(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20231110BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/31 520
(21)【出願番号】P 2020524233
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2018079915
(87)【国際公開番号】W WO2019086561
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴー・リヴェラット
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マーク・ケンプ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ティミス
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/193343(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/193344(WO,A1)
【文献】特表2014-531961(JP,A)
【文献】特表2016-526460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(10)であって、少なくとも:
ピストン(23)を有する1次容器(24)を受けるように適用されたハウジング(11)と、
該ハウジング(11)内に摺動可能に配置され、ピストン(23)を駆動して薬剤を送達するように適用されたプランジャ(40)と、
該プランジャ(40)を遠位方向(D)に付勢するようにハウジング(11)とプランジャ(40)との間で予荷重された駆動ばね(30)と、
薬剤の送達の終了時または終了付近で使用者に標示を提供する可聴および/または触覚インジケータ(50)と、
該インジケータ(50)とプランジャ(40)との間に配置されたトリガ機構(60)とを含み、
ここで、トリガ機構(60)は、プランジャ(40)に弾性的に当接する少なくとも1つのサポート構造(60.1)を含み、そして、トリガ機構(60)は、
少なくとも一つのサポート構造(60.1)により、該デバイス(10)の初期状態時および薬剤の送達中にインジケータ(50)を付勢状態(S2)に支持し、
薬剤の送達の終了時または終了近くにおいてプランジャ(40)に連結して可聴および/または触覚インジケータ(50)を起動するように構成され、
可聴および/または触覚インジケータ(50)は、その付勢状態(S2)から弛緩状態(S1)に弛緩したときに可聴および/または触覚クリックを放出し、そして、トリガ機構(60)はハウジング(11)上に設けられ、
プランジャ(40)は、送達の終了時または終了近くにおいて、少なくとも1つのサポート構造(60.1)を受けるように適用された少なくとも1つの切抜き(40.1)を提供する、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
インジケータ(50)を起動したとき、前記インジケータ(50)は、トリガ機構(60)の支持から係合解除される、請求項1に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項3】
少なくとも1つのサポート構造(60.1)は、支持アーム(11.3)からプランジ
ャ(40)に向かって突出する、請求項1に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項4】
少なくとも1つのサポート構造(60.1)は、ハウジング(11、11.3)からプランジャ(40)に向かって突出する、請求項1または3に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項5】
サポート構造(60.1)は、傾斜面(60.2)を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項6】
サポート構造(60.1)は、近位傾斜端(60.3)、遠位階段状縁部(60.4)、および/または少なくとも1つのフィンまたはリブを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項7】
切抜き(40.1)は、側面傾斜縁部(40.1.1)および/または遠位階段状縁部(40.1.2)を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項8】
トリガ機構(60)は、2つの隣接するサポート構造(60.1)を含み、プランジャ(40)は、それに対応して隣接する2つの切抜き(40.1)を含み、該切抜き(40.1)は、サポート構造(60.1)を受けるように適用される、請求項1~7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項9】
ハウジング(11)にニードルスリーブ(13)が嵌め込み式に連結され、ニードルスリーブ(13)の内面(13.1)は、長手方向軸(X)に平行に延びる少なくとも1つの径方向内方へ突出するガイドレール(13.2)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項10】
プランジャ(40)は、少なくとも1つのガイドレール(13.2)に係合するように構成された少なくとも1つの径方向外方へ突出するガイドピン(40.2)を含む、請求項9に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項11】
ガイドピン(40.2)は、突出ボスとして形成され、かつ/または傾斜遠位端(40.2.2)を含む、請求項10に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項12】
ガイドレール(13.2)は、長手方向軸(X)に平行な細長い突出リブとして形成される、請求項9~11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【請求項13】
薬物を充填済みの1次容器(24)を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可聴および/または触覚インジケータ機構を含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
