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特許7382904マイクロリソグラフィ用マスクを測定するためのデバイス、および自動合焦方法
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  • 特許-マイクロリソグラフィ用マスクを測定するためのデバイス、および自動合焦方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィ用マスクを測定するためのデバイス、および自動合焦方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20231110BHJP
   G02B 7/38 20210101ALI20231110BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20231110BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20231110BHJP
   G03F 1/82 20120101ALI20231110BHJP
   G03F 9/02 20060101ALI20231110BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G02B7/28 M
G02B7/38
G03B13/36
G02B21/26
G03F1/82
G03F9/02 H
G01B11/00 B
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110384
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021006903
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】10 2019 117 293.4
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マリオ レングル
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07142315(US,B1)
【文献】特開2013-029579(JP,A)
【文献】特開2001-318302(JP,A)
【文献】特開2009-031169(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106772923(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28- 7/40
G01B 11/00-11/30
G03B 13/36
G03F 7/20- 7/24
G03F 9/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ用マスク(3)を結像デバイス(2)で測定するためのデバイス(30)であって、前記結像デバイス(2)が、
前記マスク(3)を結像するための焦点面(20)をもつ結像光学ユニット(9)と、
前記マスク(3)を据えるための物体ステージ(11)と、
物体ステージ(11)と結像光学ユニット(9)との間の相対移動を生成するための移動モジュール(18)と、
前記焦点面(20)と交差する合焦像面(19)内における合焦構造(13)の結像を介して合焦像を発生させることにより前記合焦構造(13)の焦点火線(focus caustic)(25)を生じさせるための自動合焦デバイス(1)と
を含み、
前記合焦構造(13)がスリット孔(21、21’、21”)として具現化され、
火線中心(24)が、前記スリット孔(21、21’、21”)の前記焦点火線(25)における最も高いエネルギー強度の場所として、または、前記スリット孔(21、21’、21”)の結像された前記焦点火線(25)における最も狭いくびれの場所として決定され、
前記マスク(3)の表面と前記焦点面(20)との間の距離が、前記火線中心(24)と基準線(23)との間の距離から決定され、前記基準線(23)は、前記焦点面(20)内に前記マスク(3)の最適位置が与えられる場合に火線中心(24)が存在する場所を表し、
複数のスリット孔(21、21’、21”)が前記合焦構造(13)に形成され、
前記スリット孔(21、21’、21”)が、互いに対して回転されて配列される、
ことを特徴とするデバイス(30)。
