(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-13
(45)【発行日】2023-11-21
(54)【発明の名称】複合中空糸ならびに関連する方法および製品
(51)【国際特許分類】
B01D 69/08 20060101AFI20231114BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20231114BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20231114BHJP
B01D 71/56 20060101ALI20231114BHJP
B01D 71/64 20060101ALI20231114BHJP
C08J 9/42 20060101ALI20231114BHJP
C08J 9/26 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
B01D69/08
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/56
B01D71/64
C08J9/42 CFG
C08J9/26 102
(21)【出願番号】P 2021555486
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 US2020022458
(87)【国際公開番号】W WO2020190652
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-25
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボンヤディ,シーナ
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-277105(JP,A)
【文献】特開2012-200635(JP,A)
【文献】特開2012-187575(JP,A)
【文献】特開昭63-205108(JP,A)
【文献】特開2003-225542(JP,A)
【文献】国際公開第03/106545(WO,A1)
【文献】特開2010-227932(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088232(WO,A1)
【文献】特開2009-219979(JP,A)
【文献】特表2014-514158(JP,A)
【文献】特表2017-536232(JP,A)
【文献】特表2016-538122(JP,A)
【文献】特表2018-522110(JP,A)
【文献】特表2012-523320(JP,A)
【文献】特開2017-214450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C08J 9/26- 9/28
C08J 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造プロセスで使用される液体化学物質を浄化するための複合中空糸フィルター膜であって、
外側表面、
内側表面、
外側表面と内側表面との間に広がる厚さ、および
微小孔
を含む、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体と;
外側表面と接触する凝固したポリマーを含む多孔質ポリマー性フィルター層と
を含み、
多孔質ポリマー性フィルター層が、中空糸支持体の微小孔の平均孔径より小さい平均孔径を有する孔を含み、
微小孔性中空糸支持体が、多孔質ポリマー性フィルター層より厚く、
プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒をろ過するように構成されている、
複合中空糸フィルター膜。
【請求項2】
多孔質ポリマー性フィルター層が、中空糸支持体の厚さに2ミクロン以下の深さまで侵入している、請求項1に記載の複合中空糸フィルター膜。
【請求項3】
凝固したポリマーが、ポリイミド、ポリアミド-イミド、およびポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の複合中空糸フィルター膜。
【請求項4】
複合膜が、20~8000LMH/バールの範囲の流束、および摂氏25度の温度でエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE7200)を使用して測定される、50~500psiの範囲のあわ立ち点を有する、請求項1に記載の複
合中空糸フィルタ
ー膜。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の複合中空糸フィルター膜を含む、フィルター。
【請求項6】
流体をろ過する方法であって、最初にフィルター層を通り、2番目に中空糸支持体を通る流れの方向に流体を通過させることによって、請求項5に記載のフィルターに流体を通過させることを含む、方法。
【請求項7】
ポリマー性の微小孔性中空糸支持体および多孔質ポリマー性フィルター層を含む、半導体製造プロセスで使用される液体化学物質を浄化するための複合中空糸フィルター膜を調製する方法であって、
ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することであって、ポリマー溶液が、溶媒に溶解したポリマーを含む、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することと、
ポリマー溶液コーティングを凝固溶液に接触させて、ポリマー溶液コーティングのポリマーを溶解させて、凝固したポリマーの層を外側表面上に形成することであって、凝固したポリマーの層が外側表面と接触しかつポリマー性の微小孔性中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入する、ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させて、ポリマー溶液コーティングのポリマーを溶解させて、凝固したポリマーの層を外側表面上に形成することと
を含み、
多孔質ポリマー性フィルター層が、中空糸支持体の微小孔の平均孔径より小さい平均孔径を有する孔を含み、
微小孔性中空糸支持体が、多孔質ポリマー性フィルター層より厚く、
複合中空糸フィルター膜が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒をろ過するように構成されている、
方法。
【請求項8】
配置の間に:
ポリマー性の微小孔性中空糸支持体を、環状ダイの中央開口部を通過させること、および
ポリマー溶液を、環状ダイの環状開口部を通過させて、外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置すること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
中空糸支持体が、ナイロンを含む、請求項1に記載の複合中空糸フィルター膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の明細書は、フィルター膜として有用であり、多孔質ポリマー性中空糸支持体およびフィルター層を含む複合中空糸;複合中空糸を作る方法および複合中空糸をフィルター膜として使用する方法;複合中空糸からフィルター構成要素またはフィルターを作る方法;ならびにフィルター膜としての複合中空糸を含有する、フィルター構成要素およびフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター膜の主な用途は、有用な流体の流れから不要な材料を除去することである。環境空気、飲料水、液体工業溶媒および処理流体、(例えば、半導体製作における)製造または処理に使用される工業用ガス、ならびに医療的または製薬的使途を有する液体を含む、産業界における多くのガス状および液状の流体が、フィルターを使用して処理される。流体から除去される不要な材料としては、不純物および汚染物質、例えば、粒子、微生物、および溶解した化学種が挙げられる。フィルター膜の不純物除去用途の具体例としては、製薬産業の治療溶液から粒子または細菌を除去するため、マイクロエレクトロニクスおよび半導体処理で使用するための超高純度の水性および有機の溶媒溶液を処理するため、ならびに空気および水の浄化プロセスのためのフィルター膜の使用が挙げられる。
【0003】
ろ過機能を果たすために、フィルター製品は、流体から不要な材料を除去する役割を担うフィルター膜を含む。フィルター膜は、必要に応じて平らなシートの形態であり得、平らなシートは(例えば、螺旋状に)巻かれたり、またはひだを付けられたりなどされ得る。フィルター膜は、代わりに中空糸の形態であり得る。フィルター膜は、入口および出口を含むハウジング内に含有され、ろ過される流体は入口を通って入り、フィルター膜を通過し、出口を通過し得る。
【0004】
流体中の不要な材料は、機械的または静電気的に、例えば、ふるい分けもしくは「非ふるい分け」機構、または両方により、フィルター膜により捕捉されることによって、流体から除去される。ふるい分け機構は、粒子の動きとともに孔の機械的妨害に起因して、膜孔入口で粒子を保持することによって、粒子が液体の流れから除去されるろ過の様式である。この機構では、粒子の大きさの少なくとも1つの寸法は、孔径より大きい。「非ふるい分け」ろ過機構は、例えば、粒子または溶解した材料が静電気的に引き寄せられ、フィルター膜の外側表面または内側表面に保持される(深層ろ過)、静電気機構を含むもっぱら機械的ではない方式で、フィルター膜を通って流れる液体に含有されている懸濁粒子または溶解した材料を、フィルター膜が保持するろ過の様式である。
