(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】入力と出力が分離された、パッケージングされたトランジスタ・デバイス、及び入力と出力が分離された、パッケージングされたトランジスタ・デバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/00 20060101AFI20231109BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231109BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L23/00 C
H01L21/60 301A
H01L25/00 B
(21)【出願番号】P 2021531735
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019063961
(87)【国際公開番号】W WO2020117652
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-02
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ヘドン
(72)【発明者】
【氏名】モクティー、ズラーズミ
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-107141(JP,U)
【文献】特開2003-115732(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078686(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/181954(WO,A1)
【文献】特許第5505915(JP,B1)
【文献】特開2017-212287(JP,A)
【文献】米国特許第5825042(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
H01L23/00-23/04
H01L23/06-23/26
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージングされたトランジスタ・デバイスであって、
前記パッケージングされたトランジスタ・デバイスのベース上の、制御端子及び出力端子を備えるトランジスタと、
入力リードと前記トランジスタの前記制御端子との間に電気的に結合された第1のボンド・ワイヤと、
出力リードと前記トランジスタの前記出力端子との間に電気的に結合された第2のボンド・ワイヤと、
前記第1のボンド・ワイヤと前記第2のボンド・ワイヤとの間に物理的に存在する分離材料であって、前記第1のボンド・ワイヤと前記第2のボンド・ワイヤとの間の結合を低減するように構成された分離材料と、
前記トランジスタ上のプラスチック・オーバーモールドであって、当該プラスチック・オーバーモールドの外面から内側に延びる凹部を有し、前記分離材料が前記凹部内にある、プラスチック・オーバーモールドと、
を備える、パッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項2】
前記分離材料が、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である、請求項1に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項3】
前記入力リード及び前記出力リードが
前記プラスチック・オーバーモールドから延在し、
前記分離材料の一部分が、
前記プラスチック・オーバーモールドに接触する、請求項1または2に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項4】
前記分離材料が、
第3のボンド・ワイヤを備える、請求項1から
3までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項5】
前記分離材料が、前記トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する複数の金属セグメントを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項6】
前記分離材料が、前記トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する金属壁を備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項7】
前記分離材料が、アース信号に接続されるように構成され
た、請求項1から
6までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項8】
前記入力リードと前記制御端子との間に電気的に結合された入力整合回路をさらに備え、
前記第1のボンド・ワイヤが、前記入力整合回路内の誘導性要素である、請求項1から
7までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【請求項9】
前記分離材料が、電気的にフローティング状態であるように構成された、請求項1から6までのいずれか一項に記載のパッケージングされたトランジスタ・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線周波数(RF:Radio Frequency)トランジスタに関し、より詳細には、本発明は、パッケージングされたRFトランジスタの入力信号と出力信号との間が分離された、パッケージングされたRFトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージングされたRFパワー・デバイスは、典型的には、ベース上に取り付けられてパッケージに収納されたトランジスタ・ダイを含む。RF入力信号は、パッケージの外部からパッケージの内部に延びるRF入力リードを通じてトランジスタに供給され、RF出力信号は、パッケージの内部から外部に延びるRF出力リードを通じてデバイスから送出される。パッケージ内に入力整合回路を含めることができ、RF入力リードとRFトランジスタの入力端子との間に入力整合回路を接続することができる。入力整合回路は、トランジスタの入力部において、トランジスタの基本動作周波数でのインピーダンス整合を行う。また、パッケージ内に出力整合回路を含めることができ、RFトランジスタの出力端子とRF出力リードとの間に出力整合回路を接続することができる。出力整合回路は、トランジスタの出力部において、トランジスタの基本動作周波数でのインピーダンス整合を行うことができる。
【0003】
RFトランジスタは、電気的に並列に接続された、共通基板上のいくつかの別々のトランジスタ・セルを含む、周縁部の大きなトランジスタ・ダイを含むことができる。入力整合は、デバイスの使用可能な帯域幅を広げることができるので、このようなデバイスには特に有益となり得る。さらに、入力及び/又は出力整合ネットワークの要素のインピーダンス値は、奇モード発振の生成を避けるために注意深く選択しなければならない。ボンド・ワイヤの長さによる適切なインダクタンスの選択を含め、インピーダンス値の選択は、整合ネットワークのトポロジーを制限することがあり得る。
【0004】
パッケージングされたRFパワー・デバイスは、空気空洞及びオーバーモールド構成を有する。空気空洞構成では、トランジスタ・ダイ及び/又は整合ネットワークの構成要素などのパッケージングされたRFパワー・デバイスの要素は、パッケージングされたRFパワー・デバイス内の空気空洞に配置することができる。オーバーモールドされたプラスチック(OMP:overmolded plastic)構成では、パッケージングされたRFパワー・デバイスの要素は、パッケージングされたRFパワー・デバイスのデバイス及びボンド・ワイヤを取り囲んで接触するポリマー材料に包まれることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,076,994号
【文献】米国特許第9,741,673号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で説明する様々な実施例は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の分離が強化されたトランジスタ・デバイスを提供する。
【0007】
本発明の実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのベース上の、制御端子及び出力端子を備えるトランジスタと、入力リードとトランジスタの制御端子との間に電気的に結合された第1のボンド・ワイヤと、出力リードとトランジスタの出力端子との間に電気的に結合された第2のボンド・ワイヤと、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間に物理的に存在する分離材料であって、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間の結合を低減するように構成された分離材料とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスが提供される。
【0008】
いくつかの実施例では、トランジスタは、並列に電気的に接続された複数のユニット・セル・トランジスタを備える。
【0009】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を有してもよい。
【0010】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、トランジスタを収容するパッケージをさらに備えてもよく、入力リード及び出力リードはパッケージから延在する。
【0011】
いくつかの実施例では、分離材料の一部分はパッケージに接触する。
【0012】
いくつかの実施例では、パッケージは空気空洞を備え、第1のボンド・ワイヤの少なくとも一部分、及び第2のボンド・ワイヤの少なくとも一部分は空気空洞内に延在する。
【0013】
いくつかの実施例では、パッケージはプラスチック・オーバーモールドを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置されている。
【0015】
いくつかの実施例では、制御端子は、トランジスタの第1の側にあり、出力端子は、第1の側の反対側のトランジスタの第2の側にあり、複数の第3のボンド・ワイヤが、トランジスタの第3の側からトランジスタの第4の側に延在し、トランジスタの第3の側及び第4の側は第1の側及び第2の側と異なる。
