IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新光電気工業株式会社の特許一覧

特許7382872半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ
<>
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図1
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図2
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図3
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図4
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図5
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図6
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図7
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図8
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図9
  • 特許-半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用ステム、半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/34 20060101AFI20231110BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20231110BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20231110BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H01L23/04 A
H01L23/02 F
H01S5/022
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020052653
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153101
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 康之
(72)【発明者】
【氏名】池田 巧
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108390255(CN,A)
【文献】特開2006-216839(JP,A)
【文献】国際公開第2003/081735(WO,A1)
【文献】特開2014-168021(JP,A)
【文献】国際公開第2018/219318(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34
H01L 23/04
H01L 23/02
H01S 5/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイレットと、
前記アイレットと一体成型され、前記アイレットの上面に突起する、前記アイレットの上面の法線方向から視て略U字型の第1金属ブロックと、
前記アイレットを上面側から下面側に貫通する第1貫通孔内に封着された第1リードと、
前記第1リードと電気的に接続された第1信号パターンが形成された表面、及び前記表面の反対面となる裏面を備え、前記裏面の側が前記第1金属ブロックの第1端面に固定された第1基板と、
前記アイレットを上面側から下面側に貫通する第2貫通孔内に封着された第2リードと、
前記第2リードと電気的に接続された第2信号パターンが形成された表面、及び前記表面の反対面となる裏面を備え、前記裏面の側が前記第1金属ブロックの第2端面に固定された第2基板と、を有し、
前記第1基板の前記裏面の一部である第1部分及び前記第2基板の前記裏面の一部である第2部分が前記第1金属ブロックから露出し、
前記第1基板の前記第1部分及び前記第2基板の前記第2部分に接地パターンが形成されている半導体パッケージ用ステム。
【請求項2】
前記第1端面と前記第2端面は、同一平面上に位置している請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項3】
前記アイレットの上面を基準として、前記第1金属ブロックの高さは前記第1基板及び前記第2基板の高さよりも低い請求項1又は2に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステムと、
前記アイレットの上面に、少なくとも一部が前記第1金属ブロックのU字の内側に入り込み、前記第1金属ブロックと離隔して配置されたペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子上に、少なくとも一部が前記第1金属ブロックのU字の内側に入り込み、前記第1金属ブロックと離隔して配置され、前記第1端面及び前記第2端面と同一方向を向く側面を備えた第2金属ブロックと、
