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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20231110BHJP
   B24B 47/22 20060101ALI20231110BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20231110BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20231110BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B24B47/22
B24B41/06 L
B24B7/04 A
H01L21/304 631
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020005518
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021112781
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌之
(72)【発明者】
【氏名】大室 喜洋
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂
(72)【発明者】
【氏名】水島 亮
(72)【発明者】
【氏名】平賀 洋行
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大輝
(72)【発明者】
【氏名】花岡 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】堀 真一郎
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226945(JP,A)
【文献】特開2019-055460(JP,A)
【文献】特表2019-517931(JP,A)
【文献】特開昭50-008177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B5/00-7/30
B24B41/00-51/00
H01L21/304;21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面を有するチャックテーブルと、環状基台と該環状基台の下面に固定された研削砥石とを有する研削ホイールをスピンドルの下方に装着し該チャックテーブルの該保持面に保持された被加工物を研削して薄化する研削ユニットと、該研削ユニットを該保持面と垂直な研削送り方向に移動させる研削送りユニットと、該チャックテーブルに被加工物を搬入搬出する搬入出領域と該研削ユニットで該被加工物を研削する研削領域との間で該チャックテーブルを移動するチャックテーブル移動ユニットと、各構成要素を制御する制御部と、を備える研削装置であって、
該研削ユニットは、
該スピンドルの下端に配設され、該研削ホイールの該環状基台に係合して該研削ホイールを該スピンドルに固定するホイール係合部と、
該ホイール係合部を、該環状基台に係合する係合位置と、該環状基台から退避する退避位置とに位置付ける係合部位置付け機構と、を備え、
該制御部は、
該研削ユニットに該研削ホイールを装着する際に、該研削ホイールが載置された該チャックテーブルを該研削領域に移動させ、該研削ユニットを研削送りして該ホイール係合部を該研削ホイールに近接させた後、該ホイール係合部を該係合位置に位置付け、該研削ホイールを該研削ユニットに装着する研削装置。
【請求項2】
該チャックテーブルは、該研削ホイールを保持する研削ホイール用チャックテーブルと、被加工物を保持する被加工物用チャックテーブルとを備える請求項1に記載の研削装置。
【請求項3】
該研削ユニットに装着された該研削ホイールは、該研削送り方向で該環状基台の上端が該研削ユニットの所定の位置に固定され、
該制御部は、該研削送り方向での、該研削ユニットと該チャックテーブルの保持面との距離と、該環状基台の上端から該研削砥石の下端までの研削ホイールの総厚と、該チャックテーブルに支持された該研削ホイールの下端の高さと、から、該研削ユニットに装着された該研削ホイールの該研削砥石の下端と該チャックテーブルの該保持面が接触する該研削送り方向での基準高さを算出する基準高さ算出部と、を備える請求項1又は請求項2に記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハや樹脂パッケージ基板、セラミックス基板など各種板状の被加工物を研削砥石で研削して薄化する研削装置、所謂グラインダーが知られている。研削砥石は、金属製の環状基台の下面(自由端)に環状に並んで固定され、研削ホイールを構成する(例えば、特許文献1参照)。研削ホイールは、研削装置のスピンドルの下端に固定されたホイールマウントを介してスピンドルに固定され、チャックテーブルの保持面に保持された被加工物に対し、高速で回転しながら研削送りされて研削を実施する。
【0003】
研削ホイールは、円盤形のホイールマウントにネジによって固定される。また研削砥石の先端(下端)とチャックテーブルの保持面が接触する高さを基準高さとし、被加工物を保持面から何ミクロンの高さまで研削を実施するか制御する。
【0004】
研削ホイールの交換作業は、研削装置の内部にオペレータが潜り込み、比較的重量のある研削ホイールに対してネジを何カ所も緩めたり締めたりする必要があった。また、交換した研削ホイールの基準高さを検出するため、研削ユニットをチャックテーブルに向かって少しずつ研削送りしながら、チャックテーブルの保持面と研削砥石の下端の隙間を所定の厚さのブロックゲージがギリギリ入る高さに設定する所謂セットアップ作業が必要となる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-089065号公報
【文献】特開2013-253837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した研削ホイールの交換作業は、研削ホイールが比較的重量を有しているために、比較的重労働な作業であった。