【0016】
いくつかの実施例では、第3のボンド・ワイヤのうちの第1のボンド・ワイヤの第1の部分は、第1の高さでトランジスタの上方に延在し、第3のボンド・ワイヤのうちの第2のボンド・ワイヤの第2の部分は、第1の高さより高い第2の高さでトランジスタの上方に延在する。
【0017】
いくつかの実施例では、分離材料は複数の金属セグメントを含む。
【0018】
いくつかの実施例では、複数の金属セグメントは、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0019】
いくつかの実施例では、分離材料は金属壁を備える。
【0020】
いくつかの実施例では、金属壁は、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0021】
いくつかの実施例では、分離材料はアース信号に接続されるように構成される。
【0022】
いくつかの実施例では、分離材料は電気的にフローティング状態であるように構成される。
【0023】
いくつかの実施例では、分離材料は金属メッシュを備える。
【0024】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、入力リードと制御端子との間に電気的に結合された入力整合回路をさらに含み、第1のボンド・ワイヤは、入力整合回路内の誘導性要素である。
【0025】
本発明のさらなる実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのベース上の、両側に制御端子及び出力端子を備えるトランジスタと、制御端子に接続された第1のインダクタであって、トランジスタの頂面よりもベースから遠くの第1の高さで延在する第1の部分を備える第1のインダクタと、出力端子に接続された第2のインダクタであって、トランジスタの頂面よりもベースから遠くの第2の高さで延在する第2の部分を備える第2のインダクタと、第1の部分と第2の部分との間にある分離材料であって、第1のインダクタと第2のインダクタとの間の結合を低減するように構成された分離材料とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスが提供される。
【0026】
いくつかの実施例では、分離材料は基準信号に電気的に接続されている。
【0027】
いくつかの実施例では、第1のインダクタは、インピーダンス整合回路又は高調波低減回路の構成要素である。
【0028】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、トランジスタを収容するパッケージをさらに含み、入力リード及び出力リードはパッケージから延在し、入力リードは制御端子に接続され、出力リードは出力端子に接続される。
【0029】
いくつかの実施例では、分離材料の一部分はパッケージに接触する。
【0030】
いくつかの実施例では、パッケージは空気空洞を備え、第1のインダクタの少なくとも一部分、及び第2のインダクタの少なくとも一部分は空気空洞内に延在する。
【0031】
いくつかの実施例では、パッケージはプラスチック・オーバーモールドを備える。
【0032】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。いくつかの実施例では、損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を有する。
【0033】
いくつかの実施例では、分離材料は複数のボンド・ワイヤを備える。
【0034】
いくつかの実施例では、ボンド・ワイヤのうちの第1のボンド・ワイヤの第1の部分は、第1の高さでトランジスタの上方に延在し、ボンド・ワイヤのうちの第2のボンド・ワイヤの第2の部分は、第1の高さより高い第2の高さでトランジスタの上方に延在する。
【0035】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置されている。
【0036】
いくつかの実施例では、分離材料は複数の金属セグメントを備える。
【0037】
いくつかの実施例では、複数の金属セグメントは、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0038】
いくつかの実施例では、分離材料は金属壁を備える。
【0039】
本発明のさらなる実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造する方法は、両側に制御端子及び出力端子を備えるトランジスタを提供するステップと、第1のボンド・ワイヤを制御端子に接続するステップと、第2のボンド・ワイヤを出力端子に接続するステップと、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間でトランジスタに分離材料を配置するステップであって、分離材料が、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間の結合を低減するように構成された、ステップと、トランジスタ、第1のボンド・ワイヤ、第2のボンド・ワイヤ、及び分離材料を収納するようにパッケージを提供するステップとを含む。
【0040】
いくつかの実施例では、トランジスタを提供するステップは、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの空気空洞内にトランジスタを提供するステップを含む。
【0041】
いくつかの実施例では、分離材料は空気空洞の側壁内に延在する。
【0042】
いくつかの実施例では、トランジスタに分離材料を配置するステップは、複数の第3のボンド・ワイヤを第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間に設けるステップを含む。
【0043】
いくつかの実施例では、パッケージを提供するステップはプラスチック・オーバーモールドをトランジスタに配置するステップを含み、トランジスタに分離材料を配置するステップは、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップを含む。
【0044】
いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップは、複数の凹部をプラスチック・オーバーモールド内に設けるステップと、金属材料を複数の凹部内に提供するステップとを含む。
【0045】
いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップは、トランジスタ上を延在する溝をプラスチック・オーバーモールド内に設けるステップと、金属材料を溝内に提供するステップとを含む。
【0046】
いくつかの実施例では、分離材料はアース信号に接続されるように構成される。
【0047】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置されている。
【0048】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。
【0049】
いくつかの実施例では、損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を有する。
【0050】
本発明の理解を深めるために含まれる添付図面は、この出願に組み込まれ、この出願の一部を構成し、本発明の特定の実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】例示的なパッケージングされたRFパワー・トランジスタ・デバイスの斜視図である。
【
図1B】
図1AのパッケージングされたRFパワー・トランジスタ・デバイスの例示的なレイアウトの機能ブロック図である。
【
図2A】RFパワー・トランジスタと、入力整合回路と、出力整合回路とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスの概略回路図である。
【
図2B】
図2Aに示したパッケージングされたトランジスタ・デバイスの例示的な物理的なレイアウトである。
【
図3】ボンド・ワイヤを組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイスの概略側面図であり、内部に寄生結合を生じる可能性があることを示す図である。
【
図4】分離材料を利用して、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の結合の影響を低減する、本発明によるパッケージングされたトランジスタ・デバイスの斜視図である。
【
図5】
図4の実施例に示された分離材料を組み入れたプロトタイプのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの概略図である。
【
図6A】従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスの模擬性能と比較した、本発明の実施例によるパッケージングされたトランジスタ・デバイスの模擬性能を示すグラフである。
【
図6B】従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスの模擬性能と比較した、本発明の実施例によるパッケージングされたトランジスタ・デバイスの模擬性能を示すグラフである。
【
図7A】分離材料を含まないこと以外は同一である従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスと比較した、分離材料を組み入れた
図5のプロトタイプのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの測定性能を示すグラフである。
【
図7B】分離材料を含まないこと以外は同一である従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスと比較した、分離材料を組み入れた
図5のプロトタイプのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの測定性能を示すグラフである。
【
図8A】本発明の実施例による、分離材料としてボンド・ワイヤを組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイスの斜視図である。
【
図8B】
図8Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの分離材料の構成を示す断面図である。
【
図8C】