【0005】
フィルター膜は、フィルターの予想される使途、すなわち、フィルターを使用して果たされるろ過のタイプに基づいて選択され得る平均孔径を有する、多孔質ポリマー性フィルムから造ることができる。典型的な孔径は、ミクロンまたはサブミクロンの範囲、例えば、約0.001ミクロン~約10ミクロンである。約0.001~約0.05ミクロンの平均孔径を有する膜は、時に限外ろ過膜として分類される。約0.05~10ミクロンの間の孔径を有する膜は、時に微小孔性膜として分類される。
【0006】
商業的使途に対しては、フィルター膜は、効率的に製造され、フィルター製品へ組み立てられ得るタイプであるべきである。膜は、効率的に製造され得なければならず、フィルター膜がフィルターカートリッジまたはフィルターの形態へのアセンブリーに耐えることが可能な、強度および可撓性などの機械的特性を有さなければならない。機械的特性に加えて、膜は、好適な化学的官能性、および高性能ろ過のためのミクロ構造を有するべきである。一部の用途では、高いろ過性能を達成するためには、1を超える化学的官能性、ミクロ構造、または孔径が必要である。したがって、この目的を果たすためには、2つまたは多数の化学的官能性を有する複合膜が好適である。
【0007】
熱誘起相反転(thermally indued phase inversion)(TIPS)または非溶媒誘起相反転(non-solvent induced phase inversion)(NIPS)などの技術によって、多孔質中空糸フィルター膜に形成され得る様々なポリマーが明らかにされてきた。同様に、中空糸フィルター膜をハウジング内の最終的フィルター製品へ組み立てるための、様々な技術および装置が開発されてきた。例えば、WO2017/007683およびUS5,695,702を参照されたく、これらの文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
商業的使途に対しては、フィルター膜は、効率的で信頼できるろ過機能も示さなければならず、例えば、フィルター膜を通過する流体の連続的な流れから多量の不純物を効率的に除去できなければならない。ろ過性能は、通常、流束および保持率を含む2つのパラメーターによって評価される。流束は、フィルターまたはフィルター膜を通って流れる流体の速度を評価し、フィルターを通る高レベルの流れが可能であり、したがって、フィルターが経済的に実現可能であることを反映するために、十分高くなければならない。一般に保持率は、フィルターを通る流体の流れから除去される(パーセントでの)不純物の量を指し、フィルター効率の指標である。膜の流束および保持率の両方は、膜のミクロ構造および孔径に著しく依存し、一般にあわ立ち点によって評価される。より小さい孔を有する膜は、(同一の膜モフォロジーおよび厚さを仮定すると)より低い流束を犠牲にして、より高いあわ立ち点およびより良好なふるい分け保持能力を有し;より大きい孔径は、より低いあわ立ち点およびより低いふるい分け保持率に相当するが、同一の膜モフォロジーおよび厚さを仮定すると、より高い流束に相当する。膜の非ふるい分け保持能力は、膜のミクロ構造および孔径に加えて、(荷電などの)膜表面特性に依存する、より複雑な特性である。
【0009】
膜ろ過の主な商業的関心の1つの領域は、半導体産業におけるフォトレジスト溶液からの汚染除去である。半導体産業がより小さいノードの方へ移動するにつれて、より小さい汚染物質がウエハ製品に欠陥をもたらし、生産収率を著しく下げるおそれがあるので、汚染問題はより厳しくなっている。フォトレジスト流体における汚染物質は、有機的または無機的性質を有する、ゲル、イオンまたはナノ粒子を含み得る。膜の2つの一般的な幾何学的配置の間で、中空糸装置のアウトサイドイン流れの構成は、平らなシート膜から作られた装置と比較して、潜在的に、より速いフラッシュアップ時間を提供するので、中空糸膜は汚染除去用途にとって特に興味深い。フラッシュアップ時間は、フィルターを通して通過した液体中の粒子数が、ベースラインに到達するのに要する時間である。中空糸装置の潜在的により良好なフラッシュアップ時間は、中空糸のルーメン側が、環境汚染物質、例えば、膜処理、ハンドリングおよび装置製作中のダストおよび粒子に曝露されず、したがってより清浄である可能性が高いためである。より良好な装置保全性は、ひだを付けた平らなシートカートリッジと比較して中空糸装置の別の潜在的利点であり、それは、特に膜材料が脆いポリマーである場合、そのひだを付けた運転が、膜のひだ先端の上または近くに欠陥を生み出すおそれがあるためである。
【0010】
フォトリソグラフィー用途で使用される、シクロヘキサノン、酢酸n-ブチル、PGME、およびPGMEAなどの有機溶媒の性質に起因して、膜とこれらの溶媒との化学的適合性は、これらの使途にとって膜材料選択での制約因子である。その結果、ポリエチレンおよびナイロンを含む溶媒適合性ポリマーが、この用途で使用される中空膜の調製用に考慮されてきた。しかしながら、半導体産業における汚染除去の高い要求要件を満たす使途にとって、これらの膜に関連する大きな制約が存在する。TIPSプロセスによって作られる、ポリエチレン中空糸膜の孔径は、通常40nmより大きい孔径に制約される。この制約は、一部はポリエチレン溶液の相分離の性質に起因し、一部は押し出された糸を素早く冷却するプロセスの制約に起因する。同様の理由で、TIPS処理された膜のミクロ構造における達成可能な非対称性の度合いは、NIPS処理可能な膜より通常は低い。その結果、TIPS処理された膜は、通常、NIPS処理された膜と比較して、劣った流束-あわ立ち点バランスを有する。加えて、ポリエチレンポリマーの非極性の性質は、ナイロンなどの高度に極性のポリマーと比較して、ポリエチレンの制約された非ふるい分け(極性)保持能力をもたらす。ポリエチレンと異なり、ナイロンの極性および静電特性に起因して、ナイロン膜は非常に強い非ふるい分け保持率を有し、これらの膜は、NIPSおよびTIPSプロセスの両方によって処理可能である。しかしながら、NIPSプロセスにおけるナイロンの遅い相分離の性質は、良好な流束を有する、高いBP(小さい孔径)膜を作ることを困難にする。他方、ナイロンのTIPS処理は、TIPS処理されたポリエチレン膜の同様の制約を有する。全体として、溶媒適合性、高い保持率、および良好な流束基準を満たす、改善されたろ過膜の需要が存在する。
【発明の概要】
【0011】
以下の明細書は、半導体製造プロセスにおけるフォトレジスト溶液からの汚染除去において、高い効率を有する新しい複合中空糸膜、およびこうした複合中空糸を作る方法に関する。膜は、所望のふるい分け特性を、強い非ふるい分け(例えば、静電気、親和性、非親和性(phobic))特性と独自に組み合わせて、高い粒子保持率および高い流束を達成する。発明された複合中空糸は、ハンドリング、装置製造、および圧力駆動用途のための良好な機械的特性も有する。
【0012】
複合膜の製作は、膜の特性を、高い流束、高い保持率、良好な機械的特性および妥当なコストを達成するように合わせるのに、有用な手法である。例えば、高い流束、高い保持率、および良好な機械的特性の組合せは、小さい孔径を有する薄い層(緻密層)を、より大きい孔径を有するより厚い層(支持体層)の上に有する複合膜を作ることによって、達成することができる。この構成では、緻密層の高い流れ抵抗は、その厚さを低減することによって最小化され、一方、必要な膜の機械的強度は、より大きな孔径に起因した最小の流れ抵抗を有する、より厚い支持体層の使用によって達成される。時に複合膜の概念を使用して、機能的で高価なポリマーの薄い層を、より厚い支持体層の上に製作することによって、高価なポリマーから製作された膜のコストを低下させることができる。複合膜の別の有用な用途は、所望の分離を実行するために、1つの膜内で異なる機能を有する層が必要な場合である。
【0013】
いくつかのタイプの複合中空糸の開発が、報告されてきた。こうした膜の早期開発は、微小孔性中空糸支持体の外側表面上に高密度ポリマー層を被覆することによる、ガス分離用途を目標とした。こうした膜の製作の方法は、ポリマー溶液で微小孔性中空糸の外側表面を被覆し、アニーリング工程が続いて、被覆された溶液からの溶媒を気化させ、中空糸の外表面上に高密度非多孔質層を生み出すことを含んだ。複合膜を製作する方法の別の例は、2つの異なるポリマー溶液を、2重オリフィス紡糸口金を使用して凝固浴槽の中へ共紡糸し(co-spin)、2重層膜を形成することを含む。この方法の主な制約は、1つの層の相分離が、他の層の相分離の速度、したがってその特性に影響を及ぼすので、各層の特性を独立して合わせることが困難なことである。さらに、NIPS処理可能ポリマーからの1つの層、およびTIPS処理可能ポリマーからの別の層を有する、2重層中空糸膜を作ることは、時に不可能または非常に複雑である。例えば、この方法によってポリエチレン(PE)-ポリエーテルスルホン(PESU)複合中空糸を作るために、TIPS処理に必要なポリエチレン溶液の高温(約150℃)は、紡糸口金温度、続いてPESU溶液の処理温度を上げる。これは、PESポリマー溶液が高温で相分離する傾向があるので、ポリエーテルスルホン層の相分離にマイナスの影響を及ぼすおそれがある。このため、PES溶液は、凝固浴槽に入る前に紡糸口金の内側で相分離する可能性がある。この現象は、PES層特性の最適制御を妨げるおそれがある。
【0014】
出願人は、比較的高いあわ立ち点(小さい孔径)および良好な保持率を兼ね備え、高い流束を含む、有用なまたは有利なろ過性能特性を示すことができる、新しい中空糸フィルター膜構造をここで発見した。性能は、以前および現行の市販の中空糸フィルター膜製品に比較して十分匹敵する、または相当な改善を示す。
