(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】感光性組成物、膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20231110BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20231110BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231110BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G02B5/20 101
G09F9/30 349B
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2022527007
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2021019490
(87)【国際公開番号】W WO2021241465
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020093013
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲晃
(72)【発明者】
【氏名】澤村 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】出井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】石井 里武
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158537(JP,A)
【文献】特開2018-163334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G02B 5/20
G09F 9/30
H01L 27/146
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤Aと、
光重合開始剤Bと、
重合性化合物Cと、
アニオンと、式量または分子量が
24~300の2価以上のカチオンとの塩であって、かつ、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における下記式(A
λ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、
を含
み、
前記化合物Dの前記アニオンは、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、またはスルホン酸アニオンである、感光性組成物;
E
1=A
1/(c
1×l
1) ・・・(A
λ)
式(A
λ)中、E
1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、
A
1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、
l
1は、単位がcmで表されるセル長を表し、
c
1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Dの濃度を表す。
【請求項2】
前記化合物Dの前記カチオンは、2価以上の金属カチオンである、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記2価以上の金属カチオンは、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、バナジウムカチオン、クロムカチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、ラジウムカチオン、または、希土類元素のカチオンである、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記化合物Dの前記カチオンは、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ストロンチウムカチオン、ランタンカチオン、セリウムカチオンまたはネオジムカチオンである、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記化合物Dの前記アニオンの共役酸のpKaが0以下である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記化合物Dの前記アニオンは、フッ素原子を有するスルホン酸アニオン
、スルホンイミドアニオン、または、スルホンメチドアニオンである、請求項1~
5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記化合物Dの前記アニオンが下記式(1)又は式(2)で表されるアニオンである、請求項1~
6のいずれか1項に記載の感光性組成物;
【化1】
式中、n、mおよびpはそれぞれ独立に1以上の整数である。
【請求項8】
25℃のシクロヘキサノン100gに対する前記化合物Dの溶解量が0.1g以上である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記感光性組成物の全固形分中に、前記化合物Dを1~5質量%含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記着色剤Aは染料を含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記染料は、キサンテン色素構造、トリアリールメタン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造およびアントラキノン色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物を含む、請求項
10に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記染料は、シアン色染料、マゼンタ色染料及び黄色染料から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項
10または11に記載の感光性組成物。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて得られる膜。
【請求項14】
請求項
13に記載の膜を有するカラーフィルタ。
【請求項15】
請求項
13に記載の膜を有する固体撮像素子。
【請求項16】
請求項
13に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤を含む感光性組成物に関する。また、本発明は、感光性組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。カラーフィルタは、通常、赤、緑及び青の3原色の画素を備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。
【0003】
カラーフィルタの各色の画素は、例えば、着色剤を含む感光性組成物を用い、フォトリソグラフィ法にてパターン形成を行って製造されている。例えば、特許文献1には、酸性染料と、バインダ樹脂と、可視光領域におけるモル吸光係数εの最大値が0以上3000以下である所定のイオン性化合物と、有機溶剤とを含有する感光性組成物を用いて、フォトリソグラフィ法にてパターン形成を行ってカラーフィルタの画素を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、カラーフィルタなどにおける画素サイズの微細化が進んでいる。しかしながら、感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法にて画素を形成するにあたり、形成する画素サイズが微細であるほど、現像後に得られる画素について欠けなどが生じやすい傾向にあった。
【0006】
また、本発明者が特許文献1に記載された感光性組成物について検討を進めたところ、この感光性組成物であっても、現像後に得られる画素について欠けが生じやすく、改善の余地があることが分かった。
【0007】
よって、本発明の目的は、欠けの抑制された画素を形成することができる感光性組成物を提供することにある。また、感光性組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者の検討によれば、以下の構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 着色剤Aと、
光重合開始剤Bと、
重合性化合物Cと、
アニオンと、式量または分子量が1000以下の2価以上のカチオンとの塩であって、かつ、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における下記式(A
λ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、
を含む感光性組成物;
E
1=A
1/(c
1×l
1) ・・・(A
λ)
式(A
λ)中、E
1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、
A
1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、
l
1は、単位がcmで表されるセル長を表し、
c
1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Dの濃度を表す。
<2> 上記化合物Dの上記カチオンは、2価以上の金属カチオンである、<1>に記載の感光性組成物。
<3> 上記2価以上の金属カチオンは、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、バナジウムカチオン、クロムカチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、ラジウムカチオン、または、希土類元素のカチオンである、<2>に記載の感光性組成物。
<4> 上記化合物Dの上記カチオンは、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ストロンチウムカチオン、ランタンカチオン、セリウムカチオンまたはネオジムカチオンである、<1>に記載の感光性組成物。
<5> 上記化合物Dの上記アニオンは、フッ素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<6> 上記化合物Dの上記アニオンの共役酸のpKaが0以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<7> 上記化合物Dの上記アニオンは、フッ素原子を有するスルホン酸アニオン、硫酸アニオン、スルホンイミドアニオン、または、スルホンメチドアニオンである、<1>~<6>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<8> 上記化合物Dの上記アニオンが下記式(1)又は式(2)で表されるアニオンである、<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性組成物;
【化1】
式中、n、mおよびpはそれぞれ独立に1以上の整数である。
<9> 25℃のシクロヘキサノン100gに対する上記化合物Dの溶解量が0.1g以上である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<10> 上記感光性組成物の全固形分中に、上記化合物Dを1~5質量%含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<11> 上記着色剤Aは染料を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<12> 上記染料は、キサンテン色素構造、トリアリールメタン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造およびアントラキノン色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物を含む、<11>に記載の感光性組成物。
<13> 上記染料は、シアン色染料、マゼンタ色染料及び黄色染料から選ばれる少なくとも1種を含む、<11>または<12>に記載の感光性組成物。
<14> <1>~<13>のいずれか1つに記載の感光性組成物を用いて得られる膜。
<15> <14>に記載の膜を有するカラーフィルタ。
<16> <14>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<17> <14>に記載の膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、欠けの抑制された画素を形成することができる感光性組成物を提供することができる。また、本発明は、感光性組成物を用いた膜、カラーフィルタ、固体撮像素子及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい色材を意味する。
本明細書において、染料とは、溶剤に対して溶解しやすい色材を意味する。
本明細書において、カチオンとは、正電荷を有する原子、又は正電荷を有する原子団を意味する。
本明細書において、アニオンとは、負電荷を有する原子、又は負電荷を有する原子団を意味する。
本明細書において、名称の前、又は名称の後に付記される記号(例えば、A、B、C、及びDなど)は、構成要素を区別するために使用する用語であり、構成要素の種類、構成要素の数、及び構成要素の優劣を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0011】
<感光性組成物>
本発明の感光性組成物は、着色剤Aと、光重合開始剤Bと、重合性化合物Cと、アニオンと、式量または分子量が1000以下の2価以上のカチオンとの塩であって、かつ、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dと、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の感光性組成物によれば、欠けの抑制された画素を形成することができる。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、本発明の感光性組成物は上述した化合物Dを含むので、製膜時において上述した化合物Dによって重合性化合物Cなどの膜形成成分を疑似架橋させることができると推測される。このため、本発明の感光性組成物によれば、露光によって強固な膜を形成することができ、その結果、未露光部を現像除去する際において、露光部の膜についての欠けなどを抑制できたためであると推測される。
【0013】
本発明の感光性組成物は、カラーフィルタ用の感光性組成物として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色画素形成用の感光性組成物として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素および黄色画素などが挙げられる。また、本発明の感光性組成物は、国際公開第2019/102887号に記載された画素構成にも好適に使用することができる。以下、本発明の感光性組成物に用いられる各成分について説明する。
【0014】
<<着色剤A>>
本発明の感光性組成物は、着色剤A(以下、着色剤という)を含有する。着色剤としては、顔料及び染料が挙げられる。本発明の感光性組成物に含まれる着色剤は、染料を含むことが好ましい。染料を含む着色剤を用いた感光性組成物は、着色剤として顔料のみを用いた感光性組成物に比べて、フォトリソグラフィ法で画素を形成した際において現像時に画素に欠けが生じやすい傾向にあるが、本発明によれば、着色剤として染料を含むものを用いた場合であっても、欠けの抑制された画素を形成することができる。このため、染料を用いた場合において特に本発明の効果が顕著である。また、本発明の感光性組成物においては、着色剤としては染料のみを用いてもよいが、現像残渣の発生をより抑制できるという理由から顔料と染料とを併用することが好ましい。
【0015】
(染料)
染料の種類は制限されない。染料としては、公知の染料を利用することができる。赤色染料、青色染料、緑色染料、シアン色染料、マゼンタ色染料及び黄色染料などが挙げられる。一態様として、シアン色染料、マゼンタ色染料及び黄色染料から選ばれる少なくとも1種を用いる態様が挙げられる。
【0016】
染料としては、トリアリールメタン色素構造、キサンテン色素構造、アントラキノン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、サブフタロシアニン色素構造、アゾ色素構造、ピラゾロトリアゾール色素構造、ジピロメテン色素構造、イソインドリン色素構造、チアゾール色素構造、ベンズイミダゾロン色素構造、ぺリノン色素構造、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、ジインモニウム色素構造、ナフタロシアニン色素構造、リレン色素構造、ジベンゾフラノン色素構造、メロシアニン色素構造、クロコニウム色素構造およびオキソノール色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物であることが好ましく、トリアリールメタン色素構造、キサンテン色素構造、アントラキノン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、サブフタロシアニン色素構造、アゾ色素構造、チアゾール色素構造、ピラゾロトリアゾール色素構造およびジピロメテン色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物であることがより好ましく、トリアリールメタン色素構造、キサンテン色素構造、シアニン色素構造およびスクアリリウム色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物であることが更に好ましく、トリアリールメタン色素構造またはキサンテン色素構造を有する化合物であることがより一層好ましく、キサンテン色素構造を有する化合物であることが特に好ましい。
