IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-高圧ガス容器 図1
  • 特許-高圧ガス容器 図2
  • 特許-高圧ガス容器 図3
  • 特許-高圧ガス容器 図4
  • 特許-高圧ガス容器 図5
  • 特許-高圧ガス容器 図6
  • 特許-高圧ガス容器 図7
  • 特許-高圧ガス容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】高圧ガス容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20231114BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231114BHJP
   G01D 9/00 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
H04Q9/00 311J
G01D9/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019214162
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021085458
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100108187
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅博
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009069(JP,A)
【文献】特開2019-121198(JP,A)
【文献】特開2017-095263(JP,A)
【文献】特開2017-040466(JP,A)
【文献】特開2015-207869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140850(US,A1)
【文献】特開2013-171331(JP,A)
【文献】中国実用新案第209540503(CN,U)
【文献】特開2017-131526(JP,A)
【文献】特開2018-156283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
H04Q 9/00
G01D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガス容器の位置を輸送中に測定する位置センサと、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録するデータ記録装置と、を備え、
前記位置センサ及び前記データ記録装置は、前記高圧ガス容器に取り付けられている、
高圧ガス容器。
【請求項2】
前記位置は、緯度と経度とを含む、
請求項1に記載の高圧ガス容器。
【請求項3】
前記位置センサおよび前記データ記録装置は、スマートフォンである、
請求項1または2に記載の高圧ガス容器。
【請求項4】
前記位置センサに電力を供給する電池をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の高圧ガス容器。
【請求項5】
前記電池を充電するための充電端子をさらに備える、
請求項4に記載の高圧ガス容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高圧ガス容器を管理する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、所在情報等のガス容器に付属する情報を各種センサで測定し、測定結果を通信して集中的に管理するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6356472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧ガス容器に充填される高圧ガスには、法的規制の対象となるものも含まれるため、輸送経路を把握することが重要になっている。しかしながら、特許文献1に開示された技術を適用しても、従来の高圧ガス容器は、設置状態における情報を管理するため、輸送経路を把握することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、高圧ガス容器の輸送経路を記録することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す構成を備える。
[1] 高圧ガス容器の位置を輸送中に測定する位置センサと、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録するデータ記録装置と、を備える、
高圧ガス容器。
[2] 前記位置は、緯度と経度とを含む、
[1]に記載の高圧ガス容器。
[3] 前記位置センサおよび前記データ記録装置は、スマートフォンである、
[1]または[2]に記載の高圧ガス容器。
[4] 前記位置センサに電力を供給する電池をさらに備える、
[1]から[3]のいずれか1つに記載の高圧ガス容器。
[5] 前記電池を充電するための充電端子をさらに備える、
[4]に記載の高圧ガス容器。
[6] 高圧ガス容器とデータ記録装置とを備えるデータ記録システムであって、
前記高圧ガス容器は、
前記高圧ガス容器の位置を輸送中に測定する位置センサと、
測定された位置を示すデータを送信する通信器と、を備え、
前記データ記録装置は、
前記高圧ガス容器の輸送中の位置を示すデータを取得する位置データ取得部と、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録する経路データ更新部と、を備える、
データ記録システム。
[7] 高圧ガス容器の輸送中の位置を示すデータを取得する位置データ取得部と、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録する経路データ更新部と、を備える、
データ記録装置。
[8] 高圧ガス容器の位置を輸送中に測定し、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録する、
データ記録方法。
[9] コンピュータに、
高圧ガス容器の輸送中の位置を示すデータを取得するステップと、
測定された前記位置を測定時刻と関連づけて、輸送経路として記録するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0007】
