(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】配位子修飾フィルター及び液体組成物から金属を低減するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20231114BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20231114BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20231114BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20231114BHJP
B01D 71/06 20060101ALI20231114BHJP
B01D 71/82 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648F
H01L21/304 647A
B01D61/02
B01D61/14
B01D69/12
B01D71/06
B01D71/82
(21)【出願番号】P 2021545662
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020016252
(87)【国際公開番号】W WO2020163181
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-07
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハムズィク, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイバー, ジャド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブリュースター, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】フィリパンシック, ニコラス ジェイ.
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06767460(US,B1)
【文献】特表2011-507792(JP,A)
【文献】特開2004-330056(JP,A)
【文献】国際公開第2017/205722(WO,A1)
【文献】特開2002-118065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B01D 61/02
B01D 61/14
B01D 69/12
B01D 71/06
B01D 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のヒドロキシル基を有する
アミノポリオール配位子
及びアミノポリホスホン酸配位子又はアミノジホスホン酸配位子である、ポリホスホン酸配位子を含むフィルター材料であって、金属又は金属イオンが激減された液体組成物を提供するためのマイクロエレクトロニクス製造システムと組み合わせて使用されるように構成されている、
超高分子量ポリエチレン(UPE)多孔質ポリマーフィルター膜である、フィルター材料。
【請求項2】
液体組成物から1つ又は複数の金属又は金属イオンを除去する方法であって:
3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール配位子
及びアミノポリホスホン酸配位子又はアミノジホスホン酸配位子である、ポリホスホン酸配位子を含む
超高分子量ポリエチレン(UPE)多孔質ポリマーフィルター膜である、フィルター材料を、1つ又は複数の金属又は金属イオンを含む液体組成物と接触させることと、
液体組成物中の1つ又は複数の金属又は金属イオンの量を低減することとを含む、方法。
【請求項3】
液体組成物が、約10~約14の範囲のpHを有する水性塩基性組成物である、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
液体組成物が、TMAH、TBAH、水酸化アンモニウム、又は10%を超えるHCl濃度を有する濃HClを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
第1のフィルター材料及び第2のフィルター材料を含む複合膜であって、
第1のフィルター材料が、多孔質ポリマーフィルター膜であり、第2のフィルター材料が、ポリマー樹脂粒子であり、
第1のフィルター材料又は第2のフィルター材料は、3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール配位子を含み、第2のフィルター材料は、第1のフィルター材料とは異なり、
複合膜は、金属又は金属イオンが激減された液体組成物を提供するためのマイクロエレクトロニクス製造システムと組み合わせて使用されるように構成される、複合膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]この出願は、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,145号の35USC 119に基づく利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]以下の説明は、フィルター膜などの配位子修飾物品、及び液体組成物から金属を除去するために該物品を使用する方法に関する。
【0003】
[0003]フィルターは、有用な流体の流れから不要な材料を除去するために使用され、様々な産業技術で重要な機能になっている。不要な物質を除去するために処理される流体には、水、液体の工業用溶剤及び処理流体、製造又は処理に使用される工業用ガス、及び医療又は製薬用途の液体が含まれる。液体から除去される不要な物質には、粒子、微生物、溶解した化学種などの不純物や汚染物質が含まれる。フィルター用途の具体例には、半導体及びマイクロエレクトロニクスデバイス製造用の液体材料での使用が含まれる。
【0004】
[0004]フィルターは、サイズ排除又は材料との化学的及び/又は物理的な相互作用など、様々な方法で望ましくない物質を除去できる。一部のフィルターは、フィルターに多孔質構造を提供する構造材料によって定義され、フィルターは、細孔を通過できないサイズの粒子を捕捉することができる。一部のフィルターは、フィルターの構造材料、又は構造材料に関連付けられた化学的性質が、フィルターを通過する物質に関連付けられ、相互作用する能力によって定義される。例えば、フィルターの化学的特徴は、フィルターを通過する流れからの望ましくない物質との会合を可能にし、イオン、配位、キレート化、又は水素結合相互作用などによってそれらの望ましくない材料を捕捉し得る。一部のフィルターは、サイズ排除機能と化学的相互作用機能の両方を利用して、ろ過された流れから物質を除去できる。
【0005】
[0005]場合によっては、ろ過機能を実行するために、フィルターには、通過する流体から望ましくない物質を除去する役割を担うフィルター膜が含まれている。フィルター膜は、必要に応じて、平らなシートの形態であり得、これは、巻かれた(例えば、らせん状に)、平坦な、プリーツを設けられた、又はディスク形状であり得る。あるいはまた、フィルター膜は、中空繊維の形態であり得る。フィルター膜は、ハウジング内に収容されるか、又は他の方法で支持されて、ろ過される流体がフィルター入口を通って入り、フィルター出口を通過する前にフィルター膜を通過する必要があるようにすることができる。
【0006】
[0006]溶解したアニオン又はカチオンなどのイオン性物質を溶液から除去することは、マイクロエレクトロニクス産業など、非常に低濃度のイオン性汚染物質や粒子がマイクロプロセッサやメモリデバイスの品質と性能に悪影響を与える可能性がある多くの産業で重要である。特に、デバイス製造に使用される液体組成物から金属イオンなどの金属含有材料を除去することが望ましい場合がある。金属含有材料は、マイクロエレクトロニクスの製造に使用される様々な種類の液体に含まれている。
【0007】
[0007]マイクロエレクトロニクス及び半導体処理で使用される一部の液体は、酸性又は塩基性である。酸性又は塩基性溶液は、半導体製造方法の様々な段階で洗浄剤として使用できる。このようなプロセスに使用される一部の市販の酸性液体又はは塩基性液体は、半導体製造での使用に許容できない量の金属イオンを有する。半導体と接触する許容できないレベルの金属を含む溶液は、それ以外の点ではデバイス材料を汚し、半導体の性能を損なう可能性がある。場合によっては、これらの酸性液体又は塩基性溶液の保管及び/又は出荷により、保管されている容器から金属材料を含む材料が浸出する可能性があり、それにより、マイクロエレクトロニクス製造プロセスで使用する前に、金属を除去するための使用場所でのろ過が必要となる。
【0008】
[0008]流体、特に塩基性液体又は酸性溶液を含む流体から金属含有材料を除去するための様々な未解決の技術的課題が残っている。塩基性液体又は酸性溶液は、イオン交換化学を有するように修飾されたフィルターなど、従来の修飾フィルターから金属イオンを「取り除く」ことがしばしばあり得る。さらに、高度に塩基性又は酸性の溶液は、ろ過プロセスのための攻撃的な化学的条件を示す可能性がある。さらに、多くのフィルターは、酸性溶液と塩基性溶液の両方をろ過するための効果が限られている。
【発明の概要】
【0009】
[0009]この開示は、流体からの金属汚染物質の除去に向けられた様々な本発明の実施形態、並びにそのような方法を実行するのに有用な配位子修飾フィルター材料を提供する。この開示のフィルター及び方法は、塩基性又は酸性の液体組成物から金属を除去するのに特に効果的である。金属の量が顕著に低減された、ろ過された液体組成物は、フォトレジストを除去するための液体又は酸エッチングで使用される液体など、マイクロエレクトロニクスの製造プロセスで使用することができる。配位子修飾多孔質膜などの配位子修飾フィルターは、マイクロエレクトロニクスの製造システムで使用するように構成することができ、システムに入る液体の使用場所での金属除去機能としてシステムで利用することができる。
【0010】
[0010]したがって、本開示の一態様は、液体組成物から1つ又は複数の金属又は金属イオンを除去するための方法を提供する。方法は、フィルター材料を、1つ又は複数の金属又は金属イオンを含む液体組成物と接触させることを含み、フィルター材料は、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、(b)ポリホスホン酸配位子、又は(a)と(b)の両方を含む。接触する際に、フィルターは、液体組成物中の1つ又は複数の金属又は金属イオンの量を低減させる。
【0011】
[0011]実施形態では、方法は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、及び/又はNH4OHを含むものなどの水性塩基性組成物をろ過するために使用することができ、これらは、半導体製造プロセスにおいてフォトレジストを除去するための有用な試薬である。実施形態では、方法は、半導体物品のレジスト材料の酸エッチングのための有用な試薬である塩酸を含むものなどの水性酸性組成物をろ過するために使用することができる。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、フィルターのポリオール配位子は、4つ又は5つのヒドロキシル基を有し、いくつかの実施形態では、ポリオール配位子は、アミン基を含む(例えば、アミノポリオール配位子)。例示的なアミノポリオール配位子は、n-メチルグルカミンである。いくつかの実施形態において、ポリホスホン酸配位子は、ジホスホン酸配位子である。
【0013】
[0013]したがって、別の実施形態では、方法は、マイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法を提供する。方法は、ここに記載されるように、ポリオール配位子及び/又はポリホスホン酸配位子を含むフィルター材料で液体組成物をろ過することを実行するステップを含む。次に、金属又は金属イオンが激減された(depleted)液体組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスを製造するステップでマイクロエレクトロニクス物品に接触する。
【0014】
[0014]別の実施形態では、本開示は、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、(b)ポリホスホン酸配位子、又は(a)及び(b)の両方を含む多孔質ポリマーフィルター膜を提供する。膜は、金属又は金属イオンが激減された液体組成物をデバイスに提供するために、マイクロエレクトロニクス製造システムと組み合わせて使用するように構成されている。多孔質ポリマーフィルター膜は、カートリッジなどのハウジング内に配置することができ、塩基性水性組成物又は酸性水性組成物を含む供給容器などの半導体製造に使用される流体源と流体連絡する。実施形態では、多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムの構成要素である。
【0015】
[0015]本開示に関連する実験的研究は、ここに記載の固定化されているポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子を有するフィルター材料が、従来のイオン交換配位子と比較して、流体処理流中の金属及び/又は金属イオン汚染の優れた低減を提供することを明らかにした。驚くべきことに、本開示のこれらの配位子修飾膜は、様々な塩基性(TMAH含有など)及び酸性(HCl含有など)条件で金属物質の除去を非常に良好に行った。有益なことに、これらの配位子修飾膜は、塩基性溶液と酸性溶液の両方から金属を除去する必要があるシステム及び方法において使用できる。金属除去は、供給組成物のための個別のろ過部材を必要とせずに実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]本開示の配位子を有する単一の多孔質膜を備えているフィルターの例示的な断面の図である。