【0017】
25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gに対する染料の溶解量は、0.01g以上であることが好ましく、0.5g以上であることがより好ましく、1g以上であることが更に好ましい。
【0018】
本発明で用いられる染料は、カチオン及びアニオンを含む化学構造を有する染料であることが好ましい。以下、カチオン及びアニオンを含む化学構造を有する染料を染料Aともいう。また、染料Aのカチオンを「カチオンAX+」という。また、染料Aのアニオンを「アニオンAZ-」という。
【0019】
染料Aにおいて、アニオンAZ-は、カチオンAX+の分子外に存在していてもよい。「アニオンAZ-はカチオンAX+の分子外に存在している」とは、アニオンAZ-が、カチオンAX+と共有結合を介して結合しておらず、カチオンAX+とは独立した構造単位として存在している状態をいう。上記のような染料Aの形態としては、例えば、塩が挙げられる。以下、カチオンの分子外に存在するアニオンを対アニオンともいう。染料Aにおいて、アニオンAZ-は、カチオンAX+と共有結合を介して結合していることが好ましい。すなわち、染料Aの形態は、分子内塩(両性イオンともいう。)であることが好ましい。
【0020】
アニオンAZ-の種類としては、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、シアン化物イオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、SbF6
-等が挙げられ、イミドアニオン、メチドアニオンおよびボレートアニオンであることが好ましく、イミドアニオンおよびメチドアニオンであることがより好ましく、低求核性であるという理由からイミドアニオンであることが更に好ましい。イミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)イミドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。ボレートアニオンとしては、テトラアリールボレートアニオン、テトラシアノボレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどが挙げられる。
【0021】
カチオンAX+の種類としては、例えば、キサンテン色素構造を有するカチオン、トリアリールメタン色素構造を有するカチオン、シアニン色素構造を有するカチオン、及びスクアリリウム色素構造を有するカチオンが挙げられる。カチオンAX+は、キサンテン色素構造を有するカチオン、又はトリアリールメタン色素構造を有するカチオンであることが好ましく、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、キサンテン色素構造を有するカチオンであることがより好ましい。
【0022】
キサンテン色素構造のカチオンAX+を有する染料としては、下記式(J)で表される化合物が挙げられる。
【0023】
【0024】
式(J)中、R81、R82、R83およびR84は、各々独立に、水素原子または置換基を表し、R85は、各々独立に置換基を表し、mは、0~5の整数を表す。Zは、対アニオンを表す。Zが存在しない場合は、R81~R85の少なくとも1つがアニオンを含む。
【0025】
式(J)におけるR81~R85が取りうる置換基は、後述する置換基Tで挙げた基や、重合性基が挙げられる。式(J)中のR81とR82、R83とR84、およびmが2以上の場合のR85同士は、各々独立に、互いに結合して5員、6員若しくは7員の飽和環、または5員、6員若しくは7員の不飽和環を形成していてもよい。形成する環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。形成される環が、さらに置換可能な基である場合には、R81~R85として説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
式(J)において、Zは、対アニオンを表す。対アニオンとしては、フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、シアン化物イオン、過塩素酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、SbF6
-等が挙げられ、イミドアニオン、メチドアニオンおよびボレートアニオンが好ましく、イミドアニオンおよびメチドアニオンがより好ましく、イミドアニオンが更に好ましい。イミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)イミドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。ボレートアニオンとしては、テトラアリールボレートアニオン、テトラシアノボレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどが挙げられる。対アニオンの分子量は、100~1000が好ましく、200~500がより好ましい。
【0027】
式(J)において、R
81~R
85の少なくとも1つがアニオンを含む場合、アニオンとしては、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、リン原子を含むアニオン、イミドアニオン、メチドアニオンおよびボレートアニオンが好ましく、イミドアニオン、メチドアニオンおよびボレートアニオンがより好ましく、イミドアニオンおよびメチドアニオンが更に好ましく、イミドアニオンが特に好ましい。イミドアニオンとしては、ビス(スルホニル)イミドアニオンが好ましい。メチドアニオンとしては、トリス(スルホニル)メチドアニオンが好ましい。具体的には、R
81~R
85の少なくとも1つが、下記式(AZ-1)で表される部分構造を含む基であるか、下記式(AZ-2)で表される部分構造を含む基であることが好ましく、式(AZ-1)で表される部分構造を含む基であることがより好ましい。
【化3】
【0028】
上記式中の波線は他の原子または原子団との結合手を表す。
【0029】
R
81~R
85の少なくとも1つがアニオンを含む場合、R
81~R
85の少なくとも1つが式(P-1)で置換された構造であることも好ましい。
【化4】
式(P-1)中、L
1は、単結合または2価の連結基を表し、単結合であることが好ましい。L
1が表す2価の連結基としては、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-O-、-S-、またはこれらの組み合わせからなる基等が挙げられる。L
2は、-SO
2-または-CO-を表す。Gは、炭素原子または窒素原子を表す。n1は、Gが炭素原子の場合2を表し、Gが窒素原子の場合1を表す。R
6は、フッ素原子を含むアルキル基またはフッ素原子を含むアリール基を表す。n1が2の場合、2つのR
6はそれぞれ同一でも異なっていても良い。R
6が表すフッ素原子を含むアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。R
6が表すフッ素原子を含むアリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましい。フッ素原子を含むアルキル基およびフッ素原子を含むアリール基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、置換基T群や重合性基などが挙げられる。
【0030】
また、キサンテン色素構造のカチオンAX+を有する染料としては、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット30なども挙げられる。
【0031】
トリアリールメタン色素構造のカチオンAX+を有する染料としては、下記式(TP)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【0033】
式(TP)中、Rtp1~Rtp4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Rtp5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはNRtp9Rtp10(Rtp9およびRtp10は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)を表す。Rtp6、Rtp7およびRtp8は、置換基を表す。a、bおよびcは、0~4の整数を表す。a、bおよびcが2以上の場合、Rtp6同士、Rtp7同士およびRtp8同士は、それぞれ連結して環を形成してもよい。Zは対アニオンを表す。Zが存在しない場合は、Rtp1~Rtp8の少なくとも1つがアニオンを含む。
【0034】
Rtp1~Rtp4は水素原子、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基およびフェニル基が好ましい。Rtp5は、水素原子またはNRtp9Rtp10が好ましく、NRtp9Rtp10が特に好ましい。Rtp9およびRtp10は、水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはフェニル基が好ましい。Rtp6、Rtp7およびRtp8が表す置換基は、後述する置換基T群で挙げた基や重合性基が挙げられる。
【0035】
式(TP)において、Zは対アニオンを表す。Zが存在しない場合は、Rtp1~Rtp8の少なくとも1つがアニオンを含む。対アニオンとしては、上述した式(J)で説明した対アニオンが挙げられる。また、式(TP)において、Rtp1~Rtp8の少なくとも1つがアニオンを含む場合、アニオンとしては、上述した式(J)で説明したアニオンが挙げられる。
【0036】
(置換基T群)
置換基T群として、次の基が挙げられる。アルキル基(好ましくは炭素数1~30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6~30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0~30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基、アシル基(好ましくは炭素数1~30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1~30)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~30)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1~30)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6~30)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~30)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルフィノ基、アリールスルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1~30)。これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、上述した置換基Tとして説明した基、重合性基などが挙げられる。
【0037】
重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
【0038】
染料(好ましくは染料A)は、架橋密度が高く、各種性能に優れた膜が得られやすいという理由から重合性基を有する化合物であることが好ましい。
【0039】
また、染料(好ましくは染料A)は、現像時の残渣の発生を低減しやすいという理由から色素多量体であることも好ましい。色素多量体とは、一分子中に、色素構造を2以上有する色素化合物であり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。
【0040】
色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2000~50000が好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、6000以上がさらに好ましい。上限は、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。
【0041】
色素多量体の構造としては、国際公開第2016/208524号の段落番号0047~0103に記載された色素多量体(A)~(D)が挙げられる。色素多量体としては、後述する式(A)で表される繰り返し単位を有する色素多量体および後述する式(D)で表される色素多量体であることが好ましい。以下、式(A)で表される繰り返し単位を有する色素多量体を色素多量体(A)ともいう。また、式(D)で表される色素多量体を色素多量体(D)ともいう。
【0042】
色素多量体(A)は、式(A)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。式(A)で表される繰り返し単位の割合は、色素多量体(A)を構成する全繰り返し単位の10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は、100質量%以下とすることもでき、95質量%以下とすることもできる。
【化6】
式(A)中、X
1は繰り返し単位の主鎖を表し、L
1は単結合または2価の連結基を表し、D
1は色素化合物由来の構造を表す。
【0043】
式(A)のX1が表す繰り返し単位の主鎖としては、重合反応で形成される連結基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、ビニル基またはエーテル基を有する化合物由来の主鎖であることが好ましい。連結基の具体例としては、国際公開第2016/208524号の段落番号0049に記載の(XX-1)~(XX-30)で表される連結基が挙げられる。
【0044】
L1は単結合または2価の連結基を表す。L1が表す2価の連結基としては、炭素数1~30のアルキレン基、炭素数6~30のアリーレン基、複素環基、-CH=CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCO-、-SO-、-SO2-およびこれらを2個以上連結して形成される連結基が挙げられる。ここで、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基を表す。
【0045】
アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましい。上限は、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。下限は、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、置換基T群で説明した基が挙げられる。
アリーレン基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましい。アリーレン基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、置換基T群で説明した基が挙げられる。
複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基が有するヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子が好ましい。複素環基が有するヘテロ原子の数は、1~3個が好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、置換基T群で説明した基が挙げられる。
【0046】
D1が表す色素化合物由来の構造としては、トリアリールメタン色素構造、キサンテン色素構造、アントラキノン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、サブフタロシアニン色素構造、アゾ色素構造、ピラゾロトリアゾール色素構造、ジピロメテン色素構造、イソインドリン色素構造、チアゾール色素構造、ベンズイミダゾロン色素構造、ぺリノン色素構造、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、ジインモニウム色素構造、ナフタロシアニン色素構造、リレン色素構造、ジベンゾフラノン色素構造、メロシアニン色素構造、クロコニウム色素構造およびオキソノール色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物から水素原子を1個以上除いた残基などが挙げられる。D1が表す色素化合物由来の構造としては、上記式(J)で表される化合物由来の構造または、上記式(TP)で表される化合物由来の構造であることが好ましい。
【0047】
色素多量体(A)は、式(A)で表される繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位は、重合性基や酸基等の官能基を含んでいてもよく、これらの官能基を含んでいなくてもよい。重合性基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合含有基等が挙げられる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0048】