【0015】
本明細書で記述のように、中空糸フィルター膜は複合形態で作られる。複合体は、多孔質ポリマー性の中空糸支持体、および中空糸支持体上に配置された多孔質フィルター層を含む。中空糸支持体は、その上にフィルター層が置かれる支持体構造物として機能する。中空糸支持体はフィルターとしてもさらに機能できる可能性はあるが、複合中空糸膜を通過する液体の流れから不要な材料を除去するフィルターとして機能する必要はない。複合フィルター膜を通過する流体から除去される、不要な材料(汚染物質)のタイプおよび大きさに応じて、ならびに中空糸支持体の物理的特性(例えば孔径)および化学的構成に応じて、中空糸支持体は、ふるい分けまたは非ふるい分け機構によって、不要な材料を効果的に除去し得る。代わりに、中空糸支持体は実質的なろ過効果を提供する必要はなく、複合体のろ過性能の大部分は、フィルター層によって提供され得る。
【0016】
フィルター層は多孔質であり、ろ過の機能を果たす、すなわち、複合中空糸膜を通過する液体の流れから不要な材料を除去する。フィルター層は、好ましくは、中空糸支持体の外側に位置するフィルター層ポリマーの薄く、多孔質の層の形態にあり得る。多孔質中空糸支持体は、中空糸支持体の厚さを通って広がる孔のマトリックスを含む。複合体は、したがって、中空糸支持体の層およびフィルター層を含む。
【0017】
ある実施形態では、中空糸支持体は、フィルター層の孔より比較的より大きい孔を有し得、フィルター層より比較的厚くあり得る。これらの例示的複合体では、より大きい(より厚い)中空糸支持体の比較的より大きい孔径は、より小さい孔を有する類似の支持体に比較して、中空糸支持体を通る流れの低減されたレベルの抵抗、(およびより少ない流れ時間でより大きい流れ)をもたらす。より薄いが比較的より小さい孔径を有するフィルター層は、流体流れから不要な材料を除去するフィルターとして非常に効果的であるが、フィルター層は比較的薄いので、複合体を通る有用なまたは有利に多量の流れがそれでも可能である。
【0018】
フィルター層は溶液処理可能なポリマー(「フィルター層ポリマー」と呼ばれる)から作られており、そのことは、フィルター層ポリマーが溶媒に溶解して、中空糸支持体上にフィルター層ポリマーを被覆するのに使用され得るポリマー溶液を形成することができることを意味する。一例として、溶媒に溶解したフィルター層ポリマーを含有するポリマー溶液の層は、被覆されたポリマー溶液の層として、中空糸支持体の外側部分上に被覆され得;続いて、被覆されたポリマー溶液は非溶媒(溶解したフィルター層ポリマーが実質的に不溶性である液体を意味する)に曝露され得、フィルター層ポリマーは沈殿し(例えば、凝固し)、沈殿した(凝固した)フィルター層ポリマーの層を中空糸支持体の外側表面上に形成するであろう。
【0019】
フィルター膜は、商業的または工業的プロセスにおいて、高純度レベルで使用されるべき液体をろ過する(すなわち、液体から材料を除去する)ために使用され得る。プロセスは、投入材料(input)として高純度液体材料を必要とする任意のものであり得、こうしたプロセスの非限定的な例としては、マイクロエレクトロニクスまたは半導体デバイスを調製する方法が挙げられ、その具体例は、半導体フォトリソグラフィーまたは洗浄プロセスおよびエッチングプロセスで使用される、液体のプロセス材料(例えば、溶媒または溶媒含有液体)をろ過する方法である。マイクロエレクトロニクスまたは半導体デバイスを調製するために使用される、プロセス液体または溶媒中に存在する汚染物質の例としては、液体に溶解した金属イオン、液体中に懸濁した固体微粒子、および液体中に存在する(例えば、フォトリソグラフィー中に発生した)ゲル化した材料または凝固した材料を挙げることができる。
【0020】
一態様では、外側表面、内側表面、外側表面と内側表面の間に広がる厚さ、および微小孔を有する、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体;ならびに外側表面に接触する凝固ポリマーを含む多孔質ポリマー性フィルター層、を含む複合中空糸フィルター膜。一部の実施形態では、多孔質ポリマー性フィルター層は、中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入している。他の実施形態では、多孔質ポリマー性フィルター層は、中空糸支持体の厚さの中へ実質的に侵入している。
【0021】
別の態様は、中空糸支持体および多孔質ポリマー性フィルター層を含む複合中空糸フィルター膜の調製方法に関する。この方法は、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することであり、ポリマー溶液が溶媒に溶解したポリマーを含む、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することと;ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させて、ポリマー溶液コーテティングの溶解したポリマーに凝固したポリマーの層を外側表面上に形成させることであり、凝固したポリマーの層が外側表面と接触しかつ中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入する、ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させて、ポリマー溶液コーテティングの溶解したポリマーに凝固したポリマーの層を外側表面上に形成させることを含む。
【0022】
さらに別の態様は、外側表面、内側表面、外側表面と内側表面の間に広がる厚さ、および微小孔を有する、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体;ならびに、外側表面と接触する凝固したポリマーを含み、中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入した、多孔質ポリマー性フィルター層、を含む、複合中空糸フィルター膜を含むフィルターに関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】中空糸支持体上に本発明のフィルター層を被覆して、記述の複合体を製造するための系の概略図である。
【
図2】記述の複合中空糸フィルター膜を含む、フィルターおよびフィルターの構成要素の例示的実施形態を示す図である。
【
図3】記述の複合中空糸フィルター膜を含む、フィルターおよびフィルターの構成要素の例示実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図は概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。
【0025】
本出願人は、新規の複合中空糸フィルター膜、および複合中空糸フィルター膜(時に本明細書で、「複合膜」、「複合フィルター膜」、「複合体」などとも呼ばれる)を調製する方法を明らかにした。複合フィルター膜は、中空糸支持体および中空糸支持体上に配置されたフィルター層を含む。中空糸支持体は、使用中に複合体を機械的に支持する機能を果たし、中空糸フィルターカートリッジまたは中空糸フィルター膜内にフィルター層の場所を提供しながら、ふるい分けまたは非ふるい分けろ過機能を果たし得る。中空糸支持体は、複合体のろ過構成要素として機能する必要はないが、有用な支持体ならびに有用な物理的および機械的特性を複合体に提供し、複合体をフィルターとして使用している間に、流体が支持体およびフィルター層を通って流れることを可能にする、良好な流動特性を提供することができる。フィルター層は、複合フィルター膜を通過する流体の流れを、ろ過する(すなわち、流体の流れから不要な材料を除去する)機能を果たす。複合体は、流動性能とろ過性能との有用なまたは有利な組合せを示すことができる。
【0026】
中空糸支持体(本明細書で単に「支持体」とも呼ばれる)は、多孔質であり、例えば、フィルターカートリッジまたはフィルターに複合中空糸フィルター膜が含まれている場合、流体がフィルター層を通過できるように、効果的にフィルター層を支持することができる、ポリマー性中空糸材料である。中空糸支持体は、ポリマー性で、多孔質で、十分に剛性でしかも可撓性であり、記述の複合中空糸膜の支持構成要素としてのその使用を可能にする。支持体は、一緒に支持体の特性に貢献する、気孔率、孔径、厚さ、および組成(すなわち、ポリマー性構成)などの特徴を有する。支持体は、複合フィルター膜が商業的ろ過用途で使用するのに十分な流速で、液体流体が支持体を通過できるようにするために、十分に多孔質であり、好適な孔径を有するべきである。複合体のある実施形態では、支持体として機能することに加えて、中空糸支持体は、ふるい分けまたは非ふるい分けろ過機構によって、流体の流れから不要な材料を除去するフィルターとしても効果的であり得る。これらの例示的複合体では、中空糸支持体の物理的特性(例えば、孔径、厚さ)および化学的組成または両方は、ふるい分け機構、非ふるい分け機構または両方によるろ過にとって効果的であり得る。
【0027】
中空糸支持体は、多孔質支持体が本明細書で記述のように効果的であることを可能にする、任意の気孔率を有することができ、液体が支持体および支持体上に置かれたフィルター層を通過するのに好適な流速を可能にし、所望の場合、中空糸支持体が、ふるい分けまたは非ふるい分けろ過機構によってろ過機能を果たすことを可能にする。有用な中空糸支持体の例は、90パーセント以下の気孔率、例えば、60~90、例えば、65~80パーセントの範囲の気孔率を有することができる。本明細書で使用する場合、および多孔質物体の技術分野では、多孔質物体の「気孔率」(時に「空隙率」とも呼ばれる)は、物体の全体積のパーセントとしての、物体中の空隙(すなわち、「空の」)空間の尺度であり、物体の全体積に対する物体の空隙の体積の割合として計算される。ゼロパーセントの気孔率を有する物体は、完全に固体である。
