(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】基板処理装置及び回転駆動方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231110BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231110BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/44 G
H01L21/31 B
(21)【出願番号】P 2020004496
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 純之介
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-47685(JP,A)
【文献】特開2013-98271(JP,A)
【文献】特開平4-302138(JP,A)
【文献】特開平6-314656(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0065841(KR,A)
【文献】中国実用新案第201942790(CN,U)
【文献】特開2019-110281(JP,A)
【文献】特開2018-195733(JP,A)
【文献】国際公開第2003/014414(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/44
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルを前記真空容器に対して回転させる公転用モータと、
内部が前記真空容器内よりも高い圧力であり、前記真空容器内で前記回転テーブルと一体で回転する収容ボックスと、
前記回転テーブルの周方向に沿って設けられ、上面に基板を載置する複数の載置台と、
前記収容ボックス内に設けられ、前記複数の載置台の各々を前記回転テーブルに対して回転させる複数の自転用モータと、
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記収容ボックス内の圧力は、大気圧である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記収容ボックスは、前記回転テーブルの下方に設けられる、
請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記回転テーブルの周方向に沿って設けられ、前記回転テーブルと前記収容ボックスとを接続する複数の接続部を更に有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記載置台と前記
自転用モータとを接続し、前記
自転用モータの動力を前記載置台に伝達する回転軸を更に有する、
請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記収容ボックスは、断面視矩形状に形成され、前記回転テーブルの回転方向に沿ってリング状に形成される収容部を含む、
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記収容ボックスは、前記収容部に連通し、前記収容部に流体を導入するための連通部を含む、
請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記流体は、大気を含む、
請求項
7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
真空容器内で、回転テーブルと、内部が該真空容器内よりも高い圧力の収容ボックスと、を
、公転用モータにより、前記真空容器に対して一体で回転させるステップと、
前記回転テーブルの周方向に沿って設けられ、上面に基板を載置する複数の載置台の各々を、前記収容ボックス内に配置される複数の
自転用モータにより、前記回転テーブルに対して回転させるステップと、
を有する、
回転駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び回転駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のウエハを載置した回転テーブルを回転させることで各ウエハを公転させ、回転テーブルの半径方向に沿うように配置される処理ガスの供給領域を繰り返し通過させることで、ウエハに各種の膜を成膜する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置においては、回転テーブルによりウエハが公転する間、ウエハが自転するようにウエハの載置台を回転させて、当該ウエハの周方向における膜の均一性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、パーティクルの発生を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、真空容器と、前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルを前記真空容器に対して回転させる公転用モータと、内部が前記真空容器内よりも高い圧力であり、前記真空容器内で前記回転テーブルと一体で回転する収容ボックスと、前記回転テーブルの周方向に沿って設けられ、上面に基板を載置する複数の載置台と、前記収容ボックス内に設けられ、前記複数の載置台の各々を前記回転テーブルに対して回転させる複数の自転用モータと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、パーティクルの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2の成膜装置の真空容器内の構成を示す平面図