重合性基を有する繰り返し単位の割合は、色素多量体(A)を構成する全繰り返し単位の0~50質量%であることが好ましい。下限は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。上限は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0049】
酸基を有する繰り返し単位の割合は、色素多量体(A)を構成する全繰り返し単位の0~50質量%であることが好ましい。下限は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。上限は、35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0050】
色素多量体(D)は、式(D)で表されることが好ましい。
【化7】
式(D)中、L
4は(n+k)価の連結基を表し、L
41およびL
42は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、D
4は色素化合物由来の構造を表し、P
4は置換基を表す;nは2~15を表し、kは0~13を表し、n+kは2~15である。n個のD
4は互いに異なっていても良く、同一であってもよい。kが2以上の場合、複数のP
4は互いに異なっていても良く、同一であってもよい。
【0051】
nは2~14が好ましく、2~8がより好ましく、2~7が特に好ましく、2~6が一層好ましい。kは1~13が好ましく、1~10がより好ましく、1~8がさらにより好ましく、1~7が特に好ましく、1~6が一層好ましい。
【0052】
L41、L42は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。2価の連結基は、具体的な例として、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基を挙げることができる。
【0053】
【0054】
L4が表す(n+k)価の連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれる。(n+k)価の連結基としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)を挙げることができる。
【0055】
【0056】
(n+k)価の連結基の具体例としては、国際公開第2016/208524号の段落番号0084に記載された連結基が挙げられる。
【0057】
D4が表す色素化合物由来の構造としては、トリアリールメタン色素構造、キサンテン色素構造、アントラキノン色素構造、シアニン色素構造、スクアリリウム色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、サブフタロシアニン色素構造、アゾ色素構造、ピラゾロトリアゾール色素構造、ジピロメテン色素構造、イソインドリン色素構造、チアゾール色素構造、ベンズイミダゾロン色素構造、ぺリノン色素構造、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、ジインモニウム色素構造、ナフタロシアニン色素構造、リレン色素構造、ジベンゾフラノン色素構造、メロシアニン色素構造、クロコニウム色素構造およびオキソノール色素構造から選ばれる色素構造を有する化合物から水素原子を1個以上除いた残基などが挙げられる。D4が表す色素化合物由来の構造としては、上記式(J)で表される化合物由来の構造または、上記式(TP)で表される化合物由来の構造であることが好ましい。
【0058】
P4が表す置換基としては、酸基、重合性基等が挙げられる。また、P4が表す置換基は、繰り返し単位を有する1価のポリマー鎖であってもよい。繰り返し単位を有する1価のポリマー鎖は、ビニル化合物由来の繰り返し単位を有する1価のポリマー鎖が好ましい。kが2以上の場合、k個のP4は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0059】
(顔料)
顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれでもよいが有機顔料であることが好ましい。また、顔料には、無機顔料または有機-無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機-無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。
【0060】
有機顔料としては、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、アゾメチン顔料、アゾメチン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ピロロピロール顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、トリアリールメタン顔料、キサンテン顔料、シアニン顔料、キノリン顔料、プテリジン顔料などが挙げられる。
【0061】
顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、感光性組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた画像写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
【0062】
25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gに対する顔料の溶解量は、0.01g未満であることが好ましく、0.005g未満であることがより好ましく、0.001g未満であることが更に好ましい。
【0063】
顔料としては、黄色顔料、オレンジ色顔料、赤色顔料、緑色顔料、紫色顔料、青色顔料などが挙げられる。これらの具体例としては、例えば、以下が挙げられる。
【0064】
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),236(アミノケトン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,272,279,291,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系),297(アミノケトン系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63,64(フタロシアニン系),65(フタロシアニン系),66(フタロシアニン系)等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
【0065】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物などを用いることもできる。
【0066】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載の化合物が挙げられる。
【0067】
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物、韓国公開特許第10-2014-0034963号公報に記載の化合物、特開2017-095706号公報に記載の化合物、台湾特許出願公開第201920495号公報に記載の化合物、特許第6607427号公報に記載の化合物、特開2020-033525号公報に記載の化合物、特開2020-033524号公報に記載の化合物、特開2020-033523号公報に記載の化合物、特開2020-033522号公報に記載の化合物、特開2020-033521号公報に記載の化合物、国際公開第2020/045200号に記載の化合物、国際公開第2020/045199号に記載の化合物、国際公開第2020/045197号に記載の化合物を用いることもできる。また、これらの化合物を多量体化したものも、色価向上の観点から好ましく用いられる。
【化10】
【0068】
式(QP1)中、X
1~X
16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Z
1は炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【化11】
【0069】
式(QP2)中、Y1~Y3は、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
【0070】
また、黄色顔料としては、下記構造のアゾバルビツール酸ニッケル錯体顔料を用いることもできる。
【化12】
【0071】
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つの臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号公報に記載の赤色顔料、特許第6525101号公報に記載の赤色顔料などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
【0072】
染料としてキサンテン色素構造を有する化合物(キサンテン染料)またはトリアリールメタン色素構造を有する化合物を用いた場合、併用する顔料としては、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料およびトリアリールメタン顔料から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体例としては、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Blue15:3,15:4,15:6,16などが挙げられる。
【0073】
感光性組成物の全固形分中における着色剤の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。上限は80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。
【0074】
本発明の感光性組成物が着色剤として染料を含む場合、感光性組成物の全固形分中における染料の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。上限は80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることがより一層好ましく、40質量%以下であることが特に好ましく、30質量%以下であることが最も好ましい。また、感光性組成物に含まれる着色剤中における染料の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、25質量%以上であることが特に好ましい。上限は100質量%以下とすることができ、90質量%以下とすることもでき、80質量%以下とすることもでき、70質量%以下とすることもでき、60質量%以下とすることもでき、50質量%以下とすることもできる。
【0075】
本発明の感光性組成物が着色剤として顔料を含む場合、感光性組成物の全固形分中における顔料の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以上であることがより一層好ましく、25質量%以上であることが特に好ましい。上限は100質量%以下とすることができ、90質量%以下とすることもでき、80質量%以下とすることもでき、70質量%以下とすることもでき、60質量%以下とすることもでき、50質量%以下とすることもできる。
【0076】
本発明の感光性組成物が着色剤として顔料と染料とを含む場合、顔料の含有量は、染料の100質量部に対して、10~500質量部であることが好ましい。下限は、100質量部以上であることが好ましく、130質量部以上であることがより好ましく、150質量部以上であることが更に好ましい。上限は、230質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましい。
【0077】
<<光重合開始剤B>>
本発明の感光性組成物は光重合開始剤B(以下、光重合開始剤という)を含む。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視光領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0078】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-167313号公報に記載の過酸化物系開始剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0079】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0080】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0081】
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物、特許06636081号に記載の化合物が挙げられる。
【0082】
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0083】
光重合開始剤としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0084】
光重合開始剤としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0085】
光重合開始剤としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されているOE-01~OE-75が挙げられる。
【0086】
光重合開始剤としては、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
【0087】
光重合開始剤としては、芳香族環に電子求引性基が導入された芳香族環基ArOX1を有するオキシム化合物(以下、オキシム化合物OXともいう)を用いることもできる。上記芳香族環基ArOX1が有する電子求引性基としては、アシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基が挙げられ、アシル基およびニトロ基が好ましく、耐光性に優れた膜を形成しやすいという理由からアシル基であることがより好ましく、ベンゾイル基であることが更に好ましい。ベンゾイル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルケニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アシル基またはアミノ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基またはアミノ基であることがより好ましく、アルコキシ基、アルキルスルファニル基またはアミノ基であることが更に好ましい。
【0088】
オキシム化合物OXは、式(OX1)で表される化合物および式(OX2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、式(OX2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化13】
式中、R
X1は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、ホスフィノイル基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表し、
R
X2は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基またはアミノ基を表し、
R
X3~R
X14は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す;
ただし、R
X10~R
X14のうち少なくとも一つは、電子求引性基である。
【0089】
電子求引性基としては、アシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基が挙げられ、アシル基およびニトロ基が好ましく、耐光性に優れた膜を形成しやすいという理由からアシル基であることがより好ましく、ベンゾイル基であることが更に好ましい。ベンゾイル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルケニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アシル基またはアミノ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基またはアミノ基であることがより好ましく、アルコキシ基、アルキルスルファニル基またはアミノ基であることが更に好ましい。
【0090】
上記式において、RX12が電子求引性基であり、RX10、RX11、RX13、RX14は水素原子であることが好ましい。
【0091】
オキシム化合物OXの具体例としては、特許第4600600号公報の段落番号0083~0105に記載の化合物が挙げられる。
【0092】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【0094】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0095】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、感光性組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号公報に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
【0096】
本発明の感光性組成物が光重合開始剤を含有する場合、感光性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の感光性組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0097】
