(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】複合材の製造方法及び複合材
(51)【国際特許分類】
C22C 1/08 20060101AFI20231114BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20231114BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20231114BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20231114BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20231114BHJP
B22F 3/11 20060101ALI20231114BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20231114BHJP
B29C 67/20 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
C22C1/08 D
B05D3/00 D
B05D3/02 Z
B05D3/12 B
B05D3/12 C
B05D7/24 301E
B05D7/24 303A
B05D7/24 303C
B22F3/11 B
B29C43/34
B29C67/20 D
C22C1/08 F
(21)【出願番号】P 2021572011
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2020007823
(87)【国際公開番号】W WO2020256394
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0071483
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン スー
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ドン ウ-
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン キュ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-162336(JP,A)
【文献】特開2002-212309(JP,A)
【文献】特開2014-239176(JP,A)
【文献】特開2018-148053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0029251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 3/00,3/02,3/12,7/24
B22F 1/00-12/90
B29C 43/34,67/20
C22C 1/04-1/059,33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属フォームを準備するステップ;
(b)前記金属フォームと硬化性高分子を含む混合物を準備するステップ;
(c)前記混合物の硬化性高分子を硬化させて複合材を得るステップ;及び
(d)平坦化処理ステップ
を含み、
前記平坦化処理ステップ(d)を前記ステップ(a)以前からステップ(c)以後のうち少なくとも一つの時点で進行し、
前記ステップ(d)前の金属フォームの気孔度は60%以上85%以下であり、
前記ステップ(d)を、前記金属フォームの気孔度(porosity)が30%~60%の範囲内にあり、前記金属フォームの最大気孔サイズが45μm以下となるように進行
し、
前記ステップ(d)を、平坦化処理前の金属フォームの表面粗さ(RB)と平坦化処理後の金属フォームの表面粗さ(RA)の比(RA/RB)が0.9以下であり、
平坦化処理前の金属フォームの熱抵抗(KB)と平坦化処理後の金属フォームの熱抵抗(KA)の比(KA/KB)が0.9以下となるように進行する、
複合材の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(d)を前記ステップ(a)とステップ(b)の間で進行する、
請求項1に記載の複合材の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(d)を前記金属フォームの表面粗さ(surface roughness)が6μm以下になるように進行する、
請求項2に記載の複合材の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(d)を研磨(polishing)又は加圧成形(pressing)で進行する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(d)で、前記加圧成形をロールプレス(roll press)で進行する、
請求項4に記載の複合材の製造方法。
【請求項6】
(a1)金属粉末、バインダー及び分散剤を含むスラリーを用いてグリーン構造体を製造する過程及び(a2)前記グリーン構造体を焼結する過程を含む方式で前記ステップ(a)を進行する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の複合材の製造方法。
【請求項7】
金属フォーム及
び硬化性高分子の成分を含み、
前記硬化性高分子の成分は、金属フォームの少なくとも一つの表面で表面層を形成すると同時に、金属フォームの内部に充填されている、
表面粗さ(surface roughness)が2μm以下であり、
20psiでの熱抵抗(thermal resistance)が0.5Kin
2/W以下であり、
前記金属フォームの気孔度は、30%~60%の範囲内であり、
前記金属フォームは、最大気孔サイズが45μm以下である、
複合材。
【請求項8】
前記金属フォームの気孔度は、40%~50%の範囲内である、
請求項7に記載の複合材。
【請求項9】
フィルム又はシート形態である、
請求項7又は8に記載の複合材。
【請求項10】
厚さが2,000μm以下である、
請求項9に記載の複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
【0002】
本出願は、2019年6月17日に提出された大韓民国特許出願第10-2019-0071483号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0003】
技術分野
【0004】
本出願は、複合材の製造方法及び複合材に関する。
【背景技術】
【0005】
金属フォーム(metal foam)は、軽量性、エネルギー吸収性、断熱性、耐火性又は環境親和性などの多様で有用な特性を具備する。したがって、軽量構造物、輸送機械、建築資材又はエネルギー吸収装置などの多様な分野に金属フォームを適用し得る。金属フォームは、高い比表面積を有するだけでなく、液体、気体などの流体又は電子の流れを向上させ得る。したがって、熱交換装置用基板、触媒、センサー、アクチュエータ、2次電池又はマイクロ流体フローコントローラ(microfluidic flow controller)などにも金属フォームが有用に用いられ得る。特に、金属フォームは、高い熱伝導度を示す金属成分を有し、これらが相互連結された構造を有するので、主に放熱(heat radiation)材料に適用され得る。