【
図4】
図2の成膜装置の回転テーブルと収容ボックスとの位置関係を示す斜視図
【
図5】
図2の成膜装置の収容ボックス内の構成を示す断面図
【
図6】回転駆動装置の動作の一例を示すフローチャート
【
図7】回転駆動装置の動作の別の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、基板処理装置の構成例について説明する。
図1は、基板処理装置の構成例を示す概略図である。
【0010】
基板処理装置1は、処理部10、回転駆動装置20及び制御部90を備える。
【0011】
処理部10は、基板に対して半導体製造プロセスを実行するように構成される。半導体製造プロセスは、例えば熱処理、成膜処理及びエッチング処理を含む。処理部10は、真空容器11、ガス導入口12、ガス排気口13及び搬送口14を有する。
【0012】
真空容器11は、内部を減圧可能な容器である。真空容器11は、内部に複数の基板を収容可能に構成される。ただし、真空容器11は、内部に一枚の基板を収容可能に構成されていてもよい。基板は、例えば半導体ウエハであってよい。
【0013】
ガス導入口12は、真空容器11に設けられる。ガス導入口12は、例えばガスノズル、シャワーヘッドであってよい。真空容器11内には、ガス導入口12を介して、ガス供給装置15から半導体製造プロセスを実行するためのガスが導入される。該ガスは、例えば成膜ガス、エッチングガス及びパージガスの少なくとも1つを含む。
【0014】
ガス排気口13は、真空容器11に設けられる。ガス排気口13は、例えば真空容器11の壁面に形成された開口であってよい。真空容器11内に導入されるガスは、ガス排気口13を介して、排気装置16により排気される。
【0015】
搬送口14は、真空容器11に設けられる。搬送口14は、真空容器11内に基板を搬入する又は真空容器11内から基板を搬出するための開口である。搬送口14は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。
【0016】
ガス供給装置15は、ガス導入口12を介して、真空容器11内に半導体製造プロセスを実行するためのガスを導入する。ガス供給装置15は、例えばガス供給源、ガス配管、バルブ及び流量制御器を含む。
【0017】
排気装置16は、真空容器11内に導入されたガスを排気し、真空容器11内を減圧する。排気装置16は、例えば排気配管、バルブ及び真空ポンプを含む。
【0018】
回転駆動装置20は、回転テーブル21、収容ボックス22、回転軸23及び公転用モータ24を有する。
【0019】
回転テーブル21は、真空容器11内に設けられる。回転テーブル21は、真空容器11の中心を回転軸として回転可能に構成される。回転テーブル21は、例えば円板形状を有する。回転テーブル21の上面には、回転方向(周方向)に沿って複数の載置台211が設けられる。回転テーブル21は、接続部212を介して収容ボックス22に接続される。
【0020】
各載置台211には、基板(図示せず)が載置される。各載置台211は、自転軸213を介して自転用モータ221に接続され、回転テーブル21に対して回転可能に構成される。
【0021】
接続部212は、例えば回転テーブル21の下面と収容ボックス22の上面とを接続する。接続部212は、例えば回転テーブル21の周方向に沿って複数設けられる。接続部212には、収容ボックス22内から回転テーブル21の内部に温度センサ、各種プローブ等を導入するための貫通孔が設けられていてもよい。
【0022】
自転軸213は、載置台211の下面と、収容ボックス22内に収容される自転用モータ221とを接続し、自転用モータ221の動力を載置台211に伝達する。自転軸213は、載置台211の中心を回転中心として回転可能に構成される。自転軸213は、収容ボックス22の天井部及び回転テーブル21を貫通して設けられる。収容ボックス22の天井部の貫通孔には、シール部214が設けられ、収容ボックス22内の気密状態が維持される。シール部214は、例えば磁性流体シールを含む。
【0023】
収容ボックス22は、真空容器11内に設けられる。収容ボックス22は、接続部212を介して回転テーブル21に接続されており、回転テーブル21と一体で回転可能に構成される。収容ボックス22の内部は、真空容器11内から隔離されており、真空容器11内よりも高い圧力、例えば大気圧に維持される。収容ボックス22内には、自転用モータ221等のメカニカルパーツが収容される。
【0024】
自転用モータ221は、自転軸213の下端に接続され、自転軸213を介して載置台211を回転テーブル21に対して回転させることで基板を自転させる駆動部として機能する。自転用モータ221は、例えばサーボモータであってよい。
【0025】
回転軸23は、収容ボックス22に固定される。ただし、回転軸23は、回転テーブル21に固定されてもよい。また、回転軸23は、収容ボックス22と一体になっていてもよく、別体になっていてもよい。回転軸23は、真空容器11の底部を貫通して設けられる。真空容器11の底部の貫通孔には、シール部231が設けられ、真空容器11内の気密状態が維持される。シール部231は、例えば磁性流体シールを含む。回転軸23の内部には、収容ボックス22内に流体を導入するための流体流路232が形成される。流体としては、例えば大気、冷却媒体が挙げられる。
【0026】
