(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】レーダシステム、処理方法および処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/87 20060101AFI20231110BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20231110BHJP
【FI】
G01S13/87
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2021503615
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018982
(87)【国際公開番号】W WO2021171638
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2020029250
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】音羽 智司
(72)【発明者】
【氏名】青柳 靖
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039719(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178131(WO,A1)
【文献】特開2014-145731(JP,A)
【文献】特開2019-052987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0002222(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置を備えるレーダシステムにおいて、
前記レーダ装置は、
第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、
前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、
前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、
前記第2レーダ装置は、前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信するように構成され、
前記第1レーダ装置は、前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信するように構成されるレーダシステム。
【請求項2】
前記第2レーダ装置は、複数で構成され、
前記第1レーダ装置は、自身で生成した前記第1情報と、複数の前記第2レーダ装置から送信されてきた複数の第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信するように構成される請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
前記第1レーダ装置は、複数で構成され、
複数で構成される前記第1レーダ装置の中から一の第1レーダ装置がマスタとなり、
マスタとなった第1レーダ装置は、自身で生成した情報と、他の第1レーダ装置から送信されてきた情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信するように構成される請求項1または2に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記第1レーダ装置は、前記第1検出範囲で検出された物標との距離、相対速度、および、角度を示す情報を含む前記第1情報を生成するように構成され、
前記第2レーダ装置は、少なくとも前記第2検出範囲で検出された物標との距離および相対速度を示す情報を含む前記第2情報を生成するように構成される請求項1から3のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記第2レーダ装置と前記第1レーダ装置との間における通信速度は、数十kbps以下であり、
前記第1レーダ装置と前記上位装置との間における通信速度は、数Mbps以下である請求項1から4のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項6】
車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置の処理方法であって、
前記レーダ装置は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、
前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、
前記第2レーダ装置により、前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信する第1工程と、
前記第1レーダ装置により、前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する第2工程を備える処理方法。
【請求項7】
車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置に用いる処理プログラムであって、
前記レーダ装置は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、
前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、
コンピュータに、
前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信する第1工程と、
前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する第2工程と、を実行させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダシステム、処理方法および処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両周辺に存在する物体(物標)を検出するレーダ装置や、自車両周辺の画像を撮像する撮像装置等を車両に搭載し、これらレーダ装置や撮像装置等で検出された情報に基づいて、他車両等との衝突事故等の発生を未然に防止したり、衝突時の被害を軽減したりするように車両を制御する安全支援走行システムが提案されている。
【0003】
例えば、引用文献1には、複数のレーダ装置と、中央処理装置とを有するレーダシステムが開示されている。具体的には、引用文献1に記載のレーダシステムのレーダ装置は、対象物に対して高周波信号を送信する送信手段と、対象物によって反射された信号を受信する受信手段と、送信手段および受信手段による送受信のタイミングを制御する個別制御手段と、受信手段の出力をデジタルデータに変換する変換手段を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数のレーダ装置でレーダシステムを構成する場合には、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図り、また、システム全体としての情報処理の効率化を図る必要がある。また、レーダシステムには、物標に超音波を発射し、反射して戻ってくるまでの時間で物標との距離を測定する装置(超音波センサ)が含まれる場合がある。しかしながら、この超音波センサは、物標(特に、一定の速度以上で移動する物標)の検出が困難になる場合がある。
【0006】
本願発明では、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図るとともに、システム全体の情報処理の効率化を図ることができ、超音波センサを用いないレーダシステム、処理方法および処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るレーダシステムは、車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置を備えるレーダシステムにおいて、前記レーダ装置は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、前記第2レーダ装置は、前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信し、前記第1レーダ装置は、前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する構成である。