【請求項2】
前記移動モジュール(18)が、前記物体ステージ(11)および前記マスク(3)および/または前記結像光学ユニット(9)を移動させるように構成される
ことを特徴とする請求項1記載のデバイス(30)。
【請求項3】
前記移動モジュール(18)が、前記物体ステージ(11)および前記マスク(3)を、結像面内において、前記マスク(3)のx方向またはy方向に延びる前記スリット孔(21、21’、21”)の前記結像の向きに対して斜めに移動させるように構成される
ことを特徴とする請求項に記載のデバイス(30)。
【請求項4】
マイクロリソグラフィ用マスク(3)を、結像光学ユニット(9)をもつ結像デバイス(2)で測定するためのデバイス(30)のための自動合焦方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
a)スリット孔(21、21’、21”)として具現化された合焦構造(13)を、前記マスク(3)上の合焦像面(19)内において結像するステップであり、前記合焦像面が、前記結像光学ユニット(9)の焦点面(20)と交差する、結像するステップと、
b)ステップa)から生じる前記合焦構造(13)の焦点火線(focus caustic)(25)を記録するステップと、
c)前記焦点火線(25)の記録(26、26’)に基づいて、前記結像デバイス(2)の前記焦点面(20)と前記マスク(3)の表面との間の距離を決定するステップと、
d)方法ステップc)から突き止められた前記距離だけ前記マスク(3)を移動させるステップと、
e)前記距離があらかじめ決められた値よりも小さくなるまで、ステップa)からステップd)を繰り返すステップと
を含み、
火線中心(24)が、前記スリット孔(21、21’、21”)の前記焦点火線(25)における最も高いエネルギー強度の場所として、または、前記スリット孔(21、21’、21”)の結像された前記焦点火線(25)における最も狭いくびれの場所として決定され、
前記マスク(3)の表面と前記焦点面(20)との間の距離が、前記火線中心(24)と基準線(23)との間の距離から決定され、前記基準線(23)は、前記焦点面(20)内に前記マスク(3)の最適位置が与えられる場合に火線中心(24)が存在する場所を表し、
複数のスリット孔(21、21’、21”)が前記合焦構造(13)に形成され、
前記スリット孔(21、21’、21”)が、互いに対して回転されて配列される、
自動合焦方法。
【請求項5】
前記合焦構造(13)が、複数のスリット孔(21、21’、21”)を含み、前記結像デバイス(2)の前記焦点面(20)と前記マスク(3)の前記表面との間の距離が、前記スリット孔(21、21’、21”)の前記結像の前記火線中心(24)の評価によって決定される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記マスク(3)が、自動焦点光学ユニット(14)の光学軸に垂直な平面内での焦点測定中に、前記マスク(3)のx方向またはy方向に延びる前記スリット孔(21、21’、21”)の前記結像の向きに対して斜めに移動される
ことを特徴とする請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記焦点火線(25)の結像のエネルギーが、前記評価の前に正規化される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記正規化が、結像されたラインにわたるエネルギーの合計が、結像されたラインごとに同一になるように、前記スリット孔(21、21’、21”)の前記焦点火線(25)の像(26)の結像されたラインごとのエネルギーを一致させることによって達成される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年6月27日に出願された独国特許出願DE 10 2019 117 293.4の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、マイクロリソグラフィ用マスクを測定するためのデバイス、および自動合焦(autofocusing:オートフォーカス)方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動合焦デバイスおよび自動合焦方法は、一般に、結像光学ユニットの焦点面(焦平面)内に物体を位置付けるために使用される。