公転用モータ24は、回転軸23を介して、回転テーブル21を真空容器11に対して回転させることで基板を公転させる。回転軸23が回転すると、回転テーブル21と一体で収容ボックス22が回転する。すなわち、回転テーブル21、収容ボックス22及び回転軸23は、一体で回転する。
【0027】
制御部90は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部90は、例えばコンピュータであってよい。また、基板処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0028】
以上に説明したように、基板処理装置1は、真空容器11と、真空容器11内に回転可能に設けられる回転テーブル21と、内部が真空容器11よりも高い圧力であり、真空容器11内で回転テーブル21と一体で回転する収容ボックス22と、を有する。これにより、真空容器11内に回転テーブル21に対して回転する載置台211を設ける際、載置台211を回転させる自転用モータ221を真空容器11内から隔離された収容ボックス22内に配置できる。そのため、自転用モータ221に含まれるベアリング等の機械的接触に起因する発塵(パーティクル)等を収容ボックス22内に閉じ込めることができる。その結果、パーティクルがプロセスエリアに侵入することを防止できる。また、自転用モータ221が真空容器11内に導入されるガスと接触しないため、該ガスによる腐食を防止できる。
【0029】
また、自転用モータ221を、真空容器11内の減圧環境ではなく、基板処理装置1の設置場所、例えばクリーンルームと同じ環境に維持できる収容ボックス22内に配置できるので、自転用モータ221の安定動作が可能となる。その結果、自転用モータ221により動作させる載置台321aを精度よく回転させることができる。
【0030】
〔基板処理装置の具体的な構成例〕
図2~
図5を参照し、基板処理装置1の具体的な構成として、基板に膜を形成する成膜装置300を例示して説明する。
【0031】
図2は、成膜装置の構成例を示す断面図である。
図3は、
図2の成膜装置の真空容器内の構成を示す平面図である。
図3においては、説明の便宜上、天板の図示を省略している。
図4は、
図2の成膜装置の回転テーブルと収容ボックスとの位置関係を示す斜視図である。
図5は、
図2の成膜装置の収容ボックス内の構成を示す断面図である。
【0032】
成膜装置300は、処理部310、回転駆動装置320及び制御部390を備える。
【0033】
処理部310は、基板に膜を形成する成膜処理を実行するように構成される。処理部310は、真空容器311、ガス導入口312、ガス排気口313、搬送口314、加熱部315及び冷却部316を有する。
【0034】
真空容器311は、内部を減圧可能な容器である。真空容器311は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平な形状を有し、内部に複数の基板を収容する。基板は、例えば半導体ウエハであってよい。真空容器311は、本体311a、天板311b、側壁体311c及び底板311dを含む(
図2)。本体311aは、円筒形状を有する。天板311bは、本体311aの上面に対してシール部311eを介して気密に着脱可能に配置される。側壁体311cは、本体311aの下面に接続され、円筒形状を有する。底板311dは、側壁体311cの底面に対して気密に配置される。
【0035】
ガス導入口312は、原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dを含む(
図3)。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、回転テーブル321の上方に、真空容器311の周方向(
図3の矢印Aで示される方向)に互いに間隔をおいて配置される。図示の例では、搬送口314から時計回り(回転テーブル321の回転方向)に、分離ガスノズル312c、原料ガスノズル312a、分離ガスノズル312d及び反応ガスノズル312bがこの順に配列される。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dの基端部であるガス導入ポート312a1,312b1,312c1,312d1(
図3)は、本体311aの外周壁に固定される。そして、原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、真空容器311の外周壁から真空容器311内に導入され、本体311aの半径方向に沿って回転テーブル321に対して水平に伸びるように取り付けられる。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、例えば石英により形成される。
【0036】
原料ガスノズル312aは、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、原料ガスの供給源(図示せず)に接続される。原料ガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。原料ガスノズル312aには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、原料ガスノズル312aの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。原料ガスノズル312aの下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。
【0037】