【
図2】[0017]アミノポリオール配位子を有する第1の多孔質膜、及びポリホスホン酸配位子を有する第2の多孔質膜を有する複合フィルターの例示的な断面の図である。
【
図3】[0018]第1の配位子を有する多孔質膜と、第2の配位子を有するポリマー樹脂とを備えている複合フィルターの例示的な断面図である。
【
図4】[0019]本開示の配位子を有するフィルター、並びに酸性処理用液及び塩基性処理溶液を含む例示的な半導体製造システムの概略図である。
【
図5】[0020]本開示の配位子を有する2つのフィルター、並びに酸性処理用液及び塩基性処理溶液を含む例示的な半導体製造システムの概略図である。
【
図6】[0021]N-メチルグルカミン修飾多孔質ポリマー樹脂、及び配位子を含まない樹脂を使用した、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【
図7】[0022]N-メチルグルカミン修飾多孔質ポリマー樹脂、及び配位子を含まない樹脂を使用した塩酸(HCl)溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【
図8】[0023]N-メチルグルカミン修飾多孔質ポリマー膜及びジホスホン酸修飾多孔質ポリマー樹脂、及び配位子を含まない樹脂を使用した、水酸化アンモニウム(NH
4OH)溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【
図9】[0024]ジホスホン酸修飾多孔質ポリマー樹脂、及び配位子を含まない樹脂を用いた有機溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル(アセテート))溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【
図10】[0025]N-メチルグルカミン修飾多孔質ポリマー膜を使用したテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【
図11】[0026]N-メチルグルカミン修飾多孔質ポリマー膜を使用した、水酸化メチルアンモニウム(TMAH)溶液からの金属の低減を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0027]本開示は、流体から金属汚染物質を除去する方法の様々な実施形態を示し、ここで、フィルター材料の配位子は、(a)ポリオール配位子、(b)ポリホスホン酸配位子、又は両方の種類の配位子(a)と(b)とを含む。流体組成物を配位子修飾フィルター材料に通して、金属汚染物質を目的の用途に適したレベルまで効果的に除去することができる。本開示の配位子修飾フィルター材料を使用できる1つの用途は、半導体材料のエッチング及び洗浄に使用される塩基性溶液及び酸性溶液からの金属の精製などの半導体製造である。
【0018】
[0028]ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はその両方が付着しているフィルター材料は、任意の適切な材料又は材料の組み合わせで作ることができる。例えば、例示的なフィルター材料は、ポリマー、金属、セラミック、又は天然材料のうちの1つ又は複数を含むことができる。さらに、いくつかの態様において、フィルターの材料は、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子への付着に適した化学的性質を有することができる。あるいはまた、フィルター材料の表面を、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子と化学的に反応するように修飾することができる。
【0019】
[0029]「フィルター」とは、フィルター材料を含む構造を有する物品を指す。例えば、フィルターは、多孔質膜、ビーズ、チューブなどの形態を含む、ろ過プロセスのための任意の有用な形態であり得、フィルターは、合成ポリマー及び天然ポリマー、合金などの金属含有材料、天然材料、セラミック、炭素繊維などを含む1つ又は複数のフィルター材料から作られる。いくつかの実施形態において、ポリオール配位子及び/又はポリホスホン酸配位子は、フィルター材料に付着させることができる。
【0020】
[0030]フィルターは、ろ過用途に適した任意の所望の形態であり得る。フィルターを形成する材料は、フィルター自体の構造コンポーネントであり、フィルターに目的のアーキテクチャを提供する。フィルターは、多孔質又は非多孔質であり得、任意の所望の形状又は構成であり得る。フィルター自体は、単一の物品であり得るか、又は粒子(例えば、樹脂ビーズ)などの複数の個々の物品によって表され得る。
【0021】
[0031]いくつかの実施形態では、フィルター材料は、ポリマー材料、異なるポリマー材料の混合物、又はポリマー材料と非ポリマー材料とから形成される。フィルターを形成するポリマー材料は、一緒に架橋されて、所望の程度の完全性を備えたフィルター構造を提供することができる。
【0022】
[0032]本開示のフィルターのフィルター材料を形成するために使用することができるポリマー材料には、疎水性ポリマーが含まれる。いくつかの実施形態では、フィルター材料は、ポリオレフィン又はハロゲン化ポリマーを含む。例示的なポリオレフィンには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン(PB)、ポリイソブチレン(PIB)、及び2つ以上のエチレン、プロピレン、及びブチレンのコポリマーが含まれる。特定の実施形態では、フィルター材料は、超高分子量ポリエチレン(UPE)を含む。UPE膜などのUPEフィルター材料は、通常、約1×106~9×106Da、又は1.5×106~9×106Daの範囲など、約1×106ダルトン(Da)を超える分子量を有する樹脂から形成される。ポリエチレンなどのポリオレフィンポリマー間の架橋は、熱、又は過酸化物(例えば、過酸化ジクミル又は過酸化ジ-tert-ブチル)、シラン(例えば、トリメトキシビニルシラン)、又はアゾエステル化合物(例えば、2,2’-アゾ-ビス(2-アセトキシ-プロパン)などの架橋化学物質の使用によって促進できる。例示的なハロゲン化ポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンポリマー(FEP)、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)が含まれる。
【0023】
[0033]他の実施形態では、フィルター材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホンポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル、ナイロン、セルロース、ポリカーボネート、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0024】
[0034]ポリマー材料は、いくつかの実施形態において、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子によるフィルター材料の修飾を容易にするように修飾することができる。ポリオール配位子又はポリホスホン酸は、ポリマーフィルター材料への付着を容易にすることができるアミン基を含むことができる。ポリマー材料が本質的にアミン反応性でない場合、ハロゲン化又はハロアルキル化などによって修飾して、アミノポリオール配位子又はアミノポリホスホン酸配位子の結合のための表面反応性化学を提供することができる。
【0025】
[0035]いくつかの実施形態では、フィルターのポリマー材料は、アミン反応性部位を提供するためにハロゲン化されている。例えば、ポリエチレンは、50℃を超える温度でガス状塩素を、任意選択的に、不活性ガスで希釈して、固体ポリエチレン粉末と反応させることによって塩素化することができる(例えば、米国特許第2,928,819号を参照のこと)。
【0026】
[0036]別の実施形態では、フィルター材料のポリマーは、クロロメチル化などのハロアルキル化することができる。クロロメチル化は、ポリマーを修飾するために使用される既知の技術であり、一般にクロロメチル化試薬(例えば、ビス-クロロメチルエーテル(BCME);クロロメチルメチルエーテル(CMME);ホルムアルデヒド/メタノール/塩化水素/クロロスルホン酸)が使用される。塩化亜鉛、酸化亜鉛、又は塩化第二鉄などのルイス酸及びフリーデルクラフツ触媒を高温でクロロメチル化試薬とともに使用して、ポリマーを修飾することができる(例えば、米国特許出願第2003/0018091号(Pafford等)及び国際公開第2008/144115号パンフレット(Harris等))。フィルター上に本開示の配位子を提供するために、ハロアルキル修飾フィルター材料のハロアルキル基をアミンポリオール又はアミンポリホスホン酸と反応させて、フィルター材料の表面への配位子の共有結合をもたらすことができる。
【0027】
[0037]別の実施の様式では、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子は、反応性架橋コーティングでの付着を介してフィルター材料に付着させることができる。例えば、フィルター材料は、ポリ(ビニルベンジルクロリド)、ポリ(エピクロロヒドリン)、又はエポキシ樹脂などのアミン反応性ポリマーでコーティングすることができる。次に、コーティングされたフィルター材料を架橋し、残りの反応性部位を所望の配位子の付着に使用することができる。例えば、ポリ(ビニルベンジルクロリド)を適切な溶媒に溶解し、多孔質膜上で乾燥させ、ジアミン、ポリアミン、又は他の任意の多機能反応性架橋剤で架橋することができ、アミン含有ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子の結合が続く。同様の方法を使用すると、架橋と配位子結合が同時に発生させることができる。あるいはまた、アミン反応性ポリマーは、照射又は光開始剤架橋の使用によって架橋され、続いてアミン含有配位子が結合され得る。
【0028】
[0038]別の実施の様式では、フィルター材料にコーティングする前に配位子の付着が起こり得る。例えば、ポリオール官能化ポリマー又はポリホスホン酸官能化ポリマーは、アミノポリオール配位子又はアミノポリホスホン酸配位子を、配位子のアミンと反応する官能基を有するポリマー材料(ポリ(ビニルベンジルクロリド)など)と反応させることによって調製することができる。次に、フィルター材料を、得られたポリオール配位子修飾ポリマー又はポリホスホン酸配位子修飾ポリマーでコーティングし、乾燥させることができる。任意選択の架橋技術も使用できる。
【0029】
[0039]別の実施の様式では、フィルター材料は、モノマー架橋を介して、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子でコーティングすることができる。例えば、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸は、アクリルアミド、ビニル、又は他の適切な不飽和基を有する反応性モノマーの形態であり得る。ポリホスホン酸を有する反応性モノマーの例はビニリデンジホスホン酸であり、ポリオールを有する反応性モノマーの例は、塩化ビニルベンジルとN-メチルグルカミンとの反応生成物である。ポリオール含有モノマー又はポリホスホン酸含有モノマーは、N、N’-メチレンビスアクリルアミドなどの二官能性モノマーを含むモノマー製剤に添加することができる。これらのモノマー配合物はまた、OMNIRAD 2959(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)などの光開始剤を含むことができる。得られたモノマー溶液が膜に吸収されると、膜に照射(紫外線、電子ビーム、ガンマなど)を行って、コーティングに組み込まれた目的のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子で架橋コーティングを形成することができる(例えば、国際公開第2017/205722号パンフレット(Jaber等)を参照のこと)。
【0030】
[0040]別の実施の様式では、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子を、膜からのグラフト化を介してフィルター材料に付着させることができる。「グラフト化」は、光開始剤及び所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子を含む不飽和モノマーの存在下でフィルター材料を照射することによって達成することができる(例えば、国際公開第2016/081729 A1号パンフレット(Jaber等)を参照のこと)。別の実施の様式では、フィルター材料は、電子ビーム又はガンマ線照射を使用して膜からグラフト化することにより、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子と付着させることができる。電子ビーム又はガンマ線照射を使用したグラフト化は、照射前グラフト化又は同時照射グラフト化として知られている技術を使用して達成することができる。
【0031】
[0041]別の実施の様式では、フィルター材料に樹脂粒子を埋め込んで、ハイブリッド粒子/膜フィルター材料を形成することができる。例えば、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子が付着した多孔質ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)樹脂粒子を、膜押出し又は膜キャスティングに使用されるポリマー混合物に導入することができる。この方法を使用すると、得られた多孔質ポリマー膜は、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子が付着した多孔質粒子を埋め込んだことになるであろう。いくつかの実施形態では、得られる膜は、多孔質粒子含有膜の下流に配置される堅固な粒子保持膜を有することができる(例えば、米国特許出願第2009/0039019A1号(Raman)を参照のこと)。