<<重合性化合物C>>
本発明の感光性組成物は、重合性化合物C(以下、重合性化合物という)を含有する。重合性化合物としては、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本発明で用いられる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0098】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0099】
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落番号0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0100】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0101】
重合性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0102】
重合性化合物としては、酸基を有する重合性化合物を用いることもできる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0103】
重合性化合物としては、カプロラクトン構造を有する重合性化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0104】
重合性化合物としては、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0105】
重合性化合物としては、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0106】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0107】
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物としては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0108】
感光性組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。本発明の感光性組成物において、重合性化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0109】
<<化合物D>>
本発明の感光性組成物は、アニオンと、式量または分子量が1000以下の2価以上のカチオンとの塩であって、かつ、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における下記式(Aλ)で表される比吸光度が5以下である化合物Dを含む。
【0110】
E1=A1/(c1×l1) ・・・(Aλ)
式(Aλ)中、E1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの比吸光度を表し、
A1は、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における化合物Dの吸光度を表し、
l1は、単位がcmで表されるセル長を表し、
c1は、単位がmg/mlで表される、溶液中の化合物Dの濃度を表す。
【0111】
化合物Dの式(Aλ)で表される比吸光度は、5以下であり、3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。式(Aλ)で表される比吸光度は、化合物Dの可視域の光を吸収する度合を示す指標である。式(Aλ)で表される比吸光度が小さいほど、可視域の光の吸収性が低くなる。比吸光度の下限は、制限されない。比吸光度の下限を設ける場合、式(Aλ)で表される比吸光度は、0.001以上の範囲で決定すればよい。
【0112】
式(Aλ)において「A1」で表される吸光度は、以下の方法によって測定する。化合物D、及び化合物Dが十分に溶解する溶剤を用いて測定試料を調製する。化合物Dがメタノールに対して十分な溶解性を有する場合、溶剤としてメタノールを用いる。化合物Dがメタノールに対して十分な溶解性を有しない場合、溶剤として、シクロヘキサノンを用いる。25℃(室温)での上記測定試料の吸光度を、光路長が1cmのセルを用いて測定する。
【0113】
化合物Dの分子量は、200~5000が好ましい。上限は、3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1500以下であることが更に好ましい。下限は、250以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。
【0114】
25℃のメタノール100gに対する化合物Dの溶解量は0.1g以上であることが好ましく、0.5g以上であることがより好ましく、1g以上であることが更に好ましい。
【0115】
25℃のシクロヘキサノン100gに対する化合物Dの溶解量は0.1g以上であることが好ましく、0.5g以上であることがより好ましく、1g以上であることが更に好ましい。
【0116】
(カチオン)
化合物Dにおけるカチオンの価数は2価以上であり、2価、3価または4価であることが好ましく、欠けのより抑制された画素を形成できるという理由から2価または3価であることがより好ましい。
【0117】
化合物Dにおけるカチオンの式量または分子量は1000以下であり、24~1000であることが好ましく、欠けのより抑制された画素を形成できるという理由から、24~300であることがより好ましく、24~150であることがさらに好ましい。
【0118】
化合物Dにおけるカチオンの種類としては、(1)2価以上の金属カチオン、(2)カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンおよびスルホニウムカチオンから選ばれるカチオンを1分子中に2個以上有する2価以上のカチオンなどが挙げられる。なかでも、欠けのより抑制された画素を形成できるという理由から2価以上の金属カチオンであることが好ましい。
【0119】
2価以上の金属カチオンは、第3周期元素、第4周期元素、第5周期元素、第6周期元素、第7周期元素および希土類元素から選ばれる元素のカチオンであることが好ましく、第3周期元素、第4周期元素、第5周期元素および希土類元素から選ばれる元素のカチオンであることがより好ましい。具体的には、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、バナジウムカチオン、クロムカチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、イットリウムカチオン、ジルコニウムカチオン、ルテニウムカチオン、ロジウムカチオン、パラジウムカチオン、インジウムカチオン、スズカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、タンタルカチオン、レニウムカチオン、イリジウムカチオン、白金カチオン、または、希土類元素のカチオンであることが好ましく、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、バナジウムカチオン、クロムカチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、ラジウムカチオン、または、希土類元素のカチオンであることがより好ましく、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、バナジウムカチオン、クロムカチオン、マンガンカチオン、鉄カチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、ラジウムカチオン、ランタンカチオン、セリウムカチオン、プラセオジウムカチオン、ネオジムカチオン、サマリウムカチオン、ユウロピウムカチオン、ガドリニウムカチオン、テルビウムカチオン、ツリウムカチオン、イッテルビウムカチオンまたはルテチウムカチオンであることが更に好ましく、マグネシウムカチオン、アルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、スカンジウムカチオン、チタンカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ガリウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン、ハフニウムカチオン、ランタンカチオン、セリウムカチオン、ネオジムカチオン、サマリウムカチオン、ユウロピウムカチオンまたはガドリニウムカチオンであることが特に好ましく、イオン半径が小さく重合性化合物Cなどの膜形成成分と相互作用させやすいという理由からマグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、銅カチオン、亜鉛カチオン、ストロンチウムカチオン、ランタンカチオン、セリウムカチオンまたはネオジムカチオンであることが最も好ましい。
【0120】
金属カチオン以外の2価以上のカチオンとしては、以下に示す構造のカチオンなどが挙げられる。
【化16】
【0121】
(アニオン)
化合物Dにおけるアニオンの価数は、1~4価以上であることが好ましく、1価または2価であることがより好ましく、カチオンの膜形成成分との相互作用を阻害しにくくでき、欠けのより抑制された画素を形成できるという理由から1価であることが更に好ましい。
【0122】
化合物Dにおけるアニオンとしては、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、リン原子を含むアニオン、スルホン酸アニオン、硫酸アニオンなどが挙げられ、イミドアニオン、メチドアニオンおよびボレートアニオンであることが好ましく、イミドアニオンおよびメチドアニオンであることがより好ましく、イミドアニオンであることが更に好ましい。また、アニオンは、フッ素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1種を含むアニオンであることが好ましく、フッ素原子と硫黄原子をそれぞれ含むアニオンであることがより好ましい。フッ素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1種を含むアニオンとしては、フッ素原子を有するスルホン酸アニオン、硫酸アニオン、スルホンイミドアニオン、および、スルホンメチドアニオンであることが好ましく、スルホンイミドアニオンであることがより好ましく、フルオロアルキルスルホンイミドアニオンであることが更に好ましい。
【0123】
化合物Dにおけるアニオンの共役酸のpKaは、0以下であることが好ましく、-5以下であることがより好ましく、-8以下であることが更に好ましく、-10以下であることがより一層好ましく、-10.5以下であることが特に好ましい。下限は、特に限定はないが、-20以上とすることができ、-18以上とすることもできる。化合物Dにおけるアニオンの共役酸のpKaが0以下であれば、化合物Dにおけるアニオンが着色剤と相互作用して加熱による着色剤の分解などをより抑制でき、加熱による分光特性の変動がより抑制された膜を形成することができる。共役酸のpKaは、例えば、J.Org.Chem.2011,76,391-395に記載の方法により測定することができる。
【0124】
化合物Dにおけるアニオンの分子量は、80~1500であることが好ましく、150~1250であることがより好ましく、200~1000であることが更に好ましい。
【0125】
化合物Dにおけるアニオンとしては、式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-3)で表されるアニオン、式(BZ-4)で表されるアニオン、式(BZ-5)で表されるアニオンおよび硫酸アニオンが挙げられ、式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-3)で表されるアニオン、式(BZ-4)で表されるアニオンおよび硫酸アニオンであることが好ましく、式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-4)で表されるアニオンおよび硫酸アニオンであることがより好ましく、式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオン、式(BZ-4)で表されるアニオンおよび硫酸アニオンであることが更に好ましく、式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオンであることが特に好ましい。式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオンはイミドアニオンであり、式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオンはメチドアニオンであり、式(BZ-3)で表されるアニオンはボレートアニオンであり、式(BZ-4)で表されるアニオンはスルホン酸アニオンであり、式(BZ-5)で表されるアニオンはリン原子を含むアニオンである。
【化17】
式(BZ-1)中、R
111およびR
112は、それぞれ独立して-SO
2-または-CO-を表す;
式(BZ-2)中、R
113は、-SO
2-または-CO-を表し、R
114およびR
115は、それぞれ独立して-SO
2-、-CO-またはシアノ基を表す;
式(BZ-3)中、R
116~R
119は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシアノ基を表す。
式(BZ-4)中、R
120は、窒素原子または酸素原子を有する連結基により連結されていても良いハロゲン化炭化水素基を表す。
式(BZ-5)中、R
121~R
126は、それぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表す。
【0126】
式(BZ-1)において、R111およびR112の少なくとも一方が-SO2-を表すことが好ましく、R111およびR112の両方が-SO2-を表すことがより好ましい。
【0127】
式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオンは、R111およびR112の少なくとも一方の末端に、ハロゲン原子、または、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基(ハロアルキル基)を有することが好ましく、フッ素原子、または、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(フルオロアルキル基)を有することがより好ましい。フルオロアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
【0128】
式(BZ-2)において、R113~R115の少なくとも一つが-SO2-を表すことが好ましく、R113~R115の少なくとも2つが-SO2-を表すことがより好ましく、R113~R115の全てが-SO2-を表すか、R113およびR115が-SO2-を表し、かつ、R114が-CO-を表すか、R114およびR115が-SO2-を表し、かつ、R113が-CO-を表すことが更に好ましく、R113~R115の全てが-SO2-を表すことが特に好ましい。
【0129】
式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオンは、R113~R115の少なくとも一方の末端に、ハロゲン原子、または、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基(ハロアルキル基)を有することが好ましく、フッ素原子、または、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(フルオロアルキル基)を有することがより好ましい。特に、R113~R115の少なくとも2つの末端に、ハロゲン原子、または、ハロアルキル基を有することが好ましく、フッ素原子、または、フルオロアルキル基を有することがより好ましい。フルオロアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
【0130】
式(BZ-3)中、R116~R119は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシアノ基を表す。アルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基を有する場合は、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、フッ素原子またはフッ素原子で置換されたアルキル基がより好ましい。式(BZ-3)において、R116~R119の少なくとも一つが、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有するアリール基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基を置換基として有するアリール基を表すことが好ましく、R116~R119のすべてがシアノ基、または、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を置換基として有するアリール基を表すことがより好ましい。
【0131】