結像光学ユニットの一定の焦点距離の場合には、十分な品質の像を発生させるために、物体が結像光学ユニットの焦点面に位置しているように、結像光学ユニットと結像されるべき物体との間の距離を適合させることが必要である。カメラ技術から、特に、数十年前から、焦点設定の最適化が、例えば、複数の反復ステップでの記録像のコントラスト評価によって実行される自動合焦方法が既に知られている。最適焦点距離の迅速な設定を達成するために、先行技術は、それに加えて、結像されるべき物体上に投影された構造によって、所望の焦点面からの現在のずれを直接突き止める目的で、評価が実行され、そこで、続いて、結像光学ユニットが1つのステップで適切に設定され、その結果、さらなる反復ステップを除去できる方法を開示している。
【0004】
公開された独国特許出願DE 10 2011 082 414 A1は、半導体リソグラフィ用マスクを検査する装置のための対応するシステムを記載している。
【0005】
そこに開示されているシステムは、周期的に構造化された合焦像が自動合焦デバイスによって合焦像面(合焦像平面)内へと投影されることに基づいており、前記合焦像面は、システムの結像光学ユニットの焦点面と交差する。
【0006】
本出願人に帰属する公開された独国特許出願DE 10 2016 120 730 A1では、周期的に構造化された焦点像の代わりに、非周期的焦点像が合焦像面に投影され、合焦像面はシステムの結像光学ユニットの焦点面と交差する。
【0007】
引用文献に記載されている自動合焦方法による合焦中に、測定されるリソグラフィマスクが、周期的および/または非周期的な構造を有する場合、妨害するモアレ効果が生じることがあり、その結果、測定が、より困難になるか、またはさらに損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開DE 10 2011 082 414 A1
【文献】独国特許出願公開DE 10 2016 120 730 A1
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を解決するデバイスを提供することである。本発明のさらなる目的は、マイクロリソグラフィのマスクを測定するためのデバイスの合焦を決定するための方法を規定することである。
【0010】
この目的は、独立請求項の特徴を有するデバイスおよび方法によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な展開および変形に関する。
【0011】
マイクロリソグラフィ用マスクを測定するための本発明によるデバイスは、結像デバイスを有し、結像デバイスは、
- マスクを結像するための焦点面をもつ結像光学ユニット、
- マスクを据えるための物体ステージ、および、
- 物体ステージと結像光学ユニットとの間の相対移動を生成するための移動モジュール
を含む。
【0012】
さらに、結像デバイスは自動合焦デバイスを含み、自動合焦デバイスによって、合焦像が発生し得る。合焦像は、合焦構造(focusing structure)の結像を介して、焦点面と交差する合焦像面内に発生する。本発明によれば、合焦構造は、ギャップ(gapとして具現化される。ギャップとしての焦点構造の実施形態には、結像光学ユニットによって結像された焦点構造を評価することをより困難にするかまたはさらに不可能にすることがあるモアレ効果が、一般に周期的な構造をもつリソグラフィマスクでの反射の場合でさえ起こり得ないという利点がある。ギャップは、いわゆる焦点火線(focus caustic:焦点コースティック)として、マスクの構造上に結像される。この場合、焦点火線は、ギャップの少なくとも部分的に不鮮明な結像を意味すると理解される。
【0013】
本発明の1つの変形では、複数のギャップを焦点構造上に結像させることができ、ギャップ(複数)は、あり得るモアレ効果を避けるために、特に、互いに対して回転されて配列することができる。これは、有利には、複数のギャップの結像にわたって平均化し、それにより、不均質性によって引き起こされるあり得る測定不正確さを低減する可能性を提供する。
【0014】
本発明の1つの変形では、移動モジュールは、合焦中に、物体ステージ、したがって、マスクを移動させるように構成することができる。これには、マスクのあり得る不均質性を補償することができるという利点がある。
【0015】