【0008】
本開示に係るレーダシステムは、上記開示において、前記第2レーダ装置は、複数で構成され、前記第1レーダ装置は、自身で生成した前記第1情報と、複数の前記第2レーダ装置から送信されてきた複数の第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する構成である。
【0009】
本開示に係るレーダシステムは、上記開示において、前記第1レーダ装置は、複数で構成され、複数で構成される前記第1レーダ装置の中から一の第1レーダ装置がマスタとなり、マスタとなった第1レーダ装置は、自身で生成した情報と、他の第1レーダ装置から送信されてきた情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する構成である。
【0010】
本開示に係るレーダシステムは、上記開示において、前記第1レーダ装置は、前記第1検出範囲で検出された物標との距離、相対速度、および、角度を示す情報を含む前記第1情報を生成し、前記第2レーダ装置は、少なくとも前記第2検出範囲で検出された物標との距離および相対速度を示す情報を含む前記第2情報を生成する構成である。
【0011】
本開示に係るレーダシステムは、上記開示において、前記第2レーダ装置と前記第1レーダ装置との間における通信速度は、数十kbps以下であり、前記第1レーダ装置と前記上位装置との間における通信速度は、数Mbps以下である。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る処理方法は、車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置の処理方法であって、前記レーダ装置は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、前記第2レーダ装置により、前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信する第1工程と、前記第1レーダ装置により、前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する第2工程を備える。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る処理プログラムは、車両に搭載され、前記車両外に所定の信号を送信および受信して前記車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置に用いる処理プログラムであって、前記レーダ装置は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、前記第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置とを備え、前記第1レーダ装置および前記第2レーダ装置は、前記第1検出範囲と前記第2検出範囲とが一部重複するように前記車両に配置され、コンピュータに、前記第2検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第2情報を生成し、前記第2情報を前記第1レーダ装置に送信する第1工程と、前記第1検出範囲で検出した情報に基づいて、前記車両に対する物標に関する第1情報を生成し、前記第1情報と前記第2レーダ装置から受信した前記第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、前記統合情報を上位装置に送信する第2工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図るとともに、システム全体として情報処理の効率化を図り、超音波センサを用いないレーダシステム、処理方法および処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、レーダシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、車両に配置された第1レーダ装置および第2レーダ装置の検出範囲を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、複数の第2レーダ装置によって構成されるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、複数の第1レーダ装置によって構成されるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、レーダシステムの第1の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すレーダシステムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1の構成例によるレーダシステムの処理の流れについての説明に供する図である。
【
図9】
図9は、レーダシステムの第2の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の構成例によるレーダシステムの処理の流れについての説明に供する図である。
【
図12】
図12は、レーダシステムの第3の構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、第3の構成例によるレーダシステムの処理の流れについての説明に供する図である。
【
図15】
図15は、車両の全周において物標の検知を行うレーダシステムの構成を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、システム全体の情報処理の効率化を図る処理方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的なレーダシステムについて説明する。なお、以下の説明は、あくまでも本発明の一例であって、本発明は以下に記載された範囲のみにとどまらないことはいうまでもない。
【0017】
(レーダシステムの構成について)
図1は、本発明に係るレーダシステムの構成を示す図である。本発明に係るレーダシステム1は、車両に搭載され、車両外に所定の信号を送信および受信して車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置3と、中央処理装置10と、センサ群70とを備えるシステムである。中央処理装置10とセンサ群70とは、LAN(Local Area Network)60により接続されている。なお、レーダシステム1は、例えば、自動車や自動二輪車等の車両に搭載される。
【0018】
ここで、中央処理装置10は、接続線20を介して、レーダ装置3に対して、動作を同期させるデジタル通信を行う。また、中央処理装置10は、レーダ装置3(実際には、第1レーダ装置30)から、接続線20を介して送信される情報を受信する。また、中央処理装置10は、受信した情報に基づいて、例えば、物標と自車両との位置関係から危険の有無を判定し、判定結果を提示する。なお、接続線20については、中央処理装置10とレーダ装置3との間で、レーダ装置3内の送受信の制御と分離されたデジタル通信が可能な信号線であればよく、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signaling)仕様に準拠した信号線を用いることが可能であるが、LVDS仕様に準拠した信号線以外の他の信号線を使用することも可能である。
【0019】
レーダ装置3は、例えば、高周波パルス信号を送信し、対象物で反射された反射波を受信し、A/D(Analog to Digital)変換によってデジタルデータ(デジタルベースバンド信号)に変換した後、処理を行う。
【0020】
