(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】検査装置、及び、検査装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231110BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20231110BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 F
G01R31/28 K
(21)【出願番号】P 2020068425
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 朋也
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-115115(JP,A)
【文献】特開2006-339196(JP,A)
【文献】特開2010-161171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/683
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントステージ側の第1座標取得部で、前記アライメントステージと対向するポゴフレームに保持されるプローブカードのカード重心座標を取得する工程と、
前記ポゴフレームに設けられた基準ターゲットのターゲット座標系における基準ターゲット座標を前記第1座標取得部で取得する工程と、
前記ポゴフレーム側の第2座標取得部と前記第1座標取得部との位置を合わせて共通座標を取得する工程と、
前記第2座標取得部で前記アライメントステージの上に載置されたウエハのウエハ重心座標を取得する工程と、
前記カード重心座標、前記共通座標、及び前記ウエハ重心座標を用いて前記ウエハを前記プローブカードのプローブに接触させるコンタクト座標を求め、前記コンタクト座標を含むコマンドでアライメントステージを移動させ、前記第1座標取得部で前記ターゲット座標系における第1ターゲット座標を取得する工程と、
前記基準ターゲット座標を基準として計算されるコンタクト座標に前記ターゲット座標系で対応する第2ターゲット座標と、前記第1ターゲット座標との位置ずれ量に基づいて前記アライメントステージの位置を補正して前記プローブと前記ウエハとを接触させる工程と、を含む処理を実行する、検査装置。
【請求項2】
前記第1座標取得部は、前記アライメントステージに取り付けられたカメラである、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第2座標取得部は、前記ポゴフレームに取り付けられたカメラ、又は、前記ポゴフレームに対応して設けられる検査部が複数配列される場合に配列方向に沿って移動可能なカメラである、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第2ターゲット座標は、前記検査装置の設計値に基づいて得られる座標である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
アライメントステージ側の第1座標取得部で、前記アライメントステージと対向するポゴフレームに保持されるプローブカードのカード重心座標を取得する工程と、
前記ポゴフレームに設けられた基準ターゲットのターゲット座標系における基準ターゲット座標を前記第1座標取得部で取得する工程と、
前記ポゴフレーム側の第2座標取得部と前記第1座標取得部との位置を合わせて共通座標を取得する工程と、
前記第2座標取得部で前記アライメントステージの上に載置されたウエハのウエハ重心座標を取得する工程と、
前記カード重心座標、前記共通座標、及び前記ウエハ重心座標を用いて前記ウエハを前記プローブカードのプローブに接触させるコンタクト座標を求め、前記コンタクト座標を含むコマンドでアライメントステージを移動させ、前記第1座標取得部で前記ターゲット座標系における第1ターゲット座標を取得する工程と、
前記基準ターゲット座標を基準として計算されるコンタクト座標に前記ターゲット座標系で対応する第2ターゲット座標と、前記第1ターゲット座標との位置ずれ量に基づいて前記アライメントステージの位置を補正して前記プローブと前記ウエハとを接触させる工程と、
