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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】放熱ケーブル及び医療用検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20231114BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231114BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61B1/12 541
A61B1/00 713
G02B23/24 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020151507
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045749
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 健一
(72)【発明者】
【氏名】深作 泉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲金▼偉龍
(72)【発明者】
【氏名】南畝 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 弘
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-004104(JP,A)
【文献】特開平04-092655(JP,A)
【文献】特開昭63-164931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0151046(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
8/00- 8/15
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成されたシースと、
前記シースの内部に配置される筒状に形成されたチューブと、
前記シースおよび前記チューブの両端部に配置され、前記シースおよび前記チューブの間に形成される空間と外部との間での熱輸送媒体の移動を抑制可能に区画するとともに前記空間および前記外部との間で熱交換可能とする封止部と、
前記シースおよび前記チューブの間を前記両端部にわたって配置され、液相の前記熱輸送媒体が毛細管現象により移動可能な構成を有する液媒体移動部と、
前記シースおよび前記チューブの間を前記両端部にわたって配置され、気相の前記熱輸送媒体が移動可能な流路を形成する流路形成部と、
が設けられ
前記流路形成部により形成される前記流路は、前記両端部の間を前記チューブのまわりを回転して延びるらせん形状を有している放熱ケーブル。
【請求項2】
前記液媒体移動部は、複数の金属製の素線を含むシールドである請求項1に記載の放熱ケーブル。
【請求項3】
前記液媒体移動部は、封止部材と熱伝導可能に接触している請求項1または2に記載の放熱ケーブル。
【請求項4】
前記液媒体移動部は前記シース側に配置され、
前記流路形成部により形成される前記流路は、前記チューブ側に配置される請求項2または3に記載の放熱ケーブル。
【請求項5】
前記流路形成部により形成される前記流路は、前記シース側に配置され、
前記液媒体移動部は前記チューブ側に配置される請求項2または3に記載の放熱ケーブル。
【請求項6】
前記シースは前記封止部よりも熱伝導率が低い材料から形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の放熱ケーブル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の放熱ケーブルと、
前記シースおよび前記チューブの内部に封入される熱輸送媒体と、
医療用の検査に用いられる検査部と、
内部に前記検査部が配置されるとともに、前記検査部および前記封止部の間で熱交換可能とするケースと、
が設けられている医療用検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱ケーブル及び医療用検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡や超音波プローブなどの端部に医療用機器が配置されたケーブルを備える医療用検査装置が知られている。このケーブルに、医療用機器を冷却させる機能を持たせたものが提案されている。
【0003】
例えば、内視鏡における端部を冷却するために、シース内の多孔質セラミック内の毛細管現象によって冷却水を移動させて放熱する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-098575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、気化した冷却水(言い換えると水蒸気)が先端から排出されていた。排出された蒸気が冷えて再度液化する(言い換えると結露する)可能性がある。そのため、気化した冷却水が結露することを許容する用途にしか使用できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、使用用途の限定を緩和しやすい放熱ケーブル及び医療用検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る放熱ケーブルは、筒状に形成されたシースと、前記シースの内部に配置される筒状に形成されたチューブと、前記シースおよび前記チューブの両端部に配置され、前記シースおよび前記チューブの間に形成される空間と外部との間での熱輸送媒体の移動を抑制可能に区画するとともに前記空間および前記外部との間で熱交換可能とする封止部と、前記シースおよび前記チューブの間を前記両端部にわたって配置され、液相の前記熱輸送媒体が毛細管現象により移動可能な構成を有する液媒体移動部と、前記シースおよび前記チューブの間を前記両端部にわたって配置され、気相の前記熱輸送媒体が移動可能な流路を形成する流路形成部と、が設けられている。
