(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】撮像素子、及び、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231114BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20231114BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
H04N23/12
(21)【出願番号】P 2018017680
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中山 史人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225667(JP,A)
【文献】特開2013-182906(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088983(WO,A1)
【文献】特開2014-067948(JP,A)
【文献】特開2010-034426(JP,A)
【文献】特開平04-051568(JP,A)
【文献】特開2012-209542(JP,A)
【文献】特開2016-201524(JP,A)
【文献】特開2015-015295(JP,A)
【文献】特開2016-096234(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169479(WO,A1)
【文献】特開2010-109295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を透過した光のうち一部の光を透過する第1フィルタと、前記第1フィルタを透過した光を光電変換する第1光電変換部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いる信号を出力する第1画素と、
前記光学系を透過した光のうち一部の光を透過する第2フィルタと、前記第2フィルタを透過した光を光電変換する第2光電変換部とを有し、画像生成に用いる信号を出力する第2画素と、
前記第1フィルタおよび前記第2フィルタと、前記第1光電変換部および前記第2光電変換部が設けられる半導体基板と、の間に設けられる平坦化層と、
一部が前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの間に、かつ、他の一部が前記平坦化層内の前記第1画素および前記第2画素との間に設けられ、または、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの間、かつ、前記平坦化層上に設けられ、入射した光の一部を吸収する
黒フィルタである第1吸収部と、
前記平坦化層内の前記第1画素と前記第2画素との間に設けられ、入射した光の一部を吸収する黒フィルタであり、光が入射する方向と交差する面において前記第1吸収部の面積よりも大きい第2吸収部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
光が入射する方向と交差する面において、前記第1吸収部の面積は、前記平坦化層側よりも前記第1フィルタまたは前記第2フィルタ側の方が小さい撮像素子。
【請求項3】
請求項1から請求項2までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
光が入射する方向と交差する方向において、前記第1吸収部の長さは、前記平坦化層側よりも前記第1フィルタまたは前記第2フィルタ側の方が短い撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1吸収部は、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの少なくとも一方に入射した光の一部を吸収する撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素の信号および前記第2画素の信号の少なくとも一方を読み出す読出部と、
前記読出部に入射する光の一部を吸収する第2吸収部と、を備える撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素は、前記第1光電変換部で光電変換された電荷を蓄積する第1蓄積部と、前記第1蓄積部に蓄積された電荷を転送する第1転送部とを有し、
前記第2画素は、前記第2光電変換部で光電変換された電荷を蓄積する第2蓄積部と、前記第2蓄積部に蓄積された電荷を転送する第2転送部とを有し、
前記第1蓄積部および前記第2蓄積部へ入射する光を吸収する第3吸収部を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項
1に記載の撮像素子において、
光が入射する方向と交差する方向において、前記第1吸収部の長さは、前記第2吸収部の長さよりも短い撮像素子。
【請求項8】
請求項
7に記載の撮像素子において、
前記第1吸収部および前記第2吸収部は、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの少なくとも一方に入射した光の一部を吸収する撮像素子。
【請求項9】
請求項
7または請求項
8に記載の撮像素子において、
前記第1画素の信号および前記第2画素の信号の少なくとも一方を読み出す読出部を備え、
前記読出部へ入射する光を吸収する第3吸収部を備える撮像素子。
【請求項10】
請求項
7から請求項
9までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素は、前記第1光電変換部で光電変換された電荷を蓄積する第1蓄積部と、前記第1蓄積部に蓄積された電荷を転送する第1転送部とを有し、
前記第2画素は、前記第2光電変換部で光電変換された電荷を蓄積する第2蓄積部と、前記第2蓄積部に蓄積された電荷を転送する第2転送部とを有し、
前記第1吸収部および前記第2吸収部の一方は、前記第1蓄積部および前記第2蓄積部の少なくとも一方への光を遮光するよう設けられる撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項
10までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1フィルタと前記第2フィルタとは、入射した光のうち第1波長域の光を透過する撮像素子。
【請求項12】
請求項1から請求項
11までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1フィルタは、入射した光のうち第1波長域の光を透過し、
前記第2フィルタは、入射した光のうち前記第1波長域と異なる第2波長域の光を透過する撮像素子。
【請求項13】
請求項1から請求項
12までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタは、互いに異なる波長域の光を透過するものであって、一方の波長域が他方の波長域を包含している撮像素子。
【請求項14】
請求項1から請求項
13までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記