【0028】
中空糸支持体の孔の大きさ(すなわち、中空糸支持体全体を通しての孔の平均の大きさ)は、気孔率、厚さ、ならびに内径寸法および外径寸法と組み合わせて、中空糸支持体を通る液体流体の所望の流れを提供し、ポリマーフィルター層が付着され得る多孔質表面を提供し、所望の場合、中空糸支持体が、ふるい分けまたは非ふるい分けろ過機構によって、ろ過機能を果たすことを可能にする、大きさであり得る。
【0029】
例えば、特定の複合膜における、特別の中空糸支持体にとって有用な孔径は、中空糸支持体の厚さ;フィルター層の厚さ、気孔率、組成、および孔径;流体の流れから不要な材料を除去するために、フィルターとして中空糸支持体が果たす度合い;複合体の所望の流れ特性およびろ過特性;および被覆されたポリマー溶液の粘弾性特性を含む、フィルター層を中空糸支持体上に堆積させる(例えば、被覆する)方法の特徴、などの要素に依存し得る。中空糸支持体上にフィルター層を配置するのに(本明細書で記述される)有用な、浸漬被覆方法の現在理解されているある例については、中空糸支持体の例示的孔径は、約30ナノメートル、50ナノメートル、0.05ミクロンから、10ミクロンまでの範囲、例えば、「微小孔性の」「ウルトラ孔の」、または「ナノ孔の」として時に分類される大きさであり得る。本明細書の目的にとって、「ウルトラ孔性の」という用語は、より大きい孔径を有する材料から区別する、すなわち、「マクロ孔の」と考えられる材料を区別する方法として、微小孔およびサブ-微小孔の大きさを含む、これらの大きさの任意の範囲内の孔を指すために時に使用される。中空糸支持体の平均孔径の例は、少なくとも30ナノメートル、少なくとも50ナノメートル、または少なくとも0.1もしくは0.5ミクロン、および約4、6、8、または10ミクロン以下であり得る。
【0030】
支持体上へのポリマー溶液の被覆中に、特定の度合いの侵入は所望され得る。侵入の度合いは、有用なものであれば、高いまたは低い度合いの侵入のいずれでもよい。支持体の孔径が大きい場合、(フィルター層を配置するために)支持体に塗布されるポリマー溶液は、(より小さい孔径を有する支持体の中への侵入と比較して)比較的より大きい深さ、潜在的に必須ではないまたは所望されない深さまで支持体の孔の中に侵入する傾向があるであろう。支持体の孔径が小さすぎる場合、使用中に、孔の一部またはすべてを通る液体の流れを承諾しがたいほど阻害または妨害する方式で、孔は、ポリマー溶液によって閉ざされ、塞がれ、ブロックされ、または詰められるようになるおそれがあり、複合フィルター膜の構成要素としての使用中に、液体が中空糸支持体を通って流れる能力の大幅な低減を生み出し、例えば、望ましくなく、承諾しがたいほど流束を低減するおそれがある。少なくとも孔径の違いに基づくと、例えば、米国特許第5,472,607号に記述されているタイプの管状に編んだ中空膜は、記述の複合中空糸膜で使用するための中空糸支持体としては、不適当または好ましくない可能性がある。
【0031】
中空糸支持体は、支持体が記述の複合フィルター膜の支持体構成要素として機能するのに、効果的な厚さ、内径、および外径寸法を有し得る。中空糸支持体の有用な壁の厚さの例は、25~250ミクロン、例えば、30~150または200ミクロンの範囲にあり得る。中空糸支持体の有用な内径の例は、300~1000ミクロン、例えば、400~700または900ミクロンの範囲にあり得る。中空糸支持体の有用な外径の例は、500~1500ミクロン、例えば、600~1200または1300ミクロンの範囲にあり得る。
【0032】
中空糸支持体は、本明細書に記述の複合フィルター膜として使用するための中空糸を形成するのに有用な、任意のポリマーから製造され得る。支持体は、ろ過工程における複合フィルター膜の構成要素として使用される場合、支持体を通過する液体に化学的に抵抗性である(例えば、化学的に劣化しない)べきである。有用な例は、半導体およびマイクロエレクトロニクスの処理で使用される流体(例えば、溶媒またはプロセス流体)をろ過するための中空糸フィルター膜として使用された、または有用であると見出されたポリマーを含み、その例としては、半導体製作において使用されるフォトリソグラフィー溶媒と適合性がある、フルオロポリマー(例えば、テフロン(商標))、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンが公知であり、挙げられる。フィルター膜の期待される使途が、半導体の希薄ウエットエッチング(dilute wet etch)プロセスおよび洗浄プロセスである場合、中空糸支持体の選択肢は、フルオロポリマーまたはスルホンポリマーの中空糸、例えば、テフロンであり得る。これらの例は、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、特に超高分子量ポリエチレン(UPE)、ナイロン(例えば、ポリアミド)、ならびに他の公知のポリマー材料の単独重合体および共重合体が想定される。中空糸支持体ポリマーは、好ましくは(必ずしも限らないが)、フィルター被覆層を処理するために使用される、例えば、NMP、DMF、DMAcおよびアセトンを含む溶媒と、適合性があり得る。テフロンなどのフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびナイロンは、こうしたポリマーの例である。
【0033】
非ふるい分け方法によるろ過に使用され、効果的である中空糸支持体にとって、あるポリマーが有用であるまたは好ましくあり得る。非ふるい分けろ過機能のためのフィルター膜の一部として有用であり得るポリマーの例としては、ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリイミド;ポリアミド-ポリイミド;ポリアミド、ポリイミド、またはポリアミド-ポリイミドの表面処理バージョンが挙げられる。所望のポリマーは、除去される汚染物質のタイプに基づいて選択され得る。例えば、ナイロンポリマーは、有機溶媒から有機ゲルまたは溶解した金属汚染物質を除去するのに効果的であり得る。アニオン性(負に帯電した)表面基を含むポリマーは、液体中に溶解または懸濁したカチオンに(正に)帯電した汚染物質を除去するのに効果的であり得る。
【0034】
ある例では、中空糸支持体は、一般に少なくとも1,000,000ダルトンの分子量を有するポリエチレンポリマーを意味すると理解される、超高分子量ポリエチレン(「UPE」)から作ることができる。「ポリエチレン」という用語は、繰り返しの-CH2-CH2-単位の直鎖分子構造を、部分的にまたは実質的に有するポリマーを指す。ポリエチレンは、エチレンモノマーを含む、それからなる、またはそれから本質的になるモノマーを含む、モノマー組成物を反応させることによって作ることができる。したがって、ポリエチレンポリマーは、エチレンモノマーからなる、またはそれから本質的になるモノマーを反応させることによって調製される、ポリエチレン単独重合体であり得る。代わりに、ポリエチレンポリマーは、エチレンモノマーを、別のタイプのモノマー、例えば、別のアルファ-オレフィンモノマー、例えば、ブテン、ヘキセン、もしくはオクタン、またはこれらの組合せと組み合わせて含む、それからなる、またはそれから本質的になる、エチレンモノマーと非エチレンモノマーとの組合せを反応させることによって調製されるポリエチレン共重合体であり得;ポリエチレン共重合体にとって、非エチレンモノマーに対する、共重合体を製造するために使用されるエチレンモノマーの量は、任意の有用な量、例えば、エチレン共重合体を調製するために使用されるモノマー組成物中の、すべてのモノマー(エチレンモノマーおよび非エチレンモノマー)の全重量当たり少なくとも50、60、70、80、または90(重量)パーセントのエチレンモノマーの量であり得る。
【0035】
本明細書で使用する場合、規定された組成物、成分、または成分の規定された組合せ「から本質的になる」と言われる組成物は、規定された組成物、成分、または成分の規定された組合せ、および実質がない量以下の他の成分、例えば、3、2、1、0.5、または0.1重量パーセント以下の他の材料を含有する組成物を意味する。エチレンモノマーから本質的になるモノマーは、エチレンモノマー、および組成物中のすべてのモノマーの全重量に対して、3、2、1、0.5、または0.1重量パーセント以下の任意の他のモノマーを含有する、組成物を指す。エチレンおよびアルファ-オレフィンモノマーから本質的になるモノマーは、エチレンモノマーおよびアルファ-オレフィンモノマー、ならびに組成物中のすべてのモノマーの全重量に対して、3、2、1、0.5、または0.1重量パーセント以下の任意の他のモノマーを含有する、組成物を指す。
【0036】
中空糸支持体は、記述の特性を有する中空糸支持体を製造するための、任意の公知のまたは将来有用な様式で調製され得る。中空糸を調製する公知の方法の例としては、熱誘起相分離(TIPS)および浸漬沈殿法(NIPSという非溶媒誘起相分離とも呼ばれる)が挙げられる。
【0037】
複合中空糸フィルター膜は、フィルター層がフィルターとして機能して、複合体を通過する流体の流れから不要な材料を除去することを可能にする位置および量で、中空糸支持体上に提供されるフィルター層を含む。フィルター層は、多孔質であり、中空糸支持体の厚さ寸法と比較して相対的に薄く、好ましくは、外側多孔質表面の孔を実質的にまたは過度に覆ったり、ブロックしたり、または詰めたりすることなく、フィルター層を外側多孔質表面へ機械的に固定する方式で、中空糸支持体の外側多孔質表面上に被覆される。
【0038】