LAN60は、中央処理装置10と他の装置やシステム等との間で、情報を授受するために設けられている。他の装置やシステム等として、例えば、センサ群70が挙げられる。なお、LAN60として、車載ネットワークの場合は、CAN(Controller Area Network)が一般に用いられるが、CAN以外のネットワークを用いてもよい。センサ群70は、自車両の状態を検出するための複数のセンサを有している。具体的には、センサ群70は、車速センサ、舵角センサ、および、ヨーレートセンサ等を有している。もちろん、これら以外のセンサを有していてもよい。
【0021】
レーダ装置3は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置30と、第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置50とを備える。
【0022】
第1レーダ装置30および第2レーダ装置50は、第1検出範囲と第2検出範囲とが一部重複するように車両に配置される。
図2は、車両Cに配置された第1レーダ装置30および第2レーダ装置50の検出範囲を模式的に示す図である。なお、
図2では、車両の左リアバンパ内に第1レーダ装置30および第2レーダ装置50が配置されている様子を示しているが、配置場所やレーダ装置の数などは、一例であって、これに限定されない。
図2中のA1は、第1レーダ装置30の検出範囲を示している。
図2中のA2は、第2レーダ装置50の検出範囲を示している。このようにして、検出範囲A1と検出範囲A2とは、重複範囲を有している。また、第2レーダ装置50は、第1レーダ装置30で検出できない領域(例えば、車両Cの近傍領域)をカバーするように配置される。
【0023】
第2レーダ装置50は、第2検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第2情報を生成し、第2情報を第1レーダ装置30に送信する。第1レーダ装置30は、第1検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第1情報を生成し、第1情報と第2レーダ装置50から受信した第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、統合情報を上位装置に送信する。ここで、上位装置とは、中央処理装置10のことである。
【0024】
第1レーダ装置30は、第1検出範囲で検出された物標との距離、相対速度、および、角度を示す情報を含む第1情報を生成する。第2レーダ装置50は、少なくとも第2検出範囲で検出された物標との距離および相対速度を示す情報を含む第2情報を生成する。なお、第2レーダ装置50は、受信アンテナが複数で構成されてもよい。この構成の場合には、角度を示す情報も第2情報に含まれる。
【0025】
ここで、レーダ装置3の構成について説明する。
図3は、レーダ装置3の構成を示すブロック図である。なお、第1レーダ装置30の構成と、第2レーダ装置50の構成とは、基本的に同一の構成である。
【0026】
第1レーダ装置30は、
図3に示すように、I/F31、制御部32、送信波生成部33、送信部34、スイッチ35、送信アンテナTX1a,TX1b、受信アンテナRX1a,RX1b、スイッチ37、受信部38、および、ADC(Analog to Digital Converter)39を有している。なお、
図3では、送信アンテナTXは2個で構成される例を示しているが、送信アンテナTXの数は2個に限定されず、1個で構成されてもよいし、3個以上で構成されてもよい。また、
図3では、受信アンテナRXは2個で構成される例を示しているが、受信アンテナRXの数は2個に限定されず、1個で構成されてもよいし、3個以上で構成されてもよい。
【0027】
第2レーダ装置50は、
図3に示すように、I/F51、制御部52、送信波生成部53、送信部54、スイッチ55、送信アンテナTX2a,TX2b、受信アンテナRX2a,RX2b、スイッチ57、受信部58、および、ADC59を有している。なお、
図3では、送信アンテナTXは2個で構成される例を示しているが、送信アンテナTXの数は2個に限定されず、1個で構成されてもよいし、3個以上で構成されてもよい。また、
図3では、受信アンテナRXは2個で構成される例を示しているが、受信アンテナRXの数は2個に限定されず、1個で構成されてもよいし、3個以上で構成されてもよい。
【0028】
また、I/F31とI/F51とは同一の構成であるため、以下では、代表としてI/F31の構成と動作について説明する。制御部32と制御部52とは基本的に同一の構成であるため、以下では、共通部分については、代表として制御部32の構成と動作について説明する。送信波生成部33と送信波生成部53とは同一の構成であるため、以下では、代表として送信波生成部33の構成と動作について説明する。
【0029】
送信部34と送信部54とは同一の構成であるため、以下では、代表として送信部34の構成と動作について説明する。送信アンテナTX1a,TX1bと送信アンテナTX2a,TX2bとは同一の構成であるため、以下では、代表として送信アンテナTX1a,TX1bの構成と動作について説明する。受信アンテナRX1a,RX1bと受信アンテナRX2a,RX2bとは同一の構成であるため、以下では、代表として受信アンテナRX2a,RX2bの構成と動作について説明する。なお、第2レーダ装置50の受信アンテナは一つで構成されてもよい。この構成の場合には、第2レーダ装置50では、角度に関する情報を取得できないが、第1レーダ装置30に比べて安価となる。スイッチ35とスイッチ55とは同一の構成であるため、以下では、代表としてスイッチ37の構成と動作について説明する。スイッチ37とスイッチ57とは同一の構成であるため、以下では、代表としてスイッチ37の構成と動作について説明する。なお、第2レーダ装置50の受信アンテナが一つで構成される場合には、スイッチ57は不要となる。
【0030】
受信部38と受信部58とは同一の構成であるため、以下では、代表として受信部38の構成と動作について説明する。ADC39とADC59とは同一の構成であるため、以下では、代表としてADC39の構成と動作について説明する。
【0031】
I/F31は、第1レーダ装置30と中央処理装置10との間でデジタルデータを送受信するためのインターフェイスである。ここで、I/F31は、接続線40の仕様に応じて設定され、本実施形態ではLVDS仕様に準拠したインターフェイスを用いているが、LVDS仕様以外のインターフェイスを使用することも可能である。I/F31とI/F51とは、接続線40で接続されている。制御部32は、I/F51から供給される情報(第2情報)をI/F31を介して受け取る。
【0032】
制御部32は、送信波生成部33を制御して送信信号を対象物に向けて送信するとともに、ADC39から供給されるデジタルデータに対して所定の処理を行い、第1情報を生成する。制御部32は、第1情報と第2レーダ装置50から受信した第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成する。制御部32は、統合情報をI/F31を介して中央処理装置10に送信する。また、制御部32は、中央処理装置10との間で、I/F31を介して、第1レーダ装置30の動作を同期させるデジタル通信を行う。このことにより、第1レーダ装置30の動作タイミングと、送信信号の送受信のタイミングの両方が制御される。また、制御部32は、I/F31を介して、第2レーダ装置50の動作を同期させるデジタル通信を行う。なお、第2レーダ装置50の動作の同期については、中央処理装置10が行ってもよい。
【0033】
送信波生成部33は、制御部32の制御に応じて送信信号を生成し、送信部34に供給する。送信部34は、送信波生成部33から供給される送信信号を、所定の周波数帯にアップコンバートして、スイッチ35に供給する。スイッチ35は、制御部32によって制御され、送信アンテナTX1aまたは送信アンテナTX1bのいずれか一方を選択する。アップコンバートされた送信信号は、スイッチ35で選択されている方の送信アンテナを介して対象物に向けて送信される。より詳細には、送信部34は、送信信号を、例えば、準ミリ波帯またはミリ波帯(具体的には、24GHz~28GHz、76~81GHzなど)にアップコンバートして送信アンテナTX1a,TX1bから放射させるように構成することができる。もちろん、これ以外の周波数であってもよい。送信アンテナTX1a,TX1bは、送信部34から供給される高周波信号を、自由空間に放射する。
【0034】