撮像素子から出力される信号とに基づいて画像データを生成する画像生成部と、を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光を吸収する性質を有し、隣り合う画素の間を遮光する遮光膜が形成された撮像装置が知られている(特許文献1)。しかし、特許文献1の撮像装置では、遮光膜がカラーフィルタ下の絶縁膜中にのみ、又は絶縁膜上にのみ形成されるため、斜め光に対して十分な遮光効果が得られず、画像の画質が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、光学系を透過した光のうち一部の光を透過する第1フィルタと、前記第1フィルタを透過した光を光電変換する第1光電変換部とを有し、前記光学系の焦点検出に用いる信号を出力する第1画素と、前記光学系を透過した光のうち一部の光を透過する第2フィルタと、前記第2フィルタを透過した光を光電変換する第2光電変換部とを有し、画像生成に用いる信号を出力する第2画素と、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタと、前記第1光電変換部および前記第2光電変換部が設けられる半導体基板と、の間に設けられる平坦化層と、一部が前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの間に、かつ、他の一部が前記平坦化層内の前記第1画素および前記第2画素との間に設けられ、または、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタの間、かつ、前記平坦化層上に設けられ、入射した光の一部を吸収する黒フィルタである第1吸収部と、前記平坦化層内の前記第1画素と前記第2画素との間に設けられ、入射した光の一部を吸収する黒フィルタであり、光が入射する方向と交差する面において前記第1吸収部の面積よりも大きい第2吸収部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の配置例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る撮像素子で生成される信号を説明するための図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る撮像素子の平面図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る撮像素子の中央領域の画素の構成例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る撮像素子の左端領域の画素の構成例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る撮像素子の右端領域の画素の構成例を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の断面図である。
【
図9】変形例1に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る撮像素子の中央領域の画素の構成例を示す図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る撮像素子の左端領域の画素の構成例を示す図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る撮像素子の右端領域の画素の構成例を示す図である。
【
図13】第3の実施の形態に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
【
図14】第3の実施の形態に係る撮像素子の画素の別の構成例を示す図である。
【
図15】第3の実施の形態に係る撮像素子の画素の別の構成例を示す図である。
【
図16】変形例3に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
【
図17】変形例4に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例である電子カメラ1(以下、カメラ1と称する)の構成例を示す図である。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とにより構成される。交換レンズ3は、不図示のマウント部を介してカメラボディ2に着脱可能に装着される。カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、カメラボディ2側の接続部202と交換レンズ3側の接続部302とが接続され、カメラボディ2及び交換レンズ3間の通信が可能となる。
【0007】
図1において、被写体からの光は、
図1のZ軸プラス方向に向かって入射する。また、座標軸に示すように、Z軸に直交する紙面手前方向をX軸プラス方向、Z軸及びX軸に直交する下方向をY軸プラス方向とする。以降のいくつかの図においては、
図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きが分かるように座標軸を表示する。
【0008】
交換レンズ3は、撮像光学系(結像光学系)31と、レンズ制御部32と、レンズメモリ33とを備える。撮像光学系31は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズと絞りとを含み、カメラボディ2の撮像素子22の撮像面上に被写体像を結像する。
【0009】
レンズ制御部32は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリにより構成され、制御プログラムに基づいて交換レンズ3の各部を制御する。レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部21から出力される信号に基づき、焦点調節レンズを光軸L1方向に進退移動させて撮像光学系31の焦点位置を調節する。ボディ制御部21から出力される信号には、焦点調節レンズの移動方向や移動量、移動速度などを示す情報が含まれる。また、レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部21から出力される信号に基づき、絞りの開口径を制御する。
【0010】
レンズメモリ33は、例えば、不揮発性の記憶媒体等により構成される。レンズメモリ33には、交換レンズ3に関連する情報がレンズ情報として記憶される。レンズ情報には、例えば、撮像光学系31の射出瞳の位置に関する情報が含まれる。レンズメモリ33へのレンズ情報の書き込みや、レンズメモリ33からのレンズ情報の読み出しは、レンズ制御部32によって行われる。
【0011】
カメラボディ2は、ボディ制御部21と、撮像素子22と、メモリ23と、表示部24と、操作部25とを備える。ボディ制御部21は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリにより構成され、制御プログラムに基づきカメラ1の各部を制御する。また、ボディ制御部21は、各種の信号処理を行う。
【0012】
撮像素子22は、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。撮像素子22は、撮像光学系31の射出瞳を通過した光束を受光して、撮像光学系31により結像する被写体像を撮像する。撮像素子22には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(例えば、行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、例えばフォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子22は、入射した光を光電変換部で光電変換して電荷を生成し、生成された電荷に基づく信号をボディ制御部21に出力する。以下、
図2及び
図3を用いて、撮像素子22について説明する。
【0013】
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の画素の配置例を示す図である。撮像素子22では、画素が二次元状(行方向(±X方向)及び列方向(±Y方向))に配置される。
図2に示す例は、6行8列の計48個の画素を図示している。なお、撮像素子22に配置される画素の数及び配置は、図示した例に限られない。撮像素子22には、例えば、数百万~数億、又はそれ以上の画素が設けられる。
【0014】
撮像素子22は、複数の撮像画素12と焦点検出画素11、13とを有する。撮像画素12には、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)51のいずれかが設けられる。Gのカラーフィルタは、Rのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。Bのカラーフィルタは、Gのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。Rのカラーフィルタ51は主に赤色の波長域の光を透過し、Gのカラーフィルタ51は主に緑色の波長域の光を透過し、Bのカラーフィルタ51は主に青色の波長域の光を透過する。これにより、画素は、配置されたカラーフィルタ51によって異なる分光特性を有する。R画素とG画素とB画素とは、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0015】