特に、移動モジュールは、物体ステージ、および物体ステージとともにマスクを、合焦中に、ギャップの結像の向きに対して斜めに、特に、対角線的に移動させるように構成することができる。リソグラフィマスク上の構造の好ましい向きは、x方向およびy方向において互いに垂直であり、マスクのx方向またはy方向に延びるギャップの結像の向きに対してマスクを対角線的に移動させることによって、x方向およびy方向におけるマスクのあり得る不均質性を等しく補償することが可能である。
【0016】
結像光学ユニットをもつ結像デバイスを用いてマイクロリソグラフィ用マスクを測定するためのデバイスのための本発明による自動合焦方法は、以下の方法ステップ、すなわち、
a)ギャップとして具現化された合焦構造をマスク上の合焦像面で結像するステップであり、前記合焦像面が、結像光学ユニットの焦点面と交差する、結像するステップと、
b)ステップa)から生じる合焦構造の焦点火線を記録するステップと、
c)焦点火線の記録に基づいて結像デバイスの焦点面とマスクの表面との間の距離を決定するステップと、
d)方法ステップc)から突き止められた距離だけマスクを移動させるステップと、
e)距離があらかじめ決められた値よりも小さくなるまで、ステップa)からステップd)を繰り返すステップと
を含む。
【0017】
結像デバイスによって結像された焦点火線の像は、例えば、結像光学ユニットの結像面(結像平面)内に配列されたCCDカメラのCCDエリアセンサで記録することができる。
【0018】
本方法の1つの変形では、火線中心は、ギャップの焦点火線における最も高い強度の場所として決定することができ、同様に、火線中心は、ギャップの結像された焦点火線における最も狭いくびれの場所として決定することができる。
【0019】
さらに、合焦構造は、複数のギャップを含むことができ、結像デバイスの焦点面とマスクの表面との間の距離は、ギャップ(複数)の結像の火線中心の評価によって決定することができる。これには、結像収差などの局所収差が、例えば、平均化され、最良の焦点の決定が、収差の影響を受けにくく、したがって、より安定になるという利点がある。
【0020】
本発明の1つの変形では、焦点火線の記録の際に基準線を形成することができ、前記基準線は、焦点面にマスクの最適位置が与えられる場合に火線中心が存在するだろう(それらの)場所(複数)を表す。基準線の位置は、例えば、例えばコントラスト測定または位相測定に基づく代替の合焦方法によって決定することができる。
【0021】
さらに、マスクの表面と焦点面との間の距離は、火線中心と基準線との間の距離から決定することができる。これに関して、焦点火線の像における火線中心を突き止めた後、基準線に対する距離、したがって、焦点面に対するオフセットを、迅速に突き止めることができる。
【0022】
さらに、マスクは、焦点測定中に、ギャップの結像の向きに対して斜めに、特に、対角線的に移動させることができ、その結果として、マスクの不均質性を補償することができる。そのような移動は、リソグラフィマスク上の構造の好ましい方向に対応するx方向とy方向の両方において不均質性を補償することを可能にする。
【0023】
この方法の1つの変形では、焦点火線の結像は、評価の前に正規化することができ、それにより、同様に、マスクの不均質性を補償することができる。
【0024】
特に、正規化は、ギャップの焦点火線の像の像ラインごとのエネルギーを一致させる(match)ことによって達成される。像は、デバイスのCCDカメラによって記録され、次いで、すべての像ラインは、結像されたラインにわたるエネルギーの合計が、結像されたラインごとに同一になるように強度プロファイルに関して適合される。
[当初請求項1]
マイクロリソグラフィ用マスク(3)を結像デバイス(2)で測定するためのデバイス(30)であって、前記結像デバイス(2)が、
前記マスク(3)を結像するための焦点面(20)をもつ結像光学ユニット(9)と、
前記マスク(3)を据えるための物体ステージ(11)と、
物体ステージ(11)と結像光学ユニット(9)との間の相対移動を生成するための移動モジュール(18)と、
前記焦点面(20)と交差する合焦像面(19)内における合焦構造(13)の結像を介して合焦像を発生させるための自動合焦デバイス(1)と
を含み、
前記合焦構造(13)がギャップ(21、21’、21”)として具現化される
ことを特徴とするデバイス(30)。
[当初請求項2]
複数のギャップ(21、21’、21”)が前記合焦構造(13)に形成される
ことを特徴とする当初請求項1に記載のデバイス(30)。
[当初請求項3]
前記ギャップ(21、21’、21”)が、互いに対して回転されて配列される