反応ガスノズル312bは、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。反応ガスとしては、例えば酸化ガス、窒化ガスを利用できる。反応ガスノズル312bには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、反応ガスノズル312bの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。反応ガスノズル312bの下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化又は窒化させる反応ガス供給領域P2となる。
【0038】
分離ガスノズル312c,312dは、いずれも配管及び流量制御バルブ等(図示せず)を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス等の不活性ガスを利用できる。分離ガスノズル312c,312dには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、分離ガスノズル312c,312dの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。
【0039】
また、
図3に示されるように、真空容器311内には2つの凸状部317が設けられる。凸状部317は、分離ガスノズル312c,312dと共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル321に向かって突出するように天板311bの裏面に取り付けられる。また、凸状部317は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有し、内円弧が突出部318に連結し、外円弧が真空容器311の本体311aの内周壁に沿うように配置される。
【0040】
ガス排気口313は、第1の排気口313a及び第2の排気口313bを含む(
図3)。第1の排気口313aは、原料ガス吸着領域P1に連通する第1の排気領域E1の底部に形成される。第2の排気口313bは、反応ガス供給領域P2に連通する第2の排気領域E2の底部に形成される。第1の排気口313a及び第2の排気口313bは、排気配管(図示せず)を介して排気装置(図示せず)に接続される。
【0041】
搬送口314は、真空容器311の側壁に設けられる(
図3)。搬送口314では、真空容器311内の回転テーブル321と真空容器311の外部の搬送アーム314aとの間で基板Wの受け渡しが行われる。搬送口314は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。
【0042】
加熱部315は、固定軸315a、ヒータ支持部315b及びヒータ315cを含む(
図2)。
【0043】
固定軸315aは、真空容器311の中心を中心軸とする円筒形状を有する。固定軸315aは、回転軸323の内側に、真空容器311の底板311dを貫通して設けられる。固定軸315aの外周壁と回転軸323の内周壁との間には、シール部315dが設けられる。これにより、回転軸323は、真空容器311内の気密状態を維持しながら、固定軸315aに対して回転する。シール部315dは、例えば磁性流体シールを含む。
【0044】
ヒータ支持部315bは、固定軸315aの上部に固定され、円板形状を有する。ヒータ支持部315bは、ヒータ315cを支持する。
【0045】
ヒータ315cは、ヒータ支持部315bの上面に設けられる。ヒータ315cは、ヒータ支持部315bの上面に加え、本体311a、天板311bに設けられていてもよい。ヒータ315cは、電源(図示せず)から電力が供給されることにより発熱し、基板Wを加熱する。
【0046】
冷却部316は、流体流路316a1~316a4、チラーユニット316b1~316b4、入口配管316c1~316c4及び出口配管316d1~316d4を含む。流体流路316a1,316a2,316a3,316a4は、それぞれ本体311a、天板311b、底板311d及びヒータ支持部315bの内部に形成される。チラーユニット316b1~316b4は、温調流体を出力する。チラーユニット316b1~316b4から出力された温調流体は、入口配管316c1~316c4、流体流路316a1~316a4及び出口配管316d1~316d4をこの順に流れ、循環する。これにより、本体311a、天板311b、底板311d及びヒータ支持部315bの温度が調整される。温調流体としては、例えば水や、ガルデン(登録商標)等のフッ素系流体を利用できる。
【0047】
回転駆動装置320は、回転テーブル321、収容ボックス322、回転軸323及び公転用モータ324を有する。
【0048】
回転テーブル321は、真空容器311内に設けられ、真空容器311の中心に回転中心を有する。回転テーブル321は、例えば円板形状を有し、石英により形成される。回転テーブル321の上面には、回転方向(周方向)に沿って複数(例えば5つ)の載置台321aが設けられる。回転テーブル321は、接続部321dを介して収容ボックス322に接続される。
【0049】
各載置台321aは、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有し、例えば石英により形成される。各載置台321aには、基板Wが載置される。基板Wは、例えば半導体ウエハであってよい。各載置台321aは、自転軸321bを介して自転用モータ321cに接続され、回転テーブル321に対して回転可能に構成される。
【0050】
