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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】回転電機用配線部品
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/51 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H02K3/51 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020034906
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021141642
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅津 潤
(72)【発明者】
【氏名】高橋 範行
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079528(JP,A)
【文献】特開2005-099819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電線を備え、回転電機におけるステータのコイルエンドと端子台の電極とを接続する回転電機用配線部品であって、
前記複数の導電線の一部を一括して覆い、前記複数の導電線を連結した状態で保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記複数の導電線を所定の配線形状に保持するホルダと、前記ホルダ及び前記複数の導電線の一部を覆うように樹脂をモールドしてなる樹脂モールド部と、を有し、
前記ホルダは、被配置部材に配置される際に当該被配置部材と対向する前記保持部の面である載置面において、前記樹脂モールド部から露出された露出部を有する、
回転電機用配線部品。
【請求項2】
前記ホルダは、前記樹脂モールド部に覆われる板状の本体部を有し、
前記複数の導電線は、それぞれ、前記コイルエンドと接続される接続部を有し、
前記複数の接続部は、前記本体部の表面側にあり、前記本体部の裏面には、突起が形成されており、
前記突起が前記樹脂モールド部から露出することにより前記露出部が形成されている、
請求項1に記載の回転電機用配線部品。
【請求項3】
前記ホルダは、少なくとも3つの前記露出部を有し、
前記3つの露出部は、前記載置面を平面視した際に、前記3つの露出部の中心位置を結んだ形状が三角形状となるように設けられている、
請求項1または2に記載の回転電機用配線部品。
【請求項4】
前記複数の導電線のうち一部の前記導電線を一括して覆う個別保持部をさらに備え、
前記個別保持部は、前記ホルダと一体または別体に構成された個別ホルダと、前記個別ホルダを覆うように設けられ前記樹脂モールド部とは別体に形成された個別樹脂モールド部と、を有し、
前記個別ホルダは、前記被配置部材に配置される際に前記被配置部材と対向する前記個別保持部の面である載置面において、前記個別樹脂モールド部から露出された露出部を有する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転電機用配線部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機用配線部品に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機におけるステータのコイルエンドと端子台の電極とを接続する回転電機用配線部品が知られている。このような回転電機用配線部品として、複数の導電線と、複数の導電線を一括して覆うように樹脂をモールドしてなり、複数の導電線を保持する保持部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。各導電線の一方の端部には、端子台の電極に接続される端子が設けられる。各導電線の他方の端部には、ステータのコイルエンドに溶接される接続部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-164387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車やハイブリッド車当の車両用に用いられる回転電機用配線部品では、端子と接続部との位置関係(距離)に高い精度が要求される。そのため、回転電機用配線部品の製造に際しては、端子と接続部との位置関係を検査する検査工程が行われている。当該検査工程においては、検査台上に回転電機用配線部品を配置し、端子と接続部との距離の測定を行う。
【0005】