注射を投与することは、使用者および医療従事者にとって、精神的にも身体的にも複数のリスクおよび課題をもたらすプロセスである。薬物送達デバイスは、典型的に、手動薬物送達デバイスまたは自動注射器という2つの種類に分けられる。従来の手動デバイスでは、針に薬剤を通すために、手の力が必要とされる。これは典型的に、注射中に連続して押下しなければならない何らかの形のプランジャによって行われる。この手法には多数の欠点が伴う。たとえば、プランジャが早すぎる段階で解放された場合、注射が止まり、意図された用量を送達することができなくなる。さらに、プランジャを押すために必要とされる力が大きすぎる可能性がある(たとえば、使用者が高齢者または子供である場合)。そのうえ、注射デバイスを位置合わせし、注射を投与し、注射中に注射デバイスを静止させて保つことは、器用さを必要とし、患者の中には(たとえば、高齢の患者、子供、関節炎の患者など)、そのような器用さを有していない人もいる。
【0003】
自動注射デバイスは、自己注射を患者にとってより容易にすることを目的とする。従来の自動注射器は、ばねおよびトリガボタンまたは他の機構によって注射を投与するための力を提供することができ、これを使用して注射を起動することができる。自動注射器は、使い捨てまたは再利用可能なデバイスとすることができる。
【0004】
患者の体内で薬剤の完全な効果を実現するために、全用量を投与することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、改善された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって実現される。
【0007】
例示的な実施形態は、従属請求項に提供される。
【0008】
本開示によれば、薬物送達デバイスは、少なくとも、ピストンを有するカートリッジまたは1次容器を受けるように適用されたハウジングと、ハウジング内に摺動可能に配置され、ピストンを駆動して薬物または薬剤を送達するように適用されたプランジャとを含む。デバイスは、プランジャを遠位方向へ付勢するようにハウジングとプランジャとの間で予荷重された駆動ばねをさらに含む。さらに、可聴および/または触覚インジケータ、たとえば弾力部材が設けられ、たとえばデバイスの近位端、特にハウジングの近位端に配置される。インジケータを起動するためのトリガ機構が設けられ、インジケータとプランジャとの間に配置され、ここで、トリガ機構は、デバイスの初期状態時および/または薬剤の送達中にインジケータを支持し、送達の終了時または終了近くにおいて、特にプランジャが遠位位置にあるとき、プランジャに連結して可聴および/または触覚インジケータを起動するように構成される。
【0009】
特に、トリガ機構は、薬剤の送達の終了時または終了近くにおいて、プランジャに係合して可聴および/または触覚インジケータを起動する。例示的な実施形態では、インジケータを起動したとき、前記インジケータは、トリガ機構の支持から係合解除される。
【0010】
別の態様によれば、トリガ機構がプランジャに係合しているとき、トリガ機構は、インジケータから係合解除されて、インジケータを起動する。特に、インジケータは、その支持が係合解除されたとき、変形または弛緩することができる。たとえば、インジケータは、トリガ機構による支持から係合解除することができる。
【0011】
本開示によれば、インジケータは、初期状態時および注射中にトリガ機構に係合され、たとえば接触する。特に、トリガ機構は、初期状態、たとえば非付勢状態、または付勢状態で、インジケータを支持する。別法として、トリガ機構はインジケータを、初期状態、たとえば非付勢状態、もしくは付勢状態で保持し、または初期状態、たとえば非付勢状態、もしくは付勢状態へ押し込むことができる。さらに、トリガ機構は、その起動前にのみインジケータを支持する。
【0012】
特に、ハウジングは、カートリッジまたは薬物容器もしくは1次容器を保持するように構成された空洞を形成する内面を含むことができる。1次容器は、ピストンを摺動可能に受けるように構成された空洞を形成する内面を含む。プランジャおよびピストンの連結によって、プランジャが遠位方向に動いて薬剤を送達するとき、ピストンも遠位方向に動く。
【0013】
そのような薬物送達デバイスにより、プランジャの長さにかかわらず、トリガ機構がインジケータを始動または起動することが確実になる。したがって、インジケータの起動または始動に影響を及ぼすことなく、プランジャの長さを変更することができる。さらに、薬物送達デバイスによって送達される用量の変化に対応するために交換しなければならないはずの部材の数が最小になる。
【0014】
例示的な実施形態では、トリガ機構は、プランジャに弾性的に当接する少なくとも1つの構造を含む。特に、少なくとも1つの構造は、インジケータの起動前に、プランジャに弾性的に当接する。少なくとも1つの構造は、インジケータホルダからプランジャに向かって突出することができる。別法として、少なくとも1つの構造は、ハウジングからプランジャに向かって突出することができる。ハウジングはまた、インジケータを保持するように構成することができる。この実施形態では、ホルダは、内側ハウジングの一部として形成することができ、したがって別個のインジケータホルダを必要としない。詳細には、この構造は、ハウジングから、たとえばハウジングの内側部材から、プランジャに向かって突出することができる。
【0015】
本開示の別の態様によれば、この構造は、傾斜面を有することができる。傾斜面により、案内およびプランジャとの連結が確実になる。特に、この構造は、近位傾斜端および遠位階段状縁部を含むことができる。遠位階段状縁部は、プランジャとの連結を固定する。
【0016】
例示的な実施形態では、この構造は、少なくとも1つのフィンを含む。
【0017】
さらに、プランジャは、送達の終了時または終了近くにおいて、特にプランジャが遠位位置にあるとき、少なくとも1つの構造を受けるように適用された少なくとも1つの切抜きを含むことができる。
【0018】
例示的な実施形態では、切抜きは、側面傾斜縁部を含む。側面傾斜縁部により、フィンの捕捉が支持されて確実になる。さらに、切抜きは、遠位階段状縁部を含むことができる。この縁部により、フィン、特にフィンの遠位階段状縁部との連結が固定される。
【0019】
さらなる例示的な実施形態では、インジケータは、2つの隣接するフィンを含み、プランジャは、2つの対応する隣接する切抜きを含み、切抜きは、フィンを受けるように適用される。
【0020】