【0007】
また、前述したセットアップ作業は、チャックテーブルの保持面と研削砥石の下端の隙間を所定の厚さのブロックゲージがギリギリ入る高さに設定するために、熟練されたオペレータであっても作業に係る工数が増加する傾向であった。
【0008】
このように、従来から用いられてきた研削装置は、研削ホイールの交換作業が困難な作業であった。
【0009】
本発明は、研削ホイールの交換作業の困難さを抑制することができる研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の研削装置は、保持面を有するチャックテーブルと、環状基台と該環状基台の下面に固定された研削砥石とを有する研削ホイールをスピンドルの下方に装着し該チャックテーブルの該保持面に保持された被加工物を研削して薄化する研削ユニットと、該研削ユニットを該保持面と垂直な研削送り方向に移動させる研削送りユニットと、該チャックテーブルに被加工物を搬入搬出する搬入出領域と該研削ユニットで該被加工物を研削する研削領域との間で該チャックテーブルを移動するチャックテーブル移動ユニットと、各構成要素を制御する制御部と、を備える研削装置であって、該研削ユニットは、該スピンドルの下端に配設され、該研削ホイールの該環状基台に係合して該研削ホイールを該スピンドルに固定するホイール係合部と、該ホイール係合部を、該環状基台に係合する係合位置と、該環状基台から退避する退避位置とに位置付ける係合部位置付け機構と、を備え、該制御部は、該研削ユニットに該研削ホイールを装着する際に、該研削ホイールが載置された該チャックテーブルを該研削領域に移動させ、該研削ユニットを研削送りして該ホイール係合部を該研削ホイールに近接させた後、該ホイール係合部を該係合位置に位置付け、該研削ホイールを該研削ユニットに装着することを特徴とする。
【0011】
前記研削装置において、該チャックテーブルは、該研削ホイールを保持する研削ホイール用チャックテーブルと、被加工物を保持する被加工物用チャックテーブルとを備えても良い。
【0012】
前記研削装置において、該研削ユニットに装着された該研削ホイールは、該研削送り方向で該環状基台の上端が該研削ユニットの所定の位置に固定され、該制御部は、該研削送り方向での、該研削ユニットと該チャックテーブルの保持面との距離と、該環状基台の上端から該研削砥石の下端までの研削ホイールの総厚と、該チャックテーブルに支持された該研削ホイールの下端の高さと、から、該研削ユニットに装着された該研削ホイールの該研削砥石の下端と該チャックテーブルの該保持面が接触する該研削送り方向での基準高さを算出する基準高さ算出部と、を備えても良い。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の研削装置は、研削ホイールの交換作業の困難さを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係る研削装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された研削装置の加工対象の被加工物を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示された研削装置の粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットを分解して下方から示す斜視図である。
図4図4は、図3に示された粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットの下端部を一部断面で示す側面図である。
図5図5は、図1に示された研削装置のホイールストック部、研削ホイール搬送ロボット、各研削ユニット及び各チャックテーブルを示す平面図である。
図6図6は、図1に示された研削装置の各研削ユニットと研削ホイール用チャックテーブルと被加工物用チャックテーブルを模式的に示す側面図である。
図7図7は、図5に示されたホイールストック部の上面に載置された研削ホイールを研削ホイール搬送ロボットが保持した状態を示す平面図である。
図8図8は、図7に示された研削ホイール搬送ロボットが研削ホイールを研削ホイール用チャックテーブルに搬送した状態を示す平面図である。
図9図9は、図8に示された研削ホイールを保持した研削ホイール用チャックテーブルを粗研削ユニットの下方に位置付けた状態を一部断面で示す側面図である。
図10図10は、図9に示された粗研削ユニットのスピンドルに研削ホイールを装着した状態を一部断面で示す側面図である。
図11図11は、実施形態2に係る研削装置の研削ユニットを研削ホイールを保持した研削ホイール用チャックテーブルに近付けた状態を一部断面で示す側面図である。
図12図12は、図11に示された研削ユニットのホイール係合部を係合位置に位置付けた状態を一部断面で示す側面図である。
図13図13は、実施形態3に係る研削装置の各研削ユニットと研削ホイール用チャックテーブルと被加工物用チャックテーブルを模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る研削装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る研削装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された研削装置の加工対象の被加工物を示す斜視図である。図3は、図1に示された研削装置の粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットを分解して下方から示す斜視図である。図4は、図3に示された粗研削ユニット及び仕上げ研削ユニットの下端部を一部断面で示す側面図である。図5は、図1に示された研削装置のホイールストック部、研削ホイール搬送ロボット、各研削ユニット及び各チャックテーブルを示す平面図である。図6は、図1に示された研削装置の各研削ユニットと研削ホイール用チャックテーブルと被加工物用チャックテーブルを模式的に示す側面図である。
【0017】