【0032】
[0042]ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせの濃度は、配位子が所望の密度でフィルター材料の表面に固定化されることを可能にするのに十分であり得る。配位子溶液は、噴霧、浸漬、フィルター材料溶液の浸漬などの任意の有用な技術によってフィルター材料の表面に適用することができる。望ましくは、多孔質フィルター膜のすべての内面など、フィルターの表面全体を溶液と接触させることができる。必要に応じて、適用工程は、例えば、多孔質フィルター媒体を転がすか又は圧搾して多孔質フィルターのすべての表面を濡らすことによる、フィルター材料の操作を含み得る。
【0033】
[0043]本開示の方法及び装置の様々な例において、フィルターは、膜を形成する材料に付着したポリオール配位子及び/又はポリホスホン酸配位子を有する多孔質フィルター膜を含む。ここで使用される場合、「多孔質フィルター膜」は、膜の一方の表面から膜の反対側の表面まで延びる多孔質(例えば、ミクロ多孔質)相互接続通路を含む多孔質固体である。通路は一般に、ろ過される液体が通過しなければならない曲がりくねったトンネル又は経路を提供する。膜の細孔を通過するのに十分小さいサイズの金属種は、配位子と金属との間のキレート化相互作用などによって、ポリオール配位子及び/又はポリホスホン酸配位子との相互作用によって膜上に捕捉され得る。これは「非ふるいろ過メカニズム」と呼ばれる。
【0034】
[0044]フィルターはまた、細孔よりも大きい、液体内に存在する粒子(例えば、金属含有粒子)がミクロ多孔質膜に入るのを防ぐように機能することができるか、又はミクロ多孔質膜の細孔内に粒子を捕捉するように機能することができる(すなわち、粒子ふるい型ろ過機構により除去される)。処理される液体(例えば、酸性溶液又は塩基性溶液)は、膜を通過することができ、イオン性金属種の量の低減、金属含有粒子の量の低減、又はその両方など、金属の量が低減された流通をもたらす。
【0035】
[0045]したがって、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はその両方が付着している多孔質ポリマー膜は、膜を通過する溶液中の金属及び金属イオン汚染物質、並びに膜の細孔を通過するにはサイズが大き過ぎる任意の材料を除去することができる。
【0036】
[0046]P本開示の多孔質膜は、膜の1つ又は複数の特性を参照して説明することができる。ここに記載の多孔質ポリマーフィルター膜の例は、細孔サイズ、バブルポイント、及び多孔性を含む物理的特徴によって特徴付けることができる。例えば、膜は、細孔サイズを反映するために一般的に使用されるバブルポイントの観点から説明することができる。
【0037】
[0047]バブルポイント法は、一定の濡れを伴う特定の流体と細孔サイズの場合、バブル(気泡)を細孔に押し込むのに必要な圧力が孔のサイズに反比例するという前提に基づいている。キャピラリーの直径は、キャピラリーから水を押し出すのに必要な圧力を決定することによって計算できる。バブルポイントを決定するための方法は、膜を濡らし、膜に圧力を加え、次に、どの圧力点で気泡が膜の上面から放出されるかを決定することを含み得る。バブルポイントの標準的な方法は、米国材料試験協会(ASMT)の方法F316に記載されている。本開示の態様では、エトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7200)を湿潤溶媒として使用し、温度が摂氏20~25度の場合、多孔質ポリマー膜は、約2psi~約400psi、約4psi~約200、又は好ましくは約4psi~約160psiの範囲のバブルポイントを有することができる。
【0038】
[0048]あるいはまた、細孔サイズは、水銀ポロシメトリー(MP)、走査型電子顕微鏡(SEM)、液体置換(LLDP)、又は原子間力顕微鏡(AFM)などの既知の手法で測定できる。
【0039】
[0049]多孔質ポリマーフィルター膜は、フィルター膜がフィルター膜として機能するのに効果的であることを可能にする任意の細孔サイズを有することができる。細孔サイズは、バブルポイントの決定と相関させることができる。いくつかの実施形態では、多孔質膜は、約0.001ミクロン~約5又は10ミクロンの範囲、例えば、0.01~0.8ミクロンの平均細孔サイズを有することができる。平均細孔サイズは、流体の流量、圧力、圧力損失の考慮事項、粘度の考慮事項、処理する液体中の不純物(金属不純物の量など)、及び任意の不純物の粒子サイズを含む1つ以上の要因に基づいて選択できる。
【0040】
[0050]さらに、本開示は、より高度な細孔対称性に起因する一般に均一な細孔サイズを有するポリマー膜、並びに細孔非対称性に起因する不均一な細孔サイズ(可変細孔直径)を有する膜の使用が企図される。細孔は、等方性又は異方性、スキン化又は非スキン化、対称又は非対称、及びこれらの任意の組み合わせにすることができる。
【0041】
[0051]記載されているような多孔質ポリマーフィルター層は、多孔質ポリマーフィルター層が、ここに記載されているように効果的であることを可能にする任意の多孔性を有し得る。例示的な多孔質ポリマーフィルター層は、比較的高い多孔性、例えば、少なくとも60、70又は80パーセントの多孔性を有することができる。ここで使用される場合、及び多孔質体の分野では、多孔質体の「多孔性」(空隙率とも呼ばれる)は、該多孔質の本体内の空隙(すなわち「空の」)空間のパーセントとしての尺度であり、本体の総体積に対する本体の空隙の体積の割合として計算される。気孔率がゼロパーセントの本体は完全に固体である。
【0042】
[0052]本開示のフィルター膜は、材料(input)として高純度の液体材料を必要とするあらゆるタイプの工業プロセスで有用である可能性がある。そのようなプロセスの非限定的な例には、マイクロエレクトロニクス又は半導体デバイスを調製するプロセスが含まれ、その特定の例は、半導体フォトリソグラフィーに使用される塩基性液体プロセス材料又は酸性液体プロセス材料をろ過する方法である。本開示のフィルターは、マイクロエレクトロニクス又は半導体を調製するために使用される塩基性プロセス液体又は酸性プロセス液体又は溶媒から金属イオン及び金属含有粒子を除去することができ、膜のふるい分け作用によって他の非金属粒子材料を除去することもできる。
【0043】
[0053]本開示の多孔質膜は、流体流中の金属又は金属イオン汚染を低減するためのシステムでの使用に適した任意の所望の幾何学的構成のものであり得る。例えば、本開示に記載されている多孔質膜は、様々な幾何学的構成又は形態のうちの任意の1つ又は複数を有することができる。例えば、多孔質膜は、円形、半円形、楕円形、半楕円形、又は正方形、長方形、六角形若しくは八角形などの多角形から選択される任意の1つ又は複数の形状を有することができる。多孔質膜は、とりわけ、フラットシート、コルゲートシート、プリーツシート、及び中空繊維の形態であり得る。
【0044】
[0054]記載されるような多孔質ポリマーフィルター膜は、任意の有用な厚さ、例えば、20~400ミクロンの範囲、例えば、40又80~100又は200ミクロンの厚さを有するシート又は中空繊維の形態であり得る。
【0045】
[0055]ポリオール配位子又は/及びポリホスホン酸配位子はまた、フィルター粒子の形態であるフィルター材料上に固定化することができる。フィルター粒子は、「樹脂」又は「ポリマー樹脂」と呼ぶことができ、沈殿、粉砕、又はミリングによって形成することができ、例えば、約5~約600ミクロン、又は8~約75ミクロン、又は約8~約20ミクロンの範囲のサイズの樹脂粒子を形成する。粒子サイズの分布は様々であるが、いくつかの実施形態では、それは約±25%未満であり得、他の実施形態では、それは約±10%未満であり得る。
【0046】
[0056]本開示の実施形態は、ポリオール配位子を含むように修飾されたフィルターを含む。フィルタ-は、ろ過プロセス中に液体と接触する表面を有することができ、その表面は、ポリオール配位子を提示する。場合によっては、ポリオール配位子はアミノポリオール配位子であり、フィルターのアミノポリオール配位子修飾表面は、以下の式で表すことができる:MF-N-P(式中、MFはフィルターの材料であり、Nは窒素であり、Pはアミノポリオール配位子のポリオール部分を表す。)。他の例では、アミノポリオール配位子修飾表面は、MF-L-N-P(式中、MF、N、及びPは、ここでの定義を有し、Lは、アミノポリオールをフィルター材料に連結する化学配位子である。)によって表すことができる。実施形態において、アミノポリオール配位子は、ここに記載されるように、ポリオレフィンなどのポリマーであり得るフィルター材料に共有結合している。他の実施形態では、アミノポリオール配位子修飾表面は、Poly-N-P(式中、N及びPは、ここでの定義を有し、Polyはポリオールが結合するポリマー骨格である。)によって表すことができる。この実施形態では、フィルター材料は、架橋されてもよい修飾ポリマーコーティングによって内部がコーティングされている。
【0047】
[0057]本開示の「アミノポリオール配位子」は、窒素及び3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール部分を含む化学部分を指す。3つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、3-アミノブタン-1,2,4-トリオール(トレオサミニトール)、4-アミノブタン-1,2,3-トリオール、メチルアミノグリセロール(1-(メチルアミノ)プロパン-1,2,3-トリオール)、2-(メチルアミノ)プロパン-1,2,3-トリオール、5-アミノペンタン-1,2,4-トリオール、及び5-アミノペンタン-1,2,3-トリオールが含まれる。
【0048】
[0058]4つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、1-アミノペンタン-1,2,3,5-テトロール、1-アミノペンタン-1,1,2,2-テトロール、1-アミノ-2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-ジオール、1-アミノヘキサン-2,3,4,5-テトロール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-2,3,4,5-テトロール、2-アミノペンタン-1,2,4,5-テトロール、2-アミノペンタン-1,2,3,4-テトロール、3-アミノペンタン-1,2,4,5-テトロール、4-アミノペンタン-1,1,2,3-テトロール、4-アミノペンタン-1,2,3,5-テトロール、5-アミノペンタン-1,2,3,4-テトロール(リバミン;1-アミノ-1-デオキシペンチトール)、5-アミノペンタン-1,1,1,5-テトロール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4-テトロール、及び6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,4,5-テトロールが含まれる。
【0049】
[0059]5つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、1-アミノペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール(n-メチルグルカミン)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-D-グルシトール)、及び6-(ブチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントールが含まれる。
【0050】
[0060]6つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(プロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,1,2,3,4,5-ヘキソール、7-(メチルアミノ)ヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、及び7-(プロピルアミノ)ヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキソールが含まれる。
【0051】
[0061]7つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(エチルアミノ)ヘキサン-1,1,2,3,4,5,6-ヘプトール、1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、及び8-(メチルアミノ)オクタン-1,2,3,4,5,6,7-ヘプトールが含まれる。
【0052】
[0062]7つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(2,2,2-トリヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、及び6-(2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントールが含まれる。
【0053】
[0063]本開示はまた、ここに記載されるような、アミノポリオールのすべてのエナンチオマー及び立体異性体が考慮される。
【0054】