式(BZ-4)中、R120は、窒素原子または酸素原子を有する連結基により連結されていても良いハロゲン化炭化水素基を表す。ハロゲン化炭化水素基とは、ハロゲン原子で置換された1価の炭化水素基を指し、フッ素原子で置換された1価の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられる。ハロゲン原子で置換された1価の炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。窒素原子または酸素原子を有する連結基としては、-O-、―CO-、-COO-、-CO-NH-などが挙げられる。R120は、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(フルオロアルキル基)であることが好ましい。フルオロアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0132】
式(BZ-5)中、R121~R126は、それぞれ独立してハロゲン原子またはハロゲン化炭化水素基を表す。R121~R126が表すハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有するアルキル基であることがより好ましい。フルオロアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0133】
上述した式(BZ-1)で表される部分構造を有するアニオンは、式(BZ1-1)で表されるアニオンであることが好ましい。また、上述した式(BZ-2)で表される部分構造を有するアニオンは、式(BZ2-1)で表されるアニオンであることが好ましい。
【化18】
式(BZ1-1)中、R
211およびR
212は、それぞれ独立してハロゲン原子またはアルキル基を表し、R
211およびR
212がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R
211とR
212は、結合して環を形成していてもよい;
式(BZ2-1)中、R
213~R
215は、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはアルキル基を表し、R
213およびR
214がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R
213とR
214は、結合して環を形成していてもよく、R
214およびR
215がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R
214とR
215は、結合して環を形成していてもよく、R
213およびR
215がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R
213とR
215は、結合して環を形成していてもよい;
【0134】
式(BZ1-1)において、R211およびR212は、それぞれ独立してハロゲン原子またはアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、ハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状が挙げられ、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。アルキル基は、ハロゲン原子を置換として有するアルキル基であることが好ましく、フッ素原子を置換基として有するアルキル基(フルオロアルキル基)であることがより好ましい。また、フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基が好ましい。式(BZ1-1)において、R211およびR212がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R211とR212は結合して環を形成していてもよい。
【0135】
式(BZ2-1)において、R213~R215は、それぞれ独立してハロゲン原子またはアルキル基を表す。ハロゲン原子およびアルキル基は、式(BZ1-1)で説明した範囲と同様であり、好ましい範囲も同様である。式(BZ2-1)において、R213およびR214がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R213とR214は結合して環を形成していてもよい。また、R214およびR215がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R214とR215は結合して環を形成していてもよい。また、R213およびR215がそれぞれ独立してアルキル基を表す場合、R213とR215は結合して環を形成していてもよい。
【0136】
化合物Dのアニオンは、アニオンの安定性が高く、電離がしやすいという理由から式(1)又は式(2)で表されるアニオンであることが好ましく、式(1)で表されるアニオンであることがより好ましい。
【化19】
式中、n、mおよびpはそれぞれ独立に1以上の整数である。
【0137】
式(1)のnおよびmは、それぞれ独立に1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。
式(2)のpは、1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。
【0138】
化合物Dのアニオンの具体例としては、以下に示す構造のアニオンが挙げられる。
【化20】
【化21】
【0139】
また、(CF
3)
3PF
3
-、(C
2F
5)
2PF
4
-、(C
2F
5)
3PF
3
-、[(CF
3)
2CF]
2PF
4
-、[(CF
3)
2CF]
3PF
3、(n-C
3F
7)
2PF
4
-、(n-C
3F
7)
3PF
3
-、(n-C
4F
9)
3PF
3
-、(C
2F
5)(CF
3)
2PF
3
-、[(CF
3)
2CFCF
2]
2PF
4
-、[(CF
3)
2CFCF
2]
3PF
3、(n-C
4F
9)
2PF
4
-、(n-C
4F
9)
3PF
3
-、(C
2F
4H)(CF
3)
2PF
3
-、(C
2F
3H
2)
3PF
3
-、(C
2F
5)(CF
3)
2PF
3
-、(CF
3)
4B
-、(CF
3)
3BF
-、(CF
3)
2BF
2
-、(CF
3)BF
3
-、(C
2F
5)
4B
-、(C
2F
5)
3BF
-、(C
2F
5)BF
3
-、(C
2F
5)
2BF
2
-、(CF
3)(C
2F
5)
2BF
-、(CF
3C
6H
4)
4B
-、(C
6F
5)
2BF
2
-、(C
6F
5)BF
3
-、(C
6H
3F
2)
4B
-、B(CN)F
3
-、B(CN)
2F
2
-、B(CN)
3F
-、(CF
3)
3B(CN)
-、(CF
3)
2B(CN)
2
-、(C
2F
5)
3B(CN)
-、(C
2F
5)
2B(CN)
2
-、(n-C
3F
7)
3B(CN)
-、(n-C
4F
9)
3B(CN)
-、(n-C
4F
9)
2B(CN)
2
-、(n-C
6F
13)
3B(CN)
-、(CHF
2)
3B(CN)
-、(CHF
2)
2B(CN)
2
-、(CH
2CF
3)
3B(CN)
-、(CH
2CF
3)
2B(CN)
2
-、(CH
2C
2F
5)
3B(CN)
-、(CH
2C
2F
5)
2B(CN)
2
-、(CH
2CH
2C
3F
7)
2B(CN)
2
-、(n-C
3F
7CH
2)
2B(CN)
2
-、(C
6H
5)
3B(CN)
-、および下記構造のアニオンも、具体例として挙げられる。
【化22】
【化23】
【化24】
【0140】
感光性組成物の全固形分中における化合物Dの含有量は、0.1~15質量%であることが好ましい。上限は12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。下限は0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。感光性組成物の全固形分中における化合物Dの含有量は、1~5質量%であることが特に好ましい。
【0141】
化合物Dの含有量は、着色剤Aの1モルに対して0.01~4.00モルであることが好ましく、0.05~3.00モルであることがより好ましく、0.10~2.00モルであることが更に好ましい。着色剤Aに対する化合物Dのモル比が上記範囲であれば、欠けのより抑制された画素を形成できる。また、化合物Dの含有量は、着色剤Aの100質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、2~8質量部であることが更に好ましい。着色剤Aに対する化合物Dの質量比が上記範囲であれば、欠けのより抑制された画素を形成できる。
【0142】
化合物Dの含有量は、重合性化合物Cの100質量部に対して0.6~60質量部であることが好ましく、6~43質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることが更に好ましい。重合性化合物Cに対する化合物Dの質量比が上記範囲であれば、欠けのより抑制された画素を形成できる。
【0143】
<<樹脂>>
本発明の感光性組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を感光性組成物中で分散させる用途やバインダの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0144】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、4000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0145】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、特開2017-206689号公報の段落番号0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落番号0022~0071に記載の樹脂、特開2017-057265号公報に記載の樹脂、特開2017-032685号公報に記載の樹脂、特開2017-075248号公報に記載の樹脂、特開2017-066240号公報に記載の樹脂を用いることもできる。
【0146】
本発明の感光性組成物は、酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることができる。酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。また、樹脂への酸基の導入方法としては、特に制限はないが、例えば、特許第6349629号公報に記載の方法が挙げられる。更に、樹脂への酸基の導入方法としては、エポキシ基の開環反応で生じたヒドロキシ基に酸無水物を反応させて酸基を導入する方法も挙げられる。
【0147】
酸基を有する樹脂が有する酸基の種類としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基であることが好ましい。
【0148】
酸基を有する樹脂の酸価は、30~500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、400mgKOH/g以下が好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000~100000が好ましい。また、酸基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、1000~20000が好ましい。
【0149】
本発明の感光性組成物は、塩基性基を有する樹脂を含むことも好ましい。塩基性基を有する樹脂は、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と塩基性基を含まない繰り返し単位とを有する共重合体であることがより好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と、塩基性基を含まない繰り返し単位とを有するブロック共重合体であることが更に好ましい。塩基性基を有する樹脂は分散剤として用いることもできる。塩基性基を有する樹脂のアミン価は、5~300mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、200mgKOH/g以下が好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましい。塩基性基を有する樹脂に含まれる塩基性基としては、下記式(a-1)で表される基、下記式(a-2)で表される基などが挙げられる。
【化25】
【0150】
式(a-1)中、Ra1およびRa2は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、Ra1とRa2とは結合して環を形成していてもよい;
式(a-2)中、Ra11は、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基またはオキシラジカルを表し、Ra12~Ra19は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0151】
Ra1、Ra2、Ra11~Ra19が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0152】
Ra1、Ra2、Ra11~Ra19が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
【0153】
Ra11が表すアルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5が特に好ましい。アルコキシ基は置換基を有していてもよい。
【0154】
Ra11が表すアリールオキシ基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。アリールオキシ基は置換基を有していてもよい。
【0155】
Ra11が表すアシル基の炭素数は、2~30が好ましく、2~20がより好ましく、2~12が更に好ましい。アシル基は置換基を有していてもよい。
【0156】
塩基性基を有する樹脂の市販品としては、DISPERBYK-161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2001、2050、2150、2163、2164、BYK-LPN6919(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、SOLSPERSE11200、13240、13650、13940、24000、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500、38500、39000、53095、56000、7100(以上、日本ルーブリゾール社製)、Efka PX 4300、4330、4046、4060、4080(以上、BASF社製)等が挙げられる。また、塩基性基を有する樹脂は、特開2014-219665号公報の段落番号0063~0112に記載されたブロック共重合体(B)、特開2018-156021号公報の段落番号0046~0076に記載されたブロック共重合体A1を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0157】
本発明の感光性組成物は、酸基を有する樹脂と塩基性基を有する樹脂とをそれぞれ含むことも好ましい。この態様によれば、感光性組成物の保存安定性をより向上できる。酸基を有する樹脂と塩基性基を有する樹脂とを併用する場合、塩基性基を有する樹脂の含有量は、酸基を有する樹脂の100質量部に対して20~500質量部であることが好ましく、30~300質量部であることがより好ましく、50~200質量部であることが更に好ましい。
【0158】
樹脂としては、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)由来の繰り返し単位を含む樹脂を用いることも好ましい。
【0159】
【0160】
式(ED1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化27】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010-168539号公報の記載を参酌できる。
【0161】
エーテルダイマーの具体例については、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0162】
樹脂としては、重合性基を有する繰り返し単位を含む樹脂を用いることも好ましい。
【0163】
樹脂としては、式(X)で表される化合物由来の繰り返し単位を含む樹脂を用いることも好ましい。
【化28】
式中、R
1は水素原子またはメチル基を表し、R
21およびR
22はそれぞれ独立してアルキレン基を表し、nは0~15の整数を表す。R
21およびR
22が表すアルキレン基の炭素数は1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1~3であることが更に好ましく、2または3であることが特に好ましい。nは0~15の整数を表し、0~5の整数であることが好ましく、0~4の整数であることがより好ましく、0~3の整数であることが更に好ましい。
【0164】
式(X)で表される化合物としては、パラクミルフェノールのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。市販品としては、アロニックスM-110(東亞合成(株)製)などが挙げられる。
【0165】
樹脂としては、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(以下、樹脂Acともいう)を用いることも好ましい。樹脂Acにおいて、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。なお、本明細書において、芳香族カルボキシル基とは、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基のことである。芳香族カルボキシル基において、芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~2個であることがより好ましい。