実施形態1に係る図1に示す研削装置1は、図2に示す被加工物200の裏面201を研削して、被加工物200を所定の仕上げ厚さに薄化する加工装置である。実施形態1に係る研削装置1の加工対象である被加工物200は、シリコンを母材とする円板状の半導体ウェーハやサファイア、SiC(炭化ケイ素)などを母材とする光デバイスウェーハなどのウェーハである。被加工物200は、図2に示すように、表面202に形成された格子状の分割予定ライン203により区画された各領域にデバイス204が形成されている。被加工物200は、表面202に保護部材205が貼着された状態で裏面201が研削される。実施形態1では、保護部材205は、被加工物200と同じ大きさの円板状に形成され、可撓性を有する合成樹脂により構成されている。
【0018】
また、本発明の被加工物200は、ウェーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状の樹脂パッケージ基板、セラミックス基板等各種の板状の被加工物でも良い。
【0019】
研削装置1は、図1に示すように、装置本体2と、粗研削ユニット3(研削ユニットに相当)と、仕上げ研削ユニット4(研削ユニットに相当)と、研削送りユニット5と、ターンテーブル6と、ターンテーブル6上に設置された複数(実施形態1では4つ)のチャックテーブル7と、カセット8,9と、位置合わせユニット10と、搬送ユニット11と、洗浄ユニット12と、搬出入ユニット13と、ホイールストック部14と、研削ホイール搬送ロボット15と、制御部100とを主に備えている。
【0020】
ターンテーブル6は、装置本体2の上面に設けられた円盤状のテーブルであり、水平面内で回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。このターンテーブル6上には、例えば4つのチャックテーブル7が、例えば90度の位相角で等間隔に配設されている。これら4つのチャックテーブル7は、保持面71に真空チャックを備えたチャックテーブル構造のものであり、被加工物200が保護部材205を介して保持面71上に載置されて、被加工物200又は研削ユニット3,4の研削ホイール32,42を保持する。これらチャックテーブル7は、研削時には、鉛直方向即ちZ軸方向と平行な回転軸回りに、回転駆動機構によって水平面内で回転駆動される。このように、チャックテーブル7は、被加工物200を回転可能に保持する保持面71を有している。
【0021】
なお、これら4つのチャックテーブル7のうち一つのチャックテーブル7(以下、符号7-1で示す)は、研削ホイール32,42を保持する研削ホイール用チャックテーブルであり、残りの3つのチャックテーブル7は、被加工物200を保持する被加工物用チャックテーブル7(以下、符号7-2で示す)である。こうして、チャックテーブル7は、研削ホイール用チャックテーブル7-1と、被加工物用チャックテーブル7-2とを備えている。
【0022】
このようなチャックテーブル7-1,7-2は、ターンテーブル6の回転によって、搬入出領域301、粗研削領域302、仕上げ研削領域303、研削ホイール搬入出領域304、搬入出領域301に順次移動される。
【0023】
なお、研削ホイール搬入出領域304は、研削ホイール用チャックテーブル7-1に研削ホイール32,42を搬入搬出する領域であり、搬入出領域301は、被加工物用チャックテーブル7-2に被加工物200を搬入搬出する領域であり、粗研削領域302は、粗研削ユニット3で被加工物用チャックテーブル7-2に保持された被加工物200を粗研削(研削に相当)する領域であり、仕上げ研削領域303は、仕上げ研削ユニット4で被加工物用チャックテーブル7-2に保持された被加工物200を仕上げ研削(研削に相当)する領域である。このように、このように、ターンテーブル6は、回転することで、研削ホイール搬入出領域304と、搬入出領域301と、研削領域302,303との間でチャックテーブル7-1,7-2を移動するテーブル移動ユニットである。
【0024】
粗研削ユニット3は、粗研削用の研削砥石31を備える粗研削用の研削ホイール32が装着されて、粗研削領域302の被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71に保持された被加工物200の裏面201を粗研削して薄化する研削ユニットである。仕上げ研削ユニット4は、仕上げ研削用の研削砥石41を備える仕上げ研削用の研削ホイール42が装着されて、仕上げ研削領域303の被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71に保持された被加工物200の裏面201を仕上げ研削して薄化する研削ユニットである。なお、研削ユニット3,4は、構成が略同一であるので、以下、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0025】
粗研削ユニット3及び仕上げ研削ユニット4は、図3に示すように、研削ホイール32,42をスピンドル33の下方である下端部に装着している。研削ホイール32,42は、円環状の環状基台34と、環状基台34の下面341に固定された複数の研削砥石31,41とを有する。研削砥石31,41は、環状基台34の下面341の外縁部に周方向に並べられている。また、実施形態1では、研削ホイール32,42は、環状基台34の内周面に全周に亘って係合溝35が形成されている。係合溝35は、環状基台34の外周に向かうにしたがってZ軸方向の幅が徐々に狭く形成され、下方側の内面351が下面341と平行であり、上方側の内面352が環状基台34の外周に向かうにしたがって徐々に下面341に向かう方向に下面341に対して傾斜している。
【0026】
スピンドル33は、スピンドルハウジング36内に保持面71と垂直な研削送り方向であるZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に収容され、スピンドルハウジング36に取り付けられたスピンドルモータ37(図1に示す)により軸心回りに回転される。スピンドル33は、円柱状に形成され、下端部に研削ホイール32,42を装着するためのホイールマウント38と、芯出し部39とが設けられている。ホイールマウント38は、スピンドル33の下端部から外周方向に全周に亘って突出し、外周面の平面形状が円形に形成されている。ホイールマウント38は、下面381に環状基台34の上面342が重ねられて、研削ホイール32,42が装着される。芯出し部39は、ホイールマウント38の下面381から下方に向かって凸の円板状に形成されている。芯出し部39の外径は、研削ホイール32,42の環状基台34の内径よりも若干小さい。スピンドル33と、ホイールマウント38と、芯出し部39とは、互いに同軸となる位置に配置されている。