受信アンテナRX1a,RX1bは、同様の特性を有するアンテナが、所定の距離を隔てて配置されて構成され、対象物によって反射された反射波を受信し、スイッチ37に供給する。
【0035】
スイッチ37は、制御部32によって制御され、受信アンテナRX1aまたは受信アンテナRX1bのいずれか一方を選択し、受信信号を受信部38に供給する。受信部38は、スイッチ37から供給される受信信号をIQ復調して相互に位相が直交するI信号およびQ信号を出力する。ADC39は、制御部32によって制御され、受信部38から供給されるI信号およびQ信号(アナログ信号)を、サンプリング開始のタイミングを所定の時間ずつずらしてサンプリングする等価時間サンプリングを実行し、デジタルデータに変換して制御部32に供給する。なお、等価時間サンプリングではなく、通常のサンプリングによってデジタルデータに変換するようにしてもよい。
【0036】
なお、以上の構成では、受信アンテナRX1a,RX1bから出力される信号を、スイッチ37によって選択するようにしたが、例えば、受信アンテナRX1a,RX1bから出力される信号をハイブリッド回路によって和信号と差信号に変換し、これらの和信号と差信号をスイッチ37によって選択するようにしてもよい。
【0037】
制御部32は、ADC39から供給されたデータに対して、ターゲット検出処理、および、角度検出処理を実行することにより、ADC39から供給されたデータに含まれるターゲット(対象物)の有無、角度等を検出する。この対象物に関する情報は、上述した第1情報に相当する。制御部32は、第1情報と第2レーダ装置50から受信した第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成する。制御部32は、統合情報をI/F31を介して中央処理装置10に送信する。
【0038】
また、第2レーダ装置50と第1レーダ装置30との間(接続線40)における通信速度は、数十kbps(例えば、20kbps)以下である。第1レーダ装置30と上位装置との間(接続線20)における通信速度は、数Mbps(例えば、4Mbps)以下である。
【0039】
このように構成されることにより、レーダシステム1は、第1レーダ装置30の検出範囲と第2レーダ装置50の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30で検出できない領域を第2レーダ装置50でカバーするように配置されるので、検出範囲が異なるレーダ装置(例えば、中距離(約2m~100m)にある物標を検出するレーダ装置と、近距離(約0m~20m)にある物標を検出するレーダ装置)の最適な組み合わせを図ることができる。また、レーダシステム1は、第2レーダ装置50で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30に送信し、第1レーダ装置30において、第1情報と第2情報とを統合して統合情報を生成し、生成した統合情報を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0040】
(第2レーダ装置が複数で構成される場合)
第2レーダ装置50は、複数で構成されてもよい。第1レーダ装置30は、自身で生成した第1情報と、複数の第2レーダ装置50から送信されてきた複数の第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、統合情報を上位装置に送信する。
【0041】
図4は、複数の第2レーダ装置50-1~50-nによって構成されるレーダ装置3の構成を示すブロック図である。
【0042】
第1レーダ装置30の検出範囲と、複数の第2レーダ装置50-1~50-nのぞれぞれの検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30で検出できない領域を複数の第2レーダ装置50-1~50-nでカバーするように、第1レーダ装置30と複数の第2レーダ装置50-1~50-nとが車両に配置される。
【0043】
また、複数の第2レーダ装置50-1~50-nは、それぞれで生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30に送信する。第1レーダ装置30は、第1情報と、複数の第2情報とを統合して統合情報を生成し、生成した統合情報を接続線20を介して中央処理装置10に送信する。
【0044】
よって、レーダシステム1は、第2レーダ装置50が複数で構成される場合において、検出範囲が異なるレーダ装置(例えば、中距離(約2m~100m)にある物標を検出するレーダ装置と、近距離(約0m~20m)にある物標を検出するレーダ装置)の最適な組み合わせを図ることができる。さらに、レーダシステム1は、第2レーダ装置50-1~50-nで生成した第2情報を第1レーダ装置30で統合処理するので、第2レーダ装置50-1~50-nの処理負担を軽減でき、また、第1レーダ装置30で第2情報の統合情報と第1情報とを統合し、その統合した情報を中央処理装置10に送信するので、中央処理装置10の処理負担を軽減できるので、システム全体の情報処理の効率化を図ることができる。
【0045】
(第1レーダ装置が複数で構成される場合)
第1レーダ装置30は、複数で構成されてもよい。複数で構成される第1レーダ装置30の中から一の第1レーダ装置30がマスタとなる。マスタとなった第1レーダ装置30は、自身で生成した情報と、他の第1レーダ装置30から送信されてきた情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、統合情報を上位装置に送信する。
【0046】
図5は、複数の第1レーダ装置30-1~30-nによって構成されるレーダ装置3の構成を示すブロック図である。なお、
図5では、第1レーダ装置30-1~30-nにそれぞれ一個の第2レーダ装置50が接続されている例を示しているが、この例に限られず、第1レーダ装置30-1~30-nにそれぞれ複数個の第2レーダ装置50が接続されてもよい。
【0047】
複数の第1レーダ装置30-1~30-nの検出範囲と、複数の第2レーダ装置50-1~50-nのぞれぞれの検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30で検出できない領域を第2レーダ装置50でカバーするように、複数の第1レーダ装置30-1~30-nと複数の第2レーダ装置50-1~50-nとが車両に配置される。
【0048】
本実施形態の場合、第1レーダ装置30-1がマスタに設定され、他の第1レーダ装置30-2~30-nがスレーブに設定される。
【0049】
それぞれの第2レーダ装置50-1~50-nは、それぞれで生成した第2情報を接続線40を介して直接接続されている第1レーダ装置30に送信する。また、それぞれの第2レーダ装置50-1~50-nで生成された複数の第2情報は、統合処理を担当する第1レーダ装置30に送信される。例えば、第1レーダ装置30-nが複数の第2情報の統合処理を担当する場合、すべての第2情報が第1レーダ装置30-nに送信される。
【0050】
スレーブに設定されている各第1レーダ装置30-2~30-nは、自身で生成した第1情報を接続線20を介してマスタに設定されている第1レーダ装置30-1に送信する。また、複数の第2情報が統合処理された統合情報も、マスタに設定されている第1レーダ装置30-1に送信される。
【0051】
マスタに設定されている第1レーダ装置30-1は、自身で生成した第1情報と、他の第1レーダ装置30-2~30-nから送信されてきた第1情報と、複数の第2情報が統合処理された統合情報とを統合して統合情報を生成し、生成した統合情報を中央処理装置10に送信する。
【0052】
よって、レーダシステム1は、第1レーダ装置30が複数で構成され、各第1レーダ装置30に一または複数の第2レーダ装置50が接続される場合において、検出範囲が異なるレーダ装置(例えば、中距離(約2m~100m)にある物標を検出するレーダ装置と、近距離(約0m~20m)にある物標を検出するレーダ装置)の最適な組み合わせを図ることができる。さらに、レーダシステム1は、第2レーダ装置50-1~50-nで生成した第2情報をマスタとなる第1レーダ装置30で統合処理するので、第2レーダ装置50-1~50-nの処理負担を軽減でき、また、他の第1レーダ装置30で生成した第1情報と、第2情報の統合情報と、自身で生成した第1情報とマスタとなる第1レーダ装置30で統合処理し、その統合した情報を中央処理装置10に送信するので、中央処理装置10の処理負担を軽減できるので、システム全体の情報処理の効率化を図ることができる。