図8Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの分離材料のさらなる構成を示す断面図である。
【
図9A】本発明のさらなる実施例による、分離材料として分離ボンド・ワイヤを組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイスの斜視図である。
【
図9B】
図9Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの分離材料の構成を示す断面図である。
【
図9C】
図9Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイスの分離材料のさらなる構成を示す断面図である。
【
図10A】本発明のさらなる実施例による分離材料を示す概略断面図である。
【
図10B】本発明のさらなる実施例による分離材料を示す概略断面図である。
【
図11A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図11B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図12A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図12B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図13A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図13B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図14A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図14B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するための例示的な実施例の図である。
【
図15A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するためのさらなる例示的な技法の図である。
【
図15B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するためのさらなる例示的な技法の図である。
【
図16A】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するためのさらなる例示的な技法の図である。
【
図16B】本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用してパッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するためのさらなる例示的な技法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
次に、以下に、本発明の実施例を示す添付図面を参照して、本発明の実施例をより完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で説明する実施例に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が十分且つ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。全体を通じて類似の番号は類似の要素を指す。
【0053】
本発明の実施例によれば、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の結合を低減するようにそれらの間に配置された分離材料を含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスが提供される。この入力ボンド・ワイヤ及び出力ボンド・ワイヤは、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのトランジスタをパッケージングされたトランジスタ・デバイスの入力リード及び出力リードにそれぞれ結合するために使用することができ、また、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのためのインピーダンス整合及び/又は高調波低減を行うために使用することもできる。
【0054】
本発明のいくつかの実施例は、パッケージングされたRFパワー・トランジスタを提供する。RFパワー・トランジスタは典型的には、並列に動作する複数のトランジスタ・セルを含む。本発明の実施例によるパッケージに含まれ得るトランジスタは、横方向拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(LDMOSFET:laterally diffused metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、又はバイポーラ・デバイス、金属半導体FET(MESFET:metal-semiconductor FET)デバイス、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)デバイス、及び高電子移動トランジスタ(HEMT:high-electron-mobility transistor)デバイスなどの他の半導体デバイスを含む金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含むことができる。これらのトランジスタは、ナロー・バンドギャップ又はワイド・バンドギャップ半導体を使用して作ることができる。例えば、これらのトランジスタは、シリコンLDMOS及び/若しくはバイポーラ・トランジスタ、並びに/又はGaAs MESFET、InGaP HBT、GaN HEMTデバイス、GaNバイポーラ・トランジスタなどのIII-Vデバイスを含むことができる。
【0055】
10ワット以上の電力を供給するRFパワー・トランジスタは、個別のデバイスとしてパッケージングすることができる。
図1Aは、例示的なパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の斜視図である。
図1Bは、
図1Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の例示的なレイアウトの機能ブロック図である。
【0056】
図1A及び
図1Bを参照すると、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100はトランジスタ15(例えば、FET又はバイポーラ・デバイスであってもよい)を含むことができる。パッケージングされたトランジスタ・デバイス100は、入力リード14をトランジスタ15の制御電極(例えば、FETのゲートG、又はバイポーラ・トランジスタのベース)に接続する入力整合回路12を含むことができる。トランジスタ15は、並列に接続された複数のトランジスタ・セルを含む、周縁部の大きなRFトランジスタであってもよい。出力リード18は、トランジスタ15の出力電極(例えば、FETのドレインD、又はバイポーラ・トランジスタのコレクタ若しくはエミッタ)に接続することができる。RF入力リード14及び出力リード18は、
図1Aに示すように、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の外側に延在してもよい。いくつかの実施例では、トランジスタ15のソースSは接地されてもよい。
【0057】
図1Bに示すように、入力整合回路12はパッケージングされたトランジスタ・デバイス100内に設けられてもよい。本発明のいくつかの実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の入力整合回路12は、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の入力リード14にインピーダンス整合を与えるために1つ又は複数のコンデンサ及び/又は他の誘導性要素を含んでもよい。いくつかの実施例では、入力整合回路12は、高調波低減のための回路要素を含んでもよい。1つ又は複数のコンデンサからトランジスタ15(例えば、マルチ・セルRFトランジスタ・ダイ)のそれぞれのセル(又はセル群)にワイヤボンド接続してもよい。
【0058】
出力整合回路116もまた、デバイス・パッケージ内に設けられてもよい。出力整合回路116は、インピーダンス整合要素、及び/又は、信号が出力リード18に達する前に高調波を低減することができるように高調波低減器を含んでもよい。例えば、インピーダンス整合要素は、出力リード18で見たときにインピーダンスを整合させるために容量性及び/又は誘導性要素を提供してもよい。いくつかの実施例では、出力整合回路116は、DCブロッキング要素として働く分路コンデンサを含んでもよい。高調波低減器は、デバイス・パッケージ自体の中の2次及び/又はより高次の高調波を低減することによって、パッケージングされたパワー・トランジスタの直線性を改善することができる。出力整合回路116をパッケージ内に配置すると、(パッケージ外に配置することに対して)広い範囲の周波数及び/又は出力パワー・レベルにわたって、出力整合回路116の性能を改善することができる。
【0059】
内部の高調波低減器及び入力/出力整合ネットワークを形成する方法は、例えば、Farrellらによる、「RF power transistor packages with internal harmonic frequency reduction and methods of forming RF power transistor packages with internal harmonic frequency reduction」という名称の米国特許第8,076,994号、及び、Andreらによる「RF transistor packages with high frequency stabilization features and methods of forming RF transistor packages with high frequency stabilization features」という名称の米国特許第9,741,673号に論じられ、両方とも、内容全体が参照によって本明細書に援用される。
【0060】
例えば、
図1Bに示すように、トランジスタ15の出力(ドレイン)において、RFパワー・トランジスタ15を含むパッケージングされたトランジスタ・デバイス100のパッケージ内に高調波低減器を含む出力整合回路116を含むことができる。出力整合回路116の高調波低減器は、出力信号中の2次高調波周波数などの高調波周波数のエネルギーを低減するように構成されてもよい。