焦点検出画素11、13は、上述のようにベイヤー配列されたR、G、Bの撮像画素12の一部に置換して配置される。焦点検出画素11、13には、カラーフィルタ51及び遮光膜43が設けられる。焦点検出画素11と焦点検出画素13とは、その遮光部43の位置が異なる。焦点検出画素11及び焦点検出画素13には、カラーフィルタ51として、例えば、R、G、及びBの波長域の光を透過するW(白)のカラーフィルタが配置される。
【0016】
このように、R、G、B、及びWのカラーフィルタは、互いに異なる波長域の光を透過する。なお、波長域が互いに異なるとは、波長域が完全に一致しないことを意味しており、各波長域は部分的に重なっていてもよいし、一方の波長域が他方の波長域を包含していてもよい。例えば、RとG、BとG、BとRで波長域が完全に分離せず、一部重なっていてもよい。即ち、複数のカラーフィルタ51の分光特性は、一部がオーバーラップしていてもよい。
【0017】
撮像素子22は、Rのカラーフィルタ51を有する画素(以下、R画素と称する)12及びGのカラーフィルタ51を有する画素(以下、G画素と称する)12が行方向に交互に配置される第1の画素群401を有する。また、撮像素子22は、G画素12及びBのカラーフィルタ51を有する画素(以下、B画素と称する)12が行方向に交互に配置される第2の画素群402を有する。さらに、撮像素子22は、G画素12及び焦点検出画素11、13が行方向に配置される第3の画素群403を有する。
【0018】
なお、第3の画素群403は、焦点検出画素11、13の両方を有していなくともよい。例えば、第2の画素群402がG画素12及び焦点検出画素11を有し、第3の画素群403がG画素12及び焦点検出画素13を有していてもよい。また、第3の画素群403は、第2の画素群402のB画素12と対応する位置に焦点検出画素11、13を有しているが、第2の画素群402のB画素12と対応する位置の一部に焦点検出画素11、13を有していてもよい。例えば、第3の画素群403は、焦点検出画素11、13の少なくとも一方とG画素12とB画素12とを有していてもよい。
【0019】
撮像素子22には、
図2に示すように、吸収部90が格子状に配置される。吸収部90は、顔料等の有機材料により構成され、可視光の波長域の光を吸収する特性を有するフィルタ(黒フィルタ)である。吸収部90の波長530nmの入射光に対する消衰係数をkとすると、例えばk=0.15~0.20程度となる。なお、吸収部90は、消衰係数k=0.1~0.30程度となるように形成してもよい。後述するが、吸収部90は、入射した光の一部を吸収することによって、或る画素からその画素の近傍の画素へ漏れる光を制限(低減)する。
【0020】
各画素は、撮像光学系31を介して入射した光を受光し、受光量に応じた信号を生成する。詳細は後述するが、撮像画素12は、後述する画像データ生成部21aが画像データを生成するための信号、即ち撮像信号を出力する。焦点検出画素11、13は、後述する焦点検出部21bがデフォーカス量を算出するための信号、即ち第1及び第2の焦点検出信号を出力する。
【0021】
図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子22で生成される信号を説明するための図である。
図3は、撮像素子22に設けられた画素のうち、1つの撮像画素12と、1つの焦点検出画素11と、1つの焦点検出画素13とを示している。
【0022】
撮像画素12は、マイクロレンズ44と、カラーフィルタ51と、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過した光束を受光する光電変換部(PD)42とを有する。焦点検出画素11、13は、マイクロレンズ44と、カラーフィルタ51と、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過した光束の一部を遮光する遮光部43と、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過した光束の他の一部が入射する光電変換部42とを有する。焦点検出画素11、13の光電変換部42は、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過した光束のうち、遮光部43で遮光されなかった光束を光電変換する。
【0023】
焦点検出画素11の遮光部43は、光電変換部42のほぼ左半分(光電変換部42のマイナスX方向側)の領域に対応して配置される。焦点検出画素11の遮光部43は、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、焦点検出画素11の光電変換部42の中心よりもX軸マイナス方向側の領域に少なくとも一部が配置される。また、焦点検出画素11の領域46は、光電変換部42のほぼ右半分(光電変換部42のプラスX方向側)の領域に対応した領域である。焦点検出画素11の領域46は、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、焦点検出画素11の光電変換部42の中心よりもX軸プラス方向側の領域に少なくとも一部が配置される領域である。
【0024】
他方、焦点検出画素13の遮光部43は、光電変換部42のほぼ右半分の領域に対応して配置される。焦点検出画素13の遮光部43は、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、焦点検出画素13の光電変換部42の中心よりもX軸プラス方向側の領域に少なくとも一部が配置される。また、焦点検出画素13の領域46は、光電変換部42のほぼ左半分の領域に対応した領域である。焦点検出画素13の領域46は、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、焦点検出画素13の光電変換部42の中心よりもX軸マイナス方向側の領域に少なくとも一部が配置される領域である。
【0025】
各画素のマイクロレンズ44は、
図2において上方から撮像光学系31を介して入射された光を集光する。焦点検出画素11では、マイクロレンズ44を透過した光のうち、第2の瞳領域を通過した第2の光束62は、カラーフィルタ51を通過した後に遮光部43で遮光される。また、焦点検出画素11では、マイクロレンズ44を透過した光のうち、第1の瞳領域を通過した第1の光束61は、カラーフィルタ51及び領域46を透過して光電変換部42に入射する。焦点検出画素11の領域46は、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を通過した第1の光束61が光電変換部42に入射することを許容する開口として作用する。焦点検出画素11の光電変換部42は、光電変換部42に入射された第1の光束61を光電変換して電荷を生成する。
【0026】
他方、焦点検出画素13では、マイクロレンズ44を透過した光のうち、第1の瞳領域を通過した第1の光束61は、カラーフィルタ51を通過した後に遮光部43で遮光される。また、焦点検出画素13では、マイクロレンズ44を透過した光のうち、第2の瞳領域を通過した第2の光束62は、カラーフィルタ51及び領域46を透過して光電変換部42に入射する。焦点検出画素13の領域46は、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を通過した第2の光束62が光電変換部42に入射することを許容する開口として作用する。焦点検出画素13の光電変換部42は、光電変換部42に入射された第2の光束62を光電変換して電荷を生成する。
【0027】
このように、焦点検出画素11、13は、撮像光学系31の瞳の互いに異なる領域を通過した光を受光するように構成され、瞳分割を行っている。焦点検出画素11は、第1の瞳領域を通過した第1の光束61を光電変換した電荷に基づく第1の焦点検出信号を出力する。焦点検出画素13は、第2の瞳領域を通過した第2の光束62を光電変換した電荷に基づく第2の焦点検出信号を出力する。
【0028】
撮像画素12では、撮像光学系31の瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束61、62が、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を介して光電変換部42に入射する。撮像画素12は、第1及び第2の瞳領域の両方を通過した光束に関する撮像信号を出力する。即ち、撮像画素12は、第1及び第2の瞳領域の両方を通過した光を光電変換し、光電変換して生成された電荷に基づく撮像信号を出力する。