フィルター層の組成および物理的特徴(例えば、気孔率および孔径)は、中空糸支持体の組成および物理的特徴から独立している。フィルター層の主要な機能は、液体流体がフィルター層を通って流れるにつれて、液体流体をろ過する(すなわち、液体流体から不要な材料を除去する)ことである。この機能を果たすために、フィルター層は、液体が支持体を通って流れる間に、液体がフィルター層を通って流れることを可能にする位置に置かれるべきである。例えば、フィルター層は、支持体の外側多孔質表面に置かれ得る。フィルターとして効果的であるために、フィルター層は、外側多孔質表面にわたって均一に分布すべきであり、外側多孔質表面の実質的に全領域にわたって分布すべきである。フィルター層は、ふるい分け機構、非ふるい分け機構、または両方によってろ過機能を効果的に果たすのに有用である、任意の厚さ、気孔率、および孔径(平均)を有することができる。一般に、フィルター層は、支持体に比較して実質的により小さい厚さを有し得る(すなわち、フィルター層は支持体より実質的に薄い)。様々な例示的実施形態では、フィルター層は、支持体の孔径に比較してより小さい孔径を有してもよく、または支持体の孔径とほぼ同じもしくはより大きい孔径を有してもよい。
【0039】
例示的フィルター層は、フィルター層がフィルター層として効果的であることを可能にする、任意の気孔率を有することができる。有用なフィルター層の例は、90パーセント以下の気孔率、例えば、60~85、例えば、65~80パーセントの範囲の気孔率を有することができる。
【0040】
フィルター層の孔の大きさ(すなわち、フィルター層全体を通しての孔の平均の大きさ)は、気孔率、厚さ、およびフィルター層の組成と組み合わせて、液体が複合フィルター膜を通過する場合に、ろ過機能(例えば、保持率によって測定される)の有用なまたは有利なレベルを提供するのに効果的あり、一方で、複合フィルター膜が商業的に有用であり得るために十分高い、フィルター層(および複合フィルター膜)を通る流体の流れの速度も可能にする、任意の大きさであり得る。
【0041】
記述の複合体の特別の実施形態では、フィルター層は、中空糸支持体に比較してより小さい孔を有することができる。これらの実施形態によれば、フィルター層を通る流体の流れに対する(厚さ当たりの)抵抗は、より大きい孔径の支持体を通る流体流れに対する(厚さ当たりの)抵抗より大きいであろう。好ましいこうした例示的複合体は、良好な流れ特性を有するより厚い中空糸支持体、および良好なろ過特性を有する相対的により薄いフィルター層も含み、比較的薄いフィルター層によって提供される非常に有用なまたは有利に高いろ過性能とともに、複合体を通る良好な流れ特性の有利な組合せを示す複合体を製造することができる。複合体は、所望レベルの可撓性および剛性を含む有用な機械的特性も有し、フィルター層は、支持体に効果的に固定され、支持体およびフィルター層の両方は、過度に脆かったりまたは壊れやすかったりすることはない。
【0042】
フィルター層にとって有用な孔径は、例えば、フィルター層の厚さ、気孔率および組成;複合フィルター膜の所望の流れ特性およびろ過性能特性(例えば、保持率);ならびに中空糸支持体上にフィルター層を堆積させる(例えば、被覆する)方法の特徴などの要素に依存し得る。浸漬被覆によって中空糸支持体上にフィルター層を配置する、現在有用なある例にとっては、フィルター層の例示的孔径は、少なくとも1ナノメートル、例えば、少なくとも10、30、もしくは50ナノメートル、または0.05ミクロンから、2、4、6、または8ミクロンまでであり得る。
【0043】
フィルター層は、本明細書で記述した効果的なろ過性能および流れ性能をもたらす、厚さを有することができる。さらに、フィルター層の厚さは、多孔質中空糸支持体の内部表面の中へのフィルター層の侵入および接触をもたらし、フィルター層を中空糸支持体に機械的に固定すべきである。フィルター層は、中空糸支持体の中へ部分的にまたは完全に侵入し、それによって、中空糸支持体の孔の実質的な量の閉塞または詰まりをもたらすことなく、支持体に機械的に付着させ、良好に固定することができる。フィルター層の有用な厚さの例は、(フィルター層が支持体の中へ侵入する距離を含まないで)5~40ミクロン、例えば、10~20ミクロンの範囲にあり得る。フィルター層が中空糸支持体の厚さに侵入する距離の例は、2ミクロン未満、または1ミクロン未満であり得るが、支持体層の中に完全に侵入したフィルター層を潜在的に含めて、これらより大きい距離も有用であり得る。
【0044】
液体のろ過にとって効果的であるために、フィルター層は、溶媒、およびフィルター層を使用して処理される液体中に存在する他の化学物質に抵抗性である、ポリマー(「フィルター層ポリマー」)から作られ得る。本明細書によって現在有用であると理解されているフィルター層ポリマーは、半導体およびマイクロエレクトロニクスの処理に使用される液体(例えば、溶媒またはプロセス流体)に化学的に抵抗性である(例えば、液体によって化学的に劣化しない)ものを含む。例は、一般に、半導体およびマイクロエレクトロニクスの処理用の流体(例えば、溶媒またはプロセス流体)のろ過に使用される、中空糸フィルター膜を調製するのに(現在または将来)有用であるポリマーを含み得、具体例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミド-イミド、ポリスルホンファミリーポリマー、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびポリフェニルスルホンの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0045】
ポリアミドは、ナイロンを含む周知のポリマーの部類である。ポリアミドは、繰り返しアミド結合により分離された、多数の繰り返し炭素-炭素有機ポリマー性主鎖単位を含むポリマーであると、化学的にみなされる。ポリアミドは、組み合わせて繰り返しアミド結合を有するポリマー主鎖を形成することができる官能基を含む、モノマーまたは反応性成分を反応させることによって、調製され得る。ポリアミドを調製するのに有用なモノマーの組合せの例としては、ジ-アミンモノマーおよびジ-カルボン酸モノマーが挙げられる。例示的ポリアミドとしては、2種または3種のジアミンモノマーとジカルボン酸モノマーとの組合せを重合することによって調製された、共重合体および三元重合体が挙げられる。ある現在好ましいポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6などのナイロンが挙げられる。
【0046】
ポリイミド(時にPIと略記される)は、炭素-炭素ポリマー主鎖中にイミド結合を含むポリマーである。ポリイミドポリマーは、イミド結合を含有するがエステル結合もしくはアミド結合を含有しない「純粋な」ポリイミドであり得る、または、代わりにエステル結合もしくはアミド結合などの他の非炭素-炭素結合を含有し得る。ある現在好ましいポリアミドとしては、P84およびMatrimidポリイミドと呼ばれるものが挙げられる。
【0047】
ポリアミド-ポリイミドポリマー(時にPAIと略記される)は、アミド結合およびイミド結合を含む。ポリアミド-イミドポリマーの一部の具体例としては、芳香族ジアミンおよび芳香族酸塩化物無水物から調製されたもの(酸塩化物経路)が挙げられ、一方で他のものは、芳香族ジイソシアネートおよび無水物から調製され得る(ジイソシアネート経路)。市販のポリアミド-イミドの例は、Solvay Specialty Polymers社によってTorlonという商標の下で販売されているポリマーである。
【0048】
一部のポリイミドまたはポリアミドポリマーは、比較的高い厚さでフィルター膜(または他の構造物)に含まれている場合、例えば、ポリマーが単独で使用されて中空糸膜の全厚さを形成する場合、機械的に脆いまたは非可撓性であり得る。一部のポリイミドは、単独で使用されて、多孔質中空糸膜の全厚さ、例えば、厚さが30もしくは50ミクロン以下の、またはそれを超える厚さの全厚さを形成する場合、中空糸膜を商業的に有用ではなくするほど、機械的に脆いまたは脆弱となる傾向があるであろう。しかしながら、出願人によって決定されたように、例えば、記述の、複合膜の薄いフィルター層の形態にある、これらのポリマーのより薄い層は、機械的に不適当になることなく、ポリマーが支持体上に配置され、処理され、フィルターに形成され、フィルターとして使用されることを可能にする、(可撓性および低減された脆さを含む)機械的特性を示すことができる。
【0049】
処理性については、好ましいフィルター層ポリマーは、記述の支持体の外側多孔質表面上に、効果的に(好ましくは効率的に)有用な被覆方法によって配置され得るものであり得る。好ましいフィルター層ポリマーは、溶媒に溶解されて、中空糸支持体の多孔質外側表面上に被覆され、次に、ポリマー溶液から外側多孔質表面の表面上に沈殿して、記述の効果的なフィルター層を形成することができる、ポリマー溶液を形成することができる。現在有用で好ましいフィルター層ポリマーは、溶媒に溶解されて、環状ダイを使用して中空糸膜の外側多孔質表面上に被覆され、次に、浸漬沈殿法によって凝固して、有用なフィルター層を形成することができる、ポリマー溶液を形成することができる。フィルター層の量(例えば、厚さ)および配置は、フィルター層が、複合中空糸フィルター膜のフィルター層として、高度に効果的なろ過性能(例えば、保持率によって測定される)を示すことを可能にし、一方でそれでも、記述の、複合中空糸フィルター膜を通る液体の流れの望ましく高いレベルを可能にするのに十分であり得る。
【0050】