【0061】
図1Bは、トランジスタ15の入力においてインピーダンス整合要素を含む入力整合回路12と、トランジスタ15の出力において高調波低減器を含む出力整合回路116とを示しているが、他の構成も可能であることは理解されよう。例えば、出力整合回路116は、入力整合回路12のインピーダンス整合要素に加えて又は代えて、追加のインピーダンス整合要素を含んでもよい。同様に、入力整合回路112も、RF出力リード18ではなくて入力リード14に結合された高調波低減器を含んでもよく、又は、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100は、入力整合回路12及び出力整合回路116の両方に高調波低減器を含んでもよい。便宜上、
図1Bの構成を1つの実例として論じるが、本発明は、インピーダンス整合回路及び高調波低減器がトランジスタ15の入力又は出力のどちらかにある他の構成にも同様に適用することができる。本明細書では、入力整合回路とは、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの入力においてインピーダンス整合及び/又は高調波低減を行うために使用される、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの入力リードとトランジスタとの間にある(例えば、電気的に結合された)任意の回路を指す。本明細書では、出力整合回路とは、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの出力においてインピーダンス整合及び/又は高調波低減を行うために使用される、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのトランジスタと出力リードとの間にある(例えば、電気的に結合された)任意の回路を指す。
【0062】
図2Aは、
図1Bのパッケージングされたトランジスタ・デバイス100など、トランジスタ15と、入力整合回路12と、出力整合回路116とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の概略回路図である。
図2Bは、
図2Aに示したパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の例示的な物理的なレイアウトである。
【0063】
図2A及び
図2Bを参照すると、入力整合回路12は、入力リード14とトランジスタ15のゲートGとの間に接続されてもよい。入力整合回路12は、入力リード14とコンデンサ36の第1の端子との間に延在するボンド・ワイヤ32を含む誘導性ワイヤ・ボンド接続部、及びコンデンサ36の第1の端子からトランジスタ15のゲートGまで延在するボンド・ワイヤ34を含む誘導性ワイヤ・ボンド接続部を含むことができる。コンデンサ36は、トランジスタ15と入力リード14と間で、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100のベース140上に形成することができる。ボンド・ワイヤ32及びボンド・ワイヤ34のインダクタンス、並びにコンデンサ36のキャパシタンスは、入力リード14に接続された外部インピーダンスを、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の内部インピーダンスと整合させるように選ぶことができる。
【0064】
トランジスタ15のソースSは接地されてもよく、出力リード18は、トランジスタのドレインDから出力リード18に延在する、ボンド・ワイヤ38を含む誘導性ワイヤ・ボンド接続部を介して、トランジスタ15のドレインDに接続することができる。
【0065】
パッケージングされたトランジスタ・デバイス100はまた、トランジスタ15のドレインDとアースとの間に接続された出力整合回路116を含んでもよい。
図2Aに示す実施例では、出力整合回路116は、コンデンサ122と直列の誘導性要素(例えば、誘導性ボンド・ワイヤ)120を有する高調波低減器を含む。コンデンサ122は、トランジスタ15に隣接して、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100のベース140上に取り付けられてもよく、誘導性ボンド・ワイヤ120は、トランジスタ15のドレインDからコンデンサ122に延在するボンド・ワイヤ120を含んでもよい。特に、コンデンサ122は、トランジスタ15と出力リード18との間で、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100のベース140上に形成されてもよい。いくつかの実施例では、誘導性ボンド・ワイヤ38はコンデンサ122の上を横切ってもよい。
【0066】
パッケージングされたトランジスタ・デバイス100のベース140とは、トランジスタ15が取り付けられる任意の構造部材を指すことができ、したがって、基板、フランジ、ダイ・キャリア等に該当することができることが認識されよう。
【0067】
ボンド・ワイヤ120のインダクタンス及びコンデンサ122のキャパシタンスは、トランジスタ15の基本動作周波数に対する高調波周波数での信号に対して、アースへの短絡回路及び/又は低インピーダンス経路を提供するように選ぶことができる。例えば、基本動作周波数が2.5GHzの場合、キャパシタンス及びインダクタンスの値は、5GHzの周波数で短絡回路を提供するように選ぶことができる。そうした値を選択することは、当該技術では公知である。実際に使用される値は、回路の構成及び/又は物理的なレイアウトに依存することがある。限定のためではなく1つの実例として、基本動作周波数fで動作するように設計されたトランジスタ15では、コンデンサ122のキャパシタンスC、及び誘導性ボンド・ワイヤ120のインダクタンスLはそれぞれ、次式を満たすように選ぶことができる。
【数1】
【0068】
限定のためではなく1つの実例として、基本動作周波数を2.5GHzと仮定すると、2次高調波周波数(すなわち5GHz)で短絡回路/低インピーダンス経路を提供するために、コンデンサ122は約0.4pFのキャパシタンスCを有してもよく、インダクタは約2.5nHのインダクタンスLを有してもよい。コンデンサ122の存在により、出力及び/又は効率の点でパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の性能が低下する可能性があるが、広い周波数の範囲にわたる直線性の改善によって、そうした性能の低下を相殺することができ、それはいくつかの実施例によって得ることができる。
【0069】
本明細書で説明する本発明は、部分的には、
図1A、
図1B、
図2A、及び
図2Cのパッケージングされたトランジスタ・デバイス100などのパッケージングされたトランジスタ・デバイスのインピーダンス整合及び/又は高調波低減回路に使用されるボンド・ワイヤの構成が、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の性能に悪影響を与えるボンド・ワイヤ間の結合になることがあるという認識から生じている。例えば、
図2A及び
図2Bのボンド・ワイヤ34、38、及び120などのゲート及びドレインのボンド・ワイヤは、トランジスタ15のゲートとドレインとの間に、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の安定性及び効率に悪影響を及ぼすことがある寄生容量(例えばCgd)を招くことがある。これに加えて、これらのボンド・ワイヤはまた、磁気結合(例えばM)を有することがあり、これは、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100内のフィードバック・ネットワークの一因となって、その性能を悪化させることがある。
【0070】
図3は、ボンド・ワイヤ間に生じることがある寄生結合を示すボンド・ワイヤを組み入れた、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の概略側面図である。パッケージングされたトランジスタ・デバイス100は、ボンド・ワイヤ32を介してコンデンサ36の第1の端子に結合された入力リード14、及びボンド・ワイヤ34を介してトランジスタ15に結合されたコンデンサ36の第1の端子を含む。トランジスタ15は、ボンド・ワイヤ120を介してコンデンサ122の第1の端子に結合され、ボンド・ワイヤ38を介して出力リード18に結合される。
図3に示すように、ボンド・ワイヤ120とボンド・ワイヤ34は、互いに容量的及び磁気的に結合されるように配置されることがある。例えば、入力ボンド・ワイヤ34は、キャパシタンスCgdによって、出力ボンド・ワイヤ120及び/又は出力ボンド・ワイヤ38に容量的に結合されることがある。これに加えて、入力ボンド・ワイヤ34は、磁気結合Mによって、出力ボンド・ワイヤ120及び/又は出力ボンド・ワイヤ38に磁気的に結合されることがある。容量的結合Cgd及び/又は磁気的結合Mは、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100内にフィードバック・ネットワークを生じさせ、且つ/又は、それを拡大して、パッケージングされたトランジスタ・デバイス100の性能を低下させ、且つ/又はその安定性を低下させることがある。
【0071】
図4は、分離材料410を利用して、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の結合の影響を低減する、本発明によるパッケージングされたトランジスタ・デバイス400の斜視図である。
図5は、
図4の実施例に示された分離材料410を組み入れた、プロトタイプのパッケージングされたトランジスタ・デバイス400の概略図である。
【0072】
図4のパッケージングされたトランジスタ・デバイス400は、多くの点で、
図2A、
図2B、及び
図3のパッケージングされたトランジスタ・デバイス100に類似している。
図4に示すように、パッケージングされたトランジスタ・デバイス400は、ボンド・ワイヤ32を介してコンデンサ36の第1の端子に結合された入力リード14、及びボンド・ワイヤ34を介してトランジスタ15に結合されたコンデンサ36の第1の端子を含んでもよい。トランジスタ15は、ボンド・ワイヤ120を介してコンデンサ122の第1の端子に結合され、ボンド・ワイヤ38を介して出力リード18に結合されてもよい。ボンド・ワイヤ34、ボンド・ワイヤ120、及び/又はボンド・ワイヤ38のうちの少なくとも1つは、トランジスタ15の頂面の上方を延在してもよい。
【0073】
図4及び