[0064]本開示の実施形態は、ポリホスホン酸配位子を含むように修飾されたフィルターを含む。「ポリホスホン酸配位子」は、2つ以上のホスホン酸基を含み、フィルター材料に結合している化学部分を指す。いくつかの実施形態において、配位子は、2つ以上のホスホン酸基及び少なくとも1つのアミン基を含むアミノポリホスホン酸である。場合によっては、フィルターのアミノポリホスホン酸配位子修飾表面は、次の式で表すことができる:MF-N-PP(式中、MFはフィルターの材料であり、Nは窒素であり、PPは配位子のポリホスホン酸部分を表す。)。他の例では、アミノポリオール配位子修飾表面は、MF-L-N-PP(式中、MF、N、及びPPは、ここでの定義を有し、Lは、ポリホスホン酸部分をフィルター材料に連結する化学リンカーである。)によって表すことができる。実施形態において、ポリホスホン酸配位子は、ここに記載されるように、ポリオレフィンなどのポリマーであり得るフィルター材料に共有結合している。他の実施形態では、アミノポリオール配位子修飾表面は、Poly-N-P(式中、N及びPは、ここでの定義を有し、Polyはポリオールが結合するポリマー骨格である。)によって表すことができる。この実施形態では、フィルター材料は、架橋されてもよい修飾ポリマーコーティングによって内部がコーティングされている。
【0055】
[0065]アミノポリホスホン酸配位子の例には、1-(アミノエチリデン)-1,1-ジホスホン酸、4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1、(4-アミノ-1,1,1-トリヒドロキシ-2-ホスホノブタン-2-イル)ホスホン酸、(1-アミノ-1,1-ペンタンジイル)ビス(ホスホン酸)、(1-アミノ-1,1-ヘプタンジイル)ビス(ホスホン酸)、及び(1-アミノ-1,3-プロパンジイル)ビス(ホスホン酸)が含まれる。
【0056】
[0066]ポリホスホン酸配位子の他の例には、1-ビホスホン酸(アレンドロン酸)、イミノジ(メチルホスホン酸)、[アミノ(ホスホノ)メチル]ホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、及びニトリロトリ(メチルホスホン酸)が含まれる。
【0057】
[0067]本開示の多孔質膜は、支持構造、ハウジング、又はその両方に関連付けることができる。例えば、コーティングされた多孔質膜は、フレーム、ブラケット、クリップ、ウェブ、ネット、及びケージなどによって支持することができる。いくつかの構造では、ここに記載されるように、支持構造の少なくとも一部はハウジングであり得る。あるいはまた、多孔質膜は支持されていない。
【0058】
[0068]多孔質膜は、ハウジングを含むフィルターアセンブリの一部として存在することができる。例えば、ハウジングは(入口ポート及び出口ポートを除いて)流体的に密封されており、ある量の液体を保持することができ、液体が膜を通過できるように構成されている。ハウジングは、フィルターアセンブリ(単層若しくは多層)又はフィルターシステムで使用されるフィルターカートリッジなど、より大きなフィルター構造を形成するために使用できる。ろ過システムは、例えば、フィルターアセンブリの一部として、又はフィルターカートリッジの一部として、フィルター膜がある量の液体化学物質から不純物又は汚染物質を除去するように、フィルター膜を液体化学物質の流路にさらして、液体化学物質の流れの少なくとも一部をフィルター膜を通過させる。フィルターアセンブリ又はフィルターカートリッジの構造は、フィルターアセンブリ又はフィルターカートリッジ内の複合フィルター膜を支持して、流体をフィルター入口からフィルター材料(フィルター膜など)を通して、及びフィルター出口を通して流す、様々な追加の材料及び構造のうちの1つ又は複数を含み得る。フィルターアセンブリ又はフィルターカートリッジによって支持されるフィルター膜は、とりわけ、プリーツシリンダー、円筒形パッド、1つ又は複数の非プリーツ(平らな)円筒形シート、プリーツシートなどの任意の有用な形状であり得る。
【0059】
[0069]本開示の一実施形態は、フィルターデバイスと、塩基含有液体又は酸含有液体などの液体から金属汚染物質を除去する方法とを含み、液体は、アミノポリオール配位子又は/及びポリホスホン酸配位子を有する多孔質ポリマー膜を通過する。
図1に示されるように、本開示は、多孔質ポリマー膜102を含むフィルター100を提供する。多孔質ポリマー膜102は、膜の表面に固定化されたアミンポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含む。フィルター100は、フィルター100に構造を提供し、フィルターの内部部分を流体的に封止するハウジング104を有することができる。ハウジング104は、円筒形、多角形など、任意の形状及びサイズにすることができる。
【0060】
[0070]フィルターの一部は、ろ過される金属/金属イオン含有流体組成物を受け入れるための入口ポート106を含むことができる。入口ポート106は、水性塩基性組成物又は水性酸性組成物(図示せず)を提供する流体供給ラインなどの流体供給ラインに接続されるように構成することができる。したがって、入口ポート106は、流体供給への接続を容易にするために、バルブ、ガスケットなど(図示せず)を含むことができる。ろ過される金属/金属イオン含有流体組成物は、入口ポート106を通って矢印116によって示される方向に流れ、多孔質ポリマー膜102のインプットに面している表面124、ハウジング104の内面、及び入口ポート106によって画定される、フィルター100のヘッドスペース114に流れ込むことができる。実施形態では、フィルターは、ヘッドスペースがフィルターの全内部体積の所望のパーセンテージである体積を有するように構築することができる。
【0061】
[0071]フィルターの内部部分は、任意の適切な配置又は構成で多孔質膜を含むことができ、
図1は、ディスク状の構造を有する多孔質高分子膜102を示している(断面図が示されている)。膜の外周などの多孔質ポリマー膜102の側面122は、ハウジング104の内面と接触させることができる。多孔質ポリマー膜102はまた、金属/金属イオン含有流体と最初に接触するインプットに面している表面124、及び金属/金属イオンの量が減少した処理流体がそこから流れるアウトプットに面している表面126を有することができる。フィルターの態様は、任意選択的に、インプットに面している表面124の表面積と多孔質ポリマー膜102の体積との比の範囲、又は表面積とフィルターの厚さとの比の範囲に関して説明することができる。
【0062】
[0072]フィルター100はまた、フィルター内の多孔質ポリマー膜102を支持する1つ又は複数の特徴を含むことができる。フィルターを支持するための任意の構成を使用することができ、フレーム、フレーム、ブラケット、クリップ、ウェブ、ネット、及びケージなどのような1つ又は複数の別個の構造的特徴、又は接着剤などの材料を使用して膜を支持することができる。接着剤と構造的支持機能の組み合わせを使用することができる。一実施形態において、
図1を参照すると、フィルターは、フレーム部分110及び112を有するフレームを含み、フレーム部分110は、部分112に取り付けられたハウジング104の内面と接触している。部分112は、多孔質ポリマー膜102のアウトプットに面している表面124と接触することができ、ろ過中に膜を支持することができる。フレーム部分112は、増加した流体圧力下でポリマー多孔質膜に構造的支持を提供する一方で、ろ過された液体がフィルターのバックスペース120に自由に通過することを可能にするグリッド状構造を有することができる。
【0063】
[0073]使用中、水性塩基性組成物(例えば、TMAH、TBAH、又は水酸化アンモニウムを含む)などの液体、又は水性塩基性組成物(例えば、10%を超えるHClを有する濃縮HClなどのHClを含む)は、矢印116によって示される方向に入口ポート106を通ってフィルターに入り、次いでフィルター100内のヘッドスペース114を満たす。十分な流体圧力が加えられて、流体が多孔質ポリマー膜を通って所望の流量で移動するようにする。
【0064】
[0074]多孔質膜の例示的な流量は、約0.1L/分か~約40L/分、又はより好ましくは約5L/分~約20L/分の範囲である。あるいは、多孔質膜の流量は、時間ごとにフィルターの面積ごとに流れる液体の量で表され(例えば、リットル/m2/h=LMH)、例えば、約100LMH/bar~約30,000LMH/bar、又はより好ましくは約5000LMH/bar~約15,000LMH/barである。
【0065】
[0075]いくつかの実施形態では、本開示のフィルターは、複合膜構成を含む。例えば、複合膜を備えたフィルターは、2つ以上のフィルター物品などの2つ以上のフィルター材料を含むことができる。例えば、フィルターは、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子のうちの1つを含む第1の多孔質ポリマー膜、及び第1の多孔質ポリマー膜に存在する配位子(ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子)を含まない、又は第1の多孔質ポリマー膜とは何らかの形で異なる第2のフィルター材料を含むことができる。第2のフィルター材料はまた、多孔質膜の形態であり得るか、又は非多孔質形態を有するなど、異なっていてもよい。第2のフィルター材料は、第1の膜と同じ又は異なるポリマー材料で作ることができ、第1の膜に存在しない配位子(例えば、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子)で修飾するか、又は修飾しないことができる。
【0066】
[0076]いくつかの実施形態において、フィルターは、ポリオール配位子を含む第1の多孔質ポリマー膜、及びポリホスホン酸配位子を含む第2の多孔質ポリマー膜を含む。他の実施形態では、フィルターは、ポリホスホン酸配位子を含む第1の多孔質ポリマー膜、及びポリオール配位子を含む第2の多孔質ポリマー膜を含む。実施形態では、第1の多孔質ポリマー膜及び第2の多孔質ポリマー膜は、同じ又は類似のポリマー材料から構築され、同じ又は類似の細孔サイズを有する。他の実施形態では、第1の多孔質ポリマー膜及び第2の多孔質ポリマー膜は、異なるポリマー材料から構築され、及び/又は異なる細孔サイズを有する。
【0067】
[0077]複合膜を備えたフィルターの例を
図2に示す。フィルター200は、第1の多孔質ポリマー膜202及び流体的に遠位の第2の多孔質ポリマー膜222を含む。ポリマー膜202/222は、第1の多孔質ポリマー膜202のアウトプットに面している表面が、第2の多孔質ポリマー膜222のインプットに面している表面と直接接触するように積み重ねられた構成にすることができる。第12の多孔質ポリマー膜及び第2の多孔質ポリマー膜202/222は、それぞれ、アミノポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子、又はその逆に付着している。フィルター200は、ハウジング204、入口ポート206、ヘッドスペース210、ろ過中に膜を支持するためのフレーム部分210及び212を有するフレーム、バックスペース220、且つ出口ポート208を有することができる。フレーム部分210は、ハウジング204の内面と接触することができ、部分212に取り付けられる。フレーム部分212は、第2の多孔質ポリマー膜222のアウトプットに面している表面と接触することができる。そのような複合膜は、本開示から理解されるように、金属除去のために、ポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子の両方の利点を提供することができる。
【0068】
[0078]いくつかの実施形態では、所望のポリオール配位子又はポリホスホン酸が付着した多孔質樹脂粒子は、充填層の形態であり、保持フィルターの上流に配置することができる。充填樹脂床は、混合粒子床の形態にすることができる。例えば、所望のアミノポリオール配位子を有する多孔質ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)樹脂粒子は、所望のポリホスホン酸が付着した多孔質ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)樹脂粒子と混合することができ、樹脂粒子の混合物は、保持フィルターの場合、上流の充填樹脂床に配置できる。いくつかの実施形態では、下流の保持フィルターは、表面修飾された、親水性の、又は配位子が付着した膜であり得る。いくつかの実施形態では、保持フィルターは、プリーツ、らせん巻き、又は層状にすることができ、多孔質樹脂粒子は、保持フィルターの上流の流路に充填することができる。
【0069】
[0079]複合膜を備えたフィルターの別の例を
図3に示す。フィルター300は、多孔質ポリマー膜302及び流体的に近位のポリマー樹脂322を含む。ポリマー樹脂322は、多孔質ポリマー膜302上に配置することができるため、樹脂粒子は、膜302のインプットに面している表面と直接接触する。膜302/ポリマー樹脂322には、それぞれ、ポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子、又はその逆が付着されている。フィルター300は、ハウジング304、入口ポート306、ヘッドスペース314、ろ過中に膜及びポリマー樹脂を支持するためのフレーム部分310及び312を有するフレーム、バックスペース320、且つ出口ポート308を有することができる。フレーム部分310は、ハウジング304の内面と接触することができ、部分312に取り付けられる。フレーム部分312は、第2の多孔質ポリマー膜302のアウトプットに面している表面と接触することができる。そのような複合膜は、本開示から理解されるように、金属除去のために、ポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子の両方の利点を提供することができる。
【0070】