発光素子が実装された表面、及び前記表面の反対面となる裏面を備え、前記裏面の側が前記第2金属ブロックの前記側面に固定された第3基板と、を有する半導体パッケージ。
【請求項5】
記第3基板の前記裏面の一部である第3部分が前記第2金属ブロックから露出し、
前記第3基板の前記第3部分に接地パターンが形成され、
前記第1基板の前記第1部分に形成された前記接地パターン及び前記第2基板の前記第2部分に形成された前記接地パターンと、前記第3基板の前記第3部分に形成された前記接地パターンとが線状部材を介して電気的に接続されている請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記第1基板の前記第1部分に形成された前記接地パターン及び前記第2基板の前記第2部分に形成された前記接地パターンと、前記第3基板の前記第3部分に形成された前記接地パターンとが複数の線状部材を介して電気的に接続されている請求項に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記第1基板及び前記第2基板は、前記第3基板よりも熱伝導性の低い材料で形成されている請求項乃至の何れか一項に記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2基板はアルミナ製であり、前記第3基板は窒化アルミニウム製である請求項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用ステム、及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子には様々な種類が存在するが、例えば、電界吸収型変調器集積レーザ(EML:Electro-absorption Modulator integrated with DFB Laser)や直接変調レーザ(DML:Directly Modulated Laser)が知られている。これらの発光素子は、例えば、光通信に使用される。
【0003】
これらの発光素子では、発振波長を安定化させるために、温調器であるペルチェ素子がパッケージ内に搭載される場合がある。この場合、ペルチェ素子を搭載したことでパッケージ内の伝送線路長が長くなるため、伝送損失を考慮した中継基板や、それを保持するための金属ブロックが必要となり、それらはアイレット上に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-108939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中継基板を保持するための金属ブロックは、アイレットと別体で作製し、ろう材等によりアイレットと接合することも考えられるが、プレス加工等によりアイレットと一体成型することが生産性向上等の観点から好ましい。しかしながら、上記の金属ブロックはアイレット上に突起するため、金属ブロックの形状によってはプレス加工等によりアイレットと一体成型することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、アイレットと一体成型が可能な形状の金属ブロックを有する半導体パッケージ用ステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本半導体パッケージ用ステムは、アイレットと、前記アイレットと一体成型され、前記アイレットの上面に突起する、前記アイレットの上面の法線方向から視て略U字型の第1金属ブロックと、前記アイレットを上面側から下面側に貫通する第1貫通孔内に封着された第1リードと、前記第1リードと電気的に接続された第1信号パターンが形成された表面、及び前記表面の反対面となる裏面を備え、前記裏面の側が前記第1金属ブロックの第1端面に固定された第1基板と、前記アイレットを上面側から下面側に貫通する第2貫通孔内に封着された第2リードと、前記第2リードと電気的に接続された第2信号パターンが形成された表面、及び前記表面の反対面となる裏面を備え、前記裏面の側が前記第1金属ブロックの第2端面に固定された第2基板と、を有し、前記第1基板の前記裏面の一部である第1部分及び前記第2基板の前記裏面の一部である第2部分が前記第1金属ブロックから露出し、前記第1基板の前記第1部分及び前記第2基板の前記第2部分に接地パターンが形成されている
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、アイレットと一体成型が可能な形状の金属ブロックを有する半導体パッケージ用ステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図(その1)である。
図2】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図(その2)である。
図3】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する平面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する斜視図(その1)である。