この検査工程の際には、回転電機用配線部品は、保持部の底面が検査台に接触するように配置される。しかし、保持部は樹脂モールドで覆われているため、ヒケ等による底面の荒れによって、回転電機用配線部品が傾いたりがたついたりして検査台上に安定して配置できない場合があり、このような場合、端子と接続部との位置関係を正確に測定できないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、検査台等の被配置部材に安定して配置することが可能な回転電機用配線部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の導電線を備え、回転電機におけるステータのコイルエンドと端子台の電極とを接続する回転電機用配線部品であって、前記複数の導電線の一部を一括して覆い、前記複数の導電線を連結した状態で保持する保持部を備え、前記保持部は、前記複数の導電線を所定の配線形状に保持するホルダと、前記ホルダ及び前記複数の導電線の一部を覆うように樹脂をモールドしてなる樹脂モールド部と、を有し、前記ホルダは、被配置部材に配置される際に当該被配置部材と対向する前記保持部の面である載置面において、前記樹脂モールド部から露出された露出部を有する、回転電機用配線部品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検査台等の被配置部材に安定して配置することが可能な回転電機用配線部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る回転電機用配線部品を備えた回転電機の構成例を示し、(a)は全体図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図2】(a),(b)は、回転電機用配線部品の斜視図である。
図3】(a),(b)は、ホルダの斜視図である。
図4】(a),(b)は、ホルダに導電線を配置した際の斜視図である。
図5】(a),(b)は、ホルダが露出部を有することによる効果を説明する模式図である。
図6】(a),(b)は、本発明の一変形例に係る回転電機用配線部品を示す模式図である。
図7】本発明の一変形例に係る回転電機用配線部品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
(回転電機の説明)
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転電機用配線部品を備えた回転電機の構成例を示し、(a)は全体図、(b)は(a)の部分拡大図である。回転電機10は、電気自動車や所謂ハイブリッド車等の電力によって駆動される車両に搭載される。以下の説明では、回転電機10が電動機として用いられる場合について説明するが、回転電機10を発電機として用いることも可能である。
【0012】
回転電機10は、ロータ(回転子)12と、ロータ12を囲うように配置されたステータ(固定子)11と、端子台13と、を備えている。ロータ12は、軟磁性金属からなるロータコア121に複数の磁石122が埋め込まれて構成されており、中心部に挿通されたシャフト123と共に回転する。ステータ11は、軟磁性金属からなるステータコア111と、複数のコイル片112とを有している。
【0013】
以下の説明では、シャフト123の回転軸線Oに平行な方向を軸方向といい、回転軸線Oを通りかつ回転軸線Oに対して垂直な方向を径方向といい、軸方向及び径方向に対して垂直な方向を周方向という。また、以下の説明では、説明の便宜上、ステータコア111の軸方向両側のうち、回転電機用配線部品1が配置された側を上側といい、その反対側を下側という。ただし、この上側及び下側は、車両に搭載された状態における鉛直方向の上下を特定するものではない。
【0014】
図示していないが、ステータコア111は、円筒状のバックヨークと、バックヨークから径方向内方に向かって突出した複数のティースとを一体に有している。周方向に隣り合うティースの間には、スロットが形成されている。それぞれのコイル片112は、ステータコア111のスロットに収容され保持されている。
【0015】
また、コイル片112は、銅やアルミニウム等の良導電性を有する導電性金属112Mと、導電性金属112Mの表面を被覆する電気絶縁性の被覆層112Iからなる。本実施の形態では、導電性金属112Mが断面矩形状の平角単線であり、被覆層112Iがエナメル被覆からなる。コイル片112の端部であるコイルエンド113では、被覆層112Iが除去されて導電性金属112Mが露出している。各コイル片112は、コイルエンド113同士が溶接され、電気角の位相が所定角度ずれた2組の三相(U相,V相,及びW相)固定子巻線を構成している。
【0016】
また、回転電機10は、ステータ11を収容するハウジング(図略)と、ハウジングに固定された端子台13と、を備えている。端子台13は、ハウジングに固定された樹脂からなる基台131と、コントローラから三相交流電流が供給される3つの電極132とを有している。