図5を参照すると、本発明の実施例は、トランジスタ15の入力に結合された入力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ34)と、トランジスタ15の出力に結合された出力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ120及び/又はボンド・ワイヤ38)との間に分離材料410を挿入してもよい。分離材料410は、トランジスタ15の頂面を延在してもよく、分離材料410の少なくとも一部分は、(例えば、トランジスタ15の上方で)入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間に物理的に存在してもよい。本明細書では、第2の要素の一部分から第3の要素の一部分への直線が第1の要素を横切るとき、第1の要素は、物理的に、第2の要素と第3の要素との間にある。分離材料410は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の容量的結合及び/又は磁気的結合を低減することができる。いくつかの実施例では、分離材料410は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間を電磁的に遮蔽するように構成されてもよい。
【0074】
いくつかの実施例では、分離材料410は、導電性分離材料410を形成するように導電性材料から構成されてもよい。導電性分離材料410は、基準電圧源(例えばアース)に結合されてもよい。例えば、導電性分離材料410は、接地された導電フランジ、パッケージングされたトランジスタ・デバイス400のベース上の接地されたパッド、及び/又はアース信号を提供することができるパッケージングされたトランジスタ・デバイス400の他の要素に結合されてもよい。いくつかの実施例では、導電性分離材料410は、トランジスタ15の頂面に設けられたパッド又は他の接続要素に結合されてもよい。パッドは、トランジスタ15の内部接続部を介して基準信号(例えばアース)に接続されてもよい。いくつかの実施例では、導電性分離材料410は、アースに結合するのではなく、電気的にフローティング状態であるように設けられてもよい。いくつかの実施例では、分離材料410は、金属、導電性金属窒化物、導電性金属酸化物、又はこれらの材料の組合せを含んでもよい。例えば、分離材料410は、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、すず(Sn)、亜鉛(Zn)、酸化インジウムすず(ITO)、これらの金属の合金、又はこれらの金属の組合せを含んでもよい。いくつかの実施例では、分離材料410は、導電性材料(例えば金属又は金属含有物質)でめっき及び/又はコーティングされた非導電性材料を含んでもよい。
【0075】
分離材料410は導電性分離材料であってもよいが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例では、分離材料410は、マイクロ波及び/又はRF放射を吸収することができる誘電材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、分離材料410は、損失性誘電体から形成されてもよい。損失性誘電体は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の結合を形成する電磁波などの電磁波を吸収する且つ/又は減衰させるように構成されてもよい。分離材料410の材料として有用になることがある損失性誘電体は、0.1より大きな損失正接を有する損失性誘電体を含んでもよい。損失正接は、tanδとしても知られており、誘電率の実数部と虚数部との間の比である。いくつかの実施例では、分離材料410として用いられる損失性誘電体の損失正接は、トランジスタ・デバイス400の動作周波数に基づいていてもよい。損失性誘電体の実例は、炭素を含む誘電体を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施例では、分離材料410は、例えば、フェライト及び/又はニッケルなどの磁性材料を含んでもよい。
【0077】
分離材料410は、トランジスタ15に接続される入力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ34)及び/又は出力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ38及び/又は120)に実質的に直交する第1の方向に延在してもよい。トランジスタ15の制御端子(例えばゲート端子)は、トランジスタ15の第1の側にあってもよく、出力端子(例えばドレイン端子)は、第1の側の反対側のトランジスタ15の第2の側にあってもよい。入力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ34)は、第1の側にあるトランジスタ15の入力端子に接続されてもよい。出力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ38及び/又は120)は、第2の側にあるトランジスタ15の出力端子に接続されてもよい。
【0078】
図5では、パッケージングされたトランジスタ・デバイス400のプロトタイプは、分離材料410として金属遮蔽壁を含む。
図5のパッケージングされたトランジスタ・デバイス400が、分離材料410の性能への影響を決定するために従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスと比較された。
【0079】
分離材料410の有効度を定量化する1つの方法は、同一の整合ネットワークを有するが、一方には分離材料410が実装された2つのトランジスタ・デバイスの信号応答を比較することによるものである。分析され得る量の1つの例としては散乱パラメータS12が含まれ、これは、トランジスタ・デバイスの入力と出力との間の分離の物差しである。S12の値が低いことは、トランジスタ・デバイスの入力と出力との間の分離のレベルが高いことを示す。分析され得る量の別の例はμファクタであり、これはトランジスタ・デバイスの安定性を定量化する。μファクタが高いほどデバイスは安定している。1より大きなμファクタは、無条件に安定したトランジスタ・デバイスを示し、1より小さなμファクタは潜在的に不安定なデバイスを示す。
【0080】
図6A及び
図6Bは、
図2A及び
図2Bに示したデバイスなどの従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の模擬性能に比較されたパッケージングされたトランジスタ・デバイス400の模擬性能を示すグラフである。
【0081】
図6A及び
図6Bは、対象の周波数帯における、分離材料410を有するパッケージングされたトランジスタ・デバイス400及び分離材料410の無いパッケージングされたトランジスタ・デバイスの模擬されたS12及びμファクタを示す。
図6A及び
図6Bの模擬デバイスは、2.1~2.2GHzの周波数帯用に設計された。
図6Aは、分離材料410を有するトランジスタ・デバイスのS12模擬性能610、及び分離材料410の無いトランジスタ・デバイスのS12模擬性能620を示す。
図6Aは、分離材料410を付け加えることによって、分離材料410の無いパッケージングされたトランジスタ・デバイスに比べると、2.14GHzにおいて分離が約7dB大きくなることを示している。
【0082】
図6Bは、分離材料410を有するトランジスタ・デバイスのμファクタ模擬性能630、及び分離材料410の無いトランジスタ・デバイスのμファクタ模擬性能640を示す。
図6Bは、分離材料410を付け加えることによって、μファクタが、対象の周波数帯内で1.08から1.55に増大したことを示し、これはより安定したデバイスを示している。
【0083】
図7A及び
図7Bは、
図2A及び
図2Bに示したパッケージングされたトランジスタ・デバイス100などの、分離材料410の無い従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイスと比較したときの、分離材料410を組み入れた
図5のプロトタイプのパッケージングされたトランジスタ・デバイス400の測定性能を示すグラフである。
図7Aは、分離材料410を組み入れた
図5のパッケージングされたトランジスタ・デバイス400が、従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の測定S12性能720よりも、2.14GHzにおいて9dB大きいS12分離に寄与する測定S12性能710を有することを示している。
図7Bは、分離材料410を組み入れた
図5のパッケージングされたトランジスタ・デバイス400が、従来のパッケージングされたトランジスタ・デバイス100の測定μファクタ性能740と比較されたとき、2.14GHzにおいて、μファクタを0.79から1.14に増大させる測定μファクタ性能730を有することを示している。
【0084】
図4及び
図5は、分離材料410として金属壁の使用を示しているが、本発明から逸脱せずに分離材料410の他の構成が使用されてもよいことは理解されよう。例えば、いくつかの実施例では、分離材料は、金属メッシュなどのメッシュから形成されてもよい。いくつかの実施例では、分離材料410は、個々のボンド・ワイヤから形成されてもよい。
図8Aは、本発明の実施例による、分離材料410として分離ボンド・ワイヤ810を組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイス800の斜視図である。
図8Bは、
図8Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイス800の分離材料410の構成を示す断面図である。
【0085】
パッケージングされたトランジスタ・デバイス800の入力ボンド・ワイヤ及び出力ボンド・ワイヤの構成は、
図4に示したパッケージングされたトランジスタ・デバイス400に実質的に類似していてもよい。
図8Aに示すように、パッケージングされたトランジスタ・デバイス800は、ボンド・ワイヤ32を介してコンデンサ36に結合された入力リード14を含んでもよく、コンデンサ36は、ボンド・ワイヤ34を介してトランジスタ15に結合されてもよい。トランジスタ15は、ボンド・ワイヤ120を介してコンデンサ122に結合されてもよく、ボンド・ワイヤ38を介して出力リード18に結合されてもよい。ボンド・ワイヤ34、ボンド・ワイヤ120、及び/又はボンド・ワイヤ38のうちの少なくとも1つは、トランジスタ15の頂面の上方を延在してもよい。
【0086】
図8A及び