図5】第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する斜視図(その2)である。
図6】第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する平面図である。
図7】比較例に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。
図8】第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。
図9】第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する斜視図である。
図10】第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図(その1)であり、半導体パッケージ用ステムを第1基板及び第2基板の表面側から視た図である。図2は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図(その2)であり、半導体パッケージ用ステムを第1基板及び第2基板の裏面側から視た図である。図3は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する平面図である。
【0012】
図1図3を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステム1は、アイレット10と、第1金属ブロック21と、第1基板31と、第2基板32と、第1リード41と、第2リード42と、第3リード43と、第4リード44と、第5リード45と、第6リード46と、封止部50とを有する。半導体パッケージ用ステム1は、例えば、直接変調レーザ(DML)用のステムとして用いることができる。
【0013】
アイレット10は、円板状の部材である。アイレット10の直径は、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、φ3.8mmやφ5.6mm等である。アイレット10の厚さは、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、1.0~1.5mm程度である。アイレット10は、例えば、鉄等のプレス成型が可能な金属材料から形成できる。
【0014】
なお、本願において、円板状とは、平面形状が略円形で所定の厚さを有するものを指す。直径に対する厚さの大小は問わない。又、部分的に凹部や凸部、貫通孔等が形成されているものも含むものとする。又、本願において、平面視とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0015】
アイレット10の外縁部に、平面視において、外周側から中心側に窪んだ形状の1つ以上の切り欠き部が形成されてもよい。切り欠き部は、例えば、平面形状が略三角状や略四角状の窪みである。切り欠き部は、例えば、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載する際の素子搭載面の位置出し等に用いることができる。又、切り欠き部は、例えば、半導体パッケージ用ステム1の回転方向の位置出し等に用いることができる。
【0016】
第1金属ブロック21は、アイレット10と一体成型され、アイレット10の上面10aに突起する部材である。第1金属ブロック21は、例えば、鉄等の金属材料を用い、冷間鍛造プレス等によりアイレット10と一体成型できる。第1金属ブロック21は、所定間隔で並置された側壁部211及び212と、側壁部211及び212の同一側の端部同士を連結する連結部213とを有する。側壁部211及び212と連結部213で、第1リード41及び第2リード42側からアイレット10の外周方向に窪む凹部214を形成している。
【0017】
すなわち、第1金属ブロック21は、アイレット10の上面10aの法線方向から視て略U字型である。ここで、略U字型とは、所定間隔で並置された2つの側壁部と、各々の側壁部の同一側の端部同士を連結する連結部とを有し、各々の側壁部と連結部で所定の部材を3方向から囲むことが可能な凹部を形成する構造であればよく、細部の形状は問わない。
【0018】
例えば、凹部214は、平面視で矩形状であってもよいし、平面視で半円形状であってもよいし、平面視で半楕円形状であってもよい。又、各々の側壁部と連結部の長さや幅に特定の関係は必要としない。又、各々の側壁部と連結部の幅は、アイレット10の上面10aからの高さが変わっても略一定であるが、厳密に一定でなくてもよい。
【0019】
第1金属ブロック21の第1リード41側を向く第1端面は、第1基板31を固定するための基板固定面21aである。第1金属ブロック21の第2リード42側を向く第2端面は、第2基板32を固定するための基板固定面21bである。基板固定面21a及び21bは、例えば、アイレット10の上面10aに対して略垂直になるように設けられている。基板固定面21aと基板固定面21bは同一側を向いており、例えば、同一平面上に位置している。
【0020】
なお、基板固定面21a及び21bには基板を固定できる程度の平面性が要求されるが、第1金属ブロック21の凹部214の内壁面には基板等は固定されないため、第1金属ブロック21の凹部214の内壁面は凹凸等がある粗れた面であっても構わない。