【0017】
さらに、回転電機10は、本実施の形態に係る回転電機用配線部品1を備えている。回転電機用配線部品1は、ステータ11のコイルエンド113と端子台13の電極132とを接続するための部材である。以下、回転電機用配線部品1の詳細について説明する。
【0018】
(回転電機用配線部品1の説明)
図2(a),(b)は、回転電機用配線部品1の斜視図である。図2(a),(b)に示すように、回転電機用配線部品1は、複数の導電線2と、複数の導電線2を保持する保持部3と、を備えている。
【0019】
本実施の形態では、回転電機用配線部品1は、6本の導電線2と3つの端子4とを備え、端子台13の3つの電極132と各相のコイル片112のコイルエンド113とをそれぞれ接続する。なお、回転電機用の配線部品としては、導電線が環状に形成された所謂バスリングが知られているが、本実施の形態に係る回転電機用配線部品1は、バスリングとは異なり、導電線2が環状に形成されていない非環状の配線部品である。また、6本の導電線2は、自身の形状を保持できる程度に剛性が高い。また、6本の導電線2は、その長手方向に垂直な断面形状が円形状に形成されている。なお、導電線2の数は、6本に限らず、3の倍数本であればよい。
【0020】
6本の導電線2は、第1及び第2のU相リード線21,22と、第1及び第2のV相リード線23,24と、第1及び第2のW相リード線25,26と、からなる。各導電線2は、それぞれが導電性金属からなる導電体2Mと、導電体2Mの表面を被覆する電気絶縁性の被覆層2Iと、を有している。導電性金属としては、例えば銅あるいは銅合金を好適に用いることができる。被覆層2Iとしては、エナメル被膜を好適に用いることができる。導電体2Mは、単線(撚線ではない単一の金属導体)であり、本実施の形態では、断面円形状の丸単線がプレス加工により所定の形状に成形されている。ただし、断面矩形状の平角単線により導電体2Mを形成してもよい。
【0021】
3つの端子4は、U相端子41、V相端子42、及びW相端子43からなる。U相端子41は、端子台におけるU相の電極に接続される板部411と、第1及び第2のU相リード線21,22の一端部が共に加締められる加締め部412とを有している。板部411には、ボルト挿通孔410が形成されており、ボルト挿通孔410に挿通されるボルト(図略)によって、端子台におけるU相の電極に板部411が接続される。同様に、V相端子42は、端子台におけるV相の電極に接続される板部421と、第1及び第2のV相リード線23,24の一端部が共に加締められる加締め部422とを有している。板部421には、ボルト挿通孔420が形成されており、ボルト挿通孔420に挿通されるボルト(図略)によって、端子台におけるV相の電極に板部421が接続される。また同様に、W相端子43は、端子台におけるW相の電極に接続される板部431と、第1及び第2のW相リード線25,26の一端部が共に加締められる加締め部432とを有している。板部431には、ボルト挿通孔430が形成されており、ボルト挿通孔430に挿通されるボルト(図略)によって、端子台におけるW相の電極に板部431が接続される。
【0022】
各導電線2の他端部(端子4と反対側の端部)では、所定の長さ範囲にわたって被覆層2Iが除去され、導電体2Mが露出した接続部5が設けられている。接続部5は、不活性ガスを用いたアーク放電による溶接方法の一種であるTIG(Tungsten Inert Gas)溶接により、対応するコイル片112のコイルエンド113に溶接される。なお、接続部5におけるコイルエンド113との対向面は、プレス加工により平面状とされている。
【0023】
保持部3は、複数の導電線2の一部を一括して覆い、全ての導電線2を連結した状態で保持するように構成されている。保持部3は、各導電線2を所定の配線形状に保持するホルダ31と、ホルダ31及び導電線2の一部を覆うように樹脂をモールドしてなる樹脂モールド部32と、を有している。ホルダ31は、樹脂モールド部32のモールドの際に樹脂圧による導電線2の位置ずれを抑制し、導電線2を所定の配線形状に保持する役割を果たしている。
【0024】
図3(a),(b)は、ホルダ31の斜視図であり、図4(a),(b)は、ホルダ31に各導電線2を配置した際の斜視図である。ホルダ31は、全体として略板状に形成されており、後述する第1の樹脂モールド部321に覆われる本体部311と、第1の樹脂モールド部321から延出される第1乃至第3の延出部312~313と、を一体に有している。以下、検査台等の被配置部材50(図5(a),(b)参照)に配置した際に、被配置部材50と対向する側のホルダ31の面を裏面といい、その反対側の面を表面という。ホルダ31は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)からなる。