本開示の別の態様によれば、ハウジングにニードルスリーブが嵌め込み式に連結され、ニードルスリーブの内面は、長手方向軸に平行に延びる少なくとも1つの径方向内方へ突出するガイドレールを有する。
【0021】
さらに、プランジャは、少なくとも1つの径方向外方へ突出するガイドピンを含むことができる。
【0022】
例示的な実施形態では、ガイドピンおよびガイドレールは、たとえば長手方向軸に対して同軸に、互いに係合するように構成される。
【0023】
本開示のさらなる態様によれば、ガイドピンは、ガイドピン面を含むことができ、ガイドピン面は、ガイドレールの対応するガイドレール面に係合する。特に、ガイドピン面およびガイドレール面は、互いに反対方向に傾斜することができる。たとえば、ガイドピン面およびガイドレール面は、30°~60°、特に40°~50°の角度で、互いに係合することができる。
【0024】
例示的な実施形態では、ガイドピンは、突出ボスとして形成される。ガイドピンは、傾斜遠位端を含むことができる。傾斜遠位端は、特にフィンが切抜きに入ることが確実になるようにプランジャの回転を制御するために、正しい位置決めおよび位置合わせを確実にする。
【0025】
さらに、ガイドレールは、長手方向軸に平行に延びる細長い突出リブとして形成することができる。細長いリブにより、薬剤の送達中のピンの案内が確実になる。
【0026】
さらに、薬物送達デバイスは、自動注射器、ペン注射器、またはシリンジとすることができる。1次容器には、薬物を充填済みとすることができる。
【0027】
薬物送達デバイスは、本明細書に記載するように、薬物または薬剤を患者へ注射するように構成することができる。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内で行うことができる。そのようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師などの医療従事者によって動作させることができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器を含むことができる。
【0028】
デバイスは、使用前に封止されたアンプルを穿孔する必要のあるカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスによって送達される薬剤の体積は、約0.5ml~約2mlの範囲とすることができる。さらに別のデバイスは、一定期間(たとえば、約5、15、30、60、または120分)にわたって患者の皮膚に粘着して「大」容量の薬剤(典型的に、約2ml~約5ml)を送達するように構成された大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができる。
【0029】
特有の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載するデバイスはまた、必要とされる仕様の範囲内で動作するようにカスタマイズすることができる。たとえば、デバイスは、特定の期間(たとえば、自動注射器の場合は約3~約20秒、LVDの場合は約10分~約60分)の範囲内で薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様は、低いもしくは最小の不快レベル、または人的要因、保管寿命、有効期限、生体適合性、環境的考慮などに関係する特定の条件を含むことができる。そのような変動は、たとえば薬物の粘性が約3cP~約50cPの範囲に及ぶことなどの様々な要因によって生じることがある。したがって、薬物送達デバイスは、多くの場合、サイズが約25~約31ゲージの範囲の中空の針を含む。一般的なサイズは、27および29ゲージである。
【0030】
本明細書に記載する送達デバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を含むことができる。たとえば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、たとえば、機械、空気、化学、または電気エネルギーを含むことができる。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを貯蔵または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を組み合わせて、単一のデバイスにすることもできる。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するためのギア、バルブ、または他の機構をさらに含むことができる。
【0031】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動機能は、起動機構を介して起動することができる。そのような起動機構は、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。起動は、1つの工程または複数の工程からなるプロセスとすることができる。すなわち、使用者は、自動機能を引き起こすために、1つまたはそれ以上の起動機構を起動する必要がある。たとえば、使用者は、薬剤の注射を引き起こすために、ニードルスリーブを自身の体に当てて押し下げることができる。他のデバイスでは、使用者は、注射を引き起こすために、ボタンを押し下げてニードルシールドを後退させる必要がある。
【0032】
加えて、そのような起動は、1つまたはそれ以上の機構を起動することができる。たとえば、起動シーケンスにより、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動することができる。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を生じさせるために、特有の工程シーケンスを必要とすることがある。他のデバイスは、シーケンスから独立した工程で動作することができる。
【0033】
いくつかの送達デバイスは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(典型的には、自動注射器に見られる)、および用量設定機構(典型的には、ペン注射器に見られる)を含むことができる。
【0034】
本開示のさらなる適用可能範囲は、後述する詳細な説明から明らかになる。しかし、本開示の精神および範囲内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者には明らかになるため、詳細な説明および特有の例は、本開示の例示的な実施形態を示しながら、例示のみを目的として与えられることを理解されたい。