【0021】
第1基板31は、基板固定面21aに固定されている。第1基板31の表面(第1リード41側を向く面)には、信号パターン31S及び接地パターン31Gが設けられている。第1基板31の裏面(第1金属ブロック21側を向く面)には、接地パターン31Gがベタ状に設けられている。第1基板31の表面の接地パターン31Gと裏面の接地パターン31Gは、第1基板31を貫通するスルーホールを介して電気的に接続されている。
【0022】
第2基板32は、基板固定面21bに固定されている。第2基板32の表面(第2リード42側を向く面)には、信号パターン32S及び接地パターン32Gが設けられている。第2基板32の裏面(第1金属ブロック21側を向く面)には、接地パターン32Gがベタ状に設けられている。第2基板32の表面の接地パターン32Gと裏面の接地パターン32Gは、第2基板32を貫通するスルーホールを介して電気的に接続されている。
【0023】
第1基板31の裏面側は、ろう材(例えば、金錫合金)等の導電材料により、基板固定面21aに固定され、第2基板32の裏面側は、ろう材(例えば、金錫合金)等の導電材料により、基板固定面21bに固定されている。これにより、第1基板31の裏面の接地パターン31G、及び第2基板32の裏面の接地パターン32Gは第1金属ブロック21と導通し、第1金属ブロック21はGND電位(基準電位)となる。
【0024】
アイレット10の上面10aを基準として、第1金属ブロック21の高さは第1基板31及び第2基板32の高さと略同一である。アイレット10の上面10aを基準とした第1金属ブロック21、第1基板31、及び第2基板32の高さは、例えば、2mmである。
【0025】
第1基板31及び第2基板32は、例えば、アルミナ製や窒化アルミニウム製である。信号パターン31S及び32S並びに接地パターン31G及び32Gは、例えば、タングステンやチタン、金等から形成できる。信号パターン31S及び32S並びに接地パターン31G及び32Gの表面に、金めっき等が形成されてもよい。
【0026】
第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46は、アイレット10を上面10a側から下面10b側に貫通する貫通孔内に、長手方向をアイレット10の厚さ方向に向けて封着されている。すなわち、第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46は、各貫通孔内において周囲を封止部50に封止されている。
【0027】
第1リード41、第2リード42の一部は、アイレット10の上面10aから上側に突出している。突出量は、例えば、0~0.3mm程度である。第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46の一部は、アイレット10の上面10aから上側に突出している。第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46のアイレット10の上面10aからの突出量は、例えば、0~2mm程度である。
【0028】
又、第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46の一部は、アイレット10の下面10bから下側に突出している。第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46のアイレット10の下面10bからの突出量は、例えば、6~10mm程度である。
【0029】
第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46は、例えば、鉄ニッケル合金やコバール等の金属から構成されており、封止部50は、例えば、ガラス材等の絶縁材料から構成されている。第1リード41、第2リード42、第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46の表面に、金めっき等が形成されてもよい。
【0030】
第1リード41のアイレット10の上面10aから上側に突出している部分は、ろう材(例えば、金錫合金)等により、第1基板31の信号パターン31Sと電気的に接続されている。又、第2リード42のアイレット10の上面10aから上側に突出している部分は、ろう材(例えば、金錫合金)等により、第2基板32の信号パターン32Sと電気的に接続されている。
【0031】
第1リード41及び第2リード42は、信号パターン31S及び32Sを介して半導体パッケージ用ステム1に搭載される発光素子と電気的に接続される差動信号が通る経路となる。第3リード43、第4リード44、第5リード45、及び第6リード46は、例えば、GNDや、半導体パッケージ用ステム1に搭載されるペルチェ素子と電気的に接続される信号や、半導体パッケージ用ステム1に搭載される温度センサと電気的に接続される信号が通る経路となる。なお、リードの本数は限定されず、必要に応じて増減してよい。
【0032】