【0053】
(レーダシステムの第1の構成例)
ここで、レーダシステム1の第1の構成例について説明する。
図6は、レーダシステム1の第1の構成例を示す図である。
図7は、
図6に示すレーダシステム1の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、レーダシステム1は、検出範囲A11を有する第1レーダ装置30-1と、検出範囲A12を有する第1レーダ装置30-2と、検出範囲A13を有する第2レーダ装置50-1と、検出範囲A14を有する第2レーダ装置50-2と、検出範囲A15を有する第2レーダ装置50-3と、検出範囲A16を有する第2レーダ装置50-4とが車両Cに配置されている。
【0054】
また、第1レーダ装置30-1の検出範囲と、第2レーダ装置50-1,50-3のぞれぞれの検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1,50-3でカバーするように、第1レーダ装置30-1と第2レーダ装置50-1,50-3とが車両Cの左後方のリアバンパ内に配置される。
【0055】
また、第1レーダ装置30-2の検出範囲と、第2レーダ装置50-2,50-4のぞれぞれの検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-2で検出できない領域を第2レーダ装置50-2,50-4でカバーするように、第1レーダ装置30-2と第2レーダ装置50-2,50-4とが車両Cの右後方のリアバンパ内に配置される。
【0056】
第1レーダ装置30-1は、例えば、中距離(約2m~100m)を対象に物標に関する第1情報(物標との距離、相対速度、角度)a11を生成する。また、第1レーダ装置30-1は、自身で生成した第1情報a11と、第1レーダ装置30-2から送信されてきた第1情報a12と、すべての第2情報を統合した統合情報x11とを統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x12を生成する。第1レーダ装置30-1は、統合情報x12を中央処理装置10に送信する。
【0057】
第1レーダ装置30-2は、例えば、中距離(約2m~100m)を対象に物標に関する第1情報(物標との距離、相対速度、角度)a12を生成する。また、第1レーダ装置30-2は、すべての第2情報b11,b12,b13,b14を統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x11を生成する。第1レーダ装置30-2は、自身で生成した第1情報a12と、統合情報x11とを第1レーダ装置30-1に送信する。
【0058】
第2レーダ装置50-1は、例えば、近距離(約0m~20m)を対象に物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b11を生成する。なお、第2レーダ装置50-1は、受信アンテナが複数で構成されてもよい。この構成の場合には、角度を示す情報も第2情報に含まれる。第2レーダ装置50-1は、第2情報b11を第1レーダ装置30-1に送信する。第1レーダ装置30-1は、第1レーダ装置30-2に第2情報b11を送信する。
【0059】
第2レーダ装置50-3は、例えば、近距離(約0m~20m)を対象に物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b13を生成する。なお、第2レーダ装置50-3は、受信アンテナが複数で構成されてもよい。この構成の場合には、角度を示す情報も第2情報に含まれる。第2レーダ装置50-3は、第2情報b13を第1レーダ装置30-1に送信する。第1レーダ装置30-1は、第1レーダ装置30-2に第2情報b13を送信する。
【0060】
第2レーダ装置50-2は、例えば、近距離(約0m~20m)を対象に物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b12を生成する。なお、第2レーダ装置50-2は、受信アンテナが複数で構成されてもよい。この構成の場合には、角度を示す情報も第2情報に含まれる。第2レーダ装置50-2は、第2情報b12を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0061】
第2レーダ装置50-4は、例えば、近距離(約0m~20m)を対象に物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b14を生成する。なお、第2レーダ装置50-4は、受信アンテナが複数で構成されてもよい。この構成の場合には、角度を示す情報も第2情報に含まれる。第2レーダ装置50-4は、第2情報b14を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0062】
つぎに、上述した第1の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについて説明する。
図8は、第1の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについての説明に供する図である。
【0063】
ステップS11において、第1レーダ装置30-1は、物標に関する第1情報(物標との距離、相対速度、角度)a11を生成し、第1レーダ装置30-2から送信されてくる第1情報a12を受信する。
【0064】
ステップS12において、第2レーダ装置50-1は、物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b11を生成し、生成した第2情報b11を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0065】
ステップS13において、第2レーダ装置50-3は、物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b13を生成し、生成した第2情報b13を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0066】
ステップS14において、第1レーダ装置30-1は、第2レーダ装置50-1から送信されてきた第2情報b11と、第2レーダ装置50-3から送信されてきた第2情報b13とを受信し、第2情報b11,b13を第1レーダ装置30-2に送信する。また、第1レーダ装置30-1は、中央処理装置10から受信した車両情報を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0067】
ステップS15において、第1レーダ装置30-2は、物標に関する第1情報(物標との距離、相対速度、角度)a12を生成し、生成した第1情報a12を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0068】
ステップS16において、第2レーダ装置50-2は、物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b12を生成し、生成した第2情報b12を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0069】
ステップS17において、第2レーダ装置50-4は、物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b14を生成し、生成した第2情報b14を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0070】
ステップS18において、第1レーダ装置30-2は、第1レーダ装置30-1から送信されてきた第2情報b11,b13と、第2レーダ装置50-2から送信されてきた第2情報b12と、第2レーダ装置50-4から送信されてきた第2情報b14とを受信し、第2情報b11~b14を統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x11を生成する。また、第1レーダ装置30-2は、生成した統合情報x11を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0071】