【0035】
本開示は、後述する詳細な説明および添付の図面からより完全に理解され、そのような説明および図面は、例示のみを目的として与えられており、本開示を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】触覚および/または可聴インジケータを含む薬物送達デバイスの概略図である。
【
図1B】触覚および/または可聴インジケータを含む薬物送達デバイスの概略図である。
【
図2A】薬物送達デバイスの近位端の概略斜視縦断面図である。
【
図2B】インジケータとプランジャとの間にトリガ機構が配置された、薬物送達デバイスの近位端の概略分解図である。
【
図2C】初期状態およびプライミング状態にあるインジケータの概略斜視図である。
【
図2D】初期状態およびプライミング状態にあるインジケータの概略斜視図である。
【
図3A】切抜きを有するプランジャの近位端の概略斜視図である。
【
図4A】ガイドレールを有するスリーブの近位端の概略斜視図である。
【
図4B】突出ガイドピンを含むプランジャを有する薬物送達デバイスの近位端の概略横断面図である。
【
図4C】ニードルスリーブに沿ってプランジャを案内するための案内機構の概略図である。
【
図4D】ガイドピンを有するプランジャの近位端の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
すべての図において、対応する部材は同じ参照記号によって印付けられている。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、例示的な薬物送達デバイス10が
図1Aおよび
図1Bに示されている。
【0039】
デバイス10は、上述したように、薬物または薬剤を患者の体内へ注射するように構成される。
【0040】
デバイス10は、典型的に注射予定の薬剤を収容するリザーバまたはカートリッジ(たとえば、シリンジ24または容器)を収容するハウジング11と、送達プロセスの1つまたはそれ以上の工程を容易にするために必要とされる構成要素とを含む。
【0041】
デバイス10はまた、ハウジング11、特にデバイス10の遠位端または前端Dに取り外し可能に取り付けることができるキャップアセンブリ12を含むことができる。典型的に、使用者は、デバイス10を動作させる前にハウジング11からキャップアセンブリまたはキャップ12を取り外さなければならない。
【0042】
図示のように、ハウジング11は、実質上円筒形であり、長手方向軸Xに沿って実質上一定の直径を有する。ハウジング11は、遠位領域20および近位領域21を有する。「遠位」という用語は、注射部位に比較的近い位置を指し、「近位」という用語は、注射部位から比較的離れた位置を指す。
【0043】
デバイス10はまた、ハウジング11に対するスリーブ13の動きを可能にするために、ハウジング11に連結されたニードルスリーブ13を含むことができる。たとえば、スリーブ13は、長手方向軸Xに平行な長手方向に動くことができる。具体的には、スリーブ13の近位方向の動きは、針17がハウジング11の遠位領域20から延びることを可能にすることができる。
【0044】
針17の挿入は、いくつかの機構を介して行うことができる。たとえば、針17は、ハウジング11に対して固定されて位置することができ、最初は延ばしたニードルスリーブ13内に位置することができる。
【0045】
スリーブ13の遠位端を患者の体に押し付けて、ハウジング11を遠位方向に、またはスリーブ13を近位方向に動かすことによって、スリーブ13が近位に動くことで、針17の遠位端が露出される。そのような相対運動により、針17の遠位端が患者の体内へ延びることが可能になる。患者の手によるハウジング11および針17に対するスリーブ13の動き、または逆の動きを介して、針17が手動で挿入されるため、そのような挿入を「手動」挿入と呼ぶ。
【0046】
別の形の挿入は「自動化」されており、それによって針17がハウジング11に対して動く。そのような挿入は、スリーブ13の動きによって、またはたとえばボタン22などの別の形の起動によってトリガすることができる。
図1Aおよび
図1Bに示すように、ボタン22は、ハウジング11の近位端または後端Pに位置する。しかし他の実施形態では、ボタン22はハウジング11側に位置することもできる。さらなる実施形態では、ボタン22は省かれており、たとえばスリーブトリガ機構に置き換えられ、たとえば薬物送達デバイスが注射部位に置かれたときにハウジング内のニードルスリーブ13を押すことによって提供される。
【0047】
他の手動または自動機能は、薬物の注射、針の自動挿入もしくは針の後退、または両方を含むことができる。注射は、栓またはピストン23がカートリッジ、容器またはシリンジ24内の近位位置からシリンジ24内のより遠位の位置へ動かされて、針17を通ってシリンジ24から薬剤を押し出すプロセスである。
【0048】
いくつかの実施形態では、エネルギー源、たとえば駆動ばね30がプランジャ40内に配置され、デバイス10が起動される前は圧縮されている。駆動ばね30の近位端は、ハウジング11の近位領域21内に固定することができ、駆動ばね30の遠位端は、ピストン23の近位面に圧縮力を加えるように構成することができる。起動後、駆動ばね30内に貯蔵されているエネルギーの少なくとも一部を、ピストン23の近位面に加えることができる。この圧縮力は、ピストン23に作用してピストン23を遠位方向に動かすことができる。そのような遠位への動きは、シリンジ24内の液体薬剤を圧縮して、液体薬剤を針17から押し出すように作用する。
【0049】
注射後、スリーブ13またはハウジング11内で針17を後退させることができる。後退は、使用者がデバイス10を患者の体から取り外すとともにスリーブ13が遠位に動くときに行うことができる。これは、針17がハウジング11に対して固定されて位置するままであるために行うことができる。スリーブ13の遠位端が針17の遠位端を越え、針17が覆われた後、スリーブ13をロックすることができる。そのようなロックは、ハウジング11に対するスリーブ13のあらゆる近位への動きをロックすることを含むことができる。
【0050】