[0080]記載された本開示のフィルターは、液体をろ過して、液体から望ましくない金属含有材料(例えば、汚染物質又は不純物)を除去して、工業プロセスの材料として使用できる高純度液体を生成するのに有用であり得る。特に、多孔質ポリマーフィルター膜は、ふるい分け機構と金属イオンの配位子結合の組み合わせを使用して、膜を通って流れる液体から汚染物質を含む溶解及び/又は懸濁した金属を除去するのに有用であり得る。すなわち、より大きな金属含有粒子は、細孔サイズに応じたサイズ制限によってフィルターによって捕捉され得、そうでなければ細孔を通って移動することができる金属イオンは、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせとの相互作用によって捕捉され、その膜に固定化される。
【0071】
[0081]ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含むフィルター材料を使用して、所望のプロセスに対して高過ぎる金属及び金属イオンのレベルを有する流体からこれらの物質を除去することができる。
【0072】
[0082]本開示の配位子修飾フィルター材料を使用して流体から除去することができる例示的な金属には、周期表の第1族に含まれる次の化学元素:リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、及びセシウム(Cs)を含む、アルカリ金属が含まれる。本開示の配位子修飾フィルター材料を使用して流体から除去できる他の例示的な金属には、周期表の第2族の次の化学元素:ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)を含む、アルカリ土類金属が含まれる。本開示の配位子修飾フィルター材料を使用して流体から除去することができる他の例示的な金属には、周期表のdブロック内の元素である遷移金属が含まれ、これらは周期表の第3族~第12族を含み、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pb)、銀(Au)、カドミウム(Cd)、タングステン(W)、及び水銀(Hg)のような遷移金属を含むが、それらに限定されない。本開示の配位子修飾フィルター材料を使用して流体から除去することができる他の例示的な金属には、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、及びビスマス(Bi)を含む、遷移後金属(第13~第15族)が含まれる。
【0073】
[0083]金属汚染物質は、平衡状態で存在する可能性のある中性、負に帯電した、又は正に帯電した金属種及びそれらの組み合わせを指すことができる。金属は、溶解イオン、懸濁荷電粒子、コロイド、又は他の凝集体の形態で液体中にあり得、これらの金属形態のいずれも、本開示の配位子修飾フィルター材料を使用して流体から除去することができる。いくつかの金属イオン、例えば、FeやAlは、水中の酸化物として存在している可能性がある。これらの種類のイオンは、両性コロイド粒子又は錯体を形成している可能性がある。塩基性洗浄液(SC1)などの塩基性の条件では、金属イオンの一部は、水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物、その他のアニオン、又はこれらの任意の組み合わせとして排出される可能性がある。一部の流体では、金属イオンが両性の化学種を形成し、これらのグループの1つ以上を含むことができ、流体の条件(pH、温度、イオン強度)に応じて、カチオン性又はアニオン性の錯体として存在することができる。
【0074】
[0084]様々な流体中の金属イオン不純物は、イオンクロマトグラフィーを使用して検出できる。本開示のフィルターによって処理される流体からの金属材料の除去は、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して決定することもできる。
【0075】
[0085]本開示のフィルター膜は、材料(input)として高純度の液体材料を必要とするあらゆるタイプの工業プロセスで有用である可能性がある。そのようなプロセスの非限定的な例には、マイクロエレクトロニクス若しくは半導体デバイスを調製するプロセス、医薬組成物を調製するプロセス、及び診断(例えば、医療診断)組成物及び方法が含まれる。本開示の方法及びフィルターは、これらの領域のいずれかで使用することができる。
【0076】
[0086]具体的な例は、半導体フォトリソグラフィーに使用される液体プロセス材料をろ過する方法である。プロセス液体中に存在する、又はマイクロエレクトロニクス若しくは半導体デバイスを調製するために使用される汚染物質の例には、液体に溶解した金属イオン、液体に懸濁した固体粒子、及び液体中に存在するゲル化若しくは凝固した材料(例えば、フォトリソグラフィー中に生成される)が含まれ得る。実施形態では、本開示の方法及びフィルターを使用して、集積回路の基礎を作成するために使用されるフロントエンド洗浄ツール用の精製された金属低含有液体組成物を提供する。例えば、本開示のフィルターを使用して、洗浄剤及びエッチング剤を精製し、製品の汚染を最小限に抑え、プロセス効率(エッチング速度など)を改善することができる。化学機械研磨プロセスでは、試薬や研磨粒子に加えて水が使用される。
【0077】
[0087]実施の様式の1つでは、配位子修飾フィルターを使用して、1つ又は複数の塩基性化合物を含む水溶液から金属及び金属イオン汚染物質を除去する。塩基の種類及び量により、組成物は、10~14の範囲、11~14の範囲、又は12~14の範囲のpHなど、約10以上のpHを有することができる。
【0078】
[0088]例示的な精製方法では、フィルターを使用して、テトラメチルアンモニアヒドロキシド(C4H13NO、TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(C16H37NO、TBAH)、及びアンモニウムヒドロキシド(NH4OH)などの塩基を含む液体組成物を処理する。TMAH、TBAH、及びNH4OHは、半導体製造プロセスでフォトレジストを除去するための有用な試薬である。TMAH及びNH4OHは、半導体製造でシリコンを異方性エッチングするために一般的に使用される試薬である。エッチングプロセスでは、約5%(重量)~約30%(重量)の範囲のTMAH及びNH4OHの濃度が一般的に使用される。TMAHは、フォトリソグラフィープロセス用の酸性フォトレジストを現像するための塩基性溶媒(通常は約2.5%(重量)の濃度)としても使用できる。半導体製造で使用する場合、TMAH又はNH4OH組成物は非常に高純度である必要がある。通常、塩基含有溶液の抵抗率は18.18MΩ・cmより大きく、総金属濃度は0.01μg/L未満、最も好ましくは0.001μg/L未満である必要がある。
【0079】
[0089]例えば、いくつかの実施形態では、20%(重量)以上などの高濃度の塩基を有するTMAH又はNH4OHを含む水性組成物が得られる。元の(ろ過されていない)TMAH又はNH4OHは、「ストック」又は「開始」組成物と呼ばれる。TMAH又はNH4OHの水性組成物は、集積回路を形成するためのエッチング溶液などの標的用途に望まれるよりも多い量の金属イオン及び/又は金属含有不純物を有する。例えば、金属不純物は、開始塩基性組成物において、0.001μg/L(1000部/兆(ppt))を超える、0.005μg/L(5000ppt)を超える、0.01μg/L(10,000ppt)を超える、又は0.05μg/L(50,000ppt)を超える総量で存在する可能性がある。次に、開始のTMAH又はNH4OHを、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含むフィルターに通して金属汚染物質を除去し、TMAH又はNH4OHを含むが、開始組成物中の金属の量よりも少ない金属の量を有するろ過された水性組成物を提供する。本開示の実施の様式の1つにおいて、、開始組成物から、約25%(重量)以上、約30%(重量)以上、約35%(重量)以上、約40%(重量)以上、約45%(重量)以上、約50の量%(重量)以上、約55%(重量)以上、約60%(重量)以上、約65%(重量)以上、約70%(重量)以上、約75%(重量)以上、約80%(重量)以上、約85%(重量)以上、約90%(重量)以上、又は約95%(重量)以上の量の、任意の1つ又は複数の金属を除去することができる。
【0080】
[0090]別の実施の様式では、配位子修飾フィルターを使用して、1つ又は複数の酸性化合物を含む水溶液から金属及び金属イオン汚染物質を除去する。塩基の種類及び量により、組成物のpHが約3以下、又は約2以下になる可能性がある。
【0081】
[0091]例示的な精製方法では、フィルターを使用して、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)、及びフッ化水素酸(HF)を含むような酸を含む液体組成物を処理する。HClなどの強酸は、半導体製造でアルミニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、クロム、有機残留物及びフォトレジスト、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、チタンなどの物質を等方的にエッチングするために一般的に使用される試薬である。酸の濃度は、エッチングプロセスの場合、約1%(重量)(希釈)から完全に濃縮化された(10%以上などの)範囲にあることができる。半導体製造で使用する場合、酸性溶液は非常に高純度である必要がある。通常、このような酸性エッチング液の抵抗率は18.18MΩ・cmより大きく、総金属濃度は0.01μg/L未満、最も好ましくは0.001μg/L未満である必要がある。
【0082】
[0092]例えば、いくつかの実施の様式では、希酸又は濃縮化酸溶液を提供する量の酸、又はその間の任意の濃度を有する、1つ又は複数のHCl、H2SO4、H3PO4、HNO3、及びHFを含む水性組成物が得られる。元の(ろ過されていない)酸含有組成物は、「ストック」又は「開始」酸組成物と呼ばれることがある。水性酸組成物は、集積回路を形成するためのウェットエッチング溶液などの、標的用途に望まれるよりも高い量の金属イオン及び/又は金属含有不純物を有することができる。たとえば、金属不純物は、開始酸組成物に、0.001μg/L(1000部/兆(ppt))を超える、0.005μg/L(5000ppt)を超える、0.01μg/L(10,000ppt)を超える、又は0.05μg/L(50,000ppt)を超える総量で存在する可能性がある。次に、開始酸組成物は、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含むフィルターを通過させて、金属汚染物質を除去し、酸を含むが、開始組成物中の金属の量よりも少ない金属の量を有するろ過された水性組成物を提供する。実施の様式において、本開示のフィルターは、開始酸組成物から、約25%(重量)以上、約30%(重量)以上、約35%(重量)以上、約40%(重量)以上、約45%(重量)以上、約50%(重量)以上、約55%(重量)以上、約60%(重量)以上、約65%(重量)以上、約70%(重量)以上、約75%(重量)以上、約80%(重量)以上、約85%(重量)以上、約90%(重量)以上、又は約95%(重量)以上の量の、任意の1つ又は複数の金属を除去することができる。
【0083】
[0093]別の実施方法では、配位子修飾フィルターを使用して、有機溶媒から金属及び金属イオンの汚染物質を除去する。記載されているようにフィルター膜を使用してろできる溶媒のいくつかの特定の非限定的な例には次が含まれる:酢酸n-ブチル(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸2-エトキシエチル(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、エチル乳酸、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸イソアミル、ウンデカン、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
【0084】
[0094]例えば、いくつかの実施形態では、集積回路の形成のための、洗浄溶媒、又はリソグラフィーにおけるレジストストリッピング用途のための溶媒など、標的用途に望まれるよりも多い量の金属イオン及び/又は金属含有不純物を有する溶媒が得られる。例えば、金属不純物は、0.001μg/L(1000部/兆(ppt))を超える、0.005μg/L(5000ppt)を超える、0.01μg/L(10,000ppt)を超える、又は0.05μg/L(50,000ppt)を超える量で、溶媒中に存在し得る。次に、溶媒は、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含むフィルターを通過させて、金属汚染物質を除去し、開始の溶媒中の金属の量よりも少ない金属の量を有するろ過された溶媒を提供する。実施形態において、本開示のフィルターは、開始溶媒から、約25%(重量)以上、約30%(重量)以上、約35%(重量)以上、約40%(重量)以上、約45%(重量)以上、約50%(重量)以上、約55%(重量)以上、約60%(重量)以上、約65%(重量)以上、約70%(重量)以上、約75%(重量)以上、約80%(重量)以上、約85%(重量)以上、約90%(重量)以上、又は約95%(重量)以上の量の、任意の1つ又は複数の金属を除去することができる。
【0085】
[0095]金属汚染物質を除去するために処理される酸又は塩基の溶液若しくは溶媒は、流体流からの金属汚染物質の除去を促進するものなど、所望の条件下でフィルターを通過させることができる。金属汚染物質を除去するために処理される酸又は塩基の溶液若しくは溶媒は、流体流からの金属汚染物質の除去を促進するものなど、所望の条件下でフィルターを通過させることができる。
【0086】