【0025】
第1の延出部312は、保持部3からコイルエンド113側に延出される第1のU相リード線21に沿って形成されており、第1のU相リード線21の位置を規制する溝を有する規制部312aを有している。第2の延出部313は、保持部3からコイルエンド113側に延出される第2のV相リード線24及び第1のW相リード線25に沿って形成されており、両リード線24,25の位置を規制する溝を有する一対の規制部313a.313bと、両規制部313a,313bを連結する板状の連結部313cと、を有している。一方の規制部313aは本体部311の縁部に連結されており、他方の規制部313bは連結部313cを介して一方の規制部313aに連結されている。同様に、第3の延出部314は、保持部3からコイルエンド113側に延出される第2のU相リード線22、第1のV相リード線23、及び第2のW相リード線26に沿って形成されており、各リード線22,23,26の位置を規制する溝を有する一対の規制部314a.314bと、両規制部314a,314bを連結する板状の連結部314cと、を有している。一方の規制部314aは本体部311の縁部に連結されており、他方の規制部314bは連結部314cを介して一方の規制部314aに連結されている。
【0026】
ホルダ31の本体部311の表面及び裏面には、導電線2の位置を規制する規制突起311aが複数形成されている。規制突起311aは、導電線2の位置を規制する溝を有しており、当該溝内に導電線2を収容することで導電線2の位置を規制する。図示の例では、本体部311の表面に、第2のU相リード線21の位置を規制する2つの規制突起311aと、第1のV相リード線23の位置を規制する1つの規制突起311aとが形成されている。また、本体部311の裏面に、第2のV相リード線24と、第1のW相リード線25の位置を規制する2つの規制突起311aが形成されている。さらに、本体部311の表面には、樹脂モールド部32のモールド時に金型に当接してホルダ31の位置決めを行うための位置決め用突起311bが形成されている。この位置決め用突起311bは金型に接触するため、樹脂モールド部32の形成後に樹脂モールド部32の外部に露出する部分となる(図2(a)参照)。
【0027】
さらに、本実施の形態では、ホルダ31の本体部311の裏面には、円柱状の突起からなる露出部311cが形成される。この露出部311cは、その先端部が樹脂モールド部32から露出される。露出部311cの詳細については後述する。
【0028】
樹脂モールド部32は、ホルダ31の本体部311と、6本の導電線2とを一括して覆う第1の樹脂モールド部321と、第1の樹脂モールド部321と離間して設けられた第2及び第3の樹脂モールド部322,323と、を有している。第2の樹脂モールド部322は、第2の延出部313における規制部313bの中央部と、第2のV相リード線24と、第1のW相リード線25と、を覆うように形成されており、両リード線24,25を規制部313bに固定する役割を果たしている。同様に、第3の樹脂モールド部323は、第3の延出部314における規制部314bの中央部と、第2のU相リード線22と、第1のV相リード線23と、第2のW相リード線26と、を覆うように形成されており、各リード線22,23,26を規制部314bに固定する役割を果たしている。樹脂モールド部32は、ホルダ31と同じ材料からなるものを用いることが望ましく、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)からなる。
【0029】
本実施の形態では、ホルダ31の本体部311及び第1の樹脂モールド部321は、複数の導電線2を一括して覆い連結する連結部を構成している。
【0030】
また、本実施の形態では、第2の樹脂モールド部322及び第2の延出部313、並びに、第3の樹脂モールド部323及び第3の延出部314は、複数の導電線2のうち一部の導電線2を一括して覆う個別保持部を構成している。
【0031】
個別保持部は、個別ホルダと、個別ホルダを覆うように設けられ連結部を構成する第1の樹脂モールド部321とは別体に形成された個別樹脂モールド部と、を有する。ここでは、第2の延出部313及び第3の延出部314が個別ホルダを構成し、第2の樹脂モールド部322及び第3の樹脂モールド部323が個別樹脂モールド部を構成している。本実施の形態では、個別ホルダとしての第2の延出部313及び第3の延出部314がホルダ31の本体部311と一体に構成されているが、別体に構成されてもよい。
【0032】
以下、被配置部材50に配置される際に当該被配置部材50と対向する保持部3の面を、載置面3aと呼称する。載置面3aは、樹脂モールド部32におけるホルダ31の裏面が臨む面となる。
【0033】
(露出部311cの説明)