図4は、第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する斜視図(その1)であり、半導体パッケージを第1基板及び第2基板の表面側から視た図である。図5は、第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する斜視図(その2)であり、半導体パッケージを第1基板及び第2基板の裏面側から視た図である。図6は、第1実施形態に係る半導体パッケージを例示する平面図である。なお、図4では、便宜上、キャップ100を透明に図示しており、図5及び図6ではキャップ100及び透明部材110の図示を省略している。
【0033】
図4図6を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ2は、半導体パッケージ用ステム1(図1図3参照)と、第2金属ブロック22と、第3基板33と、発光素子60と、ペルチェ素子70と、キャップ100と、透明部材110とを有する。
【0034】
図4に示すように、半導体パッケージ2において、半導体パッケージ用ステム1には、発光素子60の出射光Lを取り出すためのレンズや窓等である透明部材110と一体になったキャップ100が抵抗溶接等により固定されている。キャップ100は、例えば、ステンレス鋼等の金属から形成され、内側に半導体パッケージ用ステム1の発光素子60等の主要部品を気密封止している。
【0035】
ペルチェ素子70は、アイレット10の上面10aに配置されている。ペルチェ素子70の一部は、凹部214と接しないように凹部214内に入り込んでおり、ペルチェ素子70の他部は凹部214内から第4リード44及び第5リード45側に突出している。
【0036】
第2金属ブロック22は、略L字状の部材であり、ペルチェ素子70上に固定されている。第2金属ブロック22の一部(高さの高い部分)は凹部214と接しないように凹部214に入り込んでおり、第2金属ブロック22の他部(高さの低い部分)は凹部214内から第4リード44及び第5リード45側に突出している。つまり、第2金属ブロック22は、第1金属ブロック21と離間して配置されている。
【0037】
第2金属ブロック22の第4リード44及び第5リード45側を向く側面は、第3基板33を固定するための基板固定面22aである。基板固定面22aは、例えば、アイレット10の上面10aに対して略垂直になるように設けられている。基板固定面22aは、基板固定面21a及び21bと同一側を向いており、例えば、基板固定面22aと基板固定面21a及び21bとは同一平面上に位置している。
【0038】
第2金属ブロック22は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料から形成できる。第2金属ブロック22は、例えば、熱伝導性の接着剤等により、ペルチェ素子70上に固定されている。第2金属ブロック22は、例えば、略L字状であるが、任意の形状としてよい。
【0039】
第3基板33は、基板固定面22aに固定されている。第3基板33の表面(第4リード44及び第5リード45側を向く面)には、信号パターン33S及び33S並びに接地パターン33Gが設けられている。第3基板33の裏面(第2金属ブロック22側を向く面)には、接地パターン33Gがベタ状に設けられている。第3基板33の表面の接地パターン33Gと裏面の接地パターン33Gは、第3基板33の側面を介して電気的に接続されている。
【0040】
第3基板33は、例えば、窒化アルミニウム製である。信号パターン33S及び33S並びに接地パターン33Gは、例えば、タングステンやチタン、金等から形成できる。信号パターン33S及び33S並びに接地パターン33Gの表面に、金めっき等が形成されてもよい。
【0041】
第3基板33の表面側において、信号パターン33Sは、線状部材80を介して、信号パターン31Sと電気的に接続されている。又、第3基板33の表面側において、信号パターン33Sは、線状部材80を介して、信号パターン32Sと電気的に接続されている。又、第3基板33の表面側において、接地パターン33Gは、線状部材80を介して、接地パターン31G及び32Gと電気的に接続されている。各々を接続する線状部材80の本数は、1本以上の任意の数とすることができる。線状部材80としては、例えば、ボンディングワイヤが挙げられるが、線状の部材であれば特に限定されない。線状部材80の他の例としては、リボンが挙げられる。又、金属線等をはんだを用いて接合してもよい。
【0042】
信号パターン33S及び33Sは、第3基板33の表面に実装された発光素子60の端子と電気的に接続されている。発光素子60を駆動する差動方式の駆動回路に対応するため、駆動信号の入力ラインは信号パターン33S及び33Sの2系統が必要となる。信号パターン33S及び33Sの一方に正相信号が入力され、他方に正相信号を反転した逆相信号が入力される。なお、発光素子60は、例えば、波長が1310nm等の半導体レーザチップである。
【0043】
第3基板33の裏面側は、ろう材(例えば、金錫合金)等の導電材料により、基板固定面22aに固定されている。これにより、第3基板33の裏面の接地パターン33Gは第2金属ブロック22と導通し、第2金属ブロック22はGND電位(基準電位)となる。
【0044】