別の形の針の後退は、針17がハウジング11に対して動かされる場合に行うことができる。そのような動きは、ハウジング11内のシリンジ24がハウジング11に対して近位方向に動かされる場合に行うことができる。この近位への動きは、遠位領域20内に位置する後退ばね(図示せず)を使用することによって実現することができる。圧縮された後退ばねは、起動されると、シリンジ24を近位方向に動かすのに十分な力をシリンジ24に供給することができる。十分な後退後、針17とハウジング11との間のあらゆる相対運動を、ロッキング機構によってロックすることができる。加えて、デバイス10のボタン22または他の構成要素も、必要に応じてロックすることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハウジングは窓11aを含むことができ、窓11aを通してシリンジ24を監視することができる。
【0052】
本明細書では、「遠位セクション/遠位端」という用語は、デバイス10の使用中に患者の薬剤送達部位に最も近づくデバイス10のセクション/端部またはデバイス10の構成要素のセクション/端部を指す。それに対応して、「近位セクション/近位端」という用語は、デバイス10の使用中に患者の薬剤送達部位から離れる方を向くデバイス10のセクション/端部またはデバイス10の構成要素のセクション/端部を指す。
【0053】
図示の例示的な実施形態では、薬物送達デバイス10は、前面ケース11.1および後面ケース11.2を有するハウジング11を含む。前面ケース11.1は、シリンジなどの薬剤容器または1次容器24を保持するように適用される。以下、薬剤の1次容器を「シリンジ24」と呼ぶ。シリンジ24は、シリンジ24の遠位端に配置された針17を有する薬剤を収容する充填済みシリンジ、特に1.0mlの充填済みシリンジとすることができる。別の例示的な実施形態では、薬剤容器は、取り外し可能な針に係合(たとえば、ねじ山、スナップ、摩擦などによる)する薬剤を含む1次容器とすることもできる。
【0054】
薬物送達デバイス10は、自動注射器または手動薬物送達デバイスとして構成することができる。
【0055】
さらに、薬物送達デバイス10は、薬剤の送達の終了時に可聴および/または触覚標示をデバイス10の使用者に提供する可聴および/または触覚インジケータ50を含む。特に、インジケータ50は、薬剤送達の完了を示す使用者または患者に対する可聴および/または触覚フィードバックを生じさせる。言い換えれば:インジケータ50は、薬剤の全用量が使われたことを使用者または患者に示すために提供される。
【0056】
例示的な実施形態では、インジケータ50は、デバイス10の近位端Pに配置される。たとえば、インジケータ50は、ハウジング11の近位端でハウジング11内に配置される。
【0057】
さらに、インジケータ50とプランジャ40との間にトリガ機構60が配置される。トリガ機構60は、デバイス10の初期状態時、たとえば収納および輸送中、ならびに薬剤の送達中に、インジケータ50を支持し、送達の終了時にプランジャ40に連結してインジケータ50を起動するように構成される。
【0058】
特に、トリガ機構60は、薬剤の送達の終了時または終了近くにおいて、プランジャ40に係合して可聴および/または触覚インジケータ50を起動する。
【0059】
例示的な実施形態では、インジケータ50を起動したとき、前記インジケータ50は、トリガ機構60の支持から係合解除することができる。特に、薬剤の送達の終了付近または終了時に、トリガ機構60がプランジャ40に係合しているとき、トリガ機構60は、インジケータ50から係合解除されてインジケータ50を起動する。たとえば、インジケータ50は、その支持が係合解除されたとき、変形または弛緩することができる。たとえば、インジケータ50は、トリガ機構60による支持から係合解除することができる。
【0060】
たとえば、インジケータ50は、初期状態時および注射中にトリガ機構に係合され、たとえば接触する。特に、トリガ機構60は、初期状態、たとえば非付勢状態、または付勢状態で、インジケータ50を支持する。別法として、トリガ機構60はインジケータ50を、初期状態、たとえば非付勢状態、もしくは付勢状態で保持し、または初期状態、たとえば非付勢状態、もしくは付勢状態へ押し込むことができる。さらに、トリガ機構60は、その起動前にのみインジケータ50を支持し、起動したときはインジケータ50を解放する。
【0061】
例示的な実施形態では、インジケータ50は、付勢部材、ばね、重ね板ばね、薄板ばね、板ばね(plate spring)、または板ばねとして形成される。
【0062】
例示的な実施形態では、トリガ機構60は、プランジャ40に弾性的に当接する少なくとも1つの構造、たとえば突起、フラップ、突出部を含む。特に、少なくとも1つの構造は、インジケータ50の起動前にプランジャ40に弾性的に当接する。
【0063】
特に、トリガ機構60の一部、たとえばトリガ機構60の1つの表面側、たとえば外側は、インジケータ50に当接して支持し、トリガ機構60の反対の表面側、たとえば内側は、インジケータ50の起動前、たとえば薬剤の送達前および送達中に、プランジャ40に当接する。インジケータ50を起動したとき、トリガ機構60は、インジケータ50から係合解除され、トリガ機構60の一部が、プランジャ40に連結または係合する。
【0064】
図2A~
図4Cは、以下でさらに説明するインジケータ50の実施形態をそれぞれ示す。
【0065】
図2Aは、後面ケース11.2の例示的な実施形態の縦断面図を示す。アセンブリ状態で、後面ケース11.2は、たとえば薬物送達デバイス10の駆動サブアセンブリ11.4として働く。
【0066】
駆動サブアセンブリ11.4は、薬物送達デバイス10のサブアセンブリであり、薬剤を送達するために必要とされる構成要素を含む。駆動サブアセンブリ11.4は、たとえば、後面ケース11.2、プランジャ40、駆動ばね30、およびインジケータ50を含む。薬物送達デバイス10は、サブアセンブリの製造およびシリンジ24との最終アセンブリの時間および位置に関する柔軟性を可能にするために、前部サブアセンブリ(別個に図示せず)をさらに含む。
【0067】
本実施形態によれば、後面ケース11.2は、収納、輸送、および薬剤送達中にシリンジ24の軸方向位置を支持するように適用された2つの支持アーム11.3を含む。支持アーム11.3は、後面ケース11.2の近位ケース端11.4から遠位に突出する。後面ケース11.2は、同様に、後面ケース11.2の遠位端から遠位に突出する追加の可撓性突出部11.5をさらに含む。詳細には、可撓性突出部11.5は、支持アーム11.3の遠位端から遠位に突出する。
【0068】
突出部11.5は、衝撃力を減衰させ、したがって収納、輸送、および送達中にシリンジ24を安定させるように適用される。