【0006】
しかし、金属フォーム内部の気孔は、多少不規則的に形成されているので、金属フォームの最外郭の表面は平坦ではない。このような理由で、金属フォームを熱伝達物質(thermal interface material、TIM)に適用すると、金属フォームと接する物質の接合面積が減少することになり、これによって、該当物質の熱伝逹効率が減少する問題が発生することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願では、高い熱伝導効率を有する複合材を製造することを一つの目的とする。
【0008】
本出願では、酸化及び/又は高温雰囲気で安定性などを確保し得る複合材を製造することを他の一つの目的とする。
【0009】
本出願では、特に放熱素材などに適用したとき、剥離問題などの発生も予防できる複合材を製造することをまた他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願は、複合材の製造方法に関する。本出願の複合材の製造方法は、少なくとも金属フォームを準備するステップ(a);前記金属フォームと硬化性高分子を含む混合物を準備するステップ(b);及び前記混合物の硬化性高分子を硬化させて複合材を得るステップ(c)を含む。
【0011】
本出願で用語「硬化性」は、光の照射、熱の印加、外部磁場の印加などによって架橋及び/又は硬化できる性質を意味し得る。すなわち、前記硬化性高分子は、光の照射、熱の印加などの外部刺激によって硬化できる性質を示す高分子を意味し得る。
【0012】
本出願で用語「金属フォーム」は、金属を主成分で含む多孔性構造体を意味する。
【0013】
上記で「ある成分を主成分で含む」とは、全体重量を基準として金属の割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上であり、100重量%以下、99重量%以下又は98重量%以下程度であることを意味し得る。
【0014】
本出願で用語「多孔性」は、該当物質の気孔度(porosity)が10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上又は80%以上である場合を意味し得る。前記気孔度の上限は、特に制限されず、例えば、約100%未満、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下又は約75%以下程度であってもよい。前記気孔度は、金属フォームなどの密度を計算して公知の方式で算出できる。
【0015】
本出願で言及する物性のうちその測定温度が該当物性に影響を及ぼす場合には、特に異に規定しない限り、その物性は、常温で測定したものである。
【0016】
上記で用語「常温」は、加温や減温されない自然そのままの温度であって、例えば、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、約23℃又は約25℃程度の温度を意味し得る。
【0017】
本出願の方法は、平坦化処理ステップ(d)を追加で含む。本出願の方法は、平坦化処理を進行することで、より低い表面粗さを有すると同時に熱伝導率が向上した複合材を製造することができる。
【0018】
一般的に、金属フォーム内部の気孔は、多少不規則的に形成されている。したがって、金属フォーム外郭の表面は平坦ではない。このような理由で、金属フォームを熱伝逹材料(thermal interface material、TIM)又は放熱材料などに適用すると、熱伝導効率が減少する問題がある。金属フォーム外郭の表面は平坦ではないので、その金属フォームと接する物質の間の接合面積が減少するからである。金属フォームの表面を平坦に形成するために、金属フォームの表面に別途の外力を加えず、ナノクレイ(nanoclay)などの板状の無機ナノ粒子を添加する方法が考慮された。しかし、前記方法では金属フォームと高分子成分を含む複合材の熱伝逹効率を向上させることに限界があり、追加の成分を適用するため製造工程費用が増加する問題がある。
【0019】
そこで、本発明者らは、既存の金属フォームをそのまま適用するが、複合材の表面を滑らかに製造できる方法に対して探求した結果、本発明を考案することになった。具体的に、本発明者らは、複合材の製造過程で金属フォームの前駆体、金属フォーム、金属フォームと硬化性高分子の混合物及び複合材のうち少なくとも一つを平坦化処理すると、簡便な工程でも熱伝導率が高い複合材が得られることを確認し、本発明を考案することになった。
【0020】
本出願で用語「平坦化処理」は、被処理物質の表面をいわゆる「滑らかに」する一連の処理過程を含む意味で用いられる。具体的に、用語「平坦化処理」は、被処理物質をその表面に凹凸部が存在せずに、あるいは存在してもその存在割合が極めて少なくなるように処理する一連の行為を意味し得る。
【0021】
本出願の方法では、前記平坦化処理ステップ(d)を前記ステップ(a)以前からステップ(c)以後のうち少なくとも一つの時点で進行する。具体的に、本出願の方法では、前記平坦化処理ステップ(d)を次の(1)~(4)の時点のうち少なくとも一つの時点で進行する:
【0022】
(1)金属フォームの準備前
【0023】
(2)金属フォームの準備後
【0024】
(3)金属フォームと硬化性高分子を含む混合物を製造した後
【0025】
(4)金属フォームと硬化性高分子を含む混合物の前記硬化性高分子を硬化させた後
【0026】
すなわち、本出願の方法では、(i)金属フォームの製造中、(ii)金属フォームの製造後から硬化性高分子との混合前、(iii)金属フォームと硬化性高分子を混合する間、(iv)混合物の製造後、(iv)硬化性高分子の硬化過程中及び/又は(v)複合材の製造後に平坦化処理過程を進行することができる。
【0027】
一方、平坦化処理の程度を適切に調節し、その処理程度による熱伝導効率の向上を極大化しようとする観点から、前記平坦化処理ステップは、金属フォームに対して進行されることが有利であり得る。例えば、金属フォームの製造過程で平坦化処理を行うと、前記金属フォームの前駆体がこれを支持する基材から剥離される問題が発生することがあり、平坦化程度に限界があり得る。また、金属フォームと硬化性高分子を混合させ、これを硬化する前に平坦化処理を行うと、大抵硬化性高分子が液状成分であるので、平坦化処理工程を安定的に進行しにくい。金属フォームと硬化性高分子を混合し、その混合物の硬化性高分子を硬化させた後に平坦化処理する場合、相変らず金属フォームの内部に弾性を帯びる硬化性高分子が存在するため、平坦化程度を向上させることに限界があるしかない。すなわち、本出願の好ましい実施状態では、内部の気孔が空いている状態、すなわち、金属フォームに対して平坦化処理した後、本出願の複合材の製造工程を進行した方が良い。
【0028】
すなわち、本出願の方法は、一つの例示で、前記ステップ(d)を前記ステップ(a)とステップ(b)の間で進行することができる。すなわち、本出願の方法で適用される例示的な金属フォームは、平坦化処理された金属フォームであってもよい。
【0029】