【0029】
撮像素子22は、画像データを生成するための撮像信号と、撮像光学系31の焦点について位相差式焦点検出を行うための第1及び第2の焦点検出信号を、ボディ制御部21に出力する。この第1及び第2の焦点検出信号は、上述したように、撮像光学系31の射出瞳の第1及び第2の領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束による第1及び第2の像をそれぞれ光電変換した信号である。
【0030】
なお、
図2及び
図3においては、焦点検出画素11、13は、行方向(X軸方向)に配列されたが、列方向(Y軸方向)に配列されてもよい。焦点検出画素11、13が列方向に配列された場合には、焦点検出画素11の遮光部43が光電変換部42のほぼ上半分と下半分の一方の領域に対応して配置され、焦点検出画素13の遮光部43が光電変換部42のほぼ上半分と下半分の他方の領域に対応して配置される。例えば、焦点検出画素11の遮光部43は、焦点検出画素11の光電変換部42の中心よりもY軸プラス方向側の領域に少なくとも一部が配置される。焦点検出画素13の遮光部43は、焦点検出画素13の光電変換部42の中心よりもY軸マイナス方向側の領域に少なくとも一部が配置される。
【0031】
図1において、メモリ23は、例えば、メモリカード等の記録媒体である。メモリ23には、画像データ等が記録される。メモリ23へのデータの書き込みや、メモリ23からのデータの読み出しは、ボディ制御部21によって行われる。表示部24は、画像データに基づく画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部25は、レリーズボタン、電源スイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた操作信号をボディ制御部21へ出力する。
【0032】
ボディ制御部21は、画像データ生成部21aと焦点検出部21bとを有する。画像データ生成部21aは、撮像素子22から出力される撮像信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理には、例えば、階調変換処理、色補間処理、輪郭強調処理等の公知の画像処理が含まれる。
【0033】
焦点検出部21bは、撮像光学系31の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。具体的には、焦点検出部21bは、撮像光学系31による像が撮像素子22の撮像面上に合焦するための焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)の合焦位置を検出する。焦点検出部21bは、撮像素子22から出力される焦点検出信号を用いて、瞳分割型の位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。より具体的には、焦点検出部21bは、第1及び第2の焦点検出信号に基づき、合焦位置を求めるため相関演算を行う。焦点検出部21bは、この相関演算によって、第1の瞳領域を通過した第1の光束61による像と第2の瞳領域を通過した第2の光束62による像とのズレ量を算出し、この像ズレ量に基づきデフォーカス量を算出する。焦点検出部21bは、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までの焦点調節レンズの移動量を算出する。
【0034】
焦点検出部21bは、デフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。焦点検出部21bは、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断する。一方、焦点検出部21bは、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、交換レンズ3のレンズ制御部32へ焦点調節レンズの移動量とレンズ駆動を指示する信号を送信する。焦点検出部21bからの指示を受けたレンズ制御部32が、移動量に応じて焦点調節レンズを移動することにより、焦点調節が自動で行われる。
【0035】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の平面図である。撮像素子22は、画素が行列状に配置された画素領域(撮像領域)100を有する。即ち、画素領域100には、
図2及び
図3に示したように、撮像画素12及び焦点検出画素11、13を含む複数の画素が、二次元状に配置される。画素領域外には、画素からの信号を処理する周辺回路(アナログデジタル変換回路等)が配置される。撮像素子22の中央領域、即ち画素領域100の中央領域101は、交換レンズ3の光軸L1上に位置する。
【0036】
また、
図4に示す領域102は、画素領域100のうち左端に位置する領域であり、領域103は、画素領域100のうち右端に位置する領域である。領域102及び領域103は、画素領域100の中心からの距離(光軸L1からの距離)が長い領域、即ち像高が高い領域となる。以下では、中央領域101、左端領域102、及び右端領域103のそれぞれに配置される画素を例に、本実施の形態による撮像素子22の画素の構造について、より詳しく説明する。特に、
図5~
図7を用いて、吸収部90の働きを説明する。
【0037】
図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の中央領域101の画素の構成例を示す図である。
図5(a)は、中央領域101に配置される第3の画素群403(
図3参照)のうち、1つの焦点検出画素11(W画素)と、その焦点検出画素11に隣接して配置される1つの撮像画素12(G画素)とを示している。
図5(b)は、中央領域101に配置される第2の画素群402(
図3参照)のうち、1つの撮像画素12(B画素)と、その撮像画素12に隣接して配置される1つの撮像画素12(G画素)とを示している。
【0038】
撮像素子22は、基板111と、基板111に積層して設けられる配線層112とを備える。基板111は、半導体基板により構成される。配線層112は、導体膜(金属膜)及び絶縁膜を含む配線層であり、複数の配線やビアなどが配置される。導体膜には、銅、アルミニウム、タングステン等が用いられる。絶縁膜は、酸化膜や窒化膜などで構成される。
【0039】
焦点検出画素11及び撮像画素12には、それぞれ、マイクロレンズ44と、第1の平坦化層81と、カラーフィルタ51と、第2の平坦化層82と、吸収部90と、光電変換部(PD)42とが設けられる。焦点検出画素11には、更に、遮光部43が設けられる。
【0040】
第1の平坦化層(平坦化膜)81は、樹脂等の有機材料により構成され、マイクロレンズ44とカラーフィルタ51との間に設けられる。第2の平坦化層(平坦化膜)82は、樹脂等の有機材料により構成され、カラーフィルタ51と配線層112との間に設けられる。また、第2の平坦化層82の一部は、吸収部90と配線層112との間に設けられる。
【0041】
配線層112の配線47は、配線層112に設けられる複数の導体膜の層のうちの最上層の導体膜により構成される。配線47は、例えば、電源線や接地線である。また、配線47は、隣接する画素に光が漏れることを抑制する画素間遮光部としても機能する。
【0042】
図5(a)に示す第3の画素群403の焦点検出画素11及び撮像画素12には、カラーフィルタ51として、それぞれWのカラーフィルタ、Gのカラーフィルタが設けられる。また、
図5(b)に示す第2の画素群402の2つの撮像画素12には、カラーフィルタ51として、それぞれBのカラーフィルタ、Gのカラーフィルタが設けられる。
【0043】
吸収部90の上部は、隣り合うカラーフィルタ51間、例えば、焦点検出画素11のカラーフィルタ51及び撮像画素12のカラーフィルタ51の間に設けられる。また、吸収部90の下部は、第2の平坦化層82内であって、隣り合う画素の境界部に設けられる。即ち、吸収部90は、隣り合うカラーフィルタ51の間と、第2の平坦化層82の隣り合う画素の間に設けられる。
図5(a)に示す例の場合、焦点検出画素11のカラーフィルタ51の一部、撮像画素12のカラーフィルタ51の一部、及び第2の平坦化層82の一部の各々に置換して、吸収部90が設けられるともいえる。