【0069】
例示的な実施形態では、インジケータ50は、ハウジング11上、特に後面ケース11.2上に配置される。詳細には、インジケータ50は、支持アーム11.3のうちの少なくとも1つの外側に配置される。インジケータ50が後面ケース11.2上に配置されるこの実施形態では、トリガ機構60もまた、後面ケース11.2上に配置される。詳細には、トリガ機構60は、支持アーム11.3の内側、したがってインジケータ50が配置された支持アーム11.3の側とは反対側に配置される。トリガ機構60は、衝撃力を減衰させ、したがって収納、輸送、および薬剤送達中にインジケータ50をその付勢状態で安定させるように適用される。
【0070】
代替実施形態では、インジケータ50は、ハウジング11内に配置されたホルダ(図示せず)上に配置することができる。このときトリガ機構60もまた、後面ケース11.2上の場合と同様に、ホルダ上に配置することができる。
【0071】
アセンブリ状態で、インジケータ50は、デバイス10内でハウジング11の近位端Pに配置される。プランジャ40の近位端が、後面ケース11.2内に少なくとも部分的に受け入れられる。後面ケース11.2は、その外部近位端11.4で閉じている。
【0072】
詳細には、インジケータ50は、長手方向軸Xが薬物送達デバイス10の長手方向の延長に平行になるように、後面ケース11.2内に保持される。インジケータ50は、スナップ連結によって薬物送達デバイス10に連結することができ、タブ50.1の1つまたはそれ以上は、後面ケース11.2内の複数の対応する開口部11.6内に係合される。別の例示的な実施形態では、インジケータ50は、ねじもしくはリベット連結または締まり嵌めなどの摩擦連結によって、後面ケース11.2内に保持される。
【0073】
図2Aおよび
図2Cは、事前アセンブリ状態および初期または弛緩状態S1にあるインジケータ50を示す。
図2Bは、後面ケース11.2内のアセンブリ状態およびプライミングまたは付勢状態S2にあるインジケータ50を示し、
図2Dも、付勢状態S2にあるインジケータを示す。
【0074】
インジケータ50は、たとえば実質上矩形の形状を有する弾力部材50.2を含み、弾力部材50.2は、弾力部材50.2の外周の長辺に平行に延びる長手方向軸を含む。他の実施形態では、弾力部材50.2は、三角形の形状、またはインジケータ50をデバイス10、たとえば自動注射器に連結するのに好適な任意の他の幾何形状を有することができる。
【0075】
弾力部材50.2は、弾性材料、たとえばばね鋼またはばねプラスチックを含む単安定板ばねとして設計することができる。したがって、弾力部材50.2は、2つの状態で存在することが可能である。すなわち、弾力部材50.2は、2つの異なる構造を呈することができ、これらの構造のうちの一方は、制限された外力で、または外力の印加なしで安定しており、他方は不安定である。たとえば、これらの2つの状態は、第1の状態または弛緩状態S1(または事前アセンブリ状態、もしくはトリガ状態、もしくは初期状態)を含むことができ、この状態で、弾力部材50.2は第1の構造を有する。第2の状態または付勢状態S2(またはプライミング状態)では、弾力部材50.2は、第2の構造を有することができる。
図2Aで、弾力部材50.2は弛緩状態S1にあり、これは事前アセンブリ状態ならびに薬剤送達の終了時の状態に対応することができる。
【0076】
可能な実施形態では、弾力部材50.2は、長手方向の曲げ50.3を含む。長手方向の曲げ50.3は、概して長手方向軸Xに平行に延びる弾力部材50.2の中心に配置することができる。長手方向の曲げ50.3は、インジケータ50を、180度未満の角度だけ互いに対して傾斜している2つの翼状セクションに分割することができる。
図2Aおよび
図2Cに示す斜視図では、翼状セクションは下方へ傾斜している。
【0077】
さらに、弾力部材50.2は、外周から長手方向軸Xに直交して突出する1つまたはそれ以上のタブ50.1を含むことができる。具体的には、弾力部材50.2は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のタブ50.1を含むことができる。
【0078】
図2A~
図2Dに示すように、弾力部材50.2は、2つのタブ50.1を含み、タブ50.1のうちの一方は、他方のタブ50.1の反対側に配置される。別の実施形態(図示せず)では、弾力部材50.2は、概して互いに反対側に位置するタブ50.1の対を含むことができる。タブ50.1の対は、長手方向軸Xの方向に、互いに隔置して配置される。別の例示的な実施形態では、タブ50.1の数および配置は、示されている例示的な実施形態とは異なることができる。例示的な実施形態では、タブ50.1は、薬物送達デバイス10のアセンブリを容易にするために、翼状セクションに対して傾斜させることができる。
【0079】
インジケータ50を薬物送達デバイス10に組み立てるために、弾力部材50.2は、中心において、長手方向軸Xに直交して延びる軸A周りで曲がっている。曲げ角度は、90度未満とすることができる。この曲げは、後面ケース11.2内の開口部11.6内にタブ50.1を係合するとき、弾力部材50.2の中心点またはその付近に所定の力を加えることによって実現される。その結果、弾力部材50.2は、弛緩状態S1から付勢状態S2へ変化する。付勢状態S2を示す
図2Cに示す斜視図で、長手方向軸Xに沿って両端にある弾力部材50.2の2つの端部50.4.1、50.4.2は、中心点50.5から上方へ傾斜している。したがって、付勢状態S2は、プライミング状態に一致し、弾力部材50.2は、特定の量のエネルギーを貯蔵する。
【0080】
図2Cに示し、以下に説明するように、加えていた力を除去した後、弾力部材50.2は付勢状態S2で保持される。
【0081】
弾力部材50.2は、付勢状態S2にあり、上述したように、スナップ連結によって後面ケース11.2内で保持される。以下にさらに説明するように、弾力部材50.2の遠位向きの端部50.4.1およびインジケータ50の付勢状態S2は、支持アーム11.3上に配置されたトリガ機構60によって支持および起動される。
【0082】
弾力部材50.2の近位向きの端部50.4.2は自由であり、いかなる他の構成要素にも接触せず、トリガ機構60または後面ケース11.2の別のセクションの上に位置する。
【0083】