【0027】
また、研削ユニット3,4は、図3及び図4に示すように、ホイール係合部40と、係合部位置付け機構43とを備える。ホイール係合部40は、スピンドル33の下端部に配設され、研削ホイール32,42の環状基台34の係合溝35に係合して、研削ホイール32,42をスピンドル33の下端部に固定するものである。
【0028】
実施形態1において、ホイール係合部40は、芯出し部39の外周面に開口したスライド支持用穴401内に芯出し部39の径方向にスライド自在に設けられた係合部材402を複数備えている。係合部材402は、図4に破線で示す係合位置と、図4に実線で示す退避位置とに亘ってスライド支持用穴401内にスライド自在に支持されている。係合位置は、芯出し部39の外周面から突出して、係合部材402の先端部が研削ホイール32,42の係合溝35内に侵入して、環状基台34の係合溝35に係合する位置である。退避位置は、係合部材402の先端部がスライド支持用穴401の奥に没して、環状基台34の係合溝35から退避して、芯出し部39が環状基台34の内周を通ることを許容する位置である。
【0029】
なお、実施形態1では、係合部材402の先端部の下面403は、下面381と平行であるとともに、研削ホイール32,42の係合溝35の内面351と平行である。係合部材402の先端部の上面404は、芯出し部39の外周に向かうにしたがって徐々に下面403に近付く方向に下面403に対して傾斜しているとともに、研削ホイール32,42の係合溝35の内面352と平行である。
【0030】
このために、ホイール係合部40は、係合部材402が係合位置に位置すると、係合部材402の先端部の下面403及び上面404が係合溝35の内面351,352に密に接触して、スピンドル33の下端部に研削ホイール32,42を固定する。実施形態1では、研削ユニット3,4に装着された研削ホイール32,42は、ホイール係合部40により、Z軸方向で研削ホイール32,42の環状基台34の上端である上面342が研削ユニット3,4の所定の位置であるスピンドル33のホイールマウント38の下面381に固定される。
【0031】
係合部位置付け機構43は、ホイール係合部40の係合部材402を係合位置と、退避位置とに位置付けるものである。係合部位置付け機構43は、係合部材402を係合位置と退避位置とに亘って移動させるものであり、全ての係合部材402を互いに連動させて係合位置又は退避位置に位置付ける。係合部位置付け機構43は、全ての係合部材402を互いに連動させて係合位置と退避位置とに亘って移動させるモータなどのアクチュエータ又はエアーシリンダを含んで構成される。
【0032】
研削ユニット3,4は、スピンドルモータ37によりスピンドル33及び研削ホイール32,42が軸心回りに回転されるとともに研削水を研削領域302,303の被加工物用チャックテーブル7-2に保持された被加工物200の裏面201に供給しながら研削送りユニット5により研削砥石31,41が被加工物用チャックテーブル7-2に所定の送り速度で近づけられることによって、被加工物200の裏面201を粗研削又は仕上げ研削する。
【0033】
研削送りユニット5は、研削ユニット3,4をZ軸方向に移動させるものである。実施形態1において、研削送りユニット5は、装置本体2の水平方向と平行なY軸方向の一端部から立設した立設柱21に設けられている。研削送りユニット5は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット3,4のスピンドルハウジング36をZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0034】
なお、実施形態1において、粗研削ユニット3及び仕上げ研削ユニット4は、研削砥石31,41で被加工物用チャックテーブル7-2に保持された被加工物200の裏面201を研削する図1に示す研削位置と、ホイールマウント38が研削領域302,303の研削ホイール用チャックテーブル7-1と同軸となるホイール着脱位置とに亘って、スライド移動機構16により研削送りユニット5及び立設柱21毎水平方向に沿って移動される。スライド移動機構16は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び各研削ユニット3,4を支持した立設柱21を水平方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。なお、研削位置は、研削ユニット3,4の研削ホイール32,42の回転中心である軸心と、チャックテーブル7の回転中心である軸心とが、互いに水平方向に間隔をあけて平行に配置され、研削砥石31,41が被加工物用チャックテーブル7-2に保持された被加工物200の裏面201の中心又は中心付近を通る位置である。
【0035】
カセット8,9は、複数のスロットを有する被加工物200を収容するための収容容器である。一方のカセット8は、研削前の被加工物200を収容し、他方のカセット9は、研削後の被加工物200を収容する。また、位置合わせユニット10は、カセット8から取り出された被加工物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0036】
搬送ユニット11は、2つ設けられている。2つの搬送ユニット11は、被加工物200を吸着する吸着パッドを有している。一方の搬送ユニット11は、位置合わせユニット10で位置合わせされた研削前の被加工物200を吸着保持して搬入出領域301に位置する被加工物用チャックテーブル7-2上に搬入する。他方の搬送ユニット11は、搬入出領域301に位置する被加工物用チャックテーブル7-2上に保持された研削後の被加工物200を吸着保持して洗浄ユニット12に搬出する。