本実施の形態に係る回転電機用配線部品1では、ホルダ31は、保持部3の載置面3aにおいて、樹脂モールド部32から露出された露出部311cを有している。
【0034】
本実施の形態では、ホルダ31の本体部311に3つの露出部311cが形成されており、当該3つの露出部311cの端面が第1の樹脂モールド部321から露出している。なお、ここでは、露出部311cの端面と第1の樹脂モールド311cの載置面3aとが一致するように構成しているが、これに限らず、露出部311cは、載置面3aから突出していてもよいし、載置面3aよりも凹んでいてもよい。
【0035】
第1の樹脂モールド部321は、全ての導電線2を覆う大型の部材であるために、モールド時にヒケ等が生じて載置面3aに荒れが生じやすい。載置面3aに荒れが生じると、例えば、図5(a)に示すように、載置面3aの荒れの影響で回転電機用配線部品1が傾いて配置されたり、図5(b)に示すように、載置面3aが湾曲する等して回転電機用配線部品1の配置が安定せずがたついた状態となったりするおそれがある。そのため、例えば、検査台等の被配置部材50に回転電機用配線部品1を配置して、端子4と接続部5間の距離を測定した場合に、正確な測定が行えない場合がある。
【0036】
これに対して、ホルダ31は予め射出成形等により形成可能であり、ヒケ等の影響があらわれにくい。そのため、ホルダ31に露出部311cを形成し、この露出部311cを被配置部材50で支持するように構成することで、図5(a),(b)に示すように、回転電機用配線部品1を安定して被配置部材50に配置することが可能となり、例えば、端子4と接続部5間の距離を安定して測定することが可能になる。
【0037】
回転電機用配線部品1の被配置部材50への配置をより安定させるために、ホルダ31は、少なくとも3つ以上の露出部311cを有することが望ましい。また、露出部311cは、回転電機用配線部品1の重心を考慮して、回転電機用配線部品1を被配置部材50に配置した際に回転電機用配線部品1の姿勢を安定させることが出来る位置に形成されることが望ましい。例えば、本実施の形態のようにホルダ31が3つの露出部311cを有する場合、3つの露出部311cは、載置面3aを平面視した際に、3つの露出部311cの中心位置を結んだ形状が三角形状となるように設けられることが望ましい。
【0038】
また、回転電機用配線部品1を被配置部材50に配置する際に、被配置部材50が樹脂モールド部32に接触すると、回転電機用配線部品1を安定して配置できない場合があるため、被配置部材50の表面から突出する突出部51を被配置部材50に形成し、当該突出部51の先端部を露出部311cに当接させることで、回転電機用配線部品1を支持させることがより望ましい。本実施の形態では、突出部51の先端部を丸みを帯びた形状とすることで、露出部311cと突出部51とが点で接触するように構成している。これにより、例えば露出部311cの端面が多少荒れていても、回転電機用配線部品1を被配置部材50に安定して配置することができる。なお、これに限らず、突出部51を円柱状に形成し、露出部311cの先端部を丸みを帯びた形状としてもよい。また、図示していないが、突出部51の先端部を露出部311cに当接させた状態で、クランプ等の固定部材を用いて回転電気用配線部品1を被配置部材50に固定するようにしてもよい。
【0039】
なお、被配置部材50に突出部51を設けることは必須ではなく、例えば、樹脂モールド部32から突出するように露出部311cを形成し、突出した露出部311cを被配置部材50の表面に当接させることで、回転電機用配線部品1を被配置部材50に配置してもよい。
【0040】
本実施の形態では、円柱状に露出部311cを形成したが、露出部311cの形状はこれに限定されず、例えば角柱状や多角柱状としてもよい。また、図6(a)に示すように、樹脂モールド部32(第1の樹脂モールド部321)の載置面3aにホルダ31まで届く穴321aを形成してホルダ31の本体部311の裏面の一部を露出させ、当該露出部分を露出部311cとしてもよい。この場合、穴321aに差し込まれた突出部51が露出部311c(本体部311の裏面)に当接することで、回転電機用配線部品1が支持されることになる。突出部51の長さは、突出部51を本体部311の裏面に当接させた状態としたときに、樹脂モールド部32が検査台等の被配置部材50に接触しないように、適宜な長さに設定するとよい。
【0041】
さらに、図6(b)に示すように、露出部311cの面積を広く形成し、露出部311cと被配置部材50とが面接触するように構成することも可能である。この場合、露出部311cの数を2つ以下に減らしても、回転電機用配線部品1を被配置部材50に安定して配置することができる。ただし、露出部311が大きくなりすぎると、成形時にヒケ等の影響があらわれるおそれがあるため、露出部311cの大きさ(被配置部材50との接触面積)は、ヒケ等の影響が出ない程度に抑える必要がある。なお、露出部311cを線状(リブ状)に構成することも可能である。