一つの例示で、本出願の方法が前記平坦化処理を金属フォームに対して進行する場合、その進行の程度も追加で調節され得る。例えば、本出願の方法は、前記平坦化処理を前記金属フォームに対して進行する場合、前記金属フォームの気孔度(porosity)が約30%以上~60%の範囲内にあるように進行することができる。前記気孔度は、他の例示で、35%以上又は40%以上であってもよく、55%以下又は50%以下であってもよい。
【0030】
他の例示で、本出願の方法は、前記平坦化処理を前記金属フォームに対して進行する場合、前記金属フォームの表面粗さ(surface roughness)が6μm以下になるように進行することができる。
【0031】
本出願で用語「表面粗さ」は、対象物質の表面がどのくらい滑らかであるか、粗いかを定量的に示したものを意味し得る。表面粗さとしては、(1)中心線平均粗さ(Ra)、(2)最大高さ粗さ(Rmax)及び(3)10点平均粗さ(Rz)などの測定方式が知られている。本出願で適用される表面粗さの意味は、上記のうちいずれか一つの方式によって測定されたものを意味し得る。本出願では、実際に表面粗さとして中心線平均照度(Ra)を適用し、その測定方式は、後述する実施例で記述された通りである。
【0032】
上記で平坦化処理によって達成される金属フォームの気孔度及び/又は表面粗さを調節する方式は特に制限されない。前記気孔度及び/又は表面粗さは、後述する平坦化処理の具体的方式とその条件などを適切に調節することで調節され得る。
【0033】
例えば、本出願の製造方法は、前記平坦化処理ステップを研磨(polishing)又は加圧成形(pressing)方式などで進行することができる。
【0034】
上記で「研磨」は、被処理対象の表面を他の物体の角又は表面で磨いてその表面を滑らかにする公知の処理方式を意味する。研磨方式としては、公知の研磨方式(例えば、研磨材を用いる方式、研磨砥石などを適用する方式)を全て適用できる。
【0035】
上記で「加圧成形」は、被処理対象に圧力を印加して被処理対象から突出した部位を押してその表面を平坦にする工程を意味し得る。前記加圧成形の方式は、特に制限されず、公知の加圧成形方式が適用され得る。例えば、加圧成形方式として油圧プレス(hydraulic press)又はロールプレス(roll press)などが適用され得る。金属フォームの薄膜(thin-film)化の観点では、ロールプレス方式を適用することが適切である。例えば、本出願の方法では、あらかじめ製造された金属フォームをプレス装備に具備された二つのロールの間に通過させることで金属フォームをロールプレス方式で加圧成形することができる。
【0036】
前記金属フォームの形態は、特に制限されないが、一つの例示で、平坦化処理前の前記金属フォームの形態は、フィルム又はシート状であってもよい。また、平坦化処理、具体的に、加圧成形、より具体的に、ロールプレスを用いて加圧成形された金属フォームは、その処理前の形態に関係なくフィルム又はシート形態で存在できる。また、金属フォームの厚さ又は気孔度などは、加圧成形することで減少できる。
【0037】
一つの例示で、平坦化処理(具体的に加圧成形、より具体的には、ロールプレスを用いた加圧成形)前の金属フォームがフィルム又はシート状である場合、その厚さは、2000μm以下であってもよい。他の例示で、1900μm以下、1800μm以下、1700μm以下、1600μm以下、1500μm以下、1400μm以下、1300μm以下、1200μm以下、1100μm以下又は1000μm以下であってもよく、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上又は85μm以上であってもよい。
【0038】
本出願で、ある部材の厚さは、該当部材を厚さゲージ(gauge)を用いて直接測定するか、該当部材に対する写真を分析する方式などで間接的に算出できる。また、該当部材の厚さが一定ではない場合、前記厚さは、前記部材の最大厚さ、最小厚さ又平均厚さであってもよい。
【0039】
一つの例示で、平坦化処理(具体的に、加圧成形、より具体的には、ロールプレスを用いた加圧成形)前の金属フォームの気孔度は、60%以上であってもよい。他の例示で、前記気孔度は、61%以上、62%以上、63%以上又は64%以上であってもよく、100%未満、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下又は75%以下であってもよい。気孔度の測定方式としては、上述した方式を適用することができる。
【0040】
上述したように、平坦化処理(具体的に、加圧成形、より具体的には、ロールプレスを用いた加圧成形)によって金属フォームの厚さが減少できる。したがって、一つの例示で、平坦化処理前の金属フォームの厚さ(TB)と平坦化処理後の金属フォームの厚さ(TA)の割合(TA/TB)は、0.9以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.87以下、0.86以下、0.85以下、0.84以下又は0.83以下であってもよく、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上であってもよい。
【0041】
平坦化処理(具体的に、加圧成形、より具体的には、ロールプレスを用いた加圧成形)によって金属フォームの気孔度も減少できる。したがって、一つの例示で、平坦化処理前の金属フォームの気孔度(PB)と平坦化処理後の金属フォームの気孔度(PA)の割合(PA/PB)は、0.95以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.94以下、0.93以下、0.92以下、0.91以下又は0.9以下であってもよく、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.55以上又は0.6以上であってもよい。
【0042】
本出願では、適切な熱伝導度などを確保するために、前記金属フォームの気孔特性を追加で制御してもよい。例えば、前記金属フォームは、大略、球形、ニードル(needle)形又は無定形などの気孔を含むことができる。例えば、前記金属フォームは、最大気孔サイズが50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下程度であってもよい。前記最大気孔サイズは、他の例示で、2μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、14μm以上、16μm以上、18μm以上、20μm以上、22μm以上、24μm以上又は26μm以上であってもよい。
【0043】
一つの例示で、前記金属フォームの全体気孔のうち85%以上の気孔は、そのサイズが10μm以下であってもよく、65%以上の気孔は、そのサイズが5μm以下であってもよい。また、10μm以下又は5μm以下の気孔サイズを有する気孔のサイズの下限は、特に制限されないが、一つの例示で、0μm超過、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上、1μm以上、1.1μm以上、1.2μm以上、1.3μm以上、1.4μm以上、1.5μm以上、1.6μm以上、1.7μm以上、1.8μm以上、1.9μm以上又は2μm以上であってもよい。