図7は、比較例に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。図7を参照すると、比較例に係る半導体パッケージ用ステム1Xは、第1金属ブロック21が金属ブロック21Xと金属ブロック21Yに分離した点が、半導体パッケージ用ステム1(図1図3等参照)と相違する。
【0045】
アイレット10と金属ブロック21X及び21Yとを一体でプレス成型するためには、金属ブロック21X及び21Yの個々に対して金属素材の金型への流入量を調整する必要がある。しかし、金属素材の金型への流入量の調整は、プレス速度が速いこと、すなわち金属素材の塑性変形速度が高速であることにより、不可能に近い。例えば、金属ブロック21X及び21Yの一方への金属素材の充填を満足させようとすると、金属ブロック21X及び21Yの他方は金属素材の充填不足、もしくは充填過多となり、過多の場合は金型を破損させることになる。
【0046】
このように、アイレット10上に互いに離間して突起する2つの金属ブロック21X及び21Yを、アイレット10と一体でプレス成型することは極めて困難である。
【0047】
これに対して、半導体パッケージ用ステム1では、第1基板31と第2基板32を1つの第1金属ブロック21の基板固定面21a及び22aに固定する。すなわち、アイレット10と一体でプレス成型する金属ブロックは第1金属ブロック21だけであるから、上記のような金属素材の金型への流入量の調整の必要性はなく、第1金属ブロック21はアイレット10と一体でプレス成型可能な形状である。その結果、半導体パッケージ用ステム1を安価で供給できる。
【0048】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、第1実施形態とは構造の異なる半導体パッケージ用ステムの例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0049】
図8は、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図であり、半導体パッケージ用ステムを第1基板及び第2基板の裏面側から視た図である。
【0050】
図8を参照すると、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ用ステム1Aは、第1金属ブロック21が第1金属ブロック21Mに置換された点が、半導体パッケージ用ステム1(図1図3等参照)と相違する。
【0051】
アイレット10の上面10aを基準として、第1金属ブロック21Mの高さは第1金属ブロック21の高さよりも低い。すなわち、アイレット10の上面10aを基準として、第1金属ブロック21Mの高さは第1基板31及び第2基板32の高さよりも低い。そのため、第1基板31の裏面の接地パターン31Gの少なくとも一部及び第2基板32の裏面の接地パターン32Gの少なくとも一部は、第1金属ブロック21Mから露出しており、露出部分に後からワイヤボンディング等を行うことが可能となっている。
【0052】
なお、アイレット10の上面10aを基準とした第1金属ブロック21Mの高さは、第1基板31及び第2基板32の取り付けの容易さを考えると、第1基板31及び第2基板32の高さの1/2以上であることが好ましい。例えば、アイレット10の上面10aを基準とした第1基板31及び第2基板32の高さが2mmである場合、第1金属ブロック21Mの高さを1mm以上とすることが好ましい。
【0053】
このように、半導体パッケージ用ステム1Aの第1金属ブロック21Mは、半導体パッケージ用ステム1の第1金属ブロック21に比べてアイレット10の上面10aを基準とした高さが低いため、アイレット10と一体でプレス成型することが一層容易である。
【0054】
図9は、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する斜視図であり、半導体パッケージを第1基板及び第2基板の裏面側から視た図である。図10は、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する平面図である。なお、図9及び図10では、図4と同様のキャップ100及び透明部材110が存在するが、図示を省略している。
【0055】
図9及び図10を参照すると、第1実施形態の変形例1に係る半導体パッケージ2Aは、第1金属ブロック21が第1金属ブロック21Mに置換され、第2金属ブロック22が第2金属ブロック22Mに置換された点が、半導体パッケージ2(図4図6等参照)と相違する。
【0056】
第2金属ブロック22Mは、第2金属ブロック22とは異なり、基板固定面22aの幅が第3基板33の幅よりも狭く形成されており、第3基板33は、裏面の両側(第1基板31側及び第2基板32側)が第2金属ブロック22Mの両側にはみ出るように基板固定面22aに固定されている。そのため、第3基板33の裏面の接地パターン33Gの少なくとも一部は、第2金属ブロック22Mの第1基板31側及び第2基板32側から露出している。
【0057】
第2金属ブロック22Mの第1基板31側から露出する第3基板33の裏面に形成された接地パターン33Gと、第1金属ブロック21Mから露出する第1基板31の裏面に形成された接地パターン31Gとは、線状部材80を介して電気的に接続されている。第3基板33及び第1基板31の裏面側で接地パターン33Gと接地パターン31Gとを接続する線状部材80の本数は、1本以上の任意の数とすることができるが、GND電位の安定性の観点から2本以上であることが好ましい。