を含む、検査装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置、及び、検査装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プローブの針先またはターゲットを検出する第1、第2のカメラで検出される、2つのプローブの針先の水平位置と2つのターゲットの水平位置との差を、プローブと半導体ウエハの電極パッドのアライメントを行うために用いられる補正値として検出するプローブカード検出装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、アライメントステージの上に載置されたウエハをプローブカードのプローブに接触させる位置に移動させる際の位置精度を向上できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、アライメントステージ側の第1座標取得部で、前記アライメントステージと対向するポゴフレームに保持されるプローブカードのカード重心座標を取得する工程と、前記ポゴフレームに設けられた基準ターゲットのターゲット座標系における基準ターゲット座標を前記第1座標取得部で取得する工程と、前記ポゴフレーム側の第2座標取得部と前記第1座標取得部との位置を合わせて共通座標を取得する工程と、前記第2座標取得部で前記アライメントステージの上に載置されたウエハのウエハ重心座標を取得する工程と、前記カード重心座標、前記共通座標、及び前記ウエハ重心座標を用いて前記ウエハを前記プローブカードのプローブに接触させるコンタクト座標を求め、前記コンタクト座標を含むコマンドでアライメントステージを移動させ、前記第1座標取得部で前記ターゲット座標系における第1ターゲット座標を取得する工程と、前記基準ターゲット座標を基準として計算されるコンタクト座標に前記ターゲット座標系で対応する第2ターゲット座標と、前記第1ターゲット座標との位置ずれ量に基づいて前記アライメントステージの位置を補正して前記プローブと前記ウエハとを接触させる工程と、を含む処理を実行する、検査装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、アライメントステージの上に載置されたウエハをプローブカードのプローブに接触させる位置に移動させる際の位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る検査装置10の一例を示す断面図である。
【
図2】
図1におけるA-A矢視断面に相当する切断面における検査装置10の全体の断面の一例を示す図である。
【
図4】コレクションターゲット21を示す図である。
【
図5】ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせる処理の一例を示す図である。
【
図7】ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせる処理の一例を示す図である。
【
図8】ターゲット座標系における、基準座標A、座標B、座標Cを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付すことにより重複した説明を省く場合がある。
【0009】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る検査装置10の一例を示す断面図である。
図2は、
図1におけるA-A矢視断面に相当する切断面における検査装置10の全体の断面の一例を示す図である。以下では、直交座標系であるXYZ座標系を定義して説明する。XY平面は水平面であり、Z方向は上下方向である。
【0010】
図1及び
図2に示すように、検査装置10は、筐体11を含む。筐体11の内部空間は、検査室11Aである。検査室11Aは、検査領域12と、搬送領域13と、ロードポート領域14とを有する。
【0011】
図1及び
図2では、検査領域12、搬送領域13、及びロードポート領域14の間を仕切る壁(XZ面に略平行な壁)や、壁に設けられる開口部等を省略する。
【0012】
検査領域12は、被検査体の一例であるウエハWに形成された電子デバイスの電気特性の検査が行われる領域であり、主に、ウエハ検査用の複数のテスタ15と、ポゴフレーム15Aと、ウエハアライメントカメラ16と、アライナ19とが配置される。テスタ15及びポゴフレーム15Aは、検査部の一例である。ポゴフレーム15Aは、各テスタ15の下に1つずつ設けられている。ウエハアライメントカメラ16は、第2座標取得部の一例であり、一例として、各ポゴフレーム15Aの隣の予め決められた位置に1つずつ設けられる。