有用なフィルター層ポリマーは、任意の有用な被覆技術によって、例えば、好ましくはフィルター層ポリマーが溶媒に溶解したポリマー溶液からの、沈殿被覆によって、多孔質ポリマー性フィルム被覆上のコーティングとして提供され得る。したがって、好ましいフィルター層ポリマーは、溶媒処理可能であり、中空糸支持体などの支持体上に被覆するために溶媒に溶解され得る。溶媒は、任意の有用な溶媒であり得、例としては、NMP(n-メチルピロリドン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、およびN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)が挙げられる。溶媒は、好ましくは水を含有しない、またはせいぜい少量の水、例えば、約2、1、もしくは0.5重量パーセント以下の水を含有し得る。ポリマー溶液は、アルコール、酸、エーテルなどを含む非限定的な例から選択されるような、非溶媒も含有し得る。同様に、任意選択の非溶媒に加えて、ポリマー溶液は、孔形成剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)などのような他の添加剤を含有し得る。
【0051】
ポリマー溶液は、任意の有効量の、溶媒および溶解したフィルター層ポリマーを含有し得る。例示的ポリマー溶液は、任意の有効量のフィルター層ポリマー、例えば、5~30重量パーセント、例えば、10~20(または25)重量パーセントの範囲のフィルター層ポリマーを、溶媒(例えば、任意選択で非溶媒および孔形成剤と組み合わせた、本明細書で記述の有機溶媒)である残りとともに含有し得る。
【0052】
フィルター層ポリマーは、硬化性であるまたはそれ自身と反応性であり、例えば、架橋し得るが、必然的ではなく、必要でもない。その結果、溶媒に溶解したフィルター層ポリマーを含有するポリマー溶液は、被覆されたフィルターポリマーの硬化反応を生成するのに有用な任意の化学成分、例えば、架橋剤、触媒、または開始剤を含有する必要はなく、任意選択で排除(例えば、0.05、0.01、または0.005重量パーセント未満含有)してもよい。
【0053】
複合中空糸フィルター膜は、中空糸支持体およびフィルター層を含む。追加の層または材料が任意選択で含まれ得る一方で、記述の複合体は、他の層、他のコーティング、または他の材料を必要とせず、ある実施形態では、好ましくは除外し得る。例えば、本明細書のある例示的複合膜は、多孔質支持体とフィルター層の間に位置する中間コーティングまたは中間層、例えば、フィルター層の支持体への接着性を改善する目的で、支持体の外側多孔質表面上に配置されたプライマー層またはコーティングを、必要とせず、好ましくは排除し得る。こうした実施形態では、フィルター層は、支持体の外側多孔質表面上に直接配置され得る。
【0054】
記述の中空糸複合体を調製するための現在好ましい方法の例では、フィルター層ポリマーを含有するポリマー溶液を形成し、浸漬沈殿技術または熱誘起相反転被覆技術によって、中空糸支持体の外側多孔質表面上にフィルター層ポリマーを配置することによって、フィルター層は中空糸支持体上に形成され得る。一般に、浸漬沈殿によって、溶媒に溶解したポリマーを含有するポリマー溶液は、支持層の上に流延され、次に、ポリマーが実質的に可溶性ではない液体を意味する「非溶媒」を含有する凝固浴槽に沈められる。溶媒と非溶媒との交換に起因して、ポリマーはポリマー溶液から支持層上に沈殿する。ポリマーは、ポリマー溶液の溶媒中で非常に可溶性であり、「非溶媒」中で実質的に不溶性でなければならず、その結果、凝固浴槽の非溶媒(例えば水性液体)と接触すると、ポリマーは沈殿するかまたは凝固する。
【0055】
記述の中空糸複合体を調製するための一部の実施形態では、フィルターポリマーを溶媒に溶解させて、浸漬沈殿法によって中空糸支持体の外側多孔質表面に塗布され得る、ポリマー溶液を形成することができる。一般的な方法は、フィルター層ポリマーを含むポリマー溶液を形成する、またはさもなければ用意する工程と;ポリマー溶液を中空糸支持体の外側多孔質表面へ塗布する工程と;ポリマー溶液のフィルター層ポリマーを、溶液から、中空糸支持体の外側多孔質表面上に沈殿させ(例えば、凝固させ)る工程と;沈殿したフィルター層ポリマーを乾燥させて、中空糸支持体の外側多孔質表面上に被覆された、フィルター層を含む複合体を形成する工程と、を含む1つまたは複数の工程を含む。
【0056】
こうした方法の一例は、ポリマー溶液が環状ダイを通過して中空糸支持体の外側多孔質表面上を通る間に、環状ダイを通って移動する未被覆中空糸支持体を誘導し支持するための、環状ダイの使用を含むことができる。環状ダイは、同心円状に並んで、内側の円筒状支持体の外側表面と外側の円筒状支持体の内側表面との間に、実質的に均一な大きさ(幅)を有する環状開口部を形成する、内側の円筒状支持体および外側の円筒状支持体を含む。内側の円筒状支持体は、中空糸支持体の動きを封じ込めて(contain)誘導するように大きさを合わせた、円形開口部も規定する。中空糸支持体が環状ダイを通過する(例えば、ダイを通して垂直下方向に引っ張られる)につれて、ポリマー溶液の流れは環状開口部を通過し、中空糸支持体の外側表面上に被覆される。円形開口部の直径は、中空糸支持体が円形開口部内で所望通りに適合するのに、例えば、中空糸支持体が円形開口部を所望の速度で通過するのを可能にするのに、十分である。環状開口部の大きさ(幅)は、円形開口部を支持体が通過するとともに、中空糸支持体の外側の表面上に、所望の厚さを有するポリマー溶液のコーティングを配置するのに効果的であり得る。
【0057】
例えば、支持体の引張り速度、ポリマー溶液の流速、および支持体の直径と比べた環状ダイの相対的大きさを含む、任意の効果的な被覆装置、条件および処理パラメーターが使用され得る。ポリマー溶液の流速、およびダイを通過する中空糸支持体の速度は、被覆するフィルター層の厚さを決定し得る。
【0058】
このタイプの被覆技術のある例によれば、被覆された(環状ダイによって中空糸支持体上に配置された)ポリマー溶液は、被覆工程の後(環状ダイを通過した後)で、ポリマーが凝固浴槽の非溶媒と接触する前に、任意選択で空気に曝露され得る。被覆後で凝固浴槽に入る前の空気への曝露は必須ではないが、凝固浴槽との接触の前に、被覆されたポリマーを部分的に乾燥させることはできる。必須ではなくまたは必要ではないが、凝固浴槽の前の空気への曝露は、被覆されたポリマー層が中空糸支持体の中へより多く侵入して、支持体と被覆された層の間により良好な機械的なインターロック(interlock)を達成するために、有用であり得る。しかしながら、エアギャップが大きすぎる場合、侵入が大きすぎて、膜の流束が悪影響を受けるおそれがある。代わりに、エアギャップは、空気への曝露中の溶媒のエバポレーションによって、被覆された層に特別のミクロ構造を実現するのに有用であり得、これは、ある程度の一部の相分離をもたらす可能性がある。エアギャップが存在する場合、非溶媒と接触する前に、被覆されたポリマー溶液が空気に曝露される時間の量は、所望通り、例えば、2秒未満、1秒未満、または0.5秒未満であり得る。
【0059】
図1Aを参照すると、記述の例示的複合中空糸70を調製するために効果的な、浸漬被覆系の一部が図示されている。
図1Bは、複合中空糸70の断面図を示している。
【0060】
系10は、中空糸支持体20、ポリマー溶液30、および環状ダイ34を含む。中空糸支持体20の供給源(図示せず)、例えば、連続的長さの中空糸支持体20が巻かれたスプールまたはボビンは、中空糸支持体20が系10に供給され得るように位置する。中空糸支持体20を、系10の異なる構成要素および位置へ、またはそこを通って誘導するために、1つまたは複数のローラー(やはり図示せず)が使用され得る。
【0061】
ポリマー溶液30は環状ダイ34に供給され、環状ダイは、内側の円筒状支持体36、外側の円筒状支持体38、円形開口部40(内側の円筒状支持体36の内側表面によって規定される)、および環状開口部42(内側の円筒状支持体36と外側の円筒状支持体38の間)を含む。中空糸支持体20は、ポリマー溶液30の流れが環状開口部42を通って分配されている間に、円形開口部40を通され、円形開口部40を通って(
図1Aの下方向に)前進する。シリンジまたはポンプ(図示せず)は、所望レベルの圧力および流れの下で、ポリマー溶液30を環状開口部42の底部から安定した速度で流れさせ、(未凝固の形態での)ポリマーコーティング50の連続的で実質的に均一な被覆を、支持体20の外側表面上に配置する。
【0062】
非溶媒62を含有する凝固浴槽60は、環状ダイ34の垂直下に位置する。中空糸支持体20は、未凝固のポリマーコーティング50が中空糸支持体20の外側多孔質表面に存在する状態で、環状ダイ34から出る。ポリマーコーティング50の溶解したポリマーを凝固させ、フィルター層(薄い多孔質被覆層)64を中空糸支持体20の外側表面上に形成させるために、未凝固ポリマーコーティング50を有する中空糸支持体20は、次に、凝固浴槽60の非溶媒62と接触する。非溶媒62は、ポリマーコーティング50と接触し、ポリマーコーティング50の溶媒および溶解したフィルター層ポリマーと相互作用し、溶解したフィルターポリマーを溶液から沈殿させ(例えば、凝固させ)、フィルターポリマーの層を支持体20の外側表面上に形成させる。結果は、フィルター層64(図示のように、未乾燥)が支持体の外側多孔質表面上に被覆された、支持体20から作られた複合中空糸70である。
【0063】
任意選択で、図示のように、未凝固ポリマーコーティング50を有する支持体20は、環状ダイ34を出た後で凝固浴槽60の非溶媒62と接触する前に、エアギャップ52を通過する。凝固浴槽60に入ると同時に、非溶媒62はポリマー溶液50を相分離させ、多孔質被覆層(フィルター層)64複合中空糸70を形成する。他の例示的実施形態では、環状ダイ34と非溶媒62との間にエアギャップは存在せず、(支持体20上の)ポリマーコーティング50が環状ダイ34を出ると同時に、凝固浴槽の内側で相分離が起こる。