【0008】
本発明の第2の態様に係る医療用検査装置は、上記第1の態様に係る放熱ケーブルと、前記シースおよび前記チューブの内部に封入される熱輸送媒体と、医療用の検査に用いられる検査部と、内部に前記検査部が配置されるとともに、前記検査部および前記封止部の間で熱交換可能とするケースと、が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様に係る放熱ケーブル及び第2の態様に係る医療用検査装置によれば、熱輸送媒体は外部への移動を抑制可能に区画されたシースとチューブとの間の空間に閉じ込められる。熱輸送媒体が外部に移動しにくくなることから、放熱ケーブル及び医療用検査装置における使用用途の限定を緩和しやすいという効果を奏する。なお、熱輸送媒体の外部への移動は漏えいと表現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の放熱ケーブルおよび医療用検査装置の構成を説明する模式図である。
図2図1の放熱ケーブルの構成を説明する断面図である。
図3図1の流路形成部および流路の構成を説明する模式図である。
図4】他の流路形成部および流路の構成を説明する模式図である。
図5】液媒体移動部および流路形成部の異なる配置例を説明する断面図である。
図6】流路形成部および流路の更に別の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の一実施形態に係る放熱ケーブルおよび医療用検査装置について、図1から図6を参照しながら説明する。本実施形態の医療用検査装置40は、例えば超音波を用いて検査を行う超音波プローブや、小型の光学撮像素子を用いて視覚的に観察する内視鏡装置などの各種の装置である。
【0012】
医療用検査装置40には、図1に示すように、放熱ケーブル10と、検査部30と、ケース35と、が設けられている。
放熱ケーブル10は、先端に検査部30が設けられるケーブルであって、熱輸送媒体HMを用いて検査部30で発生した熱をケーブルの基端で放熱するものである。放熱ケーブル10には、図1および図2に示すように、シース11と、チューブ12と、配線13と、封止部15と、液媒体移動部21と、流路形成部25と、が設けられている。
【0013】
熱輸送媒体HMは、検査部30のデバイス31で発生した熱を放熱ケーブル10の先端から基端に輸送するものである。熱輸送媒体HMは熱の輸送に用いられる媒体であって、冷媒または熱媒とも呼ばれる。熱輸送媒体HMとしては、気化や液化の際の吸熱、放熱(潜熱とも呼ぶ。)を利用して熱を輸送する媒体であることが好ましい。
【0014】
放熱ケーブル10に用いられる熱輸送媒体HMとしては生体適合性を有するものが好ましい。具体的には、パーフルオロカーボンを熱輸送媒体HMとして用いる例を示すことができる。熱輸送媒体HMとして沸点30℃程度のパーフルオロカーボンを用いた場合、放熱ケーブル10は、気化する側の封止部15Aの温度が40℃程度、液化する側の封止部15Bの温度が20℃程度で使用されることが好ましい。なお、封止部15Aと封止部15Bとを区別する必要がない場合には、単に封止部15とも表記する。
【0015】
シース11は筒状に形成された部材であって、内部に液媒体移動部21、流路形成部25、チューブ12、および、配線13などが配置された部材である。シース11を構成する材料としては、生体適合性を有するポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂(医療用高分子材料)を例示することができる。シース11を構成する部材は、封止部15を構成する部材よりも熱伝導率が低い材料が好ましい。
【0016】
シース11の外径は、医療用検査装置40の用途に応じて適宜定めることができる。例えば、医療用検査装置40が人体の検査に用いられる超音波プローブや内視鏡である場合には、外径の直径が15mm程度から0.5mm程度の範囲内であることが好ましい。
【0017】
チューブ12は筒状に形成された部材であって、シース11の内部に配置されるとともに配線13が内部に配置された部材である。チューブ12を構成する材料としては、生体適合性を有するポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂(医療用高分子材料)を例示することができる。
【0018】
配線13はチューブ12の内部に配置された部材である。配線13は、検査部30に入力される信号や、検査部30から出力される信号を伝送する部材である。配線13は、検査部30を駆動する電力を供給する部材であってもよい。本実施形態では7本の配線13が配置された例で説明するが、配線13の数は7本よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0019】