図1では、ウエハアライメントカメラ16は、テスタ15の下にあるため見えない。テスタ15は、一例として、検査領域12内でX方向に5個配置されるとともに、上下方向に3段設けられている。
図1に示す構成は、一例として、中段のテスタ15を含む部分の構成であるが、各段の構成は同様である。テスタ15は、検査領域12内でX方向に複数配置されるとともに、上下方向に複数段設けられていればよい。また、ウエハアライメントカメラ16は、各段に1つずつ設けられていてX方向に移動可能な構成であってもよい。なお、以下では、各テスタ15が配置される領域をセルと称す。検査領域12内には、一例として15個のセルがあることになる。
【0013】
搬送領域13は、検査領域12及びロードポート領域14の間に設けられた領域である。搬送領域13には、搬送ステージ18をX方向に案内するレール18Aが設けられている。搬送ステージ18については後述する。
【0014】
ロードポート領域14は、複数の収容空間17に区画されている。複数の収容空間17は、一例として、X方向に5個に区画され、上下方向に3段に区画される。
図1には、3段のうちの中段に位置する5個の収容空間17を示す。中段の5個の収容空間17のうちの3個の収容空間17には、複数枚のウエハWを収納する容器であるFOUPを収容するポート17aが3個配置され、残りの2個の収容空間17には、検査装置10の各部の動作を制御するコントローラ17dが配置される。コントローラ17dは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を含むコンピュータによって実現される。FOUPは、キャリアの一例であり、ポート17aは、キャリア収容室の一例である。
【0015】
以下では、
図1及び
図2に加えて、
図3を用いて説明する。
図3は、1つのセルの断面構造を示す図である。
図3には、上下方向の3段のうちの1段に含まれるある1つのセルの構造をYZ断面で示す。
図3には、テスタ15、ポゴフレーム15A、プローブカード15B、ウエハW、チャックトップ15C、ウエハアライメントカメラ(上カメラ)16、メインフレーム16A、アライナ19、プローブアライメントカメラ(下カメラ)20、及びコレクションターゲット21を示す。
図3では、ウエハアライメントカメラ16は、テスタ15の下面においてポゴフレーム15Aの-Y方向側に隣接して設けられたメインフレーム16Aの下面に設けられている。アライナ19は、筐体11の各段の床11Fの上に設けられている。アライナ19は、コントローラ17dによって駆動制御が行われる。
【0016】
各テスタ15の下には、プローブカード15Bを保持するポゴフレーム15Aが設けられる。ポゴフレーム15Aは、筐体11に固定されている。ポゴフレーム15Aは、ウエハWの電子デバイスの端子に接触するポゴピン(図示を省略)を有する。ウエハWの電子デバイスの端子は、ポゴフレーム15Aを介してテスタ15に電気的に接続される。また、ポゴフレーム15Aの下面には、コレクションターゲット21が取り付けられている。コレクションターゲット21は、アライナ19の基準位置を取得する際に用いる。一例として、コレクションターゲット21は、ポゴフレーム15Aの下面の+Y方向側の端部で、ポゴフレーム15AのX方向の幅の中央に取り付けられている。コレクションターゲット21の位置は、プローブカード15Bのプローブ15B1に対してウエハWをコンタクトさせるコンタクト位置にアライナ19が移動したときに、プローブアライメントカメラ20で撮影可能な位置である。
【0017】
チャックトップ15Cは、厚板状の部材であり、平坦な上面を有する。チャックトップ15Cは、アライナ19(
図2参照)によってポゴフレーム15Aに対して位置合わせが行われた状態で図示しない真空吸着機構によってポゴフレーム15Aに吸着される。
【0018】
チャックトップ15Cがポゴフレーム15Aに吸着されると、プローブカード15Bのプローブ15B1がウエハWの電子デバイスの端子に押圧される。なお、アライナ19は、各段に1つずつ設けられている。
図1では、アライナ19は、5個のテスタ15のうちのいずれか1個の下にあり、図示を省く。1つの段のアライナ19でアライメント、搬送等の処理を行っている際に、他の段のアライナ19でアライメント、搬送等の処理を行うことができるので、ウエハWの検査のスループットを向上させることができる。
【0019】
チャックトップ15Cは、ウエハWを加熱する加熱機構(ヒータ)を有していてもよく、テスタ15が電子デバイスの電気特性の検査を行う際に、ウエハWの温度を所望の温度に加熱してもよい。また、チャックトップ15Cは、冷却液を利用してチャックトップ15Cを冷却する冷却機構(チラーユニット)を有していてもよい。