図8Bを参照すると、分離材料410は、基準電圧源(例えばアース信号)に接続されてもよい複数の分離ボンド・ワイヤ810から構成されてもよい。いくつかの実施例では、分離材料410の分離ボンド・ワイヤ810は、トランジスタ15の第1の側からトランジスタ15の第2の側へ第1の方向に延在してもよい。入力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ34)は、入力リード14からトランジスタ15の第3の側に延びる第2の方向に延在してもよい。出力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ38及び/又は120)は、第2の方向(例えば、トランジスタ15の第4の側から出力リード18に延びる方向)に延在してもよい。いくつかの実施例では、第1の方向は第2の方向と直交していてもよい。分離ボンド・ワイヤ810のうちの少なくとも1つの一部分は、物理的に、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間(例えばトランジスタ15の上方)にあってもよい。
【0087】
いくつかの実施例では、分離ボンド・ワイヤ810は、トランジスタ15の第1の側において、パッケージングされたトランジスタ・デバイス800のベース及び/又は基板に接続されてもよく、トランジスタ15の上方のある高さのところをトランジスタ15に面して延在してもよく、且つ/又は、トランジスタ15の第2の側において、パッケージングされたトランジスタ・デバイス800のベース及び/又は基板に接続されてもよい。いくつかの実施例では、複数の分離ボンド・ワイヤ810の個々の分離ボンド・ワイヤの部分は(例えば水平方向及び/又は垂直方向に)互いに重なってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0088】
図8A及び
図8Bは、ベース及び/又は基板に接続された分離ボンド・ワイヤ810を示しているが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例では、トランジスタ15は、その表面に、トランジスタ15の(例えば基板への)内部又は外部接続部を通じて基準信号(例えばアース)に接続されたパッド及び/又は他の接続要素を有してもよい。
図8Cは、複数のボンド・ワイヤ810が1つ又は複数のアース・パッド182に接続されている実施例を示す。いくつかの実施例では、複数の分離ボンド・ワイヤ810は、トランジスタ15の表面、例えば、頂面又は側面などにあるアース・パッド182に接続されてもよい。
【0089】
図9Aは、本発明の実施例による、分離材料410として分離ボンド・ワイヤ820を組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイス900の斜視図である。
図9Bは、
図9Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイス900の分離材料410の構成を示す断面図である。
【0090】
パッケージングされたトランジスタ・デバイス900の入力ボンド・ワイヤ及び出力ボンド・ワイヤの構成は、
図4及び
図8に示したパッケージングされたトランジスタ・デバイス400に実質的に類似していてもよい。
図9Aに示すように、パッケージングされたトランジスタ・デバイス900は、ボンド・ワイヤ32を介してコンデンサ36に結合された入力リード14を含んでもよく、コンデンサ36は、ボンド・ワイヤ34を介してトランジスタ15に結合されてもよい。トランジスタ15は、ボンド・ワイヤ120を介してコンデンサ122に結合されてもよく、ボンド・ワイヤ38を介して出力リード18に結合されてもよい。ボンド・ワイヤ34、ボンド・ワイヤ120、及び/又はボンド・ワイヤ38のうちの少なくとも1つは、トランジスタ15の頂面の上方を延在してもよい。
【0091】
図9A及び
図9Bを参照すると、分離材料410は、基準電圧源(例えばアース信号)に接続されてもよい複数の分離ボンド・ワイヤ910から構成されてもよい。分離材料410の分離ボンド・ワイヤ910は、トランジスタ15の第1の側からトランジスタ15の第2の側へ第1の方向に延在してもよい。入力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ34)は、第2の方向(例えば、入力リード14からトランジスタ15の第3の側への方向)に延在してもよい。出力ボンド・ワイヤ(例えばボンド・ワイヤ38及び/又は120)は、第2の方向(例えば、トランジスタ15の第4の側から出力リード18への方向)に延在してもよい。いくつかの実施例では、第1の方向は第2の方向と直交していてもよい。分離ボンド・ワイヤ910のうちの少なくとも1つの一部分は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間(例えばトランジスタ15の上方)に配置されてもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、分離ボンド・ワイヤ910は、トランジスタ15の第1の側において、パッケージングされたトランジスタ・デバイス900のベース及び/又は基板に接続されてもよく、トランジスタ15の上方のある高さのところをトランジスタ15に面して延在してもよく、且つ/又は、トランジスタ15の第2の側において、パッケージングされたトランジスタ・デバイス900のベース及び/又は基板に接続されてもよい。いくつかの実施例では、複数の分離ボンド・ワイヤ910のうちの第1のボンド・ワイヤは、複数の分離ボンド・ワイヤ910のうちの第2のボンド・ワイヤよりも高い位置で(例えばトランジスタ15からより遠くを)延在してもよい。いくつかの実施例では、複数の分離ボンド・ワイヤ910の個々の分離ボンド・ワイヤの部分は互いに実質的に平行に延在してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0093】
図9A及び
図9Bは、ベース及び/又は基板に接続された分離ボンド・ワイヤ910を示しているが、本発明はこれに限定されない。
図9Cは、複数のボンド・ワイヤ910が1つ又は複数のアース・パッド182に接続されている実施例を示す。いくつかの実施例では、トランジスタ15は、その表面に、トランジスタ15の(例えば基板への)内部又は外部接続部を通じて基準信号(例えばアース)に接続されたアース・パッド182及び/又は他の接続要素を有してもよい。いくつかの実施例では、複数の分離ボンド・ワイヤ910は、トランジスタ15の表面、例えば、頂面又は側面などにあるアース・パッド182に接続されてもよい。
【0094】
図10Aは、本発明のさらなる実施例による分離材料410を示す概略断面図である。
図10Aに示すように、分離材料410は、1つ又は複数の分離セグメント1010から構成されてもよい。いくつかの実施例では、分離セグメント1010は、トランジスタ15から離れる方向(例えば垂直方向)にトランジスタ15の頂面から延在してもよい。いくつかの実施例では、分離セグメント1010は、トランジスタ15の頂面に実質的に垂直の方向に延在してもよい。
図10Aに示した分離材料410は、
図4、
図8A、及び
図9Aのパッケージングされたトランジスタ・デバイスと同様に、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの入力ボンド・ワイヤ及び出力ボンド・ワイヤなどの他の要素に対してトランジスタ15に配置されてもよいことは理解されよう。すなわち、分離材料410の分離セグメント1010は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間でトランジスタ15の上方に配置されてもよい。いくつかの実施例では、分離セグメント1010は、金属、導電性金属窒化物、導電性金属酸化物、又はこれらの材料の組合せを含んでもよい。例えば、分離セグメントは、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ジルコニウム(Zr)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、すず(Sn)、亜鉛(Zn)、酸化インジウムすず(ITO)、これらの金属の合金、又はこれらの金属の組合せを含んでもよい。いくつかの実施例では、分離セグメント1010は、損失性誘電体及び/又は磁性材料を含んでもよい。
【0095】
いくつかの実施例では、分離セグメント1010は、ベース分離セグメント1020上に形成されてもよいが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020は、トランジスタ15の1つの側のベース及び/又は基板に接続されてもよく、トランジスタ15の上方をトランジスタ15に面して延在してもよく、且つ/又は、トランジスタ15の第2の側のベース及び/又は基板に接続されてもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020は、
図9A及び
図9Bに示した複数のボンド・ワイヤ910などの複数のボンド・ワイヤのうちの1つであってもよい。
図10Aは、ベース及び/又は基板に接続されたベース分離セグメント1020を示しているが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例では、トランジスタ15は、その表面に、トランジスタ15の(例えば基板への)内部又は外部接続部を通じて基準信号(例えばアース)に接続されたパッド及び/又は他の接続要素を有してもよい。
図10Bは、トランジスタ15が、トランジスタ15の頂面にアース・パッド182を有する実施例を示す。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020は、トランジスタ15の表面のアース・パッド182に接続されてもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020の少なくとも1つの端部は、基準信号(例えばアース信号)に接続されてもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020はボンド・ワイヤであってもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1020は、トランジスタ15の頂面に形成された金属トレース及び/又はセグメントであってもよい。
【0096】
図4、
図8A、及び