【0044】
また、上記で10μm以下の気孔サイズの気孔は、全体気孔のうち100%以下、95%以下又は90%以下程度であってもよく、5μm以下の気孔サイズを有する気孔の割合は、全体気孔のうち100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下又は70%以下程度であってもよい。
【0045】
このような気孔分布または気孔特性によって目的とする複合材を製造することができる。前記気孔分布は、例えば、複合材又は金属フォームがフィルム又はシート形態である場合には、前記フィルムの長軸方向を基準として決まるものであってもよい。
【0046】
また、本出願では、前記金属フォームを平坦化処理(具体的に、加圧成形、より具体的には、ロールプレスを用いた加圧成形)した形態で適用するため、前記金属フォーム内の気孔特性は、平坦化処理によって一層稠密な形態になり得る。例えば、前記平坦化処理された金属フォームが含む気孔は、平坦化処理前の金属フォームが含む気孔より最大気孔サイズが小さい気孔を含むことができる。
【0047】
例えば、前記平坦化処理前の金属フォームの最大気孔サイズ(SB)と平坦化処理後の金属フォームの最大気孔サイズ(SA)の割合(SA/SB)は、0.9以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下又は0.5以下であってもよい。また、前記割合の下限は特に制限されないが、例えば、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上であってもよい。
【0048】
一つの例示で、平坦化処理前の金属フォームの表面粗さ(surface roughness)は、20μm以下であってもよい。前記値は、他の例示で、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下又は10μm以下であってもよく、5μm以上、6μm以上、7μm以上又は7.5μm以上であってもよい。
【0049】
また、平坦化処理によって前記金属フォームの厚さ、気孔度又は最大気孔サイズなどが減少するため、金属フォームの表面粗さも平坦化処理によって減少できる。一つの例示で、前記平坦化処理前の金属フォームの表面粗さ(RB)と平坦化処理後の金属フォームの表面粗さ(RA)の割合(RA/RB)は、0.9以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.85以下、0.8以下、0.75以下又は0.7以下であってもよく、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上又は0.4以上であってもよい。
【0050】
平坦化処理によって金属フォームの表面粗さが減少するため、表面粗さに影響を受ける金属フォームの熱抵抗も平坦化処理によって減少できる。
【0051】
一つの例示で、平坦化処理前の金属フォームの熱抵抗は、2Kin2/W以下であってもよい。前記値は、他の例示で、1.9Kin2/W以下、1.8Kin2/W以下、1.7Kin2/W以下、1.6Kin2/W以下、1.5Kin2/W以下、1.4Kin2/W以下、1.3Kin2/W以下、1.2Kin2/W以下又は1.1Kin2/W以下であってもよく、0.1Kin2/W以上、0.15Kin2/W以上、0.2Kin2/W以上、0.25Kin2/W以上、0.3Kin2/W以上、0.35Kin2/W以上、0.4Kin2/W以上又は0.45Kin2/W以上であってもよい。
【0052】
一つの例示で、平坦化処理前の金属フォームの熱抵抗(KB)と平坦化処理後の金属フォームの熱抵抗(KA)の割合(KA/KB)は、0.9以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、0.85以下、0.8以下又は0.75以下であってもよく、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上又は0.45以上であってもよい。
【0053】
前記金属フォームを製造する方法は、多様に公知されている。本出願では、公知された方式で製造した金属フォームを適用し得る。
【0054】
一つの例示で、前記金属フォームは、スラリーを用いて製造してもよい。具体的に、前記金属フォームを金属粉末、バインダー及び分散剤を少なくとも含むスラリーを用いて製造してもよい。具体的に、前記金属フォームは、前記スラリーを用いてグリーン構造体(金属フォームの前駆体)を形成する過程(a1)及び前記グリーン構造体を焼結する過程(a2)を少なくとも含む方式で製造できる。すなわち、本出願の方法は、前記ステップ(a)を前記(a1)過程及び(a2)過程を含む方式で進行することができる。
【0055】
本出願で用語「グリーン構造体(green structure)」は、前記焼結などのように金属フォームを形成するために行う工程を経る前の構造体、すなわち、金属フォームを生成する前の構造体を意味する。また、前記グリーン構造体を多孔性金属フォーム前駆体と称しても、必ずその自体で多孔性である必要はなく、最終的に多孔性の金属構造体である金属フォームを形成し得るものであれば、便宜上多孔性金属フォーム前駆体と称してもよい。
【0056】
一つの例示で、前記金属粉末(metal powder)の種類は、その適用目的によって決まるものであって、特に制限されない。例えば、前記金属粉末としては、銅粉末、リン粉末、モリブデン粉末、亜鉛粉末、マンガン粉末、クロム粉末、インジウム粉末、スズ粉末、銀粉末、白金粉末、金粉末、アルミニウム粉末及びマグネシウム粉末からなる群より選択されたいずれか一つ、上記のうち2種以上の混合又は上記のうち2種以上の合金粉末を適用し得る。
【0057】
一つの例示で、前記金属粉末のサイズも目的とする気孔度あるいは気孔サイズなどを考慮して選択できる。例えば、前記金属粉末の平均粒径は、0.1μm~200μmの範囲内にあってもよい。他の例示で、前記平均粒径は、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上又は8μm以上であってもよく、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下又は20μm以下であってもよい。前記平均粒径は、目的とする金属フォームの形態、例えば、金属フォームの厚さや気孔度などを考慮して適切な範囲に調節できる。
【0058】
上記で、金属粉末の平均粒径は、公知の粒度分析方法によって測定できる。例えば、前記金属粉末の平均粒径は、いわゆるD50粒径であってもよい。
【0059】
前記金属粉末のスラリー内での割合は、特に制限されない。例えば、スラリーは、10重量%~70重量%の金属粉末を含むことができる。前記割合は、他の例示で、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上又は50重量%以上であってもよく、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下又は50重量%以下であってもよい。
【0060】