ステップS19において、第1レーダ装置30-1は、第2レーダ装置50-2から送信されてきた統合情報x11を受信し、自身で生成した第1情報a11と、第1レーダ装置30-2から送信されてきた第1情報a12と、統合情報x11とを統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x12を生成する。その後、第1レーダ装置30-1は、統合情報x12を中央処理装置10に送信する。
【0072】
レーダシステム1は、上述したステップS11~ステップS19の処理を繰り返し行う(ループ処理)。
【0073】
このようにして、レーダシステム1は、第1レーダ装置30-1の検出範囲と第2レーダ装置50-1,50-3の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1,50-3でカバーするように配置され、かつ、第1レーダ装置30-2の検出範囲と第2レーダ装置50-2,50-4の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-2で検出できない領域を第2レーダ装置50-2,50-4でカバーするように配置されるので、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図ることができる。また、レーダシステム1は、第2レーダ装置50-1~50-4で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30-2に送信し、第1レーダ装置30-2において、すべての第2情報を統合して統合情報x11を生成し、第1レーダ装置30―1において、第1情報a11,a12と統合情報x11とを統合して統合情報x12を生成し、生成した統合情報x12を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0074】
また、第2レーダ装置50-1~50-4は、統合情報を生成する統合処理部を実装する必要がないので、レーダシステムの導入コストを低減することが可能になる。
【0075】
また、第2レーダ装置50から第1レーダ装置30へは第2情報だけを送信すればよいため、第2レーダ装置50と第1レーダ装置30との間(接続線40)における通信速度は、数十kbps以下で実現することができる。
【0076】
なお、上述では、車両Cのリア側にレーダシステム1(第1レーダ装置30-1,30-2と第2レーダ装置50-1~50-4)が配置される例について説明したが、これに限定されず、車両Cのフロント側にレーダシステム1が配置されてもよいし、車両Cのフロント側およびリア側の双方にレーダシステム1が配置されてもよい。
【0077】
(レーダシステムの第2の構成例)
ここで、レーダシステム1の第2の構成例について説明する。
図9は、レーダシステム1の第2の構成例を示す図である。
図10は、
図9示すレーダシステム1の構成を示すブロック図である。レーダシステム1の第2の構成例は、検出範囲A11を有する第1レーダ装置30-1と、検出範囲A12を有する第1レーダ装置30-2と、検出範囲A13を有する第2レーダ装置50-1と、検出範囲A14を有する第2レーダ装置50-2とが車両Cに配置されている。
【0078】
第1レーダ装置30-1の検出範囲と、第2レーダ装置50-1の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1でカバーするように、第1レーダ装置30-1と第2レーダ装置50-1とが車両Cの左後方のリアバンパ内に配置される。
【0079】
また、第1レーダ装置30-2の検出範囲と、第2レーダ装置50-2の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-2で検出できない領域を第2レーダ装置50-2でカバーするように、第1レーダ装置30-2と第2レーダ装置50-2とが車両Cの右後方のリアバンパ内に配置される。
【0080】
第2の構成例は、車両Cに第2レーダ装置50-3と第2レーダ装置50-4とが配置されない以外は、第1の構成例と同じ構成である。なお、第1レーダ装置30-1,30-2と、第2レーダ装置50-1,50-2の構成と動作は、第1の構成例と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
つぎに、上述した第2の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについて説明する。
図11は、第2の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについての説明に供する図である。なお、
図8を用いて説明した第1の構成例によるレーダシステム1の処理と同一の処理には同一の番号を付して、説明を省略する。ステップS11,S12,S15,S16は、第1の構成例の工程と同一の処理である。
【0082】
ステップS30において、第1レーダ装置30-1は、第2レーダ装置50-1から送信されてきた第2情報b11を受信し、第2情報b11を第1レーダ装置30-2に送信する。
【0083】
ステップS31において、第1レーダ装置30-2は、第1レーダ装置30-1から送信されてきた第2情報b11と、第2レーダ装置50-2から送信されてきた第2情報b12とを受信し、第2情報b11,b12を統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x21を生成する。第1レーダ装置30-2は、生成した統合情報x21を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0084】
ステップS32において、第1レーダ装置30-1は、第1レーダ装置30-2から送信されてきた統合情報x21を受信し、自身で生成した第1情報a11と、第1レーダ装置30-2から送信されてきた第1情報a12と、統合情報x21とを統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x22を生成する。その後、第1レーダ装置30-1は、統合情報x22を中央処理装置10に送信する。
【0085】
レーダシステム1は、ステップS11,S12,S15,S16,S30~S32の処理を繰り返し行う(ループ処理)。
【0086】
このようにして、レーダシステム1は、第1レーダ装置30-1の検出範囲と第2レーダ装置50-1の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1でカバーするように配置され、かつ、第1レーダ装置30-2の検出範囲と第2レーダ装置50-2の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-2で検出できない領域を第2レーダ装置50-2でカバーするように配置されるので、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図ることができる。また、レーダシステム1は、第2レーダ装置50-1,50-2で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30-2に送信し、第1レーダ装置30-2において、すべての第2情報を統合して統合情報x21を生成し、第1レーダ装置30―1において、第1情報a11,a12と統合情報x21とを統合して統合情報x22を生成し、生成した統合情報x22を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0087】
また、第2レーダ装置50-1,50-2は、統合情報を生成する統合処理部を実装する必要がないので、レーダシステムの導入コストを低減することが可能になる。
【0088】
また、第2レーダ装置50から第1レーダ装置30へは第2情報だけを送信すればよいため、第2レーダ装置50と第1レーダ装置30との間(接続線40)における通信速度は、数十kbps以下で実現することができる。
【0089】