自転軸321bは、載置台321aの下面と、収容ボックス322内に収容される自転用モータ321cとを接続し、自転用モータ321cの動力を載置台321aに伝達する。自転軸321bは、載置台321aの中心を回転中心として回転可能に構成される。自転軸321bは、収容ボックス322の天井部322b及び回転テーブル321を貫通して設けられる。収容ボックス322の天井部322bの貫通孔には、シール部326cが設けられ、収容ボックス322内の気密状態が維持される。シール部326cは、例えば磁性流体シールを含む。
【0051】
自転用モータ321cは、自転軸321bを介して載置台321aを回転テーブル321に対して回転させることで基板を自転させる。自転用モータ321cは、例えばサーボモータであってよい。
【0052】
接続部321dは、例えば回転テーブル321の下面と収容ボックス322の上面とを接続する。接続部321dは、例えば回転テーブル321の周方向に沿って複数設けられる。
【0053】
収容ボックス322は、真空容器311内における回転テーブル321の下方に設けられる。収容ボックス322は、接続部321dを介して回転テーブル321に接続され、回転テーブル321と一体で回転可能に構成される。収容ボックス322は、昇降機構(図示せず)により真空容器311内で昇降可能に構成されていてもよい。収容ボックス322は、本体部322a及び天井部322bを有する。
【0054】
本体部322aは、断面視凹状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。
【0055】
天井部322bは、本体部322aの上面に、断面視凹状に形成された本体部322aの開口を覆うように設けられる。これにより、本体部322a及び天井部322bは、真空容器311内から隔離された収容部322cを形成する。
【0056】
収容部322cは、断面視矩形状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。収容部322cは、自転用モータ321cを収容する。本体部322aには、収容部322cと成膜装置300の外部とを連通させる連通部322dが形成される。これにより、収容部322cに成膜装置300の外部から大気が導入され、収容部322c内が冷却されると共に、大気圧に維持される。
【0057】
回転軸323は、収容ボックス322の下部に固定される。回転軸323は、真空容器311の底板311dを貫通して設けられる。回転軸323は、公転用モータ324の動力を回転テーブル321及び収容ボックス322に伝達し、回転テーブル321及び収容ボックス322を一体で回転させる。真空容器311の底板311dの貫通孔には、シール部311fが設けられ、真空容器311内の気密状態が維持される。シール部311fは、例えば磁性流体シールを含む。
【0058】
回転軸323の内部には、貫通孔323aが形成される。貫通孔323aは、収容ボックス322の連通部322dと接続され、収容ボックス322内に大気を導入するための流体流路として機能する。また、貫通孔323aは、収容ボックス322内に自転用モータ321cを駆動させるための電力線及び信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。貫通孔323aは、例えば自転用モータ321cと同じ数だけ設けられる。
【0059】
制御部390は、成膜装置300の各部を制御する。制御部390は、例えばコンピュータであってよい。また、成膜装置300の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0060】
〔回転駆動装置の動作〕
図6を参照し、回転駆動装置320の動作(回転駆動方法)の一例について説明する。
図6は、回転駆動装置320の動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
以下、制御部390が成膜装置300を制御して、回転テーブル321及び載置台321aを回転させた状態で、載置台321a上の基板に原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)による膜を形成する場合を例示して説明する。
図6に示される回転駆動方法は、ステップS11~S13を含む。
【0062】
ステップS11では、制御部390は、公転用モータ324を制御して、回転テーブル321を回転させる。これにより、回転テーブル321の周方向に沿って設けられた複数の載置台321a上の基板Wが公転する。回転テーブル321の回転速度は、例えば1~500rpmであってよい。
【0063】
ステップS12では、制御部390は、自転用モータ321cを制御して、回転テーブル321の周方向に沿って設けられた複数の載置台321aのそれぞれを回転テーブル321に対して回転させる。これにより、各載置台321aに載置された基板Wが自転する。載置台321aの回転速度は、例えば1~30rpmであってよい。
【0064】
ステップS13では、制御部390は、処理部310を制御して、基板Wに対して成膜処理を実行する。制御部390は、例えば分離ガスノズル312c,312dから分離領域Dに分離ガスを供給した状態で、原料ガスノズル312aから原料ガス吸着領域P1に原料ガスを供給し、反応ガスノズル312bから反応ガス供給領域P2に反応ガスを供給する。これにより、回転テーブル321の載置台321aに載置された基板Wが原料ガス吸着領域P1及び反応ガス供給領域P2を繰り返し通過した際に、基板Wの表面にALDによる膜が堆積する。
【0065】
以上の回転駆動方法によれば、各載置台321aに載置された基板Wを自転させながら原料ガス吸着領域P1及び反応ガス供給領域P2を繰り返し通過させて基板Wの表面にALDによる膜を形成する。これにより、基板Wの周方向における膜の均一性が向上する。