【0037】
搬出入ユニット13は、例えばU字型ハンド131を備えるロボットピックであり、U字型ハンド131によって被加工物200を吸着保持して搬送する。具体的には、搬出入ユニット13は、研削前の被加工物200をカセット8から取り出して、位置合わせユニット10へ搬出するとともに、研削後の被加工物200を洗浄ユニット12から取り出して、カセット9へ搬入する。洗浄ユニット12は、研削後の被加工物200を洗浄し、研削された裏面201に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
【0038】
ホイールストック部14は、研削ユニット3,4から取り外された研削ホイール32,42を上面141に載置するとともに、研削ユニット3,4に取り付ける研削ホイール32,42を上面141に載置するものである。実施形態1では、ホイールストック部14は、図5に示すように、装置本体2の研削ホイール搬入出領域304のチャックテーブル7-1,7-2の隣に配置されている。
【0039】
研削ホイール搬送ロボット15は、研削ホイール搬入出領域304の研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71に保持された研削ホイール32,42をホイールストック部14の上面141に搬送するとともに、ホイールストック部14の上面141に載置された研削ホイール32,42を研削ホイール搬入出領域304の研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71に搬送するものである。実施形態1では、研削ホイール搬送ロボット15は、図5に示すように、装置本体2にZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられた搬送アーム151と、搬送アーム151の先端に設けられて研削ホイール32,42の環状基台34の外周面を把持する複数の把持部材152とを備えている。
【0040】
また、研削装置1は、各研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381のZ軸方向の高さを検出する研削送り方向位置検出ユニット17を備える。実施形態1では、研削送り方向位置検出ユニット17は、モータのパルスで各研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381のZ軸方向の位置を検出する。研削送り方向位置検出ユニット17は、検出した各研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381のZ軸方向の位置を制御部100に出力する。なお、Z軸方向の位置は、研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71を基準として、研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71からのZ軸方向の距離で示される。
【0041】
制御部100は、研削装置1を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御部100は、被加工物200に対する研削動作を研削装置1に実行させるものである。制御部100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。
【0042】
制御部100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して研削装置1の上述した構成要素に出力する。また、制御部100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットや、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0043】
制御部100は、図1に示すように、記憶部101と、基準高さ算出部102とを備える。記憶部101は、図6に示すZ軸方向の予め定められた所定の位置に位置付けられた各研削ユニット3,4のZ軸方向でのホイールマウント38の下面381と研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71との距離501と、研削ホイール用チャックテーブル7-1に支持された研削ホイール32,42の研削砥石31,41の下面の高さである研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71と被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71とのZ軸方向での距離502とを記憶している。
【0044】
また、記憶部101は、Z軸方向での、各研削ユニット3,4に装着される研削ホイール32,42の環状基台34の上面342から研削砥石31,41の下端である下面までの研削ホイール32,42の総厚503を記憶している。記憶部101は、オペレータが入力ユニットを操作することで制御部100に入力された距離501,502及び総厚503を加工条件の一部として受け付けて記憶する。
【0045】
基準高さ算出部102は、各研削ユニット3,4に研削ホイール32,42が装着された後に、記憶部101に記憶した距離501と、総厚503と、距離502とから、各研削ユニット3,4に装着された研削ホイール32,42の研削砥石31,41の下面と被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71が接触するZ軸方向での基準高さを算出するものである。基準高さは、スピンドル33即ち研削ユニット3,4のZ軸方向の所定の高さを示し、基準高さにスピンドル33が位置付けられると、ホイールマウント38の下面381から保持面71までの距離が研削ホイール32,42の総厚503となるZ軸方向の高さである。実施形態1に係る研削装置1は、研削ホイール用チャックテーブル7-1に載置した研削ホイール32,42をホイールマウント38に着脱するときに、スピンドル33即ち研削ユニット3,4を研削ホイール用チャックテーブル7-1に対する基準高さに位置付ける必要がある。また、研削装置1は、通常のブロックゲージを用いるセットアップと同様の目的のために、被加工物用チャックテーブル7-2で被加工物200を所望の厚さに研削するために、被加工物用チャックテーブル7-2に対する基準高さを割り出す必要がある。