一つの例示で、前記分散剤としては、アルコールを適用することができる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、テキサノール(texanol)又はテルピネオール(terpineol)などのような炭素数1~20の1価アルコール;又はエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール又はペンタンジオールなどのような炭素数1~20の2価アルコール又はそれ以上の多価アルコールなどを用いることができるが、その種類が前記例示に制限されるものではない。
【0061】
前記バインダーの種類は特に制限されず、スラリーを製造するときに適用する金属成分や分散剤などの種類によって適切に選択できる。例えば、前記バインダーとしては、メチルセルロース又はエチルセルロースなどの炭素数1~8のアルキル基を有するアルキルセルロース;ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートなどの炭素数1~8のアルキレン単位を有するポリアルキレンカーボネート;ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドなどの炭素数1~8のアルキレン単位を有するポリアルキレンオキシド;又はポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニルなどのポリビニルアルコール系バインダーなどを用いることができる。
【0062】
スラリー内で前記成分の割合は特に制限されない。前記割合は、スラリーを用いる工程時にコーティング性又は成形性などの工程効率を考慮して調節できる。
【0063】
一つの例示で、スラリーは、バインダーを金属粉末100重量部に対して、5~500重量部の割合で含むことができる。前記割合は、他の例示で、6重量部以上又は7重量部以上であってもよく、450重量部以下、400重量部以下、350重量部以下、300重量部以下、250重量部以下、200重量部以下、150重量部以下、100重量部以下、50重量部以下、30重量部以下、20重量部以下、15重量部以下又は10重量部以下であってもよい。
【0064】
一つの例示で、スラリーは、分散剤を前記バインダー100重量部に対して、100重量部~2000重量部の割合で含むことができる。前記割合は、他の例示で、150重量部以上、200重量部以上、250重量部以上、300重量部以上、350重量部以上、400重量部以上、450重量部以上、500重量部以上、550重量部以上、600重量部以上、650重量部以上、700重量部以上、750重量部以上、800重量部以上、850重量部以上、900重量部以上、950重量部以上、1000重量部以上、1050重量部以上、1100重量部以上、1150重量部以上、1200重量部以上、1250重量部以上又は1300重量部以上であってもよく、1800重量部以下、1600重量部以下、1400重量部以下又は1350重量部以下であってもよい。
【0065】
本明細書で単位「重量部」は、特に異に規定しない限り、各成分間の重量の割合を意味する。
【0066】
前記スラリーは、必要に応じて、スラリーの発泡性の向上のために溶媒を追加で含んでもよい。溶媒としては、スラリーの成分、例えば、前記金属成分やバインダーなどとの溶解性を考慮して適切なものを用いることができる。例えば、溶媒としては、誘電定数が約10~120の範囲内にあるものを用いることができる。前記誘電定数は、他の例示で、約20以上、約30以上、約40以上、約50以上、約60以上又は約70以上であってもよく、約110以下、約100以下又は約90以下であってもよい。上記した溶媒としては、水;エタノール、ブタノール又はメタノールなどの炭素数1~8のアルコール;又はDMSO(dimethyl sulfoxide)、DMF(dimethyl formamide)又はNMP(N-methylpyrrolidinone)などを用いることができるが、前記例示に制限されるものではない。
【0067】
溶媒を適用する場合には、スラリーは、前記バインダー100重量部に対して、約50~400重量部の割合で前記溶媒を含むことができる。しかし、前記割合をこれに制限するものではない。
【0068】
スラリーは、上記言及した成分外に追加的に必要な公知の添加剤を含んでもよい。
【0069】
上記のようなスラリーを用いて金属フォーム前駆体を形成する方式は特に制限されない。金属フォームの製造分野では金属フォーム前駆体を形成するための多様な方式が公知にされており、本出願ではこのような方式を全て適用できる。例えば、前記金属フォーム前駆体は、適正な型板(template)で前記スラリーを維持したり、又はスラリーを適正な方式でコーティングした後に乾燥する方式などで形成することができる。
【0070】
必要に応じて、前記金属フォーム前駆体の形成過程で適切な乾燥工程を行ってもよい。例えば、上記した方式でスラリーを成形した後、一定時間乾燥することで、金属フォーム前駆体を形成してもよい。前記乾燥の条件は特に制限せず、例えば、前記スラリー内に含まれた溶媒又はバインダーが含む水分などの成分を目的レベルに除去できるレベルで制御できる。例えば、前記乾燥は、成形されたスラリーを50℃~250℃、70℃~180℃又は90℃~150℃の範囲内の温度で適正時間の間維持して行うことができる。乾燥時間も適正範囲内で調節できる。
【0071】
上記のような方式で形成された金属フォーム前駆体を焼結することで金属フォームを製造することができる。このような場合、前記金属フォームを製造するための焼結を行う方式は特に制限されず、公知の焼結方法を適用することができる。すなわち、適切な方法で前記金属フォーム前駆体に適正な量の熱を印加する方式などで前記焼結を進行することができる。
【0072】
一つの例示で、前記焼結は、金属フォーム前駆体に外部の熱源を印加して行ってもよい。この場合、前記熱源の温度は、100℃~1200℃の範囲内であってもよい。
【0073】
本出願の製造方法は、前記ステップ(b)で、多様な方式で前記金属フォームと硬化性高分子を含む混合物を準備することができる。例えば、(1)組成物形態で存在する硬化性高分子に前記金属フォームを浸漬させて混合物を製造してもよく、(2)金属フォームに液状又は半固相の硬化性高分子を塗って前記混合物を製造してもよく、又は(3)前記金属フォームの気孔内に硬化性高分子を注入させて前記混合物を製造してもよい。本出願の方法は、前記ステップ(b)で、前記列挙された方式外にも金属フォームの表面及び/又は気孔に硬化性高分子が存在できるようにする非制限的な方式で前記混合物を準備することができる。
【0074】
例えば、平坦化処理した後の金属フォームと硬化性高分子を含む混合物を製造した場合、前記硬化性高分子は、平坦化処理された金属フォームの表面及び/又は内部に存在することができる。具体的に、前記硬化性高分子は、前記平坦化処理された金属フォームの少なくとも一つの表面上で表面層を形成しているか、金属フォーム内部の空隙に充填されて存在できる。また、前記高分子成分は、場合に応じて、前記表面層を形成すると同時に金属フォームの内部に充填されていてもよい。前記高分子成分が表面層を形成する場合には、前記高分子成分は、前記金属フォームの表面のうち少なくとも一つの表面、一部の表面又は全ての表面に対して表面層を形成していてもよい。
【0075】