高圧ガス容器の輸送経路を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態に係る高圧ガス容器の外観側面の一例を示す図である。
図2】第一の実施形態に係る電気系統のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】第一の実施形態に係るデータ記録装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】第一の実施形態に係るデータ記録装置の機能の一例を示す図である。
図5】第一の実施形態に係るデータ記録処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第一の実施形態に係る経路データの一例を示す図である。
図7】第二の実施形態に係るデータ記録システムの概念図である。
図8】第二の実施形態に係る経路データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して、本発明に係る高圧ガス容器の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、第一の実施形態に係る高圧ガス容器の外観側面の一例を示す図である。
【0011】
高圧ガス容器1は、高圧ガスを内部に充填するための容器である。容器の種類は、継目なし容器、溶接容器、ろう付け容器、繊維強化プラスチック複合容器(FRP(Fiber Reinforced Plastics)容器)等のいずれであっても良い。また、容器の形状は、シリンダ、カードル、タンクコンテナ等のいずれであっても良い。また、高純度の半導体製造用ガスや反応性の高いガスなど、ガスの種類に合わせ高圧ガス容器を種々選択することができる。
【0012】
具体的には、高圧ガス容器1は、電池10と、位置センサ20と、データ記録装置30と、プロテクタ40と、スカート50と、を備える。
【0013】
電池10は、位置センサ20、データ記録装置30等に電力を供給するための電池である。
【0014】
位置センサ20は、高圧ガス容器1の位置を輸送中に測定するセンサである。具体的には、位置センサ20は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される無線通信を受信して、自らの位置データを取得する。位置センサ20は、高圧ガス容器1のプロテクタ40等に付着されるため、位置センサ20と高圧ガス容器1は、実質的にほとんど同じ位置である。そこで、位置センサ20が取得した位置データを高圧ガス容器1の位置を示す位置データとして扱う。
【0015】
なお、位置センサ20は、GPS以外の方法によって高圧ガス容器1の位置データを取得しても良い。例えば、位置センサ20は、基地局と無線通信を行うことによって、基地局の位置データから自らの位置を推定しても良い。また、位置センサ20は、GPS衛星から取得した位置データと、基地局から取得した位置データと、を適宜組み合わせて自らの位置を推定しても良い。
【0016】
データ記録装置30は、高圧ガス容器1の輸送経路を記録する装置である。データ記録装置30についての詳細は、後述する。
【0017】
プロテクタ40は、高圧ガス容器の弁などの射出箇所を保護する保護材である。プロテクタ40の内側の面に、電池10、位置センサ20およびデータ記録装置30が取り付けられている。
【0018】
スカート50は、高圧ガス容器1の設置状態において、地面と接触する部分の腐食を防ぐための保護部品である。スカート50の内側の面に、電池10、位置センサ20およびデータ記録装置30が取り付けられていても良い。
【0019】
また、電池10、位置センサ20、データ記録装置30等は、改造されにくくするために、高圧ガス容器1の外壁面から内側に埋没して配置されていても良い。
【0020】
図2は、第一の実施形態に係る電気系統のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0021】
電池10は、位置センサ20等と電線によって接続されている。データ記録装置30は、位置センサ20等に電力を供給する。
【0022】
位置センサ20は、データ記録装置30と通信可能に接続されている。位置センサ20は、測定して取得した高圧ガス容器1の位置データをデータ記録装置30に送信する。
【0023】
データ記録装置30は、位置センサ20と通信可能に接続されている。データ記録装置30は、位置センサ20から取得した位置データに基づいて、輸送経路を記録する。
【0024】
図3は、第一の実施形態に係るデータ記録装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0025】
データ記録装置30は、プロセッサ301と、メモリ302と、インタフェース303と、を備える。
【0026】
プロセッサ301は、演算装置である。プロセッサ301は、メモリ302に格納されたプログラムを読み出して、読み出されたプログラムに規定された処理を実行することで、後述する各種の機能を実現する。
【0027】
メモリ302は、記憶装置である。メモリ302は、プロセッサ301の実行する処理に必要なデータを格納する。
【0028】
インタフェース303は、位置センサ20との間で通信するための通信器である。
【0029】
図6は、第一の実施形態に係るデータ記録装置の機能の一例を示す図である。
【0030】
データ記録装置30は、記憶部31と、位置データ取得部32と、経路データ更新部33と、を備える。
【0031】
記憶部31は、データ記録装置30の制御に必要な各種データを記憶する。また、記憶部31は、経路データ34を記憶する。
【0032】
経路データ34は、高圧ガス容器1の輸送経路を示すデータである。具体的には、経路データ34は、高圧ガス容器1の輸送中の位置を、測定時刻と関連づけて記録されたデータである。例えば、高圧ガス容器1の輸送中の位置は、緯度と経度であっても良い。
【0033】
位置データ取得部32は、位置センサ20から位置データを取得する。
【0034】
経路データ更新部33は、位置データ取得部32が取得した位置データと、位置データを取得した測定時刻とを関連づけたデータで、経路データ34を更新する。経路データ更新部33は、プロセッサ301の機能によって、測定時刻を取得する。なお、データ記録装置30は、クォーツ式の時計を備え、経路データ更新部33に参照させても良い。
【0035】
また、データ記録装置30は、標準電波の送信局から送信される原子時計の電波を受信し、自動的に時刻を合わせるようにしても良い。
【0036】
次に、高圧ガス容器1の動作について、図面を参照して説明する。