【0058】
但し、第3基板33及び第1基板31の裏面側で接地パターン33Gと接地パターン31Gとを接続する線状部材80の本数は、10本以下であることが好ましい。ペルチェ素子70によって移動された発光素子60の動作に起因する熱が、第1基板31及び第3基板33を経由して発光素子60に帰還することを防止するためである。
【0059】
第2金属ブロック22Mの第2基板32側から露出する第3基板33の裏面に形成された接地パターン33Gと、第1金属ブロック21Mから露出する第2基板32の裏面に形成された接地パターン32Gとは、線状部材80を介して電気的に接続されている。第3基板33及び第2基板32の裏面側で接地パターン33Gと接地パターン32Gとを接続する線状部材80の本数は、1本以上の任意の数とすることができるが、GND電位の安定性の観点から2本以上であることが好ましい。
【0060】
但し、第3基板33及び第2基板32の裏面側で接地パターン33Gと接地パターン32Gとを接続する線状部材80の本数は、10本以下であることが好ましい。ペルチェ素子70によって移動された発光素子60の動作に起因する熱が、第2基板32及び第3基板33を経由して発光素子60に帰還することを防止するためである。
【0061】
このように、半導体パッケージ2Aでは、第1基板31の裏面の接地パターン31Gの少なくとも一部、及び第2基板32の裏面の接地パターン32Gの少なくとも一部を第1金属ブロック21Mから露出させている。又、第3基板33の裏面の接地パターン33Gの少なくとも一部を第2金属ブロック22Mの第1基板31側及び第2基板32側から露出させている。
【0062】
そして、第1金属ブロック21Mから露出する第1基板31の裏面の接地パターン31Gと、第2金属ブロック22Mの第1基板31側から露出する第3基板33の裏面の接地パターン33Gとを線状部材80を介して電気的に接続している。又、第1金属ブロック21Mから露出する第2基板32の裏面の接地パターン32Gと、第2金属ブロック22Mの第2基板32側から露出する第3基板33の裏面の接地パターン33Gとを線状部材80を介して電気的に接続している。
【0063】
つまり、従来のように金属ブロックの裏面側同士を線状部材で電気的に接続するのではなく、第1基板31の裏面の接地パターン31G及び第2基板32の裏面の接地パターン32Gと第3基板33の裏面の接地パターン33Gとを線状部材で電気的に接続している。これにより、異なる基板の接地パターン同士を金属ブロックを介在させることなく最短で接続できるため、電気特性の更なる改善が可能となる。
【0064】
又、第1基板31の裏面の接地パターン31Gと第3基板33の裏面の接地パターン33Gとの接続は、例えば、直径25μmのボンディングワイヤ1本でも電気特性の改善効果が得られる。同様に、第2基板32の裏面の接地パターン32Gと第3基板33の裏面の接地パターン33Gとの接続は、例えば、直径25μmのボンディングワイヤ1本でも電気特性の改善効果が得られる。
【0065】
そのため、各基板の裏面側に追加する金属線の本数をむやみに増やす必要がなく、各基板の裏面側に追加する線状部材を介して熱が発光素子へ帰還することを抑制できる。但し、半導体パッケージとしての要求仕様を満足できれば、異なる基板の接地パターン同士を複数の線状部材を用いて接続してもよい。この場合には、電気特性の一層の改善が見込まれる。
【0066】
又、第1基板31及び第2基板32は、第3基板33よりも熱伝導性の低い材料で形成されていることが好ましい。これにより、ペルチェ素子70によって移動された発光素子60の動作に起因する熱が、第1基板31及び第2基板32を経由して発光素子60に帰還することを一層防止できる。このような効果を得るためには、例えば、第1基板31及び第2基板32をアルミナ製とし、第3基板33を窒化アルミニウム製とすればよい。
【0067】
なお、線状部材80としてボンディングワイヤを用いる場合、ボンディングワイヤを太くすれば電気特性は改善するが熱の帰還が生じやすくなる。電気特性の改善と熱の帰還を考慮すると、ボンディングワイヤの直径は25μm程度とすることが好ましい。
【0068】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0069】
1、1A 半導体パッケージ用ステム
2、2A 半導体パッケージ
10 アイレット
10a 上面
10b 下面
21、21M 第1金属ブロック
21a、21b、22a 基板固定面
22、22M 第2金属ブロック
31 第1基板
31G、32G、33G 接地パターン
31S、32S、33S、33S 信号パターン
32 第2基板
33 第3基板
41 第1リード
42 第2リード
43 第3リード
44 第4リード
45 第5リード
46 第6リード
50 封止部
60 発光素子
70 ペルチェ素子
80 線状部材
100 キャップ
110 透明部材
211、212 側壁部
213 連結部
214 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10