ことを特徴とする当初請求項2に記載のデバイス(30)。
[当初請求項4]
前記移動モジュール(18)が、前記物体ステージ(11)および前記マスク(3)および/または前記結像光学ユニット(9)を移動させるように構成される
ことを特徴とする当初請求項1~3のいずれかに記載のデバイス(30)。
[当初請求項5]
前記移動モジュール(18)が、前記物体ステージ(11)および前記マスク(3)を、結像面内において、前記ギャップ(21、21’、21”)の前記結像の向きに対して斜めに、特に、対角線的に移動させるように構成される
ことを特徴とする当初請求項4に記載のデバイス(30)。
[当初請求項6]
マイクロリソグラフィ用マスク(3)を、結像光学ユニット(9)をもつ結像デバイス(2)で測定するためのデバイス(30)のための自動合焦方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
a)ギャップ(21、21’、21”)として具現化された合焦構造(13)を、前記マスク(3)上の合焦像面(19)内において結像するステップであり、前記合焦像面が、前記結像光学ユニット(9)の焦点面(20)と交差する、結像するステップと、
b)ステップa)から生じる前記合焦構造(13)の焦点火線(focus caustic)(25)を記録するステップと、
c)前記焦点火線(25)の記録(26、26’)に基づいて、前記結像デバイス(2)の前記焦点面(20)と前記マスク(3)の表面との間の距離を決定するステップと、
d)方法ステップc)から突き止められた前記距離だけ前記マスク(3)を移動させるステップと、
e)前記距離があらかじめ決められた値よりも小さくなるまで、ステップa)からステップd)を繰り返すステップと
を含む、自動合焦方法。
[当初請求項7]
火線中心(24)が、前記ギャップ(21、21’、21”)の前記焦点火線(25)における最も高い強度の場所として決定される
ことを特徴とする当初請求項6に記載の方法。
[当初請求項8]
火線中心(24)が、前記ギャップ(21、21’、21”)の結像された前記焦点火線(25)における最も狭いくびれの場所として決定される
ことを特徴とする当初請求項6または7に記載の方法。
[当初請求項9]
前記合焦構造(13)が、複数のギャップ(21、21’、21”)を含み、前記結像デバイス(2)の前記焦点面(20)と前記マスク(3)の前記表面との間の距離が、前記ギャップ(21、21’、21”)の前記結像の前記火線中心(24)の評価によって決定される
ことを特徴とする当初請求項6~8のいずれかに記載の方法。
[当初請求項10]
基準線(23)が、前記焦点火線(25)の記録(26)の際に形成される
ことを特徴とする当初請求項6~9のいずれかに記載の方法。
[当初請求項11]
前記基準線(23)の位置が、代替の合焦方法によって決定される
ことを特徴とする当初請求項10に記載の方法。
[当初請求項12]
前記マスク(3)の前記表面と前記焦点面(20)との間の前記距離が、前記火線中心(24)と前記基準線(23)との間の距離から決定される
ことを特徴とする当初請求項7~11のいずれかに記載の方法。
[当初請求項13]
前記マスク(3)が、自動焦点光学ユニット(14)の光学軸に垂直な平面内での焦点測定中に、前記ギャップ(21、21’、21”)の前記結像の向きに対して斜めに移動される
ことを特徴とする当初請求項6~12のいずれかに記載の方法。
[当初請求項14]
前記焦点火線(25)の結像が、前記評価の前に正規化される
ことを特徴とする当初請求項6~13のいずれかに記載の方法。
[当初請求項15]
前記正規化が、前記ギャップ(21、21’、21”)の前記焦点火線(25)の像(26)の像ラインごとのエネルギーを一致させることによって達成される
ことを特徴とする当初請求項14に記載の方法。
【0025】
本発明の例示的な実施形態および変形が、図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】結像デバイスに統合された、本発明による自動合焦デバイスの第1の実施形態を示す図である。
図2】本発明による自動合焦デバイスの第1の実施形態のさらなる図である。
図3】本発明による合焦構造の1つの実施形態を示す図である。
図4a】結像されたマスクの像の1つの例を示す図である。
図4b】自動焦点測定の像の1つの例を示す図である。
図4c】自動焦点測定の像のさらなる例を示す図である。