【0046】
実施形態1では、基準高さ算出部102は、研削ホイール用チャックテーブル7-1に対する基準高さを、研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381から研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71までの距離が総厚503となる高さと算出する。また、実施形態1では、被加工物用チャックテーブル7-2に対する基準高さを、研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71が被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71よりも低いので、研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381から研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71までの距離が総厚503と距離502との和の値となる高さと算出する。なお、研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71が被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71よりも高い場合には、基準高さ算出部102は、被加工物用チャックテーブル7-2に対する基準高さを、研削ユニット3,4のホイールマウント38の下面381から研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71までの距離が総厚503から距離502を引いた値となる高さと算出する。このように、実施形態1では、基準高さ算出部102は、被加工物用チャックテーブル7-2に対する基準高さを、研削ホイール用チャックテーブル7-1に対する基準高さと同様に、2つのチャックテーブルの高さの差である距離502を用いて算出するが、本発明では、距離502を用いず、被加工物用チャックテーブル7-2に対する距離501がわかれば被加工物用チャックテーブル7-2の保持面71からの距離501と総厚503が等しくなる高さを基準高さと算出しても良い。
【0047】
なお、記憶部104の機能は、制御部100の記憶装置により実現される。基準高さ算出部102の機能は、制御部100の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを演算処理装置が実行することで実現される。
【0048】
次に、実施形態1に係る研削装置1の加工動作を説明する。研削装置1は、オペレータにより、加工条件が制御部100に登録され、研削前の保護部材205が貼着された被加工物200を収容したカセット8及び被加工物200を収容していないカセット9が装置本体2に設置される。研削装置1の制御部100は、オペレータから加工動作の開始指示を受け付けると、加工動作を開始する。
【0049】
加工動作では、研削装置1の制御部100は、スライド移動機構16を制御して、各研削ユニット3,4を研削位置に位置付け、搬出入ユニット13にカセット8から被加工物200を取り出させて、位置合わせユニット10へ搬出させる。制御部100は、位置合わせユニット10に被加工物200の中心位置合わせを行わせ、搬送ユニット11に位置合わせされた被加工物200の表面202側を搬入出領域301に位置する被加工物用チャックテーブル7-2上に搬入する。
【0050】
研削装置1の制御部100は、被加工物200の表面202側を保護部材205を介して搬入出領域301の被加工物用チャックテーブル7-2に保持し、裏面201を露出させて、ターンテーブル6で被加工物200を粗研削領域302、仕上げ研削領域303、研削ホイール搬入出領域304、搬入出領域301に順に搬送し、粗研削、仕上げ研削を順に施す。なお、研削装置1の制御部100は、ターンテーブル6が90度回転する度に、研削前の被加工物200を搬入出領域301の被加工物用チャックテーブル7-2に搬入する。
【0051】
研削装置1の制御部100は、研削後の被加工物200を搬送ユニット11により洗浄ユニット12に搬入し、洗浄ユニット12で洗浄し、洗浄後の被加工物200を搬出入ユニット13の搬送パッドで被加工物200の保護部材205側から保持して、カセット9へ搬入する。研削装置1の制御部100は、カセット8内の全ての被加工物200に研削を施すと、加工動作を終了する。
【0052】
次に、研削装置1の研削ホイール32,42を研削ユニット3,4のスピンドル33に装着する装着動作を図面に基づいて説明する。なお、研削ホイール32,42をスピンドル33に装着する装着動作は、両研削ユニット3,4とも同様であるので、本明細書は、粗研削ユニット3のスピンドル33に研削ホイール32を装着する装着動作を代表して説明する。また、以下、本明細書は、装着動作を、粗研削ユニット3のスピンドル33に研削ホイール32を装着する前にスピンドル33から研削ホイール32が取り外されて、粗研削ユニット3がZ軸方向の所定の位置に位置付けられ、ホイール係合部40の係合部材402が退避位置に位置付けられていることとして説明する。
【0053】
図7は、図5に示されたホイールストック部の上面に載置された研削ホイールを研削ホイール搬送ロボットが保持した状態を示す平面図である。図8は、図7に示された研削ホイール搬送ロボットが研削ホイールを研削ホイール用チャックテーブルに搬送した状態を示す平面図である。図9は、図8に示された研削ホイールを保持した研削ホイール用チャックテーブルを粗研削ユニットの下方に位置付けた状態を一部断面で示す側面図である。図10は、図9に示された粗研削ユニットのスピンドルに研削ホイールを装着した状態を一部断面で示す側面図である。