【0020】
ウエハアライメントカメラ16は、第2座標取得部の一例であり、上カメラとして用いられる。ウエハアライメントカメラ16は、下方を撮影可能であり、一例として、チャックトップ15Cの上面に保持されるウエハWの位置、及び、チャックトップ15Cの位置等を撮影する。
【0021】
搬送ステージ18は、搬送機構の一例である。搬送ステージ18は、搬送領域13内をレール18Aに沿ってX方向に移動可能である。搬送ステージ18は、Y方向及びZ方向に動作可能なアーム等を有し、ウエハW等をX方向、Y方向、及びZ方向に搬送可能である。搬送ステージ18は、ロードポート領域14のポート17aからウエハWを受け取り、搬送領域13内をX方向に搬送し、アライナ19に受け渡す。また、搬送ステージ18は、電子デバイスの電気特性の検査が終了したウエハWをアライナ19から受け取り、搬送領域13内をX方向に搬送し、ポート17aに受け渡す。
【0022】
アライナ19は、アライメントステージの一例であり、搬送ステージ18からウエハWを受け取る。アライナ19は、ウエハWを保持するチャックトップ15Cを各テスタ15へ搬送し、ポゴフレーム15Aが保持するプローブカード15Bに対してウエハWの位置合わせを行う。このような位置合わせが行われた状態で、チャックトップ15Cは、図示しない真空吸着機構によってポゴフレーム15Aに吸着される。アライナ19は、電子デバイスの電気特性の検査が終了したウエハWを保持するチャックトップ15Cをポゴフレーム15Aから受け取り、ウエハWを搬送ステージ18に受け渡す。
【0023】
アライナ19は、上下方向の3段のうちの各段に1つずつ設けられている。アライナ19は、Xステージ19X、Yステージ19Y、Zステージ19Zが下から上にかけてこの順番で重ねられた構成を有する。Xステージ19Xは、X方向に移動可能であり、Yステージ19Yは、Xステージ19Xに対してY方向に移動可能であり、Zステージ19Zは、Yステージ19Yに対してZ方向に移動可能である。
【0024】
プローブアライメントカメラ20は、第1座標取得部の一例であり、下カメラとして用いられる。プローブアライメントカメラ20は、アライナ19のZステージ19Zに取り付けられており、上方を撮影可能である。
【0025】
図4は、コレクションターゲット21を示す図である。
図4(A)に示すように、コレクションターゲット21は、一例として、縦7×横7の49個のターゲット(+マーク)を有する。ここでは、ターゲットが+マークである形態について説明するが、ターゲットは+マークに限らず、様々な記号や様々な形状の図形等であってもよい。コレクションターゲット21は、各ターゲットが下方を向いた状態でポゴフレーム15Aの下面に取り付けられている。各ターゲットの右側には2行2列の数値が添付されている。一例として、右上のターゲット(00,00)が基準ターゲットであり、上段の2桁の数値は、基準ターゲットからの横方向の距離を表し、下段の2桁の数値は、基準ターゲットからの縦方向の距離を表す。このため、基準ターゲット(00,00)から左下のターゲット(06,06)に向かって上段と下段の値が1つずつ増えている。なお、ターゲットの数は49個に限らず、複数であれば幾つであってもよい。また、一例として各ターゲットの右側に2行2列の数値が添付される形態について説明するが、このような形態に限定されるものではなく、基準ターゲットからの横方向及び縦方向の位置が分かれば、どのような表記等であってもよい。
【0026】
図4(A)の破線で囲んだ部分は、プローブアライメントカメラ20で撮影した場合の視野を示す。視野の中心にある十字は、視野センタ21Aを示す。コントローラ17dは、視野センタ21Aから最も近いターゲット(視野センタ21Aから最も近い+マークのターゲット)を選択し、そのターゲットに添付されている数値を読み取る。
図4(B)では、(03,03)になる。コントローラ17dは、さらに、視野センタ21Aと、最も近いターゲットとのx方向、y方向の位置ずれ量(xd、yd)を取得し、読み取った数値との合計を取ることで、コレクションターゲット21のxy座標系における視野センタ21Aの位置を特定する。なお、コレクションターゲット21のxy座標系は、検査装置10のXY座標に対応している。以下では、コレクションターゲット21のxy座標系をターゲット座標系と称す。
【0027】