図5】本発明による自動合焦方法に関する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、通常動作モードで半導体リソグラフィ用マスクを測定するための本発明によるデバイス30の第1の実施形態を示し、図2は、進行中の自動合焦方法中の本発明によるデバイス30のこの実施形態のさらなる図を示す。
【0028】
図1は、リソグラフィマスク3の形態の物体を検査するための結像デバイス2および自動合焦デバイス1を有する本発明によるデバイス30を示す。図1のマイクロリソグラフィ用マスク3を測定するためのデバイス30は、インコヒーレントまたは部分的にインコヒーレントな照明放射を放出する照明源4をさらに含む。照明放射は、結像対物レンズ7に第1の偏向ミラー5および第2の偏向ミラー6を介してガイドされ、第2の偏向ミラー6によって、照明目標のリソグラフィマスク3上に向けられる。リソグラフィマスク3は、マスク3の一部の像を発生させるために、一緒に結像光学ユニット9を形成する、結像対物レンズ7、部分的に透明な第2の偏向ミラー6、およびさらにチューブ光学ユニット8を介して、CCDカメラ10上に結像される。例として、マスク3の位置合わせマークの横方向位置は、顕微鏡として具現化された結像デバイス2によって高度に正確に決定することができる。結像デバイス2は、さらに、物体ステージ11を有し、それによって、マスク3は、横方向に、すなわち、y方向、すなわち、図面の面(平面)に垂直、およびx方向の両方に、さらに、観測方向、すなわち、z方向に位置付けされ得る。物体ステージ11は、物体ステージ11と結像光学ユニット9との相対移動のための移動モジュール18を含む。代替として、移動モジュール18は、物体ステージ11がx方向およびy方向にのみ移動され、結像光学ユニット9がz方向に移動されるように具現化されてもよい。その上、例として、結像光学ユニット9のみが、x方向、y方向、およびz方向に移動されてもよく、または物体ステージ11がx方向に移動されてもよく、結像光学ユニット9がy方向およびz方向に移動されてもよい。自動合焦デバイス1は、合焦像でマスク3を照明するために照明源4と、さらに結像デバイス2の結像対物レンズ7とを使用し、マスク3上に結像された合焦像を記録するために結像対物レンズ7、チューブ光学ユニット8、およびCCDカメラ10を使用する。その目的のために、第1の偏向ミラー5は、変位可能であり(両矢印P1で示される)、その結果、図2に示されるように、照明源4から来る照明放射のビーム経路から外に移動することができる。代替として、第1の偏向ミラー5はまた、ある程度は透過性として具現化されてもよく、そのとき、第4の偏向ミラー16の位置は、合焦構造13が結像されるか否かを決定する際の要因となる。それゆえに、この場合(図2)の照明放射は、第3の偏向ミラー12に突き当たり、第3の偏向ミラー12は、照明放射の伝播の方向に対して45°だけ傾けられた合焦構造13を通して照明放射を導く。しかしながら、傾斜角は、0°よりも大きく、90°よりも小さい範囲からの任意の他の角度とすることもできる。格子構造が、自動焦点光学ユニット14、2つのさらなる偏向ミラー15、16、第2の偏向ミラー6、およびさらに結像対物レンズ7を介して、マスク3上に結像される。この場合、偏向ミラー16は、図1に示された第1の位置から図2に示された第2の位置に移動できるように偏向ミラー16が移動可能である(両矢印P2)ように設けられて、合焦像をマスク3に結像させることができる。代替として、偏向ミラー16を傾けることもできる。合焦構造13は、例えば、単一のギャップとして、または互いに対して回転された複数のギャップとして具現化することができ、ギャップは、主として、x/zに、すなわち、図面の面(平面)内に延びる。合焦構造13の傾斜と、自動焦点光学ユニット14による合焦像面19への合焦構造13の縮小された結像との結果として、合焦像が存在する合焦像面19は、数度の鋭角で結像デバイス2の結像光学ユニット9の焦点面20と交差する。図2に示された説明図の場合には、物体3の表面が焦点面20に正確に位置付けられていると仮定されている。マスク3に結像された合焦構造13、したがって、合焦像は、マスク3で反射され、結像光学ユニット9によってCCDエリアセンサSの検出器面(検出器平面)内へと結像される。
【0029】