前記硬化性高分子の種類は特に制限されない。例えば、複合材の加工性や耐衝撃性、絶縁性などを考慮して前記高分子成分の種類を選択することができる。前記高分子成分として、公知のアクリル樹脂、シロキサン系列の樹脂のようなシリコン樹脂、エポキシ樹脂、PP(polypropylene)又はPE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、PET(polyethylene terephthalate)などのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂及びフェノール樹脂のうち少なくとも一つを適用することができるが、これに制限するものではない。
【0076】
前記金属フォームと硬化性高分子を含む混合物内で、金属フォームと硬化性高分子の割合は特に制限されない。例えば、前記硬化性高分子が液状である場合には、前記硬化性高分子に金属フォームが十分に浸漬され得る程度に金属フォームと硬化性高分子を混合してもよい。すなわち、本出願の製造方法は、金属フォームの表面又は内部に硬化性高分子が存在できるようにした後、硬化性高分子を硬化することで複合材を製造することができる。
【0077】
一つの例示で、前記硬化性組成物の体積(PV)と平坦化処理された金属フォームの体積(MV)の割合(MV/PV)は、10以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下又は0.5以下であってもよく、0.05以上、0.1以上又は0.3以上であってもよい。前記割合は、前記方式によって製造した複合材に含まれる硬化性高分子と金属フォームの重量と該当成分の密度などを通じて算出できる。
【0078】
前記混合物内の硬化性高分子を硬化する方式及び方法なども特に制限されない。すなわち、前記混合物を公知の方式を通じて硬化することで前記複合材を製造することができる。一つの例示で、前記混合物に外部熱源を印加して前記組成物を硬化することができる。このとき、前記熱源の温度は、50℃~200℃の範囲内であってもよい。前記温度は、他の例示で、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上、110℃以上又は120℃以上であってもよく、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、130℃以下又は120℃以下であってもよい。
【0079】
また、硬化時間も適正範囲で選択できる。例えば、前記硬化は、1分~10時間の範囲内の時間の間行うことができる。硬化時間は、他の例示で、10分~5時間、10分~3時間又は10分~1時間の範囲内であってもよい。
【0080】
また、本出願は、複合材に関する。具体的に、前記複合材は、上述した方法で製造されたものであってもよい。
【0081】
本出願の複合材は、金属フォーム及び高分子成分を含む。また、本出願の複合材は、表面が滑らかであり、熱伝導度が高い(熱抵抗率が低い)。したがって、本出願の複合材は、金属フォーム及び前記金属フォームの表面及び前記金属フォームの気孔に存在する硬化性高分子の成分を含む。
【0082】
前記複合材の表面粗さは、2μm以下である。本出願で言及する表面粗さの定義、測定方式などは上述した意味がそのまま適用される。前記複合材の表面粗さは、他の例示で、1.9μm以下又は1.8μm以下であってもよく、その下限は、低いほど有利であるので、特に制限されないが、0.001μm以上、0.01μm以上、0.1μm以上又は1μm以上であってもよい。
【0083】
前記複合材の20psiでの熱抵抗(thermal resistance)は、0.5Kin2/W以下である。前記複合材の熱抵抗は、他の例示で、0.45Kin2/W以下、0.4Kin2/W以下、0.35Kin2/W以下又は0.33Kin2/W以下であってもよく、その下限は、低いほど有利であるので、特に制限されないが、0.001Kin2/W以上、0.01Kin2/W以上又は0.05Kin2/W以上であってもよい。また、前記熱抵抗を測定する方式は、特に制限されず、公知の測定方法が適用され得る。一つの例示で、前記複合材の熱抵抗は、ASTM D5470規準に基づいて測定できる。
【0084】
前記複合材に適用する金属フォームと高分子成分に対する内容は、上述した通りである。
【0085】
上述したように、前記複合材内の前記金属フォームの気孔度は、30%~60%の範囲内であってもよい。前記金属フォームの気孔度は、他の例示で、35%以上又は40%以上であってもよく、55%以下又は50%以下であってもよい。前記複合材内で前記金属フォームの気孔度を確認する方式は特に制限されない。普通、前記複合材で前記複合材内に存在する高分子を脱脂して金属フォームのみを残し、その金属フォームの体積と密度を測定することで、公知の方式を通じて前記金属フォームの気孔度を算出することができる。一方、前記複合材内の高分子の脱脂は、酸化雰囲気(酸素の過量存在)下で熱処理過程を通じて進行され得るが、このとき、金属フォームを構成する金属に影響を与えることになることもあるが、その差は些細である。すなわち、前記気孔度は、複合材の製造過程で適用される金属フォームの気孔度を意味することができ、既製造された複合材から高分子成分を除去した後に収得した金属フォームの気孔度を意味してもよい。
【0086】
上記の熱抵抗と表面粗さを有する複合材を確保する観点では、前記複合材内の金属フォームの気孔度が40%~50%の範囲内であることが有利である。
【0087】
前記平坦化処理によって前記金属フォームがフィルム又はシート形態を有することができるので、本出願の複合材もフィルム又はシート形態を有することができる。このとき、前記複合材の厚さは、2000μm以下であってもよい。他の例示で、1900μm以下、1800μm以下、1700μm以下、1600μm以下、1500μm以下、1400μm以下、1300μm以下、1200μm以下、1100μm以下又は1000μm以下であってもよく、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上又は85μm以上であってもよい。
【0088】
一つの例示で、複合材は、金属フォームと前記金属フォームの表面又は内部に存在する高分子成分を含むが、このような複合材で前記金属フォームの厚さ(MT)と複合材全体の厚さ(T)の割合(T/MT)は、2.5以下であってもよい。前記割合は、他の例示で、2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.15以下又は1.1以下であってもよい。前記割合の下限は、特に制限しないが、約1以上、1.01以上、1.02以上、1.03以上、1.04以上、1.05以上、1.06以上、1.07以上、1.08以上、1.09以上又は1.1以上であってもよい。このような厚さ割合下で、目的とする熱伝導度と加工性、耐衝撃性などに優れた複合材を提供することができる。
【0089】
前記複合材は、金属フォームが有する特有の表面積及び気孔特性による複合反射(multiple reflection)及び吸収(absorption)などによって高い透磁率を有することができる。また、前記複合材は、金属フォームを含むことで優れた機械的強度及び柔軟性を確保することができる。また、前記複合材は、高分子成分と金属フォームの適切な複合化によって酸化及び高温に対する安定性、電気絶縁性などを確保することができ、各種装置に適用したとき発生する剥離問題なども解決できる。本出願の複合材は、低い熱抵抗及び低い表面粗さなどを有することで、放熱材料又は熱伝導材料などに特に適切である。