図5は、ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせる処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示す処理は、コントローラ17dが実行する。また、ここでは、
図5に加えて、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6及び
図7は、ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせる処理の一例を示す図である。
図6及び
図7には、ポゴフレーム15A側のプローブカード15B、ウエハアライメントカメラ16、及びコレクションターゲット21の位置と、アライナ19側のウエハW及びプローブアライメントカメラ20の位置とを概略的に示し、チャックトップ15Cは省略する。
【0028】
ここで、3台のアライナ19のX方向への移動等による検査装置10の重心変化や温度による膨張又は収縮等によって、検査装置10のフレームに歪みが生じる場合がある。このような歪みは、マイクロメートルオーダのものである。コンタクト位置に移動させるコマンドでアライナ19を移動させると、上述のような歪みによって、移動させる度にコンタクト位置に位置ずれが生じる場合がある。実施の形態の検査装置10及び検査装置の制御方法は、このような位置ずれを補正し、ウエハWをプローブカード15Bのプローブ15B1に接触させる位置に移動させる際の位置精度を向上させる。
【0029】
ステップS1において、コントローラ17dは、プローブアライメントを行う。具体的には、
図6(A)に示すように、アライナ19に設けられたプローブアライメントカメラ20をプローブカード15Bの真下に移動させて、プローブカード15Bの位置を表すカード重心座標を取得する。
【0030】
ステップS2において、コントローラ17dは、コンタクト位置に移動させるコマンドでアライナ19を移動させて、プローブアライメントカメラ20でコレクションターゲット21を撮像することで、ターゲット座標系における基準座標を取得する。コレクションターゲット21の位置は、アライナ19がコンタクト位置に移動したときにプローブアライメントカメラ20で撮影可能な位置にあるため、コンタクト位置に移動させるコマンドでアライナ19を移動させると、
図6(B)に示すように、プローブアライメントカメラ20はコレクションターゲット21の真下に移動する。コントローラ17dは、この状態においてプローブアライメントカメラ20でコレクションターゲット21を撮像することで得るターゲット座標系における視野センタ21A(
図4(B)、(C)参照)の座標を基準座標として取得する。温度変化や重心の移動等による検査装置10の歪みによる位置ずれにより、ステップS2で取得するターゲット座標系における基準座標は、アライナ19側の座標と毎回異なる場合がある。ターゲット座標系における基準座標は、ステップS1からS6の処理を1回行うにあたって、基準になる位置である。
【0031】
ステップS3において、コントローラ17dは、上下カメラの位置合わせを行う。具体的には、コントローラ17dは、
図6(C)に示すように、ウエハアライメントカメラ16を所定の位置に移動させるとともに、アライナ19を動かして、ウエハアライメントカメラ16とプローブアライメントカメラ20との軸を合せて、ウエハアライメントカメラ16の座標と、プローブアライメントカメラ20の座標との共通座標を取得する。これにより、ウエハアライメントカメラ16の座標と、プローブアライメントカメラ20の座標との対応関係が得られる。
【0032】
ステップS4において、コントローラ17dは、ウエハアライメントを行う。具体的には、コントローラ17dは、
図7(A)に示すように、ウエハアライメントカメラ16でアライナ19上のウエハWの位置(ウエハ重心座標)を取得する。
【0033】
ステップS5において、コントローラ17dは、カード重心座標、共通座標、及びウエハ重心座標を用いて、ウエハWをプローブカード15Bにコンタクトさせるためにアライナ19をコンタクト位置に移動させる座標(コンタクト座標)を算出し、算出したコンタクト座標を含むコマンドでアライナ19を移動させた状態で、プローブアライメントカメラ20でコレクションターゲット21を撮像し、コンタクト座標におけるコレクションターゲット21の座標値(実測値)を取得する。
【0034】
