生じないと、送信側回路10と受信側回路20との間の通信状態(例えば、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の磁界の強さ等)に変化が生じず、送信側回路10において電流の変化が検出されないため、送信側回路10は受信側回路20からの通知応答を受け取ることができない。
【0039】
本実施例の通知応答切替回路25は、このような状態を避け、受信側回路20から送信側回路10への円滑な通知応答を可能とするために設けられている。すなわち、通知応答切替回路25が制御対象となる回路の切り替えを適宜行い、いずれかの可変特性回路を用いてインピーダンスの変化を生じさせることにより、円滑に通知応答を行うことが可能となる。
【0040】
次に、通信システム100における通知応答処理の処理ルーチンについて説明する。まず、送信側回路10の動作について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
送信側回路10の送信制御回路11は、送信コイルTCにより生成された電磁場を介して受信側回路20に通知応答要求を送信する(STEP101)。
【0042】
通知応答要求に対する通知応答の動作が受信側回路20によってなされ、インピーダンスに変化が生じると、送信コイルTC及び受信コイルRCの間の磁界に変化が生じ、ラインL1及びL2を流れる電流に変化が生じる。電流変化検出回路12は、当該電流の変化を検出する。
【0043】
送信制御回路11は、電流変化検出回路12によりラインL1及びL2を流れる電流の変化が検出されたか否かを判定する(STEP102)。例えば、送信制御回路11は、所定値以上の電流値の変化が生じた場合に、電流の変化が検出されたと判定する。電流の変化が検出されないと判定すると(STEP102:NO)、STEP101に戻り、再び受信側回路20への通知応答要求を行う。
【0044】
一方、電流の変化が検出されたと判定すると(STEP102:YES)、送信制御回路11は、送信停止等の処理を行い(STEP103)、通知応答処理のための動作を終了する。
【0045】
なお、所定回数の通知応答要求の実行又は所定時間の経過にも関わらず電流の変化が検出されなかった場合、STEP101に戻らずにタイムアウトとして処理を終了するようにしてもよい。
【0046】
次に、受信側回路20の動作について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、受信側回路20の受信制御回路21は、送信側回路10から通知応答要求を受信したか否かを判定する(STEP201)。通知応答要求を受信していないと判定すると(STEP201:NO)、処理を終了する。
【0048】
一方、通知応答要求を受信したと判定すると(STEP201:YES)、受信制御回路21は、通知応答切替回路25を制御して、通知応答処理の動作を実行させる。
【0049】
通知応答切替回路25は、セレクタSLを用いた切替制御により、通知応答に用いる特性可変回路としてシャント回路23を選択する(STEP202)。シャント回路23は、通知応答切替回路25の制御に応じてクランプ電圧の切り替えを行う(STEP203)。
【0050】
受信制御回路21は、シャント回路23によるクランプ電圧の切り替えにより、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の電磁場の変化が生じたか否か(すなわち、状態変化が確認されたか)を判定する(STEP204)。例えば、クランプ電圧の切り替えにより受信側のインピーダンスに変化が生じた場合、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の磁界の強さが変化する。受信制御回路21は、例えば所定値以上の磁界強度の変化が生じた場合に、状態変化が確認されたと判定する。受信制御回路21は、状態変化が確認されたと判定すると(STEP204:YES)、通知応答が送信側回路10に伝わったとみなして、処理を終了させる。
【0051】
一方、状態変化が確認されない場合(STEP204:NO)、通知応答切替回路25は、切替制御により、通知応答に用いる特性可変回路としてマッチング用キャパシタ回路22を選択する(STEP205)。マッチング用キャパシタ回路22は、通知応答切替回路25の制御に応じてキャパシタの切り替えを行う(STEP206)。
【0052】
受信制御回路21は、マッチング用キャパシタ回路22におけるキャパシタの切り替え(すなわち、キャパシタンスの変化)により、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の電磁場の変化が生じたか否か(すなわち、状態変化が確認されたか)を判定する(STEP207)。STEP203と同様に、受信制御回路21は、例えば所定値以上の磁界強度の変化が生じた場合に、状態変化が確認されたと判定する。受信制御回路21は、状態変化が確認されたと判定すると(STEP207:YES)、通知応答が送信側回路10に伝わったとみなして、処理を終了させる。
【0053】
一方、状態変化が確認されない場合(STEP207:NO)、通知応答切替回路25は、切替制御により、通知応答に用いる特性可変回路として負荷抵抗回路24を選択する(STEP208)。負荷抵抗回路24は、通知応答切替回路25の制御に応じて負荷抵抗の切り替えを行う(STEP209)。
【0054】
受信制御回路21は、負荷抵抗の切り替えにより、送信コイルTCと受信コイルRCとの間の電磁場の変化が生じたか否か(すなわち、状態変化が確認されたか)を判定する(STEP210)。STEP203と同様に、受信制御回路21は、例えば所定値以上の磁界強度の変化が生じた場合に、状態変化が確認されたと判定する。状態変化が確認されない場合(STEP210:NO)、再びSTEP201に戻り、受信側回路20は、送信側回路10からの通知応答要求の受信を待つ。
【0055】
一方、状態変化が確認されたと判定すると(STEP210:YES)、受信制御回路21は、通知応答が送信側回路10に伝わったとみなして、通知応答処理を終了させる。
【0056】
なお、
図6では、シャント回路23、マッチング用キャパシタ回路22及び負荷抵抗回路24の順番に通知応答手段として切り替えるかどうかを判定しているが、通知応答手段における判定の順番は任意である。
【0057】
以上のように、本実施例の受信側回路20(すなわち、通知応答回路)では、通知応答切替回路25が、受信制御回路21が電磁場の変化を確認しつつ、通知応答切替回路25を制御して、通知応答手段としての特性可変回路(マッチング用キャパシタ回路22、シャント回路23及び負荷抵抗回路24)の切り替えを行う。これにより、ある通知応答手段では受信側のインピーダンスの変化が生じないような条件下においても、通知応答手段の切り替えを行うことにより、他の通知応答手段を用いてインピーダンスの変化を生じさせることが可能となる。
【0058】
従って、本実施例の通知応答回路によれば、近距離無線通信の受信側から送信側への通知応答を円滑に行うことが可能となる。
【0059】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、受信側回路20がマッチング用キャパシタ回路22、シャント回路23及び負荷抵抗回路24を有し、通知応答切替回路25がこれらを選択的に切替制御することにより通知応答を行う構成について説明した。しかし、必ずしもこれら3つを全て有していなくてもよく、少なくとも2つの通知応答手段を有し、これらを選択的に切り替えることが可能に構成されていればよい。また、これら以外の他の手段を含む4つ以上の通知応答手段を有していてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100 通信システム
10 送信側回路
11 送信制御回路
12 電流変化検出回路
20 受信側回路
21 受信制御回路
22 マッチング用キャパシタ回路
23 シャント回路
24 負荷抵抗回路
25 通知応答切替回路
31 基準電圧発生回路