図9Aは、空気空洞を組み入れたパッケージングされたトランジスタ・デバイス400、800、900の実施例を示しているが、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施例では、分離材料410は、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの構成部品を包むために用いられるプラスチック・オーバーモールド内に形成されてもよい。例えば、空気空洞構成では、分離材料410は、例えば、空気空洞の側壁と接続することによって、且つ/又はパッケージングされたトランジスタ・デバイスのベースに接続することによって、トランジスタ15に配置されてもよい。オーバーモールド構成では、分離材料410は、空気空洞構成と同様にトランジスタ15に配置されてもよく、且つ/又は、トランジスタ15を覆うオーバーモールド内でトランジスタ15に配置されてもよい。したがって、本明細書で説明する分離材料410は、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの複数の構成で使用することができる。
【0097】
図11A~
図14Bは、本発明のいくつかの実施例による、プラスチック・オーバーモールドを利用して、パッケージングされたトランジスタ・デバイス1100を製造するための例示的な技法を示す。
【0098】
図11Aはトランジスタ構成体の平面図であり、
図11Bは
図11Aの線A-A‘に沿って見た断面図である。
図11A及び
図11Bを参照すると、入力リード14及び出力リード18に結合されたトランジスタ15を組み入れたトランジスタ構成体を提供することができる。トランジスタ15は、本明細書で説明したように、誘導性要素としてボンド・ワイヤを利用して整合ネットワーク及び/又は高調波低減器に結合されてもよい。ベース分離セグメント1120は、トランジスタ15に設けられてもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1120はボンド・ワイヤであってもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1120は、トランジスタ15の1つの側のベース及び/又は基板に接続されてもよく、トランジスタ15の上方をトランジスタ15に面して延在してもよく、且つ/又は、トランジスタ15の第2の側のベース及び/又は基板に接続されてもよい。いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1120は、トランジスタ15の表面のパッドに接続されてもよく、この場合、このパッドは、トランジスタ15の内部接続部及び/又は外部接続部を介して基準信号(例えばアース)にさらに接続される。ベース分離セグメント1120の少なくとも1つの側は、基準信号(例えばアース信号)に接続されてもよい。例えば、トランジスタ15の頂面にアース信号に接続されたパッドを組み入れた実施例などのいくつかの実施例では、ベース分離セグメント1120は省かれてもよい。
【0099】
図12A、及び
図12Aの線A-A‘に沿って見た断面図である
図12Bを参照すると、プラスチック・オーバーモールド1220はトランジスタ構成体に形成されてもよい。プラスチック・オーバーモールド1220は、ベース分離セグメント1120(存在する場合)を含むトランジスタ構成体の要素を包んでもよい。プラスチック・オーバーモールド1220は、プラスチック又はプラスチック・ポリマー化合物から構成されてもよい。
【0100】
図13A、及び
図13Aの線A-A‘に沿って見た断面図である
図13Bを参照すると、凹部1320がプラスチック・オーバーモールド1220に形成されてもよい。凹部1320の少なくとも一部分は、プラスチック・オーバーモールド1220の表面からベース分離セグメント1120の方へ延在してもよい。いくつかの実施例では、凹部1320は、ベース分離セグメント1120を露出するように延在してもよいが、本発明はこれに限定されない。例えば、トランジスタ15の頂面にアース信号に接続されたパッドを組み入れた実施例などのいくつかの実施例では、凹部1320はパッドを露出するように延在してもよい。いくつかの実施例では、凹部1320は、ベース分離セグメント1120と同じ方向に延在するように形成されてもよい。
【0101】
図14A、及び
図14Aの線A-A‘に沿って見た断面図である
図14Bを参照すると、導電性材料1420が、本発明の実施例によるパッケージングされたトランジスタ・デバイス1100を形成するように凹部1320内に配置されてもよい。いくつかの実施例では、導電性材料1420は凹部1320を満たしてもよい。導電性材料1420は、例えば、金属又は金属含有材料(例えば銀エポキシ)を含んでもよい。いくつかの実施例では、導電性材料1420は、マイクロ波及び/又はRF放射を吸収することができる誘電材料を含んでもよい。
【0102】
いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールド1220内に分離材料410を形成するように、導電性材料1420は、ベース分離セグメント1120に電気的に結合されてもよい。いくつかの実施例では、導電性材料1420は、ベース分離セグメント1120から離れていてもよい。例えば、トランジスタ15の頂面にアース信号に接続されたパッドを組み入れた実施例などのいくつかの実施例では、導電性材料1420は、パッドと電気的に接触しているように形成されてもよい。
【0103】
図15A~
図16Bは、本発明のいくつかの実施例による、パッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造するためのさらなる例示的な技法を示す。
図11A~
図12Bを参照して本明細書で論じた作業と同様な作業を
図15A~
図16Bに示す実施例に先行させてもよい。
図15A、及び
図15Aの線A-A‘に沿って見た断面図である
図15Bを参照すると、複数の凹部1520がプラスチック・オーバーモールド1220に形成されてもよい。複数の凹部1520のうちの少なくとも1つは、プラスチック・オーバーモールド1220の表面からベース分離セグメント1120に延在してもよい。いくつかの実施例では、複数の凹部1520のそれぞれは、トランジスタ15の頂面から離れるように延在する柱状に形成されてもよい。
【0104】
図16A、及び
図16Aの線A-A‘に沿って見た断面図である
図16Bを参照すると、導電性材料1620は、本発明の実施例によるパッケージングされたトランジスタ・デバイス1100を形成するように複数の凹部1520内に配置されてもよい。いくつかの実施例では、導電性材料1620は複数の凹部1520のうちの1つ又は複数を満たしてもよい。導電性材料1620は、例えば、金属又は金属含有材料(例えば銀エポキシ)を含んでもよい。いくつかの実施例では、導電性材料1620は、マイクロ波及び/又はRF放射を吸収することができる誘電材料を含んでもよい。いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールド1220内に分離材料410を形成するように、複数の凹部1520のそれぞれの中の導電性材料1620は、ベース分離セグメント1120に電気的に結合されてもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、ベース分離セグメント1120は任意選択であってもよい。例えば、複数の凹部1520は、
図15A及び
図15Bに関して論じたように形成されてもよい。複数の凹部1520を満たす前又は後のいずれかで、接続凹部(例えば溝)がプラスチック・オーバーモールド1220の頂面に形成されてもよい。接続凹部は、複数の凹部1520の頂面を接続するように延在してもよい。複数の凹部1520及び接続凹部は、分離材料410を形成するように導電性材料1620で満たされてもよい。分離材料410は、基準信号(例えばアース)にさらに接続されてもよく、又は、入力ボンド・ワイヤと出力ボンド・ワイヤとの間の結合を最小限にするように、且つ/若しくは低減するようにフローティング状態のままであってもよい。
【0106】
本発明の実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのベース上の、制御端子及び出力端子を備えるトランジスタと、入力リードとトランジスタの制御端子との間に電気的に結合された第1のボンド・ワイヤと、出力リードとトランジスタの出力端子との間に電気的に結合された第2のボンド・ワイヤと、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間に物理的に存在する分離材料であって、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間の結合を低減するように構成された分離材料とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスが提供される。
【0107】
いくつかの実施例では、トランジスタは、並列に電気的に接続された複数のユニット・セル・トランジスタを備える。
【0108】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、トランジスタを収容するパッケージをさらに含んでもよく、入力リード及び出力リードはパッケージから延在する。
【0110】
いくつかの実施例では、分離材料の一部分はパッケージに接触する。
【0111】
いくつかの実施例では、パッケージは空気空洞を備え、第1のボンド・ワイヤの少なくとも一部分、及び第2のボンド・ワイヤの少なくとも一部分は空気空洞内に延在する。
【0112】
いくつかの実施例では、パッケージはプラスチック・オーバーモールドを含む。
【0113】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置されている。
【0114】
いくつかの実施例では、制御端子はトランジスタの第1の側にあり、出力端子は、第1の側の反対側のトランジスタの第2の側にあり、複数の第3のボンド・ワイヤが、トランジスタの第3の側からトランジスタの第4の側に延在し、トランジスタの第3の側及び第4の側は第1の側及び第2の側と異なる。
【0115】
いくつかの実施例では、第3のボンド・ワイヤのうちの第1のボンド・ワイヤの第1の部分は、第1の高さでトランジスタの上方に延在し、第3のボンド・ワイヤのうちの第2のボンド・ワイヤの第2の部分は、第1の高さより高い第2の高さでトランジスタの上方に延在する。
【0116】
いくつかの実施例では、分離材料は複数の金属セグメントを含む。
【0117】
いくつかの実施例では、複数の金属セグメントは、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0118】