前述したように、弛緩状態S1から付勢状態S2へ変化した後、弾力部材50.2を付勢状態S2で保持するために、わずかな力しか必要とされない。これは、弛緩状態S1から付勢状態S2へ変化することによって座屈して新しい構成になる弾力部材50.2の曲げ断面を提供する長手方向の曲げ50.3によって実現される。この構成で、材料構造の剛性が大幅に低減され、したがって弾力部材50.2を付勢状態S2で維持するために、わずかな保持力しか必要とされない。
【0084】
詳細には、トリガ機構60は、プランジャ40に弾性的に当接する少なくとも1つの構造60.1を含む。構造60.1は、インジケータホルダからプランジャ40に向かって突出することができる。構造60.1は、フィンとして形成することができる。以下、突出する構造60.1を「フィン60.1」と呼ぶ。収納、輸送、および送達中にフィン60.1をプランジャ40上に支持することによって、インジケータ50もその付勢状態S2で支持される。
【0085】
詳細には、少なくとも1つのフィン60.1は、ハウジング11から、特に後面ケース11.2から、たとえばその内側支持アーム11.3から、プランジャ40に向かって突出する。支持アーム11.3は、インジケータホルダとして形成される。インジケータ50およびフィン60.1は、支持アーム11.3の反対の表面側に配置される。インジケータ50は、外側ハウジング11の方を向いているアーム11.3の表面側で保持される。フィン60.1は、内方およびプランジャ40の方を向いているアーム11.3の反対側に形成される。
【0086】
別法として、フィン60.1は、別個のインジケータホルダ(図示せず)からプランジャ40に向かって突出することができる。別個のインジケータホルダは、ハウジング11内でインジケータ50とプランジャ40との間に配置することができる。
【0087】
例示的な実施形態では、フィン60.1は、傾斜面60.2を有する。特に、フィン60.1の上面または頂面は、丸みがあり、または傾斜している。傾斜面60.2により、薬剤の送達中のプランジャ40に沿った案内が確実になる。
【0088】
さらに、フィン60.1は、近位傾斜端60.3および遠位階段状縁部60.4を含むことができる。近位傾斜端60.3により、フィン60.1をプランジャ40に容易に連結することが可能になる。遠位階段状縁部60.4は、プランジャ40とのフィン60.1の連結を固定するように構成される。
【0089】
本開示の別の態様によれば、プランジャ40は、送達の終了時に、たとえばプランジャ40が遠位位置にあるとき、少なくとも1つのフィン60.1を受けるように適用された少なくとも1つの切抜き40.1を含む。送達の終了時にフィン60.1が切抜き40.1に入ることによって、インジケータ50が弛緩し、音響ノイズを生成する。加えて、インジケータ50は、外側ハウジング11上で触覚フィードバックを生成するように構成することもできる。したがって、インジケータ50は、送達終了フィードバックを使用者に提供する。
【0090】
さらに、切抜き40.1は、側面傾斜縁部40.1.1を含むことができる。そのような側面傾斜縁部40.1.1により、フィン60.1が切抜き40.1に入ることが容易になる。切抜き40.1は、遠位階段状縁部40.1.2をさらに含むことができる。遠位階段状縁部40.1.2は、フィン60.1および切抜き40.1の連結を容易にするために、フィン60.1の遠位階段状縁部60.4に一致する。
【0091】
例示的な実施形態では、トリガ機構60は、2つの隣接するフィン60.1を含み、プランジャ40は、それに対応して隣接する2つの切抜き40.1を含み、切抜き40.1は、フィン60.1を受けるように適用される。2つのフィン60.1は、横断方向の方向に、互いに隔置して配置される。フィン60.1の対は、ハウジング11内に受け入れられたとき、プランジャ40に面している後面ケース11.2の内面から突出する。径方向内方へ突出している隣接するフィン60.1は、プランジャ40に当接し、それによって弾力部材50.2をその付勢状態S2で支持する。別の例示的な実施形態では、フィン60.1の数および配置は、示されている例示的な実施形態とは異なることができる。
【0092】
別の例示的な実施形態では、インジケータ50およびトリガ機構60の数および配置は、示されている例示的な実施形態とは異なることができる。デバイス10は、上述した2つのトリガ機構60および2つのインジケータ50を含むことができる。1対のトリガ機構60およびインジケータ50は各々、後面ケース11.2の支持アーム11.3のうちの1つに配置することができる。
【0093】
図2Bの分解図により詳細に見ることができるように、薬剤を送達するために、プランジャ40は、プランジャ40と後面ケース11.2との間に配置された駆動ばね30によって駆動される。駆動ばね30は、プランジャ40内に配置することができ、プランジャ40をデバイス10の遠位端Dに向かって付勢することなどのために予荷重することができる。
【0094】
図3Aおよび
図3Bに詳細に見ることができるように、トリガ機構60の隣接するフィン60.1に対応する円周方向に隣接する2つの切抜き40.1が、プランジャ40の近位端P付近に配置される。プランジャ40は、フィン60.1の各々がその対応する切抜き40.1と軸方向に位置合わせされるような後面ケース11.2に対する角度位置で位置合わせされる。注射中、プランジャ40は、遠位位置に向かって遠位方向に並進運動した後、注射の終了時の位置に到達し、フィン60.1が切抜き40.1内へカチッと留まる。それによって、弾力部材50.2は、その付勢状態S2からその弛緩状態S1へ弛緩する。こうして弛緩したときに放出される可聴および/または触覚クリックは、注射プロセスの終了を使用者に示す。
【0095】
図3Bに示すように、フィン60.1は、サメの鰭の形で形成され、近位に配置された傾斜端60.3および遠位に配置された階段状縁部60.4を有する。それによって、弾力部材50.2は、プランジャ40がその遠位端位置に到達すると、鋭いクリックノイズとともにすぐに弛緩する。
【0096】
図4Aは、ガイドレール13.2を含むスリーブ13に関する本開示のさらなる態様を示す。
図4Bは、ガイドレール13.2に対応するガイドピン40.2を示し、ガイドピン40.2は、プランジャ40の近位端から突出する。
図4Cは、ガイドピン40.2およびガイドレール13.2の相互関係によってプランジャ40をニードルスリーブ13に沿って案内するための案内機構の概略図である。
【0097】