[0096]ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又はそれらの組み合わせを含む多孔質膜を通る酸又は塩基含有液体若しくは溶媒の通過は、提供される特定の流速に限定されず、本質的にフラックスに依存しない金属不純物の除去が達成され、用途に役立つ圧力降下が提供される。使用される多孔質膜の面積は、許容可能な圧力降下と、用途の流量要件及びプロセス要件に対して本質的に流束に依存しない配位子結合をデバイスに提供するように選択することができる。様々な実施形態において、膜面積は、約0.25cm2以上であり得る、そして、指定された又は固定された面積は、用途の要件を満たすために各膜の圧力降下を決定するために使用される。
【0087】
[0097]いくつかの実施形態では、本開示の多孔質膜を含むフィルターは、流体の流れから、金属含有又は他の粒子を除去することができる。粒子の保持率は、流体の流れに配置された膜によって流体の流れから除去された試験粒子の数を測定することによって評価することができる。1つの方法では、8ppmのポリスチレン粒子(0.025μm Green Fluorescent Polymer Microspheres、Fluoro-Max(ThermoFisher SCIENTIFICから入手可能))を含む0.1%Triton X-100の供給水溶液を十分に通過させることにより、粒子の保持率を測定でき、毎分7ミリリットルの一定流量で膜を通して0.5、1、及び2%の単層被覆を達成し、透過液を収集する。透過液中のポリスチレン粒子の濃度は、透過液の吸光度から計算できる。次に、粒子の保持率は次の式を使用して計算される:
粒子保持率 = [供給量]-[ろ液量]/[供給量]×100%
【0088】
[0098]さらに、記載されているようなフィルター膜は、フィルター膜を通る液体の流れの流量又は流束によって特徴付けることができる。フィルター膜がフィルター膜を通る流体の流れをろ過するのに効率的且つ効果的であることができるように、流量は十分に高くなければならない。流量、又は別途考えられるように、フィルター膜を通る液体の流れに対する抵抗は、流量又は流量時間(流量の逆数)の観点から測定できる。アミノポリオール配位子及び/又はポリホスホン酸配位子を含むここに記載のフィルター膜は、好ましくは、比較的短い流動時間、好ましくは比較的高いバブルポイントとの組み合わせ、及び良好なろ過性能(例えば、粒子の保持率によって測定される場合)を有することができる。有用な又は好ましい流動時間の例は、約8,000秒/500mL未満、例えば、約4000秒/500mL未満、約2000秒/500mL未満、約1,000秒/500mL未満、約500秒/500未満、又は約200秒/500mL未満であり得る。
【0089】
[0099]膜の水流時間は、膜を47mmのディスクに切断し、水で濡らしてから、一定量の水を保持するためのリザーバーに取り付けられたフィルターホルダーにディスクを配置することで決定できる。リザーバーは圧力調整器に接続されている。水は、14.2psi(ポンド/平方インチ)の差圧の下で膜を流れる。平衡が達成された後、500mLの水が膜を通って流れる時間を記録する。
【0090】
[0100]実施形態では、本開示のフィルターは、半導体製品を製造するためのシステムで使用される。
図4は、集積回路などのマイクロエレクトロニクスコンポーネントが製造されるチャンバ402を含む半導体製造システム400の部品を示している。チャンバ402は、TMAH又はNH
4OH溶液などの塩基性溶液、又はHCl、H
2SO
4、H
3PO
4、HNO
3、及びHFなどの酸性溶液を、洗浄、ウェットエッチング、又はフォトレジストの処理などのために収容できる。塩基性溶液は、塩基性溶液を保持するように構成された任意の容器であることができる塩基性溶液供給源412から提供することができる。同様に、酸性溶液は、酸性溶液を保持するように構成された任意の容器であり得る酸性溶液供給源422から提供することができる。塩基性溶液導管416を通る塩基性溶液及び酸性溶液導管426を通る酸性溶液の流体の動きは、それぞれ、ポンプ414及び424によって影響を受ける可能性がある。バルブ430は、導管416及び426と流体連絡しており、フィルター435への、続いて導管438を通ってチャンバ402への塩基性溶液及び酸性溶液の流れを調節することができる。フィルター435は、ポリオール配位子、ポリホスホン酸配位子、又は両方のタイプの配位子を有するフィルター材料を含むことができる。例示的な動作モードでは、酸性溶液がフィルター435を通って流れて金属含有不純物の量を低減し、次いで、ろ過された酸性溶液は、ウェットエッチングステップなどの処理工程で使用される。別の例示的な動作モードでは、塩基性溶液がフィルター435を通って流れて金属含有不純物の量を低減し、次に、ろ過された塩基性溶液が、フォトレジストの除去などの処理工程で使用される。
【0091】
[0101]
図5は、チャンバ502、塩基性溶液供給源512、酸性溶液供給源522、塩基性溶液導管516、酸性溶液導管526、並びにポンプ514及び524をそれぞれ含む半導体製造システム500の別の実施形態を示す。この構成では、2つのフィルターが使用され、第1のフィルター535は、塩基性溶液供給源512と流体連絡し、第2のフィルター545は、酸性溶液供給源522と流体連絡する。第1のフィルター535は、ポリオール配位子又はポリホスホン酸配位子のいずれかを有するフィルターであり得る。第2のフィルター545は、アミノポリオール配位子又ははポリホスホン酸配位子のいずれかを有するフィルターであり得る。バルブ530は、フィルター535及び545と流体連絡しており、フィルターから、続いてチャンバ502への塩基性溶液及び酸性溶液の流れを調節することができる。例示的な動作モードでは、酸性溶液がフィルター545を通って流れて金属含有不純物の量を低減し、次いで、ろ過された酸性溶液は、ウェットエッチングステップなどの処理工程で使用される。別の例示的な動作モードでは、塩基性溶液がフィルター535を通って流れて金属含有不純物の量を低減し、次に、ろ過された塩基性溶液が、フォトレジストの除去などの処理工程で使用される。
【実施例】
【0092】
実施例1
多孔質ポリマー樹脂の洗浄
[0102]次の例は、微量金属の除去に使用する多孔質ポリマー樹脂を洗浄するために使用される方法を示している。
【0093】
[0103]最初に、各多孔質ポリマー樹脂10gを量り取り、清潔な1リットルのPTFEボトル(Savillex)に置いた。樹脂を200mLのIPA(Isopropanol Gigabit(登録商標)、KMG)で湿らせ、1時間穏やかに撹拌した。1時間後、樹脂を沈降させ、IPAをデカントした。次に、樹脂を70%IPA/10%HCl(塩酸37% Gigabit(登録商標)、KMG)の混合物500mLにさらし、1時間穏やかに撹拌した。1時間後、樹脂を沈降させ、70%IPA/10%HClをデカントした。次に、樹脂を、さらなる500mLの70%IPA/10%HClにさらし、16時間穏やかに撹拌した。16時間後、樹脂を沈降させ、70%IPA/10%HClをデカントした。次に、樹脂を洗浄し、脱イオン水(DIW)に数回交換し、DIWをデカントした。次に、樹脂を、500mLの2%NH4OH(水酸化アンモニウム29%Cleanroom(登録商標)MB、KMG)に交換し、1時間穏やかに撹拌した。最後に、樹脂をDIW、続いてIPAと数回交換し、乾燥するまで70℃の対流式オーブンに入れた。洗浄した樹脂は、使用するまで清浄なPTFEジャーに入れた。
【0094】
実施例2
静的浸漬実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂によるTMAHの金属低減の測定
[0104]次の例は、静的浸漬の条件下で2.38%TMAHの金属濃度を低減する多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。結果は、N-メチルグルカミン配位子及びジホスホン酸配位子を有する樹脂が、それぞれ67.2%及び76.7%の総金属除去によって標的金属(Na、Al、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、及びZn)を除去するのに効果的であることを示している。
【0095】
[0105]実施例1と同様の方法を使用して樹脂を洗浄した。TMAH金属溶液は、2.38%TMAH(NMD-3、TOKYO OHKA KOGYO AMERICA, INC.)を、5000pptの標的金属濃度のNa、Al、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、及びZn(PlasmaCAL単一元素キャリブレーション標準、SCP SCIENCE)の各金属でスパイクして調製した。次に、0.2gの各乾燥樹脂を測定し、清浄な25mLのPTFEジャー(Savillex)に入れた。次に、20mLの2.38%TMAH金属スパイク溶液を、洗浄した樹脂が入っているPTFEジャーに添加した。ジャーに蓋をして、16時間回転させた。16時間後、樹脂を沈降させ、分析のために液体をバイアルにデカントした。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。この実験では、キレート配位子が異なる2つの樹脂と、配位子が結合していない対照樹脂を評価した。この例は、同定されたキレート樹脂、N-メチルグルカミン樹脂(Purolite(登録商標)S108、Purolite)及びジホスホン酸樹脂(Diphonix、Eichrom Technologies)が、配位子のない樹脂(StratoSpheres(商標)PL-PS/DVB樹脂)と比較して、2.38%TMAHから金属を低減するのに驚くほど効果的であったことを示している。結果を表1に示す。
【0096】
【0097】
これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用されるTMAHを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0098】
実施例3
動的フロースルー実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂によるTMAHの金属低減の測定
[0106]次の例は、動的流動条件下で2.38%TMAHの金属濃度を低減する多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。
【0099】
[0107]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、実施例2と同様の方法を使用して、TMAH金属溶液を調製した。次に、各樹脂を、事前に洗浄したPTFEチューブとポリエチレンフリットから調製した1mLカラムにフローパックした。次に、樹脂パックカラムを金属を含まないTMAHで平衡化した。平衡化後、6分の滞留時間を使用して樹脂パックカラムにTMAH金属溶液を充填し、カラム溶出液を30、45、60、及び75カラム容量(CV)で分画した。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。結果を
図6に示す。結果は、動的条件下で2.38%TMAHにさらされた場合、配位子を含まない樹脂と比較して、N-メチルグルカミンを含む樹脂が、標的金属の除去に驚くほど効果的であることを示している。これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用されるTMAHを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0100】
実施例4
静的浸漬実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂による35%HCl中の金属低減の測定
[0108]次の例は、静的浸漬の条件下で35%HCl中の金属濃度を低減する多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。結果は、N-メチルグルカミン配位子を有する樹脂が、35%HCl中で100%標的金属であるTi及びFeを除去するのに効果的であることを示している。
【0101】
[0109]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、35%HCl(塩酸37%Gigabit(登録商標)、KMG)を、5000pptの標的金属濃度の各Fe及びTi(PlasmaCAL単一元素キャリブレーション標準、SCP SCIENCE)でスパイクして、35%HCl金属溶液を調製した。次に、0.2gの各乾燥樹脂を測定し、清浄な25mLのPTFEジャー(Savillex)に入れた。次に、20mLの35%HCl金属スパイク溶液を、洗浄した樹脂が入っているPTFEジャーに添加した。ジャーに蓋をして、16時間回転させた。16時間後、樹脂を沈降させ、分析のために液体をバイアルにデカントした。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。N-メチルグルカミン配位子を有する樹脂は、驚くべきことに完全な標的金属除去を示し、高い金属除去効率を示した。配位子を含まない樹脂(StratoSpheres(商標)PL-PS/DVB樹脂)、強酸カチオン交換樹脂(DOWEX(商標)MARATHON(商標)MSC、The Dow Chemical Company)、第4級アンモニウムアニオン交換樹脂(AMBERSEP 900、The Dow Chemical Company)などの他の精製樹脂は、それぞれ、標的金属全体の.7、27.4、及び34.8%しか除去しなかった。結果を表2に示す。
【0102】
【0103】
これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用される濃HClを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0104】