【0064】
被覆方法の一部の例では、(ポリマーコーティング50としての)ポリマー溶液は、中空糸支持体20の外側多孔質表面の孔の中に、少なくとも部分的に侵入する。ポリマーコーティング50のフィルターポリマーが凝固すると同時に、被覆された(凝固した)フィルター層64と中空糸支持体20の外側多孔質表面との間に機械的なインターロックが起こる。一部の実施形態では、外側多孔質表面での中空糸支持体20の中へのポリマー溶液30の侵入の度合い(深さ)は十分に小さく、そのため複合体70を通る流体輸送抵抗は、依然として十分に低く、複合体70が有用なフィルター膜として機能することが可能である。
【0065】
1つまたは複数の任意選択の続く工程として、洗浄タンク、加熱工程、乾燥工程、アニーリング工程、ゴデットロール、または巻上げセクションを使用して、複合体70をさらに扱うまたは処理することができる。例えば、相分離(凝固)工程の後に、複合中空糸70を、洗浄タンクを通して誘導して、残留溶媒を抜き取ることができる。続いて、洗浄された(まだ濡れた)複合体は、任意選択で後処理アニーリング工程または乾燥工程の前又後に、ロール上に収集され得る。
【0066】
記述の複合フィルター膜は、フィルター膜に液体を通過させ、ろ過された(または「浄化された」)液体(時に「透過液」と呼ばれる)を生成させることによって、1つまたは複数の汚染物質を液体から除去するのに有用であり得る。ろ過された液体は、液体が複合フィルター膜を通過する前の液体中に存在する汚染物質のレベルと比較して、低減されたレベルの汚染物質を含有するであろう。支持体の外側表面にフィルター層の配置を維持することが所望されるので、液体は、複合体の外部表面から内側の中空開口部へ、流れの方向に流れ得;すなわち、液体は、中空複合体の外面から、最初は複合体の外部表面のフィルター層を通過し、次いで中空糸支持体を通過し、次に、複合体の中空内面に入り、それに沿って流れ得る。
【0067】
記述の複合体は、性能(「保持率」によって測定されるろ過性能)、孔径またはあわ立ち点(孔径に関連する)、流れ、および機械的特性(可撓性および耐久性または低減された脆弱性)を含む、物理的特性の有用な、望ましい、または有利な組合せを提供することができる。
【0068】
液体から不要な材料(すなわち、「汚染物質」)を除去する際の複合フィルター膜の有効性レベルは、「保持率」として、1つの様式において測定され得る。フィルター膜(例えば、記述の複合フィルター膜)の有効性に関連する、保持率は、一般に、液体がフィルター膜を通過する際に液体中に存在する不純物の全量に対する、不純物を含有する液体から除去された(実際の、または性能試験中の)不純物の全量を指す。したがってフィルター膜の「保持率」値は、パーセントであり、より高い保持率値(より高いパーセント)を有するフィルターは、液体から粒子を除去する際に比較的より効果的であり、より低い保持率値(より低いパーセント)を有するフィルターは、液体から粒子を除去する際に比較的それほど効果的でない。
【0069】
粒子保持率は、流体の流れに配置された膜により、流体の流れから除去された試験粒子の数を測定することによって、測定することができる。1つの方法によれば、粒子保持率は、0.03ミクロンの公称直径を有するポリスチレン粒子(Duke Scientific G25Bから入手可能)、8ppmを含有する、0.1%Triton X-100の十分な量の水性供給溶液を通過させ、毎分7ミリリットルの一定の流量で膜を通して、1%の単層被覆(monolayer coverage)を達成し、透過液を収集することによって測定され得る。透過液中のポリスチレン粒子の濃度は、透過液の吸光度から計算することができる。次に、粒子保持率は、以下の式を使用して計算される。
【0070】
本明細書で使用する「公称直径」は、光子相関分光法(PCS)、レーザー回析または光学的顕微鏡検査によって決定される粒子の直径である。典型的には、計算された直径、または公称直径は、粒子の映像と同じ投影面積を有する球の直径として表現される。PCS、レーザー回析および光学的顕微鏡検査の技術は、当該技術分野で周知である。例えば、Jillavenkatesa,A.ら;“Particle Size Characterization;”NIST Recommended Practice Guide;National Institute of Standards and Technology Special Publication 960-1;January 2001を参照されたい。
【0071】
記述の複合膜の好ましい実施形態では、複合膜は、0.5%、1.0%、1.5%、および2.0%の単層被覆に対して、90パーセントを越える保持率を示すことができ、0.5%および1.0%の単層被覆に対して、95パーセントを越えることもあり得る。保持率のこのレベルを有する本発明の複合膜のこれらの例は、多くの現在市販のフィルター膜、例えば、UPEで作られた類似の平らなシートおよび中空糸フィルター膜と比較して、より高い保持率レベルを示す。これらの例示的複合膜は、有用な、良好な、または非常に良好な流束(少ない流動時間)も可能にし、複合膜をフィルターカートリッジまたはフィルターの製品に調製または組み立てることを可能にする機械的特性を示す。
【0072】
あわ立ち点は、記述の複合フィルター膜を含む多孔質材料の理解されている特性である。あわ立ち点は、ろ過性能に相当する可能性のある孔径に相当し得る。より小さい孔径は、より高いあわ立ち点に関連し、おそらくより高いろ過性能(より高い保持率)に関連し得る。しかしながら、通常、より高いあわ立ち点は、多孔質材料を通る流れの比較的より高い抵抗、およびより低い流束にも関連する。ある好ましい実施形態によれば、複合フィルター膜は、比較的より高いあわ立ち点、良好なろ過性能の組合せを示すことができ、まださらに、良好なまたは有利な流れ(比較的高い流速、または比較的高い流束)、例えば、他の中空糸膜のデザインまたは組成物では、はるかに低いあわ立ち点に関連し得る流束を示す。
【0073】
多孔質材料のあわ立ち点を決定する1つの方法によって、多孔質材料の試料を公知の表面張力を有する液体に浸漬し、液体で濡らし、試料の1つの側にガス圧力を加える。ガス圧力を徐々に増加させる。試料を通ってガスが流れる最小圧力を、あわ立ち点と呼ぶ。Novecからのエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE7200)、IPA、または水、圧縮空気もしくは圧縮N2ガスを使用し、摂氏20~30(通常25)度の温度で測定した、記述の多孔質フィルター膜の有用なあわ立ち点の例は、2~500psi、例えば、50~500psi、2~400psi、または135~185psiの範囲であり得る。
【0074】
所望のあわ立ち点およびろ過性能(例えば、保持率によって測定される)の組合せでは、記述の複合膜は、複合膜を通る液体の流れの有用なまたは有利に低い抵抗を示すことができる。液体の流れに対する抵抗は、流束の観点から測定することができる。記述の複合膜は、好ましくは比較的高いあわ立ち点および良好なろ過性能と組み合わせて、好ましくは比較的高い流束を有し得る。有用なまたは好ましい流束の例は、少なくとも10LMH/バール(時間当たり平方メートル当たりリットル)、例えば、少なくとも20LMH/バール、もしくは少なくとも30LMH/バール、または20~8000LMH/バールの範囲であり得る。
【0075】
本明細書で記述のフィルター膜、または記述の複合中空糸フィルター膜を含有するフィルターもしくはフィルター構成要素は、液体化学物質から不要な材料を浄化するまたは除去するために、特に、非常に高いレベルの純度を有する化学物質投入材料を必要とする工業的プロセスにとって有用な、高度に純粋な液体化学物質を製造するために、液体化学物質をろ過する方法において有用であり得る。一般に、液体化学物質は、様々な有用な市販の材料のいずれかであり得、任意の工業的または商業的使用のための任意の用途で、有用であるまたは使用される液体化学物質であり得る。記述のフィルターの特別の例は、半導体またはマイクロエレクトロニクス製作用途、例えば、半導体フォトリソグラフィーの方法で使用される液体溶媒または他のプロセス液体のろ過に使用されるまたは有用である、液体化学物質を浄化するために使用され得る。記述のフィルター膜を使用してろ過され得る溶媒の、一部の特定の非限定的な例としては、酢酸n-ブチル(nBA)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸2-エトキシエチル(2EEA)、キシレン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸イソアミル、ウンデカン、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、またはこれらのいずれかの混合物、例えば、PGMEとPGMEAとの混合物が挙げられる。
【0076】
複合膜は、より大きいフィルター構造、例えば、ろ過系で使用されるフィルターまたはフィルターカートリッジ内に含有され得る。ろ過系は、例えば、フィルターまたはフィルターカートリッジの一部として、複合フィルター膜を液体化学物質の流れの経路に配置し、少なくとも液体化学物質の流れの一部に複合フィルター膜のフィルター層を通過させ、その結果フィルター層は、一定量の不純物または汚染物質を液体化学物質から除去する。フィルターまたはフィルターカートリッジの構造は、フィルター内の複合フィルター膜を支持し、流体をフィルター入口から、複合膜(フィルター層を含む)を通り、フィルター出口を通って流れさせ、それによって、フィルターを通過する時、複合フィルター膜を通過させる、1つまたは複数の様々な追加の材料および構造物を含み得る。