【0044】
カメラ1では、撮像光学系31を通過した光がカメラボディ2の筐体内や撮像素子22のマイクロレンズ44で反射されること等に起因して、異常光(ゴースト光)が生じる。このため、各画素のマイクロレンズ44には、入射角が大きな光(例えば入射角が40°~80°の光)が入射する場合がある。ゴースト光が生じると、撮像画素12及び焦点検出画素11、13には、それぞれが有するマイクロレンズ44の光軸に対して傾いた光が入射する。この場合、撮像素子22においては、画素のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過した光の一部が、その画素の周辺画素に漏れる場合が生じる。なお、以下の説明では、マイクロレンズ44に対する入射角の大きな入射光の代表としてゴースト光の影響を説明するが、ゴースト光に関する説明は、入射角の大きい種々の入射光の影響に当てはまるものである。
【0045】
図5(a)において、破線71は、焦点検出画素11のカラーフィルタ51を透過して、その隣の撮像画素(G画素)12に入射するゴースト光を模式的に表している。ゴースト光71は、焦点検出画素11のマイクロレンズ44の光軸に対して斜めに焦点検出画素11に入射する。このゴースト光71は、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過して、その隣の撮像画素(G画素)12の方へ進む。焦点検出画素11のカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、吸収部90に入射する。なお、このゴースト光71の他の一部は、配線(画素間遮光部)47によって遮られて、隣接する撮像画素(G画素)12には入射しない。
【0046】
吸収部90に入射したゴースト光71の一部は、吸収部90によって吸収される。これにより、焦点検出画素11に入射した光が、隣接する撮像画素12に漏れることが抑制される。このため、撮像画素12により生成される撮像信号に、焦点検出画素11から漏れた光による信号成分が混入することを抑制し、撮像信号を用いて生成される画像の画質が低下することを防ぐことができる。
【0047】
なお、撮像画素12のマイクロレンズ44の光軸に対して斜めに撮像画素12に入射するゴースト光についても同様であり、撮像画素12のカラーフィルタ51を透過したゴースト光の一部は、吸収部90に入射して吸収される。これにより、撮像画素12に入射した光が、隣接する焦点検出画素11に漏れることが抑制される。このため、焦点検出画素11により生成される焦点検出信号に、撮像画素12から漏れた光による信号成分が混入することを抑制し、焦点検出信号を用いた焦点検出の精度が低下することを防ぐことができる。
【0048】
図5(b)において、破線71は、撮像画素(B画素)12のカラーフィルタ51を透過して、その隣の撮像画素(G画素)12に入射するゴースト光を模式的に表している。ゴースト光71は、撮像画素(B画素)12のマイクロレンズ44の光軸に対して斜めに撮像画素(B画素)12に入射する。ゴースト光71は、撮像画素(B画素)12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過して、その隣の撮像画素(G画素)12に入射する。この斜めに入射するゴースト光71の一部は、吸収部90に入射して吸収される。このため、撮像画素(B画素)12に入射した光が、隣接する撮像画素(G画素)12に漏れることを防ぐことができる。
【0049】
なお、吸収部90は、可視光の波長域の光を透過させないようにするため、所定の幅をもって形成される。吸収部90の幅が大きくなると、カラーフィルタ51の一部の幅がその分小さくなり、ケラレが生じて、各画素の光電変換部42の受光量が低下する。このため、
図5(a)に示すように画素ピッチ(画素の間隔)をLとすると、吸収部90の幅(X軸方向の幅)Wは、(L×0.1)<W<(L×0.2)となるように設定されることが望ましい。このように吸収部90の幅Wが設定されることで、隣接する画素に漏れる光を低減しつつ、光電変換部42の受光量を確保することができる。
【0050】
例えば、吸収部90は、0.2μm<W<1.5μm、0.3μm<W<1.0μmとなるように形成してもよく、0.5μm<W<0.8μm、0.3μm<W<0.5μmとなるように形成してもよい。
【0051】
本実施の形態では、上述したように、吸収部90の一部は、隣り合うカラーフィルタ51間に設けられる。吸収部90のうち、隣り合うカラーフィルタ51間に設けられた部分の高さ(厚さ)は、例えば、Z軸方向のカラーフィルタ51の高さの半分にされる。このため、吸収部90上に同じ高さのカラーフィルタ51を設ける場合と比較して、Z軸方向におけるカラーフィルタ51の位置を低くすることができる。このため、カラーフィルタ51と光電変換部42との間隔が短くなり、光電変換部42の受光量を多くすることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、吸収部90と配線層112の間に、第2の平坦化層(平坦化膜)82の一部が配置される。これにより、吸収部90の平坦性を向上させることができ、各画素の吸収部90の特性にバラツキが生じることを抑制できる。また、吸収部90をカラーフィルタ51間にのみ形成する場合と比較して、Z軸方向の吸収部90の高さ(厚さ)を大きくすることが可能となる。
【0053】
更に、本実施の形態では、吸収部90は、可視光をほとんど反射せずに吸収する材料により構成される。このため、反射による迷光を低減することができ、各画素で生成される信号などに影響を与えることを回避することができる。
【0054】
以下では、焦点検出画素11、13から隣接する撮像画素12へ漏れ込む光の光量と、撮像画素12から隣接する撮像画素12へ漏れ込む光の光量との差異が低減されることを、比較例と対比して説明する。比較例は、
図5(a)の各画素が吸収部90を有しない場合である。この場合、焦点検出画素11のマイクロレンズ44に入射するゴースト光71の一部は、Wのカラーフィルタ51を透過して、その隣のG画素12の光電変換部42に入射する。Wのカラーフィルタ51は、R、G、及びBの波長域の光を透過する分光特性を有するため、第3の画素群403のG画素12の光電変換部42に入射する光には、B以外の波長域の光も含まれる。一方、第2の画素群402のG画素12においては、隣接するB画素12からBの波長域の光が入射する。
【0055】
このため、ゴースト光等による焦点検出画素11、13から隣接する撮像画素12への光の光量は、撮像画素12から隣接する撮像画素12への光の光量よりも多くなる。この結果、隣に焦点検出画素11がある撮像画素(G画素)12と、隣に撮像画素(B画素)12がある撮像画素(G画素)12との撮像信号に差異が生じてしまう。従って、吸収部90がない場合には、撮像画素12からの撮像信号を用いて生成される画像の画質が悪くなる。より具体的には、画像に不自然な色づきが生じてしまい、ユーザに違和感を与えることとなる。
【0056】
これに対して、本実施の形態では、上述したように吸収部90を設けることで、可視光の波長域の光が隣接する画素に漏れることを抑制する。このため、ゴースト光等による焦点検出画素11、13から近傍の撮像画素12へ漏れる光の光量と、撮像画素12から近傍の撮像画素12へ漏れる光の光量との差異を低減することができる。この結果、各画素からの撮像信号を用いて生成される画像の画質が低下することを防ぐことができる。
【0057】
図6は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の左端領域102の画素の構成例を示す図である。
図6(a)は、左端領域102に配置される第3の画素群403のうち焦点検出画素11と、その焦点検出画素11に隣接して配置されるGの撮像画素12を示している。
図6(b)は、第2の画素群402のうちBの撮像画素12と、そのBの撮像画素12に隣接して配置されるGの撮像画素12を示している。
【0058】
左端領域102の焦点検出画素11及び撮像画素12の各々のマイクロレンズ44、カラーフィルタ51、吸収部90、及び配線47は、焦点検出画素11の残部及び撮像画素12の残部に対して画素領域100の中央側(X軸プラス方向側)にずらして配置される。これにより、カメラ1の撮像光学系31を介して光電変換部42に入射する光量を多くすることができる。撮像素子22では、例えば画素領域100の中央から離れて配置される画素ほど、その画素のマイクロレンズ44、カラーフィルタ51、吸収部90、及び配線47は中央側にずらして配置される。