実施例5
動的フロースルー実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂による35%HClでの金属低減の測定
[0110]次の例は、動的流動条件下で35%HCl中の金属濃度を低下させるN-メチルグルカミン配位子を含む多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。
【0105】
[0111]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、実施例4と同様の方法を使用して35%HClをスパイクすることにより、35%HCl金属溶液を調製した。次に、各樹脂をPTFEチューブとポリエチレンフリットから調製した1mLカラムにフローパックした。次に、樹脂パックカラムを金属を含まない35%HClで平衡化した。平衡化後、6分の滞留時間を使用して樹脂パックカラムに35%HCl金属溶液を充填し、カラム溶出液を30、45、60、及び75カラム容量(CV)で分画した。結果を
図7に示す。この例は、N-メチルグルカミン配位子を有する同定されたキレート樹脂(Purolite(登録商標)S108、Purolite)が、60CVの負荷で90%を超える標的金属Fe及びTiを除去することを示している。配位子を含まない対照樹脂(StratoSpheres(商標)PL-PS/DVB樹脂)は、標的金属の大幅な低減を示さないため、配位子であるN-メチルグルカミンが、動的な流れの条件下で35%HClで驚くほど効率的な金属低減の原因であると考えられる。これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用される濃HClを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0106】
実施例6
静的浸漬実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂による3.5%HCl中の金属低減の測定
[0112]次の例は、静的浸漬の条件下で3.5%HCl中の金属濃度を低下させる多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。結果は、ジホスホン酸を含む樹脂が3.5%HClから標的金属であるTi及びFeを除去するのに効果的であることを示している。
【0107】
[0113]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、3.5%HCl(塩酸37%Gigabit(登録商標)、KMG)を、5000pptの標的金属濃度の各Fe及びTi(PlasmaCAL単一元素キャリブレーション標準、SCP SCIENCE)でスパイクして、3.5%HCl金属溶液を調製した。次に、0.2gの各乾燥樹脂を測定し、清浄な25mLのPTFEジャー(Savillex)に入れた。次に、20mLの3.5%HCl金属スパイク溶液を、洗浄した樹脂が入っているPTFEジャーに添加した。ジャーに蓋をして、16時間回転させた。16時間後、樹脂を沈降させ、分析のために液体をバイアルにデカントした。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。この実験で評価された樹脂であるジホスホン酸樹脂(Diphonix、Eichrom Technologies)は、3.5%HClから99%以上の標的金属であるTi及びFeを除去した。配位子のない対照樹脂は有意な標的金属低減を示さないため、配位子であるジホスホン酸が3.5%HClでの効率的な金属低減の原因であると考えられる。結果を表3に示す。
【0108】
【0109】
これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用される希釈HCLを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成され得るフィルター材料を生成するであろう。
【0110】
実施例7
動的フロースルー実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂による14%NH
4
OHの金属低減の測定
[0114]次の例は、動的流動条件下で、ジホスホン酸とN-メチルグルカミン配位子を含む多孔質ポリマー樹脂が、14%NH4OH中の金属濃度を低下させる能力を測定するために使用される方法を示している。
【0111】
[0115]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、14%NH
4OHを、5000pptの各金属Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Fe、及びCuでスパイクすることにより、14%NH
4OH金属溶液を調製した。次に、各樹脂をPTFEチューブとポリエチレンフリットから調製した1mLカラムにフローパックした。次に、樹脂パックカラムを、金属を含まない14%NH
4OHで平衡化した。平衡化後、6分の滞留時間を使用して樹脂パックカラムに14%NH
4OH金属溶液を充填し、カラム溶出液を30、45、60、及び75カラム容量(CV)で分画した。結果を
図8に示す。この例は、ジホスホン酸配位子(Diphonix、Eichrom Technologies)を含む同定されたキレート樹脂が、75CVの負荷で90%を超える標的金属を除去することを示しています。配位子のない対照樹脂(StratoSpheres(商標)PL-PS/DVB樹脂)は、有意な標的金属低減を示さないため、配位子であるジホスホン酸が、動的流動条件下で、驚くほど効率的な14%NH
4OH中の金属低減の原因であると考えられる。N-メチルグルカミン配位子を含む樹脂(Purolite(登録商標)S108、Purolite)が、14%NH
4OHからAlを効率的に除去することも注目に値する。これらの結果に基づいて、これらの配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用される水酸化アンモニウムを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0112】
実施例8
動的フロースルー実験を使用したキレート配位子を含む多孔質ポリマー樹脂によるOK73 Thinneの金属低減の測定
[0116]次の例は、動的流動条件下でOK73(PGME/PGMEA)の金属濃度を低下させるジホスホン酸配位子を含む多孔質ポリマー樹脂の能力を測定するために使用される方法を示している。
【0113】
[0117]実施例1に類似の方法を使用して樹脂を洗浄した。次に、OK73 Thinner(TOKYO OHKA KOGYO AMERICA, INC.)を、約1000pptの各Zn、Fe、Cr、及びAlCONOSTAN Oil Analysis Standard, SCP SCIENCE)でスパイクして、OK73金属溶液を調製した。次に、各樹脂をPTFEチューブとポリエチレンフリットから調製した1mLカラムにフローパックした。次に、樹脂パックカラムを金属を含まないOK73 Thinnerで平衡化した。平衡化後、6分の滞留時間を使用して樹脂パックカラムにOK73 Thinner金属溶液を充填し、カラム溶出液を30、45、60、及び75カラム容量(CV)で分画した。結果を
図9に示す。この例は、同定されたキレート樹脂とジホスホン酸樹脂(Diphonix、Eichrom Technologies)が、75 CVの負荷によって、組み合わされた標的金属の70%以上を除去することを示している。配位子のない対照樹脂は、有意な標的金属低減を示さないため、動的流動条件下で、配位子がOK73 Thinnerの驚くほど効率的な金属低減の原因であると考えられる。これらの結果に基づいて、この配位子を含む多孔質ポリマーフィルター膜は、マイクロエレクトロニクス製造システムで使用されるOK73 Thinnerを含む金属イオン枯渇液体組成物を提供するように構成できるフィルター材料を生成するであろう。
【0114】
実施例9
ポリ(ビニルベンジルクロリド/N-メチル-D-グルカミン)で表面修飾された0.2μm及び0.05μmのUPE膜
[0118]この例は、ポリ(ビニルベンジルクロリド/N-メチル-D-グルカミン)P(VBC/NMDG)による0.2μm及び0.05umの超高分子量ポリエチレン(UPE)膜の表面修飾を示している。
【0115】
[0119]表4に従い、ジメチルホルムアミド(DMF)と脱イオン水(DIW)の混合溶媒中で、ポリ(ビニルベンジルクロリド)(PVBC)をN-メチル-D-グルカミン(NMDG)と反応させることにより、4重量%のP(VBC/NMDG)の溶液を調製した。
【0116】
【0117】
[0120]40℃で24時間後、P(VBC/NMDG)を含む溶液を室温まで冷却し、1.0μmのポリエチレン真空フィルターで真空ろ過した。
【0118】
[0121]0.2μm及び0.05umの両方のP(VBC/NMDG)修飾UPE膜を、表4のろ過溶液を使用した表面修飾によって調製した。表面修飾は、UPE膜を4%P(VBC/NMDG)混合物で濡らすことによって達成された。膜を4%P(VBC/NMDG)混合物で吸収させた後、2枚のポリエチレンフィルムの間に膜を押し付けることによって過剰な液体を除去した。得られたUPE膜でコーティングされたP(VBC/NMDG)ポリマーをポリエチレンフィルムから取り出し、抑制ホルダー中に置き、65℃の対流オーブンで10分間アニーリングした。
【0119】
実施例10
動的流動実験を使用したN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜による10%TBAHの金属低減の測定
[0122]次の例は、動的流動条件下で10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)中の金属濃度を低下させるN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜の能力を測定するために使用される方法を示している。結果は、N-メチル-D-グルカミンで修飾されたUPE膜が、10%TBAH中の標的金属であるAl、Cr、Fe、Mn、及びTiの除去に効果的であることを示している。
【0120】
[0123]N-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜は、実施例9と同様の方法を使用して調製され、実施例1と同様の方法を使用して洗浄された。次に、すでに溶液中に存在する金属に加えて、(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、55%(水溶液)、SACHEM)を、標的濃度2000pptの各Al、Ca、Fe、Mn、Ti、及びZn(PlasmaCAL単一元素キャリブレーション標準、SCP SCIENCE)でスパイクすることによって、10%TBAH金属溶液を調製した。次に、N-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜クーポンをきれいな47mmフィルターアセンブリ(Savillex)に固定した。膜とフィルターアセンブリを、100mLのIsopropanol Gigabit(KMG)、続いて300mLの3.5%HCl(塩酸37%Gigabit(登録商標)、KMG)、次に300mLの脱イオン水でフラッシュした。次に、スパイクした10%TBAH溶液を、洗浄したN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜を含むフィルターアセンブリに通し、分析のためにろ液を50mL間隔でPTFEバイアル(Savillex)に収集した。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。この実験で評価されたN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜は、10%TBAHから、97%以上の標的金属、Fe、Mn、Ti、及び約35%の標的金属、Al及びCrを除去した。未修飾のUPE膜は、10%TBAHで金属を除去するのに効果がないことが知られているため、N-メチル-D-グルカミン修飾が10%TBAHでの効率的な金属低減の原因であると結論付けることができる。結果を
図10に示す。
【0121】
実施例11
動的流動実験を使用したN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜による2.38%TMAHの金属低減の測定
[0124]次の例は、動的流動条件下で2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの金属濃度を低下させるN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜の能力を測定するために使用される方法を示している。結果は、N-メチル-D-グルカミンで修飾されたUPE膜が、2.38%TMAH中の標的金属であるFe、Cr、Cu、Mg、Mn、及びNiの除去に効果的であることを示している。
【0122】