封止部15は、図1に示すように、放熱ケーブル10の先端および基端の両端部に配置され、シース11およびチューブ12の間に形成される空間と外部との間での熱輸送媒体HMの移動を抑制可能に区画する部材である。より好ましくは、熱輸送媒体HMの移動を防止可能に区画する部材である。封止部15は、空間と外部との間で熱交換を可能とする熱伝導率を有する材料から形成されている。封止部15は、例えば、銅または銅を成分に含む銅合金から形成されている。
【0020】
封止部15には、外周部16と、内周部17と、端部18と、が設けられている。外周部16は封止樹脂19を用いてシース11に取り付けられる筒状の部材である。内周部17は封止樹脂19を用いてチューブ12に取り付けられる筒状の部材である。端部18は外周部16および内周部17の端をつなぐリング板状の部材である。なお、封止部15の形状は上述の形状に限定されるものではない。
【0021】
液媒体移動部21は、図1に示すように、シース11およびチューブ12の間を先端から基端にわたって配置される部材である。液媒体移動部21は、図1および図2に示すように、素線を用いて円筒状に形成された編組である。液媒体移動部21はシールドであってもよい。素線としては直径が0.05mmの軟銅線を例示することができる。軟銅線はスズメッキを施し、耐食性を向上したものが好ましい。
【0022】
液媒体移動部21である編組は、液相の熱輸送媒体HMが毛細管現象により移動可能な構成を有していることが好ましい。例えば、編組を構成する素線と素線の間隔を、液相の熱輸送媒体HMが毛細管現象を起こす間隔とすることが好ましい。また、素線の表面に液相の熱輸送媒体HMとの親和性を高める処理を施してもよい。
【0023】
液媒体移動部21はシース11の内側に隣接する位置であって、流路形成部25よりも外側の位置に配置されている。液媒体移動部21における先端側の端部は、先端に配置された封止部15Aにハンダ付けされている。
【0024】
例えば、液媒体移動部21は、封止部15の内周部17にハンダ付けされている。液媒体移動部21は、封止部15の外周部16にハンダ付けされていてもよい。液媒体移動部21は、封止部15とのハンダ付けを容易にするために端部がシース11から突出してもよい。液媒体移動部21における基端側の端部も、基端に配置された封止部15Bにハンダ付けされてもよい。
【0025】
流路形成部25は、図1および図3に示すように、シース11およびチューブ12の間を先端から基端にわたって配置される部材である。流路形成部25はシース11およびチューブ12の間の空間を確保するものである。流路形成部25は、シース11およびチューブ12の少なくとも一方とともに気相の熱輸送媒体HMが先端および基端の間を移動可能な流路26を形成するものである。流路形成部25を形成する材料としては生体適合性を有するポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂(医療用高分子材料)を例示することができる。
【0026】
流路形成部25はチューブ12の外周面上をらせん状に延びる柱状の形状を有していてもよい。らせん状に延びる流路形成部25は、チューブ12の外周面上に1つ以上配置されていればよい。
【0027】
検査部30は、図1に示すように、放熱ケーブル10の先端に配置され、医療に用いられる情報を取得するものである。検査部30はケース35の内部に配置されている。検査部30には、デバイス31と、基板32とが設けられている。
【0028】
デバイス31は医療に用いられる情報を取得するものである。例えば、医療用検査装置40が超音波プローブである場合には超音波を発振したり反射した超音波を検知したりする探触子である。内視鏡装置である場合には、画像を取得する光学撮像素子である。
【0029】
基板32はデバイス31が配置され、デバイス31および配線13の間を信号の通信が可能に接続するものである。基板32は、配線13からデバイス31に電力を供給可能に接続してもよい。基板32にデバイス31を制御する制御回路が設けられていてもよい。
【0030】
ケース35は放熱ケーブル10の先端に配置され、検査部30を内部に収納するものである。ケース35は熱伝導率が高い材料、例えば銅または銅を成分に有する銅合金から形成されている。その他に、ケース35はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などから形成されていてもよい。
【0031】
ケース35は、デバイス31と熱の伝達が可能に配置されている。例えば、ケース35の一部がデバイス31と熱伝達可能に接触している。ケース35とデバイス31との接触の態様は、医療用検査装置40の用途(超音波プローブや内視鏡装置など)に応じて適宜選択される。
【0032】
ケース35は、放熱ケーブル10における先端に配置された封止部15Aと熱の伝達が可能に配置されている。例えば、ケース35の基端側の端が、封止部15Aの外周部16と熱伝達可能に接触している。
【0033】
次に、上記の構成からなる放熱ケーブル10を有する医療用検査装置40における放熱について図1を参照しながら説明する。具体的には、検査部30のデバイス31で発生した熱を、デバイス31と比較して温度が低い外部へ放熱する場合について説明する。
【0034】
医療用検査装置40のデバイス31は、医療に用いられる情報を取得する際に熱を発生する。デバイス31で発生した熱は、熱伝導可能に接触するケース35に伝わる。ケース35に伝わった熱は、ケース35と熱伝導可能に接触する封止部15Aに伝わる。
【0035】
封止部15Aに伝わった熱は、封止部15Aと熱伝導可能に接触する液媒体移動部21に伝わり、液媒体移動部21に存在する液相の熱輸送媒体HMに吸収される。熱を吸収した液相の熱輸送媒体HMは、気化して気相の熱輸送媒体HMとなる。
【0036】