【0059】
図6(a)の第3の画素群403において、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、焦点検出画素11とG画素12との境界部に設けられた吸収部90に入射する。このゴースト光の一部は、吸収部90によって吸収される。
図6(b)の第2の画素群402においては、B画素12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、吸収部90に入射して吸収される。このように、左端領域102においても、隣接する画素に光が漏れることが抑制される。このため、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0060】
図7は、第1の実施の形態に係る撮像素子22の右端領域103の画素の構成例を示す図である。
図7(a)は、第3の画素群403のうち焦点検出画素11と、その焦点検出画素11に隣接して配置されるGの撮像画素12を示している。
図7(b)は、第2の画素群402のうちBの撮像画素12と、そのBの撮像画素12に隣接して配置されるGの撮像画素12を示している。
【0061】
右端領域103の焦点検出画素11及び撮像画素12の各々のマイクロレンズ44、カラーフィルタ51、吸収部90、及び配線47は、画素領域100の中央側(X軸マイナス方向側)にずらして配置される。これにより、カメラ1の撮像光学系31を介して光電変換部42に入射する光量を多くすることができる。
【0062】
図7(a)の第3の画素群403において、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光の一部は、焦点検出画素11とG画素12との境界部に設けられた吸収部90に入射して吸収される。
図7(b)の第2の画素群402においては、B画素12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、吸収部90に入射して吸収される。このように、右端領域102においても、隣接する画素に光が漏れることが抑制される。このため、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0063】
図8は、
図2中のA-A’における焦点検出画素11及び撮像画素12の断面図である。
図8に示すように、画素の対角部においては、隣り合うマイクロレンズ44間に隙間(ギャップ)が生じて、この隙間にゴースト光71が入射する場合が生じる。このようなゴースト光が生じた場合も、ゴースト光71の一部は、画素間に設けられた吸収部90に入射して吸収される。このように、画素の対角部においても、隣接する画素に光が漏れることが抑制される。
【0064】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子22は、入射した光のうち第1波長域の光を透過する第1フィルタと、第1フィルタを透過した光を光電変換する第1光電変換部とを有する第1画素(例えば撮像画素)と、入射した光のうち第1波長域と異なる第2波長域の光を透過する第2フィルタと、第2フィルタを透過した光を光電変換する第2光電変換部とを有する第2画素(例えば焦点検出画素)と、第1フィルタおよび第2フィルタと、第1光電変換部および第2光電変換部を有する半導体基板111との間に形成される平坦化層(第2の平坦化層82)と、第1フィルタおよび第2フィルタの間と、第1画素と第2画素の間の平坦化層とに形成され、入射した光の一部を吸収する吸収部90と、を備える。本実施の形態では、吸収部90が、隣り合うカラーフィルタ51の間と、第2の平坦化層82内であって隣り合う画素間とに設けられる。このようにしたので、隣接する画素に光が漏れることを抑制することができる。この結果、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0065】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
図9に示すように、吸収部90の幅を、上方向(Z軸マイナス方向側)へ行くほど、小さくするようにしてもよい。吸収部90の上部の幅をWt、吸収部90の下部の幅をWbとすると、Wb>Wtとなるように、吸収部90を形成する。
図9(a)のように、吸収部90の上部を丸くしてもよいし、
図9(b)のように、吸収部90の形状を上部が細い台形としてもよい。この場合、吸収部90の上部の面積は、吸収部90の下部の面積よりも小さくなる。換言すると、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、吸収部90の面積は、第2の平坦化層82側よりも、焦点検出画素11のカラーフィルタ51または撮像画素12のカラーフィルタ51側の方が小さい。このようにすることで、画素の吸収部90の上部において、その画素のカラーフィルタ51を透過した光がケラレることを防ぐことができる。この結果、隣接する画素に漏れる光を低減しつつ、光電変換部42の受光量を多くすることができる。
【0066】
(変形例2)
上述した実施の形態では、隣り合うカラーフィルタ51の間と、第2の平坦化層82の隣り合う画素の間に吸収部90を設ける例について説明した。しかし、隣り合うカラーフィルタ51の間のみに吸収部90を設けるようにしてもよい。
【0067】
(第2の実施の形態)
図面を参照して、第2の実施の形態に係る撮像装置を説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る撮像素子22の中央領域101の画素の構成例を示す図である。第2の実施の形態と第1の実施の形態との主な相違は、以下の通りである。第1の実施の形態にあっては、
図5等に示したように、カラーフィルタ51間と第2の平坦化層82とに吸収部90が形成される。第2の実施の形態では、隣り合うカラーフィルタ51の間に第1の吸収部91が形成され、第2の平坦化層82中に第2の吸収部92が形成される。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
【0068】
図10において、第1の吸収部91は、焦点検出画素11のカラーフィルタ51と撮像画素12のカラーフィルタ51との間に設けられる。焦点検出画素11のカラーフィルタ51の一部、及び撮像画素12のカラーフィルタ51の一部の各々に置換して、第1の吸収部91が設けられるともいえる。第2の吸収部92は、第2の平坦化層82内に設けられる。第1の吸収部91及び第2の吸収部92は、それぞれ有機材料により構成され、可視光の波長域の光を吸収する特性を有する。
【0069】
図10(a)において、ゴースト光71は、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過して、その隣の撮像画素12の方へ進む。焦点検出画素11のカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、第1の吸収部91や第2の吸収部92によって吸収される。これにより、焦点検出画素11に入射した光が、隣接する撮像画素12に漏れることが抑制される。このため、撮像画素12により生成される撮像信号にノイズが混入することを抑制し、撮像信号を用いて生成される画像の画質が低下することを防ぐことができる。
【0070】
図10(b)において、B画素12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、第1の吸収部91や第2の吸収部92に入射して吸収される。このため、撮像画素(B画素)12に入射した光が、隣接する撮像画素(G画素)12に漏れることが抑制される。
【0071】
なお、