[0125]N-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜は、実施例9と同様の方法を使用して調製され、実施例1と同様の方法を使用して洗浄された。次に、(NMD-3テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2.38%(水溶液)TOK)を、標的濃度1500pptの各Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Ni、及びZn(PlasmaCAL単一元素キャリブレーション標準、SCP SCIENCE)でスパイクすることによって、2.38%の金属溶液を調製した。次に、N-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜クーポンをきれいな47mmフィルターアセンブリ(Savillex)に固定した。膜とフィルターアセンブリを、100mLの Isopropanol Gigabit(KMG)で、続いて300mLの3.5%HCl(塩酸37%Gigabit(登録商標)、KMG)で、次に300mLを脱イオン化でフラッシュした。次に、スパイクした2.38%TMAH溶液を、洗浄したN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜を含むフィルターアセンブリに通し、分析のためにろ液を50mL間隔でPTFEバイアル(Savillex)に収集した。各液体サンプルの金属濃度は、ICP-MSによって測定された。この実験で評価されたN-メチル-D-グルカミン修飾UPE膜は、2.38%TMAH溶液から、ほとんどすべての標的金属、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、及びNiを除去した。未修飾のUPE膜は、2.38%TMAHで金属を除去するのに効果がないことが知られているため、N-メチル-D-グルカミン修飾が2.38%TMAHでの効率的な金属低減の原因であると結論付けることができる。結果を
図11に示す。
【0123】
[0126]第1の態様では、フィルター材料は、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、(b)ポリホスホン酸配位子、又は(a)及び(b)の両方を含み、フィルター材料は、金属又は金属イオンが激減された液体組成物を提供するために、マイクロエレクトロニクス製造システムと組み合わせて使用されるように構成される。
【0124】
[0127]フィルター材料が、3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子を含む、第1の態様による第2の態様。
【0125】
[0128]ポリオール配位子が4つ又は5つのヒドロキシル基を有する、第2の態様による第3の態様。
【0126】
[0129]ポリオール配位子がアミノポリオール配位子である、第2又は第3の態様による第4の態様。
【0127】
[0130]アミノポリオール配位子が、1-アミノペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール(n-メチルグルカミン)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-D-グルシトール)、及び6-(ブチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントールからなる群から選択される、第4の態様による第5の態様。
【0128】
[0131]フィルターがポリホスホン酸配位子を含む、第1の態様による第6の態様。
【0129】
[0132]ポリホスホン酸配位子がジホスホン酸配位子である、第6の態様による第7の態様。
【0130】
[0133]ポリホスホン酸配位子又はジホスホン酸配位子がアミノポリホスホン酸配位子又はアミノジホスホン酸配位子である、第6又は第7の態様による第8の態様。
【0131】
[0134]ポリホスホン酸配位子が、(アミノエチリデン)-1,1-ジホスホン酸、4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1,1-ビホスホン酸(アレンドロン酸)、(4-アミノ-1,1,1-トリヒドロキシ-2-ホスホノブタン-2-イル)ホスホン酸、(1-アミノ-1,1-ペンタンジイル)ビス(ホスホン酸)、(1-アミノ-1,1-ヘプタネジイル)ビス(ホスホン酸)、(1-アミノ-1,3-プロパンジイル)ビス(ホスホン酸)、イミノジ(メチルホスホン酸)、[アミノ(ホスホノ)メチル]ホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、及びニトリロトリ(メチルホスホン酸))からなる群から選択される、第6の態様による第9の態様、
【0132】
[0135]ポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子の両方を含む、前述の態様のいずれかによる第10の態様。
【0133】
[0136]フィルター材料が多孔質ポリマーフィルター膜の形態である、前述の態様のいずれかによる第11の態様。
【0134】
[0137]多孔質ポリマーフィルター膜が約2psi~約400psiの範囲のバブルポイントを有する、第11の態様による第12の態様。
【0135】
[0138]多孔質ポリマーフィルター膜が約0.001ミクロン~約10ミクロンの細孔サイズを有する、第11又は第12の態様による第13の態様。
【0136】
[0139]第14の態様では、複合膜は、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、又は(b)ポリホスホン酸配位子のうちの少なくとも1つを有する第1のフィルター材料、並びに第1のフィルター材料とは異なる第2のフィルター材料を含み、複合膜は、金属又は金属イオンが激減された液体組成物を提供するために、マイクロエレクトロニクス製造システムと組み合わせて使用されるように構成されている。
【0137】
[0140]第2のフィルター材料は、第2のフィルター材料が、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、又は(b)第1のフィルター材料に存在しないポリホスホン酸配位子のうちの1つを有するという点で第1のフィルター材料とは異なる、第14の態様による第15の態様。
【0138】
[0141]第1のフィルター材料が多孔質ポリマー材料である、第14又は第15の態様による第16の態様。
【0139】
[0142]第2のフィルター材料が多孔質ポリマー材料である、第14~第16の態様のいずれかによる第17の態様。
【0140】
[0143]第2のフィルター材料がポリマー樹脂粒子である、第14~第16の態様のいずれかによる第18の態様。
【0141】
[0144]第19の態様では、マイクロエレクトロニクス製造システムは、第1~第13の態様のいずれか1つによるフィルター材料、又は第14~18の態様のいずれか1つによる複合膜を含む。
【0142】
[0145](a)水性塩基性組成物供給、(b)水性酸供給、又は(a)及び(b)の両方をさらに含む、第19の態様による第20の態様。
【0143】
[0146]第21の態様では、液体組成物から1つ又は複数の金属又は金属イオンを除去するための方法であって、この方法は:フィルター材料を1つ又は複数の金属又は金属イオンを含む液体組成物と接触させること、(a)3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子、(b)ポリホスホン酸配位子、又は(a)と(b)の両方を含むフィルター材料を含み、接触が、液体組成物中の1つ又は複数の金属又は金属イオンの量を低減させる。
【0144】
[0147]フィルターが3つ以上のヒドロキシル基を含むポリオール配位子を含む、第21の態様による第22の態様。
【0145】
[0148]アミノポリオール配位子が4つ又は5つのヒドロキシル基を有する、第22の態様による第23の態様。
【0146】
[0149]ポリオール配位子がアミノポリオール配位子である、第22又は第23の態様による第24の態様。
【0147】
[0150]アミノポリオール配位子が、1-アミノペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6-ペントール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール(n-メチルグルカミン)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-D-グルシトール)、及び6-(ブチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントールからなる群から選択される、第24の態様による第25の態様。
【0148】
[0151]フィルターがポリホスホン酸配位子を含む、第21の態様による第26の態様。
【0149】
[0152]ポリホスホン酸配位子がジホスホン酸配位子である、第25の態様による第27の態様。
【0150】
[0153]ポリホスホン酸又配位子又はジホスホン酸配位子がアミノポリホスホン酸配位子又はアミノジホスホン酸配位子である、第26又は第27の態様による第28の態様。
【0151】
[0154]ポリホスホン酸配位子が、1-(アミノエチリデン)-1,1-ジホスホン酸、4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1,1-ビホスホン酸(アレンドロン酸)、(4-アミノ-1,1,1-トリヒドロキシ-2-ホスホノブタン-2-イル)ホスホン酸、(1-アミノ-1,1-ペンタンジイル)ビス(ホスホン酸)、(1-アミノ-1,1-ヘプタネジイル)ビス(ホスホン酸)、及び(1-アミノ-1,3-プロパンジイル)ビス(ホスホン酸))からなる群から選択される、第28の態様による第29の態様。
【0152】
[0155]フィルター材料が、ポリオール配位子及びポリホスホン酸配位子の両方を含む、第21~第29の態様のいずれかによる第30の態様。
【0153】
[0156]フィルター材料がポリマー材料を含む、第21~第30の態様のいずれかによる第31の態様。
【0154】
[0157]フィルター材料が疎水性材料を含む、第21~第31の態様のいずれかによる第32の態様。
【0155】
[0158]フィルター材料がポリオレフィン又はハロゲン化ポリマーを含む、第21~第32の態様のいずれかによるの第33の態様。
【0156】
[0159]ポリオレフィンが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン(PB)、ポリイソブチレン(PIB)、並びに2つ以上のエチレン、プロピレン、及びブチレンのコポリマーからなる群から選択される、第33の態様による第34の態様。
【0157】
[0160]ハロゲン化ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンポリマー(FEP)、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選択される、第33の態様による第35の態様。
【0158】
[0161]ポリマー材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、第31の態様による第36の態様。
【0159】
[0162]フィルター材料が多孔質ポリマーフィルター膜の形態である、第21~第36の態様のいずれかによる第37の態様。
【0160】
[0163]多孔質ポリマーフィルター膜が約2psi~約400psiの範囲のバブルポイントを有する、第37の態様による第38の態様。
【0161】
[0164]多孔質ポリマーフィルター膜が約0.001ミクロン~約10ミクロンの細孔サイズを有する、第37又は第38の態様による第39の態様。
【0162】
[0165]液体組成物が水性塩基性組成物である、第21~第39の態様のいずれかによる第40の態様。
【0163】
[0166]液体組成物が、pHが10~14の範囲を有する水性塩基性組成物である、第40の態様による第41の態様。
【0164】
[0167]水性塩基性組成物が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、NH4OH、又はそれらの混合物を含む、第40又は第41の態様による第42の態様。
【0165】
[0168]液体組成物が水性酸性組成物である、第21~第39の態様のいずれかによる第43の態様。
【0166】
[0169]液体組成物が約3以下のpHを有する酸性組成物である、第43の態様による第44の態様。
【0167】
[0170]酸性組成物がHCl、H2SO4、H3PO4、HNO3、又はHFを含む、第43又は第44の態様による第45の態様。
【0168】
[0171]酸性組成物が少なくとも0.5%(w/v)の酸濃度を有する、第43~第45の態様のいずれかによる第46の態様。
【0169】
[0172]液体組成物が溶媒又は溶媒の混合物である、第21~第39の態様のいずれかによる第47の態様。
【0170】
[0173]液体組成物が有機溶媒又は有機溶媒の混合物である、第47の態様による第48の態様。
【0171】
[0174]1つ又は複数の金属又は金属イオンが、アルカリ土類金属、遷移金属、及び遷移後金属から選択される、第21~第48の態様のいずれかによる第49の態様。
【0172】
[0175]1つ又は複数の金属又は金属イオンが、Na、K、Al、Ca、Ti、Cl、Mn、Fe、及びZnから選択される、第49の態様による第50の態様。
【0173】
[0176]フィルターがポリホスホン酸配位子及び4つ又は5つのヒドロキシル基を含むポリオール配位子を含む、第21~第50の態様のいずれかによる第51の態様。
【0174】
[0177]第52の態様では、マイクロエレクトロニクスデバイスを製造するための方法は、第21から第51の態様のいずれかの方法を実行して、金属又は金属イオンが激減された液体組成物を生成し、マイクロエレクトロニクスデバイスを製造する工程において、マイクロエレクトロニクス物品を金属又は金属イオンが激減された液体組成物と接触させる。
【0175】
[0178]金属又は金属イオンが激減された液体組成物を接触させることが酸を含み、接触させることがマイクロエレクトロニクスデバイスの一部をウェットエッチングするよう実行される、第52の態様による第53の態様。
【0176】
[0179]金属又は金属イオンが激減された液体組成物を接触させることが塩基を含み、接触させることが、半導体製造プロセスにおいてフォトレジストを除去するように実行される、第52の態様による第54の態様。