【0077】
有用なフィルターおよびフィルターを組み立てる方法の例は、WO2017/007683に記述されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
図2および
図3は、これらのフィルターの例を示している。
【0078】
図2および
図3は、本明細書の複合フィルター膜を含む、流体分離装置またはフィルターの例を示している。
図2はフィルターの外観図であり、
図3は複合膜(多数の複合膜)および液体が流体分離装置に入り、出るにつれて分離される、液体の流れを図示している。流体分離装置(フィルター)は、多数の複合膜112を含むハウジング110を含む。各膜112は、それぞれの2つの向かい合った両方の端領域でポットされ(pot)、端領域と開口中央領域107との間に流体密封シールを形成する。開口中央領域107はポットされておらず、以下で議論するように、透過液106が各膜112を通って移動することができるように、開口のままでなければならない。ポットされた端領域は、液体を通過させず、したがって「流体密封(fluid-tight)」である。
【0079】
使用時、液体供給材料はアクティブ(active)101でハウジングに入り、ハウジング内の膜112に導入される。膜112は、ハウジング内の空間を、第1の体積103と第2の体積103bに分ける。液体供給材料が膜112へ曝露されると、膜112を通過した材料である透過液は、第2の体積103bに入り、膜102を通過しない材料である保持液は、第1の体積に入る。次に、保持液は、コネクター105を介してハウジングから抜き取られると、収集され得る、またはさらにろ過され得る。透過液は、濃縮され、処分され、または、系の中へ再循環して戻され得る、異なるコネクター106を介して出る。
【0080】
図2および
図3のフィルターの実施形態では、一部の供給液体は、複合膜112の1つを通過して透過液を形成し、別の一部の供給液体は、複合膜112を通過せずにフィルターを通過する。他のフィルターの実施形態によれば、全量の供給液体が複合膜112を通過して透過液を形成し、複合膜112を迂回して保持液を形成する一部の供給流体は存在しない。例えば、米国特許第5,695,702号の
図6を参照されたく、その特許文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0081】
実施例1
複合ポリイミド(P84)/ナイロン中空糸の製作。
0.2ミクロンのナイロン中空糸を、中空糸支持体として使用した。P84ポリイミド/NMP/プロピオン酸(17/75/8重量パーセント)からなるポリマー溶液を、以下の寸法:ID=1mm、環状領域ギャップ=0.3mmを有する環状ダイの環状断面を通して、1ml/分の流速で、シリンジポンプを使用して注入した。押出物は1センチメートルのエアギャップ距離を通過して、水からなる凝固浴槽に入った。ダイを通して中空糸支持体を引っ張る速度は、毎分2フィートであった。
【0082】
実施例2
複合ポリアミド-イミド(Torlon)/ナイロン中空糸の製作。
0.2ミクロンのナイロン中空糸を、中空糸支持体として使用した。275℃硬化Torlon/NMP/トリエチレングリコール(12/70/18wt%)からなるポリマー溶液を、以下の寸法:ID=1mm、環状領域ギャップ=0.3mmを有する環状ダイの環状断面を通して、1ml/分の流速で、シリンジポンプを使用して注入した。押出物は1センチメートルのエアギャップ距離を通過して、水からなる凝固浴槽に入った。ダイを通して中空糸を引っ張る速度は、毎分2フィートであった。
【0083】
第1の態様では、複合中空糸フィルター膜は、外側表面、内側表面、外側表面と内側表面の間に広がる厚さ、および微小孔を含むポリマー性の微小孔性中空糸支持体;ならびに外側表面と接触する凝固したポリマーを含む、多孔質ポリマー性フィルター層、を含む。
【0084】
フィルター層が、中空糸支持体の微小孔の平均孔径より小さい平均孔径を有する孔を含む、第1の態様による第2の態様。
【0085】
中空糸支持体が、10ミクロン未満の平均孔径を有する、第1または第2の態様による第3の態様。
【0086】
フィルター層が、1ナノメートル~8ミクロンの範囲の平均孔径を有する、第3の態様による第4の態様。
【0087】
(フィルター層の無い)中空糸支持体が、20~200ミクロンの範囲の厚さを有する、前の態様のいずれかによる第5の態様。
【0088】
中空糸支持体が、ポリオレフィンおよびナイロンの1つもしくはそれらの組合せを含む、それからなる、またはそれから本質的になる、前の態様のいずれかによる第6の態様。
【0089】
フィルター層が、中空糸支持体の厚さに2ミクロン以下の深さまで侵入する、前の態様のいずれかによる第7の態様。
【0090】
フィルター層ポリマーの中空糸支持体上への浸漬沈殿によって、凝固したポリマーが形成されている、前の態様のいずれかによる第8の態様。
【0091】
フィルター層が、n-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、およびそれらの組合せからなる群から選択される溶媒に可溶性であるポリマーを含む、前の態様のいずれかによる第9の態様。
【0092】
フィルター層が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される溶媒に抵抗性である、前の態様のいずれかによる第10の態様。
【0093】
凝固したポリマーが、ポリイミド、ポリアミド-イミド、およびポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、前の態様のいずれかによる第11の態様。
【0094】
複合膜が、20~8000LMH/バールの範囲の流束、および摂氏25度の温度でエトキシ-ノナフルオロブタン(HFE7200)を使用して測定される、50~500psiの範囲のあわ立ち点を有する、前の態様のいずれかによる第12の態様。
【0095】
多孔質ポリマー性フィルター層が、中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入する、前の態様のいずれかによる第13の態様。
【0096】
多孔質ポリマー性フィルター層が、中空糸支持体の厚さに実質的に侵入する、第1から第12の態様による第14の態様。
【0097】
フィルター層が、中空糸支持体の微小孔の平均孔径より大きい平均孔径を有する孔を含む、前の態様のいずれかによる第15の態様。
【0098】
第16の態様では、フィルターは、第1から第15の態様のいずれかの複合中空糸フィルター膜を含む。
【0099】
第17の態様では、流体をろ過する方法は、最初にフィルター層を通り、2番目に中空糸支持体を通る流れの方向に流体を通過させることによって、第16の態様によるフィルターに流体を通過させることを含む。
【0100】
流体が、半導体リソグラフィー溶媒である、第17の態様による第18の態様。
【0101】
溶媒が、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、および酢酸n-ブチルからなる群から選択される、第18の態様による第19の態様。
【0102】
溶媒が、希薄または濃縮された、フッ化水素酸、硫酸、および過酸化物溶液から選択される、第17の態様による第20の態様。
【0103】
第21の態様は、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体および多孔質ポリマー性フィルター層を含む、複合中空糸フィルター膜を調製する方法であって、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することであり、ポリマー用鋭気が、溶媒に溶解したポリマーを含む、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体の外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することと、ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させて、ポリマー溶液コーティングのポリマーを溶解させて、凝固したポリマーの層を外側表面上に形成することであり、凝固したポリマーの層が外側表面と接触しかつポリマー性の微小孔性中空糸支持体の厚さにせいぜい部分的に侵入する、ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させて、ポリマー溶液コーティングのポリマーを溶解させて、凝固したポリマーの層を外側表面上に形成することとを含む、方法を含む。
【0104】
配置の間に、ポリマー性の微小孔性中空糸支持体を、環状ダイの中央開口部を通過させること、およびポリマー溶液を、環状ダイの環状開口部を通過させて、外側表面上にポリマー溶液コーティングを配置することをさらに含む、第21の態様による第22の態様。
【0105】
ポリマー溶液コーティングを凝固溶液と接触させる前に、ポリマー溶液コーティングの一定量をエバポレーションさせることをさらに含む、第21の態様または第22の態様による第23の態様。
【0106】
凝固したポリマーが、ポリイミド、ポリアミド-イミド、およびポリアミドからなる群から選択されるポリマーを含む、第21から第23の態様のいずれかによる第24の態様。
【0107】
中空糸支持体が、ポリオレフィンまたはナイロンを含む、それからなる、またはそれから本質的になる、第21から第24の態様のいずれかによる第25の態様。