気相の熱輸送媒体HMは、流路26の内部を先端から基端に向かって流動する。基端に到達した気相の熱輸送媒体HMは、基端側の封止部15Bに熱を放出して液化して液相の熱輸送媒体HMとなる。基端の封止部15Bは熱を外部へ放出する。
【0037】
液相の熱輸送媒体HMは、液媒体移動部21を毛細管現象により基端から先端に向かって移動する。先端に到達した液相の熱輸送媒体HMは、先端の封止部15Aから熱を吸収して気相の熱輸送媒体HMとなる。以後、熱輸送媒体HMは上述した基端への移動、液化、先端への移動を繰り返す。
【0038】
上記の構成の放熱ケーブル10を有する医療用検査装置40によれば、熱輸送媒体HMは外部への移動を抑制可能に区画されたシース11とチューブ12との間の空間に閉じ込められる。そのため、気相の熱輸送媒体HMが放熱ケーブルの外部に移動しにくくなり、移動した気相の熱輸送媒体HMが外部で液化することが抑制しやすい。熱輸送媒体HMが移動しにくくなることから、医療用検査装置40における使用用途の限定を緩和しやすい。
【0039】
熱輸送媒体は、液媒体移動部21における毛細管現象、先端側における気化、および、基端側における液化を利用して循環するため、熱輸送媒体を循環させるコンプレッサや配管を設ける必要がない。コンプレッサ等を設ける必要がないため、放熱ケーブル10や医療用検査装置40の小型化を図りやすい。配管を設ける必要がないため、放熱ケーブル10が太くなりにくい。また、放熱ケーブル10の曲げやすさを確保しやすい。
【0040】
流路形成部25により形成される流路26をらせん状に延びる流路とすることにより、直線状に延びる流路とした場合と比較して、放熱ケーブル10の曲げやすさを確保しやすい。
【0041】
液媒体移動部21を複数の金属製の素線を含む編組などのシールドにすることにより、放熱ケーブル10の内部に電界や磁界の影響が及びにくくなる。また、放熱ケーブル10の強度を確保しやすい。
【0042】
液媒体移動部21と封止部15とが熱伝導可能に接触することにより、外部と液熱輸送媒体HMとの間で熱交換を行いやすくなる。例えば、外部の熱により液相の熱輸送媒体HMが気化しやすくなる。または、気相の熱輸送媒体HMが外部に放熱しやすくなり液化しやすくなる。
【0043】
液媒体移動部21をシース11側に配置することにより、例えば、封止部15の熱がシース11側から進入する場合、液相の熱輸送媒体HMが封止部15の熱を吸収しやすい位置に導かれやすくなる。そのため、封止部15の熱がシース11側から進入する場合であって、液媒体移動部21をチューブ12側に配置したときと比較して、液相の熱輸送媒体HMを気化させやすくなる。
【0044】
封止部15よりも熱伝導率が低い材料からシース11を形成することにより、封止部15の近傍以外の場所で液相の熱輸送媒体HMが気化したり、気相の熱輸送媒体HMが液化したりすることを抑制しやすい。言い換えると、熱輸送媒体HMが封止部15の近傍で気化させたり、液化させたりしやすくなる。
【0045】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、流路形成部25は、図4に示すように、シース11およびチューブ12に沿って先端から基端に向かって直線状に延びる円柱状などの柱状の形状を有していてもよい。直線状に延びる流路形成部25は、チューブ12の外周面上に周方向に間隔をあけて複数(例えば3つ以上)配置されていることが好ましい。
【0046】
流路形成部25により形成される流路26を直線状に延びる流路とすることにより、らせん状に延びる流路とした場合と比較して、気相の熱輸送媒体HMが流れる際の抵抗を小さくしやすい。
【0047】
液媒体移動部21は、図5に示すように、チューブ12の外側に隣接する位置であって、流路形成部25よりも内側の位置に配置されていてもよい。
液媒体移動部21をチューブ12側に配置することにより、液媒体移動部21をシース11側に配置する場合と比較して放熱ケーブル10の曲げやすさを確保しやすくなる。
【0048】
液媒体移動部21は複数の素線から形成された筒状の編組であってもよいし、複数の素線がらせん状に巻かれ筒形状となったもの(「横巻き」とも呼ぶ。)であってもよい。
液媒体移動部21を横巻きとすることにより、編組とした場合と比較して、放熱ケーブル10を屈曲させたことによる素線の破断を抑制しやすい。
【0049】
基端側の封止部15Bから熱を奪い、当該封止部15Bの近傍における気相の熱輸送媒体の液化を促進させる冷却部が更に設けられていてもよい。冷却部としては、基端側の封止部15Bよりも低い温度に保たれ、当該封止部15Bと熱伝導可能に接触する部材を有するものであってもよい。基端側の封止部15Bに外部の空気を送風し、当該空気により当該封止部15Bの熱を奪う装置であってもよい。基端側の封止部15Bと熱伝導可能に接触し、外部への放熱面積を増加させる部材であってもよい。
【0050】
流路形成部25は、図6に示すように、シース11およびチューブ12の間の空間を埋める筒状の部材であって、流路形成部25の内部に流路26Aや、シース11とともに流路26Bを構成する溝や、チューブ12とともに流路26Cを構成する溝が形成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…放熱ケーブル、 11…シース、 12…チューブ、 15,15A,15B…封止部、 21…液媒体移動部、 25…流路形成部、 26,26A,26B,26C…流路、 30…検査部、 35…ケース、 40…医療用検査装置、 HM…熱輸送媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6