ステップS6において、コントローラ17dは、ステップS5で算出したコンタクト座標とステップS2で認識したコレクションターゲット基準点とに基づいて、コンタクト位置において認識するコレクションターゲット21の座標の理論値を計算で求める。このコレクションターゲット21の座標の理論値と、実際にコンタクト座標で認識したコレクションターゲット21の座標(実測値)との差分が補正値となる。そして、コントローラ17dは、この補正値の分だけアライナ19を移動させる。
【0035】
具体的には、次の通りである。ここでは、
図7(C)に加えて
図8を用いて説明する。
図8は、ターゲット座標系における、基準座標A、コレクションターゲット21の座標の理論値B、ステップS5の座標(実測値)Cを示す図である。基準座標Aは、ステップS2で取得した座標である。コレクションターゲット21の座標の理論値Bは、第2ターゲット座標の一例であり、ステップS5の座標(実測値)Cは、第1ターゲット座標の一例である。
【0036】
コレクションターゲット21の座標の理論値Bは、基準座標Aを基準として検査装置10の設計値に基づいて計算された座標である。しかしながら、コンタクト座標を含むコマンドでアライナ19を移動させても、検査装置10の歪みやプローブカード15Bの個体差等によって位置ずれが生じるため、アライナ19は、座標(実測値)Cに対応するXYZ座標系における座標に移動する。
【0037】
そこで、コントローラ17dは、ステップS6において、コレクションターゲット21の座標の理論値Bと座標(実測値)Cとの差を補正値として求め、
図7(C)に示すように、補正値の分だけアライナ19を移動させる。この結果、アライナ19は、コンタクト座標に移動し、位置ずれを補正した状態で、ウエハWとプローブカード15Bのプローブ15B1とをコンタクトさせることができる。
【0038】
以上のように、ステップS2においてプローブアライメントカメラ20でコレクションターゲット21を撮像してターゲット座標系における基準座標Aを取得する。そして、コンタクト座標を含むコマンドでアライナ19を移動させた位置で取得する座標(実測値)Cと、コレクションターゲット21の座標の理論値Bとの差を補正値として、アライナ19の位置を補正する。このため、検査装置10の歪みやプローブカード15Bの個体差等によって生じる位置ずれを相殺し、正確な位置にアライナ19を移動させることができる。
【0039】
したがって、アライナ19(アライメントステージ)の上に載置されたウエハWをプローブカード15Bのプローブ15B1に接触(コンタクト)させる位置に移動させる際の位置精度を向上できる検査装置10及び検査装置の制御方法を提供することができる。
【0040】
このような位置ずれの補正は、
図5に示すフローチャートのステップS1からS6の処理を実行する度に行うことができる。すなわち、ウエハWの1枚1枚について電子デバイスの検査を行う度に実行することができる。したがって、検査を行う度に正確な位置でウエハWをプローブ15B1にコンタクトさせることができ、検査時間を短縮し、高スループットでの検査が可能な検査装置10を提供できる。また、位置ずれを手作業で調整する場合には膨大な時間が掛かるが、コレクションターゲット21を用いることで、非常に短時間で容易に位置調整を行うことができることによっても、高スループットでの検査が可能である。
【0041】
なお、以上では、検査装置10が複数のテスタ15を含む形態について説明したが、検査装置10が含むテスタ15の数は1つであってもよい。また、以上では、チャックトップ15Cがポゴフレーム15Aに対して真空吸着される形態について説明したが、チャックトップ15Cは、ポゴフレーム15Aに対してアライナ19によって押圧される構成であってもよい。
【0042】
また、以上では、ウエハアライメントカメラ16を用いてウエハ重心座標等を取得する形態について説明したが、ウエハアライメントカメラ16の代わりにウエハ重心座標等を取得可能なセンサを用いてもよい。同様に、以上では、プローブアライメントカメラ20を用いてカード重心座標や基準座標を取得する形態について説明したが、プローブアライメントカメラ20の代わりにカード重心座標や基準座標を取得可能なセンサを用いてもよい。
【0043】
以上、本開示に係る検査装置、及び、検査装置の制御方法の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0044】
10 検査装置
15 テスタ
15A ポゴフレーム
15B プローブカード
15B1 プローブ
15C チャックトップ
16 ウエハアライメントカメラ(上カメラ)
17d コントローラ
19 アライナ
20 プローブアライメントカメラ(下カメラ)
21 コレクションターゲット
W ウエハ