【0054】
研削ホイール32を粗研削ユニット3のスピンドル33に装着する際には、オペレータが、ホイールストック部14の上面141に研削ホイール32を載置し、加工条件としてのホイールストック部14の上面141に載置された研削ホイール32の総厚503、前述した距離501,502を制御部100に入力する。制御部100は、総厚503、距離501,502を受け付けると記憶部101に記憶する。研削装置1の制御部100は、オペレータから装着動作の開始指示を受け付けると、装着動作を開始し、基準高さ算出部102が、前述した研削ホイール用チャックテーブル7-1における基準高さ及び被加工物用チャックテーブル7-2における基準高さを算出する。なお、本発明では、距離501,502は、研削ホイール32,42の装着前に予め記憶部101に記憶されていても良い。
【0055】
装着動作では、研削装置1の制御部100は、ターンテーブル6を制御して、研削ホイール用チャックテーブル7-1を研削ホイール搬入出領域304に位置付けさせる。制御部100は、研削ホイール搬送ロボット15を制御して、図7に示すように、研削ホイール搬送ロボット15に把持部材152でホイールストック部14の上面141に載置された研削ホイール32を把持させる。制御部100は、研削ホイール搬送ロボット15を制御して、図8に示すように、把持部材152で把持した研削ホイール32を研削ホイール搬入出領域304の研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71に搬送させ、研削ホイール32を研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71に載置させる。
【0056】
制御部100は、研削ホイール用チャックテーブル7-1に研削ホイール32を保持した後、ターンテーブル6を制御して、研削ホイール用チャックテーブル7-1を粗研削領域302に移動させる。制御部100は、スライド移動機構16を制御して、図9に示すように、粗研削ユニット3をホイール着脱位置に位置付けるとともに、研削ホイール用チャックテーブル7-1を粗研削領域302に位置付けさせる。
【0057】
制御部100は、研削送りユニット5を制御して、粗研削ユニット3を下降して粗研削ユニット3のホイール係合部40を研削ホイール用チャックテーブル7-1上の研削ホイール32に近付けるとともに、係合部位置付け機構43を制御して、ホイール係合部40の係合部材402を係合位置に移動させて、係合部材402を係合溝35に係合させ、粗研削ユニット3のスピンドル33に研削ホイール32を装着する。このとき、制御部100は、研削ホイール用チャックテーブル7-1の保持面71からの距離が総厚503になる高さまで粗研削ユニット3を下降した後、ホイール係合部40の係合部材402を係合位置に位置付けて、粗研削ユニット3に研削ホイール32を装着する。
【0058】
制御部100は、研削送りユニット5を制御して、研削ホイール32を装着した粗研削ユニット3をZ軸方向の所定の位置まで上昇させ、スライド移動機構16を制御して粗研削ユニット3を研削位置に位置付けて、装着動作を終了する。こうして、装着動作では、制御部100は、研削ユニット3,4に研削ホイール32,42を装着する際に、研削ホイール32,42が載置された研削ホイール用チャックテーブル7-1を研削領域302,303に移動させ、研削ユニット3,4を研削送りしてホイール係合部40を研削ホイール32,42に近接させた後、ホイール係合部40を係合位置に位置付け、研削ホイール32,42を研削ユニット3,4に装着する。
【0059】
また、研削装置1は、研削ユニット3,4から研削ホイール32,42を取り外す際には、制御部100が装着動作と反対の動作に各構成要素を制御する。
【0060】
以上のように、実施形態1に係る研削装置1は、各研削ユニット3,4がホイール係合部40と係合部位置付け機構43とを備えているので、研削ホイール32,42を保持した研削ホイール用チャックテーブル7-1をターンテーブル6で研削ユニット3,4の下方である研削領域302,303まで搬送し、研削送りユニット5で各研削ユニット3,4を移動させることで、研削ホイール32,42を各研削ユニット3,4に自動的に着脱出来るという効果を奏する。これによって、研削装置1は、オペレータの研削ホイール32,42の着脱にかかる作業を抑制することができる。その結果、研削装置1は、研削ホイール32,42の交換作業の困難さを抑制することができる、という効果を奏する。
【0061】
また、研削装置1は、記憶部101に研削ホイール32,42の総厚503、前述した距離501,502を記憶し、基準高さ算出部102が、研削ユニット3,4に装着された研削ホイール32,42の研削砥石31と保持面71が接触する基準高さを算出するため、研削ホイール32,42装着後のオペレータのセットアップ作業も不要になるという効果を奏する。
【0062】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る研削装置を図面に基づいて説明する。図11は、実施形態2に係る研削装置の研削ユニットを研削ホイールを保持した研削ホイール用チャックテーブルに近付けた状態を一部断面で示す側面図である。図12は、図11に示された研削ユニットのホイール係合部を係合位置に位置付けた状態を一部断面で示す側面図である。なお、図11及び図12は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
実施形態2に係る研削装置1-2は、図11及び図12に示すように、ホイール係合部40の複数の係合部材402がホイールマウント38の下面381の外縁部に芯出し部39の径方向にスライド自在に設けられ、係合部材402の先端部が芯出し部39側に配置されているとともに、研削ホイール32,42の環状基台34の外周面に全周に亘って係合溝35が形成されている事以外、実施形態1と同じである。
【0064】