【0166】
樹脂Acは、式(Ac-1)で表される繰り返し単位および式(Ac-2)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。式(Ac-2)で表される繰り返し単位を含む樹脂はグラフト樹脂である。
【化29】
式(Ac-1)中、Ar
1は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L
1は、-COO-または-CONH-を表し、L
2は、2価の連結基を表す。
式(Ac-2)中、Ar
10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L
11は、-COO-または-CONH-を表し、L
12は3価の連結基を表し、P
10はポリマー鎖を表す。
【0167】
式(Ac-1)においてAr
1が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化30】
【0168】
上記式中、Q
1は、単結合、-O-、-CO-、-COOCH
2CH
2OCO-、-SO
2-、-C(CF
3)
2-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
【化31】
【0169】
Ar
1が表す芳香族カルボキシル基を含む基は、重合性基を有していてもよい。重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基および環状エーテル基が挙げられ、エチレン性不飽和結合含有基であることが好ましい。Ar
1が表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-11)で表される基、式(Ar-12)で表される基、式(Ar-13)で表される基などが挙げられる。
【化32】
【0170】
式(Ar-11)中、n1は1~4の整数を表し、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-12)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-13)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-13)中、Q1は、単結合、-O-、-CO-、-COOCH2CH2OCO-、-SO2-、-C(CF3)2-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
式(Ar-11)~(Ar-13)中、*1はL1との結合位置を表す。
【0171】
式(Ac-1)においてL1は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0172】
式(Ac-1)においてL2が表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。L2が表す2価の連結基は、-L2a-O-で表される基であることが好ましい。L2aは、アルキレン基;アリーレン基;アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基;アルキレン基およびアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基およびアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0173】
式(Ac-2)においてAr10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、式(Ac-1)のAr1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0174】
式(Ac-2)においてL11は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0175】
式(Ac-2)においてL
12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。L
12が表す3価の連結基は、式(L12-1)で表される基であることが好ましく、式(L12-2)で表される基であることがより好ましい。
【化33】
【0176】
式(L12-1)中、L12bは3価の連結基を表し、X1はSを表し、*1は式(Ac-2)のL11との結合位置を表し、*2は式(Ac-2)のP10との結合位置を表す。L12bが表す3価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられ、炭化水素基または炭化水素基と-O-とを組み合わせた基であることが好ましい。
【0177】
式(L12-2)中、L12cは3価の連結基を表し、X1はSを表し、*1は式(Ac-2)のL11との結合位置を表し、*2は式(Ac-2)のP10との結合位置を表す。L12cが表す3価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられ、炭化水素基であることが好ましい。
【0178】
式(Ac-2)においてP10はポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位およびポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20000が好ましい。下限は1000以上が好ましい。上限は10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。芳香族カルボキシル基を有する樹脂が式(Ac-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂である場合は、この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0179】
P10が表すポリマー鎖は、重合性基を含んでいてもよい。重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基および環状エーテル基が挙げられ、エチレン性不飽和結合含有基であることが好ましい。
【0180】
式(Ac-2)において、P
10が表すポリマー鎖は、下記式(P-1)~(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることが好ましく、(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることがより好ましい。
【化34】
【0181】
上記式において、RP1およびRP2は、それぞれアルキレン基を表す。RP1およびRP2で表されるアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、RP3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、LP1は、単結合またはアリーレン基を表し、LP2は、単結合または2価の連結基を表す。LP1は、単結合であることが好ましい。LP2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
RP4は、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基等が挙げられる。なお、本明細書におけるブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。ブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。ブロック剤については、特開2017-067930号公報の段落0115~0117に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、ブロックイソシアネート基は、90℃~260℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
【0182】
P10が表すポリマー鎖は、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基及びt-ブチル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(以下、「官能基A」ともいう。)を有することが好ましい。官能基Aは(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基及びブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ポリマー鎖が官能基Aを含む場合は、耐溶剤性に優れた膜を形成しやすい。特に、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基及びブロックイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の基を含む場合は上記の効果が顕著である。
【0183】
また、P10が表すポリマー鎖は、側鎖に上記官能基Aを含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることがより好ましい。また、P10を構成する全繰り返し単位中における上記官能基Aを側鎖に含む繰り返し単位の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0184】
また、P10が表すポリマー鎖は、酸基を含む繰り返し単位を有することも好ましい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。P10を構成する全繰り返し単位中における酸基を含む繰り返し単位の割合は、1~30質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0185】
樹脂は、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。
【0186】
酸性分散剤(酸性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上である樹脂が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましい。上限は150mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることが更に好ましい。下限は10mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
【0187】
塩基性分散剤(塩基性樹脂)としては、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が60モル%以上である樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基が好ましい。塩基性分散剤(塩基性樹脂)のアミン価は5~100mgKOH/gが好ましい。上限は80mgKOH/g以下であることが好ましく、60mgKOH/g以下であることがより好ましく、45mgKOH/g以下であることが更に好ましい。下限は10mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
【0188】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト樹脂としては、上述した式(Ac-2)で表される繰り返し単位を含む樹脂を用いることも好ましい。
【0189】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子は、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2009-203462号公報の段落番号0022~0097、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0190】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えば、デンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0191】
分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。また、分散剤は、特開2018-087939号公報に記載された樹脂を用いることもできる。
【0192】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYKシリーズ、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSEシリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリーズ等が挙げられる。また、特開2012-137564号公報の段落番号0129に記載された製品、特開2017-194662号公報の段落番号0235に記載された製品を分散剤として用いることもできる。
【0193】
また、分散剤として用いる樹脂は、特許第6432077号公報の段落番号0219~0221に記載されたブロック共重合体(EB-1)~(EB-9)を用いることもできる。
【0194】
感光性組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、着色組成物の全固形分中における酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有量は、5~50質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、樹脂全量中における酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)の含有量は、優れた現像性が得られやすいという理由から30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、95質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。本発明の感光性組成物は、樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。樹脂を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0195】
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本発明の感光性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することが好ましい。環状エーテル基を有する化合物は例えば熱硬化剤として用いることができる。感光性組成物が環状エーテル基を有する化合物を含有することで、より強固な膜を形成することができ、現像時の欠けの発生をより効果的に抑制することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1~100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0196】
環状エーテル基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。環状エーテル基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
【0197】
環状エーテル基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310~3300g/eqであることが好ましく、310~1700g/eqであることがより好ましく、310~1000g/eqであることが更に好ましい。
また、環状エーテル基を有する化合物としては、上述した樹脂の項で説明した樹脂のうち、環状エーテル基を有する樹脂を用いることもできる。
【0198】
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
【0199】
感光性組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1~20質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。本発明の感光性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。環状エーテル基を有する化合物を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0200】
<<顔料誘導体>>
本発明の感光性組成物は、顔料誘導体を含有することができる。本発明の感光性組成物が顔料を含む場合は、本発明の感光性組成物は顔料誘導体を含むことが好ましい。顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基または塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アンスラキノン骨格、キナクリドン骨格、ジオキサジン骨格、ペリノン骨格、ペリレン骨格、チオインジゴ骨格、イソインドリン骨格、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、スレン骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、キノフタロン骨格、イソインドリン骨格およびフタロシアニン骨格が好ましく、アゾ骨格およびベンゾイミダゾロン骨格がより好ましい。酸基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li+、Na+、K+など)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基およびその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