なお、上述では、車両Cのリア側にレーダシステム1(第1レーダ装置30-1,30-2と第2レーダ装置50-1,50-2)が配置される例について説明したが、これに限定されず、車両Cのフロント側にレーダシステム1が配置されてもよいし、車両Cのフロント側およびリア側の双方にレーダシステム1が配置されてもよい。
【0090】
(レーダシステムの第3の構成例)
ここで、レーダシステム1の第3の構成例について説明する。
図12は、レーダシステム1の第3の構成例を示す図である。
図13は、
図12示すレーダシステム1の構成を示すブロック図である。レーダシステム1の第3の構成例は、検出範囲A11を有する第1レーダ装置30-1と、検出範囲A13を有する第2レーダ装置50-1と、検出範囲A14を有する第2レーダ装置50-2と、検出範囲A15を有する第2レーダ装置50-3とが車両Cに配置されている。
【0091】
第1レーダ装置30-1の検出範囲と、第2レーダ装置50-1の検出範囲と、第2レーダ装置50-2の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1,50-2でカバーするように、第1レーダ装置30-1が車両Cのリアバンパ内の中央付近に配置され、第2レーダ装置50-1,50-2とが車両Cのリアバンパ内の左右にそれぞれ配置される。
【0092】
また、第2レーダ装置50-3は、第2レーダ装置50-1,50-2で検出できない領域をカバーするように車両Cのリアバンパ内の中央付近に配置される。
【0093】
なお、第1レーダ装置30-1と、第2レーダ装置50-1,50-2,50-3の構成と動作は、第1の構成例および第2の構成例と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0094】
つぎに、上述した第3の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについて説明する。
図14は、第3の構成例によるレーダシステム1の処理の流れについての説明に供する図である。なお、
図8を用いて説明した第1の構成例によるレーダシステム1の処理と同一の処理には同一の番号を付して、説明を省略する。ステップS11~S13は、第1の構成例の工程と同一の処理である。
【0095】
ステップS40において、第2レーダ装置50-2は、物標に関する第2情報(物標との距離、相対速度)b12を生成し、生成した第2情報b12を第1レーダ装置30-1に送信する。
【0096】
ステップS41において、第1レーダ装置30-1は、第2レーダ装置50-2から送信されてきた第2情報b12を受信し、第2情報b11,b12,b13を統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x31を生成する。
【0097】
ステップS42において、第1レーダ装置30-1は、自身で生成した第1情報a11と、統合情報x31とを統合し、物標を特定する演算処理(物標演算処理)を実行し、統合情報x32を生成する。その後、第1レーダ装置30-1は、統合情報x32を中央処理装置10に送信する。
【0098】
レーダシステム1は、ステップS11~S13,S40~S42の処理を繰り返し行う(ループ処理)。
【0099】
このようにして、レーダシステム1は、第1レーダ装置30-1の検出範囲と第2レーダ装置50-1,50-2の検出範囲とが一部重複しつつ、第1レーダ装置30-1で検出できない領域を第2レーダ装置50-1,50-2でカバーするように配置され、かつ、第2レーダ装置50-1,50-2で検出できない領域を第2レーダ装置50-3でカバーするように配置されるので、検出範囲が異なるレーダ装置の最適な組み合わせを図ることができる。
【0100】
また、レーダシステム1は、第2レーダ装置50-1,50-2,50-3で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30-1に送信し、第1レーダ装置30-1において、すべての第2情報を統合して統合情報x31を生成し、かつ、この統合情報x31と第1情報a11とを統合して統合情報x32を生成し、生成した統合情報x32を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0101】
また、第2レーダ装置50-1,50-2,50-3は、統合情報を生成する統合処理部を実装する必要がないので、レーダシステムの導入コストを低減することが可能になる。
【0102】
また、第2レーダ装置50から第1レーダ装置30へは第2情報だけを送信すればよいため、第2レーダ装置50と第1レーダ装置30との間(接続線40)における通信速度は、数十kbps以下で実現することができる。
【0103】
なお、上述では、車両Cのリア側にレーダシステム1(第1レーダ装置30-1と第2レーダ装置50-1,50-2,50-3)が配置される例について説明したが、これに限定されず、車両Cのフロント側にレーダシステム1が配置されてもよいし、車両Cのフロント側およびリア側の双方にレーダシステム1が配置されてもよい。
【0104】
また、レーダシステム1は、上述した第1の構成例~第3の構成例に限定されず、様々な構成例が考えられる。
【0105】
また、本実施例に係るレーダシステム1は、例えば、物標に超音波を発射し、反射して戻ってくるまでの時間で物標との距離を測定する装置(超音波センサ)の代替として一または複数の第2レーダ装置50を用いることができる。この場合、超音波センサを配置するためにバンパーに孔を開ける工程や、その孔を塞ぎ、超音波センサを保護するためのベゼルをバンパーに設ける工程を不要にでき、車両を製造するための工数の削減を図ることができる。また、ベゼルは、目立たないようにバンパーの色と同系の色で塗装されるが、バンパーの色と同一色にすることは困難であり、視認されてしまう。超音波センサの代替として一または複数の第2レーダ装置50を用いる場合、バンパーにベゼルを設けないので、車両全体の外観上のデザインの調和を図ることができる。
【0106】
(応用例について)
本発明にかかるレーダシステム1は、車両の全方位を監視するレーダシステムを実現することができる。このレーダシステムは、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)と称されている。ADASとは、運転者の安全を実現するために自動車自体が周囲の情報を把握し、運転者に的確に表示または警告を行ったり、運転者に代わって自動車を制御するなどの運転を支援する機能の総称である。
【0107】
図15は、車両の全周において物標の検知を行うレーダシステム1の構成を模式的に示す図である。レーダシステム1は、検出範囲A31を有する第1レーダ装置30-1と、検出範囲A32を有する第1レーダ装置30-2と、検出範囲A33を有する第1レーダ装置30-3と、検出範囲A34を有する第1レーダ装置30-4と、検出範囲A41を有する第2レーダ装置50-1と、検出範囲A42を有する第2レーダ装置50-2と、検出範囲A43を有する第2レーダ装置50-3と、検出範囲A44を有する第2レーダ装置50-4と、検出範囲A45を有する第2レーダ装置50-5と、検出範囲A46を有する第2レーダ装置50-6と、検出範囲A47を有する第2レーダ装置50-7と、検出範囲A48を有する第2レーダ装置50-8とを備える。
【0108】
第1レーダ装置30-1~30-4および第2レーダ装置50-1~50-8のぞれぞれの検出範囲が、一部重複しつつ、車両Cの全周囲を漏れなくカバーするように、第1レーダ装置30-1~30-4および第2レーダ装置50-1~50-8が車両Cに配置される。
【0109】
一般的なレーダシステムでは、レーダ装置、カメラ、超音波センサなどを組み合わせて、車両の全方位を監視している。しかし、このレーダシステムでは、各装置から取得した情報を統合(フュージョン)しておらず、それぞれ独立して処理している。さらに、超音波センサは、更新レートが低いため、一定の速度以上で移動する物標の検出が困難なため、他の装置で取得した情報と統合することが困難な問題がある。さらに、超音波センサを配置するためにバンパーに孔を開け、その孔を塞ぎ、超音波センサを保護するためのベゼルをバンパーに設けるため、バンパーのデザインの調和を損なう可能性もある。
【0110】