実施形態2において、係合部材402は、図11に示す退避位置と、図12に示す係合位置とに亘ってホイールマウント38の下面381にスライド自在に支持されている。退避位置は、図11に示すように、係合部材402がホイールマウント38の下面381の外縁側に位置し、係合部材402の先端部が環状基台34の係合溝35から退避して、係合部材402が研削ホイール用チャックテーブル7-1に保持された研削ホイール32,42と干渉しない位置である。係合位置は、図12に示すように、係合部材402が退避よりもホイールマウント38の下面381の内周側に位置して、係合部材402の先端部が研削ホイール32,42の係合溝35内に侵入して、環状基台34の係合溝35に係合する位置である。
【0065】
実施形態2に係る研削装置1-2は、各研削ユニット3,4がホイール係合部40と係合部位置付け機構43とを備えているので、研削ホイール32,42を各研削ユニット3,4に自動的に着脱出来るという効果を奏する。その結果、研削装置1-2は、オペレータの研削ホイール32,42の着脱にかかる作業を抑制することができ、実施形態1と同様に、研削ホイール32,42の交換作業の困難さを抑制することができる、という効果を奏する。
【0066】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る研削装置を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態3に係る研削装置の各研削ユニットと研削ホイール用チャックテーブルと被加工物用チャックテーブルを模式的に示す側面図である。なお、図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態3に係る研削装置1-3は、加工動作では複数のチャックテーブル7の全てで被加工物200を保持して被加工物200の裏面201を研削し、研削ホイール32,42の装着動作では、複数のチャックテーブル7のうちいずれかで研削ホイール32,42を保持する。また、研削装置1-3は、研削ホイール32,42の装着動作では、図13に示すように、いずれか一つのチャックテーブル7の保持面71に研削ホイール用支持プレート18を載置し、研削ホイール用支持プレート18の外縁部の支持面181に研削砥石31,41を載置して、チャックテーブル7に研削ホイール32,42を保持し、記憶部101が、距離501の代わりに所定の位置に位置付けられた各研削ユニット3,4のZ軸方向でのホイールマウント38の下面と研削ホイール用支持プレート18の支持面181との距離を記憶し、距離502の代わりに、研削ホイール用支持プレート18の支持面181とチャックテーブル7の保持面71とのZ軸方向での距離504を記憶している事以外、実施形態1と同じである。
【0068】
研削ホイール用支持プレート18は、金属又は樹脂により構成され、チャックテーブル7と同径の円板状に形成されている。研削ホイール用支持プレート18は、保持面71に載置され、保持面71により吸引保持されることで、チャックテーブル7に固定される。研削ホイール用支持プレート18は、研削ホイール32,42の研削砥石31,41からチャックテーブル7の保持面71を保護して、保持面71が傷つくことを防止するものである。
【0069】
実施形態3に係る研削装置1-3は、各研削ユニット3,4がホイール係合部40と係合部位置付け機構43とを備えているので、研削ホイール32,42を各研削ユニット3,4に自動的に着脱出来るという効果を奏する。その結果、研削装置1-3は、オペレータの研削ホイール32,42の着脱にかかる作業を抑制することができ、実施形態1と同様に、研削ホイール32,42の交換作業の困難さを抑制することができる、という効果を奏する。
【0070】
また、実施形態3に係る研削装置1-3は、チャックテーブル7の保持面71に研削ホイール用支持プレート18を介して研削ホイール32,42を保持するので、保持面71が傷つくことを抑制することができる。また、実施形態3に係る研削装置1-3は、チャックテーブル7に研削ホイール用支持プレート18を装着することで、チャックテーブル7が研削ホイール32,42で傷付く事を防ぎつつ研削ホイール32,42を保持するチャックテーブルを専用に設ける事を不要とすることができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。前述した実施形態に係る研削装置1,1-2,1-3は、研削ホイール32,42を保持する研削ホイール用チャックテーブル7-1と、被加工物200を保持する被加工物用チャックテーブル7-2とを備えるが、本発明では、研削装置が、加工動作では複数のチャックテーブル7の全てで被加工物200を保持して被加工物200の裏面を研削し、研削ホイール32,42の装着動作では、複数のチャックテーブル7のうちいずれかで研削ホイール32,42を保持しても良い。
【0072】
また、本発明では、研削装置は、ホイールストック部14と研削ホイール搬送ロボット15を備えずに、オペレータがチャックテーブル7に研削ホイール32,42を載置しても良い。また、本発明では、研削装置は、粗研削ユニット3と仕上げ研削ユニット4とのうちいずれか一方のみを備えても良く、粗研削ユニット3と仕上げ研削ユニット4とに加え仕上げ研削後の被加工物200の裏面201を研磨する研磨ユニットを備えても良い。
【符号の説明】
【0073】
1,1-2,1-3 研削装置
3 粗研削ユニット(研削ユニット)
4 仕上げ研削ユニット(研削ユニット)
5 研削送りユニット
6 ターンテーブル(チャックテーブル移動ユニット)
7 チャックテーブル
7-1 研削ホイール用チャックテーブル
7-2 被加工物用チャックテーブル
31 粗研削用の研削砥石(研削砥石)
32 粗研削用の研削ホイール(研削ホイール)
33 スピンドル
34 環状基台
40 ホイール係合部
41 仕上げ研削用の研削砥石(研削砥石)
42 粗研削用の研削ホイール(研削ホイール)
43 係合部位置付け機構
71 保持面
100 制御部
200 被加工物
301 搬入出領域
302 粗研削領域(研削領域)
303 仕上げ研削領域(研削領域)
341 下面
342 上面(上端)
381 下面(所定の位置)
501 距離
502 距離(下端の高さ)
503 総厚
Z 研削送り方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13