【0090】
本出願の複合材は、平坦化処理された金属フォームを含み、平坦化処理された金属フォームが平坦化処理されなかった金属フォームより低い表面粗さを有するので、同じ金属フォームを適用するが、平坦化処理されない金属フォームを適用した複合材より熱伝導度にも優れる。すなわち、本出願の複合材は、同一条件下で製造するが、平坦化処理しなかった金属フォームを適用したときより低い熱抵抗を有する。
【0091】
また、本出願は、前記複合材の用途に関する。本出願は、前記複合材を含む放熱材料に関する。前記放熱材料は、前記複合材のみからなってもよい。他の例示で、前記放熱材料は、前記複合材を含むが、放熱材料に必要な公知の構成、あるいは成分などを追加で含んでもよい。
【0092】
一つの例示で、前記放熱材料は、フィルム又はシート形態であってもよく、このとき、公知のフィルム又はシートの構造を適用することができる。
【0093】
前記放熱材料がフィルム又はシート形態である場合、その材料は、基材及び前記基材の少なくとも一面に具備された放熱部材を含むことができ、前記放熱部材が前記複合材を含む形態であってもよい。前記放熱材料は、上述した複合材をそのまま適用するため、前記フィルム又はシート形態の放熱材料に対しても上述した複合材及びその製造方法に関する内容をそのまま適用できる。前記放熱材料は、放熱部材として前記複合材を含むことで、前記放熱材料と接する熱源から発生する熱を効率的に外部に放出することができる。また、前記フィルム又はシート形態の放熱材料は、その機能を具現するために必要な公知の要素を追加で具備してもよい。
【0094】
他の例示で、前記複合材を含む熱伝導材料に関する。前記熱伝導材料は、前記複合材のみからなってもよい。他の例示で、前記熱伝導材料は、前記複合材を含むが、熱伝導材料に必要な公知の構成、あるいは成分などを追加で含んでもよい。
【発明の効果】
【0095】
本出願から得た複合材は、高い熱伝導効率を有することができる。
【0096】
本出願から得た複合材は、酸化及び/又は高温雰囲気で安定性などを確保することができる。
【0097】
本出願から得た複合材は、特に放熱素材などで適用したとき、剥離問題などの発生も予防できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】製造例1の金属フォームのレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果である。
【
図2】製造例2の金属フォームのSEM写真である。
【
図3】製造例5の金属フォームのレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果である。
【
図4】製造例6の金属フォームのSEM写真である。
【
図5】実施例1の複合材のレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0100】
<製造例1.金属フォーム>
【0101】
平均粒径(D50粒径)が約60μm程度である銅(Cu)粉末を用いた。分散剤としてテキサノール(texanol)、バインダーとしてエチルセルロース(ethyl celluose)を用いた。テキサノールにエチルセルロースを約7重量%の濃度になるように溶解した溶液と銅粉末の重量の割合が約1:1になるように混合して、スラリーを製造した。
【0102】
前記スラリーを約250μm厚さのフィルム形態にコーティングし、約120℃の温度で約60分程度乾燥して、金属フォーム前駆体を形成した。その後、前記前駆体を水素/アルゴン雰囲気で約1000℃の温度で約2時間の間維持するように電気炉で外部熱源を印加して焼結を進行し、金属フォームを製造した。製造された金属フォームの厚さは、約85μmであり、気孔度は、約64%であり、表面粗さは、約7.5μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.466Kin2/Wであった。熱抵抗の測定装備としては、Analysis Tech社のTIM Tester 1300を用い、装備のマニュアルによって測定した(これは、以下でも同一に用いた)。
【0103】
製造例1の金属フォームのレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果を
図1に示した。
【0104】
<製造例2.金属フォーム>
【0105】
スラリーのコーティング厚さを約300μmに調節したこと以外は、製造例1と同一の方法で金属フォームを製造した。製造された金属フォームの厚さは、約100μmであり、気孔度は、約64%であり、表面粗さは、約8μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.496Kin
2/Wであった。前記金属フォームのSEM写真を
図2に示した。
【0106】
<製造例3.金属フォーム>
【0107】
スラリーのコーティング厚さを約1500μmに調節したこと以外は、製造例1と同一の方法で金属フォームを製造した。製造された金属フォームの厚さは、約500μmであり、気孔度は、約70%であり、表面粗さは、約9μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.871Kin2/Wであった。
【0108】
<製造例4.金属フォーム>
【0109】
スラリーのコーティング厚さを約2500μmに調節したこと以外は、製造例1と同一の方法で金属フォームを製造した。製造された金属フォームの厚さは、約1000μmであり、気孔度は、約75%であり、表面粗さは、約10μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約1.064Kin2/Wであった。
【0110】
<製造例5.金属フォーム>
【0111】
ロールプレス装置(WCRP-1015G、Wellcos Corp)のロールの間の間隔を70μmに設定し、製造例1の金属フォームを前記装置のロールの間に通過させて、加圧成形された金属フォームを製造した。加圧成形された金属フォームの厚さは、約70μmであり、気孔度は、約53%であり、表面粗さは、約5.2μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.335Kin
2/Wであった。製造例5の金属フォームのレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果を
図3に示した。
【0112】
<製造例6.金属フォーム>
【0113】
ロールプレス装置(WCRP-1015G、Wellcos Corp)のロールの間の間隔を80μmに設定し、製造例2の金属フォームを前記装置のロールの間に通過させて、加圧成形された金属フォームを製造した。加圧成形された金属フォームの厚さは、約80μmであり、気孔度は、約57%であり、表面粗さは、約4μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.360Kin