図10(a)に示すように画素ピッチ(画素の間隔)をLとすると、第2の吸収部92の幅(X軸方向の幅)W2は、(L×0.1)<W2<(L×0.2)となるように設定されることが望ましい。このように第2の吸収部92の幅W2が設定されることで、隣接する画素に漏れる光を低減しつつ、画素の受光量を確保することができる。また、第1の吸収部91の幅(X軸方向の幅)W1は、W1<W2となるように設定されることが望ましい。この場合、光が入射する方向(Z軸方向)と交差する面(XY平面)において、第1の吸収部91の面積は、第2の吸収部92の面積よりも小さいともいえる。このように、第1の吸収部91の幅W1を、第2の吸収部92の幅W2よりも小さくすることで、隣接する画素に漏れる光を低減しつつ、光電変換部42に入射する光量を多くすることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、第2の吸収部92と配線層112の間に、第2の平坦化層(平坦化膜)82の一部が配置される。これにより、第2の吸収部92の平坦性を向上させることができ、各画素の第2の吸収部92の特性にバラツキが生じることを抑制できる。
【0073】
更に、本実施の形態では、第1の吸収部91と第2の吸収部92との間に、第2の平坦化層(平坦化膜)82の一部が配置される。即ち、第2の平坦化層82による平坦化膜の上に、第1の吸収部91が設けられる。このため、第1の吸収部91の平坦性を向上させることができ、各画素の第1の吸収部91の特性にバラツキが生じることを抑制できる。
【0074】
なお、第1の吸収部91と第2の吸収部92との間の平坦化膜の厚さ(膜厚)は、所定の平坦性を達成することができる限りにおいて薄くすることで、この平坦化膜を介して光が漏れることを防ぐことができる。例えば、
図10に示すように、第1の吸収部91及び第2の吸収部92の間の平坦化膜の膜厚をtとすると、膜厚t=W1×60%以下、或いは、膜厚t=W1×35%以下となるように設定されることが望ましい。
【0075】
また、本実施の形態では、第1の吸収部91と第2の吸収部92とを、互いに異なる材料で構成することができる。例えば、第1の吸収部91を樹脂等の有機材料を用いて形成し、第2の吸収部92をシリコン酸化膜等の無機材料を用いて形成してもよい。
【0076】
図11は、第2の実施の形態に係る撮像素子22の左端領域102の画素の構成例を示す図である。左端領域102の画素のマイクロレンズ44、カラーフィルタ51、第1の吸収部91、第2の吸収部92、及び配線(画素間遮光部)47は、画素の残部に対して画素領域100の中央側(X軸プラス方向側)にずらして配置される。
【0077】
例えば、
図11(a)の左端領域102の画素は、
図10(a)の中央領域101の画素に比べて、マイクロレンズ44が、光電変換部42に対して相対的に右方向(X軸プラス方向側)に所定量(以下、オフセット量と称する)d1、ずれている。また、第1の吸収部91、第2の吸収部92、及び配線47の各々の中心は、焦点検出画素11と撮像画素12の境界に対して、それぞれオフセット量d2、d3、d4だけ右側に位置する。マイクロレンズ44のオフセット量d1、第1の吸収部91のオフセット量d2、第2の吸収部92のオフセット量d3、配線47のオフセット量d4は、d4≦d3≦d2≦d1となる。これにより、カメラ1の撮像光学系31を介して光電変換部42に入射する光量を多くすることができる。
【0078】
図11(a)の第3の画素群403においては、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、焦点検出画素11とG画素12との境界部に設けられた第1の吸収部91や第2の吸収部92に入射する。このゴースト光の一部は、第1の吸収部91及び第2の吸収部92によって吸収される。
【0079】
図11(b)の第2の画素群402においては、B画素12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、第1の吸収部91や第2の吸収部92に入射して吸収される。このように、左端領域102においても、隣接する画素に光が漏れることが抑制される。このため、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0080】
図12は、第2の実施の形態に係る撮像素子22の右端領域103の画素の構成例を示す図である。右端領域103の画素のマイクロレンズ44、カラーフィルタ51、第1の吸収部91、第2の吸収部92、及び配線47は、画素の残部に対して画素領域100の中央側(X軸マイナス方向側)にずらして配置される。各画素のマイクロレンズ44と第1の吸収部91と第2の吸収部92と配線47は、
図11に示したずれ方向と反対方向にオフセット量d1~d4と同様のオフセット量が付与される。
【0081】
図12(a)の第3の画素群403においては、焦点検出画素11のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、焦点検出画素11とG画素12との境界部に設けられた第1の吸収部91や第2の吸収部92に入射して吸収される。
図12(b)の第2の画素群402においては、B画素12のマイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過したゴースト光71の一部は、第1の吸収部91や第2の吸収部92に入射して吸収される。このように、右端領域103においても、隣接する画素に光が漏れることが抑制される。このため、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0082】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子22は、入射した光のうち第1波長域の光を透過する第1フィルタと、第1フィルタを透過した光を光電変換する第1光電変換部とを有する第1画素(例えば撮像画素)と、入射した光のうち第1波長域と異なる第2波長域の光を透過する第2フィルタと、第2フィルタを透過した光を光電変換する第2光電変換部とを有する第2画素(例えば焦点検出画素)と、第1フィルタおよび第2フィルタと、第1光電変換部と第2光電変換部とを有する半導体基板111との間に形成される平坦化層(第2の平坦化層82)と、第1フィルタおよび第2フィルタの間に形成され、入射した光の一部を吸収する第1吸収部91と、を備える。本実施の形態では、第1の吸収部91が、隣り合うカラーフィルタ51の間に設けられる。このため、隣接する画素に光が漏れることが抑制され、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0083】
(2)撮像素子22は、第1画素と第2画素の間の平坦化層(第2の平坦化層82)に形成され、入射した光の一部を吸収する第2吸収部92を備える。本実施の形態では、第2の吸収部92が、第2の平坦化層82内であって隣り合う画素間に設けられる。このため、隣接する画素に光が漏れることが抑制され、画像の画質の低下や、焦点検出精度の低下が生じることを防ぐことができる。
【0084】
(第3の実施の形態)
図面を参照して、第3の実施の形態に係る撮像装置を説明する。
図13は、第3の実施の形態に係る撮像素子22の画素の構成例を示す図である。
図13は、撮像素子22に設けられた複数の画素のうち、2つの撮像画素12を示している。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
【0085】
図13(a)、(b)に示すように、撮像画素12には、光電変換部42で生成された電荷(信号電荷)を記憶するメモリ部48が設けられる。メモリ部48は、光電変換部42で生成された電荷を蓄積(保持)する蓄積部(保持部)でもある。
【0086】
より詳しくは、撮像画素12は、例えば、光電変換部42と、第1の転送部と、メモリ部48と、第2の転送部と、フローティングディフュージョン(FD)と、増幅部とを有する。第1の転送部、第2の転送部、及び増幅部は、それぞれトランジスタにより構成される。第1の転送部は、光電変換部42で光電変換された電荷をメモリ部48に転送する。メモリ部48は、第1の転送部により転送された電荷を記憶する。第2の転送部は、メモリ部に記憶された電荷をFDに転送する。増幅部は、FDに蓄積された電荷による信号を増幅して出力する。
【0087】
撮像素子22は、各画素の光電変換部42で生成された電荷を、各画素のメモリ部48に一時的に記憶させることができる。このため、撮像素子22は、全画素で同時に光電変換を行わせて、全画素で同時に光電変換部42からメモリ部48への電荷の転送を行う、いわゆるグローバルシャッタ方式の動作を行うことができる。
【0088】