本発明にかかるレーダシステム1は、第1レーダ装置30-1~30-4の中からマスタとなるレーダ装置(例えば、第1レーダ装置30-1)が他のレーダ装置(例えば、第1レーダ装置30-2~30-4)および第2レーダ装置50-1~50-8により取得された情報を統合することにより、車両の全方位を漏れなく監視することができる。また、レーダシステム1は、更新レートが高い第1レーダ装置30のみから取得した情報を統合(フュージョン)することができ、また、超音波センサを備えないため、バンパーのデザインの調和を損なわずに、バンパーの意匠の自由度を向上させることができる。
【0111】
(処理方法について)
つぎに、レーダシステム1の情報処理の効率化を図ることができる処理方法について説明する。
図16は、この処理方法の手順を示すフローチャートである。
【0112】
レーダシステム1は、車両に搭載され、車両外に所定の信号を送信および受信して車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置3が含まれる。レーダ装置3は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置30と、第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置50とを備える。第1レーダ装置30および第2レーダ装置50は、第1検出範囲と第2検出範囲とが一部重複するように車両に配置される。
【0113】
ステップS101において、第2レーダ装置50は、第2検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第2情報を生成し、第2情報を第1レーダ装置30に送信する(第1工程)。
【0114】
ステップS102において、第1レーダ装置30は、第1検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第1情報を生成し、第1情報と第2レーダ装置50から受信した第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、統合情報を上位装置に送信する(第2工程)。
【0115】
このようにして、本発明に係る処理方法は、第2レーダ装置50で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30に送信し、第1レーダ装置30において、第1情報と第2情報とを統合して統合情報を生成し、生成した統合情報を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0116】
(処理プログラムについて)
レーダシステム1の情報処理の効率化を図る処理プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
【0117】
レーダシステム1は、車両に搭載され、車両外に所定の信号を送信および受信して車両に対する物標に関する情報を検出するレーダ装置3が含まれる。レーダ装置3は、第1周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲を有する第1レーダ装置30と、第1周波数とは異なる第2周波数の信号を送信および受信し、第1検出範囲とは異なる第2検出範囲を有する第2レーダ装置50とを備える。第1レーダ装置30および第2レーダ装置50は、第1検出範囲と第2検出範囲とが一部重複するように車両に配置される。
【0118】
第1工程:第2検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第2情報を生成し、第2情報を第1レーダ装置30に送信する工程。
【0119】
第2工程:第1検出範囲で検出した情報に基づいて、車両に対する物標に関する第1情報を生成し、第1情報と第2レーダ装置50から受信した第2情報とに基づいて統合処理演算を行って統合情報を生成し、統合情報を上位装置に送信する工程。
【0120】
ここで、コンピュータ500、600の構成と動作について図を用いて説明する。
図17は、コンピュータ500、600の構成を示す図である。コンピュータ500は、第1レーダ装置30に相当し、
図17に示すように、プロセッサ501と、メモリ502と、ストレージ503と、通信I/F504とがバスA上に接続されて構成されている。コンピュータ600は、第2レーダ装置50に相当し、
図17に示すように、プロセッサ601と、メモリ602と、ストレージ603と、通信I/F604とがバスA上に接続されて構成されている。コンピュータ500、600は、各構成要素の協働により、上述した第1工程および第2工程を実現する。
【0121】
通信I/F504と通信I/F604は、所定の通信規格(例えば、CAN(Controller Area Network))に準拠したインターフェイスである、相互に通信を行う。
【0122】
メモリ502、602は、RAM(Random Access Memory)で構成される。RAMは、揮発メモリまたは不揮発性メモリで構成されている。
【0123】
ストレージ503、603は、ROM(Read Only Memory)で構成される。ROMは、不揮発性メモリで構成されており、例えば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)により実現される。ストレージ503には、上述した第2工程で実現される処理プログラムなどの各種のプログラムが格納されている。ストレージ503には、上述した第1工程で実現される処理プログラムなどの各種のプログラムが格納されている。
【0124】
例えば、プロセッサ501、601は、コンピュータ500、600全体の動作を制御する。プロセッサ501、601は、ストレージ503、603からオペレーティングシステムや多様な機能を実現する様々なプログラムをメモリ502、602にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。
【0125】
具体的には、プロセッサ501、601は、起動の操作(操作信号)を受け付けた場合、ストレージ503、603に格納されているプログラム(例えば、本発明に係る処理プログラム)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502、602に展開し、プログラムを実行する。
【0126】
ここで、プロセッサ501、601の構成について説明する。プロセッサ501、601は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などにより実現される。
【0127】
また、プロセッサ501、601は、単一の構成要素として説明したが、これに限られず、複数の物理的に別体のプロセッサの集合により構成されてもよい。本明細書において、プロセッサ501、601によって実行されるとして説明されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、単一のプロセッサで実行されてもよいし、複数のプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ501、601によって実行されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想プロセッサにより実行されてもよい。
【0128】
このようにして、本発明に係る処理プログラムは、コンピュータ500,600で実行されることにより、第2レーダ装置50で生成した第2情報を接続線40を介して第1レーダ装置30に送信し、第1レーダ装置30において、第1情報と第2情報とを統合して統合情報を生成し、生成した統合情報を接続線20を介して中央処理装置10に送信するので、システム全体として情報処理の効率化を図ることができる。
【0129】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 レーダシステム
3 レーダ装置
10 中央処理装置
20,40 接続線
30,30-1,30-2 第1レーダ装置
31,51 I/F
32,52 制御部
33,53 送信波生成部
34,54 送信部
35,37,55,57 スイッチ
38,58 受信部
39,59 ADC
50,50-1,50-2,50-3,50-4 第2レーダ装置
70 センサ群
TX1a,TX1b,TX2a,TX2b 送信アンテナ
RX1a,RX1b,RX2a,RX2b 受信アンテナ