【0201】
顔料誘導体としては、可視透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を用いることもできる。透明顔料誘導体の400~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがさらに好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
【0202】
顔料誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報、特開2019-109512号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0203】
本発明の感光性組成物が顔料誘導体を含有する場合、感光性組成物の全固形分中における顔料誘導体の含有量は0.3~20質量%であることが好ましい。下限は0.6質量%以上であることが好ましく、0.9質量%以上であることがより好ましい。上限は15質量%以下であることが好ましく、12.5質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。また、顔料誘導体の含有量は顔料100質量部に対して1~30質量部であることが好ましい。下限は2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましい。上限は、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。本発明の感光性組成物において、顔料誘導体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
【0204】
<<シランカップリング剤>>
本発明の感光性組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本明細書において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。また、シランカップリング剤の具体例については、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0205】
本発明の感光性組成物がシランカップリング剤を含有する場合、感光性組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は0.1~5質量%が好ましい。上限は3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。本発明の感光性組成物において、シランカップリング剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0206】
<<溶剤>>
本発明の感光性組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、プロピレングリコールジアセテート、3-メトキシブタノールなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0207】
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0208】
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0209】
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0210】
本発明において、有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0211】
感光性組成物中における有機溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0212】
また、本発明の感光性組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、感光性組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の感光性組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として感光性組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した感光性組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0213】
<<重合禁止剤>>
本発明の感光性組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。感光性組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0214】
<<界面活性剤>>
本発明の感光性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0215】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。感光性組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0216】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性組成物中における溶解性も良好である。
【0217】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤、特開2020-008634号公報に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F(以上、株)NEOS製)等が挙げられる。
【0218】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0219】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0220】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化35】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0221】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0222】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬工業製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0223】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0224】
感光性組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。本発明の感光性組成物において、界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0225】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。感光性組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明の感光性組成物において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0226】
<<酸化防止剤>>
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載された化合物を使用することもできる。感光性組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。本発明の感光性組成物において、酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0227】
<<その他成分>>
本発明の感光性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.Pigment Yellow129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0228】
本発明の感光性組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが最も好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0229】
本発明の感光性組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0230】
本発明の感光性組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果が得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の感光性組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。感光性組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0231】
本発明の感光性組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、テレフタル酸エステルの含有量が、感光性組成物の全量中、1000質量ppb以下であることを意味し、100質量ppb以下であることがより好ましく、ゼロであることが特に好ましい。
【0232】
環境規制の観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用が規制されることがある。本発明の感光性組成物において、上記した化合物の含有率を小さくする場合、パーフルオロアルキルスルホン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルスルホン酸)及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルカルボン酸)及びその塩の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01ppb~1000ppbの範囲であることが好ましく、0.05ppb~500ppbの範囲であることがより好ましく、0.1ppb~300ppbの範囲であることが更に好ましい。本発明の感光性組成物は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まなくてもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩の代替となりうる化合物、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の代替となりうる化合物を用いることで、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まない感光性組成物を選択してもよい。規制化合物の代替となりうる化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基の炭素数の違いによって規制対象から除外された化合物が挙げられる。ただし、上記した内容は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用を妨げるものではない。本発明の感光性組成物は、許容される最大の範囲内で、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を含んでもよい。
【0233】
本発明の感光性組成物の含水率は、通常3質量%以下であり、0.01~1.5質量%が好ましく、0.1~1.0質量%の範囲であることがより好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0234】
本発明の感光性組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、23℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業製 粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1200mPa・s)を使用し、23℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0235】
本発明の感光性組成物を液晶表示装置用途のカラーフィルタとして用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸性官能基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0236】
<収容容器>
本発明の感光性組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や感光性組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、感光性組成物の内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
【0237】
<感光性組成物の調製方法>
本発明の感光性組成物は、前述の成分を混合して調製できる。感光性組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して感光性組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して感光性組成物を調製してもよい。
【0238】
また、感光性組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことも好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全集、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0239】
感光性組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、感光性組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0240】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NXEY、DFA4201NAEY、DFA4201J006Pなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0241】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0242】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0243】
<膜>
本発明の膜は、上述した本発明の感光性組成物から得られる膜である。本発明の膜は、カラーフィルタなどに用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素などが挙げられる。本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0244】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の膜を有する。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本発明の膜を有する。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0245】
本発明のカラーフィルタにおいて本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0246】
カラーフィルタに含まれる画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率は0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0247】
カラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は109Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0248】
カラーフィルタにおいては、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al2O3、Mo、SiO2、Si2N4などが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiO2と、Si2N4を含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0249】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
【0250】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0251】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0252】