【0042】
さらにまた、図7に示すように、連結部のみならず、個別保持部に露出部311dを形成してもよい。すなわち、個別ホルダは、被配置部材50に配置される際に被配置部材50と対向する個別保持部の面である載置面において、個別樹脂モールド部から露出された露出部311dを有してもよい。図7では、ホルダ31の第3の延出部314における裏面に円柱状の露出部311dを形成し、この露出部311dが第3の樹脂モールド部323から露出されるように構成されている。なお、例えば、ホルダ31の第2の延出部313における裏面に円柱状の露出部を形成し、この露出部が第2の樹脂モールド部322から露出されるように構成してもよい。個別保持部に露出部311dを形成することで、露出部311c、311dの間隔が広くなるので、より安定して回転電機用配線部品1を支持することが可能になる。
【0043】
なお、ここでは、被配置部材50が検査台である場合を説明したが、被配置部材50はこれに限らず、例えば、ステータコア111であってもよい。回転電機用配線部品1をステータコア111に配置する場合であっても、ホルダ31に露出部311cを備え、当該露出部311cをステータコア111で支持するように構成することで、回転電機用配線部品1のがたつきを抑え安定して配置することが可能である。
【0044】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る回転電機用配線部品1では、ホルダ31は、被配置部材50に配置される際に当該被配置部材50と対向する保持部3の面である載置面3aにおいて、樹脂モールド部32から露出された露出部311cを有している。
【0045】
これにより、被配置部材50にて露出部311cを支持するように構成することで、回転電機用配線部品1を検査台等の被配置部材50に安定して配置することが可能になり、例えば端子4と接続部5間の距離等を正確に測定することが可能になる。
【0046】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0047】
[1]複数の導電線(2)を備え、回転電機(10)におけるステータ(11)のコイルエンド(113)と端子台(13)の電極(132)とを接続する回転電機用配線部品(1)であって、前記複数の導電線(2)の一部を一括して覆い、前記複数の導電線(2)を連結した状態で保持する保持部(3)を備え、前記保持部(3)は、前記複数の導電線(2)を所定の配線形状に保持するホルダ(31)と、前記ホルダ(31)及び前記複数の導電線(2)の一部を覆うように樹脂をモールドしてなる樹脂モールド部(32)と、を有し、前記ホルダ(31)は、被配置部材(50)に配置される際に当該被配置部材(50)と対向する前記保持部(3)の面である載置面(3a)において、前記樹脂モールド部(32)から露出された露出部(311c)を有する、回転電機用配線部品(1)。
【0048】
[2]前記ホルダ(31)は、少なくとも3つ以上の前記露出部(311c)を有する、[1]に記載の回転電機用配線部品(1)。
【0049】
[3]前記ホルダ(31)は、3つの前記露出部(311c)を有し、前記3つの露出部(311c)は、前記載置面(3a)を平面視した際に、前記3つの露出部(311c)の中心位置を結んだ形状が三角形状となるように設けられている、[1]または[2]に記載の回転電機用配線部品(1)。
【0050】
[4]前記複数の導電線(2)のうち一部の前記導電線(2)を一括して覆う個別保持部をさらに備え、前記個別保持部は、前記ホルダ(311)と一体または別体に構成された個別ホルダと、前記個別ホルダを覆うように設けられ前記樹脂モールド部とは別体に形成された個別樹脂モールド部と、を有し、前記個別ホルダは、前記被配置部材(50)に配置される際に前記被配置部材(50)と対向する前記個別保持部の面である載置面において、前記個別樹脂モールド部から露出された露出部(311d)を有する、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の回転電機用配線部品(1)。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…回転電機用配線部品
2…導電線
3…保持部
3a…載置面
31…ホルダ
311a…規制突起
311c…露出部
32…樹脂モールド部
321…第1の樹脂モールド部
322…第2の樹脂モールド部
323…第3の樹脂モールド部
4…端子
5…接続部
10…回転電機
11…ステータ
111…ステータコア
113…コイルエンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7