【0066】
また、以上の回転駆動方法によれば、載置台321aを回転させる自転用モータ321cが真空容器311内から隔離された収容ボックス322内に配置される。そのため、自転用モータ321cに含まれるベアリング等の機械的接触に起因するパーティクル等を収容ボックス322内に閉じ込めることができる。その結果、パーティクルがプロセスエリアに侵入することを防止できる。また、自転用モータ321cが真空容器311内に導入される原料ガス及び反応ガスと接触しないため、原料ガス及び反応ガスによる自転用モータ321cの腐食を防止できる。
【0067】
また、自転用モータ321cを、真空容器311内の減圧環境ではなく、成膜装置300の設置場所、例えばクリーンルームと同じ環境に維持できる収容ボックス322内に配置できるので、自転用モータ321cの安定動作が可能となる。その結果、自転用モータ321cにより動作させる載置台321aを精度よく回転させることができる。
【0068】
図7を参照して、回転駆動装置320の動作(回転駆動方法)の別の一例について説明する。
図7は、回転駆動装置320の動作の別の一例を示すフローチャートである。
【0069】
以下では、制御部390が回転駆動装置320を制御して、回転テーブル321及び載置台321aを回転させた後、回転テーブル321の載置台321aに載置された基板Wを真空容器311外に搬出する動作を例に挙げて説明する。
図7に示される回転駆動方法は、例えば複数の載置台321aに載置された基板Wに対して成膜処理が終了した後に実行される。
図7に示される回転駆動方法は、ステップS21~S24を含む。
【0070】
ステップS21では、制御部390は、公転用モータ324を制御して、複数の載置台321aのうちの一つが搬送口314に臨む位置まで移動するように、回転テーブル321を所定角度回転させる。
【0071】
ステップS22では、制御部390は、自転用モータ321cを制御して、搬送口314に臨む位置に移動した載置台321aを回転させて、載置台321aに載置された基板Wを自転させることにより、基板Wの回転方向における位置決めを行う。
【0072】
ステップS23では、制御部390は、ゲートバルブを開き、外部から搬送アーム314aにより搬送口314を介して、搬送口314に臨む位置にある載置台321aに載置された基板Wを搬出する。
【0073】
ステップS24では、制御部390は、複数の載置台321aに載置された全ての基板Wの搬出が完了したか否かを判定する。ステップS24において、全ての基板Wの搬出が完了したと判定した場合、制御部390は、処理を終了させる。一方、ステップS24において、全ての基板Wの搬出が完了していないと判定した場合、制御部390は、処理をステップS21へ戻す。
【0074】
以上の回転駆動方法によれば、成膜処理が完了した基板Wを搬出する際に、回転テーブル321を公転させ且つ載置台321aを自転させた後、回転テーブル321の載置台321aに載置された基板Wを真空容器11外に搬出する。これにより、回転方向において位置決めされた状態で基板Wを搬出できる。
【0075】
また、以上の回転駆動方法によれば、載置台321aを回転させる自転用モータ321cが真空容器311内から隔離された収容ボックス322内に配置される。そのため、自転用モータ321cに含まれるベアリング等の機械的接触に起因するパーティクル等を収容ボックス322内に閉じ込めることができる。その結果、パーティクルがプロセスエリアに侵入することを防止できる。また、自転用モータ321cが真空容器311内に導入されるガスと接触しないため、該ガスによる腐食を防止できる。
【0076】
また、自転用モータ321cを、真空容器311内の減圧環境ではなく、成膜装置300の設置場所、例えばクリーンルームと同じ環境に維持できる収容ボックス322内に配置できるので、自転用モータ321cの安定動作が可能となる。その結果、自転用モータ321cにより動作させる載置台321aを精度よく回転させることができる。
【0077】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0078】
上記の実施形態では、回転テーブル321に5つの載置台321aが設けられる場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、載置台321aは、4つ以下であってもよく、6つ以上であってもよい。
【0079】
上記の実施形態では、処理部310が、真空容器311、ガス導入口312、ガス排気口313、搬送口314、加熱部315及び冷却部316を有する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、処理部310は、更に真空容器311内に供給される各種のガスを活性化するためのプラズマを生成するプラズマ生成部を有していてもよい。
【0080】
上記の実施形態では、収容ボックス322が回転テーブル321の下方に設けられる場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、収容ボックス322は、回転テーブル321の上方に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 基板処理装置
21 回転テーブル
211 載置台
212 接続部
213 自転軸
22 収容ボックス
221 自転用モータ
111 真空容器
300 成膜装置
311 真空容器
321 回転テーブル
321a 載置台
321b 自転軸
321c 自転用モータ
321d 接続部
322 収容ボックス
322c 収容部
322d 連通部