詳細には、ニードルスリーブ13は、ハウジング11に嵌め込み式に連結され、ニードルスリーブ13の内面13.1は、長手方向軸Xに平行に延びる少なくとも1つの径方向内方へ突出するガイドレール13.2を有する。ガイドレール13.2は、たとえば、長手方向軸Xに平行に細長い突出リブとして形成される。
【0098】
さらに、プランジャ40は、少なくとも1つの径方向外方へ突出するガイドピン40.2を含むことができる。例示的な実施形態では、ガイドピン40.2およびガイドレール13.2は、たとえば長手方向軸Xに対して同軸に、互いに係合するように構成される。特に、ガイドピン40.2は、
図4Cに最もよく見えるように、少なくとも1つのガイドレール13.2に係合する。
【0099】
より詳細には、ガイドピン40.2は、ガイドピン面40.2.1を含むことができ、ガイドピン面40.2.1は、ガイドレール13.2の対応するガイドレール面13.2.1に係合する。
【0100】
さらに、ガイドピン面40.2.1およびガイドレール面13.2.1は、互いに反対方向に傾斜することができる。たとえば、ガイドピン面40.2.1およびガイドレール面13.2.1は、30°~60°、特に40°~50°の角度で、互いに係合される。
【0101】
例示的な実施形態では、ガイドピン40.2は、
図4Dに示すように、突出ボスとして形成される。ガイドピン40.2は、傾斜遠位端40.2.2を含むことができる。傾斜遠位端40.2.2は、特にフィン60.1が切抜き40.1に入ることが確実になるようにプランジャ40の回転を制御するために、正しい位置決めおよび位置合わせを確実にする。
【0102】
さらに、薬物送達デバイス10は、自動注射器、ペン注射器、またはシリンジとすることができる。1次容器またはシリンジ24には、薬物を充填済みとすることができる。
【0103】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0104】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0105】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0106】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0107】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0108】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0109】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン-4(Exendin-4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC-2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド(Exenatide)-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0110】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0111】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0112】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0113】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG-F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0114】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0115】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本開示に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0116】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0117】
例示的な抗体は、アンチPCSK-9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL-6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL-4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0118】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0119】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリル基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0120】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0121】
本開示の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する物質、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本開示はそのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0122】
10 薬物送達デバイス
11 ハウジング
11.1 前面ケース
11.2 後面ケース
11.3 支持アーム
11.4 近位端
11.5 突出部
11.6 開口部
12 キャップアセンブリ
13 ニードルスリーブ
13.1 内面
13.2 ガイドレール
13.2.1 表面
17 針
20 薬物送達デバイスの遠位領域
21 薬物送達デバイスの近位領域
22 ボタン
23 ピストン
24 1次容器
30 エネルギー源、たとえば駆動ばね
40 プランジャ
40.1 切抜き
40.1.1 側面傾斜面
40.1.2 遠位階段状縁部
40.2 ガイドピン
40.2.1 表面
40.2.2 傾斜端
50 インジケータ
50.1 タブ
50.2 弾力部材
50.3 曲げ
50.4.1、50.4.2 端部
60 トリガ機構
60.1 構造(たとえば、フィン)
60.2 傾斜面
60.3 近位傾斜端
60.4 遠位階段状縁部
D 遠位端
P 近位端