カラーフィルタは、下地層を有していてもよい。下地層は、例えば、述した本発明の感光性組成物から着色剤を除いた組成物などを用いて形成することもできる。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好まい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。下地層の表面接触角が上記範囲であれば、樹脂組成物の塗れ性が良好である。下地層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
【0253】
また、カラーフィルタの緑色画素は、C.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Green36とC.I.Pigment Yellow139とC.I.Pigment Yellow185との組み合わせで緑色が形成されていてもよく、C.I.Pigment Green58とC.I.Pigment Yellow150とC.I.Pigment Yellow185との組み合わせで緑色が形成されていてもよい。
【0254】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、本発明の感光性組成物を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。カラーフィルタの製造方法は、上述した本発明の感光性組成物を用いて支持体上に感光性組成物層を形成する工程と、感光性組成物層をパターン状に露光する工程と、感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、感光性組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0255】
感光性組成物層を形成する工程では、本発明の感光性組成物を用いて、支持体上に感光性組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下地層が設けられていてもよい。下地層は、本明細書に記載の感光性組成物から着色剤を除いた組成物や、本明細書記載の樹脂、重合性化合物、界面活性剤などを含む組成物などを用いて形成してもよい。
【0256】
感光性組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、感光性組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0257】
支持体上に形成した感光性組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0258】
次に、感光性組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、感光性組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0259】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0260】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。
【0261】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cm2が好ましく、0.05~1.0J/cm2がより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2~100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、または、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0262】
次に、感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。感光性組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の感光性組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の素子や回路などにダメージを起さない有機アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0263】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の感光性組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の感光性組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0264】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0265】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0266】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0267】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例】
【0268】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0269】
<顔料分散液の調製>
下記の表に記載の原料を混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液を製造した。
【表1】
【0270】
上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
(顔料)
Pg-1 : C.I.Pigment Blue15:6
Pg-2 : C.I.Pigment Red254
Pg-3 : C.I.Pigment Yellow139
Pg-4 : C.I.Pigment Yellow150
Pg-5 : C.I.Pigment Violet23
【0271】
(分散剤)
Dp-1:DISPERBYK-161(BYKChemie社製)
Dp-2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比である。重量平均分子量11000、酸価197mgKOH/g)
【化36】
Dp-3~Dp-6:下記構造の樹脂(Dp-3の重量平均分子量は12000で、酸価は46.8mgKOH/gである。Dp-4の重量平均分子量は14000で、酸価は31mgKOH/gである。Dp-5の重量平均分子量は10000で、酸価は56mgKOH/gである。Dp-6の重量平均分子量は9000で、酸価は71mgKOH/gである。)
【化37】
【0272】
(溶剤)
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0273】
<感光性組成物の調製>
下記表に記載の原料と、重合禁止剤(p-メトキシフェノール)の0.0007質量部と、フッ素系界面活性剤(DIC(株)製、メガファックF475、1%PGMEA溶液)の2.50質量部と、溶剤としてシクロヘキサノンを混合して固形分濃度10.3質量%の感光性組成物を得た。なお、感光性組成物の固形分濃度はシクロヘキサノンの配合量にて調製した。
【0274】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0275】
上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
【0276】
(染料溶液)
A-1:下記構造の染料(キサンテン色素構造を有するマゼンタ色染料、重量平均分子量7000)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)。以下の構造式中、nは3であり、mは3である。
【化38】
【0277】
A-2:下記構造の染料(キサンテン色素構造を有するマゼンタ色染料、分子量704.24)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化39】
【0278】
A-3:下記構造の染料(キサンテン色素構造を有するマゼンタ色染料、重量平均分子量10000)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化40】
【0279】
A-4:下記構造の染料(キサンテン色素構造を有するマゼンタ色染料、重量平均分子量1115.28)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化41】
【0280】
A-5:下記構造の染料(トリアリールメタン色素構造を有する染料、重量平均分子量1165.32)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化42】
【0281】
A-6:下記構造の染料(シアニン色素構造を有するシアン色染料、重量平均分子量774.97)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化43】
【0282】
A-7:下記構造の染料(スクアリリウム色素構造を有するシアン色染料、重量平均分子量410.52)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【化44】
【0283】
A-8:C.I.アシッドレッド289(キサンテン色素構造を有するマゼンタ色染料、分子量676.73、)のシクロヘキサノン溶液(固形分12.3質量%)
【0284】
(顔料分散液)
分散液1~9:上述した分散液1~9
【0285】
(光重合開始剤)
I-2:Irgacure OXE02(BASF社製)
I-3~I-6:下記構造の化合物
【化45】
【0286】
(重合性化合物)
M-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(NKエステル A-DPH-12E、新中村化学工業(株)製)
M-2:下記構造の化合物
【化46】
M-3:下記構造の化合物
【化47】
M-4:下記構造の化合物
【化48】
【0287】
(特定化合物)
上記表に記載の種類のアニオンとカチオンとの塩。なお、各特定化合物をメタノールに溶解させて測定用の溶液を調製し、これらの溶液の25℃での吸光度を、光路長1cmのセルを用いて測定したところ、波長400~700nmの範囲での最大吸収波長における上記式(A
λ)で表される比吸光度は、いずれも5以下であった。また、25℃のシクロヘキサノン100gに対する各特定化合物の溶解量はいずれも0.1g以上であった。カチオンE101の構造、および、アニオンAN1、AN2、AN7、AN11、AN15、AN18、AN21、AN22、AN23、AN24、AN25、AN26、AN27、AN28、AN29、AN30、AN31、AN32、AN37、AN39の構造をそれぞれ以下に示す。なお、これらのアニオンの共役酸のpKaはいずれも0以下である。
【化49】
【化50】
【0288】
(樹脂)
P-1:下記構造の樹脂の30質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比である。重量平均分子量11000、酸基を含む樹脂)
【化51】
【0289】
P-2:下記構造の樹脂の40質量%PGMEA溶液(主鎖に付記した数値は繰り返し単位のモル比である。重量平均分子量11000、酸基を含む樹脂)
【化52】
【0290】
(熱硬化剤)
T-1:下記構造の化合物
T-2:下記構造の化合物
T-3:下記構造の化合物
T-4:下記構造の化合物(重量平均分子量9000)
【化53】
【0291】
<性能評価>
(欠け、現像性および密着性の評価)
直径8インチ(20.32cm)シリコンウエハ上に、下地層形成用組成物(CT-4000L、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下地層を形成し、下地層付シリコンウエハを得た。
この下地層付きのシリコンウエハ上に、各感光性組成物をポストベーク後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱して組成物層を得た。
次いで、この組成物層に対して、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、365nmの波長の光を1000mJ/cm2の露光量で1.0μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、露光された塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液としてCD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60%希釈液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、シリコンウエハを真空チャック方式で水平回転テーブルに固定し、回転装置によってシリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行い、その後スプレー乾燥した。さらに、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い画素(着色パターン)を形成した。
画素が形成されたシリコンウエハについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率10000倍)で観察し、下記評価基準に従って、欠けおよび現像性を評価した。
また、画素が形成されたシリコンウエハについて、光学顕微鏡を用いて観察し、全画素中シリコンウエハに密着している画素の数をカウントして密着性を評価した。
【0292】
~欠けの評価基準~
A:画素のエッジには欠けがまったく確認されなかった
B:画素のエッジに欠けがごくわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
C:画素のエッジに欠けがわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
D:画素のエッジに欠けが著しく確認された
【0293】
~現像性の評価基準~
A:画素の形成領域外(未露光部)には、残渣がまったく確認されなかった。
B:画素の形成領域外(未露光部)に、残渣がごくわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
C:画素の形成領域外(未露光部)に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
D:画素の形成領域外(未露光部)に、残渣が著しく確認された。
【0294】
~密着性の評価基準~
A:すべての画素が密着している。
B:密着している画素が、全画素の98%以上100%未満である。
C:密着している画素が、全画素の95%以上98%未満である。
D:密着している画素が、全画素の95%未満である。
【0295】
(耐熱性の評価)
ガラス基板上に下地層形成用組成物(CT-4000L、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成し、下地層付ガラス基板を得た。この下地層付きのガラス基板上に各感光性組成物を、ポストベーク後の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱して組成物層を得た。この組成物層に対して、365nmの波長の光を、500mJ/cm2の露光量で照射して露光した。次いで、ホットプレートを用いて220℃で300秒間ポストベークを行い、膜を得た。得られた膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、波長400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。次に、上記で作製した膜を265℃で5分間加熱した。加熱後の膜の透過率を測定し、透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐熱性を評価した。透過率の測定は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。また、透過率の変化量の最大値とは、加熱前後の膜の、波長400~700nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における変化量を意味する。
A:透過率の変化量の最大値が1%以下である。
B:透過率の変化量の最大値が1%を超えて、1.5%以下である。
C:透過率の変化量の最大値が1.5%を超えて、2.0%以下である。
D:透過率の変化量の最大値が2.0%を超えている。
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
上記表に示すように、実施例は比較例よりも欠けの評価が良好であった。更には、実施例は密着性、現像性及び耐熱性の評価も良好であった。
【0300】
(実施例1001)
シリコンウエハ上に、緑色感光性組成物を製膜後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1000mJ/cm2の露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、緑色感光性組成物をパターニングして緑色画素を形成した。同様に赤色感光性組成物、青色感光性組成物を同様のプロセスでパターニングして、赤色画素、青色画素を順次形成して、緑色画素、赤色画素および青色画素を有するカラーフィルタを形成した。このカラーフィルタにおいては、緑色画素がベイヤーパターンで形成されており、その隣接する領域に、赤色画素、青色画素がアイランドパターンで形成されている。得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。なお、赤色感光性組成物としては、実施例104の感光性組成物を使用した。青色感光性組成物としては、実施例34の感光性組成物を使用した。緑色感光性組成物としては、実施例70の感光性組成物を使用した。