吸収部93は、有機材料により構成され、可視光の波長域の光を吸収する特性を有する。吸収部93は、第2の平坦化層82中において、撮像画素12のメモリ部48を覆うように設けられる。このため、撮像画素12に入射するゴースト光の一部は、吸収部93によって吸収される。これにより、ゴースト光がメモリ部48に入射して、メモリ部48の信号電荷にノイズ成分が混入することを防ぐことができる。この結果、撮像信号を用いて生成される画像の画質が低下することを防ぐことができる。また、上述した第1及び第2の実施の形態の場合と同様に、吸収部93は、隣接する画素に光が漏れることを抑制する。このため、本実施の形態では、上述したように吸収部93を設けることで、メモリ部48の信号へのノイズの混入を抑制すると共に、隣接画素に光が漏れることを抑制することができる。
【0089】
なお、吸収部93は、複数の画素毎に配置して、複数の画素で共有する構成としてもよい。より具体的には、隣接する画素の各々のメモリ部48を覆うように、吸収部93を設けるようにしてもよい。例えば、撮像画素12のメモリ部48と、その隣の焦点検出画素11のメモリ部48とを覆うように、吸収部93が設けられる。
【0090】
なお、吸収部93を、第1の実施の形態に係る吸収部と同様に、隣り合うカラーフィルタ51の間と、第2の平坦化層82とに設けるようにしてもよい。また、吸収部93の代わりに、第2の実施の形態に係る吸収部と同様に、第1及び第2の吸収部を設けるようにしてもよい。この場合、第1の吸収部を、隣り合うカラーフィルタ51の間に配置し、第2の吸収部を、第2の平坦化層82内に配置するようにしてもよい。第1及び第2の吸収部の両方を、隣接する画素の各々のメモリ部48を覆うように配置してもよい。また、第1及び第2の吸収部の一方を、隣り合う2つの画素の各々のメモリ部48の少なくとも一方への光を遮光するように配置してもよい。
【0091】
また、
図14(a)、(b)に示すように、撮像画素12の光電変換部42以外の全ての領域を覆うように、吸収部93を設けるようにしてもよい。これにより、撮像画素12に入射するゴースト光が、メモリ部48、上述したFD、第1の転送部、第2の転送部、増幅部等に漏れることを抑制することができる。このため、撮像信号による画像の画質を向上させることができる。
【0092】
図15は、第3の実施の形態に係る撮像素子22の撮像画素12の別の構成例を示している。
図15に示す例では、撮像画素12は、配線層112に設けられた導波路49を有する。導波路49は、金属酸化物などの絶縁材料により構成され、導波路49に入射した光を光電変換部42へ導く。撮像画素12のカラーフィルタ51を透過した光束が、導波路49によって光電変換部42に集光される。このため、撮像光学系31を介して光電変換部に入射する光量を多くすることができる。
【0093】
図15において、吸収部93は、第2の平坦化層82中において、導波路49の四方を囲むように設けられる。このため、撮像画素12に入射するゴースト光の一部は、吸収部93によって吸収される。これにより、ゴースト光が導波路49を介して光電変換部42に入射することを防ぐことができる。この結果、撮像信号による画像の画質を向上させることができる。
【0094】
図13~
図15を用いて撮像画素12の構成について説明したが、焦点検出画素も、撮像画素12の場合と同様に、吸収部を配置することができる。これにより、焦点検出信号へのノイズの混入を抑制でき、焦点検出の精度が低下することを防ぐことができる。
【0095】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形
態と組み合わせることも可能である。
【0096】
(変形例3)
上述した実施の形態では、画素領域100(
図4参照)内の画素に、吸収部を設ける例について説明した。しかし、画素領域100外においても吸収部を配置するようにしてもよい。例えば、遮光状態の画素であるOB(オプティカルブラック)画素や、アナログデジタル変換回路等の周辺回路等に、吸収部を配置してもよい。この周辺回路には、画素の信号を読み出す読み出し部(読出部)が含まれる。読み出し部は、画素ごとに設けられてもよいし、複数の画素ごとに設けられてもよい。なお、OB画素は、暗電流成分の検出などに用いられる。
【0097】
図16は、変形例3に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
図16は、画素領域100の複数の画素のうちの1つの撮像画素12と、画素領域外の複数のOB画素14のうちの1つのOB画素14の構成例を示している。画素領域外においては、配線(画素間遮光部)47は、画素領域外に設けられる全てのOB画素14、および周辺回路を覆うように形成される。また、吸収部90も、画素領域外に設けられる全てのOB画素14、および周辺回路を覆うように形成される。OB画素14や周辺回路の領域に入射する光は、吸収部90及び配線47によって遮光される。このため、遮光性能を向上させることができる。上述した読み出し部にゴースト光が入射することが抑制されるため、例えば、読み出し部が画素の信号を読み出すタイミングにずれが生じることを防ぐことができる。
【0098】
なお、吸収部90の代わりに、第2の実施の形態に係る吸収部と同様に、第1及び第2の吸収部を設けるようにしてもよい。この場合、第1及び第2の吸収部の一方を、OB画素14や周辺回路を覆うように設けてもよい。例えば、第1及び第2の吸収部の一方を、読み出し部への光を遮光するように設けてもよい。
【0099】
(変形例4)
図17は、変形例4に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。変形例4に係る撮像素子は、裏面照射型の撮像素子である。撮像素子は、基板111と、第1の配線層113と、第2の配線層114と、支持基板120とを備える。第1の配線層113は、基板111の一方の面に積層され、第2の配線層114は、基板111の他方の面に積層される。支持基板120は、半導体基板やガラス基板等により構成される。
図16において、被写体からの光は、
図1のZ軸プラス方向に向かって入射する。吸収部90は、例えば、第2の平坦化層82内であって、隣り合う画素の境界部に設けられる。
【0100】
一般的に、裏面照射型の撮像素子の場合、マイクロレンズ44と光電変換部42との距離は比較的短くなる。このため、裏面照射側の撮像素子の画素には、表面照射側の撮像素子の場合よりも、入射角が大きなゴースト光が入射する場合がある。しかし、裏面照射型の撮像素子の場合も、吸収部90を配置することによって、ゴースト光が隣接する画素に漏れることを防ぐことが可能となる。また、
図17に示すように、
図5の場合と比較して、裏面照射型の撮像素子の場合、吸収部90は、光電変換部42から比較的近い位置に配置される。このため、或る画素からその隣の画素の光電変換部42へ漏れる光を、効率的に低減することができる。
【0101】
(変形例5)
上述した実施の形態では、焦点検出画素11、13には、Wのカラーフィルタ51を配置する例について説明したが、これに限定されない。例えば、焦点検出画素11、13には、カラーフィルタ51として、Gのカラーフィルタを配置してもよい。
【0102】
(変形例6)
上述した実施の形態では、撮像素子22に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0103】
(変形例7)
上述した実施の形態では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜を用いるようにしてもよい。
【0104】
(変形例8)
上述した実施の形態では、1画素に1つの光電変換部を配置する例について説明したが、画素の構成はこれに限らない。画素の構成を、1画素あたり2つ以上の光電変換部を有する構成にしてもよい。
【0105】
(変形例9)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像素子及び撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0106】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1…撮像装置、2…カメラボディ、3…交換レンズ、21…ボディ制御部、21a…画像データ生成部、21b…焦点検出部、22…撮像素子、31…撮像光学系、42…光電変換部、44…マイクロレンズ、51…カラーフィルタ、81…第1の平坦化層、82…第2の平坦化層、90…吸収部、91…第1の吸収部、92…第2の吸収部、111…基板、112…配線層