いくつかの実施例では、分離材料は金属壁を備える。
【0119】
いくつかの実施例では、金属壁は、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0120】
いくつかの実施例では、分離材料はアース信号に接続されるように構成される。
【0121】
いくつかの実施例では、分離材料は電気的にフローティング状態であるように構成される。
【0122】
いくつかの実施例では、分離材料は金属メッシュを備える。
【0123】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、入力リードと制御端子との間に電気的に結合された入力整合回路をさらに含み、第1のボンド・ワイヤが入力整合回路内の誘導性要素である。
【0124】
本発明のさらなる実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスのベース上の、両側に制御端子及び出力端子を備えるトランジスタと、制御端子に接続された第1のインダクタであって、トランジスタの頂面よりもベースから遠くの第1の高さで延在する第1の部分を備える第1のインダクタと、出力端子に接続された第2のインダクタであって、トランジスタの頂面よりもベースから遠くの第2の高さで延在する第2の部分を備える第2のインダクタと、第1の部分と第2の部分との間にある分離材料であって、第1のインダクタと第2のインダクタとの間の結合を低減するように構成された分離材料とを含むパッケージングされたトランジスタ・デバイスが提供される。
【0125】
いくつかの実施例では、分離材料は基準信号に電気的に接続されている。
【0126】
いくつかの実施例では、第1のインダクタは、インピーダンス整合回路又は高調波低減回路の構成要素である。
【0127】
いくつかの実施例では、パッケージングされたトランジスタ・デバイスは、トランジスタを収容するパッケージをさらに含み、入力リード及び出力リードはパッケージから延在し、入力リードは制御端子に接続され、出力リードは出力端子に接続される。
【0128】
いくつかの実施例では、分離材料の一部分はパッケージに接触する。
【0129】
いくつかの実施例では、パッケージは空気空洞を備え、第1のインダクタの少なくとも一部分、及び第2のインダクタの少なくとも一部分は空気空洞内に延在する。
【0130】
いくつかの実施例では、パッケージはプラスチック・オーバーモールドを備える。
【0131】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。いくつかの実施例では、損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を有する。
【0132】
いくつかの実施例では、分離材料は複数のボンド・ワイヤを備える。
【0133】
いくつかの実施例では、ボンド・ワイヤのうちの第1のボンド・ワイヤの第1の部分は、第1の高さでトランジスタの上方に延在し、ボンド・ワイヤのうちの第2のボンド・ワイヤの第2の部分は、第1の高さより高い第2の高さでトランジスタの上方に延在する。
【0134】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置されている。
【0135】
いくつかの実施例では、分離材料は複数の金属セグメントを備える。
【0136】
いくつかの実施例では、複数の金属セグメントは、トランジスタの頂面に実質的に垂直の方向に延在する。
【0137】
いくつかの実施例では、分離材料は金属壁を備える。
【0138】
本発明のさらなる実施例によれば、パッケージングされたトランジスタ・デバイスを製造する方法は、両側に制御端子及び出力端子を備えるトランジスタを提供するステップと、第1のボンド・ワイヤを制御端子に接続するステップと、第2のボンド・ワイヤを出力端子に接続するステップと、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間でトランジスタに分離材料を配置するステップであって、分離材料が、第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間の結合を低減するように構成された、ステップと、トランジスタ、第1のボンド・ワイヤ、第2のボンド・ワイヤ、及び分離材料を収納するようにパッケージを提供するステップとを含む。
【0139】
いくつかの実施例では、トランジスタを提供するステップは、パッケージングされたトランジスタ・デバイスの空気空洞内にトランジスタを提供するステップを含む。
【0140】
いくつかの実施例では、分離材料は空気空洞の側壁内に延在する。
【0141】
いくつかの実施例では、分離材料をトランジスタに配置するステップは、複数の第3のボンド・ワイヤを第1のボンド・ワイヤと第2のボンド・ワイヤとの間に設けるステップを含む。
【0142】
いくつかの実施例では、パッケージを提供するステップはプラスチック・オーバーモールドをトランジスタに配置するステップを含み、分離材料をトランジスタに配置するステップは、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップを含む。
【0143】
いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップは、複数の凹部をプラスチック・オーバーモールド内に設けるステップと、金属材料を複数の凹部内に提供するステップとを含む。
【0144】
いくつかの実施例では、プラスチック・オーバーモールドに凹部を設けるステップは、トランジスタ上を延在する溝をプラスチック・オーバーモールド内に設けるステップと、金属材料を溝内に提供するステップとを含む。
【0145】
いくつかの実施例では、分離材料はアース信号に接続されるように構成される。
【0146】
いくつかの実施例では、分離材料はトランジスタの上方に配置される。
【0147】
いくつかの実施例では、分離材料は、導電性分離材料、磁性分離材料、又は損失性誘電分離材料である。
【0148】
いくつかの実施例では、損失性誘電分離材料は、0.1より大きな損失正接を有する。
【0149】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1の、第2の、などの用語を使用することがあるが、これらの用語によってこれらの要素を限定すべきではないことは理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されているにすぎない。例えば、第1の要素を第2の要素と呼ぶことがあり、同様に、本発明の範囲から逸脱せずに、第2の要素を第1の要素と呼ぶことがある。本明細書では、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組合せ及びすべての組合せを含む。
【0150】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、発明を限定することを意図したものではない。本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないと示していない限り、複数の形態も同様に含むことを意図される。本明細書では、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、述べられた特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、他の1つ又は複数の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことはさらに理解されよう。
【0151】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用する用語は、この明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されないことはさらに理解されよう。
【0152】
層、領域、又は基板などの要素が別の要素の「上に(on)」ある、又は「上へ(onto)」延在すると言われる場合、その要素は他の要素の上に直接あり得るか、若しくは他の要素の上へ直接延在し得る、又は介在要素も存在し得ることは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、又は「直接上へ」延在すると言われる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続(connected)」又は「結合(coupled)」されていると言われる場合、その要素は他の要素に直接接続若しくは結合され得るか、又は介在要素が存在し得ることもまた理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」されている、又は「直接結合」されていると言われる場合、介在する要素は存在しない。
【0153】
「下方に(below)」若しくは「上方に(above)」、又は「上部に(upper)」若しくは「下部に(lower)」、又は「水平に(horizontal)」若しくは「側方に(lateral)」若しくは「垂直に(vertical)」などの相対的な用語は、図に示す、1つの要素、層、又は領域と別の要素、層、又は領域との関係を説明するために本明細書で使用されることがある。これらの用語は、図に描かれている向きに加えて、デバイスの様々な向きを包含することを意図していることは理解されよう。
【0154】
本明細書では、本発明の理想化された実施例(及び中間構造体)の概略図である断面図を参照して、本発明の実施例を説明している。図における層及び領域の厚さは、明確にするために誇張されている場合がある。さらに、例えば製造技法及び/又は許容誤差の結果、図の形状から変わることが予想されよう。したがって、本発明の実施例は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因する形状のずれを含むものである。
【0155】
全体を通じて類似の番号は類似の要素を指す。したがって、同じ又は類似の番号は、該当図面に言及又は説明されていない場合でも、他の図面を参照して説明されている場合がある。また、参照番号が示されていない要素は、他の図面を参照して説明されている場合がある。
【0156】
図面及び明細書において、本発明の典型的な実施例を開示してきた。特定の用語が使用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定する目的ではない。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に記述される。