【0037】
図5は、第一の実施形態に係るデータ記録処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
高圧ガス容器1のデータ記録装置30は、定期的に、例えば1分ごとに、データ記録処理を実行する。
【0039】
データ記録装置30の位置データ取得部32は、高圧ガス容器1の位置を示す位置データを取得する(ステップS11)。具体的には、位置データ取得部32は、位置センサ20から位置データを受信する。
【0040】
ここで、位置センサ20が、定期的に、例えば10秒ごとに位置データをデータ記録装置30に送信しても良いし、位置データ取得部32が位置センサ20に位置データの送信を要求する信号を送信し、その応答として、位置センサ20が位置データをデータ記録装置30に送信しても良い。
【0041】
なお、位置データ取得部32は、例えば10秒ごとに位置データを取得する場合には、取得した複数の位置データに含まれる経度、緯度等をそれぞれ平均した値を、高圧ガス容器1の位置としても良い。
【0042】
次に、経路データ更新部33は、位置データを取得できたか否かを判定する(ステップS12)。経路データ更新部33は、位置データを取得できなかったと判定すると(ステップS12:No)、処理を終了する。
【0043】
また、経路データ更新部33は、位置データを取得できたと判定すると(ステップS12:Yes)、経路データ34を更新する(ステップS13)。
【0044】
経路データ更新部33は、具体的には、位置を測定した時刻を取得して、記憶部31に格納された経路データ34に、取得した位置と測定時刻を関連付けたデータを追加する。
【0045】
図6は、第一の実施形態に係る経路データの一例を示す図である。
【0046】
経路データ34は、項目として、日時と、位置と、を含む。
【0047】
項目「日時」の値は、高圧ガス容器1がそれぞれの位置の測定時刻を示す値である。
【0048】
項目「位置」の値は、高圧ガス容器1が測定された位置を示す値である。
【0049】
経路データ34には、高圧ガス容器1の位置を示すデータが時系列に沿って追加される。また、電池10によって、輸送中のように外部から電力の供給が行われない環境であっても、位置センサ20が位置データを取得できる。このようにして、経路データ34には、輸送経路が記録される。
【0050】
本実施形態に係る高圧ガス容器1によれば、高圧ガス容器1の輸送経路が記録される。そのため、例えば、使用後の高圧ガス容器1を回収後や点検の際等に、記録された輸送経路が輸出規制などの法的規制に適合しているかを確認することができる。
【0051】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、外部のデータ記録装置に経路データを記録する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0052】
図7は、第二の実施形態に係るデータ記録システムの概念図である。
【0053】
データ記録システム5は、高圧ガス容器1と、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント2と、データ記録装置3と、ネットワーク4と、を備える。
【0054】
本実施形態に係る高圧ガス容器1は、無線機60をさらに備える。
【0055】
無線機60は、無線LANアクセスポイント2と無線通信を行う通信器である。また、無線機60は、高圧ガス容器1を識別するための識別子である容器IDを記憶していて、無線通信の際に、容器IDを付加してデータを送信する。
【0056】
無線LANアクセスポイント2は、ネットワーク4を介してデータ記録装置3と通信可能に接続されている。
【0057】
無線LANアクセスポイント2は、無線LANを設定して、ネットワーク4に接続された機器と無線機60との間の通信を仲介する通信中継装置である。
【0058】
データ記録装置3は、高圧ガス容器1から位置データを受信して、経路データを記録する装置である。データ記録装置3のハードウェア構成および機能構成は、第一の実施形態と同様である。
【0059】
経路データ更新部33は、位置データを測定した時刻を取得して、記憶部31に格納された経路データ34に、取得した位置と時刻を関連付けたデータを追加する。また、経路データ更新部33は、位置データに含まれる容器IDを取得して、経路データに記録する。
【0060】
図8は、第一の実施形態に係る経路データの一例を示す図である。
【0061】
本実施形態に係る経路データ34は、項目として、容器IDと、日時と、位置と、を含む。
【0062】
項目「容器ID」の値は、高圧ガス容器1を識別するための識別子である。
【0063】
本実施形態に係るデータ記録システム5によれば、複数の高圧ガス容器1について、それぞれの経路データを、データ記録装置3において集中して管理することができる。
【0064】
また、輸送経路をリアルタイムに遠隔から確認することができる。したがって、誤配送などが生じても、確認された輸送経路から高圧ガス容器1の位置を特定できるので行方不明になることを防止できる。
【0065】
上述した各実施形態において、高圧ガス容器1が種々のセンサを備え、位置センサ20に加えて、他のセンサの測定結果を記録しても良い。
【0066】
例えば、高圧ガス容器1は、ガス残量センサ、電池残量センサ、速度センサ、加速度センサ等を備えても良い。
【0067】
上述した各実施形態において、高圧ガス容器1は、USB(Universal Serial Bus)端子等の充電端子をさらに備えても良い。これによって、電池10に充電することができる。
【0068】
上述した各実施形態における電池10、位置センサ20、データ記録装置30等は、専用のハードウェアでなく、汎用のコンピュータ等によって実現されても良い。例えば、これらはスマートフォンによっても代用可能である。スマートフォンは、備えられたGPS機能によって、位置を測定することが可能である。また、スマートフォンにアプリケーションをインストールすることによって、スマートフォンが、データ記録装置30の処理を実行することができる。
【0069】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 高圧ガス容器
2 無線LANアクセスポイント
3 データ記録装置
4 ネットワーク
5 データ記録システム
10 電池
20 位置センサ
30 データ記録装置
40 プロテクタ
50 スカート
60 無線機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8