図3は、本発明による合焦構造13の1つの実施形態を示し、ギャップ21が合焦構造13の中心に形成される。ギャップ21の脇に破線として示されている各場合において、いずれの場合にも、さらなるオプションのギャップ21’、21”が示されており、それらは、面内において、通常、いずれの場合にも、0度以上~90度の角度で、特に、5度以上~45度の角度で、ギャップ21に対して回転されて具現化される。複数のギャップ21、21’、21”の場合には、マスクの焦点位置は、個々のギャップ21、21’、21”に対して得られた結果を平均化することによって決定することができる。焦点面20に対するマスク3の相対位置の決定を妨げることがあるモアレ効果は、互いに対するギャップ21、21’、21”の傾斜の結果として避けられる。
【0030】
図4aは、合焦構造13が傾けられなかった、すなわち、自動焦点光学ユニット14の光学軸に垂直であった場合に、およびマスク3の表面が焦点面20と一致した場合に生じるだろうものなどのマスク3上でのギャップ21の結像を示す。図示の例では、ギャップ21は、鮮明に結像されている。マスク3の表面が焦点面と一致するのではなく、むしろ特定の値だけ平行にオフセットされた場合、ギャップ21は、長さ全体にわたって概ね均一な不鮮明さで表されることになるだろう。しかしながら、そのような表現から、焦点面20に関して、マスク3の表面のオフセットの定量的決定を実行することは可能でない。
【0031】
図4bは、ギャップ21の結像の焦点火線25の像26を示し、前記焦点火線は、図1および図2に示されたマスク3で反射され、CCDカメラ10(図示せず)のCCDエリアセンサS(図示せず)上に結像される。基準線23が、像26の中心に描かれており、その基準線は、較正測定から得ることができ、焦点面20に対してマスク3の最適位置が与えられる場合に火線中心24が存在する場所を表す。図4bに示された像26では、火線中心が基準線23上に存在し、すなわち、マスク3は、z方向において最適に位置付けられている。既に上記したように、基準線23の位置は、例えば、結像光学ユニット9の焦点面へのマスク3の位置付け、および像における結果として生じる焦点火線25の火線中心24の位置を介して、事前に較正することができる。この場合、焦点面20は、例えば、結像方向への物体ステージ11の移動の間の複数の像を記録すること、および、引き続いて、個々の像の鮮明さに基づいて最良の焦点をもつ位置を決定することなどの代替の自動合焦方法の支援を得て決定することができ、マスク3は、焦点面に位置付けされ得る。
【0032】
図4cは、火線中心24が基準線23上にないCCDカメラ10(図示せず)の像26’を示す。結像されたギャップ21の焦点火線25の火線中心24と基準線23との間の距離から、マスク3を焦点面20に位置付けるために物体ステージ11が移動モジュール18によってz方向に移動されなければならない距離を決定することが可能である。
【0033】
図5は、本発明による自動合焦方法の流れ図である。
【0034】
第1の方法ステップ40において、ギャップとして具現化された合焦構造13が、マスク3上の合焦像面19に結像され、前記合焦像面が、結像光学ユニット9の焦点面20と交差する。
【0035】
第2の方法ステップ41において、合焦構造13の焦点火線25が記録され、前記焦点火線は結像デバイス2によって結像されている。
【0036】
第3の方法ステップ42において、結像デバイス2の焦点面20とマスク3の表面との間の距離が、焦点火線の記録に基づいて決定される。
【0037】
第4の方法ステップ43において、マスク3が、第2の方法ステップ41から突き止められた距離だけ移動される。
【0038】
第5の方法ステップ44において、距離があらかじめ決められた値よりも小さくなるまで、方法ステップ40から方法ステップ43が繰り返される。
【符号の説明】
【0039】
1 自動合焦デバイス
2 結像デバイス;顕微鏡
3 マスク
4 照明源
5 第1の偏向ミラー
6 第2の偏向ミラー
7 結像対物レンズ
8 チューブ光学ユニット
9 結像光学ユニット
10 CCDカメラ
11 物体ステージ
12 第3の偏向ミラー
13 合焦構造
14 自動焦点光学ユニット
15 偏向ミラー
16 偏向ミラー
18 移動モジュール
19 合焦像面
20 焦点面
x、y 空間の方向
S CCDエリアセンサ
21、21’、21” ギャップ
23 基準線
24 火線中心
25 焦点火線
26、26’ 像
30 デバイス
40 方法ステップ1
41 方法ステップ2
42 方法ステップ3
43 方法ステップ4
44 方法ステップ5
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5