2/Wであった。製造例6の金属フォームのSEM写真を
図4に示した。
【0114】
<製造例7.金属フォーム>
【0115】
ロールプレス装置(WCRP-1015G、Wellcos Corp)のロールの間の間隔を300μmに設定し、製造例3の金属フォームを前記装置のロールの間に通過させて、加圧成形された金属フォームを製造した。加圧成形された金属フォームの厚さは、約300μmであり、気孔度は、約55%であり、表面粗さは、約5μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.403Kin2/Wであった。
【0116】
<製造例8.金属フォーム>
【0117】
ロールプレス装置(WCRP-1015G、Wellcos Corp)のロールの間の間隔を500μmに設定し、製造例4の金属フォームを前記装置のロールの間に通過させて、加圧成形された金属フォームを製造した。加圧成形された金属フォームの厚さは、約50μmであり、気孔度は、約45%であり、表面粗さは、約4μm程度であり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.527Kin2/Wであった。
【0118】
図1~
図4によると、加圧成形によって金属フォームの表面が比較的滑らかに成形されて成形前より低い熱抵抗を有することが確認できる。
【0119】
<実施例1.複合材>
【0120】
硬化性高分子である熱硬化性シリコン樹脂(ポリジメチルシロキサン、Sylgard 527 kit、ダウコーニン)に製造例5の金属フォームを浸漬した。金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約80μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去した。その後、前記高分子組成物を120℃に維持されるオーブンで約10分程度維持して硬化させることで、フィルム形態の複合材を製造した。
図5は、実施例1の複合材のレーザー顕微鏡写真及びその表面形状の分析結果であり、
図6は、実施例1の複合材のSEM写真である。複合材の表面粗さは、約1.2μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.098Kin
2/Wであった。
【0121】
<実施例2.複合材>
【0122】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例6の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約90μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。
図7は、実施例2の複合材のSEM写真である。複合材の表面粗さは、約1.5μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.102Kin
2/Wであった。
【0123】
<実施例3.複合材>
【0124】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例7の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約320μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。複合材の表面粗さは、約1.6μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.226Kin2/Wであった。
【0125】
<実施例4.複合材>
【0126】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例8の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約525μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。複合材の表面粗さは、約1.8μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.315Kin2/Wであった。
【0127】
<比較例1.複合材>
【0128】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例1の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約100μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。
図8は、比較例1の複合材のSEM写真である。複合材の表面粗さは、約2.5μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.203Kin
2/Wであった。
【0129】
<比較例2.複合材>
【0130】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例2の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約110μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。
図9は、比較例2の複合材のSEM写真である。複合材の表面粗さは、約2.4μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.236Kin
2/Wであった。
【0131】
<比較例3.複合材>
【0132】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例3の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約530μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。複合材の表面粗さは、約3.2μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.652Kin2/Wであった。
【0133】
<比較例4.複合材>
【0134】
製造例5の金属フォームの代わりに製造例4の金属フォームを浸漬し、その金属フォームが浸漬された硬化性高分子組成物の厚さが約1050μmになるようにフィルムアプリケーターを用いてシリコン樹脂の過量分を除去したこと以外は、実施例1と同一の方法で複合材を製造した。複合材の表面粗さは、約3.0μmであり、熱抵抗は、20psiの圧力条件で約0.783Kin2/Wであった。
【0135】
実施例及び比較例の複合材の物性分析結果を下記表1及び表2に示した。
【0136】
【0137】
【0138】
表1及び表2によると、平坦化処理を通じて製造された複合材、具体的に、加圧成形された金属フォームを用いて製造された実施例1~実施例4の複合材が比較例の複合材よりその厚さに対して低い表面粗さを有し、減少された熱抵抗を有する点を確認することができる。これを通じて、本出願の方法のように平坦化処理を伴って複合材を製造する場合、その複合材の表面粗さと熱伝導率を向上させ得ることが分かる。